委員会情報
委員会審査状況
一般会計・特別会計決算特別委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年11月17日(金) 午後0時58分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
鈴木喜博、寺西むつみ 正副委員長
伊藤辰夫、山本浩史、神戸健太郎、丹羽洋章、山田たかお、杉江繁樹
高橋正子、日比たけまさ、黒田太郎、加藤貴志、神谷まさひろ 各委員
警察本部長、警察本部総務部長、警務部長、生活安全部長、地域部長、
刑事部長、交通部長、警備部長、財務統括官、首席監察官、
組織犯罪対策局長、
県民文化局長、県民生活部長、人権推進監、女性の活躍促進監、文化部長、
環境局長、同技監、環境政策部長、地球温暖化対策監、資源循環推進監、
会計管理者兼会計局長、同次長、
監査委員事務局長、同次長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 決 算
決算第1号 令和4年度愛知県一般会計歳入歳出決算
歳出第3款県民環境費、第8款警察費及びこれらに
関する歳入
<会議の概要>
Ⅰ 警察本部関係
1 開 会
2 決算概要の説明
3 質 疑
4 休 憩(午後1時43分)
Ⅱ 県民文化局、環境局関係
5 再 開(午後1時54分)
6 決算概要の説明
7 質 疑
8 閉 会
(主な質疑)
《警察本部関係》
【委員】
令和4年度決算に関する附属書307ページの警察活動費の旅費について伺う。
令和4年度の支出済額が約3億6,000万円とあるが、この金額は全て警察職員に対する旅費か。
【理事者】
支出済額3億5,911万5,207円のうち、警察職員に対して支払われた旅費は3億4,138万6,393円で、割合では約95パーセントが警察職員に対するものである。
【委員】
約95パーセントは警察職員に対する旅費とのことだが、犯罪は広域化しているため、旅費については警察活動に必要な経費であることはよく認識している。
一方で、民間ではコロナ禍もありオンラインでの会議や打合せを行うことが多くなってきている。県警察においてもオンラインで会議を行うことができれば、移動が不要になることで身体的な負担も緩和され、働き方改革にもつながると思うが、このような取組を行っているのか。
【理事者】
県警察では、新型コロナウイルス感染症防止対策の一環として、令和3年8月に、警察本部や警察署など端末が整備されている自席等において、職員が会議や研修等に参加できるウェブ会議システムを導入した。オンラインによって会議等を行うウェブ会議システムは、会議や研修等に参加する職員の移動に伴う負担軽減や経費削減などの働き方改革につながるため、現在もその活用を推進している。
【委員】
令和4年度のウェブ会議システムの利用状況について伺う。
【理事者】
令和4年度におけるウェブ会議等の開催数は588回で、参加者は延べ1万5,576人であった。
次に、ウェブ会議システムの導入効果について、新型コロナウイルス感染症が蔓延していた時期には、ウェブ会議システムの活用により非対面式での会議や研修を行うことができ、3密が回避され、感染防止を図ることができた。また、会議や研修等に伴う職員の移動の削減に伴い、旅費が縮減されたことに加え、移動に要する時間を本来業務に充てることができ、業務の合理化、効率化が図られた。
【委員】
ウェブ会議システムが職員の移動の軽減や経費削減など、働き方改革になっていることはよく分かった。
働き方改革の視点で、県警察としてほかにどのような取組を行っているのか。
【理事者】
県警察においては、職員一人一人の仕事と生活の調和を図ることを目的として、愛知県警察におけるワークライフバランス等推進取組計画を策定し、働き方改革等を推進している。
具体的には、職員の業務負担の軽減や時間当たりの成果の向上に資する業務の合理化、効率化に取り組んでいる。また、長時間勤務を抑止し、職員の健康保持を図るため、幹部による適正な業務管理の徹底、定時退庁、非番日における早期退庁などに取り組んでいる。加えて、日々の業務の見える化を図り、職員間の業務の割り振りを見直すなど、職員が気兼ねなく休暇等を取得できるよう、職場環境の整備にも努めている。
【委員】
冒頭で質問した旅費については、現地へ行かずにウェブ会議によって旅費が削減できる、コスト削減の面もあると同時に、そのことが、出張によって本来業務ができなくなる、体力的な負担があるなどのことが避けられる意味で、まさに働き方改革につながる。一石二鳥の効果がある非常にいい取組である。
しかし、働き方改革はコスト削減によってのみ生み出されるものでなく、むしろ働き方改革を求めればコストがかかる。また、かけなければ働き方改革にならないこともあると思っている。
今の答弁を聞くと、職員の業務負担の軽減や時間当たりの成果の向上に資する業務の合理化や効率化、幹部による適正な業務管理の徹底、定時退庁、非番日における早期退庁、業務の見える化を図り職員間の業務割り振りを見直す、職員が気兼ねなく休暇を取得できるなど、コストをかけずに意識の改革だけでやりくりしようと感じられる。働き方を変えていこう、改革して少しでも心も体も健康な状態で業務できるような職場環境にしていこうといっても、制度や仕組みが整っていなければ難しい。人、物、金を何とか増やしてでも働き方をよくしていくことが大事である。
学校の教職員の働き方改革がマスコミで最近よく取り上げられる。実際に、学校の教職員の働き方改革の予算としては、教職員の適切な健康管理としてストレスチェックの実施、心の人間ドックの実施など心の問題のケアがある。デジタル採点システムの導入や校務支援システムの利用促進など、デジタル化によって働き方を改革していこうとするものもある。
また、学校の教員の場合には外部人材活用の取組もある。専門スタッフ、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを入れる、ICT支援員を入れるなど、人を充実させることにより職員の負担を少しでも軽減する予算づけもされ、仕組みもつくられている。学校は、働き方改革といっても、24時間開いているわけでなく、夏休みや冬休みなど長期の休みもある。一方、警察職員は24時間365日休む間もない、安全・安心を守る非常に重要な仕事であり、また、大きな犯罪に対すると精神的なストレスもかかる仕事である。
人員、制度や仕組みにも予算をつけて、しっかりした働き方改革を進めてもらうことで、職員の健康にもつながる。ひいては県民の安全・安心につながると思っているため、そういった側面も見て働き方改革を進めてほしい。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書322ページの(7)道路標示について伺う。
資料を見ると、令和4年度に1,880キロメートルの途方もない長さの道路標示を整備してもらっているが、地元では摩耗している道路標示を多く見かける。道路標示は道路のルールを決め、安全を守るための大事な線であり、劣化した際にすぐ直さなければ、県民の安全に大きく影響する。
最近の新しい車に乗ると、線が引いてある部分を超えそうなときに警告、制御するものもあり、安全運転の観点においても大事な標示であると思う。そういう意味でも、一刻も早く整備し直してほしいが、どう考えているか県警察の方針を伺う。
【理事者】
本県は道路標示の現有数が他県と比較して非常に多い状況にあり、中には摩耗が進んでいる道路標示もある。県警察としては、ホームページで受け付けている標識BOXや地域住民の要望等に基づき、横断歩道や停止線、止まれの文字表示を重点として、緊急性、必要性を判断しながら、摩耗の激しいものを優先して整備している。
そのほか、必要性の低下した交通規制を廃止することによって道路標示を削減する、道路標示そのものを細くするなどの措置を取って対応している。交通安全施設の整備については、道路標示の更新以外にも多くの事業があることから、道路交通上の安全性の確保の観点や地域住民の要望等も踏まえつつ、他の事業とのバランスも考慮した上で進める。
【委員】
限られた予算の中で一生懸命やっていることは分かるが、先ほど説明したとおり、人々のルールの境になる線であるため、頑張ってもらいたい。
一方、これだけのペースで更新しても摩耗する状況が起きている。考えてみると、標示の中でもよく消えているものは、その上を多数のタイヤが通過し、摩耗するのが当然の設備でもある。看板などは簡単には壊れないが、タイヤが通過する標示について、特にラインについては、何らかの工夫があればいいと思う。整備したものを見ると、夏場にはきれいに引き直したところも、温度が高いためか大きな車が通った後まとめて剝がれている場所を見たことがあり、タイヤが通った部分が特に摩耗しているものも見る。
そこで、長い間続けてきたラインを引く作業において、もう少し工夫することで長持ちさせられると思うが、その点についてどう考えているのか。
【理事者】
名古屋市内において、令和2年9月に高耐久性塗料を使用した道路標示を試験的に施工し、耐久性を調査している。効果の検証については相応の時間が必要になることから、耐久性、費用等の検証結果を踏まえ導入の検討を進める。
【委員】
素人考えであるが、道路に溝を造るとその部分は剝がれないなど、ほかにも方法があると思うため、県警察において研究を重ね、できるだけコストをかけずに標示がしっかり確認できるようにしてもらいたい。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書318ページの警察活動費の犯罪捜査活動費について伺う。
犯罪捜査活動を適正かつ効果的に実施したとあるため、ここで聞きたいのは未解決重要事件の解決に向けた取組についてである。
2010年4月に殺人罪などの時効が廃止され、警察庁は未解決事件の捜査体制を強化するための専従班を各都道府県警察に設置するよう通達し、愛知県警察捜査一課に2011年度から長期未解決事件、いわゆるコールドケースを専門に捜査する特命捜査係が設置されている。迷宮入りとなっている凶悪事件を洗い直し、解決に向けての地道な捜査活動を続けている。
過去に県警察に聞いたところ、捜査本部が設置された本県の重大事件の約9割が1年以内に解決しているものの、捜査員の必死の捜査活動にもかかわらず結果を残せなかった未解決事件は全体の1割程度あるとのことであった。
そこでまず、現在本県の殺人などの未解決重要事件はどのくらいあるのか。あわせて、主な事件名と概要などについて伺う。
【理事者】
捜査第一課担当の捜査本部等を設置した殺人が絡む重要事件のうち、現在もなお未解決のものは32件ある。この中には、1999年11月に名古屋市西区稲生町地内において発生した主婦被害の殺人事件、2008年5月に豊田市生駒町地内において発生した女子高校生被害の強盗殺人事件がある。
西区の主婦被害殺人事件については、1999年11月13日の昼頃、名古屋市西区稲生町5丁目地内のアパートで、当時32歳の主婦が刃物様の凶器で何者かに殺害された事件である。
豊田市の女子高校生被害強盗殺人事件については、2008年5月2日午後7時30分頃、自転車で帰宅途中の当時15歳の女子高校生が何者かに殺害され、ショルダーバッグが奪われた事件である。この二つの事件は、警察庁から指定を受け、捜査特別報奨金制度の対象事件となっている。
【委員】
未解決重要事件が32件で、事件名や概要を聞くと、そういう事件もあったと思い出した。
こうした迷宮入りとなっている凶悪事件の解決に向けては、時間の経過による風化を防ぐための取組が一番の課題であると聞く。捜査はこつこつと地道な活動の積み重ねであると思うが、現在の科学捜査の技術を駆使して新たな有力証拠につながるケースもあると聞いている。
また、警察庁が導入する捜査特別報奨金制度は未解決事件の情報提供の増加に期待ができることから、本県でも県警察ホームページでこの懸賞金制度を活用して広く情報提供の呼びかけを行っている。
そこで、本県の報奨金対象事件への情報提供の募集について、令和4年度中、それぞれ何件の情報提供があったか伺う。
【理事者】
この制度は、広く国民から重要凶悪犯罪等の被疑者検挙に資する情報の提供を受けるために実施しているものであり、警察庁が指定する事件に関し、被疑者検挙に結びつく有力な情報を提供した人に対して報償金を支払うこととされている。
本県において、捜査特別報奨金対象事件に指定されている西区の主婦被害殺人事件及び豊田市の女子高校生被害強盗殺人事件に関する令和4年度中の情報提供件数については、西区の事件では約90件、豊田市の事件では約50件の情報提供があり、捜査を行った。
【委員】
名古屋市西区の主婦被害殺人事件は90件で、豊田市の女子高校生被害強盗殺人事件が50件とのことだが、事件発生から年月が経過すれば、寄せられる情報件数も減少していくと思う。未解決事件の捜査で重要なことは、世間から事件を忘れ去られてしまう、風化させないことである。県警察として令和4年度にこれら未解決重要事件に対して解決の糸口を見つけるための活動、取組は何をしたのか。
【理事者】
令和4年度中、県警察においては、捜査第一課特命捜査係を中心として未解決重要事件の解決に向け、鋭意捜査を推進した。また、過去の例においても明らかなとおり、未解決重要事件を解決するためには県民からの情報提供が非常に重要となる。
そこで、県警察においては、より多くの県民に関心を持ってもらい、事件を風化させないために、事件発生日等に街頭でチラシを配布したほか、新たに作製したポスターの掲示や大型ビジョン、ラジオ放送を活用して情報提供を呼びかけた。
【委員】
特命捜査係は、解決の糸口が見つけられずに今日まで至った事案を、さらに時効が廃止されたことで、終わりのない捜査活動をこれからも継続していかねばならないのは、想像以上に厳しいことであると思う。
そこで、未解決重要事件の解決に向けて、県警察の意気込みを聞きたい。
【理事者】
