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病原体検出情報


おもな疾患別ウイルス検査状況
Last Update 2007年7月5日
平成18年度 ◇ 平成17年度 ◇ 平成16年度 ◇ (速報)


平成18年度のおもな疾患別ウイルス検査状況(表1)


愛知県では昭和51年以降、感染症(当時は伝染病)発生動向調査の一環としてエンテロウイルス等の検出検査を当衛生研究所で実施しています。平成18年度に、この調査のために検体採取をお願いした検査定点の医療機関は、独自に同様の調査を実施している名古屋市を除く県内15の保健所管轄地域に1か所以上もうけられた総計29医療機関です。対象とした疾病は、県の感染症発生動向調査事業で指定された14疾患ですが、このうち、感染性胃腸炎(乳児嘔吐下痢症を含む)、手足口病、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、無菌性髄膜炎、急性脳炎(脳症を含む)、インフルエンザの8疾患を主な対象疾患として検査を実施しています。


平成18年度は、名古屋市を除く県内15保健所管内の28医療機関から寄せられた患者1,081名からの1,159検体の検査を実施しています。以下に、疾患別ウイルス検出状況と簡単な概要を記載します。なお、ポリオウイルスが23名(感染性胃腸炎22名及びヘルパンギーナ1名)から29株分離されていますが、遺伝子解析からも全てワクチン株と確認されました。21名はポリオ生ワクチン接種後1ヶ月以内でした。また平成18年4月から、新たにRT-PCRを用いたヒトメタニューモウイルス(HMPV)遺伝子検出を一部の検体について実施しています。

患者発生動向についてはグラフ(PDF版Excel版)をご参照ください。


○ 感染性胃腸炎(乳児嘔吐下痢症を含む)

検体が寄せられた493名の患者のうち患者187名(37.9%)から204件のウイルスが検出されました。ワクチン由来ポリオウイルス1,2,3型(PV-1, PV-2, PV-3)が22名から合計28件分離されています。ポリオウイルスを除く176件の内訳はノロウイルス64件(36.4%=64/176)(遺伝子型GⅠ 3件, GⅡ61件)、A群ロタウイルス52件(29.5%)(遺伝子型G3が19件、G9が15件、G1が9件、G4が1件、型別不能8件)、アデノウイルス35件(19.9%)(血清型3型及び41型が各7件、5型及び1型が各6件、2型及び6型が各4件、31型が1件)、エンテロウイルス20件(11.4%)(エコーウイルス18型が9件、エコーウイルス25型が5件、コクサッキーウイルスB4型が3件、エンテロウイルス71型、コクサッキーウイルスA9型及びエコーウイルス7型が各1件)、ヒトパレコウイルスが5件(2.8%)(血清型3型が3件、1型及び4型が各1件)でした。複数のウイルスが検出された患者は14名あり、ポリオウイルスとノロウイルスGII型の重複検出が6名、ポリオウイルスとロタウイルスG3型あるいはエコーウイルス7型との重複検出が各1名、複数の血清型のポリオウイルス検出者が3名、ロタウイルスG3型とアデノウイルス2型の重複検出が2名、ロタウイルスG1型とアデノウイルス5型、及びロタウイルスG1型とG3型の重複検出が各1名でした。


○ 手足口病

検体が寄せられた患者135名中88名(65.2%)から89件のウイルスが検出されています。その内訳は、エンテロウイルス71型(EV-71)が58件(65.2%=58/89)、コクサッキーウイルスA16型(CV-A16)が20件(24.5%)、ヒトパレコウイルス3型およびアデノウイルス3型が各3件(3.4%)、CV-B3が2件(2.2%)、CV-A9およびエコーウイルス25型が各1件です。1名からは2回の有熱来院時に各々EV-71とCV-B3が検出されました。手足口病患者からのEV-71は、平成17年秋から毎月少数ずつ検出され、平成18年4月5名、5月22名、6月25名と急増しました。CV-A16は7月~12月の患者20名から検出されています。


