委員会情報
委員会審査状況
経済労働委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年6月24日(月) 午後0時57分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
林 文夫、山口 健 正副委員長
神戸洋美、須崎かん、石井芳樹、近藤裕人、政木りか、丹羽洋章、
谷口知美、天野正基、鳴海やすひろ、大久保真一、喚田孝博 各委員
経済産業局長、経済産業推進監、経済産業局技監、産業部長、
中小企業部長、革新事業創造部長、
労働局長、就業推進監、技能五輪・アビリンピック推進監
観光コンベンション局長、観光推進監、
労働委員会事務局長、同次長兼審査調整課長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第103号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第5款 経済労働費
第113号 愛知県スタートアップ支援拠点条例の一部改正について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第103号及び第113号
○ 請 願
第 13 号 「業務上仕方なくコロナワクチンを接種し、健康被害を受けた労働者に労災認定の可能性がある事を周知」について
第 14 号 「業務上コロナワクチンを接種し、健康被害を受けた労働者に労災認定の可能性がある事を周知」について
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第13号及び第14号
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(2件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 請願審査(2件)
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 休 憩(午後2時38分)
7 再 開(午後2時48分)
8 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
国際観光コンベンション推進事業費愛知「発酵食文化」振興協議会負担金2,382万円の補正予算の積算根拠及び期待する事業効果について伺う。
あわせて、インバウンド誘致について、発酵食を観光に活用している事例について伺う。
【理事者】
まず、事業の積算根拠について、本事業では大きく五つを予定している。
事業費約2,300万円の内訳としては、1、調査・事業計画策定で約1,000万円、2、シンポジウム開催で約180万円、3、展示会への出展で約200万円、4、モニターツアー及び関係者向け体験会実施で約400万円、5、ウェブサイトの制作で約520万円となっている。
最も大きな金額を占める1の調査・事業計画策定では、外国人旅行者へ向けて愛知ならではの発酵食文化の魅力を発信するため、県内観光資源の洗い出しや、インバウンドのニーズ調査などを経て、事業のコンセプトを定め、中長期的な取組の方向性を構築していく。
次に、期待する事業効果について、5月1日の愛知「発酵食文化」振興協議会立総会では、現在の課題として、愛知の発酵食文化の認知度の低さや、他地域との差別化の必要性などが挙げられた。本事業は初年度のため、訪日外国人の中でもどういったターゲットへ向けて、どのように愛知の発酵食文化の魅力を発信していくかをまずは定め、今後、認知度向上のための情報発信や、愛知ならではの独自性のあるブランディングをすることで、本県への誘客促進へ大きな効果が得られるよう取り組んでいく。
続いて、発酵食を観光に活用している先行事例については、新聞報道によると、実際に発酵食文化を観光資源として国内外から人を呼び込もうとする発酵ツーリズムの動きがある。発酵の有識者が発酵食文化をテーマとして、みそ蔵やこうじ菌の見学、料理等をパッケージにしたモニターツアーを開催したところ、大変好評を博したとのことで、発酵で観光客を呼び込んだ実績がある。ほかにも発酵食文化を活用した観光事業の先行事例として、秋田県が本県と同様行政主導の協議会である秋田県発酵ツーリズム推進協議会を設立し、2018年から2022年まで活動した実績がある。そのほか福島県が発酵食の認知度向上を目的として美を醸すふくしまをコンセプトとした事業を県単独で実施しており、また長野県では業界団体の呼びかけで発酵バレーNAGANOが2023年に設立され、民間のコンソーシアムでの活動が行われている。今後、国内外に向けてどのように発信をしていくかについては、協議会において議論していきたい。
【委員】
先行事例としては秋田、長野、福島で取り組んだ、また取り組み始めているが、国においても観光庁が積極的に推し進めているガストロノミーツーリズムに、今、スポットが当たっている。ガストロノミーはフランス語で、美食学、美食術という意味がある。その土地の気候風土が生み出した食材や習慣、伝統文化、伝統や歴史などを楽しみながら旅をするスタイルのことを指すので、今回の発酵食文化を活用した観光振興事業というのは、このガストロノミーツーリズムの一種であるといえる。
ただ、例えば京料理だと地域の名物料理、伝統料理であるのに対し、本事業は発酵食品という食材調味料、また発酵食文化にスポットを当てた取組であるためイメージが湧きにくい。発酵食材は、体にいい、健康にいいといった切り口や、日本の発酵食品の海外輸出をもっと一所懸命取り組んでいくといった切り口のほうが、私個人としては分かりやすいと思う。あえて発酵食品や発酵食文化をインバウンド誘致の切り口で、愛知県ならではの魅力を発信していく、その調査をしていくとのことであるので、他県でも取り組み始めており、差別化を図っていく意味でも、愛知県として一工夫、二工夫、何か必要ではないか。
そこで、事業を進めていくに当たり、どういった切り口、独自性、どのような工夫をするのか伺う。
【理事者】
愛知の発酵食文化の魅力は、何といっても多くの種類の発酵調味料、発酵食品が集まっている地域であることであり、これらが生まれた背景や、その後なぜ愛知で発展したかなどのストーリーをいかに伝えられるかが、外国人旅行者を呼び込む上で重要だと考えている。
そのため、ただ見せるだけではなく、歴史や文化を紹介しながら蔵巡りやテイスティング、発酵調味料を使った料理などの体験をコンテンツとして提供するなどの工夫を凝らし、インバウンドを呼び込んでいきたい。
【委員】
確かに愛知県はいろいろな発酵食がたくさんある。ただ、その食材、調味料をメインにしていくとコアな部分に入り込んでいく部分もありなかなか分かりづらい。そこまで外国人の方に知ってもらえれば、こんなにありがたいことはない。インバウンドの切り口も含めていろいろな工夫をしながら進めてもらいたい。
《請願関係》
なし
《一般質問》
【委員】
不妊治療と仕事の両立支援について伺う。
不妊治療と仕事の両立に困難を感じる理由は、通院回数の多さ、精神面での負担の大きさ、通院と仕事の日程調整の難しさなどが挙げられる。また、企業や職場内において、不妊治療についての認識があまり浸透していないことも両立が困難な背景としてある。また、不妊治療を受ける、あるいは受けていることを職場に知られたくないという人もいることから、非常に配慮が必要である。
以前、不妊治療を続けるために離職をした人から話を聞いた。職場の理解を得ることが難しいという理由からやむを得ない判断だったとしながらも、できれば仕事は辞めたくなかったと残念な気持ちを話していた。そうした悩みを抱える人は増加傾向にあると聞く。
県として、不妊治療と仕事の両立に悩んでいる人に対して、どのような取組を実施しているか、実績を含めて伺う。
【理事者】
近年、不妊治療を受ける人は増加傾向にあり、国の令和5年度不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査によると、不妊治療を受けたことがある労働者のうち約11パーセントの人が仕事と両立できずに離職しており、両立に悩む労働者を支援していくことは必要だと考えている。
そこで、本県では、仕事との両立に悩む労働者等を対象に、専門相談員によるオンライン相談を実施しており、昨年度は1回当たり3枠、計12回36枠の相談機会を設け、計22件の相談があった。
相談内容は、両立できるか不安がある、仕事を辞めて不妊治療を続けるか悩んでいる、治療のことを職場に伝えるべきか悩んでいるなどであり、相談員が実際の経験を踏まえながら不妊治療と仕事を両立する方法や、職場への告知時期などのアドバイスを行った。
なお、相談者からは、デリケートな内容であるが県事業のため安心して相談ができ、ありがたかった、悩みを客観的に整理することができたなどの声があった。
今年度は、より多くの人の相談に対応するため、午前から正午までの3枠で実施していた日曜日の開催を、午前から午後までの5枠に拡大し、計12回48枠で実施する。
【委員】
過去の議事録を見ると、令和2年10月2日の経済労働委員会で、公明党の委員から、不妊治療と仕事の両立支援の取組について質問があった。労働福祉課長からは、今後、事業者の取組状況を把握するとともに、不妊治療と仕事の両立支援をテーマとして取上げたセミナーなどで取組事例を紹介したり、またウェブ上で不妊治療と仕事の両立に関するページを設けたりするなど、事業者の職場環境づくりが進められるよう周知啓発に努めていくとの答弁があった。
その上で、企業や職場内において環境づくりを進めるために、どのような取組を実施しているか、実績を含めて伺う。
【理事者】
本県では、不妊治療に対する企業への理解促進を図るため、令和4年度に作成した治療と仕事の両立支援ガイドBOOKの中で、不妊治療と仕事の両立支援を取上げ、不妊治療の全体像や企業が支援する上でのポイント、企業の取組事例等を紹介している。このガイドブックは、国、経済団体、労働団体等を通じて企業等に広く配布している。
また、昨年度は、中小企業経営者などを対象に2回開催した治療と仕事の両立支援セミナーにおいて、実際に不妊治療と仕事の両立支援に取り組む企業の事例を紹介し、計52人の人が参加した。
今年度も、経営者などを対象に、治療と仕事の両立支援セミナーを開催し、不妊治療と仕事の両立についての現状や企業の取組事例を紹介する予定である。
【委員】
悩みを抱えている人に対して、また企業側に対して、両側面からの支援を進めており、これらの取組をより幅広く広報していく必要がある。
そこで、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
相談事業やセミナーの実施に当たっては、国、市町村、経済団体、労働団体や、愛知産業保健総合支援センター等の関係機関を通じて、企業等や労働者にチラシを配布するほか、県のウェブサイトやSNSを活用したPR、県が開催するイベントでの周知など、様々な機会を捉えて広報活動を実施する。
また、不妊に関する相談窓口である愛知県不妊・不育専門相談センターや、県内医療機関などとも連携した広報活動を行い、両立に悩む労働者に対し相談事業の利用を積極的に呼びかけていく。
国においては、不妊治療と仕事が両立しやすい職場環境づくりに取り組む企業を支援するため、両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)の支給や研修会等を実施しており、こうした情報についても県のウェブサイト等で周知を行っている。
あわせて、通院に必要な時間を確保しやすい働き方を普及するため、企業に対し時間単位の年次有給休暇制度や、テレワークの導入促進を図っている。
今後とも不妊治療を理由に労働者が離職することなく安心して働き続けられるよう、企業における職場環境づくりへの支援や両立に悩む労働者への相談対応にしっかりと取り組んでいく。
【委員】
今後のさらなる広報活動に期待する。
私が話を聞いた人も、どこにも相談できないといった精神面での負担が大きかったといっていた。県としてこうした相談窓口を設けてもらえることは、大きな安心感につながると思う。
また、昨年度、相談枠が日曜日の午前から正午までの3枠、火曜日の夜の3枠だったところを、今年度は、火曜日はそのまま、日曜日は午前から午後までの5枠に拡充している。
しかし、多種多様な職種があり、様々な生活リズムを送っていることを想定すると、開催枠がそれだけで十分とはいえないし、また現状オンラインで開催を実施しているが、中には対面のほうが安心して相談できるケースもあるかもしれない。
いずれにしても、少子化傾向が著しい社会動向の中にあって、子供を授かりたいと願う人々の切なる思いに対し、あらゆる面から支援できる体制をより一層拡充するよう要望する。
【委員】
私からは、STATION Aiの施設内容について伺う。
総工費153億円をかけて建設中のSTATION Aiであるが、10月31日にグランドオープンする記者発表資料を見ると地上7階建てとなっている。広く多くの県民が利用できる施設になっているのか、また、施設機能について、入居するスタートアップやパートナー企業向けはもちろん、一般の人が利用可能な内容も含まれているのか伺う。
【理事者】
まず、STATION Aiの概要について説明する。STATION Aiは、名古屋市昭和区の鶴舞公園南側に建設中のスタートアップ支援拠点である。敷地面積約7,300平方メートル、延べ床面積約2万3,600平方メートル、地上7階建ての施設である。
続いて、スタートアップやパートナー企業等が利用する会員エリアについて説明する。会員エリアの大部分は、3階から6階にまたがって設置されるオフィスである。オフィスは三つのタイプを用意しており、一つは壁により仕切られた個室、二つ目はじゅう器等により仕切られているものの個室よりオープンな固定席、三つ目が席を固定しないフリーアドレスのコワーキングスペースである。さらに、1階と2階にはものづくり系スタートアップ向けのテックラボを設けており、備付けの3Dプリンターや工作機械等を利用して試作品を製作してもらうことが可能である。このほか、2階には仕事と育児を両立させる会員向けに託児施設があり、7階にはエクササイズしながら交流も図ることができるフィットネス施設もある。
次に、一般の人が利用できる主な施設としては、1階にイベントスペース、カフェ、レストラン、コンビニエンスストア、2階には、本県にゆかりのある創業者等の名言や業績などを伝えるあいち創業館がある。それから、7階の宿泊施設は、会員はもちろん、一般の人も利用することができる。
STATION Aiは、スタートアップやパートナー企業等のイノベーションを支援するための施設機能や支援メニューを備えるだけでなく、多くの県民にスタートアップやイノベーションに触れる機会を提供することにより、起業家の裾野拡大につなげていきたいので、多くの人に来てもらいたい。
【委員】
多くの県民に利用してもらいたいとあったが、例えばどんな機会を考えているのか。
【理事者】
一般の人が利用できる施設の中に、イベントスペースがあり、200人ほど入る大きな施設であるため、こういったところでセミナーなどを開催してもらう。他に、あいち創業館を子供たちの遠足や社会見学などで使ってもらうことができるのではないか。
【委員】
2階のあいち創業館も11月1日に開館するが、具体的にどのような施設なのか。
【理事者】
あいち創業館は株式会社豊田自動織機の豊田佐吉氏、オークマ株式会社の大隈栄一氏など、本県にゆかりのある創業者、経営者54人の名言、業績、エピソードなどを伝える展示施設であり、STATION Aiに訪れる人や利用するスタートアップに勇気や励みを与えるとともに、子供たちに将来の起業家としての夢を育んでもらうことを目的としている。
具体的な展示内容については、展示施設全体として「展示パネルを見学する」と言うより、「デジタルコンテンツを来場者に体験してもらう」形式となっている。具体的には、映像や先進的なデジタル技術であるプロジェクションマッピング、メディアテーブル、生成AIを活用した四つのゾーンから構成されている。一つ目の偉人のトイカケゾーンでは、創業者の名言が壁に浮かび上がり、来場者の好奇心を高める仕掛けとなっている。二つ目の産業のルーツゾーンでは、映像で愛知の産業のルーツを紹介するとともに、創業者に関連する製品レリーフに来場者がタッチすると、創業当時の製品や風景などの映像がプロジェクションマッピングで紹介される。三つ目の偉人との出会いゾーンでは、展示のメインコンテンツになるが、大型のメディアテーブルに創業者や製品のアイコン等が表示され、それにタッチすることで創業者のエピソード、名言、製品などの情報をどんどん深掘りしていけるような仕組みとなっている。四つ目の探求・交流ゾーンでは、生成AIを活用したAIタイプ診断を体験でき、自分に似た創業者やライブラリーに置いているおすすめの書籍が紹介されるものとなっており、またスタートアップのピッチ等のイベントスペースとしても活用できるようになっている。
【委員】
スタートアップやイノベーションは、子供たちが柔軟な発想ができるよう、そういう概念が持てるような刺激を与えることも必要ではないか。スタートアップやイノベーションに触れる機会の提供を、子供に対して、タッチパネルやデジタルコンテンツで体験できるとの説明だったが、実際、子供たち、低年齢の子たちが概念、発想としてイノベーションを身近に感じられる、自然に発想できるような仕掛けが必要だと思う。学校行事でスタートアップの会場を使うことや、あいち創業館に遠足で来てもらうことを考えているか。
【理事者】
主に、小中学校の遠足や社会見学の施設として活用してもらうことを考えている。創業者たちが様々な努力により困難を乗り越え、社会課題の解決につながるような優れた製品やサービスを生み出すことで、社会や生活の向上、産業の振興に貢献したことを伝え、子供たちにチャレンジするマインドを与えることをコンセプトとしており、起業家等、未来のイノベーションを創出するような人材を育成することを目指している。
このあいち創業館は、デジタル技術を活用した体験型の展示であることで子供たちの好奇心を刺激し、学習意欲を高められることができる。展示内容に関連する学習用のワークシートを用意した上で、案内用のガイドを配置し説明を添えることにより、展示内容の理解が促進できるものとしていきたい。
【委員】
これからの時代を築く子供たちがイノベーションの概念を理解し、そして柔軟な発想や思考を養うことができるような仕組みが日本にも必要だと思う。
昨年、海外調査で行ったイギリス、スペインでは、スタートアップという発想自体がもうなかった。子供の頃から、いろいろな技術や社会の仕組み、システムに対してよりいいものを自然に発想できるような文化になっていると聞き、日本の遅れがそこにあると感じたので質問した。
子供向けのピッチイベントなども、大人が考える発想ではなくて、子供自身が柔軟な発想ができる、そんな場の提供をぜひして欲しい。STATION Aiが社会の変化に対応して、生活の向上や産業の振興がますます進む交流の場になることを期待する。
続いて、労働局関係の子育て女性の再就職支援について伺う。
先日、未就学児と小学低学年の子供を子育て中の女性たちから就労についての相談を受けた。子育てする女性が働き方を考えるときに、フルタイムの再就職はハードルが高い、子供が低年齢の場合には、特に幼稚園児や保育園児の場合は預かり保育をお願いすることも併せて考えなければならないし、また習い事をする場合も連れていく手間を考えると、誰かに代わりに行ってもらわなければならないので、それもなかなか難しい。また、世帯収入の手取りを考えると、実際には再就職して正社員になるメリットとパートのメリットをてんびんにかけると、パート、イコール扶養の範囲内での働き方を選択する女性が多かった。このような聞き取り調査結果を踏まえて伺う。
