委員会情報
委員会審査状況
経済労働委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年6月27日(火) 午後0時58分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
福田喜夫、杉浦哲也 正副委員長
直江弘文、神野博史、高桑敏直、山本浩史、山下智也、今井隆喜、
かじ山義章、鳴海やすひろ、村嶌嘉将、岡 明彦、阿部武史 各委員
経済産業局長、経済産業推進監、情報通信(ICT)政策推進監、
経済産業局技監、産業部長、中小企業部長、革新事業創造部長、
労働局長、就業推進監、
観光コンベンション局長、観光推進監、
労働委員会事務局長、同次長兼審査調整課長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第 81 号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第5款 経済労働費
第 93 号 事業契約の変更について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第81号及び第93号
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(2件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 一般質問
4 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
なし
《一般質問》
【委員】
私からは、STATION Aiと早期起業家教育、いわゆるアントレプレナーシップ教育について伺う。
まずは、STATION Aiに愛知県産業偉人展示施設を設置すると聞いたが、その目的と内容、あわせて、参加してもらいたいと考えている対象について伺う。
【理事者】
産業偉人展示施設は、愛知県にゆかりのある創業者や経営者の業績やエピソードを紹介する施設であり、その整備の目的は二つある。
一つは、STATION Aiを訪れる方々に愛知県の産業や企業を知ってもらうこと、それから、もう一つは、STATION Aiを利用するスタートアップの方々に勇気や励みを与え、子供たちに将来の起業家としての夢を育んでもらうことである。したがって、来館者として想定しているのは、STATION Aiを利用するスタートアップ、起業を志す中学生、高校生、大学生や親子連れ、外国人など、STATION Aiを訪れる全ての方々と考えている。
このため、展示には日本語だけでなく英語表記を取り入れるほか、展示の構成を四つに分けて、偉人の印象的な言葉により施設の興味を喚起するSTEP0に始まり、愛知の産業史の特色を紹介するSTEP1、偉人の視点や着想を紹介するSTEP2、新たな出会いや交流を創出するSTEP3と順を追って理解していくことで、新たな学びがあり、未来をイメージできるような展示とするよう、現在、実施設計に向けて委託事業者と調整している。
【委員】
これまで、STATION Aiに関して行われていた説明では、この一大拠点に海外、また日本中からスタートアップ人材が集まることを目指しているとあったと思う。その上で、愛知県で生まれて小中高と教育を受けてきた愛知県の若い人たち、若年者から、スタートアップに資する起業家を目指すことにも力を入れるべきだと私は思う。
今の答弁を聴いたところ、将来の起業家としての夢を育むことが展示施設の一つの目的であり、参加してもらいたい対象に、子供、若年者も含まれているということであった。
それで、2019年9月定例会のこの委員会での答弁をひもといてみると、スタートアップ推進課からSTATION Aiに関してこういった答弁があった。
スタートアップの創出には起業家マインドの醸成、アントレプレナーシップ教育などの起業家の養成に向けた人材育成は不可欠である。大学をはじめとする関係機関と連携し、こうした機能も展開できる施設としながら、子供向け施設見学会や起業体験講座の開催などの工夫を今後検討していきたいとあったわけである。
そこで質問する。起業家になりたいと夢を持った若年者を、そのスタートアップ人材としてどう創出、つくり出していくつもりか伺う。
【理事者】
愛知県では、Aichi-Startup戦略の目的に掲げた当地域のスタートアップエコシステムの形成に向けて、スタートアップやそのステークホルダーの創出、誘因に努めている。
そのためには、委員指摘のとおり、当地域で起業家の裾野を拡大し、当地域からスタートアップを創出し続けていくことも重要である。そして、その起業家の底辺を広げる取組として、起業に関心を持つ若年者の創出を図っていくことが不可欠であると考えている。
そこで、産業偉人展示施設の整備もその取組の一つではあるが、そのほかにも、STATION Aiのオープンに先行して、昨年度からAICHI STARTUP SCHOOLと称する小学生向け、中学生向け、高校生向けの起業家精神育成プログラムを開始した。このプログラムは、小中高生に将来の進路の選択肢の一つに起業があることを意識してもらう狙いがある。
具体的なプログラムの内容としては、小学生から高校生まで、レベルの違いはあるが、日常生活の課題を見つけ出し、その課題をチームで解決するワークショップを実施する。日常生活の中にある課題の解決が、ビジネスにつながることに気づいてもらい、起業が決して特別なことではなく、身近なものであることを感じてもらう意図がある。また、その課題をチームで解決していくプロセスの経験を提供している。
【委員】
AICHI STARTUP SCHOOL、小中高向けの起業家精神を育成する事業、いわゆるアントレプレナーシップ教育を実施したという答弁だったと思う。
実は、私も昨年暮れ、名古屋大学で行われたこのAICHI STARTUP SCHOOLのうち、高校生向けの授業を視察させてもらった。今も少し話があったが、そこではグループごとで考案したビジネスプランを、高校生が大変生き生きとプレゼンテーションをしていた。その姿に、彼ら、彼女らの育成というのはいろいろ夢が広がるなと大きな期待を抱くとともに、より実践的な起業家育成プログラムを、こういった方たちに受けさせてあげたいと思った。
そこで質問する。昨年度の事業結果をどう考えているか、また、今年度もこの事業を実施するということだが、昨年度の事業との違いはあるのか。
【理事者】
昨年度のプログラム終了後にアンケートを取り、起業に関心を持ったと回答した学生は小学生では61パーセント、中学生では83パーセント、高校生では88パーセントということで、将来に期待できる結果と考えている。その一方で、低い年齢の学生ではちょっと難しかったという意見もあった。
そこで、今年度はワークショップ開催の前に、オンラインイベントとしてワークショップの説明と起業家による実体験を踏まえた講演を行い、事前準備によりイメージを持ってワークショップに臨めるよう見直しを図る。特に小中学生は、親子で一緒にオンラインイベントに参加してもらうことを想定している。
ワークショップ当日は、子供同士でチームを組んで子供だけで取り組むため、ワークショップに向けた事前準備を親子で行う機会を設けることで家庭で振り返るなど、本プログラムの目指す起業家精神の育成に向けてさらなる効果が生まれると期待している。
【委員】
近年、若年者の起業者というのが注目をされ、特に大学生の起業者というのは殊さら注目をされていたと思う。その一方で、日本でもそうだが、高校生、さらに若い世代が社長さんになる、起業する例も散見されている。今の答弁でも興味を持った人のパーセンテージは明らかに高校生が高く、この高校生が次にどういう形で起業家マインドを醸成していくかは重要だと思う。
それで、本県ではその先駆けと言っていいか分からないが、その取組が教育現場でもある。これは県立犬山南高校とスタートアップ企業が連携している事業であり、飯田教育長が昨年9月の定例会でその取組について以下のように答弁している。
以下、教育長答弁であるが、「今後はSTATION Aiの協力を得てスタートアップ企業との連携を深め、実際に起業した方々から物事に対する考え方や起業に至った経緯、困難をどのように乗り越えてきたかなどについて直接学ぶ機会を設けてまいります。こうした取組を通してスタートアップマインドにあふれ、起業家、すなわちアントレプレナーとして大きく羽ばたく可能性を秘めた若者を社会に送り出してまいります。」、これが教育長答弁であった。
そこで伺う。起業家精神を育てるために、高校、そして、教育委員会の働きかけは考えているのか。
【理事者】
多くの学生にこのようなプログラムにより企業体験をしてもらうためには、高校や教育委員会への協力は不可欠である。両者と連携を図りながら、実施していきたいと考えている。
そこで、現在は、本プログラムを効果的に周知できるよう協力をお願いしている。また、今言われたような県立犬山高校、4月から名称が犬山総合高校と変わっているが、こうした起業家教育に熱心な高校に参加を呼びかけていこうと考えている。
スタートアップ支援に関する取組は経済産業局だけではなし得ない分野が多く存在する。特に教育分野では、高校、教育委員会との連携は欠かせない。経済産業局としても、今後引き続き、高校、教育委員会との連携関係の構築に努め、起業に関心を持つ若年者の創出につながる施策を展開していきたいと考えている。
【委員】
世界に冠たるスタートアップ拠点をつくって、スタートアップ人材を次々と生み出していくことを目指す本県にとって、今話もあったが、庁内の縦割りの壁を取り払いながらフレキシブルに早期起業家教育を行ってもらいたい。
いずれにしても、経済産業局と教育委員会は、今の話でいけば同じ方向に向かっているように思うので、今後、綿密に連携してもらいたい。
違うデータを少し案内してしっかりやってもらいたいと思うが、政府系金融機関の日本政策金融公庫が、2013年度から高校生ビジネスグランプリというのを開催している。御承知の方もたくさんいると思うが、目的は将来を担う若者の創業マインド、起業マインドを向上させることである。
その2022年度の都道府県別の出場校率、高校がある中でどれぐらいがそこに参加しているかという率である、率数を調べてみると、実は愛知県は全国で39位である。全国平均を相当数下回っているのがこのデータからは言え、このような実情を見ると、若年者に向けての教育のありよう、または啓蒙、啓発のありようが極めて重要になってくるのではないか。STATION Aiの完成とともに、早期起業家教育の重要性が増していかないと、本県から様々な人材を生み出していくことは難しくなると思う。
翻ってSTATION Aiには、近隣の大学、例えば名古屋大学とか名古屋工業大学から学生が集って、スタートアップに挑戦していくことも想定されていると聞いている。つまり、STATION Aiが完成した後は、若いスタートアップに関するロールモデルが、STATION Ai内に常にいるということになる。
昨年、今答弁のあった、小中高向けの起業家精神を育成する事業、これの実施者であった、実施主体というか、そこを担当していた起業家教育専門家である平井由紀子さんに話を伺い、様々な意見を伺った。彼女は「起業家教育の研究者、実践者として一番大切だと思うことは、継続的、段階的な起業家教育であり、STATION Ai内で起業家教育プログラムを実施して、若いスタートアップ人材が生まれることに期待したいと思う。また、STATION Aiに集う高校生は、大学生起業家という年齢の近いロールモデルと、世界や、日本のスタートアップ人材に直接出会うことができるので、彼ら、彼女らがどうインスパイアするか、大変楽しみだ。」と言っていた。
