委員会情報
委員会審査状況
一般会計・特別会計決算特別委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年11月21日(火) 午後0時58分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
鈴木喜博、寺西むつみ 正副委員長
伊藤辰夫、山本浩史、神戸健太郎、丹羽洋章、山田たかお、杉江繁樹
高橋正子、日比たけまさ、黒田太郎、加藤貴志、神谷まさひろ 各委員
防災安全局長、防災部長、県民安全監、
政策企画局長、企画調整部長、国際監、ジブリパーク推進監、
総務局長、総務部長、財務部長兼財政課長、人事局長、
人事管理監兼人事課長、
会計管理者兼会計局長、同次長、監査委員事務局長、同次長、
人事委員会事務局長、同次長兼職員課長、議会事務局長、同次長、
関係各課長等
<付託案件等>
○ 決 算
決算第1号 令和4年度愛知県一般会計歳入歳出決算
決算第2号 令和4年度愛知県公債管理特別会計歳入歳出決算
決算第3号 令和4年度愛知県証紙特別会計歳入歳出決算
決算第4号 令和4年度愛知県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出
決算
決算第5号 令和4年度愛知県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算
決算第6号 令和4年度愛知県中小企業設備導入資金特別会計歳入歳出
決算
決算第7号 令和4年度愛知県就農支援資金特別会計歳入歳出決算
決算第8号 令和4年度愛知県沿岸漁業改善資金特別会計歳入歳出決算
決算第9号 令和4年度愛知県県有林野特別会計歳入歳出決算
決算第10号 令和4年度愛知県林業改善資金特別会計歳入歳出決算
決算第11号 令和4年度愛知県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算
決算第12号 令和4年度愛知県県営住宅管理事業特別会計歳入歳出決算
(結 果)
全員一致をもって認定すべきものと決した決算
決算第1号から決算第12号まで
<会議の概要>
Ⅰ 防災安全局関係
1 開 会
2 決算概要の説明
決算第1号 令和4年度愛知県一般会計歳入歳出決算
歳出第2款総務企画費(第6項防災安全費、第7項災害救助費)及び
これに関する歳入
3 質 疑
4 休 憩(午後1時54分)
Ⅱ 議会事務局、政策企画局、総務局、人事局、会計局、人事委員会事務局、
監査委員事務局、選挙管理委員会事務局関係
5 再 開(午後2時4分)
6 決算概要の説明
決算第1号 令和4年度愛知県一般会計歳入歳出決算
歳出第1款議会費、第2款総務企画費(第1項政策企画費~第5項選挙
費、第8項監査委員費、第9項人事委員会費)、第11款公債費、第12款
諸支出金、第13款予備費及びこれらに関する歳入
決算第2号 令和4年度愛知県公債管理特別会計歳入歳出決算
決算第3号 令和4年度愛知県証紙特別会計歳入歳出決算
7 質 疑
8 採 決
9 委員長報告の決定
10 閉 会
(主な質疑)
《防災安全局関係》
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の23ページの消防団加入促進事業費について伺う。
私の地元の刈谷市の女性消防隊が、10月21日に行われた第25回全国女性消防操法大会において、全国から44団が出場する中で準優勝に輝いた。
スクリーンに映し出される当日の競技の様子、選手がインタビューで語った約1年にわたる仕事や学校を終えた後に重ねた訓練での喜びや苦労話を聞いて、思わず涙ぐんだ。消防団の活動は、早朝深夜の訓練や夜警の活動、さらには災害や火災発生時の出動で、日の当たることはなかなかない役割であるが、地域の安全を守りたいとの高い志や心意気で行っている活動であると改めて感じた。
一方で、その会場に来た各分団長から、団員がなかなか集まらないという苦労話を聞いた。そもそも条例で決められた定数を満たしておらず、本来の分団の町内以外からの団員がどうしても多くなってしまう。さらには、市外の団員も増えてきている。また、どうしても付き合いの関係で、市の職員が団員になる例が多く、万が一の災害のときには職員としての役割があるため、消防団員としての活動はしづらいのではないかと聞いた。こうした団員獲得の難しさは、どの自治体においても共通の課題であると思う。
そこで、決算に関する報告書の24ページにある、令和4年度に新規事業として行った消防団加入促進モデル事業について、その概要、例えばどの自治体がどのような事業を行い、事業費はどれだけだったか伺う。
【理事者】
モデル事業は、消防団の加入促進につながる取組について市町村からの提案を受けて、その中から先進性、発展性、普及性、継続性などの観点からモデル的な取組を選定の上、県の委託事業として実施するものである。令和4年度は5団体から提案があり、外部有識者等による選定委員会での審査の結果、3団体を選定した。
一つ目は、北名古屋市の事業で、市内の名古屋芸術大学の学生で組織された声優ユニット、アイキャンディによる消防団オリジナルソング、みんなのヒーロー北名古屋市消防団を作成して、イベントへの参加による普及や動画の配信など広報活動を行ったもので、事業費は約100万円である。
二つ目は、瀬戸市の事業で、瀬戸出身の漫画家、中島みるく先生に消防団の公式応援キャラクターを作成してもらい、それを活用して、若年層向けの広報活動を実施したものが約73万円である。
三つ目は、津島市で例年、中学校を会場として実施していた消防団の技術発表会を、市制75周年の記念事業として大型の商業施設で大々的に行い、多くの市民に消防団を知ってもらう機会とする事業が約21万円である。
これらのモデル事業の取組状況については、他の市町村の参考にしてもらうために、事業終了後、年度末に報告会を実施して周知した。
【委員】
決算に関する報告書24ページに、同じような事業名で、消防団加入促進事業費補助金とあるが、これはどのようなもので、先ほどのモデル事業との違いはどの部分か。
【理事者】
消防団加入促進事業費補助金は、各市町村が実施する消防団加入促進に係る取組を県が支援するものであり、1市町村当たり200万円の補助基準額の2分の1以内で県が補助する。
これに対して、モデル事業は、他の市町村への普及効果の高いものを市町村から事業提案してもらい、県のモデル事業として選定して、県が全額負担した上で市町村に委託し、実施してもらうものである。
【委員】
モデル事業の趣旨からすると、令和4年度にモデル事業として行った事業を、その自治体が翌年の令和5年度に、二つ目に説明した消防団加入促進事業費補助金を使って継続的に行う。あるいは、令和4年度のモデル事業を横展開して、他の自治体で令和5年度に先ほどの補助金を使って行われることが正しい形かと思うが、そういった事例はあるのか。
【理事者】
モデル事業を実施した団体は、内容に工夫を加えて、今年度は市町村の自主財源で実施している。モデル事業の他の自治体への横展開については、実施状況に関する報告会を行い、県内市町村に周知した。モデル事業を実施した団体には、内容に関する問合せ等もあり、情報提供したと聞いているため、今後、横展開が行われることを期待している。
県としても、引き続きモデル事業を実施していく。
【委員】
本当は、モデル事業の成果が出たのであれば、翌年度以降もその自治体で実施し、また、他の自治体に横展開していくことが理想的である。令和5年度の予算を見ると、モデル事業を新規でやっているため、昨年の三つに加えて、ますますいろいろな形で加入促進の取組が、一つの財産としてできてくるので、それを広めてもらい成果を出してもらいたい。
また、成果について、団員の加入促進にいかにつながったかがそもそもこの事業の目的であるので、この事業を行ってどれだけ団員が増えたか、つまり、事業の成果を検証することが非常に大切であると思うが、検証を行っているのか。
【理事者】
モデル事業を実施した市町村からは、この事業で、実際に団員が入団したと聞いており、団員確保につながる効果がある事業と認識している。そのほかの市町村からも、消防団活動を広く啓発したことにより市民の認知度、団員の認知度が上がったため、今後もさらに工夫を重ねて継続していく旨の報告をもらっている。
県としても、引き続き加入促進に取り組んでいく。
【委員】
成果はあったと思うものの、理想論かもしれないが、何年後かに何人の入団につながったという成果があって、初めて横展開もやりやすくなると思うため、そういった検証も行ってもらいたい。
先ほどは、消防団の活動は高い志や心意気でやるものだと言ったが、今の若者の気質を見ると、奉仕の精神や心意気だけで消防団に入ってくれることは残念ながら珍しいのでないか。よって、何か目に見える消防団加入のメリットも必要になってくる。
そういった中では、飲食店や消防団応援の店というのも一つとしてあるが、そのほかにも、ぜひ消防団員のメリットを作ってもらうと同時に、認知度を高める活動も上手に進めていき、消防団のメンバーが増え、苦労しないようにしてもらいたい。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書21ページの緊急津波対策防災訓練推進事業費について、昨年、内閣府、愛知県、そして常滑市による地震・津波防災訓練が開催された。常滑市としても初めてのことで、会場の上空を自衛隊の輸送機が飛ぶなど、非常に大規模な訓練であった。そこで、この訓練ではどのような成果があったのか。
【理事者】
昨年11月6日に、内閣府、愛知県、常滑市の共催で常滑中学校をメイン会場にして、防災関係機関や地域住民約1,000人に参加してもらい、地震・津波防災訓練を実施した。
この訓練では、緊急地震速報を合図にしたシェイクアウト、地域住民の参加による津波避難、自主防災組織による避難所の開設、警察・消防・自衛隊による被災者の救出などの実践的な訓練を行った。
また、訓練の前後2回にわたり、地区の自主防災組織の人とワークショップを開催しており、対象になる地区からそれぞれ5人ずつ、計約30人が参加した。訓練前のワークショップでは、各地域の避難場所、避難経路の確認や要配慮者の把握を行い、また、訓練後のワークショップでは、訓練の振り返りとともに、改善の方向性等について意見交換をして認識の共有を図った。
地域住民が、事前に自ら避難経路を考えて、訓練では、シェイクアウトの後に実際に一時避難場所への避難を行うとともに、自主防災組織が中心となって避難所を開設するなど、住民が主体的に、また協力して取り組むことの重要性が理解され、効果的な訓練となった。
【委員】
今後はどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
大規模地震発生時に速やかに避難して、津波から身の安全を守るためには、一人一人が日頃から避難行動の重要性に対して意識をしっかり持つことが大切である。
本県では、東日本大震災が発生した2011年から、津波防災の日である11月5日の前後に、沿岸の市町村において大規模な地震、津波を想定した防災訓練を実施している。本年度も、11月11日に名古屋港ガーデン埠頭において、観光客を対象として近隣の津波避難ビルへ歩いて避難する避難訓練を実施した。
今後も、市町村と連携して、地域住民が主体的に避難行動を行い、自治会や自主防災組織が中心となり避難所の開設、運営に取り組むなど、地域の特性を踏まえた実効性の高い訓練を実施していく。
【委員】
今年も、常滑市で総合防災訓練が行われ、私も出席したときに、実際に聞いたのは、ワークショップでは、住民に対して事前に自分たちで考え、本番に臨んで、それが終わったらまた振り返りをすることがよかったとの話である。参加した人たちも自主的に進んでやっていた。規模は小さくなったが、そういうよさを感じたので、ぜひ県内各市町村に広がっていくように、また取り組んでもらえるよう要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書26ページの自転車乗車用ヘルメット着用促進事業費補助金について伺う。
7歳から18歳までの児童生徒等と65歳以上の高齢者に対して助成しているが、2022年度における助成したヘルメットの数と割合はどうなっているのか。
【理事者】
令和4年度は全体で2万6,748個に対して助成しており、このうち児童生徒は1万8,899個で約71パーセント、高齢者は7,849個で約29パーセントとなっている。
【委員】
次に、令和4年度の予算に対する執行率及び前年度と比較して執行率はどのようになっているのか。
【理事者】
令和4年度の予算額3,425万円に対し執行額は2,543万2,390円で、執行率は約74.3パーセント、2万6,748個となっている。
令和3年度は、同額の予算に対し執行額は3,403万2,770円で、執行率が約99.4パーセント、3万6,010個であるため、執行率が約25.1パーセント減少した。
【委員】
令和3年度、令和4年度を比べた際に、令和4年度の執行率は落ちている。この補助金の周知はどのように行い、ヘルメットの着用率に対する効果はどうなっているのか。
【理事者】
この補助金は、市町村が実施する購入費助成事業に要する経費に対して助成するものである。市町村が広報誌やウェブサイト、チラシ等で周知を行っているが、県としても、ウェブサイトや交通安全の啓発イベント、チラシなどで周知を行っている。
また、ヘルメットの着用率については、県政世論調査によると、令和元年に1.4パーセントだったものが、令和4年には5.6パーセントになっており、警察庁が調査した令和5年度には7.8パーセントと年々上昇している。
これは、自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の制定や道路交通法の一部改正によるヘルメットの努力義務化と、この補助金の取組が相まって上昇につながっていると考えている。
【委員】
若い世代は着用率が高くても、高齢者はなかなか上がってこない。高齢者からは、明らかにヘルメットと分かるヘルメットをあまりかぶりたくないとの声をよく聞く。自転車通学する高校生やスーツ姿で通勤する社会人の中にも、やはりデザイン面で抵抗がある人も結構いると思うが、このような課題に対してどう対応していくのか。
【理事者】
現在、ヘルメットは様々なデザインのものが販売されており、スポーティーなヘルメットや、一見すると帽子に見えるキャップ型やハット型のヘルメット、束ねた後ろ髪が収まるスペースが後頭部にあるヘルメットなども販売されている。
しかし、こうしたヘルメットが販売されていることがいまだ県民に伝わっていないと思われる。県としては、ヘルメットの有効性を伝える広報を行うのに併せて、様々なタイプのヘルメットを紹介して、こうした課題に対応したい。
【委員】
決算に関する報告書19ページの飲食店等感染防止対策事業について伺う。
令和4年度に実施した事業の内容とその結果について伺う。
【理事者】
飲食店等感染防止対策事業は、新型コロナウイルスの感染防止対策に取り組んでいる飲食店を県が認証し、業種別ガイドラインの遵守徹底と県民に感染防止対策を講じている飲食店の利用を促すことを目的に、令和3年6月にニューあいちスタンダード、通称あいスタ認証制度として創設した。