愛知県では、これまでウインクあいちに女性の働き手創出支援のため再就職サポートセンター、ママ・ジョブ・あいちに相談窓口をつくって女性の再就職支援に取り組んできた。ママ・ジョブ・あいちは平成26年から設置していると思うが、今日までの10年間で実際に訪れた人がどれぐらいか。また、電話やオンラインでの相談件数はどれぐらいか。相談者の推移と主な相談内容を伺う。
【理事者】
本県では、出産、育児等をきっかけに離職した女性の再就職を支援するため、あいち子育て女性再就職サポートセンター(ママ・ジョブ・あいち)を平成26年度から設置している。
キャリアカウンセラー等が窓口、電話等により一人一人の気持ちに寄り添いながら状況や悩みをしっかり傾聴した上で、丁寧に相談、カウンセリングを行っており、平成29年度からは市町村への出張相談、令和3年度からはオンラインでの相談も実施している。
相談件数は、設置してから昨年度までの累計で3,939件となっており、内訳は窓口相談1,772件、出張相談1,101件、電話・メール相談962件、オンライン相談104件となっている。
次に、相談件数の推移であるが、開設年度である平成26年度の262件から徐々に増加しており、コロナ禍の令和3年度は353件と一時落ち込んだが、その後は再び増加し、昨年度は499件の相談があった。昨年度の内訳は、窓口相談146件、出張相談180件、電話・メール相談120件、オンライン相談53件となっている。
次に、利用者からの相談内容については、離職のブランクや仕事と子育ての両立に対する不安のほか、扶養内で働いているが正社員で働くか悩んでいるなど様々な相談があり、キャリアカウンセラーが一人一人に合った仕事の選び方や就職活動の進め方、正社員、パート等を含めた長期的な視点でのキャリアプランの立て方などについてアドバイスをしている。利用者からは、自分に合った仕事の探し方を教えてもらった、今後の働き方のイメージができたなどの声があった。
【委員】
6月8日に女性のための就職支援フェスタを実施したチラシを見たが、参加状況はどうか。会場とオンラインで各定員20人とあったが、どのぐらいの参加者だったのか。
【理事者】
6月8日に実施した就職支援フェスタには、会場12人、オンライン21人、計33人の参加があった。参加者からは、子育てとの両立の工夫方法について話が聞けてよかった、自分と似た状況の人と話し合うことができ、自分も頑張ろうと思ったなどの声があった。
【委員】
今の人数は、かなり少ないという印象を受けた。オンライン参加であれば、100人でも200人でも参加できるはずなので、そういったこともしっかり考えてもらいたい。先ほどの相談件数でのオンラインは多分メールではないかと思うが、今の就職支援フェスタの場合のオンラインは、自分が家にいて参加ができるオンラインであるはずなので、もっと周知すれば参加する人も増えていくのではないか。
これから再就職しようと考えている人たちは、子供が小さいので、子供がお昼寝の間や学校に行っている間に短時間で情報が手に入るような形を取ると、もっと利用者が増えるのではないか。実際のところ、欲しい情報が簡単に手に入り気軽に相談できるようにするには、わざわざ窓口に行かなくても、オンラインでメールの返信を待たなくても、例えば、生成AIでチャットのやり取りができたりとか、LINEでのやり取りができたりといった、もっと手軽にオンラインを活用して相談ができる仕組みを考えてもらいたい。
女性で再就職を考えている人はたくさんいるが、正社員になることのメリット、デメリット、世帯収入がどれだけ増えるのかをシビアに見ており、今の若い人たちのタイムパフォーマンスのいい生活をしようという志向からすると、行政もそれに合ったサービスの提供が必要ではないか。女性が働くに当たり、短い時間でもしっかりと働き、成果、生産性を上げることが非常に重要だと思うので、子育て中の女性がこれから社会に参画していくハードルをできるだけ下げる窓口を、愛知県で用意することを要望する。
【委員】
飲食店等小規模事業者支援について伺う。
地元商店街でラーメン屋を経営している店主の声であるが、1日50キロ以上、週末は70キロから80キロ使うモヤシをはじめ、材料費は1.5倍から2倍近くに高騰した、光熱費も上がり、原価率は4割を超えており利益はほとんどない。そこに追い打ちをかける新たな問題が目前に迫っている、それが2004年以来20年ぶりに発行される新紙幣に対応した食券券売機の更新とのことだった。
いよいよ来月7月3日の新紙幣の発行まで1週間と少しとなったが、今、券売機の更新は大手飲食チェーン店やコンビニエンスストアなどからの大量受注に生産が全く追いついていない状況にあり、新機種はかなり高額で取引がされているそうである。このラーメン屋の店主は、こうした資金繰りも今は大変厳しく、できない状況にあるので、手間はかかるが、当面の間は新紙幣を持ってくる客に対して、手作業で旧紙幣と交換して対応するしかないと深いため息をついていた。
そこで、このような新紙幣の対応に苦慮している県内の小規模事業者に対して、県としてどのような認識か伺う。
【理事者】
飲食店や各種サービス業、とりわけ小規模事業者においては、コロナ禍が沈静化するものの生活様式の変化や物価高により消費が停滞し、光熱費、原材料や人件費の高騰による売上げや収益の低迷、さらには人手不足に直面するなど、非常に厳しい経営環境にあり、こうした中での券売機の更新は資金的余裕のない小規模事業者において大変な負担になると認識している。
県としては、毎年、職員が直接、県内中小・小規模事業者約100社を訪問し、現場の生の声を聞くヒアリング調査を実施しているが、その中で現状の課題の聞き取りを行うなど、本件に関して幅広く情報収集に努めていく。
【委員】
資金的余裕のない小規模事業者において大変な負担になるという認識であった。
大手券売機メーカーによると、千円札のみに対応した券売機を更新するのに約70万円、五千円札、また一万円札にも対応した券売機になると150万円から200万円くらいの更新費用が必要とのことであった。
このラーメン屋では、200万円を取り戻そうとすると、ラーメンを3万杯売上げないとならず、もうお手上げである。昨年も新五百円硬貨に対応する更新をしており、そこもかなりの負担だっただけに、経営面において非常に大打撃だと嘆いていた。
2004年からの20年間にカメラ、またコピー機、プリンターの性能が飛躍的に向上したこともあって、令和元年からの3年間を見ても毎年2,000枚程度の偽札が発見されている。そのために、今回世界初となる肖像画を立体的に見せる3Dホログラム、お札の角度を変えると肖像画が浮かび上がりいろいろな角度から見ると形が変わる最新の技術を導入した偽造防止や、また目の不自由な人がお札の種類が識別しやすいようにユニバーサルデザインへ変更を行う。こうした国の判断は理解するが、併せてこうした事業者への支援が必要だと考える。
そうした中、新紙幣に対応するための更新に対して補助金を交付する自治体がある。本県の大口町では、対象経費の2分の1を、50万円を上限に補助している。東京都の葛飾区もしている。また、IT導入補助金のインボイス枠と併せて申請することで、20万円の補助が受けられる国の支援策もあるようだが、私が聞き取りした地元の小規模事業者、愛知県麺類食堂生活衛生同業組合、また愛知県中華料理生活衛生同業組合の人々は、こうした制度のことは、ほとんど理解されていなかった。ただ、国が行っている小規模事業者持続化補助金などの活用は、新紙幣への対応だけでは採択されないのではないかといった不安や、中途半端なうわさだけが広がっていた。
この問題は国にあり、国の責任で丁寧に説明するのが当然であるが、県民の一番近くの行政の窓口は市町村であり県だと考えるので、県としても相談窓口の充実や、県保証協会とも連携した資金繰りへのサポートを期待する。
こうした人たちの中には、この際にPayPayなどのキャッシュレス化を考えるといった意見もあったが、PayPayや交通ICカードは手数料3パーセントが負担になるのと、古くからの高齢の常連客のことを考えると、キャッシュレス化も非常に難しいと頭を抱えていた。
そこで、本県としてこうした新紙幣の対応に苦慮する小規模事業者に対して、今後支援をしていく考えがあるのか伺う。
【理事者】
県では、中小・小規模事業者の総合的な支援を図るため、県内各地に約100か所の総合相談窓口を設置している。その中でも、あいち産業振興機構、各地域の商工会、商工会議所においては、相談内容に応じて支援施策や補助制度の案内、各種申請支援などを実施している。
今回の新紙幣対応券売機等の改修や買換えに係る直接的な補助制度を国や県では実施していないが、例えば、国の小規模事業者持続化補助金のように販路開拓や生産性向上に向けた経営計画を作成することにより補助対象となり得る制度もあることから、総合相談窓口等において支援制度の案内や補助金申請のサポートを実施していく。
また、券売機に限定したものではないが、本県では中小・小規模事業者が設備を導入する際の資金需要に応えるため、金融機関との取引が薄い事業者でも比較的資金調達しやすい小規模企業等振興資金(小口資金)や、長期の低利な設備資金としてパワーアップ資金(設備投資促進枠)など、愛知県信用保証協会と連携し、様々な融資メニューを用意している。利用を検討する場合は、取引金融機関や愛知県信用保証協会に相談してもらいたい。
こうした窓口相談や融資制度の実施により、関係機関と連携しながら新紙幣への対応に苦慮する小規模事業者に対して支援していく。また、愛知県商店街振興組合連合会や、愛知県商工会議所連合会など、関係団体とも情報共有しながら連携を図り、新紙幣に対応する小規模事業者に対する支援策について必要に応じ国に対し働きかけ等を行っていく。
【委員】
最後に要望する。
報道や各種団体への聞き取りでは、7月3日の新紙幣への対応について、銀行ATMや、鉄道の券売機などは今月中に、ほぼ更新が完了する予定であるが、まちのコインパーキングでは半分も行っていない状況であり、飲料等の自動販売機に限っては到底対応できない状況でまだ1割程度とのことであった。日本自動販売システム機械工業会の発表だと、日本全体でこの更新に1兆2,600億円が必要であり、かなりの金額になっている。先ほどの銀行ATMや鉄道系の券売機など、こうした大きなところはしっかり対応ができている。ゲームセンター、遊技場、パチンコ屋にも聞いたが、大きなパチンコホールだと遊技台が500台、その全部にお金を入れるところがあり、台数掛ける何十万が必要となるため、この先やっていけるのかという不安もあるが、こういう業界は、しっかりと業界全体で対策を行っているそうである。
国が直接行う政策に対応できない小規模事業者に寄り添った支援策、また、国に対しての働きかけを充実してもらうことを要望して、質問を終わる。
【委員】
スタートアップの育成、新産業の創出、それらに絡むオープンイノベーションの促進について伺う。
先ほど、委員から10月開業のSTATION Aiについての質問があり、施設の中身について説明があった。公共事業の建物を造るに当たり、県民が使いやすい施設を考え、また偉人館を設けているが、大村秀章知事が盛んに言っているイノベーションの創出、スタートアップをどれだけユニコーンに成長させられるかにかかっていると思っている。
思い返せば、この案は随分前から出てきており、私も8年前頃、北米、カナダで視察した内容を持ち帰って執行部と議論をすると、総花的とは言わないが、相当壮大な話となり、何となく分かったのか、分からないのかという段階であった。
いよいよこれで開業するので、具体的な考えを確認するために質問をする。
改めて部局のホームページを確認したら、担当部署の革新事業創造部では三つの課があり、そのうちのスタートアップ推進課と海外連携推進課の二つの課では、この直近の1か月間に随分いろいろな事業をやるということが挙げられている。
紹介すると、スタートアップ推進課は、5月の段階で一つ、あいちスタートアップ創業支援事業費補助金。これは起業支援金の補助の対象事業を公募する内容である。それから、6月には四つの募集をしている。一つは、起業家発掘育成事業の実施、アクティベーション ラボ・STAPSを始動する。あと幾つかあるが、アイチ コ・クリエーション スタートアップ プログラム 2024の参加スタートアップを募集。アイチ スタートアップ ブリッジ第1回ミートアップイベントの参加者募集。小中高生起業家精神育成事業アイチ スタートアップ スクール 2024の参加者を募集。
それから海外連携推進課では、シンガポールスタートアップ・エコシステム連携事業アイチスマート サスティナブル シティ コ・クリエーション チャレンジのパートナー企業を募集。世界トップクラスの経営大学院INSEADと連携した、INSEADイノベーションプログラムの参加者を募集。シンガポールスタートアップ・エコシステム連携事業アイチ グローバル スタートアップ セミナー 2024 日本企業と海外スタートアップとの連携についての参加者を募集。最後が、A2(Aichi-Austin) イノベーション キック・スタート プログラムで、今年度海外視察予定と承知しており、連携で何かする募集だと思っている。このようにたくさんのスタートアップ募集メニューを矢継ぎ早に挙げて、しっかりとした体制をつくっている。
これまでSTATION Aiができる前の段階でスタートアップを募集し、名駅にあるPRE-STATION Aiの先月末の登録は411社であり、県内のみならず県外が251社、海外からも30社と聞いている。スタートアップ自体はそれなりの数がそろってきた感覚ではあるが、現実問題、やる気のある起業家が集まってきただけで果たしてそれで税金を投資しただけの見返りがあるような事業につながってくるかが不安である。
さきの代表質問の知事の答弁で、会員募集については、先ほどの411社のスタートアップのほかに、ものづくり企業をはじめとする事業会社や金融機関、教育機関など、多様な属性の団体から申込みがあると聞いた。
そこで、他団体について、どういった企業があったのか伺う。
【理事者】
STATION Aiの会員募集では、多様な属性の団体から、今、申込みがある。
申込み後の流れについて簡単に説明すると、審査を経たオフィス会員は、どの場所に入居をするかを決定した上で契約する流れになっている。現在、その審査や配置について調整をしている段階のため、個々の企業などについて公表していない。簡単に言うと、PRE-STATION Aiのメンバーであるスタートアップ、製造業やサービス業などをはじめとした事業会社、銀行や証券会社といった金融機関や、大学それから支援機関などから申込みがある。
4月1日に会員募集を開始したが、7月5日に一旦締切り、その後は随時受付を行う形で進める。
【委員】
心配はやる気のある、あるいは、とてもいいアイデアのあるスタートアップでも大きなネックになるのが資金だと思う。先ほど知事の答弁の中に金融機関とあったので、どんなところが入ってくるのか聞いたわけである。
先ほど紹介したアイチ スタートアップ ブリッジ第1回のミートアップイベントの参加者募集について細かいことを確認すると、スタートアップが成長するために必須である資金調達を支援する最大の担い手であるベンチャーキャピタルが当地域に不足していることを県は認識しており、それを補うために今回そのミートアップイベントをやると思う。
そこに集うことでいろいろなスタートアップの人たちが刺激を受けて新しいものができることが一番大事ではあるが、その流れの下に、先ほどのミートアップイベントの参加者である、投資家や、あるいは支援する企業がしっかりとした形でフォローすることが本県のスタートアップ事業の成功につながると思う。
多額の税金をつぎ込む事業であるので、県民にとって見返りのあるものでないと困る。スタートアップの事業がうまくいっても、そのまま起業家がよそへ行ってしまっては困る。対応は難しいが、一つの方法として、今募集している内容でいろいろと支援し、県民や県職員、県の支店あるいは、本店のある企業と根付くことによって、愛知県でやるからメリットがあるんだ、と持っていかないと絶対いけない。
このSTATION Ai開業後、5年を目途に1,000社を目指すとしているが、今いった税金に対するリターンとはいわないが、しっかりとした当局のビジョンがないと、ただ集まってもらっただけになる。そこで、ビジョンについてどう考えるのか伺う。
【理事者】
まず、アイチ スタートアップ ブリッジについて、簡単に説明する。愛知県が認定しているAichi Partner VCは15社あり、これらの事業者は首都圏のいわゆるベンチャーキャピタル(VC)である。この事業者と当地域のスタートアップが出会う場を提供するイベントが、アイチ スタートアップ ブリッジである。
続いて、スタートアップに対してどのようなビジョンを持って支援を行うかであるが、県ではものづくり融合型の愛知県独自のスタートアップ・エコシステムの形成、これを基本コンセプトとして各種施策を実施している。その目指すところはユニコーンの創出など、スタートアップの成長による新産業の創造に加えて、スタートアップとものづくり企業をはじめとした事業会社等とのオープンイノベーションの推進である。オープンイノベーションが活発に行われるためには、より多様な属性の企業や団体が会員となることが重要であるので、STATION Aiではスタートアップに加えて、スタートアップとの協業や連携によるオープンイノベーションに意欲のある企業、金融機関、大学など、パートナー企業として誘致に取り組んでいる。
STATION Aiでの支援は、起業や投資経験があり、事業開発に知見を持つ統括マネジャーや、研修会、交流会をはじめとしたネットワーキングに豊富な経験を持つコミュニティーマネジャーを配置して、スタートアップの成長支援とオープンイノベーションの推進、この両面の視点で取り組んでいきたい。
また、起業支援金やスタートアップ ブリッジなど、スタートアップの資金調達の支援や小中高生起業家精神育成事業のような将来の起業家、あるいは事業会社で新事業開発に取り組むような人材、こうした人材の育成も推進して、様々な取組に総合的に実施する中で、本県独自のスタートアップ・エコシステムを形成していきたい。
【委員】
1,000社を目指すに当たり、言葉として分かりづらいのがスタートアップ・エコシステムだと思う。私の認識ではスタートアップだけではなくて、既存の企業や、違う産業の絡みで愛知県独自のスタートアップを育んでいくことと思う。6月に入ってから募集が始まったアイチ コ・クリエーション スタートアップ プログラム 2024では、ヘルスケアやウェルビーングに関する地域課題、農業や食などに関する地域課題、まちづくりや観光に関する地域課題、ものづくり企業の活性化に関する地域課題、脱炭素推進やサステナビリティーに関する地域課題、こういった五つのテーマを設定して今回募集をかけている。
本県はものづくりの県であり、先ほどの施設案内の中に、ものづくりラボがある。本県の、ものづくり産業といい意味で連携が取れるようしっかりと着眼し、目を向けていることがとてもいい発想だと思う。それから知事の代表質問の答弁の中では、農業のこと、愛知県農業総合試験場との絡み、それからヘルスケア、これも大府市の国立研究開発法人 国立長寿医療研究センターとの連携もある。
先ほど言ったように、本県の深い関わりのある産業や業種、実際の団体、企業と結びつくことによって本県の本当にものになるスタートアップになっていくと思うので、よろしく願いたい。何よりも海外連携で知事はじめ部局には何度も海外に行き、いろいろな連携を取っており、すごく大きな財産だと思う。ここまで海外との連携をしっかりやったものを本当にものにすれば、相当な期待ができる。スタートアップの育成や新産業の創出、スタートアップと企業のオープンイノベーションを促進して県内経済を活性化するために、国内の企業やスタートアップだけでなく、海外スタートアップともしっかり連携することが必要である。
そこで、どのように海外スタートアップをSTATION Aiに呼び込むのか、改めて伺う。
