委員会情報
委員会審査状況
一般会計・特別会計決算特別委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年11月6日(月) 午後1時~
会 場 第8委員会室
出 席 者
鈴木喜博、寺西むつみ 正副委員長
伊藤辰夫、山本浩史、神戸健太郎、丹羽洋章、山田たかお、杉江繁樹
高橋正子、日比たけまさ、黒田太郎、加藤貴志、神谷まさひろ 各委員
建設局長、建設政策推進監、建設局技監(2名)、土木部長、道路監、
治水防災対策監、豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、
水資源監、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、リニア・交通対策監、
港湾空港推進監、空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、収用委員会事務局長、
教育長、教育委員会事務局長、同次長兼管理部長、教育部長、教育改革監、
スポーツ局長、スポーツ監、アジア・アジアパラ競技大会推進監、
会計局次長、監査委員事務局長、同次長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 決 算
決算第1号 令和4年度愛知県一般会計歳入歳出決算
歳出第7款建設費、第9款教育・スポーツ費、
第10款災害復旧費及びこれらに関する歳入
決算第11号 令和4年度愛知県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算
決算第12号 令和4年度愛知県県営住宅管理事業特別会計歳入歳出決算
<会議の概要>
Ⅰ 建設局、都市・交通局、建築局、農林基盤局関係
1 開 会
2 決算概要の説明
3 質 疑
4 休 憩(午後2時27分)
Ⅱ 教育員会事務局、スポーツ局、県民文化局関係
5 再 開(午後2時38分)
6 決算概要の説明
7 質 疑
8 閉 会
(主な質疑)
《建設費・災害復旧費関係》
【委員】
決算に関する報告書277ページの道路橋りょう新設改良費に関して、豊田市内の主要地方道豊田安城線について伺う。
豊田安城線は、東名高速道路豊田インターチェンジから安城市の中心市街地へつながる道路で、東名高速道路の上郷スマートインターチェンジ、主要地方道名古屋岡崎線や国道1号と接続し、周辺には自動車産業に代表される工場が集積しており、本県のモノづくり産業を支える大変重要な幹線道路の一つである。交差する名古屋岡崎線では、周辺地域の交通円滑化のため4車線化事業を展開しており、豊田安城線から東の岡崎市内では4車線化が完成し、また、西側の4車線化も事業化され、その効果が期待されている。
こうした中、豊田安城線でも、豊田市内の残る2車線区間の4車線化に向けて、都市計画変更の手続を進めており、本年9月、都市計画変更に向けての住民説明会が開催されたと聞く。私も説明会に参加し、渋滞を避けた通勤車両が住宅地に入り込んでいる現状から、この事業に対する多くの住民の期待を感じ取った。
一方で、4車線化に伴う周辺交通対策や通学路の安全対策、信号機の設置位置に対する様々な意見もあることから、地域に寄り添う道路計画を策定し、早期に整備することが必要不可欠であると実感した。
そこで、主要地方道豊田安城線の現在の進捗状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
豊田市内の主要地方道豊田安城線は、残る2車線区間である現道の名古屋岡崎線の福受町下ノ切交差点から北へ約1.5キロメートルの区間が交通のボトルネックとなっており、朝夕の渋滞発生時は、渋滞を避けた通勤車両が住宅地に入り込むなど、非常に危険な状態となっている。この区間は、現都市計画では幅員20メートルの4車線道路となっており、中央分離帯や自転車通行帯の設置といった安全・安心な通行空間を確保するためには幅員が不足するため、現在、今後の事業化に向けて都市計画変更の手続に入った。
9月7日には、都市計画法に基づく住民説明会を豊田市で開催し、住民からは、渋滞対策や生活道路への通過車両の流入対策、信号交差点の位置など、様々な意見をもらった。そのため、後日、地元の福受地区のまちづくりを考える会に出席し、改めて豊田市と協力して通学路を含め周辺交通対策を進めることや、信号交差点計画などについて丁寧な説明を行った。
今年度末の都市計画変更に向けて、現在、事務手続を進めており、今後、都市計画変更の手続の状況を踏まえて、早期事業化に向けて、現地測量や道路設計を進めるなど事業進捗を図る。
【委員】
豊田安城線は、モノづくり産業を支える幹線道路であるとともに、地域の人々の関心も非常に高く、また生活に密着し、安全・安心の確保にも多く貢献する道路である。都市計画変更告示後、着実に準備を整えてもらい、早期の事業化を要望する。
【委員】
決算に関する報告書277ページの道路橋りょう新設改良費に関して、一般国道247号西知多道路について伺う。
国道247号のうち、東海市から常滑市にかけての沿岸部の道路だが、沿岸部企業の経済活動を支えるアクセス道路として、また、中部国際空港への2本目のアクセス道路として非常に重要な道路である。しかし、現在の道路は、朝夕の通勤ラッシュでかなり渋滞が起きており、交通の流れがよくない。それに対して、地元の企業や住民から、早期の道路整備が求められている。
中部国際空港は、コロナ禍で大きな痛手を受けたが、2027年には2本目の滑走路を供用しようと努力している。こうした中、西知多道路の事業に関しては、常滑工区及び東海ジャンクション周辺から工事が始まっており、整備が進んでいる。そこで、国道247号西知多道路の整備状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
国道247号西知多道路は、東海市内の伊勢湾岸自動車道から知多市内を経由し、常滑市内の知多横断道路に至る延長18.5キロメートルの高規格道路である。北側の区間では、現在4車線の西知多産業道路を6車線化し、南側の区間は、新たに9キロメートルの4車線道路を新設する計画となっている。現在は、起点部の東海ジャンクション区間の2キロメートルと西知多産業道路の長浦インターチェンジから分岐し、知多市日長までの約1.4キロメートルの区間は国が、その先、知多横断道路までの約8キロメートルの区間は県が、それぞれ施工するとして事業を進めている。
また、このうち長浦ジャンクションから知多横断道路までの区間は、愛知県道路公社による有料道路事業も活用して事業を推進している。
事業中の各区間の現状だが、国が施工する東海ジャンクション区間では、伊勢湾岸自動車道と接続するランプ橋の上下部工事が進められており、長浦から日長にかけての区間は、今年の10月から用地買収が始まった。県の事業区間では、先行して事業化した常滑市内では、用地取得率が約9割を超え、まとまった用地が確保できた箇所から、順次、道路築造工事や橋梁工事などを進めている。令和3年度から用地買収に着手した知多市内の区間についても、現在の用地取得率は7割を超え、橋梁工事にも着手している。
このほか、東海市内において、市の区画整理事業と併せて、県と市の共同事業として、仮称だが、大田インターチェンジの新設事業も進めており、今年6月に橋梁下部工事に着手した。
今後も、残る用地取得に努め、事業中区間の工事進捗を図るとともに、国の施工区間の整備促進と未事業化区間の早期事業化を国に強く働きかけるなど、本道路の早期開通に向け、取り組んでいく。
【委員】
工事区間が順序よく進んでいるとは実感しているが、未事業化区間があるため、全線事業化に向けて今後も進めてもらいたい。
次に、決算に関する報告書301ページの中部国際空港対策費のうち、中部国際空港路線誘致促進事業費について伺う。
先ほども話したが、中部国際空港はコロナ禍の影響を非常に受け、コロナ禍前には過去最高の1,260万人の旅客数を記録するまで路線が伸びていたが、コロナ禍の2020年4月には国際線がゼロ便となる非常に大きな痛手を受けた。また、その影響で、中部国際空港を拠点としていたエアアジア・ジャパン株式会社が破綻し、地域経済にも大きな影響を与えた。この破綻が一因となり、常滑市の人口が減少した。
しかし、新型コロナウイルス感染症への対応も変化し、国の水際対策の緩和も含め、空港会社をはじめ県民や知事の協力により、現在の国内線はほぼ戻っている。しかし、国際線は他の空港と比べるとまだ回復が遅いと実感している。
そこで、中部国際空港路線誘致促進事業費は、具体的にどのような取組により、どのような成果があったのか伺う。
【理事者】
中部国際空港路線誘致促進事業費では、中部国際空港の航空ネットワーク維持に向け、就航先の魅力を発信するアウトバウンド事業とエアポートセールスを実施した。
アウトバウンド事業では、コロナ禍の状況を踏まえ、国内の就航先のうち秋田県、新潟県、熊本県、大分県の4路線について、名古屋市在住のタレントを起用し、就航先の魅力をPRする動画を制作した。ユーチューブで公開するとともに、インスタグラムを使ったキャンペーンやウェブ雑誌日刊KELLYで情報発信を行った。新型コロナウイルスの規制緩和による旅行需要の増加やこの事業の実施などにより、2023年4月から8月までのこれらの路線の搭乗率は、前年同時期と比べ、約21パーセント増加している。
また、知事のほか、名古屋商工会議所や中部経済連合会など地元経済界も参加して実施しているエアポートセールスについては、2019年度以来3年ぶりに、参加人数を縮小して、2022年8月に、中部国際空港株式会社の犬塚力社長と共に、シンガポール航空に対して実施した。
コロナ禍による早期運行再開に対する感謝の意を伝えるとともに、週3便から週7便への運行への早期回復を要請した。その結果、シンガポール線は段階的に増便され、来年3月には週7便に回復すると、本年9月に同社から発表があった。
今後も、地元自治体や経済界、空港会社と共に、中部国際空港の路線維持、拡充のため、利用促進活動にしっかりと取り組む。
【委員】
令和4年度は、まだ新型コロナウイルスの感染症の区分が2類相当で、この路線誘致事業も大変だったと思うが、今年度、5月には2類相当から5類に引下げになり、旅行需要も相当伸びている。
路線誘致したところで、グランドハンドリング等の大きな問題があることも分かるが、中部国際空港は中部地区の大切なインフラであるため、引き続き、路線誘致活動をお願いする。
【委員】
決算に関する報告書293ページのリニモ沿線地域活力創出事業について伺う。
まず、本事業の目的と昨年度実施した事業の概要及びその結果について伺う。
【理事者】
リニモ沿線地域活力創出事業は、リニモ沿線地域の施設等と連携し、沿線の地域資源を活用した地域づくりに取り組むことにより、交流人口の拡大による地域の活性化を図ることを目的として行ったものである。
2022年度は、沿線の施設や商工会、観光協会と連携して、ジブリパーク来園者を主なターゲットに、沿線施設28か所を巡るデジタルスタンプラリーを実施した。ジブリパークの開園時期に合わせて実施したこともあり、2021年度において実施した沿線の周遊イベント参加者数331人の3倍近い、976人に参加してもらい、リニモを利用した周遊観光の促進に大きな効果があった。
【委員】
多くの人に参加してもらい事業を実施したとのことだが、こうした取組を通じて、リニモの利用者数の増加につなげていくことが重要である。
そこで、リニモの利用状況、経営状況について伺う。
リニモについては、2005年の愛知万博開催期間中は会場へのメインアクセスとして活躍したが、万博閉幕後は、初期投資に伴う借入金の返済が重荷となり、大変厳しい経営状況にあったと記憶している。県などによる経営支援や沿線による宅地開発、イオン株式会社、イケア・ジャパン株式会社などの大型商業施設開業もあり経営は黒字化し、利用者数も順調に増加したが、ここ数年は、新型コロナウイルス感染症の影響により利用者が大幅に落ち込み、経営にもかなりの影響があったと承知している。
その一方で、昨年11月のジブリパーク開園は、リニモの利用者増加につながったと思うが、最近の利用状況、経営状況はどのようになっているのか。
【理事者】
まず、リニモの利用状況は、愛知万博後の2006年度以降、着実に利用者が増加し、2019年度には年間の利用者数が923万人となった。
その後、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年度には538万人、前年度比で約58パーセントまで落ち込んだが、2022年度は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和やジブリパークの開園の効果もあり、年間851万人、コロナ禍前の2019年度比で、約92パーセントまで回復した。
次に、経営状況だが、本県沿線市などによる2度の経営支援後の2016年度以降は黒字に転じ、2019年度には、当期純利益3億1,500万円を計上したが、コロナ禍の影響により、2020年度及び2021年度は、それぞれ2億2,100万円、1億800万円の赤字となった。
2022年度は、コロナ禍からの回復やジブリパーク開園の効果もあり、当期純利益が2億4,900万円で、3年ぶりの黒字決算となった。
なお、2023年度は、通年にわたってジブリパークの開園効果が及ぶことなどから運輸収入の増加が見込まれるものの、電気料金の高騰に伴う電気動力費の増加により、厳しい経営状況になることが見込まれる。
【委員】
コロナ禍からの回復やジブリパーク開園の効果もあって、昨年度は3期ぶりの黒字決算となったものの、今年度は、電気料金の高騰の影響で厳しい経営状況になる見込みとのことであり、楽観できる状況ではない。
県としても、引き続きリニモの利用促進に取り組む必要があると思うが、今後どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
今年度は、リニモ沿線地域活力創出事業として、リニモでおでかけキャンペーンを、11月1日から来年1月31日まで実施している。リニモの1DAYフリー切符を購入した人を対象に、沿線の施設を利用した際に、入場料やお買物の割引等の特典を提供するとともに、ジブリパークのある愛知のロゴが入ったオリジナルのマルシェバッグもプレゼントする内容となっている。リニモ沿線のレストランやカフェ、ショッピングセンター、博物館、美術館など合わせて27の施設で料金の割引やノベルティーのプレゼントなどの特典が受けられるため、ジブリパーク来園者をはじめ、たくさんの人々にキャンペーンに参加してもらい、リニモの利用者増と沿線地域への周遊観光の促進につなげていく。
このほかにも、春と秋のリニモ沿線ウォーキングや夏休み期間中の沿線施設での体験イベントの実施、さらに、あいちウィーク期間中におけるオリジナルグッズのプレゼントなど様々な取組を行い、リニモの利用促進に努めている。
【委員】
来年3月のジブリパークのフルオープンやリニア中央新幹線の開業も見据えて、日本で唯一の磁気浮上式リニアモーターカーであるリニモ自体を一つの観光資源として活用していくことも有効ではないか。
そこで、リニモの観光資源としての活用について伺う。
【理事者】
リニモは、日本で唯一の磁気浮上式リニアモーターカーであるため、重要な観光資源である。
リニモを活用し、その魅力を体験してもらう取組として、毎年、夏休み期間中に小学生を対象としたリニモ車両基地見学会を実施している。藤が丘駅から車両基地の最寄り駅である陶磁資料館南駅までリニモに乗ってもらい、浮上や加速などの乗り心地を体験した後に、車両基地で模型や実際の車両を使った分かりやすい説明を受けられる内容となっているため、毎回定員の10倍を超える申込みがあるなど、大変好評である。
また、季節や気候により様々な姿を見せるリニモの魅力を再発掘し、メールマガジンやX(旧ツイッター)で情報発信をすることにより、リニモへの乗車を目的とした利用者の増加にも取り組んでいる。
今後も、こうした取組を続けながら、リニア中央新幹線の開業も見据え、さらなるリニモの活用に向け、愛知高速交通株式会社とも連携して取り組んでいく。
【委員】
先行きについても質問したのは、リニモが開業から20年近くたつからである。20年だとまだ気にならないかもしれないが、開業から30年になると大規模改修が必要になる。つまり、お金が必要になると思うため、地域と一体になった盛り上げや、リニモ自体が観光資源であることを存分に生かしてもらい、乗客数の確保、売上確保、そして、利益をさらに積み上げてもらうことに取り組んでもらいたい。
【委員】
県営住宅について、三つの視点から伺う。
まず、決算に関する報告書313ページの長寿命化改善費について伺う。
社会情勢の変化により原油価格や資材価格の上昇が続いており、昨年12月には、政府の緊急経済対策として、物価高騰、賃上げへの取組が行われている。一方、県営住宅の長寿命化改善工事は、老朽化した住宅の機能を維持・更新するため、大変重要な事業である。
そこで、建設資材、人件費の高騰による長寿命化改善事業への影響はどのような状況であるのか伺う。
【理事者】