○ ヘルパンギーナ

検体が寄せられた患者92名中62名(67.4%)から67件のウイルスが検出されています。その内訳はコクサッキーウイルスA4型(CV-A4)が39件(58.2%=39/67)、CV-A5が10件(14.9%)、アデノウイルス3型(Ad-3)が3件(4.5%)、CV-A16、CV-B4、ヒトパレコウイルス3型、およびAd-2が各2件(3.0%)、ポリオウイルス1型、CV-A2、CV-A9、エコーウイルス18型、Ad-1およびAd-5が各1件(1.5%)です。CV-A4の検出時期は5月が2名、6月が24名、7月が13名でした。CV-A4は毎年検出されていますが、平成14年と16年は流行の主流でした。


○ 咽頭結膜熱

検体が寄せられた患者28名中20名(71.4%)からウイルスが検出されています。その内訳はアデノウイルス3型(Ad-3)が17件(85%=17/20)、Ad-2が2件(10%)、Ad-4が1件(5%)です。平成18年度は、咽頭結膜熱(プール熱)の患者報告数が多く、検査件数も前年度の9名と比較して増加しました。Ad-3の検出時期は5月2名、6月および7月が各5名、8月3名、10月2名でした。


○ 流行性角結膜炎

検体が寄せられた患者55名中20名(36.4%)からウイルスが検出されています。その内訳はアデノウイルス3型(Ad-3)が14件(70.0%=14/20)、Ad-37が6件(30.0%)でした。


○ 無菌性髄膜炎

検体が寄せられた患者73名中21名(28.8%)ウイルスが検出されています。その内訳はエコーウイルス18型(E-18)が8件(38.1%)、エンテロウイルス71型(EV-71)が4件(19.0%)、ヒトパレコウイルス3型(HPeV-3)が2件(9.5%)、コクサッキーウイルスA16型(CV-A16)、CV-A9、CV-B2、CV-B5、ヒトメタニューモウイルス(HMPV)、ムンプスウイルス、及びアデノウイルス2型が各1件(4.8%)です。

E-18は6月~8月と11月に分離されました。本ウイルスの流行は平成15年に引き続き昭和55年(1980年)以来5回目となります。EV-71は中枢神経系侵襲性が知られており、流行時には無菌性髄膜炎患者から比較的高頻度に検出されます。HPeV-3は当研究所が世界で始めて分離したウイルスで、最初の患者にも神経症状がみられていました。HMPVは咽頭拭い液から遺伝子を検出した事例です。


○ 急性脳炎

平成18年度は疑い例を含む14名の患者のうち5名(35.7%)からウイルスが検出されました。その内訳はヒトメタニューモウイルス2件、コクサッキーウイルスA2型、A4型、エコーウイルス30型が各1件でした。ウイルスが検出された5名の診断はいずれも脳症でした。ヒトメタニューモウイルスは脳炎の原因ウイルスとする報告もあります。今回の2名中1名は尿からも検出されており、ウイルス血症が疑われました。3例のエンテロウイルスは便あるいは咽頭拭い液から分離されました。


○ インフルエンザ(インフルエンザウイルス分離状況はこちら

2005/06年シーズン末期に採取された9名の患者検体中4名分(44.4%)から、B型インフルエンザウイルス(Flu.B)が分離されました。検体採取時期は4月1名、5月2名、6月1名でした。

平成18年11月に始まった2006/07年シーズンは、平成19年3月末までに発症した182名の患者検体を検査し、132名(72.5%)からウイルスが分離されました。その内訳はFlu.Bが77名(58.3%)、A香港型インフルエンザウイルス(Flu.AH3)が40名(30.3%)、Aソ連型(Flu.AH1)が11名(8.3%)、コクサッキーウイルスA16型、ヒトライノウイルス、アデノウイルス1型及び3型が各1名(0.8%)でした。2006/07年シーズンは、患者報告数の立ち上がりが遅かったうえ流行の主流がB型インフルエンザウイルスという特徴がみられました。ウイルス分離状況から例年と比較して患者報告数が少なかった理由はA香港型の流行が小規模に終わったためと考えられ、来シーズンA香港型インフルエンザの流行規模が大きくなる可能性を示唆するものです。



