委員会情報
委員会審査状況
県民環境委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年6月27日(火) 午後0時58分~
会 場 第6委員会室
出 席 者
黒田太郎、杉江繁樹 正副委員長
松川浩明、中野治美、神戸健太郎、山田たかお、杉浦正和、増田成美、
高木ひろし、鈴木 純、加藤貴志、神谷まさひろ、永田敦史 各委員
県民文化局長、県民生活部長、人権推進監、女性の活躍促進監、文化部長、
関係各課長等
<付託案件等>
なし
<会議の概要>
1 開 会
2 一般質問
3 閉 会
(主な質疑)
《一般質問》
【委員】
先週の本会議の一般質問において、二人の議員から女性活躍に関する質問が出され、若年女性に対する県内への就職促進への取組や本県企業の女性登用への取組について、県側から答弁があった。
答弁の中でも少し触れられていたが、今後、本県の働く場における女性活躍の場を広げていくためには、本県の事業所の大多数を占める中小企業への働きかけが重要ではないかと考えている。
そこで、昨年度実施した中小企業女性活躍推進モデル事業はどのような事業であったのか。
【理事者】
昨年度実施した中小企業女性活躍推進モデル事業については、女性活躍の取組を行う中小企業の裾野を広げることを目的に、豊橋市、西尾市、大府市の3市をモデル地域として選定し、事業を実施した。
具体的な内容としては、3市において、地元中小企業の担当者や、商工会議所・市町村職員に参加してもらい、女性活躍に必要な課題や具体的なプロセス等を話し合う意見交換会を実施し、その内容を分かりやすく伝えるリーフレットを作成した。
リーフレットでは、3地域にある中小企業10社の取組事例等について、図や写真を使って紹介しており、そのリーフレットを活用して、三つの地域で中小企業のための女性活躍推進セミナーを開催した。
このセミナーには、3地域合わせて、中小企業の経営者や担当者等306人が参加した。
【委員】
昨年度実施した事業の事業効果はどのようであったのか。
【理事者】
事業効果としては、実施した三つの市全てにおいて、事業実施前と比べて、女性活躍に向けた取組を行っている企業を県が認証する、あいち女性輝きカンパニーの認証企業数が増加したことが挙げられる。特に、大府市においては、市内のあいち女性輝きカンパニーの認証数が、年度当初に9社であったものが、年度末には23社となり、約2.5倍となった。
また、豊橋市及び西尾市では、地域の中核企業が、今回の事業をきっかけに、中小企業への働きかけの手伝いをしてもらう、あいち女性の活躍プロモーションリーダーに手を挙げてもらい、今後、それぞれの地域の中小企業へ女性活躍の働きかけをしてもらう予定である。
【委員】
中小企業に女性活躍を働きかける取組として、今年度も、昨年度の事業を発展させた形で事業を実施すると聞いているが、それはどのような内容か。
【理事者】
今年度は、新たに、県内6地域、具体的には春日井市、津島市、刈谷市、蒲郡市、新城市、武豊町で、中小企業向けの女性活躍推進セミナーを開催するとともに、併せて、社会保険労務士などの専門家による相談会を実施する。
このうち刈谷市と武豊町の2地域では、昨年度と同様に、地元企業や商工会議所等の担当者による意見交換会を開催した上で、取組事例を紹介するリーフレットも作成し、セミナー等で活用するほか、Webサイトに掲載する。
こうした取組により、県内の各地域で女性活躍の輪を広げていきたいと考えている。
【委員】
最後に、昨年度モデル事業を実施した地域では、事業実施前と比べて、あいち女性輝きカンパニーの認証企業数が増えているとのことであるが、今後、より多くの県内の中小企業に認証を受けてもらうために、愛知県としてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
中小企業における女性活躍の輪を広げていくためには、行政だけではなく、民間企業等の力添えが必要と考えており、本県では、中小企業などに女性活躍促進の働きかけを行ってもらえる企業・団体を募集し、応募があった企業には、あいち女性の活躍プロモーションリーダーとして、取引先等への働きかけをお願いしている。このプロモーションリーダーは、現在216社あり、今年度も新たに35社に委嘱する予定である。
これまで、プロモーションリーダーからの紹介により、あいち女性輝きカンパニーの認証を取得した企業は、2022年度末で、カンパニー認証企業1,263社のうち約33パーセントとなっている。
中小企業の経営者は、プロモーションリーダーである企業から認証のメリットなどについて話を聞くと、前向きにやってみようと思ってもらえるようである。
今後も、認証企業数の一層の増加に向けて、引き続き、あいち女性の活躍プロモーションリーダーと連携しながら、中小企業に対してきめ細かな働きかけを行い、女性活躍に取り組む企業の裾野を広げていきたいと考えている。
【委員】
先日、ジェンダーギャップ報告書が発表され、日本は過去最低の順位であった。県別での結果を見ても、愛知県は地域性から、経済の分野においては、他都市に比べてスコアがあまりよくないので、それを少しでも解消して女性が活躍できる場が増えるよう、これからもしっかりと取り組んでもらいたい。
【委員】
私学助成については、今さら言うまでもなく、学費の公私間格差の是正や教育の公平、あるいは保護者の負担などが言われている。
私は市議から県議になったが、市議の時代からも取り組んできて、この取組をしていると、どうしても誤解や偏見があるのは、望んで私学に行っているのだから、高い学費は仕方がないという誤解や偏見がいまだにある。
もちろんそうした子供もいるが、必ずしもそうばかりではなく、愛知県では、公私両輪あるいは公私連携基本方針体制の下で、公立2対、私立1の受入れ比率、つまり、愛知県の子供の3分の1が私学に通うように公立、私立の定員が決められ、受入れ計画が策定されて、実際に3分の1の子供が私学に通っている。
そして、その3分の1の子供が、全員が私立を第1希望にしていればいいが、必ずしもそうではなく、公立を望みながら、結果的に私立に行った子供も一定数いるのも事実である。
そこで、まずは、改めて現状の確認として、本県の公立高校と私立高校において、授業料と入学納付金でどの程度差額が生じているのか、そして、公立高校進学を望みながら結果的に私学に入学した人数、毎年9月に、中学3年生に対して進路希望調査を行っていると思うが、昨年度の希望に対して、結果的に、今年度になってから私立に入学した人数、生徒数を教えてほしい。
【理事者】
令和5年度の全日制課程の授業料は、公立高校が年額11万8,800円、私立高校の平均授業料が年額約42万9,000円となっており、その差額は約31万円となっている。
次に、全日制課程の入学納付金については、公立高校が5,650円、私立高校の平均が約20万2,000円となっているので、その差額は約19万6,000円となっている。
授業料と入学納付金を合計すると、その差額は約50万6,000円となっている。
次に、教育委員会が昨年の9月に実施した、中学3年生に対する進路希望調査における私立高校への進路希望者数は1万2,843人であり、令和5年の私立高校(全日制)に入学した生徒数は、令和5年5月1日現在の速報値で2万628人である。
【委員】
差額は50万6,000円、約51万円ということであるが、進学希望については、私立高校に入学した生徒が2万628人ということで、昨年、中学校を卒業したのが7万人、そのうち全日制が約9割の6万1,000人であるので、大体私立に2万1,000人、公立に4万人という計算になり、大体2対1ということがわかる。
さらに、2万628人ということと、希望したのが1万2,843人、その差約8,000人、全体の38パーセントの子供が、これは推測にはなるが、要は本当は公立に行きたかったけど、8,000人が私立に行ったのではないのかということが推測される。
愛知県において、この8,000人はどうして私学に進むことになったのか。これは調査が行われていないので正確な数字は分からないが、歴史的な背景や、今までの経緯からすると、成績や学力、あるいは受験の合否によって私立に行かざるを得なかったということが推測できると思っている。
つまり、愛知県においては、よしあしは別として、学力、成績、受験の合否によって私立を選択せざるを得なかった子供が一定数いるという現実があり、そうしたことによって、高等学校の学費に差が出るというのは、親や家庭の経済状況の負担が変わるというのは公平性に欠くのではないか。だから、私学助成の根幹というのは、私は教育の公平、公私間格差の是正だと思っている。
さらには、こうした背景に加えて、最近では親や家庭の所得収入に関係なく、公私に関係なく、子供が学びたい教育、学びたい学校を受けられるようにするという意味でも、私学の助成の充実が必要だと思っているが、こうした背景もあってか、国では令和2年に無償化政策の見直しに伴う就学支援金を増額して、年収590万円未満の世帯の実質無料化を実施し、愛知県もこれに呼応して、720万円までの世帯の授業料と入学金を無償化にして、結果的に約半数の世帯が無償化になった。
