委員会情報
委員会審査状況
一般会計・特別会計決算特別委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年10月26日(木) 午後0時58分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
鈴木喜博、寺西むつみ 正副委員長
伊藤辰夫、山本浩史、神戸健太郎、丹羽洋章、山田たかお、杉江繁樹
高橋正子、日比たけまさ、黒田太郎、加藤貴志、神谷まさひろ 各委員
福祉局長、福祉部長、介護推進監、子ども家庭推進監、
保健医療局長、感染症対策局長、保健医療局技監、感染症対策局技監、
健康医務部長、生活衛生部長兼医薬安全課長、
感染症対策調整監兼感染症対策課長、
会計管理者兼会計局長、同次長、監査委員事務局長、同次長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 決 算
決算第1号 令和4年度愛知県一般会計歳入歳出決算
歳出第4款福祉医療費及びこれらに関する歳入
決算第4号 令和4年度愛知県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳
出決算
決算第5号 令和4年度愛知県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決
算
<会議の概要>
1 開 会
2 決算概要の説明
3 質 疑
4 閉 会
(主な質疑)
《福祉局、保健医療局関係》
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の93ページの児童福祉総務費について伺う。
私は昨年、12月定例議会の一般質問で、社会的養護下にある子供の権利擁護について、質問をした。これは、来年4月施行の改正児童福祉法で新たに明記された内容であり、施設等に入所するときに子供の意見を聞いたり、子供が施設等での暮らしの中で意見や心配事がある場合に、施設や児童相談センター以外の第三者に申立てをすることができるように環境を整えるものである。
本県でも、法施行に向けて着実に実施されるよう、取組状況を質問したところ、福祉局長から、昨年度、学識経験者や弁護士、児童養護施設、里親等の関係者を構成員とする有識者会議を立ち上げ、具体的な実施方法について検討していくと答弁があった。
そこで、有識者会議では、どのような意見があったのか伺う。
【理事者】
来年4月に施行される改正児童福祉法に規定された、施設や里親の下で暮らす子供たちの意見を受け止めるための仕組みを整備するため、昨年7月に、有識者や施設、里親などの関係者による検討会を立ち上げ、昨年度から4回開催し、検討を重ねてきた。
検討会では、有識者から、子供が自らの意見を述べる機会を保障するためには、子供が意見を整理できるようサポートしたり、子供の意向に従ってその意見を代弁する役割を担う意見表明支援員の配置が必要であるという意見や、子供の率直な気持ちを聞く上では、施設や児童相談センター以外の第三者性の確保が重要となる。また、子供が意見表明をはじめとした権利を行使するためには、子供自身が権利について十分理解できるよう支援していく必要があるなどの意見があった。
【委員】
検討会での検討結果を受けて、現在取り組んでいることがあるのか。
【理事者】
検討会での議論を受けて、今年度は一部の施設において試行的に、入所児童から手紙による意見を受け付けるほか、研修を受講した大学生を意見表明支援員として施設へ派遣し、子供たちとの面談を通じて、子供たちがその思いを意見としてまとめることができるよう、支援に取り組んでいる。
その上で、子供が希望する場合には、この検討会において、子供の意見をどのように取り扱うか、調査審議をすることとしており、今後の制度設計につなげていく。
さらに、子供が自身の処遇や日々の生活に対して意見を言ってもいいんだと、意見表明の権利をはじめとした様々な子供の権利を十分に理解できるように、現在、施設や里親の下で暮らす子供向けの冊子である、権利ノートを作成している。
今後も、この制度を利用した子供たちや意見表明支援員の意見、施設からの評価、検討会での有識者の意見を踏まえて、施設や里親の下で暮らす子供たちの権利擁護を推進するために、来年4月の法施行に向けて具体的な仕組みを検討していく。
【委員】
施設や里親の下で暮らす子供たちが安心して暮らすことができるよう、意見表明支援員などの仕組みについて、引き続きしっかりと検討を行い、法施行時には適切な支援を行うよう要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の94ページ、ヤングケアラー支援事業費について伺う。
県では2021年度に実施したヤングケアラー実態調査の結果を踏まえた上で、身近な地域で効果的な支援が行えるよう、ヤングケアラーの発見、把握から支援までの一貫した支援体制を構築するため、昨年度市町村モデル事業を開始した。
モデル市では、地域特性等を踏まえた事業を行うこととしており、豊橋市では昨年10月から、大府市では昨年11月から、春日井市では昨年12月からモデル事業を開始し、約1年が経過した。
そこで、3市で行ったモデル事業の取組内容について伺う。
【理事者】
市町村モデル事業に取り組む3市では、これまでヤングケアラー支援に向けた関係機関の連絡会議を設置し、多機関連携の体制を整備したほか、ヤングケアラー相談窓口の設置や子供向けに相談窓口を周知するカード等の配布、さらに、周りの大人がヤングケアラーを知り、気づいてもらえるよう、講演会や研修会を開催してきた。
また、各市では、地域の特性を踏まえて創意工夫を凝らしており、ケーブルテレビでの広報や支援者向けのガイドブックの作成、子供や教職員へのアンケート等を実施している。
モデル事業が終了する来年度末に向けて、今後はさらに取組を深化させ、ヤングケアラー同士の交流の場の設置や子供が立ち寄る場での巡回相談の実施、家事負担軽減のためのヘルパーの派遣など、ヤングケアラーとその家族への直接的な支援に取り組む予定としている。
【委員】
市町村モデル事業に取り組む3市の支援策を共有することが、この事業の効果を高めることにつながると考えるが、市町村モデル事業を実施している3市が、それぞれ情報を共有する仕組みはあるのか。
【理事者】
市町村モデル事業に取り組む3市がそれぞれの支援策を共有することは、事業の効果を高めるために必要なことだと考えている。
県では、市町村モデル事業を実施する3市の緊密な連携を図るため、3市が参加するモデル事業推進会議をこれまでに3回開催しており、3市それぞれの取組や効果、課題などを共有するほか、具体的な支援事例を用いてケース検討を行っている。
また、会議だけでなく、県や3市が開催する研修会など、様々な機会にお互いに参加し、交流を深めており、日頃から事業を進める上で、相談・助言や情報交換を行うなど、密接な連携体制が構築できている。
引き続き、各市におけるモデル事業の効果を高めるため、連携を密にしていく。
【委員】
ピアサポーター、当事者による相談窓口が大切になってくるという話も聞くため、そうしたことも踏まえた上で、市町村モデル事業の結果を反映し、ヤングケアラーの支援が進んでいくこを望むとともに、そうした体制を構築することを要望する。
次に、令和4年度決算に関する報告書の115ページ、障害者コミュニケーション手段利用促進費について伺う。
平成28年10月に制定された手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例では、手話言語の普及と障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用促進を図ることで、全ての県民が障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生、安心して暮らすことができる地域社会を実現することを目的としている。この条例の第10条には、人材の育成等として、県は障害特性に応じたコミュニケーション手段を利用した意思疎通を支援する者の養成その他必要な措置を講ずることを努めるとされている。
決算に関する報告書には、意思疎通支援者の養成、派遣などを行うとの記載があるが、令和4年度における意思疎通支援者の養成数と派遣実績について伺う。
【理事者】
本県では、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員及び失語症者向け意思疎通支援者の養成講習会を開催している。
令和4年度に実施した各種養成講習会を修了した者は、手話通訳者養成講習会が33人、要約筆記者養成講習会が8人、盲ろう者向け通訳・介助員養成講習会が8人、失語症者向け意思疎通支援者講習会が17人である。
令和4年度に派遣を行った件数は、手話通訳者の派遣が138件、要約筆記者の派遣が69件、盲ろう者向け通訳・介助員の派遣が1,023件、失語症者向け意思疎通支援者の派遣が30件である。
【委員】
決算に関する報告書には、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用しやすい環境整備を図ったとあるが、具体的にどのような環境整備を行ったのか。令和4年度における具体的な取組を伺う。
【理事者】
障害のある者がそれぞれの障害特性に応じたコミュニケーション手段を利用するためには、手話や要約筆記、点字、音訳、文字盤といった様々なコミュニケーション手段があることを、広く県民に理解してもらうことが重要である。
このため、本県では県民向けのセミナーを開催し、理解を深めてもらうことで、障害特性に応じたコミュニケーション手段を利用しやすい環境の整備に努めている。
令和4年度は、9月18日にウインクあいちにおいて、手話言語・障害者コミュニケーション交流セミナーを開催した。このセミナーでは、様々なコミュニケーション方法を紹介したほか、来場者に、実際に手話の体験をしてもらった。今後も障害特性に応じたコミュニケーション手段の利用促進が図られるよう、環境整備に努めていく。
【委員】
次に、決算に関する報告書の117ページ、医療的ケア児支援センター費について伺う。
一つ目に、医療的ケア児支援センターは地域の体制整備を支援する役割を担うこととされているが、医療的ケア児等コーディネーターの人数は十分なのか、また、医療的ケア児等コーディネーターには、どのような職種の人がなっているのか。養成研修を受けて医療的ケア児等コーディネーターとして登録した後、地域で活躍してその役割を十分に果たし続けるには、医療的ケア児に関する困難な相談事例に対応できるよう、知識や技能を研さんする場の提供が必要になると思うが、県はどのような取組を行っているのか。
【理事者】
医療的ケア児を必要な支援につなげるため、様々な関係者と総合的な調整を行う医療的ケア児等コーディネーターを市町村が配置することができるよう、県主催の養成研修を行っている。
本年4月現在で、53市町村に326人の医療的ケア児等コーディネーターが配置されており、ほとんどの市町村において不足はしていないと認識している。
今年度の養成研修は今月から実施をしており、今回、受講申込みをしている112人が研修を終了すると、新たに医療的ケア児等コーディネーターになる予定である。
職種等については、相談支援専門員、保健師、看護師等、様々な職種の医療的ケア児等コーディネーターが配置されており、障害の内容や程度等の違いによって、個別性の高い医療的ケア児の相談に対応できる体制整備を進めている。
現任の医療的ケア児等コーディネーターに対しては、医療的ケア児に関する最新の制度や状況を学び、またグループワークで困難な事例検討を行うなど、知識や技能をさらに深めるためのフォローアップ研修を実施している。今年度は医療的ケア児支援センターが担当する圏域単位で開催する予定としており、地域の医療的ケア児等コーディネーターがより一層活躍することで、医療的ケア児が必要な支援に速やかにつながる体制づくりを、県としても後押しをしていく。
【委員】
県においても、医療的ケア児を支援できる体制を今後も進めていくと思うが、医療的ケア児の子供も社会に交じって普通に生活できる環境が、県として整えるよう様々な取組を進めてもらいたい。
次に、令和4年度決算に関する報告書の132ページ、がん患者妊よう性温存治療費助成事業について伺う。
一つ目に、本事業の令和4年度の実施状況として対象103件と記載されているが、この内訳を教えてほしい。二つ目に、この助成制度を利用するに当たって、小児AYA世代のがん患者等の妊よう性温存療法研究促進事業への参加同意という項目があるが、その内容はどのようになっているのか。三つ目に、この事業に関する啓発はどのように行っているのか。
【理事者】
1点目の、愛知県がん患者妊よう性温存治療費助成事業については、がん治療により妊よう性が低下する前に、卵子や精子、受精卵、卵巣組織の凍結保存を行う妊よう性温存療法への助成と、妊よう性温存療法により凍結保存した卵子や精子、受精卵、卵巣組織を用いて、がん治療後に妊娠を補助するために実施される保存後生殖補助医療に対する助成の二つがある。
令和4年度は、妊よう性温存療法が90件、温存後生殖補助医療が13件の合計103件の助成を実施した。
2点目の助成対象要件の、小児AYA世代のがん患者等の妊よう性温存療法研究促進事業の参加であるが、愛知県がん患者妊よう性温存治療費助成事業は、国の研究促進事業を受けて実施をしている。この国の事業は二つの目的から構成されており、一つは、がん患者等の経済的負担の軽減を図ること。もう一つは、妊よう性温存療法及び温存後生殖補助医療の研究促進である。研究では、患者からの臨床情報等のデータを収集し、妊よう性温存療法及び温存後生殖補助医療の有効性、安全性のエビデンス創出や、長期にわたる検体保存のガイドライン作成等を目的としている。
同意が得られた患者から収集する臨床情報は、原疾患の診断、治療に関する内容、妊よう性温存療法に関する内容、原疾患の経過、妊娠出産に関する内容、保存検体の保管状況に関する内容である。
3点目の事業に関する啓発については、県のホームページへの掲載と、助成事業に関するチラシ、リーフレット等の配布を行っている。チラシやリーフレットの配布については、がん診療連携拠点病院を中心に、がん治療実施医療機関等や市町村の保健所に送付し周知を図っている。
また、令和4年度においては、5月に愛知県がんセンターで開催された一般公開講座や、10月に企業と共催で実施した一般公開講座の中で、県の取組として妊よう性温存治療費助成事業に関して紹介を行った。
【委員】
妊よう性温存治療費の助成に関しては、去年から県のほうで始まったと理解しているが、SNSやオンラインなど様々なツールを使用した啓発を行い、将来子供を持ちたい人に対して、選択肢が広がる施策を進めていくことを要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の134ページ、重点医療機関患者受入体制確保推進費補助金について伺う。
この補助金は、病床を空けておくことが目的であり、補助金がしっかりと使われたことは成果があったといってよいのか、難しい判断になるとは思うが、昨年の報道によると、病床を空けておいたが、いざというときに入院させることができなかった、受け入れてもらえなかったというようなこともあった。
そこで、この空床補助の対象となっている確保病床を有する医療機関は、入院が必要な人を確実に受け入れたのか。
【理事者】
本県では、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関を順次拡充し、昨年度4月1日時点で84施設、病床数2,540床を確保していた。
昨年度の流行の主流株であったオミクロン株は、感染力が強い一方で重症化率が低かったことから、昨年夏の第7波において、確保病床における入院基準を、原則酸素投与が必要な者等、つまり中等症Ⅱ以上の患者とし、確保病床を有していない医療機関に対しては、入院患者等がコロナ陽性と判明した場合でも、可能な限り入院の継続をお願いするなど、医療資源の効率的な運用を図ってきた。
その結果、第7波のピークである昨年の9月3日には、確保病床を含めた全ての医療機関の入院患者数が2,615人と過去最多を記録したが、確保病床を有する医療機関では、原則中等症Ⅱ以上の患者を受け入れることに特化した運用を行うことで、1,352人の患者を受け入れ、それ以外のコロナ軽症者等については確保病床を有しない医療機関で受け入れることにより、真に入院が必要な人に対して、適切な医療を提供する体制を維持できていたと考える。
【委員】
入院が必要な人が治療できていたのであればよいと思う。
次に、令和4年度決算に関する報告書の137ページ、ワクチン大規模集団接種会場運営費について伺う。
大規模接種会場については、なかなかワクチン接種が進まない中で、県として新たな施策として取り組み、ワクチン接種が一気に進んだため、大変有効な手段だったと感じている。
また、様々なリスクがある中で、よく協力してくれたと思っているが、この事業を進める上で苦労したことは何か。
【理事者】
本県では、医療従事者や接種会場の確保が課題であった市町村を支援し、新型コロナワクチンの接種加速を図るため、令和3年5月から、名古屋空港ターミナルビル会場及び藤田医科大学会場の2か所の大規模集団接種会場で接種を開始した後、令和3年秋時点で最大8か所の会場を開設し、本年3月までの1年10か月にわたり、延べ136万人にワクチン接種を実施してきた。
当初、県では、ワクチン大規模接種事業に関するノウハウがなく、接種会場の選定、会場を所管する部署や大学との調整、医療従事者の確保、会場運営方法、ワクチンの確保、会場までの交通機関の確保などについて試行錯誤しながら、接種会場を準備した。