【理事者】
STATION Aiへの海外スタートアップの誘致は、STATION Aiが世界に伍するグローバルコミュニティーを形成するために重要な取組であると認識している。そのために、本県と既に連携している海外7か国16のスタートアップ支援機関等との連携事業を通して、各地域のスタートアップと県内企業との協業やSTATION Aiへの誘致などを進めている。
また、連携の有無にかかわらず世界各国から日本進出を目指す海外スタートアップを支援するプログラムを実施している。これまでもヨーロッパやアメリカ、アジアなど、様々な国のスタートアップを本県に招聘し、県内企業との協業などを進めてきた。
さらに、STATION Ai株式会社と連携して、多くの海外スタートアップが参加する海外、国内の展示会に出展するとともに、海外向けSTATION Ai入居説明会や、海外スタートアップと県内企業等との交流会を定期的に開催することに加えて、ソフトバンクグループのグローバルネットワークを活用した海外スタートアップの誘致にも取り組んでいる。
今後もSTATION Ai株式会社とともに、こうした取組を引き続き強力に推進し、海外スタートアップの誘致に努める。
【委員】
今、7か国それぞれにしっかりした取組を始めかけている、あるいは進めている、また取り組むべき海外も、まだあるかと思う。今日はあえて国名を出さないが、こういった取組についてこれからもしっかりと進めることを期待する。もう一点指摘するが、STATION Ai株式会社はソフトバンク主体であり、どうしても本県に属する団体だとあまり認識できないのは私だけかもしれないが、愛知県で花を咲かせたときに、ほんとに手離れしないように、しっかりとコントロールしながらこの事業を大成功に導くよう、今が一番大事なときだと思うのでよろしく願う。
【委員】
私もスタートアップ関連で伺う。
委員の質問と重なる部分があるが、先ほどSTATION Aiで1,000社集めるのが目標で、その1,000社がほかのところへ行ってしまっては困るという話があった。実際、PRE-STATION Aiのメンバー411社のうち、3分の1が本社を愛知県に置く企業で、それ以外3分の2は、県外及び国外に本社を置く企業となっているが、県外や国外に本社を置く企業に、本県がPRE-STATION Aiや、STATION Aiという場を提供する意味と、本県にとっての価値、今後の展望について伺う。
【理事者】
県のスタートアップ施策の方向性に関係するため、まずこの点について説明する。
県では、2018年に策定し毎年更新をしている、Aichi-Startup戦略に基づいてスタートアップ戦略を実施している。目指すところは、今後も引き続きこの地域が我が国の発展を強力にリードしていくことである。そのためには、スタートアップを起爆剤としたイノベーション創出の土壌をつくる必要があり、これに向けてSTATION Aiを中核とした愛知県独自のスタートアップ・エコシステムを形成していくという考え方である。
その方策を考えるに当たり、世界のスタートアップ・エコシステム先進地に目を向けると、常に外部を含む多くの人材が行き交い、まち全体が活気にあふれていることが分かる。当地においても、スタートアップ・エコシステムを形成していくに当たり、先進地と同様に多くのスタートアップ関係者が集まり絶え間なく交流し、相互に刺激し合うことで新たなアイデアやビジネスを生み成長させていくことが必要不可欠である。これが基本的な考え方である。
次に、STATION Aiプロジェクトにおいて、世界中のスタートアップ等に門戸を開いている点について説明すると、これまで述べたとおり、スタートアップ・エコシステムの形成のためには、より多くの人材を集積させる必要があるという考え方に基づいている。
PRE-STATION AiやSTATION Aiに世界中からスタートアップや事業会社等を集め支援していくことで、絶え間ないイノベーションの創出を推進し、事業の成長や新事業展開などの成功の好循環を生み出していくことにより、県内のスタートアップを成功に導くことができるし、事業会社にとっては、より多くのスタートアップ等とつながることによって新しい製品ができ、新事業展開に貢献できると考えているので、これが世界に門戸を開く意味であり価値であると思っている。このことからこれからの展望としては、今後も引き続きこの地域が日本の成長エンジンとして、我が国の発展をリードし続けていることにつながっていくと考えている。
【委員】
PRE-STATION Aiのメンバーから参加してよかったという声を聞くが、実際に愛知県へ本社を移転した例はあるか。
【理事者】
実際に、県外のものづくり系のスタートアップが、この地域の、例えば自動車サプライヤーとつながり、まず新しい事業を一つ起こす。それにつながり、また別の会社という形で、どんどん仕事を広げていって、県内に支店を設けた例はある。
【委員】
今年度末に本県で初めて開催する予定のスタートアップ関連イベント、仮称でグローバルイベント2025について伺う。
5月臨時議会で知事から、起業家でスタートアップ支援を多く手掛けている奥田浩美氏をプロデューサーに任命し、実行委員会を設立したという話があった。このグローバルイベントについて、本県予算と全体予算、実行委員会のメンバーやスポンサーなどの状況について伺う。
【理事者】
まず、このイベントでは、内閣府からグローバル拠点都市として選定されているセントラルジャパン スタートアップ エコシム コンソーシアムの主要メンバーである一般社団法人中部経済連合会、名古屋大学、愛知県、名古屋市により実行委員会を組成している。
次に、予算について、本県では令和6年度当初予算で実行委員会への負担金と事務費を合わせて1億3,000万余円を計上している。イベント全体の予算は、名古屋市からの1億3,000万円など、実行委員会メンバーからの負担金の合計金額2億6,200万円である。
それから、スポンサーについては、現在スポンサーメニューを検討しており、内容が固まり次第働きかけを行っていく。
【委員】
スポンサーを集めることもかなり大きな仕事になってくるので、よろしく願う。
私は、この3月に東京で開催されたSusHi Tech Tokyo 2024へ行ってきた。SusHi Techというのは、Sustainable High City Tech for a Futureの文字を取ってSusHi Techという言葉になっている。
このSusHi Techのプログラムは三部構成で、一つは子供たちなども近未来の技術を体験できるショーケースプログラムがあり、私も宇宙エレベーター体験プログラムで乗船してきた。二つ目は、アジア最大級のスタートアップイベントであるグローバルスタートアッププログラム、三つ目が五大陸から都市のリーダーが集う国際会議であるシティーリーダーズプログラムで、この三つのうちグローバルスタートアッププログラムが、今回愛知県が開催予定のグローバルイベント2025に近いと思っている。
このSusHi Tech Tokyoのグローバルスタートアッププログラムは、セッション、ピッチコンテスト、ブース展示、ミーティングという内容で多くの人が集まっていた。イベントに参加するには、投資家は6万円、一般は2万円、学生2,000円が必要で、オンラインチケットは無料だった。私はオンラインチケットでセッションを幾つか視聴したが、スタートアップに通じる世界の課題意識なども知ることができて、わくわくするそんな高揚感を持った。また、ピッチコンテストでは43の国と地域の約500社が参加して、その中から日本の企業である株式会社ファーメンステーションという発酵技術で未利用資源を発生、循環させる社会を目指すところが最優秀賞に輝いた。ファイナリストには、多くの海外の参加者も登壇していて、様々な国との交流がされていると感じた。
これが東京で行われていたSusHi Techの概要であるが、本県もブース展示で参加しており、SusHi Tech以外にもこれまでスタートアップイベントに県の職員が参加したと聞いている。
そこで県の職員のスタートアップイベントの参加状況と、それによって得たものをこのグローバルイベントにどのように生かしていくのか伺う。
【理事者】
スタートアップに関連する国内イベントは、東京で開催されるSusHi Tech、京都で開催されるIVS、札幌で開催されるNoMapsなど、各地で開催されている。
今回、我々が取り組んでいるグローバルイベントは、参加者数を5,000人と想定しており、当地域でこの規模のスタートアップに関するイベントを開催するのは初めてであるため、他の地域で開催されるイベントに職員が積極的に視察するほか、一部のイベントでは事務局の一員となり運営に携わるなどして、スタートアップ・エコシステムに係るプレーヤーとの関係を構築するとともにノウハウの獲得に努めている。
こうした中で、例えば、エコシステム関係者を引きつける魅力的なコンテンツとはどういったものか、参加者同士の交流に適した会場配置をどう行っているのか、イベントテーマをどう会場の演出に反映させるのかといったノウハウを獲得してきているので、グローバルイベントの成功に向けては、こうしたノウハウを企画や運営に投入していきたい。
【委員】
職員が実際に体験して、それを今後のイベントに生かすとことは大切なことである。知事の海外渡航だけではなく、ぜひ積極的にイベントに参加し知見を得ていってほしい。
先ほど、委員から海外交流の話があったが、上海、シンガポールにもスタートアップ企業を派遣する取組が進められている。また、愛知とオースティンのA2 イノベーション キック・スタート プログラムを進める中では、今年度初めて来年3月に開催されるサウス・バイ・サウスウエストにスタートアップ企業の派遣を行うことを県のホームページで見た。
サウス・バイ・サウスウエストについて、私はこれまでも本会議場で話をしており、1987年に音楽祭として始まったものが、音楽、映画、最先端テクノロジーの大規模総合イベントになり、多くの人がまたここに行きたいと思うようなイベントに発展しており、交流の中でいろいろなことが生まれている。
このサウス・バイ・サウスウエストは、国際課でも学生交流発表事業として学生を派遣しているが、2024年に派遣された学生チームの一つに、日本の農産物のサプライチェーンの再構築を目指しているUmai Japanという名前のチームがあり、先ほどのSusHi Techもそうだが、こういった分かりやすい日本語のネーミングはとても大切だと思う。先ほど、発酵食文化の話もあったが、愛知県といって目を引く、耳目を集めるようなネーミングが大事だと思うので、ぜひその辺りの工夫もしてほしい。
サウス・バイ・サウスウエストもロゴに人気がある状況だが、今度のグローバルイベントの名称検討はどのようになっているのか伺う。
【理事者】
グローバルイベントの名称は、プロデューサーである奥田浩美氏と実行委員会を含む関係者が共同で準備を進めており、コンセプトの設定を行っている。コンセプトの設定後に、コンセプトに基づいて名称を決定し、その後それぞれのイベントの具体的な内容の検討に入っていく。グローバルイベントは国内外から広くスタートアップ、事業会社、投資家などが集う場であり、国内外問わず誰に対してもコンセプトに込めるメッセージが伝わり印象に残る名称としていきたい。
【委員】
サウス・バイ・サウスウエストも、ユニコーン企業を生み出すようなイベントになっており、フェイスブックやエアビーアンドビーがこの見本市に出展した後で急成長したことでもよく知られている。すごいイベントであるが、そのコンセプトと本県が行うグローバルイベントのコンセプトは違うと思う。VCを集める、愛知県に目を向けてもらう、STATION Aiを利用してもらうなどコンセプトは違ってくるのではないか。
最後の質問で、本県のグローバルイベントは複数会場で講演やセッション、ピッチコンテスト、多様なサイドイベントの開催を予定しているが、本県イベントの特徴をどのように打ち出そうと考えているのか。また、開催への意気込みを伺う。
【理事者】
進捗状況については、現在コンセプトを検討している。
コンセプトについては、当地域の歴史や産業、文化等における特徴や強みと、現在のビジネストレンドや社会、環境、経済問題などについてのグローバルな視点での課題等を掛け合わせることで、当地域の可能性や本イベントを当地域で行う意義を見いだし、世界に発信できるものとしていきたい。これこそが本イベントの特色になるのではないかと考えている。
本イベントは、この開催を契機として、世界に伍するスタートアップ・エコシステムの形成や、当地の国際的な存在感の向上につなげていくことを目的としているので、海外や国内で開催されているイベント等も参考にし、グローバルな視点も踏まえながら、この地域ならではの特色をしっかりと打ち出していけるイベントとして企画、開催をしていきたい。プロデューサーの奥田浩美氏をはじめ、皆で連携して多くの人々の参画を図っていきたい。
【委員】
これからいろいろなことが決まっていく段階であるが、ぜひインパクトのある言葉で打ち出してもらいたいと思っているのでよろしく願う。
【委員】
私からは観光事業について質問する。
観光はある意味産業であり、愛知県の中の位置づけでも製造業、科学に続く。新たに産業を創出するよりも人を呼び込むことによって税収を増やす。今後人口が減っていく中で、例えば1人の年間消費額が130万円とすると、外国人旅行者を8人呼び込む、国内旅行者は宿泊で23人呼び込む、日帰りで75人を呼び込むことによって、人口の減った分の経済効果を賄っていこうとする中で、2019年の観光消費が本県にもたらす経済波及効果としては1兆2,000億円を超えたというデータがある。そこにはまだ追いついてはいないものの、今後そこを目指してさらに超えていかなければいけない。他府県を含めるとたくさんの観光需要があり、オーバーツーリズムという言葉もある。例えば京都や富士山の見えるところでは箇所によってオーバーツーリズムになっている。
まずは、本県の実態として、県内で、今現在オーバーツーリズムで苦情がきているとこはあるか。
【理事者】
オーバーツーリズムの定義については、観光白書によると「特定の観光地において、訪問客の著しい増加等が、市民生活や自然環境、景観等に対する負の影響を受忍できない程度にもたらしたり、旅行者にとっても満足度を大幅に低下させたりするような観光の状況」とされている。
このオーバーツーリズムの定義に合致するかは一概に言えないが、例えば、犬山市では多くの観光客が城下町の本町通に集中することで、住民への影響が顕在化していると聞いているし、また香嵐渓も紅葉の時期には観光客が集中しているといった話も聞いている。
【委員】
オーバーツーリズムと需要が多いのはある意味紙一重であるが、いろいろな意味で愛知県内を多くの観光客に回ってもらうことが大変大事である。一つ成功事例としては、昨年「どうする家康」が大河ドラマをやったときに協議会をつくって、放送の1年ぐらい前から県は協議会をつくりながら多くの人々に来てもらった。新聞に掲載されていたと思うが、経済波及効果としてはどのくらいあったのか。
【理事者】
大河ドラマどうする家康関連の経済波及効果について、一つは、放送前ではあるが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングと名古屋観光コンペンションビューローが調査したものによると、2023年1年間における愛知県への経済波及効果が約393億円、うち名古屋市が約140億円であった。これは放送前で、過去の大河ドラマ放映の事例を参考に、一定の仮定の下に行った試算と聞いている。
そしてもう一つは、放送終了後の3月に岡崎市が発表しており、その資料によると岡崎大河ドラマ館の来館者63万人余りと、大河ドラマ関連の市内のイベントや施設の来場者52万人余りによる市内の観光消費額から推計した経済波及効果が約110億円と聞いている。
なお、これとは別にパブリシティ効果が約33億円とのことである。パブリシティ効果とは、大河ドラマ関連で岡崎市が新聞やニュース、メディア等で放送された時間や記事の面積などにメディアごとの広告掲載単価を乗じて推計されたものと聞いている。
【委員】
ジブリパークの経済効果は480億円と言われて我々は議決をした覚えがあるので、ある意味それに近い額が経済効果としてあったという中で、再来年の大河ドラマ豊臣兄弟は、前回のどうする家康の舞台が三河地域だから、多分尾張地域が中心になると思う。再来年ではあるが、協議会も含めて、どのような仕掛けを行っていくつもりでいるのか伺う。
【理事者】
2026年に大河ドラマ豊臣兄弟が放送予定である。現在、愛知県がこの放送の中でどの程度取上げられるか、NHKと打合せを行っている。今後、それらを踏まえて、また、市町村等の意向も踏まえながら、どのような取組が愛知への誘客に効果的か検討していく。
【委員】
ある意味仕掛けだと思っている。昨年、議長のときに京都府議会議長へ、京都府はオーバーツーリズムで大河も毎年のように京都府が関わってきますよねという話をしたら、京都府議会議長は、毎年関わっているからある意味特別感がない。だから、何の仕掛けをするわけでもないし、そのまま過ぎていってしまうという話をされていたのが印象的であった。
豊臣兄弟だからといって愛知県にお金が落ちるわけではなく、きちんとしたストーリーと仕掛けがあって初めて落ちると思うので、今度は尾張地域の活性化を含めて、ぜひまた観光コンベンション局で考えてもらいたい。
続いて、数値を伺う。県が観光戦略の中で2026年の目標として、観光入込客数は日本人が1億1,620万人回、外国人が380万人回を想定している。観光消費額単価は日本人が6,850円、外国人が8万円という数値になっている。コロナが明けておおむね1年間たった2023年の数値は実際どうであったのか。
【理事者】
観光入込客数と観光消費額の2023年の数値は今年9月頃に発表予定であり、今、準備を進めているところである。
【委員】
9月に出たら、大体どういう流れで人が動いているのかが真水で分かる数値になってくると思う。
愛知県に来る人が一番多いのは、中国、台湾、香港、韓国の順の来訪者数であったが、例えばモリコロパーク一つで取ると、ジブリパークの開園によりアメリカ人やオーストラリア人が増えたりして、海外の人の来る国が変わってきている現状であると思う。
滞在率を見ると約8割が名古屋市、若干常滑市、岡崎市があり、ほぼ名古屋市で終わってしまう。この現状を県としてはどのように考えているのか伺う。
【理事者】
旅行会社に対して、県内を周遊する旅行商品の造成を促すため、県内周遊モデルコースを提示するなどの取組を現在実施している。
昨年9月の2023日台観光サミットin愛知では、国際会議に合わせ、各種の交流会を開催するとともに、常滑市や長久手市、岡崎市や犬山市など、県内各地を周遊するエクスカーションを実施することで、台湾からの出席者に対して本県の観光魅力を大いにPRすることができた。
本年6月3日台湾・台北で開催した商談会には、名古屋市以外も含めた県内各地の観光関連事業者が参加し、現地旅行会社との商談を実施した。また、本県からも県内各地の観光情報を提供した。
ウェブやSNSを活用した一般旅行者向けの情報発信においても、県内各地の幅広い情報を発信するなど、今後も県内周遊の促進に努めていく。
【委員】
やりました、はよく分かるが、増えました、にならないと結果意味がないのではないか。
もう一つ、旅館、例えば温泉地の知多地域、三河湾、新城市、設楽町など、温泉地に泊まってもらうのはある意味大事である。しかし、旅館の客室稼働率が47都道府県で愛知県は41番目だというデータを見ると、いかに行っていないか。多分、中部国際空港から入って愛知県を見て、名古屋を見て、次に昇龍道の高山市に行って、石川県や金沢市とか、あちらのほうで泊まるとよく言われている。そのデータを見るときっとそんなパターンになっているのかなと思う。観光は、時間とお金が比例する部分があるので、時間をいかに使ってもらうか。旅行者のうちの約6割が宿泊や飲食に、お金を使うというデータがある以上は泊まってもらわないとお金が落ちないので、愛知県の旅館や温泉地にちゃんと泊まるような仕組みをぜひとも考えてもらいたい。
