委員会情報
委員会審査状況
経済労働委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年6月25日(火) 午後0時58分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
林 文夫、山口 健 正副委員長
神戸洋美、須崎かん、石井芳樹、近藤裕人、政木りか、丹羽洋章、
谷口知美、天野正基、鳴海やすひろ、大久保真一、喚田孝博 各委員
企業庁長、企業次長、技術監、管理部長、水道部長、企業立地部長、
関係各課長等
<付託案件等>
○ 閉会中継続調査申出案件
1 中小企業の振興、次世代産業の育成及び産業交流の促進について
2 労働者福祉の向上、職業能力開発の推進及び雇用対策について
3 観光振興及び国際会議等の誘致について
4 水道事業及び工業用水道事業について
5 用地造成事業について
6 経済産業局、労働局、観光コンベンション局、企業庁及び労働委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 一般質問
3 閉会中継続調査申出案件の決定
4 閉会中の委員会活動について
5 閉 会
(主な質疑)
《一般質問》
【委員】
最初に用地造成事業について伺う。
先日の委員会において、企業庁の事務概要説明を受けた。その中で、用地造成事業について令和7年度までの10年間で1,200ヘクタールの造成を事業目標として掲げている。
現在までの進捗状況と今後の目標に対する用地造成の見込みについて伺う。
【理事者】
まず、現在までの進捗状況であるが、愛知県公営企業の設置等に関する条例第3条の経営の基本で定める、計画年次10年間の事業計画の規模を示す造成計画面積は、1,200ヘクタールであり、その内訳は内陸用地が1,000ヘクタール、臨海用地が200ヘクタールである。2023年度末時点の進捗状況は、内陸用地は891.4ヘクタールで、進捗率89.1パーセント、臨海用地は205.8ヘクタールで、進捗率102.9パーセントであり、内陸用地と臨海用地を合わせた合計は1,097.2ヘクタールで、進捗率91.4パーセントである。
次に、今後の用地造成の見込みであるが、今後内陸用地は開発検討地区として企業庁が検討を進めている豊川市西部地区はじめ5地区の開発要件を早期に整え、事業の進捗を図っていくことで、経営の基本に沿った計画的な運営に努めていく。
【委員】
令和7年度までの目標ということであるので、そこに向けてはおおむね達成に至るという認識でよいか。
【理事者】
現在開発検討を進めている豊川市西部地区をはじめとする5地区の事業化が実現した場合には、造成計画面積である1,000ヘクタールをほぼ達成することができる見込みである。
【委員】
令和7年度までの事業目標とのことであるが、次回以降のものについては、どの程度の規模感で予定しているのか。
【理事者】
現在の計画年次は、平成28年度から令和7年度までの10年間であり、内陸用地1,000ヘクタールは豊田・岡崎地区研究開発施設用地、約650ヘクタールを含んだ造成計画面積である。
次回の計画年次は令和8年度から令和17年度までの10年間で、事業計画の規模を示す造成計画面積を条例で策定することとなるが、具体的な数値は来年度にかけて検討していくため、現時点では示すことができない。
【委員】
令和8年度からであるので、令和7年度には条例で規定されていくということで、理解した。
その上で、企業等のニーズについて、これまでの実績等を見ると、内陸用地、臨海用地ともに比較的順調に推移していると理解しており、当地域では、南海トラフ地震が大変危惧されており、臨海用地でのニーズは比較的厳しいと思っていたが、さほどそうではないという状況かと思う。
この6月7日に経済産業省が公表した2023年1月から12月の1年間の工場立地動向調査の結果を見てみると、2023年の立地件数は全国で745件、立地面積は1,451ヘクタールで、近年、工場立地件数は1,000件前後、立地面積は1,300ヘクタール前後で推移しているようである。
中部経済産業局管内の立地動向は、2023年の立地件数が118件、立地面積は129ヘクタール、業種別の立地件数では輸送用機械、生産用機械が多く、立地面積は輸送用機械、生産用機械が大きくなっているようである。また、立地地点の選定理由としては、本社、他の自社工場への近接性、地価が多いということである。
