委員会情報
委員会審査状況
警察委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年3月15日(金) 午後0時57分~
会 場 第3委員会室
出 席 者
ますだ裕二、林 文夫 正副委員長
久保田浩文、寺西むつみ、南部文宏、成田 修、横田たかし、鈴木まさと、
日比たけまさ、山口 健、しまぶくろ朝太郎、筒井タカヤ 各委員
藤森公安委員、警察本部長、総務部長、警務部長、組織犯罪対策局長、
生活安全部長、警備部長、交通部長、地域部長、財務統括官、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第 1 号 令和6年度愛知県一般会計予算
第1条(歳入歳出予算)の内
歳 出
第8款 警察費
第3条(債務負担行為)の内
岡崎警察署建物取壊工事
一宮警察署整備工事
大府警察署(仮称)整備設計
警察本部庁舎北館設備改修工事
交番・駐在所建築工事
千種警察署施設設備改修工事
第二交通機動隊施設設備改修工事
警察用ヘリコプター購入
第 54 号 愛知県暴力団排除条例の一部改正について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第1号及び第54号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 交通指導取締り及び交通安全施設の整備について
2 防犯対策の推進について
3 警察の組織及び運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(2件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 休 憩(午後2時43分)
6 再 開(午後2時55分)
7 閉会中継続調査申出案件の決定
8 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
令和6年度当初予算のうち、警察施設について質問する。
先日、新聞報道で、中部空港警察署を中部国際空港第2ターミナルへ移転すると報道された。新聞記事によると、地盤沈下の影響で現庁舎に不具合が出ており、来庁者や周囲の人々の安全確保が困難であるという理由で移転するとのことであるが、現在、この空港警察署の庁舎はどのようになっているのか。
【理事者】
中部空港警察署では、2005年2月の開署後、駐車場の陥没や給水管等の破裂などの不具合があり、その都度、補修工事で対応していたが、2012年に車庫、倉庫棟とエネルギー棟のつなぎ目が大きく割れたことから、原因について調査を行ったところ、不同沈下していることが発覚したものである。
また、建物の地上部分の調査では、直ちに倒壊するとはされていないが、建物を支えるくいの健全性に問題がある可能性があり、建替えの計画を進めるべき旨が示されている。このため、中部国際空港第2ターミナルビルへ一時的に移転するまでの間、一般の人々の安全確保のため避難マニュアルを整備し、署員一人一人に徹底を図った上で、現庁舎で勤務を継続する。
【委員】
現状を踏まえて、今後、この空港警察署整備についてどのような対応をするのか。
【理事者】
建替えの計画を進めるべき旨の調査結果を受け、今年度、現在の中部空港警察署の敷地や空港島の余剰地で建替えが可能かどうか判断するための検討、調査を行っている。来年度についても、今年度の調査結果を踏まえ、ボーリングをはじめとした地盤調査や建物規模や構造の検討などの調査を行い、建替えについて検討していく。
【委員】
現状では、まだ正確に分からないことは理解したので要望する。
警察署の耐久については、通常50年以上を担保する設計になっていると理解している。現庁舎は、使わないよう専門家からの指摘を受けていることを踏まえると、20年しか経過しておらず、残存期間が30年ということは、約5分の3が使えないまま除去しなければならない。本来、埋立地の工事については、慎重かつち密に計算や地質の調査をし、地盤改良した上で多くのくいを打つ。また、通常のくいより深く打つという対応が、建築関係の常識だと思う。今回の工事では不同沈下ということで、アンバランスな沈下が起きており、恐らく、現状のものを地盤改良することが最善の策とは思えず、他の場所において地盤改良した上で移転する形になっているかと思うが、その場合には十分に、今回のようなことを踏まえて、地質、そして改良工事をしっかりした上で、くいを通常より深く打つことによって、沈下に耐え得る警察署を建て、県民の安全に寄与するような警察署を再構築することを要望する。
【委員】
第54号議案愛知県暴力団排除条例の一部改正について質問する。
条例第15条の2、祭礼、花火大会、興行その他の公共の場所に不特定多数の者が一時的に集合する行事の主催者及びその運営に携わる者は、暴力団の活動を助長し、また、暴力団の運営に資することとならないように、暴力団もしくは暴力団員、またはこれらと密接な関係を有する者を祭礼等に関与させないことその他の暴力団の排除のために必要な措置を講ずるよう努めなければならないとあるが、まず、祭礼等の開催における措置の概要について伺う。
【理事者】
祭礼等に暴力団と密接な関係を有する者が関与するということは、結果的に祭礼等が暴力団の資金源となり、暴力団の活動を助長すること、または暴力団の運営に資することにつながるものと考えている。これを防止するためには、祭礼等の主催者や、その運営に携わる者が、健全な祭礼等の開催を継続して行えるよう、暴力団排除に向けて自主的に必要な措置を講じることを義務として規定したものである。
【委員】
では、主催者、またはその運営に携わる者とは、どのような者を指すのか。
【理事者】
主催者とは、祭礼等を開催するに当たり主体となって当該祭礼等を取り仕切る法人や個人、団体等をいう。具体的には、神社や仏閣、自治体や観光協会、実行委員会やイベント会社等がこれに当たる。
また、運営に携わる者とは、祭礼等の開催に携わる法人や個人、団体等を言い、具体的には、警備会社、清掃会社等の直接、祭礼等に関わる者のほか、施設管理者や協賛企業等の間接的に携わる者も、これに当たる。
【委員】
では、具体的な事例で伺う。
神社の祭礼などでは、露天商や氏子による出店が行われる。この場合、主催者は神社であり、露天商や氏子の店がこの運営に携わる者に該当することになるのか。
神社から見れば、露天商は外部の者であり、暴力団等とは関係がない旨の表明・確約を提出してもらう意義はあると思う。しかし、氏子は、神社にとって内部の者と言えるため、主催者の神社が神社の内部の者である氏子からも、表明・確約書を徴収するのか。
【理事者】
本改正の趣旨は、祭礼等の主催者が暴力団排除に向けた自主的な取組を行う中で、より実効性のある措置を求めるものであり、主催者が、その運営に携わる個々の者について、暴力団との関係の有無を調査することは困難であると考えられることから、あくまでも一般的には、表明・確約書を提出するよう求めることが本改正の趣旨にかなうものと考えている。
【委員】
次に、朝市について伺う。
私の地元には三つの農業協同組合(JA)支店があり、それぞれで朝市が開催されている。このうち二つのJA支店では、出店料金を徴収せず無料で場所を提供しており、朝市の運営は、出店者に任せている。残りの一つのJA支店では、個々の出店者の売上げの10パーセントをJA支店が徴収している。この場合、料金徴収のあるなしにかかわらず、JAが主催者に該当するのか。
【理事者】
祭礼等の主催者に該当するか否かについては、有償または無償を問わず、主体となって祭礼等を取り仕切っているのであれば、主催者に該当するものと判断する。また、場所のみの提供であっても、少なくとも運営に携わる者に該当するものと考えている。
【委員】
次に、行政が主催する行事について伺う。
私の地元、守山区では、区役所が主導して守山区民まつり実行委員会を組織し、区民まつりを開催している。名古屋市内の中区を除いた15区で同様の祭りを行っていると聞いている。区民まつりには、たくさんのお店が参加するが、その中に守山警察署、守山消防署、自衛隊も含まれる。参加する守山警察署は、主催者である守山区民まつり実行委員会に対して、当方は暴力団とは関係がない旨の表明・確約書を提出しなければならないのか。
【理事者】
警察や消防、自衛隊等の公的機関については、暴力団との関係を有しないことが明らかであることから、表明・確約書を徴収する必要はない。
【委員】
次に、今回の取組は努力義務となっているがなぜか。また、どういった措置を具体的に求めるのか。
【理事者】
本条例は、第3条で暴力団排除の基本理念を、第6条で基本理念に沿って暴力団排除を自主的に取り組むよう努めることが県民の責務である旨を定めている。第15条の2に定めた祭礼等における措置は、これら、基本理念や県民の責務にひもづく規定であり、県民一人一人に暴力団排除の理念を広く浸透させるためには、その理念を強制するのではなく、納得と共感を得ることが必要であると考えるため、努力義務とした。
他方で、条例の第14条に、祭礼等の主催者を含む事業者は暴力団への利益供与を禁止する旨が定められており、その実効性は担保できるものと考えている。また、具体的な措置としては、主催者等が祭礼等に携わる者から表明・確約書を徴収して、それらの者から暴力団等々の関わりがないことを誓約させることや、事前に警察と連携することなどが挙げられる。
【委員】
今回のこの取組は、暴力団の関与を防ぐために、県内全域に大きく網をかけるという趣旨であり、理解も賛成もできる。しかしながら、主催者、または運営に携わる者の暴力団との関与が考えにくい場合もある。例えば、地域のイベントで、女性会や老人会が何らかの出店をする、あるいは、学童保育などが活動資金を集めるために何らかの販売、自分たちのPRをするために出店する場合がある。彼らは、おおよそ、自分たちが暴力団と関わりを持っていると思っていないため、多くの場合、なぜそのような確約書を出さなければならないのかという思いに至るのではないか。
また、努力義務で罰則がないため、手続が面倒であり、自分たちは正しいことをやっているからやめておこうという意識が働くことを危惧している。この取組が形骸化しないように取り組むことをお願いする。
【委員】
令和6年2月定例愛知県議会に愛知県暴力団排除条例の改正案が示されている。
まず、その概要、今回の改正による変更点及び内容について伺う。
【理事者】
本改正案は四点ある。いずれも社会情勢に応じて変化する暴力団の活動に的確に対応して、社会全体で暴力団排除を推進し、県民の安全で平穏な生活を確保するために必要な改正を行うこととした。
具体的には、一点目は、質問のあった祭礼等の暴力団排除に関する規定の新設である。祭礼等、あらゆる行事が暴力団の有力な資金源とならないよう、主催者やその運営に携わる者が自主的に暴力団排除を行うよう努めることとする。
二点目は、暴力団排除特別区域における特定事業者の追加である。
条例で定める名古屋市中区錦3丁目など歓楽街である暴力団排除特別区域で客引きやスカウト行為をなりわいとする者を規制対象となる特定事業者に追加し、暴力団に利益供与する行為や暴力団から利益を受ける行為に直接罰則を科せられることとする。
