委員会情報
委員会審査状況
警察委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年10月4日(金) 午後0時58分~
会 場 第3委員会室
出 席 者
村瀬正臣、増田成美 正副委員長
松川浩明、川嶋太郎、寺西むつみ、石塚吾歩路、田中泰彦、
森井元志、小木曽史人、江原史朗、井上しんや、永田敦史 各委員
増井公安委員、警察本部長、総務部長、警務部長、生活安全部長、刑事部長、
交通部長、警備部長、地域部長、財務統括官、組織犯罪対策局長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第128号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第3号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第8款 警察費
第3条(債務負担行為の補正)の内
警察本部庁舎北館設備改修工事
栄幹部交番建築工事
第142号 工事請負契約の締結について(第二交通機動隊庁舎等長寿命化改修工事)
第143号 工事請負契約の締結について(一宮警察署庁舎建築工事)
第144号 工事請負契約の締結について(一宮警察署庁舎電気工事)
第145号 工事請負契約の締結について(一宮警察署庁舎空調・管工事)
第153号 損害賠償の額の決定及び和解について(津島警察署)
第154号 損害賠償の額の決定及び民事調停に代わる決定について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第128号、第142号から第145号まで、第153号及び第154号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 交通指導取締り及び交通安全施設の整備について
2 防犯対策の推進について
3 警察の組織及び運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 増井公安委員あいさつ
3 議案審査(7件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 閉会中継続調査申出案件の決定
7 閉 会
(主な質疑)
《議案質疑》
なし
《一般質問》
【委員】
優秀な人材の確保について、三点伺う。
6月定例議会の本委員会で、県内の交番・駐在所に関する建て替えについて質問した。その際に、県警察の応募者数が年々減少し、10年間で半減していると聞いた。このペースが続くと、10年以内に求人数の定員を割ってしまうことも考えられる。全国的な傾向としても、同様に減少傾向であることは分かった。
一方で、警察官という職種が特に不人気ではないことは、アンケート結果などから分かる。人材派遣会社のアデコ株式会社が今年3月に行った調査によると、小中学生の将来就きたい職業ランキングにおいて、1位がサッカー選手、2位がエンジニア・プログラマー、同率で野球選手、4位ユーチューバー、5位会社員、そして6位が警察官・刑事となっている。なお、小学生の男子に限ってみると、全体4位となっている。純粋に職務への憧れという点では、警察官は大きなアドバンテージを持っていると考えられる。しかしながら、実際の就職活動の場では応募者数が減り続けていることについては、具体的な対策が必要ではないかと考える。
就活生は、特にインターネット情報や先輩訪問などを通じて本音や実際のところを大変気にして重視している。また、やりがいだけではなく、最近はプライベートの充実にも重きが置かれ、給与や休日日数、福利厚生や異動の有無など、実に様々なフィルターや価値判断と照らし合わせて就職活動を行っている。インターネット上では残業代は出るのか、パワハラは大丈夫か、休日は本当に休めるのかなど、先輩訪問で実際のところが聞けるかとなると、聞きづらい部分もあると思う。就活生は気になる情報を、インターネットから得ている部分もあり、それに対する答えが真偽不明ではあるが、少なからず就活生に影響を及ぼしているのではないかと大変危惧している。せっかくなりたい職業上位に位置し、本人が努力すればなれる可能性が高い警察官という職業で、イメージが邪魔をして応募に至らないことがあっては、激化する人材獲得競争において避けなければいけない事態であると思う。
実力組織という性質上、数合わせの採用ではなく正義感や責任感、思いのある人材の確保が何より重要であるという考えの下、優秀な人材の確保について伺う。
三点のうち、一点目が、民間企業も今積極的に採用活動を行い、県警察の倍率も随分下がってきていると聞いている。本県の安心安全を維持するための優秀な人材確保はできているのか。