長寿命化改善工事では、住宅を耐用年限まで安全に使用するため、屋上防水や外壁の補修、配管設備の更新などを行っている。近年、長寿命化改善工事においても資材価格や人件費が上がっており、工事の発注時にはこれらの影響を反映した最新の単価を採用するなど、適切に予定価格に反映して発注している。
また、工事期間中の資材価格や人件費の上昇については、公共工事標準請負契約約款に定めた条項等に基づき請負金額の変更を行い、工事に影響が出ないよう対応している。なお、昨年度は1件、本年度も1件の増額の変更契約を行っている。
今後も、建設資材等の価格変動について注視し、適切に対応する。
【委員】
今後、カーボンニュートラルの推進、生産性の向上や建設業の働き方改革など取り組むべき課題が多く、コストの上昇が続くと見込まれる。その一方で、県営住宅は、住宅に困窮する人々のセーフティネットとして重要であり、住み続けるために長寿命化改善は着実に進める必要がある。
そこで、今後も事業費の上昇が予想される中で、この県営住宅の長寿命化改善事業を進めていくためにどのように対応していくのか伺う。
【理事者】
2020年3月に策定した愛知県営住宅長寿命化計画では、計画期間の10年間で約4,000戸の長寿命化改善事業を行うことを目標としており、昨年度までの3年間で、1,056戸の長寿命化改善工事を実施している。
今後も、建設資材や人件費などの事業費の上昇を踏まえ、必要な予算の確保に努めるとともに、採用する工法の検討によるコストの縮減などに取り組み、着実に長寿命化改善事業を進めていく。
【委員】
次に、滞納家賃の回収について伺う。
決算に関する付属書440ページの県営住宅管理事業特別会計第1款第1項第1目使用料について伺う。
県営住宅は、住宅に困窮する低額所得者のための住宅である、入居者の中には、一定の所得があるにもかかわらず家賃を滞納する人もおり、住宅使用料等で多額の収入未済が生じている。
これに対し、県では家賃滞納者に対して、住宅の明渡し等の訴えの提起や退去者の滞納家賃を外部委託により回収している。
そこで、長期悪質滞納者に対して行っている住宅の明渡し等の訴えの提起について、令和4年度の実績と効果について伺う。
【理事者】
家賃を納付することのできない特段の事情がないにもかかわらず、再三の納付指導を行っても滞納家賃等の支払いに応じない長期悪質滞納者に対する、令和4年度の県営住宅の明渡し及び滞納家賃等の支払いを求める訴えの提起は、67人に対して行い、家賃等の滞納総額は2,549万932円である。訴えた67人中、和解者及び和解を予定している者が3人おり、これらの者を除く64人のうち55人は、既に自主的な退去または強制執行により、住宅の明渡しが完了している。残る9人についても、住宅の明渡しの強制執行を裁判所に申し立てており、現在、明渡しに向けて手続中である。訴訟の結果、和解による納付や敷金の充当によって、令和4年度の訴えに係る滞納家賃等については、令和5年10月1日時点で、440万7,750円を回収している。
また、金銭的な効果に加え、住宅の明渡しによって新たな入居者の募集を行い、県営住宅への入居を希望する人に対して住宅を提供できるようになった。
【委員】
和解した人以外は、住宅の明渡しの手続を進めているとのことである。
また、裁判に限らず、退去後の滞納家賃の回収については外部に委託しているとのことであるが、この実績や効果はどのようになっているのか。
【理事者】
県営住宅を退去した人の滞納家賃等の回収は、滞納者が転居しているため住所地の特定などが必要であり、県営住宅に入居中である滞納者に比べ、滞納家賃等の回収が難しい。このため、平成22年度から、退去した人の滞納家賃等の回収について、弁護士事務所への業務委託を開始した。委託先の決定に当たっては、公募で企画提案をもらうプロポーザル方式により、最も評価の高い者と契約している。
また、継続的に回収業務に当たる必要性があるため、契約期間を3年として、現在の契約は、令和4年10月から令和7年9月までとなっている。令和4年度における退去者の滞納家賃回収業務の実績は1,296万2,706円であった。
委託を開始した平成22年度から令和4年度までに、1億5,024万5,233円の滞納家賃等を回収しており、外部委託について一定の成果があったと考える。なお、弁護士事務所に支払う委託料は、回収額に応じた成功報酬制としており、現在の報酬率は20.8パーセントで、令和4年度の報酬額は269万6,236円である。
今後も、委託先である弁護士事務所との連携を図り、引き続き退去者の滞納家賃等の回収を進める。
【委員】
最後に、県営住宅駐車場の有効活用について伺う。
決算に関する付属書440ページの県営住宅管理事業特別会計第3款第1項第1目財産貸付収入の土地貸付収入について伺う。
県営住宅では、住宅の建替時などに駐車場の整備を進めている一方、車の所有に対する考え方の変化や入居者の高齢化等により、車を所有しない人が増えている。その結果、県営住宅の駐車場の契約率は7割を切っており、駐車場に空き区画が目立つ住宅もある。
そこで、県では、こうした駐車場の空き区画を貸し付け、コインパーキングを誘致しているが、駐車場の空き区画の有効活用の実績はどのようになっているのか伺う。
【理事者】
県営住宅駐車場の空き区画の有効活用として、平成27年度から民間事業者に対して駐車場の空き区画の貸付けを開始した。これまでに、瑞穂区の中山住宅、中川区の万場東住宅及び刈谷市の重原住宅で、コインパーキングの設置を希望する事業者に駐車場の空き区画を貸付け、また、瀬戸市の萩山台住宅では、学校法人に職員等の駐車場として貸付けを行っている。
この結果、令和4年度の駐車場の空き区画の貸付けによる土地貸付収入は、4住宅を合わせて302万2,920円である。なお、万場東住宅、重原住宅については、昨年11月からの貸付けのため、5か月分の賃貸料となっている。
【委員】
それでは、今後の駐車場の空き区画の有効活用はどのように考えているのか。
【理事者】
県営住宅駐車場の空き区画を活用したコインパーキングは、県営住宅への来訪者はもとより、県営住宅の周辺住民の利便性向上に寄与するとともに、路上違法駐車対策にも有効であると考えているため、引き続き、空き区画の有効活用としてのコインパーキング誘致を進めるため、コインパーキングに適した条件など事業者の意見を聴き、入居者の理解が得られた住宅でのコインパーキングの導入を図りたい。
【委員】
平成30年度の県政世論調査によると、県営住宅のイメージについてという問いに、住宅に困窮する人のための住宅として役に立っていると答えた人の割合が44.0パーセントと最も高く、また、県営住宅の果たすべき役割についてという問いでは、母子世帯、老人世帯、障害者世帯など住宅の確保に特に配慮を要する人向けに低家賃で安定的に住宅を提供する役割と答えた人の割合が69.8パーセントと最も高いとの結果が出ており、多くの県民が公営住宅法に基づいて、住民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とした県営住宅の必要性について理解していると考える。
今回、三つの視点で質問したが、今後も、継続的に適正な管理が実施されることを要望する。
【委員】
決算に関する報告書308ページの民間住宅・建築物耐震診断費補助金及び民間建築物耐震改修費補助金について伺う。まず、民間住宅・建築物耐震診断費補助金4,729万1,750円のうち、民間建築物耐震診断について伺う。
平成25年5月に、建築物の耐震改修の促進に関する法律、耐震改修促進法が改正され、昭和56年5月31日以前に着工された建築物で、小中学校やボウリング場、映画館、病院、百貨店、ホテルなどの不特定多数が利用することで、地震に対する安全性を緊急に確かめる必要性のある要緊急安全確認大規模建築物と愛知県の指定する道路、例えば緊急輸送道路の沿道に建つ通行障害既存耐震不適格建築物等の要安全確認計画記載建築物については、耐震診断の実施とその結果の報告が義務づけられている。
そこで、民間建築物耐震診断を行った3棟について伺う。
【理事者】
令和4年度に民間建築物耐震診断を実施した3棟のうち、2棟は通行障害既存耐震不適格建築物である豊田市内の住宅で、補助額はそれぞれ90万2,000円、61万5,000円である。
残る1棟は、耐震診断義務化建築物ではないが、豊橋市内の事務所に対して補助したもので、補助額は83万3,000円であり、3棟の合計額は235万円である。
【委員】
本県には、耐震診断が義務づけられた対象建築物はどのくらいあるのか。また、耐震診断を完了しているのはどのくらいなのか。そして、耐震診断が義務づけられても診断に至っていない建築物はあるのか。あればその理由も伺う。
【理事者】
令和4年度末時点で、県内の耐震診断義務付け建築物のうち診断が完了したものは、建築物の区分別に、要緊急安全確認大規模建築物は447棟のうち446棟、要安全確認計画記載建築物については、さらに2区分あり、通行障害既存耐震不適格建築物が515棟のうち509棟、防災上重要な建築物は60棟全てで完了しており、耐震診断義務付け建築物の合計1,022棟のうち1,015棟の診断が完了している。
合計1,022棟から診断完了1,015棟を差し引いた7棟については、耐震診断結果の報告が期限内になされず、診断結果を報告するよう命令を受けているもので、内訳は、要緊急が1棟、通行障害が6棟である。
これら7棟の建築物は、所管行政庁が愛知県以外の市になるが、診断を行わない理由として、診断を行ったとしても改修工事に必要となる費用負担が大きいこと、共同住宅等における区分所有者の合意形成が取れないこと、除却予定があることが理由である。
【委員】
まだ、7棟が診断はあっても改修されていないとのことで、それぞれコストがかかることが一番の課題だと思う。
次に、民間建築物耐震改修費補助金について、先ほどの診断の結果、改修が必要な建築物に対する市町村の耐震改修補助事業費に対して助成し、6市町、耐震改修12棟、補助額は8,514万円である。
そこで、県内の民間建築物耐震改修費補助事業を行っている市町村は幾つあるのか。また、県として補助制度を持っていない市町村に対する制度創設の働きかけについても伺う。
【理事者】
令和4年度時点で、民間建築物耐震改修補助事業を行った市町村は、要緊急安全確認大規模建築物に対しては7市、通行障害既存耐震不適格建築物は13市町、防災上重要な建築物は2市町である。
補助制度を持っていない市町村に対する制度創設の働きかけについては、耐震関係市町村担当者会議などの機会を捉えて周知するとともに、創設を検討している市町村に対しては、個別に制度の概要などについて助言を行っている。
【委員】
最後に、本県には耐震診断の結果、要改修の建築物はどのぐらいあるのか、また、令和4年度は6市町で改修12棟であるが、これまで県の補助により改修を行った建築物の累計の棟数、診断義務付け建築物の耐震化率の状況はどうなのか。民間建築物の耐震改修の現状と課題について伺う。
【理事者】
民間建築物の耐震改修の現状について、耐震診断義務付け建築物のうち、耐震性が十分でなく改修が必要とされたものは、令和4年度末時点で、要緊急安全確認大規模建築物が24棟、通行障害既存耐震不適格建築物が387棟、防災上重要な建築物が9棟の合計420棟である。
次に、令和4年度までの耐震改修費の補助実績であるが、要緊急が、平成26年度の制度創設以降の累計で16棟、同じく通行障害が平成27年度以降で35棟、このうち11棟は除却である。防災上重要な建築物が平成27年度以降で5棟の合計56棟である。
また、耐震化率の状況であるが、耐震診断義務付け建築物については、本県で策定している愛知県建築物耐震改修促進計画で耐震化の目標を定めており、要緊急と防災上重要な建築物については、2025年度までに耐震性が不十分なものを解消する。
この目標に対し、要緊急については、耐震診断結果の当初の公表時に集計した耐震化率が、平成28年度末で87.0パーセントだったものが令和4年度末で94.6パーセントに、防災上重要な建築物が、同様に令和2年度末で81.8パーセントだったものが85.0パーセントとなっており、引き続き、目標の達成に向けて耐震化の促進に取り組む。
一方、通行障害既存耐震不適格建築物については、2030年度までに耐震性の不十分なものを半数解消する目標に対して、令和2年度末での耐震化率が22.3パーセント、令和4年度末で24.0パーセントとなっており、改修を要する棟数も387棟と多いことが課題と認識している。
このため、今後、所管行政庁となる市との連携を図りながら、所有者に対する周知啓発により力を入れていく必要があると考えており、ダイレクトメールに加え、所有者等への個別訪問先を拡大するなどして改修の必要性や補助制度などについて案内するとともに、本県が構成員となっている愛知建築地震災害軽減システム研究協議会の活動として実施している専門家の派遣なども行いながら、引き続き周知啓発に努める。
【委員】
緊急輸送道路沿道の強度不足の建物の改修率が令和4年で24パーセント、387棟とのことであり、コストが課題だと思う。滞りなく進む改修ではないと思うが、南海トラフ巨大地震の発生も危惧されるため、粘り強く進めてほしい。
【委員】
決算に関する報告書276ページの単県事業のうち、道路橋りょう維持管理費の道路維持費について伺う。
まず、植樹帯の管理についてであるが、以前、植樹帯については30パーセント程度面積を減らして管理していくという方針が出され、現在、その事業が進んでいる。
そこで、事業の進捗と現在までの効果について伺う。
【理事者】
2021年度から4年の計画で、全体で約70万平方メートル弱の低木の植栽があるが、それを約3割撤去する計画を進めている。昨年度末で、おおむね6割弱の撤去が終わっており、予定どおりに進んでいる。
今年度も順次進め、目標としては、今年度内に撤去を終えて、来年度から植栽管理のレベルを上げる。従前、低木については、剪定と除草が1回ずつだったが、除草を年2回できるよう進めているが、そこまでの効果はまだ見えていない。
実際に撤去が終わり、来年度から除草が年2回に近い形でできれば、効果が見えてくると考えている。
【委員】
効果として、道路が広くなったため使いやすくなったとの声があると思っていたが、それは今後とのことである。
問題意識として持っているのが、植樹帯があった場所の土を少しはねのけて舗装したところがたくさんあるため、隙間から草が再度生えてくるのではないか。また、木を切って舗装工事が始まるまでの間は、短い切り株が道路や歩道の中に残っている状況が続くため、通行上の支障になる。安全管理上、対応を早く進めてもらいたい。
<委員外議員発言>
【議員】
決算に関する報告書302ページの名古屋飛行場費について伺う。
1億円余の不用額になった要因と、歳入の着陸料の推移に関して、近年の推移も含めて額を伺う。
【理事者】
主に施設整備費に関するものであり、入札による費用の減少や効率的な執行に努めたことにより、不用額が発生した。
【議員】
着陸料の推移はどうなのか。
【理事者】
着陸料は、使用料及び手数料と整理しており、2022年度は、約17億円の使用料及び手数料をとっている。2021年度は約16億円の使用料及び手数料をとっている。
【議員】
特に着陸料に関しては、株式会社フジドリームエアラインズが就航先、路線を増やしており、その関係で増加傾向にあると思う。
この名古屋飛行場費のほぼ全額に相当する着陸料等が歳入として入っていることが分かる。周辺環境をよくするという観点から話すが、私の地元では、移転補償地、移転補償跡地の問題があり、県営名古屋空港周辺については、移転を希望する住民から国土交通省大阪航空局が買い取った用地が点在している。
春日井市では、毎年、大阪航空局と無償貸借契約を締結して、児童遊園、駐車場や駐輪場、市民農園として使用してきた。平成17年に県営名古屋空港が開港したことにより、大阪航空局は所有し続ける理由がなくなったとして跡地の処分を進めている。現在、無償で借り受けている移転補償跡地については、令和6年度末をめどに返還または購入する必要がある状況になっているが、名古屋空港が県営になったため、県として積極的に、周辺環境の改善に向けて、もう一歩踏み込んだ対応を取ってほしい。直近でも、地元の春日井市飛行場周辺対策市民協議会から、航空ファンにも人気の公園のエアフロントオアシスが、空港に親しむ緑化空間として整備されており、多くの人が利用するものであるため、空港設置管理者として県が国から購入して、再整備し管理されたいという要望を出している。
他県の状況を聞いたところ、空港の移転補償地を都道府県で購入している例もある。現在、県営名古屋空港に関しては、株式会社フジドリームエアラインズの就航先が増えており、他県の人にも地元の人にも非常に好評であり、愛知県の空の窓口の一つとして、また小牧市や豊山町でも、観光資源としても活用している。空港設置管理者の愛知県が積極的に関わってほしいため、不用額や着陸料の推移からしても、地元に対し、国から返還を求められている土地について積極的に財政支援などをお願いしたいという地元の声があるため検討してほしい。
《教育・スポーツ費関係》
【委員】
決算に関する報告書343ページの小学校費及び中学校費について、また、少人数学級について伺う。