それには、県内の市町村や観光協会、商工会などとの連携が大変重要になる。県ではどのような連携を図っているのか。
【理事者】
まず、県と市町村の役割分担については、県は主に観光戦略の策定などにより、県全域の観光振興の取組の方向性を示すことや、愛知県大河ドラマ「どうする家康」観光推進協議会のように市町村や関係団体、事業者など多くの関係者の連携体制の構築、あるいは広域自治体として県外、海外へのプロモーションや旅行者の市町村をまたいだ県内の周遊促進に取り組んでいる。
市町村は、それぞれの地域において、例えば文化や史跡など、地域資源を生かした観光コンテンツの造成、各地域のプロモーション、観光施設の整備などを行っている。
愛知県観光協会は、市町村や地域の観光協会、観光関係の事業者等を会員とする一般社団法人であるが、県内外への観光展へのブース出展や観光ボランティアガイドの育成セミナーの開催など、より現場に近い立場での事業を行っている。
その他、商工会や関係団体とは、例えば、歴史観光の推進協議会などに参画してもらい、連携して、県全体の観光振興を推進している。
【委員】
情報を一番持っているのは愛知県だと思う、しかも広域で。基礎自治体になってしまうと、自分の自治体はよく見えるが、全体の流れは、例えばさっきも言った中部国際空港から人が来る、名古屋駅から人が来るというような想定が多分なくて、何とかこのまちに呼び込みたいという思いで観光が進んでいるような気がする。
その一つの事例としては、県が市町村に対してアンケートをした結果があいち観光戦略2024-2026に載っていて、今、何に一番力を入れてやっていますかという問いの中で、多言語化によるパンフレットが一番グラフの中で多かった。じゃあ、外国の人たちが何を見ているかという同じようなデータがこの中に入っているが、旅の途中で見るものはパンフレットとは一言も書いていなくて、84パーセントがスマートフォン、14パーセントがパソコンかモバイルと書いてある。要するに認識の差異である。
だから、ある意味パンフレットと多言語化に力を入れるのであれば、SNSを含めたものが旅ナカに対して一番誘客があることを県がしっかりと情報開示をしながら、共に知恵を絞っていくような姿勢がないと、基礎自治体の中の単体の観光で終わっては、多くの人は呼び込めないと思う。昇龍道もそうであるが、愛知県の中でいかに周遊をしてもらうかというストーリーづくり、発酵文化もしかりであるが、きちんと情報共有をして情報発信をして、そして相手に刺さるような形で、そして海外の人たちに来てもらえる、県外の人たちも来てもらえるような周遊づくりをしていってもらいたい。
ジブリパークの経済波及効果が480億円であった。まだフルオープンしてからはそんなに月日はたっていないが、三つのエリアがオープンしたのは2022年11月であり、もう1年以上たっている。この三つのエリアの経済効果はどのぐらいであったのか。
【理事者】
ジブリパークの経済波及効果として、五エリア開園の波及効果が年間480億円、三エリア開園の波及効果が年間350億円といった数字があることは承知しており、この数字についてジブリパーク推進課に確認したが、開園後に改めて算出はしていないとのことである。
【委員】
やってください。なぜかというと、我々はそれだけの経済効果があるから議案に対して賛成した。要するに、本当に350億円あったのか結果がどうなっているのかを検証しないと、今後どのような手を打っていいかも分からないわけである。観光コンベンション局じゃないかもしれないが、つながっていることは事実であるので、それを踏まえてやってもらいたい。
今度は地元の話になってしまうが、愛知県と名古屋市が連携して高級ホテルの新設を支援している。愛知県が10億円、名古屋市が10億円で、計20億円。この間、TIAD,オートグラフコレクションがオープンをして、今後、(仮称)エスパシオ ナゴヤキャッスル、コンラッド名古屋がオープンするが、いずれも全部名古屋市内である。名古屋市以外に高級ホテルを誘致するには、愛知県が10億円、基礎自治体が10億円をもし払うのなら、私は名古屋市以外でも周遊という意味ではぜひ支援をしてもらいたい。認定申請の新規受付は終わっているが、その辺の考えを伺う。
【理事者】
ほかの市町村との連携については、名古屋市以外であっても市町村が高級ホテルの立地促進を目的として本県同様の制度を創設する場合は連携が可能になるものと認識しており、具体的な話があれば前向きに検討したい。
【委員】
基礎自治体の財政規模に応じて比例配分できるとありがたい。少し前に中日新聞に載っていたが、ジブリパークができても近隣市町村の中で効果を感じられない、利益を感じられない。それは当たり前である。さっきも言ったが、時間とお金は比例するので、宿泊と飲食が共にならないとお金が落ちるわけがないと思っている。尾張と三河のはざまにある高級ホテルとなると、トヨタを含めた製造業も、名古屋市に本社機能のあるところも含めて、MICE機能としても非常に立地がいい。また環境も名古屋市と違うので、ぜひ尾張東部地域に高級ホテルを造ってもらいたい。外国人の人は単価が高いのもあるが、尾張東部を周遊してしっかりとお金を落としてもらう、もしくは三河地域も周遊するような仕組みをつくってほしい。
「なかなか土地がない」と言われると思うので、都市公園であり、住民の福祉を増進することは重々承知であるが、できることならモリコロパークの中に高級ホテルがあってもいいのではないか。モリコロパークの中で、いっそのことジブリホテルでもいいと思う。尾張東部、もしくは西三河も含めた観光振興施策の拠点としてそのぐらいの規模の物が一つできるのは大変に喜ばしいことだと思うがどうか。
【理事者】
ジブリパークやモリコロパーク内ということになると、都市公園であるため、まずは所管の都市・交通局の判断になる。
もう一つ、高級ホテル立地促進事業において、認定申請の新規受付は一度終わっているが、必要であれば再開も今後検討していく。我々は高級ホテルに対して、誘致するときのインセンティブとして10億円を用意しているが、高級ホテル側の考え方もあるので、意向についてどこかのタイミングで改めて調査しながら可能性を探っていきたい。
【委員】
最後に、滞在は、名古屋がほとんどで8割である。市町村がおまけのようについているだけの今の愛知県の現状を変えるには、それなりの宿泊施設が名古屋市以外にも必要だと思う。所管が違うといえども観光振興は観光コンベンション局であるので、観光振興の一つとして横断的に議論する。また、愛知万博20周年記念事業が来年あり、そこでは各市町村のPRができる格好の場になるので、食、文化も含めて大きくPRができるよう大いに活用する。愛知県は産業県であるので、企業研修や企業視察の情報を先に得る中でMICEを仕掛け、我が県に多くのものを誘致するようよろしく願う。
【委員】
今議会知事提案説明にもあった今月6月5日から7日に、Aichi Sky Expoで今年初めて開催した、産業展示会のAXIA EXPO 2024について質問する。
私も視察したが、スマートシティをテーマとして水素、アンモニア、そしてグリーントランスフォーメーション、次世代通信の各分野から、様々な企業が出展しており、今後も大きく発展することを期待している。
この展示会について、どのような経緯で開催することになったのか、また催事の概要や出展者数、来場者数などの開催結果について伺う。
【理事者】
まず展示会開催の経緯である。Aichi Sky Expoは、本県の産業集積を生かし、産業展示会を通じて新産業の創出や既存産業の充実などを目指し設置したものである。また、コンセッション方式により民間事業者の専門的能力を活用して運営している施設である。
しかし、開業後間もなく始まった新型コロナウイルスの感染拡大により、産業展示会の開催が困難な状況が続いたことから、新たな展示会を開催または誘致をしていくこととなった。そこで、運営事業者と共に県も協力し、主催者に対して誘致活動を展開した。
そうした中で、日刊工業新聞社からこの地域の産業特性を生かし、スマートシティをテーマとする展示会とすること、そして新たな展示会の開催に当たり、県から出展募集などで協力を得られるなら開催を検討できるとの提案があった。テーマは県の施策とも方向性とも合致することから、県が実行委員会に加わり展示会を立ち上げることになった。
次に、AXIA EXPO 2024の概要であるが、この展示会では「愛知発スマート未来都市の実現へ」というテーマの下、水素、アンモニアなどの分野を中心に、スマートシティの基盤となる各種技術や製品が展示された。
また、日刊工業新聞社が東京で開催している展示会の地域版として、スマートファクトリーJapan 2024愛知や、本県の新あいち創造研究開発補助金を活用して取り組まれた研究開発や実証実験の成果を集めた新あいち創造研究開発展も同時に開催した。
次に、開催結果であるが、催事全体で193社が出展し、来場者も目標としていた1万人を超える1万1,759人と、多くの人が来場した。
また、出展者へのアンケートを行ったところ、満足度では約7割が満足、大変満足と回答しており、出展者からは東京の展示会と来場者層がかぶらず出展の意義があった、また新たなマーケット展開を予測できる機会となったという声もあった。
【委員】
AXIA EXPOは、この地域で初めてとなるスマートシティをテーマとしたことで、出展者を集めるのに大変だったと聞いている。基本的には主催者が声かけしていくものだと思っているが、県も実行委員会のメンバーとして協力したと聞いている。
そこで、出展者を集めるに当たり、県としてどのような協力をしたのか伺う。
【理事者】
出展の募集に当たっては、事務局の日刊工業新聞社と県内企業等に直接出展を働きかけたほか、出展募集情報については中部経済連合会や名古屋商工会議所などの地元経済界を通じた周知、また県関係部局の持つメールマガジン等による配信を行うといった支援を行った。
また、県も参画する中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議の取組を紹介するパネル展示や、カーボンニュートラルの実現に向けた県の取組などを紹介する愛知県ブースを設置したほか、スマートシティに向けた取組を行っている豊橋市、岡崎市、刈谷市、常滑市、日進市の五市に対して出展を促した。
さらに、新あいち創造研究開発展を本催事の中で開催することで、AXIA EXPO 2024出展者とのビジネス交流を一層促進するとともに、出展支援に寄与するということができたと考えている。
【委員】
これで新型コロナウイルス感染症の影響もなくなり、今後、県内企業もこのような展示会に出展し、積極的にPRしていくことが予想されると思う。AXIA EXPOなど産業展示会がこの地域で数多く開催されることは、県内企業にとって新規営業先の開拓や自社PRを行う機会の創出につながっている。
Aichi Sky Expoは、コンセッション事業としての運営をしており、産業展示会の主催への営業活動は基本的に運営事業者が行っていると思うが、県の施策のPRのため、県が主体的に産業展示会に関わることもあると思う。
そこで、県として新たな産業展示会の誘致や産業展示会の継続について、どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
産業集積の厚い本県の特性を生かした展示会の誘致を目指して運営事業者と共に取り組んでいる。そして、誘致に当たり、主催者にとって初めて開催する催事では、知名度や実績がなく、出展料収入の見込みが立ちにくいことから、財政的な支援策として、展示会産業振興基金を活用した利用促進補助金制度を提案し、新規開催に向けた働きかけを行っている。
また、併せて、国など関係機関からの後援や経済団体や金融機関などを通じた出展、来場に向けた支援、さらにはメールマガジン等の県の持つ広報ツールによる催事情報の発信等を実施しているところである。
次に、継続開催に向けては、新規催事で行うサポートに加えて、出展者の声やアンケート結果を基に、県も運営事業者と連携しながら課題解決を図ることで、主催者が安心して継続開催を検討できるよう支援している。
こうした取組により、様々な展示会の誘致が徐々に実を結んできており、来月には、ROBOT TECHNOLOGY JAPAN 2024 や、人と車のテクノロジー展 2024 名古屋、また10月には新たに食の展示会FOOD STYLE Chubu 2024、さらには来年7月にAGTS農業展の開催も予定されている。
引き続き、県としては運営事業者と連携して新たな産業展示会の誘致に努めるとともに、継続開催につなげて、本県の産業振興とともにAichi Sky Expoのさらなる活用を推進していきたい。
【委員】
最後に要望になるが、このAXIA EXPO 2025に向けて、さらなる盛り上げをしてもらい、この愛知県の産業振興や地域経済の発展につなげてもらいたい。
【委員】
女性の起業家育成促進について伺う。
世界経済フォーラムが先日6月12日公表した世界男女格差報告書、グローバル・ジェンダー・ギャップレポートでは、日本のジェンダーギャップ指数は146か国中118位と位置づけられ、前年125位だったので少し順位は上がったが、G7の中では最下位であり、男女格差が埋まっていない現状が改めて示された。
この報告書では、男女格差を経済、教育、健康、政治の四分野で評価しており、健康は58位、教育は72位と比較的高いが、政治は113位、経済分野は特に120位という低い結果であった。指導的な職務では6人のうち5人を男性が占めており、政治の分野では我が県議会も同様であるが、女性議員が非常に少ないのが現実である。
全体のトップは昨年と同じアイスランドで、たしかアイスランドは15年間トップであるが、フィンランド、ノルウェーが続いて、北欧諸国が3位までを占めている。
経済分野における男女格差の改善による効果は、皆言わずもがな承知していると思うが、経済活動における女性の活躍、意思決定への参画が進むことで、例えば新製品や新サービスの開発などに多様な経験や価値観が反映され、新しい市場が開拓されることが期待される。また、多様性が向上することによって、イノベーションが起こりやすくなる風土が生まれるとされている。男性と女性はそれぞれ異なる視点やアイデアを持ち、女性の起業を促進することは地域社会における多様性を高め、地域経済の活性化と持続的な発展の鍵となるものと考える。
そこで、愛知県では今年の秋にSTATION Aiが開業され、起業の促進と起業家の支援に力を入れていると理解しているが、特に女性の起業促進のためにこれまでどのような取組を行ってきたのか伺う。
【理事者】
本県では、より多くの女性の愛知への定着と、女性の活躍を通じた産業の振興を図る一環として、あいち・ウーマノミクス推進事業による女性の起業支援に取り組んでいる。
2016年度からの3年間は、主に女性の起業促進に向けた環境整備をしており、具体的には、女性の起業をサポートする人材の育成に向けた研修や、女性による新たなビジネスモデルの創出を促進するためのセミナーを開催したほか、女性を対象としたソーシャルビジネスプランコンテストを開催し、優秀なプランに対してその具体的な事業化支援を実施してきた。
2019年度からの3年間は、起業を考えている段階、または起業して間もない段階の女性に対して、経営者としての成長と事業拡大について支援をしてきた。具体的には、メンターと呼ばれる専門家による伴走支援、ビジネスプランを磨き上げるブラッシュアップセミナー、先輩女性起業家に学ぶセミナーなどを実施した。
2022年度からは、既に起業し本格的な事業拡大を目指す女性起業家にも対象を広げるなど、参加者からの声も参考にして事業をリニューアルしながら継続して、女性の起業を支援しているところである。
【委員】
各種セミナーが開催され着実にやっているということであるが、女性の能力を十分に発揮できる環境の整備を充実させるためには、様々な問題を解決することが必要となると思う。特に起業した女性が事業の継続や拡大を目指す際には、やはり女性にある出産、育児をはじめとした女性特有のライフステージの課題や、男性中心の産業界での資金調達、それから販路拡大を行っていかなければいけないというハードルがあると思う。
あるシンクタンクの分析によると、女性と男性が起業家として同等に経済活動に参加することで、GDPは世界全体で3から6パーセント上昇して、また世界経済は2兆5,000億ドルから5兆ドル程度の成長が見込まれるという数字が出ている。
愛知県が、女性が起業しやすく事業を行いやすい地域となるためには、行政、支援機関、また金融機関など様々な関係機関が連携してサポートしていく体制や、ロールモデル、また女性の起業を支えるコミュニティーの育成が重要だと思う。
そこで、このように起業した女性の事業継続や事業拡大に関する課題の解決を図るには、きめ細やかな支援が不可欠だと思うが、今年度はどのような支援を展開していくのか伺う。
【理事者】
今年度は起業フェーズに応じた二つのプログラムを実施するほか、女性起業家のネットワーク形成やコミュニティー育成のためのイベントを開催する。
プログラムの一つは、起業を目指している女性や起業して間もない女性を対象にした女性起業家シードプログラムである。このプログラムでは、県内の女性起業家の裾野拡大を図るため、起業に対するモチベーションを高めたり、起業にまつわる基礎知識を学ぶことができたりするほか、県内の女性起業家の裾野の拡大を図るセミナーやワークショップを5回開催する。
もう一つのプログラムは、既に起業し本格的な事業拡大を目指す女性起業家を対象にした女性起業家スケールアップ支援プログラムである。このプログラムでは、メンターによる個別面談、個別相談等を通じた切れ目ない伴走支援を行うほか、事業拡大に必要な知識やノウハウを学べる勉強会を開催する。今年度は応募者から10人程度を選考して支援する予定である。
さらには、女性起業家同士が交流するあいち女性起業家交流会を開催するほか、今年度事業の集大成として、女性起業家、起業に関心のある女性、起業を支援する機関等が一堂に会する愛知女性起業家フォーラムを開催し、女性起業家のネットワーク形成やコミュニティー育成を図っていく。こうした支援を通じて、女性の起業促進に向けた環境整備を進め、本県に根差した女性起業家の育成を後押ししていきたい。
【委員】
最後に要望する。女性のリーダーが増えることがマーケットやイノベーションの創造、創出の観点からも望ましいと考えているが、2023年の帝国データバンクの調査では、本県における女性社長比率は6.5パーセントで、全国の順位は4年連続46位である。本県では一所懸命女性が流出しないように考えているが、数字のギャップ、拡大が続いているのが現状である。
こうしたギャップを解消するために、いいプランや思いを持っていてもなかなか踏み出せない女性をどんどん引っ張っていって、今年開催されるあいち女性起業家フォーラムや、勉強会、交流会などでお互いに励まし合って頑張る気持ちを高めていくのが大事だと思う。
実は春日井市でも、商工会議所で今年の2月に女性起業ビジネスコンテストを開催して、優勝者に賞金を出す、女性起業家の応援プロジェクトが行われた。16人の応募があり、最終審査に残った5人でプレゼンが行われ、最後の優勝者は「身体のメンテナンスを当たり前に!~春日井市から始める健康の輪~」というカイロプラクティック事業を提案した女性が優勝した。ただ、その賞金も春日井市からで、春日井市のアクションの仕方が足りなかったのかもしれないが、愛知県からの賞金関係は一切ない。担当部局は県民文化局で、経済産業局は関わってなかったが、各自治体でそういうものがあったら、ぜひ経済産業局も関わってもらいたい。