被害者や遺族の無念や悲しみなどの心情に寄り添いつつ、事件の真相を明らかにすることは我々警察に課せられた大きな責務である。引き続き被害者等の無念に思いを致し、着実に捜査を進め、未解決重要事件の早期解決につなげたい。
《県民文化局・環境局関係》
【委員】
令和4年度決算に関する報告書36ページの文化財事業費のうち、あいち山車まつり活性化事業費の負担額について伺う。
愛知県には様々な地域に祭りなど伝統文化が存在している。中でも山車まつりはその象徴として広くPRされているが、その保存団体は、継承について後継者問題など相当な苦労をしているとの話を聞く。また、コロナの影響でさらに多くの苦労があったとも聞いている。私の地元でも継承が止まってしまった団体がある。
そこで、負担額の対象となっているあいち山車まつり日本一協議会とはどのような組織なのか。また、昨年度この協議会で実施した主な取組と実績について伺う。
【理事者】
あいち山車まつり日本一協議会は、県内の山車まつりの保存団体と、山車まつりが所在する市町村及び愛知県で構成する団体であり、山車まつりの保存、継承を図り、山車文化を広く発信するための事業を行っている。昨年度は、主な取組として、研修会、日本の祭シンポジウム、山車文化魅力発信の三つの事業を実施した。
一つ目の取組、研修会は、協議会の構成員を対象に、7月26日と11月17日の計2回、祭りの保存と伝承をテーマにパネルディスカッションを実施し、延べ52人が参加した。
二つ目の取組、日本の祭シンポジウムは、協議会の構成員のみでなく、一般の人や他の祭り関係者も対象に、8月6日に学校法人至学館コミュニケーション研究所との共催事業として開催し、日本の祭りに関する講演とパネルディスカッションに150人が参加した。
三つ目の取組、山車文化魅力発信事業では、愛知の山車文化の魅力を県内外に広く発信することを目的とし、山車の型や山車まつりの見どころ等を紹介する映像作品とハンドブックを制作した。映像作品はロングバージョンとショートバージョンの2種類を制作し、動画サイトユーチューブで公開している。閲覧数は11月10日現在で、2種類合わせて9,067回となっている。ハンドブックは2万部作成し、県内の図書館など258施設へ送付して、各地域で活用してもらうこととした。
本事業はコロナ禍で様々な制約が続く中での実施であったが、関係者から、祭り継続への気持ちが強くなった、新しい切り口で祭りの発展を考えていけると感じたとの声をもらっており、伝統の継承に向けた機運の醸成につながったと感じている。今後も協議会と団結しながら、様々な事業に取り組んでいきたい。
【委員】
今日の中日新聞の知多版に南知多町の山車まつりが取り上げられており、その記事の中に専門家の意見として、山車まつりは民俗の成り立ちという部分があり、人々が暮らしてきた文化だと捉えて続けていかなければならないとの内容が書いてあった。それほど知多半島は山車まつりが盛んな地域であり、答弁にあったような声は私の耳にも届いている。コロナ禍で苦労した団体がこれをきっかけに励みになったと聞いているため、大変感謝している。
先日、半田市で開催されたはんだ山車まつりを見たが、改めて山車文化のすばらしさを体験できた。今後も、愛知県内のそれぞれの伝統文化が受け継がれていくように協力してほしい。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書58ページの水地盤環境事業費のうち、三河湾環境再生推進費及び環境保全規制調査費について伺う。
事業者への排水規制、下水道の普及など、様々な水質改善の取組の結果、伊勢湾及び三河湾の水質は改善されてきたと認識している。しかし、水質が改善された一方で、主要な水産資源であるアサリなどの漁獲量の減少やノリの色落ちが見られ、漁業関係者からはその原因の一つとして窒素やリンなど栄養塩の不足が指摘されている。
そこで、伊勢湾及び三河湾の水質の状況はどうなっているのか。
【理事者】
伊勢湾、三河湾において、水質汚濁の代表的な指標であるCOD(化学的酸素要求量)、また、富栄養化の指標である窒素、リンについては環境基準が設定されており、その基準を達成するため、水質汚濁防止法に基づく水質総量削減計画による取組を進め、削減を図ってきた。8次にわたる水質総量削減計画による取組の結果、工場、事業場等からのCOD等の排出量は、取組開始時と比べ、2019年度のCODは57.6パーセント、窒素は28.2パーセント、リンは48.3パーセント削減できた。
また、海域における環境基準地点でのCOD、窒素及びリン濃度の年平均値について、CODは微増傾向である一方、窒素及びリンは減少傾向となっている。
【委員】
二点目であるが、アサリの漁獲量の回復やノリの色調の改善に向け、栄養塩管理の取組が行われているが、その内容を伺う。
【理事者】
県では、下水処理場からの放流水中の窒素及びリン濃度を増加させ、ノリやアサリへの効果を調査する社会実験を行うため、当該事業場の窒素及びリンの総量規制基準を、国が定める範囲の上限まで緩和した第9次総量削減計画を2022年10月に策定している。
この社会実験は、県が管理する矢作川及び豊川浄化センターにおいて、2022年度は11月から3月まで、2023年度は9月から3月までの2年間実施する。
この社会実験の評価は、学識経験者や漁業関係者、国、県、沿岸の市町で構成される愛知県栄養塩管理検討会議で実施する。昨年度の社会実験の結果は、今年6月に開催された検討会の中で、海域への悪影響は見られず、ノリの色調やアサリの生息量は良好であったと報告されている。
【委員】
伊勢湾及び三河湾を豊かな海にしていくため、環境局ではどのような取組を進めているのか。
【理事者】
環境局としては、近年アサリやノリが取りにくくなっているとの漁業者からの声を踏まえ、水質の保全と豊かな海の両立に向けて取り組む必要がある。伊勢湾、三河湾の水質改善には、行政機関、NPO、漁業者、民間企業等の多様な主体との連携、協働が必要であることから、三河湾環境再生パートナーシップ・クラブ、水循環再生地域協議会等における連携、協働の取組を推進している。
また、古くから豊かな海の恵みをもたらしてくれる里海である三河湾の環境再生に向け、水質の浄化、魚などの産卵や生息の場、さらには海中に取り組まれる炭素、いわゆるブルーカーボンの貯留を促進する藻場の保全、再生の取組にも着手した。
環境局としては、人の手を加えることにより生物多様性及び生物生産性が高まった豊かな海、水質環境基準の達成を目標としたきれいな海並びに親しみを持って利用してもらえる親しめる海を目指し、里海の概念及び重要性について啓発等を図るとともに、里海再生を推進する。
【委員】
それでは、要望する。
県民環境委員会において、山田たかお委員を中心に再三この問題について議論しており、その点は申し訳なく思っているが、これは私たちあいち民主県議団が10月に知事に渡した要望書にも入っているためあえて取り上げた。
豊かな海とは何なのかが県庁横断的に議論されるべきであると思っている。豊かで、美しく、親しめる、と三つのワードも出てきたが、これは大変すばらしいことだと思う。いろいろな調査もしてもらっている。連携もしてもらっている。そうしたことを踏まえ、愛知発でこんなに海をよくしたといえるぐらい力を入れて取り組んでもらいたい。
次に、県民文化局に1点質問する。
説明にあったが、愛知県財務諸表(2)56ページの芸術文化センターについて、固定資産の建物が191億8,700万円で令和3年度から10億円ほど減っている。減っている理由は減価償却か確認させてほしい。
【理事者】
減価償却である。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書45ページのあいち女性リーダー育成推進事業費について伺う。
この事業は県内企業における役員等の女性リーダー育成が目的とのことである。事業内容について、実施回数5回、参加者136人とあるが、どのような事業で、どのような成果があったのか。
【理事者】
本事業については大きく二つの内容に分かれており、一つはあいち女性リーダー講演会、もう一つは企業の人事担当者等による女性役員登用に向けたワーキンググループであり、企業の人事管理に知見のある三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社に委託して実施した。
一つ目のあいち女性リーダー講演会については、県内企業における女性役員等の育成に向けて女性のキャリアアップを支援することを目的に、県内企業で主に管理職を務めている女性を対象に、トヨタ自動車株式会社、JR東海、東京海上ホールディングス株式会社などで会社役員を務めている10人の女性による講演会を計5回開催した。講演会では参加者同士の意見交換も行い、講演者との質疑応答も行った。当初の定員は、参加者同士の交流を図るため50人としていたが、定員を大きく上回る136人が参加した。
参加者からは、女性役員の生の声を聞く貴重な機会であり大変参考になった、管理職の重圧に悩んでいたが勇気づけられた、いろいろな企業で活躍している女性との交流の場が非常に有意義であったとの感想をもらい、アンケート結果では、参加者の満足度はほぼ100パーセントであった。本事業により、県内企業の役員候補者である女性に対して、意識改革やさらなるキャリアアップの後押しができた。
また、もう一つの女性役員登用に向けたワーキンググループについては、県内に事業所がある六つの企業の人事担当者によるワーキンググループを計4回開催し、企業における女性役員登用に向けた課題の整理や取組事例の収集等を行い、役員登用を見据えた女性活躍に関する課題や取組の可能性を報告書としてまとめた。この報告書については愛知県経営者協会の会員企業816社に送付するとともに、県のウェブページにも掲載し広く周知した。
【委員】
2023年度にこの事業は行われていないとのことであるが、令和4年度の事業を今後どのようにつなげていくつもりなのか伺う。
【理事者】
企業における女性リーダーの育成については継続的に取り組んでいく必要があり、また、今回の事業で他の会社で同様の立場にある女性との交流は大変有意義であると分かったため、今後も女性の管理職や役員登用に向けたセミナーや交流会を継続的に実施していく予定である。
11月22日にはウィルあいちにおいて、県と公益財団法人あいち男女共同参画財団と愛知県経営者協会の三者共催で、女性リーダーから学ぶ異業種交流会を開催する予定であり、今後もこうした取組を実施したい。
また、ワーキンググループの委員を依頼した6人のうち、女性活躍推進に関する取組が先進的であった富士通Japan株式会社の取組については、同社の総務人事部人事統括部シニアディレクターである小林秀吉氏に、今年度のあいち女性の活躍促進会議において講演してもらった。あいち女性の活躍促進会議は、県内の経済団体、労働団体、企業、大学などの代表者を構成メンバーとして毎年開催しているが、今年度は小林氏の話を受けて、女性をはじめ多様な人材が活躍できる職場づくりの重要性などについて意見交換が行われた。今後もこの事業で得られた成果を本県の女性活躍促進に向けて活用していきたい。
【委員】
この事業を見ると、愛知県には製造業が多いため、製造メーカーの役員になる人を育成していくと受け取れたが、いろいろな業種の人々に案内されているようであり安心した。
しかし、役員という部分にあまり焦点を置かず、NPOなど様々なところで活躍している女性もたくさんおり、そういう人を底上げすることにより役員になる人も出てくると思うため、そういった部分にも目を向けてもらいたい。
次に、令和4年度決算に関する報告書55ページのあいちエコアクション・ポイント事業費について伺う。
この事業について、私は、あいちエコアクション・ポイント事業を残念ながらこの決算で初めて知ることになった。いろいろ説明を聞くと、理念については大変すばらしいと思う一方、広めていかないことには事業の効果が得られないとも思う。まず、環境に優しいことに参加し、次に、バーコードなどを読み込むことで何かに応募できる資格が得られ、その後、応募する形の事業のようであるが、詳しく伺いたい。また、この事業によりどのような効果があったのか。
【理事者】
あいちエコアクション・ポイント事業は本年2月15日から開始した事業であり、県民の脱炭素循環型ライフスタイルへの転換や行動変容を促すことを目的に、県内のコンビニエンスストアやスーパー、飲食店等の参加店舗等において、グリーン購入、プラスチック製カトラリー類の辞退など、五つのエコアクションを行った人に愛知県独自のポイントであるあいちエコアクション・ポイントを付与する事業である。2次元コードなどを読み込むことでポイントを付与するが、一定のポイントをためるごとに賞品の抽せんに参加できるようになっている。
10月末時点で参加店舗は約4,600店、参加者数は約7,000人となっており、県民がエコアクションを始めるきっかけづくりに一定程度寄与している。
【委員】
よく知っている人がそのことに一生懸命取り組んでいるのだと思うが、多くの人々に知ってもらうことが大事であるが、どのような取組をしているのか。
【理事者】
本事業をより多くの県民に認知してもらうために、本県の公式SNSを活用した情報発信をするとともに、本県の広報媒体であるテレビやラジオの番組を活用してPRを行っている。
また、参加意欲を高めるために、事業開始時の1か月間をキックオフキャンペーンとして、この期間中に登録した人に特別にポイントを付与している。さらに、通常賞品に加えて、キャンペーン中には事業者から提供してもらった協賛品を賞品としている。今年の6月から7月に夏季取組強化キャンペーンとして、協賛品を賞品に加えて実施したほか、愛知県内で実施された環境関連のイベントや本庁舎公開イベント等においてPRを行っている。
また、農業水産局が行っているいいともあいち運動や、県民文化局が行っているエシカル消費のイベントやキャンペーンにおいても、あいちエコアクション・ポイント事業のPRをするなど、他局と連携した取組を行っている。