これによって、低所得者世帯の学費滞納や経済的理由で就学を諦めることがなくなったことや、保護者の負担軽減が図られ、私学選択の自由は大きく広がって、前向きに前進したと思っている。
しかしながら、それでもまだ約720万円以上の世帯では、授業料や入学金の大きな負担があり、大きな公私間格差が残っている。
そもそも令和2年に720万円まで世帯を無償化にした経緯、半数の世帯を対象とした根拠などを伺う。
【理事者】
令和2年度に国の就学支援金の見直しがあり、年収590万円未満の世帯まで実質無償化となるよう国の制度が拡充された。この拡充により愛知県の上乗せ補助分が軽減されることから、この財源を活用して、授業料及び入学納付金の補助を拡充した。
国の拡充により軽減された財源全額を愛知県の授業料及び入学納付金の拡充に充てた結果、実質無償化される世帯が年収350万円未満から年収720万円未満まで引き上げられた。この引き上げにより、高校生の約半数が無償化されることとなった。
【委員】
今、答弁があったように、根拠は、国の就学支援金の拡充により、愛知県として、いわゆる浮いたお金を他に流用することなく、そのまま愛知県の私学の拡充に使ったということである。
その姿勢は評価しつつ、ただ、今の答弁だと、結果、今の状況というのはあるべき格好での予算措置ではなくて、限られた財源を当てはめた結果、たまたま実質無償化される世帯が、年収720万円未満に引き上げられ、高校生の約半数が無償化されたということかと思う。
そこで、確認をしておきたいが、今年度の予算で、年収720万円未満の世帯は約半数、51パーセントであるが、無償化の対象ではない残りの49パーセントの世帯、つまり、年収720万円以上の世帯の各階層、区分ごとの令和5年度の生徒数の割合と授業料、入学金を合わせた保護者の負担金額はそれぞれどうなっているのか。
【理事者】
高校生の年収720万円以上840万円未満世帯の生徒割合は14.5パーセントと見込んでおり、授業料と入学納付金を合わせた保護者の負担額は、私立学校平均額の2分の1程度となる約31万円である。
年収910万円未満世帯の生徒割合は6.0パーセントと見込んでおり、保護者の負担額は、国の就学支援金を除いた約51万円となる。
最後に、年収910万円以上世帯の生徒割合は28.5パーセントと見込んでいる。補助制度による軽減がないので、全額保護者の負担となり、負担額は約63万円となる。
【委員】
次に、大都市圏、都府県、東京都、大阪府、神奈川県、埼玉県の授業料無償化の現在の状況はどのようになっているのか。また、本県は全国的に見てどのような水準になっているのか。
【理事者】
東京都は年収910万円未満世帯まで、大阪府は年収590万円未満世帯まで、神奈川県は年収700万円未満世帯まで、埼玉県は年収720万円未満世帯まで授業料実質無償化の対象としている。
次に、全国的に見て、どのような水準かであるが、都道府県により私立高校の数、生徒数、授業料の額等が異なるため、単純に比較はできないが、授業料だけでなく入学金についても無償化していることについて、私学団体から全国トップクラスの補助であると評価をもらっている。
【委員】
愛知県は全国的にも高水準、私は入学金への助成や、あるいは施設整備、いろいろトータルで考えたときに、愛知県の私学助成は日本一だと思う。
しかし、先ほどの答弁のように、720万円から840万円の家庭は、授業料と入学金合わせて31万円、840万円から910万円の家庭は51万円、910万円以上の家庭は補助が全くないので63万円の負担、公私の差でいうと51万円となっている。かなり公立と比べて、私学の負担は大きい。子供が2人、3人となるとその負担はより大きく、家計は苦しくなってしまう。
私は成績や受験の影響によって負担が生じるというのも公平の観点からおかしいと思っているし、こうした学費の負担によって、積極的に私学が選択できない状況はいまだに残っている。実際に兄弟を通わせるときに、上が私立に行ったら、下の子は公立を選びなさいという状況もあると聞いている。
こうした状況から、私は、将来的には所得要件の緩和など、より私学助成の拡充が求められると思っているが、最終的には所得制限の撤廃だが、まずは、教育の公平、公私間格差の是正を図ることを一番の目標、目的として、せめて公立高校と同じ、年収910万円未満の家庭まで無償になるように、私学助成の拡充が必要だと思う。
910万円未満、約20.5パーセントいるが、その世帯まで無償化する場合に幾ら、予算がかかるということと、あわせて、所得制限を廃止して全世帯まで無償化をした場合に、それぞれどの程度予算がかかるのか。
【理事者】
令和5年度予算ベースで私立学校分を試算すると、年収910万円未満程度の世帯まで実質無償化するためには、授業料と入学納付金を合わせて約43億円が必要となる。
また、所得水準にかかわらず全世帯を実質無償化するためには、授業料と入学納付金を合わせて約136億円が必要となる。
【委員】
私立無償化の場合は、910万円までだと43億円プラスでかかると、全世帯だと136億円が必要になるということであった。
ちなみに、公立は910万円未満は無償だが、910万円以上は11万8,800円かかっているので、教育委員会に確認したところ、公立を無償化した場合には29億円かかるため、公立、私立合わせた愛知県で高校の完全無償化をするには165億円が必要だということが分かった。
最後に要望だが、高校への私学助成の拡充を考えるときに、まずは、教育の公平、公私間格差の是正が必要と考えている。学力や成績、受験の結果によって学費の差が生じるのも公平さを欠くと思うし、公立を希望したが私立に行かざるを得なくなった生徒が、親の所得により私学進学を諦めるようなことがあってはならない。
そして同時に、全ての子供が親や家庭の収入、所得に影響を受けずに、公立、私立関係なく自由に学びたい教育を受けられる、学校を選択できるようにする教育環境をつくっていくべきだと考える。
子供が複数いる家庭では、上の子が私立に通うと、下の子は公立に行きなさいと言われる家庭があると聞いた。
子供たちが自由に行きたい学校を選べられるように、私立学校の高額な負担を公立同様に無償にするよう、そのためにも、まずは、私立高校の910万円世帯までの無償化を実現してもらいたいと思っている。43億円かかるということであったが、私は愛知県の財政状況から考えても、決して不可能な金額ではないと思っている。
そして、最終的には公立、私立ともに高等学校完全無償化が必要だと思っている。今の社会の喫緊の課題である少子化対策、あるいは子育て支援として、または、これからの社会の在り方として、親や家庭の経済状況あるいは社会状況に影響されずに、子供の育ちと学びは社会が、公共がベーシックインフラとして保障する、つまり子供たちの学びと育ちをしっかりと守る社会にしなければならないと思っている。そうした意味でも、高校の完全無償化はすぐにでも行うべきだと思っている。
高校の完全無償化には、先ほども答弁があったように、約165億円と非常に多額の予算が必要ではあるが、大阪府では、令和6年度、高校3年から所得制限を撤廃し、令和8年度には高校の全学年を無償化するとの基本方針の素案を、今年の5月に発表した。
高校の無償化は、本来は国が行うべきだとは思っているが、国の議論がなかなか進まないのであれば、愛知県が率先して行うべきだと考えている。大阪府にできて、この愛知県でできないわけはないと思っている。
大村秀章知事はかねてから日本一の愛知と言っており、そうした県政運営に努めてきているが、今の愛知県の私学助成は日本一である。これからの公立、私立ともに高校に通う子供たちへの支援が、日本一の愛知、教育が日本一と言われる愛知県であり続けることを要望する。
【委員】
初めに、愛知県「休み方改革」プロジェクトの一つであるラーケーションの日について伺う。
これは教育委員会の予算であるが、この6月定例会にラーケーションの導入に向けた実施体制の整備を進めるということで、小中学校は472校、高等学校149校、特別支援学校32校について、リーフレットを作るなどの配布物の準備、給食費の会計処理といった増加する事務に対応するため、校務支援員を配置するための予算ということで、6億8,000万余円が今回の6月定例会に補正予算として提出されている。
ところが、この委員会の所管である私立高校については、今回、こういった予算がついていないわけであるが、その理由は何か。
【理事者】
今回の6月補正で、教育委員会は全ての県立学校と、ラーケーションの導入に積極的な、19の市と町の小中学校へのリーフレット作成費と、校務支援員の配置に係る費用を計上している。
公立学校のラーケーションの導入については、今年度の2学期以降、順次、導入に向けた環境が整ったところから、実施していくこととなっているが、私立学校は、建学の精神に基づく、それぞれの教育方針の下、設置・運営されていることから、私立学校の自主性を尊重し、実施のいかんは各学校の判断に委ねられている。