少人数学級という言葉があるが、私が小学生の頃は45人程度の学級が8クラスあり、360人の同級生がいた時代であるため、思い起こしても、同級生の顔が全員浮かぶわけではないという状況であった。子供が少なくなり、いろいろな個性を持った子供もいる中、少人数学級における効果はしっかりと示されていると考えており、国もその方針で動いている。
愛知県でも小学校の少人数学級を拡充しているが、少人数学級の実施状況、効果について伺う。
【理事者】
少人数学級について、国は平成23年に、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律を改正し、小学校第1学年の学級編制の標準を35人に引き下げた。また、令和3年に同法を改正し、小学校の学級編制を令和3年度から令和7年度までの5年間で、小学校第2学年から学年進行で計画的に35人に引き下げる。
一方、愛知県では、独自に35人学級を小学校第1学年で平成16年度から、また、第2学年では平成20年度から実施しており、令和3年度は、国に先行して小学校第3学年に35人学級を拡充している。令和4年度は、引き続き、小学校第4学年に拡充して175人の教員を配置した。
県教育委員会として少人数学級を実施する効果は第一に、児童生徒一人一人に教職員の目が行き届くようになり、学習状況やいじめ、不登校など、特別な配慮を必要とする子供たちにスムーズに、かつ適切に指導を行うことができるようになる、学習や生徒指導上の効果がある。
また、教員1人当たりの受け持つ児童生徒数が少なくなることにより、テストの採点や宿題の添削、学習成績の評価など、業務の縮小による教員の働き方改革への効果がある。
【委員】
少人数学級では効果が認められているとのことである。愛知県は国に先行して行っているが、私自身も拡充を進めるべきだと考えている。
そこで、今後の方針について伺う。
【理事者】
国は、来年度予算の概算要求で、小学校第5学年の学級編制の標準を35人に引き下げるとしている。愛知県では、国に先行して今年度、小学校第5学年に35人学級を拡充した。来年度も、国に先行して少人数学級を第6学年に拡充できるよう努めたい。
【委員】
文部科学省も少人数学級に対する効果は出ていることを示している。現在、GIGAスクール構想で1人1台端末の教育も行っており、児童生徒一人一人に対して手が届く教育が必要と考えるため、教員の負担軽減も必要である。これは、地域の教員と話しても出てくる話であり、保護者からも強く要望していることであるため、ぜひ、愛知県では、国に先行してしっかりとこの取組を進めてもらいたい。
【委員】
決算に関する報告書332ページのあいちグローバル人材育成事業費について伺う。
あいちグローバル人材育成事業費において、決算に関する報告書333ページのあいちスーパーイングリッシュハブスクール事業はいつから開始し、どのような事業なのか。また、その事業の中で、ハブスクールはどのような役割をしているのか。
【理事者】
あいちスーパーイングリッシュハブスクール事業は、2013年度から10年間実施した。
この事業では、英語をコミュニケーションの道具として高いレベルで使いこなす人材の育成を目指し、ハブスクールと称する研究校13校を指定し、英語によるコミュニケーション能力を育成する指導方法や、小学校、中学校、高等学校の学びを接続する英語教育の在り方について実践研究を行い、その成果を県内の小学校、中学校、高等学校に普及還元することで、愛知県全体の英語力の向上を目指している。
ハブスクールは、自校の生徒を対象に、研究開発した指導方法や評価方法などを、自らが主催する地区の授業研修会で発表して他の高等学校に広めるとともに、地域の小中高校の教員が互いの授業を参観し、効果的な指導方法や相互の連携について話し合う機会を設け、小中高校の英語教育をスムーズに接続するための取組を行った。
【委員】
10年前から始めたとのことだが、この事業開始にはどのような目標があったのか、また、始めてから10年ほど経過しているが、事業の実施により高校生の英語力は本当に強化されたのか。
【理事者】
本事業の開始時である2013年度に立てた目標は、高校3年生のうち、英検準2級以上の英語力を有する生徒の割合を50パーセント以上とすることであった。
事業開始時は29.1パーセントであったが、2017年度には34.7パーセント、そして2022年度には41.3パーセントと、目標の50パーセントには達しなかったものの、10年間で約12ポイント上昇しており、本県の高校生の英語力は着実に向上している。
【委員】
英語力は10年間で確実に伸びているとのことだが、愛知県の高校生の英語力は決して高くなく、下から数えたほうが早いとのメディア報道を目にした。その前提条件に関しては、いろいろな見方があると思う。
しかし、そのような条件を鑑みながらも、高校生全体の英語のレベルアップが今後もさらに続くように、例えば、それぞれの高校でアシスタント・ランゲージ・ティーチャー(ALT)を活用している状況だと思うが、そのALTの活用、あるいは、愛知県独自での生徒の英語力を向上させる方法をぜひ検討、推進してほしい。
【委員】
決算に関する報告書352ページの産業教育設備費について伺う。
工科高校の産業教育設備整備費の予算と決算を対比し、計画どおりに執行できたのかどうか評価を伺う。また、計画どおりに執行できていなかったとしたら、その理由は何か。
【理事者】
産業教育設備整備費のうち、工業科を設置している常滑高校を含む工科高校16校については、予算額5,114万1,340円に対して、執行額は4,787万5,204円である。この差額326万6,136円は入札による残額であり、計画どおり執行できている。
なお、工業科を対象とした2022年度予算は、産業教育設備整備費全体の47.15パーセントを占めている。
【委員】
次に、それぞれの学校からの要望に対してどのようなものを買ったのか、具体的に伺う。
【理事者】
各工科高校からは、金属加工の基礎基本の習得に必要な旋盤やフライス盤、複数の加工工程を1台で自動で行えるマシニングセンターという工作機械、製造ラインの機械を一括制御するシーケンス制御装置、自動車のアライメント調整装置、自動運転に必要な高精度センサーの装置など、各学科の実習で必要な設備や装置の更新、新規購入の要望が多数出ている。
2022年度は、それらの要望のうちシーケンス制御装置、フライス盤、アライメント調整装置などの更新を優先して行った。
【委員】
更新が優先とのことだが、教育委員会として、そもそも更新が優先される内部基準があるのか。
【理事者】
各学校の一番使用頻度の高いもので老朽化が非常に進んでおり、まずは、基礎の習得に必要な機器の購入を優先した。
【委員】
教育委員会の優先基準を、学校は知っているのか。知っているとしたら、それに合わせて学校は申請できると思うが、知らない場合は非効率な申請も出てしまう。その点はどうなのか。
【理事者】
各学校は知っている。教育委員会は、例年どおり同じ基準で行っているため、昨年と違う基準で行っているわけではない。限られた予算であるため、まずは故障や老朽化しているものを優先している。
【委員】
基礎的なところは基礎的な部分でしっかり押さえていかなければならないとはいえ、技術の革新で移り変わっていくものもある中で、優先順位のつけ方はとても難しいと思う。
工科高校は、言うまでもなく、モノづくり愛知を支える貴重な人材を育成する教育機関であるが、単に愛知県を支えるにとどまらない、日本の将来を支える人材であるため、より充実した教育設備の整備を要望する。
次に、決算に関する報告書372ページのあいちスポーツコミッション事業費について2点伺う。
まず、日本では12年ぶりの開催となったFIA世界ラリー選手権ラリージャパンの支援事業の決算額、執行内容及び事業効果について伺う。
【理事者】
FIA世界ラリー選手権ラリージャパン支援に係る事業の決算額は、2,050万8,000円である。
執行内容として、本県は興行主体であるラリージャパン2022実行委員会に参画し、大会の機運醸成や盛り上げ、愛知の魅力発信を行った。
具体的には、観戦・観光ブックの作成、配布などによる大会情報や観光情報の発信、名古屋駅でのラリー車両のPR展示やパブリックビューイングイベントによる大会関連イベントの実施、大会会場でのステージイベントの開催や愛知県PRブースの出展など、大会会場の盛り上げ、公共機関での歓迎装飾の実施などを行った。
事業の成果は、大会開催中、約11万2,000人もの人に来てもらい、大会を通じてモータースポーツの魅力を発信することができ、また、多くの人に競技会場となった地域の風景や地元産品などにも触れてもらう機会ができたことで、この地域の魅力が発信できた。
【委員】
次に、ラリージャパンのほかにも、モータースポーツの大会として新城ラリーの支援も行ったと思うが、その決算額、執行内容及び事業効果はどのようであったのか。
【理事者】
新城ラリーの支援に係る決算額は、1,212万3,100円である。
執行内容は、本県は主催者である新城ラリー実行委員会に参画して、大会のPRや盛り上げを行った。
具体的には、本年2月に、名古屋市内でラリーカーパレードを実施するなど、大会のPRイベントを行ったほか、大会の見どころや奥三河等の魅力を掲載した観戦・観光ブックの作成、配布、現地でのライブ配信、また、総合優勝者へ交付する愛知県知事杯の作成などを行った。
事業の成果として、競技の行われた2日間で約2万6,500人に会場へ来てもらった。大会の盛り上げを通じて、地元をはじめ県内にラリー競技の魅力が浸透するとともに、地域の振興にもつながった。
【委員】
ラリージャパンの動員数11万2,000人はすごい数だと思う。このようなすばらしいイベントを、いろいろな観点、地域振興、観光、スポーツ、愛知県の自動車産業を上手に絡めて盛り上げてほしい。
【委員】
決算に関する報告書333ページの道徳教育推進事業費について伺う。
この事業は、人間関係をつくる力やコミュニケーション能力を養い、社会で自立して活躍できる人材を育成するため、道徳教育の実践や様々な体験活動、地域貢献活動を行っているとのことである。大変重要な取組であるため、この事業が実施された経緯と事業の推移、成果について伺う。
【理事者】
道徳教育推進事業は、地域貢献活動を通して生徒の豊かな情操や道徳心を育むことを目的として、2014年度から実施している。毎年、県立高校と特別支援学校の中から10校を指定し、地域の清掃や、高齢者や幼児、障害のある人々を対象としたボランティア活動、近隣小中学校との交流、小学生対象のモノづくり講座やプログラミング講座など、それぞれの学校の実情に合わせた地域貢献活動を行っている。
2022年度までの9年間で、県立学校178校中53校を指定して、事業を実施してきた。昨年度の実践指定校からは、地域貢献活動を通して、相手を尊重する態度や人間関係をつくる力、コミュニケーション能力を高めることができたという成果が報告されている。こうした実践指定校での取組や成果は、報告書にまとめて周知し、広くほかの学校にも還元している。
なお、令和5年度は、これまでの成果を踏まえて、実践指定校を10校から12校に増やしている。
【委員】
実践指定校を今年度は12校に増やすとのことである。
とてもありがたい話ではあるが、年間の指定校が限られており、この取組を行った学校は翌年度も事業を展開したいと考え、実施できなかった学校は、翌年度にぜひ行いたいという希望があると思う。
そこで、実践指定校の選定はどのように行われているのか、また、選定されなかった学校へは、どのようにフォローしているのか伺う。
【理事者】
実践指定校については、指定を希望する学校から提出された企画書の内容を審査し、10校を選定した。
なお、本事業は、基本的に単年度で実施しているが、生徒の情操を育むことなどを目的とする事業のため、学校の状況によっては、同一校が複数年度にわたって実践指定校となる場合もある。希望しながら指定されなかった学校に対しては、過去の実践指定校の取組や成果を取りまとめた報告書を参考にして、翌年度に実施する地域の施設や団体と連携した企画を検討するよう助言するなど、翌年度のエントリーと指定につながるよう配慮している。
【委員】
この事業費で活動を展開した校長に話を聞くと、学校外で取組を展開するために、まずは計画、そして実行、うまくできた点や改善点を肌で感じながら次につなげるPDCAサイクルを生徒たち自らが回すことで成長を感じ取ることができ、大変有意義な取組とのことである。特に、コロナ禍で外とのつながりが希薄になってしまったため、今後は積極的に展開していきたいとの話も聞いている。
また、この事業費が充てられたわけではないが、今夏に開催された春日井サイエンスフェスタには、市内にある県立高校が多数ブースを出展しており、私の小学生と幼稚園児の子供も、高校生から楽しい実験やプログラミングなどを教わり、とても喜んでいた。
現在、県立高等学校再編将来構想を検討して進めてもらっているが、県立高校の一層の魅力化、特色化、再編の五つのポイントが記載されているが、まさにこうした取組の推進が鍵を握ると思っているため、こうした事業は、より一層力を入れてもらいたい。
次に、決算に関する報告書359ページの家庭教育支援基盤形成事業費について伺う。
この事業費は、保護者等を対象に、訪問や電話等により家庭教育に関する相談や支援を行っている。近年、不登校児童生徒が増加する中で、とても大切な取組である。
そこで、家庭教育相談の実施状況として、相談件数140件、延べ相談回数5,234回と記載してあるが、具体的な事業内容や実施体制はどのようになっているのか伺う。
【理事者】
家庭教育相談は、退職した小中学校教員を家庭教育コーディネーターという相談員として、県内六つの教育事務所・支所に16人、あいちの学び推進課に1人配置し、不登校など家庭教育上の問題を抱える保護者からの電話やメールによる相談のほか、直接家庭を訪問して相談、助言を行っている。
また、教員、カウンセラーへの就職を目指す大学生が、ホームフレンドというボランティアとして30人登録し、児童生徒の話し相手や遊び相手の希望があった家庭を家庭教育コーディネーターと一緒に訪問して、相談活動を行っている。
なお、昨年度の相談件数140件のうち、不登校に関する相談が133件と大半を占めている。
【委員】
市町村でも、同じような家庭教育相談事業を実施していると思うが、県としてどのような役割をしているのか。
【理事者】
家庭教育相談事業は、まずは、市町村で対応してもらうことを基本としている。しかし、市町村によっては十分な相談や支援が行えないケースもあるため、県が補完する形で相談活動を行っている。
【委員】
家庭教育相談事業を実施したことにより、どのような成果があったのか。
【理事者】
2022年度に相談があった140件の中で、不登校に関する相談133件については、9割近くの116件が、登校できるようになる、校外の施設へ通えるようになる、外出できるようになるなど、相談開始時よりも状況が好転し、成果があった。
【委員】
児童生徒の不登校数の増加に伴い、家庭教育コーディネーターとホームフレンドによる相談回数の増加が予想されるが、それに対してどのような対応をしているのか。
【理事者】
家庭教育コーディネーターによる相談回数は、児童生徒の不登校数の増加に伴い、2019年度の3,532回から、2022年度には5,234回になるなど、増加している。
コロナ禍により、家庭訪問による相談回数は減少したものの、電話、メールなどの相談回数は増えている。
2022年度には、家庭教育コーディネーターに対して継続的な相談や支援ができるよう、1人1台の相談用スマートフォンを配備し、電話以外にもメールやLINEのビデオ通話により相談できる環境を整え、相談者が気軽に相談できるようにしている。
また、保護者から、ホームフレンドの家庭訪問に対する要望が増えたことを受けて、2021年度には、ホームフレンドを8人増員して30人にした。ホームフレンドの家庭訪問回数は、2019年度の573回から、2022年度には860回になり、保護者の要望に応えることができた。
【委員】
本県の不登校児童生徒数は、小学校では、令和元年度が3,710人であったものが、令和4年度には7,408人、中学校では、令和元年度が8,441人であったものが、令和4年度には1万3,367人と年々増加している。この対策としては、多方面からの方策が必要である。
その一つとして、本事業は有効に相談に応じてもらえる体制が必要だと思うため、ぜひ、十分な対応を取れるよう要望する。
次に、決算に関する報告書375ページの障害者スポーツ振興費について伺う。
私は、令和3年11月定例議会で行った代表質問の中で、障害者スポーツに係る項目を取り上げ、その際、障害者スポーツの普及拡大に向けた取組を進めていくという答弁をもらった。
そこで、障害者スポーツを推進するために令和4年度はどのような取組を行ったのか、特に、新たに実施した取組があれば、それはどのような内容、実績、成果があったのか伺う。
【理事者】
令和4年度には、これまで行ってきた種目別スポーツ大会や愛知県障害者スポーツ大会、障害者スポーツの体験会、あいち障害者スポーツ連絡協議会の開催のほかに、機会創出、人材育成、交流促進の観点から、次の三つの新たな取組を実施した。