一方、参加者を増やすためにはエコアクションを実践するための店舗等を増やす必要がある。そのため、大手チェーン店等の事業者への協力要請や名古屋商工会議所など各種団体へ働きかけることにより、加盟店舗の事業参加を依頼している。
【委員】
確かに、参画企業が増えれば広がっていくと感じる。今も続いているとのことであるため、今後について、ポイントをためることに興味の湧く、価値のあるものであれば、より広がっていくと思う。ポイントをためてうまく活用する、いわゆるポイ活している人も随分増えているようであるため、愛知県独自の取組もよいと思うが、そういったものとの連携もぜひ考えてほしい。
最後に、令和4年度決算に関する報告書71ページの海岸漂着物等地域対策推進事業費について伺う。
いろいろな場面で本件については何度も質問しているが、環境的な観点から、海に流れていくごみを片づけ、流れていかないようにすることができるのは、環境局の事業でしかあり得ない。他部局にいろいろ話をしたが、管理している場所を使えるようにごみを片づけることはあるが、環境的な観点で、早くごみを片づけないと海に流れていってしまうから片づけようとする意識はなく、所管外の場所は片づけることがないため、海岸漂着物が海に流れ出ていかないよう、早く回収できる事業を環境局で進めてもらいたいとの思いを持って質問する。
まず、この補助金の事業について、どのような事業が対象になっているのか。
【理事者】
事業費の内容は二つあり、(1)推進事業費については、県が海岸漂着物の発生抑制の普及啓発の事業を行っている。
令和4年度決算に関する報告書72ページの(2)事業費補助金については、国の地域環境保全対策費補助金を活用し、市町村が実施する重点区域の海岸漂着物や散乱ごみのほか、海洋の漂流ごみ等に係る回収処理事業が対象となっている。なお、この重点区域は愛知県海岸漂着物対策推進地域計画の中で、地元市町村からの意向を踏まえ、海岸漂着物等の量、質のほか、海岸などの自然的条件や利用状況、経済活動等について総合的に検討した地域として20地区を設定している。
なお、補足であるが、(1)推進事業費についても、国の補助金を活用している。
【委員】
説明があったように、この事業費では15市町村に2,934万7,000円の補助をしているとのことであるが、実際どの程度回収できているのか。また、どのように回収しているのか。
【理事者】
昨年度、15市町村の回収実績は、海岸漂着物等が8市町で約316トン、漂流ごみ等が11市町村で約32トン、合わせて約348トンの回収である。海岸漂着物等の回収については、観光協会など地元の海岸利用者の協力を得て実施する場合や民間事業者に発注する場合がある。
一方、漂流ごみ等の回収については、漁業者等のボランティアによる船舶を使った回収と、名古屋港と衣浦港の清掃活動を行う各清港会の船舶を使った回収がある。
【委員】
漂着ごみについて、以前もらった地図の中に重点区域一覧と記載があり、この区域の回収をしていると思う。基本的には観光で使われる砂浜が中心であるが、岸壁などほかの施設は対象になっておらず、多くのごみが流れ着く。冒頭に話したが、建設局などでは、その目的に支障がなければ片づけないため、環境局としてごみを海に流し出さないために、全ての課に対し、出たごみを積極的に片づける方向を出してもらうことをお願いする。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書30ページの人権推進事業費に関連して伺う。
2022年4月に愛知県人権尊重の社会づくり条例が施行されたが、施行に伴い新たに取り組んだこと、また、力を入れて取り組んだことがあれば伺う。
【理事者】
条例施行に伴い、2022年4月から人権啓発及び教育の拠点であるあいち人権センター内に人権相談窓口を整備するとともに、一昨年度試行的に実施したインターネットモニタリング事業を本格的に実施した。また、新たに愛知県人権施策推進審議会を設置し、昨年度は主にヘイトスピーチ関連の取組について詳細を検討してもらった。さらに、性的指向及び性自認の多様性についての理解増進等の取組も充実させた。
【委員】
今の答弁で出た、それぞれの取組について伺う。
初めに、人権相談窓口を整備したとのことであるが、窓口の体制や相談実績、評価、課題、今後の取組について伺う。
【理事者】
人権相談窓口は、4人の人権相談員が様々な人権に関する悩みや問題について、電話や面談などにより受け付けて対応しており、昨年度の相談の実績は247件である。
相談区分別の実績として、障害者32件、プライバシー侵害20件、インターネット18件などとなっているが、いずれの区分にも属さないその他が116件と最も多くなっており、人権に関する悩みや問題を漠然と抱えている相談者にとっては、情報提供や助言、専門相談窓口や救済機関への案内が行われることで解決に向けた第一歩になっている。
課題としては、周知と他機関との連携であり、今後はより一層人権相談窓口の周知に努めるとともに、他機関との連携を図っていきたい。
【委員】
次に、インターネットモニタリング事業を本格的に実施したとのことであるが、この取組の詳細や流れ、また、実績、評価、課題及び今後の取組について伺う。
【理事者】
本県で行っているインターネットモニタリングは大きく分けて二つある。
一つは、業者に委託し、新型コロナウイルス感染症、部落差別、外国人、障害者の分野について、キーワード検索によって掲示板等の書き込みをモニタリングしている。
もう一つは、動画はキーワード検索では把握できないことから、職員が目視により行っており、主に部落差別関連の動画サイトをモニタリングしている。いずれも国の取扱い等に照らして、差別を助長する悪質で違法性が高いと考えられる投稿については、国の人権擁護機関である法務局に削除要請している。
昨年度の実績として、委託により差別を助長する書き込みの報告があったのは555件であり、内訳としては、コロナ70件、部落差別83件、外国人381件、障害者21件となっている。そのうち削除要請した件数は29件であり、実際に削除された件数は22件あることから、モニタリングは一定の効果があると考えている。
課題としては、直接的に悪質な書き込みを防止する方法がないことであるが、今後も継続してモニタリングしていくとともに、今年度からキーワード検索の対象分野に性的少数者を加えるなど、充実に努めている。
【委員】
次に、新たに設置した愛知県人権施策推進審議会では主にヘイトスピーチ関連の取組の詳細を検討したとのことであるが、どのような検討や議論を行い、その結果はどうであったのか。また、今年度の審議会では何を主に議論しているのか。
【理事者】
審議会での、条例に定められているヘイトスピーチの解消に向けた取組は二つあり、一つは県が設置する公の施設において、ヘイトスピーチが行われることを防止するための指針を定めること、もう一つは、公の場所でヘイトスピーチが行われたと認められるときは、その概要を公表することである。昨年度の審議会においては、この指針及び概要の公表の具体的な事務処理について検討を行った。
また、概要を公表する場合は申出により審議会の意見を聴いて判断することになっているが、昨年度は1件申出があり、審議の結果、ヘイトスピーチには該当しないとの答申をもらっている。
今年度は条例に基づき人権施策に関する基本的な計画を策定することとなっており、現在その内容について検討してもらうとともに、計画に盛り込む予定のファミリーシップ制度の内容についても主に議論をしてもらっている。
【委員】
最後に、性的指向及び性自認の多様性についての理解増進等の取組を行ったとのことであるが、具体的にどのような取組を実施したのか。また、そうした取組に対する評価や課題、今後の取組について伺う。
【理事者】
条例には性的指向及び性自認の多様性について、県民及び事業者の理解を深めるための取組を行うことと、県が事務事業を行うに当たり、その多様性に配慮する旨の二つが規定されている。
そこで、まず県庁内での理解を図るため、性の多様性に係る庁内連絡会議を設置し、申請書等における性別記載欄の見直しを行うとともに、性の多様性に関する職員ハンドブックを作成した。また、事業者の理解を深めるため、企業とLGBTと題した講演会をオンラインで開催し、それに併せて啓発資料も作成した。
評価であるが、性別記載欄の見直しでは合理的な理由のない申請書等の性別記載欄を60件廃止し、職員ハンドブックは職員以外からも参考にしたいとの問合せがあった。また、講演会では90人の参加があるなど、一定の評価ができると考えている。
課題としては、性的指向及び性自認の多様性についての理解がまだ不足していると考えており、今年度は引き続き庁内連絡会議を開催するとともに、職員ハンドブックの使い方の研修を行うなど理解を深めるための取組を行っていきたい。
また、LGBTの人々、特に若者は性的少数者としての生きづらさや困難さを保護者にも相談できない状況があると聞いており、今年度は若者向けの取組も行っている。
具体的には、当事者だけでなく全ての若者を対象とした若者向け啓発資料や、相談対応者及び指導者向けのガイドブックを作成している。こうした取組を進めることにより、性の多様性に関する理解増進を図る予定である。
【委員】
近年、人権に関する課題の複雑化及び多様化が進む中で、県民の関心も高まっていると感じている。この条例の第1条には「あらゆる人権に関する課題の解消を図るとともに、全ての人の人権が尊重される社会の実現に寄与することを目指す」と記載されており、引き続きこうした目的を達成するために施策が展開されることを要望する。
続いて、令和4年度決算に関する報告書51ページの環境基本計画推進費について伺う。
報告書にはあいちSDGs環境プラットフォームの構築を行ったと記載があるが、この事業に対する費用はどれだけであったのか。また、この事業の目的、内容及び結果の評価について伺う。
【理事者】
あいちSDGs環境プラットフォームについては、SDGs達成に向けた取組の拡大、向上、活性化を図ることを目的として、県内の企業、団体、大学、NPOなど様々な主体が実施しているSDGs達成に向けた環境面の取組を登録してもらいデータベースを構築し、それらの取組をほかの企業等に参考にしてもらうためのウェブサイト上のプラットフォームであり、費用は1,145万3,454円となっている。
具体的な内容であるが、登録者が取組事例を写真や動画を用いてウェブサイトに登録することで、広く自らの取組内容を発信することが可能となるだけでなく、そうした内容を基に登録者間でマッチング希望を発信することにより新たな連携先を探すことが可能となる。さらに、データベースを構築したことで、ウェブサイトの閲覧者は業種、取組分野などユーザー目線の検索機能により様々な団体の取組等の情報を容易に取得することができ、自らの行動、取組の参考にすることができる。
このプラットフォームは昨年9月末に開設し、約半年で目標の50団体を上回る57団体に登録してもらい、SDGsの環境面からの取組の促進に一定の効果があった。
【委員】
多様な主体のSDGs達成に向けた環境面の取組をより一層促進していく観点でいえば、プラットフォームの登録者数をさらに増加して利用拡大を図っていく必要がある。
そこで、プラットフォーム利用拡大に向けた今年度の取組状況を伺う。
【理事者】
プラットフォームの登録者の増加に向けては、これまでSDGs AICHI EXPOなどの各種イベントでのチラシ配布、各種メールマガジンでの紹介など様々な機会を通じて登録を働きかけ、登録者を増やしてきた。しかしながら、SDGsは環境のみならず、経済、社会という側面があり、SDGs全般を所管する政策企画局においてこの三つの側面全ての取組を行う企業、団体等を登録する愛知県SDGs登録制度を2021年9月から運用しており、二つの制度が共存している状態になっていた。登録を希望する企業、団体等からは分かりにくいと意見があり、また、SDGs達成に向けては各側面での取組を進めることが必要であることなどを踏まえ、政策企画局と連携して両制度を発展的に統合することとした。
具体的には、環境プラットフォームをベースに、経済、社会面の取組を登録できるようにするなど改修を行い、本年10月2日から新たな登録制度、あいちSDGsパートナーズとして運用を開始した。また、新たな制度の運用開始に合わせ、モリゾーとキッコロをあいちSDGsアンバサダーに任命し、SDGsの取組促進のPRを進めている。
新しい登録制度やアンバサダーは政策企画局が運用していくが、環境局としても、環境面からのSDGsの取組の普及促進に向け、政策企画局と連携しながら取り組みたい。
【委員】
県民、企業及び団体のSDGsに対する認識が高まる中で、利用する側にとって分かりやすいサイトにバージョンアップすることは大切だと思う。私もピンバッジをつけているが、モリゾー、キッコロという県民にとって親しみのある、また、SDGsの概念と親和性の高いキャラクターを用いて広報啓発するとのことである。ぜひ多くの企業、団体に登録してもらい、新たなプラットフォームがSDGsへの取組のデータベースとして、見える化やマッチング促進につながる当初の目的がしっかり推進されるよう要望する。
続いて、令和4年度決算に関する報告書74ページのPCB廃棄物適正処理推進事業費について伺う。
報告書には、会社の倒産等により処理義務者が存在しなくなった高濃度PCB廃棄物処理を4件、行政代執行したと記載されている。このPCB廃棄物の処理に関して、今までどのような取組を行ってきたのか。
【理事者】
一般にはPCB特別措置法と言われている、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法に基づき、PCB廃棄物を保管する事業者には、毎年度その保管状況を知事に届け出ることが義務づけられ、国が定めた処分期限までにその処分が義務づけられている。