その後、国から、令和3年12月付の事務連絡で、飲食店における感染防止対策を徹底するために、認証店については第三者認証制度の質を担保するため、少なくとも年1回の見回りを行うこととされたことから、昨年度は、令和3年度に引き続き飲食店の新規認証事務を行うとともに、令和3年度に行った認証の質を担保するために、飲食店の利用者が県内の飲食店を安心して利用できる環境を提供するため、認証済みの店舗の再調査を行った。
再調査は、令和3年度中に認証を受けた3万1,275店舗を対象に、令和4年7月から令和5年1月にかけて調査員が実際に店舗を訪問し、認証基準の遵守状況を目視やヒアリングにより確認した。
その結果、廃業等により閉店した店舗等を除き、全ての認証店で、令和3年度に引き続き適切な感染防止対策が講じられていることを確認するとともに、感染対策の不備により認証を取り消した店舗はなかった。
【委員】
今後のことについて、意見を言わせてもらう。
3億3,000万円という膨大な金を投じて行った事業である。急にできた事業とはいえ、この事業に対応するために飲食店の関係者は大変な準備をした。この制度が今後どうなるか分からないが、場合によっては、この制度が今後運用されて、何かメリットがあるのではないかと飲食店の人々も思いながら対応した。結果として、新型コロナウイルス感染症の分類が5類に移行されて、この制度自体が終了した。一応、あいスタ宣言という形で残っているが、十分なメリットが感じられる状況にはない。
一方で、この事業を短期間で行うために、職員も相当苦労したと思う。全件問題なかったとの結果が出ているが、これだけの件数に対応するとなると、いろいろなことがあったと思う。
今後、防災安全局がやるかは別として、急遽行った事業は今後何かあったときのために引き継ぎ、また、飲食店に協力してもらったのに空振りに終わったようなイメージは残さずに、それぞれの人々に十分なメリットを感じられるような制度設計にすべきである。
続いて、決算に関する報告書22ページの防災ヘリコプター管理運営事業について、防災力の向上という説明があったが、具体的にはどのような課題があるのか、また委託開始後の効果について伺う。
【理事者】
名古屋市に運航委託する以前は、主に国の安全基準が改正され、2022年4月1日に施行されることとなっていた2人操縦士体制の対応、長期運航休止期間への対応、夜間運航の再開という課題があった。
名古屋市に運航を委託したことで、国の安全基準の施行時点である2022年4月から2人操縦士体制を取ることができ、基準を満たすことができた。
また、県と名古屋市のヘリコプター3機を用いて一体的に運用する体制を整えたことで、年間3か月以上を要する法定点検等による運航休止期間を発生させることなく運航できるようになった。また、複数機を機動的かつ柔軟に活用して、同時発生した事案や長時間の捜索、救助活動にも対応できるようになった。さらに、夜間活動の経験値の高い名古屋市に運航委託したことで活動時間の幅が広がり、日没後の三河山間地域の山岳救助などに大きな効果が現れている。
今後は、この3機一体での体制がさらに強固なものとなるよう、関係機関との実践的な訓練や他県の航空隊との合同研修等を積み重ねることにより、技術、能力の向上に努める。
【委員】
過去は1機体制で、年間3か月かかる点検のために止まっており、その間は他県や他市にお願いしていたことを考えると、効果は非常に大きかった。
次に、令和4年度の緊急運航件数について伺う。
【理事者】
令和4年度の緊急運航件数は174件である。内訳は、名古屋市内への出動が87件、名古屋市を除く愛知県内の出動が66件、他県への応援出動が21件である。
名古屋市内を除く愛知県内の出動66件の災害別の内訳は、災害防御が8件、救急活動が26件、救助活動が31件、その他1件となっている。
【委員】
防災ヘリコプターは、緊急事案の対応実績もある一方で、ドクターヘリも負傷者の運送を担っている。どちらのヘリコプターも消防からの出動依頼を受けて飛ぶことになっていると思うが、消防からどのように依頼するのか。
【理事者】
現在、県内では愛知医科大学にドクターヘリが配備されているが、現場もしくは機内で医師等による治療が必要な場合は、ドクターヘリに対して出動の要請がある。
一方、登山中に滑落した負傷者を医療機関まで搬送するといった救助活動を伴うような場合には、防災ヘリコプターに対して出動要請がある。
なお、両ヘリコプターで連携して対応する場合もある。人命救助を最優先に、臨機応変に対応している。また、両ヘリコプターとも患者搬送の任務に当たることがあるが、患者の状態や同乗する医療スタッフの人数、登載する医療機器の大きさ等に応じて、いずれかのヘリコプターが対応している。
今後も、ドクターヘリとの適切な役割分担及び連携を図りながら、防災ヘリコプターの特徴を十分に生かした消防防災活動を行えるよう、運航を委託した名古屋市消防航空隊と調整をしていく。
【委員】
西尾市に住んでおり、近くに大きな病院がないため、最近、ドクターヘリや防災ヘリなどが飛んできて助けてもらったという話をよく聞く。ぜひ、効率的に運用してもらいたい。
【委員】
決算に関する報告書18ページの産学官連携地域強靱化推進事業費について、報告書には、あいち・なごや強靱化共創センターを運営し、産業の早期復旧対策など地域強靱化に係る調査研究や人材育成等を行ったと記載されている。
そこで、強靱化共創センターとはどのような組織で、どのように運営されているのか。
【理事者】
強靱化共創センターの組織運営について、あいち・なごや強靱化共創センターは、大規模災害発生時において、愛知・名古屋を中核とした中部圏の社会経済活動が維持されるための研究開発や事業を推進するために、2017年6月に名古屋大学、名古屋市と共同で設置した組織である。
事務局は名古屋大学の減災館の中にあり、事業計画や予算など組織の運営については、名古屋大学のみでなく、県、名古屋市、国土交通省中部地方整備局といった行政機関のほか、中部経済連合会、名古屋商工会議所といった産業界も参画する運営協議会で決定することとしており、産業界の協力を得ながら運営しているのが本センターの特徴となっている。
センター長には、開設以来、福和伸夫名古屋大学名誉教授が就任しており、副センター長は県の防災危機管理課長となっている。運営スタッフは、県職員、名古屋市職員、名古屋大学の教職員で構成している。
センターの運営経費については、2022年度の決算額で5,683万2,000円となっており、このうち愛知県からの負担金は1,098万3,000円となっている。このほかの主な収入額は、名古屋市からの負担金362万円、名古屋大学の運営費1,000万円、企業からの寄附金等885万円となっている。これ以外にも、受託事業収入や受講料等の収入がある。
【委員】
あいち・なごや強靱化共創センターの事務局がある減災館では、防災に触れて学ぶことができる教材があり、様々な講習会やセミナーが開かれたと聞いている。そうした施設を生かして人材の育成を図り、地域の防災力を向上させる取組は大変重要である。
そこで、具体的にどのような人材育成を行い、どのような実績があるのか。
【理事者】
あいち・なごや強靱化共創センターにおける人材育成として、中小企業のBCP策定等の産業界の防災力を強化する産業支援、地域で活躍する防災人材を育成する県民支援、市町村の防災担当職員の専門知識を付与するための行政支援、あいち防災協働社会推進協議会と連携し、防災に関する幅広い知識を習得するための防災・減災カレッジの四つの事業を実施している。
それぞれの主な実績について、産業支援では、愛知県商工会連合会主催の経営指導員等応用研修会に講師を派遣したほか、BCP策定中あるいは策定済みの中小企業を対象として講習会を実施し、24人が受講した。
県民支援では、要配慮者利用施設向けの防災講習会及びBCP策定講習会を実施し、209人が受講した。また、防災人材の交流の場として、防災人材交流シンポジウム、つなぎ舎をあいち健康の森公園プラザホールで開催し、約220人が参加した。
行政支援では、市町村防災担当職員等を対象として、行政の人材育成研修を実施した。具体的には、災害救助法、被災者生活再建支援法事務研修、住家の被害認定研修、災害対策本部運用研修等の10種の研修を実施し、延べ722人が受講した。
防災・減災カレッジでは、防災基礎研修のほか、市民防災コースと五つのコース及び四つの選択講座等を実施し、延べ2,003人が受講した。また、当カレッジは防災士養成講座としての認証を受けていることから、受講生のうち139人が防災士として登録された。
【委員】
昨年度、安全・安心対策特別委員会の県外調査で宮城県立多賀城高等学校を視察した際、この防災系の専門学科として全国でも2例しかない災害科学科の教育概要について、また塩竈市にある津波防災センターでは、東日本大震災発災直後1週間を中心とした市民生活と行政の対応について質問した。
一方、本県では、幸いなことに、近年、全県域に及ぶ大災害を経験していないこともあり、決して県民の防災意識が高い地域とはいえない。意識は地域によって差があると思うので、ぜひ他県の事例も参考にしながら、引き続き防災教育に力を入れてもらいたい。
続いて、令和4年度決算に関する報告書23ページの救急高度化対策費について、救急救命士を52人養成したと記載されている。
そこで、本県においては現在何人の救急救命士が市町村の消防本部に在籍しているのか。
【理事者】
県内の消防本部の救急隊の数は、令和4年4月1日現在で247隊となっており、各救急隊には、少なくとも一人以上の救急救命士の配置が望ましいことや、救急隊は24時間の交代勤務であり、交代要員のことも考慮して、各市町村で必要人数を配置している。
県内の消防本部において救急救命士の資格を有する者の数は、令和4年4月1日現在で1,632人が在籍しており、そのうち1,410人が救急隊として運用している。
【委員】
具体的に、新規養成はどのように行っているのか。
【理事者】
救急救命士の国家資格を取得するため、研修所に入校し養成している。令和4年の実績の52人の内訳は、一般財団法人救急振興財団の東京研修所で34人、名古屋市消防局の研修所で14人、大阪市消防局の研修所で4人の養成を行った。研修に係る費用は、救急振興財団の研修施設は全国からの負担金で運用されており、救急隊の数や人口等を案分して、本県は2,120万円を支出している。
また、名古屋市の研修所には、市との協定に基づいて、教育に必要な備品を購入する形で県が負担しており、令和4年度は約247万円の備品を購入した。
【委員】
一方で、報告書には1,173人の救急救命士に対し再教育を実施したとの記載がある。この再教育とはどのようなことを実施しているのか。
【理事者】
消防本部で運用されている救急救命士は、処置の質の確保及び維持向上のため、国の通知に基づいて、2年間で128時間の再教育を受けることとされている。1年当たり64時間の再教育のうち、本県が16時間を担って教育実習をしており、残りの48時間は消防本部ごとでの教育や病院実習が行われている。
本県における再教育は、毎年度、外傷や小児といった個別テーマを3項目ほど選定して、講義講習を8時間、実技講習を8時間実施している。講習講義では、テーマに沿ったDVD教材を作成して、eラーニング形式による教育を行い、課題シートを提出している。DVD教材であるため、過去のテーマも含めて、各消防本部で再活用できるようにしている。実技講習は、集合型教育として県が開催し、DVD教材で学んだ内容に基づいて実技訓練やグループワークを実施している。
なお、令和4年度は、県内4地区に分けて会場を設け、外傷、骨盤固定、循環器疾患などをテーマとして、実践的な技術の維持向上を図っている。
【委員】
救急車による出動件数及び搬送人員は、近年コロナの影響もあり多少減少する時期もあったものの、基本的には増加傾向にあるため、救急救命士の必要性は年々高まっている。また、救急救命士に求められる知識や技能も年々高度化及び多様化している。
引き続き、消防本部が必要とする救急救命士の養成に適切に対応してもらうとともに、消防本部が行う再教育が効果的なものとなるように、より充実した教育資料作成や資機材の提供、また派遣病院との連携強化の部分で、県としてさらなる支援をお願いする。
《議会事務局、政策企画局、総務局、人事局、会計局、人事委員会事務局、監査委員事務局、選挙管理委員会事務局関係》
【委員】
令和4年度決算に関する報告書11ページの情報推進費のうち行政デジタル化推進費について伺う。
本県では、あいちDX推進プラン2025に基づいて、ICT、DX関連施策に体系的に取り組んでいる。報告書にあるICTの活用による行政の課題解決に向けた実証実験の実施については、昨年度の新規事業であった、愛称アイチクロステックが、本年6月の定例議会において追加補正をしている。
そこで、昨年度の事業内容やその結果について伺う。
【理事者】
昨年度のICT活用課題解決支援事業、愛称アイチクロステックについて、このアイチクロステックでは、まず、県庁内の各所属からICTを活用して解決したい行政課題を募り、テーマを設定した。昨年6月にこれらのテーマを提示して、民間企業等から解決策の提案を募集したところ、46件の提案をもらった。
その提案が解決策として有効かなどの観点で評価を行い、行政課題9テーマについて、昨年9月から12月まで、県と民間企業が協働し、提案企業の有するICT技術やノウハウを活用した実証実験を実施した。その成果については、今年3月に公表している。
なお、成果の中でも、愛知県図書館におけるAIチャットボットによる開館時間外の問合せ対応、あいち航空ミュージアムにおける子供たちの興味を喚起持続させるAR(拡張現実)を利用したデジタル展示は、課題解決に優れた効果が認められたことから、成果として得られたデジタル技術を早期に導入するため、導入に要する経費を今年度6月補正予算として計上して、2事業とも既に稼働を開始している。
【委員】
先進的に頑張っている一方で、これを進めていくには、県職員の人材育成が大変重要だと思うが、人材育成についてはどのような取組を行ったのか。
【理事者】
デジタル人材育成に関する前年度の取組について、本県では、DX推進に向け、職員が基本的な知識を有し、所属で簡単な仕組みの内製化など、自らDXを推進できることを目指すべき職員の姿にしている。これは、実際に行政サービスを提供している各所属が自らの課題としてデジタル化、DXに取り組む必要があるとの認識によるものである。このため、昨年度実施したデジタル人材育成研修では、ICTや情報セキュリティに関する基礎知識の習得やプログラミング等の技術力育成に資する研修だけでなく、ユーザーの行動やニーズを基にサービスを構築するデザイン思考など、意識改革に資する研修も用意し、合わせて計30研修を実施した。
研修は、職員が職場で、都合のつく時間に受講できるよう動画視聴を中心として、また昨年度は、在宅勤務時においても受講しやすいよう、限定公開によるユーチューブ配信などの取組を行い、延べ4,291人の職員が受講している。
【委員】
基礎的なところから始めるとのことだが、それぞれの部署が担当だけをやっていることが課題と思う。今後、県政のデジタル化、DX化を進めていくには、準備として、文書のデジタル化を拡大していくことが必要だと思う。報告書の中にウェブ会議環境の整備とあるが、ウェブ会議では、文書を紙で配布することなく、ウェブ上のデジタルデータとして共有することができる。
このほかに、行政デジタル化推進費の中で、文書のデジタル化に関する取組はどのようなものがあるのか。
【理事者】