初めに、地域や医療機関での障害者スポーツ体験機会の創出のため、ボッチャやフライングディスクの用具を貸し出す事業を実施し、総合型地域スポーツクラブ3施設、リハビリテーション施設2施設、特別支援学校4校で活用してもらった。
次に、障害者スポーツを支える人材育成のため、三つのセミナーを開催した。ボランティアを育成するあいちパラスポーツサポーター育成セミナーに103人、障害者スポーツ指導員資格認定校の学生に資格取得を促す若手指導者育成セミナーに17人、活動休止中の指導員に活動再開を促す指導者リ・スタート支援セミナーに30人が参加した。
最後に、障害のあるなしにかかわらず、誰もがスポーツを通じて交流を深められるあいちパラスポPARKを開催した。県内の企業や大学と協力し、パラリンピアンのトークショー、ブースや福祉車両の出展などを行い、522人が参加した。
これらの新規事業は参加者からの評価も高く、令和5年度も引き続き実施している。
【委員】
愛知県及び名古屋市は、10月3日にアジアパラリンピック委員会などと開催都市契約を締結し、いよいよ正式に、2026年10月に愛知・名古屋でアジアパラ競技大会が開催されることが決まった。大村秀章知事は会見で、大会の開催は多様性を尊重し、共生社会の実現に貢献する重要な社会的意義がある。しっかりと準備を進め、大会の成功に向け全力を尽くすと話している。
そこで、今後の障害者スポーツの取組をどのように進めていくのか。
【理事者】
アジアパラ競技大会に向けて、障害者スポーツを理解し、応援するあいちパラスポーツサポーターの取組を推進し、学生も含めた幅広い年齢層を支える人材として育成していく。そして、認定したサポーターに対して、スポーツ大会や体験型イベント、あいちパラスポPARKなどでの継続した活動を促すことで、2026年のアジアパラ競技大会において、ボランティアリーダーの役割を担うことができるよう支援していく。
このほか、パラアスリートの強化育成を図るため、国際大会を目指すパラアスリートに対して、合宿、大会への参加費等に1人50万円まで補助するオリンピック・アジア競技大会等選手強化事業を実施している。
今後も、障害者スポーツの普及促進に努めるとともに、支える人材の育成や本県ゆかりのパラアスリートの強化などにより、2026年のアジアパラ競技大会の盛り上げにつなげ、障害者スポーツのさらなる裾野拡大を図っていきたい。
【委員】
私は、アジア・アジアパラ競技大会推進特別委員会に所属しており、8月に行われた委員会では、公益財団法人日本パラスポーツ協会、安岡由恵氏に話を聞く中、アジアパラ競技大会の開催の意義として、ただ単にパラスポーツへの理解で終わらせず、パラスポーツを通じた共生社会への理解につなげることがとても大切であると学んだ。
障害者スポーツの普及拡大は、その一翼を担うと思うため、さらに力を入れてもらいたい。
【委員】
決算に関する報告書325ページの教育委員会費の学校業務改善推進事業費について伺う。
部活動の段階的な地域移行に向けた実践研究をしているとのことであるが、さらに詳しく成果や課題について伺う。
【理事者】
昨年度、運動部活動は春日井市と大口町の2市町で、文化部は豊田市で、休日部活動の地域移行について実践研究を行った。
成果としては、例えば大口町では、総合型地域スポーツクラブを活用し、指導者不足で廃部となっていた水泳部の活動が復活できたこと、また豊田市では、吹奏楽部において、複数の指導者による楽器ごとの専門的な指導を受けることができ、生徒たちの技術や意欲の向上につながったことや、学校と地域の連携を進めるため、中学校区ごとに設けられた地域学校協働本部が主体となり、学区内から指導できる人を集めたことから、地域で生徒を育てる意識が高まったことが挙げられる。
運動部、文化部ともに、平日の学校部活動と休日の地域クラブ活動で指導者が異なるため、指導者間の連携が課題となり、豊田市では、部活動顧問とクラブ指導者が情報交換する場を定期的に設け、指導方針を確認して、解消に努めた事例が報告されている。このほか、活動場所や指導者の確保、保護者の費用負担が課題として挙げられる。
【委員】
地域や環境によって課題がたくさんあると思う。この事業を進めていくためには、そのようなものを取り込みながら進めていかなければならない。
また、この事業が、学校業務改善推進事業費という教員の働き方改革を推進するための事業費として挙げられているが、実際には、生徒の部活動の充実を目的に入れて取り組まなければ、本当に目標が達成したことにならないと思うため、ぜひこの点を検討してほしい。
次に、決算に関する報告書325ページの教育総務費について、高等学校のICT支援員の配置について伺う。
義務教育段階では、様々なICT教育に一生懸命取り組んでいる現場を見る機会もあり、教員も一生懸命やっていると感じる。
一方で、高校段階になると、1人1台端末を確保したにもかかわらず、端末は学校に常時置いてある、授業でもほとんど使ったことがない、使えば同時に更新が入って、通信環境が非常に悪くなるなど、いろいろな課題があると聞く。
そこで、ICT支援員を配置した事業について、ICT支援員の業務内容と配置した効果、課題についてどのように評価しているのか伺う。
【理事者】
ICT支援員の業務内容は、各学校に出向いて、機器やソフトの使い方について教員からの質問に答えることやトラブルへの対応、ICTを活用した授業の準備や実施の補助、教員向けの研修、タブレット端末のアプリの更新作業などの教員に対する支援である。
次に、その効果について、令和4年度は、12校のICT研究校へ毎週1回派遣するなど、集中的に支援した。ICTを苦手とする教員には基礎的な内容、得意とする教員には高度な内容と、ニーズに合わせた支援を行い、その結果、着実に教員のICTスキルが向上したものと認識している。
一方で、それ以外の多くの学校では、二、三か月に1回程度の派遣となっており、十分な効果が出るまでには至っていない。また、学校によっては、ICT支援員のサポートによりペーパーレス会議や欠席連絡のオンライン化なども進めることができ、教員の多忙化解消にも貢献している。タブレット端末の活用が進むにつれて、新たな困りごとや活用方法についての疑問点などが出ているため、引き続き、ICT支援員による支援を充実させていくことが必要である。
【委員】
今、取り組んでいる段階とのことだが、せっかく買ったタブレットは、数年のうちには古くなっていくため、そこまでにいかに使うかも大変重要である。子供たちは、家などでは、かなりスキルを高めて使っている状況にもかかわらず、学校ではそのような状況であり、そもそも導入する段階で、生徒に持ってきてもらい配備してはどうかという話もあった。
現場で積極的に、自分の調べ物でも使える環境を整備することや、有効に使うことを考えてもらいたい。6年、7年すると古くなるが、そのときに再度新品を購入する予算が組めるか疑問に思うため、ぜひICT教育について真剣に取り組んでもらいたい。
最後に、決算に関する報告書347ページの高等学校整備事業費、県立学校施設長寿命化推進事業費、また、決算に関する報告書355ページの特別支援学校整備事業費について伺う。
令和元年度から取り組んでいる県立学校の大規模な長寿命化改修について、令和4年度末の状況でどのぐらい進んでいるのか、計画に遅れがあるのか伺う。
【理事者】
県立学校施設長寿命化計画は、2019年度から2029年度までを計画期間とし、高等学校、特別支援学校を合わせ、739棟の大規模な改修を実施する。
進捗状況について、2022年度までに187棟の工事を完了しており、進捗率は25.3パーセントである。また、今年度に計画している51棟を合わせると、進捗率は32.2パーセントとなる。
工事の実施に当たっては、毎年度、個々の建物の劣化の状況や事業費の平準化を考慮しながら決定しており、計画どおり進めている。
【委員】
大変お金がかかる事業であるため、引き続き頑張ってほしい。
今回の長寿命化計画の対象建物については、原則的に、延べ床面積が200平方メートルを超えている鉄筋コンクリート造、もしくは鉄骨造の建物であると聞いている。ほかにも、例えばクラブの部室のような附属建物やコンクリートブロック造でできたものが、今回の長寿命化の対象にはなっていない。
計画対象外の建物について、老朽化対策に係る対応をどのようにしていくのか。
【理事者】
部室棟については、県立高校150校のうち130校に322棟設置されている。このうち、コンクリートブロック造については、285棟が設置されている。
長寿命化計画の中で対象外としている建物については、例えば建物の扉の取替えや塗装など、小修繕の工事は、年度当初に各学校に配分している予算の範囲内で執行している。また、屋上防水や外壁補修など、規模が比較的大きなものについては、学校からの整備要望を受けて予算配分を行い、学校執行により改修工事を実施している。
こうした維持修繕費の予算額は、2018年度以降、年々増額を図っており、引き続き、長寿命化計画に基づく施設の改修を計画的に進めるとともに、計画の対象外となった建物の維持管理についてもしっかりと取り組む。
【委員】
私が訪問した場所は、40年から50年前に造ったコンクリートブロック造の部室などがあり、素人目に見ると、ブロック塀のイメージから耐震性能は大丈夫なのかと思うことがあったため、聞いてみると、耐震診断をしたことがないとの話もある。建物の大きさにかかわらず、何かあったときに大変な事態になるため、まずは耐震診断をしてもらいたいことと、大事なところから順番に進めながら、このようなものについても更新してもらいたい。
【委員】
決算に関する報告書325ページの県立学校オンライン学習支援事業費について伺う。
以前、新聞記事で、文部科学省の調査で、2022年度の不登校の小中学生は過去最多の約29万9,000人で、前年度比22.1パーセントの大幅増となったと発表された。
不登校となった原因は様々だと思うが、不登校によって学ぶ機会が失われてはならず、その対策として不登校生徒の受皿が求められる。そこで、本県では、県立学校の不登校生徒に対してオンライン学習支援サービスを提供しているため、その取組について伺う。
まず、本県の2022年度の高校の不登校生徒の人数はどのくらいか。
【理事者】
2022年度の愛知県の公立、私立、国立高校での不登校生徒数は、合計で2,908人である。
【委員】
次に、不登校生徒716人の対象者と事業費438万1,920円の内容、また、オンライン学習支援サービスをどのように使っているのか伺う。
【理事者】
まず、716人の内訳だが、不登校生徒が15人以上在籍している県立学校31校の681人と、中学校卒業後の進路未定者や高校中退者等を対象に、県教育委員会が実施している若者・外国人未来塾に通う35人を足したものである。
事業費の内容は、オンライン学習支援サービスであるスタディサプリの利用料であり、1人当たり年間利用料6,120円に、対象者の人数716人を乗じた額である。
スタディサプリは、約1万5,000本の豊富な授業動画を視聴し、確認テストにより学力を把握することができるサービスである。苦手な教科の解説動画を繰り返し視聴する、確認テストでつまずいたところを復習するなど、生徒は自分の学習状況に合わせて活用している。授業動画や確認テストのほかにも、学校は、アンケート機能や連絡機能を使って生徒の状況を把握する、学校行事や教室の様子を伝えるなど、学校とのつながりを保っていくことにも役立てている。
【委員】
年間30日以上休んでいる生徒が15人以上いる学校にスタディサプリを配布しているとのことである。不登校生徒へのオンライン学習支援サービスは、高校へ通えなくなった生徒が学び続けられる有効な手段だと思う。
そこで、課題や改善点もある中で、事業の成果について伺う。
【理事者】
個々の学習ニーズに合った授業動画を見ることで、学校復帰に向けて、学習の遅れを少しでも取り戻し、切れ目ない支援を行う手だての一つとして、スタディサプリを導入している。
成果は、登校できない生徒がスタディサプリの動画を見ることで学習意欲が高まり、学校の授業にオンラインで参加できるようになった事例がある。これが学校復帰につながるとよいと考えている。
また、以前は、教員が家庭訪問して授業プリントを渡したり、電話で様子を聞く程度の支援しかできなかったが、スタディサプリの導入で、本人のニーズに合った学習支援ができるだけでなく、アンケート機能や連絡機能を使って、よりきめ細かな支援が可能となった。
課題は、スタディサプリの初期登録を行う作業が生徒だけでは難しく、技術的な支援が必要であることや、スタディサプリを使いこなし、自宅で学習を継続していくためには、生徒一人一人に寄り添った支援が必要であり、担任などの教員だけでは負担が大きく、そうした役割を果たす支援員などがいるとよいことである。
【委員】
課題はあるが、成果はあると思うため、引き続き、不登校の生徒の手だてとしてしっかりと進めていってほしい。
次に、決算に関する報告書329ページのスクールロイヤー設置事業費について伺う。
いじめや不登校の児童生徒に対するスクールカウンセラーや、貧困や虐待など児童生徒が抱える問題解決に対応するスクールソーシャルワーカーに加えて、スクールロイヤーを配置することにより、小中学校での様々な問題に対して、深刻化する前に早期解決を図るための法務相談などを2020年度から行っている。
本県では、20人のスクールロイヤーが配置されているが、昨今の学校現場でスクールロイヤーが必要となっている背景と、スクールロイヤーの事業内容について伺う。
【理事者】
スクールロイヤーが必要な背景だが、学校現場で、いじめ、保護者とのトラブル、学校事故等が増えており、中には、訴訟となるなど深刻化する事案もある。こうした事案はどの学校でも起こる可能性があり、その対応として、初期段階で法的な専門知識を有する人からの助言が必要となっている。そこで、愛知県弁護士会から推薦があった20人の弁護士をスクールロイヤーに任命し、法的な観点からの助言を行っている。
事業内容として、市町村や学校から個別に相談を受ける法務相談と教職員に対する研修を行っている。法務相談には随時相談と定期相談があり、随時相談は、市町村教育委員会や各学校からの要請を受け、電話相談を行うことや、法律事務所、学校等で面接相談を行っている。
定期相談は、各教育事務所が設定した相談日に、希望する市町村教育委員会、各学校の管理職等が教育事務所に出向き、面接相談を行うものである。
教職員研修は、スクールロイヤーを講師として、管理職等、学校の教職員を対象に、法律や子どもの権利条約等に関する知識を解説してもらい、具体的な対応策についてケーススタディーをするなどの研修を行っている。
【委員】
前年度と比較して、令和4年度のスクールロイヤーの相談件数、活動実績の具体例、とりわけスクールロイヤーの活動が顕著であった事例があれば伺う。
【理事者】
令和4年度の相談件数は、随時相談103件、定期相談40件、合わせて143件となっている。初年度の令和2年度の総相談件数は140件、2年目の令和3年度140件、令和4年度143件と、ほぼ横ばいとなっている。
しかし、総相談件数のうち随時相談件数が、令和2年度78件、令和3年度93件、令和4年度103件となっており、タイムリーな相談が確実に増え、このことはスクールロイヤーが有効に活用されていると実感している。
令和4年度の主な相談内容は、随時相談の内訳を見ると、保護者からの要求に関する相談が約29パーセントと最も多く、次いで、子供同士のトラブルが約18パーセント、いじめが約17パーセント、学校事故が11パーセントなどとなっている。
活動が顕著であった事例は、担任教諭の不適切な指導が原因で子供が不登校、睡眠障害になったとして、保護者から慰謝料等の損害賠償請求をほのめかされた学校からの相談への対応がある。学校は、スクールロイヤーから損害賠償請求制度に関する知識や法的根拠に基づく適切な対応などについて助言を受け、保護者への丁寧な説明や冷静な対応ができたことにより、保護者の理解を得て、損害賠償の請求に至らずに済んだという事案がある。
【委員】
学校現場で発生する事案は本当に複雑化している。143件の相談があったとのことであり、中でもタイムリーな相談が増えているとのことであるため、スクールロイヤーの必要性を感じる。
スクールロイヤーの設置は、学校現場だけでトラブルに対応し切れなかった場合や、教員の負担軽減を図る意味でも大いに期待される。
スクールロイヤーの配置が、令和3年度の19人から、4年度は20人に増員されているが、今後のスクールロイヤーの増員についての考えを伺う。
【理事者】
スクールロイヤーによる相談については、活動に必要と想定する年間280時間分の予算を確保し、登録された20人は、その範囲内で分担して相談等に応じている。
これまでの活動実績から、予算額が不足している状況ではないが、随時相談件数が増加傾向にあることからも、今後の活用状況を見ながら、活動時間を増やすことを検討する。
【委員】