そして、三点目が、暴力団事務所の開設及び運営の禁止区域の追加である。
暴力団対策法に基づき、現在警戒区域として規制した名古屋市等の区域以外で活発化している暴力団の活動を阻止し、青少年をはじめとする県民の平穏な生活を確保するため、新たに都市計画法で定める用途地域を禁止区域に追加することで、これに違反した場合には、当該暴力団事務所の開設及び運営の中止を命令し、また、これに従わない場合には罰則が科せられることとする。
最後に、四点目は、暴力団員への名義貸しに関する規定の新設である。
暴力団員の属性を隠匿する目的の下、暴力団員が他人の名義を利用して、または、暴力団員以外の者が自己の名義や他人の名義を暴力団員に貸す行為に勧告や公表を行えることとする。
いずれの改正においても、近年の暴力団情勢とその活動に対応したものであり、当県の暴力団排除を強力に推進するため必要不可欠なものとなる。
【委員】
2年前に大阪府が暴力団排除条例を改正している。当時、私は、警察委員会に所属しており、愛知県にも同条例のように迅速に改正を求める旨を伝えたところ、2年経過でもって改正案を示された。令和4年に施行した愛知県暴力団排除条例に暴力団事務所の開設等を禁止する区域、いわゆる面規制を追加しなかった理由を伺う。
【理事者】
令和4年の条例改正では、暴力団排除特別区域において事件化などにより判明した事例に対して、条例で規定した内容では、みかじめ料の要求行為を規制することができないなどの点が認められたことから、当時、当該不備を早急に補正すべく改正を行った。
大阪府が行っている面規制については、暴力団情勢や活動実態の把握、青少年の健全育成への悪影響など、規制区域を広げることについて検討を重ねる必要があったため、相当期間を必要としたが、近年の暴力団の活動実態に合わせて、今回、面規制を行うこととした。
【委員】
愛知県と大阪府の条例に相違点があれば伺う。
【理事者】
愛知県暴力団排除条例と大阪府暴力団排除条例の主な違いは大きく二点ある。
第一に、暴力団排除特別区域の設定にある。当県では、特に暴力団の排除を強力に推進する暴力団排除特別区域を設けて、歓楽街で営業を営む風俗営業等の特定接客業者が暴力団に利益供与を行う行為や、暴力団から利益を受ける行為に直接罰で対応しているが、大阪府には、暴力団排除特別区域の規定はない。
第二に暴力団事務所の開設及び運営の禁止区域の設定にある。大阪府は、いわゆる面規制という都市計画法に定める住居系用途地域、商業系用途地域、工業専用地域を除く工業系用途地域が禁止区域として設定されている。当県においては、現状では、大阪府と同様の面規制がないことから、本改正案で追加することとしており、この違いは解消されることとなる。また、今回の改正によって、大阪府に規定がない名義利用等の禁止や祭礼等における措置を新設することとしており、当県の条例は、他と比べて先進的な内容になる。
【委員】
県警察の条例改正は、いつも他の都道府県よりも遅いとの声がある。慎重だと擁護する声よりも、いつも反応が遅い、鈍いという声のほうが多いように思う。時代の変化に即応するようお願いする。
今回の愛知県暴力団排除条例の改正案には、賛成である。かつて地元名古屋市名東区梅森坂の住宅地に、日本を代表する山口組暴力団に深く関係すると思われる人物が、本部の新事務所を兼ねる大型の建物を建設予定であるとの情報があり、地域一帯の人々が暴力団追放のため立ち上がり、大集会を小学校の体育館に500人程度集まって、反対運動を数年にわたって展開した。この大集会に県警察本部の暴力団担当の職員や、暴力団関係者にも屈しないあゆの風法律事務所の地元名東区在住の村橋泰志弁護士にも協力してもらい、地元住民が総結集して建設を中止に追い込んだ、全国でも例があまりない体験がある。
今回の暴力団排除条例改正の最大のポイントをいま一度伺う。
【理事者】
本改正案は、いずれも社会情勢に応じて変化する暴力団等の活動に的確に対処するために必要となる条例改正である。とりわけ当県は、6代目山口組の中核組織である弘道会の活動拠点が存在するという特性がある。本改正により弘道会をはじめとする暴力団の資金の遮断をより一層強固なものにできるものと考えている。また、県、県民、事業者による自主的暴力団排除への取組が促進されるため、暴力団に対する最大限の抑止力につながるものと考えている。
【委員】
今回の愛知県暴力団排除条例の改正が、日本最大の暴力団、山口組の拠点に大きなくさびが打ち込まれたと、さらに大きくマスコミが取り上げるよう、県警察の広報について、今後の取組、県民への周知の方法について伺う。
【理事者】
周知の方法は、愛知県公報への掲載や、それに合わせた報道発表等を予定している。そのほか、県警察のホームページへの掲載をはじめ、職域や地域の協議会などの協力を得ての周知活動や、祭礼開催時に合わせた広報活動、暴力団排除特別区域である歓楽街での暴力団排除ローラーの実施など、県民に条例の改正内容について正しく認識してもらえるよう、あらゆる警察活動を通じて周知を徹底する。
【委員】
警察手数料のキャッシュレス化推進費について伺う。
先日、議案説明会において、警察手数料のキャッシュレス化について説明があった。これによって県民に新たな選択肢が与えられることになり、利便性の向上が期待される一方で、様々な課題もあると思う。
警察手数料のキャッシュレス化推進費の事業概要について、改めて伺う。
【理事者】
警察手数料のキャッシュレス化については、2024年4月から各申請窓口で取り扱う全ての警察手数料についてキャッシュレス決済による収納を導入し、現在の証紙収納と並行して手数料収納を行うものである。これにより、警察本部、警察署のほか、運転免許試験場、東三河運転免許センターなどの窓口において、クレジットカード、交通系ICカードなどの電子マネー、及びQRコードなどのコード決済による手数料の収納が可能となる。
【委員】
警察手数料のキャッシュレス化は、法令により全国一律で実施するものなのか。また、既に実施している都道府県はあるのか伺う。
【理事者】
警察手数料のキャッシュレス化については、法令に基づく全国一律の事業ではない。県警察では、民間におけるキャッシュレス決済の浸透、行政手続におけるデジタル化の推進等の社会情勢に鑑み、多様な収納方法を提供することにより県民の皆様の利便性を高めることを目的とし、今回導入する。
既に実施している都道府県は、茨城県、東京都、鳥取県、新潟県、京都府、兵庫県、福井県、埼玉県、大阪府及び岡山県の計10都府県である。
【委員】
全国的に先例があるのであれば、そうしたところからキャッシュレス決済の実施状況等を把握していると思うが、愛知県では、キャッシュレス決済の取扱い件数はどれぐらいになると見込んでいるのか。
【理事者】
2024年度のキャッシュレス決済比率は、経済産業省が公表している2022年のキャッシュレス決済比率が36パーセントであることや、既に証紙とキャッシュレス決済の併用を行っている他の県警察の2022年のキャッシュレス決済比率が10パーセント程度であることなどを参考に、20パーセント程度と見込んでいる。2022年度の本県の証紙における警察手数料の収納件数が、約415万件であることから20パーセントを乗じて、2024年度のキャッシュレス決済の取扱い件数は約83万件と見込んでいる。
【委員】
このキャッシュレスシステムにより、これまでの現金による県証紙購入は全てなくすのか。
【理事者】
キャッシュレス決済導入後も証紙による収納は存続するので、現金による決済がなくなることはない。現金で支払いを希望する申請者は、これまでと変わらず証紙売りさばき所で現金により証紙を購入することとなる。
【委員】
警察手数料の収納については、これまで、証紙販売を担う交通安全協会の役割が大きかった。県警察自体の業務負担はそれほど大きくなかったと思うが、キャッシュレス決済を大量に取り扱うことになると、業務負担が相当大きくなる。この点について、どのように対応していくのか。
【理事者】
キャッシュレス決済の導入による警察の業務負担への対応について、先ほどの答弁のとおり、2024年度は約83万件のキャッシュレス決済を取り扱うことが見込まれている。これだけの収納業務を外部委託せず自営で行った場合、相当の人員が必要となり、これを本来の警察活動に従事している人員から割けば、治安維持活動への影響が懸念される。したがって、窓口におけるキャッシュレス決済の案内などの業務を外部委託する。
【委員】
人員が限られている中で、負担の大きな業務を外部委託する必要性については理解する。
業務を請ける業者は、警察署内で業務を行うことになるが、入札に参加する業者に対して何らか前提条件などを付しているのか。委託先の業者選定に当たっては、反社会的勢力を排除するのは当然のことで、警察業務に理解があり、市民対応にも適切に行われる者を選定することは、何より最優先である。
業務の外部委託に当たっては、入札方式なのか。
【理事者】
外部委託契約は、県警察一括ではなく、警察署などの所属ごとに行う。よって、財務規則等に基づいて契約予定金額の多い所属は一般競争入札により、それ以外の所属は随意契約により業者を決定する予定である。
【委員】
契約期間はいつからいつまでか。
【理事者】
2024年度は導入初年度であり、導入後のキャッシュレス決済比率の推移や運用状況を確認し、より効果的な業務委託ができるよう、契約期間は1年としている。
【委員】
業務委託を希望する企業側とすれば、自分の企業は警察署内でもって業務を行っていると広報すれば、信用ある企業であると外部からも評価されると力を入れて入札に臨むと推察される。ここで0円入札、1万円入札などの事態も考えられないわけではない。こうした場合に、どう対処するのか。入札に参加する業者の選定条件について伺う。
【理事者】
入札に参加する業者の選定条件については、暴力団関係の企業ではないこと、愛知県の入札参加資格者名簿に登載されていること、同規模の契約実績を有していることなど、他の入札と同様に必要な条件を付している。
なお、入札参加の申請時に、参加希望者等から書面資料を提出させ、県の契約相手先として適切な業者であるかを審査している。
【委員】
現在、警察施設内での証紙の販売は、各交通安全協会が行っている。この交通安全協会は、愛知県から証紙売りさばき人の指定を受け、証紙を販売して手数料収入を得ている。キャッシュレス決済の導入により証紙の取扱いが減少すれば、交通安全協会の手数料収入も減ることになる。
各交通安全協会の手数料の収入は、今後どのように推移することとなるのか。
【理事者】
交通安全協会の証紙売りさばき手数料収入の推移については、他団体の運営に関する事項であり、県警察としては回答する立場にない。警察手数料の収納の観点から言うと、これまで証紙のみで行っていたところ、これにキャッシュレス決済が加わることにより、キャッシュレス決済の比率が高くなるほど相対的に証紙の取扱い額は減少すると考えられる。
【委員】
交通安全協会は、長年にわたり警察とともに地域の交通安全活動を行ってきた団体である。地域の人々も、交通安全協会に入会して会費を支払い、警察を支援する役割を担い、地域活動の一環として交通安全推進の事故防止への看板等々の設置や、地区全体の交通安全活動キャンペーンにも協力して、警察への補完的な役割を目指している。
