委員会情報
委員会審査状況
福祉医療委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年10月2日(水) 午後1時~
会 場 第1委員会室
出 席 者
松本まもる、宮島謙治 正副委員長
神野博史、鈴木喜博、山本浩史、中根義高、南部文宏、成田 修、
長江正成、藤原 聖、阿部洋祐、加藤貴志、柴田高伸 各委員
福祉局長、福祉部長、介護推進監、子ども家庭推進監、
保健医療局長、同技監、健康医務部長、感染症対策監、
生活衛生部長兼生活衛生課長、
病院事業庁長、病院事業次長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第128号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第3号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第4款 福祉医療費
第132号 愛知県事務処理特例条例の一部改正について
第137号 物品の買入れについて(抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤5ミリグラム))
第149号 損害賠償の額の決定及び和解について(福祉局福祉部障害福祉課(医療的ケア児等アドバイザー事業))
第150号 損害賠償の額の決定及び和解について(福祉局福祉部障害福祉課(相談支援体制整備事業(地域アドバイザー事業)))
第151号 損害賠償の額の決定及び和解について(福祉局福祉部障害福祉課(障害者社会参加促進事業))
第152号 損害賠償の額の決定及び和解について(福祉局福祉部障害福祉課(障害児等療育支援事業))
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第128号、第132号、第137号及び第149号から第152号まで
○ 請 願
第 18 号 「小中高生の新型コロナワクチン接種後体調不良者への合理的配慮を求める」について(医療関係)
第 20 号 「愛知県内における死亡者数激増の原因追及とワクチンとの関係調査を求める」について
第 21 号 「コロナワクチンのロット番号ごとの被害調査を求める」について
第 22 号 「予防接種健康被害救済制度と副反応疑い報告制度との突合調査、案内を求める」について
第 23 号 「各市町村、愛知県内の病院に正しく新型コロナワクチン副反応疑い報告が行われるよう周知依頼を求める」について
第 24 号 「新型コロナワクチン特定ロット『3005785』接種後、死亡事例や、健康被害の愛知県内の調査と被害の周知を求める」について
第 25 号 「秋から始まるレプリコンワクチンについての危険性周知を求める」について
第 26 号 「孤独死不審死の場合のコロナワクチンの接種歴を調べ死亡日推定、修正を求める」について
第 27 号 「コロナワクチン接種後家族を亡くした遺族に必要な情報が伝わるよう処遇改善をもとめる」について
第 28 号 「mRNAワクチン接種事業の中止とリスク周知」について
第 29 号 「予防接種健康被害救済制度の周知を求める」について
第 30 号 「『新型コロナワクチン接種後の国の健康被害救済申請及び県の副反応等見舞金の申請状況について』のマスコミ向け文書の県民への公表を求める」について
第 31 号 「新型コロナワクチン接種記録の保存期間延長を求める」について
第 32 号 「コロナワクチン接種に注意が必要な人に関する周知を求める」について
第 33 号 「18歳までの医療費無料制度の実施を求める」について
第 38 号 「レプリコンワクチン中止の意見書の提出を求める」について
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第18号、第20号から第33号まで及び第38号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 社会福祉及び社会保障制度の充実について
2 少子化対策及び超高齢社会への対応について
3 保健衛生の推進について
4 保健所及び県立病院の運営について
5 福祉局、保健医療局及び病院事業庁の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(6件 請願第18号、請願第25号及び請願第26号、請願第27号、請願第28号並びに請願第33号関係)
3 議案審査(7件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 請願審査(16件)
5 委員長報告の決定
6 一般質問
7 休 憩(午後2時55分)
8 再 開(午後3時5分)
9 閉会中継続調査申出案件の決定
10 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
第4款福祉医療費第3項児童家庭費のうち児童相談センター管理運営事業費について伺う。
本県では、児童相談センターが児童虐待通告として受理した全ての児童虐待事案に関する情報について、2018年4月18日に県警察本部との間で締結した児童相談所と警察の児童虐待に係る事案の情報共有に関する協定に基づいて、児童が虐待により負傷または衰弱している場合などの重篤事案は即時、それ以外の事案は月に1回、県から警察への情報提供を行っているとのことである。
本年5月には、犬山市在住の女子児童が内縁の男性から虐待疑いにより亡くなるという非常に痛ましい事故が発生した。本県においては、こういうことは絶対ないようにと職員が必死になって対応していることを理解した上で質問する。
警察との個別の事案を踏まえて警察の関与が必要な場合には、連携を密に取る必要がある。
土日の警察署の入り口での案件をいろいろと雑談交じりで話をすると、家庭に関わる問題、いわゆる男女間もさることながら、児童虐待と思われるような案件が多数深夜に持ち込まれていると聞く。
本県の児童相談対応件数は年々増加しており、2014年度の3,188件に対して、昨年度が7,073件と約2倍になっており、過去最多を更新している。
複雑で困難なケースが多くなってきており、児童虐待事案に迅速かつ的確に対応して、一人でも多くの子供たちを虐待から救うためには、本県においても、特に現場となる警察署との連携強化が非常に大切である。虐待対応体制の一層の強化が図られることを期待している。
今回の補正予算に含まれる児童相談所と警察との連携強化のためのシステム改修について、現行のシステムはどのようになっていて、改修によりどのように警察との連携強化を図るのか伺う。
【理事者】
児童相談所業務支援システムは、児童相談所が関わった児童及び保護者の氏名、住所等の基本情報、また、面接の内容や関係機関との協議の記録、児童の一時保護や施設への入所措置の記録など、児童相談業務に関する情報を一元的に管理するシステムである。
児童虐待事案に係る児童相談所と警察の情報共有について、現在は、2018年4月に締結した協定に基づき、児童が負傷しているなどの重篤事案は即時に、それ以外の事案は通告の内容や一時保護の有無を含む初期対応の状況などを県警察本部に月に1回情報提供している。
その情報は、県警察本部で改めて整理された後に、各警察署において内容を確認することが可能となるが、現行の仕組みでは、各警察署に情報が届くまで一定程度の時間を要している。
システム改修後は、児童相談所がシステムに入力した段階で、県警察本部や警察署が即時に必要な情報を閲覧できるようになる。また、今回のシステム改修に合わせて、新たに家族構成や過去の一時保護歴も、システムにより警察へ情報提供を行っていく。
【委員】
いつまでにその改修を行うのか。また、即時に情報共有を行うことによって、どのような効果が期待されるのか。
【理事者】
児童相談所業務支援システムの改修は、議決後、速やかに契約手続を進め、契約後に県警察本部と細部の調整を図りながら、本年度内に改修を完了させる予定である。
即時に情報共有を行うことによる効果だが、定期的に情報共有していたものが即時となり、時間差が解消することで、警察に通報等があった児童虐待が疑われる全ての事案について、例えば比較的軽微と考えられる事案であっても、児童相談所において近々の取扱歴がある場合など、そうした状況も十分に加味した上で、児童相談所と警察が連携して、より迅速に子供を虐待から守る対応を行うことが可能となる。
また、各警察署では、新たに家族構成や過去の一時保護歴についてシステムでの閲覧が可能となり、今までよりも短時間に多くの情報を把握できるようになることから、より正確に虐待リスクを判断できるようになり、早期対応による虐待の未然防止あるいは重篤化の防止につながると考えている。
今後とも警察と緊密に連携協力しながら、児童虐待防止対策にしっかりと取り組んでいく。
【委員】
担当者の不在時、タイムラグが発生する恐れがあるため、電話等も活用しながら臨機応変に取り組んでほしい。
また、児童相談所で運用しているシステムを改修する内容であり、一般競争入札で契約するわけではないため、情報政策課の目を通した上で、正しい価格で契約ができるように取り組んで欲しい。
《請願関係》
なし
《一般質問》
【委員】
児童虐待への対応のうち、支援の入り口である一時保護所の環境について、2018年に西三河の一時保護所での入所少年の自殺事案を受け、有識者委員会で検証が行われたことも記憶に新しいところだが、本年5月の犬山市での事案では、1回目の一時保護が2022年12月から翌年3月までの3か月、2回目は約2か月、長期間の入所であった。当時5歳から6歳の女の子が急激な環境変化にどのような思いを抱いていたか、一時保護所の環境への不安が何かしらの心理的な影響を与えた可能性はなかったのか。
一時保護所には、虐待、発達障害、精神障害などの困難を抱える多様な子供が集まり、日々入れ替わる特殊な場所でもある。職員には高い専門性が求められ、職員の対応力やスキルアップも必要だが、子供にとっては、ハード面の環境のほかに、ソフト面、生活や規則なども重要なポイントであると考えている。
NHKや中日新聞では、一時保護所の過酷な環境について報道されており、特に東海地方の10代女性が一時保護所での生活を振り返り、刑務所みたいと証言している記事では、入所時の所持品や施設のルール、環境などに深刻な問題があったことが指摘された。被害者のはずなのに、人間的な生活が送れないのはおかしいと感じられていることは非常に重たいことだと思う。
これまで一時保護所には、児童養護施設の基準が準用され、個別の規則は各施設に委ねられてきたが、国は本年4月に全国統一の一時保護施設の設備及び運営に関する基準を初めて施行した。基準では、児童の権利に十分配慮し、一人一人の人格を尊重して運営を行わなければならないと明記され、合理的な理由なく所持品の持込みを禁止することや、施錠などによる行動制限を行ってはいけないと定められた。
また、一時保護ガイドラインにおいても、子供の権利擁護を重要視した内容の見直しが行われた。
そこで、一時保護所の入所実態はどのようか、この基準及びガイドラインを踏まえ、県立の一時保護所のより適切な運営、特にソフト面での環境改善に向けて、どのように取り組んでいくか。また、改正児童福祉法に基づき、条例化を進める必要があると考えるが、現時点での考えを伺う。
次に、三者協同面接の運用、特に実施までのタイムラグ、聴取者、聴取時の環境について、犬山市の事案では、1回目の一時保護時には、協同面接は実施されず、2回目で協同面接が実施されたが、その場で虐待があったという証言は出てきていない。
証言が得られなかった理由は分からないが、実際に協同面接が行われたのは、虐待通告があってから11日後で、かなりのタイムラグがある。これには、一時保護後、子供の精神的な安定に必要な時間や、例えば、児童相談センター、警察、検察の日程調整など様々な要因があると思うが、できるだけ速やかに実施する必要がある。
また、協同面接を行う際に、知らない場所に連れていかれ、初対面の知らない人から、思い出したくないことの質問をされて、心を開いて事実を話すことができるのか、被害を語ることが子供にとってどれだけ侵襲性が高く負担が重いかを考えると、聴取者のスキルと聴取を行う環境、特に子供にとって冷たく無機質な場所での取調べとならないよう最大限の工夫をすべきと考える。
2015年以降、刑事訴訟法における検察官面前調書の証拠能力、平たくいえば、面接者が刑法の要件事実を知らないと、適切な供述が取れないので、協同面接の約7割が検察官によって実施されているが、法においては、主体が誰であっても聴取者の限定をしていないことから、検察官以外の警察官や児童相談センター職員でも面接は可能である。さらに昨年の法改正では、協同面接等の録音録画記録媒体が被告人の同意なくとも刑事裁判の証拠とできるようになり、今後ますます協同面接の重要性が増すことから、ケースによっては、信頼関係の構築しやすい児童相談センター職員が面接を行うことを検討するなど、積極的に協同面接の運営に関与していくべきだと考えている。
本県は、全国的にも早い2015年11月から協同面接を導入し、3機関が課題を共有する協議会を毎月開催するなど先進県であるが、検察、警察、児童相談センターによる三者機関協同面接は、どういう人を対象とし、年間の実施件数はどれぐらいか。また、3機関でどのような課題が共有され、今後児童相談センター職員が適切に役割を果たすようどのように取り組んでいくのか。
また、協同面接における環境整備と医療との多機関連携に関して、昨年2月、神奈川県の子供専門病院、県立こども医療センターでは、虐待された子供から被害状況を聞き取るための司法面接室の運用が始まり、ここで司法面接を運営しているNPOの代表理事は、司法面接室を病院に設置する利点として、子供に優しい環境で聞き取り、診察、心のケアがワンステップでできて、子供のメリットが大きいとコメントしている。
本県では、児童虐待防止ネットワーク事業の拠点病院となっているあいち小児保健医療総合センターがそのような役割を果たすことを検討すべきと考える。
さらに、昨年12月には、伊藤浩明センター長はじめ、全国の子供医療関連病院やNPO団体が連名で米国でCAC(Children’s Adovocacy Center)と呼ばれる子供の権利擁護センターのような公的な専門機関の設置等に関する要望を国に対して行った。医療関係者の知見と課題意識に基づいた前向きな制度改正の提言であり、大変評価している。
そこで、あいち小児保健医療総合センターにおける児童虐待防止医療ネットワーク事業等、虐待対応の拠点病院としての具体的な取組と、その中での課題と対応について伺う。
次に、増え続ける案件に対応するための児童相談所の業務効率化について、通告後原則48時間以内に子供の生存確認、学校や警察への連絡等の対応をしていくことの負担、そして、児童虐待対応ダイヤル189がつながりにくい問題、こども家庭庁によると、昨年7月の総入電数のうち、転送され児童相談センターまでつながった接続率は約32パーセント、6割以上の人が途中で電話を切ってしまっているとのことで、非常に課題意識を持っている。
また、法改正により、来年6月からは、措置に親権者の同意が得られない場合、一時保護の開始時には、一時保護状請求書を作成し、裁判所に提出し、裁判官の司法審査を受けることになり、新たな事務が発生することとなる。制度が機能するか、申請数がどれぐらいになるかは不明だが、この一時保護状は、措置から7日以内に出さなければならないため、事務量の増加と混乱が予想されている。
2022年度児童相談所におけるAI、ICT等を活用した業務効率化に関する調査研究では、児童相談所職員は調査資料作成に最も多くの時間を費やしており、児童福祉司のみの従事時間割合は、面接・家庭訪問や調査・資料作成、移動・移送に多くの時間が充てられていることが指摘されている。本年度、国は児童相談所における業務や、ICT化の現状把握のための調査を行い、デジタル技術導入によるシステムの高度化やICT化を進め、業務改善を図るとして、本県にも導入予定の警察との即時情報共有システムのほか一時保護状請求書の発行や、会議内容等の自動テキスト化、外出先での業務環境の確保等を補助対象としている。