一番重要なことは、トラブルが発生したときの初期対応である。スクールロイヤーは、大変重要な任務だと思うため、引き続き、検討を進めてほしい。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年11月6日(月) 午後1時~
会 場 第8委員会室
出 席 者
鈴木喜博、寺西むつみ 正副委員長
伊藤辰夫、山本浩史、神戸健太郎、丹羽洋章、山田たかお、杉江繁樹
高橋正子、日比たけまさ、黒田太郎、加藤貴志、神谷まさひろ 各委員
建設局長、建設政策推進監、建設局技監(2名)、土木部長、道路監、
治水防災対策監、豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、
水資源監、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、リニア・交通対策監、
港湾空港推進監、空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、収用委員会事務局長、
教育長、教育委員会事務局長、同次長兼管理部長、教育部長、教育改革監、
スポーツ局長、スポーツ監、アジア・アジアパラ競技大会推進監、
会計局次長、監査委員事務局長、同次長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 決 算
決算第1号 令和4年度愛知県一般会計歳入歳出決算
歳出第7款建設費、第9款教育・スポーツ費、
第10款災害復旧費及びこれらに関する歳入
決算第11号 令和4年度愛知県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算
決算第12号 令和4年度愛知県県営住宅管理事業特別会計歳入歳出決算
<会議の概要>
Ⅰ 建設局、都市・交通局、建築局、農林基盤局関係
1 開 会
2 決算概要の説明
3 質 疑
4 休 憩(午後2時27分)
Ⅱ 教育員会事務局、スポーツ局、県民文化局関係
5 再 開(午後2時38分)
6 決算概要の説明
7 質 疑
8 閉 会
(主な質疑)
《建設費・災害復旧費関係》
【委員】
決算に関する報告書277ページの道路橋りょう新設改良費に関して、豊田市内の主要地方道豊田安城線について伺う。
豊田安城線は、東名高速道路豊田インターチェンジから安城市の中心市街地へつながる道路で、東名高速道路の上郷スマートインターチェンジ、主要地方道名古屋岡崎線や国道1号と接続し、周辺には自動車産業に代表される工場が集積しており、本県のモノづくり産業を支える大変重要な幹線道路の一つである。交差する名古屋岡崎線では、周辺地域の交通円滑化のため4車線化事業を展開しており、豊田安城線から東の岡崎市内では4車線化が完成し、また、西側の4車線化も事業化され、その効果が期待されている。
こうした中、豊田安城線でも、豊田市内の残る2車線区間の4車線化に向けて、都市計画変更の手続を進めており、本年9月、都市計画変更に向けての住民説明会が開催されたと聞く。私も説明会に参加し、渋滞を避けた通勤車両が住宅地に入り込んでいる現状から、この事業に対する多くの住民の期待を感じ取った。
一方で、4車線化に伴う周辺交通対策や通学路の安全対策、信号機の設置位置に対する様々な意見もあることから、地域に寄り添う道路計画を策定し、早期に整備することが必要不可欠であると実感した。
そこで、主要地方道豊田安城線の現在の進捗状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
豊田市内の主要地方道豊田安城線は、残る2車線区間である現道の名古屋岡崎線の福受町下ノ切交差点から北へ約1.5キロメートルの区間が交通のボトルネックとなっており、朝夕の渋滞発生時は、渋滞を避けた通勤車両が住宅地に入り込むなど、非常に危険な状態となっている。この区間は、現都市計画では幅員20メートルの4車線道路となっており、中央分離帯や自転車通行帯の設置といった安全・安心な通行空間を確保するためには幅員が不足するため、現在、今後の事業化に向けて都市計画変更の手続に入った。
9月7日には、都市計画法に基づく住民説明会を豊田市で開催し、住民からは、渋滞対策や生活道路への通過車両の流入対策、信号交差点の位置など、様々な意見をもらった。そのため、後日、地元の福受地区のまちづくりを考える会に出席し、改めて豊田市と協力して通学路を含め周辺交通対策を進めることや、信号交差点計画などについて丁寧な説明を行った。
今年度末の都市計画変更に向けて、現在、事務手続を進めており、今後、都市計画変更の手続の状況を踏まえて、早期事業化に向けて、現地測量や道路設計を進めるなど事業進捗を図る。
【委員】
豊田安城線は、モノづくり産業を支える幹線道路であるとともに、地域の人々の関心も非常に高く、また生活に密着し、安全・安心の確保にも多く貢献する道路である。都市計画変更告示後、着実に準備を整えてもらい、早期の事業化を要望する。
【委員】
決算に関する報告書277ページの道路橋りょう新設改良費に関して、一般国道247号西知多道路について伺う。
国道247号のうち、東海市から常滑市にかけての沿岸部の道路だが、沿岸部企業の経済活動を支えるアクセス道路として、また、中部国際空港への2本目のアクセス道路として非常に重要な道路である。しかし、現在の道路は、朝夕の通勤ラッシュでかなり渋滞が起きており、交通の流れがよくない。それに対して、地元の企業や住民から、早期の道路整備が求められている。
中部国際空港は、コロナ禍で大きな痛手を受けたが、2027年には2本目の滑走路を供用しようと努力している。こうした中、西知多道路の事業に関しては、常滑工区及び東海ジャンクション周辺から工事が始まっており、整備が進んでいる。そこで、国道247号西知多道路の整備状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
国道247号西知多道路は、東海市内の伊勢湾岸自動車道から知多市内を経由し、常滑市内の知多横断道路に至る延長18.5キロメートルの高規格道路である。北側の区間では、現在4車線の西知多産業道路を6車線化し、南側の区間は、新たに9キロメートルの4車線道路を新設する計画となっている。現在は、起点部の東海ジャンクション区間の2キロメートルと西知多産業道路の長浦インターチェンジから分岐し、知多市日長までの約1.4キロメートルの区間は国が、その先、知多横断道路までの約8キロメートルの区間は県が、それぞれ施工するとして事業を進めている。
また、このうち長浦ジャンクションから知多横断道路までの区間は、愛知県道路公社による有料道路事業も活用して事業を推進している。
事業中の各区間の現状だが、国が施工する東海ジャンクション区間では、伊勢湾岸自動車道と接続するランプ橋の上下部工事が進められており、長浦から日長にかけての区間は、今年の10月から用地買収が始まった。県の事業区間では、先行して事業化した常滑市内では、用地取得率が約9割を超え、まとまった用地が確保できた箇所から、順次、道路築造工事や橋梁工事などを進めている。令和3年度から用地買収に着手した知多市内の区間についても、現在の用地取得率は7割を超え、橋梁工事にも着手している。
このほか、東海市内において、市の区画整理事業と併せて、県と市の共同事業として、仮称だが、大田インターチェンジの新設事業も進めており、今年6月に橋梁下部工事に着手した。
今後も、残る用地取得に努め、事業中区間の工事進捗を図るとともに、国の施工区間の整備促進と未事業化区間の早期事業化を国に強く働きかけるなど、本道路の早期開通に向け、取り組んでいく。
【委員】
工事区間が順序よく進んでいるとは実感しているが、未事業化区間があるため、全線事業化に向けて今後も進めてもらいたい。
次に、決算に関する報告書301ページの中部国際空港対策費のうち、中部国際空港路線誘致促進事業費について伺う。
先ほども話したが、中部国際空港はコロナ禍の影響を非常に受け、コロナ禍前には過去最高の1,260万人の旅客数を記録するまで路線が伸びていたが、コロナ禍の2020年4月には国際線がゼロ便となる非常に大きな痛手を受けた。また、その影響で、中部国際空港を拠点としていたエアアジア・ジャパン株式会社が破綻し、地域経済にも大きな影響を与えた。この破綻が一因となり、常滑市の人口が減少した。
しかし、新型コロナウイルス感染症への対応も変化し、国の水際対策の緩和も含め、空港会社をはじめ県民や知事の協力により、現在の国内線はほぼ戻っている。しかし、国際線は他の空港と比べるとまだ回復が遅いと実感している。
そこで、中部国際空港路線誘致促進事業費は、具体的にどのような取組により、どのような成果があったのか伺う。
【理事者】
中部国際空港路線誘致促進事業費では、中部国際空港の航空ネットワーク維持に向け、就航先の魅力を発信するアウトバウンド事業とエアポートセールスを実施した。
アウトバウンド事業では、コロナ禍の状況を踏まえ、国内の就航先のうち秋田県、新潟県、熊本県、大分県の4路線について、名古屋市在住のタレントを起用し、就航先の魅力をPRする動画を制作した。ユーチューブで公開するとともに、インスタグラムを使ったキャンペーンやウェブ雑誌日刊KELLYで情報発信を行った。新型コロナウイルスの規制緩和による旅行需要の増加やこの事業の実施などにより、2023年4月から8月までのこれらの路線の搭乗率は、前年同時期と比べ、約21パーセント増加している。
また、知事のほか、名古屋商工会議所や中部経済連合会など地元経済界も参加して実施しているエアポートセールスについては、2019年度以来3年ぶりに、参加人数を縮小して、2022年8月に、中部国際空港株式会社の犬塚力社長と共に、シンガポール航空に対して実施した。
コロナ禍による早期運行再開に対する感謝の意を伝えるとともに、週3便から週7便への運行への早期回復を要請した。その結果、シンガポール線は段階的に増便され、来年3月には週7便に回復すると、本年9月に同社から発表があった。
今後も、地元自治体や経済界、空港会社と共に、中部国際空港の路線維持、拡充のため、利用促進活動にしっかりと取り組む。
【委員】
令和4年度は、まだ新型コロナウイルスの感染症の区分が2類相当で、この路線誘致事業も大変だったと思うが、今年度、5月には2類相当から5類に引下げになり、旅行需要も相当伸びている。
路線誘致したところで、グランドハンドリング等の大きな問題があることも分かるが、中部国際空港は中部地区の大切なインフラであるため、引き続き、路線誘致活動をお願いする。
【委員】
決算に関する報告書293ページのリニモ沿線地域活力創出事業について伺う。
まず、本事業の目的と昨年度実施した事業の概要及びその結果について伺う。
【理事者】
リニモ沿線地域活力創出事業は、リニモ沿線地域の施設等と連携し、沿線の地域資源を活用した地域づくりに取り組むことにより、交流人口の拡大による地域の活性化を図ることを目的として行ったものである。
2022年度は、沿線の施設や商工会、観光協会と連携して、ジブリパーク来園者を主なターゲットに、沿線施設28か所を巡るデジタルスタンプラリーを実施した。ジブリパークの開園時期に合わせて実施したこともあり、2021年度において実施した沿線の周遊イベント参加者数331人の3倍近い、976人に参加してもらい、リニモを利用した周遊観光の促進に大きな効果があった。
【委員】
多くの人に参加してもらい事業を実施したとのことだが、こうした取組を通じて、リニモの利用者数の増加につなげていくことが重要である。
そこで、リニモの利用状況、経営状況について伺う。
リニモについては、2005年の愛知万博開催期間中は会場へのメインアクセスとして活躍したが、万博閉幕後は、初期投資に伴う借入金の返済が重荷となり、大変厳しい経営状況にあったと記憶している。県などによる経営支援や沿線による宅地開発、イオン株式会社、イケア・ジャパン株式会社などの大型商業施設開業もあり経営は黒字化し、利用者数も順調に増加したが、ここ数年は、新型コロナウイルス感染症の影響により利用者が大幅に落ち込み、経営にもかなりの影響があったと承知している。
その一方で、昨年11月のジブリパーク開園は、リニモの利用者増加につながったと思うが、最近の利用状況、経営状況はどのようになっているのか。
【理事者】
まず、リニモの利用状況は、愛知万博後の2006年度以降、着実に利用者が増加し、2019年度には年間の利用者数が923万人となった。
その後、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年度には538万人、前年度比で約58パーセントまで落ち込んだが、2022年度は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和やジブリパークの開園の効果もあり、年間851万人、コロナ禍前の2019年度比で、約92パーセントまで回復した。
次に、経営状況だが、本県沿線市などによる2度の経営支援後の2016年度以降は黒字に転じ、2019年度には、当期純利益3億1,500万円を計上したが、コロナ禍の影響により、2020年度及び2021年度は、それぞれ2億2,100万円、1億800万円の赤字となった。
2022年度は、コロナ禍からの回復やジブリパーク開園の効果もあり、当期純利益が2億4,900万円で、3年ぶりの黒字決算となった。
なお、2023年度は、通年にわたってジブリパークの開園効果が及ぶことなどから運輸収入の増加が見込まれるものの、電気料金の高騰に伴う電気動力費の増加により、厳しい経営状況になることが見込まれる。
【委員】
コロナ禍からの回復やジブリパーク開園の効果もあって、昨年度は3期ぶりの黒字決算となったものの、今年度は、電気料金の高騰の影響で厳しい経営状況になる見込みとのことであり、楽観できる状況ではない。
県としても、引き続きリニモの利用促進に取り組む必要があると思うが、今後どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
今年度は、リニモ沿線地域活力創出事業として、リニモでおでかけキャンペーンを、11月1日から来年1月31日まで実施している。リニモの1DAYフリー切符を購入した人を対象に、沿線の施設を利用した際に、入場料やお買物の割引等の特典を提供するとともに、ジブリパークのある愛知のロゴが入ったオリジナルのマルシェバッグもプレゼントする内容となっている。リニモ沿線のレストランやカフェ、ショッピングセンター、博物館、美術館など合わせて27の施設で料金の割引やノベルティーのプレゼントなどの特典が受けられるため、ジブリパーク来園者をはじめ、たくさんの人々にキャンペーンに参加してもらい、リニモの利用者増と沿線地域への周遊観光の促進につなげていく。
このほかにも、春と秋のリニモ沿線ウォーキングや夏休み期間中の沿線施設での体験イベントの実施、さらに、あいちウィーク期間中におけるオリジナルグッズのプレゼントなど様々な取組を行い、リニモの利用促進に努めている。
【委員】
来年3月のジブリパークのフルオープンやリニア中央新幹線の開業も見据えて、日本で唯一の磁気浮上式リニアモーターカーであるリニモ自体を一つの観光資源として活用していくことも有効ではないか。
そこで、リニモの観光資源としての活用について伺う。
【理事者】
リニモは、日本で唯一の磁気浮上式リニアモーターカーであるため、重要な観光資源である。
リニモを活用し、その魅力を体験してもらう取組として、毎年、夏休み期間中に小学生を対象としたリニモ車両基地見学会を実施している。藤が丘駅から車両基地の最寄り駅である陶磁資料館南駅までリニモに乗ってもらい、浮上や加速などの乗り心地を体験した後に、車両基地で模型や実際の車両を使った分かりやすい説明を受けられる内容となっているため、毎回定員の10倍を超える申込みがあるなど、大変好評である。
また、季節や気候により様々な姿を見せるリニモの魅力を再発掘し、メールマガジンやX(旧ツイッター)で情報発信をすることにより、リニモへの乗車を目的とした利用者の増加にも取り組んでいる。
今後も、こうした取組を続けながら、リニア中央新幹線の開業も見据え、さらなるリニモの活用に向け、愛知高速交通株式会社とも連携して取り組んでいく。
【委員】
先行きについても質問したのは、リニモが開業から20年近くたつからである。20年だとまだ気にならないかもしれないが、開業から30年になると大規模改修が必要になる。つまり、お金が必要になると思うため、地域と一体になった盛り上げや、リニモ自体が観光資源であることを存分に生かしてもらい、乗客数の確保、売上確保、そして、利益をさらに積み上げてもらうことに取り組んでもらいたい。
【委員】
県営住宅について、三つの視点から伺う。
まず、決算に関する報告書313ページの長寿命化改善費について伺う。
社会情勢の変化により原油価格や資材価格の上昇が続いており、昨年12月には、政府の緊急経済対策として、物価高騰、賃上げへの取組が行われている。一方、県営住宅の長寿命化改善工事は、老朽化した住宅の機能を維持・更新するため、大変重要な事業である。
そこで、建設資材、人件費の高騰による長寿命化改善事業への影響はどのような状況であるのか伺う。
【理事者】