具体的な取組として、行政デジタル化推進費にて取り組んだ行政手続のオンライン化が挙げられる。オンライン化された手続は、スマートフォンやパソコン等により申請届出が行えるため、紙による手続のように来庁や郵送に要する時間が必要なく、時刻や場所を選ばずに申請届出ができる。昨年度は、愛知県電子申請届出システムを利用したオンライン申請に伴う収納を今年4月からキャッシュレス化するため、システムの改修を実施した。この結果、行政手続のオンライン化がより進み、昨年度末時点で1,141件の手続がオンライン化済みとなっている。
なお、文書のデジタル化では、行政デジタル化推進費で取り組む各事業をはじめ、あいちDX推進プラン2025に基づく2022年度までのデジタル化、DXの取組実績を年次レポートとして取りまとめ、先月27日、愛知県ウェブサイトに公表した。
今後も、各種発表資料等を県ウェブサイトで公表する取組を続けていく。
【委員】
電子申請については、DX化の一つとして有効である。
文書のデジタル化について意見するが、現行はアナログ文書をデジタルに置き換えているだけに見える。例えばこの決算に関する報告書でいえば、1枚めくり、2枚目のところに1ページがあり、もう1枚めくり、またその次のところに1ページがある。これをデジタルで表示すると、表紙のところが1ページ、1枚めくった裏側が2ページ、その次は3ページとなり、ページが合わないことが発生する。こういったところを、まず、庁内で統一的にしなければ、いろいろな種類のデジタルができてしまい活用が難しくなる。
そして、資料の活用について、例えば、10冊近くある資料を1枚のシートにして、印刷物ではなく、資料として仕上げるのであれば、ページを振る必要すらないのかもしれない。そういったところまでDX推進室が取り組んでいけるかというと、各局、各部署でそれぞれ別々のデータを持ち、別々の課題に取り組んでいるため、難しいのではないか。
ぜひ、企画課や総務課で全庁の方針を定め、デジタル化するにしてもまずはルールを統一して横とのつながりをきちんとできるデータを作ってもらいたい。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書11ページの情報推進費のうち、行政デジタル化推進費について、行政デジタル化推進費の中に、いわゆる高齢者デジタルサポーター事業が含まれている。
この事業は、2年前の2021年度から実施されており、事業が新設された当時、新型コロナウイルス感染症への対応を契機として急速にデジタル化が進んだことがあり、特にスマートフォンは、家族、友人との連絡、店舗の予約、キャッシュレス決済など、その利用機会が拡大していた。一方で、高齢者の中には、スマートフォンの操作やデジタル機器に戸惑いを感じている人も多い状況であった。
また、マイナンバーカードの普及等による行政のデジタル化が進みつつある中、住民に身近な市町村においては、特に高齢者の情報格差、いわゆるデジタルディバイドの解消が課題であり、また、市町村の規模や地理的な面などから、デジタルディバイド解消に向けた取組に市町村間で差が生じることも危惧される状況であった。
こうした背景から本事業が行われているが、デジタルに不慣れな高齢者に対して、同じ高齢者としての目線で、県が講習により育成登録した高齢者デジタルサポーターを高齢者向けのスマートフォンに関する講習会の講師や相談役として派遣することで、デジタルディバイドの解消を進めていく趣旨が高齢者デジタルサポーター事業である。そこで、2点質問する。
一つ目は、高齢者デジタルサポーター事業の2022年度の実績はどのようになっているのか、そして、事業を開始した2021年度と比べて実績がどのように上がっているのか。
二つ目は、高齢者には積極的にデジタルの恩恵を享受してもらいたいと考えている中、そのためには、スマートフォンを活用することでより利便性を感じてもらう取組が必要である。
高齢者デジタルサポーター事業は具体的にどのようなことを実施し、どのような効果があったのか。
【理事者】
まず、2022年度の実績であるが、2022年度は高齢者デジタルサポーターとして56人を登録した。また、実施件数は、市町村からの派遣要請に基づき16市町、67件の派遣を決定し、63件を実施した。
事業を開始した2021年度との比較であるが、2021年度は、サポーターとして54人を登録し、実施件数については16市町55件の派遣を決定したが、新型コロナウイルス等の影響により46件が中止となり、5市町9件の実施となった。よって、派遣決定数、派遣実施件数ともに、2022年度は2021年度を上回っている。
続いて、高齢者デジタルサポーター事業の具体的な内容とその効果であるが、高齢者デジタルサポーター事業では、スマートフォンの操作方法として、電源の入れ方、電話のかけ方、カメラ、インターネット、マップ、LINEの使い方などを主な講習内容として実施している。
派遣を実施した市町村からは、操作の分からない受講者に対して、シニア世代にしか気づけない視点で丁寧に教えてもらったという声や、スマートフォンの新たな使い方を模索できる一助になった、あるいは、音声検索やマップの活用など便利な機能を学ぶことで、今後の生活に役立ったといった講習参加者の声をもらっている。
【委員】
高齢者が親身になって高齢者に操作方法を教えていることがこの事業の肝でもあり、急速にデジタル化が進む中で、時宜を得た、そして県と市町村が連携をした、地域に根差した事業である。
先日、スカイ・エキスポで行われた国際会議に参加した際、82歳でゲームアプリを開発して、世界最高齢のアプリ開発者プログラマーとして注目を集めている、現在88歳の若宮正子氏と話す機会があった。その人がパソコンを始めたのが、60代に入ってからであった。若宮正子氏は、高齢者こそスマートフォンを使うべきだといっていた。
デジタル技術は、高齢者にとって心身の機能低下を補う、つまり心身、身体の機能が衰えて外出しづらくなってもオンラインで外とのつながりをキープできる観点で、より生活を便利にしてくれるありがたい存在、それがスマートフォンだといっていた。
高齢者がスマートフォンやデジタル機器を活用してデジタル化の恩恵を享受し、実感してもらえるよう、スイッチを入れたり、LINEを使えたり、電話ができたり、いろいろな検索ができるなど、それを使って何をするかを進めていかなければならない。引き続き、市町村と連携した高齢者への支援を続けてもらうよう要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書2ページの県政150周年記念事業費について、昨年11月27日に、150周年記念式典及び関連事業が行われた。
そこで、150周年記念事業は、どういった目的で行われたのか、そしてどのような効果があったのか。
【理事者】
県政150周年という節目の機会を捉えて、これまでの愛知の歩みを振り返り、県民に改めて郷土への愛着や誇りを持つきっかけとしてもらえるよう、様々な事業を展開してきた。
主な取組としては、インスタグラムを活用した愛知の歴史や魅力を紹介する写真募集や、子供、若者向けの絵画コンクールの実施といった県民参加型のPRを実施した。また、県政150周年を知ってもらうため、県内市町村、企業等が行うイベントでのブース出展や県政150周年を紹介するパネルの巡回展示、鉄道の車内や駅構内における広報の実施、企業の協力の下、一般公募で名前を募集したロゴマークを活用した商品の販売などを通して、広くPRを行った。ほかにも、企業、団体等との連携の下、店舗や建物、イベントでのポスターの掲出やグッズの配布など様々な手法で、県内各地での普及啓発に取り組んだ。
そして、11月27日に実施した県政150周年記念式典をはじめ、その前日のブルーインパルスの展示飛行やその2週間前に実施した愛・地球博記念公園での花火イベントなど、様々な取組を行い、多くの県民の心に残るイベントとなった。これらは新聞等にも取り上げてもらい、多くの人に県政150周年について知ってもらえ、目的に対して一定の効果はあった。
この県政150周年記念事業を通じて醸成された愛知県への思いを一過性のものとせず、末永く県民に持ち続けてもらえることが大変重要である。
そのために、県民文化局において、昨年12月にあいち県民の日条例を制定し、愛知県が誕生した11月27日をあいち県民の日と定めた。県民の日を含む直前1週間、本日から27日までであるが、これをあいちウイークとして、あいち県民の日フェスタや公共施設の割引など愛知の魅力を再発見し、発信する様々な取組が行われる。
【委員】
県政150周年の機会を捉えて、県民に改めて郷土への愛着や誇りを持ってもらえるようなきっかけとするため、いろいろな事業を展開したとのことでであるが、その効果として、全ての県民が、昨年が150周年だったと覚えている人がどれほどいたのか分からないが、いろいろな事業を行う目的をしっかりと定めて行ってもらいたかった。もし、これから県の事業として周年事業等が行われるときは、そこはしっかり見据えて行ってもらいたい。
例えば、150周年記念のキャラクターがいた。まさか県の職員がもう忘れてしまい、名前が分からないことはないと思うが、キャラクターがあったことを知っている県民がどれだけいるのかと私は考えてしまった。本当にキャラクターが必要だったのかとまで考えている。
必要なことはしっかりやってもらいたいが、必要のないことであれば、あのようなキャラクターを判で押したように創りたがるが、創らない判断も今後してもらいたい。
【委員】
令和4年度愛知県一般会計歳入歳出決算書6ページ及び7ページにおいて、第1款県税、第2項事業税、この収入済額は予算現額と比較すると約51億円の増収となっており、この大部分は法人事業税である。
法人事業税の当初予算額は、上場企業の業績予想などを参考に作成していると考えるが、具体的にどのように積算しているのか。
【理事者】
第1款県税、第2項事業税は、法人事業税と個人事業税で構成されている。事業税、収入済額4,159億余円のうち3,987億余円、割合で9割以上が法人事業税である。
法人事業税は、県税の主要税目であり、県税歳入全体の歳入済額1兆2,949億余円のうち、約3割を占めている。法人事業税の当初予算額については、例年11月から12月にかけて、県内の各主要企業に対して聞き取り調査を行っている。そして、その業績予想を基に積算している。
この聞き取り調査のほかにも、上場企業が公表している通期業績予想や12月に日本銀行が発表している全国企業短期経済観測調査、いわゆる日銀短観の経常利益の前年伸び率など、その時点で得られる最新の企業情報や経済指標を参考に積算している。
【委員】
それでは、令和4年度の法人事業税収入済額は当初予算額を上回っているが、増収となった要因をどのように分析しているのか。
【理事者】
令和4年度当初予算額を積算した令和3年12月の時点では、コロナ禍からの経済社会活動が正常化に向かう中で、景気は持ち直しの動きが見られていた。一方、多くの企業では、半導体不足などの供給面での制約、それから原材料価格の動向などの不透明感を警戒して、慎重な業績予想を立てていた。
こうした企業の業績予想を反映して当初予算額を積算していたが、令和4年3月期決算の上場企業の連結経常利益は、海外需要の拡大や円安も加わったことから、製造業を中心に大幅な増益となった。これにより、令和4年度の法人事業税収入済額も当初予算額を上回り増収になったと考えている。
【委員】
なぜこの質問したかというと、当初予算額が随分上振れたと思ったからである。もともと県の税務当局が慎重に見過ぎたと思っていたが、その背景にある企業が慎重だったことが理解できた。答弁の中に、主要企業に対する聞き取り調査とあった。これは、本会議における税収見通しに関する答弁でも度々耳にしている。私は、企業から生の声を聞くことがとても大切なことだと考えている。なぜならば、公表されている数値からだけでは分からない、企業の息遣いが感じ取ることができるからである。
県と企業との信頼関係があればこそ、企業から有益な情報を入手できると考えられるので、これまで以上に細心の注意を払って、企業との信頼関係を構築してもらうことを要望する。
次に、財務諸表(1)の31ページ、広報広聴推進事業の固定資産が4億2,000万円で、それは投資及び出資金の4億2,000万円であり、昨年から900万円減っているが、出資している株の価値が下がったという説明があった。
これは、出資しているものは上場株式のように、価値が分かるものに出資しているという理解でよいか。
【理事者】
出資先については、上場企業と上場していない企業両方であり、上場企業である中部日本放送株式会社については、株価の金額が変わってくる。
【委員】
非上場で株価が分からないものについては、この財務諸表上は、動かないということか。
【理事者】
非上場のものに関しては、出資金当時の金額から動いていない。
【委員】
令和4年度決算に関する附属書156ページの人事委員会費に関連して、職員の採用について伺う。
様々な社会課題がある一方で、ICTやAIの技術が進展をする昨今、県民のニーズは非常に多岐にわたるものになってきている。本県が県政の諸課題に対してスピード感を持って的確に対応し、質の高い行政サービスを提供し続けるためには、多様で意欲的な人材を継続的に確保していくことが大切である。一方で、特に一部の専門職では採用に苦慮しており、現に地方機関では、業務遂行に影響が出ているケースもある。
こういった話は本県に限らず、国や他の自治体においても同様であるが、民間企業における採用意欲の回復や採用活動の早期化の影響によって、本県の職員採用における受験者数は減少し、競争倍率も低下する傾向にあり、人材獲得競争は大変厳しくなっていると認識している。
そこで、職員採用について、令和4年度はどのような取組を行い、また、その結果はどのようであったのか。
【理事者】
本県の職員採用を取り巻く環境だが、社会情勢が急速に変化する中で、国、他の都道府県、市町村のみならず、民間企業とも人材獲得競争が激しさを増している。このような背景もあり、主要な試験である第1回試験では、令和3年度には過去最低の受験者数となった。将来の県政運営を担い、高度化、複雑化する課題に対応できる優秀な人材を確保するためには、受験者数の確保に努める必要がある。このため、第1回試験において、令和3年度までは多くの県や政令指定都市と同一日に一次試験を実施してきたが、令和4年度からはその日程を1か月程度前倒しした。
この結果、これまで同一日で本県を受験できなかった人が受験できるようになったため、令和4年度の受験者数は令和3年度の1.7倍となり、大きく増加することとなった。また、受験者数に対する合格者の競争倍率は6.0倍と、令和3年度の3.1倍に対しほぼ倍となった。
このほかの取組として、令和4年度からは即戦力となる職員の採用手法の一つとして、国や他の都道府県、政令指定都市において困難な行政課題に対する行政実務経験を積み、高い専門性を有する公務員を対象とした採用選考を開始している。これは年2回実施しており、国家公務員など、合わせて4人を採用した。
【委員】
こういった新しい取組は、大変評価できる。
次に、新卒採用ではなく、中途採用の取組について、民間企業からの転職者を採用する取組はどうか。
【理事者】
民間企業などの有用な職務経験や柔軟な発想などを即戦力として活用することにより、組織の活性化を図ることを目的とした採用試験を平成19年度から実施している。この採用試験は、従来、年1回の実施であったが、年間を通して随時採用できるよう、令和3年度の試験から年2回実施している。この取組により、令和3年度の受験者数は、令和2年度の1.8倍に増加した。そして、令和4年度においても、令和3年度と同程度の受験者数となっており、より多くの人に受験してもらえている。