一方で、一般財団法人日本立地センターが発表している2023年度新規事業所立地計画に関する動向調査によると、事業拠点に関する立地計画、新規増設、移転について、計画があるとしているのが25パーセント、前年度比で1.1ポイント増と、3年連続で増加している。製造業で23.1パーセント、物流業で32.6パーセント、特に製造業は過去30年で最高の水準にある。物流業では統計開始の2012年度以降最高ということで、新規事業所に関してはこうした立地の動向があり、その要因として、一つ目には、保護貿易主義及び技術覇権をめぐる米中貿易摩擦並びに経済安全保障問題の顕在化、二つ目に地球環境問題の深刻化、三つ目にコロナ禍を経た経済活動の再始動やインバウンド需要の回復、四つ目に人材不足、2024年問題の対応など、内外の社会経済環境の変化が挙げられる。
そうした中で、企業庁でも県内の事業所へのアプローチをしながら、企業が持つニーズ等を把握していると思うが、当局が把握している企業の用地ニーズ、内陸、臨海、規模等をどのように捕捉しているのか伺う。
【理事者】
企業庁では、年間約600件の企業訪問などを通し、潜在的な企業の立地ニーズの掘り起こしを精力的に行っている。こうした企業誘致活動の中で、令和5年度の契約実績は、内陸が9件で、約55.2ヘクタール、臨海用地が9件で、約6ヘクタールであり、合計で18件、約61.2ヘクタールの契約を締結した。内陸9件の契約実績のうち製造業は8件で、分譲面積が約47.1ヘクタールの西尾次世代産業地区を除くと、1ヘクタールを超える分譲面積案件は3件である。また、臨海9件の契約実績のうち物流業は4件で、1ヘクタールを超える分譲面積案件は2件である。
【委員】
一般的に用地造成を進める上では、地元市町村からの相談を受けて開発、整備に着手していくことになろうかと思う。あいちビジョン2030では、次世代を担う産業等の集積に向けて企業立地を推進するとともに、企業ニーズ等を踏まえて新たな企業用地の開発を市町村と連携して進めると記されている。次世代を担う産業等を集積するためには、県が率先して次世代産業を誘致するよう、企業用地の確保、開発に務めることが大変重要だと考えるが、企業庁として現在、どのような工業団地の開発を行っていく考えであるのか伺う。
【理事者】
企業庁では、本県の産業振興施策の受皿として工業用地を供給していく役割を今後も一層果たしていくため、工業用地の開発に取り組んでいく必要があることから、地元市町村と共同で工業用地開発を行っており、市町村からの開発相談に積極的に応じ、検討を進めていく。
企業庁では、工業用地の開発に当たり、六つの要件を定めている。
具体的には、一つ目が、都市計画法に定める地区計画が定められている、または策定の確実な見込みがあること。二つ目が、用地の取得見込みがあること。三つ目が、廃棄物の埋設や土壌汚染、地下水汚染が認められないこと。四つ目が、事業の採算性が確保されていることが確認されていること。五つ目が、企業立地の確実な見通しがあること。六つ目が、市町村の積極的な協力が得られることである。
これらの開発要件を整理して、工業用地の開発決定、開発公表をし、工業用地の開発を行っている。
【委員】
現在国内では、企業の用地のニーズが非常に高まっていると思われる。あいちビジョン2030で示された次世代産業の集積というような取組を、地元自治体からの積極的なアプローチもあろうとは思うが、今後の県の全体的な産業政策という観点からも、しっかりと動向を見据えながら取り組んでもらいたい。
続いて、蒲郡海陽地区の現状と今後について伺う。
まず初めに、海陽地区18.3ヘクタールであるが、これは2014年に企業庁が取得したものであり、現在の整備状況がどのようになっているのか伺う。
【理事者】
蒲郡海陽地区は、土地を取得してから約10年が経過しているが、企業庁において2018年度と2020年度に地区内の道路や排水施設等の予備設計を実施するなど、徐々に整備を進めている状況である。これら地区内の整備に当たっては、企業による土地需要の見極めや、2023年6月に供用を開始した三河港務所が進めてきた国道23号から直進侵入することができる臨港道路海陽3号線をはじめとする周辺の道路整備状況等を踏まえて進めていく必要があることから、今後も蒲郡市や関係機関と情報の共有に努め、地区内の整備を進めていきたい。
【委員】