そこで伺う。産業偉人展示施設に合わせて、STATION Ai内に高校生が集うことができるラボや、起業家精神を育成する高校生向けのプログラムをつくるなどの考えがないのか。
【理事者】
ただいま委員からの、継続的、段階的な起業家教育といった話があったが、産業偉人展示施設の考えやAICHI STARTUP SCHOOLにより、起業に関心を持った若年者の次のステップとなる学生たちの挑戦を後押しするプログラム、STATION Ai Program for Students、頭文字を取ってSTAPSと言っているが、それを今年度から開始した。大学生の参加が中心になるが、意欲の高い高校生にも積極的な参加を促していきたいと考えている。
また、このプログラム終了後、具体的にビジネスアイデアを持って起業を志す人には、新規ビジネス創出のためのプログラム、Aichi Startup Campがあり、このキャンプの卒業生が起業家となってSTATION Aiメンバーとなることを想定している。
こうした起業家の裾野拡大から起業家創出につながる継続的、段階的な支援体制を、STATION Aiを中核として構築している。ついては、これらの一連のプログラムを実施していくに当たり、意欲の高い若年者をぜひSTATION Aiに集積していきたいと考えている。
【委員】
最後に、今の話も含めて要望したい。
質問の中で紹介した平井社長から、近年、全国各地で既に始まっているアントレプレナーシップ教育、早期起業家教育について幾つか事例を紹介してもらった。調べれば調べるほど、各地域とも必死でやっているなという気がする。
仙台市では、小中高大学、社会、社会人まで、継続的な学びを進めている。これは名古屋市だが、名古屋市では小学生から大学生まで切れ目のない起業家の育成支援を掲げて、2021年度から高校生に疑似的に会社を経営するプログラムを開催していて、その参加者の中からはスタートアップを立ち上げた生徒もいると聞いている。那覇市では、公教育での起業家教育モデル定着を目指して長期サポートを、この平井さんの会社と連携してやっている。東京都では、高校生を対象に、1年と聞いたが、1年以上にわたる長期の起業家養成講座を21年度から始めている。いろいろな地域が次の人材をどうつくるか、次の企業をどう生み出すかで、本当、一生懸命やっているなと調べながら感じた。
今回の質問で言ったように、24年度の開業を目指してSTATION Aiという一大拠点の整備が、ハード、そして、ソフト両面で進んでいくが、その流れの中にあって、早期起業家教育についても、これまで以上に力を入れてもらいたい。
本当にこの地域から若年者が次々とスタートアップ人材になることを私も夢見ながら、要望したい。
【委員】
それでは、私からは、質問というか、確認も込めて質問を1点する。
今年度、県が制定を目指している商業者等による地域貢献活動を推進する条例で、議案質疑でも昨年度、質問した内容だが、条例制定に向けて第1回目の愛知県の商業・地域貢献活動懇話会が先日開催されたと聞いているが、その懇話会ではどのような議論がされたのか伺う。
【理事者】
6月2日に、有識者、商業団体、行政関係者等、11人の委員で構成される第1回愛知県商業・地域貢献活動懇話会を開催した。
懇話会ではテーマを三つに分けて、一つ目として、大規模小売店舗による地域貢献活動の活性化や認知度向上、二つ目として、商店街等による持続可能な地域貢献活動の促進、三つ目として、県と市町村が果たすべき役割についてそれぞれ委員から意見をもらった。
主なものとしては、「各商業者が本業との関わりの中で、地域貢献活動につなげていけるような目指すべきイメージを描くことが必要」、「子育てや高齢者支援など、地域住民が求める地域貢献活動をしっかりと捉えることが重要」、「大型店を含めた商業者や商店街だけでなく、福祉や教育等の横断的な関係者も含めて活動できるプラットフォームや枠組みをつくり、地域との関わりを生み出すことが重要」などの意見をもらった。
これらの意見を参考に、条例の制定に向け引き続き取り組んでいくとともに、条例制定後の取組についても検討していく。
【委員】
先日の議案質疑でも聞いたかもしれないが、この条例制定に向けて私は非常に前向きに捉えていて、決して規制する条例ではなく、前向きに地域をしっかりと活性化していくための条例づくりだということで、大変期待している。
先ほど第1回目の懇話会の内容、答弁があったが、しっかりと具体的に、この条例をつくることによって何が変わっていくのかを明文化していくことが重要だと思う。
そこで2点目だが、商業者等による地域貢献活動を推進する条例について、どのような条例制定を目指していくのかを伺うが、これまで2008年から愛知県ではガイドラインという形で、任意ではあるが、これと似たことを商業者等に、これは売場面積が3,000平方メートル以上の店舗に当たってはそういったことを強くガイドラインの中で示して、出店概要書や地域貢献計画書や実施状況の報告書等を提出していたと思うが、これまでのこのガイドラインと今度の条例がどのように変化していくのか、また、どのような条例制定を最終的に目指していくのかをもう少し掘り下げて聞いていきたい。
【理事者】
商店街では、商業機能だけではなく、地域コミュニティの維持や活性化に貢献する役割も担っており、高齢者や子育て世代への支援や防犯・防災活動、地域文化の保存・承継などの地域貢献活動を継続して行っている。
このような地域貢献活動は商店の経営にとって無関係ではなく、地域住民とのつながりが深まることで商店街の集客力や販売力を高めることができるなど、商店街の活性化にもプラスの効果をもたらすものである。
また、委員指摘のとおり、大規模小売店舗による地域貢献活動の取組については、商業・まちづくりガイドラインにおいて、店舗面積が3,000平方メートル以上の新設店舗の設置者には地域貢献計画書の提出をお願いしているが、地域貢献活動は個々ばらばらに行われるより、商店街はもとより、地域社会を構成する多様な主体が一体となって取り組むことが理想であり、特に大規模小売店が商店街と共存共栄し、連携して取り組むことが重要と考えている。
そのためには、大規模小売店と商店街などの商業者間のコミュニケーションが必要不可欠で、行政にはその環境整備やコーディネートの役割が求められいる。特に基礎自治体である市町村には、総合的なまちづくりの一環としてその役割を担ってもらいたい。
今回の条例には、大規模小売店を含む商業者の役割や、市町村の商業者間を調整する取組を促し、県として支援していく趣旨を盛り込みたい。
【委員】
条例制定を目指していく形という答弁であった。これまでのガイドラインでも、地域貢献計画書などで様々な取組をしていた大規模小売店舗はたくさんあったが、実は一方で、これはあくまでも任意であるが、その内容というのは本当にかなり温度差があったように感じている。
初めから言うように、この条例制定においてしっかりと底上げしていくことが求められているが、その間を取るのが行政の役割ではないかと思っている次第であり、何か規制をかけるよりも、むしろよくやってもらっているところには何かインセンティブのようなものをつくってもらったらどうなのかと思う。
例えば料理店だったら三つ星レストランとか、この大規模小売店舗は地域貢献をよくやっているというようなインセンティブがあると、積極的にもっと貢献してもらえると思っている次第であるので、これからそういう話も含めていろいろ協議をしていくと思うが、愛知県がこの条例制定をつくる以上は、しっかりと実のある条例に磨き上げてもらいたいと思う。
最後に、条例制定に向けて今後どのようなスケジュールで進めていくのか伺いたい。
【理事者】
今後のスケジュールだが、県政世論調査や地域の産業労働に関わる機関、団体等の会議を利用して地域貢献活動に関する意見をもらい、10月には第2回の懇話会を開催し、条例の骨格を検討していく。その後、パブリックコメントを実施し、12月には第3回の懇話会を開催し、最終的な条例の案を固めていきたいと考えている。
来年4月の条例施行を目指して、2月議会での審議を予定しているので、よろしくお願いする。
【委員】
私のほうからは、今現在、いろいろと経営指導する中で、我々が、一番大きな関心事というのは、まず1点は、ゼロゼロ融資がコロナの拡大によって返済できるかどうか、業績が思うように回復できない企業もあるので、そういうものに対してどういうような形で融資を、つなぎをしていくのかという問題である。もう一つは、人手不足が本当に深刻で、これは全産業に関することだと思っている。
そこで、まず1点目、ゼロゼロ融資の返済に不安を抱える中小企業の資金繰り支援について伺う。
新型コロナウイルス感染症の拡大によって影響を受けた事業者に対する資金繰り対策として、2020年の3月に政府系の金融機関、また、この年の5月から民間の金融機関においても取扱いが始まったこの実質的に無利子、無担保融資、いわゆるゼロゼロ融資は据置期間の終了、これは3年であるので、終了に伴って今年度から返済が本格化していると聞いている。
しかしながら、先ほど私が言ったように、私の地元の事業者からは、コロナによる影響の長期化に加えて、原油、原材料価格や物価の高騰、さらには深刻な人手不足によって思うように業績が回復できずに、ゼロゼロ融資の返済や今後の資金繰りに関して不安や懸念の声が多く聞こえている。
そこで、ゼロゼロ融資の返済に不安を抱える中小企業者の資金繰りについてどのように支援していくのかを、まず伺う。
【理事者】
本県では、コロナの影響を受けた中小企業者に対する資金繰り対策の一つとして、2020年5月から2021年3月末まで、全国統一制度である新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資を実施し、約8万7,000件、1兆4,700億円に上る多くの利用があり、本年5月末時点の残高は約7万4,000件、1兆円となっている。
制度上の据置期間は5年以内となっているが、実態としては、利用者の5割強が据置期間2年以内ということで既に返済が始まっている。そして、約4割が据置期間3年以内で今年度中に返済が本格化するという状況になっている。
ゼロゼロ融資の取扱い終了に当たり、コロナ後の資金ニーズを経営の改善、抜本的な事業再生、再チャレンジの三つにあると想定し、それぞれの資金ニーズに対応したサポート資金(経営改善等支援)、再生・事業承継支援資金(再生)の感染症対応型、そして、創業等支援資金(再挑戦)を2021年4月に創設、拡充した。
また、ゼロゼロ融資の返済に不安を抱える小規模事業者の声を受けて、2022年10月に県独自のサポート資金、新型コロナ借換を創設、さらに、既存のサポート資金(経営改善等支援)の融資限度額を1億円に引き上げるとともに、本年1月に売上高の減少要件を15パーセント以上から5パーセント以上に緩和し、利益率の減少を対象要件に追加、借換えの特例を設けるなどの見直しを行った。サポート資金(経営改善等支援)は本年4月以降、サポート資金(伴走支援)として実施している。
これらゼロゼロ融資の借換えに対応する二つの制度は、いずれも据置期間5年以内で、特に新型コロナ借換は最長15年の融資期間に対応しており、借換えにより月々の返済負担が軽減されるほか、据置期間の再設定により経営の改善や今後の事業の方向性を検討する時間的余裕が生ずるといったメリットも見込まれる。