本県では、県内に存在するPCB廃棄物が期限内に処分されるよう、国が定めた未処理のPCB使用製品及びPCB廃棄物の掘り起こし調査マニュアルなどに基づき、2013年度から2020年度にかけて繰り返し掘り起こし調査を約11万8,000社に対して実施し、変圧器、コンデンサなどを約1,600台新たに確認するとともに、その処分を指導した。当初の処分期限である2021年度には、処分期限後に高濃度PCBが発見されることのないよう、過去に変圧器、コンデンサなどを設置した事業者約2万3,000社に最終的な確認依頼と処分期限を周知する通知も行った。
本県では、こうした取組を通じ、これまで変圧器、コンデンサなど3万4,200台、安定器など1,275トンを処理してきた。2022年度も新たに判明した高濃度PCB廃棄物の保管事業者などに対し、処分を完了するよう事業者指導を行い、処分義務者が存在するものについては全て処分されている。
一方で、破産により処分義務者が存在しなくなった4件については、国の助言に従い、行政代執行による処分を行った。
【委員】
高濃度PCB廃棄物の処分期限が2024年3月末に迫っているが、今後どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
2023年10月末現在、本県では高濃度PCB廃棄物がいまだ処分されていない案件はないが、国の高濃度PCB廃棄物処理事業が本年度末、2024年3月末までに処分期限が延長されているため、発見があった場合は直ちに処分するよう、保管事業者に指導を行う。
また、処分期限を踏まえた国の通知により、保管事業者と処分業者との処分委託契約の期限が今年の12月末となっていることから、これを過ぎても保管事業者による処分が行われない場合や、保管事業者が不存在である場合が今後出てきた場合には、PCB特別措置法第13条に基づく代執行により処分を行う。
【委員】
これまで県内に数多く存在していた高濃度PCB廃棄物に対して、設けられた期限での処理に向けて長期にわたって計画的に業務を執行し、さらに、計画的処理期限が過ぎた後も廃棄物ゼロに向け業務を愚直に遂行してもらった結果、愛知県管理分としては、現時点では廃棄物ゼロになっているとのことで、本当にありがたい。
今後、高濃度PCB廃棄物も低濃度PCB廃棄物の処理もあるため、関係機関、業界団体等と連携を図りながら、業務を適切に進めてもらいたい。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書79ページの指定管理鳥獣捕獲等事業推進費について伺う。
先日、農業水産局にも質問したが、県内では三河山間部などでニホンジカによる農林業への被害等が問題となっている。
愛知県では鳥獣保護管理法に基づき、第二種特定鳥獣管理計画を策定してニホンジカの捕獲を行い、昨年度229頭捕獲したとのことであるが、予算編成の際の、何頭捕獲するかという目標に対しての捕獲状況がどうだったのか。それと併せて、事業の執行状況はどうだったのか。予算は足りていたのかも伺う。そして、本事業を実施した結果、どのような効果が出ているのか。また、今後の見通しについて、個体数抑制につながっているのかも含めて伺う。
【理事者】
まず、目標頭数の設定について、県では鳥獣保護管理法に基づく第二種特定鳥獣管理計画を策定し、年間6,000頭以上の捕獲を目標としている。この目標は県のみならず、市町村による有害鳥獣捕獲事業や狩猟による捕獲も合わせたものとなっている。その上で、県の捕獲事業は移動に長時間を要する場所や人の立入りが容易でない場所で行うことが多く、大きな捕獲数を得ることが見込めないことから、6,000頭の1割に当たる600頭を現事業の捕獲目標として設定している。
次に、執行状況であるが、昨年度の捕獲頭数は229頭であり、目標頭数の600頭を下回ったため、捕獲個体の処理費用に不用額が生じたことにより、執行率は78パーセントとなっていることから、今のところ予算が不足している状況にはない。
次に、効果と見通しについて、ニホンジカの推定生息数は、2019年度約2万3,400頭にまで増加しており、農林業への被害も拡大した。本県においては、2019年度から第二種特定鳥獣管理計画に基づく指定管理鳥獣捕獲等事業を開始し、毎年約200頭前後、多い年には267頭を捕獲している。
この県事業に市町村事業や狩猟を合わせた全体では、計画上の6,000頭を上回る数が毎年度捕獲されている。結果として、21年度には推定生息数は約2万2,000頭となっており、減少に転じていると考えている。
今後の見通しとして、県ではニホンジカの生息数を計画目標の1万頭にまで低減できるよう、引き続き事業を推進していきたい。
【委員】
今の答弁では、2021年度で2万2,000頭の推定生息数とのことであったが、2026年度末までに1万頭まで減らすとすると、まだ倍の生息数であり、1万頭以上捕獲しなければならない。
県の事業では年間600頭、市町村と合わせて年間6,000頭を狩猟も含めて捕獲していく計画の中で約1割である。結果として、その約3分の1となる毎年200頭前後が捕獲されているとのことで、多くの予算をつければ大量に捕獲できるわけではないと思うが、目標である生息数1万頭に向けて、引き続き必要な予算を確保しながらこの事業を進めてもらうことを要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書31ページ、5の県民相談・消費生活事業費について伺う。
今は高度情報化の波に乗り、インターネットを活用した商取引は私たちの生活を大変便利にしているが、高齢者や若者をターゲットにした巧妙かつ悪質な手口の新手の消費者トラブルも増加している。
そこで、令和4年度の消費生活相談の件数と内容、傾向について伺う。
【理事者】
令和4年度の消費生活相談の概要について、県及び市町村の消費生活相談窓口に寄せられた相談件数は、本年6月の公表ベースで4万4,002件である。その内訳は県1万554件、市町村3万3,448件となっており、全体の件数では、前年度の4万2,411件と比べて3.8パーセント、1,591件増加している。
契約当事者の年代3区分別であるが、これは70歳以上の高齢者、30歳未満の若者、それ以外の一般で分けており、その区分別相談件数を見ると、前年度に比べ、高齢者世代及び一般世代は増加しているが、若者世代は若干減少している。
商品・サービス別では、化粧品が4,024件で最も多く、以下、身に覚えのない架空請求など商品が特定できない商品一般3,708件、賃貸アパート1,430件、健康食品1,407件の順となっている。
相談の内容として、化粧品や健康食品を一回限りのつもりで注文したが、実際には定期購入になっていたなど、定期購入に関する相談が急増している。また、SNS上の広告を見てその気になり、高額な副業のサポート契約をしたがもうからないので解約したいなど、SNSを介した消費者トラブルに関する相談が若者中心に増加している。
【委員】
相談件数が4万4,000件を超え、前年から3.8パーセント増加しているとのことであるため、消費生活相談はいろいろな形で複雑化していると分かった。
そこで、令和4年4月から民法に定められた成年年齢が18歳に引き下げられ、18歳からは親の同意がなくても自由に契約できるようになった。これまでは、民法の規定により18歳、19歳の未成年者が親の同意なく結んだ契約は未成年者を保護する目的で取消しの適用ができたが、成年年齢の引下げでそれが適用できなくなったため、安易な契約でトラブルに巻き込まれる18歳、19歳も少なくないと思う。
令和4年度の消費生活相談で18歳、19歳成年の相談件数と主なトラブル事例、できれば金額面も前年と比較して増えているのか、現状を伺う。
【理事者】
令和4年度に県及び市町村の消費生活相談窓口に寄せられた18歳、19歳の相談件数は534件であり、成年年齢引下げ前であった令和3年度の472件と比べて13.1パーセント、62件増加している。
相談内容を見ると、前年度に比べてエステティックサービスに関する相談が大幅に増加しており、ネットで格安の脱毛エステの広告を見て店舗に出向き、10万円を超える脱毛エステの契約をしたが、保護者から高額だと反対されたためクーリングオフしたものの心配であるなどの相談が寄せられている。
契約購入金額で見ると、18歳、19歳の相談全体の平均額は21万3,000円となっている。その中には100万円以上の相談も9件あり、最高額は426万円となっている。
【委員】
驚く数字であると分かった。18歳、19歳の成年年齢が引き下げられたことにより様々な形でトラブルが増加していると分かった。
消費生活相談窓口では商品やサービスの契約に伴うトラブル、電話勧誘や訪問販売などによる契約トラブル、悪質商法、製品事故などに対する相談に専門の相談員が対応し、助言や情報提供のほか、必要に応じて業者と消費者の間に入るあっせんを行い、トラブル解決の支援をしていると認識している。
その消費生活相談員について伺う。
消費生活に関する法律の知識に加え、幅広い分野の知識も持ち合わせていないとなかなか的確なアドバイスができず、相談員は5年でやっと一人前だとも聞いている。資格を持ちながらも待遇は非常勤職員であり、全国的にも担い手不足が課題となっている。
そこで、担い手不足が課題とされる消費生活相談員について、本県の現状はどうか。
【理事者】
愛知県消費生活総合センターでは、現在22人の消費生活相談員が在籍しており、日々相談業務を行っている。現時点において県の消費生活相談員が不足していることはないが、高齢化の進展により世代交代が進むことで、今後担い手の確保が必要になってくると予想される。
そうした中、国においては消費生活相談員の養成を目的として、2020年度から消費生活相談員担い手確保事業を実施しており、2021年度からは定員が大幅に拡充されている。
県としては、市町村とも連携しながら、国の事業の周知やPRを実施することで県内の消費生活相談員の資格取得者を増やし、担い手の確保につなげていきたい。
【委員】
本県に22人の消費生活相談員がおり、緊急に不足して困ってはいないと受け止めた。
次に、教育向け情報紙により実践的な教育手法を提供するなど、地域や学校における消費者教育の取組を支援したとあるが、成年年齢が18歳に引き下げられたことや、インターネット社会で子供、若者が契約トラブルに巻き込まれるケースも増えていることから、学校での消費者教育は大切である。
そこで、令和4年度の消費者教育の取組について伺う。
【理事者】
本県では自立した消費者を育成するため、幼児期から高齢期までのライフステージに応じた消費者教育を学校や地域、職域などの場に応じて推進している。
学校における取組としては、消費者教育研究校として指定した高校等において、県の消費生活相談員等が講師となり、消費者被害に遭わないための実践的授業を実施している。その実践例を教員向けの情報提供紙、あいち消費者教育リポートとして取りまとめ、県内の中学、高校、特別支援学校に提供することで他校における活用を図っている。
また、成年年齢の引下げを踏まえ、若年者への消費者教育の充実強化を図るため、県の消費者教育コーディネーターが高校や特別支援学校に消費生活相談員等の講師を派遣するとともに、授業案の作成を支援するなどして高校等での実践的授業を支援している。
さらに、昨年度は新たな取組として、より早い時期から適切な消費行動に結びつく知識や実践的な能力を習得させるため、小中学生向け消費者教育教材、かしこい消費者のススメを作成し、県内の小学校5年生と中学校2年生に配布するとともに、外部講師を派遣するなど小中学校での実践的授業を支援している。
加えて、地域や家庭、職域における取組であるが、老人クラブの研修会や学校のPTA集会、事業者が行う社員研修等に県の消費生活相談員等を派遣する出前講座を実施するとともに、消費生活情報、あいち暮らしっくの配信や専用ウェブサイト、あいち暮らしWEBを活用した情報発信等により消費者教育を推進している。
【委員】
学校での消費者教育は非常に大切であり、今の答弁からもしっかりやってもらっていると感じた。消費者にとってトラブルに遭遇したときの身近な相談窓口である、地方自治体が設置している消費生活センターや消費生活相談窓口の役割がとても重要である。
そこで、県内の各自治体の消費生活相談窓口の設置状況と、そのうち消費相談窓口が週4日以上の開設で、専門の資格を有する相談員を配置し、国民生活センターとのホットラインであるPIO-NETを配備する消費生活センターの要件を満たしている自治体の状況はどうなっているのか伺う。
【理事者】
消費生活相談窓口の設置状況であるが、県の消費生活総合センターに加え、県内54市町村の全てに設置されている。そのうち、センターの要件を満たしているのは、県の消費生活総合センターと、54市町村のうち50市町村である。残る4市町、高浜市、豊山町、大口町、幸田町については週4日以上開設する要件を満たしていないため、センターと称してはいないが、消費生活相談窓口として相談を受け付けている。
【委員】
相談窓口の体制によって被害が生じることはよくない。
そこで、県として、各自治体の相談窓口の充実強化、サポートについて伺う。
【理事者】
市町村における相談窓口の充実強化を図るため、本県では、県の相談員が市町村へ出向く巡回指導や、県の相談窓口で市町村相談員が指導を受ける実践研修、市町村相談員との専用ダイヤル、市町村ホットラインによる助言指導などを実施している。
また、毎年度県内の新任相談員に対する研修を行っているほか、相談員の専門知識や相談処理能力の向上を図るため、より専門的で実践的な内容の研修、キャリアアップ研修なども行っている。
さらに、県内市町村における消費生活相談員の人材確保を支援するため、消費生活相談員の有資格者で、消費生活センターへの就職を希望する人を人材バンクに登録し、市町村からの求めに応じて情報提供している。
【委員】