長寿命化改善工事では、住宅を耐用年限まで安全に使用するため、屋上防水や外壁の補修、配管設備の更新などを行っている。近年、長寿命化改善工事においても資材価格や人件費が上がっており、工事の発注時にはこれらの影響を反映した最新の単価を採用するなど、適切に予定価格に反映して発注している。
また、工事期間中の資材価格や人件費の上昇については、公共工事標準請負契約約款に定めた条項等に基づき請負金額の変更を行い、工事に影響が出ないよう対応している。なお、昨年度は1件、本年度も1件の増額の変更契約を行っている。
今後も、建設資材等の価格変動について注視し、適切に対応する。
【委員】
今後、カーボンニュートラルの推進、生産性の向上や建設業の働き方改革など取り組むべき課題が多く、コストの上昇が続くと見込まれる。その一方で、県営住宅は、住宅に困窮する人々のセーフティネットとして重要であり、住み続けるために長寿命化改善は着実に進める必要がある。
そこで、今後も事業費の上昇が予想される中で、この県営住宅の長寿命化改善事業を進めていくためにどのように対応していくのか伺う。
【理事者】
2020年3月に策定した愛知県営住宅長寿命化計画では、計画期間の10年間で約4,000戸の長寿命化改善事業を行うことを目標としており、昨年度までの3年間で、1,056戸の長寿命化改善工事を実施している。
今後も、建設資材や人件費などの事業費の上昇を踏まえ、必要な予算の確保に努めるとともに、採用する工法の検討によるコストの縮減などに取り組み、着実に長寿命化改善事業を進めていく。
【委員】
次に、滞納家賃の回収について伺う。
決算に関する付属書440ページの県営住宅管理事業特別会計第1款第1項第1目使用料について伺う。
県営住宅は、住宅に困窮する低額所得者のための住宅である、入居者の中には、一定の所得があるにもかかわらず家賃を滞納する人もおり、住宅使用料等で多額の収入未済が生じている。
これに対し、県では家賃滞納者に対して、住宅の明渡し等の訴えの提起や退去者の滞納家賃を外部委託により回収している。
そこで、長期悪質滞納者に対して行っている住宅の明渡し等の訴えの提起について、令和4年度の実績と効果について伺う。
【理事者】
家賃を納付することのできない特段の事情がないにもかかわらず、再三の納付指導を行っても滞納家賃等の支払いに応じない長期悪質滞納者に対する、令和4年度の県営住宅の明渡し及び滞納家賃等の支払いを求める訴えの提起は、67人に対して行い、家賃等の滞納総額は2,549万932円である。訴えた67人中、和解者及び和解を予定している者が3人おり、これらの者を除く64人のうち55人は、既に自主的な退去または強制執行により、住宅の明渡しが完了している。残る9人についても、住宅の明渡しの強制執行を裁判所に申し立てており、現在、明渡しに向けて手続中である。訴訟の結果、和解による納付や敷金の充当によって、令和4年度の訴えに係る滞納家賃等については、令和5年10月1日時点で、440万7,750円を回収している。
また、金銭的な効果に加え、住宅の明渡しによって新たな入居者の募集を行い、県営住宅への入居を希望する人に対して住宅を提供できるようになった。
【委員】
和解した人以外は、住宅の明渡しの手続を進めているとのことである。
また、裁判に限らず、退去後の滞納家賃の回収については外部に委託しているとのことであるが、この実績や効果はどのようになっているのか。
【理事者】
県営住宅を退去した人の滞納家賃等の回収は、滞納者が転居しているため住所地の特定などが必要であり、県営住宅に入居中である滞納者に比べ、滞納家賃等の回収が難しい。このため、平成22年度から、退去した人の滞納家賃等の回収について、弁護士事務所への業務委託を開始した。委託先の決定に当たっては、公募で企画提案をもらうプロポーザル方式により、最も評価の高い者と契約している。
また、継続的に回収業務に当たる必要性があるため、契約期間を3年として、現在の契約は、令和4年10月から令和7年9月までとなっている。令和4年度における退去者の滞納家賃回収業務の実績は1,296万2,706円であった。
委託を開始した平成22年度から令和4年度までに、1億5,024万5,233円の滞納家賃等を回収しており、外部委託について一定の成果があったと考える。なお、弁護士事務所に支払う委託料は、回収額に応じた成功報酬制としており、現在の報酬率は20.8パーセントで、令和4年度の報酬額は269万6,236円である。
今後も、委託先である弁護士事務所との連携を図り、引き続き退去者の滞納家賃等の回収を進める。
【委員】
最後に、県営住宅駐車場の有効活用について伺う。
決算に関する付属書440ページの県営住宅管理事業特別会計第3款第1項第1目財産貸付収入の土地貸付収入について伺う。
県営住宅では、住宅の建替時などに駐車場の整備を進めている一方、車の所有に対する考え方の変化や入居者の高齢化等により、車を所有しない人が増えている。その結果、県営住宅の駐車場の契約率は7割を切っており、駐車場に空き区画が目立つ住宅もある。
そこで、県では、こうした駐車場の空き区画を貸し付け、コインパーキングを誘致しているが、駐車場の空き区画の有効活用の実績はどのようになっているのか伺う。
【理事者】
県営住宅駐車場の空き区画の有効活用として、平成27年度から民間事業者に対して駐車場の空き区画の貸付けを開始した。これまでに、瑞穂区の中山住宅、中川区の万場東住宅及び刈谷市の重原住宅で、コインパーキングの設置を希望する事業者に駐車場の空き区画を貸付け、また、瀬戸市の萩山台住宅では、学校法人に職員等の駐車場として貸付けを行っている。
この結果、令和4年度の駐車場の空き区画の貸付けによる土地貸付収入は、4住宅を合わせて302万2,920円である。なお、万場東住宅、重原住宅については、昨年11月からの貸付けのため、5か月分の賃貸料となっている。
【委員】
それでは、今後の駐車場の空き区画の有効活用はどのように考えているのか。
【理事者】
県営住宅駐車場の空き区画を活用したコインパーキングは、県営住宅への来訪者はもとより、県営住宅の周辺住民の利便性向上に寄与するとともに、路上違法駐車対策にも有効であると考えているため、引き続き、空き区画の有効活用としてのコインパーキング誘致を進めるため、コインパーキングに適した条件など事業者の意見を聴き、入居者の理解が得られた住宅でのコインパーキングの導入を図りたい。
【委員】
平成30年度の県政世論調査によると、県営住宅のイメージについてという問いに、住宅に困窮する人のための住宅として役に立っていると答えた人の割合が44.0パーセントと最も高く、また、県営住宅の果たすべき役割についてという問いでは、母子世帯、老人世帯、障害者世帯など住宅の確保に特に配慮を要する人向けに低家賃で安定的に住宅を提供する役割と答えた人の割合が69.8パーセントと最も高いとの結果が出ており、多くの県民が公営住宅法に基づいて、住民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とした県営住宅の必要性について理解していると考える。
今回、三つの視点で質問したが、今後も、継続的に適正な管理が実施されることを要望する。
【委員】
決算に関する報告書308ページの民間住宅・建築物耐震診断費補助金及び民間建築物耐震改修費補助金について伺う。まず、民間住宅・建築物耐震診断費補助金4,729万1,750円のうち、民間建築物耐震診断について伺う。
平成25年5月に、建築物の耐震改修の促進に関する法律、耐震改修促進法が改正され、昭和56年5月31日以前に着工された建築物で、小中学校やボウリング場、映画館、病院、百貨店、ホテルなどの不特定多数が利用することで、地震に対する安全性を緊急に確かめる必要性のある要緊急安全確認大規模建築物と愛知県の指定する道路、例えば緊急輸送道路の沿道に建つ通行障害既存耐震不適格建築物等の要安全確認計画記載建築物については、耐震診断の実施とその結果の報告が義務づけられている。
そこで、民間建築物耐震診断を行った3棟について伺う。
【理事者】
令和4年度に民間建築物耐震診断を実施した3棟のうち、2棟は通行障害既存耐震不適格建築物である豊田市内の住宅で、補助額はそれぞれ90万2,000円、61万5,000円である。
残る1棟は、耐震診断義務化建築物ではないが、豊橋市内の事務所に対して補助したもので、補助額は83万3,000円であり、3棟の合計額は235万円である。
【委員】
本県には、耐震診断が義務づけられた対象建築物はどのくらいあるのか。また、耐震診断を完了しているのはどのくらいなのか。そして、耐震診断が義務づけられても診断に至っていない建築物はあるのか。あればその理由も伺う。
【理事者】
令和4年度末時点で、県内の耐震診断義務付け建築物のうち診断が完了したものは、建築物の区分別に、要緊急安全確認大規模建築物は447棟のうち446棟、要安全確認計画記載建築物については、さらに2区分あり、通行障害既存耐震不適格建築物が515棟のうち509棟、防災上重要な建築物は60棟全てで完了しており、耐震診断義務付け建築物の合計1,022棟のうち1,015棟の診断が完了している。
合計1,022棟から診断完了1,015棟を差し引いた7棟については、耐震診断結果の報告が期限内になされず、診断結果を報告するよう命令を受けているもので、内訳は、要緊急が1棟、通行障害が6棟である。
これら7棟の建築物は、所管行政庁が愛知県以外の市になるが、診断を行わない理由として、診断を行ったとしても改修工事に必要となる費用負担が大きいこと、共同住宅等における区分所有者の合意形成が取れないこと、除却予定があることが理由である。
【委員】
まだ、7棟が診断はあっても改修されていないとのことで、それぞれコストがかかることが一番の課題だと思う。
次に、民間建築物耐震改修費補助金について、先ほどの診断の結果、改修が必要な建築物に対する市町村の耐震改修補助事業費に対して助成し、6市町、耐震改修12棟、補助額は8,514万円である。
そこで、県内の民間建築物耐震改修費補助事業を行っている市町村は幾つあるのか。また、県として補助制度を持っていない市町村に対する制度創設の働きかけについても伺う。
【理事者】
令和4年度時点で、民間建築物耐震改修補助事業を行った市町村は、要緊急安全確認大規模建築物に対しては7市、通行障害既存耐震不適格建築物は13市町、防災上重要な建築物は2市町である。
補助制度を持っていない市町村に対する制度創設の働きかけについては、耐震関係市町村担当者会議などの機会を捉えて周知するとともに、創設を検討している市町村に対しては、個別に制度の概要などについて助言を行っている。
【委員】
最後に、本県には耐震診断の結果、要改修の建築物はどのぐらいあるのか、また、令和4年度は6市町で改修12棟であるが、これまで県の補助により改修を行った建築物の累計の棟数、診断義務付け建築物の耐震化率の状況はどうなのか。民間建築物の耐震改修の現状と課題について伺う。
【理事者】
民間建築物の耐震改修の現状について、耐震診断義務付け建築物のうち、耐震性が十分でなく改修が必要とされたものは、令和4年度末時点で、要緊急安全確認大規模建築物が24棟、通行障害既存耐震不適格建築物が387棟、防災上重要な建築物が9棟の合計420棟である。
次に、令和4年度までの耐震改修費の補助実績であるが、要緊急が、平成26年度の制度創設以降の累計で16棟、同じく通行障害が平成27年度以降で35棟、このうち11棟は除却である。防災上重要な建築物が平成27年度以降で5棟の合計56棟である。
また、耐震化率の状況であるが、耐震診断義務付け建築物については、本県で策定している愛知県建築物耐震改修促進計画で耐震化の目標を定めており、要緊急と防災上重要な建築物については、2025年度までに耐震性が不十分なものを解消する。
この目標に対し、要緊急については、耐震診断結果の当初の公表時に集計した耐震化率が、平成28年度末で87.0パーセントだったものが令和4年度末で94.6パーセントに、防災上重要な建築物が、同様に令和2年度末で81.8パーセントだったものが85.0パーセントとなっており、引き続き、目標の達成に向けて耐震化の促進に取り組む。
一方、通行障害既存耐震不適格建築物については、2030年度までに耐震性の不十分なものを半数解消する目標に対して、令和2年度末での耐震化率が22.3パーセント、令和4年度末で24.0パーセントとなっており、改修を要する棟数も387棟と多いことが課題と認識している。
このため、今後、所管行政庁となる市との連携を図りながら、所有者に対する周知啓発により力を入れていく必要があると考えており、ダイレクトメールに加え、所有者等への個別訪問先を拡大するなどして改修の必要性や補助制度などについて案内するとともに、本県が構成員となっている愛知建築地震災害軽減システム研究協議会の活動として実施している専門家の派遣なども行いながら、引き続き周知啓発に努める。
【委員】
緊急輸送道路沿道の強度不足の建物の改修率が令和4年で24パーセント、387棟とのことであり、コストが課題だと思う。滞りなく進む改修ではないと思うが、南海トラフ巨大地震の発生も危惧されるため、粘り強く進めてほしい。
【委員】
決算に関する報告書276ページの単県事業のうち、道路橋りょう維持管理費の道路維持費について伺う。
まず、植樹帯の管理についてであるが、以前、植樹帯については30パーセント程度面積を減らして管理していくという方針が出され、現在、その事業が進んでいる。
そこで、事業の進捗と現在までの効果について伺う。
【理事者】
2021年度から4年の計画で、全体で約70万平方メートル弱の低木の植栽があるが、それを約3割撤去する計画を進めている。昨年度末で、おおむね6割弱の撤去が終わっており、予定どおりに進んでいる。
今年度も順次進め、目標としては、今年度内に撤去を終えて、来年度から植栽管理のレベルを上げる。従前、低木については、剪定と除草が1回ずつだったが、除草を年2回できるよう進めているが、そこまでの効果はまだ見えていない。
実際に撤去が終わり、来年度から除草が年2回に近い形でできれば、効果が見えてくると考えている。
【委員】
効果として、道路が広くなったため使いやすくなったとの声があると思っていたが、それは今後とのことである。
問題意識として持っているのが、植樹帯があった場所の土を少しはねのけて舗装したところがたくさんあるため、隙間から草が再度生えてくるのではないか。また、木を切って舗装工事が始まるまでの間は、短い切り株が道路や歩道の中に残っている状況が続くため、通行上の支障になる。安全管理上、対応を早く進めてもらいたい。
<委員外議員発言>
【議員】
決算に関する報告書302ページの名古屋飛行場費について伺う。
1億円余の不用額になった要因と、歳入の着陸料の推移に関して、近年の推移も含めて額を伺う。
【理事者】
主に施設整備費に関するものであり、入札による費用の減少や効率的な執行に努めたことにより、不用額が発生した。
【議員】
着陸料の推移はどうなのか。
【理事者】
着陸料は、使用料及び手数料と整理しており、2022年度は、約17億円の使用料及び手数料をとっている。2021年度は約16億円の使用料及び手数料をとっている。
【議員】
特に着陸料に関しては、株式会社フジドリームエアラインズが就航先、路線を増やしており、その関係で増加傾向にあると思う。
この名古屋飛行場費のほぼ全額に相当する着陸料等が歳入として入っていることが分かる。周辺環境をよくするという観点から話すが、私の地元では、移転補償地、移転補償跡地の問題があり、県営名古屋空港周辺については、移転を希望する住民から国土交通省大阪航空局が買い取った用地が点在している。
春日井市では、毎年、大阪航空局と無償貸借契約を締結して、児童遊園、駐車場や駐輪場、市民農園として使用してきた。平成17年に県営名古屋空港が開港したことにより、大阪航空局は所有し続ける理由がなくなったとして跡地の処分を進めている。現在、無償で借り受けている移転補償跡地については、令和6年度末をめどに返還または購入する必要がある状況になっているが、名古屋空港が県営になったため、県として積極的に、周辺環境の改善に向けて、もう一歩踏み込んだ対応を取ってほしい。直近でも、地元の春日井市飛行場周辺対策市民協議会から、航空ファンにも人気の公園のエアフロントオアシスが、空港に親しむ緑化空間として整備されており、多くの人が利用するものであるため、空港設置管理者として県が国から購入して、再整備し管理されたいという要望を出している。
他県の状況を聞いたところ、空港の移転補償地を都道府県で購入している例もある。現在、県営名古屋空港に関しては、株式会社フジドリームエアラインズの就航先が増えており、他県の人にも地元の人にも非常に好評であり、愛知県の空の窓口の一つとして、また小牧市や豊山町でも、観光資源としても活用している。空港設置管理者の愛知県が積極的に関わってほしいため、不用額や着陸料の推移からしても、地元に対し、国から返還を求められている土地について積極的に財政支援などをお願いしたいという地元の声があるため検討してほしい。
《教育・スポーツ費関係》
【委員】
決算に関する報告書343ページの小学校費及び中学校費について、また、少人数学級について伺う。