これまでも周辺整備に向けて尽力しているが、一方で現状では、まだそこの利用が明確になっていない状況であると思う。これまでにも企業庁として用地を取得した後、企業誘致等に取り組んできたものと思うが、これまでの企業からの反応、この地域に対する評価はどのように受け止めているのか。
【理事者】
蒲郡海陽地区は、商圏の半分が海で、足元の商圏人口が少ないという立地特性や、このエリアの商業施設であるラグーナテンボスとの相乗効果が期待できることから、広域から集客できる大型の商業施設をターゲットとしてこれまで企業誘致に取り組んできた。その際、企業からはこの地域は風光明媚であり、温泉などの観光施設も近接していることから、商業施設の立地場所としてはポテンシャルの高い地区であるという評価を受けている。
しかしながら、商業施設が立地するためには、広域からの集客を目指す必要があり、そのためにはこの地区につながる道路が重要であるとの意見も聴いている。このため、今後も周辺道路の整備状況を見極めながら企業誘致活動を行っていく。
【委員】
当地域におけるポテンシャルの高さを理解されており、大変ありがたく思っているが、アクセスという課題が非常に大きいネックになっているのではないか。用途が近隣商業地域であり、今までまちづくり協議会等において、企業庁、市の関係者、海陽地区における主要な事業者との協議を重ねてきていると思う。
大きな課題というのはアクセス性であり、国道23号、名豊バイパスがこの年度末には開通されていく、そこに位置している金野インターチェンジからラグーナ、海陽地区に下りてくる都市計画道路大塚金野線も昨年末に事業化をし、今年度も用地測量等々の取組をするとのことであり、ようやくアクセスに向けた取組が一歩動き出したが、これから道路が整備されると、それ相応の時間を要することになる。
また、一方で周辺を見ると、商業エリアであるが、この間、豊川市でイオンモールが開設し、来年には岡崎市で三井アウトレットモールが開設されていくことになってくると、商圏の半分は海であるという課題と合わせて、当地域において同様の商業施設はなかなか難しいものがあると感じている。
そうした中、今東三河において、豊川を使ってドローン・リバーという取組が始まっており、また、大阪万博では、空飛ぶ車ということで、ドローンを使った取組を進めている。ドローンを使って、街中を飛ばすにはいろいろリスクが大きいので、まずは海側を飛ばしながらドローンの実証実験を重ねていくという取組も、非常に注目をされていると思っている。この海陽地区においても、ドローン技術の実証実験のフィールドとしての場であるとか、あるいはこれからの次世代産業としてエネルギーという部分で水素関連のものであるとか、今までの商業施設とは違った部分での取組を幅広に考えてもらうことも大事ではないかと思うが、どのように考えているのか。
【理事者】
蒲郡海陽地区については、中高一貫である海陽学園をはじめ、企業の研修施設、高級リゾートホテルなどが立地したことに加え、近隣の豊川市にはイオンモール豊川が開業し、さらには岡崎市にアウトレットモールの開業が予定されており、この地域を取り巻く状況は大きく変化している。このため、商業系企業に加えて、既に立地している施設との調和が取れ、この地域の発展に貢献できるような幅広い業種も対象にして立地の可能性を探るなど、企業誘致アドバイザーの意見も参考にし、委員の地元である蒲郡市と調整を図りながら企業誘致活動を行っていく。
【委員】
工業用地開発について伺う。
三河港の神野西地区では、現在港湾計画にのっとっていろいろ整備等々が行われており、埋立ての計画があるが、未着手となっているところもある。昨今、完成自動車の取扱い増加によって、保管用地不足の解消や、新規企業の進出への対応など、港湾機能の強化を実現するためにも早期の実現、埋立て実現の声も大きく聞こえてきている。
実際、何年も前から関係団体、企業から用地の必要性を言われている。そこで、神野西地区の工業用地開発におけるこれまでの取組状況について伺う。
【理事者】
神野西地区のうち神野西1区については、企業庁が1979年に埋立免許を取得し、1998年度に埋立しゅん工させ、2019年には全ての分譲地の引渡しを完了している。
1995年改訂の三河港港湾計画においては、企業庁は新規の工業用地の埋立てを計画したが、埋立てに伴う環境保全措置の対応が困難となり、さらに2011年改訂の三河港港湾計画において、用地需要の減少から神野西地区の工業用地の位置付けが大幅に縮小されたことなどを踏まえ、新規の埋立てを断念した経緯がある。