職員の質の向上のためには、研修等の時間の確保も必要であり、また、職員がケースワークなど中核的な業務に専念し、困難な状況を抱える子と親に向き合う時間的な余裕をつくるためには、書類・資料作成や、移動などの業務負担を低減し、そのためにICT技術やAIの活用も検討していくべきである。
そこで、児童相談所として、業務効率化のためにどのように取り組んでいるか、その一つとして、AICHI X TECHでの取組状況についても伺う。
【理事者】
まず、一時保護所の入所実態と運営改善のための取組等について、一時保護所には、保護者からの虐待や、保護者の入院などの様々な理由により、家庭において生活することが困難な、おおむね3歳から18歳の児童が入所している。入所している児童には、障害を抱えている、自傷行為がある、非行傾向があるなど、特に丁寧な支援が必要な児童も入所しており、本年9月1日現在の本県の一時保護所の入所率は80.8パーセントとなっている。
新たな基準やガイドラインでは、一時保護所においては、児童の権利に十分配慮し、意見や意向を尊重した支援を行うことが求められており、子供の視点に立った運営がされる必要があると認識している。
県としては、これまでも定期的に子供の意見を聞く場を設け、子供の声を施設運営に反映させていたが、新たに一時保護所や児童相談センターの職員をメンバーとした一時保護所の運営改善に向けた検討チームを立ち上げたところであり、生活上のルールを含む子供の権利に十分配慮した一時保護所の運営に努めている。
また、今回の改正児童福祉法では、一時保護所の設備や運営について、各都道府県が国の基準に従い、または国の基準を参酌して、本年度中に条例を定めることが義務づけられているため、改正児童福祉法の趣旨を踏まえ、本県においても検討を進めていく。
次に、三機関協同面接についてだが、三機関協同面接は骨折等の重篤な身体的虐待や性的虐待を受けた子供などを対象に、被害事実の確認のために実施するものであり、証言の信憑性を確保し、子供の心理的負担を軽減する観点から、検察、警察、児童相談センターの三者が協力して、そのうちの1人が面接し、聞き取りを行っている。
協同面接の実施件数は、本県全体で2022年が81件、昨年が119件と増加傾向にある。協同面接の実施件数の増加により、関わる職員が増える中、その目的や各機関の役割、連携を十分に理解した上で実施すること、また、通常は検察官が中心となって面接を進めるが、最近は、子供と関わりが深い児童相談センターの職員が面接官を務めることも増えており、職員の資質向上が課題となっている。
県としては、県警察が主催する司法面接研修に児童相談センター職員を派遣し、面接スキルの向上を図るとともに、本年度、児童相談センターにプロジェクトチームを設置しており、協同面接の手順や留意点、子供へのケアについて整理した手引の作成を進めていく。
最後に、児童相談センターの業務効率化について、本年4月から、児童福祉司等の専門職員が、これまで移送業務に従事していた時間を他の児童の面接等に充てることができるよう、児童を一時保護所等へ公用車で移送する際の運転職員を新たに配置した。さらに、本年度中には、児童相談センターが毎週実施するケース会議における資料の印刷、配布の手間を削減するため、会議資料を大型画面で共有できるデジタルホワイトボードを全ての児童相談センターに配備する。
また、児童虐待等による一時保護は、休日・夜間を問わず、一時保護所や民間の児童養護施設など、様々な施設の中から子供に適した受入先を確保する必要があるため、入所の打診から決定までに時間を要する場合がある。そのため、こうした行政課題について、ICTを活用した解決策を提案する企業等を募集するAICHI X TECHの取組を活用し、一時保護先の空き情報をリアルタイムで把握するとともに、複数施設に対して、同時に受入れの相談が可能なツールの構築に取り組んでおり、今後、施設側の協力を得て、実証実験を行う予定である。
こうした取組を通じて、専門職員が子供のケアに必要な時間を十分に確保できるよう業務の効率化を推進していく。
【理事者】
あいち小児保健医療総合センターにおける児童虐待防止医療ネットワーク事業についてだが、児童虐待防止医療ネットワーク事業は、あいち小児保健医療総合センターが拠点病院として、二次医療圏ごとに設置された14の中核的な病院とともに、医療機関における虐待対応体制の整備や医療機関のネットワークの構築に取り組むものである。
あいち小児保健医療総合センターでは、児童虐待専門コーディネーターを配置し、医療機関からの児童虐待に関する様々な相談に応じるほか、中核的な病院の医療ソーシャルワーカー等で構成する医療機関連絡会を年3回開催し、児童虐待に関する意見交換や情報共有を行っている。また、個別の事例検討会議を昨年度は54回開催した。
次に、この事業の課題と対応についてだが、県内医療機関の虐待対応力の向上を図ることや、医療機関と児童相談センターや警察、検察等の関係機関との連携強化が重要と考えている。
こうしたことから、引き続き、医療機関をはじめとする担当者を対象とした研修会等を開催し、児童虐待対応の資質向上に努めるとともに、児童相談センターや警察などの関係機関の協力を得て、連絡会、事例検討会議を開催するなど、医療機関と関係機関とのさらなる連携強化に取り組んでいく。
【委員】
まず、一時保護所について、先日の本会議における小木曽史人議員の一般質問に対し、大村秀章知事から全ての子供が安全・安心に暮らすことができるように環境改善に取り組むと力強い答弁があった。極めて重要な施設であるが、報道により一時保護所にネガティブなイメージを持ってしまっている人も多いと思う。不安を払拭させるため、例えば、ホームページ上に開示可能な情報の範囲内で運用面の分かりやすいQ&Aを掲載するなど、県からも正しい情報の発信に努めるべきである。
今後、移転整備される三河地区の一時保護所については、現在、整備基本計画の策定の業務の委託事業者を募集しているとのことである。今後の選考においては、ハード面の基準適合に加えて、冷たい無機質な施設ではなく、困難を抱える子供を温かく包み込み、落ち着いて生活ができるような環境をどのように実現していくかについても選考の際に十分留意するよう要望する。
条例制定については、一時保護施設の現状や専門家の意見、そして課題の精査に加え、今後設置される運営改善に向けた検討チームにおける議論、そして、現場の職員や、過去に一時保護を行った児童等の意見等も踏まえ、本県の実情に合わせて、内閣府令と異なる内容を定めることの検討、また、参酌基準に当たる一時保護施設の第三者評価、設備基準の一部において、一歩踏み込んだ愛知モデルの検討をしてほしい。
協同面接については、制度が始まり、来年で約10年になるが、いわゆる縦割り行政、それぞれ立場が違う中で、人権侵害を受けた子供たちの支援のための制度設計になっているのか検証が必要だと思っている。将来的には、協同面接は米国のように医療を含めた多機関連携の下、運営の中心を中立な第三者機関が担い、面接に適した場と面接を行う人材の提供が行われるべきであり、特に面接のためには、福祉と捜査に精通する知見を要する専門的な人材の育成が必要であることから、国にも司法面接官の創設などを提言していきたい。
先ほど紹介したあいち小児保健医療総合センター伊藤浩明センター長の国への要望内容は、現場の思いが込められており、極めて重要な指摘であると思うので、児童相談センター、警察、検察との連携強化、そして、協同面接や関係機関の支援が、困難を抱えた子供にとって、将来を生きていく上で線の支援につながるよう、望ましい在り方や制度設計についても、協同面接の先進県として、その考えをまとめていくことを要望する。
【委員】
協同面接は、一義的に検察官が窓口になっているのか。
【理事者】
協同面接は、事件化を検討するという観点もあるため、実質的に検察官が主導するケースが多いと考える。
【委員】
いろいろな事案があると思うが、検察や警察は捜査機関であるので、相手が恐怖に脅えているような児童であることを踏まえると、一義的に児童相談センターが窓口になり、捜査機関が立ち会うのが正しい姿だと思うがどう考えるか。
【理事者】
三機関協同面接は、検察、警察、児童相談センターのうちの代表1人が面接を行うことになる。最近では、子供と関わりの深い児童相談所が面接者を務めるというケースも増えてきているため、今後、検察、警察とも相談をしながら、子供にとってよりよい面接の在り方を検討していきたい。
【委員】
本県で二度とこのような事件を起こさないために、まず、児童相談センター職員が一義的に窓口になり、それに合わせて捜査機関がサポートしていくという体制を構築するよう要望する。
【委員】
まず、県内の公の施設や民間の施設における授乳室の設置状況などについて伺う。
昨今、女性の社会進出が進む中で、約7割が第一子を出産後も継続就業しているという状況の中で、産後に6か月以上の産休をしっかりと取得する女性が95パーセントいる一方、早期に職場復帰する女性もいる。これは、男性の育休取得が増加傾向にある中で、女性の早期職場復帰割合が将来的に増加する可能性も考えられる。
例えば、女性の社会進出が日本より進んでいる海外の場合、平均的な産後の復帰期間は10週間程度で、日本より断然短い。産後10週というと2か月半での復帰となり、3か月健診の際には既に仕事に復帰していることになる。
乳児を育てる母親は外出するとき、おむつの交換や授乳ができる場所があるかどうかを、あらかじめネットで調べてから外出することが多いと聞く。
買物や食事などを目的として多くの人が集まるショッピングモールなどの施設では、授乳室を備えているところも多く見受けられ、外出時において、母親が安心して子供の世話をすることができるよう配慮がされている。
県において、住民の福祉を増進する目的をもち、その利用に供するための施設として、地方自治法第244条第1項に基づく公の施設を運営している環境の中で、本県の公の施設の授乳室の設置状況を伺う。
【理事者】
本県の公の施設のうち、授乳室を設置している主な施設としては、乳児を連れての利用が多く見込まれる愛知児童総合センターなどの児童厚生施設をはじめ、美術館、図書館、大型展示場や空港施設などがある。また、授乳室を設置していない施設においても、代替えとなる個室などがある場合は、授乳室としての利用を可能とする対応をしている。
【委員】
リトルベビー、いわゆる低出生体重児の母親たちと意見交換する機会があった。その際に、授乳室での搾乳の難しさがあると聞いた。
一般的に赤ちゃんに直接母乳を与えることを直母、反対に母親が母乳を絞ることを搾乳と呼ぶ。何らかの事情で赤ちゃんに直接母乳を与えられない場合はもとより、赤ちゃんが母乳を飲み残したとき、母親の胸がまだ張っているときのセルフケアとして有効なのが搾乳である。
搾乳ができる場所の一つが授乳室となるが、授乳室は、基本は子供連れで入ると考えられている中で、一人で入るのは、搾乳が目的であっても、人目を気にしたり、遠慮したりして、なかなか入れない場合もある。授乳室を必要な人が気兼ねなく使えるようになればいいと思う。
県では、子育て支援事業として、子育て家庭を優遇するはぐみんカードを発行しているが、はぐみんカードは、子育てを応援する協賛店舗の情報や子育てに関する有益な情報を、あいちはぐみんネットで紹介している。本年度、はぐみんカードがデジタル化を含めたはぐみんネットの改修を行うことで、スマートフォンの地図上で近くの協賛店舗を探せるようになるなど利便性の向上が図られる。
そこで、県では、はぐみんカードの協賛店舗において、授乳室を備えている店舗を把握しているのか。また、本年度の改修で、授乳室に関する情報について利用者の利便性が向上するといった観点があるのか伺う。
【理事者】
初めに、はぐみんカード協賛店舗における授乳室の把握について、現在のはぐみんネットでは、はぐみんカード協賛店舗の情報を地域や業種、特典の種類などによる検索ができるようデータベース化しているが、授乳室の有無は検索できる仕様ではないため、県としては把握していない。
次に、本年度の改修による授乳室に関する情報の利用者の利便性について、これまではぐみんネットでは、協賛店舗の授乳室の有無についての検索ができなかったが、本年度の改修により、授乳室の有無とおむつ交換台の有無について検索機能を追加するため、利用者の利便性の向上が図られる。
また、改修により、県から協賛店舗に向けて、お知らせの一斉通信が可能となるため、店舗に対し、授乳室の有無も含めて最新の情報をはぐみんネットに登録してもらえるよう周知していく。
【委員】
授乳室は、民間、公の施設問わず、多数の人が集まる場所では整備が進んでいる。子育て支援における重要なインフラであると理解している一方、事情により乳児との外出がかなわず、外出先で搾乳が必要な母親もおり、一人で授乳室を利用することにためらいを覚える人がいる。せっかく設置されている授乳室であるため、外出先で搾乳の必要のある人も気兼ねなく授乳室を利用できるとよい。
そこで、県の公の施設のうち、授乳室を備えている施設に対して、授乳室に搾乳でも利用できますという内容の表示をするなど協力を求めることを要望する。
そして、このたびの改修では、県から協賛店舗に向けて情報発信できるようになるため、県の公の施設と同様に、授乳室を備えていると回答した店舗へ向けて、搾乳でも利用できるという内容の表示をするなど、協力を求めることを要望する。
このことで、授乳する母親も搾乳する母親も、安心して利用できる授乳室になる。
次に、社会的養護経験者、いわゆるケアリーバーが自立していくために必要となる住まいについて伺う。
令和4年9月定例議会の一般質問において、社会的養護経験者、いわゆるケアリーバーの支援の充実について質問した。ケアリーバーの就労や生活、進学をめぐる環境は厳しいものがあり、当事者が行き詰まった際、頼れる施設や相談者などとのつながりが希薄、あるいは途絶えているというようなケースも散見し、行政による支援の拡充が求められているという趣旨の質問だった。
特に、施設退所後、あるいは入所中から退所後のことを考えて、本人が自立できるようなサポート体制をどのように行っているのかが重要である。県からは、相談支援体制の充実をはじめ、ケアリーバーに寄り添った支援策を検討していくとの回答があった。
昨今、ヤングケアラーはメディアでも取り上げられるようになったものの、ケアリーバーは重要支援分野にもかかわらず、注目されていないのが現状である。
先日、お笑い芸人のやす子氏が自身も社会的養護経験者で施設育ちであることを、とある番組の中で告白した。
彼女は施設を18歳で退所し、自衛隊に入隊している。当時は18歳で退所しなければならず、入隊への理由を聞かれ、18歳で退所した後にどのように人生を送るのか分からなかった。働くにしろ、住居を探すにしろ、必要な身元保証人が自分にはいなかった。住まいがあり、働ける場所は自衛隊しか選択肢がなかったとコメントしている。
生活の基盤をつくるには、住まいが重要であり、令和4年9月定例議会の一般質問の最後には、国の通達では、居住支援に関して支援の必要が高い者に対して、都道府県が設置した公営住宅などの賃貸住宅に一定枠を設けることその他の適切な方法により居住の場を提供することとしている。愛知県においてもケアリーバーへの支援を行う福祉局と公営住宅を設置する建築局が連携して、ぜひこのような取組を前向きに検討してもらいたいと要望した。
そこで、ケアリーバーの住居確保支援について、その後の検討状況と今後の動きを伺う。
【理事者】
就職や進学により児童養護施設等を退所して自立を目指すケアリーバーは、保護者の支援を受けられず、親元を離れて一人暮らしを始める場合も多く、住居確保のための支援を行うことは自立を促す上で大変重要であると認識している。
