委員会情報
委員会審査状況
福祉医療委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年3月13日(水) 午後1時~
会 場 第1委員会室
出 席 者
神谷和利、小木曽史人 正副委員長
神戸洋美、須崎かん、石井芳樹、政木りか、中村貴文、浦野隼次、
森井元志、細井真司、江原史朗、木藤俊郎、末永けい 各委員
福祉局長、福祉部長、介護推進監、子ども家庭推進監、
保健医療局長、同技監、健康医務部長、生活衛生部長兼生活衛生課長、
感染症対策局長、同技監、感染症対策調整監兼感染症対策課長、
病院事業庁長、病院事業次長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第 1 号 令和6年度愛知県一般会計予算
第1条(歳入歳出予算)の内
歳 出
第4款 福祉医療費
第3条(債務負担行為)の内
元はるひ台学園撤去工事
元愛知県春日台職業訓練校・元養楽荘撤去工事実施設計
第 4 号 令和6年度愛知県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算
第 5 号 令和6年度愛知県国民健康保険事業特別会計予算
第 13 号 令和6年度愛知県県立病院事業会計予算
第 31 号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正について
第 33 号 愛知県行政機関設置条例の一部改正について
第 34 号 婦人保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正について
第 35 号 指定通所支援の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例及び愛知県医療療育センター条例の一部改正について
第 36 号 養護老人ホーム等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正について
第 37 号 指定居宅サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部改正について
第 38 号 愛知県看護修学資金貸与条例の一部改正について
第 39 号 愛知県看護師養成施設条例の一部改正について
第 40 号 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十八条の二第三項に規定する任意入院者の症状等の報告に関する条例の一部改正について
第 41 号 後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部改正について
第 42 号 薬物の濫用の防止に関する条例の一部改正について
第 55 号 愛知県立愛知病院条例の廃止について
第 56 号 あいち医療応援基金条例の廃止について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第1号、第4号、第5号、第31号、第33号から第42号まで、第55号及び第56号
賛成多数をもって原案を可決すべきものと決した議案
第13号
○ 請 願
第 42 号 「小中高生の新型コロナワクチン接種後体調不良者への合理的配慮」について(医療関係)
第 44 号 「愛知県内における死亡者数激増の原因追及とワクチンとの関係調査」について
第 45 号 「新型コロナワクチン接種記録の保存期間延長」について
第 46 号 「コロナワクチンのロット番号ごとの被害調査」について
第 47 号 「予防接種健康被害救済制度と副反応疑い報告制度との突合調査、案内」について
第 50 号 「予防接種健康被害救済制度周知」について
第 51 号 「『新型コロナワクチン接種後の国の健康被害救済申請及び県の副反応等見舞金の申請状況について』のマスコミ向け文書の県民への公表」について
第 52 号 「コロナワクチン接種に注意が必要な人に関する周知」について
(結 果)
賛成少数をもって不採択とすべきものと決した請願
第42号、第44号から第47号まで、及び第50号から第52号まで
○ 閉会中継続調査申出案件
1 社会福祉及び社会保障制度の充実について
2 少子化対策及び超高齢社会への対応について
3 保健衛生の推進について
4 保健所及び県立病院の運営について
5 福祉局、保健医療局及び病院事業庁の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(2件 請願第46号及び第47号関係)
3 議案審査(17件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 請願審査(8件)
5 委員長報告の決定
6 一般質問
7 休 憩(午後2時51分)
8 再 開(午後3時5分)
9 閉会中継続調査申出案件の決定
10 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
予算に関する説明書(1)の142ページの児童相談センター費について、児童相談センターの職員数や予算が増えていると聞いたが、児童福祉法が制定され、児童相談所が設置されることとなった経緯、歴史的背景をどのように認識しているのか。
【理事者】
児童相談所の児童福祉法上の経緯について、かつての児童福祉法の概要によると、戦後の戦災孤児、浮浪児等の対応のために設置されたと聞いている。
【委員】
そうであれば、既に立法事実が消失していると思うが、どう考えるのか。
【理事者】
当初の児童相談所の設置目的は、戦後の混乱期を乗り切るためであったと考えているが、現在は、児童福祉法や児童虐待防止法等により、児童相談所の役割が追加されており、支援が必要な家庭もしくは保護を必要とする児童といった人々に対する支援へ変遷していると考えている。
【委員】
当初の目的ではなく、社会情勢が変わるにつれ、役割が追加される形で拡大解釈され、現在に至っていると思う。当初の立法事実からすると、児童相談所の在り方は見直されるべきであり、そのように考える学者もいる。
児童虐待やドメスティック・バイオレンス(DV)は、新しい法律で対応しているが、年々拡大解釈されており、地方議員や国会議員に対しても、児童相談所の介入により家族が長期にわたって分断しているといった個別の相談がある。
児童相談所は、かなり強い権限を持っており、例えば、身の危険がある状態に関しては、警察が刑法上の問題により介入すべきだが、児童福祉法や児童虐待防止法等の解釈により介入するといった問題がある。
児童相談所については、様々な問題が発生しているため、今後の課題として指摘する。
次に、予算に関する説明書(1)の157ページ、新型コロナウイルス感染症対策費(イ)検査体制確保事業費について、愛知県衛生研究所におけるゲノム解析に必要な検査体制を確保するとのことであるが、新型コロナウイルスの検査において分離・同定ができるかを含めて、どういった検査なのか伺う。
【理事者】
愛知県衛生研究所で行っている検査については、2020年1月に当初の起源株として発生したものから、時がたつにつれて変容していくため、そういった変異株がどのようなものか把握するための検査である。
【委員】
その検査では、ウイルスを分離・同定することはできるのか。
【理事者】
2020年1月に国立感染症研究所においてウイルスの分離に成功し、国内での病原体と確認された。その後、東京都健康安全研究センターや広島市衛生研究所等で分離・同定している。
【委員】
愛知県衛生研究所でウイルスの分離・同定はできるのか。
【理事者】
本検査は、あくまでも変異株の動向を検査するゲノム解析である。
【委員】
分離・同定はできないと理解したが、国立感染症研究所の脇田隆字所長が、新型コロナウイルスだけ取り出したものではないと記者会見で発言しており、新型コロナウイルスを分離できているかどうかは分からない。
新型コロナウイルス感染症対策があやふやな根拠のまま進められており、今回の愛知県衛生研究所での検査に関しても、どれほど意味があるのか。
次に、愛知県県立病院事業会計予算について、一般会計では、新型コロナウイルス感染症対策に関する予算が大幅に削られているが、県立病院事業会計では、新型コロナウイルス感染症対策に関する予算はどのようになっているのか。
【理事者】
院内感染対策については、診療上の必要な対策であるため、個別の積算ではなく、例えば、マスクなどの資材は、治療に必要な材料などと合わせ、入院・外来収益に対する比率などにより積算し、薬品、その他診療材料費に計上している。
【委員】
マスク着用に関して、コロナ禍前は、来院者や入院者に対してマスク着用の強要はしていなかったと思うが、現在の状態はどうなのか、今後どうしていくのか、マスク着用の有無に関しての基準を院内で議論しているのか。
【理事者】
愛知県がんセンターでは、がんの治療のため、免疫力の低下した患者が多いことから、マスク着用をお願いしているが、新型コロナウイルス感染症の感染状況の先行きが不透明であることから、当面、現状の対応を継続する。
【委員】
愛知県がんセンターにおいて、治療により一時的に患者の免疫力が下がるのは、コロナ禍前から当たり前だったと思うが、そのときはマスクをしていなかった。一般会計予算では、新型コロナウイルス感染症対策の予算が大幅に削られている中で、医療現場だけが過剰な新型コロナウイルス感染症対策をいまだに続けており、政策の矛盾を感じる。
最近はメディアでも、新型コロナウイルス感染症は、当初からただの風邪だったと報道されているが、こういったことを続けるのは患者にとって負担であるし、現場の医療関係者も振り回されてしまうため、科学的根拠に基づいた医療を提供すべきである。
そのような病院運営をしている以上、愛知県県立病院事業会計予算には賛成できない。
【委員】
第39号議案愛知県看護師養成施設条例の一部改正についてであるが、愛知看護専門学校の廃止を決定した経緯を伺う。
【理事者】
近年の少子化や看護系の大学の増加により受験生が年々減少していること、合格者の入学辞退者が多いこと、また、主な実習病院であった愛知病院の専門病院化や、看護系大学の増加による実習病院の確保の困難、施設、設備の老朽化などの理由から学校運営が厳しい状況となり、2022年度入学生から、募集を停止することになったため廃止となった。
【委員】
廃止になると、建物や広大な敷地が残されるが、廃止後の愛知看護専門学校の跡地は、どのように利用される予定なのか。
【理事者】
愛知看護専門学校は変形地のため、隣接する愛知病院の敷地を通行する必要があり、廃止を予定している愛知病院の跡地等との一体的な利活用を含めて、病院事業庁と調整していきたい。
【委員】
最近では、新型コロナウイルスの感染者数は少なくなってきたが、令和2年12月には、豊川市民病院で院内クラスターが発生し、現場は大変な状況であった。
その時期に身内が入院しており、本人やその家族の不安を和らげてくれるなど、看護師に非常にお世話になり、不可欠な存在だと痛感した。
そこで、今後どのように看護師の確保を進めていくのか伺う。
【理事者】
少子・高齢化の進行に伴い、現役世代が急減する中で、多様化する看護ニーズの増大が見込まれており、看護師の確保対策を推進することは非常に重要である。
本県においても、愛知県立総合看護専門学校をはじめとする各看護師養成所等にて、引き続き、資質の高い看護職員の養成に努めるほか、看護師の定着促進のための勤務環境の整備や、就業していない看護師の復職支援などを総合的に推進し、より一層の看護師確保対策に努めていく。
【委員】
歳出第4款福祉医療費第7項生活衛生費第4目獣医務費、動物愛護センター管理運営事業費のうち、譲渡推進施設検討調査費について伺う。
これは、愛知県動物愛護センターに収容された犬や猫の譲渡事業に関する調査であるが、現在、センターはどのような状況にあるのか。
【理事者】
愛知県動物愛護センターについては、動物愛護管理行政の拠点施設として、昭和62年に豊田市内に本所を、その後、一宮市、半田市、豊橋市に3支所を設け、計4施設で県内の業務を行っている。
近年、世の中の動物愛護思想の高まりとともに、動物を殺処分することよりも、一頭でも多くの動物を新たな飼い主に譲渡することを目指す施策が求められており、本県においても譲渡を積極的に進めていきたい。
収容した犬猫を一般家庭で飼ってもらうためには、健康状態の把握や性格診断、問題行動の矯正等、長い時間をかけて管理を行う必要がある。しかし、センターの施設は動物を長期間飼養管理できる施設ではなく、業務の内容と施設の構造が合致していないことが現在の課題である。
【委員】
次に、本調査の目的と今後の展望を伺う。
【理事者】
本県の動物愛護行政の現状を分析し、譲渡事業の推進につながるセンターの在り方を検討するため、先進自治体の動物愛護行政実施状況等の調査分析を行うことが目的である。
本調査の結果を基にセンターの譲渡事業がより一層推進されるよう、今後の方針について、より具体的な検討を行っていきたい。
【委員】
動物を飼っている人は、動物をペットとしてではなく、家族の一員だと思い、一緒に生活をしていると思うが、動物を飼っている人も飼っていない人も、ペットと共生できる優しい社会になることを望む。
愛知県動物愛護センターは、これまで県民のために野犬や放浪動物の収容など、動物に関する問題解決に取り組んできたと理解している。その成果もあり、殺処分数が大幅に減少していることは喜ばしいことである一方、その役割が大きく変わった今、動物を殺すための施設から生かすための施設への転換を早急に図ることを要望する。
今後、愛知県動物愛護センターがより一層、動物愛護を推進される拠点施設に生まれ変わることを期待する。
《請願関係》
【委員】
新型コロナワクチン接種記録の保存期間延長について、東京都小平市が30年に、千葉県我孫子市が10年に保存期間を延長した。こういった自治体が出てきているのはどのような理由だと考えるのか。
【理事者】
当該自治体に確認してないため分からない。
【委員】
本来であれば、5年間程度の保存期間だが、先日、名古屋市立大学薬学部でワクチン接種後の体調不良が続いている全国患者会のメンバーが学生に対して被害の状況を話した。名古屋市立大学の教授が、今回は少なくとも薬害とされるだろうと発言している。
接種記録については、裁判の証拠書類等で使用されることが考えられる。子宮頸がんワクチンの訴訟も現在行われているが、7年目、8年目でようやく折り返し地点に来ている状態であり、医療訴訟は多くの時間がかかる。昨日、優生保護法で強制不妊手術を受けさせられた人が勝訴し、それはよかったと思っているが、この裁判も結果が出るまで多くの時間がかかっている。
被害者にしっかり寄り添うという意味でも、保存期間を延長することは、行政としての最低限の責務だと思う。仮に、新型コロナワクチンが安全で有効だったと言うのであれば、それを堂々と後世に残せばいいわけであるので実現してほしい。また、県内市町村に対して保存期間が延長されるように働きかけてほしい。
次に、コロナワクチンのロット番号ごとの被害調査について、予防接種健康被害救済制度は患者が申請、副反応疑い報告は医療機関が国に対して報告をするものだが、県内のそれぞれの累計件数を伺う。
【理事者】
予防接種後副反応疑い報告は、予防接種法に基づき、副反応が疑われる症状を被接種者が発症していることを医師が把握した場合に、国への報告を医師に義務づける制度である。
予防接種健康被害救済制度は、予防接種法に基づく制度であるが、予防接種を受けたことにより、健康被害が生じたことを被接種者からの申請を受けて、厚生労働大臣が認定した場合に、医療費、医療手当等が給付される。
本年2月末時点の累計について、予防接種健康被害救済制度は595件、副反応疑い報告は2,315件である。
【委員】
両者の件数には開きがあるため、副反応疑い報告は報告しているが、予防接種健康被害救済制度は申請していないといったケースがあると思う。この二つの制度に関しては、もっと広く周知をしていく必要がある。
次に、「副反応疑い報告で重いと報告された人に、救済制度があることを案内するよう市町村に依頼すること」とあるが、まず、副反応疑い報告のスキームを伺う。
【理事者】
病院もしくは診療所の開設者または医師が予防接種法に基づく予防接種等による副反応と疑われる症状を知った場合に、予防接種法の規定により独立行政法人医薬品医療機器総合機構を通じて、厚生労働省へ副反応疑い報告をする流れである。
副反応疑い報告があった場合は、国から県を通じて被接種者の住民票所在市町村にも情報提供をしている。厚生労働省では、副反応疑い報告を受けて、厚生科学審議会において予防接種の安全性等についての調査、審議をしており、その審議結果は厚生労働省のウェブページで公開している。
【委員】
国から市町村への情報提供は、県を通じて行われており、副反応疑い報告で症状が重いと報告された人に対しては、市町村から救済制度があることを案内するほうが丁寧な対応であり、県が直接案内してもよいと思う。
《一般質問》
【委員】
新型コロナウイルス感染症は4年あまりにわたり各方面に影響を及ぼし、この間、希望者が無料で接種できる特例臨時接種として、新型コロナワクチン接種が行われてきた。
令和5年6月定例議会の本委員会において、現在行われている生後6か月以上の全ての人を対象とした令和5年秋開始接種についても、市町村など関係団体と連携して取り組むよう要望した。新型コロナワクチンの市町村への配分調整、定期的な県と市町村との連絡協議会の開催など、接種を希望する人が速やかに接種できる体制の確保に努めてもらったと認識している。
この特例接種は今月末をもって終了となるが、来年度以降は接種対象者を高齢者などに限定した定期接種となった場合、接種費用は被接種者の自己負担が発生する。昨年12月に標準的な接種費用が国から示されたが、現在、定期接種として実施しているインフルエンザの接種費用と比較して高額となり、被接種者の費用負担が大きくなることが懸念される。
また、新型コロナワクチンには、新型コロナウイルス感染症を発症した場合の重症化を予防する効果がある一方で、予防接種後に副反応を発症する人もいることから、県ではワクチン関連の相談窓口の設置、県独自に新型コロナワクチン副反応等見舞金を創設するなど、ワクチン接種後の副反応で困っている人々に対する救済にも取り組んできた。
特例臨時接種は今月末で終了するものの、予防接種後に副反応を発症する人が4月以降も現れることは当然考えられ、定期接種などで副反応を発症する人も想定されるため、こういった人へのフォローは引き続き必要である。
来年度以降、予防接種後に副反応を発症した人への対応には、どのように取り組むのか。
【理事者】
来年度以降に副反応を発症した人への対応について、新型コロナワクチンの特例臨時接種は今月末をもって終了し、来年度からは秋以降、年1回の定期接種となるが、特例臨時接種終了後も接種後の副反応を疑う症状を示した人への対応を継続していく必要があるため、来年度も、かかりつけ医など身近な医療機関で対応が困難な副反応の症状の人に対して、接種を受けた人が専門的な医療機関を円滑に受診できる体制を引き続き確保するとともに、看護師による電話相談窓口も継続して設置し、ワクチンの副反応等の対応に取り組んでいく。