私立学校におけるラーケーションの導入の状況については、現在のところ、ラーケーションを導入する私立学校は確認できていない。
そのため、現時点で私立学校へのラーケーションに係る支援の予算計上はしていない。
【委員】
現在のところ、ラーケーションを導入する私立学校は確認できていないため、私立学校へのラーケーションに係る支援の予算計上はしていないという答弁であった。
それでは、今後、私立学校でラーケーションへの取組が広がってきた場合、私立学校に対しても公立と同様に、ラーケーション支援の予算を考えているのか。
【理事者】
私立学校がラーケーションの導入を前向きに検討して、私立学校や私学関係者からラーケーション支援の要望があれば、その要望の内容を踏まえ、どのような支援ができるのか、検討していきたい。
【委員】
私立学校の自主性を尊重するという答弁があったが、当然のことだと思う。せっかくの愛知県の休み方改革のプロジェクトの一つであるラーケーションがもっと広がるようにするためには、私立からの申出に任せるのではなく、愛知県がもっと前向きな姿勢を取っていくことも大事なのではないかと思う。
したがって、私立学校に対して積極的に促進するために、要望を待つのではなく、愛知県が率先してラーケーション支援を行っていくことを要望する。
次に、LGBT理解増進法が成立して、23日に施行された。これに伴って、愛知県として何か対応するのか伺う。
【理事者】
本県では、昨年4月に愛知県人権尊重の社会づくり条例を制定しており、その中で、性的指向及び性自認の多様性についての理解の増進等について、個別に規定している。
これに基づき、昨年度は、市町村等の職員に対する性の多様性をテーマとした研修会や企業とLGBTに関する講演会などを開催したほか、性の多様性に関する庁内連絡会議を設置し、性の多様性に関する職員ハンドブックの作成や申請書等における性別記載欄の見直し等を実施した。
また、法律の中では、地方自治体に対して、相談体制の整備が求められているが、昨年度、条例に基づき、東大手庁舎にあるあいち人権センターに人権に関する相談窓口を設置した。
このように、本県は法律に先んじて、条例に基づいて、性の多様性に関する様々な取組を行っており、法律の成立に伴う対応については、現時点では考えていない。
【委員】
昨年の4月に、愛知県人権尊重の社会づくり条例ができ、その中で、いわゆる性自認の多様性や性指向、性的指向及び性自認の多様性について個別に規定しており、相談体制についてもあいち人権センターの中に設けたということで、法律に先んじていろいろな施策を行ってきたので、現時点では特別に対応は考えていないということで、よく分かった。
昨年はいろいろな対応をしてきたが、今後も引き続き、性の多様性に関する取組を進めていくと思うが、今年度はどのような対応や取組を考えているのか伺う。
【理事者】
性の多様性に関する今年度の新たな取組としては、昨年度作成した性の多様性に関する職員ハンドブックを使った職員向けの研修を行う。
また、性的少数者の中でも、特に生きづらさを抱えている若者を支援するための取組として、性的少数者の若者からの相談に対応できるよう、相談対応者・指導者向けガイドブックを作成したり、当事者だけでなく、全ての若者を対象とした若者向け啓発資料を作成する。加えて、これらのガイドブックや啓発資料を広く活用してもらうためのセミナーも開催する。
一般向けには、あいち人権センターにおいて、性の多様性をテーマとした企画展を開催することとしており、それに合わせて、啓発パネルも作成する。
こうした取組を通じて、性の多様性に関する理解増進を図っていく予定である。
【委員】
昨今、バリアフリーやインクルーシブ教育なら、障害者と健常者が同じ環境で学びや生活ができるような社会環境が整備として進んでいる。そのことによって、障害者、親への支援、理解が年々加速しているということは、大変すばらしいことと思う。
愛知県は、この件に関して、当事者や支援者に対し様々な政策を実行しているが、その中で、今テーマに挙げた私立幼稚園特別支援教育費補助金という制度があると思う。
これは幼稚園や学校法人立幼保連携型認定こども園が障害児を受け入れた場合、園に対して園児1人当たり78万4,000円を補助するものと理解している。障害者といっても、障害には様々な障害のタイプがあると思う。
そこで、補助金の対象となる園児の障害にはどのようなものがあるのか。
【理事者】
本補助金における障害の種類は、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、言語障害、情緒障害の7種類となっている。
直近の2022年度の実績で、一番多い障害は、情緒障害で824人、補助対象園児数全体に占める割合が60.2パーセント、次に多いのが知的障害で320人、割合が23.4パーセント、病弱・虚弱が109人、8.0パーセントとなっている。
【委員】
ここ3年余り続いたコロナ禍で、生活様式が劇的に変わらざるを得なかった中で、特に我慢を強いられてきたのは、大人ももちろんだが、とりわけ小児、児童生徒だったと感じる。精神的な観点での影響もかなり大きいと捉えている。
最近、心身に障害があるという理由で特別な支援が必要な子供が増えていると聞くことがあるが、この補助金の対象者の推移はどのようになっているのか。
【理事者】
5年前の2018年度は全体で1,027人である。その後、1,151人、1,222人、1,334人と推移しており、直近の2022年度は1,368人で、5年間で341人増えている。
5年前と比較して、増えている主な障害は、情緒障害が579人から824人と245人の増加、知的障害が225人から320人と95人の増加となっている。
【委員】
変化の数を聞くと、この5年はコロナ禍を挟んだ期間だったと考えると、全体的で約3割人数的には増え、とりわけ主な要因の情緒障害、これが44.5パーセント、知的障害が約4割増えているということになる。
そのような対象の子供を預かる施設、つまり幼稚園や学校法人立幼保連携型認定こども園において、補助金の対象となる園児の要件が厳し過ぎるとか、医師から診断書をもらうのが大変だという声を幼稚園関係者から聞くこともある。
今年の2月に、私から私学振興室にそういった要望を伝えたときに、幼稚園関係者からの要望も踏まえ、対応を検討しているところであるということを聞いたが、その後、何か取り組んだことがあるのか。
【理事者】
障害児であることを証明する書類として、これまでは障害者手帳、医師の診断書、児童相談センター等の判定書としていたが、令和5年度から県や市町村が交付している特別児童扶養手当証書、通所受給者証、入所受給者証でも可能にしている。
また、これまでは、診断書に何々の疑いがあると記載のある場合、例えば発達障害の疑いがあるという記載があった場合は、補助の対象としていなかったが、こうした場合も令和5年度からは、補助の対象とするよう改正している。
【委員】
要望していた本テーマに関しては、検討、改善を行ってもらった結果として、条件の緩和、また、必要書類の選択肢拡充という変化点も加えてもらったことは、評価したいと思う。
補助金のため、何でも申請を受理するということにはならないとは思うが、幼稚園の実態等を踏まえて、可能な限り申請書類の簡素化など、保護者や幼稚園の負担が軽減されるよう、これからも引き続き改善を継続するよう要望する。
【委員】
県は昨年度10月に、5年ぶりに人権に関する県民意識調査を実施した。それが3月にはまとまったということで、分析の結果をパンフレット等で見たが、所管している人権推進課として、今回の県民意識調査からどのような状況が分かったのか。その概要と結果の特徴について伺う。
【理事者】
人権に関する県民意識調査は、県民の人権に関する意識を把握し、人権教育・啓発の実施に向けての基礎資料とするため、2002年度から5年に1回実施している。
この調査は、昨年度で5回目となり、愛知県内に居住する満18歳以上の県民を無作為に3,000人抽出し、調査票を配布し、1,286人から回答を得た。
調査項目は、人権意識全般に関するもののほか、女性の人権、子どもの人権等、個別の人権課題について伺い、人権尊重の取組についても聞いている。
調査結果については、人権侵害や差別は10年前に比べて減っていると思うかという質問に対しては、減ってきているが前回の30.1パーセントから35.9パーセントに増えており、改善が見られた。
しかし、今の日本は人権が尊重されている社会であると思うかという質問に対しては、そう思うが前回の30.3パーセントから24.9パーセントに減っていたり、インターネットによる人権侵害と思われる投稿やウェブページを見たことがある人が、前回の30.3パーセントから42.8パーセントに増えており、今後とも、人権尊重の社会づくりに努めなければならないと考えている。
また、愛知県人権尊重の社会づくり条例について、知っている人は、7.4パーセントにとどまっており、引き続き、周知に努めていきたいと考えている。
【委員】
この調査結果を見て、改めて人権尊重の愛知県をこれからつくっていくために、極めて重要なベースになるデータではないかと思った。