少人数学級という言葉があるが、私が小学生の頃は45人程度の学級が8クラスあり、360人の同級生がいた時代であるため、思い起こしても、同級生の顔が全員浮かぶわけではないという状況であった。子供が少なくなり、いろいろな個性を持った子供もいる中、少人数学級における効果はしっかりと示されていると考えており、国もその方針で動いている。
愛知県でも小学校の少人数学級を拡充しているが、少人数学級の実施状況、効果について伺う。
【理事者】
少人数学級について、国は平成23年に、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律を改正し、小学校第1学年の学級編制の標準を35人に引き下げた。また、令和3年に同法を改正し、小学校の学級編制を令和3年度から令和7年度までの5年間で、小学校第2学年から学年進行で計画的に35人に引き下げる。
一方、愛知県では、独自に35人学級を小学校第1学年で平成16年度から、また、第2学年では平成20年度から実施しており、令和3年度は、国に先行して小学校第3学年に35人学級を拡充している。令和4年度は、引き続き、小学校第4学年に拡充して175人の教員を配置した。
県教育委員会として少人数学級を実施する効果は第一に、児童生徒一人一人に教職員の目が行き届くようになり、学習状況やいじめ、不登校など、特別な配慮を必要とする子供たちにスムーズに、かつ適切に指導を行うことができるようになる、学習や生徒指導上の効果がある。
また、教員1人当たりの受け持つ児童生徒数が少なくなることにより、テストの採点や宿題の添削、学習成績の評価など、業務の縮小による教員の働き方改革への効果がある。
【委員】
少人数学級では効果が認められているとのことである。愛知県は国に先行して行っているが、私自身も拡充を進めるべきだと考えている。
そこで、今後の方針について伺う。
【理事者】
国は、来年度予算の概算要求で、小学校第5学年の学級編制の標準を35人に引き下げるとしている。愛知県では、国に先行して今年度、小学校第5学年に35人学級を拡充した。来年度も、国に先行して少人数学級を第6学年に拡充できるよう努めたい。
【委員】
文部科学省も少人数学級に対する効果は出ていることを示している。現在、GIGAスクール構想で1人1台端末の教育も行っており、児童生徒一人一人に対して手が届く教育が必要と考えるため、教員の負担軽減も必要である。これは、地域の教員と話しても出てくる話であり、保護者からも強く要望していることであるため、ぜひ、愛知県では、国に先行してしっかりとこの取組を進めてもらいたい。
【委員】
決算に関する報告書332ページのあいちグローバル人材育成事業費について伺う。
あいちグローバル人材育成事業費において、決算に関する報告書333ページのあいちスーパーイングリッシュハブスクール事業はいつから開始し、どのような事業なのか。また、その事業の中で、ハブスクールはどのような役割をしているのか。
【理事者】
あいちスーパーイングリッシュハブスクール事業は、2013年度から10年間実施した。
この事業では、英語をコミュニケーションの道具として高いレベルで使いこなす人材の育成を目指し、ハブスクールと称する研究校13校を指定し、英語によるコミュニケーション能力を育成する指導方法や、小学校、中学校、高等学校の学びを接続する英語教育の在り方について実践研究を行い、その成果を県内の小学校、中学校、高等学校に普及還元することで、愛知県全体の英語力の向上を目指している。
ハブスクールは、自校の生徒を対象に、研究開発した指導方法や評価方法などを、自らが主催する地区の授業研修会で発表して他の高等学校に広めるとともに、地域の小中高校の教員が互いの授業を参観し、効果的な指導方法や相互の連携について話し合う機会を設け、小中高校の英語教育をスムーズに接続するための取組を行った。
【委員】
10年前から始めたとのことだが、この事業開始にはどのような目標があったのか、また、始めてから10年ほど経過しているが、事業の実施により高校生の英語力は本当に強化されたのか。
【理事者】
本事業の開始時である2013年度に立てた目標は、高校3年生のうち、英検準2級以上の英語力を有する生徒の割合を50パーセント以上とすることであった。
事業開始時は29.1パーセントであったが、2017年度には34.7パーセント、そして2022年度には41.3パーセントと、目標の50パーセントには達しなかったものの、10年間で約12ポイント上昇しており、本県の高校生の英語力は着実に向上している。
【委員】
英語力は10年間で確実に伸びているとのことだが、愛知県の高校生の英語力は決して高くなく、下から数えたほうが早いとのメディア報道を目にした。その前提条件に関しては、いろいろな見方があると思う。
しかし、そのような条件を鑑みながらも、高校生全体の英語のレベルアップが今後もさらに続くように、例えば、それぞれの高校でアシスタント・ランゲージ・ティーチャー(ALT)を活用している状況だと思うが、そのALTの活用、あるいは、愛知県独自での生徒の英語力を向上させる方法をぜひ検討、推進してほしい。
【委員】
決算に関する報告書352ページの産業教育設備費について伺う。
工科高校の産業教育設備整備費の予算と決算を対比し、計画どおりに執行できたのかどうか評価を伺う。また、計画どおりに執行できていなかったとしたら、その理由は何か。
【理事者】
産業教育設備整備費のうち、工業科を設置している常滑高校を含む工科高校16校については、予算額5,114万1,340円に対して、執行額は4,787万5,204円である。この差額326万6,136円は入札による残額であり、計画どおり執行できている。
なお、工業科を対象とした2022年度予算は、産業教育設備整備費全体の47.15パーセントを占めている。
【委員】
次に、それぞれの学校からの要望に対してどのようなものを買ったのか、具体的に伺う。
【理事者】
各工科高校からは、金属加工の基礎基本の習得に必要な旋盤やフライス盤、複数の加工工程を1台で自動で行えるマシニングセンターという工作機械、製造ラインの機械を一括制御するシーケンス制御装置、自動車のアライメント調整装置、自動運転に必要な高精度センサーの装置など、各学科の実習で必要な設備や装置の更新、新規購入の要望が多数出ている。
2022年度は、それらの要望のうちシーケンス制御装置、フライス盤、アライメント調整装置などの更新を優先して行った。
【委員】
更新が優先とのことだが、教育委員会として、そもそも更新が優先される内部基準があるのか。
【理事者】
各学校の一番使用頻度の高いもので老朽化が非常に進んでおり、まずは、基礎の習得に必要な機器の購入を優先した。
【委員】
教育委員会の優先基準を、学校は知っているのか。知っているとしたら、それに合わせて学校は申請できると思うが、知らない場合は非効率な申請も出てしまう。その点はどうなのか。
【理事者】
各学校は知っている。教育委員会は、例年どおり同じ基準で行っているため、昨年と違う基準で行っているわけではない。限られた予算であるため、まずは故障や老朽化しているものを優先している。
【委員】
基礎的なところは基礎的な部分でしっかり押さえていかなければならないとはいえ、技術の革新で移り変わっていくものもある中で、優先順位のつけ方はとても難しいと思う。
工科高校は、言うまでもなく、モノづくり愛知を支える貴重な人材を育成する教育機関であるが、単に愛知県を支えるにとどまらない、日本の将来を支える人材であるため、より充実した教育設備の整備を要望する。
次に、決算に関する報告書372ページのあいちスポーツコミッション事業費について2点伺う。
まず、日本では12年ぶりの開催となったFIA世界ラリー選手権ラリージャパンの支援事業の決算額、執行内容及び事業効果について伺う。
【理事者】
FIA世界ラリー選手権ラリージャパン支援に係る事業の決算額は、2,050万8,000円である。
執行内容として、本県は興行主体であるラリージャパン2022実行委員会に参画し、大会の機運醸成や盛り上げ、愛知の魅力発信を行った。
具体的には、観戦・観光ブックの作成、配布などによる大会情報や観光情報の発信、名古屋駅でのラリー車両のPR展示やパブリックビューイングイベントによる大会関連イベントの実施、大会会場でのステージイベントの開催や愛知県PRブースの出展など、大会会場の盛り上げ、公共機関での歓迎装飾の実施などを行った。
事業の成果は、大会開催中、約11万2,000人もの人に来てもらい、大会を通じてモータースポーツの魅力を発信することができ、また、多くの人に競技会場となった地域の風景や地元産品などにも触れてもらう機会ができたことで、この地域の魅力が発信できた。
【委員】
次に、ラリージャパンのほかにも、モータースポーツの大会として新城ラリーの支援も行ったと思うが、その決算額、執行内容及び事業効果はどのようであったのか。
【理事者】
新城ラリーの支援に係る決算額は、1,212万3,100円である。
執行内容は、本県は主催者である新城ラリー実行委員会に参画して、大会のPRや盛り上げを行った。
具体的には、本年2月に、名古屋市内でラリーカーパレードを実施するなど、大会のPRイベントを行ったほか、大会の見どころや奥三河等の魅力を掲載した観戦・観光ブックの作成、配布、現地でのライブ配信、また、総合優勝者へ交付する愛知県知事杯の作成などを行った。
事業の成果として、競技の行われた2日間で約2万6,500人に会場へ来てもらった。大会の盛り上げを通じて、地元をはじめ県内にラリー競技の魅力が浸透するとともに、地域の振興にもつながった。
【委員】
ラリージャパンの動員数11万2,000人はすごい数だと思う。このようなすばらしいイベントを、いろいろな観点、地域振興、観光、スポーツ、愛知県の自動車産業を上手に絡めて盛り上げてほしい。
【委員】
決算に関する報告書333ページの道徳教育推進事業費について伺う。
この事業は、人間関係をつくる力やコミュニケーション能力を養い、社会で自立して活躍できる人材を育成するため、道徳教育の実践や様々な体験活動、地域貢献活動を行っているとのことである。大変重要な取組であるため、この事業が実施された経緯と事業の推移、成果について伺う。
【理事者】
道徳教育推進事業は、地域貢献活動を通して生徒の豊かな情操や道徳心を育むことを目的として、2014年度から実施している。毎年、県立高校と特別支援学校の中から10校を指定し、地域の清掃や、高齢者や幼児、障害のある人々を対象としたボランティア活動、近隣小中学校との交流、小学生対象のモノづくり講座やプログラミング講座など、それぞれの学校の実情に合わせた地域貢献活動を行っている。
2022年度までの9年間で、県立学校178校中53校を指定して、事業を実施してきた。昨年度の実践指定校からは、地域貢献活動を通して、相手を尊重する態度や人間関係をつくる力、コミュニケーション能力を高めることができたという成果が報告されている。こうした実践指定校での取組や成果は、報告書にまとめて周知し、広くほかの学校にも還元している。
なお、令和5年度は、これまでの成果を踏まえて、実践指定校を10校から12校に増やしている。
【委員】
実践指定校を今年度は12校に増やすとのことである。
とてもありがたい話ではあるが、年間の指定校が限られており、この取組を行った学校は翌年度も事業を展開したいと考え、実施できなかった学校は、翌年度にぜひ行いたいという希望があると思う。
そこで、実践指定校の選定はどのように行われているのか、また、選定されなかった学校へは、どのようにフォローしているのか伺う。
【理事者】
実践指定校については、指定を希望する学校から提出された企画書の内容を審査し、10校を選定した。
なお、本事業は、基本的に単年度で実施しているが、生徒の情操を育むことなどを目的とする事業のため、学校の状況によっては、同一校が複数年度にわたって実践指定校となる場合もある。希望しながら指定されなかった学校に対しては、過去の実践指定校の取組や成果を取りまとめた報告書を参考にして、翌年度に実施する地域の施設や団体と連携した企画を検討するよう助言するなど、翌年度のエントリーと指定につながるよう配慮している。
【委員】
この事業費で活動を展開した校長に話を聞くと、学校外で取組を展開するために、まずは計画、そして実行、うまくできた点や改善点を肌で感じながら次につなげるPDCAサイクルを生徒たち自らが回すことで成長を感じ取ることができ、大変有意義な取組とのことである。特に、コロナ禍で外とのつながりが希薄になってしまったため、今後は積極的に展開していきたいとの話も聞いている。
また、この事業費が充てられたわけではないが、今夏に開催された春日井サイエンスフェスタには、市内にある県立高校が多数ブースを出展しており、私の小学生と幼稚園児の子供も、高校生から楽しい実験やプログラミングなどを教わり、とても喜んでいた。
現在、県立高等学校再編将来構想を検討して進めてもらっているが、県立高校の一層の魅力化、特色化、再編の五つのポイントが記載されているが、まさにこうした取組の推進が鍵を握ると思っているため、こうした事業は、より一層力を入れてもらいたい。
次に、決算に関する報告書359ページの家庭教育支援基盤形成事業費について伺う。
この事業費は、保護者等を対象に、訪問や電話等により家庭教育に関する相談や支援を行っている。近年、不登校児童生徒が増加する中で、とても大切な取組である。
そこで、家庭教育相談の実施状況として、相談件数140件、延べ相談回数5,234回と記載してあるが、具体的な事業内容や実施体制はどのようになっているのか伺う。
【理事者】
家庭教育相談は、退職した小中学校教員を家庭教育コーディネーターという相談員として、県内六つの教育事務所・支所に16人、あいちの学び推進課に1人配置し、不登校など家庭教育上の問題を抱える保護者からの電話やメールによる相談のほか、直接家庭を訪問して相談、助言を行っている。
また、教員、カウンセラーへの就職を目指す大学生が、ホームフレンドというボランティアとして30人登録し、児童生徒の話し相手や遊び相手の希望があった家庭を家庭教育コーディネーターと一緒に訪問して、相談活動を行っている。
なお、昨年度の相談件数140件のうち、不登校に関する相談が133件と大半を占めている。
【委員】
市町村でも、同じような家庭教育相談事業を実施していると思うが、県としてどのような役割をしているのか。
【理事者】
家庭教育相談事業は、まずは、市町村で対応してもらうことを基本としている。しかし、市町村によっては十分な相談や支援が行えないケースもあるため、県が補完する形で相談活動を行っている。
【委員】
家庭教育相談事業を実施したことにより、どのような成果があったのか。
【理事者】
2022年度に相談があった140件の中で、不登校に関する相談133件については、9割近くの116件が、登校できるようになる、校外の施設へ通えるようになる、外出できるようになるなど、相談開始時よりも状況が好転し、成果があった。
【委員】
児童生徒の不登校数の増加に伴い、家庭教育コーディネーターとホームフレンドによる相談回数の増加が予想されるが、それに対してどのような対応をしているのか。
【理事者】
家庭教育コーディネーターによる相談回数は、児童生徒の不登校数の増加に伴い、2019年度の3,532回から、2022年度には5,234回になるなど、増加している。
コロナ禍により、家庭訪問による相談回数は減少したものの、電話、メールなどの相談回数は増えている。
2022年度には、家庭教育コーディネーターに対して継続的な相談や支援ができるよう、1人1台の相談用スマートフォンを配備し、電話以外にもメールやLINEのビデオ通話により相談できる環境を整え、相談者が気軽に相談できるようにしている。
また、保護者から、ホームフレンドの家庭訪問に対する要望が増えたことを受けて、2021年度には、ホームフレンドを8人増員して30人にした。ホームフレンドの家庭訪問回数は、2019年度の573回から、2022年度には860回になり、保護者の要望に応えることができた。
【委員】
本県の不登校児童生徒数は、小学校では、令和元年度が3,710人であったものが、令和4年度には7,408人、中学校では、令和元年度が8,441人であったものが、令和4年度には1万3,367人と年々増加している。この対策としては、多方面からの方策が必要である。
その一つとして、本事業は有効に相談に応じてもらえる体制が必要だと思うため、ぜひ、十分な対応を取れるよう要望する。
次に、決算に関する報告書375ページの障害者スポーツ振興費について伺う。
私は、令和3年11月定例議会で行った代表質問の中で、障害者スポーツに係る項目を取り上げ、その際、障害者スポーツの普及拡大に向けた取組を進めていくという答弁をもらった。
そこで、障害者スポーツを推進するために令和4年度はどのような取組を行ったのか、特に、新たに実施した取組があれば、それはどのような内容、実績、成果があったのか伺う。
【理事者】
令和4年度には、これまで行ってきた種目別スポーツ大会や愛知県障害者スポーツ大会、障害者スポーツの体験会、あいち障害者スポーツ連絡協議会の開催のほかに、機会創出、人材育成、交流促進の観点から、次の三つの新たな取組を実施した。