なお、本県に転職を希望してもらうきっかけとして、PR活動であるが、従来、無料で掲載可能な就職情報サイトの利用のみであったが、令和4年度からは、有料ではあるが、転職支援サイトも利用しており、様々な広報媒体を通した情報発信に力を入れている。
【委員】
中途採用についても、従来の1回の試験を2回にし、受験者が増えたとのことだが、民間企業ではもっと多くの回数、試験を行っており、年間通した採用が行われているところが多い。雇用における人材の流動化は、後戻りできない大きな流れと思うため、今後も継続的な取組をお願いしたい。
次に、新卒採用も中途採用も、今後の受験者数を維持拡大していくために、たゆまぬPR活動が何よりも必要だと思う。今後の募集活動について、どのような取組を行っていくのか。
【理事者】
今年度実施した第1回試験でも、令和4年度と同程度の受験者数や競争倍率を確保することができており、試験日程は同時期の実施を継続することが適当である。なお、人材確保の現場は引き続き売手市場であり、本県を志望し受験してもらう人をさらに増やしていくためには、様々な広報媒体を通した情報発信を一層強化することが重要である。
具体的には、人事委員会が運営している職員採用情報ウェブページを、今年度、視覚的に分かりやすく印象の残るデザインにリニューアルし、次期募集に向けて運用が開始できるよう進めている。このほか、県職員の業務内容を受験希望者に紹介する職員ガイダンスについて、これまで学生が冬休みに入る12月下旬に開催をしていたが、採用活動の早期化に対応するため、今年度から夏休みの8月に早めた。
また、SNSの活用も積極的に行い、定期的に採用試験に関する情報のほか、受験希望者から問合せの多い内容をQ&A方式にして発信するなど、より幅広い層に対して効果的に本県職員の魅力をPRしていく。
優秀な人材を確保するためには、受験者数の確保に努める必要がある。今後も、より多くの人に本県を選択してもらえるよう広く情報発信を行っていく。これまで任命権者と連携して、試験制度の見直しなど様々な取組を行ってきたが、引き続き、国や他の地方公共団体及び民間企業の動向を注視しつつ、これまで実施してきた試験制度を不断に検証し、さらなる見直しを図る。
【委員】
採用活動において、既存のやり方を踏襲するだけではなく、いろいろと新しい取組にチャレンジしていることが分かった。
最後に、意見と要望させてもらう。
まず、要望としては、他の自治体における様々な採用の手法に着目してもらい、本県で導入できるものはさらに導入していく、貪欲な積極性を持ち続けてもらいたい。
そして、もう一点、ここに愛知県職員募集というパンフレットがある。これを見ると、若い職員たちが頼もしく仕事をしている非常に分かりやすいパンフレットだと思う。表紙をめくったところに、気になった部分があり、愛知県の目指す職員像として、自律的で、スピーディーかつスマートに行動する職員、行政のプロ意識と高い専門能力を持って行動する職員など書いてあるが、右のほうに小さな字で遠慮がちに書いてあるのが、愛知県庁での仕事の領域は多岐にわたり、関わることもさまざま、だから、あなたが得意としていたり、力を発揮できる場所が必ずあるはず、あなたの個性で愛知の未来をつくりましょうと、非常にいいことが書いてある。この辺りをもう少し大きな字で、自信を持って書いてもらいたい。大学生からすると、求められる職員像よりも、自分がここに入ったら自己実現できると、自分が活躍できるフィールドがあると感じられることが必要だと思う。そういった観点から、広報活動をしてもらいたい。
自治体の運営というのは企業の経営に例えられることもあるが、経営の資源は、人、物、金、もろもろであるが、その中でも人に対する投資は本当に大切な投資だと思うので、これからも採用活動や育成活動には十分に予算を取ってもらい、注力してもらいたい。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書11ページのテレワーク環境整備費について、報告書には、職員の多様な働き方の実現や新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策としての在宅勤務を支援するために配備したテレワーク専用端末1,100台の利用環境の整備を行ったと記載されている。
そこで、この事業内容はどのようなものか伺う。
【理事者】
テレワーク環境整備費は、令和元年度において、職員の柔軟な働き方の推進などを図るために試行導入したテレワーク専用端末100台と、令和2年度において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策の一環として、職員の在宅勤務をより効率的に実施し促進するために追加導入した1,000台、合わせて1,100台を運用するための経費である。
導入したテレワーク専用端末は、いずれも5年間のリース契約としており、決算額3億8,818万3,224円は、令和4年度1年間の端末や管理サーバのリース料のほか、通信回線の使用や保守・運用などに係る費用の合計となっている。
【委員】
このテレワーク専用端末は、主に職員の在宅勤務をより効率的に実施するために導入したとのことだが、専用端末というのはどのようなもので、導入した1,100台の配備状況はどのようになっているのか。
【理事者】
導入したテレワーク専用端末は、自宅や出張先においても庁内ネットワークに接続し、業務システムや公用メールを使用できるなど、庁内とほぼ同様の業務を行えるものである。仕様は、持ち運び可能な13.3インチのタブレット型パソコンで、通信は、インターネットから独立した専用回線を利用した上で、通信内容を暗号化するなどの強固なセキュリティ対策を講じている。
端末の配備に当たっては、全庁で広く利用できるよう、原則として本庁の各課室のグループごとに1台、地方機関では各課室に1台となるよう配備している。
【委員】
今の答弁で、全庁で広く利用できるように、本庁及び地方機関の各課室に配備したことが確認できた。
このテレワーク専用端末の令和4年度の利用実績及び導入の効果を伺う。
【理事者】
テレワーク専用端末の令和4年度の利用実績は、全利用台数が延べ3万8,067台で、開庁日1日当たり、平均157台が使用されている。また、1日に最も多く利用された台数は435台であった。昨年度の職員へのアンケートによると、各種業務システムの利用をはじめ、メールやチャットを利用してコミュニケーションを取りながらの資料作成など、多くの業務に利用されている。
また、職員からは、職場にいるのと近い業務を行うことができたとの意見があり、職員の多様な働き方の実現に効果があったと考えている。
【委員】
テレワークのメリットとしては、ペーパーレス化、デジタル化を促進、ワーク・ライフ・バランスが保ちやすい、人材確保につながる、事業継続性の確保など、かなり広く認識されており、現在ではハイブリッドワークが広がっている。県庁としても、新たな働き方として引き続き積極的に活用してもらうよう要望する。
続いて、令和4年度決算に関する報告書12ページの県有施設長寿命化推進事業費について伺う。
報告書には、愛知県公共施設総合管理計画に基づき、庁舎等の長寿命化改修等を支援するため、各施設への巡回点検を実施したと記載されている。
巡回点検を実施する目的や実施内容はどのようなものなのか。
【理事者】
巡回点検は、庁舎等の長寿命化対策を推進するに当たり、各施設における施設の健全性の確保や必要な長寿命化対策の取組を進めていく中で、施設管理者に対する技術的な支援を行い、施設管理者の専門知識、技術の向上を図るため、財産管理課職員が各施設を巡回して点検を行うもので、愛知県公共施設等総合管理計画が開始された2015年度から実施している。
昨年度は、長寿命化改修工事を実施予定の施設や工事を完了した施設を対象として、計40施設の巡回点検を実施しており、実施内容としては、長寿命化改修のための基本設計や実施設計の段階で、設計に盛り込むべき内容について、長寿命化改修基本調査に沿って適切に実施がされるよう確認指導を行うほか、長寿命化改修工事完了後において、今後の適切な予防保全のための維持管理方法について施設管理者に指導、助言を行ったところである。
【委員】
巡回点検のほかに、施設管理者に対する支援は何か行っているのか。
【理事者】
施設管理者が長寿命化対策を適切に行うためには、施設の点検、診断結果や対策履歴等の情報を適切に管理、蓄積し、次の点検、診断に活用するメンテナンスサイクルを構築することにより、適切な時期に必要な対策を行うことが重要である。そのためには、施設の状態を正確に把握、管理する施設保全台帳の適切な整備が必要不可欠であることから、巡回点検に加えて、施設管理者向け技術研修会を開催し、施設管理者に対して施設保全台帳の適切な作成手法等について周知を図るなどにより、各施設が行う長寿命化対策を支援している。
【委員】
2015年3月に策定された愛知県公共施設等総合管理計画の中で、膨大なストックを抱える県有施設の維持、更新に対して、事後保全から予防保全に切り替えて長寿命化を図ると位置づけ、取組が進められている。
その一方で、社会情勢の変化によって資材価格や人件費の上昇が続いており、この先も、カーボンニュートラルの推進や生産性の向上、建設業の働き方改革などの課題に対して、コストの上昇が続くと見込まれる。施設総量の適正化やPPP(官民連携)やPFI(プライベートファイナンスイニシアチブ)といった民間資金等の活用、そして、新技術及び新材料の導入等による経費節減及び軽減なども考慮しながら、この総合管理計画の的確な運営に努めてもらいたい。
続いて、令和4年度決算に関する報告書15ページの山村振興ビジョン推進費について伺う。
コロナ禍以前に、長崎県壱岐市におけるSDGsの取組を視察した際に、取組の一環としてワーケーションのための施設整備等を行った結果、壱岐市に全国から人が集まって地域の活性化につながったというワーケーションの可能性を示す好事例を聞いた。
愛知県でも、新型コロナウイルス感染拡大防止を契機とした新たなライフスタイルであるワーケーション等を三河山村地域で推進するために、2021年度にニーズ調査を実施したと聞いている。そして、昨年度は実証実験を実施したとあるが、どのような内容で実施したのか。
【理事者】
三河山間地域ワーケーション推進事業については、三河山間地域において、アフターコロナ時代の新しい働き方として注目されているワーケーションの促進誘致を図るため、2021年度から3年間で実施している。初年度は、企業及び個人に対するワーケーションの実施ニーズや条件等を把握するためのマーケティング調査を行った。
2022年度は、調査結果及び地元町村等へのヒアリング結果等を踏まえ、9月から11月にかけて、実証実験としてモニターツアーを3回実施した。当該ツアーは、調査結果においてワーケーションへの関心が高い傾向にあった中小企業を主な対象として、実施場所は休暇で観光を楽しみつつ、普段の仕事を行う休養活用型のワーケーションに高い関心が示されていたことから、三河山間地域の代表的なキャンプ場や温泉施設を活用した。
また、日程は1泊2日とし、ワークの時間以外に地域のことを知り、関心を持ってもらい、引き続き訪問してもらうきっかけづくりとなるよう、地域に関するワークショップや地元関係者との交流会の時間も設けた。
【委員】
結果はどうだったのか。また、その成果を今年度の事業にはどのように生かしているのか。
【理事者】
3回のツアーで、名古屋市の企業を中心に、IT関係や建築設計関係と合わせて34人に参加してもらい、アンケートの結果、ツアー全体としては満足したという人の割合が7割を超えるなど、高い評価をもらった。
その一方で、1泊2日ではワークの時間が十分確保できない、宿泊場所とワークスペースは近いほうがよい、データの送受信やウェブ会議実施がスムーズにできる通信環境が必要といった課題が明らかになるとともに、今後実施してみたいワーケーションの形態としては、当初想定していた休養活用型よりも企業間交流や地域貢献、課題解決を目的としたタイプへのニーズが高いことが分かった。
これを踏まえ、今年度はツアーの設定に当たり、期間を2泊3日に拡大し、ワークの時間を十分確保するとともに、宿泊やワークを行う施設を見直し、新たな実施場所を選定した。また、衛星インターネット回線の活用による通信環境の見直し、参加者同士が協働して行う活動や参加者と地元関係者との交流機会を増やすなど、必要な改善、改良を行った上で、9月から10月にかけてツアーを4回実施した。
今後、参加者アンケートを取りまとめ、課題やニーズ等の整理、分析を行った上で、昨年度までの実施結果も踏まえつつ、この地域に適したワーケーションの在り方を検討していく。
三河山間地域内では、市町村や民間事業者においてもワーケーションを推進しようとする動きが出始めている。県としては、この事業の成果を地元市町村としっかり共有することで、こうした動きをより一層活発化させ、三河山間地域におけるワーケーションのさらなる推進につなげていく。
【委員】
ワーケーションにより、都市部と三河山間地域との人の交流を促してもらいたい。その次の段階としては、ぜひ移住という形につなげてもらいたい。
次に、決算に関する報告書では、首都圏の移住・定住の強化のために、ふるさと回帰支援センターにおいて相談窓口を運営したと記載されている。
そこで、この相談実績について伺う。併せて、窓口の運営で何か課題があれば、その課題と対応についても伺う。
【理事者】
この事業については、新型コロナウイルス感染症の影響により、首都圏等在住者の地方暮らしへの関心が高まり、地方における移住・定住促進に大きな追い風となっていたことから、2021年度に県の移住相談窓口を設置するとともに、専属の移住相談員を配置して、首都圏での移住・定住に関する相談体制の充実を図ったものである。
移住相談件数であるが、2021年度は196件、2022年度は281件と増加している。また、この相談をきっかけに、三河山間地域への移住につながった事例も出てきており、具体的な成果も出始めている。
課題としては、2022年のセンター全体での相談件数は5万2,312件と、44都道府県1政令市が相談窓口を設置している中では、本県の相談件数は相対的に少ない状況である。そのため、まずは、移住先としての愛知県の認知度を高め、相談につなげる必要がある。
今年度から、本県の強みであるバランスの取れた住みやすさをPRする愛知の住みやすさ発信事業を当室で所管することとなったため、これらの事業を連携させ、首都圏における情報発信を強化することで相談件数を増やし、愛知県の移住促進に努める。
【委員】
まず、三河山間地域の市町村にとって、このワーケーションは、今までと違う新たな地域活性化手段となり得る政策と思っている。事業から得られた結果を地元市町村としっかり共有して、ワーケーション促進を図ってもらいたい。
もう一つ、移住について答弁してもらったが、有楽町にあるふるさと回帰支援センターは、44都道府県1政令市の専属相談員が常駐しているため、移住に関する相談のワンストップサービス拠点となっている一方で、大体の資料がそろうため、地域間での人の奪い合いが起こりうる。そのため、より分かりやすい相談窓口が必要だと考える。