ちなみにゼロゼロ融資を限度額である6,000万円、期間10年、据置期間3年で利用している事業者が、新型コロナ借換の期間15年、据置期間5年で借り換えた場合の月々の返済額を試算すると、ゼロゼロ融資を借り続けた場合の平均の約75万円が約54万円に減少し、月々約20万円の余裕が生まれることになる。
なお、これら制度の融資実績は、2022年度が合わせて6,419件、約1,232億円、制度融資全体に占める構成比は46パーセント、2023年度が5月末時点で1,665件、約342億円、構成比69パーセントとなっている。
このほか、制度融資の取扱い機関及び県信用保証協会に対しては、これらの制度の周知とともに、夏季や年末、年度末といった資金需要に合わせて各事業者の実情に応じ、借換えや条件変更等の相談に柔軟かつ積極的に対応してもらうよう定期的に要請を行っている。
本県としては、引き続き経済環境の動きに注視しつつ、こうした取組を通じて、ゼロゼロ融資の返済に不安を抱える中小企業者の資金繰りをしっかりと支援していく。
【委員】
その趣旨に応じて借換えをという形で、サポート資金(新型コロナ借換)は、先ほどの説明では2022年の10月から行ったという形であるが、それ以前のもう一つのサポート資金(伴走支援)との違いで、売上高等減少要件や保証料率等について内容に違いがあるのはなぜか。
【理事者】
先ほど伝えた2022年10月から始めた県独自の新型コロナ借換については、県の制度融資は県の信用保証協会の保証制度を使っており、新型コロナ借換については、使う保証制度がセーフティネットの4号あるいは5号となっており、セーフティネット4号だと売上高20パーセント以上、セーフティネット5号だと売上高5パーセント以上という形になっている。
もう一つ、2021年4月からスタートしたサポート資金の経営改善等支援については、国の伴走支援型特別保証制度という制度を使っており、こちらの要件がもともと売上高15パーセント以上だったものが、今年の1月から売上高が5パーセント以上ということで緩和されているので、それに沿った内容に制度を改めている。
【委員】
次に、中高年齢者の活躍促進について伺う。
ここ3年余り猛威を振るってきた新型コロナウイルス感染症も、先月の8日から感染症法上、2類から5類に移行して、アフターコロナへと転換する中で社会経済活動もますますというか、次第に活発化しきた。
こうした中で、全産業にわたって人材確保が大きな課題となっており、特に建設業や飲食業では深刻な人手不足に陥っている。一般に人材確保の対象として、若者や女性、また、外国人労働者が挙げられるが、ここでは中高年齢者に焦点を合わせて考えてみる。
人生100年時代と言われる昨今、会社をリタイアしてもまだまだ元気で、働く意欲も高い方が大変多く見受けられる。実際に、本県における65歳以上の人口割合は、2022年10月1日現在で25.6パーセントとなっており、4分の1が高齢者である。さらに、令和3年度における有効求職者に占める45歳以上の割合は52.9パーセント、そのうち32パーセントは55歳以上が占めている。こうした、仕事を探している中高年齢の方は働く意欲が高く、活躍できる方が多いものと推定される。
若者だけではなくて、中高年齢者の方々が産業の担い手としてその経験を生かして、即戦力として活躍できるよう取り組むことが、特に人手不足に悩む中小企業の人材確保への対応策としては必要であると考えている。
そこで、中高年齢者が働きがい、生きがいを持って活躍できるよう、県はどのような取組を行っているのか実績を含めて伺う。
【理事者】
人手不足対策における中高年齢者の活躍促進に対する取組と、その実績について答弁する。
少子高齢化により人口が減少する中で、産業を問わず人手不足は喫緊の課題となっており、健康で働く意欲のある中高年齢者がその能力を十分に発揮し、働きがいを持って活躍してもらうことは、人手不足対策に大変意義があることと考えている。
そのため、県では、45歳以上の中高年齢者の就職を支援するため、就職活動に有効なノウハウを身につけてもらうための、中高年齢者再就職支援セミナーを10回開催している。昨年度の実績は144人の方が受講し、セミナーから2か月後に行った調査では、26人の方の就職が決まっている。
また、55歳以上の高年齢者の就職活動を支援するため、豊橋市、豊田市、小牧市と連携し、企業から直接求人内容の説明を受ける高年齢者就職相談・面接会を6回実施している。昨年度は61企業、160人の方に参加してもらい、参加者には希望に応じてハローワークを通した求人紹介を行い、1か月後の調査では5人の方が就職されている。
一方、企業に対してであるが、高年齢者の採用に目を向けてもらうため、意欲と能力に応じて年齢に関わりなく働き続けられる環境整備などについて理解を深めることを目的とした、高年齢者雇用推進セミナーを毎年10月の高年齢者雇用支援月間に開催し、昨年度は186人の方に参加してもらった。
このほか、ハローワークでは、60歳以上の方を対象に専門の窓口を設け、マッチング等の支援を行っているほか、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構においては、企業に対して高年齢者の雇用に関する相談、助言を行っており、県においても、セミナー等の機会を通じて、こうした機関の活用についての周知、啓発を行っている。
【委員】
こうした方々のさらなる活躍を推進するために、今後どのような形で取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
今年度は、45歳以上を対象とする中高年齢者再就職支援セミナーをより多くの方に受講してもらえるよう、これまでの名古屋市、豊橋市、豊田市、小牧市の4地域から、刈谷市、一宮市を加えた6地域に拡大して開催する。
また、55歳以上を対象とする高年齢者就職相談・面接会の開催に当たり、開催市の広報誌によるPRやハローワークで周知による広報を行っていたが、これらに加え民間求人誌にて周知も行うなど、積極的に参加を働きかけていく。
さらに、就職相談・面接会への参加企業の選定に際しては、ハローワークから高年齢者に人気の高い業務内容や勤務形態等のアドバイスをもらうなど、国の機関との連携を強化し、効果的に事業を進めていく。
今後とも、健康で働く意欲の高い65歳以上の高齢者も含め、中高年齢者が地域の担い手として活躍してもらえるよう、中小企業等への就労支援にしっかり取り組んでいく。
【委員】
要望だが、今、運輸業界では2024年問題が大きくクローズアップされているが、人手不足は全産業を通じて今後ますます深刻になっていくことが予想されている。こうした中で、経験豊かで即戦力として活躍できる中高年齢者の労働力は、これまで以上に重要になってくると思っている。
県当局としても、この中高年齢者の活躍促進において、さらなる支援をお願いしたいと思う。
【委員】
よく言われているが、ここ30年間、日本は成長しない、給料が上がらないままずっと来て、競争力が国際的に見ても極めて低くなっている。そして、貿易は赤字になっている。コロナやウクライナの戦争の件もあるが、国際的に見て競争力が低い貧しい国になりつつある。日本は、今アルゼンチン化していると言われている。
なぜかというと、アルゼンチンというのは、戦前、戦中、戦後によって農業大国、畜産大国、隣のブラジルもそうだが、成功事例が大き過ぎて工業化に遅れたから、今は大変厳しい経済情勢になっている。デフォルトが起こったということもあったが、それに日本はなりつつあるということをよく言われている。
なぜかというと、デジタル化に大変日本は遅れているからだと思う。国はデジタル庁をつくって、これからは全てのものがデジタルにつながっていく、インターネットにつながってIoTの時代だと、国を挙げてこれに今取り組んでいるが、その中で最も大事なことは、私はリスキリング、学び直しだと思っている。
先ほど委員が、今は人手不足で大変だと言ったが、あと10年もすると、世の中が一変すると思う。デジタル化が進んでいくと、現場は人手不足も相まって、どんどんロボット化する。そして、関連事業と言われる事務は、営業も含めて7割ぐらいのウエイトがあるがアナログが多いので、これもRPAや事務ロボットなど、そこにAIが加わって、飛躍的にデジタル化が進んでいく。極端に言うと、10人でやっていたことが3人ぐらいで済んでしまう。そうすると、7人分の人件費が浮き、現在いる社員の給料を上げていけることになると思うが、今は余剰人員を抱え過ぎているから1人当たりの生産性が悪い。そして、給料も上がらない、こういう悪循環につながっていると言われている。国は、去年と今年、700億円ほど予算をかけてリスキリング事業をやっているが、なかなかこれが普及していかないと言われている。
厚生労働省は、人材開発支援助成金と銘打って、DX時代の必須情報を全ての従業員にと、業種、業界ごとにカスタマイズされた研修をリモートでやる、全部リモートで。1人当たり3日間ぐらいで24万円ぐらいかかるが、県ではほとんど負担がかからない。国はここまで力を入れている。
我がモノづくりの愛知県としては、これをどう捉えて、これは国がやることだから県は関係ないというのか、これに乗ってIoTや、人材の発掘をやっていくという気構えがあるのか、まず労働局にお聞きする。
【理事者】
ただいま委員より、厚生労働省がリスキリングを推進しており、その中で人材開発支援助成金を取り上げて、県としてそのリスキリングについてどう考え、またどうしていくのかという質問であった。
デジタル技術の進歩に伴い、ビジネスモデルやサービス、製品の在り方が大きな変化を遂げており、多くの仕事が自動化される一方で新たな仕事も生み出されると言われている。こうした大きな変化に対応するため、労働者がデジタル技術をはじめとした知識、技能を高めていくためのリスキリングを促進してくことが、大変重要であると認識している。
このため、本県では、高等技術専門校で土日を中心として実施している、在職者を対象としたスキルアップ訓練について、2018年度、訓練定員630人であったものを1,600人定員まで拡充するとともに、そのうち過半数を、「初めて学ぶAI」などデジタル関係の講座として実施している。
加えて昨年度からであるが、デジタル人材の育成を支援するため、リーダーから一般社員まで各階層に応じた研修を実施するなど、リスキリングの機会の充実を図っている。
また、企業内でリスキリングを促進するには経営者の理解が不可欠である。そのため、経営者を対象に「あいちの経営者人材育成塾」を開催して、人材の育成やリスキリングの重要性を認識してもらうよう取り組んでいる。
一方、厚生労働省であるが、先ほど指摘のあった、事業主が雇用する労働者に対して事前に作成した計画に沿って職務に関連した訓練を実施する際、事業主に対して訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する人材開発支援助成金を支給している。
県では、こうした国の取組、支援施策に対して、県の実施しているデジタル人材育成アドバイザーを中小企業に派遣して、デジタル人材を育成するための最適な研修や、デジタル人材の育成方法などの助言、指導を行っているので、こういったアドバイザーを派遣する際や各種研修の機会を通じて、こうした国の支援施策を周知し、活用を促していきたい。
【委員】