社会環境の変化に伴って次から次へと新たな消費者問題が発生していることが分かった。消費者被害から県民を守るには、県と市町村の十分な連携が必要である。相談体制が不十分な市町村も若干あるため、相談窓口が維持、充実できるよう引き続き県のサポートをお願いする。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年11月17日(金) 午後0時58分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
鈴木喜博、寺西むつみ 正副委員長
伊藤辰夫、山本浩史、神戸健太郎、丹羽洋章、山田たかお、杉江繁樹
高橋正子、日比たけまさ、黒田太郎、加藤貴志、神谷まさひろ 各委員
警察本部長、警察本部総務部長、警務部長、生活安全部長、地域部長、
刑事部長、交通部長、警備部長、財務統括官、首席監察官、
組織犯罪対策局長、
県民文化局長、県民生活部長、人権推進監、女性の活躍促進監、文化部長、
環境局長、同技監、環境政策部長、地球温暖化対策監、資源循環推進監、
会計管理者兼会計局長、同次長、
監査委員事務局長、同次長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 決 算
決算第1号 令和4年度愛知県一般会計歳入歳出決算
歳出第3款県民環境費、第8款警察費及びこれらに
関する歳入
<会議の概要>
Ⅰ 警察本部関係
1 開 会
2 決算概要の説明
3 質 疑
4 休 憩(午後1時43分)
Ⅱ 県民文化局、環境局関係
5 再 開(午後1時54分)
6 決算概要の説明
7 質 疑
8 閉 会
(主な質疑)
《警察本部関係》
【委員】
令和4年度決算に関する附属書307ページの警察活動費の旅費について伺う。
令和4年度の支出済額が約3億6,000万円とあるが、この金額は全て警察職員に対する旅費か。
【理事者】
支出済額3億5,911万5,207円のうち、警察職員に対して支払われた旅費は3億4,138万6,393円で、割合では約95パーセントが警察職員に対するものである。
【委員】
約95パーセントは警察職員に対する旅費とのことだが、犯罪は広域化しているため、旅費については警察活動に必要な経費であることはよく認識している。
一方で、民間ではコロナ禍もありオンラインでの会議や打合せを行うことが多くなってきている。県警察においてもオンラインで会議を行うことができれば、移動が不要になることで身体的な負担も緩和され、働き方改革にもつながると思うが、このような取組を行っているのか。
【理事者】
県警察では、新型コロナウイルス感染症防止対策の一環として、令和3年8月に、警察本部や警察署など端末が整備されている自席等において、職員が会議や研修等に参加できるウェブ会議システムを導入した。オンラインによって会議等を行うウェブ会議システムは、会議や研修等に参加する職員の移動に伴う負担軽減や経費削減などの働き方改革につながるため、現在もその活用を推進している。
【委員】
令和4年度のウェブ会議システムの利用状況について伺う。
【理事者】
令和4年度におけるウェブ会議等の開催数は588回で、参加者は延べ1万5,576人であった。
次に、ウェブ会議システムの導入効果について、新型コロナウイルス感染症が蔓延していた時期には、ウェブ会議システムの活用により非対面式での会議や研修を行うことができ、3密が回避され、感染防止を図ることができた。また、会議や研修等に伴う職員の移動の削減に伴い、旅費が縮減されたことに加え、移動に要する時間を本来業務に充てることができ、業務の合理化、効率化が図られた。
【委員】
ウェブ会議システムが職員の移動の軽減や経費削減など、働き方改革になっていることはよく分かった。
働き方改革の視点で、県警察としてほかにどのような取組を行っているのか。
【理事者】
県警察においては、職員一人一人の仕事と生活の調和を図ることを目的として、愛知県警察におけるワークライフバランス等推進取組計画を策定し、働き方改革等を推進している。
具体的には、職員の業務負担の軽減や時間当たりの成果の向上に資する業務の合理化、効率化に取り組んでいる。また、長時間勤務を抑止し、職員の健康保持を図るため、幹部による適正な業務管理の徹底、定時退庁、非番日における早期退庁などに取り組んでいる。加えて、日々の業務の見える化を図り、職員間の業務の割り振りを見直すなど、職員が気兼ねなく休暇等を取得できるよう、職場環境の整備にも努めている。
【委員】
冒頭で質問した旅費については、現地へ行かずにウェブ会議によって旅費が削減できる、コスト削減の面もあると同時に、そのことが、出張によって本来業務ができなくなる、体力的な負担があるなどのことが避けられる意味で、まさに働き方改革につながる。一石二鳥の効果がある非常にいい取組である。
しかし、働き方改革はコスト削減によってのみ生み出されるものでなく、むしろ働き方改革を求めればコストがかかる。また、かけなければ働き方改革にならないこともあると思っている。
今の答弁を聞くと、職員の業務負担の軽減や時間当たりの成果の向上に資する業務の合理化や効率化、幹部による適正な業務管理の徹底、定時退庁、非番日における早期退庁、業務の見える化を図り職員間の業務割り振りを見直す、職員が気兼ねなく休暇を取得できるなど、コストをかけずに意識の改革だけでやりくりしようと感じられる。働き方を変えていこう、改革して少しでも心も体も健康な状態で業務できるような職場環境にしていこうといっても、制度や仕組みが整っていなければ難しい。人、物、金を何とか増やしてでも働き方をよくしていくことが大事である。
学校の教職員の働き方改革がマスコミで最近よく取り上げられる。実際に、学校の教職員の働き方改革の予算としては、教職員の適切な健康管理としてストレスチェックの実施、心の人間ドックの実施など心の問題のケアがある。デジタル採点システムの導入や校務支援システムの利用促進など、デジタル化によって働き方を改革していこうとするものもある。
また、学校の教員の場合には外部人材活用の取組もある。専門スタッフ、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを入れる、ICT支援員を入れるなど、人を充実させることにより職員の負担を少しでも軽減する予算づけもされ、仕組みもつくられている。学校は、働き方改革といっても、24時間開いているわけでなく、夏休みや冬休みなど長期の休みもある。一方、警察職員は24時間365日休む間もない、安全・安心を守る非常に重要な仕事であり、また、大きな犯罪に対すると精神的なストレスもかかる仕事である。
人員、制度や仕組みにも予算をつけて、しっかりした働き方改革を進めてもらうことで、職員の健康にもつながる。ひいては県民の安全・安心につながると思っているため、そういった側面も見て働き方改革を進めてほしい。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書322ページの(7)道路標示について伺う。
資料を見ると、令和4年度に1,880キロメートルの途方もない長さの道路標示を整備してもらっているが、地元では摩耗している道路標示を多く見かける。道路標示は道路のルールを決め、安全を守るための大事な線であり、劣化した際にすぐ直さなければ、県民の安全に大きく影響する。
最近の新しい車に乗ると、線が引いてある部分を超えそうなときに警告、制御するものもあり、安全運転の観点においても大事な標示であると思う。そういう意味でも、一刻も早く整備し直してほしいが、どう考えているか県警察の方針を伺う。
【理事者】
本県は道路標示の現有数が他県と比較して非常に多い状況にあり、中には摩耗が進んでいる道路標示もある。県警察としては、ホームページで受け付けている標識BOXや地域住民の要望等に基づき、横断歩道や停止線、止まれの文字表示を重点として、緊急性、必要性を判断しながら、摩耗の激しいものを優先して整備している。
そのほか、必要性の低下した交通規制を廃止することによって道路標示を削減する、道路標示そのものを細くするなどの措置を取って対応している。交通安全施設の整備については、道路標示の更新以外にも多くの事業があることから、道路交通上の安全性の確保の観点や地域住民の要望等も踏まえつつ、他の事業とのバランスも考慮した上で進める。
【委員】
限られた予算の中で一生懸命やっていることは分かるが、先ほど説明したとおり、人々のルールの境になる線であるため、頑張ってもらいたい。
一方、これだけのペースで更新しても摩耗する状況が起きている。考えてみると、標示の中でもよく消えているものは、その上を多数のタイヤが通過し、摩耗するのが当然の設備でもある。看板などは簡単には壊れないが、タイヤが通過する標示について、特にラインについては、何らかの工夫があればいいと思う。整備したものを見ると、夏場にはきれいに引き直したところも、温度が高いためか大きな車が通った後まとめて剝がれている場所を見たことがあり、タイヤが通った部分が特に摩耗しているものも見る。
そこで、長い間続けてきたラインを引く作業において、もう少し工夫することで長持ちさせられると思うが、その点についてどう考えているのか。
【理事者】
名古屋市内において、令和2年9月に高耐久性塗料を使用した道路標示を試験的に施工し、耐久性を調査している。効果の検証については相応の時間が必要になることから、耐久性、費用等の検証結果を踏まえ導入の検討を進める。
【委員】
素人考えであるが、道路に溝を造るとその部分は剝がれないなど、ほかにも方法があると思うため、県警察において研究を重ね、できるだけコストをかけずに標示がしっかり確認できるようにしてもらいたい。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書318ページの警察活動費の犯罪捜査活動費について伺う。
犯罪捜査活動を適正かつ効果的に実施したとあるため、ここで聞きたいのは未解決重要事件の解決に向けた取組についてである。
2010年4月に殺人罪などの時効が廃止され、警察庁は未解決事件の捜査体制を強化するための専従班を各都道府県警察に設置するよう通達し、愛知県警察捜査一課に2011年度から長期未解決事件、いわゆるコールドケースを専門に捜査する特命捜査係が設置されている。迷宮入りとなっている凶悪事件を洗い直し、解決に向けての地道な捜査活動を続けている。
過去に県警察に聞いたところ、捜査本部が設置された本県の重大事件の約9割が1年以内に解決しているものの、捜査員の必死の捜査活動にもかかわらず結果を残せなかった未解決事件は全体の1割程度あるとのことであった。
そこでまず、現在本県の殺人などの未解決重要事件はどのくらいあるのか。あわせて、主な事件名と概要などについて伺う。
【理事者】
捜査第一課担当の捜査本部等を設置した殺人が絡む重要事件のうち、現在もなお未解決のものは32件ある。この中には、1999年11月に名古屋市西区稲生町地内において発生した主婦被害の殺人事件、2008年5月に豊田市生駒町地内において発生した女子高校生被害の強盗殺人事件がある。
西区の主婦被害殺人事件については、1999年11月13日の昼頃、名古屋市西区稲生町5丁目地内のアパートで、当時32歳の主婦が刃物様の凶器で何者かに殺害された事件である。
豊田市の女子高校生被害強盗殺人事件については、2008年5月2日午後7時30分頃、自転車で帰宅途中の当時15歳の女子高校生が何者かに殺害され、ショルダーバッグが奪われた事件である。この二つの事件は、警察庁から指定を受け、捜査特別報奨金制度の対象事件となっている。
【委員】
未解決重要事件が32件で、事件名や概要を聞くと、そういう事件もあったと思い出した。
こうした迷宮入りとなっている凶悪事件の解決に向けては、時間の経過による風化を防ぐための取組が一番の課題であると聞く。捜査はこつこつと地道な活動の積み重ねであると思うが、現在の科学捜査の技術を駆使して新たな有力証拠につながるケースもあると聞いている。
また、警察庁が導入する捜査特別報奨金制度は未解決事件の情報提供の増加に期待ができることから、本県でも県警察ホームページでこの懸賞金制度を活用して広く情報提供の呼びかけを行っている。
そこで、本県の報奨金対象事件への情報提供の募集について、令和4年度中、それぞれ何件の情報提供があったか伺う。
【理事者】
この制度は、広く国民から重要凶悪犯罪等の被疑者検挙に資する情報の提供を受けるために実施しているものであり、警察庁が指定する事件に関し、被疑者検挙に結びつく有力な情報を提供した人に対して報償金を支払うこととされている。
本県において、捜査特別報奨金対象事件に指定されている西区の主婦被害殺人事件及び豊田市の女子高校生被害強盗殺人事件に関する令和4年度中の情報提供件数については、西区の事件では約90件、豊田市の事件では約50件の情報提供があり、捜査を行った。
【委員】
名古屋市西区の主婦被害殺人事件は90件で、豊田市の女子高校生被害強盗殺人事件が50件とのことだが、事件発生から年月が経過すれば、寄せられる情報件数も減少していくと思う。未解決事件の捜査で重要なことは、世間から事件を忘れ去られてしまう、風化させないことである。県警察として令和4年度にこれら未解決重要事件に対して解決の糸口を見つけるための活動、取組は何をしたのか。
【理事者】
令和4年度中、県警察においては、捜査第一課特命捜査係を中心として未解決重要事件の解決に向け、鋭意捜査を推進した。また、過去の例においても明らかなとおり、未解決重要事件を解決するためには県民からの情報提供が非常に重要となる。
そこで、県警察においては、より多くの県民に関心を持ってもらい、事件を風化させないために、事件発生日等に街頭でチラシを配布したほか、新たに作製したポスターの掲示や大型ビジョン、ラジオ放送を活用して情報提供を呼びかけた。
【委員】
特命捜査係は、解決の糸口が見つけられずに今日まで至った事案を、さらに時効が廃止されたことで、終わりのない捜査活動をこれからも継続していかねばならないのは、想像以上に厳しいことであると思う。
そこで、未解決重要事件の解決に向けて、県警察の意気込みを聞きたい。
【理事者】