表1   平成18年度疾患別ウイルス検出状況
 












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患者数 493(361) 135(11) 92(5) 28(4) 55 73(16) 14(5) 191(182)
PV-1 7(4) - 1 - - - - -
PV-2 6(4) - - - - - - -
PV-3 15(14) - - - - - - -
CV-A2 - - 1 - - - 1 -
CV-A4 - - 39 - - - 1 -
CV-A5 - - 10(2) - - - - -
CV-A16 - 20(7) 2 - - 1 - 1(1)
EV-71 1 58 - - - 4(1) - -
CV-A9 1 1 1 - - 1 - -
CV-B2 - - 1(1) - - 1(1) - -
CV-B3 - 2 - - - - - -
CV-B4 3(1) - 2 - - - - -
CV-B5 - - - - - 1(1) - -
E-7 1 - - - - - - -
E-18 9(3) - 1 - - 8(1) - -
E-25 5(1) 1 - - - - - -
E-30 - - - - - - 1(1) -
HRV - - - - - - - 1(1)
HPeV-1 1 - - - - - - -
HPeV-3 3 3 2 - - 2 - -
HPeV-4 1 - - - - - - -
Flu.AH1 - - - - - - - 11(11)
Flu.AH3 - - - - - - - 40(40)
Flu.B - - - - - - - 81(77)
HMPV - - - - - 1 2 -
Mumps - - - - - 1(1) - -
Rota A 8(8) - - - - - - -
Rota A-G1 9(3) - - - - - - -
Rota A-G3 19(11) - - - - - - -
Rota A-G4 1(1) - - - - - - -
Rota A-G9 15(15) - - - - - - -
NV-GⅠ 3(2) - - - - - - -
NV-GⅡ 61(60) - - - - - - -
Ad-1 6(1) - 1 - - - - 1(1)
Ad-2 4(4) 1(1) 2 2(1) - 1(1) - -
Ad-3 7(3) 3 3 17(2) 14 - - 1(1)
Ad-4 - - - 1 - - - -
Ad-5 6(4) - 1 - - - - -
Ad-6 4(3) - - - - - - -
Ad-31 1 - - - - - - -
Ad-37 - - - - 6 - - -
Ad-41 7(4) - - - - - - -
分離合計 204(146) 89(8) 67(3) 20(3) 20 19(6) 5(1) 136(132)
( ):10月以降の患者数を再掲しました
PV:ポリオウイルス
CV:コクサッキーウイルス
E:エコーウイルス
EV-71:エンテロウイルス71型
HPeV:ヒトパレコウイルス
Flu.AH1:Aソ連型インフルエンザウイルス
Flu.AH3:A香港型インフルエンザウイルス
Flu.B:B型インフルエンザウイルス
HMPV:ヒトメタニューモウイルス
HRV:ヒトライノウイルス
HPeV:ヒトパレコウイルス
Mumps:ムンプスウイルス
Rota A-G1:A群ロタウイルス1型
Rota A-G3:A群ロタウイルス3型
Rota A-G4:A群ロタウイルス4型
Rota A-G9:A群ロタウイルス9型
NV-GⅠ:ノロウイルスⅠ型
NV-GⅡ:ノロウイルスⅡ型
Ad:アデノウイルス


平成17年度のおもな疾患別ウイルス検査状況(表2)


愛知県では昭和51年(1976年)以降、感染症(当時は伝染病)発生動向調査の一環としてエンテロウイルス等の検出検査を当愛知県衛生研究所で実施してきています。平成17年度に、この調査のために検体採取をお願いした検査定点の医療機関は、独自に同様の調査を実施している名古屋市の分を除く県内15の保健所管轄地域に1か所以上設けられた総計30か所の医療機関です。対象とした疾病は、県の感染症発生動向調査事業で指定された14疾患ですが、このうち、感染性胃腸炎(乳児嘔吐下痢症を含む)、手足口病、ヘルパンギーナ、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎、無菌性髄膜炎、急性脳炎、インフルエンザの8疾患を主な対象疾患として検査を実施しています。