高等技術専門校でやっていることは前々から聞いていたが、圧倒的に数が違う、桁が。前にも言ったように、愛知は自動車産業が中心だが、これから全部EVに、電気自動車になると、3万点ある部品が1万点以下になる。中小企業を中心に、3分の2の部品作りのメーカーの仕事が減ってくる。そうすると必然的に人を減らさないといけなくなる。
ところが全ての業界がデジタル化してくるわけだから、労働移転というのはこれからどんどん始まってくると思う。そのときに、極端な言い方をすると、戦場へ行けといって竹やりを持たせるようなものである。せめて銃を持たせる、それがIT技術である。全ての業界がIT化されるわけだから、せめて最低限、ITの技術を持たせてやらなければ、若い人も年配の人も困ると思う。
何が言いたいかというと、そんな小さくやるのではなくて、国の大事業として、これに乗っ取ってモノづくりの愛知県として内製的に、社員やアルバイトの人たちに技術を教え込む。そして、転職もオーケーというように切り替えないと大変なことが起こるという危機感から、こういうことを言っている。労働局長はどう捉えるか。
【理事者】
厚生労働省であるが、先ほど人材開発支援助成金があるという話があったが、厚生労働省としては、この変化の時代における学び直しは労働者、経営者、双方が取り組むべきと様々な施策を展開している。
県としても、今までは特に中小企業を対象とすることに重点を置いてきた部分もあるが、これからは労働者、本人にその自覚を持ってもらう。学ばなければ、リスキリングしなければいけないということを考えてもらわなければ、やはり企業の持続的発展には中々つながらないのではないかと、委員が言うとおりだと思う。
だから、数は少ないと言っていたが、在職者訓練や、先ほど言った階層別のデジタル人材の育成については、今年度、1,600人規模で行う予定である。こうしたことをしっかりとやりながら、進めていきたいと思う。
また、労働者はもちろんそうだが、企業内でリスキリングを促進するためには、やはり経営者の理解が不可欠だと思う。このため、中小企業等の経営者を対象に「あいちの経営者育成塾」を開催して、人材の育成やリスキリングへの重要性の理解を深めてもらうなどの意識改革を促す取組もしっかりと行っていきたいと思う。
いずれにしても、県の行うことのみでなく、厚生労働省が行う、例えば、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講修了した方に費用の一部を支援する、先ほどの人材開発支援助成金とは別の制度になるが、教育訓練給付制度というのがあり、約1万4,000の講座がある。オンラインだと、夜間、土日に受講できるコースもあるので、働きながら受講することもできる。
こういった様々な国が行っている事業、助成金も含め、どの講座を受講したらいいか分からないという人に対しては、国もキャリアコンサルタントなどを配置して行っているので、そういったことを関連させながら、県の事業と合わせてしっかりと労働者、そして企業におけるリスキリングを後押ししていきたいと思うので、引き続き指導してもらうようお願いする。
【委員】
労働局長が言うように、経営者がまだ中々理解しないでいる。意識改革が必要であるから、県を挙げてリスキリングをやっているという環境をつくってあげることが必要だと思う。
そして、国も苦労している。経営者が中々乗らないから、個人向けにやろうというように切り替えつつあるというような話も聞く。SNSとAI活用による業務効率化研修と、これから来る時代より先にここではあらゆることを教え込むわけである。社員向けということで、技術を持ったら転職したいという人も出てくる可能性があるし、もうそうせざるを得なくなるわけである。
だから、1,600人程度で満足せずに、県を挙げてやっているんだと政策を考えて、何とかしてインセンティブが与えられるように、国はほとんど無料でやるわけだから、それもオンラインで、桁がまるきり違う。先ほど言ったように、5年、10年たつと、モノづくりの人が余ってくる。そうすると、その人たちは路頭に迷う。これから伸びていくのはITの関連事業であるから、医農だとか、医工だとかあらゆるものがネットにつながれて、デジタル技術がないとやっていけない。それをやったのが韓国や中国や台湾。生産性が上がって日本の個人のGDPが台湾にまで負けている。デジタル化の問題である。モノづくりの日本のエンジン、愛知県が何とか頑張らないと、日本経済はおかしくなる。そういう意味で、本気で何とかしてインセンティブを与えて、国家事業であるこの人材開発支援助成金制度にのっとってもらいたいというのが私の意見である。
せっかく国が金を出してくれるのだから、乗らなければ損である。そして、我が国の経済がよくなるのだから、今すぐ結論は出ないと思うが、ぜひ検討してもらいたい。
それと、これに関連する話であるが、先ほど言ったように、自動車産業を中心とする中小企業があって、今、愛知県の経済は成り立っているわけだが、自動車のEV化が進み、自動車部品が3万点から1万点に減ると、自動車部品を製造している多くの中小企業が大変困る。
ところが、日本は戦後に蓄積されたモノづくりの技術があるから、特にすり合わせの技術というのは世界に冠たるものがある。だから、その情報を日本国内だけではなくてアジア、世界に情報発信するサイトをつくってほしいということを前から言っている。今、あいちビジネスチャンスナビという、中小・小規模企業向けポータルサイトをつくって情報発信していくことを検討していると聞いているが、具体的にどこまで今進んでいるか。
【理事者】
中小企業が国内外のスタートアップを含む様々な企業に情報発信し、新たなビジネスパートナーに出会えるように支援していくことは大変重要なことと認識している。
現在、経済産業局では、情報発信はもとより商談会、見本市出展支援など、海外を含め様々な販路開拓、マッチング支援事業を実施している。しかしながら、分野ごと、業種ごとに実施されていることから生かし切れていない面もあり、これらの施策を横断的に一元的に提供して、多くの中小企業に知ってもらい、活用してもらうという課題も抱えている。
そこで、これまでの施策を生かし、より多くの事業者の方に活用してもらえるよう、情報発信やビジネスマッチングの玄関口になる新たなサイトの構築を検討している。そして、このサイトは、県内中小企業に対するワンストップサービス実施機関である公益財団法人あいち産業振興機構のサイトに設置することを考えており、既にあいち産業振興機構とプロジェクトチームを立ち上げ、打合せを重ねている。また、このサイトが取り扱う支援事業は多岐にわたるため、そのプロジェクトチームには、当課のみならず経済産業局内関係課も参加し、一体となって取り組んでいる。
現在、検討に当たり基本的な考え方として、まず、情報発信、ビジネスマッチングの玄関口となるサイトとする。次に、このサイトは中小企業が極力負担をかけずに効果的に企業情報を発信できるものにする。続いて、県をはじめ、協定を結ぶなりして連携して施策を実施する国や、あいち産業振興機構などのマッチングを主とする施策を横断的、一元的に入手しやすく提供し、それらの施策の活用を高めることによって国内外に情報発信を行う。続いて、JETROなどの有用な既存のマッチングサイトが既にあるので、これを活用し、費用の縮小を図るとともに、相乗効果のあるものにするとして検討を重ねている。
また、他の自治体や支援機関からのヒアリングでは、マッチングサイトを設置するだけで効果を高めることは難しく、コーディネートする人が重要とも聞いているので、今後はこうしたコーディネート機能の必要性についても研究していきたい。
引き続き、プロジェクトチームで早期具体化に向けて検討を進めていく。
【委員】
ぜひこれを強力に進めてもらいたい。
日本のモノづくりの品質は高いという国際的な評価がある。情報発信して、こういう技術があるということが世界中に知られれば、全てのものがネットにつながるので、医工連携、医農連携とか、あらゆるところに恐らくヒットしてくると思う。それで、世界を相手にビジネスができれば、国内でなくてもいい。だから、これから重要な問題になると思う。
片やSTATION Aiは来年でき、その運用をソフトバンクがやるから、世界に大きく窓が広がって、インターナショナルに広がってきているから、ぜひ我々の愛知県のモノづくりの術技を、技を、世界に情報発信してもらいたい。そして、マーケットをアジアだけでなく世界に、ぜひ強力に取り組んでもらいたい。
それから、今、県内に6,000人から7,000人の東南アジアから来ている留学生がいる。彼らはその国ではエリートである。その人たちも巻き込んで、その国の言語で私は情報発信してもらいたいと思っている。また、彼らもそこでスタートアップになる可能性もあるし、優秀な人たちと、もうハングリー精神が全く違うので、留学生をうまく活用してほしい。
一番多いのが名古屋大学で、その次は愛知県立大学である。我が愛知県立大学にもたくさんの留学生がいるので、ぜひこの留学生の活用をしてほしいと思うがどうか。
【理事者】
本県の国際課において、本県で学ぶ外国人留学生がこの地域に定着し、県内企業で活躍してもらうよう、留学生と県内企業とをマッチングする事業を実施しており、そのサイトをつくっている。
この事業のサイトとも連携し、留学生と企業の接点をつくることによって、県内の就職につながるような工夫もしていきたい。
【委員】
前に経済産業推進監に、留学生をSTATION Aiに雇ったらどうかと伝えた。というのは、留学生が7,000人いても、3分の1は帰る、3分の1は国内で就職する、3分の1は日本語ができないので欧米へ行ってしまう。
だから、せっかく縁があって日本へ来て、国費の人がほとんどだが、優秀な学生をこれから引き留めておかないと、中々来てもらえない時代が来る。技能実習生はいるが、本国のほうが給料が高い。そういうことも踏まえると、もう少し日本にいたくなるような制度をつくらないといけないと思うがどうか。
【理事者】
留学生の愛知県での引き続きの活躍に関しては、我々も非常に重要な視点だと思っている。それで、実はもう既にそういう動きを始めている。県内で最大の留学生がいるのは、名古屋大学、愛知県立大学、愛知県立芸術大学をはじめ、南山大学、こういった留学生がかなりいる大学に、まずは在学のうちにSTATION Aiが何か、STATION Aiでどういった事業が行われているのか、特に海外連携やこの地域の特徴であるモノづくりとの融合、こういった事業が行われていることについて、我々が直接、大学を訪問して、各生徒、学生に説明するプロジェクトを今進めている。
既に愛知県立大学、それから、愛知県立芸術大学の日程はほぼ固まっており、今後、10月以降に名古屋大学に行くということも決まっている。それから、秋頃、南山大学に行くという話も実はもう決まっており、全て日本の学生だけでなく留学生を含めた形で、しかも留学生がこれから愛知で今後とどまってもらい、活躍できるようなことも含めて、STATION Aiプロジェクト全体についてしっかりと理解してもらう、そういった動きになっている。STATION Aiのオープンを待たずに、この愛知で留学生がしっかり活躍できる機会と場づくりに努めていきたいと思う。
【委員】
日本の戦後の教育は、ベンチャーというか、スタートアップをやろうという気構えがない教育をしている。だから、中々難しくて、時間がかかると思う。逆に、留学生を通じて東南アジア、世界の人たちでやる気のある人が日本に来てベンチャー、起業してくれという呼び水にも私はなると思う。そういう意味で、窓は世界に開かれたわけだから、とにかくグローバルに考えて、日本だけを相手にするのではなくて、特にマーケットはアジアだから、そういうことでぜひ頑張ってほしいと思う。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年6月27日(火) 午後0時58分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