この条例ができたことを知っている方は7パーセントぐらいしかいないこともあり、個々の項目を見ても、やはり依然として、自分の身内、家族等に、LGBTQ、性的少数者が、カミングアウトしているということが、息子や娘らにも、家族の一員がそうであった場合どう受け止めるかということに関して、高い割合で非常に違和感を感じると、これが正直なところだと思う。そういうところから出発をして、今後の啓発を考えていかなければいけないという現実や、また、私も以前から取り組んでいる、部落差別の解消などに関しても、結婚とか、就職等において家柄、そういうものを気にするという、あるいは気にすることは当然だという回答が3割近くあり、あまり減っていない。そして身元調査を行うことについても、3割程度の方が当然だと言っていると、これもなかなか減らない。
そして、最近よく言われる未婚化、結婚しない人が増えていることに関係すると思うが、家族が自分の結婚に反対した場合に、それを説得してでも結婚するという人よりも、家族が反対するならやめておこうという周りの家族の意見によって自分の結婚志向を断念する、思いとどまってしまうような方も増えている。
これはパラサイトシングルなどと言われるが、親と一緒に住んで、30、40と年を重ねた方にとっては、ある意味、居心地がいいと言ったら変だが、そこから自立して、あえて自分の家庭を持つ、自分の伴侶を求めていこうということに一歩踏み出すための条件も厳しいし、家族の庇護の下で、親の年金や親が造ってくれた家にそのまま同居しているという形から脱出することができないと、そういう意欲すら持たない傾向が増えているという、これも少子化問題の深刻化にもつながっているような意識もかいま見られるわけであり、これは人権問題だけにとどまらずに、結婚とかに関わるような、人の生き方に関わるような県民の意識がどのように変化しているのかということは、多方面のこれからの政策立案にとって非常に重要なデータだと思うので、調査した数字を並べているにとどまらず、調査項目の設定の段階から、専門家にもいろいろ意見を聞いているわけであるから、社会学者とか、その他いろいろな専門家の立場からも、こうした経年変化でどういった県民の意識の変化が酌み取れるのかということについて十分分析を加え、議論する一つのきっかけにすべきではないかと考える。
そして、昨年の4月から愛知県人権尊重の社会づくり条例がスタートしているが、先日、非常に大きなトピックが起こった。それは、6月3日に名古屋市が開催した名古屋城の復元をめぐる市民討論会という、行政が設定した会合の中で飛び出した発言である。
これが名古屋市議会でも議論になり、市側は、これは差別発言であるということは認めた上で、どうしてこういう発言が市の会合で行われたのか、あるいは、それを現場で誰も止められず、主催者である市長が、熱い議論を交わせてよかったという形で締めくくることになったのか。後になり、これは差別だということを認めざるを得ない事態に至り、非常に重大だと私も受け止めている。
名古屋市もこの問題の発生に対する今後の対応として、昨年から施行された愛知県人権尊重の社会づくり条例を引き合いに出して、県もこういう条例を制定されていると、名古屋市としても、こういう差別がなくなるようなことに焦点を当てた条例づくりが必要だというところまで発言しているようである。
これは愛知県としては、条例をつくったいい効果が現れているとも思えるわけであるが、まずは今回、新聞でもいろいろ報道されている市民討論会における差別発言に対して、愛知県としては、どのように受け止めているのか。
【理事者】
本県においては、これまで、人権教育・啓発に関する愛知県行動計画を策定し、人権が尊重され、差別や偏見のない郷土愛知の実現を目指して、人権に関する教育及び啓発を推進してきた。
また、愛知県男女共同参画推進条例、愛知県子どもを虐待から守る条例、愛知県障害者差別解消推進条例などを制定し、人権に関する課題に取り組んできたところである。
しかし、様々な事由による差別が存在していることから、昨年4月に愛知県人権尊重の社会づくり条例を施行したところである。
こうした中、詳細は把握していないが、市民討論会で差別発言があったのは遺憾であり、条例を施行して、まだ1年しかたっていないとは言え、その趣旨が、まだ県民の間に浸透していないのだと考えている。
【委員】
具体的に議論しなければならないのは、どういう発言、身体障害者に対する差別するような言葉を使ったというところが、直接的には問題になっているわけであるが、どういう言葉を使ったのか公にされていないので分からないが、例えばこれを、差別呼称ではなくて身体障害者と言っていればよかったのかと考えると、決してそういう言葉の問題だけではないと思う。
つまり片方ではバリアフリーを要求する、名古屋市が建てる天守閣においてもこれまで同様、障害がある人、車椅子の人も上れる名古屋城天守閣であってほしいという意見を述べた方に対して、あなた方が我慢しろと、そのあなた方のところに差別呼称がつけられたわけであるが、これを例えば身体障害者と言い換えたところで、我慢しろという発想が差別発言だと思う。
法律的にも高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律があり、人権に関する県の条例はもちろんであるが、この精神からいって、あらゆる人に保障されるべきアクセス権というものが、車椅子を使用している人や障害者にだけは、これが少数であるからといって、あなた方が我慢しろとか黙っていろという接し方は、明らかにその態度に問題がある。
どうしてそういう発言者を選んだのかは、アンケートをやり、そこの中から典型的な発言をしそうな人を名古屋市が選んでいる。名古屋市が選んでいる人が、名古屋市の期待に応えて本音を言ったというだけの話なので、これは、そういう設定自体がやはり名古屋市も反省してもらわなくてはいけないと思う。
ともすれば、何かそういう言葉を使ったことが、その言葉さえ使わないでもらえればよかったのかとか、それをその場で、不適切な言葉があったので、自主規制音を入れて、その言葉が聞こえないように処理するとか、そうした技術的な話ではないということが、名古屋市議会でも議論されていると思う。
そこで、人権推進課長は、確かに差別発言というのは遺憾だと答弁したが、問題は何がどう遺憾なのか。あるいは、愛知県人権尊重の社会づくり条例の精神にどう反しているのか。今後、こうした問題がいろいろな場面で出てくる可能性がある。そういう中で、愛知県人権尊重の社会づくり条例の考え方はこういう考え方であると、こういう問題を解決しようとしているのだということを、県は積極的に言っていかなければいけないと思うが、愛知県人権尊重の社会づくり条例の普及啓発をする上で、今回の事例をどのように捉えて取組を行っていくのか伺う。
【理事者】
愛知県人権尊重の社会づくり条例の普及啓発については、今年度は、東大手庁舎にあるあいち人権センターにおいて、6月12日から7月7日まで、愛知県人権尊重の社会づくり条例をテーマとした企画展を開催している。
また、10月頃から、NPO等と連携して、県内4地域に出向いて人権啓発イベントを開催することとしているが、条例についての説明を行った上で、より深く、人権について考えてもらうためのワークショップを開催することとしている。その中で、今回の問題等についても盛り込むことが可能ではないかと考えている。
その他、市町村職員を対象とした会議や地域で行われる人権に関する研修会、講習会に講師を派遣しており、そうした際には、今回の問題も踏まえて周知に努めたいと考えている。
【委員】
愛知県人権尊重の社会づくり条例が7.4パーセントの県民にしか知られていないということをこれから克服していくためには、単に条例ができましたといってパンフレットを全戸配布したところで、県民の関心はこの条例には向かないと思う。
まさに、関心を持つような事象が発生したときに、これは条例では、このような考え方で、愛知県はこのようにこの問題を捉えて、このような問題が発生しないような社会づくりに向けてこういうことをやっていくと、条例の宣伝をしなければいけない。こういう具体的な事象を捉えたときに初めて、条例の意義が理解されると思うので、この問題を大いに議論してもらい、啓発を進めてもらいたい。
非常に重要な課題だと思うので、最後に、人権推進監に愛知県人権尊重の社会づくり条例をさらに実質あるものにしていくために、今後どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
愛知県人権尊重の社会づくり条例は、あらゆる人権課題の解消を図るとともに、全ての人の人権が尊重される社会の実現を目指している。
そのためには、私たち一人一人が人格と個性を尊重し合いながら互いに支え合うことが必要であると考えている。
このような認識を県民と共有し、条例の趣旨や考え方を広く周知・啓発して、理解を深めることにより、多様性を認め合う、誰一人取り残されることのない人権尊重の社会づくりを行い、差別をなくしていきたいと考えている。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年6月27日(火) 午後0時58分~