平成17年度は名古屋市を除く県内15保健所管内の28医療機関から寄せられた患者検体を用いて(863名からの941検体)検査を実施しました。以下に、疾患別のウイルス検出状況と簡単な概要を記載します。なお、ポリオウイルスが5名から7件分離されていますが、全てワクチン接種後1ヶ月以内の患者検体からの分離で、遺伝子解析からもワクチン株と確認されています。

患者発生動向についてはグラフ(PDF版Excel版)をご参照ください。


○ 感染性胃腸炎(乳児嘔吐下痢症を含む)

検体が寄せられた患者325名中141名(43.4%)から154件のウイルスが検出されています。その内訳としては、遺伝子型2型のノロウイルス(NV G2)が60件(39.0%=60/154)、A群ロタウイルス(Rota A)が46件(29.9%)、アデノウイルス2型(Ad-2)が11件(7.2%)、Ad-41が10件(6.5%)、ヒトパレコウイルス1型(HPeV-1)が7件(4.5%)、コクサッキーウイルスA9型が3件(1.9%)、ポリオウイルス1型(PV-1)、2型、3型、Ad-1、Ad-3、及びAd-31が各2件(1.3%)、コクサッキーウイルスB2型、B3型、エコーウイルス3型、7型、及びレオウイルス2型が各1件(0.6%)検出されました。NV G2は平成17年12月と平成18年1月に全体の81.7%(49/60)が検出されました。Rota Aは平成17年4月から6月、及び平成17年11月から平成18年3月に検出されました。Ad-41は平成17年6月、10月~平成18年3月にかけて検出されました。11名から同時に2種類の、1名からは3種類のウイルスが検出されましたが、5名はAd-2とNV G2(4名)あるいはRota A(1名)、2名はPV-1とPV-2、2名はNV G2とCV-A9、2名はRota AとNV G2あるいはHPeV-1の重複感染でした。残り1名からはRota AのG1とG3、及びNV G2の3種類のウイルスが検出されました。


○ 手足口病

検体が寄せられた患者58名中41名(70.7%)からウイルスが検出されています。その内訳は、エンテロウイルス71型(EV-71)が17件(41.5%=17/41)、コクサッキーウイルスA16型(CV-A16)が11件(26.8%)、CV-A6が7件(17.1%)、CV-A10及びアデノウイルス2型が各2件(4.9%)、CV-A14及びヒトパレコウイルス1型が各1件(2.4%)です。平成12年度(31件中2件)以来4年ぶりにCV-A6が7件、手足口病患者から検出されました。患者情報ではピーク時の定点あたりの患者報告数が1.0と、例年の半数以下でした。平成13年度からCV-A16の流行が続いてCV-A16に関しては感受性者が減っていること、この時期にEV-71が流行しなかったために患者数も少なかったものと思われます。今年度は下半期に寄せられた34名分の検体中17名(50%)からEV-71が分離されており、平成18年夏の本ウイルスの流行が心配されます。


○ ヘルパンギーナ

検査を実施した患者84名中51名(60.7%)からウイルスが検出されています。その内訳はコクサッキーウイルスA10型(CV-A10)が31件(60.8%=31/51)、CV-A6が15件(29.4%)、ポリオウイルス3型、CV-A4、CV-A5、CV-B3及び単純ヘルペスウイルス1型が各1件(2.0%)でした。CV-A10は平成4年度に16件中15件(93.8%)と多く検出されて以来大きな流行はなく、過去5年は毎年検出されてはいるものの1~3件と少数でした。CV-A6は平成15年度にヘルパンギーナ患者から検出されたエンテロウイルスの51.5%(17/33)を占めていましたが、昨年度は検出されませんでした。今年度はこの2種類のウイルスの流行が重なったことから、定点あたりの患者報告数が倍増したものと思われます。