福田喜夫、杉浦哲也 正副委員長
直江弘文、神野博史、高桑敏直、山本浩史、山下智也、今井隆喜、
かじ山義章、鳴海やすひろ、村嶌嘉将、岡 明彦、阿部武史 各委員
経済産業局長、経済産業推進監、情報通信(ICT)政策推進監、
経済産業局技監、産業部長、中小企業部長、革新事業創造部長、
労働局長、就業推進監、
観光コンベンション局長、観光推進監、
労働委員会事務局長、同次長兼審査調整課長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第 81 号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第5款 経済労働費
第 93 号 事業契約の変更について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第81号及び第93号
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(2件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 一般質問
4 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
なし
《一般質問》
【委員】
私からは、STATION Aiと早期起業家教育、いわゆるアントレプレナーシップ教育について伺う。
まずは、STATION Aiに愛知県産業偉人展示施設を設置すると聞いたが、その目的と内容、あわせて、参加してもらいたいと考えている対象について伺う。
【理事者】
産業偉人展示施設は、愛知県にゆかりのある創業者や経営者の業績やエピソードを紹介する施設であり、その整備の目的は二つある。
一つは、STATION Aiを訪れる方々に愛知県の産業や企業を知ってもらうこと、それから、もう一つは、STATION Aiを利用するスタートアップの方々に勇気や励みを与え、子供たちに将来の起業家としての夢を育んでもらうことである。したがって、来館者として想定しているのは、STATION Aiを利用するスタートアップ、起業を志す中学生、高校生、大学生や親子連れ、外国人など、STATION Aiを訪れる全ての方々と考えている。
このため、展示には日本語だけでなく英語表記を取り入れるほか、展示の構成を四つに分けて、偉人の印象的な言葉により施設の興味を喚起するSTEP0に始まり、愛知の産業史の特色を紹介するSTEP1、偉人の視点や着想を紹介するSTEP2、新たな出会いや交流を創出するSTEP3と順を追って理解していくことで、新たな学びがあり、未来をイメージできるような展示とするよう、現在、実施設計に向けて委託事業者と調整している。
【委員】
これまで、STATION Aiに関して行われていた説明では、この一大拠点に海外、また日本中からスタートアップ人材が集まることを目指しているとあったと思う。その上で、愛知県で生まれて小中高と教育を受けてきた愛知県の若い人たち、若年者から、スタートアップに資する起業家を目指すことにも力を入れるべきだと私は思う。
今の答弁を聴いたところ、将来の起業家としての夢を育むことが展示施設の一つの目的であり、参加してもらいたい対象に、子供、若年者も含まれているということであった。
それで、2019年9月定例会のこの委員会での答弁をひもといてみると、スタートアップ推進課からSTATION Aiに関してこういった答弁があった。
スタートアップの創出には起業家マインドの醸成、アントレプレナーシップ教育などの起業家の養成に向けた人材育成は不可欠である。大学をはじめとする関係機関と連携し、こうした機能も展開できる施設としながら、子供向け施設見学会や起業体験講座の開催などの工夫を今後検討していきたいとあったわけである。
そこで質問する。起業家になりたいと夢を持った若年者を、そのスタートアップ人材としてどう創出、つくり出していくつもりか伺う。
【理事者】
愛知県では、Aichi-Startup戦略の目的に掲げた当地域のスタートアップエコシステムの形成に向けて、スタートアップやそのステークホルダーの創出、誘因に努めている。
そのためには、委員指摘のとおり、当地域で起業家の裾野を拡大し、当地域からスタートアップを創出し続けていくことも重要である。そして、その起業家の底辺を広げる取組として、起業に関心を持つ若年者の創出を図っていくことが不可欠であると考えている。
そこで、産業偉人展示施設の整備もその取組の一つではあるが、そのほかにも、STATION Aiのオープンに先行して、昨年度からAICHI STARTUP SCHOOLと称する小学生向け、中学生向け、高校生向けの起業家精神育成プログラムを開始した。このプログラムは、小中高生に将来の進路の選択肢の一つに起業があることを意識してもらう狙いがある。
具体的なプログラムの内容としては、小学生から高校生まで、レベルの違いはあるが、日常生活の課題を見つけ出し、その課題をチームで解決するワークショップを実施する。日常生活の中にある課題の解決が、ビジネスにつながることに気づいてもらい、起業が決して特別なことではなく、身近なものであることを感じてもらう意図がある。また、その課題をチームで解決していくプロセスの経験を提供している。
【委員】
AICHI STARTUP SCHOOL、小中高向けの起業家精神を育成する事業、いわゆるアントレプレナーシップ教育を実施したという答弁だったと思う。
実は、私も昨年暮れ、名古屋大学で行われたこのAICHI STARTUP SCHOOLのうち、高校生向けの授業を視察させてもらった。今も少し話があったが、そこではグループごとで考案したビジネスプランを、高校生が大変生き生きとプレゼンテーションをしていた。その姿に、彼ら、彼女らの育成というのはいろいろ夢が広がるなと大きな期待を抱くとともに、より実践的な起業家育成プログラムを、こういった方たちに受けさせてあげたいと思った。
そこで質問する。昨年度の事業結果をどう考えているか、また、今年度もこの事業を実施するということだが、昨年度の事業との違いはあるのか。
【理事者】
昨年度のプログラム終了後にアンケートを取り、起業に関心を持ったと回答した学生は小学生では61パーセント、中学生では83パーセント、高校生では88パーセントということで、将来に期待できる結果と考えている。その一方で、低い年齢の学生ではちょっと難しかったという意見もあった。
そこで、今年度はワークショップ開催の前に、オンラインイベントとしてワークショップの説明と起業家による実体験を踏まえた講演を行い、事前準備によりイメージを持ってワークショップに臨めるよう見直しを図る。特に小中学生は、親子で一緒にオンラインイベントに参加してもらうことを想定している。
ワークショップ当日は、子供同士でチームを組んで子供だけで取り組むため、ワークショップに向けた事前準備を親子で行う機会を設けることで家庭で振り返るなど、本プログラムの目指す起業家精神の育成に向けてさらなる効果が生まれると期待している。
【委員】
近年、若年者の起業者というのが注目をされ、特に大学生の起業者というのは殊さら注目をされていたと思う。その一方で、日本でもそうだが、高校生、さらに若い世代が社長さんになる、起業する例も散見されている。今の答弁でも興味を持った人のパーセンテージは明らかに高校生が高く、この高校生が次にどういう形で起業家マインドを醸成していくかは重要だと思う。
それで、本県ではその先駆けと言っていいか分からないが、その取組が教育現場でもある。これは県立犬山南高校とスタートアップ企業が連携している事業であり、飯田教育長が昨年9月の定例会でその取組について以下のように答弁している。
以下、教育長答弁であるが、「今後はSTATION Aiの協力を得てスタートアップ企業との連携を深め、実際に起業した方々から物事に対する考え方や起業に至った経緯、困難をどのように乗り越えてきたかなどについて直接学ぶ機会を設けてまいります。こうした取組を通してスタートアップマインドにあふれ、起業家、すなわちアントレプレナーとして大きく羽ばたく可能性を秘めた若者を社会に送り出してまいります。」、これが教育長答弁であった。
そこで伺う。起業家精神を育てるために、高校、そして、教育委員会の働きかけは考えているのか。
【理事者】
多くの学生にこのようなプログラムにより企業体験をしてもらうためには、高校や教育委員会への協力は不可欠である。両者と連携を図りながら、実施していきたいと考えている。
そこで、現在は、本プログラムを効果的に周知できるよう協力をお願いしている。また、今言われたような県立犬山高校、4月から名称が犬山総合高校と変わっているが、こうした起業家教育に熱心な高校に参加を呼びかけていこうと考えている。
スタートアップ支援に関する取組は経済産業局だけではなし得ない分野が多く存在する。特に教育分野では、高校、教育委員会との連携は欠かせない。経済産業局としても、今後引き続き、高校、教育委員会との連携関係の構築に努め、起業に関心を持つ若年者の創出につながる施策を展開していきたいと考えている。
【委員】
世界に冠たるスタートアップ拠点をつくって、スタートアップ人材を次々と生み出していくことを目指す本県にとって、今話もあったが、庁内の縦割りの壁を取り払いながらフレキシブルに早期起業家教育を行ってもらいたい。
いずれにしても、経済産業局と教育委員会は、今の話でいけば同じ方向に向かっているように思うので、今後、綿密に連携してもらいたい。
違うデータを少し案内してしっかりやってもらいたいと思うが、政府系金融機関の日本政策金融公庫が、2013年度から高校生ビジネスグランプリというのを開催している。御承知の方もたくさんいると思うが、目的は将来を担う若者の創業マインド、起業マインドを向上させることである。
その2022年度の都道府県別の出場校率、高校がある中でどれぐらいがそこに参加しているかという率である、率数を調べてみると、実は愛知県は全国で39位である。全国平均を相当数下回っているのがこのデータからは言え、このような実情を見ると、若年者に向けての教育のありよう、または啓蒙、啓発のありようが極めて重要になってくるのではないか。STATION Aiの完成とともに、早期起業家教育の重要性が増していかないと、本県から様々な人材を生み出していくことは難しくなると思う。
翻ってSTATION Aiには、近隣の大学、例えば名古屋大学とか名古屋工業大学から学生が集って、スタートアップに挑戦していくことも想定されていると聞いている。つまり、STATION Aiが完成した後は、若いスタートアップに関するロールモデルが、STATION Ai内に常にいるということになる。
昨年、今答弁のあった、小中高向けの起業家精神を育成する事業、これの実施者であった、実施主体というか、そこを担当していた起業家教育専門家である平井由紀子さんに話を伺い、様々な意見を伺った。彼女は「起業家教育の研究者、実践者として一番大切だと思うことは、継続的、段階的な起業家教育であり、STATION Ai内で起業家教育プログラムを実施して、若いスタートアップ人材が生まれることに期待したいと思う。また、STATION Aiに集う高校生は、大学生起業家という年齢の近いロールモデルと、世界や、日本のスタートアップ人材に直接出会うことができるので、彼ら、彼女らがどうインスパイアするか、大変楽しみだ。」と言っていた。