今年度計画されている様々な事業によって、女性の起業家やそのリーダーが増えて、地域の経済がさらに活性化されることを要望して終わる。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年6月24日(月) 午後0時57分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
林 文夫、山口 健 正副委員長
神戸洋美、須崎かん、石井芳樹、近藤裕人、政木りか、丹羽洋章、
谷口知美、天野正基、鳴海やすひろ、大久保真一、喚田孝博 各委員
経済産業局長、経済産業推進監、経済産業局技監、産業部長、
中小企業部長、革新事業創造部長、
労働局長、就業推進監、技能五輪・アビリンピック推進監
観光コンベンション局長、観光推進監、
労働委員会事務局長、同次長兼審査調整課長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第103号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第5款 経済労働費
第113号 愛知県スタートアップ支援拠点条例の一部改正について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第103号及び第113号
○ 請 願
第 13 号 「業務上仕方なくコロナワクチンを接種し、健康被害を受けた労働者に労災認定の可能性がある事を周知」について
第 14 号 「業務上コロナワクチンを接種し、健康被害を受けた労働者に労災認定の可能性がある事を周知」について
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第13号及び第14号
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(2件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 請願審査(2件)
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 休 憩(午後2時38分)
7 再 開(午後2時48分)
8 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
国際観光コンベンション推進事業費愛知「発酵食文化」振興協議会負担金2,382万円の補正予算の積算根拠及び期待する事業効果について伺う。
あわせて、インバウンド誘致について、発酵食を観光に活用している事例について伺う。
【理事者】
まず、事業の積算根拠について、本事業では大きく五つを予定している。
事業費約2,300万円の内訳としては、1、調査・事業計画策定で約1,000万円、2、シンポジウム開催で約180万円、3、展示会への出展で約200万円、4、モニターツアー及び関係者向け体験会実施で約400万円、5、ウェブサイトの制作で約520万円となっている。
最も大きな金額を占める1の調査・事業計画策定では、外国人旅行者へ向けて愛知ならではの発酵食文化の魅力を発信するため、県内観光資源の洗い出しや、インバウンドのニーズ調査などを経て、事業のコンセプトを定め、中長期的な取組の方向性を構築していく。
次に、期待する事業効果について、5月1日の愛知「発酵食文化」振興協議会立総会では、現在の課題として、愛知の発酵食文化の認知度の低さや、他地域との差別化の必要性などが挙げられた。本事業は初年度のため、訪日外国人の中でもどういったターゲットへ向けて、どのように愛知の発酵食文化の魅力を発信していくかをまずは定め、今後、認知度向上のための情報発信や、愛知ならではの独自性のあるブランディングをすることで、本県への誘客促進へ大きな効果が得られるよう取り組んでいく。
続いて、発酵食を観光に活用している先行事例については、新聞報道によると、実際に発酵食文化を観光資源として国内外から人を呼び込もうとする発酵ツーリズムの動きがある。発酵の有識者が発酵食文化をテーマとして、みそ蔵やこうじ菌の見学、料理等をパッケージにしたモニターツアーを開催したところ、大変好評を博したとのことで、発酵で観光客を呼び込んだ実績がある。ほかにも発酵食文化を活用した観光事業の先行事例として、秋田県が本県と同様行政主導の協議会である秋田県発酵ツーリズム推進協議会を設立し、2018年から2022年まで活動した実績がある。そのほか福島県が発酵食の認知度向上を目的として美を醸すふくしまをコンセプトとした事業を県単独で実施しており、また長野県では業界団体の呼びかけで発酵バレーNAGANOが2023年に設立され、民間のコンソーシアムでの活動が行われている。今後、国内外に向けてどのように発信をしていくかについては、協議会において議論していきたい。
【委員】
先行事例としては秋田、長野、福島で取り組んだ、また取り組み始めているが、国においても観光庁が積極的に推し進めているガストロノミーツーリズムに、今、スポットが当たっている。ガストロノミーはフランス語で、美食学、美食術という意味がある。その土地の気候風土が生み出した食材や習慣、伝統文化、伝統や歴史などを楽しみながら旅をするスタイルのことを指すので、今回の発酵食文化を活用した観光振興事業というのは、このガストロノミーツーリズムの一種であるといえる。
ただ、例えば京料理だと地域の名物料理、伝統料理であるのに対し、本事業は発酵食品という食材調味料、また発酵食文化にスポットを当てた取組であるためイメージが湧きにくい。発酵食材は、体にいい、健康にいいといった切り口や、日本の発酵食品の海外輸出をもっと一所懸命取り組んでいくといった切り口のほうが、私個人としては分かりやすいと思う。あえて発酵食品や発酵食文化をインバウンド誘致の切り口で、愛知県ならではの魅力を発信していく、その調査をしていくとのことであるので、他県でも取り組み始めており、差別化を図っていく意味でも、愛知県として一工夫、二工夫、何か必要ではないか。
そこで、事業を進めていくに当たり、どういった切り口、独自性、どのような工夫をするのか伺う。
【理事者】
愛知の発酵食文化の魅力は、何といっても多くの種類の発酵調味料、発酵食品が集まっている地域であることであり、これらが生まれた背景や、その後なぜ愛知で発展したかなどのストーリーをいかに伝えられるかが、外国人旅行者を呼び込む上で重要だと考えている。
そのため、ただ見せるだけではなく、歴史や文化を紹介しながら蔵巡りやテイスティング、発酵調味料を使った料理などの体験をコンテンツとして提供するなどの工夫を凝らし、インバウンドを呼び込んでいきたい。
【委員】
確かに愛知県はいろいろな発酵食がたくさんある。ただ、その食材、調味料をメインにしていくとコアな部分に入り込んでいく部分もありなかなか分かりづらい。そこまで外国人の方に知ってもらえれば、こんなにありがたいことはない。インバウンドの切り口も含めていろいろな工夫をしながら進めてもらいたい。
《請願関係》
なし
《一般質問》
【委員】
不妊治療と仕事の両立支援について伺う。
不妊治療と仕事の両立に困難を感じる理由は、通院回数の多さ、精神面での負担の大きさ、通院と仕事の日程調整の難しさなどが挙げられる。また、企業や職場内において、不妊治療についての認識があまり浸透していないことも両立が困難な背景としてある。また、不妊治療を受ける、あるいは受けていることを職場に知られたくないという人もいることから、非常に配慮が必要である。
以前、不妊治療を続けるために離職をした人から話を聞いた。職場の理解を得ることが難しいという理由からやむを得ない判断だったとしながらも、できれば仕事は辞めたくなかったと残念な気持ちを話していた。そうした悩みを抱える人は増加傾向にあると聞く。
県として、不妊治療と仕事の両立に悩んでいる人に対して、どのような取組を実施しているか、実績を含めて伺う。
【理事者】
近年、不妊治療を受ける人は増加傾向にあり、国の令和5年度不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査によると、不妊治療を受けたことがある労働者のうち約11パーセントの人が仕事と両立できずに離職しており、両立に悩む労働者を支援していくことは必要だと考えている。
そこで、本県では、仕事との両立に悩む労働者等を対象に、専門相談員によるオンライン相談を実施しており、昨年度は1回当たり3枠、計12回36枠の相談機会を設け、計22件の相談があった。
相談内容は、両立できるか不安がある、仕事を辞めて不妊治療を続けるか悩んでいる、治療のことを職場に伝えるべきか悩んでいるなどであり、相談員が実際の経験を踏まえながら不妊治療と仕事を両立する方法や、職場への告知時期などのアドバイスを行った。
なお、相談者からは、デリケートな内容であるが県事業のため安心して相談ができ、ありがたかった、悩みを客観的に整理することができたなどの声があった。
今年度は、より多くの人の相談に対応するため、午前から正午までの3枠で実施していた日曜日の開催を、午前から午後までの5枠に拡大し、計12回48枠で実施する。
【委員】
過去の議事録を見ると、令和2年10月2日の経済労働委員会で、公明党の委員から、不妊治療と仕事の両立支援の取組について質問があった。労働福祉課長からは、今後、事業者の取組状況を把握するとともに、不妊治療と仕事の両立支援をテーマとして取上げたセミナーなどで取組事例を紹介したり、またウェブ上で不妊治療と仕事の両立に関するページを設けたりするなど、事業者の職場環境づくりが進められるよう周知啓発に努めていくとの答弁があった。
その上で、企業や職場内において環境づくりを進めるために、どのような取組を実施しているか、実績を含めて伺う。
【理事者】
本県では、不妊治療に対する企業への理解促進を図るため、令和4年度に作成した治療と仕事の両立支援ガイドBOOKの中で、不妊治療と仕事の両立支援を取上げ、不妊治療の全体像や企業が支援する上でのポイント、企業の取組事例等を紹介している。このガイドブックは、国、経済団体、労働団体等を通じて企業等に広く配布している。
また、昨年度は、中小企業経営者などを対象に2回開催した治療と仕事の両立支援セミナーにおいて、実際に不妊治療と仕事の両立支援に取り組む企業の事例を紹介し、計52人の人が参加した。
今年度も、経営者などを対象に、治療と仕事の両立支援セミナーを開催し、不妊治療と仕事の両立についての現状や企業の取組事例を紹介する予定である。
【委員】
悩みを抱えている人に対して、また企業側に対して、両側面からの支援を進めており、これらの取組をより幅広く広報していく必要がある。
そこで、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
相談事業やセミナーの実施に当たっては、国、市町村、経済団体、労働団体や、愛知産業保健総合支援センター等の関係機関を通じて、企業等や労働者にチラシを配布するほか、県のウェブサイトやSNSを活用したPR、県が開催するイベントでの周知など、様々な機会を捉えて広報活動を実施する。
また、不妊に関する相談窓口である愛知県不妊・不育専門相談センターや、県内医療機関などとも連携した広報活動を行い、両立に悩む労働者に対し相談事業の利用を積極的に呼びかけていく。
国においては、不妊治療と仕事が両立しやすい職場環境づくりに取り組む企業を支援するため、両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)の支給や研修会等を実施しており、こうした情報についても県のウェブサイト等で周知を行っている。
あわせて、通院に必要な時間を確保しやすい働き方を普及するため、企業に対し時間単位の年次有給休暇制度や、テレワークの導入促進を図っている。
今後とも不妊治療を理由に労働者が離職することなく安心して働き続けられるよう、企業における職場環境づくりへの支援や両立に悩む労働者への相談対応にしっかりと取り組んでいく。
【委員】
今後のさらなる広報活動に期待する。
私が話を聞いた人も、どこにも相談できないといった精神面での負担が大きかったといっていた。県としてこうした相談窓口を設けてもらえることは、大きな安心感につながると思う。
また、昨年度、相談枠が日曜日の午前から正午までの3枠、火曜日の夜の3枠だったところを、今年度は、火曜日はそのまま、日曜日は午前から午後までの5枠に拡充している。
しかし、多種多様な職種があり、様々な生活リズムを送っていることを想定すると、開催枠がそれだけで十分とはいえないし、また現状オンラインで開催を実施しているが、中には対面のほうが安心して相談できるケースもあるかもしれない。
いずれにしても、少子化傾向が著しい社会動向の中にあって、子供を授かりたいと願う人々の切なる思いに対し、あらゆる面から支援できる体制をより一層拡充するよう要望する。
【委員】
私からは、STATION Aiの施設内容について伺う。
総工費153億円をかけて建設中のSTATION Aiであるが、10月31日にグランドオープンする記者発表資料を見ると地上7階建てとなっている。広く多くの県民が利用できる施設になっているのか、また、施設機能について、入居するスタートアップやパートナー企業向けはもちろん、一般の人が利用可能な内容も含まれているのか伺う。
【理事者】
まず、STATION Aiの概要について説明する。STATION Aiは、名古屋市昭和区の鶴舞公園南側に建設中のスタートアップ支援拠点である。敷地面積約7,300平方メートル、延べ床面積約2万3,600平方メートル、地上7階建ての施設である。
続いて、スタートアップやパートナー企業等が利用する会員エリアについて説明する。会員エリアの大部分は、3階から6階にまたがって設置されるオフィスである。オフィスは三つのタイプを用意しており、一つは壁により仕切られた個室、二つ目はじゅう器等により仕切られているものの個室よりオープンな固定席、三つ目が席を固定しないフリーアドレスのコワーキングスペースである。さらに、1階と2階にはものづくり系スタートアップ向けのテックラボを設けており、備付けの3Dプリンターや工作機械等を利用して試作品を製作してもらうことが可能である。このほか、2階には仕事と育児を両立させる会員向けに託児施設があり、7階にはエクササイズしながら交流も図ることができるフィットネス施設もある。
次に、一般の人が利用できる主な施設としては、1階にイベントスペース、カフェ、レストラン、コンビニエンスストア、2階には、本県にゆかりのある創業者等の名言や業績などを伝えるあいち創業館がある。それから、7階の宿泊施設は、会員はもちろん、一般の人も利用することができる。
STATION Aiは、スタートアップやパートナー企業等のイノベーションを支援するための施設機能や支援メニューを備えるだけでなく、多くの県民にスタートアップやイノベーションに触れる機会を提供することにより、起業家の裾野拡大につなげていきたいので、多くの人に来てもらいたい。
【委員】
多くの県民に利用してもらいたいとあったが、例えばどんな機会を考えているのか。
【理事者】
一般の人が利用できる施設の中に、イベントスペースがあり、200人ほど入る大きな施設であるため、こういったところでセミナーなどを開催してもらう。他に、あいち創業館を子供たちの遠足や社会見学などで使ってもらうことができるのではないか。
【委員】
2階のあいち創業館も11月1日に開館するが、具体的にどのような施設なのか。
【理事者】
あいち創業館は株式会社豊田自動織機の豊田佐吉氏、オークマ株式会社の大隈栄一氏など、本県にゆかりのある創業者、経営者54人の名言、業績、エピソードなどを伝える展示施設であり、STATION Aiに訪れる人や利用するスタートアップに勇気や励みを与えるとともに、子供たちに将来の起業家としての夢を育んでもらうことを目的としている。
具体的な展示内容については、展示施設全体として「展示パネルを見学する」と言うより、「デジタルコンテンツを来場者に体験してもらう」形式となっている。具体的には、映像や先進的なデジタル技術であるプロジェクションマッピング、メディアテーブル、生成AIを活用した四つのゾーンから構成されている。一つ目の偉人のトイカケゾーンでは、創業者の名言が壁に浮かび上がり、来場者の好奇心を高める仕掛けとなっている。二つ目の産業のルーツゾーンでは、映像で愛知の産業のルーツを紹介するとともに、創業者に関連する製品レリーフに来場者がタッチすると、創業当時の製品や風景などの映像がプロジェクションマッピングで紹介される。三つ目の偉人との出会いゾーンでは、展示のメインコンテンツになるが、大型のメディアテーブルに創業者や製品のアイコン等が表示され、それにタッチすることで創業者のエピソード、名言、製品などの情報をどんどん深掘りしていけるような仕組みとなっている。四つ目の探求・交流ゾーンでは、生成AIを活用したAIタイプ診断を体験でき、自分に似た創業者やライブラリーに置いているおすすめの書籍が紹介されるものとなっており、またスタートアップのピッチ等のイベントスペースとしても活用できるようになっている。
【委員】
スタートアップやイノベーションは、子供たちが柔軟な発想ができるよう、そういう概念が持てるような刺激を与えることも必要ではないか。スタートアップやイノベーションに触れる機会の提供を、子供に対して、タッチパネルやデジタルコンテンツで体験できるとの説明だったが、実際、子供たち、低年齢の子たちが概念、発想としてイノベーションを身近に感じられる、自然に発想できるような仕掛けが必要だと思う。学校行事でスタートアップの会場を使うことや、あいち創業館に遠足で来てもらうことを考えているか。
【理事者】
主に、小中学校の遠足や社会見学の施設として活用してもらうことを考えている。創業者たちが様々な努力により困難を乗り越え、社会課題の解決につながるような優れた製品やサービスを生み出すことで、社会や生活の向上、産業の振興に貢献したことを伝え、子供たちにチャレンジするマインドを与えることをコンセプトとしており、起業家等、未来のイノベーションを創出するような人材を育成することを目指している。
このあいち創業館は、デジタル技術を活用した体験型の展示であることで子供たちの好奇心を刺激し、学習意欲を高められることができる。展示内容に関連する学習用のワークシートを用意した上で、案内用のガイドを配置し説明を添えることにより、展示内容の理解が促進できるものとしていきたい。
【委員】
これからの時代を築く子供たちがイノベーションの概念を理解し、そして柔軟な発想や思考を養うことができるような仕組みが日本にも必要だと思う。
昨年、海外調査で行ったイギリス、スペインでは、スタートアップという発想自体がもうなかった。子供の頃から、いろいろな技術や社会の仕組み、システムに対してよりいいものを自然に発想できるような文化になっていると聞き、日本の遅れがそこにあると感じたので質問した。
子供向けのピッチイベントなども、大人が考える発想ではなくて、子供自身が柔軟な発想ができる、そんな場の提供をぜひして欲しい。STATION Aiが社会の変化に対応して、生活の向上や産業の振興がますます進む交流の場になることを期待する。
続いて、労働局関係の子育て女性の再就職支援について伺う。
先日、未就学児と小学低学年の子供を子育て中の女性たちから就労についての相談を受けた。子育てする女性が働き方を考えるときに、フルタイムの再就職はハードルが高い、子供が低年齢の場合には、特に幼稚園児や保育園児の場合は預かり保育をお願いすることも併せて考えなければならないし、また習い事をする場合も連れていく手間を考えると、誰かに代わりに行ってもらわなければならないので、それもなかなか難しい。また、世帯収入の手取りを考えると、実際には再就職して正社員になるメリットとパートのメリットをてんびんにかけると、パート、イコール扶養の範囲内での働き方を選択する女性が多かった。このような聞き取り調査結果を踏まえて伺う。