そのため、県営住宅を活用した居住支援に関して、建築局と協議を重ね、今回新たに児童養護施設等の退所者が単身で県営住宅に入居できる仕組みを整備した。具体的には、施設や里親宅等を出て一人暮らしを始める18歳以上の人を対象とし、県があらかじめ指定した住宅に入居してもらう形となる。入居できる期間は最長で5年間で、入居期間中は自立支援のため県の支援コーディネーター等がサポートを行う。
今後は、この制度を児童養護施設等を通じて対象者に周知し、活用を促すとともに、円滑な制度運用を図り、ケアリーバーに寄り添った支援を行うよう取り組んでいきたい。
【委員】
次に、障害者手帳の利便性向上について、今回は行政にとっての利便性向上ではなく、当事者にとっての利便性向上という観点で質問する。
障害者手帳のうち、身体と精神に関しては令和元年4月1日からカード化が基本的に可能となった。療育に関しては法的根拠がなく、そもそもカード化は可能となっている。我々公明党愛知県本部としても、定期的に政策懇談会を当事者と行っている中で、当事者の団体からの要望に基づいて質問する。
現在、障害者手帳は紙での交付となっているが、当事者団体からは、カード式と紙媒体との選択ができるようになってほしいと要望がある。
現行の紙では、折れやすい、水に弱い、劣化するなど耐久性に難があったり、財布から取り出しにくい、防水目的でカード入れが必要、また、それを使うと財布に入らないといった不便な点があり、カード化するとそれらが解消される。何よりもカード式を希望する当事者が手帳使用時に不便に思わないような選択肢の提示をすることが大事だと考える。
先ほど言ったとおり、要望は当事者から出てきており、本来行政は当事者目線でサービス向上を図るべきである。
身体、精神、療育手帳に関して、カード式を導入している都道府県は既にあり、6割以上の割合で当事者はカード式を選択しているという結果も出ている。
将来的には、マイナカードへの統合があるかもしれないから障害者手帳のカード化は様子見という意見も聴くが、厚生労働省に確認したところ、統合の予定はないとのことであるため、様子見は不要だと思う。
そこで、三点質問する。
まず、本県が現在発行している紙媒体の障害者手帳の交付件数は、この10年間でどのように推移しているのか。
次に、2021年3月の福祉医療委員会でもカード型の障害者手帳の導入に関する検討の要望があったと思うが、現在も導入に至っていない。カード化には、様々なメリットがあるが、県として、主に何が障害者手帳のカード化への課題と考えているのか。
次に、今回の質問をするに当たり、カード化を導入している山口県、福岡県、佐賀県、大分県でヒアリングを行った。カードタイプの手帳で裏書きする場合、スペースが不足するといった懸念があったが、QRコードを使用することで、新情報を絶えずアップデートでき、スペース不足の懸念は全くなくなったと聞いた。また、カード化の要望を出した当事者団体も、想定されるデメリットとして、裏面へのスペースが限られていることにより書き込み不足の懸念を挙げていたが、実際に追記事項が行われる頻度はそこまで多くなく、常に不足するという感覚もないともいわれていた。カード式を導入して選択肢を増やすといった、当事者目線の取組を行うべきと考えるがいかがか。
【理事者】
障害者手帳の交付件数の推移について、まず、身体障害者手帳の交付件数は、年度別の増減はあるものの、再交付を含めて、おおむね年間1万3,000件から1万4,000件の間で推移しており、一昨年度及び昨年度では、この1万3,000件を下回り、年間で1万2,500件ほどとなっている。
次に、療育手帳の交付件数は、ここ10年間で増加傾向が見られており、再交付を含めた2014年度の交付件数が年間8,000件ほどであったものが、昨年度は約1万件となっている。
最後に、精神障害者保健福祉手帳の交付件数だが、新規の交付件数は、この10年間で増加傾向にあり、2020年度から昨年度までの再交付を含めた件数も、約6,800件から約9,700件と毎年度増加している。
次に、障害者手帳のカード化への課題について、2021年3月の福祉医療委員会においても答弁したが、スペースが限られることで手帳に記載する情報量が制限されることが主な課題であると考えている。
現在の障害者手帳は、手帳所持者の氏名や住所、生年月日、障害等級などの情報に加えて、手帳によっては、注意事項や外国語による説明、指導・相談記録などを蛇腹折りとなっている手帳の複数の紙面や、療育手帳では別冊を使って記載している。
これがカード型の手帳になると、表面と裏面しかスペースがなく、手帳に記載できる情報量が制限されることで、手帳所持者やその保護者の情報が手帳上で管理することが難しくなり、自動車税の軽減措置や有料道路通行料金の割引などの優遇制度の事務にも影響があることから、これらの課題を解決していく必要がある。
次に、利便性向上、カード化の選択肢を増やすことについて、本県では、これまでに手帳サイズを見直すことで携帯しやすい大きさにするなど、手帳を所持する人の利便性の向上に努めてきた。カード型の障害者手帳を導入することにより、手帳を所持する人の選択肢が増えることは利便性の向上につながるものだと認識しているが、導入に関しては記載スペースをはじめとする課題を解決していく必要がある。
このため、福祉局としては、精神障害者保健福祉手帳を所管する保健医療局と連携して、既にカード型の障害者手帳を導入している他県の状況調査をさらに進め、課題解決に向けて、引き続きカード型の障害者手帳の導入に関する研究を進めていきたい。
【委員】
紙媒体のみを唯一の選択肢とするのではなく、当事者の要望に沿ってほしい。結局、紙かカードかは当事者が選択すればいいだけで、カードに懸念がある人は紙を選ぶ、カードにしたい人の意思を反映できる制度にすべきである。
今までの固定観念にとらわれるのではなく、現場の声をしっかりと反映して、できない理由でなく、できる方法を探し、未来への変化点をつくるのは今だと考える。住みよい愛知、障害者に寄り添う愛知、これをつくってほしい。
あいち障害者福祉プラン2021-2026の基本理念の中には、障害のある人が日常生活や社会生活を営む上で妨げとなる様々な社会的障壁を取り除くよう、社会全体で取り組んでいきますとある。社会医療的障壁とは、ここでは様々な捉え方があるが、社会や環境の在り方、仕組みが障害をつくり出していることもあるので、それを取り除くことにもなると考える。
そういう意味で、当事者への少しの配慮、工夫でその障壁をなくすこと、そして、当事者が希望する状況をつくり、生活しやすい選択肢を増やすことになる仕組み、障害者手帳のカード化を進めるよう強く要望する。
【委員】
児童虐待防止に向けた取組について伺う。
児童相談センターに寄せられる児童虐待相談の件数は、近年増加傾向にあり、昨年度は7,073件で過去最多となっているが、件数は10年前と比較してどれくらい増えているのか。また、相談内容の内訳についても伺う。
【理事者】
児童虐待相談対応件数の10年前との比較について、10年前の2013年度に、本県の児童相談センターが対応した児童虐待相談は2,344件となっており、虐待種別ごとの内訳は、子供に暴力を加える身体的虐待が977件で最多。次に、子供に対する暴言や夫婦間の暴力・暴言を子供に見せることなどにより心理的外傷を与える心理的虐待が807件、保護者の育児放棄などのネグレクトが487件、性的虐待が73件であった。
これに対し、昨年度の状況は、児童虐待相談対応件数全体が過去最多を更新し、7,073件となっている。虐待種別ごとの内訳は、心理的虐待が4,399件で最多であり、身体的虐待が1,772件、ネグレクトが816件、性的虐待が86件であった。
この10年間では、心理的虐待の件数が807件から4,399件と5倍以上に増加し、児童虐待相談全体に占める割合も約34パーセントから約62パーセントへと大幅に増加している。
【委員】
心理的虐待への対応について、子供に対する暴言やDVを子供に見せるなどの行為で心理的外傷を与える心理的虐待が、この10年間で5倍以上にも急増している理由を県はどのように分析しているのか。
また、心理的虐待が疑われる事案に対して、児童相談センターが保護者等へ行う指導方法についても伺う。
【理事者】
心理的虐待に係る相談が増加している要因としては、児童相談センターと警察の連携が進んだことが挙げられる。相次ぐ重篤な児童虐待事案を受け、2012年度以降、国から児童虐待への対応における取組の強化や情報共有の徹底等について、繰り返し通知が発出され、警察に対して、児童の安全確保の徹底や確実な通告の実施が求められた。
この結果、警察からの通告は、通知発出前の2011年度が281件、昨年度は4,086件と、約15倍に増加しており、この4,086件のうち、約78パーセントの3,176件が心理的虐待に係るもので、例えば、子供の目の前で夫婦間における暴力や暴言があり、110番通報により警察が臨場し、その場に子供がいれば、安全確認の上、警察から児童相談センターへ通告がされるものなどが多くある。
次に、心理的虐待に係る指導について、夫婦間の暴力等を子供に見せることは、子供に大きなストレスや恐怖心を与え、成長や発達への悪影響が懸念される。このため、児童相談センターでは、児童や保護者と面接を行い、児童の心理的影響を把握するとともに、保護者に対しては、虐待による悪影響等について、丁寧に説明し、注意喚起と再発防止に向けた指導を徹底している。
また、育児不安等を背景としたものは、市町村へ対応を依頼し、市町村における子育て支援施策の活用を進めるなど、多様な機関によるきめ細かな対応につなげている。
【委員】
最後に、特別な配慮を有する保護児童への対応について伺う。
緊急に保護を要する、また、一時的に親子を引き離し、行動観察や生活指導等を行う場合に、児童を保護する一時保護所は、児童指導員や保育士、また、心理療法を担当する職員、さらには乳児に対応する看護師など、保護される児童に対し、様々な観点から対応する職員が配置されているとのことである。
中でも、人工呼吸器やたんの吸引など、日常的に医療的なケアを必要とする医療的ケア児を保護する場合は、より特別な配慮が必要になるが、こうした児童に対しては、一時保護の対応を具体的にどのように行っているのか。
【理事者】
児童相談センターが対応する児童の中には、日常的に医療的ケアが必要な児童も一定数いる。本県では、医療的ケアが必要な児童の支援に当たる看護職員等を配置するなど、受入体制の強化を図る取組を行った乳児院や児童養護施設等に対して、配置に必要な経費に補助を行い、より適切に児童を受け入れる環境づくりに取り組んでいる。
医療的ケアが必要な児童の一時保護への対応においては、一般的な一時保護施設での受入れが困難な場合、専門の看護職員等を配置し、受入体制を強化している施設や、より専門的な対応が可能な病院等の医療機関、医療型障害児入所施設など多様な社会資源を活用し、児童の安心・安全な生活環境が確保できるよう対応している。
【委員】
今回の質問では、増加する児童虐待の相談事案の中でも、とりわけ急増する心理的虐待の児童相談所の対応などを確認した。
虐待を受けた子供の立場に立てば、身体的、心理的などの内容にかかわらず、全てが恐怖であることに違いなく、どのような理由であれ、虐待は絶対に容認してはならない。
一方で、心理的な虐待は、どこの親子関係や夫婦関係にもあるような、少しの不安や意見の食い違いなどが原因になり発生してしまうケースも多いと考える。このような事案に対しては、児童相談所をはじめとした専門家が迅速かつ適切に介入していくことによって、家族の絆を修復すること、ひいては身体的虐待等の重大事案への発展を未然に防止することにもつながっていくと考える。相談件数が年々増加していることに苦慮していると思うが、引き続き丁寧に対応に当たることを要望する。
また、本年5月に犬山市で発生した児童死亡事件について、事件の事実関係や発生原因は、現在検証委員会で関係者にヒアリングが行われているとのことだが、この間、様々な記事を読み、私も子の親として本当に胸が苦しくなるような内容ばかりだった。同時に、2度目の一時保護中には、児童自身が家に帰りたいと強く述べるなど、虐待を受ける子供の被害の実態を見抜く難しさも併せて感じた。
今回の事案は、保護期間の通算が約5か月におよび、児童相談所の対応案件の中でも重要度の高い事案と考えられていたのにもかかわらず、このような事件が起きてしまったことは、しっかりと検証して、必要な再発防止策を早期に講じてほしい。
併せて、担当した児童相談所の職員、一時保護所の職員にとっても、保護解除に至った判断が本当に正しかったのか、今も自問自答する日々の中で、心ない誹謗中傷の声が寄せられていないかと懸念している。
本県における昨年度児童虐待防止に関する取組の実施状況のうち、児童相談センターの体制強化として、法医学や精神科の専門医師が、児童相談所職員に対して助言指導や保護指導上のアドバイス等を行っているとのことだが、業界の慢性的なマンパワー不足の中、日々過酷な業務に当たっている職員の心のケアもしっかり行うこと、また、今回のような事件を二度と発生させないために、必要な専門職員の増員、体制の強化に向けて、引き続き取り組むよう要望する。
【委員】
まず、僻地における歯科保健医療提供体制について、三河山間地域においては、歯科診療所が少なく、一部には無歯科医地区と呼ばれる地区がある。無歯科医地区とは、おおむね半径4キロメートルの区域内に50人以上が居住している地区で、かつ、容易に歯科医療機関を利用することができない地区をいう。
また、三河山間地域の歯科医師の多くが60歳代で高齢化していると聞く。したがって、将来的にその地域の歯科医院が閉院することによって、無歯科医地区が増加し、歯科保健医療提供体制の維持が困難になる可能性があることが危惧されている。
そこで、歯科医師の高齢化が進む僻地における歯科保健医療提供の整備について、県の取組を伺う。
【理事者】
口腔の健康が健康寿命に深く関連することが明らかとなっており、定期的に歯科健診や歯科医療を受けることが重要である。三河山間地域において、今後歯科医師の高齢化が進むことで、将来的な歯科保健医療提供体制に影響を及ぼすことが懸念される。
このことから、本県では、本年度、一般社団法人愛知県歯科医師会に委託し、三河山間地域の歯科保健医療提供体制について、当該地域の歯科医療関係者や市町村の担当者に現状やニーズ等の調査を実施する予定である。
【委員】
無歯科医地区出現を防ぐためには、歯科医療機関の後継者へのマッチングが重要な方策の一つであると考えられる。歯科医療機関に限らず、中小企業や小規模事業者は後継者不足が大きな課題となっている。後継者がいないので廃業する事例が起こっている。歯科医療機関も事業所の一つではあるが、公益性は民間の企業とは性格を異にするものであるため、行政の支援が必要になってくる。そして、第三者への継承は即座にかなうものではなく、それを促す公的な仕組みづくりを今から考えていく必要がある。
歯科医療機関は、民間事業者が行う営利目的の事業とは異なる性格の事業であるため、どうか公的な援助について、仕組みづくりを引き続き考えるよう要望する。
次に、一般社団法人愛知県歯科医師会が保有する巡回歯科診療車、歯~とぴあ号について伺う。
愛知県歯科医師会は昭和41年から歯科診療車事業として、歯科医療の提供、口腔衛生指導や健康教育など歯科診療車を活用した事業を展開してきた。現在は5代目となる歯~とぴあ号が活動している。最近では、本年1月に発生した能登半島地震においても出動し、被災地における歯科の支援活動を行った。
巡回歯科診療車、歯~とぴあ号は、平成26年3月に県の助成を受けて整備を行い、10年以上が経過をした。走行距離は少ないそうだが、多くの機器を搭載しており、非常に車体の重量がある。経年劣化も進んでいることから、新しい車両への更新が必要である。
例えば、歯科保健医療提供体制の維持の難しい地域などにおける巡回歯科診療など、今後は歯科診療車のニーズが増加するとも考えられる。
そこで、愛知県歯科医師会が保有する歯科診療用車両の僻地における活用について県の考えを伺う。