【委員】
環境保全ということもあった。これは、六条潟のアサリのことを主に言っていると思う。用地のニーズが減ってきていると答弁したが、これは本当にニーズ調査をしているのか確認させてもらいたい。
先ほど委員の質問の中で、年間約600件の企業訪問等々をしてニーズの掘り起こしをしているとあったが、少なくとも私が聞いている部分でいうと、神野西地区は用地が足りない。輸入自動車が陸揚げされているところであり、自動車を置く場所としてかなりの面積が必要になってくるが、今現状足りない。だから、埠頭間をまたぐ臨港道路がないので、国道23号バイパスを使いながら隣の御津の埠頭に車を移動させておいて、また神野西地区に戻して整備をして全国に流していく、こういったことを繰り返しており、前々から用地がない、もっと欲しいという声は、少なくとも私のところには聞こえている。
前も、海外メーカーではなく国内メーカーが海外生産した自動車を三河港で揚げたいとの引き合いがあったにもかかわらず、場所がないからどうしようかという声も、港湾事業者から聞こえてきている。
だから、そのニーズ把握がどのようになっているのか確認させてもらいたい。併せて、三河港臨海地区全体でどのような取組をしているのか伺う。
【理事者】
今後の神野西地区の埋立てについては、埋立免許を取って行うことになると思う。その中で、工業用地の土地需要が真に必要なものでなければならず、企業ニーズの把握が大変重要になってくる。このため企業庁としては、先ほど委員の質問で答弁したとおり、年間約600件の企業訪問から得られる情報のほか、豊橋市が昨年度実施した企業ヒアリングがあるので、今後も企業から市へ寄せられた事業所の移転や拡張、集約などの様々な相談事案を詳細に把握し、三河臨海部の企業の立地動向や、企業が必要とする立地面積の情報を整理することに努めていく。
次に、三河港全体の取組については、企業庁では、三河港臨海地区で具体的には田原1区、御津2区において区画道路整備等の分譲に向けた準備を進めており、併せて田原4区において埋立事業の促進に取り組んでいる。
【委員】
田原1区、御津2区も絶賛売出し中であることは承知しているが、神野西地区にそういった用地が必要だという声、これは県港湾課も同じようにヒアリング等をしていて、情報共有等をしているのか分からないが、今の答弁の中のヒアリング等、豊橋市から上がっているものももちろんあるのだろうが、ヒアリングをしていくと受け止めたので、しっかりニーズの把握をしてもらうことを要望する。
もう一点、私の地元豊橋市が令和6年3月に豊橋新城スマートインターチェンジ、これは仮称であるが、周辺土地利用構想を策定している。このスマートインターチェンジについては、先月安全祈願祭が行われて、いよいよ工事が本格化していくと受け止めている。豊橋市、新城市の新しい玄関口となるスマートインターチェンジであるので、豊橋市としてもこの北部地域の発展を見据えた形でしっかり市としても取り組んでいこうという意気込みでいる。
東名高速道路の東京と大阪のちょうど中間ぐらいの新しいスマートインターチェンジにもなるので、産業立地や、物流などいろいろな面で使い勝手がいい、優位性があると期待されている場所である。
そこで、現在、豊橋市も一緒になって、スマートインターチェンジができるので、工業用地開発に向けて作業を進めていると聞いている。併せて、愛知県の建設局も地元の要望も含めて必要とされる建設局の分野の事業を進めようとしていることも聞いている。その中で、企業庁がそのエリアでどのような取組をしていこうとしているのか、現状どうなっているのか。
【理事者】
豊橋市では今後、県建設局が進めている主要地方道豊橋下吉田線バイパスの道路予備設計成果を得ながら、概略設計を発注し、現在2か所ある候補地を1か所に絞り込む検討を進めていく。企業庁としては、今後も引き続き豊橋市、県関係機関との連携を密に取りながら、市の相談に積極的に応じ、工業用地開発の実現に向け努めていく。
【委員】
道路があるところに工業用地を開発しようということではなく、合わせて一緒に白紙の中で作っていこうということなので、どちらが先かではなく、合わせて一緒になって、テーブルについて進めてもらいたい。建設局も大体この辺りに道を通そうと準備を今年度進めると聞いているので、ぜひ一緒になって進めてもらうよう要望する。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年6月25日(火) 午後0時58分~