二点目は、就活生には警察官は厳しい、大変だというイメージがあり、そのことで応募を控える傾向が見受けられる。そのような中で、優秀な人材の確保を行うために具体的にどのような採用募集活動を推進するのか。
三点目は、近年民間企業においては様々な形で働き方改革が行われており、人手不足解消のために熾烈な人材獲得競争が行われている。中途採用なども行われる中で、県警察においても多様な人材が働きやすい職場環境が必要であり、仕事と育児や介護など、家庭生活と両立できる組織としていかなければならないと考える。県警察としてどのような取組を進めているのか。
【理事者】
まず、一点目の優秀な人材の確保ができているかについて回答する。
近年の警察官の採用情勢については、年々減少傾向にあり、5年前の2018年の受験倍率は5.3倍であったが、昨年2023年は4.3倍まで低下しており、極めて厳しい状況にある。そのような状況の中でも、数合わせの採用は行うべきではなく、県民の安心安全を付託された県警察としては、合格者の質を維持し、優秀な人材を十分確保することは極めて重要な課題であると認識している。なお、県警察の採用試験は教養試験や口述試験等により警察官としての資質、適性を判断しており、現時点においては優秀な人材は確保できていると考えている。
続いて、二点目の具体的にどのような採用募集活動を推進しているのかについて回答する。
若年層はネットやSNS等を通じて就職先の情報を得ていることから、県警察では若年層が日常的に使用しているインスタグラムやXなどのSNSを活用し、試験日程やイベント等に関する情報発信を行っているほか、採用後の自分の姿をイメージできるよう、体験型の説明会や警察学校の施設見学会を開催している。このほかにも、企業展や他の官公庁との合同説明会を通じて、民間企業や他の公務員を視野に入れている学生に対しても幅広く警察の魅力ややりがいを発信するなど、人材の確保に向けて様々な取組を行っている。また、就職適齢期世代のみならず、その親に対してもイベントに参加してもらう機会をつくり、警察業務への理解を深める取組を実施している。
最後に、三点目の県警察としてどのような取組を進めているかについてであるが、県警察では育児等を担う職員であっても、その能力を十分に発揮し、やりがいを持って働くことができるよう、育児等と仕事がきちんと両立できるための取組を行っている。この取組においては、育児休業期間においても上司が定期的に面談を行い、育児休業復帰後の働き方について相談を受ける、一定期間職場から離れていたことへの不安を払拭するためのセミナーを開催するなど、育児休業復帰後も速やかに職場環境に順応できるよう努めている。
また、女性が出産や育児等のライフイベントを経てもキャリア形成ができるようにするためには、その配偶者が育児を積極的に担うことが重要であることから、男性職員の育児休業の取得促進にも力を入れており、令和5年度の男性職員の育児休業取得率は85パーセントに達した。こうした取組をはじめ、業務の合理化や各種休暇の取得促進など、働き方改革をさらに進め、働きやすい職場であることをアピールし、優秀な人材の確保に努めたい。
【委員】
優秀な人材が現状確保できていることと様々な取組を聞くことができた。特に警察官は厳しいというイメージがあり、情報番組で警察学校での指導の場面を見て、それが何となくイメージとして定着しているのではないか思うが、二点要望する。
一点目はマスメディアの活用についてである。リクルートワークスの調べによると、来年の大卒求人倍率は1.75倍という予想が出ており、まだまだ民間企業の人手不足は当面続くものと考えられる。今回の春闘で、大手鉄鋼メーカーが組合要求3万円に対して経営者側が3万5,000円の回答を出した。異次元の採用戦線ともいえるような状況であるため、県警察としても、優秀な人材の確保に向けて相当気を引き締めていく必要がある。
この数年、民放のゴールデンタイムで自衛隊の舞台裏を流す番組がある。私も好きでよく見るが、自衛隊も定足数22万人に対して2万人近く不足しており、公安系公務員の合同説明会で一所懸命取り組んでいるという記事もあった。そのような中で、テレビで流れたからすぐに応募者数が増えるわけではないが、少なくともパンフレットで感じ取ることができない雰囲気を、番組を通して見ることができるのではないかと思う。
自ら見たい情報を取りに行くSNSとは違って、一方的に舞台裏を流すマスメディア、民放テレビ局の露出効果は大きいと思う。個人的には大変寂しいが、警察24時がなくなってしまった。警察24時を復活というわけではないが、民放とのタイアップや夕方の情報番組のコーナーなど、ぜひ警察の活動、現場の取組を、SNSのように取りに行くのではなくて発信する工夫を凝らすと、応募を考えていなかった人も警察官が選択肢に入ると思うので、検討してほしい。