【委員】
次に、特例臨時接種が終了し、定期接種に移行しても、市町村などの関係団体との連携は引き続き重要だと思う。また、被接種者の自己負担が発生し、インフルエンザと比較して費用負担が大きくなるとも言われている。
定期接種となる来年度以降、市町村などとの連携について、どのように考えているのか、また、市町村が行う接種費用に対して、財政支援が図られるよう国へ働きかけていると思うが、その状況はどうなっているのか。
【理事者】
来年度以降も予防接種健康被害救済制度に係る手続、秋以降に開始が予定される定期接種をはじめとした新型コロナワクチン接種に関する国から発信される情報の共有など、市町村と国のパイプ役としての県の役割は、引き続き重要であると考えている。そのため、これまでの新型コロナワクチン接種事業を通じて構築した市町村との連携体制を維持し、引き続き、ワクチン接種の実施主体である市町村のサポートに努めていきたい。
また、市町村が実施する定期接種の費用は、被接種者の経済的負担の軽減のため、市町村の負担が大きくならないよう、これまで国に対して財政支援を要請してきた。来年度も引き続き、国へ強く働きかけていく。
【委員】
大規模災害時における要配慮者のうち透析患者への対応について伺う。
令和6年能登半島地震や東日本大震災を振り返ると、激甚災害において、要配慮者、例えば、要介護者や妊産婦、透析患者、重症心身障害児者など、日頃から医療的ケアを必要とする人々への円滑な避難が課題として挙げられている。
そうした中、電気と水、そして専用機材を必要とする透析患者は、治療の間隔を空けることが難しいという時間的制約のある中で、早期に専門病院の治療につなぐ必要があると考えている。
2020年の日本透析医学会統計調査報告書によると、2020年時点で、愛知県においては1万9,077人が、石川県においては2,816人が透析治療を行っていた。
日本災害時透析医療協働支援チームの発表によると、令和6年能登半島地震では、360人の透析患者が、かかりつけの透析病院で治療が受けられなかったとのことであるが、先日、その全員が透析治療を受けられるようになったと聞いた。
しかし、今回の能登半島地震では、通信状況が悪く、現地の被災状況の把握に時間がかかり、断水、停電、道路の寸断による状況への対処にも時間がかかったと聞き、広域災害の対応の難しさを改めて認識した。
本県でも半島や離島、山間地域を抱えており、都市部においては液状化などが心配されており、震災が起きる前提で備えなければならない。
震災発生時には、災害本部に透析関係の災害時リエゾンが置かれるとのことであるが、そのリエゾンが状況把握のベースとする諸情報の整備状況について、県としてどのように取り組んでいるのか。
【理事者】
愛知県内における透析医療機関などに関する情報の把握についてだが、県内を地区ごとにグループ分けした透析医療機関の連絡網を愛知県透析医会が構築しており、災害発生時においては、医療機関の被災状況、稼働状況、患者の受入れ可否情報などを集約し、情報共有が図られている。
県として、愛知県透析医会と連携し、情報の把握に努めるとともに、必要な支援対応を適切に行っていく。
【委員】
愛知県透析医会と連携しているとのことであるが、大規模災害により通信や電力がダウンしたときに病院のネットワークが機能するのかについても、令和6年能登半島地震を参考に検討してほしい。
次に、災害救助にあたって、限られたリソースを最大限活用するためには、関係団体と調整の上、事前に患者の優先順位をつけておく必要があるが、実際に災害が起きたら、思い描いたとおりにいかないと思う。救急搬送の急患と時間的制約のある透析患者の移動搬送について、どう折り合いをつけていくのか。
【理事者】
災害発生時における透析患者の搬送については、県が設置する災害対策本部の下に、保健医療調整本部を立ち上げ、災害医療コーディネーターや透析リエゾンと呼ばれる災害時の透析医療に精通した医師、災害派遣医療チームなどの専門家を中心に調整を行っていくこととなる。
透析患者が適切な医療を受けられる地域への搬送を行うことが大変重要となるが、その優先順位については、患者の容態、各医療機関の稼働状況、搬送先と搬送元の距離など、刻々と変化する様々な状況に応じて判断していく。
災害発生時には、限られた医療資源を有効に活用し、県民の命と健康を守れるよう、県として最大限の努力をしていく。
【委員】
圧死や焼死だけでなく、災害関連死を一人でも減らすためには、透析患者の広域搬送をどこまで広域にするのかといった、踏み込んだ議論が必要な時期がきていると思うので、関係団体との関係性をより深くしてもらうよう要望する。
【委員】
あいちアール・ブリュットの取組について、本県では、障害のある人の芸術文化活動を通じて、障害のある人の社会参加の促進と障害への理解を深める取組を進めている。こうした取組は、障害の有無を超えた交流が広がることで相互理解をもたらすとともに、多くの県民に心の豊かさや感動を与えるものである。
昨年10月21日に名古屋市東文化小劇場で開催された、あいちアール・ブリュット展10周年記念式典・公演に、私も福祉医療委員会委員として出席した。その隣の会場である名古屋市民ギャラリー矢田で開催された、あいちアール・ブリュット展10周年記念美術館にも足を運び、作品に触れ、個性豊かで情熱ある作品の数々に感銘を受け、一人でも多くの人に見てもらいたいと思った。障害のある人の作品を発表する機会を設けることも大切だが、多くの人に見てもらうことも重要である。
まず、あいちアール・ブリュットの中心的な取組である、あいちアール・ブリュット展について、2014年の初開催からの10年間で、約6,600点の作品の応募があったとのことだが、あいちアール・ブリュット展のこれまでの来場者は何人か、また、あいちアール・ブリュット展10周年記念美術館の来場者は何人か。
【理事者】
あいちアール・ブリュット展であるが、本県では、2014年10月の初開催以来、名古屋市内において、あいちアール・ブリュット展を例年開催している。これまで開催した10回のあいちアール・ブリュット展には、延べ1万8,572人が来場した。
次に、昨年10月に同じく名古屋市内で開催した作品展、あいちアール・ブリュット展10周年記念美術館には、6日間の開催で延べ674人が来場した。
【委員】
本県では、三河地域の人にも気軽に作品を見てもらえるよう、豊川市においてサテライト展を開催しており、今年度は、みよし市においてもサテライト展が開催された。
また、あいちアール・ブリュット展で優秀作品に選ばれた作品を展示する優秀作品特別展を例年開催している。
サテライト展及び優秀作品展へのこれまでの来場者はそれぞれ何人か。
【理事者】
サテライト展は、2019年度から豊川市において開催しており、これまで開催した5回のサテライト展には、延べ4,848人が来場した。また、今年度は、豊川市に加え、みよし市においてもサテライト展を開催しており、延べ678人が来場した。
優秀作品特別展は、あいちアール・ブリュット展を初開催した2014年から開催しているが、2019年度は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止としているので、昨年度までに8回開催しており、延べ9,149人が来場した。
【委員】
多くの人に作品を見てもらい、作品を通して障害のある人の才能に触れてもらったと言えるのではないか。障害のある人の作品が世に出て、多くの人の目に触れ、その才能が発見、発掘されることで、芸術家として活躍する道や、その才能を生かした仕事に就くなど、障害のある人が活躍する場が広がると思う。
豊川信用金庫では、障害のある人と契約し、作品を使って、グッズを作成している。グッズを作成することで、自分の作品が採用されたという自信が生まれ、今後の創作活動の励みになるのではないか。また、障害者アートを知らない人には、グッズを通してその存在を知るきっかけとなり、今以上に障害者アートが広がっていくと思う。
本県においても同様の取組をしていると聞いたが、これまでに何人の作品が採用されたのか、また、どれだけの企業が作品を採用し、何件のグッズが作成されたのか。
【理事者】
本県では、一般社団法人アティックアートと連携し、あいちアール・ブリュット展に出展された作品の中から、企業等のノベルティーグッズを作成する取組を2017年から始めている。
この取組では、これまでに123人の作品が、企業等が作成するノベルティーグッズの原画として採用されている。また、障害のある人の作品を原画に自社のノベルティーグッズを作成した企業数は24社となり、これまでに作成されたノベルティーグッズは280点である。
【委員】
多くの人の作品が原画に採用され、グッズとなり、多くの人の目に触れることで、広がりを見せている。あいちアール・ブリュットの取組は、芸術活動をしている障害のある人に夢や希望を与えるものであるため、作品展を契機に多くの障害のある人が活躍できるよう、今後もしっかりと取り組んでもらうよう要望する。
【委員】
アルツハイマー病の新薬であるレカネマブについて伺う。
現在、国内の認知症患者は600万人以上と推計され、前段階である軽度認知障害を含むと、1,000万人を超えると言われている。今後も高齢化に合わせ、認知症患者の大幅な増加が予想される。
本県においても、あいちオレンジタウン推進計画に基づいて、認知症施策を総合的、計画的に推進するよう、令和6年度予算案に1.9億円を計上している。
そうした中、昨年、アルツハイマー型認知症治療薬のレカネマブが日本で承認された。病気の原因と考えられる脳内の異常物質に直接働きかけて取り除く世界で初めての薬であり、病気の進行を遅らせる効果が期待されている。地元でも新薬に対する期待の声が多くある。
一方、昨年12月13日、レカネマブの薬価が1人当たり年間約298万円と発表され、高額であることが課題である。
公的医療保険が適用されるとのことだが、自己負担は幾らになるのか。また、県の補助があるのか伺う。
【理事者】
レカネマブについては、昨年12月に保険収載された新薬であり、国のガイドラインでは、2週間に1回、点滴により投与することになっている。
薬価は500ミリグラムで11万4,443円であり、体重により投与量が異なるが、例えば、体重50キログラムの人の場合、1回分の相当量が500ミリグラムとなるため、1か月で2回投与となると、倍の金額である22万8,886円となる。
自己負担については、年齢や所得に応じて負担割合が1割から3割までとなるが、例えば、1割負担であれば1か月当たり2万2,888円、2割負担であれば1か月当たり4万5,777円となる。
ただし、医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局で支払う医療費が1か月で上限を超えた場合、高額療養費制度により、例えば、70歳以上で年収が約370万円以下の人であれば、1か月当たりの自己負担額は1万8,000円となる。この場合、1か月の薬価は22万8,886円だが、自己負担額は1万8,000円となる。
今回、保険収載された特定の薬剤に対する県の補助は予定していないため、医療保険制度によって運用されるべきものと考えている。
【委員】
高額療養費制度があるものの、まだ高価であると思うので、県からの補助も検討してほしい。
また、高齢化に合わせて認知症患者の増加が見込まれる中、早期発見、早期対応が可能な体制づくりも必要だと考えている。あいちオレンジタウン推進計画に基づいて、愛知県が率先して認知症の人との共生社会実現に取り組むことを要望する。
次に、本年廃止となる現行の健康保険証に代わり、マイナンバーカードと健康保険証が一体となったマイナ保険証への移行について、政府はマイナ保険証へ移行するために、現行の健康保険証を今年12月2日に廃止することを盛り込んだ政令を閣議決定した。
一方、本年1月19日に行われた厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会の報告によると、マイナ保険証によるオンライン資格確認の利用率は8か月連続で低下しており、昨年12月は4.29パーセントとのことであった。中でも、利用を促進すべき国家公務員の利用率が全国平均を下回っている実態も報告されている。
さらに、先日のNHKの報道によると、本年1月の利用率は全国平均で4.6パーセントであり、都道府県別の利用率が初めて公表され、最も高かったのは鹿児島県の8.4パーセント、最も低かったのは沖縄県の2.3パーセントとのことであった。厚生労働省は、今後、都道府県を対象に説明会を実施して、利用の促進に向けた国の支援策や、利用率が高い地域の取組状況を紹介するなど、普及を急ぐとのことであった。
一方、マイナ保険証の利用に際しては、名前や住所が漢字コードの相違により表示されない、カードリーダーでエラーが出るといったトラブルが生じる、他人の情報がカードにひもづけられるなどの不具合もあると聞いている。
まず、愛知県における最新のマイナ保険証の利用率を伺う。
次に、愛知県内の医療機関窓口でのトラブルについて把握しているのか伺う。
次に、今後、国も普及を急ぐとのことだが、県民に対するマイナ保険証利用促進に向けた取組を検討しているのか伺う。
【理事者】
厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会で本年1月の全国のマイナ保険証の利用率が示され、愛知県内の医療機関、薬局での利用率は3.56パーセントであった。なお、本県の国民健康保険における昨年11月の利用率は4.97パーセントであった。
次に、医療機関窓口でのトラブルについて、県への報告はないが、国は、マイナ保険証として利用登録したにもかかわらず、医療機関の窓口で資格確認ができなかった場合に、3割等の自己負担で保険診療を受けられるための対応策を示した通知を昨年7月に発出し、関係機関に対して周知をしている。
また、マイナ保険証で別人情報がひもづけられていた問題については、保険者による総点検が実施され、ひもづけ誤りの解消を図っている。
国においては、こうしたひもづけ誤りが再発しないよう、申請事務において申請者にマイナンバーを申請、確認してもらうことを徹底するとともに、マイナンバー登録事務に係る横断的なガイドラインを策定するなど、再発防止を図っている。
次に、マイナ保険証の利用促進について、国のリーダーシップの下、地方自治体、医療機関、薬局、保険者、事業主等の関係者が一体となって取り組むこととしている。また、都道府県に対して、今後、マイナ保険証の利用促進に関する説明会を実施し、保険者協議会等の場を活用して、保険者、医療機関等における積極的な取組を促すこととしている。
県としては、3月に開催する保険者協議会において、保険者、医療機関等のそれぞれの取組について情報共有を図ることなどにより、保険者及び医療機関等が連携して、マイナ保険証の利用促進を図っていきたい。
【委員】
3.56パーセントという低利用率の中で、本当に切り替えて大丈夫なのかと思うが、愛知県の考えを伺う。
【理事者】
国が本年1月24日付けで医療保険者等の関係者へマイナ保険証の利用促進に向けたさらなる取組への協力を依頼しており、各医療保険者等において、定期的な進捗確認と対策の見直しというPDCAサイクルに基づく取組を進めていくとしている。
国は、本年5月時点で20パーセント、8月時点で35パーセント、11月時点で50パーセントとなる目標値を設定しているため、各医療機関、保険者等の取組によりこの目標値を達成するように、県としても後押しをしていきたい。
【委員】
マイナ保険証については、1年の経過措置があるとはいえ、健康保険証の廃止は県民にとっても大きな変化であり、年末にかけて混乱が生じるのではないかと懸念している。
愛知県としても実態把握に努めるとともに、基礎自治体のサポートなど、積極的に図るよう要望する。
【委員】
災害時の医薬品の備蓄について伺う。
先月、長野県の福祉関係者とともに、能登半島の社会福祉協議会や避難所で話を聞いてきたが、珠洲市の道の駅すずなりの駐車場では、医療従事者、関係者が集結して、被災者の診療を行っており、そこでは薬局機能を搭載した機動力のある災害対策医療品供給車両のモバイルファーマシー、通称移動薬局車が設置されていた。
岐阜県の薬科大学が1月7日から珠洲市で活動しており、その後、1月14日からは広島県の薬剤師会が引き継いでいる。
モバイルファーマシーは、東日本大震災の際に薬局が津波で流され、薬の供給が止まる問題が発生したことから開発され、医療チームとともに避難所を回り、医師の処方箋が必要な医薬品を薬剤師が車内で薬を調剤して、患者に手渡すなどしている。
避難所等では、水や食料の次に医薬品が必要とされたことから、南海トラフ巨大地震の災害発生時、被災地に駆けつけ、現地の医師や薬剤師等の医療従事者と連携し、医療救護所や避難所等で医薬品を必要とする被災者に医薬品を自律的に調剤して提供するなど、薬局機能を提供できる体制を整備するために導入したとのことである。
モバイルファーマシーは全国で約20台であり、東海地方で保有しているのは、岐阜県、三重県、静岡県で、愛知県は導入していないが、半島や離島のある愛知県で導入していないのは、なぜかと思った。
まず、本県は、災害時に必要な医薬品をどのように確保しているのか伺う。
【理事者】
本県では、災害時の医療救護活動に必要な外傷等に用いる医薬品68品目、それらと併せて使用される医療機器11品目、衛生材料39品目の合計118品目を愛知県医薬品卸協同組合及び中部衛生材料協同組合に委託して、県内15の拠点で備蓄している。
備蓄の数量は、災害発生直後の3日間に必要な約1万2,200人分を通常の備蓄量の約8万4,500人分に上乗せする、いわゆるランニング備蓄方式により約9万6,700人分を確保している。
【委員】
珠洲市で支援を行っていた広島県の薬剤師会の人に聞いたところ、医師の判断なく出せる薬や、医師の処方がないと出せない薬など、様々な医薬品があり、すぐに医薬品が被災者に供給できない場合もあるため、現場で生産して出せるものは、そこで出せるようにすることが一番よいとのことであった。
災害時には、外傷用の医薬品以外の医薬品や医療機器等も必要だが、どのように確保するのか。
【理事者】
東日本大震災では高血圧や糖尿病等の慢性疾患の治療薬が不足した問題が挙げられたことから、委託による備蓄に加え、より幅広い種類の医薬品等を災害時に速やかに供給できる体制を確保するため、愛知県医薬品卸協同組合及び中部衛生材料協同組合と協定を締結するとともに、医療機器については愛知県医療機器販売業協会と協定を締結している。
そのほかにも、医療用ガスについては、日本産業・医療ガス協会東海地域本部、歯科用品は東海歯科用品商協同組合愛知県支部とそれぞれ協定を締結し、災害時に速やかに供給できる体制を確保している。
【委員】
医薬品、衛生材料は、県内各地の薬品会社やセンターなどに備蓄していると聞いたが、その拠点から被災地まで、どのように運搬するのか。
【理事者】