会 場 第7委員会室
出 席 者
林 文夫、山口 健 正副委員長
神戸洋美、須崎かん、石井芳樹、近藤裕人、政木りか、丹羽洋章、
谷口知美、天野正基、鳴海やすひろ、大久保真一、喚田孝博 各委員
企業庁長、企業次長、技術監、管理部長、水道部長、企業立地部長、
関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 閉会中継続調査申出案件
1 中小企業の振興、次世代産業の育成及び産業交流の促進について
2 労働者福祉の向上、職業能力開発の推進及び雇用対策について
3 観光振興及び国際会議等の誘致について
4 水道事業及び工業用水道事業について
5 用地造成事業について
6 経済産業局、労働局、観光コンベンション局、企業庁及び労働委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 一般質問
3 閉会中継続調査申出案件の決定
4 閉会中の委員会活動について
5 閉 会
(主な質疑)
《一般質問》
【委員】
最初に用地造成事業について伺う。
先日の委員会において、企業庁の事務概要説明を受けた。その中で、用地造成事業について令和7年度までの10年間で1,200ヘクタールの造成を事業目標として掲げている。
現在までの進捗状況と今後の目標に対する用地造成の見込みについて伺う。
【理事者】
まず、現在までの進捗状況であるが、愛知県公営企業の設置等に関する条例第3条の経営の基本で定める、計画年次10年間の事業計画の規模を示す造成計画面積は、1,200ヘクタールであり、その内訳は内陸用地が1,000ヘクタール、臨海用地が200ヘクタールである。2023年度末時点の進捗状況は、内陸用地は891.4ヘクタールで、進捗率89.1パーセント、臨海用地は205.8ヘクタールで、進捗率102.9パーセントであり、内陸用地と臨海用地を合わせた合計は1,097.2ヘクタールで、進捗率91.4パーセントである。
次に、今後の用地造成の見込みであるが、今後内陸用地は開発検討地区として企業庁が検討を進めている豊川市西部地区はじめ5地区の開発要件を早期に整え、事業の進捗を図っていくことで、経営の基本に沿った計画的な運営に努めていく。
【委員】
令和7年度までの目標ということであるので、そこに向けてはおおむね達成に至るという認識でよいか。
【理事者】
現在開発検討を進めている豊川市西部地区をはじめとする5地区の事業化が実現した場合には、造成計画面積である1,000ヘクタールをほぼ達成することができる見込みである。
【委員】
令和7年度までの事業目標とのことであるが、次回以降のものについては、どの程度の規模感で予定しているのか。
【理事者】
現在の計画年次は、平成28年度から令和7年度までの10年間であり、内陸用地1,000ヘクタールは豊田・岡崎地区研究開発施設用地、約650ヘクタールを含んだ造成計画面積である。
次回の計画年次は令和8年度から令和17年度までの10年間で、事業計画の規模を示す造成計画面積を条例で策定することとなるが、具体的な数値は来年度にかけて検討していくため、現時点では示すことができない。
【委員】
令和8年度からであるので、令和7年度には条例で規定されていくということで、理解した。
その上で、企業等のニーズについて、これまでの実績等を見ると、内陸用地、臨海用地ともに比較的順調に推移していると理解しており、当地域では、南海トラフ地震が大変危惧されており、臨海用地でのニーズは比較的厳しいと思っていたが、さほどそうではないという状況かと思う。
この6月7日に経済産業省が公表した2023年1月から12月の1年間の工場立地動向調査の結果を見てみると、2023年の立地件数は全国で745件、立地面積は1,451ヘクタールで、近年、工場立地件数は1,000件前後、立地面積は1,300ヘクタール前後で推移しているようである。
中部経済産業局管内の立地動向は、2023年の立地件数が118件、立地面積は129ヘクタール、業種別の立地件数では輸送用機械、生産用機械が多く、立地面積は輸送用機械、生産用機械が大きくなっているようである。また、立地地点の選定理由としては、本社、他の自社工場への近接性、地価が多いということである。