県警察は、こうした地域に貢献してきた交通安全協会をどのように考えているのか。同時に、キャッシュレス決済の導入に当たり、交通安全協会運営に多大な支障を来すのであれば、何らかの対応を行うべきだと思うが、県警察の考えを伺う。
【理事者】
各地区の交通安全協会は、警察署と連携し、交通安全に係るイベントやキャンペーンの開催、チラシ等の広報啓発品の作成・配布など、交通安全活動の各般にわたり尽力しており、地域における交通安全の確保を図る上で、極めて重要な役割を果たしている。また、警察署等に証紙売りさばき窓口を設置することで、警察手数料の納付のために証紙を購入する人々の利便性向上に寄与している。
次に、交通安全協会への対応については、キャッシュレス決済の導入に当たり、交通安全協会に対して、キャッシュレス決済の導入に至った経緯や、その必要性に加え、キャッシュレス決済の比率に応じて証紙の取扱い額が減少することについて事前説明を行うなど、本事業を理解してもらえるよう取り組んできた。
【委員】
全ての交通安全協会の収入が減ることにより、交通安全活動に支障が出ることは必然である。これまで長い期間にわたって交通安全協会は売りさばき人を雇用していたが、解雇することにもなりかねない。さらに、証紙販売の利益を運営者に組み入れ、その収益を地元の警察活動を応援する事業の推進により還元していた。これまで交通安全協会による協力でいろいろな交通安全運動全般に応援を受けてきた警察は、これまでどおりに支援を受けられないと思うので、県警察本部は警察署に対する支援を考えるべきだと思うが、県警察の考えを伺う。
【理事者】
各警察署においては、それぞれの地域の特性等に応じ、交通安全協会をはじめ、様々な団体や企業等と連携しながら、工夫を凝らした交通安全活動を実施している。警察本部では、こうした好事例を集約して全警察署に情報提供を行っているほか、広報啓発用のチラシデータや交通安全イベントの実施要領をまとめた資料を作成するなどにより、警察署に対する支援を行っている。今後も警察署が地域に密着した交通安全活動を効果的かつ効率的に推進できるよう、必要な支援を行う。
【委員】
県警察として、交通安全協会だけでなく安全運転管理協議会や防犯協会連合会など、様々な協力団体があって、地域の住民との一体の治安活動があることを認識してほしい。これからも、こうした団体との絆を大切にしながら活動を行うべきと思うが、県警察の考えを伺う。
【理事者】
交通安全活動に限らず、警察活動の多くは、警察のみではその目的を達成することが困難であり、関係機関、団体、地域住民の理解や協力が不可欠である。したがって、今後もこうした人々との良好な関係を維持し、地域の安心・安全の確立に向けて警察と関係者が一体となった取組を推進したい。
《一般質問》
【委員】
信号機の設置について伺う。
令和6年度当初予算のうち、交通安全施設整備費として19か所の信号機の新設費用7,122万円が計上されている。県内において多くの信号機の設置の要望を受ける中、どのような基準で設置が決定されているのかの問合せが県民から多くある。そこで、信号機の設置の条件について伺う。
【理事者】
信号機の設置については、警察庁の信号機設置の指針を参考としつつ、個別具体的に判断している。信号機設置の指針では、設置の主な条件として、赤信号で停止している自動車等の側方を安全に擦れ違うために必要な車道の幅員が確保できること、歩行者が安全に横断待ちをするために必要な滞留場所を確保できること、ピーク1時間の主道路の自動車等往復交通量が原則として300台以上であること、隣接する信号機との距離が原則として150メートル以上離れていることなどが示されている。
【委員】
信号機設置指針に示された条件をクリアすれば、信号機が設置されるのか。また、信号機設置に際し行われる地域住民との合意形成に向けた協議は、どのようなものがあるのか。さらに、協議における反対意見にはどのように対応し、その結果、信号機が設置されない場合に、交通安全を確保するためにどのような対応を取るのか。
【理事者】
信号機を設置する場合、信号機設置の指針に示された条件を参考としつつ、その他の交通事故発生の危険性や地域住民の人々の合意形成の状況、道路の整備計画等を踏まえて、個別具体的に判断をしている。
信号機の設置は、一般的には、地域住民の人々から要望がなされることから、合意形成については、地域事情にも精通し、地域住民の人々とも意見調整のできる自治会長等の地域の代表者に意見の取りまとめをお願いしている。また、合意形成が図られない場合等については、必要に応じて地域の代表者に説明や助言を行うこともあるが、信号機の設置場所付近の住民の人々からの理解が得られないなど、どうしても折り合いがつかない場合には、代替措置として交差点内のカラー舗装や一時停止標識の高輝度化、注意看板の設置など、道路管理者と連携した安全対策を講じている。
【委員】
信号機設置の検討の際に、道路の整備計画を踏まえて判断するとは、どのような内容なのか。
【理事者】
信号機の設置を検討する際に、バイパス道路新設や道路改良等の整備計画がある場合には、将来の交通量や需要等の変化が予想されることから、そのような道路交通環境の変化を踏まえて検討する必要がある。
【委員】
一つ実例を挙げて伺う。
私の地元美浜町の知多広域農道と接続し南知多町を結ぶ一般県道奥田内福寺南知多線という道路があるが、新路線が令和5年3月25日に開通した。開通式には大村秀章知事も来て、両町の多くの県民と開通の喜びを共有した。
しかし、開通以来、美浜揚水機場すいせんロード付近の交差点で車同士、あるいはバイクと車が衝突する交通事故が多発し、事故の発生が止まらない状況である。令和6年2月の南知多町区長代表者会議でも、地域の住民としては、交差点を通行するのに不安や恐怖を感じるという声が多く出されている。また、美浜町でも、多発する交通事故を憂慮する住民の声を受け、本交差点の取組について町議会の一般質問でも取り上げられるなど、その対策が喫緊の課題となっている。
当該交差点の事故の状況として、昨年3月25日開通後、本年2月8日までの間に11件の交通事故が発生しており、交通事故多発交差点となっている。その交差点では、地元県民の生活道路として利用する車や休日のドライブの車、ツーリングバイク、サイクリングの自転車の利用等が増加しており、これから暖かくなる季節を迎えるに当たり、交通量の増加とともに交通事故の急増を危惧している。現在、半田警察署及び知多建設事務所とともに交差点内のカラー舗装や一時停止標識の高輝度化など、道路管理者の立場で様々な交通安全対策に取り組んでいるが、依然として交通事故が多発し続けており、このままでは人命に関わる重大な事故が発生するのではと危惧する声が多く届いている。
また、南知多町及び美浜町の町会議員からも信号機設置の要望が届いている状況で、南知多町及び美浜町の町長も、2月27日に半田警察署長宛てに信号機設置を要望した。
しかしながら、先ほど設置基準で示されたピーク1時間の主要道路の自動車等往復交通量が原則として300台以上であることがクリアできていない状況である。このような状況の中、その交差点に信号機の設置が可能なのか。
【理事者】
通常、信号機の設置については、地域住民の人々や道路利用者等からのニーズも踏まえ、要望箇所について、先ほど説明した信号機設置の指針に挙げられている条件の該当性や合意形成の状況等を踏まえ、個別具体的に判断した上で選定している。現在、知多郡美浜町の信号機設置についても、必要性について、要望等を踏まえつつ個別具体的に判断していく。
【委員】
年末にかけて多くの事故が発生した。私も電話を受け、すぐ現場に駆けつけて、半田警察署署員と事故状況などを確認した。近くの県民からは、死人がでない限りつけられないのかというような厳しい指摘もあり、死亡事故が起こる前に前向きな検討を心からお願いする。
【委員】
本年11月に移転新築予定の岡崎署の管轄エリアである岡崎市、幸田町内の交番駐在所について質問する。
岡崎市の南に位置する幸田町からは、数年前よりJR相見駅前への交番設置要望が出されており、町として移転用地を確保し、北部を管轄している坂崎駐在所を廃止しての格上げ移転を求めている。
12年前のJR相見駅の開業以降、周辺には大規模商業施設や住宅の開発が進み、人口増加が著しく、付近に小中学校や高校もあり、犯罪や交通事故の増加等の懸念から安心・安全を求める声も高まっている。そうした駅周辺の大きな環境変化と地域の要望を踏まえ、駅周辺の犯罪や交通事故の状況などを勘案し、交番設置を進めるべきと考えているが、現在の検討状況を伺う。
【理事者】
交番や駐在所は、管内の人口、面積、治安情勢、地理的条件等に基づき設置を検討することとしており、設置場所の選定に当たっては、隣接交番などの距離や視認性を勘案するとともに地域住民の利便性も考慮している。幸田町については、2014年から2023年の10年間で犯罪や交通事故が大きく減少しており、近年の治安情勢は安定していると考えている。交番の新設要望のあるJR相見駅周辺地域は、現在、岡崎警察署幸田交番と坂崎駐在所が受け持っているが、犯罪や交通事故の発生状況など、県内の交番と比較すると直ちに交番の新設や警察官の増員が必要な状況にはない。
しかしながら、JR相見駅を中心とした地域は今後も開発が進み、人口増加などが予想される地域であることは承知しており、引き続き、地域の治安情勢などの変化を勘案しつつ、警察力の適正な配分を検討する。
【委員】
設置に対する見解は理解したが、市街化が急激に進む中、今後も相見駅周辺をはじめとした幸田町の治安は維持できるのか。
【理事者】
本年11月には、岡崎警察署が現在の位置より南に移転する予定であり、幸田町を含めた岡崎警察署管内の南側の地域については、警察署に配置されたパトカーによる警戒活動や事件、事故への対応がより迅速に行えるようになる。県警察としては、既存の幸田交番、坂崎駐在所、さらには岡崎警察署の移転により、引き続き地域住民の安心・安全を確保し、幸田町の治安の維持に努めていく。
【委員】
署の移転に伴いパトカーによる対応が迅速になることは理解するが、幸田町として坂崎駐在所を廃止した上での設置を要望している。さらなる人口増に伴う警察対応事案の変化を踏まえつつ、前向きな検討をお願いする。
続いて、岡崎市北部は、警察署等の距離が現状より広がることになり、北部に住む方から治安維持を心配する声がある。また、岡崎市は、北部学校給食センターの跡地を北部地域複合施設として、支所、地域交流センター、市民センターという三つの機能を複合した拠点の整備を進めている。岡崎市からの働きかけで、老朽化している現在の岩津交番を複合施設計画地内に移設した上で、交番としての敷地を倍以上に拡大すると聞いている。そうした背景もあって、さらに遠方となる警察署に代わり新交番に期待する声が高まっている。そうした地域住民の声や岡崎市の取組を踏まえ、岡崎署の移転後も市北部の治安維持機能をどのように保っていくのか伺う。
【理事者】
岡崎警察署が現在の位置より南に移転することにより、岡崎市北部の住民から治安維持を懸念する意見が出ていることは承知している。もともと現在の岩津交番は、敷地が狭い上、来客用の駐車スペースがなく老朽化も進行していたので、適地への移転を検討していた。そうしたところ、警察署が遠くなる岡崎市北部の住民のために、視認性及び利便性のよい国道248号沿いの岩津市民センター跡地に岩津交番を移転してはどうかと岡崎市から申出があったので、検討した結果、岩津交番を移転することとした。