もう一点、育児休業取得率の活用についてである。先ほど85パーセントに達したとのことで、なかなか高い数字だと思う。令和2年の数字を見ると1.2パーセントだった。この期間で何十倍にも引き上げたスピード感があり、この期間で天と地ほど異なると思う。85パーセントという数字はもっと活かしていくべき数字だと考えている。県警察ホームページの採用のページの中の、さらにワークライフバランスのページの最下段に85パーセントと大きく書いてあるが、そこではアピール不足だと感じた。この数字は、他の民間企業の中でも相当高い位置であり、SNS等で一番大きく金メダルのように85パーセントといってもいいぐらいの数字である。ぜひこの数字は、SNS等を通じて既に警察官という職種を考えている人にしっかり届くように、打ち出してほしい。
大変だ、厳しいということで、県警察のホームページにたどり着いていない人、警察官が何となく視野に入っている人に向け、それぞれに強みと工夫を凝らして採用活動に臨んでほしい。この数値、スピード感は絶対に武器になると思うので、ぜひ考慮してほしい。
【委員】
愛知県における外国人犯罪の現状、またそれを取り巻く状況について伺う。
少子高齢化の現在の日本において外国人労働者の必要性は非常に高まっている。愛知県のホームページでは、2023年12月末時点での愛知県における外国人住民の全体の数が31万845人となっていた。2023年6月末、半年前と比較しても5,894人の増加であった。内訳はブラジル人が一番多く6万1,566人、次いでベトナム人が5,876人となっていた。工場や福祉など、様々な仕事に伴って外国人労働者数も増加していると思う。また、今後さらなるインバウンドの誘致、またアジア・アジアパラ競技大会で、観光客としても来日者が増えていくことも予想される。
外国人は私たちの産業の支えであり、インバウンドによる収益は、日本、また愛知県において様々な恩恵がある一方で、治安維持の問題は切っても切り離せないと個人的には考えている。宗教や文化の違いからトラブルが起こるという話を聞くことは少なくない。全ての外国人が悪いのではなく、外国人犯罪の現状を正しく把握し、対策を講じていくこと、お互いの文化を理解していくことで多様性あふれる社会が実現するものだと考える。愛知県内における外国人犯罪の現状を把握することは県内の治安維持にとって重要と考えているので、まず現在の愛知県における外国人の検挙件数、実態について伺う。
【理事者】
外国人による犯罪に関しては、犯罪統計上、来日外国人による犯罪として集計している。まず来日外国人の定義について説明する。
来日外国人とは、我が国に存在する外国人のうち永住者等の定着居住者、在日米軍関係者及び在留資格不明者を除いた外国人のことを言う。確定値として示すことができる令和5年中の来日外国人犯罪の検挙状況については、検挙人員が1,112人、検挙件数が1,409件である。令和4年中と比較すると検挙人員は15人の増加、検挙件数は47件の増加となっている。
【委員】
検挙件数、検挙人数の数字が示されたが、その中身についてどのような傾向があるのか具体的な内容についても伺う。
【理事者】
令和5年中の本県における来日外国人犯罪の検挙人員は、刑法犯が629人と全体の約6割を占め、特に窃盗犯が272人、粗暴犯が156人となっている。また、特別法犯については483人で、特に出入国管理及び難民認定法違反が287人、薬物事犯が106人となっている。
【委員】
刑法犯が最も割合としては多く、そのうちの窃盗犯や粗暴犯が多いとのことで、自転車盗や自動車盗、また住居への侵入が大きいものと考えており、それらは全て治安にとって大きな課題となっていると思う。そのような傾向、分析に対して県警察ではどのような対策を講じているのか。
【理事者】
来日外国人犯罪対策としては、犯罪の発生実態に基づいて的確に分析を行い、その結果を踏まえて出入国在留管理局等の関係機関と連携しつつ取締りを推進するとともに、国際犯罪組織等に関する実態解明を推進している。
【委員】
外国人は恩恵がある一方で治安維持の観点からは課題が様々あることを再認識した。
そういった来日外国人と同時に在留外国人、日本、愛知県で生活する外国人も互いの文化、宗教を理解して日本のルールや慣習を守って安全に過ごしてもらう必要があると思っているが、在留外国人に対する日本文化やルール、またその理解の推進に関して県警察としてどのような対策を講じているのか。
【理事者】
県警察では、国籍や民族の違いにかかわらず、本県に在留する外国人が安心して暮らせる安全な地域社会を実現するため、各種警察活動を推進している。具体的には、日本の交通ルール、災害時の避難方法等について外国語で説明した広報資料や動画を外国人向けのフリーペーパー、県警察や領事館等のホームページ、ユーチューブ愛知県警察公式チャンネル等の広報媒体に掲載するなど情報発信に取り組んでいる。