都道府県が設置する大規模集団接種会場は前例のない取組であり、国、市町村とも連携を図りながら、短期間で準備を進めることを余儀なくされた。
なお、大規模集団接種事業の費用については、国から全額補助が得られることになっていたが、会場の開設期間中、接種者数の増減の波があったため、適宜、開設日数や時間等の変更に応じた適切な人員配置を行うとともに、運営規模を柔軟に見直すことで、医師や看護師等、各医療機関の限られた医療資源を無駄にすることがないよう、適切な運用に努めてきた。
【委員】
非常に大変だったと思う。特に、民間の施設を活用し、医者をお願いしているので、相手方の採算性も考えなければならず、本当によく進めてくれたと思う。
新たな感染症が発生するかもしれず、民間との協力という意味では、今回の事例をしっかりとレガシーとして残しておき、次に何か起こったときには生かせるようにすべきと思うが、どのように考えているのか。
【理事者】
今後新たな感染症が発生し、同様にワクチン接種事業が必要となる可能性は十分考えられることから、県としては、ワクチン大規模集団接種事業をはじめ、今回のワクチン接種事業の経緯を取りまとめ、事務処理の流れが分かるよう記録を整備して、ノウハウを継承していく必要があると考えており、これまでも資料の収集や記録の整理に取り組んできたところである。
また、今回のワクチン接種事業を通じて、実施主体である市町村との連携の重要性を実感しており、今後も市町村との密接な関係を維持していきたいと考えている。
【委員】
職員は異動するため、しっかりと記録を残すこと、また、引き続き市町村との関係を維持することが重要と考えるので、しっかりと対応してもらいたい。
次に、令和4年度決算に関する報告書の155ページ、地域医療確保修学資金貸付金について伺う。特に医師がいない、なかなか確保できない地域にとっては、大変重要な事業である。
はじめに、この事業の実績について伺う。
【理事者】
地域医療確保修学資金貸付事業は、本県内の医師を確保するために、県内の四つの医学系大学に地域枠で入学した医学生に対して、修学資金を貸与するものである。県が指定する公的な医療機関などで9年間勤務をすれば、修学資金の返還義務を免除するものである。
貸与額については、入学年度が毎月17万5,000円、2年目以降は原則毎月15万円であり、原則6年間で総額1,110万円となる。令和4年度は182人に貸付けを行った。
【委員】
この事業は実施から、10年以上が経過しているが、その成果はどのようになっており、どれぐらいの医師が現在活躍しているのか。また、その中でも、国家試験に受からなかった者や退学した者、もしくは地域枠以外の医師に変わった者など、地域枠を離脱した者がこれまで何人いたのか。
【理事者】
入学定員であるが、制度開始当初の平成21年度は、名古屋大学及び名古屋市立大学で合わせて5人であったが、その後増員した。また、愛知医科大学及び藤田医科大学が新たに加わり、令和4年度においては四つの大学で32人となっている。
大学入学後、6年間学び、国家試験の合格後に一定期間の研修を経て地域派遣となり、これまでに116人が医師となっている。地域派遣は令和2年度に始まっており、令和4年度は17人を県内の医療機関に派遣している。今後、地域派遣は2027年度に100人を超え、令和15年度に160人程度となる見込みである。
令和4年度までに県内の医学系大学に入学した学生は316人いるが、そのうち地域枠制度から離脱をした者は13人である。
【委員】
離脱者が316人中13人ということで、割合は小さいかもしれないが、この枠はかなり限られた枠であり、こちらで増やせる枠でもない。この枠を最大限活用していくことが重要だと思うが、離脱者が出ないようにするために、どのようなことに取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
修学資金について、離脱をすることとなった場合、貸し付けた金額に対して、貸し付けを行った時点から、年10パーセントの利息をつけて、1か月以内に県に返還することとなっている。
また、昨年度から、県内四つの医学系大学には、キャリアコーディネーターを配置した。学生及び卒業した医師への定期的な面談や随時の相談を通じて、地域枠医師としての意識づけを図っている。さらに、学生に対しては、地域枠医師としての意識を高めるために、県が開催する研修会に出席をしてもらっている。この研修会は、各大学のキャリアコーディネーターや先輩医師から、地域枠医師としての魅力を発信するとともに、グループワークを通じて、他大学生との交流を深めて、同じ志を持った仲間と共に地域枠医師としての自覚が高まるよう努めている。
今後も、こうした取組を通じて、地域枠学生の地域貢献への意識を育て、離脱者が生じないように努めていきたい。
【委員】
この制度に応募したために、その人の人生を固めてしまうことがあってはいけないと思うが、やはり重要な枠であり、本人が希望したものでもある。
不合格者には、本人に頑張ってもらう必要があるが、地域枠以外の医師で活躍する者がいるのであれば、ぜひ説得をして、地域枠について理解してもらうことをお願いする。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の91ページ、生活福祉資金貸付事業費補助金について伺う。
新型コロナウイルス感染症の発生により、休業や失業等により一時的または継続的に収入が減少した世帯を対象として、生活福祉資金貸付制度における総合支援資金及び緊急小口資金について、特例の措置が設けられた。受付期間は令和2年3月25日から令和4年9月30日であった。
まず、この制度の全体像を把握するために、これまでの貸付実績について伺う。
【理事者】
令和2年3月から昨年9月までの特例貸付の貸付実績であるが、休業等による緊急かつ一時的な生活維持のため、最大20万円の貸付けである緊急小口資金が、9万2,362件、170億676万6,000円、失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯へ月額20万円以内で原則3か月貸付けを行う総合支援資金が、6万5,518件、337億4,492万6,000円であり、これらを合わせた総貸付件数は15万7,880件、総貸付金額は507億5,169万2,000円となっている。
【委員】
貸付件数は15万7,880件、総貸付金額は507億5,000万余円ということで、すごい金額だと思う。
令和4年度分が償還されるかどうかは、既に償還が始まっている令和4年3月末までの貸出し分について、償還の状況がどうであるかを確認すれば、令和4年度貸付け分の償還の動向が推察できると考える。そこで、令和4年3月末までの貸出し分について、令和5年1月から償還が始まっていると思うため、その状況について伺う。
【理事者】
令和5年1月から償還が始まった債権は、総合支援資金、緊急小口資金合わせて12万2,383件、342億2,615万1,000円である。このうち、生活困窮等を理由として償還免除を行った債権は、本年8月末現在で3万4,652件、105億9,458万1,000円、また、償還期限を最大12か月延長する償還猶予を行った債権は、本年8月末現在で7,820件、22億4,162万4,000円である。
また、残りの債権のうち、償還計画どおりに償還できている債権は1万6,072件、33億3,935万1,000円、償還が滞っている債権は6万3,839件、180億5,059万5,000円である。
件数で見ると、償還免除や猶予を行っている債権が約35パーセント、償還が滞っている債権が約52パーセントである。
【委員】
約507億円の貸出しのうち、既に免除した額が約105億円、割合で見ると、償還免除や猶予を行っている債権は既に35パーセントあり、償還が既に滞っている債権も52パーセントある。
通常、こうした融資や貸出しに対して、35パーセントも免除をしたり滞る状況であれば、そもそも審査がどうであったのかという議論になると思う。この特例措置は、当時、本当に生活に苦しんでいる方に対して、一刻でも早く届けなければならないという雰囲気が当局や国全体にあったと感じている。
令和3年2月定例議会の議案質疑において、非常にインパクトのあるやり取りがあったので、その概要を紹介する。令和2年9月に、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会の貸付審査が厳しく、希望額どおりに借りることができないという情報提供があった。調べたところ、貸付額を必要最小限に減額しているケースや、貸付金の償還が見込めないとして申請却下したケースがあるなど、大変厳しい運用をしていることが分かったということで、これは特例貸付に係る国の通知に反するものであるため、福祉的な配慮に大きく欠けるものであり、速やかに運用を見直すように指導したということであった。
本人の借入希望額を尊重した貸付決定を行うことなど、申請者に寄り添った対応に改めるように指導したとのことである。ところが、その後も社会福祉法人愛知県社会福祉協議会の担当者はこの方針に反して、償還能力を厳格に捉えて申請を却下していた、ということが分かり、この特例貸付の趣旨を踏まえて、9月に決定した方針どおりに制度が運用されてこなかったことは県として大変遺憾であるということであった。そのため、これまで却下や減額された方に対して、追加貸付の受付を行い、希望する方については、却下や減額された額をできるだけ速やかに貸し付けるという答弁があった。
今後、償還が滞っている52パーセントの人に対して、働きかけを行うこととなるが、償還事務はどのように行っているのか。
【理事者】
償還事務を適切に行うため、貸付の実施主体である社会福祉法人愛知県社会福祉協議会に特例貸付償還事務センターを設置して、委託業者の職員を含め約50人体制で償還事務を行っている。
このセンターでは、償還金の収納のほか、借受人に対する案内文書の送付、コールセンターでの問合せ対応、償還免除や償還猶予の申請受理や審査等を実施している。
【委員】
約50人体制で、外部の業者に委託をして行っていることが、よく分かった。
ただし、今後、償還事務が進むにつれて、償還免除申請も増えてくるのではないかと思っている。この制度は、非課税世帯では免除できるという一定の要件があるが、それに該当しない者も増えてくると思う。
そうした困窮者に対して、生活再建に向けた支援が必要になることもあると思うため、債権が滞っている借受人に対するフォローアップをどのように行うのか。
【理事者】
滞納者の中には、生活に困る状況が継続している者も多くいるため、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会では、全ての借受人に対して、償還の免除や猶予の活用を積極的に周知している。
また、生活困窮者の身近な相談窓口として、各市や県が町村域に設置している自立相談支援機関の連絡先を送付し、支援へのつなぎを実施している。
借受人の中には、外国籍の者や転居を繰り返す者もいるため、英語やポルトガル語など、多言語による情報提供や、携帯電話のショートメールサービスを活用するなど、こうした情報が確実に届くよう工夫をしている。
さらに、身近な地域において、生活に困っている方に寄り添った支援が提供できるよう、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会では、昨年度、市町村の社会福祉協議会、生活困窮者自立支援機関の職員を対象とした研修会を開催し、貸付制度への理解促進や相互の連携促進を図った。こうした研修会は本年11月にも開催を予定している。
県では、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会の取組に必要な経費を助成しているが、今後も引き続き必要な助言や情報提供を行うなど、借受人等に対するフォローアップ体制の整備をしっかりと支援していく。
【委員】
コロナ禍で生活が大変なときに、15万7,000件、約507億円というのは、命が救われたのではないかと思う。一方で、コロナ禍はほぼ終息し、物価が上がり、別の形で生活の厳しさがあるのではないかと思う。
答弁の中で、償還免除や償還猶予の活用を積極的に周知するとあったが、ありがたいことではあるが、償還免除をすれば、その方たちは楽にはなるが、それで終わりではなく、むしろ今回の制度で、15万7,000件もの本当に苦しい方が表に浮かび上がってきたと思う。そのため、引き続きフォローをしっかりとお願いしたい。
次に、令和4年度決算に関する報告書の147ページ、食品衛生監視指導費について伺う。
食品衛生監視指導費のうち、一般社団法人愛知県食品衛生協会への補助金及び業務委託料はどの程度であったのか。
【理事者】
一般社団法人愛知県食品衛生協会への補助金は、食品衛生指導員による巡回指導事業、食品衛生思想広報活動事業費等を対象とした食品衛生協会事業費補助金として50万円である。
他に、同協会への委託金として、食品衛生責任者となる者に資格を取得させる講習会等を実施する食品衛生責任者講習会費が280万237円である。また、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理方法に係る助言指導等を実施する食品衛生相談事業費として166万9,725円がある。
さらに、HACCP基礎研修を実施するHACCP基礎研修事業費として46万2,000円がある。この3事業の合計が493万1,962円である。
【委員】
補助金として50万円、それ以外に三つの事業費として合計約490万円であることが分かった。
食品衛生責任者講習会は、飲食店を営む者にとって、受講することが義務になっているのか。
また、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理をすることも、飲食店にとっては義務なのか。そして、検便の実施は義務なのか伺う。
【理事者】
1点目の食品衛生責任者講習会の受講については、食品衛生法施行規則において、食品衛生責任者の遵守事項として都道府県知事等が実施する講習会、または都道府県知事等が認める講習会を定期的に受講することとされている。
2点目のHACCPの考え方を取り入れた衛生管理をすることについては、食品衛生法において、営業者が公衆衛生上講じなければならない必要な措置として規定されている。
3点目の検便については、食品衛生法施行規則において、食品取扱い者の責務として規定されている。
【委員】
令和4年度、その5年前、さらに10年前の一般社団法人愛知県食品衛生協会への加入率について伺う。
【理事者】
一般社団法人愛知県食品衛生協会の資料から、露店等を除く営業許可施設に対して算出した数であるが、令和4年度は64.2パーセント、平成30年度は69.9パーセント、平成25年度は78.8パーセントである。
【委員】
同協会への加入率は、残念であるが、年々下がっている。
県が委託をしている事業は、飲食店にとって、例えば、食品衛生法や食品衛生法施行規則などによって遵守しなければならないことや、責務とされていることであり、非常に重要な事項である。
つまり、同協会が行っている事業は、本来、県が食品の安全や安心のために、事業者に対して教育や啓発をしなければならない事業を委託や補助することで、同協会に実施をお願いしているものであり、加入者が減るというのは、安全や安心を指導する仕組みが、年々低下していることを意味している。
そこで、一般社団法人愛知県食品衛生協会への積極的な加入を県としても働きかけ、加入率の促進を図るよう要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の90ページ、子ども食堂推進事業費補助金について伺う。
令和4年度の愛知県内における子ども食堂の開設数は何件か、前年度比でどのようになっているのか伺う。
併せて、子供の貧困率の推移はどのようになっているのか伺う。
【理事者】
今年5月に実施した県内の子ども食堂の調査では、404か所であり、昨年5月時点の293か所から111か所、38パーセントの増加となっている。
子供の貧困率は、世帯全体の手取り収入と世帯人員を基に算出した額を、低いほうから順に並べ、真ん中の額の2分の1の額に満たない子供の割合をいうものである。
国が3年に1回実施している国民生活基礎調査の大規模調査で、子供の貧困率を算出しているが、2021年は11.5パーセントであり、2018年の14.0パーセントより2.5ポイント改善している。なお、2016年に実施した愛知子ども調査における本県の子供の貧困率は5.9パーセントであり、2015年の国民生活基礎調査の子供の貧困率13.9パーセントより8.0ポイント低くなっている。
【委員】
今年5月の県内の子ども食堂の開設数は404か所であり、昨年同月比で111か所増えているということであった。
子ども食堂は、子供の居場所づくりという視点で考えれば、増えていくことは喜ばしいことであるが、食事にありつけない子供たちが増えて、子ども食堂が増えていることを考えると、決して喜ばしいことではないと思う。古今東西政治の一丁目一番地というのは、民を飢えさせないということであると考えると、やはり、子ども食堂が増えていくことは、喜ばしいことなのか、そうではないのかと、思うところがある。
食事にありつけない子供たちがいるのであれば、福祉局の事業として、そのあたりをどのような状況にあるのかを把握して、教育委員会でも、子供たちの居場所づくりという事業ができているところとできていないところがあるため、そのあたりも整理しつつ、福祉局の事業として、必要なことをしっかりやってもらいたい。子供たちがこのような状況にあるというのを、見る場所でもあると思う。虐待やネグレクトを見つけだす場所にもなるかもしれないので、そうした視点を忘れずに取り組むことを要望する。