各地域の医療機関、救護所等で医薬品が不足した場合には、まず、その地域の医薬品卸商に注文してもらうことになる。それで供給できない場合は、保健所における地域医療対策会議において調整し、それでも調整がつかない場合は、県の災害対策本部の下にある保健医療調整本部において調整を行い、先ほどの医薬品卸協同組合または中部衛生材料協同組合に県から必要な医薬品等の供給を指示することで、備蓄拠点から搬送される。
【委員】
今回の能登半島地震で課題となったのは、道路が分断、倒壊したことによって、物資が運搬できなかったことや、災害初期の救急に必要な医薬品は災害派遣医療チーム(DMAT)も持参しているが、それにも限りがあり、不足する医薬品を入手するルートが特になかったこと、避難所生活が長引くと、糖尿病などの慢性疾患の薬が切れる可能性が高いこと、高齢者が多いこともあり、特に珠洲市は65歳以上が50パーセントを超えているため、糖尿病の薬が不足しがちであったことが挙げられる。
そういったときに薬を被災者がもらいに行くことが難しい状況にあり、仮に拠点や医療救護所に搬入したとしても、取りに行くことができない状況が発生したため、今後、自治体と県で協議しながら、各避難所を巡回することができるかといった行政が把握しづらいことを今のうちに自治体と一緒になって考えてほしい。
次に、大地震などの災害時に看護職能団体の一員として、被災した看護職の心身の負担を軽減し、支えるように努めるとともに、被災者が健康レベルを維持できるように被災地で適切な医療や介護を提供する役割を担う看護職の災害支援ナースについて伺う。
現在は、日本看護協会などが研修や派遣をしているが、厚生労働省は改正医療法の本年4月施行に合わせて、災害・感染症医療業務従事者として法制化することによって、国が養成や登録、管理を担って、現場で安定的に活動できる環境を整備することになる。この派遣費用は都道府県などの公的負担になり、過去の災害や今回の能登半島地震でも、3月12日までに延べ約3,000人の看護師が派遣されている。これまで法的根拠がなかった中での活動ということで課題となっていたが、本年4月からは法律に基づく業務となり、事故の補償などの面がより改善されるほか、派遣の調整の円滑化が期待される。
災害支援ナースは、1995年の阪神大震災をきっかけに整備され、被災した医療機関での看護業務や、避難所の感染症対策、被災者の台帳管理などを行う重要な役割である。
愛知県看護協会で聞いたところ、愛知県の看護師は意識が高く、これまでに300人が研修を修了して、災害支援ナースとして登録されているとのことである。
今後、災害支援ナースの派遣は、県が調整役となって動いていくと思うが、今後の研修や教育、また、派遣するにあたっての備品、ビブスなどの物品の供給や協定、派遣するときの移動手段など、様々な準備が必要だと思うが、現在どこまで進んでいるのか。
【理事者】
能登半島地震に派遣された災害支援ナースは、看護協会独自の取組としてボランティアの位置づけで派遣しており、登録や派遣調整などは看護協会において行われている。本年4月からは、災害支援ナースの仕組みが変更され、改正医療法に基づく災害・感染症医療従事者として、法的な位置づけが与えられる。
制度改正後に、新たな災害支援ナースとして登録し、活動するためには、愛知県看護協会が開催する災害支援ナース養成研修の受講と、県と研修を受講した看護師が所属する医療機関との間で協定を締結することが必要となる。
養成研修は、愛知県看護協会において、今年度は、昨年9月から本年1月にかけて開催され、41医療機関、87人が受講した。また、協定は、受講者が所属する医療機関と本年4月1日付けで締結する予定であり、現在準備を進めている。
【委員】
災害支援ナースの派遣調整はどのように行われるのか。
【理事者】
今回の能登半島地震における災害支援ナースの派遣は、公益社団法人日本看護協会が国から要請を受け、各都道府県の看護協会に派遣要請をしたものである。愛知県内の派遣調整は、愛知県看護協会が派遣調整を担っている。
本年4月からの新制度での災害支援ナースの派遣調整は県が主体となって行うことになるが、運用の方法は、国による制度設計を注視するとともに、他の都道府県の対応状況を確認しながら、コーディネーターの配置の必要性なども含め、検討していきたい。
【委員】
能登半島の地震では、看護師等の派遣依頼があったものの、移動手段の確保が困難であったと聞いたが、本年4月以降、移動手段の確保はどう考えているのか。
【理事者】
災害支援ナースの移動手段の確保や現地の宿泊場所といった後方支援は大変重要だと考えている。法制化により県が派遣の主体となったことに伴い、被災地の状況やニーズに合わせて、スムーズに移動手段の確保ができるよう、看護協会などの関係機関と連携をしながら、しっかり検討をしていきたい。
【委員】
能登半島地震では、DMATが現地入りする際には、車で通れる道がなく、自衛隊に先導してもらったと聞いた。災害支援ナースを派遣するための移動手段も確保し、また、災害支援ナースのコーディネーターは看護師としたほうがよいと思う。
今後、関係団体と十分に話合いをしながら、南海トラフ巨大地震が起こったときのことも考えて、取り組んでほしい。
【委員】
2006年に制定されたバリアフリー新法は、交通バリアフリー法とハートビル法を合わせたもので、公共施設や公共交通機関に加え、都市公園、駅を中心とした地区などにもバリアフリー化を促進するものである。
バリアフリー新法によって、銀行やショッピングセンターをはじめ、一定以上の広さの敷地を持つ民間の駐車場にも、障害者用の駐車場設置の義務化が決まり、バリアフリー新法に基づいて、全国の公共施設や公共交通機関のバリアフリー化が進められ、体に障害があっても一人で安心して出かけられる環境が整いつつある。
公共施設や商業施設で目にする車椅子マークは、1969年に開催された国際リハビリテーション協会の総会で採択されたマークであり、日本では1981年の国際障害者年をきっかけに広まるようになった。
車椅子マークはあくまでも通称であり、正式には国際シンボルマークと呼ばれ、世界共通のシンボルマークである。国際シンボルマークは障害者に対する理解と共感を促進するために使われており、このマークのある建物は、障害者が利用できる建物や施設であることを示している。
障害のある人などが利用するための駐車場には、車椅子マークを表示することとされているが、車椅子マークがあることによって、車椅子利用者しか障害者用駐車場を利用できないと思われがちである。
障害者用駐車場は、車椅子使用者に限らず、全ての障害のある人のほか、高齢者や妊産婦、けが人など、移動に支障があり、配慮が必要な人も利用することができるが、これらの人も駐車できることを示す表示がないため、障害者用駐車場を利用しにくい、利用できることを知らない人がいる。
まずは、公共施設において率先して取組を進めることで、障害者用駐車場の適正利用を進めるべきだと考えるが、障害者用駐車場を車椅子使用者以外の障害のある人や、高齢者、妊産婦等にも利用してもらえるよう、現在、県はどのような取組をしているのか。
【理事者】
本県では、障害者用駐車場の適正利用を進めるため、昨年3月に啓発用のウェブページを作成したほか、啓発用ポスターを作成し市町村などに配布し、県民の目に触れる機会の多い公共施設に掲示してもらうといった協力を依頼している。
また、県の本庁舎をはじめ、県有施設の障害者用駐車場に、全ての障害のある人のほか、高齢者や妊娠中の人なども利用できる駐車スペースであることを図やマークを使って分かりやすく表示した看板を設置する取組を行っている。
【委員】
先日、北名古屋市総合体育館に行ったとき、身障者用駐車場に、障害のある人、妊娠中の人、身体内部に障害のある人、高齢の人なども利用できることが書かれた大きな看板が設置されており、誰がこの駐車場を利用してよいのかが、ピクトグラムで表示され、大変分かりやすかった。
また、近所のショッピングセンターでは、車椅子の人の駐車場と、車椅子は使わないものの、移動に支障があり、配慮が必要な人などの利用を示す区画が分かるようになっていた。看板も分かりやすく見える化されており、おもいやり駐車場という名前がつけられていた。
この二つの例が示すように、看板で示されたほうが自分も利用できることが分かり、近くを通った市民には、この駐車場はこういった人が利用するために設置されていることが、すぐに理解できるようになっていた。
一方で、こうした表示がされていない市町村の施設もあり、県内在住の全ての利用対象者が障害者用駐車場を適切に利用するには、市町村に対してポスターを配布することに加えて、分かりやすい表示を促すような啓発活動が必要ではないのか。
また、適正利用を進めるには、公共施設に対する啓発に加え、県民に対しても車椅子使用者以外の人でも優先的に駐車ができる人がいることを正しく理解してもらうことが重要である。
他県では、利用できる対象者に申請してもらい、専用のステッカーを配布するといった制度を導入している事例もある。
市町村によって障害者用駐車場の適正利用の取組に差があると思うが、今後、どのように普及啓発を進めていくのか。
また、県民への理解をより一層促進するために、今後、どのように普及啓発を行っていくのか。
【理事者】
障害者用駐車場を利用できる全ての対象となる人が県内全ての地域において当該駐車場を適切に利用できるよう、環境を整備することが重要である。このため、市町村に対し、啓発用ポスターの掲示を依頼するだけではなく、障害者用駐車場を利用することができる人を分かりやすく表示する取組を進めてもらえるよう、本県における取組や、市町村の先進事例を紹介していく。
また、施設側の環境整備を進めるとともに、県民に車椅子利用者専用の駐車スペースではないことを広く周知していくことも重要であると考えている。このため、啓発用ポスターがより多くの人の目にとどまるよう、本県と協定を締結している商業施設などに対し、ポスターの掲示をお願いする。
今後も、障害者用駐車場の適正利用が図られるよう、周知啓発に努めていく。
【委員】
県と協定を締結している商業施設などに掲示をお願いしていくとのことであったが、今後も、様々なチャネルを利用して、障害者用駐車場を利用する人と、どのような人が利用できるかを理解してもらいたい人の両方に普及啓発をしてほしい。
具体的には、障害者用駐車場の設置者に、北名古屋市のように分かりやすい看板の設置を働きかけてほしい。また、可能であれば、病院や福祉施設、包括支援センター、運転免許試験場など、障害者用駐車場を利用する人が多く集まるような場所を研究し、ポスター等を用いて多くの人の目に触れる場所での普及啓発をお願いしたい。
次に、医療的ケア児の支援について、医療的ケア児とは、医学の進歩等を背景として、新生児集中治療室(NICU)等に長期間入院した後、引き続き、人工呼吸器や胃ろうなどを使用し、たんの吸引や経管栄養等の医療的ケアが日常的に必要な状態にある障害児や重症心身障害者であり、全国に約2万人いると推計されている。
国会において、超党派で結成された医療的ケア児の支援の法制化を目的とする議員連盟、永田町子ども未来会議が5年かけて法律案をまとめ、令和3年6月11日に議員立法による医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律、いわゆる医療的ケア児支援法が成立し、令和3年9月18日に施行された。法施行により潜在化していた様々な医療的ケア児の育ちの支援と家族への支援の課題が浮き彫りになり、地域で様々な議論がスタートした。
この法律の施行を受けて、昨年度、愛知県では県内の医療的ケア児への支援に対する中核的機能を持つ基幹支援センターと、それぞれの地域等の事情に応じた支援を行う地域支援センターを県内に合計7か所に設置した。
医療的ケア児支援センターでは、本人やその家族をはじめとし、保育所や幼稚園、学校、医療機関、訪問看護ステーション、ヘルパー事業所、児童発達支援事業所、行政など、支援に関係する様々な人からの相談に応じている。短期的な預かりサービスが利用できる事業所の情報など、医療的ケア児やその家族に対して、医療や福祉に関する情報を提供し、相談に応じている。
また、医療的ケア児等コーディネーターにより、実際に各種の支援をコーディネート、分かりやすく言えば、多職種連携を図りながら、子供と家族をサポートする役割を担ってもらっている。医療的ケア児等コーディネーターは、医療的ケア児等に関する専門的な知識を持ち、医療、福祉、教育など関係機関との調整を行うことにより、医療的ケア児やその家庭への支援を行っている。このコーディネーターに対しては、都道府県及び政令都市が養成研修を実施している。主な受講者は、相談支援専門員、市町村保健師、訪問看護師、行政職員などである。
その実態や課題について、まずは、医療的ケア児がどこにいるかの把握が必要であり、その実態、支援の方法や内容が適切に行われているかなど、実態の把握が必要だと思うが、今後の医療的ケア児の実態把握をどのように考えているのか。
【理事者】
医療的ケア児とその家族の生活状況や支援ニーズを調査し、今後の施策や支援体制整備に必要な措置を講ずるための基礎資料とするため、本県では令和元年度に医療的ケア児者実態調査を行い、その後、令和3年9月に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、地方公共団体は自主的かつ主体的に医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を有することとされた。
医療的ケア児が地域で必要な支援を受けられるようにするには、まず、医療的ケア児に一番近い基礎自治体である市町村が前もって医療的ケア児を把握することが、今後、より重要となる。そのため、現在は、愛知県障害者自立支援協議会の医療的ケア児支援部会において、市町村による医療的ケア児の実態把握の方法や内容について議論している。
ここでの議論を踏まえ、今後、市町村の協力を得ながら、全県的な実態把握の実施に向けて検討していきたい。
【委員】
新潟医療福祉大学看護学部の松井由美子氏の厚生労働省医療的ケア児者とその家族の生活実態調査報告書の結果の考察とその後の法的支援についてという記事を目にした。
少子化の流れの中で、医療的ケア児の増加は、より一層加速していくことが分かっており、医療的ケア児が増加している背景については低出生体重児の増加がある。その要因として、若年女性のやせ願望、晩婚高齢出産の増加、多胎での出生の増加、妊婦健診の未受診といった社会的要因と、新生児管理の進歩によるハイリスク妊婦の分娩時期の早期選択も関与している可能性があると述べられている。
私たちの周りでも、国民の生活実態の変化から医療的ケア児が増えている現状があり、誰しもが目を背けてはならないことだと思う。
先日、近所の家庭から、昨年4月に医療的ケア児の息子を小学校に入学させた際の話を聞く機会があった。内容は割愛するが、ケア児の受入れに多くの関係者の努力があったとのことである。また、家庭にはいまだに多くの苦労があること、かなえてほしい課題があることなど、様々な話を聞いた。
先ほどの松井由美子氏の記事によると、家族の抱える生活上の悩みや不安等についての状況を尋ねたところ、当てはまる、まあ当てはまるの合計の割合は、慢性的な睡眠不足であるが71.1パーセント、いつまで続くか分からない日々に強い不安を感じるが70.4パーセント、自らの体調悪化時に医療機関を受診できないが69.7パーセント、日々の生活は緊張の連続であるが68.0パーセント、全て6割を超える高い割合を示している。日々の生活は緊張の連続で、睡眠不足であり、不安を感じている様子がわかる。
また、家族が日々の生活で行いたいことは、家族一緒に外出や旅行をしたいが96.8パーセント、自分のための時間を持つが96.7パーセント、家中の掃除をするが95.1パーセント、健康診断にいくが94.8パーセント、趣味を楽しむが94.4パーセントと、いずれも90パーセントを超え、全ての家族の切実な願いが伝わってくる。
外出や旅行はもちろん、自分のための時間や健康診断にも行けないという状況には、看護職員の派遣やレスパイトケアの確保は有効と考えられ、一日も早いサービスの拡大が望まれる。
設置から2年が経過しようとしているが、医療的ケア児支援センターや医療的ケア児等コーディネーターの活動の状況には課題が見えてきているか気になるところである。
そこで、医療的ケア児支援センターの活動の中で見えてきた課題はどのようなものか、また、その課題に対してどのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
昨年度に、本県が医療的ケア児支援センターを設置してから2年が経過しようとしている。設置から各支援センターにおいて相談対応、人材育成、情報収集及び発信、関係機関連携に取り組んできた。こうした取組の中で見えてきた課題としては、各地域に配置をしている医療的ケア児等コーディネーターのスキルアップと、医療、保健、保育、教育、福祉などの地域の支援者の関係づくりがある。
本県では、医療的ケア児等コーディネーター養成研修を開催しており、昨年4月現在、326人のコーディネーターが県内に配置されている。しかし、医療的ケア児に関する相談内容は個別性が高く、困難なケースも多いため、対応には高い能力が求められる。そのため、コーディネーターの質の確保も大変重要である。
そこで、現任のコーディネーターのスキルアップのため、7か所ある医療的ケア児支援センターごとに、担当する圏域のフォローアップ研修を本年度から開催をしたところであり、7回で延べ129人が参加した。
また、コーディネーターに求められる役割は、医療的ケア児に寄り添い、そのニーズを酌み取り、適切な支援者につなぐことであるが、そのためには地域の支援者の協力関係の構築が非常に重要である。地域によっては、こうした協力関係の構築が十分でないところもあるため、センターでは支援者を集めて会議や研修を開催するなど、地域の支援者間の関係づくりにつながる取組を進めている。
今後も、医療的ケア児支援センターを中心に、こうした取組を続けていくことにより、医療的ケア児を地域で支援できる体制づくりを進めていく。
【委員】
2022年3月に医療的ケア児と家族らをつなぐネットワークとして、全国医療的ケアラインが発足され、昨年11月に全国フォーラムが開催され、支援の現状や今後の課題などが協議された。
全国医療的ケアラインのアンケートに基づき、短期入所、防災、学校の三つのサークルの代表者が活動発表を行った。
そのうち、短期入所について、短期入所が思うように利用できない実態があること、短期入所を利用する最も重要度の高い理由では親の休息が3割を占め、次に、兄弟の行事、親の仕事、用事が続く。実際に利用できているのは55パーセントにとどまっているとのアンケート結果がある。
医療的ケア児に24時間追われる母親の多くが、睡眠不足や慢性疲労による生活への深刻な影響を与えている中で、サービスを利用できる環境づくりは待ったなしの状況である。
実態調査をするとのことであるため、その結果を基に、医療的ケア児や家族に寄り添った支援体制の強化をお願いする。
【委員】
戦後の混乱期に戦後遺児・孤児のためにできた児童相談所は、立法事実がもう既に消滅しているが、DVや児童虐待といった問題により、時代の変遷とともに拡大解釈されている。