一方で、一般財団法人日本立地センターが発表している2023年度新規事業所立地計画に関する動向調査によると、事業拠点に関する立地計画、新規増設、移転について、計画があるとしているのが25パーセント、前年度比で1.1ポイント増と、3年連続で増加している。製造業で23.1パーセント、物流業で32.6パーセント、特に製造業は過去30年で最高の水準にある。物流業では統計開始の2012年度以降最高ということで、新規事業所に関してはこうした立地の動向があり、その要因として、一つ目には、保護貿易主義及び技術覇権をめぐる米中貿易摩擦並びに経済安全保障問題の顕在化、二つ目に地球環境問題の深刻化、三つ目にコロナ禍を経た経済活動の再始動やインバウンド需要の回復、四つ目に人材不足、2024年問題の対応など、内外の社会経済環境の変化が挙げられる。
そうした中で、企業庁でも県内の事業所へのアプローチをしながら、企業が持つニーズ等を把握していると思うが、当局が把握している企業の用地ニーズ、内陸、臨海、規模等をどのように捕捉しているのか伺う。
【理事者】
企業庁では、年間約600件の企業訪問などを通し、潜在的な企業の立地ニーズの掘り起こしを精力的に行っている。こうした企業誘致活動の中で、令和5年度の契約実績は、内陸が9件で、約55.2ヘクタール、臨海用地が9件で、約6ヘクタールであり、合計で18件、約61.2ヘクタールの契約を締結した。内陸9件の契約実績のうち製造業は8件で、分譲面積が約47.1ヘクタールの西尾次世代産業地区を除くと、1ヘクタールを超える分譲面積案件は3件である。また、臨海9件の契約実績のうち物流業は4件で、1ヘクタールを超える分譲面積案件は2件である。
【委員】
一般的に用地造成を進める上では、地元市町村からの相談を受けて開発、整備に着手していくことになろうかと思う。あいちビジョン2030では、次世代を担う産業等の集積に向けて企業立地を推進するとともに、企業ニーズ等を踏まえて新たな企業用地の開発を市町村と連携して進めると記されている。次世代を担う産業等を集積するためには、県が率先して次世代産業を誘致するよう、企業用地の確保、開発に務めることが大変重要だと考えるが、企業庁として現在、どのような工業団地の開発を行っていく考えであるのか伺う。
【理事者】
企業庁では、本県の産業振興施策の受皿として工業用地を供給していく役割を今後も一層果たしていくため、工業用地の開発に取り組んでいく必要があることから、地元市町村と共同で工業用地開発を行っており、市町村からの開発相談に積極的に応じ、検討を進めていく。
企業庁では、工業用地の開発に当たり、六つの要件を定めている。
具体的には、一つ目が、都市計画法に定める地区計画が定められている、または策定の確実な見込みがあること。二つ目が、用地の取得見込みがあること。三つ目が、廃棄物の埋設や土壌汚染、地下水汚染が認められないこと。四つ目が、事業の採算性が確保されていることが確認されていること。五つ目が、企業立地の確実な見通しがあること。六つ目が、市町村の積極的な協力が得られることである。
これらの開発要件を整理して、工業用地の開発決定、開発公表をし、工業用地の開発を行っている。
【委員】
現在国内では、企業の用地のニーズが非常に高まっていると思われる。あいちビジョン2030で示された次世代産業の集積というような取組を、地元自治体からの積極的なアプローチもあろうとは思うが、今後の県の全体的な産業政策という観点からも、しっかりと動向を見据えながら取り組んでもらいたい。
続いて、蒲郡海陽地区の現状と今後について伺う。
まず初めに、海陽地区18.3ヘクタールであるが、これは2014年に企業庁が取得したものであり、現在の整備状況がどのようになっているのか伺う。
【理事者】
蒲郡海陽地区は、土地を取得してから約10年が経過しているが、企業庁において2018年度と2020年度に地区内の道路や排水施設等の予備設計を実施するなど、徐々に整備を進めている状況である。これら地区内の整備に当たっては、企業による土地需要の見極めや、2023年6月に供用を開始した三河港務所が進めてきた国道23号から直進侵入することができる臨港道路海陽3号線をはじめとする周辺の道路整備状況等を踏まえて進めていく必要があることから、今後も蒲郡市や関係機関と情報の共有に努め、地区内の整備を進めていきたい。
【委員】