○ 咽頭結膜熱

検査を実施した患者9名中6名(66.7%)からウイルスが検出されました。その内訳はアデノウイルス3型(Ad-3)が4件(66.7%=4/6)、エコーウイルス3型及びAd-5が各1件(16.6%)です。


○ 流行性角結膜炎

検査を実施した患者58名中34名(58.6%)からウイルスが検出されています。その内訳は、アデノウイルス3型(Ad-3)が20件(58.8%=20/34)、Ad-8が8件(23.5%)、Ad-4が4件(11.8%)、及びAd-37が2件(5.9%)でした。Ad-3は20件中18件が平成18年2月と3月に検出されました。


○ 無菌性髄膜炎

検査を実施した患者38名中7名(18.4%)の髄液や糞便から8件のウイルスが検出されています。その内訳は、コクサッキーウイルスB3型(CV-B3)が2件(25.0%=2/8)、CV-A16、エンテロウイルス71型、CV-A9、CV-B4、CV-B5およびエコーウイルス30型が各1件(12.5%)です。エンテロウイルス71型とCV-A9は同じ患者から分離されました。エコーウイルス30型は1件のみが検出されただけでしたが、過去には大きな流行を繰り返しており、本県では平成10年度に分離ウイルスの75.1%(145/193)を占めて以来6年間流行がありませんので注意が必要です。平成17年度は大きく流行したエンテロウイルスはありませんでした。


○ 急性脳炎

疑い例を含む16名の患者検体を調べたところ1名からコクサッキーウイルスA6型(CV-A6)が、1名からアデノウイルス5型が検出されました。CV-A6はヘルパンギーナ患者を中心に検出されますが、平成12年度にも脳炎疑いの患者1名から検出されています。


○ インフルエンザ様疾患

平成16/17年シーズン末(平成17年4月~7月)に検査を実施した患者21名中16名(76.2%)からウイルスが分離されました。その内訳は、A香港型インフルエンザウイルス(Flu.A(H3))が15件(93.8%=15/16)、B型が1件でした。なお、Flu.A(H3)の分離時期は4月が9件、5月が5件、7月が1件でした。7月の患者はオーストラリアからの帰国者でした。Flu.Bは4月に1件分離されました。

平成17/18年シーズンは、患者254名中197名(77.6%)からウイルスが分離されました。その内訳はFlu.A(H3)が108例(54.8%)、Aソ連型(Flu.A(H1))が80例(40.6%)、Flu.Bが7例(3.6%)、他2例はアデノウイルス2型、5型でした。11月と12月にはFlu.A(H1)が多く分離されましたが、患者発生のピークを迎えた1月ではFlu.A(H3)が多く分離されました。その後2月と3月は両ウイルスがほぼ同数分離されました。なお、平成18年度に入ってもFlu.Bが分離されています。



表2   平成17年度疾患別ウイルス検出状況
(平成18年5月31日現在)
 