児童相談所は、隔離された施設で強制医療が行われてはいけないものであり、例えば、子供が少し暴れただけで、施設の中で向精神薬を打たされる、飲まされるといった事例や、また、無理やり新型コロナワクチンを打たされたといった事例も聞いている。
私もメンバーであるが、児童相談所問題等対策協議会には、個別の相談も増えている。
まず、本県において、新型コロナワクチンを打たされたといった事例があったのか伺う。
【理事者】
予防接種実施規則では、あらかじめ被接種者又はその保護者に対して、予防接種の有効性や安全性、副反応について理解を得るよう、適切な説明を行い、文書により同意を得なければならないとされている。
このため、児童養護施設などに入所する子供への予防接種にあたっては、保護者に説明し、文書による同意を得た場合に限って接種を行っている。
【委員】
今回のコロナ騒動では、法律上、新型コロナワクチン接種が努力義務という形で課せられたため、ワクチンを打たせない保護者に対して、それは虐待だと指摘をする医者もいる。
また、子供にワクチンを打たせたくないが、施設に対して、打たないことがマイナス評価となることを恐れて、強く言えなかったといった話もある。
保護者がワクチン接種に同意しないことは、医療ネグレクトに当たらないと思うが、そのような理解でよいのか。
【理事者】
国の通知によれば、医療ネグレクトとは、保護者が子供に必要とされる医療を受けさせないことにより子供の生命・身体に重大な影響があると考えられるもので、保護者の同意が得られないため、医療機関が必要な医療行為を行うことができない場合を対象としている。
国の通知を踏まえると、副反応などを心配する保護者がワクチン接種に同意しないことのみをもって直ちに医療ネグレクトに該当するとは言えないと考えている。
【委員】
保護者が同意したものの、入所している子供が接種を拒否した場合には、ワクチン接種は強制されないという理解でよいか。
【理事者】
保護者の同意は得ている一方、子供が接種を拒否している場合は、子供の意向を保護者と共有した上で、子供の意思を尊重しながら、接種を受けるかどうか、双方の理解と合意を図っている。
なお、接種を受ける子供に対しては、年齢や発達の特性、既往歴などを十分考慮し、ワクチンの効果や副反応について丁寧な情報提供を行っている。
【委員】
医療を受けるかどうかは、憲法第13条の身体の自由により保障されていると思うので、子供であったとしても、ワクチン接種を拒否したい場合は、拒否できると思うが、明確な答弁をお願いする。
【理事者】
子供の意思の尊重が大変重要である一方、保護者が接種に同意している現状もあるため、双方の意見を調整しながら、どちらが適切かを双方に検討してもらった上で、判断してもらうこととしている。
【委員】
今回のコロナ騒動において、妊婦がPCR検査で陽性になったら、即、帝王切開するといった運用をしている病院がいまだにある。
また、先日、知人の地方議員が質問していたが、いまだに妊産婦に対してマスクをさせている病院がある。妊婦が命がけの出産という行為をしているときに、ただの風邪対策として、病院がマスク着用を強要するのは罪深い。
そういった背景もあり、普通の分娩を県民にさせてあげないといけないと私は思っている。
まず、帝王切開の状況、県内の分娩数、帝王切開の数、分娩に占める帝王切開の率の推移を伺う。
また、事前に提供された資料によると、分娩に占める帝王切開の率が、年々1パーセントずつ上がっているが、その要因について、県としてどのように考えているのか。
【理事者】
県内の分娩取扱施設である病院、診療所、助産所に対して調査した結果によると、分娩数は、2013年度が6万4,274件、2022年度が5万1,378件で1万2,896件の減、帝王切開の数は、2013年度が1万3,687件、2022年度が1万2,852件で835件の減、帝王切開の分娩数に占める率は、2013年度が21.3パーセント、2022年度が25.0パーセントで3.7ポイントの増である。
次に、分娩に占める帝王切開の率が上昇している要因であるが、帝王切開を行うかどうかは、医師の判断や、医師の説明を受けた本人や家族の意向により決定されるものであり、帝王切開の率が上昇していることは、県として要因の分析はしてない。
【委員】
助産所や助産師の数の推移を伺う。
また、事前に提供された資料によると、助産所と就業助産師の数が両方増加傾向であるが、その詳細と増加要因について伺う。
【理事者】
助産所の数であるが、医務課においては、毎年10月1日現在の県内助産所の数を把握しており、2013年は166か所であったが、昨年には251か所となっており、10年間で85施設の増加である。
次に、助産師の数であるが、保健師助産師看護師法の規定に基づき、2年に1度、提出してもらっている業務従事者届により、12月31日現在の従事者数を把握している。この届出によると、2012年は1,906人であったが、2022年は2,334人となっており、10年間で428人の増加である。
助産師の数の増加について、県として直接的な要因分析は行っていないが、助産師に関するこの統計データを見ると、まず、新規に助産師になる人、助産師の国家試験の合格者は、直近で2023年の2,093人であり、10年前の2013年の2,072人に比べ、大きく増加している状況ではない。一方で、保健師助産師看護師法第33条に基づき、業務従事者届の直近のデータによると、55歳以上の人の割合が17.82パーセントとなっており、10年前の2012年における12.43パーセントと比べ、約5パーセント増加している。このことから、助産師として長く活躍している人が多くなっていることが増加の要因ではないかと考えている。
助産所の増加の要因についても、県として直接的な要因分析は行っていない。
【委員】
助産師、助産所が増えているにもかかわらず、帝王切開の率が増えているのは不思議だと思うがどうか。
【理事者】
帝王切開の率が上昇している要因であるが、医療行為である帝王切開を行うかどうかは、医師の判断や、医師の説明を受けた本人や家族の意向により決定されるものであるため、現時点で、県として要因の分析はしていない。
【委員】
助産師は、字のごとく、妊婦が自分の力で産むのを助けることが役割だと思う。
近代医療や若い人の意識だと、出産が、すぐに産婦人科に行くべきもの、医療行為だと想像して、産むことに対して大変だというイメージにどうしてもなってしまうことが一つの少子化の要因ではないかと思う。
岡崎市には、近代医療に疑問を持ち、自然分娩を勧めている旧吉村医院があり、そのドキュメンタリー映画では、自然分娩で、するっと生まれるが、妊婦にとってすごい喜びである。一般的なイメージと真逆の世界観である。
自然な出産をもっと推奨すべきであり、それに対して準備が必要であるため、妊娠してからでは遅い。妊娠する前、若いときから、健康づくりや物の考え方、食生活といった準備をしていかなければならない。
最終的に医療分娩となることに対して、良し悪しを言うつもりはないが、基本的に自然分娩をする。女性には産む力をつけてもらうために、行政からしっかり推奨、啓発していくことが必要だと思う。
そういった助産所に対して、県としてどのような支援を行うのか。
【理事者】
助産所を含む分娩取扱施設が行う分娩室、病室、入所室等の施設整備、分娩台、超音波画像診断装置、保育器などの設備整備に対し、分娩取扱施設整備費補助金による財政支援を行っている。
【委員】
助産師、助産所が増えていることは、喜ばしいことだと思っているので、若い人にも自然分娩の魅力を伝えてほしい。
次に、新型コロナワクチンの内容物の検査について、モデルナ社製の新型コロナワクチンに異物が混入された事案を受けて、厚生労働省が国立医薬品食品衛生研究所に調査を依頼した。武田薬品工業株式会社からも異物が混入されたロットのワクチンバイアルの提供を受けるといった調査が進められており、論文にもなっているが、ここで使われている機材、光学顕微鏡や、エネルギー分散型Ⅹ線回折装置附属走査型電子顕微鏡、デジタルマイクロスコープといったものがあれば、県としてもワクチンの内容物の調査ができると思う。
超過死亡が40万人発生していて、後遺症の人は数百万人と推計されているが、国が新型コロナワクチンに関してしっかり調査を行わないのであれば、各自治体が内容物について調べないと、地域を守れない。
国立医薬品食品衛生研究所が行った調査を県でもできるように体制を構築してほしいが、その機材があるのかと、調査の意向について伺う。
【理事者】
薬学雑誌2022年142巻8号に掲載された国立医薬品食品衛生研究所の報告、モデルナ社の新型コロナワクチンに混入した異物に関する調査において、ワクチン内の異物検査の目的で、デジタルマイクロスコープ、光学顕微鏡及びエネルギー分散型Ⅹ線回折装置附属走査型電子顕微鏡が使用されている。
これらの分析機器のうち、愛知県衛生研究所では光学顕微鏡は保有しているが、それ以外の2機器は保有してない。
また、愛知県衛生研究所は、県民の公衆衛生向上に寄与することを目的に、科学的かつ技術的中核機関として、調査研究、試験検査、研修指導及び公衆衛生情報の収集、解析、発信等を行っている。試験検査については、検査結果の同一性を担保するため、妥当性等が確認された検査方法、いわゆる公定法が定められており、食品や水、医薬品等については、その安全性の確認のため、公定法に基づき検査している。新型コロナワクチンの内容物の検査については、公定法が定められていないため、愛知県衛生研究所において対応することは困難である。
【理事者】
愛知県がんセンターでは、光学顕微鏡を所有している。
なお、愛知県がんセンターは、がんの治療及び研究を行う総合がんセンターであり、新型コロナウイルス感染症は、がんではないため、がんセンターの所管範囲外であり、新型コロナワクチンの検査体制を持つことは考えてない。
【委員】
愛知県がんセンターの元職員の京都大学の福島雅典名誉教授のコロナワクチン後遺症の真実という文藝春秋の記事に、日本国内において新型コロナワクチン接種後、急に発症するなど、医学学会で報告や検討された疾患といって、たくさんの症例が一覧表に出ている。
私が今回着目したのが愛知県指定難病受給者証の疾病別の一覧であり、これは指定難病の人が保健所を通じて受給者証を発行してもらうものであるが、10万人、100万人に1人といった疾病が国で指定をされている。
まず、新型コロナワクチン接種前後で、どの疾病が顕著に増加しているのか伺う。
【理事者】
新型コロナワクチン接種前の2019年度末と直近の2022年度末の愛知県所管の受給者数を比較すると、受給者数全体が3年間で113パーセントと増加しており、顕著に増加している疾患は、受給者全体3万2,818人の約1パーセント、300人に満たない非常に少ない疾患を除き、好酸球性副鼻くう炎が218人から569人と351人、261パーセントの増、シェーグレン症候群が221人から346人と125人、157パーセントの増、一次性ネフローゼ症候群が368人から535人と167人、145パーセントの増、IgA腎症が299人から415人と116人、139パーセントの増、多発性嚢胞腎が322人から419人、130パーセントの増である。
【委員】
特定疾患の増加要因を伺う。
【理事者】
難病は発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない希少な疾病であり、国の研究班において難病の個々の疾患における実態把握や、治療方法の開発、病気の原因、病態の解明などの研究が行われている。
県としては、増加要因の分析を行っていないが、国が行う研究に活用できるよう、難病患者のデータを提供している。
【委員】
私も突合してみたが、例えば、全身性エリテマトーや皮膚筋炎、多発性筋炎、自己免疫疾患、IgA腎症、特発性間質性肺炎、潰瘍性大腸炎といった疾病が顕著に増加している。
新型コロナワクチン接種後の数年間で、10万人、100万人に1人しか起きないような症状が激増している。私は新型コロナワクチンが原因であると断定しているが、何かが起きないと、こんなことにはならない。
私の目だけでなく、県でも突合してほしい。医療政策を考えていく力は、県庁には十分にある。愛知県がんセンターもあり、医師資格を持った職員もいるため、ぜひお願いしたい。
県内で、新型コロナワクチン後遺症、新型コロナワクチン接種後の副反応に対して、11の協力専門医療機関がある。そこからの毎月の報告書を確認したところ、明確に新型コロナワクチン接種と健康被害との因果関係があるとしている報告もあった。
このことについて、県として今後の施策にどのように生かしていくのか。
【理事者】
県では、新型コロナワクチン接種後、副反応を疑う症状を示した人への対応として、かかりつけ医など身近な医療機関では対応が困難な副反応の症状に対し、接種を受けた人が専門的な医療機関を円滑に受診できるよう、専門的な医療機関の協力を得て、相談窓口を設置、運営をしている。
国においても、新型コロナワクチン接種後の副反応等による健康被害は極めてまれだが、不可避的に生ずるものであるとの見解を示しており、県としては、副反応を疑う症状について、専門的な医療機関を円滑に受診できる体制を引き続き確保する必要がある。
そこで、本年3月までの特例臨時接種終了後も副反応等への対応に資するため、来年度も、専門的な医療機関による相談窓口を継続して設置、運営をする。
【委員】
先日、県が発表した新型コロナウイルス罹患後症状実態調査について、LINE公式アカウント登録者を調査対象者としているが、新型コロナウイルス感染症の後遺症と報道されている。それは間違いで、99パーセントが新型コロナワクチンの後遺症であり、そこがしっかり県民に伝わらないと、真逆の方向に話が行ってしまうため懸念している。
新型コロナウイルス感染症の後遺症なのか、新型コロナワクチンの後遺症なのか、新型コロナワクチンによる後遺症の患者はS抗体が非常に高くN抗体が逆に少ないという特徴があるはずであるが、どのような調査なのか。
【理事者】
罹患後の後遺症の99パーセントが新型コロナワクチンの後遺症であることは承知していないが、新型コロナウイルス感染症の罹患後の後遺症について、世界保健機関(WHO)が、症状が少なくとも2か月以上続き、ほかの疾患による症状として説明がつかないもので、通常は新型コロナウイルス感染症の発症から3か月たった時点にも見られる症状を後遺症と定義している。
そのため、この定義に該当する場合を罹患後の後遺症と分類し、新たな課題でもある罹患後の後遺症を丁寧に把握するため、来年度、実態調査を行っていく。
【委員】
海外の論文には、ワクチンの副作用は複数の疾患が同時に起こるとある。先ほどの指定難病の一覧のとおり10万人、100万人に1人しか起きないような疾病が、こんな短期間で急激に増えており、医師も見たことがない症例がたくさん出ている。
やはり、N抗体、S抗体を調べないと、新型コロナワクチンの副作用なのか、新型コロナウイルスの後遺症なのか判別がつかず、意味のない調査となる。新型コロナウイルスの後遺症であると、県民に対して変なプロパガンダをしないでほしい。
現在、インフルエンザがはやっていると言われているが、皆、普通の風邪を忘れてしまったのではと思う。
先ほど改めて確認したが、日本呼吸器学会のホームページでは、風邪症候群の原因微生物は、80パーセントから90パーセントがウイルスであり、主な原因ウイルスとしては、ライノウイルス、コロナウイルスが多く、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなどが続く。ウイルス以外では、一般細菌や肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミドフィラなど特殊な細菌も原因となるが、ライノウイルスの次に出てきているコロナウイルスは、従来型のものである。
病院で受診すると、すぐに新型コロナウイルス検査とインフルエンザの検査を受けさせられ、両方とも陽性となるケースもあり、何のための検査なのか分からない。
まず、新型コロナウイルス感染症、インフルエンザと風邪との違いは何かを伺う。
【理事者】
医療機関での受診については、患者の病気を診断し、適切な治療を行うため、医師の判断で必要な診療、検査等が行われていると承知している。
新型コロナウイルス感染症、インフルエンザと風邪の違いについて、風邪は、鼻や喉の急性炎症の総称であり、原因となる病原体の80パーセントから90パーセントは200種類以上のウイルスであるため、対症療法が主な治療方法となる。その中でも、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症は高熱が出るなど症状が重く、感染力が強く、適切な対応を行うために検査を行う必要がある。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気で、治療には、対症療法と併せて、抗インフルエンザ薬を使用する。
新型コロナウイルス感染症は、新型コロナウイルスの一つであるSARS-
CoV-2に感染することで発症するウイルス感染症であり、治療としては対症療法が中心だが、重症化リスクのある人には、新型コロナウイルス感染症治療薬が使用される。
【理事者】
がんセンターを受診した患者が新型コロナウイルス感染症や季節性インフルエンザを疑われる場合などは検査を行い、検査結果、自覚症状、周囲の感染状況などを基に医師が総合的に判断している。
また、感染対応の観点からの新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの違いについて、季節性インフルエンザは発症時にウイルス排出量が最大となることに対し、新型コロナウイルスは発症する1日前にウイルス排出量が最大となるなどの違いがある。
【委員】
日本呼吸器学会のホームページには、風邪症候群の原因に新型コロナウイルスは書かれていないが、PCR検査はライノウイルスやRSウイルスまでも疑陽性としてしまう。PCR検査は水やパイナップルといったものでも陽性となる検査であり、臨床診断では使ってはいけないことが試薬にも書かれている。しかも、国立感染症研究所の脇田隆字所長がそれだけを取り出して分離していないと発言している。つまり、分離・同定していない、何か分からないウイルスに対して、ずっと怖がっており、実際の症状を見たら、風邪と全く一緒である。
そういった認識を持たないと、いつまでも何か分からないものに対して、行政が振り回しているため、しっかり物事の分別をしてほしい。
今回の新型コロナワクチン禍が前代未聞の薬害事件であることは間違いなく、今後、社会的にも明らかになっていくが、職場での同調圧力により、新型コロナワクチンを無理やり打たされたことにより苦しむ人がおり、亡くなってしまった人もいる。
その場合、インフルエンザワクチンで労災認定を受けた事例も確認したが、様々な相談が県にもあると思うが、どのように対応しているのか。
【理事者】