愛知県では、これまでウインクあいちに女性の働き手創出支援のため再就職サポートセンター、ママ・ジョブ・あいちに相談窓口をつくって女性の再就職支援に取り組んできた。ママ・ジョブ・あいちは平成26年から設置していると思うが、今日までの10年間で実際に訪れた人がどれぐらいか。また、電話やオンラインでの相談件数はどれぐらいか。相談者の推移と主な相談内容を伺う。
【理事者】
本県では、出産、育児等をきっかけに離職した女性の再就職を支援するため、あいち子育て女性再就職サポートセンター(ママ・ジョブ・あいち)を平成26年度から設置している。
キャリアカウンセラー等が窓口、電話等により一人一人の気持ちに寄り添いながら状況や悩みをしっかり傾聴した上で、丁寧に相談、カウンセリングを行っており、平成29年度からは市町村への出張相談、令和3年度からはオンラインでの相談も実施している。
相談件数は、設置してから昨年度までの累計で3,939件となっており、内訳は窓口相談1,772件、出張相談1,101件、電話・メール相談962件、オンライン相談104件となっている。
次に、相談件数の推移であるが、開設年度である平成26年度の262件から徐々に増加しており、コロナ禍の令和3年度は353件と一時落ち込んだが、その後は再び増加し、昨年度は499件の相談があった。昨年度の内訳は、窓口相談146件、出張相談180件、電話・メール相談120件、オンライン相談53件となっている。
次に、利用者からの相談内容については、離職のブランクや仕事と子育ての両立に対する不安のほか、扶養内で働いているが正社員で働くか悩んでいるなど様々な相談があり、キャリアカウンセラーが一人一人に合った仕事の選び方や就職活動の進め方、正社員、パート等を含めた長期的な視点でのキャリアプランの立て方などについてアドバイスをしている。利用者からは、自分に合った仕事の探し方を教えてもらった、今後の働き方のイメージができたなどの声があった。
【委員】
6月8日に女性のための就職支援フェスタを実施したチラシを見たが、参加状況はどうか。会場とオンラインで各定員20人とあったが、どのぐらいの参加者だったのか。
【理事者】
6月8日に実施した就職支援フェスタには、会場12人、オンライン21人、計33人の参加があった。参加者からは、子育てとの両立の工夫方法について話が聞けてよかった、自分と似た状況の人と話し合うことができ、自分も頑張ろうと思ったなどの声があった。
【委員】
今の人数は、かなり少ないという印象を受けた。オンライン参加であれば、100人でも200人でも参加できるはずなので、そういったこともしっかり考えてもらいたい。先ほどの相談件数でのオンラインは多分メールではないかと思うが、今の就職支援フェスタの場合のオンラインは、自分が家にいて参加ができるオンラインであるはずなので、もっと周知すれば参加する人も増えていくのではないか。
これから再就職しようと考えている人たちは、子供が小さいので、子供がお昼寝の間や学校に行っている間に短時間で情報が手に入るような形を取ると、もっと利用者が増えるのではないか。実際のところ、欲しい情報が簡単に手に入り気軽に相談できるようにするには、わざわざ窓口に行かなくても、オンラインでメールの返信を待たなくても、例えば、生成AIでチャットのやり取りができたりとか、LINEでのやり取りができたりといった、もっと手軽にオンラインを活用して相談ができる仕組みを考えてもらいたい。
女性で再就職を考えている人はたくさんいるが、正社員になることのメリット、デメリット、世帯収入がどれだけ増えるのかをシビアに見ており、今の若い人たちのタイムパフォーマンスのいい生活をしようという志向からすると、行政もそれに合ったサービスの提供が必要ではないか。女性が働くに当たり、短い時間でもしっかりと働き、成果、生産性を上げることが非常に重要だと思うので、子育て中の女性がこれから社会に参画していくハードルをできるだけ下げる窓口を、愛知県で用意することを要望する。
【委員】
飲食店等小規模事業者支援について伺う。
地元商店街でラーメン屋を経営している店主の声であるが、1日50キロ以上、週末は70キロから80キロ使うモヤシをはじめ、材料費は1.5倍から2倍近くに高騰した、光熱費も上がり、原価率は4割を超えており利益はほとんどない。そこに追い打ちをかける新たな問題が目前に迫っている、それが2004年以来20年ぶりに発行される新紙幣に対応した食券券売機の更新とのことだった。
いよいよ来月7月3日の新紙幣の発行まで1週間と少しとなったが、今、券売機の更新は大手飲食チェーン店やコンビニエンスストアなどからの大量受注に生産が全く追いついていない状況にあり、新機種はかなり高額で取引がされているそうである。このラーメン屋の店主は、こうした資金繰りも今は大変厳しく、できない状況にあるので、手間はかかるが、当面の間は新紙幣を持ってくる客に対して、手作業で旧紙幣と交換して対応するしかないと深いため息をついていた。
そこで、このような新紙幣の対応に苦慮している県内の小規模事業者に対して、県としてどのような認識か伺う。
【理事者】
飲食店や各種サービス業、とりわけ小規模事業者においては、コロナ禍が沈静化するものの生活様式の変化や物価高により消費が停滞し、光熱費、原材料や人件費の高騰による売上げや収益の低迷、さらには人手不足に直面するなど、非常に厳しい経営環境にあり、こうした中での券売機の更新は資金的余裕のない小規模事業者において大変な負担になると認識している。
県としては、毎年、職員が直接、県内中小・小規模事業者約100社を訪問し、現場の生の声を聞くヒアリング調査を実施しているが、その中で現状の課題の聞き取りを行うなど、本件に関して幅広く情報収集に努めていく。
【委員】
資金的余裕のない小規模事業者において大変な負担になるという認識であった。
大手券売機メーカーによると、千円札のみに対応した券売機を更新するのに約70万円、五千円札、また一万円札にも対応した券売機になると150万円から200万円くらいの更新費用が必要とのことであった。
このラーメン屋では、200万円を取り戻そうとすると、ラーメンを3万杯売上げないとならず、もうお手上げである。昨年も新五百円硬貨に対応する更新をしており、そこもかなりの負担だっただけに、経営面において非常に大打撃だと嘆いていた。
2004年からの20年間にカメラ、またコピー機、プリンターの性能が飛躍的に向上したこともあって、令和元年からの3年間を見ても毎年2,000枚程度の偽札が発見されている。そのために、今回世界初となる肖像画を立体的に見せる3Dホログラム、お札の角度を変えると肖像画が浮かび上がりいろいろな角度から見ると形が変わる最新の技術を導入した偽造防止や、また目の不自由な人がお札の種類が識別しやすいようにユニバーサルデザインへ変更を行う。こうした国の判断は理解するが、併せてこうした事業者への支援が必要だと考える。
そうした中、新紙幣に対応するための更新に対して補助金を交付する自治体がある。本県の大口町では、対象経費の2分の1を、50万円を上限に補助している。東京都の葛飾区もしている。また、IT導入補助金のインボイス枠と併せて申請することで、20万円の補助が受けられる国の支援策もあるようだが、私が聞き取りした地元の小規模事業者、愛知県麺類食堂生活衛生同業組合、また愛知県中華料理生活衛生同業組合の人々は、こうした制度のことは、ほとんど理解されていなかった。ただ、国が行っている小規模事業者持続化補助金などの活用は、新紙幣への対応だけでは採択されないのではないかといった不安や、中途半端なうわさだけが広がっていた。
この問題は国にあり、国の責任で丁寧に説明するのが当然であるが、県民の一番近くの行政の窓口は市町村であり県だと考えるので、県としても相談窓口の充実や、県保証協会とも連携した資金繰りへのサポートを期待する。
こうした人たちの中には、この際にPayPayなどのキャッシュレス化を考えるといった意見もあったが、PayPayや交通ICカードは手数料3パーセントが負担になるのと、古くからの高齢の常連客のことを考えると、キャッシュレス化も非常に難しいと頭を抱えていた。
そこで、本県としてこうした新紙幣の対応に苦慮する小規模事業者に対して、今後支援をしていく考えがあるのか伺う。
【理事者】
県では、中小・小規模事業者の総合的な支援を図るため、県内各地に約100か所の総合相談窓口を設置している。その中でも、あいち産業振興機構、各地域の商工会、商工会議所においては、相談内容に応じて支援施策や補助制度の案内、各種申請支援などを実施している。
今回の新紙幣対応券売機等の改修や買換えに係る直接的な補助制度を国や県では実施していないが、例えば、国の小規模事業者持続化補助金のように販路開拓や生産性向上に向けた経営計画を作成することにより補助対象となり得る制度もあることから、総合相談窓口等において支援制度の案内や補助金申請のサポートを実施していく。
また、券売機に限定したものではないが、本県では中小・小規模事業者が設備を導入する際の資金需要に応えるため、金融機関との取引が薄い事業者でも比較的資金調達しやすい小規模企業等振興資金(小口資金)や、長期の低利な設備資金としてパワーアップ資金(設備投資促進枠)など、愛知県信用保証協会と連携し、様々な融資メニューを用意している。利用を検討する場合は、取引金融機関や愛知県信用保証協会に相談してもらいたい。
こうした窓口相談や融資制度の実施により、関係機関と連携しながら新紙幣への対応に苦慮する小規模事業者に対して支援していく。また、愛知県商店街振興組合連合会や、愛知県商工会議所連合会など、関係団体とも情報共有しながら連携を図り、新紙幣に対応する小規模事業者に対する支援策について必要に応じ国に対し働きかけ等を行っていく。
【委員】
最後に要望する。
報道や各種団体への聞き取りでは、7月3日の新紙幣への対応について、銀行ATMや、鉄道の券売機などは今月中に、ほぼ更新が完了する予定であるが、まちのコインパーキングでは半分も行っていない状況であり、飲料等の自動販売機に限っては到底対応できない状況でまだ1割程度とのことであった。日本自動販売システム機械工業会の発表だと、日本全体でこの更新に1兆2,600億円が必要であり、かなりの金額になっている。先ほどの銀行ATMや鉄道系の券売機など、こうした大きなところはしっかり対応ができている。ゲームセンター、遊技場、パチンコ屋にも聞いたが、大きなパチンコホールだと遊技台が500台、その全部にお金を入れるところがあり、台数掛ける何十万が必要となるため、この先やっていけるのかという不安もあるが、こういう業界は、しっかりと業界全体で対策を行っているそうである。
国が直接行う政策に対応できない小規模事業者に寄り添った支援策、また、国に対しての働きかけを充実してもらうことを要望して、質問を終わる。
【委員】
スタートアップの育成、新産業の創出、それらに絡むオープンイノベーションの促進について伺う。
先ほど、委員から10月開業のSTATION Aiについての質問があり、施設の中身について説明があった。公共事業の建物を造るに当たり、県民が使いやすい施設を考え、また偉人館を設けているが、大村秀章知事が盛んに言っているイノベーションの創出、スタートアップをどれだけユニコーンに成長させられるかにかかっていると思っている。
思い返せば、この案は随分前から出てきており、私も8年前頃、北米、カナダで視察した内容を持ち帰って執行部と議論をすると、総花的とは言わないが、相当壮大な話となり、何となく分かったのか、分からないのかという段階であった。
いよいよこれで開業するので、具体的な考えを確認するために質問をする。
改めて部局のホームページを確認したら、担当部署の革新事業創造部では三つの課があり、そのうちのスタートアップ推進課と海外連携推進課の二つの課では、この直近の1か月間に随分いろいろな事業をやるということが挙げられている。
紹介すると、スタートアップ推進課は、5月の段階で一つ、あいちスタートアップ創業支援事業費補助金。これは起業支援金の補助の対象事業を公募する内容である。それから、6月には四つの募集をしている。一つは、起業家発掘育成事業の実施、アクティベーション ラボ・STAPSを始動する。あと幾つかあるが、アイチ コ・クリエーション スタートアップ プログラム 2024の参加スタートアップを募集。アイチ スタートアップ ブリッジ第1回ミートアップイベントの参加者募集。小中高生起業家精神育成事業アイチ スタートアップ スクール 2024の参加者を募集。
それから海外連携推進課では、シンガポールスタートアップ・エコシステム連携事業アイチスマート サスティナブル シティ コ・クリエーション チャレンジのパートナー企業を募集。世界トップクラスの経営大学院INSEADと連携した、INSEADイノベーションプログラムの参加者を募集。シンガポールスタートアップ・エコシステム連携事業アイチ グローバル スタートアップ セミナー 2024 日本企業と海外スタートアップとの連携についての参加者を募集。最後が、A2(Aichi-Austin) イノベーション キック・スタート プログラムで、今年度海外視察予定と承知しており、連携で何かする募集だと思っている。このようにたくさんのスタートアップ募集メニューを矢継ぎ早に挙げて、しっかりとした体制をつくっている。
これまでSTATION Aiができる前の段階でスタートアップを募集し、名駅にあるPRE-STATION Aiの先月末の登録は411社であり、県内のみならず県外が251社、海外からも30社と聞いている。スタートアップ自体はそれなりの数がそろってきた感覚ではあるが、現実問題、やる気のある起業家が集まってきただけで果たしてそれで税金を投資しただけの見返りがあるような事業につながってくるかが不安である。
さきの代表質問の知事の答弁で、会員募集については、先ほどの411社のスタートアップのほかに、ものづくり企業をはじめとする事業会社や金融機関、教育機関など、多様な属性の団体から申込みがあると聞いた。
そこで、他団体について、どういった企業があったのか伺う。
【理事者】
STATION Aiの会員募集では、多様な属性の団体から、今、申込みがある。
申込み後の流れについて簡単に説明すると、審査を経たオフィス会員は、どの場所に入居をするかを決定した上で契約する流れになっている。現在、その審査や配置について調整をしている段階のため、個々の企業などについて公表していない。簡単に言うと、PRE-STATION Aiのメンバーであるスタートアップ、製造業やサービス業などをはじめとした事業会社、銀行や証券会社といった金融機関や、大学それから支援機関などから申込みがある。
4月1日に会員募集を開始したが、7月5日に一旦締切り、その後は随時受付を行う形で進める。
【委員】
心配はやる気のある、あるいは、とてもいいアイデアのあるスタートアップでも大きなネックになるのが資金だと思う。先ほど知事の答弁の中に金融機関とあったので、どんなところが入ってくるのか聞いたわけである。
先ほど紹介したアイチ スタートアップ ブリッジ第1回のミートアップイベントの参加者募集について細かいことを確認すると、スタートアップが成長するために必須である資金調達を支援する最大の担い手であるベンチャーキャピタルが当地域に不足していることを県は認識しており、それを補うために今回そのミートアップイベントをやると思う。
そこに集うことでいろいろなスタートアップの人たちが刺激を受けて新しいものができることが一番大事ではあるが、その流れの下に、先ほどのミートアップイベントの参加者である、投資家や、あるいは支援する企業がしっかりとした形でフォローすることが本県のスタートアップ事業の成功につながると思う。
多額の税金をつぎ込む事業であるので、県民にとって見返りのあるものでないと困る。スタートアップの事業がうまくいっても、そのまま起業家がよそへ行ってしまっては困る。対応は難しいが、一つの方法として、今募集している内容でいろいろと支援し、県民や県職員、県の支店あるいは、本店のある企業と根付くことによって、愛知県でやるからメリットがあるんだ、と持っていかないと絶対いけない。
このSTATION Ai開業後、5年を目途に1,000社を目指すとしているが、今いった税金に対するリターンとはいわないが、しっかりとした当局のビジョンがないと、ただ集まってもらっただけになる。そこで、ビジョンについてどう考えるのか伺う。
【理事者】
まず、アイチ スタートアップ ブリッジについて、簡単に説明する。愛知県が認定しているAichi Partner VCは15社あり、これらの事業者は首都圏のいわゆるベンチャーキャピタル(VC)である。この事業者と当地域のスタートアップが出会う場を提供するイベントが、アイチ スタートアップ ブリッジである。
続いて、スタートアップに対してどのようなビジョンを持って支援を行うかであるが、県ではものづくり融合型の愛知県独自のスタートアップ・エコシステムの形成、これを基本コンセプトとして各種施策を実施している。その目指すところはユニコーンの創出など、スタートアップの成長による新産業の創造に加えて、スタートアップとものづくり企業をはじめとした事業会社等とのオープンイノベーションの推進である。オープンイノベーションが活発に行われるためには、より多様な属性の企業や団体が会員となることが重要であるので、STATION Aiではスタートアップに加えて、スタートアップとの協業や連携によるオープンイノベーションに意欲のある企業、金融機関、大学など、パートナー企業として誘致に取り組んでいる。
STATION Aiでの支援は、起業や投資経験があり、事業開発に知見を持つ統括マネジャーや、研修会、交流会をはじめとしたネットワーキングに豊富な経験を持つコミュニティーマネジャーを配置して、スタートアップの成長支援とオープンイノベーションの推進、この両面の視点で取り組んでいきたい。
また、起業支援金やスタートアップ ブリッジなど、スタートアップの資金調達の支援や小中高生起業家精神育成事業のような将来の起業家、あるいは事業会社で新事業開発に取り組むような人材、こうした人材の育成も推進して、様々な取組に総合的に実施する中で、本県独自のスタートアップ・エコシステムを形成していきたい。
【委員】
1,000社を目指すに当たり、言葉として分かりづらいのがスタートアップ・エコシステムだと思う。私の認識ではスタートアップだけではなくて、既存の企業や、違う産業の絡みで愛知県独自のスタートアップを育んでいくことと思う。6月に入ってから募集が始まったアイチ コ・クリエーション スタートアップ プログラム 2024では、ヘルスケアやウェルビーングに関する地域課題、農業や食などに関する地域課題、まちづくりや観光に関する地域課題、ものづくり企業の活性化に関する地域課題、脱炭素推進やサステナビリティーに関する地域課題、こういった五つのテーマを設定して今回募集をかけている。
本県はものづくりの県であり、先ほどの施設案内の中に、ものづくりラボがある。本県の、ものづくり産業といい意味で連携が取れるようしっかりと着眼し、目を向けていることがとてもいい発想だと思う。それから知事の代表質問の答弁の中では、農業のこと、愛知県農業総合試験場との絡み、それからヘルスケア、これも大府市の国立研究開発法人 国立長寿医療研究センターとの連携もある。
先ほど言ったように、本県の深い関わりのある産業や業種、実際の団体、企業と結びつくことによって本県の本当にものになるスタートアップになっていくと思うので、よろしく願いたい。何よりも海外連携で知事はじめ部局には何度も海外に行き、いろいろな連携を取っており、すごく大きな財産だと思う。ここまで海外との連携をしっかりやったものを本当にものにすれば、相当な期待ができる。スタートアップの育成や新産業の創出、スタートアップと企業のオープンイノベーションを促進して県内経済を活性化するために、国内の企業やスタートアップだけでなく、海外スタートアップともしっかり連携することが必要である。