会 場 第6委員会室
出 席 者
黒田太郎、杉江繁樹 正副委員長
松川浩明、中野治美、神戸健太郎、山田たかお、杉浦正和、増田成美、
高木ひろし、鈴木 純、加藤貴志、神谷まさひろ、永田敦史 各委員
県民文化局長、県民生活部長、人権推進監、女性の活躍促進監、文化部長、
関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
なし
<会議の概要>
1 開 会
2 一般質問
3 閉 会
(主な質疑)
《一般質問》
【委員】
先週の本会議の一般質問において、二人の議員から女性活躍に関する質問が出され、若年女性に対する県内への就職促進への取組や本県企業の女性登用への取組について、県側から答弁があった。
答弁の中でも少し触れられていたが、今後、本県の働く場における女性活躍の場を広げていくためには、本県の事業所の大多数を占める中小企業への働きかけが重要ではないかと考えている。
そこで、昨年度実施した中小企業女性活躍推進モデル事業はどのような事業であったのか。
【理事者】
昨年度実施した中小企業女性活躍推進モデル事業については、女性活躍の取組を行う中小企業の裾野を広げることを目的に、豊橋市、西尾市、大府市の3市をモデル地域として選定し、事業を実施した。
具体的な内容としては、3市において、地元中小企業の担当者や、商工会議所・市町村職員に参加してもらい、女性活躍に必要な課題や具体的なプロセス等を話し合う意見交換会を実施し、その内容を分かりやすく伝えるリーフレットを作成した。
リーフレットでは、3地域にある中小企業10社の取組事例等について、図や写真を使って紹介しており、そのリーフレットを活用して、三つの地域で中小企業のための女性活躍推進セミナーを開催した。
このセミナーには、3地域合わせて、中小企業の経営者や担当者等306人が参加した。
【委員】
昨年度実施した事業の事業効果はどのようであったのか。
【理事者】
事業効果としては、実施した三つの市全てにおいて、事業実施前と比べて、女性活躍に向けた取組を行っている企業を県が認証する、あいち女性輝きカンパニーの認証企業数が増加したことが挙げられる。特に、大府市においては、市内のあいち女性輝きカンパニーの認証数が、年度当初に9社であったものが、年度末には23社となり、約2.5倍となった。
また、豊橋市及び西尾市では、地域の中核企業が、今回の事業をきっかけに、中小企業への働きかけの手伝いをしてもらう、あいち女性の活躍プロモーションリーダーに手を挙げてもらい、今後、それぞれの地域の中小企業へ女性活躍の働きかけをしてもらう予定である。
【委員】
中小企業に女性活躍を働きかける取組として、今年度も、昨年度の事業を発展させた形で事業を実施すると聞いているが、それはどのような内容か。
【理事者】
今年度は、新たに、県内6地域、具体的には春日井市、津島市、刈谷市、蒲郡市、新城市、武豊町で、中小企業向けの女性活躍推進セミナーを開催するとともに、併せて、社会保険労務士などの専門家による相談会を実施する。
このうち刈谷市と武豊町の2地域では、昨年度と同様に、地元企業や商工会議所等の担当者による意見交換会を開催した上で、取組事例を紹介するリーフレットも作成し、セミナー等で活用するほか、Webサイトに掲載する。
こうした取組により、県内の各地域で女性活躍の輪を広げていきたいと考えている。
【委員】
最後に、昨年度モデル事業を実施した地域では、事業実施前と比べて、あいち女性輝きカンパニーの認証企業数が増えているとのことであるが、今後、より多くの県内の中小企業に認証を受けてもらうために、愛知県としてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
中小企業における女性活躍の輪を広げていくためには、行政だけではなく、民間企業等の力添えが必要と考えており、本県では、中小企業などに女性活躍促進の働きかけを行ってもらえる企業・団体を募集し、応募があった企業には、あいち女性の活躍プロモーションリーダーとして、取引先等への働きかけをお願いしている。このプロモーションリーダーは、現在216社あり、今年度も新たに35社に委嘱する予定である。
これまで、プロモーションリーダーからの紹介により、あいち女性輝きカンパニーの認証を取得した企業は、2022年度末で、カンパニー認証企業1,263社のうち約33パーセントとなっている。
中小企業の経営者は、プロモーションリーダーである企業から認証のメリットなどについて話を聞くと、前向きにやってみようと思ってもらえるようである。
今後も、認証企業数の一層の増加に向けて、引き続き、あいち女性の活躍プロモーションリーダーと連携しながら、中小企業に対してきめ細かな働きかけを行い、女性活躍に取り組む企業の裾野を広げていきたいと考えている。
【委員】
先日、ジェンダーギャップ報告書が発表され、日本は過去最低の順位であった。県別での結果を見ても、愛知県は地域性から、経済の分野においては、他都市に比べてスコアがあまりよくないので、それを少しでも解消して女性が活躍できる場が増えるよう、これからもしっかりと取り組んでもらいたい。
【委員】
私学助成については、今さら言うまでもなく、学費の公私間格差の是正や教育の公平、あるいは保護者の負担などが言われている。
私は市議から県議になったが、市議の時代からも取り組んできて、この取組をしていると、どうしても誤解や偏見があるのは、望んで私学に行っているのだから、高い学費は仕方がないという誤解や偏見がいまだにある。
もちろんそうした子供もいるが、必ずしもそうばかりではなく、愛知県では、公私両輪あるいは公私連携基本方針体制の下で、公立2対、私立1の受入れ比率、つまり、愛知県の子供の3分の1が私学に通うように公立、私立の定員が決められ、受入れ計画が策定されて、実際に3分の1の子供が私学に通っている。
そして、その3分の1の子供が、全員が私立を第1希望にしていればいいが、必ずしもそうではなく、公立を望みながら、結果的に私立に行った子供も一定数いるのも事実である。
そこで、まずは、改めて現状の確認として、本県の公立高校と私立高校において、授業料と入学納付金でどの程度差額が生じているのか、そして、公立高校進学を望みながら結果的に私学に入学した人数、毎年9月に、中学3年生に対して進路希望調査を行っていると思うが、昨年度の希望に対して、結果的に、今年度になってから私立に入学した人数、生徒数を教えてほしい。
【理事者】
令和5年度の全日制課程の授業料は、公立高校が年額11万8,800円、私立高校の平均授業料が年額約42万9,000円となっており、その差額は約31万円となっている。
次に、全日制課程の入学納付金については、公立高校が5,650円、私立高校の平均が約20万2,000円となっているので、その差額は約19万6,000円となっている。
授業料と入学納付金を合計すると、その差額は約50万6,000円となっている。
次に、教育委員会が昨年の9月に実施した、中学3年生に対する進路希望調査における私立高校への進路希望者数は1万2,843人であり、令和5年の私立高校(全日制)に入学した生徒数は、令和5年5月1日現在の速報値で2万628人である。
【委員】
差額は50万6,000円、約51万円ということであるが、進学希望については、私立高校に入学した生徒が2万628人ということで、昨年、中学校を卒業したのが7万人、そのうち全日制が約9割の6万1,000人であるので、大体私立に2万1,000人、公立に4万人という計算になり、大体2対1ということがわかる。
さらに、2万628人ということと、希望したのが1万2,843人、その差約8,000人、全体の38パーセントの子供が、これは推測にはなるが、要は本当は公立に行きたかったけど、8,000人が私立に行ったのではないのかということが推測される。
愛知県において、この8,000人はどうして私学に進むことになったのか。これは調査が行われていないので正確な数字は分からないが、歴史的な背景や、今までの経緯からすると、成績や学力、あるいは受験の合否によって私立に行かざるを得なかったということが推測できると思っている。
つまり、愛知県においては、よしあしは別として、学力、成績、受験の合否によって私立を選択せざるを得なかった子供が一定数いるという現実があり、そうしたことによって、高等学校の学費に差が出るというのは、親や家庭の経済状況の負担が変わるというのは公平性に欠くのではないか。だから、私学助成の根幹というのは、私は教育の公平、公私間格差の是正だと思っている。
さらには、こうした背景に加えて、最近では親や家庭の所得収入に関係なく、公私に関係なく、子供が学びたい教育、学びたい学校を受けられるようにするという意味でも、私学の助成の充実が必要だと思っているが、こうした背景もあってか、国では令和2年に無償化政策の見直しに伴う就学支援金を増額して、年収590万円未満の世帯の実質無料化を実施し、愛知県もこれに呼応して、720万円までの世帯の授業料と入学金を無償化にして、結果的に約半数の世帯が無償化になった。