その点で、愛知の住みやすさ発信事業を今年度統合したことは、かなり前進である。労働局が所管しているあいちUIJターン支援センターが新宿にあり、有楽町と新宿に別々でなく、統合も視野に連携強化をしてもらい、さらに愛知県へ人を呼び込むための体制整備に努めてもらいたい。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年11月21日(火) 午後0時58分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
鈴木喜博、寺西むつみ 正副委員長
伊藤辰夫、山本浩史、神戸健太郎、丹羽洋章、山田たかお、杉江繁樹
高橋正子、日比たけまさ、黒田太郎、加藤貴志、神谷まさひろ 各委員
防災安全局長、防災部長、県民安全監、
政策企画局長、企画調整部長、国際監、ジブリパーク推進監、
総務局長、総務部長、財務部長兼財政課長、人事局長、
人事管理監兼人事課長、
会計管理者兼会計局長、同次長、監査委員事務局長、同次長、
人事委員会事務局長、同次長兼職員課長、議会事務局長、同次長、
関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 決 算
決算第1号 令和4年度愛知県一般会計歳入歳出決算
決算第2号 令和4年度愛知県公債管理特別会計歳入歳出決算
決算第3号 令和4年度愛知県証紙特別会計歳入歳出決算
決算第4号 令和4年度愛知県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出
決算
決算第5号 令和4年度愛知県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算
決算第6号 令和4年度愛知県中小企業設備導入資金特別会計歳入歳出
決算
決算第7号 令和4年度愛知県就農支援資金特別会計歳入歳出決算
決算第8号 令和4年度愛知県沿岸漁業改善資金特別会計歳入歳出決算
決算第9号 令和4年度愛知県県有林野特別会計歳入歳出決算
決算第10号 令和4年度愛知県林業改善資金特別会計歳入歳出決算
決算第11号 令和4年度愛知県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算
決算第12号 令和4年度愛知県県営住宅管理事業特別会計歳入歳出決算
(結 果)
全員一致をもって認定すべきものと決した決算
決算第1号から決算第12号まで
<会議の概要>
Ⅰ 防災安全局関係
1 開 会
2 決算概要の説明
決算第1号 令和4年度愛知県一般会計歳入歳出決算
歳出第2款総務企画費(第6項防災安全費、第7項災害救助費)及び
これに関する歳入
3 質 疑
4 休 憩(午後1時54分)
Ⅱ 議会事務局、政策企画局、総務局、人事局、会計局、人事委員会事務局、
監査委員事務局、選挙管理委員会事務局関係
5 再 開(午後2時4分)
6 決算概要の説明
決算第1号 令和4年度愛知県一般会計歳入歳出決算
歳出第1款議会費、第2款総務企画費(第1項政策企画費~第5項選挙
費、第8項監査委員費、第9項人事委員会費)、第11款公債費、第12款
諸支出金、第13款予備費及びこれらに関する歳入
決算第2号 令和4年度愛知県公債管理特別会計歳入歳出決算
決算第3号 令和4年度愛知県証紙特別会計歳入歳出決算
7 質 疑
8 採 決
9 委員長報告の決定
10 閉 会
(主な質疑)
《防災安全局関係》
【委員】
令和4年度決算に関する報告書の23ページの消防団加入促進事業費について伺う。
私の地元の刈谷市の女性消防隊が、10月21日に行われた第25回全国女性消防操法大会において、全国から44団が出場する中で準優勝に輝いた。
スクリーンに映し出される当日の競技の様子、選手がインタビューで語った約1年にわたる仕事や学校を終えた後に重ねた訓練での喜びや苦労話を聞いて、思わず涙ぐんだ。消防団の活動は、早朝深夜の訓練や夜警の活動、さらには災害や火災発生時の出動で、日の当たることはなかなかない役割であるが、地域の安全を守りたいとの高い志や心意気で行っている活動であると改めて感じた。
一方で、その会場に来た各分団長から、団員がなかなか集まらないという苦労話を聞いた。そもそも条例で決められた定数を満たしておらず、本来の分団の町内以外からの団員がどうしても多くなってしまう。さらには、市外の団員も増えてきている。また、どうしても付き合いの関係で、市の職員が団員になる例が多く、万が一の災害のときには職員としての役割があるため、消防団員としての活動はしづらいのではないかと聞いた。こうした団員獲得の難しさは、どの自治体においても共通の課題であると思う。
そこで、決算に関する報告書の24ページにある、令和4年度に新規事業として行った消防団加入促進モデル事業について、その概要、例えばどの自治体がどのような事業を行い、事業費はどれだけだったか伺う。
【理事者】
モデル事業は、消防団の加入促進につながる取組について市町村からの提案を受けて、その中から先進性、発展性、普及性、継続性などの観点からモデル的な取組を選定の上、県の委託事業として実施するものである。令和4年度は5団体から提案があり、外部有識者等による選定委員会での審査の結果、3団体を選定した。
一つ目は、北名古屋市の事業で、市内の名古屋芸術大学の学生で組織された声優ユニット、アイキャンディによる消防団オリジナルソング、みんなのヒーロー北名古屋市消防団を作成して、イベントへの参加による普及や動画の配信など広報活動を行ったもので、事業費は約100万円である。
二つ目は、瀬戸市の事業で、瀬戸出身の漫画家、中島みるく先生に消防団の公式応援キャラクターを作成してもらい、それを活用して、若年層向けの広報活動を実施したものが約73万円である。
三つ目は、津島市で例年、中学校を会場として実施していた消防団の技術発表会を、市制75周年の記念事業として大型の商業施設で大々的に行い、多くの市民に消防団を知ってもらう機会とする事業が約21万円である。
これらのモデル事業の取組状況については、他の市町村の参考にしてもらうために、事業終了後、年度末に報告会を実施して周知した。
【委員】
決算に関する報告書24ページに、同じような事業名で、消防団加入促進事業費補助金とあるが、これはどのようなもので、先ほどのモデル事業との違いはどの部分か。
【理事者】
消防団加入促進事業費補助金は、各市町村が実施する消防団加入促進に係る取組を県が支援するものであり、1市町村当たり200万円の補助基準額の2分の1以内で県が補助する。
これに対して、モデル事業は、他の市町村への普及効果の高いものを市町村から事業提案してもらい、県のモデル事業として選定して、県が全額負担した上で市町村に委託し、実施してもらうものである。
【委員】
モデル事業の趣旨からすると、令和4年度にモデル事業として行った事業を、その自治体が翌年の令和5年度に、二つ目に説明した消防団加入促進事業費補助金を使って継続的に行う。あるいは、令和4年度のモデル事業を横展開して、他の自治体で令和5年度に先ほどの補助金を使って行われることが正しい形かと思うが、そういった事例はあるのか。
【理事者】
モデル事業を実施した団体は、内容に工夫を加えて、今年度は市町村の自主財源で実施している。モデル事業の他の自治体への横展開については、実施状況に関する報告会を行い、県内市町村に周知した。モデル事業を実施した団体には、内容に関する問合せ等もあり、情報提供したと聞いているため、今後、横展開が行われることを期待している。
県としても、引き続きモデル事業を実施していく。
【委員】
本当は、モデル事業の成果が出たのであれば、翌年度以降もその自治体で実施し、また、他の自治体に横展開していくことが理想的である。令和5年度の予算を見ると、モデル事業を新規でやっているため、昨年の三つに加えて、ますますいろいろな形で加入促進の取組が、一つの財産としてできてくるので、それを広めてもらい成果を出してもらいたい。
また、成果について、団員の加入促進にいかにつながったかがそもそもこの事業の目的であるので、この事業を行ってどれだけ団員が増えたか、つまり、事業の成果を検証することが非常に大切であると思うが、検証を行っているのか。
【理事者】
モデル事業を実施した市町村からは、この事業で、実際に団員が入団したと聞いており、団員確保につながる効果がある事業と認識している。そのほかの市町村からも、消防団活動を広く啓発したことにより市民の認知度、団員の認知度が上がったため、今後もさらに工夫を重ねて継続していく旨の報告をもらっている。
県としても、引き続き加入促進に取り組んでいく。
【委員】
成果はあったと思うものの、理想論かもしれないが、何年後かに何人の入団につながったという成果があって、初めて横展開もやりやすくなると思うため、そういった検証も行ってもらいたい。
先ほどは、消防団の活動は高い志や心意気でやるものだと言ったが、今の若者の気質を見ると、奉仕の精神や心意気だけで消防団に入ってくれることは残念ながら珍しいのでないか。よって、何か目に見える消防団加入のメリットも必要になってくる。
そういった中では、飲食店や消防団応援の店というのも一つとしてあるが、そのほかにも、ぜひ消防団員のメリットを作ってもらうと同時に、認知度を高める活動も上手に進めていき、消防団のメンバーが増え、苦労しないようにしてもらいたい。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書21ページの緊急津波対策防災訓練推進事業費について、昨年、内閣府、愛知県、そして常滑市による地震・津波防災訓練が開催された。常滑市としても初めてのことで、会場の上空を自衛隊の輸送機が飛ぶなど、非常に大規模な訓練であった。そこで、この訓練ではどのような成果があったのか。
【理事者】
昨年11月6日に、内閣府、愛知県、常滑市の共催で常滑中学校をメイン会場にして、防災関係機関や地域住民約1,000人に参加してもらい、地震・津波防災訓練を実施した。
この訓練では、緊急地震速報を合図にしたシェイクアウト、地域住民の参加による津波避難、自主防災組織による避難所の開設、警察・消防・自衛隊による被災者の救出などの実践的な訓練を行った。
また、訓練の前後2回にわたり、地区の自主防災組織の人とワークショップを開催しており、対象になる地区からそれぞれ5人ずつ、計約30人が参加した。訓練前のワークショップでは、各地域の避難場所、避難経路の確認や要配慮者の把握を行い、また、訓練後のワークショップでは、訓練の振り返りとともに、改善の方向性等について意見交換をして認識の共有を図った。
地域住民が、事前に自ら避難経路を考えて、訓練では、シェイクアウトの後に実際に一時避難場所への避難を行うとともに、自主防災組織が中心となって避難所を開設するなど、住民が主体的に、また協力して取り組むことの重要性が理解され、効果的な訓練となった。
【委員】
今後はどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
大規模地震発生時に速やかに避難して、津波から身の安全を守るためには、一人一人が日頃から避難行動の重要性に対して意識をしっかり持つことが大切である。
本県では、東日本大震災が発生した2011年から、津波防災の日である11月5日の前後に、沿岸の市町村において大規模な地震、津波を想定した防災訓練を実施している。本年度も、11月11日に名古屋港ガーデン埠頭において、観光客を対象として近隣の津波避難ビルへ歩いて避難する避難訓練を実施した。
今後も、市町村と連携して、地域住民が主体的に避難行動を行い、自治会や自主防災組織が中心となり避難所の開設、運営に取り組むなど、地域の特性を踏まえた実効性の高い訓練を実施していく。
【委員】
今年も、常滑市で総合防災訓練が行われ、私も出席したときに、実際に聞いたのは、ワークショップでは、住民に対して事前に自分たちで考え、本番に臨んで、それが終わったらまた振り返りをすることがよかったとの話である。参加した人たちも自主的に進んでやっていた。規模は小さくなったが、そういうよさを感じたので、ぜひ県内各市町村に広がっていくように、また取り組んでもらえるよう要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書26ページの自転車乗車用ヘルメット着用促進事業費補助金について伺う。
7歳から18歳までの児童生徒等と65歳以上の高齢者に対して助成しているが、2022年度における助成したヘルメットの数と割合はどうなっているのか。
【理事者】
令和4年度は全体で2万6,748個に対して助成しており、このうち児童生徒は1万8,899個で約71パーセント、高齢者は7,849個で約29パーセントとなっている。
【委員】
次に、令和4年度の予算に対する執行率及び前年度と比較して執行率はどのようになっているのか。
【理事者】
令和4年度の予算額3,425万円に対し執行額は2,543万2,390円で、執行率は約74.3パーセント、2万6,748個となっている。
令和3年度は、同額の予算に対し執行額は3,403万2,770円で、執行率が約99.4パーセント、3万6,010個であるため、執行率が約25.1パーセント減少した。
【委員】
令和3年度、令和4年度を比べた際に、令和4年度の執行率は落ちている。この補助金の周知はどのように行い、ヘルメットの着用率に対する効果はどうなっているのか。
【理事者】
この補助金は、市町村が実施する購入費助成事業に要する経費に対して助成するものである。市町村が広報誌やウェブサイト、チラシ等で周知を行っているが、県としても、ウェブサイトや交通安全の啓発イベント、チラシなどで周知を行っている。
また、ヘルメットの着用率については、県政世論調査によると、令和元年に1.4パーセントだったものが、令和4年には5.6パーセントになっており、警察庁が調査した令和5年度には7.8パーセントと年々上昇している。
これは、自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の制定や道路交通法の一部改正によるヘルメットの努力義務化と、この補助金の取組が相まって上昇につながっていると考えている。
【委員】
若い世代は着用率が高くても、高齢者はなかなか上がってこない。高齢者からは、明らかにヘルメットと分かるヘルメットをあまりかぶりたくないとの声をよく聞く。自転車通学する高校生やスーツ姿で通勤する社会人の中にも、やはりデザイン面で抵抗がある人も結構いると思うが、このような課題に対してどう対応していくのか。
【理事者】
現在、ヘルメットは様々なデザインのものが販売されており、スポーティーなヘルメットや、一見すると帽子に見えるキャップ型やハット型のヘルメット、束ねた後ろ髪が収まるスペースが後頭部にあるヘルメットなども販売されている。
しかし、こうしたヘルメットが販売されていることがいまだ県民に伝わっていないと思われる。県としては、ヘルメットの有効性を伝える広報を行うのに併せて、様々なタイプのヘルメットを紹介して、こうした課題に対応したい。
【委員】
決算に関する報告書19ページの飲食店等感染防止対策事業について伺う。
令和4年度に実施した事業の内容とその結果について伺う。
【理事者】
飲食店等感染防止対策事業は、新型コロナウイルスの感染防止対策に取り組んでいる飲食店を県が認証し、業種別ガイドラインの遵守徹底と県民に感染防止対策を講じている飲食店の利用を促すことを目的に、令和3年6月にニューあいちスタンダード、通称あいスタ認証制度として創設した。