県では、新型コロナワクチン接種後の副反応等に対応するため、看護師による電話相談窓口を設置している。そのような相談があった場合には、相談内容によって該当する労働関係の国の専門機関の窓口等を案内する。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年3月13日(水) 午後1時~
会 場 第1委員会室
出 席 者
神谷和利、小木曽史人 正副委員長
神戸洋美、須崎かん、石井芳樹、政木りか、中村貴文、浦野隼次、
森井元志、細井真司、江原史朗、木藤俊郎、末永けい 各委員
福祉局長、福祉部長、介護推進監、子ども家庭推進監、
保健医療局長、同技監、健康医務部長、生活衛生部長兼生活衛生課長、
感染症対策局長、同技監、感染症対策調整監兼感染症対策課長、
病院事業庁長、病院事業次長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第 1 号 令和6年度愛知県一般会計予算
第1条(歳入歳出予算)の内
歳 出
第4款 福祉医療費
第3条(債務負担行為)の内
元はるひ台学園撤去工事
元愛知県春日台職業訓練校・元養楽荘撤去工事実施設計
第 4 号 令和6年度愛知県母子父子寡婦福祉資金特別会計予算
第 5 号 令和6年度愛知県国民健康保険事業特別会計予算
第 13 号 令和6年度愛知県県立病院事業会計予算
第 31 号 職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正について
第 33 号 愛知県行政機関設置条例の一部改正について
第 34 号 婦人保護施設の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正について
第 35 号 指定通所支援の事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例及び愛知県医療療育センター条例の一部改正について
第 36 号 養護老人ホーム等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正について
第 37 号 指定居宅サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準等を定める条例の一部改正について
第 38 号 愛知県看護修学資金貸与条例の一部改正について
第 39 号 愛知県看護師養成施設条例の一部改正について
第 40 号 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第三十八条の二第三項に規定する任意入院者の症状等の報告に関する条例の一部改正について
第 41 号 後期高齢者医療財政安定化基金条例の一部改正について
第 42 号 薬物の濫用の防止に関する条例の一部改正について
第 55 号 愛知県立愛知病院条例の廃止について
第 56 号 あいち医療応援基金条例の廃止について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第1号、第4号、第5号、第31号、第33号から第42号まで、第55号及び第56号
賛成多数をもって原案を可決すべきものと決した議案
第13号
○ 請 願
第 42 号 「小中高生の新型コロナワクチン接種後体調不良者への合理的配慮」について(医療関係)
第 44 号 「愛知県内における死亡者数激増の原因追及とワクチンとの関係調査」について
第 45 号 「新型コロナワクチン接種記録の保存期間延長」について
第 46 号 「コロナワクチンのロット番号ごとの被害調査」について
第 47 号 「予防接種健康被害救済制度と副反応疑い報告制度との突合調査、案内」について
第 50 号 「予防接種健康被害救済制度周知」について
第 51 号 「『新型コロナワクチン接種後の国の健康被害救済申請及び県の副反応等見舞金の申請状況について』のマスコミ向け文書の県民への公表」について
第 52 号 「コロナワクチン接種に注意が必要な人に関する周知」について
(結 果)
賛成少数をもって不採択とすべきものと決した請願
第42号、第44号から第47号まで、及び第50号から第52号まで
○ 閉会中継続調査申出案件
1 社会福祉及び社会保障制度の充実について
2 少子化対策及び超高齢社会への対応について
3 保健衛生の推進について
4 保健所及び県立病院の運営について
5 福祉局、保健医療局及び病院事業庁の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(2件 請願第46号及び第47号関係)
3 議案審査(17件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 請願審査(8件)
5 委員長報告の決定
6 一般質問
7 休 憩(午後2時51分)
8 再 開(午後3時5分)
9 閉会中継続調査申出案件の決定
10 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
予算に関する説明書(1)の142ページの児童相談センター費について、児童相談センターの職員数や予算が増えていると聞いたが、児童福祉法が制定され、児童相談所が設置されることとなった経緯、歴史的背景をどのように認識しているのか。
【理事者】
児童相談所の児童福祉法上の経緯について、かつての児童福祉法の概要によると、戦後の戦災孤児、浮浪児等の対応のために設置されたと聞いている。
【委員】
そうであれば、既に立法事実が消失していると思うが、どう考えるのか。
【理事者】
当初の児童相談所の設置目的は、戦後の混乱期を乗り切るためであったと考えているが、現在は、児童福祉法や児童虐待防止法等により、児童相談所の役割が追加されており、支援が必要な家庭もしくは保護を必要とする児童といった人々に対する支援へ変遷していると考えている。
【委員】
当初の目的ではなく、社会情勢が変わるにつれ、役割が追加される形で拡大解釈され、現在に至っていると思う。当初の立法事実からすると、児童相談所の在り方は見直されるべきであり、そのように考える学者もいる。
児童虐待やドメスティック・バイオレンス(DV)は、新しい法律で対応しているが、年々拡大解釈されており、地方議員や国会議員に対しても、児童相談所の介入により家族が長期にわたって分断しているといった個別の相談がある。
児童相談所は、かなり強い権限を持っており、例えば、身の危険がある状態に関しては、警察が刑法上の問題により介入すべきだが、児童福祉法や児童虐待防止法等の解釈により介入するといった問題がある。
児童相談所については、様々な問題が発生しているため、今後の課題として指摘する。
次に、予算に関する説明書(1)の157ページ、新型コロナウイルス感染症対策費(イ)検査体制確保事業費について、愛知県衛生研究所におけるゲノム解析に必要な検査体制を確保するとのことであるが、新型コロナウイルスの検査において分離・同定ができるかを含めて、どういった検査なのか伺う。
【理事者】
愛知県衛生研究所で行っている検査については、2020年1月に当初の起源株として発生したものから、時がたつにつれて変容していくため、そういった変異株がどのようなものか把握するための検査である。
【委員】
その検査では、ウイルスを分離・同定することはできるのか。
【理事者】
2020年1月に国立感染症研究所においてウイルスの分離に成功し、国内での病原体と確認された。その後、東京都健康安全研究センターや広島市衛生研究所等で分離・同定している。
【委員】
愛知県衛生研究所でウイルスの分離・同定はできるのか。
【理事者】
本検査は、あくまでも変異株の動向を検査するゲノム解析である。
【委員】
分離・同定はできないと理解したが、国立感染症研究所の脇田隆字所長が、新型コロナウイルスだけ取り出したものではないと記者会見で発言しており、新型コロナウイルスを分離できているかどうかは分からない。
新型コロナウイルス感染症対策があやふやな根拠のまま進められており、今回の愛知県衛生研究所での検査に関しても、どれほど意味があるのか。
次に、愛知県県立病院事業会計予算について、一般会計では、新型コロナウイルス感染症対策に関する予算が大幅に削られているが、県立病院事業会計では、新型コロナウイルス感染症対策に関する予算はどのようになっているのか。
【理事者】
院内感染対策については、診療上の必要な対策であるため、個別の積算ではなく、例えば、マスクなどの資材は、治療に必要な材料などと合わせ、入院・外来収益に対する比率などにより積算し、薬品、その他診療材料費に計上している。
【委員】
マスク着用に関して、コロナ禍前は、来院者や入院者に対してマスク着用の強要はしていなかったと思うが、現在の状態はどうなのか、今後どうしていくのか、マスク着用の有無に関しての基準を院内で議論しているのか。
【理事者】
愛知県がんセンターでは、がんの治療のため、免疫力の低下した患者が多いことから、マスク着用をお願いしているが、新型コロナウイルス感染症の感染状況の先行きが不透明であることから、当面、現状の対応を継続する。
【委員】
愛知県がんセンターにおいて、治療により一時的に患者の免疫力が下がるのは、コロナ禍前から当たり前だったと思うが、そのときはマスクをしていなかった。一般会計予算では、新型コロナウイルス感染症対策の予算が大幅に削られている中で、医療現場だけが過剰な新型コロナウイルス感染症対策をいまだに続けており、政策の矛盾を感じる。
最近はメディアでも、新型コロナウイルス感染症は、当初からただの風邪だったと報道されているが、こういったことを続けるのは患者にとって負担であるし、現場の医療関係者も振り回されてしまうため、科学的根拠に基づいた医療を提供すべきである。
そのような病院運営をしている以上、愛知県県立病院事業会計予算には賛成できない。
【委員】
第39号議案愛知県看護師養成施設条例の一部改正についてであるが、愛知看護専門学校の廃止を決定した経緯を伺う。
【理事者】
近年の少子化や看護系の大学の増加により受験生が年々減少していること、合格者の入学辞退者が多いこと、また、主な実習病院であった愛知病院の専門病院化や、看護系大学の増加による実習病院の確保の困難、施設、設備の老朽化などの理由から学校運営が厳しい状況となり、2022年度入学生から、募集を停止することになったため廃止となった。
【委員】
廃止になると、建物や広大な敷地が残されるが、廃止後の愛知看護専門学校の跡地は、どのように利用される予定なのか。
【理事者】
愛知看護専門学校は変形地のため、隣接する愛知病院の敷地を通行する必要があり、廃止を予定している愛知病院の跡地等との一体的な利活用を含めて、病院事業庁と調整していきたい。
【委員】
最近では、新型コロナウイルスの感染者数は少なくなってきたが、令和2年12月には、豊川市民病院で院内クラスターが発生し、現場は大変な状況であった。
その時期に身内が入院しており、本人やその家族の不安を和らげてくれるなど、看護師に非常にお世話になり、不可欠な存在だと痛感した。
そこで、今後どのように看護師の確保を進めていくのか伺う。
【理事者】
少子・高齢化の進行に伴い、現役世代が急減する中で、多様化する看護ニーズの増大が見込まれており、看護師の確保対策を推進することは非常に重要である。
本県においても、愛知県立総合看護専門学校をはじめとする各看護師養成所等にて、引き続き、資質の高い看護職員の養成に努めるほか、看護師の定着促進のための勤務環境の整備や、就業していない看護師の復職支援などを総合的に推進し、より一層の看護師確保対策に努めていく。
【委員】
歳出第4款福祉医療費第7項生活衛生費第4目獣医務費、動物愛護センター管理運営事業費のうち、譲渡推進施設検討調査費について伺う。
これは、愛知県動物愛護センターに収容された犬や猫の譲渡事業に関する調査であるが、現在、センターはどのような状況にあるのか。
【理事者】
愛知県動物愛護センターについては、動物愛護管理行政の拠点施設として、昭和62年に豊田市内に本所を、その後、一宮市、半田市、豊橋市に3支所を設け、計4施設で県内の業務を行っている。
近年、世の中の動物愛護思想の高まりとともに、動物を殺処分することよりも、一頭でも多くの動物を新たな飼い主に譲渡することを目指す施策が求められており、本県においても譲渡を積極的に進めていきたい。
収容した犬猫を一般家庭で飼ってもらうためには、健康状態の把握や性格診断、問題行動の矯正等、長い時間をかけて管理を行う必要がある。しかし、センターの施設は動物を長期間飼養管理できる施設ではなく、業務の内容と施設の構造が合致していないことが現在の課題である。
【委員】
次に、本調査の目的と今後の展望を伺う。
【理事者】
本県の動物愛護行政の現状を分析し、譲渡事業の推進につながるセンターの在り方を検討するため、先進自治体の動物愛護行政実施状況等の調査分析を行うことが目的である。
本調査の結果を基にセンターの譲渡事業がより一層推進されるよう、今後の方針について、より具体的な検討を行っていきたい。
【委員】
動物を飼っている人は、動物をペットとしてではなく、家族の一員だと思い、一緒に生活をしていると思うが、動物を飼っている人も飼っていない人も、ペットと共生できる優しい社会になることを望む。
愛知県動物愛護センターは、これまで県民のために野犬や放浪動物の収容など、動物に関する問題解決に取り組んできたと理解している。その成果もあり、殺処分数が大幅に減少していることは喜ばしいことである一方、その役割が大きく変わった今、動物を殺すための施設から生かすための施設への転換を早急に図ることを要望する。
今後、愛知県動物愛護センターがより一層、動物愛護を推進される拠点施設に生まれ変わることを期待する。
《請願関係》
【委員】
新型コロナワクチン接種記録の保存期間延長について、東京都小平市が30年に、千葉県我孫子市が10年に保存期間を延長した。こういった自治体が出てきているのはどのような理由だと考えるのか。
【理事者】
当該自治体に確認してないため分からない。
【委員】
本来であれば、5年間程度の保存期間だが、先日、名古屋市立大学薬学部でワクチン接種後の体調不良が続いている全国患者会のメンバーが学生に対して被害の状況を話した。名古屋市立大学の教授が、今回は少なくとも薬害とされるだろうと発言している。
接種記録については、裁判の証拠書類等で使用されることが考えられる。子宮頸がんワクチンの訴訟も現在行われているが、7年目、8年目でようやく折り返し地点に来ている状態であり、医療訴訟は多くの時間がかかる。昨日、優生保護法で強制不妊手術を受けさせられた人が勝訴し、それはよかったと思っているが、この裁判も結果が出るまで多くの時間がかかっている。
被害者にしっかり寄り添うという意味でも、保存期間を延長することは、行政としての最低限の責務だと思う。仮に、新型コロナワクチンが安全で有効だったと言うのであれば、それを堂々と後世に残せばいいわけであるので実現してほしい。また、県内市町村に対して保存期間が延長されるように働きかけてほしい。
次に、コロナワクチンのロット番号ごとの被害調査について、予防接種健康被害救済制度は患者が申請、副反応疑い報告は医療機関が国に対して報告をするものだが、県内のそれぞれの累計件数を伺う。
【理事者】
予防接種後副反応疑い報告は、予防接種法に基づき、副反応が疑われる症状を被接種者が発症していることを医師が把握した場合に、国への報告を医師に義務づける制度である。
予防接種健康被害救済制度は、予防接種法に基づく制度であるが、予防接種を受けたことにより、健康被害が生じたことを被接種者からの申請を受けて、厚生労働大臣が認定した場合に、医療費、医療手当等が給付される。
本年2月末時点の累計について、予防接種健康被害救済制度は595件、副反応疑い報告は2,315件である。
【委員】
両者の件数には開きがあるため、副反応疑い報告は報告しているが、予防接種健康被害救済制度は申請していないといったケースがあると思う。この二つの制度に関しては、もっと広く周知をしていく必要がある。
次に、「副反応疑い報告で重いと報告された人に、救済制度があることを案内するよう市町村に依頼すること」とあるが、まず、副反応疑い報告のスキームを伺う。
【理事者】
病院もしくは診療所の開設者または医師が予防接種法に基づく予防接種等による副反応と疑われる症状を知った場合に、予防接種法の規定により独立行政法人医薬品医療機器総合機構を通じて、厚生労働省へ副反応疑い報告をする流れである。
副反応疑い報告があった場合は、国から県を通じて被接種者の住民票所在市町村にも情報提供をしている。厚生労働省では、副反応疑い報告を受けて、厚生科学審議会において予防接種の安全性等についての調査、審議をしており、その審議結果は厚生労働省のウェブページで公開している。
【委員】
国から市町村への情報提供は、県を通じて行われており、副反応疑い報告で症状が重いと報告された人に対しては、市町村から救済制度があることを案内するほうが丁寧な対応であり、県が直接案内してもよいと思う。
《一般質問》
【委員】
新型コロナウイルス感染症は4年あまりにわたり各方面に影響を及ぼし、この間、希望者が無料で接種できる特例臨時接種として、新型コロナワクチン接種が行われてきた。
令和5年6月定例議会の本委員会において、現在行われている生後6か月以上の全ての人を対象とした令和5年秋開始接種についても、市町村など関係団体と連携して取り組むよう要望した。新型コロナワクチンの市町村への配分調整、定期的な県と市町村との連絡協議会の開催など、接種を希望する人が速やかに接種できる体制の確保に努めてもらったと認識している。
この特例接種は今月末をもって終了となるが、来年度以降は接種対象者を高齢者などに限定した定期接種となった場合、接種費用は被接種者の自己負担が発生する。昨年12月に標準的な接種費用が国から示されたが、現在、定期接種として実施しているインフルエンザの接種費用と比較して高額となり、被接種者の費用負担が大きくなることが懸念される。
また、新型コロナワクチンには、新型コロナウイルス感染症を発症した場合の重症化を予防する効果がある一方で、予防接種後に副反応を発症する人もいることから、県ではワクチン関連の相談窓口の設置、県独自に新型コロナワクチン副反応等見舞金を創設するなど、ワクチン接種後の副反応で困っている人々に対する救済にも取り組んできた。
特例臨時接種は今月末で終了するものの、予防接種後に副反応を発症する人が4月以降も現れることは当然考えられ、定期接種などで副反応を発症する人も想定されるため、こういった人へのフォローは引き続き必要である。
来年度以降、予防接種後に副反応を発症した人への対応には、どのように取り組むのか。
【理事者】
来年度以降に副反応を発症した人への対応について、新型コロナワクチンの特例臨時接種は今月末をもって終了し、来年度からは秋以降、年1回の定期接種となるが、特例臨時接種終了後も接種後の副反応を疑う症状を示した人への対応を継続していく必要があるため、来年度も、かかりつけ医など身近な医療機関で対応が困難な副反応の症状の人に対して、接種を受けた人が専門的な医療機関を円滑に受診できる体制を引き続き確保するとともに、看護師による電話相談窓口も継続して設置し、ワクチンの副反応等の対応に取り組んでいく。