また、技能実習生の受入れ機関や外国人が在籍する学校、自治体等が主催する多文化共生イベントなど、外国人が集まる機会を捉え、侵入盗、車上ねらいなどの最近の犯罪情勢を話題とした防犯講話や多言語の広報チラシの配布等も行っている。さらに、文化や風習の違いなどから外国人と日本人との間で様々なトラブルが発生することもあることから、実情に応じて必要な指導や助言を行うなどして問題の解決にも努めている。こうした警察活動は外国人を孤立させることなく社会を構成する一員として受け入れていく観点からも効果的である。
【委員】
最後に一点要望する。
様々な課題もあるとは思うが、愛知県、ひいては日本の発展のためには、国内外の多様な人々が安心して暮らせる社会の構築が不可欠になってきている。厳しく取り締まる部分は厳しく取り締まっていくことがお互いの安心な生活につながる。昨年の一般質問でも外国人向けの災害時の情報発信について質問したが、災害が身近になっているところからも、実際に被害を受けた人が正しい情報を取って安全に生活していくことで二次災害等が起こらないようにする未然の対策が必要だと思う。日々生活していても外国人は今すごく身近になっており、コンビニエンスストアに行っても日本人のアルバイトよりも外国人が多いことがあるし、夜、街を歩いていると集まっている外国人がいるので、正しくお互いに理解していくこと、外国人の文化を理解することもそうであるが、日本に来た人がきちんと理解し、また雇用する側も正しく外国人への配慮と理解、そしてルールを守ることで愛知県全体の発展にも寄与していくものと思う。
今後も他部局と連携をし、県警察としても推進することを強く要望する。
【委員】
不審者や犯罪情報、交通事故等の情報を登録者にメール配信し、注意喚起などを行うメール配信サービス、パトネットあいちについて伺う。
まず、パトネットあいちの基本的な確認として、パトネットあいちの目的について、そしてパトネットあいちは誰の判断に基づき、どのような情報を配信しているのか、さらにはパトネットあいちの配信件数のうち犯罪発生に関する情報の配信の件数について伺う。
【理事者】
パトネットあいちは、広報活動を効果的に行うためのツールの一つとして運用しており、各種情報を配信することにより警察活動に対する県民の理解を深め、一層の協力を得られるようにするとともに、犯罪抑止や交通安全に対する意識を高めることを目的としている。
次に、配信する情報の種別と基準についてであるが、配信する情報は五つに区分しており、区分等に応じて各所属長の判断に基づいて配信している。具体的に言うと、一つ目は声かけや付きまとい事案などの不審者情報、二つ目は侵入盗や特殊詐欺などの犯罪発生に関する情報、三つ目は交通事故情報、四つ目は突発的な事件、事故等により住民に緊急に注意を呼びかける緊急危険情報、五つ目は警察署からのお知らせとして、犯罪抑止や交通安全意識の醸成に資する情報などを配信している。
配信件数については、令和5年中は6,518件で、そのうち犯罪発生に関する情報は3,980件であった。また、令和6年の配信件数は8月末時点で4,052件、そのうち犯罪発生に関する情報は2,548件となっている。
【委員】
五つの区分とそれぞれの事案について各警察署長や各所属長の判断で配信しているということだと思う。五つの事案のうち、二点目の犯罪情報に特化してさらに伺う。
パトネットあいちの目的の中で犯罪の抑止があった。私もそのとおりだと思っているが、さらに言えば、発生した犯罪情報、事案を迅速かつ正確に県民に知らせることで、まずは注意喚起を図って家族を含めて自ら身を守ること、犯罪に遭わないことにつながると思う。そして、情報を知ることによって多くの目を光らせることによる犯罪の抑止につながると思う。さらには、犯人や不審者の特徴を情報提供することが検挙等につながり、犯罪を見逃さないことにつながるなど大きな意味や効果があると思う。
昨年の愛知県内の刑法犯で認知された件数は4万6,832件である。これは1日平均で130件ほどの犯罪が発生していることになり、どこの自治体でも必ずといっていいほど毎日犯罪が発生している。ただ、犯罪に大きい、小さいがあるわけではないが、よほどの大きな事件、殺人や強盗などでない限り新聞等で報道されることはなく、ほとんどの県民、市民が身近で毎日犯罪が発生している事実、その内容もなかなか知ることができない。極端にいえば自分が住んでいる町内、地域で昨日、今日あった犯罪を知らないという状況が起きている。