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患者数 325(246) 58(34) 84(2) 9 58(43) 38(16) 16(8) 275(254)
PV-1 2(2) - - - - - - -
PV-2 2(2) - - - - - - -
PV-3 2(1) - 1 - - - - -
CV-A4 - - 1 - - - - -
CV-A5 - - 1 - - - - -
CV-A6 - 7 15 - - - 1 -
CV-A10 - 2 31 - - - - -
CV-A14 - 1 - - - - - -
CV-A16 - 11(5) - - - 1 - -
EV-71 - 17(17) - - - 1(1) - -
CV-A9 3(3) - - - - 1(1) - -
CV-B2 1(1) - - - - - - -
CV-B3 1(1) - 1(1) - - 2 - -
CV-B4 - - - - - 1(1) - -
CV-B5 - - - - - 1(1) - -
E-3 1 - - 1 - - - -
E-7 1 - - - - - - -
E-30 - - - - - 1 - -
HPeV-1 7(2) 1 - - - - - -
Flu.A(H1) - - - - - - - 80(80)
Flu.A(H3) - - - - - - - 123(108)
Flu.B - - - - - - - 8(7)
Reo 2 1(1) - - - - - - -
Rota A 4 - - - - - - -
Rota A-G1 36(33) - - - - - - -
Rota A-G2 1(1) - - - - - - -
Rota A-G3 5(2) - - - - - - -
NV-G2 60(55) - - - - - - -
Ad-1 2(1) - - - - - - -
Ad-2 11(9) 2(1) - - - - - 1(1)
Ad-3 2 - - 4 20(18) - - -
Ad-4 - - - - 4(3) - - -
Ad-5 - - - 1 - - 1(1) 1(1)
Ad-8 - - - - 8(2) - - -
Ad-31 2(2) - - - - - - -
Ad-37 - - - - 2 - - -
Ad-41 10(8) - - - - - - -
HSV-1 - - 1 - - - - -
陰性 184(132) 17(11) 33(1) 3 24(20) 31(13) 14(7) 61(56)
注:( )内に10月以降の患者数を再掲しました。
PV:ポリオウイルス
CV:コクサッキーウイルス
E:エコーウイルス
EV-71:エンテロウイルス71型
HPeV:ヒトパレコウイルス
Flu.A(H1):Aソ連型インフルエンザウイルス
Flu.A(H3):A香港型インフルエンザウイルス
Flu.B:B型インフルエンザウイルス
Reo 2:レオウイルス2型 Rota A:A群ロタウイルス(遺伝子型不明)
NV-G2:ノロウイルス(遺伝子型G2)
Ad:アデノウイルス
HSV:単純ヘルペスウイルス



平成16年度のおもな疾患別ウイルス検査状況(表3)


 愛知県では昭和51年以降、感染症(当時は伝染病)発生動向調査の一環としてエンテロウイルス等の検出検査を当愛知県衛生研究所で実施してきています。 平成16年度は、名古屋市を除く県内16保健所管内の27医療機関から寄せられた患者787名からの869検体の検査を実施しました。以下に、疾患別のウイルス検出状況と簡単な概要を記載します。
 なお、患者発生動向についてはグラフ(PDF版Excel版)をご参照ください。

○ 感染性胃腸炎(乳児嘔吐下痢症を含む)

[愛知県患者発生情報による定点医療機関からの患者発生報告数(平成16年度=46,277、15年度=46,431)]

検体が寄せられた患者245名中135名(55.1%)からウイルスが検出されています。その内訳はノロウイルス(NV)が62件(62/135=45.9%)A群ロタウイルス(Rota A)が26件(19.3%)、アデノウイルス41型(Ad41)が23件(17.0%)、Ad 3が8件、Ad2およびヒトパレコウイルス1型(HPeV-1)が7件、エコーウイルス6型(E-6)が3件、コクサッキーウイルスB1型(CV-B1)およびAd1が各2件、ポリオウイルス2型(PV-2)、E-3、HPeV-3、NV-G1、サポウイルス、Ad6およびムンプスウイルスが各1件でした。NVは全体の88.7%(55/62)が晩秋から冬の時期に(平成16年11月~平成17年2月)、Rota Aはその全てが冬から春にかけて(平成16年2月~4月、同年12月から17年3月)に検出されました。これに対し、Ad41はその82.6%(19/23)が夏から冬にかけて(平成16年8月~17年1月)が検出されています。

PV-2は遺伝子検査の結果ワクチン由来であることが確認されており、また、同患者からは同時にNV-G2も検出されました。


○ 手足口病

[定点医療機関からの患者発生報告数(平成16年度=2,715)は過去6年間で最少;同15年度(10.964)は過去最多でした]

検体が寄せられた患者66名中49名(74.2%)からウイルスが検出されています。その内訳は、コクサッキーウイルスA16型(CV-A16)が39件(39/49=79.6%)、CV-B1型、およびエンテロウイルス71型(EV-71)が各2件(4.1%)、CV-A4、CV-A10、CV-A14、およびヒトパレコウイルス3型が各1件検出されています。CV-A16が8割を占め、昨年度多く分離されたEV-71型(20/40件)は2件しか分離されていません。CV-A16は5月から12月まで毎月検出されました。