【理事者】
本年度実施する、先ほど説明した調査から得られた結果を基に、僻地における歯科保健医療提供体制に係る取組を構築する中で、歯科診療用車両の有効な活用についても検討していきたい。
【委員】
歯~とぴあ号は様々な活用方法を探っているようであり、例えば、アジア競技大会やアジアパラ競技大会といったスポーツ競技大会や大規模災害時に歯科診療車は活用できる。
そして、今のところ、歯~とぴあ号は、修理をしながらどうにか運行ができているとのことだが、近い将来、新しい車両への更新を考える時期が到来する。その新しい車は、無歯科医地区への派遣を想定することから、急勾配の坂道や豪雪等の自然災害にも対応可能な4WDの仕様の車とすることも検討されている。
引き続き、よく検討して、前向きな回答がもらえることを要望する。
【委員】
まず、家庭訪問型子育て支援推進事業、いわゆるホームスタート事業について伺う。
現在、地域のつながりが希薄化する中で、子育ての悩みを身近に相談できる人や近くにサポートしてくれる人がいないことで、子育ての孤独感や負担感を強くしている人が増えている。多胎児家庭やその他の要因で子供を連れての外出が容易でない人は、一人で不安を抱えがちであり、実際に子育て世帯からは、親同士の知り合いが欲しい、子育ての悩みを気軽に相談できる相手が欲しいといった声が数々上がっている。
県では、これまで子育てに不安を持つ家庭や多胎児家庭などに対して、研修を受けたボランティアが訪問して、傾聴や協働等の活動を行うことで、相手が話したいことを聞いたり、気持ちを共有したり、単に一緒にいるというようなことや、協働というのは、一緒に食事やお菓子を作ったり、買物に行ったりというようなことだそうだが、これらの活動を行うことで、子育ての孤立感や不安感を軽減する家庭訪問型子育て支援推進事業、いわゆるホームスタート事業を進めてきたと承知している。
そこで、ホームスタート事業のこれまでの実施状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
初めに、ホームスタート事業の実施状況について、県では、2020年度から2年間、家庭訪問型子育て家庭寄り添い支援モデル事業として、市町村と共同して事業を行う二つの民間団体に委託し、2年間で計67人の家庭訪問ボランティアを養成するとともに、77件の訪問支援を実施した。なお、モデル事業実施後は、民間団体による自主的な活動が広がっており、現在8団体が活動している。
また、県では、人材育成による支援として、利用者の希望に応じた支援内容の調整、訪問ボランティアの養成やサポートなど、事業全体のマネジメントを行うオーガナイザーを養成する研修を実施しており、2020年度から昨年度までの4年間で計37人を養成した。
次に、今後の取組について、県の子ども・子育てに関する総合的な計画である、あいちはぐみんプラン2020-2024では、地域の子育て支援力の向上を目指すため、県内でホームスタートを実施する団体数を11団体とする数値目標を掲げている。現在の8団体に加え、2団体が訪問支援の準備をしており、目標の達成に向け、今後も引き続きオーガナイザーを養成し、家庭訪問型子育て支援の取組を進めていく。
【委員】
ホームスタートとは、イギリスで1973年に始まったそうで、世界でも20か国以上、我が国でも全国に広がっていると聞く。ほとんどの自治体で様々な子育て支援施策が打ち出されているが、既存の支援が利用できない、支援が届いていないといった子育て家庭が実は多く存在しているのが実態である。
多胎児や年子、障害や病気のある子供若しくは親、経済的に余裕がない家庭、仕事や介護と育児の両立で余裕がない親、外国人の親など、相談窓口に出かけることが困難な家庭は数多く存在している。そういった中で、ホームスタートは支援の隙間で誰かの手助けを必要としている家庭も誰もが気軽に利用できる訪問型の子育て支援であり、意義が大きい事業だと感じている。
次に、子育て世帯訪問支援事業について伺う。
子育て世帯訪問支援事業は、本年4月に改正児童福祉法が施行され、法的に位置づけられた。子育て世帯訪問支援事業は、家事や子育てに対して不安や負担を抱える子育て家庭、産前産後の人はもちろん、シングルマザーやヤングケアラーがいる家庭の居宅を訪問支援員が訪問して、家庭が抱える不安や悩みを傾聴するとともに、家事、子育てなどの支援を実施すること、保育所の送迎、宿題の見守りなどだそうだが、こうした支援を実施することにより、家庭や養育環境を整え、虐待リスクの高まりを未然に防ぐことを目的とした市町村事業である。
この事業は、単なる家事や育児の手伝いによる一時的な負担解消だけでなく、家事や子育て支援を通じて、支援対象の家庭が自立して生活できるように支援対象者の環境を整えていくことが最終的な目標で、積極的なアウトリーチ支援として重要であると考える。
そこで、子育て世帯訪問支援事業のこれまでの実施状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
初めに、子育て世帯訪問支援事業の実施状況だが、2021年度の国の補正予算により、子育て世帯訪問支援臨時特例事業として創設され、昨年度まで実施された。実施主体は市町村であり、2022年度は5市町に対して274万4,000円、昨年度は8市町に対して209万8,000円の補助を行った。
また、本年度からは、児童福祉法に規定する子育て世帯訪問支援事業として実施されることとなり、本年度は35市町で実施を予定しており、予算額は2,478万4,000円となっている。
なお、今後の取組としては、家事・子育て等に不安や負担を抱える子育て家庭等を支援するため、より多くの市町村で事業が実施されることが重要であるので、引き続き事業を実施する市町村に対する補助を行うとともに、未実施の市町村に対して、事業の実施を働きかけるなど、市町村の取組を支援していく。
【委員】
法改正によって、子育て世帯訪問支援事業を実施する市町村が増えているとのことだが、行政によるきめ細やかな家庭支援が行われて、家庭や養育環境を整える上で、この事業は大変重要であると思う。
一方で、行政の窓口、相談機関に相談するほどの状況ではないものの、育児についての話し相手や一緒に行動してくれる人がいることで孤独感が解消されるといった、家庭で育児不安による孤独感を感じる人への支援も同時に必要である。
そこで、気軽に相談しやすいNPO法人などの民間団体の取組は、行政の事業を補完するものであって、市町村と連携し得るものと考える。今後も県として、市町村や民間団体の取組を支援することにより、子育てによる孤立感や不安の軽減につながる事業が重層的に実施されることを要望する。
【委員】
医師の働き方改革について、本年4月から時間外労働が960時間に制限されたが、県内のこれまでの状況について伺う。
【理事者】
本年4月から、医師の働き方改革で、時間外労働の上限規制の適用が開始されている。これにより、医療機関における時間外・休日労働の上限が原則年960時間になり、それぞれの医療機関においては、勤務医師の労働時間短縮などの勤務環境の改善に取り組んでもらっている。
本県では、勤務環境の改善に取り組む医療機関を支援するために、愛知県医師会に委託して、本県の医療勤務環境改善支援センターを設置している。そのセンターでは、医療労務管理アドバイザーや医療経営アドバイザーを配置して、電話、メール、面談による相談、現地へアドバイザーを派遣して、面談を実施するといった取組をしている。
医療機関では、勤務時間の短縮に取り組むに当たって、宿日直の許可申請の取り方や、運用の方法などの質問が最も多く寄せられている。
【委員】
上限規制は始まったばかりであり、県民のためにもぜひ県内の医療機関をしっかりとフォローしてほしい。
上限規制の特例扱いもあるようで、特例扱いにすると960時間が1,860時間に緩くなることが報道されているが、どのような医療機関が特例扱いを申請したのか。
【理事者】
この制度の中では、地域の医療提供体制を確保するといった観点から、やむを得ず時間外労働等が年960時間を超える見込みがある医療機関は、県から特例扱いとなる特定労務管理対象機関の指定を受けている。
この指定を受けた場合、時間外・休日労働は年1,860時間を上限にすることができる。この特例扱いとなる特定労務管理対象機関は、救急医療等を担う病院や医師を派遣する病院、臨床研修医や専門研修医の研修を行う病院、高度技能を習得するための研修を行う病院などが指定を受けることができることとなっている。
【委員】
救急医療を担う病院はどれぐらい特例扱いの申請をしているのか。
【理事者】
現在、救急医療で申請して指定を受けたのは27医療機関である。この27医療機関の内訳としては、救命救急センターが17か所、第二次救急医療機関が10か所であり、救急医療等を担う病院としての指定を受けている。
【委員】
地域医療に対しての懸念はあるのか。
【理事者】
医師の働き方改革では、他の医療機関に派遣される医師などの勤務時間も含めており、派遣元となる医療機関が正確な勤務時間を把握することが求められるようになったため、例えば、大学病院等が時間外労働の上限規制の適用を理由に、派遣先の医療機関から医師を引き上げることによる診療制限が懸念されているが、現在県内においては、診療制限が行われ、地域医療に影響を及ぼしているという情報はない。
引き続き、愛知県医療勤務環境改善支援センターによる相談・助言等を実施して、医療機関の勤務環境の状況をしっかりと把握するとともに、改善に対して支援を行っていきたい。
【委員】
本年8月に、東京都からいわゆる健康食品から医薬品成分が検出されたという報道発表があった。
いわゆる健康食品は、あくまでも食品であるが、医薬品成分を含むものは医薬品とみなされて、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。承認を受けずに製造販売されたものを販売、授与することは、法律で禁止されている。
この事例は健康被害が発生したため、東京都が検査をしたそうだが、検査、分析したところ、医薬品が入っていたとのことである。このような事例は多くないと思うが、未然に防止できなかったことは消費者として残念である。
そこで、健康被害を未然に防止するため、本県では、いわゆる健康食品に含有される医薬品成分の検査を行っているか伺う。
【理事者】
本県では、県内の店舗で医薬品成分の含有が疑われる、いわゆる健康食品の買上げを行い、県衛生研究所で検査を実施している。
【委員】
昨年度の検査状況を伺う。
【理事者】
昨年度は、ダイエット・痩身効果を標ぼうしている6製品、強壮効果を標ぼうしている6製品、合計12製品を買い上げ、検査を実施したが、いずれの製品からも医薬品成分は検出されなかった。
【委員】
成分の検査をするのは大変だと思うので、衛生研究所の職員は本当に苦労していると思う。昨年度は合計12製品の検査を実施し、医薬品が入っているものはなかったとのことだが、本県の検査で医薬品成分が検出された場合、県民に対してどのように対応するのか。また、他都道府県において、いわゆる健康食品に医薬品が入っていることが分かった場合、本県はどのように対応するのか。
【理事者】
本県の検査で医薬品成分が検出され、医薬品医療機器等法の違反となった場合、買上げ店舗の販売者に対して、直ちに販売中止及び回収等の指示をする。併せて、記者発表や県のウェブページで公表し、県民に対して使用中止等の注意喚起を行うとともに、厚生労働省へ報告する。
また、他の都道府県の場合は、厚生労働省から情報提供を受け、県民からの相談があった場合に対応できるよう保健所と情報共有していく。引き続き、買上げ検査を行うことで、健康被害の未然防止に努めていく。
【委員】
今後、引き続き健康被害の未然防止に努めるよう要望する。
【委員】
健康日本21あいち計画について伺う。
生涯を通じて生き生きと健康で過ごすことは誰もが願っていると思うが、健康日本21あいち計画は、県民の健康づくりのための施策の基本となるものである。
私は、第2期健康日本21あいち計画の策定が進められていた当時の本会議で、県民の健康寿命を延伸するため、どのように健康づくりに取り組んでいくのかについて、質問したことがある。
その第2期計画の計画期間が昨年度末で終了し、本年4月からは第3期計画による取組が始まったとのことである。第2期計画から第3期計画へ、健康長寿あいちの実現として、健康寿命の延伸と健康格差の縮小といった目標が引き継がれているようだが、この健康寿命というものが私たちにとって大切なものだと改めて認識した。
そこで、健康寿命の定義について改めて伺う。
【理事者】
国は、健康寿命の定義について、健康上の問題によって日常生活が制限されることなく生活できる期間としている。国民生活基礎調査において、3年に1度実施される大規模調査の質問項目である、現在、健康上の問題で日常生活に何か支障があるかに対して、ないと回答した人を健康と定義し、その割合を基に算出している。
【委員】
次に、本県の健康寿命の状況はどのようになっているのか。
【理事者】
本県の健康寿命について、現在公表されている直近の値は、2019年で男性が72.85年、女性が76.09年となっている。2010年から2019年までの10年間で男性では1.11年、女性では1.16年とともに延伸した。
【委員】
昨年度末までが第2期計画の計画期間となっていたが、第2期計画の評価について伺う。
【理事者】
第2期計画は2013年度から昨年度の11年間が計画期間で、昨年度開催した愛知県健康づくり推進協議会の専門部会である健康増進部会において、目標達成状況に関する最終評価を行った。第2期計画の119の指標のうち、目標を達成したものや策定時よりも改善したものは合わせて77指標で、全体の64.7パーセントとなった。
策定時より改善された指標は、健康寿命をはじめ、特定健診、特定保健指導の実施率や、喫煙率の低下などがある。また、改善の見られなかった指標は、肥満者の割合、バランスのよい食事を取っている者の割合、健康的な生活習慣を送っていると思う者の割合などである。
【委員】
第2期計画の評価について回答してもらったが、評価を踏まえて、第3期計画はどのような考え方で策定されているのか。
【理事者】
第3期計画では、引き続き基本目標を健康長寿あいちの実現として、1、生涯を通じた健康づくり、2、疾病の発症予防及び重症化予防、3、生活習慣の見直し、4、社会で支える健康づくりの四つの基本方針により、総合的に健康づくりを推進する。
策定においては、第2期計画で課題が残った肥満、運動習慣、野菜摂取の改善について、引き続き取り組んでいくこととした。
また、新たな視点として、胎児期から高齢期に至るまで、人の一生を経時的に捉えたライフコースアプローチや、積極的に健康づくりに取り組む人だけではなく、健康づくりに関心があっても仕事などで忙しい人など、誰もが無理なく健康に配慮した行動が取れるような環境整備を推進していくといった考え方を取り入れた。
【委員】
第2期計画の評価を踏まえて、日常生活の中で自然に健康になれるようなサイクルなどを取り入れるとのことだが、今後、第3期計画をどのように進めていくのか。
【理事者】
第3期健康日本21あいち計画は、計画の周知啓発を図ることが必要だと考えている。県ウェブページへの掲載とともに、市町村、関係団体等に対して、計画冊子の配布を行っている。また、県民に身近な健康づくりの主体である市町村に対して、会議等を通じて、本計画の基本方針や指標の考え方について情報提供を行い、それぞれの市町村における計画策定を働きかけている。
県としては、県民が自ら健康づくりのテーマを設定して、運動や食生活の改善を図ることもできるあいち健康マイレージなどの事業も通じて、市町村や関係機関と連携し、第3期健康日本21あいち計画の推進に取り組んでいきたい。
【委員】