次に、令和4年度決算に関する報告書の118ページ、相談支援体制整備事業費に関して伺う。当事業の関連事業である専門相談事業の中に、高次脳機能障害支援普及事業があるが、この事業は、高次脳機能障害に関する相談等を行う県の委託事業である。
まず、この事業の委託料と令和4年度の相談実績、経年変化、委託料の積算根拠、令和4年度の執行状況について伺う。
【理事者】
令和4年度の相談実績について、この事業は愛知県を西部と東部に分けて、それぞれ支援拠点を設け、尾張地域を社会福祉法人名古屋市総合リハビリテーション事業団、三河地域を特定非営利活動法人高次脳機能障害者支援笑い太鼓に委託して実施している。
地域別の相談実績は、尾張地域が障害者本人、関係機関等、家族からを合わせて5,478件であり、三河地域が同じく、合わせて3,736件である。
委託料については、尾張地域が年間1,256万4,000円である。積算については、相談支援員として1人当たり年間約520万円の職員を2人分、その他、支援体制整備及び広報啓発等に必要な経費を加えた額としている。また、三河地域は、年間587万円であり、積算については、相談支援員として1人当たり年間約520万円の職員1人分、その他、支援体制整備、広報啓発等に必要な経費を加えた額としている。
次に執行状況であるが、尾張地域では委託料の範囲内で事業が執行されたと報告がある一方、三河地域では団体の決算の委託料分の支出としては、954万2,462円であり、委託金額と比べて367万円余りの超過となったとの報告を受けている。
委託料の経年の変化であるが、直近3年分では、尾張地域及び三河地域それぞれ令和2年度以降据置きとなっている。
【委員】
三河地域で見ると、私の地元のNPO法人笑い太鼓に昨年は委託費として587万余円を計上し、実際にこの相談事業にかかった費用は954万2,000円余りであり、NPO法人笑い太鼓が360万円余りを持ち出したことになる。そうすると、事業の進め方、相談事業の中身等がどうだったのかということが気になる。そもそも必要とされている委託費が払えていたのかということも気になるため、しっかりとコミュニケーションを取り、精査をしてもらいたい。
これは、この事業だけではなく、委託を行っている事業全般に言えることであるが、例えば、事務にかかる経費や人件費を予算組みして、議決をしているが、人件費一つをとってみても、520万円で3人分、そのうち尾張地域は2人分、三河地域は1人分であり、経験値や能力で人件費の算出の仕方は変わってくると思う。
県職員でも、新入社員の人件費と経験を積んで能力のある職員の人件費が違うのと同じで、一概に520万円ですと言われても、やはりこれはどうかと思う。そのため、そうした点も加味して予算組みを行い、事業を執行するよう要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の84ページ、重層的支援体制整備事業交付金に関連して伺う。
現在の地域社会は、少子・高齢化や核家族化の進行を背景につながりが希薄化し、支え合いの機能も低下していると言われる一方で、子育てと介護を同時に抱えるダブルケアや、ひきこもり状態の中高年の子供の生活を高齢の親が支える8050問題など、個人や世帯が抱える課題は複合化、多様化している。
こうした中、地域住民や多様な主体が参画し、支え合いながら地域をつくる地域共生社会の実現を目指して、市町村における重層的支援体制整備事業の実施に期待が高まっている。
そこで、制度開始から2年が経過した昨年度までの市町村における実施状況と、それに対する評価について伺う。
【理事者】
はじめに、実施状況であるが、重層的支援体制整備事業が開始された2021年度には5市、2022年度には10市町、さらに今年度は14市町において事業が実施をされている。
次に、市町村の実施状況に対する評価であるが、本県では、福祉・保健・医療分野全体の方向性を示す、あいち保健医療福祉ビジョンにおいて、2026年度までに20市町村で本事業を実施することを目標としており、この目標に向かって順調に進捗していると考える。
【委員】
答弁では順調に推移し、増加しているということであるが、まだ多くの市町村が実施に至っておらず、引き続き働きかけが必要ではないかと考える。
さらに、既に事業を開始している市町村においても、住民への普及啓発や、多様な機関のさらなる連携強化など、事業実施に当たって様々な課題を抱えていると考える。
そこで、県として、市町村における重層的支援体制整備事業の円滑な実施に向け、どのような取組を実施しているのか伺う。
【理事者】
本県では、昨年9月に社会福祉法人愛知県社会福祉協議会と協働し、市町村や本事業の主な連携先である市町村社会福祉協議会の職員を対象とした研修会を開催した。この研修会では、重層的支援体制整備の必要性を分かりやすく伝える講義のほか、シンポジウム形式で先進自治体の事例を紹介するなど、市町村における取組の促進を図った。今年度は12月に開催を予定しており、講義や事例紹介に加え、相互の意見交換が進むようグループワークを実施することとしている。
県としては、引き続きこうした研修を通じて、未実施市町村へ実施に向けた働きかけを行うとともに、事業実施上の課題の共有を図るなど、市町村における取組を支援していく。
【委員】
国はこの重層的支援体制整備事業を、市町村において、全ての地域住民を対象とする包括的支援の体制整備を行う事業と位置づけ、体制を支えるためのアウトリーチや多機関協働の機能を強化していくとしている。
生活を送る中で直面する困難、生きづらさの多様性・複雑性を抱える住民に対して、本人に寄り添って伴走する支援体制を市町村が着実に構築できるように、県としてもしっかりとサポートを行うよう要望する。
次に、令和4年度決算に関する報告書の86ページ、福祉・介護人材確保対策費について伺う。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年を控え、介護需要が高まる中、介護に従事する人材の確保を進めるためには、幅広い年代に向けた取組が必要と考える。
そこで、県は、どのように取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
幅広い年代に向けた取組として、介護に関する専門的な知識や技術を持っていない方の不安を払拭し、多様な人材の参入を促進するため、4日間の介護に関する基本的な研修を受講した方に、あいち介護サポーターとして登録をしてもらい、派遣を希望する介護事業所とのマッチングを行う、あいち介護サポーターバンク運営事業を2016年度から実施している。
その登録状況は、2020年度が299人、2021年度が382人、2022年度が390人である。
次に、介護事業所とのマッチング数であるが、2020年度が60件、2021年度が132件、2022年度が132件である。マッチング成立者のうち約7割は50歳以上であり、中高年齢者の介護分野の参入に寄与していると考えている。
また、若い世代においては、核家族化の進行により高齢者と身近に接する機会が少ない、また、介護職における一面的なマイナスイメージが浸透しているといった状況があることから、介護職への正しい理解の醸成とイメージアップを図るためのリーフレットを、小学生、中学生、高校生向けに作成し、県内の各学校に配布をしている。
今後もこうした取組を進め、多様な年齢層への働きかけを行い、介護従事者の確保に努めていく。
【委員】
50代以上が積極的に登録している、若い人への普及啓発を行っているとの答弁であるが、今後も少子化が進行する中で、介護人材を確保するためには、外国人介護人材を受け入れて活用することが必要だと考える。
しかし、受入れを検討している事業所には、受入れに当たっての流れや必要な準備が分からないといった不安があり、また、実際に受け入れた事業所は、言葉の問題などから、外国人介護人材に対する効果的な指導方法が分からないといった不安を抱えている。
外国人介護人材の受入れを進めていくためには、受入れ前や受入れ後に、事業所が抱えるこうした不安に対する支援が必要であると考えるが、県としてどのように取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
本県では、外国人介護人材の受入れを検討している介護事業者に対して、その在留資格に関する制度や受入れ後の教育、生活支援方法、先進事例等を伝える外国人介護人材受入セミナーを2020年度から実施している。2022年度は95事業所、117人に参加をしてもらった。
また、2022年度からは、実際に受入れを行った事業所の指導担当職員を対象とした、グループワークによる効果的な指導方法等を学ぶための指導担当職員特化型セミナーを開始した。このセミナーは、昨年度は定員を上回る申込みがあり、定員を拡大して、31事業所、38人に参加をしてもらった。
今後も引き続き、こうした介護人材の受入れ支援をしっかりと進めていきたいと考えている。
【委員】
福井県では、外国人介護人材の確保を促進するために、県と県社会福祉協議会が連携して、タイからの介護人材の継続的な受入れを目指して、現地で日本語や介護の教育を行うなど、介護人材の育成に取り組んでいる。
外国人介護人材の受入れに対する状況が本県とは異なることは承知しているが、介護の仕事はやはりコミュニケーション能力が極めて重要となる中で、コミュニケーションが取れるまでに時間がかかってしまう一方、慣れた頃には期限がきてしまうといった事業者からの声も聞いているため、外国人介護人材の活用に向けて、こうした声をさらに施策に反映するよう要望する。
次に、令和4年度決算に関する報告書の96ページ、保育士・保育所支援センター費について伺う。
本県では、2020年3月に策定したあいちはぐみんプラン2020-2024において、2024年度までに常勤換算で3万人の保育士確保を目標に掲げている。こうした中、保育士・保育所支援センターでは、専任のコーディネーターを配置して保育士確保を図ったとあるが、取組の状況について伺う。また、現在の本県における保育士数についても伺う。
【理事者】
2022年度に、保育士・保育所支援センターでは、専任のコーディネーターによる再就職に関する相談や求人と求職のマッチングなどを行うとともに、潜在保育士向けの研修を7回、就職フェアを2回開催するなど、潜在保育士の再就職支援に取り組み、125人の保育士が県内の保育所等に採用された。
こうした取組などにより、本年4月1日現在の保育士数は、常勤換算で2万9,965人となっており、はぐみんプラン策定当時の2019年の2万6,887人と比較すると、約3,000人増加している。
【委員】
次に、令和4年度決算に関する報告書の97ページから98ページにかけての保育補助者雇上強化事業費補助金及び保育体制強化事業費補助金について伺う。
先ほどの答弁では、計画上は順調に保育士数が増加しているとのことであったが、実際の保育現場では、痛ましい事故や不適切保育が全国的に明るみになっている。保育士の確保のためには、保育士の数だけではなく労働環境の改善も重要であると考える。
保育士の勤務環境改善や保育士の業務負担の軽減を目的として、この保育補助者雇上強化事業費補助金や保育体制強化事業費補助金を活用して、保育補助者や保育支援者の雇用を支援しているということであるが、具体的な事業内容はどのようなものか。
【理事者】
保育補助者雇上強化事業費補助金については、保育士資格は持っていないものの、保育に関する研修を受講するなどにより、一定の知識を持ち、保育士と共に子供の着替えや食事の世話をする保育補助者の雇用に係る費用を助成するものであり、2022年度は19市町に対して、108施設、255人分の保育補助者の人件費の補助を行った。
制度の開始は2017年であり、実績としては当時8施設、14人であった。当時と比較すると、本事業を活用する施設は増加傾向である。
次に、保育体制強化事業費補助金については、清掃やおもちゃの消毒、園外活動の見守りなど、保育の周辺業務を行う保育支援者の雇用に係る費用を補助するものであり、2022年度は26市町村に対して454施設、821人分の保育支援者の人件費の補助を行った。
この制度が開始した2018年度の実績は32施設、41人であり、この制度も年々増加している。
【委員】
次に、令和4年度決算に関する報告書の96ページから97ページの、子育て支援関係職員研修費について伺う。
子供の適切な支援に向け、就学前の早期療育へのつなぎが大切であると考える。そのためには、保育士等の発達障害に関する理解が重要であるが、保育士に対する発達障害に関する研修はどのようであったか、また、研修実施に当たっての課題とその解決に向け。今後どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
保育士に対する発達障害に関する研修としては、保育士等キャリアアップ研修の中に、障害児保育に関する分野がある。障害児保育に関する理解を深めて、保育の専門性に基づき、一人一人の子供の発達の状況に応じた保育を学んでもらう内容となっており、2022年度は694人が受講した。なお、保育士等キャリアアップ研修全体では4,900人が受講し、研修方法は時間や場所の制約を受けないオンライン形式としている。
また、課題としては、例年受講希望者が多く、2022年度は受講定員3,890人に対して8,895人が受講を希望した。このため、今年度からは、受講定員を3,890人から9,000人に2倍以上の増員をし、希望する全ての方が受講できるよう体制整備を図った。
障害児保育の分野についても、受講定員を570人から1,350人に増員している。引き続き、保育士の資質向上が図られるよう、研修事業に取り組んでいく。
【委員】
保育人材の確保や業務負担の軽減、資質の向上について、様々な取組を実施していることが確認できたが、保育現場にゆとりを生み出す施策は、さらに充実が必要である。
政府は6月13日に閣議決定したこども未来戦略方針に、職員配置基準について、1歳児は6人から5人、4歳・5歳児は30人から25人に改善すると記載をし、基準より手厚い配置をする園への運営費を加算する方向で検討を進めている。本県は独自に、1歳児保育実施費を行っていると思うが、ほかの年齢に拡大するなど、さらなる充実を図るよう要望する。
最後に、子育て支援関係職員研修費に関して、一点質問する。
放課後児童クラブの職員に関する研修について、その目的と実施内容について伺う。また、放課後児童クラブの人材確保に当たっての課題と、課題解決に向けどのような取組を行っているのか伺う。
【理事者】
はじめに、放課後児童支援員研修についてであるが、研修の目的は、放課後児童クラブにおいて配置が義務づけられている、子供の育成支援に当たる放課後児童支援員を養成するものである。実施内容は、放課後児童支援員として必要となる児童の基本的生活習慣の習得の援助、自立に向けた支援等に必要な知識及び技能を習得するものであり、放課後児童クラブの理解や放課後児童クラブにおける子供の育成支援など、1日6時間の講義及び演習を4日にわたり実施するものである。なお、2022年度は12回実施し、785人が受講した。
次に、放課後児童支援員キャリアアップ研修についてであるが、研修の目的は、放課後児童支援員等に対して必要な知識及び技術の習得並びに課題や事例を共有するための研修を行うことにより、資質の向上を図るものである。実施内容は、発達障害児など配慮を必要とする子供への支援や保護者との連携支援など、子供の育成支援に関連して、1テーマ当たり3時間の講義及び演習を行うものであり、2022年度は10回実施し、延べ1,166人が受講した。
最後に、放課後児童クラブの人材確保の課題と取組についてであるが、決算に関する報告書には記載がないが、研修事業と同じく、決算に関する報告書の96ページの子育て支援関係職員研修費の中で、放課後児童クラブ人材確保事業を行っている。
放課後児童クラブでは、小学校の夏休みや冬休み等の長期休業期間に利用ニーズが高まることから、長期休業期間の人材確保が課題となっている。このため、指定保育士養成施設の学生を対象に、放課後児童クラブの現状や魅力、やりがいについてセミナーを開催し、特に利用ニーズが高まる長期休業期間の就労の働きかけを行った。
なお、2022年度は、愛知県立大学、日本福祉大学、岡崎女子大学及び中部大学の4大学において実施し、171人の学生が受講した。
【委員】
学童保育も保育士と同じで、人材の確保や業務負担の軽減、資質向上に向けて、様々な施策を展開していることは確認できたが、やはり現場にゆとりがないというのが現状だと思う。
対策の一つとして展開している放課後児童支援員等に係る処遇改善事業について、県から市町村に対し働きかけを行っていることは承知しているが、実際には一部の市町村しか実施していない。より多くの市町村が実施するよう、さらに県として働きかけを行うよう要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の102ページ、103ページの児童相談センター管理運営事業費のうち、児童虐待に関する部分について伺う。
決算に関する報告書には、昨年度の養護相談件数が1万565件と記載されているが、このうち児童虐待に関する件数はどれぐらいか。また、近年の推移についても伺う。
【理事者】
2022年度に名古屋市を除く県の10か所の児童相談センターが対応した、保護者の入院、死亡などによる家庭での養育困難や、保護者からの児童虐待による不適切な養育などに関する養護相談件数のうち、児童虐待相談対応件数は6,493件で、2021年度の6,588件から95件減少したものの、過去2番目に多い件数となっている。