被害者や遺族の無念や悲しみなどの心情に寄り添いつつ、事件の真相を明らかにすることは我々警察に課せられた大きな責務である。引き続き被害者等の無念に思いを致し、着実に捜査を進め、未解決重要事件の早期解決につなげたい。
《県民文化局・環境局関係》
【委員】
令和4年度決算に関する報告書36ページの文化財事業費のうち、あいち山車まつり活性化事業費の負担額について伺う。
愛知県には様々な地域に祭りなど伝統文化が存在している。中でも山車まつりはその象徴として広くPRされているが、その保存団体は、継承について後継者問題など相当な苦労をしているとの話を聞く。また、コロナの影響でさらに多くの苦労があったとも聞いている。私の地元でも継承が止まってしまった団体がある。
そこで、負担額の対象となっているあいち山車まつり日本一協議会とはどのような組織なのか。また、昨年度この協議会で実施した主な取組と実績について伺う。
【理事者】
あいち山車まつり日本一協議会は、県内の山車まつりの保存団体と、山車まつりが所在する市町村及び愛知県で構成する団体であり、山車まつりの保存、継承を図り、山車文化を広く発信するための事業を行っている。昨年度は、主な取組として、研修会、日本の祭シンポジウム、山車文化魅力発信の三つの事業を実施した。
一つ目の取組、研修会は、協議会の構成員を対象に、7月26日と11月17日の計2回、祭りの保存と伝承をテーマにパネルディスカッションを実施し、延べ52人が参加した。
二つ目の取組、日本の祭シンポジウムは、協議会の構成員のみでなく、一般の人や他の祭り関係者も対象に、8月6日に学校法人至学館コミュニケーション研究所との共催事業として開催し、日本の祭りに関する講演とパネルディスカッションに150人が参加した。
三つ目の取組、山車文化魅力発信事業では、愛知の山車文化の魅力を県内外に広く発信することを目的とし、山車の型や山車まつりの見どころ等を紹介する映像作品とハンドブックを制作した。映像作品はロングバージョンとショートバージョンの2種類を制作し、動画サイトユーチューブで公開している。閲覧数は11月10日現在で、2種類合わせて9,067回となっている。ハンドブックは2万部作成し、県内の図書館など258施設へ送付して、各地域で活用してもらうこととした。
本事業はコロナ禍で様々な制約が続く中での実施であったが、関係者から、祭り継続への気持ちが強くなった、新しい切り口で祭りの発展を考えていけると感じたとの声をもらっており、伝統の継承に向けた機運の醸成につながったと感じている。今後も協議会と団結しながら、様々な事業に取り組んでいきたい。
【委員】
今日の中日新聞の知多版に南知多町の山車まつりが取り上げられており、その記事の中に専門家の意見として、山車まつりは民俗の成り立ちという部分があり、人々が暮らしてきた文化だと捉えて続けていかなければならないとの内容が書いてあった。それほど知多半島は山車まつりが盛んな地域であり、答弁にあったような声は私の耳にも届いている。コロナ禍で苦労した団体がこれをきっかけに励みになったと聞いているため、大変感謝している。
先日、半田市で開催されたはんだ山車まつりを見たが、改めて山車文化のすばらしさを体験できた。今後も、愛知県内のそれぞれの伝統文化が受け継がれていくように協力してほしい。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書58ページの水地盤環境事業費のうち、三河湾環境再生推進費及び環境保全規制調査費について伺う。
事業者への排水規制、下水道の普及など、様々な水質改善の取組の結果、伊勢湾及び三河湾の水質は改善されてきたと認識している。しかし、水質が改善された一方で、主要な水産資源であるアサリなどの漁獲量の減少やノリの色落ちが見られ、漁業関係者からはその原因の一つとして窒素やリンなど栄養塩の不足が指摘されている。
そこで、伊勢湾及び三河湾の水質の状況はどうなっているのか。
【理事者】
伊勢湾、三河湾において、水質汚濁の代表的な指標であるCOD(化学的酸素要求量)、また、富栄養化の指標である窒素、リンについては環境基準が設定されており、その基準を達成するため、水質汚濁防止法に基づく水質総量削減計画による取組を進め、削減を図ってきた。8次にわたる水質総量削減計画による取組の結果、工場、事業場等からのCOD等の排出量は、取組開始時と比べ、2019年度のCODは57.6パーセント、窒素は28.2パーセント、リンは48.3パーセント削減できた。
また、海域における環境基準地点でのCOD、窒素及びリン濃度の年平均値について、CODは微増傾向である一方、窒素及びリンは減少傾向となっている。
【委員】
二点目であるが、アサリの漁獲量の回復やノリの色調の改善に向け、栄養塩管理の取組が行われているが、その内容を伺う。
【理事者】
県では、下水処理場からの放流水中の窒素及びリン濃度を増加させ、ノリやアサリへの効果を調査する社会実験を行うため、当該事業場の窒素及びリンの総量規制基準を、国が定める範囲の上限まで緩和した第9次総量削減計画を2022年10月に策定している。
この社会実験は、県が管理する矢作川及び豊川浄化センターにおいて、2022年度は11月から3月まで、2023年度は9月から3月までの2年間実施する。
この社会実験の評価は、学識経験者や漁業関係者、国、県、沿岸の市町で構成される愛知県栄養塩管理検討会議で実施する。昨年度の社会実験の結果は、今年6月に開催された検討会の中で、海域への悪影響は見られず、ノリの色調やアサリの生息量は良好であったと報告されている。
【委員】
伊勢湾及び三河湾を豊かな海にしていくため、環境局ではどのような取組を進めているのか。
【理事者】
環境局としては、近年アサリやノリが取りにくくなっているとの漁業者からの声を踏まえ、水質の保全と豊かな海の両立に向けて取り組む必要がある。伊勢湾、三河湾の水質改善には、行政機関、NPO、漁業者、民間企業等の多様な主体との連携、協働が必要であることから、三河湾環境再生パートナーシップ・クラブ、水循環再生地域協議会等における連携、協働の取組を推進している。
また、古くから豊かな海の恵みをもたらしてくれる里海である三河湾の環境再生に向け、水質の浄化、魚などの産卵や生息の場、さらには海中に取り組まれる炭素、いわゆるブルーカーボンの貯留を促進する藻場の保全、再生の取組にも着手した。
環境局としては、人の手を加えることにより生物多様性及び生物生産性が高まった豊かな海、水質環境基準の達成を目標としたきれいな海並びに親しみを持って利用してもらえる親しめる海を目指し、里海の概念及び重要性について啓発等を図るとともに、里海再生を推進する。
【委員】
それでは、要望する。
県民環境委員会において、山田たかお委員を中心に再三この問題について議論しており、その点は申し訳なく思っているが、これは私たちあいち民主県議団が10月に知事に渡した要望書にも入っているためあえて取り上げた。
豊かな海とは何なのかが県庁横断的に議論されるべきであると思っている。豊かで、美しく、親しめる、と三つのワードも出てきたが、これは大変すばらしいことだと思う。いろいろな調査もしてもらっている。連携もしてもらっている。そうしたことを踏まえ、愛知発でこんなに海をよくしたといえるぐらい力を入れて取り組んでもらいたい。
次に、県民文化局に1点質問する。
説明にあったが、愛知県財務諸表(2)56ページの芸術文化センターについて、固定資産の建物が191億8,700万円で令和3年度から10億円ほど減っている。減っている理由は減価償却か確認させてほしい。
【理事者】
減価償却である。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書45ページのあいち女性リーダー育成推進事業費について伺う。
この事業は県内企業における役員等の女性リーダー育成が目的とのことである。事業内容について、実施回数5回、参加者136人とあるが、どのような事業で、どのような成果があったのか。
【理事者】
本事業については大きく二つの内容に分かれており、一つはあいち女性リーダー講演会、もう一つは企業の人事担当者等による女性役員登用に向けたワーキンググループであり、企業の人事管理に知見のある三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社に委託して実施した。
一つ目のあいち女性リーダー講演会については、県内企業における女性役員等の育成に向けて女性のキャリアアップを支援することを目的に、県内企業で主に管理職を務めている女性を対象に、トヨタ自動車株式会社、JR東海、東京海上ホールディングス株式会社などで会社役員を務めている10人の女性による講演会を計5回開催した。講演会では参加者同士の意見交換も行い、講演者との質疑応答も行った。当初の定員は、参加者同士の交流を図るため50人としていたが、定員を大きく上回る136人が参加した。
参加者からは、女性役員の生の声を聞く貴重な機会であり大変参考になった、管理職の重圧に悩んでいたが勇気づけられた、いろいろな企業で活躍している女性との交流の場が非常に有意義であったとの感想をもらい、アンケート結果では、参加者の満足度はほぼ100パーセントであった。本事業により、県内企業の役員候補者である女性に対して、意識改革やさらなるキャリアアップの後押しができた。
また、もう一つの女性役員登用に向けたワーキンググループについては、県内に事業所がある六つの企業の人事担当者によるワーキンググループを計4回開催し、企業における女性役員登用に向けた課題の整理や取組事例の収集等を行い、役員登用を見据えた女性活躍に関する課題や取組の可能性を報告書としてまとめた。この報告書については愛知県経営者協会の会員企業816社に送付するとともに、県のウェブページにも掲載し広く周知した。
【委員】
2023年度にこの事業は行われていないとのことであるが、令和4年度の事業を今後どのようにつなげていくつもりなのか伺う。
【理事者】
企業における女性リーダーの育成については継続的に取り組んでいく必要があり、また、今回の事業で他の会社で同様の立場にある女性との交流は大変有意義であると分かったため、今後も女性の管理職や役員登用に向けたセミナーや交流会を継続的に実施していく予定である。
11月22日にはウィルあいちにおいて、県と公益財団法人あいち男女共同参画財団と愛知県経営者協会の三者共催で、女性リーダーから学ぶ異業種交流会を開催する予定であり、今後もこうした取組を実施したい。
また、ワーキンググループの委員を依頼した6人のうち、女性活躍推進に関する取組が先進的であった富士通Japan株式会社の取組については、同社の総務人事部人事統括部シニアディレクターである小林秀吉氏に、今年度のあいち女性の活躍促進会議において講演してもらった。あいち女性の活躍促進会議は、県内の経済団体、労働団体、企業、大学などの代表者を構成メンバーとして毎年開催しているが、今年度は小林氏の話を受けて、女性をはじめ多様な人材が活躍できる職場づくりの重要性などについて意見交換が行われた。今後もこの事業で得られた成果を本県の女性活躍促進に向けて活用していきたい。
【委員】
この事業を見ると、愛知県には製造業が多いため、製造メーカーの役員になる人を育成していくと受け取れたが、いろいろな業種の人々に案内されているようであり安心した。
しかし、役員という部分にあまり焦点を置かず、NPOなど様々なところで活躍している女性もたくさんおり、そういう人を底上げすることにより役員になる人も出てくると思うため、そういった部分にも目を向けてもらいたい。
次に、令和4年度決算に関する報告書55ページのあいちエコアクション・ポイント事業費について伺う。
この事業について、私は、あいちエコアクション・ポイント事業を残念ながらこの決算で初めて知ることになった。いろいろ説明を聞くと、理念については大変すばらしいと思う一方、広めていかないことには事業の効果が得られないとも思う。まず、環境に優しいことに参加し、次に、バーコードなどを読み込むことで何かに応募できる資格が得られ、その後、応募する形の事業のようであるが、詳しく伺いたい。また、この事業によりどのような効果があったのか。
【理事者】
あいちエコアクション・ポイント事業は本年2月15日から開始した事業であり、県民の脱炭素循環型ライフスタイルへの転換や行動変容を促すことを目的に、県内のコンビニエンスストアやスーパー、飲食店等の参加店舗等において、グリーン購入、プラスチック製カトラリー類の辞退など、五つのエコアクションを行った人に愛知県独自のポイントであるあいちエコアクション・ポイントを付与する事業である。2次元コードなどを読み込むことでポイントを付与するが、一定のポイントをためるごとに賞品の抽せんに参加できるようになっている。
10月末時点で参加店舗は約4,600店、参加者数は約7,000人となっており、県民がエコアクションを始めるきっかけづくりに一定程度寄与している。
【委員】
よく知っている人がそのことに一生懸命取り組んでいるのだと思うが、多くの人々に知ってもらうことが大事であるが、どのような取組をしているのか。
【理事者】
本事業をより多くの県民に認知してもらうために、本県の公式SNSを活用した情報発信をするとともに、本県の広報媒体であるテレビやラジオの番組を活用してPRを行っている。
また、参加意欲を高めるために、事業開始時の1か月間をキックオフキャンペーンとして、この期間中に登録した人に特別にポイントを付与している。さらに、通常賞品に加えて、キャンペーン中には事業者から提供してもらった協賛品を賞品としている。今年の6月から7月に夏季取組強化キャンペーンとして、協賛品を賞品に加えて実施したほか、愛知県内で実施された環境関連のイベントや本庁舎公開イベント等においてPRを行っている。
また、農業水産局が行っているいいともあいち運動や、県民文化局が行っているエシカル消費のイベントやキャンペーンにおいても、あいちエコアクション・ポイント事業のPRをするなど、他局と連携した取組を行っている。