先ほどの話にもあったように、犯罪による被害を防ぎ、犯罪を減らすためには、一人一人の意識や心がけが大切である。そのためにも、身近で起きている犯罪情報を知ることはとても有効で重要なことであり、パトネットあいちからの情報発信は犯罪による被害を防ぎ、犯罪を減らすために重要な手段の一つだと思っている。そして、パトネットあいちからの情報発信については、正確な情報はもちろん大前提の上で、より多くの、できれば事件全件の事案をより迅速に、より多くの県民に情報発信、配信すべきだと思う。多くの県民が犯罪情報を知れば、地域のコミュニティー、SNSなどのネットを介して話題に上がって、結果として県民の防犯意識が高まると思うので、パトネットあいちの登録者を増やしていく必要性を感じている。
また、愛知県内の多くの市町村では、独自で不審者情報等住民の安全安心に関するメール配信など情報発信を行っていると思うが、行政からのメール配信は登録している一方、パトネットあいちには登録していない住民も多くいると思う。そうした人にもパトネットあいちからの犯罪情報が届くよう、行政のメール配信に引用や転載して配信してもらうなど協力や連携をすべきだと思う。安城市では安心安全情報メールがあり、現状それにはパトネットあいちからの情報は全て転載して配信している。
ちなみに、パトネットあいちの安城警察署の登録者数は約5,000件である。安城市の安全安心情報メールの登録者数は約1万3,000件であるので、約1万3,000人が増えるとは言わないが、かなりの数が増えていくと思う。私自身も、このパトネットあいちは警察署ごとに登録することになっているが、犯罪は広域にわたるので、安城市はもとより豊田市、岡崎市、刈谷市、西尾市、碧南市と、安城市に隣接する全ての警察署を登録しており、いろいろなメール配信の中で、特に住民に知らせた方が良い情報は個人的な判断によって転載や引用して注意喚起を図っている。
パトネットあいちの登録件数の増加に向けてどのような対策を講じているのか、また、パトネットあいちの効果的な運用に向けて行政機関等とどのような連携を図っているのか。
【理事者】
パトネットあいちの登録件数は、令和6年8月末時点で10万6,414件となっている。登録は県警察ホームページから行えるほか、チラシ等に掲載した二次元コードを読み込むことで行うことができるが、この二次元コードを県警察が配信、配布している各種広報警察チラシに掲載しており、自治体の広報誌などにも掲載するなどして登録件数の増加に努めている。
次に、パトネットあいちの効果的な運用に向けた行政機関等との連携について、パトネットあいちの情報は、約10万件の登録件数を有するスマートフォン用のアプリであるアイチポリスでも閲覧できるようにしているほか、警察本部及び警察署から自治体等に働きかけることにより、県内の約半数の自治体等において運用しているネットワークに情報を転載してもらうとともに、ヤフー株式会社と協定を締結し、ヤフー防災速報アプリにも情報を転載してもらうなど、行政機関等と連携を図っている。
【委員】
10万6,000件強の登録が多いのか少ないのかよく分からないが、愛知県内750万人弱の人口に対して1.5パーセント弱であり、安城市の安心安全情報メールは人口比で言うと7パーセント弱であるため、少ないのかなと思う。
いろいろと努力していると思うが、もう少し増やす知恵や工夫、努力が必要かと思う。メールも一つの手段であるが、最近ではアイチポリスというアプリに同じような情報が転載されてプッシュ機能として届くようになっている。必ずしもメールだけではなく、アイチポリス等も含めて、県民に情報が届くツールを積極的に考えてほしい。
自治体との連携は、約半数とのことであり、その必要性を理解している自治体が半数はいる。もう少し増やすことは難しくないと思うので、ぜひ引用、転載してもらえるように働きかけてほしい。また、行政とは違う部分で言うと各保育園、こども園、幼稚園、小中学校は子供たちの安全や安心に関するメール配信機能やグループなどの情報発信のためのネットワークを持っており、特に保護者には、子供の安全に関わる情報は喜ばれると思うし、結果としてそれが身を守ることになるので、ぜひそういった連携も考えてほしい。こうした取組は、仕組みを作ればよく、コストはそれほどかからない。仕組みを作り、それを利用することによって犯罪や交通安全の啓発を図ることができると考える。
次に、今回の質問の肝である配信内容と回数について伺う。パトネットあいちの配信について、私はより多くの情報、できれば事件があったその都度全件配信することが望ましいと考える。もちろん犯罪の種類や事案によってはその都度配信になじまないもの、できないものがあることは理解しているので、現実的にはその都度全件は難しいのは分かっている。例えば、自転車盗や自動車盗、万引き、車上狙いは、全件よりも連続多発したときに注意喚起を呼びかけるものと思っている。ただ、そうした中でも、県民の命、身体、財産が危険に侵され、迅速に配信することで少しでも身を守り、犯罪の抑止、防止につながるような犯罪や事案、具体的に言えば侵入盗、ひったくり、殺人、強盗については極力その都度迅速に配信するのが理想だと思う。