現在、総人口の約3割が65歳以上という超高齢社会を迎えているが、健康寿命の延伸や健康格差の縮小は、ますます重要になっていくため、関係者、特に健康対策課の職員を中心にPR等にしっかり取り組んでいくことを要望する。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年10月2日(水) 午後1時~
会 場 第1委員会室
出 席 者
松本まもる、宮島謙治 正副委員長
神野博史、鈴木喜博、山本浩史、中根義高、南部文宏、成田 修、
長江正成、藤原 聖、阿部洋祐、加藤貴志、柴田高伸 各委員
福祉局長、福祉部長、介護推進監、子ども家庭推進監、
保健医療局長、同技監、健康医務部長、感染症対策監、
生活衛生部長兼生活衛生課長、
病院事業庁長、病院事業次長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第128号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第3号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第4款 福祉医療費
第132号 愛知県事務処理特例条例の一部改正について
第137号 物品の買入れについて(抗インフルエンザウイルス薬(ザナミビル水和物吸入剤5ミリグラム))
第149号 損害賠償の額の決定及び和解について(福祉局福祉部障害福祉課(医療的ケア児等アドバイザー事業))
第150号 損害賠償の額の決定及び和解について(福祉局福祉部障害福祉課(相談支援体制整備事業(地域アドバイザー事業)))
第151号 損害賠償の額の決定及び和解について(福祉局福祉部障害福祉課(障害者社会参加促進事業))
第152号 損害賠償の額の決定及び和解について(福祉局福祉部障害福祉課(障害児等療育支援事業))
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第128号、第132号、第137号及び第149号から第152号まで
○ 請 願
第 18 号 「小中高生の新型コロナワクチン接種後体調不良者への合理的配慮を求める」について(医療関係)
第 20 号 「愛知県内における死亡者数激増の原因追及とワクチンとの関係調査を求める」について
第 21 号 「コロナワクチンのロット番号ごとの被害調査を求める」について
第 22 号 「予防接種健康被害救済制度と副反応疑い報告制度との突合調査、案内を求める」について
第 23 号 「各市町村、愛知県内の病院に正しく新型コロナワクチン副反応疑い報告が行われるよう周知依頼を求める」について
第 24 号 「新型コロナワクチン特定ロット『3005785』接種後、死亡事例や、健康被害の愛知県内の調査と被害の周知を求める」について
第 25 号 「秋から始まるレプリコンワクチンについての危険性周知を求める」について
第 26 号 「孤独死不審死の場合のコロナワクチンの接種歴を調べ死亡日推定、修正を求める」について
第 27 号 「コロナワクチン接種後家族を亡くした遺族に必要な情報が伝わるよう処遇改善をもとめる」について
第 28 号 「mRNAワクチン接種事業の中止とリスク周知」について
第 29 号 「予防接種健康被害救済制度の周知を求める」について
第 30 号 「『新型コロナワクチン接種後の国の健康被害救済申請及び県の副反応等見舞金の申請状況について』のマスコミ向け文書の県民への公表を求める」について
第 31 号 「新型コロナワクチン接種記録の保存期間延長を求める」について
第 32 号 「コロナワクチン接種に注意が必要な人に関する周知を求める」について
第 33 号 「18歳までの医療費無料制度の実施を求める」について
第 38 号 「レプリコンワクチン中止の意見書の提出を求める」について
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第18号、第20号から第33号まで及び第38号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 社会福祉及び社会保障制度の充実について
2 少子化対策及び超高齢社会への対応について
3 保健衛生の推進について
4 保健所及び県立病院の運営について
5 福祉局、保健医療局及び病院事業庁の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(6件 請願第18号、請願第25号及び請願第26号、請願第27号、請願第28号並びに請願第33号関係)
3 議案審査(7件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 請願審査(16件)
5 委員長報告の決定
6 一般質問
7 休 憩(午後2時55分)
8 再 開(午後3時5分)
9 閉会中継続調査申出案件の決定
10 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
第4款福祉医療費第3項児童家庭費のうち児童相談センター管理運営事業費について伺う。
本県では、児童相談センターが児童虐待通告として受理した全ての児童虐待事案に関する情報について、2018年4月18日に県警察本部との間で締結した児童相談所と警察の児童虐待に係る事案の情報共有に関する協定に基づいて、児童が虐待により負傷または衰弱している場合などの重篤事案は即時、それ以外の事案は月に1回、県から警察への情報提供を行っているとのことである。
本年5月には、犬山市在住の女子児童が内縁の男性から虐待疑いにより亡くなるという非常に痛ましい事故が発生した。本県においては、こういうことは絶対ないようにと職員が必死になって対応していることを理解した上で質問する。
警察との個別の事案を踏まえて警察の関与が必要な場合には、連携を密に取る必要がある。
土日の警察署の入り口での案件をいろいろと雑談交じりで話をすると、家庭に関わる問題、いわゆる男女間もさることながら、児童虐待と思われるような案件が多数深夜に持ち込まれていると聞く。
本県の児童相談対応件数は年々増加しており、2014年度の3,188件に対して、昨年度が7,073件と約2倍になっており、過去最多を更新している。
複雑で困難なケースが多くなってきており、児童虐待事案に迅速かつ的確に対応して、一人でも多くの子供たちを虐待から救うためには、本県においても、特に現場となる警察署との連携強化が非常に大切である。虐待対応体制の一層の強化が図られることを期待している。
今回の補正予算に含まれる児童相談所と警察との連携強化のためのシステム改修について、現行のシステムはどのようになっていて、改修によりどのように警察との連携強化を図るのか伺う。
【理事者】
児童相談所業務支援システムは、児童相談所が関わった児童及び保護者の氏名、住所等の基本情報、また、面接の内容や関係機関との協議の記録、児童の一時保護や施設への入所措置の記録など、児童相談業務に関する情報を一元的に管理するシステムである。
児童虐待事案に係る児童相談所と警察の情報共有について、現在は、2018年4月に締結した協定に基づき、児童が負傷しているなどの重篤事案は即時に、それ以外の事案は通告の内容や一時保護の有無を含む初期対応の状況などを県警察本部に月に1回情報提供している。
その情報は、県警察本部で改めて整理された後に、各警察署において内容を確認することが可能となるが、現行の仕組みでは、各警察署に情報が届くまで一定程度の時間を要している。
システム改修後は、児童相談所がシステムに入力した段階で、県警察本部や警察署が即時に必要な情報を閲覧できるようになる。また、今回のシステム改修に合わせて、新たに家族構成や過去の一時保護歴も、システムにより警察へ情報提供を行っていく。
【委員】
いつまでにその改修を行うのか。また、即時に情報共有を行うことによって、どのような効果が期待されるのか。
【理事者】
児童相談所業務支援システムの改修は、議決後、速やかに契約手続を進め、契約後に県警察本部と細部の調整を図りながら、本年度内に改修を完了させる予定である。
即時に情報共有を行うことによる効果だが、定期的に情報共有していたものが即時となり、時間差が解消することで、警察に通報等があった児童虐待が疑われる全ての事案について、例えば比較的軽微と考えられる事案であっても、児童相談所において近々の取扱歴がある場合など、そうした状況も十分に加味した上で、児童相談所と警察が連携して、より迅速に子供を虐待から守る対応を行うことが可能となる。
また、各警察署では、新たに家族構成や過去の一時保護歴についてシステムでの閲覧が可能となり、今までよりも短時間に多くの情報を把握できるようになることから、より正確に虐待リスクを判断できるようになり、早期対応による虐待の未然防止あるいは重篤化の防止につながると考えている。
今後とも警察と緊密に連携協力しながら、児童虐待防止対策にしっかりと取り組んでいく。
【委員】
担当者の不在時、タイムラグが発生する恐れがあるため、電話等も活用しながら臨機応変に取り組んでほしい。
また、児童相談所で運用しているシステムを改修する内容であり、一般競争入札で契約するわけではないため、情報政策課の目を通した上で、正しい価格で契約ができるように取り組んで欲しい。
《請願関係》
なし
《一般質問》
【委員】
児童虐待への対応のうち、支援の入り口である一時保護所の環境について、2018年に西三河の一時保護所での入所少年の自殺事案を受け、有識者委員会で検証が行われたことも記憶に新しいところだが、本年5月の犬山市での事案では、1回目の一時保護が2022年12月から翌年3月までの3か月、2回目は約2か月、長期間の入所であった。当時5歳から6歳の女の子が急激な環境変化にどのような思いを抱いていたか、一時保護所の環境への不安が何かしらの心理的な影響を与えた可能性はなかったのか。
一時保護所には、虐待、発達障害、精神障害などの困難を抱える多様な子供が集まり、日々入れ替わる特殊な場所でもある。職員には高い専門性が求められ、職員の対応力やスキルアップも必要だが、子供にとっては、ハード面の環境のほかに、ソフト面、生活や規則なども重要なポイントであると考えている。
NHKや中日新聞では、一時保護所の過酷な環境について報道されており、特に東海地方の10代女性が一時保護所での生活を振り返り、刑務所みたいと証言している記事では、入所時の所持品や施設のルール、環境などに深刻な問題があったことが指摘された。被害者のはずなのに、人間的な生活が送れないのはおかしいと感じられていることは非常に重たいことだと思う。
これまで一時保護所には、児童養護施設の基準が準用され、個別の規則は各施設に委ねられてきたが、国は本年4月に全国統一の一時保護施設の設備及び運営に関する基準を初めて施行した。基準では、児童の権利に十分配慮し、一人一人の人格を尊重して運営を行わなければならないと明記され、合理的な理由なく所持品の持込みを禁止することや、施錠などによる行動制限を行ってはいけないと定められた。
また、一時保護ガイドラインにおいても、子供の権利擁護を重要視した内容の見直しが行われた。
そこで、一時保護所の入所実態はどのようか、この基準及びガイドラインを踏まえ、県立の一時保護所のより適切な運営、特にソフト面での環境改善に向けて、どのように取り組んでいくか。また、改正児童福祉法に基づき、条例化を進める必要があると考えるが、現時点での考えを伺う。
次に、三者協同面接の運用、特に実施までのタイムラグ、聴取者、聴取時の環境について、犬山市の事案では、1回目の一時保護時には、協同面接は実施されず、2回目で協同面接が実施されたが、その場で虐待があったという証言は出てきていない。
証言が得られなかった理由は分からないが、実際に協同面接が行われたのは、虐待通告があってから11日後で、かなりのタイムラグがある。これには、一時保護後、子供の精神的な安定に必要な時間や、例えば、児童相談センター、警察、検察の日程調整など様々な要因があると思うが、できるだけ速やかに実施する必要がある。
また、協同面接を行う際に、知らない場所に連れていかれ、初対面の知らない人から、思い出したくないことの質問をされて、心を開いて事実を話すことができるのか、被害を語ることが子供にとってどれだけ侵襲性が高く負担が重いかを考えると、聴取者のスキルと聴取を行う環境、特に子供にとって冷たく無機質な場所での取調べとならないよう最大限の工夫をすべきと考える。
2015年以降、刑事訴訟法における検察官面前調書の証拠能力、平たくいえば、面接者が刑法の要件事実を知らないと、適切な供述が取れないので、協同面接の約7割が検察官によって実施されているが、法においては、主体が誰であっても聴取者の限定をしていないことから、検察官以外の警察官や児童相談センター職員でも面接は可能である。さらに昨年の法改正では、協同面接等の録音録画記録媒体が被告人の同意なくとも刑事裁判の証拠とできるようになり、今後ますます協同面接の重要性が増すことから、ケースによっては、信頼関係の構築しやすい児童相談センター職員が面接を行うことを検討するなど、積極的に協同面接の運営に関与していくべきだと考えている。
本県は、全国的にも早い2015年11月から協同面接を導入し、3機関が課題を共有する協議会を毎月開催するなど先進県であるが、検察、警察、児童相談センターによる三者機関協同面接は、どういう人を対象とし、年間の実施件数はどれぐらいか。また、3機関でどのような課題が共有され、今後児童相談センター職員が適切に役割を果たすようどのように取り組んでいくのか。
また、協同面接における環境整備と医療との多機関連携に関して、昨年2月、神奈川県の子供専門病院、県立こども医療センターでは、虐待された子供から被害状況を聞き取るための司法面接室の運用が始まり、ここで司法面接を運営しているNPOの代表理事は、司法面接室を病院に設置する利点として、子供に優しい環境で聞き取り、診察、心のケアがワンステップでできて、子供のメリットが大きいとコメントしている。
本県では、児童虐待防止ネットワーク事業の拠点病院となっているあいち小児保健医療総合センターがそのような役割を果たすことを検討すべきと考える。
さらに、昨年12月には、伊藤浩明センター長はじめ、全国の子供医療関連病院やNPO団体が連名で米国でCAC(Children’s Adovocacy Center)と呼ばれる子供の権利擁護センターのような公的な専門機関の設置等に関する要望を国に対して行った。医療関係者の知見と課題意識に基づいた前向きな制度改正の提言であり、大変評価している。
そこで、あいち小児保健医療総合センターにおける児童虐待防止医療ネットワーク事業等、虐待対応の拠点病院としての具体的な取組と、その中での課題と対応について伺う。
次に、増え続ける案件に対応するための児童相談所の業務効率化について、通告後原則48時間以内に子供の生存確認、学校や警察への連絡等の対応をしていくことの負担、そして、児童虐待対応ダイヤル189がつながりにくい問題、こども家庭庁によると、昨年7月の総入電数のうち、転送され児童相談センターまでつながった接続率は約32パーセント、6割以上の人が途中で電話を切ってしまっているとのことで、非常に課題意識を持っている。
また、法改正により、来年6月からは、措置に親権者の同意が得られない場合、一時保護の開始時には、一時保護状請求書を作成し、裁判所に提出し、裁判官の司法審査を受けることになり、新たな事務が発生することとなる。制度が機能するか、申請数がどれぐらいになるかは不明だが、この一時保護状は、措置から7日以内に出さなければならないため、事務量の増加と混乱が予想されている。
2022年度児童相談所におけるAI、ICT等を活用した業務効率化に関する調査研究では、児童相談所職員は調査資料作成に最も多くの時間を費やしており、児童福祉司のみの従事時間割合は、面接・家庭訪問や調査・資料作成、移動・移送に多くの時間が充てられていることが指摘されている。本年度、国は児童相談所における業務や、ICT化の現状把握のための調査を行い、デジタル技術導入によるシステムの高度化やICT化を進め、業務改善を図るとして、本県にも導入予定の警察との即時情報共有システムのほか一時保護状請求書の発行や、会議内容等の自動テキスト化、外出先での業務環境の確保等を補助対象としている。