また、近年の児童虐待相談対応件数の推移であるが、10年前の2013年度は2,344件、その後、2016年度からは4,000件台で推移をしていたが、2019年度に6,000件を超え、以降の4年間は6,000件台で推移し、高止まりの状況である。
【委員】
昨年度の児童虐待相談対応件数が6,493件、10年前の2,344件と比べると、約2.8倍になっている。昨年度の6,493件において、児童相談センターに相談・通告が入ってくる、ルートごとの割合について伺う。
【理事者】
児童虐待に関する相談・通告経路の割合であるが、警察が全体の60.5パーセントで最も多く、市町村が9.9パーセント、家族・親戚が8.9パーセント、近隣・知人が8.6パーセント、学校等が5.4パーセントとなっている。
【委員】
情報が入ってくるルートとしては、警察が約6割、残りは市町村、家族、近隣・知人、学校ということである。
それでは、児童相談センターで児童虐待に関する相談・通告を受けた内容を、警察や学校など、他の機関に伝える基準やその内容について伺う。
【理事者】
児童相談センターが児童虐待に関する相談・通告を受け付けた場合の警察との情報共有については、2018年4月の県と県警察本部との間で締結した協定に基づいて、保護者からの虐待が疑われ、子供の負傷や衰弱など、生命・身体に危険が生じている、または生じる可能性がある深刻な事案については速やかに、それ以外の事案については毎月定期的に、児童の氏名や生年月日、市町村名、事案の状況などを全件、情報提供している。
また、学校などほかの関係機関への情報提供については、相談・通告の受理後、直ちに児童相談センターから市町村の児童虐待担当部署へ電話連絡をし、事案の状況を伝え、市町村からは世帯の状況などの情報収集を行っている。
市町村から得た情報などから、例えば、子供が小学生の場合、児童相談センターから学校へ電話連絡や訪問などにより、事案の状況を伝えた上で、学校から子供の様子や登校状況などの情報収集を行うとともに、可能であれば、学校で子供に直接会い、安全確認や面接を実施している。
こうした情報を踏まえて、児童相談センターでは一時保護の要否や今後の支援について検討をしている。
【委員】
児童相談センターが受けた相談については、全件警察に情報共有していることが分かった。
また、市町村の担当部署を通して情報収集し、その後学校へも情報収集を行いながら、必要に応じて学校で子供の面接を行っていることも分かった。
ただし、そうした手続をして、当初相談を受けた児童相談センターとしての直接的な関わりはそこで終わると思うが、それで終わりではなく、フォローしていく体制として、どのようなことがあるのか。
【理事者】
児童相談センターが保護者や子供への支援、指導を行っていたケースで、虐待の再発がなく、親子関係の改善が見られるなどにより関わりを終了する場合は、市町村へケースを引継ぎ、市町村が主担当として支援を継続するとともに、市町村が児童福祉法に基づいて毎月定期的に開催している要保護児童対策地域協議会において、児童相談センター、警察、学校などが出席して、その後の各機関の支援状況などについて情報共有や意見交換を行い、関係機関と連携しながらフォローを行っている。
【委員】
様々な体制を講じているが、それでも虐待による悲しい事件は、度々起こる。
そうしたチェック体制があっても、事件が起きてしまう傾向がある事例として、支援をしていた家庭が他の自治体へ転居して、フォローすべきその記録等が引き継がれていないというケースがあると聞いたことがあるが、こうしたケースに対して、行政としてどのように取り組んでいるのか。
【理事者】
児童相談センターが現に支援している家庭が他の自治体に転居した場合、転居先の児童相談所に直接出向くなどして、今までの支援経過や支援方針などの情報を引き継ぐとともに、特に心配なケースでは、転居先の児童相談所と一緒に保護者宅を家庭訪問したり、関係機関との個別ケース検討会議に参加するなど、可能な限り丁寧な引継ぎを行っている。
これらの引継ぎと併せて、2021年度に国が運用を開始した要保護児童の情報共有システムにより、必要な情報を共有している。
また、市町村がケース管理をしている家庭については、市町村間でも情報の引継ぎを行うとともに、学校に所属している場合については、学校間でも情報の引継ぎを行っており、転居後に切れ目のない支援ができるよう、重層的な情報共有に取り組んでいる。
なお、支援が必要となった家庭で、直近に他の自治体から転入している場合については、前の住所地の児童相談所へ電話や情報共有システムによる照会をし、過去に終結した支援がなかったか、把握に努めている。
【委員】
児童の虐待防止のために、二重三重のチェック、フォローの体制があるということが分かった。また、300ページ以上に及ぶ児童虐待対応マニュアルがあることを知り、このマニュアルに書かれた仕組みが有効に機能するかどうかは、最終的には関係する機関の職員一人一人によるものだと思う。職員には大変な業務であり、心労もあると思うが、虐待の件数は依然高止まりしており、悲しい事件が起き続けている。
県には警察、市町村、学校、地域などに対して、チェックアンドフォローの体制がさらに有効に機能するように、リーダー的な役割を今後も果たしてもらいたい。
【委員】
大きく3項目にわたって質問をする。
令和4年度決算に関する報告書の90ページ、子ども食堂推進事業費補助金について伺う。
この補助金は、子どもが輝く未来基金などを活用した事業であるが、この子どもが輝く未来基金は2019年3月に、子供の貧困対策をさらに充実・強化するために、広く個人・法人からの寄附の受皿として創設されたものであり、児童養護施設入所児童などの自立支援や子ども食堂への支援に使われると聞いている。
そこで、子どもが輝く未来基金が創設された2019年から現在までの寄附の総額と、基金の使途として子ども食堂への執行状況はどうなのか伺う。加えて、現在の基金残高についても伺う。
【理事者】
子どもが輝く未来基金は、子供の貧困対策の推進に必要な財源を確保するため、県民、企業、団体からの寄附金の受皿として2019年3月に造成した。基金を造成してから、今年9月末までの4年半の寄附金は、合わせて413件、1億2,156万1,892円である。
また、子ども食堂への支援については、事業を開始した2019年度から2022年度までの4年間で、子ども食堂開設経費の助成が158件、1,430万6,446円、学習参考書や児童図書等購入費の助成が172件、303万8,533円である。また、2021年度から事業を開始した、感染症対策に必要となる衛生用品の購入費の助成が85件、615万86円であり、合わせて延べ415件、2,349万5,065円となっている。
なお、昨年度の感染症対策に必要となる衛生用品等の購入費の助成については、基金を活用した助成に加え、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した71件、578万7,413円を合わせて支出している。
基金残高については、2022年度末現在で9,711万197円である。
【委員】
子どもが輝く未来基金は、貧困家庭の子供たちを社会のみんなで支えていこうという目的のものであり、寄附の総額が1億2,000万円を超えていることから、子供たちへの温かい善意が伝わってくる。この子どもが輝く未来基金が、子ども食堂の取組を県内全域に広げていくことに大きな力となっていると思う。
子ども食堂が2012年に東京でスタートして、全国で開設に広がりを見せてから、約10年になる。本県では、令和4年に新たに58か所の子ども食堂が開設費の助成を受けており、先ほど丹羽洋章委員の質問に対して、現在は404か所の子ども食堂が県内にあるとの答弁であった。
子ども食堂の普及率の理想は、子供の徒歩圏内に1か所の設置だと聞いたことがある。
そこで、本県の子ども食堂の設置目標について伺う。
【理事者】
子ども食堂の目標値については、あいちはぐみんプランにおいて200か所としている。
この目標値は、来年度のあいちはぐみんプランの改定に合わせて検討していく予定である。
【委員】
子ども食堂推進事業費補助金は、子ども食堂の開設に上限10万円までの助成が受けられるものであり、申請要件も比較的緩和されている。令和5年度も、子ども食堂推進事業は継続して行われているが、補助金の存在を知らない方がいると実感している。ぜひ、この補助金を利用して、子ども食堂のさらなる設置拡大を図ってもらいたい。
そこで、子ども食堂の開設を考えている方に、補助金の存在を知ってもらう取組について伺う。
【理事者】
補助金の周知については、県のホームページに掲載しているほか、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会が子ども食堂の運営者に対して、助成金情報などを周知するために開設したあいち子ども食堂応援ポータルサイトを活用した。
また、市町村や市区町村社会福祉協議会にも周知し、子ども食堂の開設を希望する方が相談に訪れた際に、情報提供してもらうよう依頼をしている。加えて、子ども食堂に対して、開設支援や食料支援を行っているあいち子ども食堂ネットワークにも情報提供を行っており、会員や相談者に周知してもらっている。
子ども食堂の開設を希望する方に効果的に活用してもらえるよう、引き続き、様々な手法で周知を進めていく。
【委員】
子ども食堂の開設を考えている方は意外に多く、せっかくの補助事業なので、広報にはしっかりと努めてもらいたい。
最後の質問であるが、食材費高騰で子ども食堂の運営も非常に厳しいという声が上がっている。そこで、令和4年度決算に関する報告書の84ページ、社会福祉施設光熱費高騰対策支援金に関連して質問をするが、この支援金の対象には子ども食堂は含まれていない。
そのため、同報告書の84ページの地域福祉事業費において、2022年度愛知県子ども食堂食材費高騰対策支援金が執行されたとのことであるため、その執行状況を伺う。
【理事者】
愛知県子ども食堂食材費高騰対策支援金は、物価高騰の影響を受ける子ども食堂運営者の負担軽減のため、食材費の高騰分を補助するものであり、令和4年9月定例議会補正予算で1,865万円を計上した。決算額は227か所、1,325万円、執行率は71パーセントである。
【委員】
執行率が71パーセントであることは理解した。
子供たちが安心して過ごすことができる居場所としての子ども食堂が、安定的に活動が継続できるように、物価高騰対策にしっかりと尽力してもらいたい。
次に、令和4年度決算に関する報告書の101ページ、ドメスティック・バイオレンス対策費のうち、男性DV被害者相談事業の126万5,389円について伺う。
私は令和3年9月定例議会で、男性DV被害者が増加しているため、本県の男性DV被害者の相談支援について質問した。はじめに、この事業費の126万5,389円の内容について伺う。
【理事者】
本県では、DV被害や人間関係等に悩む男性が安心して相談できるよう、男性DV被害者の電話相談窓口として、愛知県男性DV被害者ホットラインを2018年10月に開設しており、その事業費126万5,389円は、愛知県男性DV被害者ホットラインの運営にかかる経費である。
具体的には、相談員である男性の臨床心理士に対する謝金が103万4,000円、相談員の旅費が5万9,600円、周知カードの作成費が14万6,613円、電話代や周知カードの発送費用が2万5,176円である。
【委員】
男性DV被害者に共通する課題は、男は強くなくてはならない、男のくせに情けないというジェンダーバイアス、固定的観念から、配偶者からのDVに恥ずかしくて誰にも言えないと悩みを封じ込めてしまう傾向にある。内閣府の調査でも、男性被害者の6割が誰にも相談しなかったと回答しており、なかなか相談窓口につながらないのが現実である。
本県では、平成30年から、配偶者やパートナーから暴言・暴力を受けている男性の相談窓口、愛知県男性DV被害者ホットラインを開設し、男性の臨床心理士が電話相談に乗っているが、例えば、令和2年度の男性DV被害相談件数は29件であったと聞いた。
そこで、令和4年の男性DV被害者相談事業である愛知県男性DV被害者ホットラインの相談件数について伺う。
【理事者】
2022年度の相談件数は64件で、そのうち41件がDVに関する相談であり、残りの23件は、DV以外の夫婦間トラブルや職場の人間関係等に関する相談であった。
なお、DVに関する相談は、2020年度が29件、2021年度が36件、2022年度が41件であり、年々増加をしている。
【委員】
男性DV被害者は全国的に増加しており、行政の相談事業の取組が求められている中で、本県は、全国的に整備の少ない男性の臨床心理士が電話相談に乗るなど、男性にとっては相談しやすい体制を取っている。
今後は、被害者をいかに相談窓口につなげるかであるが、愛知県男性DV被害者ホットラインには専用の啓発カードをこれまで年間4万枚作成し、県内各市町村で配布をしている。本定例議会で質問したことにより、令和3年度は啓発カードを2倍以上の10万枚作成し、配置場所も、男性がこっそりとカードを手に取れるように工夫を凝らして取り組んでもらった経緯がある。
令和4年度の相談件数を見ると、そのPR効果が現れたのではないかと思いたいが、引き続き愛知県男性DV被害者ホットラインのPRが必要だと思う。
それで、令和4年度の男性DV被害者相談事業の広報活動について伺う。
【理事者】
昨年度は、ウェブページなど県の広報媒体を活用した周知を実施したほか、周知カード4万3,500枚を、県内のスーパー及び市町村役場等に配布をした。配布に当たり、男性用トイレへの配置など、男性が周囲を気にせずにカードを手に取ることができるように配慮をお願いした。
なお、今年度から、相談者に対して、愛知県男性DV被害者ホットラインをどのように知ったかを聞いているが、8月末までに相談があった21件のうち、約半数がこの周知カードを見て相談に至っており、周知カードの効果的な配布や設置が、認知度の向上につながっていると考える。
【委員】
啓発カードをたくさん印刷しても、人の往来が多いところに置いては、なかなか手にできないため、こっそりと手に取れる場所に置くことが一番だと思う。
世間ではジャニーズ事務所の性加害問題が大きくクローズアップされており、男性のDVやその性被害者の相談窓口の必要性を感じる。
今後、相談者の増加の可能性も考えると、本県の男性DV被害者ホットラインの存在を積極的にPRして、男性でも相談していいという、意識改革も必要だと思う。そのため、男性のDV被害者が相談しやすい環境と体制をつくっていくことをお願いする。
次に、令和4年度決算に関する報告書の151ページ、医事事業費のうち医師確保対策費8億497万2,237円について伺う。
病院勤務医の過重労働や診療負担が軽い傾向にある診療科への偏在、勤務条件のよい都市部の民間病院に流れる研修医、苛酷な勤務と訴訟リスクから成り手不足が深刻な産婦人科医など、地域医療の崩壊も招きかねない医師不足の現状が続く中、来年4月からは、医師の働き方改革が始まる。
平成28年に国が行った医師・歯科医師・薬剤師調査では、本県の人口10万人当たりの医師数は、全国平均をかなり下回り、とりわけ東三河北部医療圏、新城市、設楽町、東栄町、豊根村では、医師数は全国平均の半分以下であった。
本県では、医師不足対策を検討する際の参考とするために、県内病院における医師不足の状況把握調査を、県内の病院に対して毎年実施している。地域医療支援センターは、医療体制の維持向上に向けて、医師不足の解消を図り、医師の地域間格差や診療科偏在の是正を役割として、平成27年4月から県庁内に設置されている。また、勤務先を求める医師に病院を紹介するドクターバンク事業などにも努めている。
そこで、医師の地域偏在を解消することを目的として県内の医師不足の状況などを把握分析したとのことであるため、その結果を伺う。
【理事者】
県では、昨年5月に医師不足の状況及び地域枠医師の派遣要望に関する調査を実施した。
調査対象は、県内の11の2次医療圏のうち、医師多数区域以外の医療圏に立地している、34の全ての公的病院等である。その結果は、28の病院から医師不足のため、派遣の希望があった。
県では、派遣の必要があると判断した20の病院の中から、地域枠の派遣対象となる本人の希望などを踏まえ、医師を派遣している。
【委員】
28の病院から医師の派遣の希望があったということであるが、地域医療支援センターが設置されて、8年になる。
本県の現状として、医師不足の解消と医師の地域偏在状況の是正は図られているのか伺う。
【理事者】
厚生労働省では、医師不足及び医師の偏在状況を確認するために、医師偏在指標を導入している。この指標は、地域ごとの医療需要、人口構成、医師の性別、年齢分布などを反映したものである。数値が上がるほど、その地域の医療需要に対して医師が多く存在していることとなる。
医師偏在指標について、令和元年度と令和5年度を比較すると、愛知県全体及び県内11の2次医療圏全てにおいて、数値が上昇している。現行の医師確保計画において、医師少数区域とされている西三河南部東医療圏については、令和元年度に全国で259位であったが、令和5年度は195位となっている。同じく医師少数区域とされていた東三河北部医療圏であるが、令和元年度は全国で266位であったが、令和5年度は253位となっている。
県全体としては、医師確保及び医師の偏在状況に関して、改善が図られていると考える。
【委員】
本県でも四、五年前には、医師不足によって診療制限に追い込まれる医療機関があった。
地域医療が崩壊するのではないかと言われた時期もあったが、答弁によると、医師不足も随分解消されている印象を持った。