その後、国から、令和3年12月付の事務連絡で、飲食店における感染防止対策を徹底するために、認証店については第三者認証制度の質を担保するため、少なくとも年1回の見回りを行うこととされたことから、昨年度は、令和3年度に引き続き飲食店の新規認証事務を行うとともに、令和3年度に行った認証の質を担保するために、飲食店の利用者が県内の飲食店を安心して利用できる環境を提供するため、認証済みの店舗の再調査を行った。
再調査は、令和3年度中に認証を受けた3万1,275店舗を対象に、令和4年7月から令和5年1月にかけて調査員が実際に店舗を訪問し、認証基準の遵守状況を目視やヒアリングにより確認した。
その結果、廃業等により閉店した店舗等を除き、全ての認証店で、令和3年度に引き続き適切な感染防止対策が講じられていることを確認するとともに、感染対策の不備により認証を取り消した店舗はなかった。
【委員】
今後のことについて、意見を言わせてもらう。
3億3,000万円という膨大な金を投じて行った事業である。急にできた事業とはいえ、この事業に対応するために飲食店の関係者は大変な準備をした。この制度が今後どうなるか分からないが、場合によっては、この制度が今後運用されて、何かメリットがあるのではないかと飲食店の人々も思いながら対応した。結果として、新型コロナウイルス感染症の分類が5類に移行されて、この制度自体が終了した。一応、あいスタ宣言という形で残っているが、十分なメリットが感じられる状況にはない。
一方で、この事業を短期間で行うために、職員も相当苦労したと思う。全件問題なかったとの結果が出ているが、これだけの件数に対応するとなると、いろいろなことがあったと思う。
今後、防災安全局がやるかは別として、急遽行った事業は今後何かあったときのために引き継ぎ、また、飲食店に協力してもらったのに空振りに終わったようなイメージは残さずに、それぞれの人々に十分なメリットを感じられるような制度設計にすべきである。
続いて、決算に関する報告書22ページの防災ヘリコプター管理運営事業について、防災力の向上という説明があったが、具体的にはどのような課題があるのか、また委託開始後の効果について伺う。
【理事者】
名古屋市に運航委託する以前は、主に国の安全基準が改正され、2022年4月1日に施行されることとなっていた2人操縦士体制の対応、長期運航休止期間への対応、夜間運航の再開という課題があった。
名古屋市に運航を委託したことで、国の安全基準の施行時点である2022年4月から2人操縦士体制を取ることができ、基準を満たすことができた。
また、県と名古屋市のヘリコプター3機を用いて一体的に運用する体制を整えたことで、年間3か月以上を要する法定点検等による運航休止期間を発生させることなく運航できるようになった。また、複数機を機動的かつ柔軟に活用して、同時発生した事案や長時間の捜索、救助活動にも対応できるようになった。さらに、夜間活動の経験値の高い名古屋市に運航委託したことで活動時間の幅が広がり、日没後の三河山間地域の山岳救助などに大きな効果が現れている。
今後は、この3機一体での体制がさらに強固なものとなるよう、関係機関との実践的な訓練や他県の航空隊との合同研修等を積み重ねることにより、技術、能力の向上に努める。
【委員】
過去は1機体制で、年間3か月かかる点検のために止まっており、その間は他県や他市にお願いしていたことを考えると、効果は非常に大きかった。
次に、令和4年度の緊急運航件数について伺う。
【理事者】
令和4年度の緊急運航件数は174件である。内訳は、名古屋市内への出動が87件、名古屋市を除く愛知県内の出動が66件、他県への応援出動が21件である。
名古屋市内を除く愛知県内の出動66件の災害別の内訳は、災害防御が8件、救急活動が26件、救助活動が31件、その他1件となっている。
【委員】
防災ヘリコプターは、緊急事案の対応実績もある一方で、ドクターヘリも負傷者の運送を担っている。どちらのヘリコプターも消防からの出動依頼を受けて飛ぶことになっていると思うが、消防からどのように依頼するのか。
【理事者】
現在、県内では愛知医科大学にドクターヘリが配備されているが、現場もしくは機内で医師等による治療が必要な場合は、ドクターヘリに対して出動の要請がある。
一方、登山中に滑落した負傷者を医療機関まで搬送するといった救助活動を伴うような場合には、防災ヘリコプターに対して出動要請がある。
なお、両ヘリコプターで連携して対応する場合もある。人命救助を最優先に、臨機応変に対応している。また、両ヘリコプターとも患者搬送の任務に当たることがあるが、患者の状態や同乗する医療スタッフの人数、登載する医療機器の大きさ等に応じて、いずれかのヘリコプターが対応している。
今後も、ドクターヘリとの適切な役割分担及び連携を図りながら、防災ヘリコプターの特徴を十分に生かした消防防災活動を行えるよう、運航を委託した名古屋市消防航空隊と調整をしていく。
【委員】
西尾市に住んでおり、近くに大きな病院がないため、最近、ドクターヘリや防災ヘリなどが飛んできて助けてもらったという話をよく聞く。ぜひ、効率的に運用してもらいたい。
【委員】
決算に関する報告書18ページの産学官連携地域強靱化推進事業費について、報告書には、あいち・なごや強靱化共創センターを運営し、産業の早期復旧対策など地域強靱化に係る調査研究や人材育成等を行ったと記載されている。
そこで、強靱化共創センターとはどのような組織で、どのように運営されているのか。
【理事者】
強靱化共創センターの組織運営について、あいち・なごや強靱化共創センターは、大規模災害発生時において、愛知・名古屋を中核とした中部圏の社会経済活動が維持されるための研究開発や事業を推進するために、2017年6月に名古屋大学、名古屋市と共同で設置した組織である。
事務局は名古屋大学の減災館の中にあり、事業計画や予算など組織の運営については、名古屋大学のみでなく、県、名古屋市、国土交通省中部地方整備局といった行政機関のほか、中部経済連合会、名古屋商工会議所といった産業界も参画する運営協議会で決定することとしており、産業界の協力を得ながら運営しているのが本センターの特徴となっている。
センター長には、開設以来、福和伸夫名古屋大学名誉教授が就任しており、副センター長は県の防災危機管理課長となっている。運営スタッフは、県職員、名古屋市職員、名古屋大学の教職員で構成している。
センターの運営経費については、2022年度の決算額で5,683万2,000円となっており、このうち愛知県からの負担金は1,098万3,000円となっている。このほかの主な収入額は、名古屋市からの負担金362万円、名古屋大学の運営費1,000万円、企業からの寄附金等885万円となっている。これ以外にも、受託事業収入や受講料等の収入がある。
【委員】
あいち・なごや強靱化共創センターの事務局がある減災館では、防災に触れて学ぶことができる教材があり、様々な講習会やセミナーが開かれたと聞いている。そうした施設を生かして人材の育成を図り、地域の防災力を向上させる取組は大変重要である。
そこで、具体的にどのような人材育成を行い、どのような実績があるのか。
【理事者】
あいち・なごや強靱化共創センターにおける人材育成として、中小企業のBCP策定等の産業界の防災力を強化する産業支援、地域で活躍する防災人材を育成する県民支援、市町村の防災担当職員の専門知識を付与するための行政支援、あいち防災協働社会推進協議会と連携し、防災に関する幅広い知識を習得するための防災・減災カレッジの四つの事業を実施している。
それぞれの主な実績について、産業支援では、愛知県商工会連合会主催の経営指導員等応用研修会に講師を派遣したほか、BCP策定中あるいは策定済みの中小企業を対象として講習会を実施し、24人が受講した。
県民支援では、要配慮者利用施設向けの防災講習会及びBCP策定講習会を実施し、209人が受講した。また、防災人材の交流の場として、防災人材交流シンポジウム、つなぎ舎をあいち健康の森公園プラザホールで開催し、約220人が参加した。
行政支援では、市町村防災担当職員等を対象として、行政の人材育成研修を実施した。具体的には、災害救助法、被災者生活再建支援法事務研修、住家の被害認定研修、災害対策本部運用研修等の10種の研修を実施し、延べ722人が受講した。
防災・減災カレッジでは、防災基礎研修のほか、市民防災コースと五つのコース及び四つの選択講座等を実施し、延べ2,003人が受講した。また、当カレッジは防災士養成講座としての認証を受けていることから、受講生のうち139人が防災士として登録された。
【委員】
昨年度、安全・安心対策特別委員会の県外調査で宮城県立多賀城高等学校を視察した際、この防災系の専門学科として全国でも2例しかない災害科学科の教育概要について、また塩竈市にある津波防災センターでは、東日本大震災発災直後1週間を中心とした市民生活と行政の対応について質問した。
一方、本県では、幸いなことに、近年、全県域に及ぶ大災害を経験していないこともあり、決して県民の防災意識が高い地域とはいえない。意識は地域によって差があると思うので、ぜひ他県の事例も参考にしながら、引き続き防災教育に力を入れてもらいたい。
続いて、令和4年度決算に関する報告書23ページの救急高度化対策費について、救急救命士を52人養成したと記載されている。
そこで、本県においては現在何人の救急救命士が市町村の消防本部に在籍しているのか。
【理事者】
県内の消防本部の救急隊の数は、令和4年4月1日現在で247隊となっており、各救急隊には、少なくとも一人以上の救急救命士の配置が望ましいことや、救急隊は24時間の交代勤務であり、交代要員のことも考慮して、各市町村で必要人数を配置している。
県内の消防本部において救急救命士の資格を有する者の数は、令和4年4月1日現在で1,632人が在籍しており、そのうち1,410人が救急隊として運用している。
【委員】
具体的に、新規養成はどのように行っているのか。
【理事者】
救急救命士の国家資格を取得するため、研修所に入校し養成している。令和4年の実績の52人の内訳は、一般財団法人救急振興財団の東京研修所で34人、名古屋市消防局の研修所で14人、大阪市消防局の研修所で4人の養成を行った。研修に係る費用は、救急振興財団の研修施設は全国からの負担金で運用されており、救急隊の数や人口等を案分して、本県は2,120万円を支出している。
また、名古屋市の研修所には、市との協定に基づいて、教育に必要な備品を購入する形で県が負担しており、令和4年度は約247万円の備品を購入した。
【委員】
一方で、報告書には1,173人の救急救命士に対し再教育を実施したとの記載がある。この再教育とはどのようなことを実施しているのか。
【理事者】
消防本部で運用されている救急救命士は、処置の質の確保及び維持向上のため、国の通知に基づいて、2年間で128時間の再教育を受けることとされている。1年当たり64時間の再教育のうち、本県が16時間を担って教育実習をしており、残りの48時間は消防本部ごとでの教育や病院実習が行われている。
本県における再教育は、毎年度、外傷や小児といった個別テーマを3項目ほど選定して、講義講習を8時間、実技講習を8時間実施している。講習講義では、テーマに沿ったDVD教材を作成して、eラーニング形式による教育を行い、課題シートを提出している。DVD教材であるため、過去のテーマも含めて、各消防本部で再活用できるようにしている。実技講習は、集合型教育として県が開催し、DVD教材で学んだ内容に基づいて実技訓練やグループワークを実施している。
なお、令和4年度は、県内4地区に分けて会場を設け、外傷、骨盤固定、循環器疾患などをテーマとして、実践的な技術の維持向上を図っている。
【委員】
救急車による出動件数及び搬送人員は、近年コロナの影響もあり多少減少する時期もあったものの、基本的には増加傾向にあるため、救急救命士の必要性は年々高まっている。また、救急救命士に求められる知識や技能も年々高度化及び多様化している。
引き続き、消防本部が必要とする救急救命士の養成に適切に対応してもらうとともに、消防本部が行う再教育が効果的なものとなるように、より充実した教育資料作成や資機材の提供、また派遣病院との連携強化の部分で、県としてさらなる支援をお願いする。
《議会事務局、政策企画局、総務局、人事局、会計局、人事委員会事務局、監査委員事務局、選挙管理委員会事務局関係》
【委員】
令和4年度決算に関する報告書11ページの情報推進費のうち行政デジタル化推進費について伺う。
本県では、あいちDX推進プラン2025に基づいて、ICT、DX関連施策に体系的に取り組んでいる。報告書にあるICTの活用による行政の課題解決に向けた実証実験の実施については、昨年度の新規事業であった、愛称アイチクロステックが、本年6月の定例議会において追加補正をしている。
そこで、昨年度の事業内容やその結果について伺う。
【理事者】
昨年度のICT活用課題解決支援事業、愛称アイチクロステックについて、このアイチクロステックでは、まず、県庁内の各所属からICTを活用して解決したい行政課題を募り、テーマを設定した。昨年6月にこれらのテーマを提示して、民間企業等から解決策の提案を募集したところ、46件の提案をもらった。
その提案が解決策として有効かなどの観点で評価を行い、行政課題9テーマについて、昨年9月から12月まで、県と民間企業が協働し、提案企業の有するICT技術やノウハウを活用した実証実験を実施した。その成果については、今年3月に公表している。
なお、成果の中でも、愛知県図書館におけるAIチャットボットによる開館時間外の問合せ対応、あいち航空ミュージアムにおける子供たちの興味を喚起持続させるAR(拡張現実)を利用したデジタル展示は、課題解決に優れた効果が認められたことから、成果として得られたデジタル技術を早期に導入するため、導入に要する経費を今年度6月補正予算として計上して、2事業とも既に稼働を開始している。
【委員】
先進的に頑張っている一方で、これを進めていくには、県職員の人材育成が大変重要だと思うが、人材育成についてはどのような取組を行ったのか。
【理事者】
デジタル人材育成に関する前年度の取組について、本県では、DX推進に向け、職員が基本的な知識を有し、所属で簡単な仕組みの内製化など、自らDXを推進できることを目指すべき職員の姿にしている。これは、実際に行政サービスを提供している各所属が自らの課題としてデジタル化、DXに取り組む必要があるとの認識によるものである。このため、昨年度実施したデジタル人材育成研修では、ICTや情報セキュリティに関する基礎知識の習得やプログラミング等の技術力育成に資する研修だけでなく、ユーザーの行動やニーズを基にサービスを構築するデザイン思考など、意識改革に資する研修も用意し、合わせて計30研修を実施した。
研修は、職員が職場で、都合のつく時間に受講できるよう動画視聴を中心として、また昨年度は、在宅勤務時においても受講しやすいよう、限定公開によるユーチューブ配信などの取組を行い、延べ4,291人の職員が受講している。
【委員】
基礎的なところから始めるとのことだが、それぞれの部署が担当だけをやっていることが課題と思う。今後、県政のデジタル化、DX化を進めていくには、準備として、文書のデジタル化を拡大していくことが必要だと思う。報告書の中にウェブ会議環境の整備とあるが、ウェブ会議では、文書を紙で配布することなく、ウェブ上のデジタルデータとして共有することができる。
このほかに、行政デジタル化推進費の中で、文書のデジタル化に関する取組はどのようなものがあるのか。
【理事者】