そこで、どのように海外スタートアップをSTATION Aiに呼び込むのか、改めて伺う。
【理事者】
STATION Aiへの海外スタートアップの誘致は、STATION Aiが世界に伍するグローバルコミュニティーを形成するために重要な取組であると認識している。そのために、本県と既に連携している海外7か国16のスタートアップ支援機関等との連携事業を通して、各地域のスタートアップと県内企業との協業やSTATION Aiへの誘致などを進めている。
また、連携の有無にかかわらず世界各国から日本進出を目指す海外スタートアップを支援するプログラムを実施している。これまでもヨーロッパやアメリカ、アジアなど、様々な国のスタートアップを本県に招聘し、県内企業との協業などを進めてきた。
さらに、STATION Ai株式会社と連携して、多くの海外スタートアップが参加する海外、国内の展示会に出展するとともに、海外向けSTATION Ai入居説明会や、海外スタートアップと県内企業等との交流会を定期的に開催することに加えて、ソフトバンクグループのグローバルネットワークを活用した海外スタートアップの誘致にも取り組んでいる。
今後もSTATION Ai株式会社とともに、こうした取組を引き続き強力に推進し、海外スタートアップの誘致に努める。
【委員】
今、7か国それぞれにしっかりした取組を始めかけている、あるいは進めている、また取り組むべき海外も、まだあるかと思う。今日はあえて国名を出さないが、こういった取組についてこれからもしっかりと進めることを期待する。もう一点指摘するが、STATION Ai株式会社はソフトバンク主体であり、どうしても本県に属する団体だとあまり認識できないのは私だけかもしれないが、愛知県で花を咲かせたときに、ほんとに手離れしないように、しっかりとコントロールしながらこの事業を大成功に導くよう、今が一番大事なときだと思うのでよろしく願う。
【委員】
私もスタートアップ関連で伺う。
委員の質問と重なる部分があるが、先ほどSTATION Aiで1,000社集めるのが目標で、その1,000社がほかのところへ行ってしまっては困るという話があった。実際、PRE-STATION Aiのメンバー411社のうち、3分の1が本社を愛知県に置く企業で、それ以外3分の2は、県外及び国外に本社を置く企業となっているが、県外や国外に本社を置く企業に、本県がPRE-STATION Aiや、STATION Aiという場を提供する意味と、本県にとっての価値、今後の展望について伺う。
【理事者】
県のスタートアップ施策の方向性に関係するため、まずこの点について説明する。
県では、2018年に策定し毎年更新をしている、Aichi-Startup戦略に基づいてスタートアップ戦略を実施している。目指すところは、今後も引き続きこの地域が我が国の発展を強力にリードしていくことである。そのためには、スタートアップを起爆剤としたイノベーション創出の土壌をつくる必要があり、これに向けてSTATION Aiを中核とした愛知県独自のスタートアップ・エコシステムを形成していくという考え方である。
その方策を考えるに当たり、世界のスタートアップ・エコシステム先進地に目を向けると、常に外部を含む多くの人材が行き交い、まち全体が活気にあふれていることが分かる。当地においても、スタートアップ・エコシステムを形成していくに当たり、先進地と同様に多くのスタートアップ関係者が集まり絶え間なく交流し、相互に刺激し合うことで新たなアイデアやビジネスを生み成長させていくことが必要不可欠である。これが基本的な考え方である。
次に、STATION Aiプロジェクトにおいて、世界中のスタートアップ等に門戸を開いている点について説明すると、これまで述べたとおり、スタートアップ・エコシステムの形成のためには、より多くの人材を集積させる必要があるという考え方に基づいている。
PRE-STATION AiやSTATION Aiに世界中からスタートアップや事業会社等を集め支援していくことで、絶え間ないイノベーションの創出を推進し、事業の成長や新事業展開などの成功の好循環を生み出していくことにより、県内のスタートアップを成功に導くことができるし、事業会社にとっては、より多くのスタートアップ等とつながることによって新しい製品ができ、新事業展開に貢献できると考えているので、これが世界に門戸を開く意味であり価値であると思っている。このことからこれからの展望としては、今後も引き続きこの地域が日本の成長エンジンとして、我が国の発展をリードし続けていることにつながっていくと考えている。
【委員】
PRE-STATION Aiのメンバーから参加してよかったという声を聞くが、実際に愛知県へ本社を移転した例はあるか。
【理事者】
実際に、県外のものづくり系のスタートアップが、この地域の、例えば自動車サプライヤーとつながり、まず新しい事業を一つ起こす。それにつながり、また別の会社という形で、どんどん仕事を広げていって、県内に支店を設けた例はある。
【委員】
今年度末に本県で初めて開催する予定のスタートアップ関連イベント、仮称でグローバルイベント2025について伺う。
5月臨時議会で知事から、起業家でスタートアップ支援を多く手掛けている奥田浩美氏をプロデューサーに任命し、実行委員会を設立したという話があった。このグローバルイベントについて、本県予算と全体予算、実行委員会のメンバーやスポンサーなどの状況について伺う。
【理事者】
まず、このイベントでは、内閣府からグローバル拠点都市として選定されているセントラルジャパン スタートアップ エコシム コンソーシアムの主要メンバーである一般社団法人中部経済連合会、名古屋大学、愛知県、名古屋市により実行委員会を組成している。
次に、予算について、本県では令和6年度当初予算で実行委員会への負担金と事務費を合わせて1億3,000万余円を計上している。イベント全体の予算は、名古屋市からの1億3,000万円など、実行委員会メンバーからの負担金の合計金額2億6,200万円である。
それから、スポンサーについては、現在スポンサーメニューを検討しており、内容が固まり次第働きかけを行っていく。
【委員】
スポンサーを集めることもかなり大きな仕事になってくるので、よろしく願う。
私は、この3月に東京で開催されたSusHi Tech Tokyo 2024へ行ってきた。SusHi Techというのは、Sustainable High City Tech for a Futureの文字を取ってSusHi Techという言葉になっている。
このSusHi Techのプログラムは三部構成で、一つは子供たちなども近未来の技術を体験できるショーケースプログラムがあり、私も宇宙エレベーター体験プログラムで乗船してきた。二つ目は、アジア最大級のスタートアップイベントであるグローバルスタートアッププログラム、三つ目が五大陸から都市のリーダーが集う国際会議であるシティーリーダーズプログラムで、この三つのうちグローバルスタートアッププログラムが、今回愛知県が開催予定のグローバルイベント2025に近いと思っている。
このSusHi Tech Tokyoのグローバルスタートアッププログラムは、セッション、ピッチコンテスト、ブース展示、ミーティングという内容で多くの人が集まっていた。イベントに参加するには、投資家は6万円、一般は2万円、学生2,000円が必要で、オンラインチケットは無料だった。私はオンラインチケットでセッションを幾つか視聴したが、スタートアップに通じる世界の課題意識なども知ることができて、わくわくするそんな高揚感を持った。また、ピッチコンテストでは43の国と地域の約500社が参加して、その中から日本の企業である株式会社ファーメンステーションという発酵技術で未利用資源を発生、循環させる社会を目指すところが最優秀賞に輝いた。ファイナリストには、多くの海外の参加者も登壇していて、様々な国との交流がされていると感じた。
これが東京で行われていたSusHi Techの概要であるが、本県もブース展示で参加しており、SusHi Tech以外にもこれまでスタートアップイベントに県の職員が参加したと聞いている。
そこで県の職員のスタートアップイベントの参加状況と、それによって得たものをこのグローバルイベントにどのように生かしていくのか伺う。
【理事者】
スタートアップに関連する国内イベントは、東京で開催されるSusHi Tech、京都で開催されるIVS、札幌で開催されるNoMapsなど、各地で開催されている。
今回、我々が取り組んでいるグローバルイベントは、参加者数を5,000人と想定しており、当地域でこの規模のスタートアップに関するイベントを開催するのは初めてであるため、他の地域で開催されるイベントに職員が積極的に視察するほか、一部のイベントでは事務局の一員となり運営に携わるなどして、スタートアップ・エコシステムに係るプレーヤーとの関係を構築するとともにノウハウの獲得に努めている。
こうした中で、例えば、エコシステム関係者を引きつける魅力的なコンテンツとはどういったものか、参加者同士の交流に適した会場配置をどう行っているのか、イベントテーマをどう会場の演出に反映させるのかといったノウハウを獲得してきているので、グローバルイベントの成功に向けては、こうしたノウハウを企画や運営に投入していきたい。
【委員】
職員が実際に体験して、それを今後のイベントに生かすとことは大切なことである。知事の海外渡航だけではなく、ぜひ積極的にイベントに参加し知見を得ていってほしい。
先ほど、委員から海外交流の話があったが、上海、シンガポールにもスタートアップ企業を派遣する取組が進められている。また、愛知とオースティンのA2 イノベーション キック・スタート プログラムを進める中では、今年度初めて来年3月に開催されるサウス・バイ・サウスウエストにスタートアップ企業の派遣を行うことを県のホームページで見た。
サウス・バイ・サウスウエストについて、私はこれまでも本会議場で話をしており、1987年に音楽祭として始まったものが、音楽、映画、最先端テクノロジーの大規模総合イベントになり、多くの人がまたここに行きたいと思うようなイベントに発展しており、交流の中でいろいろなことが生まれている。
このサウス・バイ・サウスウエストは、国際課でも学生交流発表事業として学生を派遣しているが、2024年に派遣された学生チームの一つに、日本の農産物のサプライチェーンの再構築を目指しているUmai Japanという名前のチームがあり、先ほどのSusHi Techもそうだが、こういった分かりやすい日本語のネーミングはとても大切だと思う。先ほど、発酵食文化の話もあったが、愛知県といって目を引く、耳目を集めるようなネーミングが大事だと思うので、ぜひその辺りの工夫もしてほしい。
サウス・バイ・サウスウエストもロゴに人気がある状況だが、今度のグローバルイベントの名称検討はどのようになっているのか伺う。
【理事者】
グローバルイベントの名称は、プロデューサーである奥田浩美氏と実行委員会を含む関係者が共同で準備を進めており、コンセプトの設定を行っている。コンセプトの設定後に、コンセプトに基づいて名称を決定し、その後それぞれのイベントの具体的な内容の検討に入っていく。グローバルイベントは国内外から広くスタートアップ、事業会社、投資家などが集う場であり、国内外問わず誰に対してもコンセプトに込めるメッセージが伝わり印象に残る名称としていきたい。
【委員】
サウス・バイ・サウスウエストも、ユニコーン企業を生み出すようなイベントになっており、フェイスブックやエアビーアンドビーがこの見本市に出展した後で急成長したことでもよく知られている。すごいイベントであるが、そのコンセプトと本県が行うグローバルイベントのコンセプトは違うと思う。VCを集める、愛知県に目を向けてもらう、STATION Aiを利用してもらうなどコンセプトは違ってくるのではないか。
最後の質問で、本県のグローバルイベントは複数会場で講演やセッション、ピッチコンテスト、多様なサイドイベントの開催を予定しているが、本県イベントの特徴をどのように打ち出そうと考えているのか。また、開催への意気込みを伺う。
【理事者】
進捗状況については、現在コンセプトを検討している。
コンセプトについては、当地域の歴史や産業、文化等における特徴や強みと、現在のビジネストレンドや社会、環境、経済問題などについてのグローバルな視点での課題等を掛け合わせることで、当地域の可能性や本イベントを当地域で行う意義を見いだし、世界に発信できるものとしていきたい。これこそが本イベントの特色になるのではないかと考えている。
本イベントは、この開催を契機として、世界に伍するスタートアップ・エコシステムの形成や、当地の国際的な存在感の向上につなげていくことを目的としているので、海外や国内で開催されているイベント等も参考にし、グローバルな視点も踏まえながら、この地域ならではの特色をしっかりと打ち出していけるイベントとして企画、開催をしていきたい。プロデューサーの奥田浩美氏をはじめ、皆で連携して多くの人々の参画を図っていきたい。
【委員】
これからいろいろなことが決まっていく段階であるが、ぜひインパクトのある言葉で打ち出してもらいたいと思っているのでよろしく願う。
【委員】
私からは観光事業について質問する。
観光はある意味産業であり、愛知県の中の位置づけでも製造業、科学に続く。新たに産業を創出するよりも人を呼び込むことによって税収を増やす。今後人口が減っていく中で、例えば1人の年間消費額が130万円とすると、外国人旅行者を8人呼び込む、国内旅行者は宿泊で23人呼び込む、日帰りで75人を呼び込むことによって、人口の減った分の経済効果を賄っていこうとする中で、2019年の観光消費が本県にもたらす経済波及効果としては1兆2,000億円を超えたというデータがある。そこにはまだ追いついてはいないものの、今後そこを目指してさらに超えていかなければいけない。他府県を含めるとたくさんの観光需要があり、オーバーツーリズムという言葉もある。例えば京都や富士山の見えるところでは箇所によってオーバーツーリズムになっている。
まずは、本県の実態として、県内で、今現在オーバーツーリズムで苦情がきているとこはあるか。
【理事者】
オーバーツーリズムの定義については、観光白書によると「特定の観光地において、訪問客の著しい増加等が、市民生活や自然環境、景観等に対する負の影響を受忍できない程度にもたらしたり、旅行者にとっても満足度を大幅に低下させたりするような観光の状況」とされている。
このオーバーツーリズムの定義に合致するかは一概に言えないが、例えば、犬山市では多くの観光客が城下町の本町通に集中することで、住民への影響が顕在化していると聞いているし、また香嵐渓も紅葉の時期には観光客が集中しているといった話も聞いている。
【委員】
オーバーツーリズムと需要が多いのはある意味紙一重であるが、いろいろな意味で愛知県内を多くの観光客に回ってもらうことが大変大事である。一つ成功事例としては、昨年「どうする家康」が大河ドラマをやったときに協議会をつくって、放送の1年ぐらい前から県は協議会をつくりながら多くの人々に来てもらった。新聞に掲載されていたと思うが、経済波及効果としてはどのくらいあったのか。
【理事者】
大河ドラマどうする家康関連の経済波及効果について、一つは、放送前ではあるが、三菱UFJリサーチ&コンサルティングと名古屋観光コンペンションビューローが調査したものによると、2023年1年間における愛知県への経済波及効果が約393億円、うち名古屋市が約140億円であった。これは放送前で、過去の大河ドラマ放映の事例を参考に、一定の仮定の下に行った試算と聞いている。
そしてもう一つは、放送終了後の3月に岡崎市が発表しており、その資料によると岡崎大河ドラマ館の来館者63万人余りと、大河ドラマ関連の市内のイベントや施設の来場者52万人余りによる市内の観光消費額から推計した経済波及効果が約110億円と聞いている。
なお、これとは別にパブリシティ効果が約33億円とのことである。パブリシティ効果とは、大河ドラマ関連で岡崎市が新聞やニュース、メディア等で放送された時間や記事の面積などにメディアごとの広告掲載単価を乗じて推計されたものと聞いている。
【委員】
ジブリパークの経済効果は480億円と言われて我々は議決をした覚えがあるので、ある意味それに近い額が経済効果としてあったという中で、再来年の大河ドラマ豊臣兄弟は、前回のどうする家康の舞台が三河地域だから、多分尾張地域が中心になると思う。再来年ではあるが、協議会も含めて、どのような仕掛けを行っていくつもりでいるのか伺う。
【理事者】
2026年に大河ドラマ豊臣兄弟が放送予定である。現在、愛知県がこの放送の中でどの程度取上げられるか、NHKと打合せを行っている。今後、それらを踏まえて、また、市町村等の意向も踏まえながら、どのような取組が愛知への誘客に効果的か検討していく。
【委員】
ある意味仕掛けだと思っている。昨年、議長のときに京都府議会議長へ、京都府はオーバーツーリズムで大河も毎年のように京都府が関わってきますよねという話をしたら、京都府議会議長は、毎年関わっているからある意味特別感がない。だから、何の仕掛けをするわけでもないし、そのまま過ぎていってしまうという話をされていたのが印象的であった。
豊臣兄弟だからといって愛知県にお金が落ちるわけではなく、きちんとしたストーリーと仕掛けがあって初めて落ちると思うので、今度は尾張地域の活性化を含めて、ぜひまた観光コンベンション局で考えてもらいたい。
続いて、数値を伺う。県が観光戦略の中で2026年の目標として、観光入込客数は日本人が1億1,620万人回、外国人が380万人回を想定している。観光消費額単価は日本人が6,850円、外国人が8万円という数値になっている。コロナが明けておおむね1年間たった2023年の数値は実際どうであったのか。
【理事者】
観光入込客数と観光消費額の2023年の数値は今年9月頃に発表予定であり、今、準備を進めているところである。
【委員】
9月に出たら、大体どういう流れで人が動いているのかが真水で分かる数値になってくると思う。
愛知県に来る人が一番多いのは、中国、台湾、香港、韓国の順の来訪者数であったが、例えばモリコロパーク一つで取ると、ジブリパークの開園によりアメリカ人やオーストラリア人が増えたりして、海外の人の来る国が変わってきている現状であると思う。
滞在率を見ると約8割が名古屋市、若干常滑市、岡崎市があり、ほぼ名古屋市で終わってしまう。この現状を県としてはどのように考えているのか伺う。
【理事者】
旅行会社に対して、県内を周遊する旅行商品の造成を促すため、県内周遊モデルコースを提示するなどの取組を現在実施している。
昨年9月の2023日台観光サミットin愛知では、国際会議に合わせ、各種の交流会を開催するとともに、常滑市や長久手市、岡崎市や犬山市など、県内各地を周遊するエクスカーションを実施することで、台湾からの出席者に対して本県の観光魅力を大いにPRすることができた。
本年6月3日台湾・台北で開催した商談会には、名古屋市以外も含めた県内各地の観光関連事業者が参加し、現地旅行会社との商談を実施した。また、本県からも県内各地の観光情報を提供した。
ウェブやSNSを活用した一般旅行者向けの情報発信においても、県内各地の幅広い情報を発信するなど、今後も県内周遊の促進に努めていく。
【委員】
やりました、はよく分かるが、増えました、にならないと結果意味がないのではないか。
もう一つ、旅館、例えば温泉地の知多地域、三河湾、新城市、設楽町など、温泉地に泊まってもらうのはある意味大事である。しかし、旅館の客室稼働率が47都道府県で愛知県は41番目だというデータを見ると、いかに行っていないか。多分、中部国際空港から入って愛知県を見て、名古屋を見て、次に昇龍道の高山市に行って、石川県や金沢市とか、あちらのほうで泊まるとよく言われている。そのデータを見るときっとそんなパターンになっているのかなと思う。観光は、時間とお金が比例する部分があるので、時間をいかに使ってもらうか。旅行者のうちの約6割が宿泊や飲食に、お金を使うというデータがある以上は泊まってもらわないとお金が落ちないので、愛知県の旅館や温泉地にちゃんと泊まるような仕組みをぜひとも考えてもらいたい。