現在、岡崎警察署においては、事件、事故の発生状況等に応じてパトカーの一部を岡崎市北部で運用しているが、岩津交番が移転すれば、岡崎市北部にパトカーの立ち寄りや待機が可能な拠点交番となるため、パトカーのより柔軟な運用が可能となることから、岡崎市北部地域の治安維持に寄与できるものと考えている。
【委員】
署のパトカーの北部地域での活動をより強化して治安維持に努めることは理解した。移転に伴う治安以外のネガティブな意見として、特に免許更新で高齢者講習を受講する人々からは、講習後に改めて遠方の警察署に足を運ぶことへの不満の声がある。これは、単に移動距離が伸びる不満に加えて、そもそも高齢者講習を受けた上で、さらに手続をしなければ免許が更新できないことへの不満感の現れと受け止めている。免許更新の予約制やキャッシュレス化、優良運転者講習のウェブ化など、県警察はデジタル力を生かした利便性の向上に取り組んでいる。高齢者講習を正しく修了した者への更新手続の利便性向上についても、次なる課題として、取り組むことを要望する。
次に、先月、私は日比たけまさ委員と京都府警察を訪問し、京都におけるサイバー犯罪の情勢とサイバーセンターをはじめとする取組を調査した。その後、京都府警察の取組内容に対して、県警察としてどのように取り組んでいるかを比較、確認したが、体制、被害防止、人材育成、捜査取締りなど、あらゆる面で強力に取り組んでいることを理解した。
その上で改めて感じたのは、犯罪や事故の未然防止として、多くの県民に県警察として直接リアルタイムの情報提供や意識啓発を図ることが可能なスマートフォンアプリ、アイチポリスの重要性である。
そこで、アイチポリスを令和2年にリニューアルして4年目になるが、現在の普及状況について伺う。
【理事者】
アイチポリスは、2020年10月に主に防犯情報を提供するアプリとしてリニューアルして以降、登録件数は継続して伸び続けており、2024年2月末現在で7万6,591件、前年同期比で2万7,339件、約56パーセントの増加となっている。
アイチポリスは、防犯や交通安全などに有効な機能を有し、県民が活用している。引き続き、多くの人に利用してもらうよう、普及促進を図っていく。
【委員】
登録数が増加し続けていることは理解したが、人口約748万人の1パーセントを超える程度である。私も企業の研修や地元の高齢者集会で県警察から提供されたチラシを配布して、防犯に役立つことをPRしているが、十分普及しているという実感はない。予算を取ってテレビCMを流すわけにはいかないと思うが、小学生でも保護者が携帯電話を持たせる時代である。もうすぐ入学式のシーズンだが、例えば、教育委員会と連携して小学校入学の保護者に、そのような小学生を意識したチラシを配布してPRするだけでも、ダウンロード数は相当増えると思っている。子供から高齢者まで幅広い世代に対して、世代別にふさわしいPR策を考案し、普及を促進すべきと考えるが、県警察としての取組を伺う。
【理事者】
県警察では、現在、アイチポリスの普及を目的に、若い世代向けには、SNSの活用や映画ポスターとタイアップした広報に加え、学校における防犯講話での紹介を行っているほか、高齢者向けには、新聞の折り込みチラシやフリーペーパーへの掲載と、世代に応じた普及活動に取り組んでいる。今後も各自治体の教育委員会や学校、大学への普及促進を呼びかけていくほか、企業や高齢者関連団体等と連携し、各世代に届きやすい媒体を活用しながら、警察活動のあらゆる機会を通じアイチポリスの普及促進に取り組んでいく。
【委員】
様々な工夫をしていることを理解した。ただ、警視庁の防犯アプリ、デジポリスは、昨年3月でダウンロード数65万人を超えている。愛知県の人口は東京都の約半分であるので、同程度の普及を図れば32万人に普及することになる。東京都のようなメディア活用など、警察活動の機会に限定することなく、ユーチューバーや教育委員会など県の他部局を含めた連携を含めて、ぜひ普及促進をお願いしたい。
その上で、アイチポリスはアプリであるので、機能強化を継続して行うことが可能だと思う。サイバー犯罪の高度化など、新しい手口にいち早く対応して、県民の人々に的を射た注意喚起を図ることができるアイチポリスは、私は未然防止の切り札ではないかと考えている。
そこで、今後、どのように機能を拡充していくのか伺う。
【理事者】
現在、アイチポリスには、県警察ホームページや公式SNSの閲覧コーナー等の各種機能があり、防犯情報に加え、採用募集や交通死亡事故抑止等に関する情報を幅広く閲覧することができる。防犯情報の提供等については、犯罪情報や不審者情報等を地図上で確認できる機能や、連続殺傷事件等の緊急事態が発生した場合に即座に通知される機能のほか、痴漢撃退に活用できる防犯ブザー機能もある。さらに、来年度にはAIを活用した自動対話型のソフトウエアであるAIチャットボット機能の追加を予定しており、これにより県民からの各種問合せに効率的に対応するなどして、利便性の向上につなげたい。
今後も防犯意識の醸成を図るため、要望を踏まえながら、県民の安心・安全に向けた機能拡充を検討していく。
【委員】
今後も各種犯罪や交通事故の未然防止の観点で普及促進と機能強化に取り組むことを再度お願いする。
【委員】
警戒の空白を生じさせないための組織運営について伺う。
昨年度、今年度と警察委員を務めたが、昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、視察等の委員会活動が制限されることがあり、2年続けて警察委員を務められたことにより、県警察の組織運営、現場の活動等、知見を深めることができた。
警察組織は、事件、事故捜査、検挙等を行う組織であることは言うまでもなく、組織運営上様々な制約があると認識している。昨年7月3日に警察庁において、警戒の空白を生じさせないための組織運営の指針が策定され、各都道府県警察へ示された。その中で、近年、我が国の社会情勢が大きく変化しているほか、我が国を取り巻く国際的な情勢も目まぐるしく変化している。警察は、これらの変化や国内の治安情勢に与える影響を的確に捉え、安易な前例踏襲や所属部門間の縦割り等を排した上で対処していく必要がある。有限であるリソースの一層の効果的な活用への取組、諸課題解決に的確に対応するためには、現状を俯瞰的に分析し、リソースの再分配を含めた総合的な対策を推進する必要があるとの基本認識の下、重点的に取り組むべき事項を示し、推進体制の構築と取り組むべき事項の具体化を行い、組織内の職員の意見を幅広く把握しつつ、縦割りを排して俯瞰的な立場から検討を行うこととある。
そこで、警戒の空白を生じさせないために、当面取り組むべき組織運営上の重点項目について伺う。
【理事者】
警戒の空白を生じさせないために当面取り組むべき組織運営上の重点事項については、一つ目は、サイバー空間における対処能力の強化、二つ目が、繁華街、歓楽街対策の強化を含む匿名・流動型犯罪グループに対する戦略的な取締りの強化、三つ目が、特殊詐欺に係る広域的な捜査連携の強化、四つ目が、経済安全保障の確保、その他の対日有害活動対策の強化、五つ目が、要人に対する警護等の強化、六つ目が、ローンオフェンダーその他不特定多数の者に危害を加えるおそれのある者に対する対策の強化、七つ目が、自転車その他小型モビリティ対策の強化、この7項目である。
【委員】
次に、各重点項目の取組状況について伺う。
【理事者】
県警察では、近年の我が国における社会情勢の大きな変化や我が国を取り巻く国際情勢の目まぐるしい変化が国内の治安情勢に与える影響を的確に捉えて、対策の遅れや警戒すべき事象の見落としなどによって警戒の空白を生じさせないよう、令和6年度春季組織体制において、各重点項目に対する必要な体制の構築や強化を行う予定である。
一つ目は、サイバー空間における対処能力の強化についてである。サイバー空間をめぐる脅威については、サプライチェーン全体の事業活動や地域の医療体制に影響を及ぼすランサムウェア被害のほか、令和5年中、インターネットバンキングに係る不正送金被害が過去最大を更新するなど、極めて深刻な状況にあることから、これまでのサイバー犯罪捜査体制に加えて、高度な専門的知識や技術を要するサイバー事案に対処するための体制の拡充や、組織全体のサイバー捜査能力を向上させるための体制を構築する。
二つ目の繁華街、歓楽街対策の強化を含む匿名流動型犯罪グループに対する戦略的な取締りの強化については、SNS等を通じた緩やかな結びつきで離合集散を繰り返しながら特殊詐欺等を広域的に敢行する匿名・流動型犯罪グループが、治安対策上の脅威となっていることから、それらに対する実態解明を推進するための体制や取締り体制を強化する。
三つ目の特殊詐欺に係る広域的な捜査連携の強化については、特殊詐欺は、犯罪者グループが複数の都道府県にわたって犯行を重ねているなど、広域性を有しているほか、実行犯の多くが首都圏をはじめとする大都市を活動拠点としているなどの特徴がある。こうした実態を踏まえて、全国警察が一体となって迅速かつ効果的な捜査を推進していく必要があり、特殊詐欺に係る広域的な捜査連携を推進するための体制を構築する。
四つ目の経済安全保障の確保、その他の対日有害活動対策の強化については、我が国を取り巻く国際的な情勢が変化している中、経済安全保障の確保など、対日有害活動への対策を強化するため、情報収集や実態解明を推進するための対策を強化する。
五つ目の要人に対する警護等の強化については、警護に従事する者に対して、職務、経験及び技能に応じた実践的な教養を受けさせるなど、警護等の強化に対する取組を着実に推進して、警衛警護の万全を期すため必要な体制を強化する。
六つ目のローンオフェンダーその他不特定多数の者に危害を加えるおそれのある者に対する対策の強化については、特定のテロ組織などと関わりのない過激化した個人、いわゆるローンオフェンダーその他の不特定多数の者に危害を加えるおそれのある者に対する情報収集活動や実態解明を推進するための体制を強化する。
最後、七つ目の項目である。自転車その他の小型モビリティ対策の強化については、特定小型原動機付自動車等、いわゆる小型モビリティの普及に伴い、その利用方法や公道を走る上でのルールについての周知を促すため、小型モビリティの運転者、販売事業者、シェアリング事業者に対する安全教育及び広報啓発活動を推進するための体制の構築や、自転車、小型モビリティに対する取締りの体制を強化する。
【委員】
今回その取組について質問した意図は、ふだん、行政、警察組織では、こういった取組の際、計画を立てて、その計画に沿ってやっていく形が多いと思う。主体が県警察なので、前例にとらわれず、俯瞰的に見るのは難しいと思うが、時代に即応した形でやっていけると感じて質問した。
この環境の変化に柔軟に対応していくことは非常に難しいと思うが、特に、答弁にもあったようにサイバー犯罪や、犯罪が複雑化、高度化し、新しくなっていく上で、計画を立てて、それに対応しても、どうしても後追いになってしまうと思うので、機能的に取り組んでもらうことが大事だと思う。