やはり、愛知県地域医療支援センターによる医師確保の調整といった役割も非常に大きかったと思うため、今後とも県民に安心・安全な医療を提供してもらうようお願いする。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年10月26日(木) 午後0時58分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
鈴木喜博、寺西むつみ 正副委員長
伊藤辰夫、山本浩史、神戸健太郎、丹羽洋章、山田たかお、杉江繁樹
高橋正子、日比たけまさ、黒田太郎、加藤貴志、神谷まさひろ 各委員
福祉局長、福祉部長、介護推進監、子ども家庭推進監、
保健医療局長、感染症対策局長、保健医療局技監、感染症対策局技監、
健康医務部長、生活衛生部長兼医薬安全課長、
感染症対策調整監兼感染症対策課長、
会計管理者兼会計局長、同次長、監査委員事務局長、同次長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 決 算
決算第1号 令和4年度愛知県一般会計歳入歳出決算
歳出第4款福祉医療費及びこれらに関する歳入
決算第4号 令和4年度愛知県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳
出決算
決算第5号 令和4年度愛知県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決
算
<会議の概要>
1 開 会
2 決算概要の説明
3 質 疑
4 閉 会
(主な質疑)
《福祉局、保健医療局関係》
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の93ページの児童福祉総務費について伺う。
私は昨年、12月定例議会の一般質問で、社会的養護下にある子供の権利擁護について、質問をした。これは、来年4月施行の改正児童福祉法で新たに明記された内容であり、施設等に入所するときに子供の意見を聞いたり、子供が施設等での暮らしの中で意見や心配事がある場合に、施設や児童相談センター以外の第三者に申立てをすることができるように環境を整えるものである。
本県でも、法施行に向けて着実に実施されるよう、取組状況を質問したところ、福祉局長から、昨年度、学識経験者や弁護士、児童養護施設、里親等の関係者を構成員とする有識者会議を立ち上げ、具体的な実施方法について検討していくと答弁があった。
そこで、有識者会議では、どのような意見があったのか伺う。
【理事者】
来年4月に施行される改正児童福祉法に規定された、施設や里親の下で暮らす子供たちの意見を受け止めるための仕組みを整備するため、昨年7月に、有識者や施設、里親などの関係者による検討会を立ち上げ、昨年度から4回開催し、検討を重ねてきた。
検討会では、有識者から、子供が自らの意見を述べる機会を保障するためには、子供が意見を整理できるようサポートしたり、子供の意向に従ってその意見を代弁する役割を担う意見表明支援員の配置が必要であるという意見や、子供の率直な気持ちを聞く上では、施設や児童相談センター以外の第三者性の確保が重要となる。また、子供が意見表明をはじめとした権利を行使するためには、子供自身が権利について十分理解できるよう支援していく必要があるなどの意見があった。
【委員】
検討会での検討結果を受けて、現在取り組んでいることがあるのか。
【理事者】
検討会での議論を受けて、今年度は一部の施設において試行的に、入所児童から手紙による意見を受け付けるほか、研修を受講した大学生を意見表明支援員として施設へ派遣し、子供たちとの面談を通じて、子供たちがその思いを意見としてまとめることができるよう、支援に取り組んでいる。
その上で、子供が希望する場合には、この検討会において、子供の意見をどのように取り扱うか、調査審議をすることとしており、今後の制度設計につなげていく。
さらに、子供が自身の処遇や日々の生活に対して意見を言ってもいいんだと、意見表明の権利をはじめとした様々な子供の権利を十分に理解できるように、現在、施設や里親の下で暮らす子供向けの冊子である、権利ノートを作成している。
今後も、この制度を利用した子供たちや意見表明支援員の意見、施設からの評価、検討会での有識者の意見を踏まえて、施設や里親の下で暮らす子供たちの権利擁護を推進するために、来年4月の法施行に向けて具体的な仕組みを検討していく。
【委員】
施設や里親の下で暮らす子供たちが安心して暮らすことができるよう、意見表明支援員などの仕組みについて、引き続きしっかりと検討を行い、法施行時には適切な支援を行うよう要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の94ページ、ヤングケアラー支援事業費について伺う。
県では2021年度に実施したヤングケアラー実態調査の結果を踏まえた上で、身近な地域で効果的な支援が行えるよう、ヤングケアラーの発見、把握から支援までの一貫した支援体制を構築するため、昨年度市町村モデル事業を開始した。
モデル市では、地域特性等を踏まえた事業を行うこととしており、豊橋市では昨年10月から、大府市では昨年11月から、春日井市では昨年12月からモデル事業を開始し、約1年が経過した。
そこで、3市で行ったモデル事業の取組内容について伺う。
【理事者】
市町村モデル事業に取り組む3市では、これまでヤングケアラー支援に向けた関係機関の連絡会議を設置し、多機関連携の体制を整備したほか、ヤングケアラー相談窓口の設置や子供向けに相談窓口を周知するカード等の配布、さらに、周りの大人がヤングケアラーを知り、気づいてもらえるよう、講演会や研修会を開催してきた。
また、各市では、地域の特性を踏まえて創意工夫を凝らしており、ケーブルテレビでの広報や支援者向けのガイドブックの作成、子供や教職員へのアンケート等を実施している。
モデル事業が終了する来年度末に向けて、今後はさらに取組を深化させ、ヤングケアラー同士の交流の場の設置や子供が立ち寄る場での巡回相談の実施、家事負担軽減のためのヘルパーの派遣など、ヤングケアラーとその家族への直接的な支援に取り組む予定としている。
【委員】
市町村モデル事業に取り組む3市の支援策を共有することが、この事業の効果を高めることにつながると考えるが、市町村モデル事業を実施している3市が、それぞれ情報を共有する仕組みはあるのか。
【理事者】
市町村モデル事業に取り組む3市がそれぞれの支援策を共有することは、事業の効果を高めるために必要なことだと考えている。
県では、市町村モデル事業を実施する3市の緊密な連携を図るため、3市が参加するモデル事業推進会議をこれまでに3回開催しており、3市それぞれの取組や効果、課題などを共有するほか、具体的な支援事例を用いてケース検討を行っている。
また、会議だけでなく、県や3市が開催する研修会など、様々な機会にお互いに参加し、交流を深めており、日頃から事業を進める上で、相談・助言や情報交換を行うなど、密接な連携体制が構築できている。
引き続き、各市におけるモデル事業の効果を高めるため、連携を密にしていく。
【委員】
ピアサポーター、当事者による相談窓口が大切になってくるという話も聞くため、そうしたことも踏まえた上で、市町村モデル事業の結果を反映し、ヤングケアラーの支援が進んでいくこを望むとともに、そうした体制を構築することを要望する。
次に、令和4年度決算に関する報告書の115ページ、障害者コミュニケーション手段利用促進費について伺う。
平成28年10月に制定された手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例では、手話言語の普及と障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用促進を図ることで、全ての県民が障害の有無にかかわらず、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生、安心して暮らすことができる地域社会を実現することを目的としている。この条例の第10条には、人材の育成等として、県は障害特性に応じたコミュニケーション手段を利用した意思疎通を支援する者の養成その他必要な措置を講ずることを努めるとされている。
決算に関する報告書には、意思疎通支援者の養成、派遣などを行うとの記載があるが、令和4年度における意思疎通支援者の養成数と派遣実績について伺う。
【理事者】
本県では、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう者向け通訳・介助員及び失語症者向け意思疎通支援者の養成講習会を開催している。
令和4年度に実施した各種養成講習会を修了した者は、手話通訳者養成講習会が33人、要約筆記者養成講習会が8人、盲ろう者向け通訳・介助員養成講習会が8人、失語症者向け意思疎通支援者講習会が17人である。
令和4年度に派遣を行った件数は、手話通訳者の派遣が138件、要約筆記者の派遣が69件、盲ろう者向け通訳・介助員の派遣が1,023件、失語症者向け意思疎通支援者の派遣が30件である。
【委員】
決算に関する報告書には、障害の特性に応じたコミュニケーション手段を利用しやすい環境整備を図ったとあるが、具体的にどのような環境整備を行ったのか。令和4年度における具体的な取組を伺う。
【理事者】
障害のある者がそれぞれの障害特性に応じたコミュニケーション手段を利用するためには、手話や要約筆記、点字、音訳、文字盤といった様々なコミュニケーション手段があることを、広く県民に理解してもらうことが重要である。
このため、本県では県民向けのセミナーを開催し、理解を深めてもらうことで、障害特性に応じたコミュニケーション手段を利用しやすい環境の整備に努めている。
令和4年度は、9月18日にウインクあいちにおいて、手話言語・障害者コミュニケーション交流セミナーを開催した。このセミナーでは、様々なコミュニケーション方法を紹介したほか、来場者に、実際に手話の体験をしてもらった。今後も障害特性に応じたコミュニケーション手段の利用促進が図られるよう、環境整備に努めていく。
【委員】
次に、決算に関する報告書の117ページ、医療的ケア児支援センター費について伺う。
一つ目に、医療的ケア児支援センターは地域の体制整備を支援する役割を担うこととされているが、医療的ケア児等コーディネーターの人数は十分なのか、また、医療的ケア児等コーディネーターには、どのような職種の人がなっているのか。養成研修を受けて医療的ケア児等コーディネーターとして登録した後、地域で活躍してその役割を十分に果たし続けるには、医療的ケア児に関する困難な相談事例に対応できるよう、知識や技能を研さんする場の提供が必要になると思うが、県はどのような取組を行っているのか。
【理事者】
医療的ケア児を必要な支援につなげるため、様々な関係者と総合的な調整を行う医療的ケア児等コーディネーターを市町村が配置することができるよう、県主催の養成研修を行っている。
本年4月現在で、53市町村に326人の医療的ケア児等コーディネーターが配置されており、ほとんどの市町村において不足はしていないと認識している。
今年度の養成研修は今月から実施をしており、今回、受講申込みをしている112人が研修を終了すると、新たに医療的ケア児等コーディネーターになる予定である。
職種等については、相談支援専門員、保健師、看護師等、様々な職種の医療的ケア児等コーディネーターが配置されており、障害の内容や程度等の違いによって、個別性の高い医療的ケア児の相談に対応できる体制整備を進めている。
現任の医療的ケア児等コーディネーターに対しては、医療的ケア児に関する最新の制度や状況を学び、またグループワークで困難な事例検討を行うなど、知識や技能をさらに深めるためのフォローアップ研修を実施している。今年度は医療的ケア児支援センターが担当する圏域単位で開催する予定としており、地域の医療的ケア児等コーディネーターがより一層活躍することで、医療的ケア児が必要な支援に速やかにつながる体制づくりを、県としても後押しをしていく。
【委員】
県においても、医療的ケア児を支援できる体制を今後も進めていくと思うが、医療的ケア児の子供も社会に交じって普通に生活できる環境が、県として整えるよう様々な取組を進めてもらいたい。
次に、令和4年度決算に関する報告書の132ページ、がん患者妊よう性温存治療費助成事業について伺う。
一つ目に、本事業の令和4年度の実施状況として対象103件と記載されているが、この内訳を教えてほしい。二つ目に、この助成制度を利用するに当たって、小児AYA世代のがん患者等の妊よう性温存療法研究促進事業への参加同意という項目があるが、その内容はどのようになっているのか。三つ目に、この事業に関する啓発はどのように行っているのか。
【理事者】
1点目の、愛知県がん患者妊よう性温存治療費助成事業については、がん治療により妊よう性が低下する前に、卵子や精子、受精卵、卵巣組織の凍結保存を行う妊よう性温存療法への助成と、妊よう性温存療法により凍結保存した卵子や精子、受精卵、卵巣組織を用いて、がん治療後に妊娠を補助するために実施される保存後生殖補助医療に対する助成の二つがある。
令和4年度は、妊よう性温存療法が90件、温存後生殖補助医療が13件の合計103件の助成を実施した。
2点目の助成対象要件の、小児AYA世代のがん患者等の妊よう性温存療法研究促進事業の参加であるが、愛知県がん患者妊よう性温存治療費助成事業は、国の研究促進事業を受けて実施をしている。この国の事業は二つの目的から構成されており、一つは、がん患者等の経済的負担の軽減を図ること。もう一つは、妊よう性温存療法及び温存後生殖補助医療の研究促進である。研究では、患者からの臨床情報等のデータを収集し、妊よう性温存療法及び温存後生殖補助医療の有効性、安全性のエビデンス創出や、長期にわたる検体保存のガイドライン作成等を目的としている。
同意が得られた患者から収集する臨床情報は、原疾患の診断、治療に関する内容、妊よう性温存療法に関する内容、原疾患の経過、妊娠出産に関する内容、保存検体の保管状況に関する内容である。
3点目の事業に関する啓発については、県のホームページへの掲載と、助成事業に関するチラシ、リーフレット等の配布を行っている。チラシやリーフレットの配布については、がん診療連携拠点病院を中心に、がん治療実施医療機関等や市町村の保健所に送付し周知を図っている。
また、令和4年度においては、5月に愛知県がんセンターで開催された一般公開講座や、10月に企業と共催で実施した一般公開講座の中で、県の取組として妊よう性温存治療費助成事業に関して紹介を行った。
【委員】
妊よう性温存治療費の助成に関しては、去年から県のほうで始まったと理解しているが、SNSやオンラインなど様々なツールを使用した啓発を行い、将来子供を持ちたい人に対して、選択肢が広がる施策を進めていくことを要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の134ページ、重点医療機関患者受入体制確保推進費補助金について伺う。
この補助金は、病床を空けておくことが目的であり、補助金がしっかりと使われたことは成果があったといってよいのか、難しい判断になるとは思うが、昨年の報道によると、病床を空けておいたが、いざというときに入院させることができなかった、受け入れてもらえなかったというようなこともあった。
そこで、この空床補助の対象となっている確保病床を有する医療機関は、入院が必要な人を確実に受け入れたのか。
【理事者】
本県では、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関を順次拡充し、昨年度4月1日時点で84施設、病床数2,540床を確保していた。
昨年度の流行の主流株であったオミクロン株は、感染力が強い一方で重症化率が低かったことから、昨年夏の第7波において、確保病床における入院基準を、原則酸素投与が必要な者等、つまり中等症Ⅱ以上の患者とし、確保病床を有していない医療機関に対しては、入院患者等がコロナ陽性と判明した場合でも、可能な限り入院の継続をお願いするなど、医療資源の効率的な運用を図ってきた。
その結果、第7波のピークである昨年の9月3日には、確保病床を含めた全ての医療機関の入院患者数が2,615人と過去最多を記録したが、確保病床を有する医療機関では、原則中等症Ⅱ以上の患者を受け入れることに特化した運用を行うことで、1,352人の患者を受け入れ、それ以外のコロナ軽症者等については確保病床を有しない医療機関で受け入れることにより、真に入院が必要な人に対して、適切な医療を提供する体制を維持できていたと考える。
【委員】
入院が必要な人が治療できていたのであればよいと思う。
次に、令和4年度決算に関する報告書の137ページ、ワクチン大規模集団接種会場運営費について伺う。
大規模接種会場については、なかなかワクチン接種が進まない中で、県として新たな施策として取り組み、ワクチン接種が一気に進んだため、大変有効な手段だったと感じている。
また、様々なリスクがある中で、よく協力してくれたと思っているが、この事業を進める上で苦労したことは何か。
【理事者】
本県では、医療従事者や接種会場の確保が課題であった市町村を支援し、新型コロナワクチンの接種加速を図るため、令和3年5月から、名古屋空港ターミナルビル会場及び藤田医科大学会場の2か所の大規模集団接種会場で接種を開始した後、令和3年秋時点で最大8か所の会場を開設し、本年3月までの1年10か月にわたり、延べ136万人にワクチン接種を実施してきた。
当初、県では、ワクチン大規模接種事業に関するノウハウがなく、接種会場の選定、会場を所管する部署や大学との調整、医療従事者の確保、会場運営方法、ワクチンの確保、会場までの交通機関の確保などについて試行錯誤しながら、接種会場を準備した。