【参考】過去の検出結果:平成15年度、検出数40件、CV-A16=18件(45%)、EV-71=20件(50%)。平成14年度、検出数31件、CV-A16=27件(87%)、EV-71=0件。平成13年度、検出数38件、CV-A16=35件(95%)、EV-71=0件。平成12年度、検出数31件、CV-A16=1件(3%)、EV-71=24件(77%)。

○ ヘルパンギーナ

[定点医療機関からの患者発生報告数(平成16年度=7,206)は例年並み(同15年度=6,602)]

検査を実施した患者78名中48名(61.5%)からウイルスが検出されています。その内訳はコクサッキーウイルスA4型(CV-A4)が34件(32/48=70.8%)と大多数を占め、その他としてはCV-A2が3件(6.3%)、CV-B3が2件(4.2%)、CV-A10、CV-A12、CV-A16、CV-B4、CV-B5、およびエコーウイルス6型が各1件でした。今年度検出数の70%を占めたCV-A4は平成14年度にはヘルパンギーナ患者から検出されたウイルスの81%(25/31)を占めていましたが、昨年度は1件検出されただけでした。CV-A4は4月から7月に検出されました。


【参考】過去の検出結果:平成15年度、検出数28件、CV-A6=14件(50%)、CV-A12=4件(14%)、CV-A2、CV-A16=各2件(7%)、CV-A4、CV-A5、CV-A10=各1件(4%)。平成14年度、検出数31件、CV-A4=25件(81%)、CV-A5、CV-A10=各2件(各6%)、CV-A6=1件(3%)。平成13年度、検出数43件、CV-A8=12件(28%)、CV-A2=11件(26%)、CV-A4=5件(12%)、CV-A6=0件。平成12年度、検出数44件、CV-A6=17件(39%)、CV-A4=11件(25%)、CV-A10=2件(5%)。

○ 咽頭結膜熱

[定点医療機関からの患者発生報告数(平成16年度=2,848)は過去6年間で最多;同15年度(2,360)]

検査を実施した患者32名中19名(59.4%)からウイルスが検出されました。その内訳はアデノウイルス3型(Ad3)が14件(14/19=73.7%)、コクサッキーウイルスB3型、B4型、B型インフルエンザウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス2型、およびAd2、が各1件(5.3%)検出されました。Ad3は平成16年5月から平成17年1月まで毎月検出されました。


○ 流行性角結膜炎

[定点医療機関からの患者発生報告数は(平成16年度=1,412)例年並み(同15年度=1,851)]

検査を実施した患者50名中20名(40%)からウイルスが検出されました。その内訳は、アデノウイルス8型(Ad8)が11件(11/20=55%)、Ad3が6件(30%)、Ad37が3件(15%)でした。Ad8は5月から8月と12月に検出されました。


○ 無菌性髄膜炎

[定点医療機関からの患者発生報告数(平成16年度=20、15年度=18)は検査数を下回っています]

検査を実施した患者93名中45名(48.4%)からウイルスが検出さました。その内訳はエコーウイルス6型(E-6)が22件(22/45=48.9%)、コクサッキーウイルスB1型(CV-B1)が13件(28.9%)、ムンプスウイルスが3件(6.7%)、CV-B5が2件、CV-A14、CV-A16、CV-B3、およびCV-B4が各1件です。E-6は前年度は3名(3/26=12%)からのみの分離でしたが、平成16年度には22名から分離され、分離ウイルスの半数を占めていました。これらの内19件は尾張地区の患者で、残り3件は三河地区の患者から分離されました。CV-B1は平成9年度に3名(3/35=8.6%)から分離されて以来ですが、平成16年度は尾張、三河両地区の患者から分離されています。E-6およびCV-B1は6月から8月をピークに4月から10月まで分離されました。