今後、財政措置も前例にとらわれず、機能的に変えていけるように、県民の安全・安心に資することであれば、その都度、機能的に求める体制も整えてほしい。犯罪等の捜査、検挙が難しくなる状況において、今後も、俯瞰的に見るのは難しいが、日々新しいことに対応できるようにしてほしいということを要望する。
【委員】
通学路の安全対策について伺う。
一昨年、千葉県八街市で発生した交通事故を受けて、全国で実施した通学路の関係団体における合同点検において抽出された危険箇所について、新聞報道によると、本年度中に対策が終了すると発表されている。
そこで、県警察による対策が必要な1,190か所のうち、昨年度中に何か所で対策を実施して、昨年12月時点で対策が必要な箇所が何か所残るかを伺う。
【理事者】
県内の通学路で、警察による対策が必要な箇所1,190か所のうち、一昨年までに1,126か所は既に対策が講じられており、昨年中に39か所で対策を完了したことから、残りの対策必要箇所は、昨年12月末現在で25か所となっている。
なお、具体的には、歩行者用信号機の設置や信号灯器のLED化などの対策を実施している。
【委員】
では、残りの対策箇所のうち今年度末までに、この25か所の整備が完了するのか。また、万が一残るとすれば、何か所あるのか。
【理事者】
対策が必要な25か所のうち、本年度末までに歩車分離化等により23か所の整備が完了し、本年度末では、残り2か所となる予定である。
【委員】
非常に迅速な対応に感謝する。
非常に厳しい箇所が多数あると聞いていたが、残り2か所までたどり着いたこと、本当に心強く思う。この2か所はいつ完了する予定なのか。
【理事者】
残り2か所は、いずれも歩行者用信号機の設置であり、2024年度中に完了する予定となっている。
【委員】
通学路の安全対策は、保護者にとって重大関心事である。私の事務所には、小学校に入学する児童を抱えた事務員がおり、1年生に上がるに当たって、保護者は神経質になっている。登校時は集団登校でのまちの見守りのサポートがあるが、下校時は当然ばらばらになっている。学童へ行く人もいたり、帰ってきたりと、ばらばらになるわけであり、どうしても細かく目が行かないというのが現状である。
また、2020年、新型コロナウイルス感染症流行以来、まちの見守りが手薄になっている。我々も参加している見守り定期点検が、感染予防という名目の下、必要最小限の人々のみでやる、または中止になるという、本当に残念な状況である。
そうした状況では、土木事務所や学校教員、また、立会いの警察官の積極参加と、そのときの目が非常に大事である。例えば、私の地元だと、名古屋市昭和区御器所に西友があるが、大きな工事をしている。それと同様に、各方面で大規模な工事が実施され、今までの通学路とは違う状況になっている。それは、まちが生きているということである。そうすると、見えていたものが見えなくなることや、一部道路にはみ出して、長い期間、児童がそこを通らざるを得ないなどの実態がある。
我々のような者が全てを把握できていないわけである。ということは、県警察が一緒になって立ち会うことによって、交通情勢を安全対策に適切に反映できる唯一の機関であると私は思うので、今後、安全な通学を図るために、一層の協力をお願いする。
次に、110番の映像通報システムの概要について伺う。
【理事者】
本システムは、国費で全国一律に整備されたもので、2022年10月から半年間の試行期間を経て、2023年4月1日から本運用を開始している。通信指令室が110番通報を受理する際、通報者がスピーカー機能で会話を継続しながら、リアルタイムで現場等の映像や画像を撮影、送信するものである。また、通報者のスマートフォン等に保存されている動画や画像を送信することも可能である。
なお、通報者の安全が確保されていることが大前提であるので、可能な範囲での協力をお願いしている。
【委員】
昨年中の運用実績はどのような状況か。
【理事者】
県警察における昨年中の110番映像通報の受理件数は651件であり、これは全国第4位の受理件数で、全国警察で受理した映像通報の約7パーセントを受理していることとなる。
【委員】
具体的な活用と、その事例はどのようになっているのか。
【理事者】
具体的な活用方法としては、行方不明者の家族等から110番通報があった際、通報者のスマートフォン等に保存されている当該行方不明者の画像を送信してもらい、その画像を現場警察官に配信することにより、行方不明者の迅速な発見につなげるといったものがある。
また、通報者が撮影していた被疑者等の画像を送信してもらう、現場の状況を撮影、送信してもらうことにより、被疑者等の早期確保や現場の状況把握にも活用している。
さらに、現場から車両で逃走した被疑者の使用車両の画像を被害者から送信してもらい、その画像を基に警察官が車両を発見、被疑者を検挙したことや、ひき逃げをした被疑者の画像を被害関係者から送信してもらい、その画像を基に被疑者を割り出し、検挙したこともある。
県警察においては、引き続き本システムを活用して、迅速かつ適切な初動対応に努める。
【委員】
刑法犯の犯罪認知件数が漸減していたのが、昨年、増加に転じたということは、多くの犯罪に県警察が前面になって対応することが求められる。検挙される窃盗犯の多くが、防犯カメラの画像による犯人の特定によって検挙されている。しかし、防犯カメラは、あくまでも事後のデータで、撮影方向などによっては、残念ながらうまく活用できないことがある。今回の画像システムは、初動捜査によって、現場近くで撮影されるのがタイムリーに、画像または動画で配信できるため、早期犯人逮捕の非常に有効な手段であると思う。今回の画像システムを有効に活用し、初動捜査における犯人検挙、早期解決をお願いする。追加するのであれば、現状、警察から送られるショートメールに対して、静止画と動画と交互に送ることができないと思う。目撃者は動画を撮影していても、焦っているので、もう一度通報し直して動画を送ることは難しい。一度の通報で静止画と動画の送信を切り替えられるような仕組みにするとよいと思う。
【委員】
大規模地震発生時における警察活動について伺う。
地震発生は1月1日の16時10分、私は、妻方の親族と一緒に初詣に出かけていた。被災した人々を含め、多くの人は、1年で一番穏やかな時間を過ごしていたのではないか。そのような時間帯での発生にもかかわらず、警察は即座に対応し、現在も継続して対応している。
私は、2月10日から12日にかけ、石川県志賀町や内灘町を中心に炊き出しや倒壊した家屋の撤去作業といったボランティア活動を行った。現地では、各都道府県警察がパトロールや検問、そして安否不明者の捜索と推察される活動に従事している姿を目の当たりにした。もちろん県警察の部隊も見かけた。この場を借りて、懸命な活動に敬意を表する。
今回の能登半島地震では、県警察を含む全国警察の応援部隊が石川県警察に派遣されたものと承知している。このような大規模地震が発生した場合における警察活動について伺う。
【理事者】
大規模災害発生時において被災地の公安委員会は、他の都道府県警察に対して援助の要求を行うことができることとされている。援助の要求を受けた都道府県警察は警察災害派遣隊を派遣し、救出救助、交通整理、検視、パトロールなどの警察活動に当たることとなっている。この警察災害派遣隊は、被災地警察の支援を受けることなく現場活動を行う即応部隊と、被災地警察の機能を補う目的で派遣される一般部隊とが編成されている。即応部隊である広域緊急援助隊は、救出救助、交通整理、検視を、広域警察航空隊は、上空からの情報収集、救出救助を、緊急災害警備隊は捜索や避難所などの警戒の警察活動を行うこととなっている。
一般部隊である特別警備部隊は捜索警戒を、特別交通部隊は交通整理を、特別自動車警ら部隊はパトロールを、特別生活安全部隊は避難所などでの相談対応を、特別機動捜査部隊は事件発生時における初動捜査を、身元確認支援部隊は身元確認に関する資料の収集などの警察活動を行うこととなっている。
【委員】
県警察は、石川県警察と同じ中部管区に位置づけられることもあり、より多くの派遣がなされているのではないかと思う。そこで、能登半島地震に際して県警察から派遣された部隊について伺う。
【理事者】
能登半島地震に際して、県警察では、警察災害派遣隊の即応部隊を直ちに招集し、1月1日午後6時頃に警察ヘリコプター1機5人、同日午後8時30分頃に救出救助に当たる部隊70人余りを派遣し、その後も継続的に交通整理、検視、パトロールなどを行う部隊を派遣している。
部隊派遣に必要な事務は支援対策室で行い、経理部、交通部、生活安全部、地域部、検視部が、即応部隊、一般部隊の派遣に必要な事務を担当し、警察庁及び地方機関である中部管区警察局と派遣事務に関する連絡調整を行っている。
県警察からは、3月8日現在、全国警察からの派遣総数約7万3,700人の約7.5パーセントに当たる延べ5,477人を派遣しており、その内訳は、即応部隊3,615人、一般部隊1,758人、その他防犯カメラ設置チームなど104人である。
今後も部隊派遣が見込まれているので、現在の支援体制を継続し、適切に対応していく。
【委員】
30年以内に70パーセントから80パーセントと推定される南海トラフ地震の発生確率については、検討を行った政府の地震調査研究推進本部が、算出に使った特別な計算式のデメリットを科学的事実に反するおそれと資料に明記しながら、それを伏せたまま公表していたことが先週報道され、大きな話題となっている。しかしながら、本県としてできる限りの備えをしなければならない。このことについては、何ら変わることはないと思う。
そこで、愛知県で大規模地震が発生した場合の県警察の活動について伺う。
【理事者】
県警察では、県内で震度6弱以上の地震を観測した場合、所属からの招集連絡を待つことなく、全署員が自主的に参集することとしているほか、職員の携帯電話に、けがの有無、参集に要する時間などの回答を求めるメールを自動配信するシステムを導入しており、迅速な体制確保に努めている。
体制を確保した上で、まずは人命を第一とした活動を最優先とする方針の下、110番通報、SNSといった情報源から、被害に関する情報を情報集約ツールである災害警備対策システムに集約し、整理、分析を行う。分析の結果、警察署で対応可能であれば警察署で編成された部隊で対応し、応援を要すると判断した場合は、警察本部から機動隊などの部隊を派遣して、救出救助、緊急交通路の確保、避難所対策、検視、被災地域のパトロールなどを行う。
また、防災関係機関が一体となった活動を行うことができるよう、本県警察が把握した被害情報については、県市区町村災害対策本部、自衛隊、消防機関などの関係機関と共有し、対策本部レベル、現場レベルで連携して対応していく。
【委員】
全国の応援部隊が愛知県に派遣された場合の県警察の受入れ態勢について伺う。また、現在、愛知県が豊山町に整備を進めている基幹的広域防災拠点は、全国からの応援人員等を受け入れる後方支援活動を行う拠点としての役割を担っていると理解するが、県警察の活用方針について伺う。
【理事者】