そこで伺う。産業偉人展示施設に合わせて、STATION Ai内に高校生が集うことができるラボや、起業家精神を育成する高校生向けのプログラムをつくるなどの考えがないのか。
【理事者】
ただいま委員からの、継続的、段階的な起業家教育といった話があったが、産業偉人展示施設の考えやAICHI STARTUP SCHOOLにより、起業に関心を持った若年者の次のステップとなる学生たちの挑戦を後押しするプログラム、STATION Ai Program for Students、頭文字を取ってSTAPSと言っているが、それを今年度から開始した。大学生の参加が中心になるが、意欲の高い高校生にも積極的な参加を促していきたいと考えている。
また、このプログラム終了後、具体的にビジネスアイデアを持って起業を志す人には、新規ビジネス創出のためのプログラム、Aichi Startup Campがあり、このキャンプの卒業生が起業家となってSTATION Aiメンバーとなることを想定している。
こうした起業家の裾野拡大から起業家創出につながる継続的、段階的な支援体制を、STATION Aiを中核として構築している。ついては、これらの一連のプログラムを実施していくに当たり、意欲の高い若年者をぜひSTATION Aiに集積していきたいと考えている。
【委員】
最後に、今の話も含めて要望したい。
質問の中で紹介した平井社長から、近年、全国各地で既に始まっているアントレプレナーシップ教育、早期起業家教育について幾つか事例を紹介してもらった。調べれば調べるほど、各地域とも必死でやっているなという気がする。
仙台市では、小中高大学、社会、社会人まで、継続的な学びを進めている。これは名古屋市だが、名古屋市では小学生から大学生まで切れ目のない起業家の育成支援を掲げて、2021年度から高校生に疑似的に会社を経営するプログラムを開催していて、その参加者の中からはスタートアップを立ち上げた生徒もいると聞いている。那覇市では、公教育での起業家教育モデル定着を目指して長期サポートを、この平井さんの会社と連携してやっている。東京都では、高校生を対象に、1年と聞いたが、1年以上にわたる長期の起業家養成講座を21年度から始めている。いろいろな地域が次の人材をどうつくるか、次の企業をどう生み出すかで、本当、一生懸命やっているなと調べながら感じた。
今回の質問で言ったように、24年度の開業を目指してSTATION Aiという一大拠点の整備が、ハード、そして、ソフト両面で進んでいくが、その流れの中にあって、早期起業家教育についても、これまで以上に力を入れてもらいたい。
本当にこの地域から若年者が次々とスタートアップ人材になることを私も夢見ながら、要望したい。
【委員】
それでは、私からは、質問というか、確認も込めて質問を1点する。
今年度、県が制定を目指している商業者等による地域貢献活動を推進する条例で、議案質疑でも昨年度、質問した内容だが、条例制定に向けて第1回目の愛知県の商業・地域貢献活動懇話会が先日開催されたと聞いているが、その懇話会ではどのような議論がされたのか伺う。
【理事者】
6月2日に、有識者、商業団体、行政関係者等、11人の委員で構成される第1回愛知県商業・地域貢献活動懇話会を開催した。
懇話会ではテーマを三つに分けて、一つ目として、大規模小売店舗による地域貢献活動の活性化や認知度向上、二つ目として、商店街等による持続可能な地域貢献活動の促進、三つ目として、県と市町村が果たすべき役割についてそれぞれ委員から意見をもらった。
主なものとしては、「各商業者が本業との関わりの中で、地域貢献活動につなげていけるような目指すべきイメージを描くことが必要」、「子育てや高齢者支援など、地域住民が求める地域貢献活動をしっかりと捉えることが重要」、「大型店を含めた商業者や商店街だけでなく、福祉や教育等の横断的な関係者も含めて活動できるプラットフォームや枠組みをつくり、地域との関わりを生み出すことが重要」などの意見をもらった。
これらの意見を参考に、条例の制定に向け引き続き取り組んでいくとともに、条例制定後の取組についても検討していく。
【委員】
先日の議案質疑でも聞いたかもしれないが、この条例制定に向けて私は非常に前向きに捉えていて、決して規制する条例ではなく、前向きに地域をしっかりと活性化していくための条例づくりだということで、大変期待している。
先ほど第1回目の懇話会の内容、答弁があったが、しっかりと具体的に、この条例をつくることによって何が変わっていくのかを明文化していくことが重要だと思う。
そこで2点目だが、商業者等による地域貢献活動を推進する条例について、どのような条例制定を目指していくのかを伺うが、これまで2008年から愛知県ではガイドラインという形で、任意ではあるが、これと似たことを商業者等に、これは売場面積が3,000平方メートル以上の店舗に当たってはそういったことを強くガイドラインの中で示して、出店概要書や地域貢献計画書や実施状況の報告書等を提出していたと思うが、これまでのこのガイドラインと今度の条例がどのように変化していくのか、また、どのような条例制定を最終的に目指していくのかをもう少し掘り下げて聞いていきたい。
【理事者】
商店街では、商業機能だけではなく、地域コミュニティの維持や活性化に貢献する役割も担っており、高齢者や子育て世代への支援や防犯・防災活動、地域文化の保存・承継などの地域貢献活動を継続して行っている。
このような地域貢献活動は商店の経営にとって無関係ではなく、地域住民とのつながりが深まることで商店街の集客力や販売力を高めることができるなど、商店街の活性化にもプラスの効果をもたらすものである。
また、委員指摘のとおり、大規模小売店舗による地域貢献活動の取組については、商業・まちづくりガイドラインにおいて、店舗面積が3,000平方メートル以上の新設店舗の設置者には地域貢献計画書の提出をお願いしているが、地域貢献活動は個々ばらばらに行われるより、商店街はもとより、地域社会を構成する多様な主体が一体となって取り組むことが理想であり、特に大規模小売店が商店街と共存共栄し、連携して取り組むことが重要と考えている。
そのためには、大規模小売店と商店街などの商業者間のコミュニケーションが必要不可欠で、行政にはその環境整備やコーディネートの役割が求められいる。特に基礎自治体である市町村には、総合的なまちづくりの一環としてその役割を担ってもらいたい。
今回の条例には、大規模小売店を含む商業者の役割や、市町村の商業者間を調整する取組を促し、県として支援していく趣旨を盛り込みたい。
【委員】
条例制定を目指していく形という答弁であった。これまでのガイドラインでも、地域貢献計画書などで様々な取組をしていた大規模小売店舗はたくさんあったが、実は一方で、これはあくまでも任意であるが、その内容というのは本当にかなり温度差があったように感じている。
初めから言うように、この条例制定においてしっかりと底上げしていくことが求められているが、その間を取るのが行政の役割ではないかと思っている次第であり、何か規制をかけるよりも、むしろよくやってもらっているところには何かインセンティブのようなものをつくってもらったらどうなのかと思う。
例えば料理店だったら三つ星レストランとか、この大規模小売店舗は地域貢献をよくやっているというようなインセンティブがあると、積極的にもっと貢献してもらえると思っている次第であるので、これからそういう話も含めていろいろ協議をしていくと思うが、愛知県がこの条例制定をつくる以上は、しっかりと実のある条例に磨き上げてもらいたいと思う。
最後に、条例制定に向けて今後どのようなスケジュールで進めていくのか伺いたい。
【理事者】
今後のスケジュールだが、県政世論調査や地域の産業労働に関わる機関、団体等の会議を利用して地域貢献活動に関する意見をもらい、10月には第2回の懇話会を開催し、条例の骨格を検討していく。その後、パブリックコメントを実施し、12月には第3回の懇話会を開催し、最終的な条例の案を固めていきたいと考えている。
来年4月の条例施行を目指して、2月議会での審議を予定しているので、よろしくお願いする。
【委員】
私のほうからは、今現在、いろいろと経営指導する中で、我々が、一番大きな関心事というのは、まず1点は、ゼロゼロ融資がコロナの拡大によって返済できるかどうか、業績が思うように回復できない企業もあるので、そういうものに対してどういうような形で融資を、つなぎをしていくのかという問題である。もう一つは、人手不足が本当に深刻で、これは全産業に関することだと思っている。
そこで、まず1点目、ゼロゼロ融資の返済に不安を抱える中小企業の資金繰り支援について伺う。
新型コロナウイルス感染症の拡大によって影響を受けた事業者に対する資金繰り対策として、2020年の3月に政府系の金融機関、また、この年の5月から民間の金融機関においても取扱いが始まったこの実質的に無利子、無担保融資、いわゆるゼロゼロ融資は据置期間の終了、これは3年であるので、終了に伴って今年度から返済が本格化していると聞いている。
しかしながら、先ほど私が言ったように、私の地元の事業者からは、コロナによる影響の長期化に加えて、原油、原材料価格や物価の高騰、さらには深刻な人手不足によって思うように業績が回復できずに、ゼロゼロ融資の返済や今後の資金繰りに関して不安や懸念の声が多く聞こえている。
そこで、ゼロゼロ融資の返済に不安を抱える中小企業者の資金繰りについてどのように支援していくのかを、まず伺う。
【理事者】
本県では、コロナの影響を受けた中小企業者に対する資金繰り対策の一つとして、2020年5月から2021年3月末まで、全国統一制度である新型コロナウイルス感染症対応資金、いわゆるゼロゼロ融資を実施し、約8万7,000件、1兆4,700億円に上る多くの利用があり、本年5月末時点の残高は約7万4,000件、1兆円となっている。
制度上の据置期間は5年以内となっているが、実態としては、利用者の5割強が据置期間2年以内ということで既に返済が始まっている。そして、約4割が据置期間3年以内で今年度中に返済が本格化するという状況になっている。
ゼロゼロ融資の取扱い終了に当たり、コロナ後の資金ニーズを経営の改善、抜本的な事業再生、再チャレンジの三つにあると想定し、それぞれの資金ニーズに対応したサポート資金(経営改善等支援)、再生・事業承継支援資金(再生)の感染症対応型、そして、創業等支援資金(再挑戦)を2021年4月に創設、拡充した。
また、ゼロゼロ融資の返済に不安を抱える小規模事業者の声を受けて、2022年10月に県独自のサポート資金、新型コロナ借換を創設、さらに、既存のサポート資金(経営改善等支援)の融資限度額を1億円に引き上げるとともに、本年1月に売上高の減少要件を15パーセント以上から5パーセント以上に緩和し、利益率の減少を対象要件に追加、借換えの特例を設けるなどの見直しを行った。サポート資金(経営改善等支援)は本年4月以降、サポート資金(伴走支援)として実施している。
これらゼロゼロ融資の借換えに対応する二つの制度は、いずれも据置期間5年以内で、特に新型コロナ借換は最長15年の融資期間に対応しており、借換えにより月々の返済負担が軽減されるほか、据置期間の再設定により経営の改善や今後の事業の方向性を検討する時間的余裕が生ずるといったメリットも見込まれる。