職員の質の向上のためには、研修等の時間の確保も必要であり、また、職員がケースワークなど中核的な業務に専念し、困難な状況を抱える子と親に向き合う時間的な余裕をつくるためには、書類・資料作成や、移動などの業務負担を低減し、そのためにICT技術やAIの活用も検討していくべきである。
そこで、児童相談所として、業務効率化のためにどのように取り組んでいるか、その一つとして、AICHI X TECHでの取組状況についても伺う。
【理事者】
まず、一時保護所の入所実態と運営改善のための取組等について、一時保護所には、保護者からの虐待や、保護者の入院などの様々な理由により、家庭において生活することが困難な、おおむね3歳から18歳の児童が入所している。入所している児童には、障害を抱えている、自傷行為がある、非行傾向があるなど、特に丁寧な支援が必要な児童も入所しており、本年9月1日現在の本県の一時保護所の入所率は80.8パーセントとなっている。
新たな基準やガイドラインでは、一時保護所においては、児童の権利に十分配慮し、意見や意向を尊重した支援を行うことが求められており、子供の視点に立った運営がされる必要があると認識している。
県としては、これまでも定期的に子供の意見を聞く場を設け、子供の声を施設運営に反映させていたが、新たに一時保護所や児童相談センターの職員をメンバーとした一時保護所の運営改善に向けた検討チームを立ち上げたところであり、生活上のルールを含む子供の権利に十分配慮した一時保護所の運営に努めている。
また、今回の改正児童福祉法では、一時保護所の設備や運営について、各都道府県が国の基準に従い、または国の基準を参酌して、本年度中に条例を定めることが義務づけられているため、改正児童福祉法の趣旨を踏まえ、本県においても検討を進めていく。
次に、三機関協同面接についてだが、三機関協同面接は骨折等の重篤な身体的虐待や性的虐待を受けた子供などを対象に、被害事実の確認のために実施するものであり、証言の信憑性を確保し、子供の心理的負担を軽減する観点から、検察、警察、児童相談センターの三者が協力して、そのうちの1人が面接し、聞き取りを行っている。
協同面接の実施件数は、本県全体で2022年が81件、昨年が119件と増加傾向にある。協同面接の実施件数の増加により、関わる職員が増える中、その目的や各機関の役割、連携を十分に理解した上で実施すること、また、通常は検察官が中心となって面接を進めるが、最近は、子供と関わりが深い児童相談センターの職員が面接官を務めることも増えており、職員の資質向上が課題となっている。
県としては、県警察が主催する司法面接研修に児童相談センター職員を派遣し、面接スキルの向上を図るとともに、本年度、児童相談センターにプロジェクトチームを設置しており、協同面接の手順や留意点、子供へのケアについて整理した手引の作成を進めていく。
最後に、児童相談センターの業務効率化について、本年4月から、児童福祉司等の専門職員が、これまで移送業務に従事していた時間を他の児童の面接等に充てることができるよう、児童を一時保護所等へ公用車で移送する際の運転職員を新たに配置した。さらに、本年度中には、児童相談センターが毎週実施するケース会議における資料の印刷、配布の手間を削減するため、会議資料を大型画面で共有できるデジタルホワイトボードを全ての児童相談センターに配備する。
また、児童虐待等による一時保護は、休日・夜間を問わず、一時保護所や民間の児童養護施設など、様々な施設の中から子供に適した受入先を確保する必要があるため、入所の打診から決定までに時間を要する場合がある。そのため、こうした行政課題について、ICTを活用した解決策を提案する企業等を募集するAICHI X TECHの取組を活用し、一時保護先の空き情報をリアルタイムで把握するとともに、複数施設に対して、同時に受入れの相談が可能なツールの構築に取り組んでおり、今後、施設側の協力を得て、実証実験を行う予定である。
こうした取組を通じて、専門職員が子供のケアに必要な時間を十分に確保できるよう業務の効率化を推進していく。
【理事者】
あいち小児保健医療総合センターにおける児童虐待防止医療ネットワーク事業についてだが、児童虐待防止医療ネットワーク事業は、あいち小児保健医療総合センターが拠点病院として、二次医療圏ごとに設置された14の中核的な病院とともに、医療機関における虐待対応体制の整備や医療機関のネットワークの構築に取り組むものである。
あいち小児保健医療総合センターでは、児童虐待専門コーディネーターを配置し、医療機関からの児童虐待に関する様々な相談に応じるほか、中核的な病院の医療ソーシャルワーカー等で構成する医療機関連絡会を年3回開催し、児童虐待に関する意見交換や情報共有を行っている。また、個別の事例検討会議を昨年度は54回開催した。
次に、この事業の課題と対応についてだが、県内医療機関の虐待対応力の向上を図ることや、医療機関と児童相談センターや警察、検察等の関係機関との連携強化が重要と考えている。
こうしたことから、引き続き、医療機関をはじめとする担当者を対象とした研修会等を開催し、児童虐待対応の資質向上に努めるとともに、児童相談センターや警察などの関係機関の協力を得て、連絡会、事例検討会議を開催するなど、医療機関と関係機関とのさらなる連携強化に取り組んでいく。
【委員】
まず、一時保護所について、先日の本会議における小木曽史人議員の一般質問に対し、大村秀章知事から全ての子供が安全・安心に暮らすことができるように環境改善に取り組むと力強い答弁があった。極めて重要な施設であるが、報道により一時保護所にネガティブなイメージを持ってしまっている人も多いと思う。不安を払拭させるため、例えば、ホームページ上に開示可能な情報の範囲内で運用面の分かりやすいQ&Aを掲載するなど、県からも正しい情報の発信に努めるべきである。
今後、移転整備される三河地区の一時保護所については、現在、整備基本計画の策定の業務の委託事業者を募集しているとのことである。今後の選考においては、ハード面の基準適合に加えて、冷たい無機質な施設ではなく、困難を抱える子供を温かく包み込み、落ち着いて生活ができるような環境をどのように実現していくかについても選考の際に十分留意するよう要望する。
条例制定については、一時保護施設の現状や専門家の意見、そして課題の精査に加え、今後設置される運営改善に向けた検討チームにおける議論、そして、現場の職員や、過去に一時保護を行った児童等の意見等も踏まえ、本県の実情に合わせて、内閣府令と異なる内容を定めることの検討、また、参酌基準に当たる一時保護施設の第三者評価、設備基準の一部において、一歩踏み込んだ愛知モデルの検討をしてほしい。
協同面接については、制度が始まり、来年で約10年になるが、いわゆる縦割り行政、それぞれ立場が違う中で、人権侵害を受けた子供たちの支援のための制度設計になっているのか検証が必要だと思っている。将来的には、協同面接は米国のように医療を含めた多機関連携の下、運営の中心を中立な第三者機関が担い、面接に適した場と面接を行う人材の提供が行われるべきであり、特に面接のためには、福祉と捜査に精通する知見を要する専門的な人材の育成が必要であることから、国にも司法面接官の創設などを提言していきたい。
先ほど紹介したあいち小児保健医療総合センター伊藤浩明センター長の国への要望内容は、現場の思いが込められており、極めて重要な指摘であると思うので、児童相談センター、警察、検察との連携強化、そして、協同面接や関係機関の支援が、困難を抱えた子供にとって、将来を生きていく上で線の支援につながるよう、望ましい在り方や制度設計についても、協同面接の先進県として、その考えをまとめていくことを要望する。
【委員】
協同面接は、一義的に検察官が窓口になっているのか。
【理事者】
協同面接は、事件化を検討するという観点もあるため、実質的に検察官が主導するケースが多いと考える。
【委員】
いろいろな事案があると思うが、検察や警察は捜査機関であるので、相手が恐怖に脅えているような児童であることを踏まえると、一義的に児童相談センターが窓口になり、捜査機関が立ち会うのが正しい姿だと思うがどう考えるか。
【理事者】
三機関協同面接は、検察、警察、児童相談センターのうちの代表1人が面接を行うことになる。最近では、子供と関わりの深い児童相談所が面接者を務めるというケースも増えてきているため、今後、検察、警察とも相談をしながら、子供にとってよりよい面接の在り方を検討していきたい。
【委員】
本県で二度とこのような事件を起こさないために、まず、児童相談センター職員が一義的に窓口になり、それに合わせて捜査機関がサポートしていくという体制を構築するよう要望する。
【委員】
まず、県内の公の施設や民間の施設における授乳室の設置状況などについて伺う。
昨今、女性の社会進出が進む中で、約7割が第一子を出産後も継続就業しているという状況の中で、産後に6か月以上の産休をしっかりと取得する女性が95パーセントいる一方、早期に職場復帰する女性もいる。これは、男性の育休取得が増加傾向にある中で、女性の早期職場復帰割合が将来的に増加する可能性も考えられる。
例えば、女性の社会進出が日本より進んでいる海外の場合、平均的な産後の復帰期間は10週間程度で、日本より断然短い。産後10週というと2か月半での復帰となり、3か月健診の際には既に仕事に復帰していることになる。
乳児を育てる母親は外出するとき、おむつの交換や授乳ができる場所があるかどうかを、あらかじめネットで調べてから外出することが多いと聞く。
買物や食事などを目的として多くの人が集まるショッピングモールなどの施設では、授乳室を備えているところも多く見受けられ、外出時において、母親が安心して子供の世話をすることができるよう配慮がされている。
県において、住民の福祉を増進する目的をもち、その利用に供するための施設として、地方自治法第244条第1項に基づく公の施設を運営している環境の中で、本県の公の施設の授乳室の設置状況を伺う。
【理事者】
本県の公の施設のうち、授乳室を設置している主な施設としては、乳児を連れての利用が多く見込まれる愛知児童総合センターなどの児童厚生施設をはじめ、美術館、図書館、大型展示場や空港施設などがある。また、授乳室を設置していない施設においても、代替えとなる個室などがある場合は、授乳室としての利用を可能とする対応をしている。
【委員】
リトルベビー、いわゆる低出生体重児の母親たちと意見交換する機会があった。その際に、授乳室での搾乳の難しさがあると聞いた。
一般的に赤ちゃんに直接母乳を与えることを直母、反対に母親が母乳を絞ることを搾乳と呼ぶ。何らかの事情で赤ちゃんに直接母乳を与えられない場合はもとより、赤ちゃんが母乳を飲み残したとき、母親の胸がまだ張っているときのセルフケアとして有効なのが搾乳である。
搾乳ができる場所の一つが授乳室となるが、授乳室は、基本は子供連れで入ると考えられている中で、一人で入るのは、搾乳が目的であっても、人目を気にしたり、遠慮したりして、なかなか入れない場合もある。授乳室を必要な人が気兼ねなく使えるようになればいいと思う。
県では、子育て支援事業として、子育て家庭を優遇するはぐみんカードを発行しているが、はぐみんカードは、子育てを応援する協賛店舗の情報や子育てに関する有益な情報を、あいちはぐみんネットで紹介している。本年度、はぐみんカードがデジタル化を含めたはぐみんネットの改修を行うことで、スマートフォンの地図上で近くの協賛店舗を探せるようになるなど利便性の向上が図られる。
そこで、県では、はぐみんカードの協賛店舗において、授乳室を備えている店舗を把握しているのか。また、本年度の改修で、授乳室に関する情報について利用者の利便性が向上するといった観点があるのか伺う。
【理事者】
初めに、はぐみんカード協賛店舗における授乳室の把握について、現在のはぐみんネットでは、はぐみんカード協賛店舗の情報を地域や業種、特典の種類などによる検索ができるようデータベース化しているが、授乳室の有無は検索できる仕様ではないため、県としては把握していない。
次に、本年度の改修による授乳室に関する情報の利用者の利便性について、これまではぐみんネットでは、協賛店舗の授乳室の有無についての検索ができなかったが、本年度の改修により、授乳室の有無とおむつ交換台の有無について検索機能を追加するため、利用者の利便性の向上が図られる。
また、改修により、県から協賛店舗に向けて、お知らせの一斉通信が可能となるため、店舗に対し、授乳室の有無も含めて最新の情報をはぐみんネットに登録してもらえるよう周知していく。
【委員】
授乳室は、民間、公の施設問わず、多数の人が集まる場所では整備が進んでいる。子育て支援における重要なインフラであると理解している一方、事情により乳児との外出がかなわず、外出先で搾乳が必要な母親もおり、一人で授乳室を利用することにためらいを覚える人がいる。せっかく設置されている授乳室であるため、外出先で搾乳の必要のある人も気兼ねなく授乳室を利用できるとよい。
そこで、県の公の施設のうち、授乳室を備えている施設に対して、授乳室に搾乳でも利用できますという内容の表示をするなど協力を求めることを要望する。
そして、このたびの改修では、県から協賛店舗に向けて情報発信できるようになるため、県の公の施設と同様に、授乳室を備えていると回答した店舗へ向けて、搾乳でも利用できるという内容の表示をするなど、協力を求めることを要望する。
このことで、授乳する母親も搾乳する母親も、安心して利用できる授乳室になる。
次に、社会的養護経験者、いわゆるケアリーバーが自立していくために必要となる住まいについて伺う。
令和4年9月定例議会の一般質問において、社会的養護経験者、いわゆるケアリーバーの支援の充実について質問した。ケアリーバーの就労や生活、進学をめぐる環境は厳しいものがあり、当事者が行き詰まった際、頼れる施設や相談者などとのつながりが希薄、あるいは途絶えているというようなケースも散見し、行政による支援の拡充が求められているという趣旨の質問だった。
特に、施設退所後、あるいは入所中から退所後のことを考えて、本人が自立できるようなサポート体制をどのように行っているのかが重要である。県からは、相談支援体制の充実をはじめ、ケアリーバーに寄り添った支援策を検討していくとの回答があった。
昨今、ヤングケアラーはメディアでも取り上げられるようになったものの、ケアリーバーは重要支援分野にもかかわらず、注目されていないのが現状である。
先日、お笑い芸人のやす子氏が自身も社会的養護経験者で施設育ちであることを、とある番組の中で告白した。
彼女は施設を18歳で退所し、自衛隊に入隊している。当時は18歳で退所しなければならず、入隊への理由を聞かれ、18歳で退所した後にどのように人生を送るのか分からなかった。働くにしろ、住居を探すにしろ、必要な身元保証人が自分にはいなかった。住まいがあり、働ける場所は自衛隊しか選択肢がなかったとコメントしている。
生活の基盤をつくるには、住まいが重要であり、令和4年9月定例議会の一般質問の最後には、国の通達では、居住支援に関して支援の必要が高い者に対して、都道府県が設置した公営住宅などの賃貸住宅に一定枠を設けることその他の適切な方法により居住の場を提供することとしている。愛知県においてもケアリーバーへの支援を行う福祉局と公営住宅を設置する建築局が連携して、ぜひこのような取組を前向きに検討してもらいたいと要望した。
そこで、ケアリーバーの住居確保支援について、その後の検討状況と今後の動きを伺う。
【理事者】
就職や進学により児童養護施設等を退所して自立を目指すケアリーバーは、保護者の支援を受けられず、親元を離れて一人暮らしを始める場合も多く、住居確保のための支援を行うことは自立を促す上で大変重要であると認識している。