愛知県では、南海トラフ地震における愛知県広域受援計画を策定しており、南海トラフ地震などの大規模震災時における県外からの応援部隊の受援体制を定めている。この計画には、関係機関の応援部隊が当県に向かって移動する際の目標となる施設が指定されており、他の都道府県警察の応援部隊に関しては、名神高速道路の尾張一宮パーキングエリア、中央自動車道の内津峠パーキングエリアなどが指定されている。他の都道府県警察の応援部隊は、愛知県内の地理に関して不案内であるので、本県警察の連絡員が指定施設で出迎え、活動現場まで案内し、活動内容の調整を行うほか、これら応援部隊の宿舎を確保するため、愛知県ホテル旅館生活衛生同業組合の豊田市、美浜町、蒲郡市の各支部と警察の応援部隊の宿泊についての協定を締結し、協力してもらえることとなっている。
また、現在、愛知県が豊山町に整備を進めている基幹的広域防災拠点は、関係機関の応援部隊を支援する機能を有し、中部圏の基幹的な拠点として位置づけられているものと承知している。この拠点の供用開始に当たっては、他の都道府県警察の応援部隊が当県に向かって移動する際の目標施設とするとともに、ベースキャンプとしても活用することで、本県警察の受援体制がより強化されるものと考えている。
【委員】
昨年12月22日に行われた警察委員会の県内調査にて、警察航空隊の活動について説明を受けた。また、今月3日に行った航空自衛隊小牧基地オープンベースで警察航空隊の展示飛行が行われ、私は、低空飛行からのホバリング、そして、警察犬を抱えた警察官が降下し、行方不明者の捜索に当たるという訓練の流れを見た。
さきの本会議での議案質疑では、警察ヘリコプターの平時の活動についての質問もあったが、大規模地震発生時における警察ヘリコプターの役割について伺う。
【理事者】
大規模地震発生時において、警察ヘリコプターは、陸路ではアクセスが困難な孤立地域や離島に対し、上空からヘリコプターテレビシステムを用いた情報収集、救出救助、支援物資の搬送を主な任務としている。県警察では、平素から警察ヘリコプターの運航に関わるパイロット、整備士及び救助要員の操縦、整備、救助に関する能力向上を図っているほか、委員から紹介のあった警察ヘリコプターと警察犬が連携した救助訓練を行うなど、災害発生時に県民の期待に応え、迅速かつ安全に活動できるよう、万全を期している。
【委員】
言うまでもないが、大規模災害は、その時々で状況が異なり、マニュアルどおりにいかないことが多々あると思う。そうした中での臨機応変に活動を展開できるか否か、これは初動活動では大変重要である。そのためにも、より多くの引き出しを持つことが求められる。
そこで、能登半島地震での活動を通じて得た教訓について伺う。
【理事者】
このたびの派遣では、道路の損壊などにより、帯同した車両で必ずしも現場に到着することができない人が、現場で活動する関係機関の足かせとなった。本県警察も例外ではなく、1月1日に本県を出発した即応部隊は、石川県七尾市から先の道路が損壊しているとの情報を受け、同所に車両や大型の装備等を残したまま、持てるだけの資機材や食料、飲料水を携行して、陸上自衛隊のヘリコプターや海上保安庁の巡視船により活動エリアに入り、その後は徒歩での活動となったことから、各部隊員は精いっぱいの対応はしたものの、効率的な救助とはならなかった面もあった。
こうした経験を踏まえ、今後は、携行に適した資機材や部隊員が活動現場で手軽に補給できる携行食を充実させること、道路が損壊するなどしている状況下においても速やかに部隊を展開できるよう、小回りの利く小型車両を帯同すること、断水を想定し、テントつきの災害用簡易トイレ、手洗いなどに活用する雑用水といった、警察職員の健康管理に配慮した物品を整備すること、被災地での活動を終えた警察職員のストレスチェックと、その後のケアを行うことなどの対策を講じていく。
【委員】
今回の対応を通じて、答弁でも様々な教訓が得られたとあったが、ぜひ、こうした情報の共有と、これまでの対応マニュアルについての再点検を、警察及び関係機関内でしっかりと図られたい。また、内容によっては、住民にもぜひ周知してほしい。
約3日前だが、県警察の公式ユーチューブチャンネルに、日本に住むインドネシア人の神父が体験した東日本大震災及び被災地支援についての動画がインドネシア語でアップされていた。外国人向け防災動画シリーズとの説明があったが、とても大切な取組だと思う。引き続き、ぜひ県民向けに様々な情報発信や呼びかけもお願いする。
【委員】
経済安全保障の取組について伺う。
令和4年1月17日招集の第208回国会において、経済安全保障推進法が成立した。これは、宇宙、サイバー、電磁波といった安全保障における新たな領域の誕生等により、安全保障の裾野が経済、技術分野で急速に拡大しつつあること、さらに、諸外国においては、産業基盤強化の支援等の経済安全保障に関連する施策が推進されていることを踏まえての成立と承知している。
このような国の方針を踏まえて、県警察の経済安全保障についてどのような取組をしているのか。
【理事者】
県警察では、これまでも、我が国の産業などにおける技術情報等の流出に係る違法行為に対して、あらゆる法令を駆使して厳正な取締りを行ってきた。こうした技術情報等は、一度流出すると、我が国の国益を大きく損なうおそれがあることから、被害を未然に防止するため、関係機関と緊密に連携しながら企業や大学等に対して、人から人への流出やサイバー攻撃による流出など、技術情報等の具体的な手口についての情報や、その対策について情報提供を行うアウトリーチ活動の取組を強力に推進している。
【委員】
県警察で、これまでに技術情報を窃取した事件検挙があるのか。
【理事者】
最近では、2019年2月に検挙した自動車部品等切削工具などを製造販売する会社における技術流出事件など、2007年以降、4件の事件を検挙している。
【委員】
その4件の事件の内容について、開示できる範囲で伺う。
【理事者】
最近の検挙事件である自動車部品等切削工具などを製造販売する会社における技術流出事件の概要については、同社に勤務していた外国人従業員が、営業秘密である切削工具などに関する設計等のデータを、会社の許可を得ずに自己のものとした事案である。本件データについては、同社の保有する営業秘密の中でも根幹をなす技術に関わるとともに、経済的価値も特に高いものであり、それが競合他社や海外に流出した場合、同社の経営に大きな脅威を与えることはもとより、我が国の国益を損なうおそれがあるものであった。
その他の事件についても、いずれも各企業の営業秘密のデータを会社の許可を得ずに自己のものとするとして検挙した事件である。
【委員】
その4件の中に外国政府が関係した事件はあるのか。
【理事者】
いずれの事件についても、外国政府が直接関与したと認められる証拠を得るには至らなかった。
【委員】
では、最先端技術の流出を防ぐための啓発活動、いわゆるアウトリーチ活動の実績や、アウトリーチ活動により技術情報等の流出の未然防止事例はあるのか。
【理事者】
初めに、アウトリーチ活動の実績については、2023年末までの2年間で、企業や大学等の訪問は延べ約800か所、技術流出防止に係る講演は延べ約220回実施しており、訪問先や講演内容に応じて、サイバー攻撃対策を担当する部署とも連携した活動を行っている。
次に、県警察によるアウトリーチ活動により具体的な技術情報等の流出を未然に防止できた事例については、今のところ把握していない。
全国では、外国政府の職員が、身分や目的を秘して先端技術を保有する企業の社員に繰り返し接近し、関係構築を図ろうとしている動向を確認したことから、当該企業に対して、警察で把握した事実の概要や具体的な対策を教示し、注意喚起を行った結果、技術情報等の流出を未然に阻止した事例があることは承知している。
【委員】
続いて、サイバー攻撃について伺う。
令和5年度防衛白書175ページ、サイバー空間における脅威の動向の欄に次のような事実がある。2021年7月、米国は、同年3月に発覚したマイクロソフト社メールサーバーソフトへの脆弱性を狙ったサイバー攻撃が、中国国家安全部に関連する実施主体によるものであると公表した。我が国を含む、米国の同盟国なども同日一斉に中国を非難とある。また、米国は、ロシアが関与をした事案があることも指摘している。このように、米国は、サイバー攻撃の主体を、具体的に国名を挙げて指摘している。
また、令和5年度防衛白書176ページの北朝鮮に関する記述では、国連安全保障理事会北朝鮮制裁委員会専門家モデル2022最終報告書においては、北朝鮮はサイバー攻撃手法を洗練させており、2022年だけで6億3000万から10億ドル相当以上の暗号資産を窃取したと記述している。
仮に、他国の国家機関、または他国の民間人が、警察も含めて本県行政機関や県内企業、県民を標的にサイバー攻撃を行った場合は、この行為に対して県警察はどのような対応をするのか。
【理事者】
県警察としては、サイバー容疑事案を認知した段階では、その背景などが判明していない場合がほとんどであるが、迅速に証拠の収集、保全を行い、その真相を解明するために捜査を推進する。また、被害を受けた機関や企業と連携して、被害防止拡大に努める。
【委員】
捜査の結果、他国の関与が認められるサイバー攻撃であった場合、どのように対応するのか。
【理事者】
県警察としては、国境を越えて敢行されるサイバー攻撃に適切に対処するため、警察庁サイバー警察局などと密接に連携を図り、サイバー攻撃を受けたコンピューターやサイバー攻撃に使用された不正プログラムを解析し、その解析結果や犯罪捜査の過程で得られた情報等を総合的に分析するものとして、攻撃者や手口に関する実態解明を進め、警察庁や国際刑事警察機構を通じて外国捜査機関等に情報提供するなどしている。
また、これらの情報等は、被害の未然防止や被害の拡大防止に向けたアウトリーチ活動に生かすほか、サイバー攻撃の攻撃者を公表し非難することでサイバー攻撃を抑止する、いわゆるパブリックアトリビューションを行っている。
【委員】
他国の関与が認められるサイバー攻撃に対する県警察としての対応については理解した。
公安調査庁の発行する内外情勢の回顧と展望の令和4年版18ページに、国家が関与、支援するサイバー脅威主体は、国家目標を達成するためにコストを度外視で執拗に攻撃を継続する特徴があり、我が国企業や大学等の保有する機微な技術やデータ等を標的としたサイバー攻撃は、今後も継続すると見られ、我が国においても改めてサイバーセキュリティ意識の向上を図る必要があると記載されている。
国家機関が他国に対してサイバー攻撃を行った場合と、国家機関とは関係のない民間人がサイバー攻撃を行った場合、その行為は、サイバー攻撃としては同じだが、前者の場合は国家侵略であり、治安維持とは別物として対応すべきではないかと考えている。
いわゆる国家侵略とは、国が他国を攻撃することである。国の要素とは、三つの要素とされている。領土領空領海のいわゆる領域があること、主権、もう一つは国民、三つの要素のどれかを攻撃した場合、これは国家侵略であるはずである。民間人がこれを行ったとすると、これは治安維持の問題として警察が対応に当たることになろうかと思う。しかしながら、国家が、訓練された国家機関の組織員を使って、国家予算を費やして、本県内の規模が小さくてサイバー防御の弱い事業所や個人に対して攻撃を仕掛けた場合に、果たしてこれを防御できるのかということは大変心配である。何しろ国家予算、国家目標の達成のためにコストを度外視して攻撃を仕掛けてくるからである。