【委員】
次に、特例臨時接種が終了し、定期接種に移行しても、市町村などの関係団体との連携は引き続き重要だと思う。また、被接種者の自己負担が発生し、インフルエンザと比較して費用負担が大きくなるとも言われている。
定期接種となる来年度以降、市町村などとの連携について、どのように考えているのか、また、市町村が行う接種費用に対して、財政支援が図られるよう国へ働きかけていると思うが、その状況はどうなっているのか。
【理事者】
来年度以降も予防接種健康被害救済制度に係る手続、秋以降に開始が予定される定期接種をはじめとした新型コロナワクチン接種に関する国から発信される情報の共有など、市町村と国のパイプ役としての県の役割は、引き続き重要であると考えている。そのため、これまでの新型コロナワクチン接種事業を通じて構築した市町村との連携体制を維持し、引き続き、ワクチン接種の実施主体である市町村のサポートに努めていきたい。
また、市町村が実施する定期接種の費用は、被接種者の経済的負担の軽減のため、市町村の負担が大きくならないよう、これまで国に対して財政支援を要請してきた。来年度も引き続き、国へ強く働きかけていく。
【委員】
大規模災害時における要配慮者のうち透析患者への対応について伺う。
令和6年能登半島地震や東日本大震災を振り返ると、激甚災害において、要配慮者、例えば、要介護者や妊産婦、透析患者、重症心身障害児者など、日頃から医療的ケアを必要とする人々への円滑な避難が課題として挙げられている。
そうした中、電気と水、そして専用機材を必要とする透析患者は、治療の間隔を空けることが難しいという時間的制約のある中で、早期に専門病院の治療につなぐ必要があると考えている。
2020年の日本透析医学会統計調査報告書によると、2020年時点で、愛知県においては1万9,077人が、石川県においては2,816人が透析治療を行っていた。
日本災害時透析医療協働支援チームの発表によると、令和6年能登半島地震では、360人の透析患者が、かかりつけの透析病院で治療が受けられなかったとのことであるが、先日、その全員が透析治療を受けられるようになったと聞いた。
しかし、今回の能登半島地震では、通信状況が悪く、現地の被災状況の把握に時間がかかり、断水、停電、道路の寸断による状況への対処にも時間がかかったと聞き、広域災害の対応の難しさを改めて認識した。
本県でも半島や離島、山間地域を抱えており、都市部においては液状化などが心配されており、震災が起きる前提で備えなければならない。
震災発生時には、災害本部に透析関係の災害時リエゾンが置かれるとのことであるが、そのリエゾンが状況把握のベースとする諸情報の整備状況について、県としてどのように取り組んでいるのか。
【理事者】
愛知県内における透析医療機関などに関する情報の把握についてだが、県内を地区ごとにグループ分けした透析医療機関の連絡網を愛知県透析医会が構築しており、災害発生時においては、医療機関の被災状況、稼働状況、患者の受入れ可否情報などを集約し、情報共有が図られている。
県として、愛知県透析医会と連携し、情報の把握に努めるとともに、必要な支援対応を適切に行っていく。
【委員】
愛知県透析医会と連携しているとのことであるが、大規模災害により通信や電力がダウンしたときに病院のネットワークが機能するのかについても、令和6年能登半島地震を参考に検討してほしい。
次に、災害救助にあたって、限られたリソースを最大限活用するためには、関係団体と調整の上、事前に患者の優先順位をつけておく必要があるが、実際に災害が起きたら、思い描いたとおりにいかないと思う。救急搬送の急患と時間的制約のある透析患者の移動搬送について、どう折り合いをつけていくのか。
【理事者】
災害発生時における透析患者の搬送については、県が設置する災害対策本部の下に、保健医療調整本部を立ち上げ、災害医療コーディネーターや透析リエゾンと呼ばれる災害時の透析医療に精通した医師、災害派遣医療チームなどの専門家を中心に調整を行っていくこととなる。
透析患者が適切な医療を受けられる地域への搬送を行うことが大変重要となるが、その優先順位については、患者の容態、各医療機関の稼働状況、搬送先と搬送元の距離など、刻々と変化する様々な状況に応じて判断していく。
災害発生時には、限られた医療資源を有効に活用し、県民の命と健康を守れるよう、県として最大限の努力をしていく。
【委員】
圧死や焼死だけでなく、災害関連死を一人でも減らすためには、透析患者の広域搬送をどこまで広域にするのかといった、踏み込んだ議論が必要な時期がきていると思うので、関係団体との関係性をより深くしてもらうよう要望する。
【委員】
あいちアール・ブリュットの取組について、本県では、障害のある人の芸術文化活動を通じて、障害のある人の社会参加の促進と障害への理解を深める取組を進めている。こうした取組は、障害の有無を超えた交流が広がることで相互理解をもたらすとともに、多くの県民に心の豊かさや感動を与えるものである。
昨年10月21日に名古屋市東文化小劇場で開催された、あいちアール・ブリュット展10周年記念式典・公演に、私も福祉医療委員会委員として出席した。その隣の会場である名古屋市民ギャラリー矢田で開催された、あいちアール・ブリュット展10周年記念美術館にも足を運び、作品に触れ、個性豊かで情熱ある作品の数々に感銘を受け、一人でも多くの人に見てもらいたいと思った。障害のある人の作品を発表する機会を設けることも大切だが、多くの人に見てもらうことも重要である。
まず、あいちアール・ブリュットの中心的な取組である、あいちアール・ブリュット展について、2014年の初開催からの10年間で、約6,600点の作品の応募があったとのことだが、あいちアール・ブリュット展のこれまでの来場者は何人か、また、あいちアール・ブリュット展10周年記念美術館の来場者は何人か。
【理事者】
あいちアール・ブリュット展であるが、本県では、2014年10月の初開催以来、名古屋市内において、あいちアール・ブリュット展を例年開催している。これまで開催した10回のあいちアール・ブリュット展には、延べ1万8,572人が来場した。
次に、昨年10月に同じく名古屋市内で開催した作品展、あいちアール・ブリュット展10周年記念美術館には、6日間の開催で延べ674人が来場した。
【委員】
本県では、三河地域の人にも気軽に作品を見てもらえるよう、豊川市においてサテライト展を開催しており、今年度は、みよし市においてもサテライト展が開催された。
また、あいちアール・ブリュット展で優秀作品に選ばれた作品を展示する優秀作品特別展を例年開催している。
サテライト展及び優秀作品展へのこれまでの来場者はそれぞれ何人か。
【理事者】
サテライト展は、2019年度から豊川市において開催しており、これまで開催した5回のサテライト展には、延べ4,848人が来場した。また、今年度は、豊川市に加え、みよし市においてもサテライト展を開催しており、延べ678人が来場した。
優秀作品特別展は、あいちアール・ブリュット展を初開催した2014年から開催しているが、2019年度は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から中止としているので、昨年度までに8回開催しており、延べ9,149人が来場した。
【委員】
多くの人に作品を見てもらい、作品を通して障害のある人の才能に触れてもらったと言えるのではないか。障害のある人の作品が世に出て、多くの人の目に触れ、その才能が発見、発掘されることで、芸術家として活躍する道や、その才能を生かした仕事に就くなど、障害のある人が活躍する場が広がると思う。
豊川信用金庫では、障害のある人と契約し、作品を使って、グッズを作成している。グッズを作成することで、自分の作品が採用されたという自信が生まれ、今後の創作活動の励みになるのではないか。また、障害者アートを知らない人には、グッズを通してその存在を知るきっかけとなり、今以上に障害者アートが広がっていくと思う。
本県においても同様の取組をしていると聞いたが、これまでに何人の作品が採用されたのか、また、どれだけの企業が作品を採用し、何件のグッズが作成されたのか。
【理事者】
本県では、一般社団法人アティックアートと連携し、あいちアール・ブリュット展に出展された作品の中から、企業等のノベルティーグッズを作成する取組を2017年から始めている。
この取組では、これまでに123人の作品が、企業等が作成するノベルティーグッズの原画として採用されている。また、障害のある人の作品を原画に自社のノベルティーグッズを作成した企業数は24社となり、これまでに作成されたノベルティーグッズは280点である。
【委員】
多くの人の作品が原画に採用され、グッズとなり、多くの人の目に触れることで、広がりを見せている。あいちアール・ブリュットの取組は、芸術活動をしている障害のある人に夢や希望を与えるものであるため、作品展を契機に多くの障害のある人が活躍できるよう、今後もしっかりと取り組んでもらうよう要望する。
【委員】
アルツハイマー病の新薬であるレカネマブについて伺う。
現在、国内の認知症患者は600万人以上と推計され、前段階である軽度認知障害を含むと、1,000万人を超えると言われている。今後も高齢化に合わせ、認知症患者の大幅な増加が予想される。
本県においても、あいちオレンジタウン推進計画に基づいて、認知症施策を総合的、計画的に推進するよう、令和6年度予算案に1.9億円を計上している。
そうした中、昨年、アルツハイマー型認知症治療薬のレカネマブが日本で承認された。病気の原因と考えられる脳内の異常物質に直接働きかけて取り除く世界で初めての薬であり、病気の進行を遅らせる効果が期待されている。地元でも新薬に対する期待の声が多くある。
一方、昨年12月13日、レカネマブの薬価が1人当たり年間約298万円と発表され、高額であることが課題である。
公的医療保険が適用されるとのことだが、自己負担は幾らになるのか。また、県の補助があるのか伺う。
【理事者】
レカネマブについては、昨年12月に保険収載された新薬であり、国のガイドラインでは、2週間に1回、点滴により投与することになっている。
薬価は500ミリグラムで11万4,443円であり、体重により投与量が異なるが、例えば、体重50キログラムの人の場合、1回分の相当量が500ミリグラムとなるため、1か月で2回投与となると、倍の金額である22万8,886円となる。
自己負担については、年齢や所得に応じて負担割合が1割から3割までとなるが、例えば、1割負担であれば1か月当たり2万2,888円、2割負担であれば1か月当たり4万5,777円となる。
ただし、医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局で支払う医療費が1か月で上限を超えた場合、高額療養費制度により、例えば、70歳以上で年収が約370万円以下の人であれば、1か月当たりの自己負担額は1万8,000円となる。この場合、1か月の薬価は22万8,886円だが、自己負担額は1万8,000円となる。
今回、保険収載された特定の薬剤に対する県の補助は予定していないため、医療保険制度によって運用されるべきものと考えている。
【委員】
高額療養費制度があるものの、まだ高価であると思うので、県からの補助も検討してほしい。
また、高齢化に合わせて認知症患者の増加が見込まれる中、早期発見、早期対応が可能な体制づくりも必要だと考えている。あいちオレンジタウン推進計画に基づいて、愛知県が率先して認知症の人との共生社会実現に取り組むことを要望する。
次に、本年廃止となる現行の健康保険証に代わり、マイナンバーカードと健康保険証が一体となったマイナ保険証への移行について、政府はマイナ保険証へ移行するために、現行の健康保険証を今年12月2日に廃止することを盛り込んだ政令を閣議決定した。
一方、本年1月19日に行われた厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会の報告によると、マイナ保険証によるオンライン資格確認の利用率は8か月連続で低下しており、昨年12月は4.29パーセントとのことであった。中でも、利用を促進すべき国家公務員の利用率が全国平均を下回っている実態も報告されている。
さらに、先日のNHKの報道によると、本年1月の利用率は全国平均で4.6パーセントであり、都道府県別の利用率が初めて公表され、最も高かったのは鹿児島県の8.4パーセント、最も低かったのは沖縄県の2.3パーセントとのことであった。厚生労働省は、今後、都道府県を対象に説明会を実施して、利用の促進に向けた国の支援策や、利用率が高い地域の取組状況を紹介するなど、普及を急ぐとのことであった。
一方、マイナ保険証の利用に際しては、名前や住所が漢字コードの相違により表示されない、カードリーダーでエラーが出るといったトラブルが生じる、他人の情報がカードにひもづけられるなどの不具合もあると聞いている。
まず、愛知県における最新のマイナ保険証の利用率を伺う。
次に、愛知県内の医療機関窓口でのトラブルについて把握しているのか伺う。
次に、今後、国も普及を急ぐとのことだが、県民に対するマイナ保険証利用促進に向けた取組を検討しているのか伺う。
【理事者】
厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会で本年1月の全国のマイナ保険証の利用率が示され、愛知県内の医療機関、薬局での利用率は3.56パーセントであった。なお、本県の国民健康保険における昨年11月の利用率は4.97パーセントであった。
次に、医療機関窓口でのトラブルについて、県への報告はないが、国は、マイナ保険証として利用登録したにもかかわらず、医療機関の窓口で資格確認ができなかった場合に、3割等の自己負担で保険診療を受けられるための対応策を示した通知を昨年7月に発出し、関係機関に対して周知をしている。
また、マイナ保険証で別人情報がひもづけられていた問題については、保険者による総点検が実施され、ひもづけ誤りの解消を図っている。
国においては、こうしたひもづけ誤りが再発しないよう、申請事務において申請者にマイナンバーを申請、確認してもらうことを徹底するとともに、マイナンバー登録事務に係る横断的なガイドラインを策定するなど、再発防止を図っている。
次に、マイナ保険証の利用促進について、国のリーダーシップの下、地方自治体、医療機関、薬局、保険者、事業主等の関係者が一体となって取り組むこととしている。また、都道府県に対して、今後、マイナ保険証の利用促進に関する説明会を実施し、保険者協議会等の場を活用して、保険者、医療機関等における積極的な取組を促すこととしている。
県としては、3月に開催する保険者協議会において、保険者、医療機関等のそれぞれの取組について情報共有を図ることなどにより、保険者及び医療機関等が連携して、マイナ保険証の利用促進を図っていきたい。
【委員】
3.56パーセントという低利用率の中で、本当に切り替えて大丈夫なのかと思うが、愛知県の考えを伺う。
【理事者】
国が本年1月24日付けで医療保険者等の関係者へマイナ保険証の利用促進に向けたさらなる取組への協力を依頼しており、各医療保険者等において、定期的な進捗確認と対策の見直しというPDCAサイクルに基づく取組を進めていくとしている。
国は、本年5月時点で20パーセント、8月時点で35パーセント、11月時点で50パーセントとなる目標値を設定しているため、各医療機関、保険者等の取組によりこの目標値を達成するように、県としても後押しをしていきたい。
【委員】
マイナ保険証については、1年の経過措置があるとはいえ、健康保険証の廃止は県民にとっても大きな変化であり、年末にかけて混乱が生じるのではないかと懸念している。
愛知県としても実態把握に努めるとともに、基礎自治体のサポートなど、積極的に図るよう要望する。
【委員】
災害時の医薬品の備蓄について伺う。
先月、長野県の福祉関係者とともに、能登半島の社会福祉協議会や避難所で話を聞いてきたが、珠洲市の道の駅すずなりの駐車場では、医療従事者、関係者が集結して、被災者の診療を行っており、そこでは薬局機能を搭載した機動力のある災害対策医療品供給車両のモバイルファーマシー、通称移動薬局車が設置されていた。
岐阜県の薬科大学が1月7日から珠洲市で活動しており、その後、1月14日からは広島県の薬剤師会が引き継いでいる。
モバイルファーマシーは、東日本大震災の際に薬局が津波で流され、薬の供給が止まる問題が発生したことから開発され、医療チームとともに避難所を回り、医師の処方箋が必要な医薬品を薬剤師が車内で薬を調剤して、患者に手渡すなどしている。
避難所等では、水や食料の次に医薬品が必要とされたことから、南海トラフ巨大地震の災害発生時、被災地に駆けつけ、現地の医師や薬剤師等の医療従事者と連携し、医療救護所や避難所等で医薬品を必要とする被災者に医薬品を自律的に調剤して提供するなど、薬局機能を提供できる体制を整備するために導入したとのことである。
モバイルファーマシーは全国で約20台であり、東海地方で保有しているのは、岐阜県、三重県、静岡県で、愛知県は導入していないが、半島や離島のある愛知県で導入していないのは、なぜかと思った。
まず、本県は、災害時に必要な医薬品をどのように確保しているのか伺う。
【理事者】
本県では、災害時の医療救護活動に必要な外傷等に用いる医薬品68品目、それらと併せて使用される医療機器11品目、衛生材料39品目の合計118品目を愛知県医薬品卸協同組合及び中部衛生材料協同組合に委託して、県内15の拠点で備蓄している。
備蓄の数量は、災害発生直後の3日間に必要な約1万2,200人分を通常の備蓄量の約8万4,500人分に上乗せする、いわゆるランニング備蓄方式により約9万6,700人分を確保している。
【委員】
珠洲市で支援を行っていた広島県の薬剤師会の人に聞いたところ、医師の判断なく出せる薬や、医師の処方がないと出せない薬など、様々な医薬品があり、すぐに医薬品が被災者に供給できない場合もあるため、現場で生産して出せるものは、そこで出せるようにすることが一番よいとのことであった。
災害時には、外傷用の医薬品以外の医薬品や医療機器等も必要だが、どのように確保するのか。
【理事者】
東日本大震災では高血圧や糖尿病等の慢性疾患の治療薬が不足した問題が挙げられたことから、委託による備蓄に加え、より幅広い種類の医薬品等を災害時に速やかに供給できる体制を確保するため、愛知県医薬品卸協同組合及び中部衛生材料協同組合と協定を締結するとともに、医療機器については愛知県医療機器販売業協会と協定を締結している。
そのほかにも、医療用ガスについては、日本産業・医療ガス協会東海地域本部、歯科用品は東海歯科用品商協同組合愛知県支部とそれぞれ協定を締結し、災害時に速やかに供給できる体制を確保している。
【委員】
医薬品、衛生材料は、県内各地の薬品会社やセンターなどに備蓄していると聞いたが、その拠点から被災地まで、どのように運搬するのか。
【理事者】