そのため、県営住宅を活用した居住支援に関して、建築局と協議を重ね、今回新たに児童養護施設等の退所者が単身で県営住宅に入居できる仕組みを整備した。具体的には、施設や里親宅等を出て一人暮らしを始める18歳以上の人を対象とし、県があらかじめ指定した住宅に入居してもらう形となる。入居できる期間は最長で5年間で、入居期間中は自立支援のため県の支援コーディネーター等がサポートを行う。
今後は、この制度を児童養護施設等を通じて対象者に周知し、活用を促すとともに、円滑な制度運用を図り、ケアリーバーに寄り添った支援を行うよう取り組んでいきたい。
【委員】
次に、障害者手帳の利便性向上について、今回は行政にとっての利便性向上ではなく、当事者にとっての利便性向上という観点で質問する。
障害者手帳のうち、身体と精神に関しては令和元年4月1日からカード化が基本的に可能となった。療育に関しては法的根拠がなく、そもそもカード化は可能となっている。我々公明党愛知県本部としても、定期的に政策懇談会を当事者と行っている中で、当事者の団体からの要望に基づいて質問する。
現在、障害者手帳は紙での交付となっているが、当事者団体からは、カード式と紙媒体との選択ができるようになってほしいと要望がある。
現行の紙では、折れやすい、水に弱い、劣化するなど耐久性に難があったり、財布から取り出しにくい、防水目的でカード入れが必要、また、それを使うと財布に入らないといった不便な点があり、カード化するとそれらが解消される。何よりもカード式を希望する当事者が手帳使用時に不便に思わないような選択肢の提示をすることが大事だと考える。
先ほど言ったとおり、要望は当事者から出てきており、本来行政は当事者目線でサービス向上を図るべきである。
身体、精神、療育手帳に関して、カード式を導入している都道府県は既にあり、6割以上の割合で当事者はカード式を選択しているという結果も出ている。
将来的には、マイナカードへの統合があるかもしれないから障害者手帳のカード化は様子見という意見も聴くが、厚生労働省に確認したところ、統合の予定はないとのことであるため、様子見は不要だと思う。
そこで、三点質問する。
まず、本県が現在発行している紙媒体の障害者手帳の交付件数は、この10年間でどのように推移しているのか。
次に、2021年3月の福祉医療委員会でもカード型の障害者手帳の導入に関する検討の要望があったと思うが、現在も導入に至っていない。カード化には、様々なメリットがあるが、県として、主に何が障害者手帳のカード化への課題と考えているのか。
次に、今回の質問をするに当たり、カード化を導入している山口県、福岡県、佐賀県、大分県でヒアリングを行った。カードタイプの手帳で裏書きする場合、スペースが不足するといった懸念があったが、QRコードを使用することで、新情報を絶えずアップデートでき、スペース不足の懸念は全くなくなったと聞いた。また、カード化の要望を出した当事者団体も、想定されるデメリットとして、裏面へのスペースが限られていることにより書き込み不足の懸念を挙げていたが、実際に追記事項が行われる頻度はそこまで多くなく、常に不足するという感覚もないともいわれていた。カード式を導入して選択肢を増やすといった、当事者目線の取組を行うべきと考えるがいかがか。
【理事者】
障害者手帳の交付件数の推移について、まず、身体障害者手帳の交付件数は、年度別の増減はあるものの、再交付を含めて、おおむね年間1万3,000件から1万4,000件の間で推移しており、一昨年度及び昨年度では、この1万3,000件を下回り、年間で1万2,500件ほどとなっている。
次に、療育手帳の交付件数は、ここ10年間で増加傾向が見られており、再交付を含めた2014年度の交付件数が年間8,000件ほどであったものが、昨年度は約1万件となっている。
最後に、精神障害者保健福祉手帳の交付件数だが、新規の交付件数は、この10年間で増加傾向にあり、2020年度から昨年度までの再交付を含めた件数も、約6,800件から約9,700件と毎年度増加している。
次に、障害者手帳のカード化への課題について、2021年3月の福祉医療委員会においても答弁したが、スペースが限られることで手帳に記載する情報量が制限されることが主な課題であると考えている。
現在の障害者手帳は、手帳所持者の氏名や住所、生年月日、障害等級などの情報に加えて、手帳によっては、注意事項や外国語による説明、指導・相談記録などを蛇腹折りとなっている手帳の複数の紙面や、療育手帳では別冊を使って記載している。
これがカード型の手帳になると、表面と裏面しかスペースがなく、手帳に記載できる情報量が制限されることで、手帳所持者やその保護者の情報が手帳上で管理することが難しくなり、自動車税の軽減措置や有料道路通行料金の割引などの優遇制度の事務にも影響があることから、これらの課題を解決していく必要がある。
次に、利便性向上、カード化の選択肢を増やすことについて、本県では、これまでに手帳サイズを見直すことで携帯しやすい大きさにするなど、手帳を所持する人の利便性の向上に努めてきた。カード型の障害者手帳を導入することにより、手帳を所持する人の選択肢が増えることは利便性の向上につながるものだと認識しているが、導入に関しては記載スペースをはじめとする課題を解決していく必要がある。
このため、福祉局としては、精神障害者保健福祉手帳を所管する保健医療局と連携して、既にカード型の障害者手帳を導入している他県の状況調査をさらに進め、課題解決に向けて、引き続きカード型の障害者手帳の導入に関する研究を進めていきたい。
【委員】
紙媒体のみを唯一の選択肢とするのではなく、当事者の要望に沿ってほしい。結局、紙かカードかは当事者が選択すればいいだけで、カードに懸念がある人は紙を選ぶ、カードにしたい人の意思を反映できる制度にすべきである。
今までの固定観念にとらわれるのではなく、現場の声をしっかりと反映して、できない理由でなく、できる方法を探し、未来への変化点をつくるのは今だと考える。住みよい愛知、障害者に寄り添う愛知、これをつくってほしい。
あいち障害者福祉プラン2021-2026の基本理念の中には、障害のある人が日常生活や社会生活を営む上で妨げとなる様々な社会的障壁を取り除くよう、社会全体で取り組んでいきますとある。社会医療的障壁とは、ここでは様々な捉え方があるが、社会や環境の在り方、仕組みが障害をつくり出していることもあるので、それを取り除くことにもなると考える。
そういう意味で、当事者への少しの配慮、工夫でその障壁をなくすこと、そして、当事者が希望する状況をつくり、生活しやすい選択肢を増やすことになる仕組み、障害者手帳のカード化を進めるよう強く要望する。
【委員】
児童虐待防止に向けた取組について伺う。
児童相談センターに寄せられる児童虐待相談の件数は、近年増加傾向にあり、昨年度は7,073件で過去最多となっているが、件数は10年前と比較してどれくらい増えているのか。また、相談内容の内訳についても伺う。
【理事者】
児童虐待相談対応件数の10年前との比較について、10年前の2013年度に、本県の児童相談センターが対応した児童虐待相談は2,344件となっており、虐待種別ごとの内訳は、子供に暴力を加える身体的虐待が977件で最多。次に、子供に対する暴言や夫婦間の暴力・暴言を子供に見せることなどにより心理的外傷を与える心理的虐待が807件、保護者の育児放棄などのネグレクトが487件、性的虐待が73件であった。
これに対し、昨年度の状況は、児童虐待相談対応件数全体が過去最多を更新し、7,073件となっている。虐待種別ごとの内訳は、心理的虐待が4,399件で最多であり、身体的虐待が1,772件、ネグレクトが816件、性的虐待が86件であった。
この10年間では、心理的虐待の件数が807件から4,399件と5倍以上に増加し、児童虐待相談全体に占める割合も約34パーセントから約62パーセントへと大幅に増加している。
【委員】
心理的虐待への対応について、子供に対する暴言やDVを子供に見せるなどの行為で心理的外傷を与える心理的虐待が、この10年間で5倍以上にも急増している理由を県はどのように分析しているのか。
また、心理的虐待が疑われる事案に対して、児童相談センターが保護者等へ行う指導方法についても伺う。
【理事者】
心理的虐待に係る相談が増加している要因としては、児童相談センターと警察の連携が進んだことが挙げられる。相次ぐ重篤な児童虐待事案を受け、2012年度以降、国から児童虐待への対応における取組の強化や情報共有の徹底等について、繰り返し通知が発出され、警察に対して、児童の安全確保の徹底や確実な通告の実施が求められた。
この結果、警察からの通告は、通知発出前の2011年度が281件、昨年度は4,086件と、約15倍に増加しており、この4,086件のうち、約78パーセントの3,176件が心理的虐待に係るもので、例えば、子供の目の前で夫婦間における暴力や暴言があり、110番通報により警察が臨場し、その場に子供がいれば、安全確認の上、警察から児童相談センターへ通告がされるものなどが多くある。
次に、心理的虐待に係る指導について、夫婦間の暴力等を子供に見せることは、子供に大きなストレスや恐怖心を与え、成長や発達への悪影響が懸念される。このため、児童相談センターでは、児童や保護者と面接を行い、児童の心理的影響を把握するとともに、保護者に対しては、虐待による悪影響等について、丁寧に説明し、注意喚起と再発防止に向けた指導を徹底している。
また、育児不安等を背景としたものは、市町村へ対応を依頼し、市町村における子育て支援施策の活用を進めるなど、多様な機関によるきめ細かな対応につなげている。
【委員】
最後に、特別な配慮を有する保護児童への対応について伺う。
緊急に保護を要する、また、一時的に親子を引き離し、行動観察や生活指導等を行う場合に、児童を保護する一時保護所は、児童指導員や保育士、また、心理療法を担当する職員、さらには乳児に対応する看護師など、保護される児童に対し、様々な観点から対応する職員が配置されているとのことである。
中でも、人工呼吸器やたんの吸引など、日常的に医療的なケアを必要とする医療的ケア児を保護する場合は、より特別な配慮が必要になるが、こうした児童に対しては、一時保護の対応を具体的にどのように行っているのか。
【理事者】
児童相談センターが対応する児童の中には、日常的に医療的ケアが必要な児童も一定数いる。本県では、医療的ケアが必要な児童の支援に当たる看護職員等を配置するなど、受入体制の強化を図る取組を行った乳児院や児童養護施設等に対して、配置に必要な経費に補助を行い、より適切に児童を受け入れる環境づくりに取り組んでいる。
医療的ケアが必要な児童の一時保護への対応においては、一般的な一時保護施設での受入れが困難な場合、専門の看護職員等を配置し、受入体制を強化している施設や、より専門的な対応が可能な病院等の医療機関、医療型障害児入所施設など多様な社会資源を活用し、児童の安心・安全な生活環境が確保できるよう対応している。
【委員】
今回の質問では、増加する児童虐待の相談事案の中でも、とりわけ急増する心理的虐待の児童相談所の対応などを確認した。
虐待を受けた子供の立場に立てば、身体的、心理的などの内容にかかわらず、全てが恐怖であることに違いなく、どのような理由であれ、虐待は絶対に容認してはならない。
一方で、心理的な虐待は、どこの親子関係や夫婦関係にもあるような、少しの不安や意見の食い違いなどが原因になり発生してしまうケースも多いと考える。このような事案に対しては、児童相談所をはじめとした専門家が迅速かつ適切に介入していくことによって、家族の絆を修復すること、ひいては身体的虐待等の重大事案への発展を未然に防止することにもつながっていくと考える。相談件数が年々増加していることに苦慮していると思うが、引き続き丁寧に対応に当たることを要望する。
また、本年5月に犬山市で発生した児童死亡事件について、事件の事実関係や発生原因は、現在検証委員会で関係者にヒアリングが行われているとのことだが、この間、様々な記事を読み、私も子の親として本当に胸が苦しくなるような内容ばかりだった。同時に、2度目の一時保護中には、児童自身が家に帰りたいと強く述べるなど、虐待を受ける子供の被害の実態を見抜く難しさも併せて感じた。
今回の事案は、保護期間の通算が約5か月におよび、児童相談所の対応案件の中でも重要度の高い事案と考えられていたのにもかかわらず、このような事件が起きてしまったことは、しっかりと検証して、必要な再発防止策を早期に講じてほしい。
併せて、担当した児童相談所の職員、一時保護所の職員にとっても、保護解除に至った判断が本当に正しかったのか、今も自問自答する日々の中で、心ない誹謗中傷の声が寄せられていないかと懸念している。
本県における昨年度児童虐待防止に関する取組の実施状況のうち、児童相談センターの体制強化として、法医学や精神科の専門医師が、児童相談所職員に対して助言指導や保護指導上のアドバイス等を行っているとのことだが、業界の慢性的なマンパワー不足の中、日々過酷な業務に当たっている職員の心のケアもしっかり行うこと、また、今回のような事件を二度と発生させないために、必要な専門職員の増員、体制の強化に向けて、引き続き取り組むよう要望する。
【委員】
まず、僻地における歯科保健医療提供体制について、三河山間地域においては、歯科診療所が少なく、一部には無歯科医地区と呼ばれる地区がある。無歯科医地区とは、おおむね半径4キロメートルの区域内に50人以上が居住している地区で、かつ、容易に歯科医療機関を利用することができない地区をいう。
また、三河山間地域の歯科医師の多くが60歳代で高齢化していると聞く。したがって、将来的にその地域の歯科医院が閉院することによって、無歯科医地区が増加し、歯科保健医療提供体制の維持が困難になる可能性があることが危惧されている。
そこで、歯科医師の高齢化が進む僻地における歯科保健医療提供の整備について、県の取組を伺う。
【理事者】
口腔の健康が健康寿命に深く関連することが明らかとなっており、定期的に歯科健診や歯科医療を受けることが重要である。三河山間地域において、今後歯科医師の高齢化が進むことで、将来的な歯科保健医療提供体制に影響を及ぼすことが懸念される。
このことから、本県では、本年度、一般社団法人愛知県歯科医師会に委託し、三河山間地域の歯科保健医療提供体制について、当該地域の歯科医療関係者や市町村の担当者に現状やニーズ等の調査を実施する予定である。
【委員】
無歯科医地区出現を防ぐためには、歯科医療機関の後継者へのマッチングが重要な方策の一つであると考えられる。歯科医療機関に限らず、中小企業や小規模事業者は後継者不足が大きな課題となっている。後継者がいないので廃業する事例が起こっている。歯科医療機関も事業所の一つではあるが、公益性は民間の企業とは性格を異にするものであるため、行政の支援が必要になってくる。そして、第三者への継承は即座にかなうものではなく、それを促す公的な仕組みづくりを今から考えていく必要がある。
歯科医療機関は、民間事業者が行う営利目的の事業とは異なる性格の事業であるため、どうか公的な援助について、仕組みづくりを引き続き考えるよう要望する。
次に、一般社団法人愛知県歯科医師会が保有する巡回歯科診療車、歯~とぴあ号について伺う。
愛知県歯科医師会は昭和41年から歯科診療車事業として、歯科医療の提供、口腔衛生指導や健康教育など歯科診療車を活用した事業を展開してきた。現在は5代目となる歯~とぴあ号が活動している。最近では、本年1月に発生した能登半島地震においても出動し、被災地における歯科の支援活動を行った。
巡回歯科診療車、歯~とぴあ号は、平成26年3月に県の助成を受けて整備を行い、10年以上が経過をした。走行距離は少ないそうだが、多くの機器を搭載しており、非常に車体の重量がある。経年劣化も進んでいることから、新しい車両への更新が必要である。
例えば、歯科保健医療提供体制の維持の難しい地域などにおける巡回歯科診療など、今後は歯科診療車のニーズが増加するとも考えられる。
そこで、愛知県歯科医師会が保有する歯科診療用車両の僻地における活用について県の考えを伺う。
【理事者】