これによって、低所得者世帯の学費滞納や経済的理由で就学を諦めることがなくなったことや、保護者の負担軽減が図られ、私学選択の自由は大きく広がって、前向きに前進したと思っている。
しかしながら、それでもまだ約720万円以上の世帯では、授業料や入学金の大きな負担があり、大きな公私間格差が残っている。
そもそも令和2年に720万円まで世帯を無償化にした経緯、半数の世帯を対象とした根拠などを伺う。
【理事者】
令和2年度に国の就学支援金の見直しがあり、年収590万円未満の世帯まで実質無償化となるよう国の制度が拡充された。この拡充により愛知県の上乗せ補助分が軽減されることから、この財源を活用して、授業料及び入学納付金の補助を拡充した。
国の拡充により軽減された財源全額を愛知県の授業料及び入学納付金の拡充に充てた結果、実質無償化される世帯が年収350万円未満から年収720万円未満まで引き上げられた。この引き上げにより、高校生の約半数が無償化されることとなった。
【委員】
今、答弁があったように、根拠は、国の就学支援金の拡充により、愛知県として、いわゆる浮いたお金を他に流用することなく、そのまま愛知県の私学の拡充に使ったということである。
その姿勢は評価しつつ、ただ、今の答弁だと、結果、今の状況というのはあるべき格好での予算措置ではなくて、限られた財源を当てはめた結果、たまたま実質無償化される世帯が、年収720万円未満に引き上げられ、高校生の約半数が無償化されたということかと思う。
そこで、確認をしておきたいが、今年度の予算で、年収720万円未満の世帯は約半数、51パーセントであるが、無償化の対象ではない残りの49パーセントの世帯、つまり、年収720万円以上の世帯の各階層、区分ごとの令和5年度の生徒数の割合と授業料、入学金を合わせた保護者の負担金額はそれぞれどうなっているのか。
【理事者】
高校生の年収720万円以上840万円未満世帯の生徒割合は14.5パーセントと見込んでおり、授業料と入学納付金を合わせた保護者の負担額は、私立学校平均額の2分の1程度となる約31万円である。
年収910万円未満世帯の生徒割合は6.0パーセントと見込んでおり、保護者の負担額は、国の就学支援金を除いた約51万円となる。
最後に、年収910万円以上世帯の生徒割合は28.5パーセントと見込んでいる。補助制度による軽減がないので、全額保護者の負担となり、負担額は約63万円となる。
【委員】
次に、大都市圏、都府県、東京都、大阪府、神奈川県、埼玉県の授業料無償化の現在の状況はどのようになっているのか。また、本県は全国的に見てどのような水準になっているのか。
【理事者】
東京都は年収910万円未満世帯まで、大阪府は年収590万円未満世帯まで、神奈川県は年収700万円未満世帯まで、埼玉県は年収720万円未満世帯まで授業料実質無償化の対象としている。
次に、全国的に見て、どのような水準かであるが、都道府県により私立高校の数、生徒数、授業料の額等が異なるため、単純に比較はできないが、授業料だけでなく入学金についても無償化していることについて、私学団体から全国トップクラスの補助であると評価をもらっている。
【委員】
愛知県は全国的にも高水準、私は入学金への助成や、あるいは施設整備、いろいろトータルで考えたときに、愛知県の私学助成は日本一だと思う。
しかし、先ほどの答弁のように、720万円から840万円の家庭は、授業料と入学金合わせて31万円、840万円から910万円の家庭は51万円、910万円以上の家庭は補助が全くないので63万円の負担、公私の差でいうと51万円となっている。かなり公立と比べて、私学の負担は大きい。子供が2人、3人となるとその負担はより大きく、家計は苦しくなってしまう。
私は成績や受験の影響によって負担が生じるというのも公平の観点からおかしいと思っているし、こうした学費の負担によって、積極的に私学が選択できない状況はいまだに残っている。実際に兄弟を通わせるときに、上が私立に行ったら、下の子は公立を選びなさいという状況もあると聞いている。
こうした状況から、私は、将来的には所得要件の緩和など、より私学助成の拡充が求められると思っているが、最終的には所得制限の撤廃だが、まずは、教育の公平、公私間格差の是正を図ることを一番の目標、目的として、せめて公立高校と同じ、年収910万円未満の家庭まで無償になるように、私学助成の拡充が必要だと思う。
910万円未満、約20.5パーセントいるが、その世帯まで無償化する場合に幾ら、予算がかかるということと、あわせて、所得制限を廃止して全世帯まで無償化をした場合に、それぞれどの程度予算がかかるのか。
【理事者】
令和5年度予算ベースで私立学校分を試算すると、年収910万円未満程度の世帯まで実質無償化するためには、授業料と入学納付金を合わせて約43億円が必要となる。
また、所得水準にかかわらず全世帯を実質無償化するためには、授業料と入学納付金を合わせて約136億円が必要となる。
【委員】
私立無償化の場合は、910万円までだと43億円プラスでかかると、全世帯だと136億円が必要になるということであった。
ちなみに、公立は910万円未満は無償だが、910万円以上は11万8,800円かかっているので、教育委員会に確認したところ、公立を無償化した場合には29億円かかるため、公立、私立合わせた愛知県で高校の完全無償化をするには165億円が必要だということが分かった。
最後に要望だが、高校への私学助成の拡充を考えるときに、まずは、教育の公平、公私間格差の是正が必要と考えている。学力や成績、受験の結果によって学費の差が生じるのも公平さを欠くと思うし、公立を希望したが私立に行かざるを得なくなった生徒が、親の所得により私学進学を諦めるようなことがあってはならない。
そして同時に、全ての子供が親や家庭の収入、所得に影響を受けずに、公立、私立関係なく自由に学びたい教育を受けられる、学校を選択できるようにする教育環境をつくっていくべきだと考える。
子供が複数いる家庭では、上の子が私立に通うと、下の子は公立に行きなさいと言われる家庭があると聞いた。
子供たちが自由に行きたい学校を選べられるように、私立学校の高額な負担を公立同様に無償にするよう、そのためにも、まずは、私立高校の910万円世帯までの無償化を実現してもらいたいと思っている。43億円かかるということであったが、私は愛知県の財政状況から考えても、決して不可能な金額ではないと思っている。
そして、最終的には公立、私立ともに高等学校完全無償化が必要だと思っている。今の社会の喫緊の課題である少子化対策、あるいは子育て支援として、または、これからの社会の在り方として、親や家庭の経済状況あるいは社会状況に影響されずに、子供の育ちと学びは社会が、公共がベーシックインフラとして保障する、つまり子供たちの学びと育ちをしっかりと守る社会にしなければならないと思っている。そうした意味でも、高校の完全無償化はすぐにでも行うべきだと思っている。
高校の完全無償化には、先ほども答弁があったように、約165億円と非常に多額の予算が必要ではあるが、大阪府では、令和6年度、高校3年から所得制限を撤廃し、令和8年度には高校の全学年を無償化するとの基本方針の素案を、今年の5月に発表した。
高校の無償化は、本来は国が行うべきだとは思っているが、国の議論がなかなか進まないのであれば、愛知県が率先して行うべきだと考えている。大阪府にできて、この愛知県でできないわけはないと思っている。
大村秀章知事はかねてから日本一の愛知と言っており、そうした県政運営に努めてきているが、今の愛知県の私学助成は日本一である。これからの公立、私立ともに高校に通う子供たちへの支援が、日本一の愛知、教育が日本一と言われる愛知県であり続けることを要望する。
【委員】
初めに、愛知県「休み方改革」プロジェクトの一つであるラーケーションの日について伺う。
これは教育委員会の予算であるが、この6月定例会にラーケーションの導入に向けた実施体制の整備を進めるということで、小中学校は472校、高等学校149校、特別支援学校32校について、リーフレットを作るなどの配布物の準備、給食費の会計処理といった増加する事務に対応するため、校務支援員を配置するための予算ということで、6億8,000万余円が今回の6月定例会に補正予算として提出されている。
ところが、この委員会の所管である私立高校については、今回、こういった予算がついていないわけであるが、その理由は何か。
【理事者】
今回の6月補正で、教育委員会は全ての県立学校と、ラーケーションの導入に積極的な、19の市と町の小中学校へのリーフレット作成費と、校務支援員の配置に係る費用を計上している。
公立学校のラーケーションの導入については、今年度の2学期以降、順次、導入に向けた環境が整ったところから、実施していくこととなっているが、私立学校は、建学の精神に基づく、それぞれの教育方針の下、設置・運営されていることから、私立学校の自主性を尊重し、実施のいかんは各学校の判断に委ねられている。