では、実際の配信回数が現状どうなっているのか、今年の1月から8月までの配信状況を調べた。先ほど今年の犯罪情報の配信件数が2,548件との回答があったが、その内訳を調べると、侵入盗に関する配信が107件、ひったくりが19件、路上強盗が6件、そして一番多いのが、特殊詐欺で、これが1,915件、全体の4分の3である。そのほかは自転車盗、自動車盗、車上狙い、万引きなどがあるが、圧倒的に特殊詐欺が多い。
この配信件数が実際に起きた犯罪とほぼ同数ならよいが、実際に起きた犯罪の認知件数と配信の数を比較してみると、一番多い特殊詐欺の配信は1,915件であるが、認知件数は949件であり配信件数より少ない。これは恐らく犯罪まで至らない前兆があったときに注意喚起しているのだと思う。そして、ひったくりの配信は19件であるが、これは認知件数が29件であり、3分の2が配信されている。路上強盗は6件配信があり、認知件数が20件、3割である。そして、今回一番言いたいのが侵入盗であり、侵入盗は107件の配信であるが、認知件数は1,848件である。1,848件起きていて107件しか配信されておらず、これは6パーセントである。
もちろん特殊詐欺の配信が多いことを私は悪いとは思わない。県警察として力を入れているし、巧妙化しており、多様な手口があるため、そこが多いことに異論はない。一方で特に侵入盗が1,848件起きているのに対して107件、全体の6パーセントしか配信しておらず、県民に知らせていないというのは、少なすぎると思う。もちろん捜査上の支障、秘密保持、被害者のプライバシー、感情、いろいろな理由はあると思う。ただ、特に住宅を対象とした侵入盗は本来安全で安心して暮らすべき空間を他人、犯罪者に侵害されるわけであり、住民からしても怖いし、気持ち悪い犯罪である。ましてや鉢合わせなどすると居直り強盗や事後強盗など、命や身体の危険にも直接つながる犯罪だと思う。
さらに言えば、愛知県内では、昨年刑法犯で認知された件数は4万6,832件、これは全国で4位と聞いているが、犯罪別で見ると窃盗がそのうち3万1,487件で全体の7割を占め、そのうち住宅侵入盗は1,292件、これは全国2位と聞いている。東京都や大阪府より多く、愛知県はとにかく侵入盗が多い。県警察としても当然特殊詐欺と同様に被害防止や検挙の対策強化を図るべき犯罪だと思う。しかしながら、こうした犯罪にもかかわらず、侵入盗もよほどの大きな事件でない限り新聞報道されることなくほとんどの県民、市民が身近で起きている、極端に言えば自分が住んでいる町内、地域の侵入盗を知らないことがある。だからこそ、パトネットあいちによる情報発信は、私はより重要だと思う。
県警察として、空き巣や忍び込みなど侵入盗の発生が多く県民の身近な脅威となっている中、県民が防犯対策する上で発生情報を伝えることが重要となるが、どのように情報発信していくのか伺う。
【理事者】
侵入盗は県民の身近な脅威となっており、特に忍び込みなどは、犯人と鉢合わせになった際、強盗事件に発展する恐れがあるなど、県民の身近で発生する生命、身体、財産に関わる犯罪である。県内の侵入盗の認知件数は減少傾向にあったが、2022年以降は増加に転じており、本年8月末現在では1,848件発生するなど大変憂慮される状況にある。県警察においてはSNS、スマートフォン用アプリ、メールマガジンなどにより県民に防犯情報を提供し、防犯意識の向上を推進している。
その中でも、侵入盗発生時に県民へタイムリーな情報発信を行うことは特に効果があることから、被害者の意向や捜査への支障を考慮しつつ、今後もパトネットあいちをはじめとしたあらゆるツールを効果的に活用して、発生情報のみならず有効な防犯対策などを含め可能な限り多くの情報を県民へ発信するよう努める。
【委員】
少ないのではないかという意見に対して、増やすとまで答弁はなかったが、基本的な情報発信の重要性、必要性を理解してもらい、増やしていく旨の姿勢は感じたため、これからの取組に期待している。
今月になってから安城警察署の侵入盗2件の配信が届いている。県警察本部で特殊詐欺と同じように旗を振れば、必ず情報発信は増えていくと思うので、体制の問題もあると思うが、発信をできる限り増やしてほしいと思う。併せて、これはパトネットあいちとも関連するが、より迅速に、例えば通り魔や無差別殺人、凶悪犯人が凶器を持ったまま逃走しているような、連続して被害が発生し、直ちに県民に注意喚起が必要な事案においても、大切な情報発信だと思うので、有事の際に機能するようにしっかりと取り組んでほしい。