これまでも周辺整備に向けて尽力しているが、一方で現状では、まだそこの利用が明確になっていない状況であると思う。これまでにも企業庁として用地を取得した後、企業誘致等に取り組んできたものと思うが、これまでの企業からの反応、この地域に対する評価はどのように受け止めているのか。
【理事者】
蒲郡海陽地区は、商圏の半分が海で、足元の商圏人口が少ないという立地特性や、このエリアの商業施設であるラグーナテンボスとの相乗効果が期待できることから、広域から集客できる大型の商業施設をターゲットとしてこれまで企業誘致に取り組んできた。その際、企業からはこの地域は風光明媚であり、温泉などの観光施設も近接していることから、商業施設の立地場所としてはポテンシャルの高い地区であるという評価を受けている。
しかしながら、商業施設が立地するためには、広域からの集客を目指す必要があり、そのためにはこの地区につながる道路が重要であるとの意見も聴いている。このため、今後も周辺道路の整備状況を見極めながら企業誘致活動を行っていく。
【委員】
当地域におけるポテンシャルの高さを理解されており、大変ありがたく思っているが、アクセスという課題が非常に大きいネックになっているのではないか。用途が近隣商業地域であり、今までまちづくり協議会等において、企業庁、市の関係者、海陽地区における主要な事業者との協議を重ねてきていると思う。
大きな課題というのはアクセス性であり、国道23号、名豊バイパスがこの年度末には開通されていく、そこに位置している金野インターチェンジからラグーナ、海陽地区に下りてくる都市計画道路大塚金野線も昨年末に事業化をし、今年度も用地測量等々の取組をするとのことであり、ようやくアクセスに向けた取組が一歩動き出したが、これから道路が整備されると、それ相応の時間を要することになる。
また、一方で周辺を見ると、商業エリアであるが、この間、豊川市でイオンモールが開設し、来年には岡崎市で三井アウトレットモールが開設されていくことになってくると、商圏の半分は海であるという課題と合わせて、当地域において同様の商業施設はなかなか難しいものがあると感じている。
そうした中、今東三河において、豊川を使ってドローン・リバーという取組が始まっており、また、大阪万博では、空飛ぶ車ということで、ドローンを使った取組を進めている。ドローンを使って、街中を飛ばすにはいろいろリスクが大きいので、まずは海側を飛ばしながらドローンの実証実験を重ねていくという取組も、非常に注目をされていると思っている。この海陽地区においても、ドローン技術の実証実験のフィールドとしての場であるとか、あるいはこれからの次世代産業としてエネルギーという部分で水素関連のものであるとか、今までの商業施設とは違った部分での取組を幅広に考えてもらうことも大事ではないかと思うが、どのように考えているのか。
【理事者】
蒲郡海陽地区については、中高一貫である海陽学園をはじめ、企業の研修施設、高級リゾートホテルなどが立地したことに加え、近隣の豊川市にはイオンモール豊川が開業し、さらには岡崎市にアウトレットモールの開業が予定されており、この地域を取り巻く状況は大きく変化している。このため、商業系企業に加えて、既に立地している施設との調和が取れ、この地域の発展に貢献できるような幅広い業種も対象にして立地の可能性を探るなど、企業誘致アドバイザーの意見も参考にし、委員の地元である蒲郡市と調整を図りながら企業誘致活動を行っていく。
【委員】
工業用地開発について伺う。
三河港の神野西地区では、現在港湾計画にのっとっていろいろ整備等々が行われており、埋立ての計画があるが、未着手となっているところもある。昨今、完成自動車の取扱い増加によって、保管用地不足の解消や、新規企業の進出への対応など、港湾機能の強化を実現するためにも早期の実現、埋立て実現の声も大きく聞こえてきている。
実際、何年も前から関係団体、企業から用地の必要性を言われている。そこで、神野西地区の工業用地開発におけるこれまでの取組状況について伺う。
【理事者】
神野西地区のうち神野西1区については、企業庁が1979年に埋立免許を取得し、1998年度に埋立しゅん工させ、2019年には全ての分譲地の引渡しを完了している。
1995年改訂の三河港港湾計画においては、企業庁は新規の工業用地の埋立てを計画したが、埋立てに伴う環境保全措置の対応が困難となり、さらに2011年改訂の三河港港湾計画において、用地需要の減少から神野西地区の工業用地の位置付けが大幅に縮小されたことなどを踏まえ、新規の埋立てを断念した経緯がある。