それには、県内の市町村や観光協会、商工会などとの連携が大変重要になる。県ではどのような連携を図っているのか。
【理事者】
まず、県と市町村の役割分担については、県は主に観光戦略の策定などにより、県全域の観光振興の取組の方向性を示すことや、愛知県大河ドラマ「どうする家康」観光推進協議会のように市町村や関係団体、事業者など多くの関係者の連携体制の構築、あるいは広域自治体として県外、海外へのプロモーションや旅行者の市町村をまたいだ県内の周遊促進に取り組んでいる。
市町村は、それぞれの地域において、例えば文化や史跡など、地域資源を生かした観光コンテンツの造成、各地域のプロモーション、観光施設の整備などを行っている。
愛知県観光協会は、市町村や地域の観光協会、観光関係の事業者等を会員とする一般社団法人であるが、県内外への観光展へのブース出展や観光ボランティアガイドの育成セミナーの開催など、より現場に近い立場での事業を行っている。
その他、商工会や関係団体とは、例えば、歴史観光の推進協議会などに参画してもらい、連携して、県全体の観光振興を推進している。
【委員】
情報を一番持っているのは愛知県だと思う、しかも広域で。基礎自治体になってしまうと、自分の自治体はよく見えるが、全体の流れは、例えばさっきも言った中部国際空港から人が来る、名古屋駅から人が来るというような想定が多分なくて、何とかこのまちに呼び込みたいという思いで観光が進んでいるような気がする。
その一つの事例としては、県が市町村に対してアンケートをした結果があいち観光戦略2024-2026に載っていて、今、何に一番力を入れてやっていますかという問いの中で、多言語化によるパンフレットが一番グラフの中で多かった。じゃあ、外国の人たちが何を見ているかという同じようなデータがこの中に入っているが、旅の途中で見るものはパンフレットとは一言も書いていなくて、84パーセントがスマートフォン、14パーセントがパソコンかモバイルと書いてある。要するに認識の差異である。
だから、ある意味パンフレットと多言語化に力を入れるのであれば、SNSを含めたものが旅ナカに対して一番誘客があることを県がしっかりと情報開示をしながら、共に知恵を絞っていくような姿勢がないと、基礎自治体の中の単体の観光で終わっては、多くの人は呼び込めないと思う。昇龍道もそうであるが、愛知県の中でいかに周遊をしてもらうかというストーリーづくり、発酵文化もしかりであるが、きちんと情報共有をして情報発信をして、そして相手に刺さるような形で、そして海外の人たちに来てもらえる、県外の人たちも来てもらえるような周遊づくりをしていってもらいたい。
ジブリパークの経済波及効果が480億円であった。まだフルオープンしてからはそんなに月日はたっていないが、三つのエリアがオープンしたのは2022年11月であり、もう1年以上たっている。この三つのエリアの経済効果はどのぐらいであったのか。
【理事者】
ジブリパークの経済波及効果として、五エリア開園の波及効果が年間480億円、三エリア開園の波及効果が年間350億円といった数字があることは承知しており、この数字についてジブリパーク推進課に確認したが、開園後に改めて算出はしていないとのことである。
【委員】
やってください。なぜかというと、我々はそれだけの経済効果があるから議案に対して賛成した。要するに、本当に350億円あったのか結果がどうなっているのかを検証しないと、今後どのような手を打っていいかも分からないわけである。観光コンベンション局じゃないかもしれないが、つながっていることは事実であるので、それを踏まえてやってもらいたい。
今度は地元の話になってしまうが、愛知県と名古屋市が連携して高級ホテルの新設を支援している。愛知県が10億円、名古屋市が10億円で、計20億円。この間、TIAD,オートグラフコレクションがオープンをして、今後、(仮称)エスパシオ ナゴヤキャッスル、コンラッド名古屋がオープンするが、いずれも全部名古屋市内である。名古屋市以外に高級ホテルを誘致するには、愛知県が10億円、基礎自治体が10億円をもし払うのなら、私は名古屋市以外でも周遊という意味ではぜひ支援をしてもらいたい。認定申請の新規受付は終わっているが、その辺の考えを伺う。
【理事者】
ほかの市町村との連携については、名古屋市以外であっても市町村が高級ホテルの立地促進を目的として本県同様の制度を創設する場合は連携が可能になるものと認識しており、具体的な話があれば前向きに検討したい。
【委員】
基礎自治体の財政規模に応じて比例配分できるとありがたい。少し前に中日新聞に載っていたが、ジブリパークができても近隣市町村の中で効果を感じられない、利益を感じられない。それは当たり前である。さっきも言ったが、時間とお金は比例するので、宿泊と飲食が共にならないとお金が落ちるわけがないと思っている。尾張と三河のはざまにある高級ホテルとなると、トヨタを含めた製造業も、名古屋市に本社機能のあるところも含めて、MICE機能としても非常に立地がいい。また環境も名古屋市と違うので、ぜひ尾張東部地域に高級ホテルを造ってもらいたい。外国人の人は単価が高いのもあるが、尾張東部を周遊してしっかりとお金を落としてもらう、もしくは三河地域も周遊するような仕組みをつくってほしい。
「なかなか土地がない」と言われると思うので、都市公園であり、住民の福祉を増進することは重々承知であるが、できることならモリコロパークの中に高級ホテルがあってもいいのではないか。モリコロパークの中で、いっそのことジブリホテルでもいいと思う。尾張東部、もしくは西三河も含めた観光振興施策の拠点としてそのぐらいの規模の物が一つできるのは大変に喜ばしいことだと思うがどうか。
【理事者】
ジブリパークやモリコロパーク内ということになると、都市公園であるため、まずは所管の都市・交通局の判断になる。
もう一つ、高級ホテル立地促進事業において、認定申請の新規受付は一度終わっているが、必要であれば再開も今後検討していく。我々は高級ホテルに対して、誘致するときのインセンティブとして10億円を用意しているが、高級ホテル側の考え方もあるので、意向についてどこかのタイミングで改めて調査しながら可能性を探っていきたい。
【委員】
最後に、滞在は、名古屋がほとんどで8割である。市町村がおまけのようについているだけの今の愛知県の現状を変えるには、それなりの宿泊施設が名古屋市以外にも必要だと思う。所管が違うといえども観光振興は観光コンベンション局であるので、観光振興の一つとして横断的に議論する。また、愛知万博20周年記念事業が来年あり、そこでは各市町村のPRができる格好の場になるので、食、文化も含めて大きくPRができるよう大いに活用する。愛知県は産業県であるので、企業研修や企業視察の情報を先に得る中でMICEを仕掛け、我が県に多くのものを誘致するようよろしく願う。
【委員】
今議会知事提案説明にもあった今月6月5日から7日に、Aichi Sky Expoで今年初めて開催した、産業展示会のAXIA EXPO 2024について質問する。
私も視察したが、スマートシティをテーマとして水素、アンモニア、そしてグリーントランスフォーメーション、次世代通信の各分野から、様々な企業が出展しており、今後も大きく発展することを期待している。
この展示会について、どのような経緯で開催することになったのか、また催事の概要や出展者数、来場者数などの開催結果について伺う。
【理事者】
まず展示会開催の経緯である。Aichi Sky Expoは、本県の産業集積を生かし、産業展示会を通じて新産業の創出や既存産業の充実などを目指し設置したものである。また、コンセッション方式により民間事業者の専門的能力を活用して運営している施設である。
しかし、開業後間もなく始まった新型コロナウイルスの感染拡大により、産業展示会の開催が困難な状況が続いたことから、新たな展示会を開催または誘致をしていくこととなった。そこで、運営事業者と共に県も協力し、主催者に対して誘致活動を展開した。
そうした中で、日刊工業新聞社からこの地域の産業特性を生かし、スマートシティをテーマとする展示会とすること、そして新たな展示会の開催に当たり、県から出展募集などで協力を得られるなら開催を検討できるとの提案があった。テーマは県の施策とも方向性とも合致することから、県が実行委員会に加わり展示会を立ち上げることになった。
次に、AXIA EXPO 2024の概要であるが、この展示会では「愛知発スマート未来都市の実現へ」というテーマの下、水素、アンモニアなどの分野を中心に、スマートシティの基盤となる各種技術や製品が展示された。
また、日刊工業新聞社が東京で開催している展示会の地域版として、スマートファクトリーJapan 2024愛知や、本県の新あいち創造研究開発補助金を活用して取り組まれた研究開発や実証実験の成果を集めた新あいち創造研究開発展も同時に開催した。
次に、開催結果であるが、催事全体で193社が出展し、来場者も目標としていた1万人を超える1万1,759人と、多くの人が来場した。
また、出展者へのアンケートを行ったところ、満足度では約7割が満足、大変満足と回答しており、出展者からは東京の展示会と来場者層がかぶらず出展の意義があった、また新たなマーケット展開を予測できる機会となったという声もあった。
【委員】
AXIA EXPOは、この地域で初めてとなるスマートシティをテーマとしたことで、出展者を集めるのに大変だったと聞いている。基本的には主催者が声かけしていくものだと思っているが、県も実行委員会のメンバーとして協力したと聞いている。
そこで、出展者を集めるに当たり、県としてどのような協力をしたのか伺う。
【理事者】
出展の募集に当たっては、事務局の日刊工業新聞社と県内企業等に直接出展を働きかけたほか、出展募集情報については中部経済連合会や名古屋商工会議所などの地元経済界を通じた周知、また県関係部局の持つメールマガジン等による配信を行うといった支援を行った。
また、県も参画する中部圏水素・アンモニア社会実装推進会議の取組を紹介するパネル展示や、カーボンニュートラルの実現に向けた県の取組などを紹介する愛知県ブースを設置したほか、スマートシティに向けた取組を行っている豊橋市、岡崎市、刈谷市、常滑市、日進市の五市に対して出展を促した。
さらに、新あいち創造研究開発展を本催事の中で開催することで、AXIA EXPO 2024出展者とのビジネス交流を一層促進するとともに、出展支援に寄与するということができたと考えている。
【委員】
これで新型コロナウイルス感染症の影響もなくなり、今後、県内企業もこのような展示会に出展し、積極的にPRしていくことが予想されると思う。AXIA EXPOなど産業展示会がこの地域で数多く開催されることは、県内企業にとって新規営業先の開拓や自社PRを行う機会の創出につながっている。
Aichi Sky Expoは、コンセッション事業としての運営をしており、産業展示会の主催への営業活動は基本的に運営事業者が行っていると思うが、県の施策のPRのため、県が主体的に産業展示会に関わることもあると思う。
そこで、県として新たな産業展示会の誘致や産業展示会の継続について、どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
産業集積の厚い本県の特性を生かした展示会の誘致を目指して運営事業者と共に取り組んでいる。そして、誘致に当たり、主催者にとって初めて開催する催事では、知名度や実績がなく、出展料収入の見込みが立ちにくいことから、財政的な支援策として、展示会産業振興基金を活用した利用促進補助金制度を提案し、新規開催に向けた働きかけを行っている。
また、併せて、国など関係機関からの後援や経済団体や金融機関などを通じた出展、来場に向けた支援、さらにはメールマガジン等の県の持つ広報ツールによる催事情報の発信等を実施しているところである。
次に、継続開催に向けては、新規催事で行うサポートに加えて、出展者の声やアンケート結果を基に、県も運営事業者と連携しながら課題解決を図ることで、主催者が安心して継続開催を検討できるよう支援している。
こうした取組により、様々な展示会の誘致が徐々に実を結んできており、来月には、ROBOT TECHNOLOGY JAPAN 2024 や、人と車のテクノロジー展 2024 名古屋、また10月には新たに食の展示会FOOD STYLE Chubu 2024、さらには来年7月にAGTS農業展の開催も予定されている。
引き続き、県としては運営事業者と連携して新たな産業展示会の誘致に努めるとともに、継続開催につなげて、本県の産業振興とともにAichi Sky Expoのさらなる活用を推進していきたい。
【委員】
最後に要望になるが、このAXIA EXPO 2025に向けて、さらなる盛り上げをしてもらい、この愛知県の産業振興や地域経済の発展につなげてもらいたい。
【委員】
女性の起業家育成促進について伺う。
世界経済フォーラムが先日6月12日公表した世界男女格差報告書、グローバル・ジェンダー・ギャップレポートでは、日本のジェンダーギャップ指数は146か国中118位と位置づけられ、前年125位だったので少し順位は上がったが、G7の中では最下位であり、男女格差が埋まっていない現状が改めて示された。
この報告書では、男女格差を経済、教育、健康、政治の四分野で評価しており、健康は58位、教育は72位と比較的高いが、政治は113位、経済分野は特に120位という低い結果であった。指導的な職務では6人のうち5人を男性が占めており、政治の分野では我が県議会も同様であるが、女性議員が非常に少ないのが現実である。
全体のトップは昨年と同じアイスランドで、たしかアイスランドは15年間トップであるが、フィンランド、ノルウェーが続いて、北欧諸国が3位までを占めている。
経済分野における男女格差の改善による効果は、皆言わずもがな承知していると思うが、経済活動における女性の活躍、意思決定への参画が進むことで、例えば新製品や新サービスの開発などに多様な経験や価値観が反映され、新しい市場が開拓されることが期待される。また、多様性が向上することによって、イノベーションが起こりやすくなる風土が生まれるとされている。男性と女性はそれぞれ異なる視点やアイデアを持ち、女性の起業を促進することは地域社会における多様性を高め、地域経済の活性化と持続的な発展の鍵となるものと考える。
そこで、愛知県では今年の秋にSTATION Aiが開業され、起業の促進と起業家の支援に力を入れていると理解しているが、特に女性の起業促進のためにこれまでどのような取組を行ってきたのか伺う。
【理事者】
本県では、より多くの女性の愛知への定着と、女性の活躍を通じた産業の振興を図る一環として、あいち・ウーマノミクス推進事業による女性の起業支援に取り組んでいる。
2016年度からの3年間は、主に女性の起業促進に向けた環境整備をしており、具体的には、女性の起業をサポートする人材の育成に向けた研修や、女性による新たなビジネスモデルの創出を促進するためのセミナーを開催したほか、女性を対象としたソーシャルビジネスプランコンテストを開催し、優秀なプランに対してその具体的な事業化支援を実施してきた。
2019年度からの3年間は、起業を考えている段階、または起業して間もない段階の女性に対して、経営者としての成長と事業拡大について支援をしてきた。具体的には、メンターと呼ばれる専門家による伴走支援、ビジネスプランを磨き上げるブラッシュアップセミナー、先輩女性起業家に学ぶセミナーなどを実施した。
2022年度からは、既に起業し本格的な事業拡大を目指す女性起業家にも対象を広げるなど、参加者からの声も参考にして事業をリニューアルしながら継続して、女性の起業を支援しているところである。
【委員】
各種セミナーが開催され着実にやっているということであるが、女性の能力を十分に発揮できる環境の整備を充実させるためには、様々な問題を解決することが必要となると思う。特に起業した女性が事業の継続や拡大を目指す際には、やはり女性にある出産、育児をはじめとした女性特有のライフステージの課題や、男性中心の産業界での資金調達、それから販路拡大を行っていかなければいけないというハードルがあると思う。
あるシンクタンクの分析によると、女性と男性が起業家として同等に経済活動に参加することで、GDPは世界全体で3から6パーセント上昇して、また世界経済は2兆5,000億ドルから5兆ドル程度の成長が見込まれるという数字が出ている。
愛知県が、女性が起業しやすく事業を行いやすい地域となるためには、行政、支援機関、また金融機関など様々な関係機関が連携してサポートしていく体制や、ロールモデル、また女性の起業を支えるコミュニティーの育成が重要だと思う。
そこで、このように起業した女性の事業継続や事業拡大に関する課題の解決を図るには、きめ細やかな支援が不可欠だと思うが、今年度はどのような支援を展開していくのか伺う。
【理事者】
今年度は起業フェーズに応じた二つのプログラムを実施するほか、女性起業家のネットワーク形成やコミュニティー育成のためのイベントを開催する。
プログラムの一つは、起業を目指している女性や起業して間もない女性を対象にした女性起業家シードプログラムである。このプログラムでは、県内の女性起業家の裾野拡大を図るため、起業に対するモチベーションを高めたり、起業にまつわる基礎知識を学ぶことができたりするほか、県内の女性起業家の裾野の拡大を図るセミナーやワークショップを5回開催する。
もう一つのプログラムは、既に起業し本格的な事業拡大を目指す女性起業家を対象にした女性起業家スケールアップ支援プログラムである。このプログラムでは、メンターによる個別面談、個別相談等を通じた切れ目ない伴走支援を行うほか、事業拡大に必要な知識やノウハウを学べる勉強会を開催する。今年度は応募者から10人程度を選考して支援する予定である。
さらには、女性起業家同士が交流するあいち女性起業家交流会を開催するほか、今年度事業の集大成として、女性起業家、起業に関心のある女性、起業を支援する機関等が一堂に会する愛知女性起業家フォーラムを開催し、女性起業家のネットワーク形成やコミュニティー育成を図っていく。こうした支援を通じて、女性の起業促進に向けた環境整備を進め、本県に根差した女性起業家の育成を後押ししていきたい。
【委員】
最後に要望する。女性のリーダーが増えることがマーケットやイノベーションの創造、創出の観点からも望ましいと考えているが、2023年の帝国データバンクの調査では、本県における女性社長比率は6.5パーセントで、全国の順位は4年連続46位である。本県では一所懸命女性が流出しないように考えているが、数字のギャップ、拡大が続いているのが現状である。
こうしたギャップを解消するために、いいプランや思いを持っていてもなかなか踏み出せない女性をどんどん引っ張っていって、今年開催されるあいち女性起業家フォーラムや、勉強会、交流会などでお互いに励まし合って頑張る気持ちを高めていくのが大事だと思う。
実は春日井市でも、商工会議所で今年の2月に女性起業ビジネスコンテストを開催して、優勝者に賞金を出す、女性起業家の応援プロジェクトが行われた。16人の応募があり、最終審査に残った5人でプレゼンが行われ、最後の優勝者は「身体のメンテナンスを当たり前に!~春日井市から始める健康の輪~」というカイロプラクティック事業を提案した女性が優勝した。ただ、その賞金も春日井市からで、春日井市のアクションの仕方が足りなかったのかもしれないが、愛知県からの賞金関係は一切ない。担当部局は県民文化局で、経済産業局は関わってなかったが、各自治体でそういうものがあったら、ぜひ経済産業局も関わってもらいたい。
今年度計画されている様々な事業によって、女性の起業家やそのリーダーが増えて、地域の経済がさらに活性化されることを要望して終わる。