ちなみにゼロゼロ融資を限度額である6,000万円、期間10年、据置期間3年で利用している事業者が、新型コロナ借換の期間15年、据置期間5年で借り換えた場合の月々の返済額を試算すると、ゼロゼロ融資を借り続けた場合の平均の約75万円が約54万円に減少し、月々約20万円の余裕が生まれることになる。
なお、これら制度の融資実績は、2022年度が合わせて6,419件、約1,232億円、制度融資全体に占める構成比は46パーセント、2023年度が5月末時点で1,665件、約342億円、構成比69パーセントとなっている。
このほか、制度融資の取扱い機関及び県信用保証協会に対しては、これらの制度の周知とともに、夏季や年末、年度末といった資金需要に合わせて各事業者の実情に応じ、借換えや条件変更等の相談に柔軟かつ積極的に対応してもらうよう定期的に要請を行っている。
本県としては、引き続き経済環境の動きに注視しつつ、こうした取組を通じて、ゼロゼロ融資の返済に不安を抱える中小企業者の資金繰りをしっかりと支援していく。
【委員】
その趣旨に応じて借換えをという形で、サポート資金(新型コロナ借換)は、先ほどの説明では2022年の10月から行ったという形であるが、それ以前のもう一つのサポート資金(伴走支援)との違いで、売上高等減少要件や保証料率等について内容に違いがあるのはなぜか。
【理事者】
先ほど伝えた2022年10月から始めた県独自の新型コロナ借換については、県の制度融資は県の信用保証協会の保証制度を使っており、新型コロナ借換については、使う保証制度がセーフティネットの4号あるいは5号となっており、セーフティネット4号だと売上高20パーセント以上、セーフティネット5号だと売上高5パーセント以上という形になっている。
もう一つ、2021年4月からスタートしたサポート資金の経営改善等支援については、国の伴走支援型特別保証制度という制度を使っており、こちらの要件がもともと売上高15パーセント以上だったものが、今年の1月から売上高が5パーセント以上ということで緩和されているので、それに沿った内容に制度を改めている。
【委員】
次に、中高年齢者の活躍促進について伺う。
ここ3年余り猛威を振るってきた新型コロナウイルス感染症も、先月の8日から感染症法上、2類から5類に移行して、アフターコロナへと転換する中で社会経済活動もますますというか、次第に活発化しきた。
こうした中で、全産業にわたって人材確保が大きな課題となっており、特に建設業や飲食業では深刻な人手不足に陥っている。一般に人材確保の対象として、若者や女性、また、外国人労働者が挙げられるが、ここでは中高年齢者に焦点を合わせて考えてみる。
人生100年時代と言われる昨今、会社をリタイアしてもまだまだ元気で、働く意欲も高い方が大変多く見受けられる。実際に、本県における65歳以上の人口割合は、2022年10月1日現在で25.6パーセントとなっており、4分の1が高齢者である。さらに、令和3年度における有効求職者に占める45歳以上の割合は52.9パーセント、そのうち32パーセントは55歳以上が占めている。こうした、仕事を探している中高年齢の方は働く意欲が高く、活躍できる方が多いものと推定される。
若者だけではなくて、中高年齢者の方々が産業の担い手としてその経験を生かして、即戦力として活躍できるよう取り組むことが、特に人手不足に悩む中小企業の人材確保への対応策としては必要であると考えている。
そこで、中高年齢者が働きがい、生きがいを持って活躍できるよう、県はどのような取組を行っているのか実績を含めて伺う。
【理事者】
人手不足対策における中高年齢者の活躍促進に対する取組と、その実績について答弁する。
少子高齢化により人口が減少する中で、産業を問わず人手不足は喫緊の課題となっており、健康で働く意欲のある中高年齢者がその能力を十分に発揮し、働きがいを持って活躍してもらうことは、人手不足対策に大変意義があることと考えている。
そのため、県では、45歳以上の中高年齢者の就職を支援するため、就職活動に有効なノウハウを身につけてもらうための、中高年齢者再就職支援セミナーを10回開催している。昨年度の実績は144人の方が受講し、セミナーから2か月後に行った調査では、26人の方の就職が決まっている。
また、55歳以上の高年齢者の就職活動を支援するため、豊橋市、豊田市、小牧市と連携し、企業から直接求人内容の説明を受ける高年齢者就職相談・面接会を6回実施している。昨年度は61企業、160人の方に参加してもらい、参加者には希望に応じてハローワークを通した求人紹介を行い、1か月後の調査では5人の方が就職されている。
一方、企業に対してであるが、高年齢者の採用に目を向けてもらうため、意欲と能力に応じて年齢に関わりなく働き続けられる環境整備などについて理解を深めることを目的とした、高年齢者雇用推進セミナーを毎年10月の高年齢者雇用支援月間に開催し、昨年度は186人の方に参加してもらった。
このほか、ハローワークでは、60歳以上の方を対象に専門の窓口を設け、マッチング等の支援を行っているほか、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構においては、企業に対して高年齢者の雇用に関する相談、助言を行っており、県においても、セミナー等の機会を通じて、こうした機関の活用についての周知、啓発を行っている。
【委員】
こうした方々のさらなる活躍を推進するために、今後どのような形で取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
今年度は、45歳以上を対象とする中高年齢者再就職支援セミナーをより多くの方に受講してもらえるよう、これまでの名古屋市、豊橋市、豊田市、小牧市の4地域から、刈谷市、一宮市を加えた6地域に拡大して開催する。
また、55歳以上を対象とする高年齢者就職相談・面接会の開催に当たり、開催市の広報誌によるPRやハローワークで周知による広報を行っていたが、これらに加え民間求人誌にて周知も行うなど、積極的に参加を働きかけていく。
さらに、就職相談・面接会への参加企業の選定に際しては、ハローワークから高年齢者に人気の高い業務内容や勤務形態等のアドバイスをもらうなど、国の機関との連携を強化し、効果的に事業を進めていく。
今後とも、健康で働く意欲の高い65歳以上の高齢者も含め、中高年齢者が地域の担い手として活躍してもらえるよう、中小企業等への就労支援にしっかり取り組んでいく。
【委員】
要望だが、今、運輸業界では2024年問題が大きくクローズアップされているが、人手不足は全産業を通じて今後ますます深刻になっていくことが予想されている。こうした中で、経験豊かで即戦力として活躍できる中高年齢者の労働力は、これまで以上に重要になってくると思っている。
県当局としても、この中高年齢者の活躍促進において、さらなる支援をお願いしたいと思う。
【委員】
よく言われているが、ここ30年間、日本は成長しない、給料が上がらないままずっと来て、競争力が国際的に見ても極めて低くなっている。そして、貿易は赤字になっている。コロナやウクライナの戦争の件もあるが、国際的に見て競争力が低い貧しい国になりつつある。日本は、今アルゼンチン化していると言われている。
なぜかというと、アルゼンチンというのは、戦前、戦中、戦後によって農業大国、畜産大国、隣のブラジルもそうだが、成功事例が大き過ぎて工業化に遅れたから、今は大変厳しい経済情勢になっている。デフォルトが起こったということもあったが、それに日本はなりつつあるということをよく言われている。
なぜかというと、デジタル化に大変日本は遅れているからだと思う。国はデジタル庁をつくって、これからは全てのものがデジタルにつながっていく、インターネットにつながってIoTの時代だと、国を挙げてこれに今取り組んでいるが、その中で最も大事なことは、私はリスキリング、学び直しだと思っている。
先ほど委員が、今は人手不足で大変だと言ったが、あと10年もすると、世の中が一変すると思う。デジタル化が進んでいくと、現場は人手不足も相まって、どんどんロボット化する。そして、関連事業と言われる事務は、営業も含めて7割ぐらいのウエイトがあるがアナログが多いので、これもRPAや事務ロボットなど、そこにAIが加わって、飛躍的にデジタル化が進んでいく。極端に言うと、10人でやっていたことが3人ぐらいで済んでしまう。そうすると、7人分の人件費が浮き、現在いる社員の給料を上げていけることになると思うが、今は余剰人員を抱え過ぎているから1人当たりの生産性が悪い。そして、給料も上がらない、こういう悪循環につながっていると言われている。国は、去年と今年、700億円ほど予算をかけてリスキリング事業をやっているが、なかなかこれが普及していかないと言われている。
厚生労働省は、人材開発支援助成金と銘打って、DX時代の必須情報を全ての従業員にと、業種、業界ごとにカスタマイズされた研修をリモートでやる、全部リモートで。1人当たり3日間ぐらいで24万円ぐらいかかるが、県ではほとんど負担がかからない。国はここまで力を入れている。
我がモノづくりの愛知県としては、これをどう捉えて、これは国がやることだから県は関係ないというのか、これに乗ってIoTや、人材の発掘をやっていくという気構えがあるのか、まず労働局にお聞きする。
【理事者】
ただいま委員より、厚生労働省がリスキリングを推進しており、その中で人材開発支援助成金を取り上げて、県としてそのリスキリングについてどう考え、またどうしていくのかという質問であった。
デジタル技術の進歩に伴い、ビジネスモデルやサービス、製品の在り方が大きな変化を遂げており、多くの仕事が自動化される一方で新たな仕事も生み出されると言われている。こうした大きな変化に対応するため、労働者がデジタル技術をはじめとした知識、技能を高めていくためのリスキリングを促進してくことが、大変重要であると認識している。
このため、本県では、高等技術専門校で土日を中心として実施している、在職者を対象としたスキルアップ訓練について、2018年度、訓練定員630人であったものを1,600人定員まで拡充するとともに、そのうち過半数を、「初めて学ぶAI」などデジタル関係の講座として実施している。
加えて昨年度からであるが、デジタル人材の育成を支援するため、リーダーから一般社員まで各階層に応じた研修を実施するなど、リスキリングの機会の充実を図っている。
また、企業内でリスキリングを促進するには経営者の理解が不可欠である。そのため、経営者を対象に「あいちの経営者人材育成塾」を開催して、人材の育成やリスキリングの重要性を認識してもらうよう取り組んでいる。
一方、厚生労働省であるが、先ほど指摘のあった、事業主が雇用する労働者に対して事前に作成した計画に沿って職務に関連した訓練を実施する際、事業主に対して訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する人材開発支援助成金を支給している。
県では、こうした国の取組、支援施策に対して、県の実施しているデジタル人材育成アドバイザーを中小企業に派遣して、デジタル人材を育成するための最適な研修や、デジタル人材の育成方法などの助言、指導を行っているので、こういったアドバイザーを派遣する際や各種研修の機会を通じて、こうした国の支援施策を周知し、活用を促していきたい。
【委員】
高等技術専門校でやっていることは前々から聞いていたが、圧倒的に数が違う、桁が。前にも言ったように、愛知は自動車産業が中心だが、これから全部EVに、電気自動車になると、3万点ある部品が1万点以下になる。中小企業を中心に、3分の2の部品作りのメーカーの仕事が減ってくる。そうすると必然的に人を減らさないといけなくなる。