○ 急性脳炎

[定点医療機関からの患者発生報告数(平成16年度=6、15年度=1)]

疑い例を含む8名の患者を調べ1名の糞便からレオウイルス2型が分離されました(髄液は陰性)。しかしながら、本ウイルスは人から分離されることが知られていますが、病原因子となることは稀であるとされています。


○ インフルエンザ

[平成16/17年シーズンの患者発生報告は例年より遅れましたが報告数は(平成16年度=77,430、15年度=38,198)と過去6年間では最多でした]

前シーズン流行末期にあたる平成16年3月から5月に発症した患者7名中5名(71%)からはB型インフルエンザウイルス(Flu.B)が検出されました。平成16/17年の流行シーズンとしては、平成16年11月以降、患者208名中158名(76.0%)からウイルスが検出されました。その内訳はFlu.Bが93件(93/158=58.9%)、A香港型インフルエンザウイルス(Flu.A(H3))が59件(37.3%)、アデノウイルス3型(Ad3)が3件(1.9%)、Ad2が2件(1.3%)、Aソ連型インフルエンザウイルス(Flu.A(H1))が1件(0.6%)です。例年と異なりFlu.Bが最も多く分離され、検出時期も平成16年11月から平成17年3月まで続きました。Flu.A(H3)は12月から分離され始めFlu.Bよりも分離数が少なかったのですが、平成17年3月には22名中14名(63.6%)から分離され、Flu.Bの分離数を上回りました。平成14年度以来発生していないFlu.A(H1)が1名から分離されました。感染経験のない人が増加していると思われますので、一旦広まれば大きな流行になる危険性があります。




表3   平成16年度疾患別ウイルス検出状況
 












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患者数 245 66 78 32 50 93 8 215
PV-2 1 - - - - - - -
CV-A2 - - 4 - - - - -
CV-A4 - 1 34 - - - - -
CV-A5 - 1 - - - - - -
CV-A10 - 1 3 - - - - -
CV-A12 - - 1 - - - - -
CV-A14 - 1 - - - 1 - -
CV-A16 - 39 1 - - 1 - -
CV-B1 2 2 - - - 13 - -
CV-B3 - - 2 1 - 2 - -
CV-B4 - - 1 1 - 1 - -
CV-B5 - - 1 - - 2 - -
E 3 1 - - - - - - -
E 6 3 - 1 - - 22 - -
EV-71 - 2 - - - - - -
HPeV-1 7 - - - - - - -
HPeV-3 1 1 - - - - - -
Flu.A(H1) - - - - - - - 1
Flu.A(H3) - - - - - - - 59
Flu.B - - - 1 - - - 98
Reo 2 - - - - - - 1 -
Rota A 28 - - - - - - -
NV-G1 1 - - - - - - -
NV-G2 61 - - - - - - -
SV 1 - - - - - - -
Ad 1 2 - - - - - - -
Ad 2 7 - - 2 - - - 2
Ad 3 8 1 - 14 6 - - 3
Ad 6 1 - - - - - - -
Ad 8 - - - - 11 - - -
Ad37 - - - - 3 - - -
Ad41 23 - - - - - - -
Mumpus 1 - - - - 3 - -
HPIV-2 - - - 1 - - - -
陰性 110 17 30 13 30 48 7 52
PV-2:ポリオウイルス2型
CV-A:コクサッキーウイルスA型
CV-B:コクサッキーウイルスB型
E:エコーウイルス
EV-71:エンテロ71型ウイルス
HPeV:ヒトパレコウイルス
Flu.A(H1) :Aソ連型インフルエンザウイルス
Flu.A(H3) :A香港型インフルエンザウイルス
Flu.B :B型インフルエンザウイルス
Reo 2:レオウイルス2型
Rota A:A群ロタウイルス
NV:ノロウイルス
SV:サポウイルス
Ad:アデノウイルス
Mumpus:流行性耳下腺炎(ムンプス)ウイルス
HPIV:ヒトパラインフルエンザウイルス