一方、参加者を増やすためにはエコアクションを実践するための店舗等を増やす必要がある。そのため、大手チェーン店等の事業者への協力要請や名古屋商工会議所など各種団体へ働きかけることにより、加盟店舗の事業参加を依頼している。
【委員】
確かに、参画企業が増えれば広がっていくと感じる。今も続いているとのことであるため、今後について、ポイントをためることに興味の湧く、価値のあるものであれば、より広がっていくと思う。ポイントをためてうまく活用する、いわゆるポイ活している人も随分増えているようであるため、愛知県独自の取組もよいと思うが、そういったものとの連携もぜひ考えてほしい。
最後に、令和4年度決算に関する報告書71ページの海岸漂着物等地域対策推進事業費について伺う。
いろいろな場面で本件については何度も質問しているが、環境的な観点から、海に流れていくごみを片づけ、流れていかないようにすることができるのは、環境局の事業でしかあり得ない。他部局にいろいろ話をしたが、管理している場所を使えるようにごみを片づけることはあるが、環境的な観点で、早くごみを片づけないと海に流れていってしまうから片づけようとする意識はなく、所管外の場所は片づけることがないため、海岸漂着物が海に流れ出ていかないよう、早く回収できる事業を環境局で進めてもらいたいとの思いを持って質問する。
まず、この補助金の事業について、どのような事業が対象になっているのか。
【理事者】
事業費の内容は二つあり、(1)推進事業費については、県が海岸漂着物の発生抑制の普及啓発の事業を行っている。
令和4年度決算に関する報告書72ページの(2)事業費補助金については、国の地域環境保全対策費補助金を活用し、市町村が実施する重点区域の海岸漂着物や散乱ごみのほか、海洋の漂流ごみ等に係る回収処理事業が対象となっている。なお、この重点区域は愛知県海岸漂着物対策推進地域計画の中で、地元市町村からの意向を踏まえ、海岸漂着物等の量、質のほか、海岸などの自然的条件や利用状況、経済活動等について総合的に検討した地域として20地区を設定している。
なお、補足であるが、(1)推進事業費についても、国の補助金を活用している。
【委員】
説明があったように、この事業費では15市町村に2,934万7,000円の補助をしているとのことであるが、実際どの程度回収できているのか。また、どのように回収しているのか。
【理事者】
昨年度、15市町村の回収実績は、海岸漂着物等が8市町で約316トン、漂流ごみ等が11市町村で約32トン、合わせて約348トンの回収である。海岸漂着物等の回収については、観光協会など地元の海岸利用者の協力を得て実施する場合や民間事業者に発注する場合がある。
一方、漂流ごみ等の回収については、漁業者等のボランティアによる船舶を使った回収と、名古屋港と衣浦港の清掃活動を行う各清港会の船舶を使った回収がある。
【委員】
漂着ごみについて、以前もらった地図の中に重点区域一覧と記載があり、この区域の回収をしていると思う。基本的には観光で使われる砂浜が中心であるが、岸壁などほかの施設は対象になっておらず、多くのごみが流れ着く。冒頭に話したが、建設局などでは、その目的に支障がなければ片づけないため、環境局としてごみを海に流し出さないために、全ての課に対し、出たごみを積極的に片づける方向を出してもらうことをお願いする。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書30ページの人権推進事業費に関連して伺う。
2022年4月に愛知県人権尊重の社会づくり条例が施行されたが、施行に伴い新たに取り組んだこと、また、力を入れて取り組んだことがあれば伺う。
【理事者】
条例施行に伴い、2022年4月から人権啓発及び教育の拠点であるあいち人権センター内に人権相談窓口を整備するとともに、一昨年度試行的に実施したインターネットモニタリング事業を本格的に実施した。また、新たに愛知県人権施策推進審議会を設置し、昨年度は主にヘイトスピーチ関連の取組について詳細を検討してもらった。さらに、性的指向及び性自認の多様性についての理解増進等の取組も充実させた。
【委員】
今の答弁で出た、それぞれの取組について伺う。
初めに、人権相談窓口を整備したとのことであるが、窓口の体制や相談実績、評価、課題、今後の取組について伺う。
【理事者】
人権相談窓口は、4人の人権相談員が様々な人権に関する悩みや問題について、電話や面談などにより受け付けて対応しており、昨年度の相談の実績は247件である。
相談区分別の実績として、障害者32件、プライバシー侵害20件、インターネット18件などとなっているが、いずれの区分にも属さないその他が116件と最も多くなっており、人権に関する悩みや問題を漠然と抱えている相談者にとっては、情報提供や助言、専門相談窓口や救済機関への案内が行われることで解決に向けた第一歩になっている。
課題としては、周知と他機関との連携であり、今後はより一層人権相談窓口の周知に努めるとともに、他機関との連携を図っていきたい。
【委員】
次に、インターネットモニタリング事業を本格的に実施したとのことであるが、この取組の詳細や流れ、また、実績、評価、課題及び今後の取組について伺う。
【理事者】
本県で行っているインターネットモニタリングは大きく分けて二つある。
一つは、業者に委託し、新型コロナウイルス感染症、部落差別、外国人、障害者の分野について、キーワード検索によって掲示板等の書き込みをモニタリングしている。
もう一つは、動画はキーワード検索では把握できないことから、職員が目視により行っており、主に部落差別関連の動画サイトをモニタリングしている。いずれも国の取扱い等に照らして、差別を助長する悪質で違法性が高いと考えられる投稿については、国の人権擁護機関である法務局に削除要請している。
昨年度の実績として、委託により差別を助長する書き込みの報告があったのは555件であり、内訳としては、コロナ70件、部落差別83件、外国人381件、障害者21件となっている。そのうち削除要請した件数は29件であり、実際に削除された件数は22件あることから、モニタリングは一定の効果があると考えている。
課題としては、直接的に悪質な書き込みを防止する方法がないことであるが、今後も継続してモニタリングしていくとともに、今年度からキーワード検索の対象分野に性的少数者を加えるなど、充実に努めている。
【委員】
次に、新たに設置した愛知県人権施策推進審議会では主にヘイトスピーチ関連の取組の詳細を検討したとのことであるが、どのような検討や議論を行い、その結果はどうであったのか。また、今年度の審議会では何を主に議論しているのか。
【理事者】
審議会での、条例に定められているヘイトスピーチの解消に向けた取組は二つあり、一つは県が設置する公の施設において、ヘイトスピーチが行われることを防止するための指針を定めること、もう一つは、公の場所でヘイトスピーチが行われたと認められるときは、その概要を公表することである。昨年度の審議会においては、この指針及び概要の公表の具体的な事務処理について検討を行った。
また、概要を公表する場合は申出により審議会の意見を聴いて判断することになっているが、昨年度は1件申出があり、審議の結果、ヘイトスピーチには該当しないとの答申をもらっている。
今年度は条例に基づき人権施策に関する基本的な計画を策定することとなっており、現在その内容について検討してもらうとともに、計画に盛り込む予定のファミリーシップ制度の内容についても主に議論をしてもらっている。
【委員】
最後に、性的指向及び性自認の多様性についての理解増進等の取組を行ったとのことであるが、具体的にどのような取組を実施したのか。また、そうした取組に対する評価や課題、今後の取組について伺う。
【理事者】
条例には性的指向及び性自認の多様性について、県民及び事業者の理解を深めるための取組を行うことと、県が事務事業を行うに当たり、その多様性に配慮する旨の二つが規定されている。
そこで、まず県庁内での理解を図るため、性の多様性に係る庁内連絡会議を設置し、申請書等における性別記載欄の見直しを行うとともに、性の多様性に関する職員ハンドブックを作成した。また、事業者の理解を深めるため、企業とLGBTと題した講演会をオンラインで開催し、それに併せて啓発資料も作成した。
評価であるが、性別記載欄の見直しでは合理的な理由のない申請書等の性別記載欄を60件廃止し、職員ハンドブックは職員以外からも参考にしたいとの問合せがあった。また、講演会では90人の参加があるなど、一定の評価ができると考えている。
課題としては、性的指向及び性自認の多様性についての理解がまだ不足していると考えており、今年度は引き続き庁内連絡会議を開催するとともに、職員ハンドブックの使い方の研修を行うなど理解を深めるための取組を行っていきたい。
また、LGBTの人々、特に若者は性的少数者としての生きづらさや困難さを保護者にも相談できない状況があると聞いており、今年度は若者向けの取組も行っている。
具体的には、当事者だけでなく全ての若者を対象とした若者向け啓発資料や、相談対応者及び指導者向けのガイドブックを作成している。こうした取組を進めることにより、性の多様性に関する理解増進を図る予定である。
【委員】
近年、人権に関する課題の複雑化及び多様化が進む中で、県民の関心も高まっていると感じている。この条例の第1条には「あらゆる人権に関する課題の解消を図るとともに、全ての人の人権が尊重される社会の実現に寄与することを目指す」と記載されており、引き続きこうした目的を達成するために施策が展開されることを要望する。
続いて、令和4年度決算に関する報告書51ページの環境基本計画推進費について伺う。
報告書にはあいちSDGs環境プラットフォームの構築を行ったと記載があるが、この事業に対する費用はどれだけであったのか。また、この事業の目的、内容及び結果の評価について伺う。
【理事者】
あいちSDGs環境プラットフォームについては、SDGs達成に向けた取組の拡大、向上、活性化を図ることを目的として、県内の企業、団体、大学、NPOなど様々な主体が実施しているSDGs達成に向けた環境面の取組を登録してもらいデータベースを構築し、それらの取組をほかの企業等に参考にしてもらうためのウェブサイト上のプラットフォームであり、費用は1,145万3,454円となっている。
具体的な内容であるが、登録者が取組事例を写真や動画を用いてウェブサイトに登録することで、広く自らの取組内容を発信することが可能となるだけでなく、そうした内容を基に登録者間でマッチング希望を発信することにより新たな連携先を探すことが可能となる。さらに、データベースを構築したことで、ウェブサイトの閲覧者は業種、取組分野などユーザー目線の検索機能により様々な団体の取組等の情報を容易に取得することができ、自らの行動、取組の参考にすることができる。
このプラットフォームは昨年9月末に開設し、約半年で目標の50団体を上回る57団体に登録してもらい、SDGsの環境面からの取組の促進に一定の効果があった。
【委員】
多様な主体のSDGs達成に向けた環境面の取組をより一層促進していく観点でいえば、プラットフォームの登録者数をさらに増加して利用拡大を図っていく必要がある。
そこで、プラットフォーム利用拡大に向けた今年度の取組状況を伺う。
【理事者】
プラットフォームの登録者の増加に向けては、これまでSDGs AICHI EXPOなどの各種イベントでのチラシ配布、各種メールマガジンでの紹介など様々な機会を通じて登録を働きかけ、登録者を増やしてきた。しかしながら、SDGsは環境のみならず、経済、社会という側面があり、SDGs全般を所管する政策企画局においてこの三つの側面全ての取組を行う企業、団体等を登録する愛知県SDGs登録制度を2021年9月から運用しており、二つの制度が共存している状態になっていた。登録を希望する企業、団体等からは分かりにくいと意見があり、また、SDGs達成に向けては各側面での取組を進めることが必要であることなどを踏まえ、政策企画局と連携して両制度を発展的に統合することとした。
具体的には、環境プラットフォームをベースに、経済、社会面の取組を登録できるようにするなど改修を行い、本年10月2日から新たな登録制度、あいちSDGsパートナーズとして運用を開始した。また、新たな制度の運用開始に合わせ、モリゾーとキッコロをあいちSDGsアンバサダーに任命し、SDGsの取組促進のPRを進めている。
新しい登録制度やアンバサダーは政策企画局が運用していくが、環境局としても、環境面からのSDGsの取組の普及促進に向け、政策企画局と連携しながら取り組みたい。
【委員】
県民、企業及び団体のSDGsに対する認識が高まる中で、利用する側にとって分かりやすいサイトにバージョンアップすることは大切だと思う。私もピンバッジをつけているが、モリゾー、キッコロという県民にとって親しみのある、また、SDGsの概念と親和性の高いキャラクターを用いて広報啓発するとのことである。ぜひ多くの企業、団体に登録してもらい、新たなプラットフォームがSDGsへの取組のデータベースとして、見える化やマッチング促進につながる当初の目的がしっかり推進されるよう要望する。
続いて、令和4年度決算に関する報告書74ページのPCB廃棄物適正処理推進事業費について伺う。
報告書には、会社の倒産等により処理義務者が存在しなくなった高濃度PCB廃棄物処理を4件、行政代執行したと記載されている。このPCB廃棄物の処理に関して、今までどのような取組を行ってきたのか。
【理事者】
一般にはPCB特別措置法と言われている、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法に基づき、PCB廃棄物を保管する事業者には、毎年度その保管状況を知事に届け出ることが義務づけられ、国が定めた処分期限までにその処分が義務づけられている。