各地域の医療機関、救護所等で医薬品が不足した場合には、まず、その地域の医薬品卸商に注文してもらうことになる。それで供給できない場合は、保健所における地域医療対策会議において調整し、それでも調整がつかない場合は、県の災害対策本部の下にある保健医療調整本部において調整を行い、先ほどの医薬品卸協同組合または中部衛生材料協同組合に県から必要な医薬品等の供給を指示することで、備蓄拠点から搬送される。
【委員】
今回の能登半島地震で課題となったのは、道路が分断、倒壊したことによって、物資が運搬できなかったことや、災害初期の救急に必要な医薬品は災害派遣医療チーム(DMAT)も持参しているが、それにも限りがあり、不足する医薬品を入手するルートが特になかったこと、避難所生活が長引くと、糖尿病などの慢性疾患の薬が切れる可能性が高いこと、高齢者が多いこともあり、特に珠洲市は65歳以上が50パーセントを超えているため、糖尿病の薬が不足しがちであったことが挙げられる。
そういったときに薬を被災者がもらいに行くことが難しい状況にあり、仮に拠点や医療救護所に搬入したとしても、取りに行くことができない状況が発生したため、今後、自治体と県で協議しながら、各避難所を巡回することができるかといった行政が把握しづらいことを今のうちに自治体と一緒になって考えてほしい。
次に、大地震などの災害時に看護職能団体の一員として、被災した看護職の心身の負担を軽減し、支えるように努めるとともに、被災者が健康レベルを維持できるように被災地で適切な医療や介護を提供する役割を担う看護職の災害支援ナースについて伺う。
現在は、日本看護協会などが研修や派遣をしているが、厚生労働省は改正医療法の本年4月施行に合わせて、災害・感染症医療業務従事者として法制化することによって、国が養成や登録、管理を担って、現場で安定的に活動できる環境を整備することになる。この派遣費用は都道府県などの公的負担になり、過去の災害や今回の能登半島地震でも、3月12日までに延べ約3,000人の看護師が派遣されている。これまで法的根拠がなかった中での活動ということで課題となっていたが、本年4月からは法律に基づく業務となり、事故の補償などの面がより改善されるほか、派遣の調整の円滑化が期待される。
災害支援ナースは、1995年の阪神大震災をきっかけに整備され、被災した医療機関での看護業務や、避難所の感染症対策、被災者の台帳管理などを行う重要な役割である。
愛知県看護協会で聞いたところ、愛知県の看護師は意識が高く、これまでに300人が研修を修了して、災害支援ナースとして登録されているとのことである。
今後、災害支援ナースの派遣は、県が調整役となって動いていくと思うが、今後の研修や教育、また、派遣するにあたっての備品、ビブスなどの物品の供給や協定、派遣するときの移動手段など、様々な準備が必要だと思うが、現在どこまで進んでいるのか。
【理事者】
能登半島地震に派遣された災害支援ナースは、看護協会独自の取組としてボランティアの位置づけで派遣しており、登録や派遣調整などは看護協会において行われている。本年4月からは、災害支援ナースの仕組みが変更され、改正医療法に基づく災害・感染症医療従事者として、法的な位置づけが与えられる。
制度改正後に、新たな災害支援ナースとして登録し、活動するためには、愛知県看護協会が開催する災害支援ナース養成研修の受講と、県と研修を受講した看護師が所属する医療機関との間で協定を締結することが必要となる。
養成研修は、愛知県看護協会において、今年度は、昨年9月から本年1月にかけて開催され、41医療機関、87人が受講した。また、協定は、受講者が所属する医療機関と本年4月1日付けで締結する予定であり、現在準備を進めている。
【委員】
災害支援ナースの派遣調整はどのように行われるのか。
【理事者】
今回の能登半島地震における災害支援ナースの派遣は、公益社団法人日本看護協会が国から要請を受け、各都道府県の看護協会に派遣要請をしたものである。愛知県内の派遣調整は、愛知県看護協会が派遣調整を担っている。
本年4月からの新制度での災害支援ナースの派遣調整は県が主体となって行うことになるが、運用の方法は、国による制度設計を注視するとともに、他の都道府県の対応状況を確認しながら、コーディネーターの配置の必要性なども含め、検討していきたい。
【委員】
能登半島の地震では、看護師等の派遣依頼があったものの、移動手段の確保が困難であったと聞いたが、本年4月以降、移動手段の確保はどう考えているのか。
【理事者】
災害支援ナースの移動手段の確保や現地の宿泊場所といった後方支援は大変重要だと考えている。法制化により県が派遣の主体となったことに伴い、被災地の状況やニーズに合わせて、スムーズに移動手段の確保ができるよう、看護協会などの関係機関と連携をしながら、しっかり検討をしていきたい。
【委員】
能登半島地震では、DMATが現地入りする際には、車で通れる道がなく、自衛隊に先導してもらったと聞いた。災害支援ナースを派遣するための移動手段も確保し、また、災害支援ナースのコーディネーターは看護師としたほうがよいと思う。
今後、関係団体と十分に話合いをしながら、南海トラフ巨大地震が起こったときのことも考えて、取り組んでほしい。
【委員】
2006年に制定されたバリアフリー新法は、交通バリアフリー法とハートビル法を合わせたもので、公共施設や公共交通機関に加え、都市公園、駅を中心とした地区などにもバリアフリー化を促進するものである。
バリアフリー新法によって、銀行やショッピングセンターをはじめ、一定以上の広さの敷地を持つ民間の駐車場にも、障害者用の駐車場設置の義務化が決まり、バリアフリー新法に基づいて、全国の公共施設や公共交通機関のバリアフリー化が進められ、体に障害があっても一人で安心して出かけられる環境が整いつつある。
公共施設や商業施設で目にする車椅子マークは、1969年に開催された国際リハビリテーション協会の総会で採択されたマークであり、日本では1981年の国際障害者年をきっかけに広まるようになった。
車椅子マークはあくまでも通称であり、正式には国際シンボルマークと呼ばれ、世界共通のシンボルマークである。国際シンボルマークは障害者に対する理解と共感を促進するために使われており、このマークのある建物は、障害者が利用できる建物や施設であることを示している。
障害のある人などが利用するための駐車場には、車椅子マークを表示することとされているが、車椅子マークがあることによって、車椅子利用者しか障害者用駐車場を利用できないと思われがちである。
障害者用駐車場は、車椅子使用者に限らず、全ての障害のある人のほか、高齢者や妊産婦、けが人など、移動に支障があり、配慮が必要な人も利用することができるが、これらの人も駐車できることを示す表示がないため、障害者用駐車場を利用しにくい、利用できることを知らない人がいる。
まずは、公共施設において率先して取組を進めることで、障害者用駐車場の適正利用を進めるべきだと考えるが、障害者用駐車場を車椅子使用者以外の障害のある人や、高齢者、妊産婦等にも利用してもらえるよう、現在、県はどのような取組をしているのか。
【理事者】
本県では、障害者用駐車場の適正利用を進めるため、昨年3月に啓発用のウェブページを作成したほか、啓発用ポスターを作成し市町村などに配布し、県民の目に触れる機会の多い公共施設に掲示してもらうといった協力を依頼している。
また、県の本庁舎をはじめ、県有施設の障害者用駐車場に、全ての障害のある人のほか、高齢者や妊娠中の人なども利用できる駐車スペースであることを図やマークを使って分かりやすく表示した看板を設置する取組を行っている。
【委員】
先日、北名古屋市総合体育館に行ったとき、身障者用駐車場に、障害のある人、妊娠中の人、身体内部に障害のある人、高齢の人なども利用できることが書かれた大きな看板が設置されており、誰がこの駐車場を利用してよいのかが、ピクトグラムで表示され、大変分かりやすかった。
また、近所のショッピングセンターでは、車椅子の人の駐車場と、車椅子は使わないものの、移動に支障があり、配慮が必要な人などの利用を示す区画が分かるようになっていた。看板も分かりやすく見える化されており、おもいやり駐車場という名前がつけられていた。
この二つの例が示すように、看板で示されたほうが自分も利用できることが分かり、近くを通った市民には、この駐車場はこういった人が利用するために設置されていることが、すぐに理解できるようになっていた。
一方で、こうした表示がされていない市町村の施設もあり、県内在住の全ての利用対象者が障害者用駐車場を適切に利用するには、市町村に対してポスターを配布することに加えて、分かりやすい表示を促すような啓発活動が必要ではないのか。
また、適正利用を進めるには、公共施設に対する啓発に加え、県民に対しても車椅子使用者以外の人でも優先的に駐車ができる人がいることを正しく理解してもらうことが重要である。
他県では、利用できる対象者に申請してもらい、専用のステッカーを配布するといった制度を導入している事例もある。
市町村によって障害者用駐車場の適正利用の取組に差があると思うが、今後、どのように普及啓発を進めていくのか。
また、県民への理解をより一層促進するために、今後、どのように普及啓発を行っていくのか。
【理事者】
障害者用駐車場を利用できる全ての対象となる人が県内全ての地域において当該駐車場を適切に利用できるよう、環境を整備することが重要である。このため、市町村に対し、啓発用ポスターの掲示を依頼するだけではなく、障害者用駐車場を利用することができる人を分かりやすく表示する取組を進めてもらえるよう、本県における取組や、市町村の先進事例を紹介していく。
また、施設側の環境整備を進めるとともに、県民に車椅子利用者専用の駐車スペースではないことを広く周知していくことも重要であると考えている。このため、啓発用ポスターがより多くの人の目にとどまるよう、本県と協定を締結している商業施設などに対し、ポスターの掲示をお願いする。
今後も、障害者用駐車場の適正利用が図られるよう、周知啓発に努めていく。
【委員】
県と協定を締結している商業施設などに掲示をお願いしていくとのことであったが、今後も、様々なチャネルを利用して、障害者用駐車場を利用する人と、どのような人が利用できるかを理解してもらいたい人の両方に普及啓発をしてほしい。
具体的には、障害者用駐車場の設置者に、北名古屋市のように分かりやすい看板の設置を働きかけてほしい。また、可能であれば、病院や福祉施設、包括支援センター、運転免許試験場など、障害者用駐車場を利用する人が多く集まるような場所を研究し、ポスター等を用いて多くの人の目に触れる場所での普及啓発をお願いしたい。
次に、医療的ケア児の支援について、医療的ケア児とは、医学の進歩等を背景として、新生児集中治療室(NICU)等に長期間入院した後、引き続き、人工呼吸器や胃ろうなどを使用し、たんの吸引や経管栄養等の医療的ケアが日常的に必要な状態にある障害児や重症心身障害者であり、全国に約2万人いると推計されている。
国会において、超党派で結成された医療的ケア児の支援の法制化を目的とする議員連盟、永田町子ども未来会議が5年かけて法律案をまとめ、令和3年6月11日に議員立法による医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律、いわゆる医療的ケア児支援法が成立し、令和3年9月18日に施行された。法施行により潜在化していた様々な医療的ケア児の育ちの支援と家族への支援の課題が浮き彫りになり、地域で様々な議論がスタートした。
この法律の施行を受けて、昨年度、愛知県では県内の医療的ケア児への支援に対する中核的機能を持つ基幹支援センターと、それぞれの地域等の事情に応じた支援を行う地域支援センターを県内に合計7か所に設置した。
医療的ケア児支援センターでは、本人やその家族をはじめとし、保育所や幼稚園、学校、医療機関、訪問看護ステーション、ヘルパー事業所、児童発達支援事業所、行政など、支援に関係する様々な人からの相談に応じている。短期的な預かりサービスが利用できる事業所の情報など、医療的ケア児やその家族に対して、医療や福祉に関する情報を提供し、相談に応じている。
また、医療的ケア児等コーディネーターにより、実際に各種の支援をコーディネート、分かりやすく言えば、多職種連携を図りながら、子供と家族をサポートする役割を担ってもらっている。医療的ケア児等コーディネーターは、医療的ケア児等に関する専門的な知識を持ち、医療、福祉、教育など関係機関との調整を行うことにより、医療的ケア児やその家庭への支援を行っている。このコーディネーターに対しては、都道府県及び政令都市が養成研修を実施している。主な受講者は、相談支援専門員、市町村保健師、訪問看護師、行政職員などである。
その実態や課題について、まずは、医療的ケア児がどこにいるかの把握が必要であり、その実態、支援の方法や内容が適切に行われているかなど、実態の把握が必要だと思うが、今後の医療的ケア児の実態把握をどのように考えているのか。
【理事者】
医療的ケア児とその家族の生活状況や支援ニーズを調査し、今後の施策や支援体制整備に必要な措置を講ずるための基礎資料とするため、本県では令和元年度に医療的ケア児者実態調査を行い、その後、令和3年9月に医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、地方公共団体は自主的かつ主体的に医療的ケア児及びその家族に対する支援に係る施策を実施する責務を有することとされた。
医療的ケア児が地域で必要な支援を受けられるようにするには、まず、医療的ケア児に一番近い基礎自治体である市町村が前もって医療的ケア児を把握することが、今後、より重要となる。そのため、現在は、愛知県障害者自立支援協議会の医療的ケア児支援部会において、市町村による医療的ケア児の実態把握の方法や内容について議論している。
ここでの議論を踏まえ、今後、市町村の協力を得ながら、全県的な実態把握の実施に向けて検討していきたい。
【委員】
新潟医療福祉大学看護学部の松井由美子氏の厚生労働省医療的ケア児者とその家族の生活実態調査報告書の結果の考察とその後の法的支援についてという記事を目にした。
少子化の流れの中で、医療的ケア児の増加は、より一層加速していくことが分かっており、医療的ケア児が増加している背景については低出生体重児の増加がある。その要因として、若年女性のやせ願望、晩婚高齢出産の増加、多胎での出生の増加、妊婦健診の未受診といった社会的要因と、新生児管理の進歩によるハイリスク妊婦の分娩時期の早期選択も関与している可能性があると述べられている。
私たちの周りでも、国民の生活実態の変化から医療的ケア児が増えている現状があり、誰しもが目を背けてはならないことだと思う。
先日、近所の家庭から、昨年4月に医療的ケア児の息子を小学校に入学させた際の話を聞く機会があった。内容は割愛するが、ケア児の受入れに多くの関係者の努力があったとのことである。また、家庭にはいまだに多くの苦労があること、かなえてほしい課題があることなど、様々な話を聞いた。
先ほどの松井由美子氏の記事によると、家族の抱える生活上の悩みや不安等についての状況を尋ねたところ、当てはまる、まあ当てはまるの合計の割合は、慢性的な睡眠不足であるが71.1パーセント、いつまで続くか分からない日々に強い不安を感じるが70.4パーセント、自らの体調悪化時に医療機関を受診できないが69.7パーセント、日々の生活は緊張の連続であるが68.0パーセント、全て6割を超える高い割合を示している。日々の生活は緊張の連続で、睡眠不足であり、不安を感じている様子がわかる。
また、家族が日々の生活で行いたいことは、家族一緒に外出や旅行をしたいが96.8パーセント、自分のための時間を持つが96.7パーセント、家中の掃除をするが95.1パーセント、健康診断にいくが94.8パーセント、趣味を楽しむが94.4パーセントと、いずれも90パーセントを超え、全ての家族の切実な願いが伝わってくる。
外出や旅行はもちろん、自分のための時間や健康診断にも行けないという状況には、看護職員の派遣やレスパイトケアの確保は有効と考えられ、一日も早いサービスの拡大が望まれる。
設置から2年が経過しようとしているが、医療的ケア児支援センターや医療的ケア児等コーディネーターの活動の状況には課題が見えてきているか気になるところである。
そこで、医療的ケア児支援センターの活動の中で見えてきた課題はどのようなものか、また、その課題に対してどのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
昨年度に、本県が医療的ケア児支援センターを設置してから2年が経過しようとしている。設置から各支援センターにおいて相談対応、人材育成、情報収集及び発信、関係機関連携に取り組んできた。こうした取組の中で見えてきた課題としては、各地域に配置をしている医療的ケア児等コーディネーターのスキルアップと、医療、保健、保育、教育、福祉などの地域の支援者の関係づくりがある。
本県では、医療的ケア児等コーディネーター養成研修を開催しており、昨年4月現在、326人のコーディネーターが県内に配置されている。しかし、医療的ケア児に関する相談内容は個別性が高く、困難なケースも多いため、対応には高い能力が求められる。そのため、コーディネーターの質の確保も大変重要である。
そこで、現任のコーディネーターのスキルアップのため、7か所ある医療的ケア児支援センターごとに、担当する圏域のフォローアップ研修を本年度から開催をしたところであり、7回で延べ129人が参加した。
また、コーディネーターに求められる役割は、医療的ケア児に寄り添い、そのニーズを酌み取り、適切な支援者につなぐことであるが、そのためには地域の支援者の協力関係の構築が非常に重要である。地域によっては、こうした協力関係の構築が十分でないところもあるため、センターでは支援者を集めて会議や研修を開催するなど、地域の支援者間の関係づくりにつながる取組を進めている。
今後も、医療的ケア児支援センターを中心に、こうした取組を続けていくことにより、医療的ケア児を地域で支援できる体制づくりを進めていく。
【委員】
2022年3月に医療的ケア児と家族らをつなぐネットワークとして、全国医療的ケアラインが発足され、昨年11月に全国フォーラムが開催され、支援の現状や今後の課題などが協議された。
全国医療的ケアラインのアンケートに基づき、短期入所、防災、学校の三つのサークルの代表者が活動発表を行った。
そのうち、短期入所について、短期入所が思うように利用できない実態があること、短期入所を利用する最も重要度の高い理由では親の休息が3割を占め、次に、兄弟の行事、親の仕事、用事が続く。実際に利用できているのは55パーセントにとどまっているとのアンケート結果がある。
医療的ケア児に24時間追われる母親の多くが、睡眠不足や慢性疲労による生活への深刻な影響を与えている中で、サービスを利用できる環境づくりは待ったなしの状況である。
実態調査をするとのことであるため、その結果を基に、医療的ケア児や家族に寄り添った支援体制の強化をお願いする。
【委員】
戦後の混乱期に戦後遺児・孤児のためにできた児童相談所は、立法事実がもう既に消滅しているが、DVや児童虐待といった問題により、時代の変遷とともに拡大解釈されている。