本年度実施する、先ほど説明した調査から得られた結果を基に、僻地における歯科保健医療提供体制に係る取組を構築する中で、歯科診療用車両の有効な活用についても検討していきたい。
【委員】
歯~とぴあ号は様々な活用方法を探っているようであり、例えば、アジア競技大会やアジアパラ競技大会といったスポーツ競技大会や大規模災害時に歯科診療車は活用できる。
そして、今のところ、歯~とぴあ号は、修理をしながらどうにか運行ができているとのことだが、近い将来、新しい車両への更新を考える時期が到来する。その新しい車は、無歯科医地区への派遣を想定することから、急勾配の坂道や豪雪等の自然災害にも対応可能な4WDの仕様の車とすることも検討されている。
引き続き、よく検討して、前向きな回答がもらえることを要望する。
【委員】
まず、家庭訪問型子育て支援推進事業、いわゆるホームスタート事業について伺う。
現在、地域のつながりが希薄化する中で、子育ての悩みを身近に相談できる人や近くにサポートしてくれる人がいないことで、子育ての孤独感や負担感を強くしている人が増えている。多胎児家庭やその他の要因で子供を連れての外出が容易でない人は、一人で不安を抱えがちであり、実際に子育て世帯からは、親同士の知り合いが欲しい、子育ての悩みを気軽に相談できる相手が欲しいといった声が数々上がっている。
県では、これまで子育てに不安を持つ家庭や多胎児家庭などに対して、研修を受けたボランティアが訪問して、傾聴や協働等の活動を行うことで、相手が話したいことを聞いたり、気持ちを共有したり、単に一緒にいるというようなことや、協働というのは、一緒に食事やお菓子を作ったり、買物に行ったりというようなことだそうだが、これらの活動を行うことで、子育ての孤立感や不安感を軽減する家庭訪問型子育て支援推進事業、いわゆるホームスタート事業を進めてきたと承知している。
そこで、ホームスタート事業のこれまでの実施状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
初めに、ホームスタート事業の実施状況について、県では、2020年度から2年間、家庭訪問型子育て家庭寄り添い支援モデル事業として、市町村と共同して事業を行う二つの民間団体に委託し、2年間で計67人の家庭訪問ボランティアを養成するとともに、77件の訪問支援を実施した。なお、モデル事業実施後は、民間団体による自主的な活動が広がっており、現在8団体が活動している。
また、県では、人材育成による支援として、利用者の希望に応じた支援内容の調整、訪問ボランティアの養成やサポートなど、事業全体のマネジメントを行うオーガナイザーを養成する研修を実施しており、2020年度から昨年度までの4年間で計37人を養成した。
次に、今後の取組について、県の子ども・子育てに関する総合的な計画である、あいちはぐみんプラン2020-2024では、地域の子育て支援力の向上を目指すため、県内でホームスタートを実施する団体数を11団体とする数値目標を掲げている。現在の8団体に加え、2団体が訪問支援の準備をしており、目標の達成に向け、今後も引き続きオーガナイザーを養成し、家庭訪問型子育て支援の取組を進めていく。
【委員】
ホームスタートとは、イギリスで1973年に始まったそうで、世界でも20か国以上、我が国でも全国に広がっていると聞く。ほとんどの自治体で様々な子育て支援施策が打ち出されているが、既存の支援が利用できない、支援が届いていないといった子育て家庭が実は多く存在しているのが実態である。
多胎児や年子、障害や病気のある子供若しくは親、経済的に余裕がない家庭、仕事や介護と育児の両立で余裕がない親、外国人の親など、相談窓口に出かけることが困難な家庭は数多く存在している。そういった中で、ホームスタートは支援の隙間で誰かの手助けを必要としている家庭も誰もが気軽に利用できる訪問型の子育て支援であり、意義が大きい事業だと感じている。
次に、子育て世帯訪問支援事業について伺う。
子育て世帯訪問支援事業は、本年4月に改正児童福祉法が施行され、法的に位置づけられた。子育て世帯訪問支援事業は、家事や子育てに対して不安や負担を抱える子育て家庭、産前産後の人はもちろん、シングルマザーやヤングケアラーがいる家庭の居宅を訪問支援員が訪問して、家庭が抱える不安や悩みを傾聴するとともに、家事、子育てなどの支援を実施すること、保育所の送迎、宿題の見守りなどだそうだが、こうした支援を実施することにより、家庭や養育環境を整え、虐待リスクの高まりを未然に防ぐことを目的とした市町村事業である。
この事業は、単なる家事や育児の手伝いによる一時的な負担解消だけでなく、家事や子育て支援を通じて、支援対象の家庭が自立して生活できるように支援対象者の環境を整えていくことが最終的な目標で、積極的なアウトリーチ支援として重要であると考える。
そこで、子育て世帯訪問支援事業のこれまでの実施状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
初めに、子育て世帯訪問支援事業の実施状況だが、2021年度の国の補正予算により、子育て世帯訪問支援臨時特例事業として創設され、昨年度まで実施された。実施主体は市町村であり、2022年度は5市町に対して274万4,000円、昨年度は8市町に対して209万8,000円の補助を行った。
また、本年度からは、児童福祉法に規定する子育て世帯訪問支援事業として実施されることとなり、本年度は35市町で実施を予定しており、予算額は2,478万4,000円となっている。
なお、今後の取組としては、家事・子育て等に不安や負担を抱える子育て家庭等を支援するため、より多くの市町村で事業が実施されることが重要であるので、引き続き事業を実施する市町村に対する補助を行うとともに、未実施の市町村に対して、事業の実施を働きかけるなど、市町村の取組を支援していく。
【委員】
法改正によって、子育て世帯訪問支援事業を実施する市町村が増えているとのことだが、行政によるきめ細やかな家庭支援が行われて、家庭や養育環境を整える上で、この事業は大変重要であると思う。
一方で、行政の窓口、相談機関に相談するほどの状況ではないものの、育児についての話し相手や一緒に行動してくれる人がいることで孤独感が解消されるといった、家庭で育児不安による孤独感を感じる人への支援も同時に必要である。
そこで、気軽に相談しやすいNPO法人などの民間団体の取組は、行政の事業を補完するものであって、市町村と連携し得るものと考える。今後も県として、市町村や民間団体の取組を支援することにより、子育てによる孤立感や不安の軽減につながる事業が重層的に実施されることを要望する。
【委員】
医師の働き方改革について、本年4月から時間外労働が960時間に制限されたが、県内のこれまでの状況について伺う。
【理事者】
本年4月から、医師の働き方改革で、時間外労働の上限規制の適用が開始されている。これにより、医療機関における時間外・休日労働の上限が原則年960時間になり、それぞれの医療機関においては、勤務医師の労働時間短縮などの勤務環境の改善に取り組んでもらっている。
本県では、勤務環境の改善に取り組む医療機関を支援するために、愛知県医師会に委託して、本県の医療勤務環境改善支援センターを設置している。そのセンターでは、医療労務管理アドバイザーや医療経営アドバイザーを配置して、電話、メール、面談による相談、現地へアドバイザーを派遣して、面談を実施するといった取組をしている。
医療機関では、勤務時間の短縮に取り組むに当たって、宿日直の許可申請の取り方や、運用の方法などの質問が最も多く寄せられている。
【委員】
上限規制は始まったばかりであり、県民のためにもぜひ県内の医療機関をしっかりとフォローしてほしい。
上限規制の特例扱いもあるようで、特例扱いにすると960時間が1,860時間に緩くなることが報道されているが、どのような医療機関が特例扱いを申請したのか。
【理事者】
この制度の中では、地域の医療提供体制を確保するといった観点から、やむを得ず時間外労働等が年960時間を超える見込みがある医療機関は、県から特例扱いとなる特定労務管理対象機関の指定を受けている。
この指定を受けた場合、時間外・休日労働は年1,860時間を上限にすることができる。この特例扱いとなる特定労務管理対象機関は、救急医療等を担う病院や医師を派遣する病院、臨床研修医や専門研修医の研修を行う病院、高度技能を習得するための研修を行う病院などが指定を受けることができることとなっている。
【委員】
救急医療を担う病院はどれぐらい特例扱いの申請をしているのか。
【理事者】
現在、救急医療で申請して指定を受けたのは27医療機関である。この27医療機関の内訳としては、救命救急センターが17か所、第二次救急医療機関が10か所であり、救急医療等を担う病院としての指定を受けている。
【委員】
地域医療に対しての懸念はあるのか。
【理事者】
医師の働き方改革では、他の医療機関に派遣される医師などの勤務時間も含めており、派遣元となる医療機関が正確な勤務時間を把握することが求められるようになったため、例えば、大学病院等が時間外労働の上限規制の適用を理由に、派遣先の医療機関から医師を引き上げることによる診療制限が懸念されているが、現在県内においては、診療制限が行われ、地域医療に影響を及ぼしているという情報はない。
引き続き、愛知県医療勤務環境改善支援センターによる相談・助言等を実施して、医療機関の勤務環境の状況をしっかりと把握するとともに、改善に対して支援を行っていきたい。
【委員】
本年8月に、東京都からいわゆる健康食品から医薬品成分が検出されたという報道発表があった。
いわゆる健康食品は、あくまでも食品であるが、医薬品成分を含むものは医薬品とみなされて、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。承認を受けずに製造販売されたものを販売、授与することは、法律で禁止されている。
この事例は健康被害が発生したため、東京都が検査をしたそうだが、検査、分析したところ、医薬品が入っていたとのことである。このような事例は多くないと思うが、未然に防止できなかったことは消費者として残念である。
そこで、健康被害を未然に防止するため、本県では、いわゆる健康食品に含有される医薬品成分の検査を行っているか伺う。
【理事者】
本県では、県内の店舗で医薬品成分の含有が疑われる、いわゆる健康食品の買上げを行い、県衛生研究所で検査を実施している。
【委員】
昨年度の検査状況を伺う。
【理事者】
昨年度は、ダイエット・痩身効果を標ぼうしている6製品、強壮効果を標ぼうしている6製品、合計12製品を買い上げ、検査を実施したが、いずれの製品からも医薬品成分は検出されなかった。
【委員】
成分の検査をするのは大変だと思うので、衛生研究所の職員は本当に苦労していると思う。昨年度は合計12製品の検査を実施し、医薬品が入っているものはなかったとのことだが、本県の検査で医薬品成分が検出された場合、県民に対してどのように対応するのか。また、他都道府県において、いわゆる健康食品に医薬品が入っていることが分かった場合、本県はどのように対応するのか。
【理事者】
本県の検査で医薬品成分が検出され、医薬品医療機器等法の違反となった場合、買上げ店舗の販売者に対して、直ちに販売中止及び回収等の指示をする。併せて、記者発表や県のウェブページで公表し、県民に対して使用中止等の注意喚起を行うとともに、厚生労働省へ報告する。
また、他の都道府県の場合は、厚生労働省から情報提供を受け、県民からの相談があった場合に対応できるよう保健所と情報共有していく。引き続き、買上げ検査を行うことで、健康被害の未然防止に努めていく。
【委員】
今後、引き続き健康被害の未然防止に努めるよう要望する。
【委員】
健康日本21あいち計画について伺う。
生涯を通じて生き生きと健康で過ごすことは誰もが願っていると思うが、健康日本21あいち計画は、県民の健康づくりのための施策の基本となるものである。
私は、第2期健康日本21あいち計画の策定が進められていた当時の本会議で、県民の健康寿命を延伸するため、どのように健康づくりに取り組んでいくのかについて、質問したことがある。
その第2期計画の計画期間が昨年度末で終了し、本年4月からは第3期計画による取組が始まったとのことである。第2期計画から第3期計画へ、健康長寿あいちの実現として、健康寿命の延伸と健康格差の縮小といった目標が引き継がれているようだが、この健康寿命というものが私たちにとって大切なものだと改めて認識した。
そこで、健康寿命の定義について改めて伺う。
【理事者】
国は、健康寿命の定義について、健康上の問題によって日常生活が制限されることなく生活できる期間としている。国民生活基礎調査において、3年に1度実施される大規模調査の質問項目である、現在、健康上の問題で日常生活に何か支障があるかに対して、ないと回答した人を健康と定義し、その割合を基に算出している。
【委員】
次に、本県の健康寿命の状況はどのようになっているのか。
【理事者】
本県の健康寿命について、現在公表されている直近の値は、2019年で男性が72.85年、女性が76.09年となっている。2010年から2019年までの10年間で男性では1.11年、女性では1.16年とともに延伸した。
【委員】
昨年度末までが第2期計画の計画期間となっていたが、第2期計画の評価について伺う。
【理事者】
第2期計画は2013年度から昨年度の11年間が計画期間で、昨年度開催した愛知県健康づくり推進協議会の専門部会である健康増進部会において、目標達成状況に関する最終評価を行った。第2期計画の119の指標のうち、目標を達成したものや策定時よりも改善したものは合わせて77指標で、全体の64.7パーセントとなった。
策定時より改善された指標は、健康寿命をはじめ、特定健診、特定保健指導の実施率や、喫煙率の低下などがある。また、改善の見られなかった指標は、肥満者の割合、バランスのよい食事を取っている者の割合、健康的な生活習慣を送っていると思う者の割合などである。
【委員】
第2期計画の評価について回答してもらったが、評価を踏まえて、第3期計画はどのような考え方で策定されているのか。
【理事者】
第3期計画では、引き続き基本目標を健康長寿あいちの実現として、1、生涯を通じた健康づくり、2、疾病の発症予防及び重症化予防、3、生活習慣の見直し、4、社会で支える健康づくりの四つの基本方針により、総合的に健康づくりを推進する。
策定においては、第2期計画で課題が残った肥満、運動習慣、野菜摂取の改善について、引き続き取り組んでいくこととした。
また、新たな視点として、胎児期から高齢期に至るまで、人の一生を経時的に捉えたライフコースアプローチや、積極的に健康づくりに取り組む人だけではなく、健康づくりに関心があっても仕事などで忙しい人など、誰もが無理なく健康に配慮した行動が取れるような環境整備を推進していくといった考え方を取り入れた。
【委員】
第2期計画の評価を踏まえて、日常生活の中で自然に健康になれるようなサイクルなどを取り入れるとのことだが、今後、第3期計画をどのように進めていくのか。
【理事者】
第3期健康日本21あいち計画は、計画の周知啓発を図ることが必要だと考えている。県ウェブページへの掲載とともに、市町村、関係団体等に対して、計画冊子の配布を行っている。また、県民に身近な健康づくりの主体である市町村に対して、会議等を通じて、本計画の基本方針や指標の考え方について情報提供を行い、それぞれの市町村における計画策定を働きかけている。
県としては、県民が自ら健康づくりのテーマを設定して、運動や食生活の改善を図ることもできるあいち健康マイレージなどの事業も通じて、市町村や関係機関と連携し、第3期健康日本21あいち計画の推進に取り組んでいきたい。
【委員】
現在、総人口の約3割が65歳以上という超高齢社会を迎えているが、健康寿命の延伸や健康格差の縮小は、ますます重要になっていくため、関係者、特に健康対策課の職員を中心にPR等にしっかり取り組んでいくことを要望する。