最後になるが、私はメール配信を増やすことが目的ではなく、犯罪及び犯罪による被害を減らし、命、身体、財産を守ることが一番の目的であり、いろいろな防犯対策等も一つだと思うので、効果的な防犯対策を進めてほしいと思う。
【委員】
大麻事犯の現状と大麻関係法令の改正に伴う対応について伺う。
愛知県における薬物事犯検挙人員は、平成8年以降連続で1,000人を超える高水準で推移している。特に覚醒剤事犯の検挙人員が多かったが、近年は減少傾向にある。一方で、大麻事犯検挙人員は年々増加しており、昨年大麻の検挙人員が過去最多の487人に上り、初めて覚醒剤の検挙人員を上回ったと聞いている。
そこで、まずは愛知県における大麻事犯の現状と取締りの状況について伺う。
【理事者】
令和6年8月末現在の大麻事犯の検挙人員は、暫定値ではあるが282人と前年と同様に高水準で推移している。特に、10代、20代の若年層が約8割を占めるなど、若年層への大麻の蔓延が強く懸念される状況にある。
大麻の蔓延の背景には、インターネットやSNSの普及により大麻の入手が容易になっていることが原因の一つとして考えられる。県警察としては、薬物事犯の取締りに関して末端乱用者に対する取締りだけではなく、薬物の供給を遮断することが重要と考えており、密売組織の壊滅に向けた捜査を推進している。特に、大麻事犯については、インターネットやSNSを利用した密売事犯の取締りに力を入れて取り組んでいる。
【委員】
現状のいわゆる大麻事犯の検挙は、大麻の所持、譲受け、譲渡しなどが取締りの対象になっていると理解しているが、昨年12月に大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法、いわゆる麻向法が改正されている。これは、大麻乱用の厳罰化で、大きく三つの内容となっている。
一つが、これは一番大きいと思うが、大麻の使用罪が新設され、罰則が強化されている。例えば、単純所持の罪の法定刑が5年以下の懲役から7年以下の懲役にされた。また、大麻由来成分を含む医薬品の使用禁止規定を削除しており、医療分野でも大麻を活用することが可能となるなどの改正法が本年の12月12日に施行されることになっている。施行日以降に大麻を使用した場合は、この麻向法違反、大麻使用罪になると思う。
この改正法施行によって今後大麻使用罪での摘発事例が多く発生することが予想されるため、捜査体制を強化しておく必要があるのではないか。捜査体制の強化は、例えば摘発に必要な捜査員の数の増強や、摘発するための捜査員の知識の習得も当然必要であると思う。もう一つは、所持や売買のように物理的な証拠が使用罪においては明確でなく、使用後に残る証拠が限られるため、尿検査や血液検査等の科学的検査を活用すると考えるが、そのための検査技術や機器の整備などのシステムの整備が考えられると思う。
そこで、12月12日からの改正法施行を控えて、取締りに必要なリソースや人員の確保について県警察としてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
県警察としては、改正法の施行に向けて迅速かつ適正に取締りが行えるよう捜査員に対する指導、教養、必要な資機材の整備等を着実に進めている。また、必要な人員の確保については、薬物情勢を含む様々な治安情勢等を踏まえながら、適切に対処していく。
【委員】
適切に対処するとのことであるので、犯罪が増えてくるのではないかという構えはしっかりとしてほしいと思う。
そういった中で、大麻事犯は若年層、特に10代、20代の若年層が約8割を占め、若年層への蔓延が懸念されている。愛知県内の年代別大麻取締法違反被疑者検挙人員の令和元年から令和5年の過去5年間の推移を見ると、30代、40代はほぼ横ばい。20代は増加傾向で、これが一番顕著であり、令和元年は122人だったものが昨年、令和5年は283人と2.3倍に増加している。10代も増加傾向で、令和元年には39人だったが令和5年は78人と倍増している状況である。これは、10代で初めて大麻を使用するケースが増加しており、使用した動機も興味本位やその場の雰囲気など、安易に手を出している実態があると思う。誰かが持っていて、一度吸ってみないかといって使用しているケースが非常に多く潜んでいるのではないかと思っている。
大麻は、SNS等でも依存性はほとんどないとか、健康や精神への影響が少ないといった若者の間違った認識が広がっていることや、SNSで手軽に入手できることが背景にあると思う。また、大麻はさらに刺激の強い、毒性の強い薬物に手を出す例が多く、いわゆるゲートウェイドラッグと言われており、まずは増加傾向にある10代、20代の若年層に対して時機を捉えた、県警察としても積極的な警鐘を鳴らすことが大事だと思う。