私立学校におけるラーケーションの導入の状況については、現在のところ、ラーケーションを導入する私立学校は確認できていない。
そのため、現時点で私立学校へのラーケーションに係る支援の予算計上はしていない。
【委員】
現在のところ、ラーケーションを導入する私立学校は確認できていないため、私立学校へのラーケーションに係る支援の予算計上はしていないという答弁であった。
それでは、今後、私立学校でラーケーションへの取組が広がってきた場合、私立学校に対しても公立と同様に、ラーケーション支援の予算を考えているのか。
【理事者】
私立学校がラーケーションの導入を前向きに検討して、私立学校や私学関係者からラーケーション支援の要望があれば、その要望の内容を踏まえ、どのような支援ができるのか、検討していきたい。
【委員】
私立学校の自主性を尊重するという答弁があったが、当然のことだと思う。せっかくの愛知県の休み方改革のプロジェクトの一つであるラーケーションがもっと広がるようにするためには、私立からの申出に任せるのではなく、愛知県がもっと前向きな姿勢を取っていくことも大事なのではないかと思う。
したがって、私立学校に対して積極的に促進するために、要望を待つのではなく、愛知県が率先してラーケーション支援を行っていくことを要望する。
次に、LGBT理解増進法が成立して、23日に施行された。これに伴って、愛知県として何か対応するのか伺う。
【理事者】
本県では、昨年4月に愛知県人権尊重の社会づくり条例を制定しており、その中で、性的指向及び性自認の多様性についての理解の増進等について、個別に規定している。
これに基づき、昨年度は、市町村等の職員に対する性の多様性をテーマとした研修会や企業とLGBTに関する講演会などを開催したほか、性の多様性に関する庁内連絡会議を設置し、性の多様性に関する職員ハンドブックの作成や申請書等における性別記載欄の見直し等を実施した。
また、法律の中では、地方自治体に対して、相談体制の整備が求められているが、昨年度、条例に基づき、東大手庁舎にあるあいち人権センターに人権に関する相談窓口を設置した。
このように、本県は法律に先んじて、条例に基づいて、性の多様性に関する様々な取組を行っており、法律の成立に伴う対応については、現時点では考えていない。
【委員】
昨年の4月に、愛知県人権尊重の社会づくり条例ができ、その中で、いわゆる性自認の多様性や性指向、性的指向及び性自認の多様性について個別に規定しており、相談体制についてもあいち人権センターの中に設けたということで、法律に先んじていろいろな施策を行ってきたので、現時点では特別に対応は考えていないということで、よく分かった。
昨年はいろいろな対応をしてきたが、今後も引き続き、性の多様性に関する取組を進めていくと思うが、今年度はどのような対応や取組を考えているのか伺う。
【理事者】
性の多様性に関する今年度の新たな取組としては、昨年度作成した性の多様性に関する職員ハンドブックを使った職員向けの研修を行う。
また、性的少数者の中でも、特に生きづらさを抱えている若者を支援するための取組として、性的少数者の若者からの相談に対応できるよう、相談対応者・指導者向けガイドブックを作成したり、当事者だけでなく、全ての若者を対象とした若者向け啓発資料を作成する。加えて、これらのガイドブックや啓発資料を広く活用してもらうためのセミナーも開催する。
一般向けには、あいち人権センターにおいて、性の多様性をテーマとした企画展を開催することとしており、それに合わせて、啓発パネルも作成する。
こうした取組を通じて、性の多様性に関する理解増進を図っていく予定である。
【委員】
昨今、バリアフリーやインクルーシブ教育なら、障害者と健常者が同じ環境で学びや生活ができるような社会環境が整備として進んでいる。そのことによって、障害者、親への支援、理解が年々加速しているということは、大変すばらしいことと思う。
愛知県は、この件に関して、当事者や支援者に対し様々な政策を実行しているが、その中で、今テーマに挙げた私立幼稚園特別支援教育費補助金という制度があると思う。
これは幼稚園や学校法人立幼保連携型認定こども園が障害児を受け入れた場合、園に対して園児1人当たり78万4,000円を補助するものと理解している。障害者といっても、障害には様々な障害のタイプがあると思う。
そこで、補助金の対象となる園児の障害にはどのようなものがあるのか。
【理事者】
本補助金における障害の種類は、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱、言語障害、情緒障害の7種類となっている。
直近の2022年度の実績で、一番多い障害は、情緒障害で824人、補助対象園児数全体に占める割合が60.2パーセント、次に多いのが知的障害で320人、割合が23.4パーセント、病弱・虚弱が109人、8.0パーセントとなっている。
【委員】
ここ3年余り続いたコロナ禍で、生活様式が劇的に変わらざるを得なかった中で、特に我慢を強いられてきたのは、大人ももちろんだが、とりわけ小児、児童生徒だったと感じる。精神的な観点での影響もかなり大きいと捉えている。
最近、心身に障害があるという理由で特別な支援が必要な子供が増えていると聞くことがあるが、この補助金の対象者の推移はどのようになっているのか。
【理事者】
5年前の2018年度は全体で1,027人である。その後、1,151人、1,222人、1,334人と推移しており、直近の2022年度は1,368人で、5年間で341人増えている。
5年前と比較して、増えている主な障害は、情緒障害が579人から824人と245人の増加、知的障害が225人から320人と95人の増加となっている。
【委員】
変化の数を聞くと、この5年はコロナ禍を挟んだ期間だったと考えると、全体的で約3割人数的には増え、とりわけ主な要因の情緒障害、これが44.5パーセント、知的障害が約4割増えているということになる。
そのような対象の子供を預かる施設、つまり幼稚園や学校法人立幼保連携型認定こども園において、補助金の対象となる園児の要件が厳し過ぎるとか、医師から診断書をもらうのが大変だという声を幼稚園関係者から聞くこともある。
今年の2月に、私から私学振興室にそういった要望を伝えたときに、幼稚園関係者からの要望も踏まえ、対応を検討しているところであるということを聞いたが、その後、何か取り組んだことがあるのか。
【理事者】
障害児であることを証明する書類として、これまでは障害者手帳、医師の診断書、児童相談センター等の判定書としていたが、令和5年度から県や市町村が交付している特別児童扶養手当証書、通所受給者証、入所受給者証でも可能にしている。
また、これまでは、診断書に何々の疑いがあると記載のある場合、例えば発達障害の疑いがあるという記載があった場合は、補助の対象としていなかったが、こうした場合も令和5年度からは、補助の対象とするよう改正している。
【委員】
要望していた本テーマに関しては、検討、改善を行ってもらった結果として、条件の緩和、また、必要書類の選択肢拡充という変化点も加えてもらったことは、評価したいと思う。
補助金のため、何でも申請を受理するということにはならないとは思うが、幼稚園の実態等を踏まえて、可能な限り申請書類の簡素化など、保護者や幼稚園の負担が軽減されるよう、これからも引き続き改善を継続するよう要望する。
【委員】
県は昨年度10月に、5年ぶりに人権に関する県民意識調査を実施した。それが3月にはまとまったということで、分析の結果をパンフレット等で見たが、所管している人権推進課として、今回の県民意識調査からどのような状況が分かったのか。その概要と結果の特徴について伺う。
【理事者】
人権に関する県民意識調査は、県民の人権に関する意識を把握し、人権教育・啓発の実施に向けての基礎資料とするため、2002年度から5年に1回実施している。
この調査は、昨年度で5回目となり、愛知県内に居住する満18歳以上の県民を無作為に3,000人抽出し、調査票を配布し、1,286人から回答を得た。
調査項目は、人権意識全般に関するもののほか、女性の人権、子どもの人権等、個別の人権課題について伺い、人権尊重の取組についても聞いている。
調査結果については、人権侵害や差別は10年前に比べて減っていると思うかという質問に対しては、減ってきているが前回の30.1パーセントから35.9パーセントに増えており、改善が見られた。
しかし、今の日本は人権が尊重されている社会であると思うかという質問に対しては、そう思うが前回の30.3パーセントから24.9パーセントに減っていたり、インターネットによる人権侵害と思われる投稿やウェブページを見たことがある人が、前回の30.3パーセントから42.8パーセントに増えており、今後とも、人権尊重の社会づくりに努めなければならないと考えている。
また、愛知県人権尊重の社会づくり条例について、知っている人は、7.4パーセントにとどまっており、引き続き、周知に努めていきたいと考えている。
【委員】
この調査結果を見て、改めて人権尊重の愛知県をこれからつくっていくために、極めて重要なベースになるデータではないかと思った。