初めに、地域や医療機関での障害者スポーツ体験機会の創出のため、ボッチャやフライングディスクの用具を貸し出す事業を実施し、総合型地域スポーツクラブ3施設、リハビリテーション施設2施設、特別支援学校4校で活用してもらった。
次に、障害者スポーツを支える人材育成のため、三つのセミナーを開催した。ボランティアを育成するあいちパラスポーツサポーター育成セミナーに103人、障害者スポーツ指導員資格認定校の学生に資格取得を促す若手指導者育成セミナーに17人、活動休止中の指導員に活動再開を促す指導者リ・スタート支援セミナーに30人が参加した。
最後に、障害のあるなしにかかわらず、誰もがスポーツを通じて交流を深められるあいちパラスポPARKを開催した。県内の企業や大学と協力し、パラリンピアンのトークショー、ブースや福祉車両の出展などを行い、522人が参加した。
これらの新規事業は参加者からの評価も高く、令和5年度も引き続き実施している。
【委員】
愛知県及び名古屋市は、10月3日にアジアパラリンピック委員会などと開催都市契約を締結し、いよいよ正式に、2026年10月に愛知・名古屋でアジアパラ競技大会が開催されることが決まった。大村秀章知事は会見で、大会の開催は多様性を尊重し、共生社会の実現に貢献する重要な社会的意義がある。しっかりと準備を進め、大会の成功に向け全力を尽くすと話している。
そこで、今後の障害者スポーツの取組をどのように進めていくのか。
【理事者】
アジアパラ競技大会に向けて、障害者スポーツを理解し、応援するあいちパラスポーツサポーターの取組を推進し、学生も含めた幅広い年齢層を支える人材として育成していく。そして、認定したサポーターに対して、スポーツ大会や体験型イベント、あいちパラスポPARKなどでの継続した活動を促すことで、2026年のアジアパラ競技大会において、ボランティアリーダーの役割を担うことができるよう支援していく。
このほか、パラアスリートの強化育成を図るため、国際大会を目指すパラアスリートに対して、合宿、大会への参加費等に1人50万円まで補助するオリンピック・アジア競技大会等選手強化事業を実施している。
今後も、障害者スポーツの普及促進に努めるとともに、支える人材の育成や本県ゆかりのパラアスリートの強化などにより、2026年のアジアパラ競技大会の盛り上げにつなげ、障害者スポーツのさらなる裾野拡大を図っていきたい。
【委員】
私は、アジア・アジアパラ競技大会推進特別委員会に所属しており、8月に行われた委員会では、公益財団法人日本パラスポーツ協会、安岡由恵氏に話を聞く中、アジアパラ競技大会の開催の意義として、ただ単にパラスポーツへの理解で終わらせず、パラスポーツを通じた共生社会への理解につなげることがとても大切であると学んだ。
障害者スポーツの普及拡大は、その一翼を担うと思うため、さらに力を入れてもらいたい。
【委員】
決算に関する報告書325ページの教育委員会費の学校業務改善推進事業費について伺う。
部活動の段階的な地域移行に向けた実践研究をしているとのことであるが、さらに詳しく成果や課題について伺う。
【理事者】
昨年度、運動部活動は春日井市と大口町の2市町で、文化部は豊田市で、休日部活動の地域移行について実践研究を行った。
成果としては、例えば大口町では、総合型地域スポーツクラブを活用し、指導者不足で廃部となっていた水泳部の活動が復活できたこと、また豊田市では、吹奏楽部において、複数の指導者による楽器ごとの専門的な指導を受けることができ、生徒たちの技術や意欲の向上につながったことや、学校と地域の連携を進めるため、中学校区ごとに設けられた地域学校協働本部が主体となり、学区内から指導できる人を集めたことから、地域で生徒を育てる意識が高まったことが挙げられる。
運動部、文化部ともに、平日の学校部活動と休日の地域クラブ活動で指導者が異なるため、指導者間の連携が課題となり、豊田市では、部活動顧問とクラブ指導者が情報交換する場を定期的に設け、指導方針を確認して、解消に努めた事例が報告されている。このほか、活動場所や指導者の確保、保護者の費用負担が課題として挙げられる。
【委員】
地域や環境によって課題がたくさんあると思う。この事業を進めていくためには、そのようなものを取り込みながら進めていかなければならない。
また、この事業が、学校業務改善推進事業費という教員の働き方改革を推進するための事業費として挙げられているが、実際には、生徒の部活動の充実を目的に入れて取り組まなければ、本当に目標が達成したことにならないと思うため、ぜひこの点を検討してほしい。
次に、決算に関する報告書325ページの教育総務費について、高等学校のICT支援員の配置について伺う。
義務教育段階では、様々なICT教育に一生懸命取り組んでいる現場を見る機会もあり、教員も一生懸命やっていると感じる。
一方で、高校段階になると、1人1台端末を確保したにもかかわらず、端末は学校に常時置いてある、授業でもほとんど使ったことがない、使えば同時に更新が入って、通信環境が非常に悪くなるなど、いろいろな課題があると聞く。
そこで、ICT支援員を配置した事業について、ICT支援員の業務内容と配置した効果、課題についてどのように評価しているのか伺う。
【理事者】
ICT支援員の業務内容は、各学校に出向いて、機器やソフトの使い方について教員からの質問に答えることやトラブルへの対応、ICTを活用した授業の準備や実施の補助、教員向けの研修、タブレット端末のアプリの更新作業などの教員に対する支援である。
次に、その効果について、令和4年度は、12校のICT研究校へ毎週1回派遣するなど、集中的に支援した。ICTを苦手とする教員には基礎的な内容、得意とする教員には高度な内容と、ニーズに合わせた支援を行い、その結果、着実に教員のICTスキルが向上したものと認識している。
一方で、それ以外の多くの学校では、二、三か月に1回程度の派遣となっており、十分な効果が出るまでには至っていない。また、学校によっては、ICT支援員のサポートによりペーパーレス会議や欠席連絡のオンライン化なども進めることができ、教員の多忙化解消にも貢献している。タブレット端末の活用が進むにつれて、新たな困りごとや活用方法についての疑問点などが出ているため、引き続き、ICT支援員による支援を充実させていくことが必要である。
【委員】
今、取り組んでいる段階とのことだが、せっかく買ったタブレットは、数年のうちには古くなっていくため、そこまでにいかに使うかも大変重要である。子供たちは、家などでは、かなりスキルを高めて使っている状況にもかかわらず、学校ではそのような状況であり、そもそも導入する段階で、生徒に持ってきてもらい配備してはどうかという話もあった。
現場で積極的に、自分の調べ物でも使える環境を整備することや、有効に使うことを考えてもらいたい。6年、7年すると古くなるが、そのときに再度新品を購入する予算が組めるか疑問に思うため、ぜひICT教育について真剣に取り組んでもらいたい。
最後に、決算に関する報告書347ページの高等学校整備事業費、県立学校施設長寿命化推進事業費、また、決算に関する報告書355ページの特別支援学校整備事業費について伺う。
令和元年度から取り組んでいる県立学校の大規模な長寿命化改修について、令和4年度末の状況でどのぐらい進んでいるのか、計画に遅れがあるのか伺う。
【理事者】
県立学校施設長寿命化計画は、2019年度から2029年度までを計画期間とし、高等学校、特別支援学校を合わせ、739棟の大規模な改修を実施する。
進捗状況について、2022年度までに187棟の工事を完了しており、進捗率は25.3パーセントである。また、今年度に計画している51棟を合わせると、進捗率は32.2パーセントとなる。
工事の実施に当たっては、毎年度、個々の建物の劣化の状況や事業費の平準化を考慮しながら決定しており、計画どおり進めている。
【委員】
大変お金がかかる事業であるため、引き続き頑張ってほしい。
今回の長寿命化計画の対象建物については、原則的に、延べ床面積が200平方メートルを超えている鉄筋コンクリート造、もしくは鉄骨造の建物であると聞いている。ほかにも、例えばクラブの部室のような附属建物やコンクリートブロック造でできたものが、今回の長寿命化の対象にはなっていない。
計画対象外の建物について、老朽化対策に係る対応をどのようにしていくのか。
【理事者】
部室棟については、県立高校150校のうち130校に322棟設置されている。このうち、コンクリートブロック造については、285棟が設置されている。
長寿命化計画の中で対象外としている建物については、例えば建物の扉の取替えや塗装など、小修繕の工事は、年度当初に各学校に配分している予算の範囲内で執行している。また、屋上防水や外壁補修など、規模が比較的大きなものについては、学校からの整備要望を受けて予算配分を行い、学校執行により改修工事を実施している。
こうした維持修繕費の予算額は、2018年度以降、年々増額を図っており、引き続き、長寿命化計画に基づく施設の改修を計画的に進めるとともに、計画の対象外となった建物の維持管理についてもしっかりと取り組む。
【委員】
私が訪問した場所は、40年から50年前に造ったコンクリートブロック造の部室などがあり、素人目に見ると、ブロック塀のイメージから耐震性能は大丈夫なのかと思うことがあったため、聞いてみると、耐震診断をしたことがないとの話もある。建物の大きさにかかわらず、何かあったときに大変な事態になるため、まずは耐震診断をしてもらいたいことと、大事なところから順番に進めながら、このようなものについても更新してもらいたい。
【委員】
決算に関する報告書325ページの県立学校オンライン学習支援事業費について伺う。
以前、新聞記事で、文部科学省の調査で、2022年度の不登校の小中学生は過去最多の約29万9,000人で、前年度比22.1パーセントの大幅増となったと発表された。
不登校となった原因は様々だと思うが、不登校によって学ぶ機会が失われてはならず、その対策として不登校生徒の受皿が求められる。そこで、本県では、県立学校の不登校生徒に対してオンライン学習支援サービスを提供しているため、その取組について伺う。
まず、本県の2022年度の高校の不登校生徒の人数はどのくらいか。
【理事者】
2022年度の愛知県の公立、私立、国立高校での不登校生徒数は、合計で2,908人である。
【委員】
次に、不登校生徒716人の対象者と事業費438万1,920円の内容、また、オンライン学習支援サービスをどのように使っているのか伺う。
【理事者】
まず、716人の内訳だが、不登校生徒が15人以上在籍している県立学校31校の681人と、中学校卒業後の進路未定者や高校中退者等を対象に、県教育委員会が実施している若者・外国人未来塾に通う35人を足したものである。
事業費の内容は、オンライン学習支援サービスであるスタディサプリの利用料であり、1人当たり年間利用料6,120円に、対象者の人数716人を乗じた額である。
スタディサプリは、約1万5,000本の豊富な授業動画を視聴し、確認テストにより学力を把握することができるサービスである。苦手な教科の解説動画を繰り返し視聴する、確認テストでつまずいたところを復習するなど、生徒は自分の学習状況に合わせて活用している。授業動画や確認テストのほかにも、学校は、アンケート機能や連絡機能を使って生徒の状況を把握する、学校行事や教室の様子を伝えるなど、学校とのつながりを保っていくことにも役立てている。
【委員】
年間30日以上休んでいる生徒が15人以上いる学校にスタディサプリを配布しているとのことである。不登校生徒へのオンライン学習支援サービスは、高校へ通えなくなった生徒が学び続けられる有効な手段だと思う。
そこで、課題や改善点もある中で、事業の成果について伺う。
【理事者】
個々の学習ニーズに合った授業動画を見ることで、学校復帰に向けて、学習の遅れを少しでも取り戻し、切れ目ない支援を行う手だての一つとして、スタディサプリを導入している。
成果は、登校できない生徒がスタディサプリの動画を見ることで学習意欲が高まり、学校の授業にオンラインで参加できるようになった事例がある。これが学校復帰につながるとよいと考えている。
また、以前は、教員が家庭訪問して授業プリントを渡したり、電話で様子を聞く程度の支援しかできなかったが、スタディサプリの導入で、本人のニーズに合った学習支援ができるだけでなく、アンケート機能や連絡機能を使って、よりきめ細かな支援が可能となった。
課題は、スタディサプリの初期登録を行う作業が生徒だけでは難しく、技術的な支援が必要であることや、スタディサプリを使いこなし、自宅で学習を継続していくためには、生徒一人一人に寄り添った支援が必要であり、担任などの教員だけでは負担が大きく、そうした役割を果たす支援員などがいるとよいことである。
【委員】
課題はあるが、成果はあると思うため、引き続き、不登校の生徒の手だてとしてしっかりと進めていってほしい。
次に、決算に関する報告書329ページのスクールロイヤー設置事業費について伺う。
いじめや不登校の児童生徒に対するスクールカウンセラーや、貧困や虐待など児童生徒が抱える問題解決に対応するスクールソーシャルワーカーに加えて、スクールロイヤーを配置することにより、小中学校での様々な問題に対して、深刻化する前に早期解決を図るための法務相談などを2020年度から行っている。
本県では、20人のスクールロイヤーが配置されているが、昨今の学校現場でスクールロイヤーが必要となっている背景と、スクールロイヤーの事業内容について伺う。
【理事者】
スクールロイヤーが必要な背景だが、学校現場で、いじめ、保護者とのトラブル、学校事故等が増えており、中には、訴訟となるなど深刻化する事案もある。こうした事案はどの学校でも起こる可能性があり、その対応として、初期段階で法的な専門知識を有する人からの助言が必要となっている。そこで、愛知県弁護士会から推薦があった20人の弁護士をスクールロイヤーに任命し、法的な観点からの助言を行っている。
事業内容として、市町村や学校から個別に相談を受ける法務相談と教職員に対する研修を行っている。法務相談には随時相談と定期相談があり、随時相談は、市町村教育委員会や各学校からの要請を受け、電話相談を行うことや、法律事務所、学校等で面接相談を行っている。
定期相談は、各教育事務所が設定した相談日に、希望する市町村教育委員会、各学校の管理職等が教育事務所に出向き、面接相談を行うものである。
教職員研修は、スクールロイヤーを講師として、管理職等、学校の教職員を対象に、法律や子どもの権利条約等に関する知識を解説してもらい、具体的な対応策についてケーススタディーをするなどの研修を行っている。
【委員】
前年度と比較して、令和4年度のスクールロイヤーの相談件数、活動実績の具体例、とりわけスクールロイヤーの活動が顕著であった事例があれば伺う。
【理事者】
令和4年度の相談件数は、随時相談103件、定期相談40件、合わせて143件となっている。初年度の令和2年度の総相談件数は140件、2年目の令和3年度140件、令和4年度143件と、ほぼ横ばいとなっている。
しかし、総相談件数のうち随時相談件数が、令和2年度78件、令和3年度93件、令和4年度103件となっており、タイムリーな相談が確実に増え、このことはスクールロイヤーが有効に活用されていると実感している。
令和4年度の主な相談内容は、随時相談の内訳を見ると、保護者からの要求に関する相談が約29パーセントと最も多く、次いで、子供同士のトラブルが約18パーセント、いじめが約17パーセント、学校事故が11パーセントなどとなっている。
活動が顕著であった事例は、担任教諭の不適切な指導が原因で子供が不登校、睡眠障害になったとして、保護者から慰謝料等の損害賠償請求をほのめかされた学校からの相談への対応がある。学校は、スクールロイヤーから損害賠償請求制度に関する知識や法的根拠に基づく適切な対応などについて助言を受け、保護者への丁寧な説明や冷静な対応ができたことにより、保護者の理解を得て、損害賠償の請求に至らずに済んだという事案がある。
【委員】
学校現場で発生する事案は本当に複雑化している。143件の相談があったとのことであり、中でもタイムリーな相談が増えているとのことであるため、スクールロイヤーの必要性を感じる。
スクールロイヤーの設置は、学校現場だけでトラブルに対応し切れなかった場合や、教員の負担軽減を図る意味でも大いに期待される。
スクールロイヤーの配置が、令和3年度の19人から、4年度は20人に増員されているが、今後のスクールロイヤーの増員についての考えを伺う。
【理事者】
スクールロイヤーによる相談については、活動に必要と想定する年間280時間分の予算を確保し、登録された20人は、その範囲内で分担して相談等に応じている。
これまでの活動実績から、予算額が不足している状況ではないが、随時相談件数が増加傾向にあることからも、今後の活用状況を見ながら、活動時間を増やすことを検討する。
【委員】
一番重要なことは、トラブルが発生したときの初期対応である。スクールロイヤーは、大変重要な任務だと思うため、引き続き、検討を進めてほしい。