児童相談所は、隔離された施設で強制医療が行われてはいけないものであり、例えば、子供が少し暴れただけで、施設の中で向精神薬を打たされる、飲まされるといった事例や、また、無理やり新型コロナワクチンを打たされたといった事例も聞いている。
私もメンバーであるが、児童相談所問題等対策協議会には、個別の相談も増えている。
まず、本県において、新型コロナワクチンを打たされたといった事例があったのか伺う。
【理事者】
予防接種実施規則では、あらかじめ被接種者又はその保護者に対して、予防接種の有効性や安全性、副反応について理解を得るよう、適切な説明を行い、文書により同意を得なければならないとされている。
このため、児童養護施設などに入所する子供への予防接種にあたっては、保護者に説明し、文書による同意を得た場合に限って接種を行っている。
【委員】
今回のコロナ騒動では、法律上、新型コロナワクチン接種が努力義務という形で課せられたため、ワクチンを打たせない保護者に対して、それは虐待だと指摘をする医者もいる。
また、子供にワクチンを打たせたくないが、施設に対して、打たないことがマイナス評価となることを恐れて、強く言えなかったといった話もある。
保護者がワクチン接種に同意しないことは、医療ネグレクトに当たらないと思うが、そのような理解でよいのか。
【理事者】
国の通知によれば、医療ネグレクトとは、保護者が子供に必要とされる医療を受けさせないことにより子供の生命・身体に重大な影響があると考えられるもので、保護者の同意が得られないため、医療機関が必要な医療行為を行うことができない場合を対象としている。
国の通知を踏まえると、副反応などを心配する保護者がワクチン接種に同意しないことのみをもって直ちに医療ネグレクトに該当するとは言えないと考えている。
【委員】
保護者が同意したものの、入所している子供が接種を拒否した場合には、ワクチン接種は強制されないという理解でよいか。
【理事者】
保護者の同意は得ている一方、子供が接種を拒否している場合は、子供の意向を保護者と共有した上で、子供の意思を尊重しながら、接種を受けるかどうか、双方の理解と合意を図っている。
なお、接種を受ける子供に対しては、年齢や発達の特性、既往歴などを十分考慮し、ワクチンの効果や副反応について丁寧な情報提供を行っている。
【委員】
医療を受けるかどうかは、憲法第13条の身体の自由により保障されていると思うので、子供であったとしても、ワクチン接種を拒否したい場合は、拒否できると思うが、明確な答弁をお願いする。
【理事者】
子供の意思の尊重が大変重要である一方、保護者が接種に同意している現状もあるため、双方の意見を調整しながら、どちらが適切かを双方に検討してもらった上で、判断してもらうこととしている。
【委員】
今回のコロナ騒動において、妊婦がPCR検査で陽性になったら、即、帝王切開するといった運用をしている病院がいまだにある。
また、先日、知人の地方議員が質問していたが、いまだに妊産婦に対してマスクをさせている病院がある。妊婦が命がけの出産という行為をしているときに、ただの風邪対策として、病院がマスク着用を強要するのは罪深い。
そういった背景もあり、普通の分娩を県民にさせてあげないといけないと私は思っている。
まず、帝王切開の状況、県内の分娩数、帝王切開の数、分娩に占める帝王切開の率の推移を伺う。
また、事前に提供された資料によると、分娩に占める帝王切開の率が、年々1パーセントずつ上がっているが、その要因について、県としてどのように考えているのか。
【理事者】
県内の分娩取扱施設である病院、診療所、助産所に対して調査した結果によると、分娩数は、2013年度が6万4,274件、2022年度が5万1,378件で1万2,896件の減、帝王切開の数は、2013年度が1万3,687件、2022年度が1万2,852件で835件の減、帝王切開の分娩数に占める率は、2013年度が21.3パーセント、2022年度が25.0パーセントで3.7ポイントの増である。
次に、分娩に占める帝王切開の率が上昇している要因であるが、帝王切開を行うかどうかは、医師の判断や、医師の説明を受けた本人や家族の意向により決定されるものであり、帝王切開の率が上昇していることは、県として要因の分析はしてない。
【委員】
助産所や助産師の数の推移を伺う。
また、事前に提供された資料によると、助産所と就業助産師の数が両方増加傾向であるが、その詳細と増加要因について伺う。
【理事者】
助産所の数であるが、医務課においては、毎年10月1日現在の県内助産所の数を把握しており、2013年は166か所であったが、昨年には251か所となっており、10年間で85施設の増加である。
次に、助産師の数であるが、保健師助産師看護師法の規定に基づき、2年に1度、提出してもらっている業務従事者届により、12月31日現在の従事者数を把握している。この届出によると、2012年は1,906人であったが、2022年は2,334人となっており、10年間で428人の増加である。
助産師の数の増加について、県として直接的な要因分析は行っていないが、助産師に関するこの統計データを見ると、まず、新規に助産師になる人、助産師の国家試験の合格者は、直近で2023年の2,093人であり、10年前の2013年の2,072人に比べ、大きく増加している状況ではない。一方で、保健師助産師看護師法第33条に基づき、業務従事者届の直近のデータによると、55歳以上の人の割合が17.82パーセントとなっており、10年前の2012年における12.43パーセントと比べ、約5パーセント増加している。このことから、助産師として長く活躍している人が多くなっていることが増加の要因ではないかと考えている。
助産所の増加の要因についても、県として直接的な要因分析は行っていない。
【委員】
助産師、助産所が増えているにもかかわらず、帝王切開の率が増えているのは不思議だと思うがどうか。
【理事者】
帝王切開の率が上昇している要因であるが、医療行為である帝王切開を行うかどうかは、医師の判断や、医師の説明を受けた本人や家族の意向により決定されるものであるため、現時点で、県として要因の分析はしていない。
【委員】
助産師は、字のごとく、妊婦が自分の力で産むのを助けることが役割だと思う。
近代医療や若い人の意識だと、出産が、すぐに産婦人科に行くべきもの、医療行為だと想像して、産むことに対して大変だというイメージにどうしてもなってしまうことが一つの少子化の要因ではないかと思う。
岡崎市には、近代医療に疑問を持ち、自然分娩を勧めている旧吉村医院があり、そのドキュメンタリー映画では、自然分娩で、するっと生まれるが、妊婦にとってすごい喜びである。一般的なイメージと真逆の世界観である。
自然な出産をもっと推奨すべきであり、それに対して準備が必要であるため、妊娠してからでは遅い。妊娠する前、若いときから、健康づくりや物の考え方、食生活といった準備をしていかなければならない。
最終的に医療分娩となることに対して、良し悪しを言うつもりはないが、基本的に自然分娩をする。女性には産む力をつけてもらうために、行政からしっかり推奨、啓発していくことが必要だと思う。
そういった助産所に対して、県としてどのような支援を行うのか。
【理事者】
助産所を含む分娩取扱施設が行う分娩室、病室、入所室等の施設整備、分娩台、超音波画像診断装置、保育器などの設備整備に対し、分娩取扱施設整備費補助金による財政支援を行っている。
【委員】
助産師、助産所が増えていることは、喜ばしいことだと思っているので、若い人にも自然分娩の魅力を伝えてほしい。
次に、新型コロナワクチンの内容物の検査について、モデルナ社製の新型コロナワクチンに異物が混入された事案を受けて、厚生労働省が国立医薬品食品衛生研究所に調査を依頼した。武田薬品工業株式会社からも異物が混入されたロットのワクチンバイアルの提供を受けるといった調査が進められており、論文にもなっているが、ここで使われている機材、光学顕微鏡や、エネルギー分散型Ⅹ線回折装置附属走査型電子顕微鏡、デジタルマイクロスコープといったものがあれば、県としてもワクチンの内容物の調査ができると思う。
超過死亡が40万人発生していて、後遺症の人は数百万人と推計されているが、国が新型コロナワクチンに関してしっかり調査を行わないのであれば、各自治体が内容物について調べないと、地域を守れない。
国立医薬品食品衛生研究所が行った調査を県でもできるように体制を構築してほしいが、その機材があるのかと、調査の意向について伺う。
【理事者】
薬学雑誌2022年142巻8号に掲載された国立医薬品食品衛生研究所の報告、モデルナ社の新型コロナワクチンに混入した異物に関する調査において、ワクチン内の異物検査の目的で、デジタルマイクロスコープ、光学顕微鏡及びエネルギー分散型Ⅹ線回折装置附属走査型電子顕微鏡が使用されている。
これらの分析機器のうち、愛知県衛生研究所では光学顕微鏡は保有しているが、それ以外の2機器は保有してない。
また、愛知県衛生研究所は、県民の公衆衛生向上に寄与することを目的に、科学的かつ技術的中核機関として、調査研究、試験検査、研修指導及び公衆衛生情報の収集、解析、発信等を行っている。試験検査については、検査結果の同一性を担保するため、妥当性等が確認された検査方法、いわゆる公定法が定められており、食品や水、医薬品等については、その安全性の確認のため、公定法に基づき検査している。新型コロナワクチンの内容物の検査については、公定法が定められていないため、愛知県衛生研究所において対応することは困難である。
【理事者】
愛知県がんセンターでは、光学顕微鏡を所有している。
なお、愛知県がんセンターは、がんの治療及び研究を行う総合がんセンターであり、新型コロナウイルス感染症は、がんではないため、がんセンターの所管範囲外であり、新型コロナワクチンの検査体制を持つことは考えてない。
【委員】
愛知県がんセンターの元職員の京都大学の福島雅典名誉教授のコロナワクチン後遺症の真実という文藝春秋の記事に、日本国内において新型コロナワクチン接種後、急に発症するなど、医学学会で報告や検討された疾患といって、たくさんの症例が一覧表に出ている。
私が今回着目したのが愛知県指定難病受給者証の疾病別の一覧であり、これは指定難病の人が保健所を通じて受給者証を発行してもらうものであるが、10万人、100万人に1人といった疾病が国で指定をされている。
まず、新型コロナワクチン接種前後で、どの疾病が顕著に増加しているのか伺う。
【理事者】
新型コロナワクチン接種前の2019年度末と直近の2022年度末の愛知県所管の受給者数を比較すると、受給者数全体が3年間で113パーセントと増加しており、顕著に増加している疾患は、受給者全体3万2,818人の約1パーセント、300人に満たない非常に少ない疾患を除き、好酸球性副鼻くう炎が218人から569人と351人、261パーセントの増、シェーグレン症候群が221人から346人と125人、157パーセントの増、一次性ネフローゼ症候群が368人から535人と167人、145パーセントの増、IgA腎症が299人から415人と116人、139パーセントの増、多発性嚢胞腎が322人から419人、130パーセントの増である。
【委員】
特定疾患の増加要因を伺う。
【理事者】
難病は発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない希少な疾病であり、国の研究班において難病の個々の疾患における実態把握や、治療方法の開発、病気の原因、病態の解明などの研究が行われている。
県としては、増加要因の分析を行っていないが、国が行う研究に活用できるよう、難病患者のデータを提供している。
【委員】
私も突合してみたが、例えば、全身性エリテマトーや皮膚筋炎、多発性筋炎、自己免疫疾患、IgA腎症、特発性間質性肺炎、潰瘍性大腸炎といった疾病が顕著に増加している。
新型コロナワクチン接種後の数年間で、10万人、100万人に1人しか起きないような症状が激増している。私は新型コロナワクチンが原因であると断定しているが、何かが起きないと、こんなことにはならない。
私の目だけでなく、県でも突合してほしい。医療政策を考えていく力は、県庁には十分にある。愛知県がんセンターもあり、医師資格を持った職員もいるため、ぜひお願いしたい。
県内で、新型コロナワクチン後遺症、新型コロナワクチン接種後の副反応に対して、11の協力専門医療機関がある。そこからの毎月の報告書を確認したところ、明確に新型コロナワクチン接種と健康被害との因果関係があるとしている報告もあった。
このことについて、県として今後の施策にどのように生かしていくのか。
【理事者】
県では、新型コロナワクチン接種後、副反応を疑う症状を示した人への対応として、かかりつけ医など身近な医療機関では対応が困難な副反応の症状に対し、接種を受けた人が専門的な医療機関を円滑に受診できるよう、専門的な医療機関の協力を得て、相談窓口を設置、運営をしている。
国においても、新型コロナワクチン接種後の副反応等による健康被害は極めてまれだが、不可避的に生ずるものであるとの見解を示しており、県としては、副反応を疑う症状について、専門的な医療機関を円滑に受診できる体制を引き続き確保する必要がある。
そこで、本年3月までの特例臨時接種終了後も副反応等への対応に資するため、来年度も、専門的な医療機関による相談窓口を継続して設置、運営をする。
【委員】
先日、県が発表した新型コロナウイルス罹患後症状実態調査について、LINE公式アカウント登録者を調査対象者としているが、新型コロナウイルス感染症の後遺症と報道されている。それは間違いで、99パーセントが新型コロナワクチンの後遺症であり、そこがしっかり県民に伝わらないと、真逆の方向に話が行ってしまうため懸念している。
新型コロナウイルス感染症の後遺症なのか、新型コロナワクチンの後遺症なのか、新型コロナワクチンによる後遺症の患者はS抗体が非常に高くN抗体が逆に少ないという特徴があるはずであるが、どのような調査なのか。
【理事者】
罹患後の後遺症の99パーセントが新型コロナワクチンの後遺症であることは承知していないが、新型コロナウイルス感染症の罹患後の後遺症について、世界保健機関(WHO)が、症状が少なくとも2か月以上続き、ほかの疾患による症状として説明がつかないもので、通常は新型コロナウイルス感染症の発症から3か月たった時点にも見られる症状を後遺症と定義している。
そのため、この定義に該当する場合を罹患後の後遺症と分類し、新たな課題でもある罹患後の後遺症を丁寧に把握するため、来年度、実態調査を行っていく。
【委員】
海外の論文には、ワクチンの副作用は複数の疾患が同時に起こるとある。先ほどの指定難病の一覧のとおり10万人、100万人に1人しか起きないような疾病が、こんな短期間で急激に増えており、医師も見たことがない症例がたくさん出ている。
やはり、N抗体、S抗体を調べないと、新型コロナワクチンの副作用なのか、新型コロナウイルスの後遺症なのか判別がつかず、意味のない調査となる。新型コロナウイルスの後遺症であると、県民に対して変なプロパガンダをしないでほしい。
現在、インフルエンザがはやっていると言われているが、皆、普通の風邪を忘れてしまったのではと思う。
先ほど改めて確認したが、日本呼吸器学会のホームページでは、風邪症候群の原因微生物は、80パーセントから90パーセントがウイルスであり、主な原因ウイルスとしては、ライノウイルス、コロナウイルスが多く、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルスなどが続く。ウイルス以外では、一般細菌や肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミドフィラなど特殊な細菌も原因となるが、ライノウイルスの次に出てきているコロナウイルスは、従来型のものである。
病院で受診すると、すぐに新型コロナウイルス検査とインフルエンザの検査を受けさせられ、両方とも陽性となるケースもあり、何のための検査なのか分からない。
まず、新型コロナウイルス感染症、インフルエンザと風邪との違いは何かを伺う。
【理事者】
医療機関での受診については、患者の病気を診断し、適切な治療を行うため、医師の判断で必要な診療、検査等が行われていると承知している。
新型コロナウイルス感染症、インフルエンザと風邪の違いについて、風邪は、鼻や喉の急性炎症の総称であり、原因となる病原体の80パーセントから90パーセントは200種類以上のウイルスであるため、対症療法が主な治療方法となる。その中でも、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症は高熱が出るなど症状が重く、感染力が強く、適切な対応を行うために検査を行う必要がある。
インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気で、治療には、対症療法と併せて、抗インフルエンザ薬を使用する。
新型コロナウイルス感染症は、新型コロナウイルスの一つであるSARS-
CoV-2に感染することで発症するウイルス感染症であり、治療としては対症療法が中心だが、重症化リスクのある人には、新型コロナウイルス感染症治療薬が使用される。
【理事者】
がんセンターを受診した患者が新型コロナウイルス感染症や季節性インフルエンザを疑われる場合などは検査を行い、検査結果、自覚症状、周囲の感染状況などを基に医師が総合的に判断している。
また、感染対応の観点からの新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの違いについて、季節性インフルエンザは発症時にウイルス排出量が最大となることに対し、新型コロナウイルスは発症する1日前にウイルス排出量が最大となるなどの違いがある。
【委員】
日本呼吸器学会のホームページには、風邪症候群の原因に新型コロナウイルスは書かれていないが、PCR検査はライノウイルスやRSウイルスまでも疑陽性としてしまう。PCR検査は水やパイナップルといったものでも陽性となる検査であり、臨床診断では使ってはいけないことが試薬にも書かれている。しかも、国立感染症研究所の脇田隆字所長がそれだけを取り出して分離していないと発言している。つまり、分離・同定していない、何か分からないウイルスに対して、ずっと怖がっており、実際の症状を見たら、風邪と全く一緒である。
そういった認識を持たないと、いつまでも何か分からないものに対して、行政が振り回しているため、しっかり物事の分別をしてほしい。
今回の新型コロナワクチン禍が前代未聞の薬害事件であることは間違いなく、今後、社会的にも明らかになっていくが、職場での同調圧力により、新型コロナワクチンを無理やり打たされたことにより苦しむ人がおり、亡くなってしまった人もいる。
その場合、インフルエンザワクチンで労災認定を受けた事例も確認したが、様々な相談が県にもあると思うが、どのように対応しているのか。
【理事者】
県では、新型コロナワクチン接種後の副反応等に対応するため、看護師による電話相談窓口を設置している。そのような相談があった場合には、相談内容によって該当する労働関係の国の専門機関の窓口等を案内する。