この条例ができたことを知っている方は7パーセントぐらいしかいないこともあり、個々の項目を見ても、やはり依然として、自分の身内、家族等に、LGBTQ、性的少数者が、カミングアウトしているということが、息子や娘らにも、家族の一員がそうであった場合どう受け止めるかということに関して、高い割合で非常に違和感を感じると、これが正直なところだと思う。そういうところから出発をして、今後の啓発を考えていかなければいけないという現実や、また、私も以前から取り組んでいる、部落差別の解消などに関しても、結婚とか、就職等において家柄、そういうものを気にするという、あるいは気にすることは当然だという回答が3割近くあり、あまり減っていない。そして身元調査を行うことについても、3割程度の方が当然だと言っていると、これもなかなか減らない。
そして、最近よく言われる未婚化、結婚しない人が増えていることに関係すると思うが、家族が自分の結婚に反対した場合に、それを説得してでも結婚するという人よりも、家族が反対するならやめておこうという周りの家族の意見によって自分の結婚志向を断念する、思いとどまってしまうような方も増えている。
これはパラサイトシングルなどと言われるが、親と一緒に住んで、30、40と年を重ねた方にとっては、ある意味、居心地がいいと言ったら変だが、そこから自立して、あえて自分の家庭を持つ、自分の伴侶を求めていこうということに一歩踏み出すための条件も厳しいし、家族の庇護の下で、親の年金や親が造ってくれた家にそのまま同居しているという形から脱出することができないと、そういう意欲すら持たない傾向が増えているという、これも少子化問題の深刻化にもつながっているような意識もかいま見られるわけであり、これは人権問題だけにとどまらずに、結婚とかに関わるような、人の生き方に関わるような県民の意識がどのように変化しているのかということは、多方面のこれからの政策立案にとって非常に重要なデータだと思うので、調査した数字を並べているにとどまらず、調査項目の設定の段階から、専門家にもいろいろ意見を聞いているわけであるから、社会学者とか、その他いろいろな専門家の立場からも、こうした経年変化でどういった県民の意識の変化が酌み取れるのかということについて十分分析を加え、議論する一つのきっかけにすべきではないかと考える。
そして、昨年の4月から愛知県人権尊重の社会づくり条例がスタートしているが、先日、非常に大きなトピックが起こった。それは、6月3日に名古屋市が開催した名古屋城の復元をめぐる市民討論会という、行政が設定した会合の中で飛び出した発言である。
これが名古屋市議会でも議論になり、市側は、これは差別発言であるということは認めた上で、どうしてこういう発言が市の会合で行われたのか、あるいは、それを現場で誰も止められず、主催者である市長が、熱い議論を交わせてよかったという形で締めくくることになったのか。後になり、これは差別だということを認めざるを得ない事態に至り、非常に重大だと私も受け止めている。
名古屋市もこの問題の発生に対する今後の対応として、昨年から施行された愛知県人権尊重の社会づくり条例を引き合いに出して、県もこういう条例を制定されていると、名古屋市としても、こういう差別がなくなるようなことに焦点を当てた条例づくりが必要だというところまで発言しているようである。
これは愛知県としては、条例をつくったいい効果が現れているとも思えるわけであるが、まずは今回、新聞でもいろいろ報道されている市民討論会における差別発言に対して、愛知県としては、どのように受け止めているのか。
【理事者】
本県においては、これまで、人権教育・啓発に関する愛知県行動計画を策定し、人権が尊重され、差別や偏見のない郷土愛知の実現を目指して、人権に関する教育及び啓発を推進してきた。
また、愛知県男女共同参画推進条例、愛知県子どもを虐待から守る条例、愛知県障害者差別解消推進条例などを制定し、人権に関する課題に取り組んできたところである。
しかし、様々な事由による差別が存在していることから、昨年4月に愛知県人権尊重の社会づくり条例を施行したところである。
こうした中、詳細は把握していないが、市民討論会で差別発言があったのは遺憾であり、条例を施行して、まだ1年しかたっていないとは言え、その趣旨が、まだ県民の間に浸透していないのだと考えている。
【委員】
具体的に議論しなければならないのは、どういう発言、身体障害者に対する差別するような言葉を使ったというところが、直接的には問題になっているわけであるが、どういう言葉を使ったのか公にされていないので分からないが、例えばこれを、差別呼称ではなくて身体障害者と言っていればよかったのかと考えると、決してそういう言葉の問題だけではないと思う。
つまり片方ではバリアフリーを要求する、名古屋市が建てる天守閣においてもこれまで同様、障害がある人、車椅子の人も上れる名古屋城天守閣であってほしいという意見を述べた方に対して、あなた方が我慢しろと、そのあなた方のところに差別呼称がつけられたわけであるが、これを例えば身体障害者と言い換えたところで、我慢しろという発想が差別発言だと思う。
法律的にも高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律があり、人権に関する県の条例はもちろんであるが、この精神からいって、あらゆる人に保障されるべきアクセス権というものが、車椅子を使用している人や障害者にだけは、これが少数であるからといって、あなた方が我慢しろとか黙っていろという接し方は、明らかにその態度に問題がある。
どうしてそういう発言者を選んだのかは、アンケートをやり、そこの中から典型的な発言をしそうな人を名古屋市が選んでいる。名古屋市が選んでいる人が、名古屋市の期待に応えて本音を言ったというだけの話なので、これは、そういう設定自体がやはり名古屋市も反省してもらわなくてはいけないと思う。
ともすれば、何かそういう言葉を使ったことが、その言葉さえ使わないでもらえればよかったのかとか、それをその場で、不適切な言葉があったので、自主規制音を入れて、その言葉が聞こえないように処理するとか、そうした技術的な話ではないということが、名古屋市議会でも議論されていると思う。
そこで、人権推進課長は、確かに差別発言というのは遺憾だと答弁したが、問題は何がどう遺憾なのか。あるいは、愛知県人権尊重の社会づくり条例の精神にどう反しているのか。今後、こうした問題がいろいろな場面で出てくる可能性がある。そういう中で、愛知県人権尊重の社会づくり条例の考え方はこういう考え方であると、こういう問題を解決しようとしているのだということを、県は積極的に言っていかなければいけないと思うが、愛知県人権尊重の社会づくり条例の普及啓発をする上で、今回の事例をどのように捉えて取組を行っていくのか伺う。
【理事者】
愛知県人権尊重の社会づくり条例の普及啓発については、今年度は、東大手庁舎にあるあいち人権センターにおいて、6月12日から7月7日まで、愛知県人権尊重の社会づくり条例をテーマとした企画展を開催している。
また、10月頃から、NPO等と連携して、県内4地域に出向いて人権啓発イベントを開催することとしているが、条例についての説明を行った上で、より深く、人権について考えてもらうためのワークショップを開催することとしている。その中で、今回の問題等についても盛り込むことが可能ではないかと考えている。
その他、市町村職員を対象とした会議や地域で行われる人権に関する研修会、講習会に講師を派遣しており、そうした際には、今回の問題も踏まえて周知に努めたいと考えている。
【委員】
愛知県人権尊重の社会づくり条例が7.4パーセントの県民にしか知られていないということをこれから克服していくためには、単に条例ができましたといってパンフレットを全戸配布したところで、県民の関心はこの条例には向かないと思う。
まさに、関心を持つような事象が発生したときに、これは条例では、このような考え方で、愛知県はこのようにこの問題を捉えて、このような問題が発生しないような社会づくりに向けてこういうことをやっていくと、条例の宣伝をしなければいけない。こういう具体的な事象を捉えたときに初めて、条例の意義が理解されると思うので、この問題を大いに議論してもらい、啓発を進めてもらいたい。
非常に重要な課題だと思うので、最後に、人権推進監に愛知県人権尊重の社会づくり条例をさらに実質あるものにしていくために、今後どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
愛知県人権尊重の社会づくり条例は、あらゆる人権課題の解消を図るとともに、全ての人の人権が尊重される社会の実現を目指している。
そのためには、私たち一人一人が人格と個性を尊重し合いながら互いに支え合うことが必要であると考えている。
このような認識を県民と共有し、条例の趣旨や考え方を広く周知・啓発して、理解を深めることにより、多様性を認め合う、誰一人取り残されることのない人権尊重の社会づくりを行い、差別をなくしていきたいと考えている。