また、警察の対応は今の説明の中で理解したが、事が終わってから法と証拠に基づいて対応ということで終わってしまう。一方、物理的な攻撃の場合、例えば、ミサイルが飛んできた場合、防衛省がこれに当たる。ミサイルが発射されたとき、瞬時に、そのミサイルはどこから発射されたのか、そしてどのようなミサイルで、我が国に向かっていくのか、おおむね把握できるようなシステムができている。ところが、サイバー攻撃の場合には、民間人が個人として攻撃をしているのか、国家機関としてそれをしているのか、攻撃される前に把握することは極めて困難である。
また、防衛省が防ぐものだと私は考えているが、現状、警察が当たっていると思われて仕方ない。この問題は、国が行うべき問題である。地方から、ぜひこの問題について声を上げられたい。
【委員】
明日の3月16日に、ジブリパークの魔女の谷が完成して全面オープンとなる。2005年、愛知万博跡地、県営愛・地球博記念公園の一角に愛知県が、日本を代表するテーマパーク、ジブリ施設を建設、会場周辺の道路改良、交差点の整備や信号機の増設、開業の施設案内誘導の案内大型表示等を行った。大村秀章知事が、愛知県の魅力ある観光施設を実現するためと、県の重要施設として取り組んで完成させた。
ただ、ジブリパーク施設を利用してもらうためには、大量輸送の名古屋市営地下鉄藤が丘駅と乗換えの磁気浮上式車両、リニモ鉄道で藤が丘駅、愛・地球博記念公園の往復が今後も活用される必要がある。
今、この市営地下鉄藤が丘駅の北改札口の周辺は、名古屋市の隣、瀬戸市、長久手市の住民の人口増によって、朝夕では1か所しかない横断歩道に通勤通学者で大混乱が続いている。もちろん名古屋市民、藤が丘地区の住民から、数年も前から横断歩道に信号機の設置の陳情の声が数多く提出されていた。大村秀章知事は、国、県、市の選挙があるたびに、藤が丘駅の街頭で、名古屋市名東区藤が丘には、ジブリの玄関であることを強調して、この地区の再開発や商店街の振興について美しい言葉を乱発していたが、住民の悲願である横断歩道への信号機の設置を求める声には、一切耳を傾けることもせず、解決に向けた方向に協力する姿勢すらも示していなかった。
私は、昨年、この警察委員会でも、早期に横断歩道に信号機設置を求める発言をした。その結果、ただいま審議されている令和6年度の信号機の設置の計画に組み入れられていることに、住民を代表して深く感謝している。現状では、警察本部交通部も、藤が丘駅北口改札口の横断歩道の設置は必要性が高い場所である旨の判断をし、設置に向けて公安委員会の意思決定の手続や、道路管理者である名古屋市との調整を進めている。もちろん、設置の時期、入札による業者の決定や予算執行を含め、設計図面の作成、信号機の設置については、時間を要することは承知しているが、3月16日、ジブリパーク施設が全て完成して、ジブリパーク全面営業も始まる。ますます藤が丘駅北口改札の付近は、通勤者、通学者、愛知医科大学病院の通院者、愛知学院大学の学生、ここにジブリの来園者の利用者で大混乱が予想されている。とにかく人身事故があってからでは県民から批判される。県警察は、これらにどのように対応するのか。県当局の特別な計らいによって、早期に横断歩道に信号機を完成させてほしい。名東区民、瀬戸市民、長久手市民及び地下鉄利用者は、今か今かと信号機の工事を待っている。
そこで、藤が丘北改札口の信号機の進捗状況と、いつ頃設置されるのか。また、要望として、信号機を早期に設置するよう求める。
【理事者】
信号機の設置については、検討の結果、必要性が高い場所と判断し、設置に向けて公安委員会の意思決定手続や必要な調査、道路管理者等との調整を進めている。
なお、設置時期については、入札による業者の決定や予算執行のほか、設計図面の作成、信号機の設置工事等で相応の時間を要することから、明言することはできない。
【委員】
答弁の内容については理解する。ジブリパークの拠点となっている公共輸送、地下鉄藤が丘駅の横断歩道の信号機がいつ完成するかについては、警察当局、警察委員会及び県本会議の議決がなされてからのことは既に私も承知している。質疑、答弁の内容を深掘りすれば、今回の信号機の予算に、藤が丘駅北口に横断歩道設置信号機を予定していると理解したが、そのように理解してよいか。
【理事者】
繰り返しになるが、藤が丘駅北口の横断歩道設置信号機については、設置に向けて公安委員会の意思決定手続や必要な調査、道路管理者等の調整を進めている。令和6年度に設置予定の信号機については、順次、公安委員会の意思決定手続を進めていく。
【委員】
そもそもジブリパーク来場者の多くが、公共大量輸送の名古屋市営地下鉄を利用することは想定されたはずである。ならば、ジブリパーク建設工事の開始時の、要するに5年前には地下鉄藤が丘駅北口周辺の交通安全対策、すなわち横断歩道信号機の設置は、完了しているべきであった。ましてや、今回の魔女の谷の完成時の3月16日は、藤が丘駅北口の横断歩道の信号機の設置は完了しているべきであった。県の重要な施設ジブリパークを考える上で、入場者が多く利用する大量輸送の地下鉄藤が丘駅に対する県警察当局の混雑を解消するための交通安全の対応が、あまりにも遅過ぎる。この夏休み期間には、全国各地から子供連れでジブリパーク来場者も多くなることを考慮するならば、早期に工事着工することを強く要望する。
次に、高齢者が運転免許を更新する際に受けなければならない認知機能検査について伺う。
先日、私の事務所に来た名東区の住民より陳情があった。名古屋市が実施しているもの忘れ検診を受診し、免許更新の際に受診結果を認知機能検査の代わりとして提出したところ、道路交通法に定められた期間内に受診していないとして更新ができず、別途に新たに認知機能検査を受けて更新したとの声があった。
私が調べたところ、名古屋市のチラシには、一定期間に受診することで認知機能検査が免除されますと記載があった。免除という言葉があると、ほとんどの人は無条件に免除されると認識してしまう人が多いと思う。ここで問題となっている点は、名古屋市の公式文書に、もの忘れ検診を病院の医師によって証明されるが、その書類には運転免許更新の定められた期間の記述がなく運転免許証更新の手続期間内よりも早くもの忘れ検診を受診して証明書を持参しても駄目としている記載項目がないことに原因がある。
また、運転免許の高齢者の更新の案内に、名古屋市のもの忘れ検診証に、病院、医師の証明があっても、受講期間内でなければならないとする記載がない。こうしたトラブル、再発を解決する方法は、お互いが丁寧な説明を表記することが最良の方法であると思う。県当局の改善に向けた対処を伺う。
【理事者】
県警察では、もの忘れ検診の内容を踏まえ、令和4年5月から認知機能検査の結果と同等の評価ができるものとして、もの忘れ検診の受診結果を、認知機能検査を免除するためのその他の書類としている。今後は、免許更新の際にもの忘れ検診を活用する人々に対して、より分かりやすい広報ができるよう、名古屋市とより一層連携を図るほか、県警察から対象者に発送する認知機能検査等の案内文についても、より分かりやすいものとなるよう努める。
【委員】
二点目として、名古屋市のもの忘れ検診は65歳以上の認知症を早期に発見して治療につなげることや予防のきっかけとなっている。私は、もの忘れ検診を65歳以上の人々に広く受診してもらう意味でも、名古屋市に限ることなく、次は中核都市、豊田市、豊橋市、岡崎市、一宮市等にも順次に拡大し、その次には県内の市町村にと願うが、県警察の考えを伺う。
【理事者】
名古屋市が実施しているもの忘れ検診を行っていない他の市町村においても拡大することについては、答弁する立場にはないが、市町村がもの忘れ検診を実施する場合は、その検診内容を踏まえ、認知機能検査等の結果と同等に評価できるものである場合には、認知機能検査を免除するためのその他の書類として取り扱いたい。
【委員】
三点目に、高齢者になった立場で考えると、運転免許の更新時に現場で認知機能検査を受けるのと、事前に名古屋市のようにもの忘れ検診を受けるのは、どちらがよいのかと考えるのが常だと思う。
そこで、認知機能検査ともの忘れ検診にどのような違いがあるのかについて伺う。
【理事者】
違いについて、費用面では、認知機能検査の受検に係る手数料が1,050円であるところ、もの忘れ検診の自己負担額については無料であると承知している。
また、実施場所、受診場所について、認知機能検査は、運転免許試験場、東三河運転免許センター、県内の25の警察署をはじめ37の施設で受検できるところ、もの忘れ検診は、名古屋市内にある579の協力医療機関で、65歳以上の人が年1回無料で受診できる。
したがって、免許更新をする人の利便性等により、認知機能検査かもの忘れ検診かを選択すればよいものと考えている。
【委員】
名古屋市が実施するもの忘れ検診は、公費の全額負担で受診者自身の負担はゼロであるが、県施設で認知機能検査料金は1,050円である。こうした例を県当局があえて広く広報しないことについて、高齢者の一部の中には、県は収入減になるからあえて周知しないのではないかとの声もあるが、県警察の考えを伺う。
【理事者】
県警察から発送する認知機能検査等の案内文には、認知機能検査の受検が免除される事項についての記載はしているが、その例示として、今後、名古屋市のもの忘れ検診を記載するなど、より分かりやすい内容になるものにしたい。
【委員】
交通標識の撤去について伺う。
場所は、名古屋市千種区の竹越地区の交差点、信号機もある場所であり、千種区と名東区の境界線の付近である。当時、昭和50年代は、住民もこの交差点信号機付近に併設された交通標識、名東区側からの進入禁止にさほどの問題もなかったが、千種区、名東区の交通環境もよくなり、今となって、なぜここに名東区側からの進入禁止の標識があるのかとの声も大きくなり、私の事務所に地域の声として見直しを求める陳情が届いた。
場所が千種区内であったので、千種警察署の交通課に対し、現場に出向いて確認を求めるとともに、地区住民の声を聴取して検討するよう求めた。千種警察署の交通担当者も、主要道路からこの交差点に左折も右折もできるのに、名東区からの直進を禁止することには懸念を示した。地域の住民の声を聴取したところ、この場所の交通標識は前からおかしいと思っていたとの声が多く、千種警察署としては、県警察本部交通部にも撤去に向け申し入れるとの回答であった。撤去に向けての方向性が示されたこともあり、速やかに進入禁止の標識看板は撤去されるものと思っていたが、なかなか実行されないので問合せをすると、公安委員会の許可が必要であり、公安委員会は、年に数回の開催のため待つ必要があるとのことであった。
公安委員会は、どれくらいの頻度で開催されるのか、そのうち交通規制の意思決定は年何回か、また、簡単な交通標識や道路標識等の案件は速やかに対処できないのか。
【理事者】
公安委員会は、夏季や年末等を除き、原則として毎週1回開催されており、交通規制の意思決定は、通常、年3回実施されている。