そこで、改正法施行を控えたこのタイミングで、特に若年層に向けた使用罪創出を含む大麻乱用の厳罰化についての広報、啓発の強化についてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
県警察では、これまでも関係機関と連携して街頭キャンペーンや薬物乱用防止講話を実施するなど、薬物乱用の根絶に向けた広報、啓発活動を推進している。引き続き街頭キャンペーンや薬物乱用防止講話等の機会を通じて、法改正の趣旨について県民に周知を図るとともに、SNS等の若年層の目にとどまりやすい媒体を活用した広報、啓発活動についても推進していきたいと思っている。
【委員】
時機を捉えることは非常に大事だと思っている。施行日である12月12日に近くなってくるとマスコミ等でも取り上げられる可能性はあるが、前もって県警察としても特に若年層に対して、先ほどSNS等いろいろな媒体を使って広報、啓発していくと答弁があったが、しっかりと進めることを強く要望する。
【委員】
警察署の建て替えについて伺う。
まずは愛知県の警察署における経年と狭隘の現状について伺う。
【理事者】
本県では、築30年以上の警察署の割合が約69パーセント、築40年以上の警察署は約56パーセントと老朽化が進んでいる。警察署の狭隘については、警察官の増員などが要因となっており、一例を挙げると、緑警察署の署員数は建築時の約2倍に、守山警察署は建築時の約1.9倍に増加するなど深刻な状況となっている。また、相談室の設置やバリアフリー等の住民サービス、住民へのサービス機能面も不十分な警察署があるほか、災害発生時には警察署は災害警備活動の拠点となることから、経年のみに捉われず施設の現状等を総合的に勘案して建て替え整備を行っている。
【委員】
西警察署の経年と狭隘について伺う。
【理事者】
西警察署は昭和56年12月に建築され、経年は42年で県内45警察署中23番目、建て替え中の警察署を除くと18番目の経年である。狭隘については、建築時には262人であったが、署員数が現在は228人と減少しており、県内45警察署中27番目、建て替え中の警察署を除くと22番目の狭隘となっている。
【委員】
答弁でもあったように、名古屋市緑区は人口が一気に増えたところであり、また、昨年の本委員会で委員が質問した名古屋駅周辺も大きく変わっている。街や地域が変わっていく中で、街の発展や変化に合わせて治安などが変化するのも当然であり、建て替えに際してはいろいろな基準があると思うが、いろいろな要因がある中で、ただ古いから、まだ50年たっていないからということ以外の考え方を、柔軟に検討してほしい。
また、西警察署で言うと、42年と聞いたが、本館と別館で分かれており、別館は55年たっている。さらに名古屋市内の免許の書き換えに関しては、西警察署と港警察署で行っていると思うが、地域の陳情で交通課に行く機会が大変多い。夏は特に大変であり、免許の更新に来る人が狭いところに暑い中で待っており、職員も含めて気の毒だなと思う。構造物の形をいきなり変えることもできないので限界はあると思うが、そういったところも判断材料として含めてほしい。
街の需要が変化するに当たり、県民の需要も変化するので、様々なことを考えながら警察署の建て替えを今後検討してもらうことを要望する。
【委員】
瑞穂警察署の庁舎も古くなってきている状況の中で、都市部の警察署の建て替えの場合、代替地や仮庁舎の場所が見つからないとの課題があると思う。今の瑞穂警察署は、区役所と消防署に近接しており、便利な場所に建っている状況であるが、広さ的には、そのままの状況で運営しながら建て替えることは非常に難しいのではないかと思う。
西警察署も代替地を見つけよう思っても、土地利用が非常に進んでいる中では難しいと思う。都市部、名古屋市内だけではないと思うが、代替地が見つからない中での建て替えについて、何か検討したことがあるのか。
【理事者】
代替地がない場合については、これまでそういったケースがなく、特段検討していないため、今後考えていきたい。
【委員】
今、例えば昭和警察署については、安田通の土地が空き、そこに建て替える話が出ていたと思う。瑞穂警察署について考えると、昭和警察署が建て替えで移ったときに現昭和警察署を壊さず、そこに瑞穂警察署を仮で移し、その後瑞穂警察署を壊して建て替えることができないかと考えた。
良い面としては、昭和警察署は警察署であるため、警察行政に必要なものが全部そろっていることが一つ、もう一つが仮庁舎を改めて建てる必要がないので、その分の費用もかからない。さらに、瑞穂警察署の現庁舎を更地にして建て替えることができるので、建て替えの期間が短く済む。瑞穂と昭和は隣同士で非常に近いため、可能ではないかと想定した。いろいろな知恵があると思うが、検討してもらうよう要望する。