都道府県が設置する大規模集団接種会場は前例のない取組であり、国、市町村とも連携を図りながら、短期間で準備を進めることを余儀なくされた。
なお、大規模集団接種事業の費用については、国から全額補助が得られることになっていたが、会場の開設期間中、接種者数の増減の波があったため、適宜、開設日数や時間等の変更に応じた適切な人員配置を行うとともに、運営規模を柔軟に見直すことで、医師や看護師等、各医療機関の限られた医療資源を無駄にすることがないよう、適切な運用に努めてきた。
【委員】
非常に大変だったと思う。特に、民間の施設を活用し、医者をお願いしているので、相手方の採算性も考えなければならず、本当によく進めてくれたと思う。
新たな感染症が発生するかもしれず、民間との協力という意味では、今回の事例をしっかりとレガシーとして残しておき、次に何か起こったときには生かせるようにすべきと思うが、どのように考えているのか。
【理事者】
今後新たな感染症が発生し、同様にワクチン接種事業が必要となる可能性は十分考えられることから、県としては、ワクチン大規模集団接種事業をはじめ、今回のワクチン接種事業の経緯を取りまとめ、事務処理の流れが分かるよう記録を整備して、ノウハウを継承していく必要があると考えており、これまでも資料の収集や記録の整理に取り組んできたところである。
また、今回のワクチン接種事業を通じて、実施主体である市町村との連携の重要性を実感しており、今後も市町村との密接な関係を維持していきたいと考えている。
【委員】
職員は異動するため、しっかりと記録を残すこと、また、引き続き市町村との関係を維持することが重要と考えるので、しっかりと対応してもらいたい。
次に、令和4年度決算に関する報告書の155ページ、地域医療確保修学資金貸付金について伺う。特に医師がいない、なかなか確保できない地域にとっては、大変重要な事業である。
はじめに、この事業の実績について伺う。
【理事者】
地域医療確保修学資金貸付事業は、本県内の医師を確保するために、県内の四つの医学系大学に地域枠で入学した医学生に対して、修学資金を貸与するものである。県が指定する公的な医療機関などで9年間勤務をすれば、修学資金の返還義務を免除するものである。
貸与額については、入学年度が毎月17万5,000円、2年目以降は原則毎月15万円であり、原則6年間で総額1,110万円となる。令和4年度は182人に貸付けを行った。
【委員】
この事業は実施から、10年以上が経過しているが、その成果はどのようになっており、どれぐらいの医師が現在活躍しているのか。また、その中でも、国家試験に受からなかった者や退学した者、もしくは地域枠以外の医師に変わった者など、地域枠を離脱した者がこれまで何人いたのか。
【理事者】
入学定員であるが、制度開始当初の平成21年度は、名古屋大学及び名古屋市立大学で合わせて5人であったが、その後増員した。また、愛知医科大学及び藤田医科大学が新たに加わり、令和4年度においては四つの大学で32人となっている。
大学入学後、6年間学び、国家試験の合格後に一定期間の研修を経て地域派遣となり、これまでに116人が医師となっている。地域派遣は令和2年度に始まっており、令和4年度は17人を県内の医療機関に派遣している。今後、地域派遣は2027年度に100人を超え、令和15年度に160人程度となる見込みである。
令和4年度までに県内の医学系大学に入学した学生は316人いるが、そのうち地域枠制度から離脱をした者は13人である。
【委員】
離脱者が316人中13人ということで、割合は小さいかもしれないが、この枠はかなり限られた枠であり、こちらで増やせる枠でもない。この枠を最大限活用していくことが重要だと思うが、離脱者が出ないようにするために、どのようなことに取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
修学資金について、離脱をすることとなった場合、貸し付けた金額に対して、貸し付けを行った時点から、年10パーセントの利息をつけて、1か月以内に県に返還することとなっている。
また、昨年度から、県内四つの医学系大学には、キャリアコーディネーターを配置した。学生及び卒業した医師への定期的な面談や随時の相談を通じて、地域枠医師としての意識づけを図っている。さらに、学生に対しては、地域枠医師としての意識を高めるために、県が開催する研修会に出席をしてもらっている。この研修会は、各大学のキャリアコーディネーターや先輩医師から、地域枠医師としての魅力を発信するとともに、グループワークを通じて、他大学生との交流を深めて、同じ志を持った仲間と共に地域枠医師としての自覚が高まるよう努めている。
今後も、こうした取組を通じて、地域枠学生の地域貢献への意識を育て、離脱者が生じないように努めていきたい。
【委員】
この制度に応募したために、その人の人生を固めてしまうことがあってはいけないと思うが、やはり重要な枠であり、本人が希望したものでもある。
不合格者には、本人に頑張ってもらう必要があるが、地域枠以外の医師で活躍する者がいるのであれば、ぜひ説得をして、地域枠について理解してもらうことをお願いする。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の91ページ、生活福祉資金貸付事業費補助金について伺う。
新型コロナウイルス感染症の発生により、休業や失業等により一時的または継続的に収入が減少した世帯を対象として、生活福祉資金貸付制度における総合支援資金及び緊急小口資金について、特例の措置が設けられた。受付期間は令和2年3月25日から令和4年9月30日であった。
まず、この制度の全体像を把握するために、これまでの貸付実績について伺う。
【理事者】
令和2年3月から昨年9月までの特例貸付の貸付実績であるが、休業等による緊急かつ一時的な生活維持のため、最大20万円の貸付けである緊急小口資金が、9万2,362件、170億676万6,000円、失業等により生活に困窮し、日常生活の維持が困難となっている世帯へ月額20万円以内で原則3か月貸付けを行う総合支援資金が、6万5,518件、337億4,492万6,000円であり、これらを合わせた総貸付件数は15万7,880件、総貸付金額は507億5,169万2,000円となっている。
【委員】
貸付件数は15万7,880件、総貸付金額は507億5,000万余円ということで、すごい金額だと思う。
令和4年度分が償還されるかどうかは、既に償還が始まっている令和4年3月末までの貸出し分について、償還の状況がどうであるかを確認すれば、令和4年度貸付け分の償還の動向が推察できると考える。そこで、令和4年3月末までの貸出し分について、令和5年1月から償還が始まっていると思うため、その状況について伺う。
【理事者】
令和5年1月から償還が始まった債権は、総合支援資金、緊急小口資金合わせて12万2,383件、342億2,615万1,000円である。このうち、生活困窮等を理由として償還免除を行った債権は、本年8月末現在で3万4,652件、105億9,458万1,000円、また、償還期限を最大12か月延長する償還猶予を行った債権は、本年8月末現在で7,820件、22億4,162万4,000円である。
また、残りの債権のうち、償還計画どおりに償還できている債権は1万6,072件、33億3,935万1,000円、償還が滞っている債権は6万3,839件、180億5,059万5,000円である。
件数で見ると、償還免除や猶予を行っている債権が約35パーセント、償還が滞っている債権が約52パーセントである。
【委員】
約507億円の貸出しのうち、既に免除した額が約105億円、割合で見ると、償還免除や猶予を行っている債権は既に35パーセントあり、償還が既に滞っている債権も52パーセントある。
通常、こうした融資や貸出しに対して、35パーセントも免除をしたり滞る状況であれば、そもそも審査がどうであったのかという議論になると思う。この特例措置は、当時、本当に生活に苦しんでいる方に対して、一刻でも早く届けなければならないという雰囲気が当局や国全体にあったと感じている。
令和3年2月定例議会の議案質疑において、非常にインパクトのあるやり取りがあったので、その概要を紹介する。令和2年9月に、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会の貸付審査が厳しく、希望額どおりに借りることができないという情報提供があった。調べたところ、貸付額を必要最小限に減額しているケースや、貸付金の償還が見込めないとして申請却下したケースがあるなど、大変厳しい運用をしていることが分かったということで、これは特例貸付に係る国の通知に反するものであるため、福祉的な配慮に大きく欠けるものであり、速やかに運用を見直すように指導したということであった。
本人の借入希望額を尊重した貸付決定を行うことなど、申請者に寄り添った対応に改めるように指導したとのことである。ところが、その後も社会福祉法人愛知県社会福祉協議会の担当者はこの方針に反して、償還能力を厳格に捉えて申請を却下していた、ということが分かり、この特例貸付の趣旨を踏まえて、9月に決定した方針どおりに制度が運用されてこなかったことは県として大変遺憾であるということであった。そのため、これまで却下や減額された方に対して、追加貸付の受付を行い、希望する方については、却下や減額された額をできるだけ速やかに貸し付けるという答弁があった。
今後、償還が滞っている52パーセントの人に対して、働きかけを行うこととなるが、償還事務はどのように行っているのか。
【理事者】
償還事務を適切に行うため、貸付の実施主体である社会福祉法人愛知県社会福祉協議会に特例貸付償還事務センターを設置して、委託業者の職員を含め約50人体制で償還事務を行っている。
このセンターでは、償還金の収納のほか、借受人に対する案内文書の送付、コールセンターでの問合せ対応、償還免除や償還猶予の申請受理や審査等を実施している。
【委員】
約50人体制で、外部の業者に委託をして行っていることが、よく分かった。
ただし、今後、償還事務が進むにつれて、償還免除申請も増えてくるのではないかと思っている。この制度は、非課税世帯では免除できるという一定の要件があるが、それに該当しない者も増えてくると思う。
そうした困窮者に対して、生活再建に向けた支援が必要になることもあると思うため、債権が滞っている借受人に対するフォローアップをどのように行うのか。
【理事者】
滞納者の中には、生活に困る状況が継続している者も多くいるため、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会では、全ての借受人に対して、償還の免除や猶予の活用を積極的に周知している。
また、生活困窮者の身近な相談窓口として、各市や県が町村域に設置している自立相談支援機関の連絡先を送付し、支援へのつなぎを実施している。
借受人の中には、外国籍の者や転居を繰り返す者もいるため、英語やポルトガル語など、多言語による情報提供や、携帯電話のショートメールサービスを活用するなど、こうした情報が確実に届くよう工夫をしている。
さらに、身近な地域において、生活に困っている方に寄り添った支援が提供できるよう、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会では、昨年度、市町村の社会福祉協議会、生活困窮者自立支援機関の職員を対象とした研修会を開催し、貸付制度への理解促進や相互の連携促進を図った。こうした研修会は本年11月にも開催を予定している。
県では、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会の取組に必要な経費を助成しているが、今後も引き続き必要な助言や情報提供を行うなど、借受人等に対するフォローアップ体制の整備をしっかりと支援していく。
【委員】
コロナ禍で生活が大変なときに、15万7,000件、約507億円というのは、命が救われたのではないかと思う。一方で、コロナ禍はほぼ終息し、物価が上がり、別の形で生活の厳しさがあるのではないかと思う。
答弁の中で、償還免除や償還猶予の活用を積極的に周知するとあったが、ありがたいことではあるが、償還免除をすれば、その方たちは楽にはなるが、それで終わりではなく、むしろ今回の制度で、15万7,000件もの本当に苦しい方が表に浮かび上がってきたと思う。そのため、引き続きフォローをしっかりとお願いしたい。
次に、令和4年度決算に関する報告書の147ページ、食品衛生監視指導費について伺う。
食品衛生監視指導費のうち、一般社団法人愛知県食品衛生協会への補助金及び業務委託料はどの程度であったのか。
【理事者】
一般社団法人愛知県食品衛生協会への補助金は、食品衛生指導員による巡回指導事業、食品衛生思想広報活動事業費等を対象とした食品衛生協会事業費補助金として50万円である。
他に、同協会への委託金として、食品衛生責任者となる者に資格を取得させる講習会等を実施する食品衛生責任者講習会費が280万237円である。また、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理方法に係る助言指導等を実施する食品衛生相談事業費として166万9,725円がある。
さらに、HACCP基礎研修を実施するHACCP基礎研修事業費として46万2,000円がある。この3事業の合計が493万1,962円である。
【委員】
補助金として50万円、それ以外に三つの事業費として合計約490万円であることが分かった。
食品衛生責任者講習会は、飲食店を営む者にとって、受講することが義務になっているのか。
また、HACCPの考え方を取り入れた衛生管理をすることも、飲食店にとっては義務なのか。そして、検便の実施は義務なのか伺う。
【理事者】
1点目の食品衛生責任者講習会の受講については、食品衛生法施行規則において、食品衛生責任者の遵守事項として都道府県知事等が実施する講習会、または都道府県知事等が認める講習会を定期的に受講することとされている。
2点目のHACCPの考え方を取り入れた衛生管理をすることについては、食品衛生法において、営業者が公衆衛生上講じなければならない必要な措置として規定されている。
3点目の検便については、食品衛生法施行規則において、食品取扱い者の責務として規定されている。
【委員】
令和4年度、その5年前、さらに10年前の一般社団法人愛知県食品衛生協会への加入率について伺う。
【理事者】
一般社団法人愛知県食品衛生協会の資料から、露店等を除く営業許可施設に対して算出した数であるが、令和4年度は64.2パーセント、平成30年度は69.9パーセント、平成25年度は78.8パーセントである。
【委員】
同協会への加入率は、残念であるが、年々下がっている。
県が委託をしている事業は、飲食店にとって、例えば、食品衛生法や食品衛生法施行規則などによって遵守しなければならないことや、責務とされていることであり、非常に重要な事項である。
つまり、同協会が行っている事業は、本来、県が食品の安全や安心のために、事業者に対して教育や啓発をしなければならない事業を委託や補助することで、同協会に実施をお願いしているものであり、加入者が減るというのは、安全や安心を指導する仕組みが、年々低下していることを意味している。
そこで、一般社団法人愛知県食品衛生協会への積極的な加入を県としても働きかけ、加入率の促進を図るよう要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の90ページ、子ども食堂推進事業費補助金について伺う。
令和4年度の愛知県内における子ども食堂の開設数は何件か、前年度比でどのようになっているのか伺う。
併せて、子供の貧困率の推移はどのようになっているのか伺う。
【理事者】
今年5月に実施した県内の子ども食堂の調査では、404か所であり、昨年5月時点の293か所から111か所、38パーセントの増加となっている。
子供の貧困率は、世帯全体の手取り収入と世帯人員を基に算出した額を、低いほうから順に並べ、真ん中の額の2分の1の額に満たない子供の割合をいうものである。
国が3年に1回実施している国民生活基礎調査の大規模調査で、子供の貧困率を算出しているが、2021年は11.5パーセントであり、2018年の14.0パーセントより2.5ポイント改善している。なお、2016年に実施した愛知子ども調査における本県の子供の貧困率は5.9パーセントであり、2015年の国民生活基礎調査の子供の貧困率13.9パーセントより8.0ポイント低くなっている。
【委員】
今年5月の県内の子ども食堂の開設数は404か所であり、昨年同月比で111か所増えているということであった。
子ども食堂は、子供の居場所づくりという視点で考えれば、増えていくことは喜ばしいことであるが、食事にありつけない子供たちが増えて、子ども食堂が増えていることを考えると、決して喜ばしいことではないと思う。古今東西政治の一丁目一番地というのは、民を飢えさせないということであると考えると、やはり、子ども食堂が増えていくことは、喜ばしいことなのか、そうではないのかと、思うところがある。
食事にありつけない子供たちがいるのであれば、福祉局の事業として、そのあたりをどのような状況にあるのかを把握して、教育委員会でも、子供たちの居場所づくりという事業ができているところとできていないところがあるため、そのあたりも整理しつつ、福祉局の事業として、必要なことをしっかりやってもらいたい。子供たちがこのような状況にあるというのを、見る場所でもあると思う。虐待やネグレクトを見つけだす場所にもなるかもしれないので、そうした視点を忘れずに取り組むことを要望する。