交通規制の手続については、特別な場合を除いて、地元の人々等からの要望を受けた警察署等から警察本部に要望具申を行い、警察本部と警察署が連携して要望箇所の現場調査を実施した上で、交通規制の必要性について総合的に判断している。必要性が認められたものについては、場合により、住民代表者等を通じて地域住民への説明を行った上で、公安委員会において交通規制に関する意思決定がなされる。意思決定後は、標識、標示を設置する。設置工事は、一般競争入札により予算執行及び入札手続を行い、業者による材料の手配、現場の設置作業という流れを経ていることから、要望を受けてから現場に標識、標示が設置されるまで、おおむね半年から1年を要しているのが現状である。道路標識を一つ撤去する場合でも同様の手続を経る必要がある。
【委員】
当警察委員会が開催される前に、道路標識の撤去が完了したことに感謝する。3月10日に現場に出向き、進入禁止の道路標識の撤去と道路上の表面に新たな進行区分の矢印の規制標示も確認した。
そこで、重要な項目でない交通安全の施策でも、県公安委員会の年3回の定期の会議まで待ち、それが承認されてから工事費等の予算を計上する従来の在り方の改善を強く要望する。県公安委員会も、従来の紙媒体の書類による申請、決裁、審議、決定通知の社会のようであるが、日本社会全体がペーパーレス社会に移行して、迅速な審議、決裁の時代であるので、いつまでも警察署等から寄せられた紙媒体書類をもって審議する公安委員会から変革してほしい。県議会ですら改革が進んでいる。県公安委員会も、最重要な検討事案でないものは、リモートの会議でもよいから毎月1回とか、2か月に1回、半年に何回という形で、時代に迅速に対応すべきではないか。
県公安委員会のメンバーは、各界の学者や実業界の人、弁護士、法律等、学識経験者から選ばれた人々が選出され、多忙とは思うが、年3回とはあまりにも時代感覚がないと思う。県公安委員会の在り方の改善も併せて要望する。
次に、中古者販売の大手であった株式会社ビッグモーターが、修理、販売から保険において不法行為が摘発され、大きな問題となり、全国各地でも同様な事件があったとして、警察当局も検挙して送検している。さらに、ビッグモーターの全国の販売店前の街路樹が、不法行為によって意図的に倒木や枯れ死して、店の前が計画的に見通しよくされている。
私の地元の名古屋市名東区極楽地区にあったビッグモーター販売店も閉鎖される旨の貼り紙が店舗に貼られ、住民からいろいろな声が寄せられている。名古屋市当局としても、ビッグモーター側に街路樹の復元をさせている。3月4日には警視庁が器物損壊容疑で前副社長ら店長を含む13人を書類送検した。大阪府をはじめ、各地の警察が販売店前の意図的な街路樹の倒木、枯れ死に対して厳しく法的に対処する旨の報道記事により、県警察も動き、翌日の3月5日に器物損壊の疑いで名古屋中川店、名古屋南店及び西尾店の当時の店長3人を書類送検した旨をマスコミ報道で知った。
地元の名古屋市名東区極楽のビッグモーター販売店は、間もなく閉鎖される。大阪府警や警視庁と違って、県警察はなぜ名古屋名東店の刑事事件を見逃すのか、許すのかといった声が地元名東区民から届いている。県警察はどのように対処するのか。名古屋市、西尾市の5店舗で植樹帯の土壌や街路樹の近辺から除草剤の成分が検出されたとのことだが、詳細も含めて伺う。
【理事者】
ただいまの質問については、個別事件における捜査、証拠の具体的内容に関わる事柄であるため、回答は差し控える。
なお、一般論として言えば、警察としては、個別事件に応じて捜査を尽くし、得られた証拠に基づいて適切に対処するものとしている。
【委員】
県警察は被害届を受理している。名古屋市の発表では、調査の結果、守山区では除草剤の成分は検出されなかった。名東区では除草剤の成分が検出されたと公表している。県警察が被害届を受理しているのに、その事実すら県民を代表する県議会の警察委員会でも平然と捜査上の秘密と答弁するのは、私は理解に苦しむ。名古屋市からの資料で裏づけを取ってマスコミは報道している案件である。名古屋市からの資料を受理し、事実関係の確認を行って書類送検したのか。
【理事者】
繰り返しの答弁で大変恐縮だが、個別事件における捜査や証拠の具体的内容に関わる事柄であるため、答弁は差し控える。
【委員】
県警察は、3店舗についてのみ被害届を受理し捜査しているとのことだが、守山区、名東区の店舗が除かれている理由を伺う。名古屋市の資料では、守山区では除草剤の分析で証明されなかったが、名東区では除草剤の使用が認められている。こういったことも含めて、再度伺う。
【理事者】
個別事件における捜査や証拠の具体的内容に関わる事柄であるため、回答は差し控えるが、その上で言えば、捜査をしているか否かを回答することによっては、捜査への支障、関係者の名誉、プライバシー等の問題が生じる可能性もあることから、この点については従来から回答は差し控えている。
【委員】
これで何度、捜査上の秘密でという答弁をするのか。名古屋市がビッグモーター名古屋名東店の店舗前の街路樹を枯らされたとして、県警察に2年前の2020年9月に被害届を提出し、受理されたと発表している。また、これが既に時効になっていたと公表もされている。なぜ名東店だけが時効となったのかの説明を地元の名東区民が疑問に思っている。全国各地で、県内全域でビッグモーター店舗前の街路樹だけが倒木、枯れている被害が提出されている。なぜ時効になったのか。
【理事者】
個別事件における捜査や証拠の具体的内容に関わる事柄であるため、回答は差し控えるが、一般論として言えば、警察としては、個別事案に応じて捜査を尽くし、得られた証拠に基づいて適切に対処するものとしている。
【委員】
県警察はビッグモーター名古屋名東店の店舗前で街路樹が1本枯れた旨の被害届を2020年9月に受けていたとある。さらに、本件については、既に時効を迎えていたとの内容である。なぜ名東店だけが時効なのか。
【理事者】
時効については、犯罪が完成した時点から進行する。本件は器物損壊であるので、公訴時効については、3年を経過すれば、完成する。
【委員】
地元の名東区民は、どこよりも早くビッグモーター名東店前の街路樹は不自然だと感じて被害届を提出した。捜査上の秘密で答弁ができないと回答しているが、私たちのまちの安心・安全を守る名東警察署が、被害届を含めて、この事件を軽く扱って放置していたのではないかと思っている住民もいる。不信も抱いている。私は、そのようなことは絶対ないと名東警察署を信頼している。県警察本部と名東警察署は、本件の被害届の扱いをどのようにチェックしたのか。
【理事者】
一般論として、警察官は、犯罪があると思慮するときは、犯人及び証拠を捜査するものとされ、その捜査に先立ち、警察本部長、または警察署長に報告し、その指揮を受けなければならないこととされている。
【委員】
なぜ名東店だけは時効になったのか、住民は分からない。私も分からない。その点は、何回も何回も同じ答弁を繰り返したくないから終わるが、ただ言えることは、不信が募るということである。さらにもう一つ言うならば、警視庁のみがビッグモーターの兼重宏一前副社長を書類送検しているわけであるが、なぜ、県警察が前副社長を含めていないのか伺う。
【理事者】
一般論で言えば、捜査は、法と証拠に基づき、事件として送致すべきものは適切に送致することとなっている。
【委員】
その話が分からないような私ではないが、なぜというのがずっと残る。ともすると、警視庁の捜査が上で、県警察の力量が足りないという思いを抱かせてはいけないとの考えがあっての質問である。そのようなことも含めて、考えてもらいたい。これ以上言わないが、住民は、警察に究明を求め、信頼を求めている。そして、事件解明に向かって取り組む姿勢を忘れないでほしい。決して住民を失望させることがあってはならないということを表明する。
【委員】
9月定例議会の常任委員会で、リニアインパクトとまちづくり、警察署の在り方について提案した。今回は、改めてリニア開業に伴うまちづくりにおける新しい警察署の在り方、考え方について伺う。
リニアインパクトという言葉が問われるようになったのは、まだ、ほんの10年前ぐらいからであるが、このリニアインパクトという言葉とともに名古屋駅周辺の開発、スーパーターミナル構想がどんどん進んでいる。先ほども成田修委員の質問の中で、まちは生きているという言葉があったが、まさに生きているまちづくりとともに警察署はどうあるべきかについて質問するが、治安維持とこうしたまちづくりは、両輪で進められるべきである。
県警察としては、名古屋の、愛知の陸の玄関口を守る最前線の警察署として、中村警察署の移転、もしくは建替えについて、どのように考えているのか、改めて伺う。
【理事者】
県警察としては、県内に所在する全45の警察署の老朽化、狭隘化等の問題に対処するため、年1署を目標に計画的に建替えを進めている。そこに、中村警察署を前倒しして建替えることは、他署との関係もあり難しいと考えるが、名古屋駅周辺のまちづくりに関わるので、県警察の計画とは別に、建替えの機運が醸成されれば、その状況を踏まえて考えていく。
【委員】
9月の委員会でも提案の中で伝えたとおり、これまで、警察署の建替えについては、先人が本当に知恵を絞って、秩序と順序とルールをつくったので、そこに横やりを入れるとか、前倒しして地元の中村警察署だけ建替えてくれと言うつもりは毛頭ない。それは繰り返し伝えたいと思う。
時代がまさに大きく変動している中で、生き物であるまちがどんどん変わっていく。その順番で中村警察署の建替えを考えると二十数年後になる。まちがどんどん変わっていく中で、二十数年後であれば、リニアは開業していると思う。そこに対応でき得る警察署であるかどうかを考えると、新しい考え方として、リニアインパクトと県警察の在り方は、非常に重要ではないかと、地元民の1人としても考える。
警察署の在り方として、駅前の場所であるため、今後、もし新しい警察署を建替えるとか移転するという機運が醸成されていくことになれば、様々な効果が得られると、地元民も考えている。犯罪発生の抑止、地域民の体感治安を高め、守る効果、交通事故の抑止啓発につながる効果もあると思う。
そして、何よりも、先ほど答弁にあった県内にある45の警察署の中でも、県警察としての姿勢を内外に示すフラッグシップとしての効果が得られる。ハード面における、狭隘化、老朽化を建替えることによって、その署で働く署員のやる気を上げることにもつながっていく。今思いつくだけでも、五つ大きな効果が得られると思う。
ただ、それには、やはり二つの条件がそろわないといけないと思う。一つは、タイミングである。そして、もう一つは場所である。まさに、チャンスとプレース、時と場所が整うことも必要である。今、機運の醸成という話があった。今日が機運醸成の第一歩と考えて、リニアが開業する頃には、しっかりとした陸の玄関口の守りのとりでとなるように、私も、地域の人々と共にしっかりと声を上げて、尽力していきたい。
最後に、先ほど、日比たけまさ委員が質問の中で能登半島の地震のことに触れていた。私の地元の80代の女性が、1月頃のテレビのニュースを見たようである。そのときに、能登半島で被災した人々へ声をかけている県警察の姿が映ったそうである。その姿を見た80代の女性が、私は、県民であることに誇りを感じる。警察の人々が、石川県で活動しているとは思わなかったと話していた。県民の声として、本部長をはじめ幹部に、この場を借りて伝え、これからも愛知県民のそうした信頼を決して裏切らない、そんな警察行政に努めることを警察署の建替えと併せて要望する。