具体的な取組として、行政デジタル化推進費にて取り組んだ行政手続のオンライン化が挙げられる。オンライン化された手続は、スマートフォンやパソコン等により申請届出が行えるため、紙による手続のように来庁や郵送に要する時間が必要なく、時刻や場所を選ばずに申請届出ができる。昨年度は、愛知県電子申請届出システムを利用したオンライン申請に伴う収納を今年4月からキャッシュレス化するため、システムの改修を実施した。この結果、行政手続のオンライン化がより進み、昨年度末時点で1,141件の手続がオンライン化済みとなっている。
なお、文書のデジタル化では、行政デジタル化推進費で取り組む各事業をはじめ、あいちDX推進プラン2025に基づく2022年度までのデジタル化、DXの取組実績を年次レポートとして取りまとめ、先月27日、愛知県ウェブサイトに公表した。
今後も、各種発表資料等を県ウェブサイトで公表する取組を続けていく。
【委員】
電子申請については、DX化の一つとして有効である。
文書のデジタル化について意見するが、現行はアナログ文書をデジタルに置き換えているだけに見える。例えばこの決算に関する報告書でいえば、1枚めくり、2枚目のところに1ページがあり、もう1枚めくり、またその次のところに1ページがある。これをデジタルで表示すると、表紙のところが1ページ、1枚めくった裏側が2ページ、その次は3ページとなり、ページが合わないことが発生する。こういったところを、まず、庁内で統一的にしなければ、いろいろな種類のデジタルができてしまい活用が難しくなる。
そして、資料の活用について、例えば、10冊近くある資料を1枚のシートにして、印刷物ではなく、資料として仕上げるのであれば、ページを振る必要すらないのかもしれない。そういったところまでDX推進室が取り組んでいけるかというと、各局、各部署でそれぞれ別々のデータを持ち、別々の課題に取り組んでいるため、難しいのではないか。
ぜひ、企画課や総務課で全庁の方針を定め、デジタル化するにしてもまずはルールを統一して横とのつながりをきちんとできるデータを作ってもらいたい。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書11ページの情報推進費のうち、行政デジタル化推進費について、行政デジタル化推進費の中に、いわゆる高齢者デジタルサポーター事業が含まれている。
この事業は、2年前の2021年度から実施されており、事業が新設された当時、新型コロナウイルス感染症への対応を契機として急速にデジタル化が進んだことがあり、特にスマートフォンは、家族、友人との連絡、店舗の予約、キャッシュレス決済など、その利用機会が拡大していた。一方で、高齢者の中には、スマートフォンの操作やデジタル機器に戸惑いを感じている人も多い状況であった。
また、マイナンバーカードの普及等による行政のデジタル化が進みつつある中、住民に身近な市町村においては、特に高齢者の情報格差、いわゆるデジタルディバイドの解消が課題であり、また、市町村の規模や地理的な面などから、デジタルディバイド解消に向けた取組に市町村間で差が生じることも危惧される状況であった。
こうした背景から本事業が行われているが、デジタルに不慣れな高齢者に対して、同じ高齢者としての目線で、県が講習により育成登録した高齢者デジタルサポーターを高齢者向けのスマートフォンに関する講習会の講師や相談役として派遣することで、デジタルディバイドの解消を進めていく趣旨が高齢者デジタルサポーター事業である。そこで、2点質問する。
一つ目は、高齢者デジタルサポーター事業の2022年度の実績はどのようになっているのか、そして、事業を開始した2021年度と比べて実績がどのように上がっているのか。
二つ目は、高齢者には積極的にデジタルの恩恵を享受してもらいたいと考えている中、そのためには、スマートフォンを活用することでより利便性を感じてもらう取組が必要である。
高齢者デジタルサポーター事業は具体的にどのようなことを実施し、どのような効果があったのか。
【理事者】
まず、2022年度の実績であるが、2022年度は高齢者デジタルサポーターとして56人を登録した。また、実施件数は、市町村からの派遣要請に基づき16市町、67件の派遣を決定し、63件を実施した。
事業を開始した2021年度との比較であるが、2021年度は、サポーターとして54人を登録し、実施件数については16市町55件の派遣を決定したが、新型コロナウイルス等の影響により46件が中止となり、5市町9件の実施となった。よって、派遣決定数、派遣実施件数ともに、2022年度は2021年度を上回っている。
続いて、高齢者デジタルサポーター事業の具体的な内容とその効果であるが、高齢者デジタルサポーター事業では、スマートフォンの操作方法として、電源の入れ方、電話のかけ方、カメラ、インターネット、マップ、LINEの使い方などを主な講習内容として実施している。
派遣を実施した市町村からは、操作の分からない受講者に対して、シニア世代にしか気づけない視点で丁寧に教えてもらったという声や、スマートフォンの新たな使い方を模索できる一助になった、あるいは、音声検索やマップの活用など便利な機能を学ぶことで、今後の生活に役立ったといった講習参加者の声をもらっている。
【委員】
高齢者が親身になって高齢者に操作方法を教えていることがこの事業の肝でもあり、急速にデジタル化が進む中で、時宜を得た、そして県と市町村が連携をした、地域に根差した事業である。
先日、スカイ・エキスポで行われた国際会議に参加した際、82歳でゲームアプリを開発して、世界最高齢のアプリ開発者プログラマーとして注目を集めている、現在88歳の若宮正子氏と話す機会があった。その人がパソコンを始めたのが、60代に入ってからであった。若宮正子氏は、高齢者こそスマートフォンを使うべきだといっていた。
デジタル技術は、高齢者にとって心身の機能低下を補う、つまり心身、身体の機能が衰えて外出しづらくなってもオンラインで外とのつながりをキープできる観点で、より生活を便利にしてくれるありがたい存在、それがスマートフォンだといっていた。
高齢者がスマートフォンやデジタル機器を活用してデジタル化の恩恵を享受し、実感してもらえるよう、スイッチを入れたり、LINEを使えたり、電話ができたり、いろいろな検索ができるなど、それを使って何をするかを進めていかなければならない。引き続き、市町村と連携した高齢者への支援を続けてもらうよう要望する。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書2ページの県政150周年記念事業費について、昨年11月27日に、150周年記念式典及び関連事業が行われた。
そこで、150周年記念事業は、どういった目的で行われたのか、そしてどのような効果があったのか。
【理事者】
県政150周年という節目の機会を捉えて、これまでの愛知の歩みを振り返り、県民に改めて郷土への愛着や誇りを持つきっかけとしてもらえるよう、様々な事業を展開してきた。
主な取組としては、インスタグラムを活用した愛知の歴史や魅力を紹介する写真募集や、子供、若者向けの絵画コンクールの実施といった県民参加型のPRを実施した。また、県政150周年を知ってもらうため、県内市町村、企業等が行うイベントでのブース出展や県政150周年を紹介するパネルの巡回展示、鉄道の車内や駅構内における広報の実施、企業の協力の下、一般公募で名前を募集したロゴマークを活用した商品の販売などを通して、広くPRを行った。ほかにも、企業、団体等との連携の下、店舗や建物、イベントでのポスターの掲出やグッズの配布など様々な手法で、県内各地での普及啓発に取り組んだ。
そして、11月27日に実施した県政150周年記念式典をはじめ、その前日のブルーインパルスの展示飛行やその2週間前に実施した愛・地球博記念公園での花火イベントなど、様々な取組を行い、多くの県民の心に残るイベントとなった。これらは新聞等にも取り上げてもらい、多くの人に県政150周年について知ってもらえ、目的に対して一定の効果はあった。
この県政150周年記念事業を通じて醸成された愛知県への思いを一過性のものとせず、末永く県民に持ち続けてもらえることが大変重要である。
そのために、県民文化局において、昨年12月にあいち県民の日条例を制定し、愛知県が誕生した11月27日をあいち県民の日と定めた。県民の日を含む直前1週間、本日から27日までであるが、これをあいちウイークとして、あいち県民の日フェスタや公共施設の割引など愛知の魅力を再発見し、発信する様々な取組が行われる。
【委員】
県政150周年の機会を捉えて、県民に改めて郷土への愛着や誇りを持ってもらえるようなきっかけとするため、いろいろな事業を展開したとのことでであるが、その効果として、全ての県民が、昨年が150周年だったと覚えている人がどれほどいたのか分からないが、いろいろな事業を行う目的をしっかりと定めて行ってもらいたかった。もし、これから県の事業として周年事業等が行われるときは、そこはしっかり見据えて行ってもらいたい。
例えば、150周年記念のキャラクターがいた。まさか県の職員がもう忘れてしまい、名前が分からないことはないと思うが、キャラクターがあったことを知っている県民がどれだけいるのかと私は考えてしまった。本当にキャラクターが必要だったのかとまで考えている。
必要なことはしっかりやってもらいたいが、必要のないことであれば、あのようなキャラクターを判で押したように創りたがるが、創らない判断も今後してもらいたい。
【委員】
令和4年度愛知県一般会計歳入歳出決算書6ページ及び7ページにおいて、第1款県税、第2項事業税、この収入済額は予算現額と比較すると約51億円の増収となっており、この大部分は法人事業税である。
法人事業税の当初予算額は、上場企業の業績予想などを参考に作成していると考えるが、具体的にどのように積算しているのか。
【理事者】
第1款県税、第2項事業税は、法人事業税と個人事業税で構成されている。事業税、収入済額4,159億余円のうち3,987億余円、割合で9割以上が法人事業税である。
法人事業税は、県税の主要税目であり、県税歳入全体の歳入済額1兆2,949億余円のうち、約3割を占めている。法人事業税の当初予算額については、例年11月から12月にかけて、県内の各主要企業に対して聞き取り調査を行っている。そして、その業績予想を基に積算している。
この聞き取り調査のほかにも、上場企業が公表している通期業績予想や12月に日本銀行が発表している全国企業短期経済観測調査、いわゆる日銀短観の経常利益の前年伸び率など、その時点で得られる最新の企業情報や経済指標を参考に積算している。
【委員】
それでは、令和4年度の法人事業税収入済額は当初予算額を上回っているが、増収となった要因をどのように分析しているのか。
【理事者】
令和4年度当初予算額を積算した令和3年12月の時点では、コロナ禍からの経済社会活動が正常化に向かう中で、景気は持ち直しの動きが見られていた。一方、多くの企業では、半導体不足などの供給面での制約、それから原材料価格の動向などの不透明感を警戒して、慎重な業績予想を立てていた。
こうした企業の業績予想を反映して当初予算額を積算していたが、令和4年3月期決算の上場企業の連結経常利益は、海外需要の拡大や円安も加わったことから、製造業を中心に大幅な増益となった。これにより、令和4年度の法人事業税収入済額も当初予算額を上回り増収になったと考えている。
【委員】
なぜこの質問したかというと、当初予算額が随分上振れたと思ったからである。もともと県の税務当局が慎重に見過ぎたと思っていたが、その背景にある企業が慎重だったことが理解できた。答弁の中に、主要企業に対する聞き取り調査とあった。これは、本会議における税収見通しに関する答弁でも度々耳にしている。私は、企業から生の声を聞くことがとても大切なことだと考えている。なぜならば、公表されている数値からだけでは分からない、企業の息遣いが感じ取ることができるからである。
県と企業との信頼関係があればこそ、企業から有益な情報を入手できると考えられるので、これまで以上に細心の注意を払って、企業との信頼関係を構築してもらうことを要望する。
次に、財務諸表(1)の31ページ、広報広聴推進事業の固定資産が4億2,000万円で、それは投資及び出資金の4億2,000万円であり、昨年から900万円減っているが、出資している株の価値が下がったという説明があった。
これは、出資しているものは上場株式のように、価値が分かるものに出資しているという理解でよいか。
【理事者】
出資先については、上場企業と上場していない企業両方であり、上場企業である中部日本放送株式会社については、株価の金額が変わってくる。
【委員】
非上場で株価が分からないものについては、この財務諸表上は、動かないということか。
【理事者】
非上場のものに関しては、出資金当時の金額から動いていない。
【委員】
令和4年度決算に関する附属書156ページの人事委員会費に関連して、職員の採用について伺う。
様々な社会課題がある一方で、ICTやAIの技術が進展をする昨今、県民のニーズは非常に多岐にわたるものになってきている。本県が県政の諸課題に対してスピード感を持って的確に対応し、質の高い行政サービスを提供し続けるためには、多様で意欲的な人材を継続的に確保していくことが大切である。一方で、特に一部の専門職では採用に苦慮しており、現に地方機関では、業務遂行に影響が出ているケースもある。
こういった話は本県に限らず、国や他の自治体においても同様であるが、民間企業における採用意欲の回復や採用活動の早期化の影響によって、本県の職員採用における受験者数は減少し、競争倍率も低下する傾向にあり、人材獲得競争は大変厳しくなっていると認識している。
そこで、職員採用について、令和4年度はどのような取組を行い、また、その結果はどのようであったのか。
【理事者】
本県の職員採用を取り巻く環境だが、社会情勢が急速に変化する中で、国、他の都道府県、市町村のみならず、民間企業とも人材獲得競争が激しさを増している。このような背景もあり、主要な試験である第1回試験では、令和3年度には過去最低の受験者数となった。将来の県政運営を担い、高度化、複雑化する課題に対応できる優秀な人材を確保するためには、受験者数の確保に努める必要がある。このため、第1回試験において、令和3年度までは多くの県や政令指定都市と同一日に一次試験を実施してきたが、令和4年度からはその日程を1か月程度前倒しした。
この結果、これまで同一日で本県を受験できなかった人が受験できるようになったため、令和4年度の受験者数は令和3年度の1.7倍となり、大きく増加することとなった。また、受験者数に対する合格者の競争倍率は6.0倍と、令和3年度の3.1倍に対しほぼ倍となった。
このほかの取組として、令和4年度からは即戦力となる職員の採用手法の一つとして、国や他の都道府県、政令指定都市において困難な行政課題に対する行政実務経験を積み、高い専門性を有する公務員を対象とした採用選考を開始している。これは年2回実施しており、国家公務員など、合わせて4人を採用した。
【委員】
こういった新しい取組は、大変評価できる。
次に、新卒採用ではなく、中途採用の取組について、民間企業からの転職者を採用する取組はどうか。
【理事者】
民間企業などの有用な職務経験や柔軟な発想などを即戦力として活用することにより、組織の活性化を図ることを目的とした採用試験を平成19年度から実施している。この採用試験は、従来、年1回の実施であったが、年間を通して随時採用できるよう、令和3年度の試験から年2回実施している。この取組により、令和3年度の受験者数は、令和2年度の1.8倍に増加した。そして、令和4年度においても、令和3年度と同程度の受験者数となっており、より多くの人に受験してもらえている。