次に、令和4年度決算に関する報告書の118ページ、相談支援体制整備事業費に関して伺う。当事業の関連事業である専門相談事業の中に、高次脳機能障害支援普及事業があるが、この事業は、高次脳機能障害に関する相談等を行う県の委託事業である。
まず、この事業の委託料と令和4年度の相談実績、経年変化、委託料の積算根拠、令和4年度の執行状況について伺う。
【理事者】
令和4年度の相談実績について、この事業は愛知県を西部と東部に分けて、それぞれ支援拠点を設け、尾張地域を社会福祉法人名古屋市総合リハビリテーション事業団、三河地域を特定非営利活動法人高次脳機能障害者支援笑い太鼓に委託して実施している。
地域別の相談実績は、尾張地域が障害者本人、関係機関等、家族からを合わせて5,478件であり、三河地域が同じく、合わせて3,736件である。
委託料については、尾張地域が年間1,256万4,000円である。積算については、相談支援員として1人当たり年間約520万円の職員を2人分、その他、支援体制整備及び広報啓発等に必要な経費を加えた額としている。また、三河地域は、年間587万円であり、積算については、相談支援員として1人当たり年間約520万円の職員1人分、その他、支援体制整備、広報啓発等に必要な経費を加えた額としている。
次に執行状況であるが、尾張地域では委託料の範囲内で事業が執行されたと報告がある一方、三河地域では団体の決算の委託料分の支出としては、954万2,462円であり、委託金額と比べて367万円余りの超過となったとの報告を受けている。
委託料の経年の変化であるが、直近3年分では、尾張地域及び三河地域それぞれ令和2年度以降据置きとなっている。
【委員】
三河地域で見ると、私の地元のNPO法人笑い太鼓に昨年は委託費として587万余円を計上し、実際にこの相談事業にかかった費用は954万2,000円余りであり、NPO法人笑い太鼓が360万円余りを持ち出したことになる。そうすると、事業の進め方、相談事業の中身等がどうだったのかということが気になる。そもそも必要とされている委託費が払えていたのかということも気になるため、しっかりとコミュニケーションを取り、精査をしてもらいたい。
これは、この事業だけではなく、委託を行っている事業全般に言えることであるが、例えば、事務にかかる経費や人件費を予算組みして、議決をしているが、人件費一つをとってみても、520万円で3人分、そのうち尾張地域は2人分、三河地域は1人分であり、経験値や能力で人件費の算出の仕方は変わってくると思う。
県職員でも、新入社員の人件費と経験を積んで能力のある職員の人件費が違うのと同じで、一概に520万円ですと言われても、やはりこれはどうかと思う。そのため、そうした点も加味して予算組みを行い、事業を執行するよう要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の84ページ、重層的支援体制整備事業交付金に関連して伺う。
現在の地域社会は、少子・高齢化や核家族化の進行を背景につながりが希薄化し、支え合いの機能も低下していると言われる一方で、子育てと介護を同時に抱えるダブルケアや、ひきこもり状態の中高年の子供の生活を高齢の親が支える8050問題など、個人や世帯が抱える課題は複合化、多様化している。
こうした中、地域住民や多様な主体が参画し、支え合いながら地域をつくる地域共生社会の実現を目指して、市町村における重層的支援体制整備事業の実施に期待が高まっている。
そこで、制度開始から2年が経過した昨年度までの市町村における実施状況と、それに対する評価について伺う。
【理事者】
はじめに、実施状況であるが、重層的支援体制整備事業が開始された2021年度には5市、2022年度には10市町、さらに今年度は14市町において事業が実施をされている。
次に、市町村の実施状況に対する評価であるが、本県では、福祉・保健・医療分野全体の方向性を示す、あいち保健医療福祉ビジョンにおいて、2026年度までに20市町村で本事業を実施することを目標としており、この目標に向かって順調に進捗していると考える。
【委員】
答弁では順調に推移し、増加しているということであるが、まだ多くの市町村が実施に至っておらず、引き続き働きかけが必要ではないかと考える。
さらに、既に事業を開始している市町村においても、住民への普及啓発や、多様な機関のさらなる連携強化など、事業実施に当たって様々な課題を抱えていると考える。
そこで、県として、市町村における重層的支援体制整備事業の円滑な実施に向け、どのような取組を実施しているのか伺う。
【理事者】
本県では、昨年9月に社会福祉法人愛知県社会福祉協議会と協働し、市町村や本事業の主な連携先である市町村社会福祉協議会の職員を対象とした研修会を開催した。この研修会では、重層的支援体制整備の必要性を分かりやすく伝える講義のほか、シンポジウム形式で先進自治体の事例を紹介するなど、市町村における取組の促進を図った。今年度は12月に開催を予定しており、講義や事例紹介に加え、相互の意見交換が進むようグループワークを実施することとしている。
県としては、引き続きこうした研修を通じて、未実施市町村へ実施に向けた働きかけを行うとともに、事業実施上の課題の共有を図るなど、市町村における取組を支援していく。
【委員】
国はこの重層的支援体制整備事業を、市町村において、全ての地域住民を対象とする包括的支援の体制整備を行う事業と位置づけ、体制を支えるためのアウトリーチや多機関協働の機能を強化していくとしている。
生活を送る中で直面する困難、生きづらさの多様性・複雑性を抱える住民に対して、本人に寄り添って伴走する支援体制を市町村が着実に構築できるように、県としてもしっかりとサポートを行うよう要望する。
次に、令和4年度決算に関する報告書の86ページ、福祉・介護人材確保対策費について伺う。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年を控え、介護需要が高まる中、介護に従事する人材の確保を進めるためには、幅広い年代に向けた取組が必要と考える。
そこで、県は、どのように取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
幅広い年代に向けた取組として、介護に関する専門的な知識や技術を持っていない方の不安を払拭し、多様な人材の参入を促進するため、4日間の介護に関する基本的な研修を受講した方に、あいち介護サポーターとして登録をしてもらい、派遣を希望する介護事業所とのマッチングを行う、あいち介護サポーターバンク運営事業を2016年度から実施している。
その登録状況は、2020年度が299人、2021年度が382人、2022年度が390人である。
次に、介護事業所とのマッチング数であるが、2020年度が60件、2021年度が132件、2022年度が132件である。マッチング成立者のうち約7割は50歳以上であり、中高年齢者の介護分野の参入に寄与していると考えている。
また、若い世代においては、核家族化の進行により高齢者と身近に接する機会が少ない、また、介護職における一面的なマイナスイメージが浸透しているといった状況があることから、介護職への正しい理解の醸成とイメージアップを図るためのリーフレットを、小学生、中学生、高校生向けに作成し、県内の各学校に配布をしている。
今後もこうした取組を進め、多様な年齢層への働きかけを行い、介護従事者の確保に努めていく。
【委員】
50代以上が積極的に登録している、若い人への普及啓発を行っているとの答弁であるが、今後も少子化が進行する中で、介護人材を確保するためには、外国人介護人材を受け入れて活用することが必要だと考える。
しかし、受入れを検討している事業所には、受入れに当たっての流れや必要な準備が分からないといった不安があり、また、実際に受け入れた事業所は、言葉の問題などから、外国人介護人材に対する効果的な指導方法が分からないといった不安を抱えている。
外国人介護人材の受入れを進めていくためには、受入れ前や受入れ後に、事業所が抱えるこうした不安に対する支援が必要であると考えるが、県としてどのように取り組んでいるのか伺う。
【理事者】
本県では、外国人介護人材の受入れを検討している介護事業者に対して、その在留資格に関する制度や受入れ後の教育、生活支援方法、先進事例等を伝える外国人介護人材受入セミナーを2020年度から実施している。2022年度は95事業所、117人に参加をしてもらった。
また、2022年度からは、実際に受入れを行った事業所の指導担当職員を対象とした、グループワークによる効果的な指導方法等を学ぶための指導担当職員特化型セミナーを開始した。このセミナーは、昨年度は定員を上回る申込みがあり、定員を拡大して、31事業所、38人に参加をしてもらった。
今後も引き続き、こうした介護人材の受入れ支援をしっかりと進めていきたいと考えている。
【委員】
福井県では、外国人介護人材の確保を促進するために、県と県社会福祉協議会が連携して、タイからの介護人材の継続的な受入れを目指して、現地で日本語や介護の教育を行うなど、介護人材の育成に取り組んでいる。
外国人介護人材の受入れに対する状況が本県とは異なることは承知しているが、介護の仕事はやはりコミュニケーション能力が極めて重要となる中で、コミュニケーションが取れるまでに時間がかかってしまう一方、慣れた頃には期限がきてしまうといった事業者からの声も聞いているため、外国人介護人材の活用に向けて、こうした声をさらに施策に反映するよう要望する。
次に、令和4年度決算に関する報告書の96ページ、保育士・保育所支援センター費について伺う。
本県では、2020年3月に策定したあいちはぐみんプラン2020-2024において、2024年度までに常勤換算で3万人の保育士確保を目標に掲げている。こうした中、保育士・保育所支援センターでは、専任のコーディネーターを配置して保育士確保を図ったとあるが、取組の状況について伺う。また、現在の本県における保育士数についても伺う。
【理事者】
2022年度に、保育士・保育所支援センターでは、専任のコーディネーターによる再就職に関する相談や求人と求職のマッチングなどを行うとともに、潜在保育士向けの研修を7回、就職フェアを2回開催するなど、潜在保育士の再就職支援に取り組み、125人の保育士が県内の保育所等に採用された。
こうした取組などにより、本年4月1日現在の保育士数は、常勤換算で2万9,965人となっており、はぐみんプラン策定当時の2019年の2万6,887人と比較すると、約3,000人増加している。
【委員】
次に、令和4年度決算に関する報告書の97ページから98ページにかけての保育補助者雇上強化事業費補助金及び保育体制強化事業費補助金について伺う。
先ほどの答弁では、計画上は順調に保育士数が増加しているとのことであったが、実際の保育現場では、痛ましい事故や不適切保育が全国的に明るみになっている。保育士の確保のためには、保育士の数だけではなく労働環境の改善も重要であると考える。
保育士の勤務環境改善や保育士の業務負担の軽減を目的として、この保育補助者雇上強化事業費補助金や保育体制強化事業費補助金を活用して、保育補助者や保育支援者の雇用を支援しているということであるが、具体的な事業内容はどのようなものか。
【理事者】
保育補助者雇上強化事業費補助金については、保育士資格は持っていないものの、保育に関する研修を受講するなどにより、一定の知識を持ち、保育士と共に子供の着替えや食事の世話をする保育補助者の雇用に係る費用を助成するものであり、2022年度は19市町に対して、108施設、255人分の保育補助者の人件費の補助を行った。
制度の開始は2017年であり、実績としては当時8施設、14人であった。当時と比較すると、本事業を活用する施設は増加傾向である。
次に、保育体制強化事業費補助金については、清掃やおもちゃの消毒、園外活動の見守りなど、保育の周辺業務を行う保育支援者の雇用に係る費用を補助するものであり、2022年度は26市町村に対して454施設、821人分の保育支援者の人件費の補助を行った。
この制度が開始した2018年度の実績は32施設、41人であり、この制度も年々増加している。
【委員】
次に、令和4年度決算に関する報告書の96ページから97ページの、子育て支援関係職員研修費について伺う。
子供の適切な支援に向け、就学前の早期療育へのつなぎが大切であると考える。そのためには、保育士等の発達障害に関する理解が重要であるが、保育士に対する発達障害に関する研修はどのようであったか、また、研修実施に当たっての課題とその解決に向け。今後どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
保育士に対する発達障害に関する研修としては、保育士等キャリアアップ研修の中に、障害児保育に関する分野がある。障害児保育に関する理解を深めて、保育の専門性に基づき、一人一人の子供の発達の状況に応じた保育を学んでもらう内容となっており、2022年度は694人が受講した。なお、保育士等キャリアアップ研修全体では4,900人が受講し、研修方法は時間や場所の制約を受けないオンライン形式としている。
また、課題としては、例年受講希望者が多く、2022年度は受講定員3,890人に対して8,895人が受講を希望した。このため、今年度からは、受講定員を3,890人から9,000人に2倍以上の増員をし、希望する全ての方が受講できるよう体制整備を図った。
障害児保育の分野についても、受講定員を570人から1,350人に増員している。引き続き、保育士の資質向上が図られるよう、研修事業に取り組んでいく。
【委員】
保育人材の確保や業務負担の軽減、資質の向上について、様々な取組を実施していることが確認できたが、保育現場にゆとりを生み出す施策は、さらに充実が必要である。
政府は6月13日に閣議決定したこども未来戦略方針に、職員配置基準について、1歳児は6人から5人、4歳・5歳児は30人から25人に改善すると記載をし、基準より手厚い配置をする園への運営費を加算する方向で検討を進めている。本県は独自に、1歳児保育実施費を行っていると思うが、ほかの年齢に拡大するなど、さらなる充実を図るよう要望する。
最後に、子育て支援関係職員研修費に関して、一点質問する。
放課後児童クラブの職員に関する研修について、その目的と実施内容について伺う。また、放課後児童クラブの人材確保に当たっての課題と、課題解決に向けどのような取組を行っているのか伺う。
【理事者】
はじめに、放課後児童支援員研修についてであるが、研修の目的は、放課後児童クラブにおいて配置が義務づけられている、子供の育成支援に当たる放課後児童支援員を養成するものである。実施内容は、放課後児童支援員として必要となる児童の基本的生活習慣の習得の援助、自立に向けた支援等に必要な知識及び技能を習得するものであり、放課後児童クラブの理解や放課後児童クラブにおける子供の育成支援など、1日6時間の講義及び演習を4日にわたり実施するものである。なお、2022年度は12回実施し、785人が受講した。
次に、放課後児童支援員キャリアアップ研修についてであるが、研修の目的は、放課後児童支援員等に対して必要な知識及び技術の習得並びに課題や事例を共有するための研修を行うことにより、資質の向上を図るものである。実施内容は、発達障害児など配慮を必要とする子供への支援や保護者との連携支援など、子供の育成支援に関連して、1テーマ当たり3時間の講義及び演習を行うものであり、2022年度は10回実施し、延べ1,166人が受講した。
最後に、放課後児童クラブの人材確保の課題と取組についてであるが、決算に関する報告書には記載がないが、研修事業と同じく、決算に関する報告書の96ページの子育て支援関係職員研修費の中で、放課後児童クラブ人材確保事業を行っている。
放課後児童クラブでは、小学校の夏休みや冬休み等の長期休業期間に利用ニーズが高まることから、長期休業期間の人材確保が課題となっている。このため、指定保育士養成施設の学生を対象に、放課後児童クラブの現状や魅力、やりがいについてセミナーを開催し、特に利用ニーズが高まる長期休業期間の就労の働きかけを行った。
なお、2022年度は、愛知県立大学、日本福祉大学、岡崎女子大学及び中部大学の4大学において実施し、171人の学生が受講した。
【委員】
学童保育も保育士と同じで、人材の確保や業務負担の軽減、資質向上に向けて、様々な施策を展開していることは確認できたが、やはり現場にゆとりがないというのが現状だと思う。
対策の一つとして展開している放課後児童支援員等に係る処遇改善事業について、県から市町村に対し働きかけを行っていることは承知しているが、実際には一部の市町村しか実施していない。より多くの市町村が実施するよう、さらに県として働きかけを行うよう要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の102ページ、103ページの児童相談センター管理運営事業費のうち、児童虐待に関する部分について伺う。
決算に関する報告書には、昨年度の養護相談件数が1万565件と記載されているが、このうち児童虐待に関する件数はどれぐらいか。また、近年の推移についても伺う。
【理事者】
2022年度に名古屋市を除く県の10か所の児童相談センターが対応した、保護者の入院、死亡などによる家庭での養育困難や、保護者からの児童虐待による不適切な養育などに関する養護相談件数のうち、児童虐待相談対応件数は6,493件で、2021年度の6,588件から95件減少したものの、過去2番目に多い件数となっている。