【委員】
環境保全ということもあった。これは、六条潟のアサリのことを主に言っていると思う。用地のニーズが減ってきていると答弁したが、これは本当にニーズ調査をしているのか確認させてもらいたい。
先ほど委員の質問の中で、年間約600件の企業訪問等々をしてニーズの掘り起こしをしているとあったが、少なくとも私が聞いている部分でいうと、神野西地区は用地が足りない。輸入自動車が陸揚げされているところであり、自動車を置く場所としてかなりの面積が必要になってくるが、今現状足りない。だから、埠頭間をまたぐ臨港道路がないので、国道23号バイパスを使いながら隣の御津の埠頭に車を移動させておいて、また神野西地区に戻して整備をして全国に流していく、こういったことを繰り返しており、前々から用地がない、もっと欲しいという声は、少なくとも私のところには聞こえている。
前も、海外メーカーではなく国内メーカーが海外生産した自動車を三河港で揚げたいとの引き合いがあったにもかかわらず、場所がないからどうしようかという声も、港湾事業者から聞こえてきている。
だから、そのニーズ把握がどのようになっているのか確認させてもらいたい。併せて、三河港臨海地区全体でどのような取組をしているのか伺う。
【理事者】
今後の神野西地区の埋立てについては、埋立免許を取って行うことになると思う。その中で、工業用地の土地需要が真に必要なものでなければならず、企業ニーズの把握が大変重要になってくる。このため企業庁としては、先ほど委員の質問で答弁したとおり、年間約600件の企業訪問から得られる情報のほか、豊橋市が昨年度実施した企業ヒアリングがあるので、今後も企業から市へ寄せられた事業所の移転や拡張、集約などの様々な相談事案を詳細に把握し、三河臨海部の企業の立地動向や、企業が必要とする立地面積の情報を整理することに努めていく。
次に、三河港全体の取組については、企業庁では、三河港臨海地区で具体的には田原1区、御津2区において区画道路整備等の分譲に向けた準備を進めており、併せて田原4区において埋立事業の促進に取り組んでいる。
【委員】
田原1区、御津2区も絶賛売出し中であることは承知しているが、神野西地区にそういった用地が必要だという声、これは県港湾課も同じようにヒアリング等をしていて、情報共有等をしているのか分からないが、今の答弁の中のヒアリング等、豊橋市から上がっているものももちろんあるのだろうが、ヒアリングをしていくと受け止めたので、しっかりニーズの把握をしてもらうことを要望する。
もう一点、私の地元豊橋市が令和6年3月に豊橋新城スマートインターチェンジ、これは仮称であるが、周辺土地利用構想を策定している。このスマートインターチェンジについては、先月安全祈願祭が行われて、いよいよ工事が本格化していくと受け止めている。豊橋市、新城市の新しい玄関口となるスマートインターチェンジであるので、豊橋市としてもこの北部地域の発展を見据えた形でしっかり市としても取り組んでいこうという意気込みでいる。
東名高速道路の東京と大阪のちょうど中間ぐらいの新しいスマートインターチェンジにもなるので、産業立地や、物流などいろいろな面で使い勝手がいい、優位性があると期待されている場所である。
そこで、現在、豊橋市も一緒になって、スマートインターチェンジができるので、工業用地開発に向けて作業を進めていると聞いている。併せて、愛知県の建設局も地元の要望も含めて必要とされる建設局の分野の事業を進めようとしていることも聞いている。その中で、企業庁がそのエリアでどのような取組をしていこうとしているのか、現状どうなっているのか。
【理事者】
豊橋市では今後、県建設局が進めている主要地方道豊橋下吉田線バイパスの道路予備設計成果を得ながら、概略設計を発注し、現在2か所ある候補地を1か所に絞り込む検討を進めていく。企業庁としては、今後も引き続き豊橋市、県関係機関との連携を密に取りながら、市の相談に積極的に応じ、工業用地開発の実現に向け努めていく。
【委員】
道路があるところに工業用地を開発しようということではなく、合わせて一緒に白紙の中で作っていこうということなので、どちらが先かではなく、合わせて一緒になって、テーブルについて進めてもらいたい。建設局も大体この辺りに道を通そうと準備を今年度進めると聞いているので、ぜひ一緒になって進めてもらうよう要望する。