なお、本県に転職を希望してもらうきっかけとして、PR活動であるが、従来、無料で掲載可能な就職情報サイトの利用のみであったが、令和4年度からは、有料ではあるが、転職支援サイトも利用しており、様々な広報媒体を通した情報発信に力を入れている。
【委員】
中途採用についても、従来の1回の試験を2回にし、受験者が増えたとのことだが、民間企業ではもっと多くの回数、試験を行っており、年間通した採用が行われているところが多い。雇用における人材の流動化は、後戻りできない大きな流れと思うため、今後も継続的な取組をお願いしたい。
次に、新卒採用も中途採用も、今後の受験者数を維持拡大していくために、たゆまぬPR活動が何よりも必要だと思う。今後の募集活動について、どのような取組を行っていくのか。
【理事者】
今年度実施した第1回試験でも、令和4年度と同程度の受験者数や競争倍率を確保することができており、試験日程は同時期の実施を継続することが適当である。なお、人材確保の現場は引き続き売手市場であり、本県を志望し受験してもらう人をさらに増やしていくためには、様々な広報媒体を通した情報発信を一層強化することが重要である。
具体的には、人事委員会が運営している職員採用情報ウェブページを、今年度、視覚的に分かりやすく印象の残るデザインにリニューアルし、次期募集に向けて運用が開始できるよう進めている。このほか、県職員の業務内容を受験希望者に紹介する職員ガイダンスについて、これまで学生が冬休みに入る12月下旬に開催をしていたが、採用活動の早期化に対応するため、今年度から夏休みの8月に早めた。
また、SNSの活用も積極的に行い、定期的に採用試験に関する情報のほか、受験希望者から問合せの多い内容をQ&A方式にして発信するなど、より幅広い層に対して効果的に本県職員の魅力をPRしていく。
優秀な人材を確保するためには、受験者数の確保に努める必要がある。今後も、より多くの人に本県を選択してもらえるよう広く情報発信を行っていく。これまで任命権者と連携して、試験制度の見直しなど様々な取組を行ってきたが、引き続き、国や他の地方公共団体及び民間企業の動向を注視しつつ、これまで実施してきた試験制度を不断に検証し、さらなる見直しを図る。
【委員】
採用活動において、既存のやり方を踏襲するだけではなく、いろいろと新しい取組にチャレンジしていることが分かった。
最後に、意見と要望させてもらう。
まず、要望としては、他の自治体における様々な採用の手法に着目してもらい、本県で導入できるものはさらに導入していく、貪欲な積極性を持ち続けてもらいたい。
そして、もう一点、ここに愛知県職員募集というパンフレットがある。これを見ると、若い職員たちが頼もしく仕事をしている非常に分かりやすいパンフレットだと思う。表紙をめくったところに、気になった部分があり、愛知県の目指す職員像として、自律的で、スピーディーかつスマートに行動する職員、行政のプロ意識と高い専門能力を持って行動する職員など書いてあるが、右のほうに小さな字で遠慮がちに書いてあるのが、愛知県庁での仕事の領域は多岐にわたり、関わることもさまざま、だから、あなたが得意としていたり、力を発揮できる場所が必ずあるはず、あなたの個性で愛知の未来をつくりましょうと、非常にいいことが書いてある。この辺りをもう少し大きな字で、自信を持って書いてもらいたい。大学生からすると、求められる職員像よりも、自分がここに入ったら自己実現できると、自分が活躍できるフィールドがあると感じられることが必要だと思う。そういった観点から、広報活動をしてもらいたい。
自治体の運営というのは企業の経営に例えられることもあるが、経営の資源は、人、物、金、もろもろであるが、その中でも人に対する投資は本当に大切な投資だと思うので、これからも採用活動や育成活動には十分に予算を取ってもらい、注力してもらいたい。
【委員】
令和4年度決算に関する報告書11ページのテレワーク環境整備費について、報告書には、職員の多様な働き方の実現や新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策としての在宅勤務を支援するために配備したテレワーク専用端末1,100台の利用環境の整備を行ったと記載されている。
そこで、この事業内容はどのようなものか伺う。
【理事者】
テレワーク環境整備費は、令和元年度において、職員の柔軟な働き方の推進などを図るために試行導入したテレワーク専用端末100台と、令和2年度において、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策の一環として、職員の在宅勤務をより効率的に実施し促進するために追加導入した1,000台、合わせて1,100台を運用するための経費である。
導入したテレワーク専用端末は、いずれも5年間のリース契約としており、決算額3億8,818万3,224円は、令和4年度1年間の端末や管理サーバのリース料のほか、通信回線の使用や保守・運用などに係る費用の合計となっている。
【委員】
このテレワーク専用端末は、主に職員の在宅勤務をより効率的に実施するために導入したとのことだが、専用端末というのはどのようなもので、導入した1,100台の配備状況はどのようになっているのか。
【理事者】
導入したテレワーク専用端末は、自宅や出張先においても庁内ネットワークに接続し、業務システムや公用メールを使用できるなど、庁内とほぼ同様の業務を行えるものである。仕様は、持ち運び可能な13.3インチのタブレット型パソコンで、通信は、インターネットから独立した専用回線を利用した上で、通信内容を暗号化するなどの強固なセキュリティ対策を講じている。
端末の配備に当たっては、全庁で広く利用できるよう、原則として本庁の各課室のグループごとに1台、地方機関では各課室に1台となるよう配備している。
【委員】
今の答弁で、全庁で広く利用できるように、本庁及び地方機関の各課室に配備したことが確認できた。
このテレワーク専用端末の令和4年度の利用実績及び導入の効果を伺う。
【理事者】
テレワーク専用端末の令和4年度の利用実績は、全利用台数が延べ3万8,067台で、開庁日1日当たり、平均157台が使用されている。また、1日に最も多く利用された台数は435台であった。昨年度の職員へのアンケートによると、各種業務システムの利用をはじめ、メールやチャットを利用してコミュニケーションを取りながらの資料作成など、多くの業務に利用されている。
また、職員からは、職場にいるのと近い業務を行うことができたとの意見があり、職員の多様な働き方の実現に効果があったと考えている。
【委員】
テレワークのメリットとしては、ペーパーレス化、デジタル化を促進、ワーク・ライフ・バランスが保ちやすい、人材確保につながる、事業継続性の確保など、かなり広く認識されており、現在ではハイブリッドワークが広がっている。県庁としても、新たな働き方として引き続き積極的に活用してもらうよう要望する。
続いて、令和4年度決算に関する報告書12ページの県有施設長寿命化推進事業費について伺う。
報告書には、愛知県公共施設総合管理計画に基づき、庁舎等の長寿命化改修等を支援するため、各施設への巡回点検を実施したと記載されている。
巡回点検を実施する目的や実施内容はどのようなものなのか。
【理事者】
巡回点検は、庁舎等の長寿命化対策を推進するに当たり、各施設における施設の健全性の確保や必要な長寿命化対策の取組を進めていく中で、施設管理者に対する技術的な支援を行い、施設管理者の専門知識、技術の向上を図るため、財産管理課職員が各施設を巡回して点検を行うもので、愛知県公共施設等総合管理計画が開始された2015年度から実施している。
昨年度は、長寿命化改修工事を実施予定の施設や工事を完了した施設を対象として、計40施設の巡回点検を実施しており、実施内容としては、長寿命化改修のための基本設計や実施設計の段階で、設計に盛り込むべき内容について、長寿命化改修基本調査に沿って適切に実施がされるよう確認指導を行うほか、長寿命化改修工事完了後において、今後の適切な予防保全のための維持管理方法について施設管理者に指導、助言を行ったところである。
【委員】
巡回点検のほかに、施設管理者に対する支援は何か行っているのか。
【理事者】
施設管理者が長寿命化対策を適切に行うためには、施設の点検、診断結果や対策履歴等の情報を適切に管理、蓄積し、次の点検、診断に活用するメンテナンスサイクルを構築することにより、適切な時期に必要な対策を行うことが重要である。そのためには、施設の状態を正確に把握、管理する施設保全台帳の適切な整備が必要不可欠であることから、巡回点検に加えて、施設管理者向け技術研修会を開催し、施設管理者に対して施設保全台帳の適切な作成手法等について周知を図るなどにより、各施設が行う長寿命化対策を支援している。
【委員】
2015年3月に策定された愛知県公共施設等総合管理計画の中で、膨大なストックを抱える県有施設の維持、更新に対して、事後保全から予防保全に切り替えて長寿命化を図ると位置づけ、取組が進められている。
その一方で、社会情勢の変化によって資材価格や人件費の上昇が続いており、この先も、カーボンニュートラルの推進や生産性の向上、建設業の働き方改革などの課題に対して、コストの上昇が続くと見込まれる。施設総量の適正化やPPP(官民連携)やPFI(プライベートファイナンスイニシアチブ)といった民間資金等の活用、そして、新技術及び新材料の導入等による経費節減及び軽減なども考慮しながら、この総合管理計画の的確な運営に努めてもらいたい。
続いて、令和4年度決算に関する報告書15ページの山村振興ビジョン推進費について伺う。
コロナ禍以前に、長崎県壱岐市におけるSDGsの取組を視察した際に、取組の一環としてワーケーションのための施設整備等を行った結果、壱岐市に全国から人が集まって地域の活性化につながったというワーケーションの可能性を示す好事例を聞いた。
愛知県でも、新型コロナウイルス感染拡大防止を契機とした新たなライフスタイルであるワーケーション等を三河山村地域で推進するために、2021年度にニーズ調査を実施したと聞いている。そして、昨年度は実証実験を実施したとあるが、どのような内容で実施したのか。
【理事者】
三河山間地域ワーケーション推進事業については、三河山間地域において、アフターコロナ時代の新しい働き方として注目されているワーケーションの促進誘致を図るため、2021年度から3年間で実施している。初年度は、企業及び個人に対するワーケーションの実施ニーズや条件等を把握するためのマーケティング調査を行った。
2022年度は、調査結果及び地元町村等へのヒアリング結果等を踏まえ、9月から11月にかけて、実証実験としてモニターツアーを3回実施した。当該ツアーは、調査結果においてワーケーションへの関心が高い傾向にあった中小企業を主な対象として、実施場所は休暇で観光を楽しみつつ、普段の仕事を行う休養活用型のワーケーションに高い関心が示されていたことから、三河山間地域の代表的なキャンプ場や温泉施設を活用した。
また、日程は1泊2日とし、ワークの時間以外に地域のことを知り、関心を持ってもらい、引き続き訪問してもらうきっかけづくりとなるよう、地域に関するワークショップや地元関係者との交流会の時間も設けた。
【委員】
結果はどうだったのか。また、その成果を今年度の事業にはどのように生かしているのか。
【理事者】
3回のツアーで、名古屋市の企業を中心に、IT関係や建築設計関係と合わせて34人に参加してもらい、アンケートの結果、ツアー全体としては満足したという人の割合が7割を超えるなど、高い評価をもらった。
その一方で、1泊2日ではワークの時間が十分確保できない、宿泊場所とワークスペースは近いほうがよい、データの送受信やウェブ会議実施がスムーズにできる通信環境が必要といった課題が明らかになるとともに、今後実施してみたいワーケーションの形態としては、当初想定していた休養活用型よりも企業間交流や地域貢献、課題解決を目的としたタイプへのニーズが高いことが分かった。
これを踏まえ、今年度はツアーの設定に当たり、期間を2泊3日に拡大し、ワークの時間を十分確保するとともに、宿泊やワークを行う施設を見直し、新たな実施場所を選定した。また、衛星インターネット回線の活用による通信環境の見直し、参加者同士が協働して行う活動や参加者と地元関係者との交流機会を増やすなど、必要な改善、改良を行った上で、9月から10月にかけてツアーを4回実施した。
今後、参加者アンケートを取りまとめ、課題やニーズ等の整理、分析を行った上で、昨年度までの実施結果も踏まえつつ、この地域に適したワーケーションの在り方を検討していく。
三河山間地域内では、市町村や民間事業者においてもワーケーションを推進しようとする動きが出始めている。県としては、この事業の成果を地元市町村としっかり共有することで、こうした動きをより一層活発化させ、三河山間地域におけるワーケーションのさらなる推進につなげていく。
【委員】
ワーケーションにより、都市部と三河山間地域との人の交流を促してもらいたい。その次の段階としては、ぜひ移住という形につなげてもらいたい。
次に、決算に関する報告書では、首都圏の移住・定住の強化のために、ふるさと回帰支援センターにおいて相談窓口を運営したと記載されている。
そこで、この相談実績について伺う。併せて、窓口の運営で何か課題があれば、その課題と対応についても伺う。
【理事者】
この事業については、新型コロナウイルス感染症の影響により、首都圏等在住者の地方暮らしへの関心が高まり、地方における移住・定住促進に大きな追い風となっていたことから、2021年度に県の移住相談窓口を設置するとともに、専属の移住相談員を配置して、首都圏での移住・定住に関する相談体制の充実を図ったものである。
移住相談件数であるが、2021年度は196件、2022年度は281件と増加している。また、この相談をきっかけに、三河山間地域への移住につながった事例も出てきており、具体的な成果も出始めている。
課題としては、2022年のセンター全体での相談件数は5万2,312件と、44都道府県1政令市が相談窓口を設置している中では、本県の相談件数は相対的に少ない状況である。そのため、まずは、移住先としての愛知県の認知度を高め、相談につなげる必要がある。
今年度から、本県の強みであるバランスの取れた住みやすさをPRする愛知の住みやすさ発信事業を当室で所管することとなったため、これらの事業を連携させ、首都圏における情報発信を強化することで相談件数を増やし、愛知県の移住促進に努める。
【委員】
まず、三河山間地域の市町村にとって、このワーケーションは、今までと違う新たな地域活性化手段となり得る政策と思っている。事業から得られた結果を地元市町村としっかり共有して、ワーケーション促進を図ってもらいたい。
もう一つ、移住について答弁してもらったが、有楽町にあるふるさと回帰支援センターは、44都道府県1政令市の専属相談員が常駐しているため、移住に関する相談のワンストップサービス拠点となっている一方で、大体の資料がそろうため、地域間での人の奪い合いが起こりうる。そのため、より分かりやすい相談窓口が必要だと考える。
その点で、愛知の住みやすさ発信事業を今年度統合したことは、かなり前進である。労働局が所管しているあいちUIJターン支援センターが新宿にあり、有楽町と新宿に別々でなく、統合も視野に連携強化をしてもらい、さらに愛知県へ人を呼び込むための体制整備に努めてもらいたい。