また、近年の児童虐待相談対応件数の推移であるが、10年前の2013年度は2,344件、その後、2016年度からは4,000件台で推移をしていたが、2019年度に6,000件を超え、以降の4年間は6,000件台で推移し、高止まりの状況である。
【委員】
昨年度の児童虐待相談対応件数が6,493件、10年前の2,344件と比べると、約2.8倍になっている。昨年度の6,493件において、児童相談センターに相談・通告が入ってくる、ルートごとの割合について伺う。
【理事者】
児童虐待に関する相談・通告経路の割合であるが、警察が全体の60.5パーセントで最も多く、市町村が9.9パーセント、家族・親戚が8.9パーセント、近隣・知人が8.6パーセント、学校等が5.4パーセントとなっている。
【委員】
情報が入ってくるルートとしては、警察が約6割、残りは市町村、家族、近隣・知人、学校ということである。
それでは、児童相談センターで児童虐待に関する相談・通告を受けた内容を、警察や学校など、他の機関に伝える基準やその内容について伺う。
【理事者】
児童相談センターが児童虐待に関する相談・通告を受け付けた場合の警察との情報共有については、2018年4月の県と県警察本部との間で締結した協定に基づいて、保護者からの虐待が疑われ、子供の負傷や衰弱など、生命・身体に危険が生じている、または生じる可能性がある深刻な事案については速やかに、それ以外の事案については毎月定期的に、児童の氏名や生年月日、市町村名、事案の状況などを全件、情報提供している。
また、学校などほかの関係機関への情報提供については、相談・通告の受理後、直ちに児童相談センターから市町村の児童虐待担当部署へ電話連絡をし、事案の状況を伝え、市町村からは世帯の状況などの情報収集を行っている。
市町村から得た情報などから、例えば、子供が小学生の場合、児童相談センターから学校へ電話連絡や訪問などにより、事案の状況を伝えた上で、学校から子供の様子や登校状況などの情報収集を行うとともに、可能であれば、学校で子供に直接会い、安全確認や面接を実施している。
こうした情報を踏まえて、児童相談センターでは一時保護の要否や今後の支援について検討をしている。
【委員】
児童相談センターが受けた相談については、全件警察に情報共有していることが分かった。
また、市町村の担当部署を通して情報収集し、その後学校へも情報収集を行いながら、必要に応じて学校で子供の面接を行っていることも分かった。
ただし、そうした手続をして、当初相談を受けた児童相談センターとしての直接的な関わりはそこで終わると思うが、それで終わりではなく、フォローしていく体制として、どのようなことがあるのか。
【理事者】
児童相談センターが保護者や子供への支援、指導を行っていたケースで、虐待の再発がなく、親子関係の改善が見られるなどにより関わりを終了する場合は、市町村へケースを引継ぎ、市町村が主担当として支援を継続するとともに、市町村が児童福祉法に基づいて毎月定期的に開催している要保護児童対策地域協議会において、児童相談センター、警察、学校などが出席して、その後の各機関の支援状況などについて情報共有や意見交換を行い、関係機関と連携しながらフォローを行っている。
【委員】
様々な体制を講じているが、それでも虐待による悲しい事件は、度々起こる。
そうしたチェック体制があっても、事件が起きてしまう傾向がある事例として、支援をしていた家庭が他の自治体へ転居して、フォローすべきその記録等が引き継がれていないというケースがあると聞いたことがあるが、こうしたケースに対して、行政としてどのように取り組んでいるのか。
【理事者】
児童相談センターが現に支援している家庭が他の自治体に転居した場合、転居先の児童相談所に直接出向くなどして、今までの支援経過や支援方針などの情報を引き継ぐとともに、特に心配なケースでは、転居先の児童相談所と一緒に保護者宅を家庭訪問したり、関係機関との個別ケース検討会議に参加するなど、可能な限り丁寧な引継ぎを行っている。
これらの引継ぎと併せて、2021年度に国が運用を開始した要保護児童の情報共有システムにより、必要な情報を共有している。
また、市町村がケース管理をしている家庭については、市町村間でも情報の引継ぎを行うとともに、学校に所属している場合については、学校間でも情報の引継ぎを行っており、転居後に切れ目のない支援ができるよう、重層的な情報共有に取り組んでいる。
なお、支援が必要となった家庭で、直近に他の自治体から転入している場合については、前の住所地の児童相談所へ電話や情報共有システムによる照会をし、過去に終結した支援がなかったか、把握に努めている。
【委員】
児童の虐待防止のために、二重三重のチェック、フォローの体制があるということが分かった。また、300ページ以上に及ぶ児童虐待対応マニュアルがあることを知り、このマニュアルに書かれた仕組みが有効に機能するかどうかは、最終的には関係する機関の職員一人一人によるものだと思う。職員には大変な業務であり、心労もあると思うが、虐待の件数は依然高止まりしており、悲しい事件が起き続けている。
県には警察、市町村、学校、地域などに対して、チェックアンドフォローの体制がさらに有効に機能するように、リーダー的な役割を今後も果たしてもらいたい。
【委員】
大きく3項目にわたって質問をする。
令和4年度決算に関する報告書の90ページ、子ども食堂推進事業費補助金について伺う。
この補助金は、子どもが輝く未来基金などを活用した事業であるが、この子どもが輝く未来基金は2019年3月に、子供の貧困対策をさらに充実・強化するために、広く個人・法人からの寄附の受皿として創設されたものであり、児童養護施設入所児童などの自立支援や子ども食堂への支援に使われると聞いている。
そこで、子どもが輝く未来基金が創設された2019年から現在までの寄附の総額と、基金の使途として子ども食堂への執行状況はどうなのか伺う。加えて、現在の基金残高についても伺う。
【理事者】
子どもが輝く未来基金は、子供の貧困対策の推進に必要な財源を確保するため、県民、企業、団体からの寄附金の受皿として2019年3月に造成した。基金を造成してから、今年9月末までの4年半の寄附金は、合わせて413件、1億2,156万1,892円である。
また、子ども食堂への支援については、事業を開始した2019年度から2022年度までの4年間で、子ども食堂開設経費の助成が158件、1,430万6,446円、学習参考書や児童図書等購入費の助成が172件、303万8,533円である。また、2021年度から事業を開始した、感染症対策に必要となる衛生用品の購入費の助成が85件、615万86円であり、合わせて延べ415件、2,349万5,065円となっている。
なお、昨年度の感染症対策に必要となる衛生用品等の購入費の助成については、基金を活用した助成に加え、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した71件、578万7,413円を合わせて支出している。
基金残高については、2022年度末現在で9,711万197円である。
【委員】
子どもが輝く未来基金は、貧困家庭の子供たちを社会のみんなで支えていこうという目的のものであり、寄附の総額が1億2,000万円を超えていることから、子供たちへの温かい善意が伝わってくる。この子どもが輝く未来基金が、子ども食堂の取組を県内全域に広げていくことに大きな力となっていると思う。
子ども食堂が2012年に東京でスタートして、全国で開設に広がりを見せてから、約10年になる。本県では、令和4年に新たに58か所の子ども食堂が開設費の助成を受けており、先ほど丹羽洋章委員の質問に対して、現在は404か所の子ども食堂が県内にあるとの答弁であった。
子ども食堂の普及率の理想は、子供の徒歩圏内に1か所の設置だと聞いたことがある。
そこで、本県の子ども食堂の設置目標について伺う。
【理事者】
子ども食堂の目標値については、あいちはぐみんプランにおいて200か所としている。
この目標値は、来年度のあいちはぐみんプランの改定に合わせて検討していく予定である。
【委員】
子ども食堂推進事業費補助金は、子ども食堂の開設に上限10万円までの助成が受けられるものであり、申請要件も比較的緩和されている。令和5年度も、子ども食堂推進事業は継続して行われているが、補助金の存在を知らない方がいると実感している。ぜひ、この補助金を利用して、子ども食堂のさらなる設置拡大を図ってもらいたい。
そこで、子ども食堂の開設を考えている方に、補助金の存在を知ってもらう取組について伺う。
【理事者】
補助金の周知については、県のホームページに掲載しているほか、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会が子ども食堂の運営者に対して、助成金情報などを周知するために開設したあいち子ども食堂応援ポータルサイトを活用した。
また、市町村や市区町村社会福祉協議会にも周知し、子ども食堂の開設を希望する方が相談に訪れた際に、情報提供してもらうよう依頼をしている。加えて、子ども食堂に対して、開設支援や食料支援を行っているあいち子ども食堂ネットワークにも情報提供を行っており、会員や相談者に周知してもらっている。
子ども食堂の開設を希望する方に効果的に活用してもらえるよう、引き続き、様々な手法で周知を進めていく。
【委員】
子ども食堂の開設を考えている方は意外に多く、せっかくの補助事業なので、広報にはしっかりと努めてもらいたい。
最後の質問であるが、食材費高騰で子ども食堂の運営も非常に厳しいという声が上がっている。そこで、令和4年度決算に関する報告書の84ページ、社会福祉施設光熱費高騰対策支援金に関連して質問をするが、この支援金の対象には子ども食堂は含まれていない。
そのため、同報告書の84ページの地域福祉事業費において、2022年度愛知県子ども食堂食材費高騰対策支援金が執行されたとのことであるため、その執行状況を伺う。
【理事者】
愛知県子ども食堂食材費高騰対策支援金は、物価高騰の影響を受ける子ども食堂運営者の負担軽減のため、食材費の高騰分を補助するものであり、令和4年9月定例議会補正予算で1,865万円を計上した。決算額は227か所、1,325万円、執行率は71パーセントである。
【委員】
執行率が71パーセントであることは理解した。
子供たちが安心して過ごすことができる居場所としての子ども食堂が、安定的に活動が継続できるように、物価高騰対策にしっかりと尽力してもらいたい。
次に、令和4年度決算に関する報告書の101ページ、ドメスティック・バイオレンス対策費のうち、男性DV被害者相談事業の126万5,389円について伺う。
私は令和3年9月定例議会で、男性DV被害者が増加しているため、本県の男性DV被害者の相談支援について質問した。はじめに、この事業費の126万5,389円の内容について伺う。
【理事者】
本県では、DV被害や人間関係等に悩む男性が安心して相談できるよう、男性DV被害者の電話相談窓口として、愛知県男性DV被害者ホットラインを2018年10月に開設しており、その事業費126万5,389円は、愛知県男性DV被害者ホットラインの運営にかかる経費である。
具体的には、相談員である男性の臨床心理士に対する謝金が103万4,000円、相談員の旅費が5万9,600円、周知カードの作成費が14万6,613円、電話代や周知カードの発送費用が2万5,176円である。
【委員】
男性DV被害者に共通する課題は、男は強くなくてはならない、男のくせに情けないというジェンダーバイアス、固定的観念から、配偶者からのDVに恥ずかしくて誰にも言えないと悩みを封じ込めてしまう傾向にある。内閣府の調査でも、男性被害者の6割が誰にも相談しなかったと回答しており、なかなか相談窓口につながらないのが現実である。
本県では、平成30年から、配偶者やパートナーから暴言・暴力を受けている男性の相談窓口、愛知県男性DV被害者ホットラインを開設し、男性の臨床心理士が電話相談に乗っているが、例えば、令和2年度の男性DV被害相談件数は29件であったと聞いた。
そこで、令和4年の男性DV被害者相談事業である愛知県男性DV被害者ホットラインの相談件数について伺う。
【理事者】
2022年度の相談件数は64件で、そのうち41件がDVに関する相談であり、残りの23件は、DV以外の夫婦間トラブルや職場の人間関係等に関する相談であった。
なお、DVに関する相談は、2020年度が29件、2021年度が36件、2022年度が41件であり、年々増加をしている。
【委員】
男性DV被害者は全国的に増加しており、行政の相談事業の取組が求められている中で、本県は、全国的に整備の少ない男性の臨床心理士が電話相談に乗るなど、男性にとっては相談しやすい体制を取っている。
今後は、被害者をいかに相談窓口につなげるかであるが、愛知県男性DV被害者ホットラインには専用の啓発カードをこれまで年間4万枚作成し、県内各市町村で配布をしている。本定例議会で質問したことにより、令和3年度は啓発カードを2倍以上の10万枚作成し、配置場所も、男性がこっそりとカードを手に取れるように工夫を凝らして取り組んでもらった経緯がある。
令和4年度の相談件数を見ると、そのPR効果が現れたのではないかと思いたいが、引き続き愛知県男性DV被害者ホットラインのPRが必要だと思う。
それで、令和4年度の男性DV被害者相談事業の広報活動について伺う。
【理事者】
昨年度は、ウェブページなど県の広報媒体を活用した周知を実施したほか、周知カード4万3,500枚を、県内のスーパー及び市町村役場等に配布をした。配布に当たり、男性用トイレへの配置など、男性が周囲を気にせずにカードを手に取ることができるように配慮をお願いした。
なお、今年度から、相談者に対して、愛知県男性DV被害者ホットラインをどのように知ったかを聞いているが、8月末までに相談があった21件のうち、約半数がこの周知カードを見て相談に至っており、周知カードの効果的な配布や設置が、認知度の向上につながっていると考える。
【委員】
啓発カードをたくさん印刷しても、人の往来が多いところに置いては、なかなか手にできないため、こっそりと手に取れる場所に置くことが一番だと思う。
世間ではジャニーズ事務所の性加害問題が大きくクローズアップされており、男性のDVやその性被害者の相談窓口の必要性を感じる。
今後、相談者の増加の可能性も考えると、本県の男性DV被害者ホットラインの存在を積極的にPRして、男性でも相談していいという、意識改革も必要だと思う。そのため、男性のDV被害者が相談しやすい環境と体制をつくっていくことをお願いする。
次に、令和4年度決算に関する報告書の151ページ、医事事業費のうち医師確保対策費8億497万2,237円について伺う。
病院勤務医の過重労働や診療負担が軽い傾向にある診療科への偏在、勤務条件のよい都市部の民間病院に流れる研修医、苛酷な勤務と訴訟リスクから成り手不足が深刻な産婦人科医など、地域医療の崩壊も招きかねない医師不足の現状が続く中、来年4月からは、医師の働き方改革が始まる。
平成28年に国が行った医師・歯科医師・薬剤師調査では、本県の人口10万人当たりの医師数は、全国平均をかなり下回り、とりわけ東三河北部医療圏、新城市、設楽町、東栄町、豊根村では、医師数は全国平均の半分以下であった。
本県では、医師不足対策を検討する際の参考とするために、県内病院における医師不足の状況把握調査を、県内の病院に対して毎年実施している。地域医療支援センターは、医療体制の維持向上に向けて、医師不足の解消を図り、医師の地域間格差や診療科偏在の是正を役割として、平成27年4月から県庁内に設置されている。また、勤務先を求める医師に病院を紹介するドクターバンク事業などにも努めている。
そこで、医師の地域偏在を解消することを目的として県内の医師不足の状況などを把握分析したとのことであるため、その結果を伺う。
【理事者】
県では、昨年5月に医師不足の状況及び地域枠医師の派遣要望に関する調査を実施した。
調査対象は、県内の11の2次医療圏のうち、医師多数区域以外の医療圏に立地している、34の全ての公的病院等である。その結果は、28の病院から医師不足のため、派遣の希望があった。
県では、派遣の必要があると判断した20の病院の中から、地域枠の派遣対象となる本人の希望などを踏まえ、医師を派遣している。
【委員】
28の病院から医師の派遣の希望があったということであるが、地域医療支援センターが設置されて、8年になる。
本県の現状として、医師不足の解消と医師の地域偏在状況の是正は図られているのか伺う。
【理事者】
厚生労働省では、医師不足及び医師の偏在状況を確認するために、医師偏在指標を導入している。この指標は、地域ごとの医療需要、人口構成、医師の性別、年齢分布などを反映したものである。数値が上がるほど、その地域の医療需要に対して医師が多く存在していることとなる。
医師偏在指標について、令和元年度と令和5年度を比較すると、愛知県全体及び県内11の2次医療圏全てにおいて、数値が上昇している。現行の医師確保計画において、医師少数区域とされている西三河南部東医療圏については、令和元年度に全国で259位であったが、令和5年度は195位となっている。同じく医師少数区域とされていた東三河北部医療圏であるが、令和元年度は全国で266位であったが、令和5年度は253位となっている。
県全体としては、医師確保及び医師の偏在状況に関して、改善が図られていると考える。
【委員】
本県でも四、五年前には、医師不足によって診療制限に追い込まれる医療機関があった。
地域医療が崩壊するのではないかと言われた時期もあったが、答弁によると、医師不足も随分解消されている印象を持った。
やはり、愛知県地域医療支援センターによる医師確保の調整といった役割も非常に大きかったと思うため、今後とも県民に安心・安全な医療を提供してもらうようお願いする。