ところが全ての業界がデジタル化してくるわけだから、労働移転というのはこれからどんどん始まってくると思う。そのときに、極端な言い方をすると、戦場へ行けといって竹やりを持たせるようなものである。せめて銃を持たせる、それがIT技術である。全ての業界がIT化されるわけだから、せめて最低限、ITの技術を持たせてやらなければ、若い人も年配の人も困ると思う。
何が言いたいかというと、そんな小さくやるのではなくて、国の大事業として、これに乗っ取ってモノづくりの愛知県として内製的に、社員やアルバイトの人たちに技術を教え込む。そして、転職もオーケーというように切り替えないと大変なことが起こるという危機感から、こういうことを言っている。労働局長はどう捉えるか。
【理事者】
厚生労働省であるが、先ほど人材開発支援助成金があるという話があったが、厚生労働省としては、この変化の時代における学び直しは労働者、経営者、双方が取り組むべきと様々な施策を展開している。
県としても、今までは特に中小企業を対象とすることに重点を置いてきた部分もあるが、これからは労働者、本人にその自覚を持ってもらう。学ばなければ、リスキリングしなければいけないということを考えてもらわなければ、やはり企業の持続的発展には中々つながらないのではないかと、委員が言うとおりだと思う。
だから、数は少ないと言っていたが、在職者訓練や、先ほど言った階層別のデジタル人材の育成については、今年度、1,600人規模で行う予定である。こうしたことをしっかりとやりながら、進めていきたいと思う。
また、労働者はもちろんそうだが、企業内でリスキリングを促進するためには、やはり経営者の理解が不可欠だと思う。このため、中小企業等の経営者を対象に「あいちの経営者育成塾」を開催して、人材の育成やリスキリングへの重要性の理解を深めてもらうなどの意識改革を促す取組もしっかりと行っていきたいと思う。
いずれにしても、県の行うことのみでなく、厚生労働省が行う、例えば、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講修了した方に費用の一部を支援する、先ほどの人材開発支援助成金とは別の制度になるが、教育訓練給付制度というのがあり、約1万4,000の講座がある。オンラインだと、夜間、土日に受講できるコースもあるので、働きながら受講することもできる。
こういった様々な国が行っている事業、助成金も含め、どの講座を受講したらいいか分からないという人に対しては、国もキャリアコンサルタントなどを配置して行っているので、そういったことを関連させながら、県の事業と合わせてしっかりと労働者、そして企業におけるリスキリングを後押ししていきたいと思うので、引き続き指導してもらうようお願いする。
【委員】
労働局長が言うように、経営者がまだ中々理解しないでいる。意識改革が必要であるから、県を挙げてリスキリングをやっているという環境をつくってあげることが必要だと思う。
そして、国も苦労している。経営者が中々乗らないから、個人向けにやろうというように切り替えつつあるというような話も聞く。SNSとAI活用による業務効率化研修と、これから来る時代より先にここではあらゆることを教え込むわけである。社員向けということで、技術を持ったら転職したいという人も出てくる可能性があるし、もうそうせざるを得なくなるわけである。
だから、1,600人程度で満足せずに、県を挙げてやっているんだと政策を考えて、何とかしてインセンティブが与えられるように、国はほとんど無料でやるわけだから、それもオンラインで、桁がまるきり違う。先ほど言ったように、5年、10年たつと、モノづくりの人が余ってくる。そうすると、その人たちは路頭に迷う。これから伸びていくのはITの関連事業であるから、医農だとか、医工だとかあらゆるものがネットにつながれて、デジタル技術がないとやっていけない。それをやったのが韓国や中国や台湾。生産性が上がって日本の個人のGDPが台湾にまで負けている。デジタル化の問題である。モノづくりの日本のエンジン、愛知県が何とか頑張らないと、日本経済はおかしくなる。そういう意味で、本気で何とかしてインセンティブを与えて、国家事業であるこの人材開発支援助成金制度にのっとってもらいたいというのが私の意見である。
せっかく国が金を出してくれるのだから、乗らなければ損である。そして、我が国の経済がよくなるのだから、今すぐ結論は出ないと思うが、ぜひ検討してもらいたい。
それと、これに関連する話であるが、先ほど言ったように、自動車産業を中心とする中小企業があって、今、愛知県の経済は成り立っているわけだが、自動車のEV化が進み、自動車部品が3万点から1万点に減ると、自動車部品を製造している多くの中小企業が大変困る。
ところが、日本は戦後に蓄積されたモノづくりの技術があるから、特にすり合わせの技術というのは世界に冠たるものがある。だから、その情報を日本国内だけではなくてアジア、世界に情報発信するサイトをつくってほしいということを前から言っている。今、あいちビジネスチャンスナビという、中小・小規模企業向けポータルサイトをつくって情報発信していくことを検討していると聞いているが、具体的にどこまで今進んでいるか。
【理事者】
中小企業が国内外のスタートアップを含む様々な企業に情報発信し、新たなビジネスパートナーに出会えるように支援していくことは大変重要なことと認識している。
現在、経済産業局では、情報発信はもとより商談会、見本市出展支援など、海外を含め様々な販路開拓、マッチング支援事業を実施している。しかしながら、分野ごと、業種ごとに実施されていることから生かし切れていない面もあり、これらの施策を横断的に一元的に提供して、多くの中小企業に知ってもらい、活用してもらうという課題も抱えている。
そこで、これまでの施策を生かし、より多くの事業者の方に活用してもらえるよう、情報発信やビジネスマッチングの玄関口になる新たなサイトの構築を検討している。そして、このサイトは、県内中小企業に対するワンストップサービス実施機関である公益財団法人あいち産業振興機構のサイトに設置することを考えており、既にあいち産業振興機構とプロジェクトチームを立ち上げ、打合せを重ねている。また、このサイトが取り扱う支援事業は多岐にわたるため、そのプロジェクトチームには、当課のみならず経済産業局内関係課も参加し、一体となって取り組んでいる。
現在、検討に当たり基本的な考え方として、まず、情報発信、ビジネスマッチングの玄関口となるサイトとする。次に、このサイトは中小企業が極力負担をかけずに効果的に企業情報を発信できるものにする。続いて、県をはじめ、協定を結ぶなりして連携して施策を実施する国や、あいち産業振興機構などのマッチングを主とする施策を横断的、一元的に入手しやすく提供し、それらの施策の活用を高めることによって国内外に情報発信を行う。続いて、JETROなどの有用な既存のマッチングサイトが既にあるので、これを活用し、費用の縮小を図るとともに、相乗効果のあるものにするとして検討を重ねている。
また、他の自治体や支援機関からのヒアリングでは、マッチングサイトを設置するだけで効果を高めることは難しく、コーディネートする人が重要とも聞いているので、今後はこうしたコーディネート機能の必要性についても研究していきたい。
引き続き、プロジェクトチームで早期具体化に向けて検討を進めていく。
【委員】
ぜひこれを強力に進めてもらいたい。
日本のモノづくりの品質は高いという国際的な評価がある。情報発信して、こういう技術があるということが世界中に知られれば、全てのものがネットにつながるので、医工連携、医農連携とか、あらゆるところに恐らくヒットしてくると思う。それで、世界を相手にビジネスができれば、国内でなくてもいい。だから、これから重要な問題になると思う。
片やSTATION Aiは来年でき、その運用をソフトバンクがやるから、世界に大きく窓が広がって、インターナショナルに広がってきているから、ぜひ我々の愛知県のモノづくりの術技を、技を、世界に情報発信してもらいたい。そして、マーケットをアジアだけでなく世界に、ぜひ強力に取り組んでもらいたい。
それから、今、県内に6,000人から7,000人の東南アジアから来ている留学生がいる。彼らはその国ではエリートである。その人たちも巻き込んで、その国の言語で私は情報発信してもらいたいと思っている。また、彼らもそこでスタートアップになる可能性もあるし、優秀な人たちと、もうハングリー精神が全く違うので、留学生をうまく活用してほしい。
一番多いのが名古屋大学で、その次は愛知県立大学である。我が愛知県立大学にもたくさんの留学生がいるので、ぜひこの留学生の活用をしてほしいと思うがどうか。
【理事者】
本県の国際課において、本県で学ぶ外国人留学生がこの地域に定着し、県内企業で活躍してもらうよう、留学生と県内企業とをマッチングする事業を実施しており、そのサイトをつくっている。
この事業のサイトとも連携し、留学生と企業の接点をつくることによって、県内の就職につながるような工夫もしていきたい。
【委員】
前に経済産業推進監に、留学生をSTATION Aiに雇ったらどうかと伝えた。というのは、留学生が7,000人いても、3分の1は帰る、3分の1は国内で就職する、3分の1は日本語ができないので欧米へ行ってしまう。
だから、せっかく縁があって日本へ来て、国費の人がほとんどだが、優秀な学生をこれから引き留めておかないと、中々来てもらえない時代が来る。技能実習生はいるが、本国のほうが給料が高い。そういうことも踏まえると、もう少し日本にいたくなるような制度をつくらないといけないと思うがどうか。
【理事者】
留学生の愛知県での引き続きの活躍に関しては、我々も非常に重要な視点だと思っている。それで、実はもう既にそういう動きを始めている。県内で最大の留学生がいるのは、名古屋大学、愛知県立大学、愛知県立芸術大学をはじめ、南山大学、こういった留学生がかなりいる大学に、まずは在学のうちにSTATION Aiが何か、STATION Aiでどういった事業が行われているのか、特に海外連携やこの地域の特徴であるモノづくりとの融合、こういった事業が行われていることについて、我々が直接、大学を訪問して、各生徒、学生に説明するプロジェクトを今進めている。
既に愛知県立大学、それから、愛知県立芸術大学の日程はほぼ固まっており、今後、10月以降に名古屋大学に行くということも決まっている。それから、秋頃、南山大学に行くという話も実はもう決まっており、全て日本の学生だけでなく留学生を含めた形で、しかも留学生がこれから愛知で今後とどまってもらい、活躍できるようなことも含めて、STATION Aiプロジェクト全体についてしっかりと理解してもらう、そういった動きになっている。STATION Aiのオープンを待たずに、この愛知で留学生がしっかり活躍できる機会と場づくりに努めていきたいと思う。
【委員】
日本の戦後の教育は、ベンチャーというか、スタートアップをやろうという気構えがない教育をしている。だから、中々難しくて、時間がかかると思う。逆に、留学生を通じて東南アジア、世界の人たちでやる気のある人が日本に来てベンチャー、起業してくれという呼び水にも私はなると思う。そういう意味で、窓は世界に開かれたわけだから、とにかくグローバルに考えて、日本だけを相手にするのではなくて、特にマーケットはアジアだから、そういうことでぜひ頑張ってほしいと思う。