本県では、県内に存在するPCB廃棄物が期限内に処分されるよう、国が定めた未処理のPCB使用製品及びPCB廃棄物の掘り起こし調査マニュアルなどに基づき、2013年度から2020年度にかけて繰り返し掘り起こし調査を約11万8,000社に対して実施し、変圧器、コンデンサなどを約1,600台新たに確認するとともに、その処分を指導した。当初の処分期限である2021年度には、処分期限後に高濃度PCBが発見されることのないよう、過去に変圧器、コンデンサなどを設置した事業者約2万3,000社に最終的な確認依頼と処分期限を周知する通知も行った。
本県では、こうした取組を通じ、これまで変圧器、コンデンサなど3万4,200台、安定器など1,275トンを処理してきた。2022年度も新たに判明した高濃度PCB廃棄物の保管事業者などに対し、処分を完了するよう事業者指導を行い、処分義務者が存在するものについては全て処分されている。
一方で、破産により処分義務者が存在しなくなった4件については、国の助言に従い、行政代執行による処分を行った。
【委員】
高濃度PCB廃棄物の処分期限が2024年3月末に迫っているが、今後どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
2023年10月末現在、本県では高濃度PCB廃棄物がいまだ処分されていない案件はないが、国の高濃度PCB廃棄物処理事業が本年度末、2024年3月末までに処分期限が延長されているため、発見があった場合は直ちに処分するよう、保管事業者に指導を行う。
また、処分期限を踏まえた国の通知により、保管事業者と処分業者との処分委託契約の期限が今年の12月末となっていることから、これを過ぎても保管事業者による処分が行われない場合や、保管事業者が不存在である場合が今後出てきた場合には、PCB特別措置法第13条に基づく代執行により処分を行う。
【委員】
これまで県内に数多く存在していた高濃度PCB廃棄物に対して、設けられた期限での処理に向けて長期にわたって計画的に業務を執行し、さらに、計画的処理期限が過ぎた後も廃棄物ゼロに向け業務を愚直に遂行してもらった結果、愛知県管理分としては、現時点では廃棄物ゼロになっているとのことで、本当にありがたい。
今後、高濃度PCB廃棄物も低濃度PCB廃棄物の処理もあるため、関係機関、業界団体等と連携を図りながら、業務を適切に進めてもらいたい。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書79ページの指定管理鳥獣捕獲等事業推進費について伺う。
先日、農業水産局にも質問したが、県内では三河山間部などでニホンジカによる農林業への被害等が問題となっている。
愛知県では鳥獣保護管理法に基づき、第二種特定鳥獣管理計画を策定してニホンジカの捕獲を行い、昨年度229頭捕獲したとのことであるが、予算編成の際の、何頭捕獲するかという目標に対しての捕獲状況がどうだったのか。それと併せて、事業の執行状況はどうだったのか。予算は足りていたのかも伺う。そして、本事業を実施した結果、どのような効果が出ているのか。また、今後の見通しについて、個体数抑制につながっているのかも含めて伺う。
【理事者】
まず、目標頭数の設定について、県では鳥獣保護管理法に基づく第二種特定鳥獣管理計画を策定し、年間6,000頭以上の捕獲を目標としている。この目標は県のみならず、市町村による有害鳥獣捕獲事業や狩猟による捕獲も合わせたものとなっている。その上で、県の捕獲事業は移動に長時間を要する場所や人の立入りが容易でない場所で行うことが多く、大きな捕獲数を得ることが見込めないことから、6,000頭の1割に当たる600頭を現事業の捕獲目標として設定している。
次に、執行状況であるが、昨年度の捕獲頭数は229頭であり、目標頭数の600頭を下回ったため、捕獲個体の処理費用に不用額が生じたことにより、執行率は78パーセントとなっていることから、今のところ予算が不足している状況にはない。
次に、効果と見通しについて、ニホンジカの推定生息数は、2019年度約2万3,400頭にまで増加しており、農林業への被害も拡大した。本県においては、2019年度から第二種特定鳥獣管理計画に基づく指定管理鳥獣捕獲等事業を開始し、毎年約200頭前後、多い年には267頭を捕獲している。
この県事業に市町村事業や狩猟を合わせた全体では、計画上の6,000頭を上回る数が毎年度捕獲されている。結果として、21年度には推定生息数は約2万2,000頭となっており、減少に転じていると考えている。
今後の見通しとして、県ではニホンジカの生息数を計画目標の1万頭にまで低減できるよう、引き続き事業を推進していきたい。
【委員】
今の答弁では、2021年度で2万2,000頭の推定生息数とのことであったが、2026年度末までに1万頭まで減らすとすると、まだ倍の生息数であり、1万頭以上捕獲しなければならない。
県の事業では年間600頭、市町村と合わせて年間6,000頭を狩猟も含めて捕獲していく計画の中で約1割である。結果として、その約3分の1となる毎年200頭前後が捕獲されているとのことで、多くの予算をつければ大量に捕獲できるわけではないと思うが、目標である生息数1万頭に向けて、引き続き必要な予算を確保しながらこの事業を進めてもらうことを要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書31ページ、5の県民相談・消費生活事業費について伺う。
今は高度情報化の波に乗り、インターネットを活用した商取引は私たちの生活を大変便利にしているが、高齢者や若者をターゲットにした巧妙かつ悪質な手口の新手の消費者トラブルも増加している。
そこで、令和4年度の消費生活相談の件数と内容、傾向について伺う。
【理事者】
令和4年度の消費生活相談の概要について、県及び市町村の消費生活相談窓口に寄せられた相談件数は、本年6月の公表ベースで4万4,002件である。その内訳は県1万554件、市町村3万3,448件となっており、全体の件数では、前年度の4万2,411件と比べて3.8パーセント、1,591件増加している。
契約当事者の年代3区分別であるが、これは70歳以上の高齢者、30歳未満の若者、それ以外の一般で分けており、その区分別相談件数を見ると、前年度に比べ、高齢者世代及び一般世代は増加しているが、若者世代は若干減少している。
商品・サービス別では、化粧品が4,024件で最も多く、以下、身に覚えのない架空請求など商品が特定できない商品一般3,708件、賃貸アパート1,430件、健康食品1,407件の順となっている。
相談の内容として、化粧品や健康食品を一回限りのつもりで注文したが、実際には定期購入になっていたなど、定期購入に関する相談が急増している。また、SNS上の広告を見てその気になり、高額な副業のサポート契約をしたがもうからないので解約したいなど、SNSを介した消費者トラブルに関する相談が若者中心に増加している。
【委員】
相談件数が4万4,000件を超え、前年から3.8パーセント増加しているとのことであるため、消費生活相談はいろいろな形で複雑化していると分かった。
そこで、令和4年4月から民法に定められた成年年齢が18歳に引き下げられ、18歳からは親の同意がなくても自由に契約できるようになった。これまでは、民法の規定により18歳、19歳の未成年者が親の同意なく結んだ契約は未成年者を保護する目的で取消しの適用ができたが、成年年齢の引下げでそれが適用できなくなったため、安易な契約でトラブルに巻き込まれる18歳、19歳も少なくないと思う。
令和4年度の消費生活相談で18歳、19歳成年の相談件数と主なトラブル事例、できれば金額面も前年と比較して増えているのか、現状を伺う。
【理事者】
令和4年度に県及び市町村の消費生活相談窓口に寄せられた18歳、19歳の相談件数は534件であり、成年年齢引下げ前であった令和3年度の472件と比べて13.1パーセント、62件増加している。
相談内容を見ると、前年度に比べてエステティックサービスに関する相談が大幅に増加しており、ネットで格安の脱毛エステの広告を見て店舗に出向き、10万円を超える脱毛エステの契約をしたが、保護者から高額だと反対されたためクーリングオフしたものの心配であるなどの相談が寄せられている。
契約購入金額で見ると、18歳、19歳の相談全体の平均額は21万3,000円となっている。その中には100万円以上の相談も9件あり、最高額は426万円となっている。
【委員】
驚く数字であると分かった。18歳、19歳の成年年齢が引き下げられたことにより様々な形でトラブルが増加していると分かった。
消費生活相談窓口では商品やサービスの契約に伴うトラブル、電話勧誘や訪問販売などによる契約トラブル、悪質商法、製品事故などに対する相談に専門の相談員が対応し、助言や情報提供のほか、必要に応じて業者と消費者の間に入るあっせんを行い、トラブル解決の支援をしていると認識している。
その消費生活相談員について伺う。
消費生活に関する法律の知識に加え、幅広い分野の知識も持ち合わせていないとなかなか的確なアドバイスができず、相談員は5年でやっと一人前だとも聞いている。資格を持ちながらも待遇は非常勤職員であり、全国的にも担い手不足が課題となっている。
そこで、担い手不足が課題とされる消費生活相談員について、本県の現状はどうか。
【理事者】
愛知県消費生活総合センターでは、現在22人の消費生活相談員が在籍しており、日々相談業務を行っている。現時点において県の消費生活相談員が不足していることはないが、高齢化の進展により世代交代が進むことで、今後担い手の確保が必要になってくると予想される。
そうした中、国においては消費生活相談員の養成を目的として、2020年度から消費生活相談員担い手確保事業を実施しており、2021年度からは定員が大幅に拡充されている。
県としては、市町村とも連携しながら、国の事業の周知やPRを実施することで県内の消費生活相談員の資格取得者を増やし、担い手の確保につなげていきたい。
【委員】
本県に22人の消費生活相談員がおり、緊急に不足して困ってはいないと受け止めた。
次に、教育向け情報紙により実践的な教育手法を提供するなど、地域や学校における消費者教育の取組を支援したとあるが、成年年齢が18歳に引き下げられたことや、インターネット社会で子供、若者が契約トラブルに巻き込まれるケースも増えていることから、学校での消費者教育は大切である。
そこで、令和4年度の消費者教育の取組について伺う。
【理事者】
本県では自立した消費者を育成するため、幼児期から高齢期までのライフステージに応じた消費者教育を学校や地域、職域などの場に応じて推進している。
学校における取組としては、消費者教育研究校として指定した高校等において、県の消費生活相談員等が講師となり、消費者被害に遭わないための実践的授業を実施している。その実践例を教員向けの情報提供紙、あいち消費者教育リポートとして取りまとめ、県内の中学、高校、特別支援学校に提供することで他校における活用を図っている。
また、成年年齢の引下げを踏まえ、若年者への消費者教育の充実強化を図るため、県の消費者教育コーディネーターが高校や特別支援学校に消費生活相談員等の講師を派遣するとともに、授業案の作成を支援するなどして高校等での実践的授業を支援している。
さらに、昨年度は新たな取組として、より早い時期から適切な消費行動に結びつく知識や実践的な能力を習得させるため、小中学生向け消費者教育教材、かしこい消費者のススメを作成し、県内の小学校5年生と中学校2年生に配布するとともに、外部講師を派遣するなど小中学校での実践的授業を支援している。
加えて、地域や家庭、職域における取組であるが、老人クラブの研修会や学校のPTA集会、事業者が行う社員研修等に県の消費生活相談員等を派遣する出前講座を実施するとともに、消費生活情報、あいち暮らしっくの配信や専用ウェブサイト、あいち暮らしWEBを活用した情報発信等により消費者教育を推進している。
【委員】
学校での消費者教育は非常に大切であり、今の答弁からもしっかりやってもらっていると感じた。消費者にとってトラブルに遭遇したときの身近な相談窓口である、地方自治体が設置している消費生活センターや消費生活相談窓口の役割がとても重要である。
そこで、県内の各自治体の消費生活相談窓口の設置状況と、そのうち消費相談窓口が週4日以上の開設で、専門の資格を有する相談員を配置し、国民生活センターとのホットラインであるPIO-NETを配備する消費生活センターの要件を満たしている自治体の状況はどうなっているのか伺う。
【理事者】
消費生活相談窓口の設置状況であるが、県の消費生活総合センターに加え、県内54市町村の全てに設置されている。そのうち、センターの要件を満たしているのは、県の消費生活総合センターと、54市町村のうち50市町村である。残る4市町、高浜市、豊山町、大口町、幸田町については週4日以上開設する要件を満たしていないため、センターと称してはいないが、消費生活相談窓口として相談を受け付けている。
【委員】
相談窓口の体制によって被害が生じることはよくない。
そこで、県として、各自治体の相談窓口の充実強化、サポートについて伺う。
【理事者】
市町村における相談窓口の充実強化を図るため、本県では、県の相談員が市町村へ出向く巡回指導や、県の相談窓口で市町村相談員が指導を受ける実践研修、市町村相談員との専用ダイヤル、市町村ホットラインによる助言指導などを実施している。
また、毎年度県内の新任相談員に対する研修を行っているほか、相談員の専門知識や相談処理能力の向上を図るため、より専門的で実践的な内容の研修、キャリアアップ研修なども行っている。
さらに、県内市町村における消費生活相談員の人材確保を支援するため、消費生活相談員の有資格者で、消費生活センターへの就職を希望する人を人材バンクに登録し、市町村からの求めに応じて情報提供している。
【委員】
社会環境の変化に伴って次から次へと新たな消費者問題が発生していることが分かった。消費者被害から県民を守るには、県と市町村の十分な連携が必要である。相談体制が不十分な市町村も若干あるため、相談窓口が維持、充実できるよう引き続き県のサポートをお願いする。