委員会情報
委員会審査状況
県民環境委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年6月28日(水) 午後0時58分~
会 場 第6委員会室
出 席 者
黒田太郎、杉江繁樹 正副委員長
松川浩明、中野治美、神戸健太郎、山田たかお、杉浦正和、増田成美、
高木ひろし、鈴木 純、加藤貴志、神谷まさひろ、永田敦史 各委員
環境局長、同技監、環境政策部長、地球温暖化対策監、資源循環推進監、
関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第 81 号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第3款 県民環境費
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第81号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 文化芸術の振興及び文化財の保護について
2 青少年の健全育成及び県民・NPOとの協働の推進について
3 男女共同参画社会の形成の促進について
4 生活環境及び自然環境の保全について
5 地球温暖化対策について
6 県民文化局及び環境局の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(1件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 閉会中継続調査申出案件の決定
6 閉会中の委員会活動について
7 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
なし
《一般質問》
【委員】
地球温暖化や生物多様性の損失などの様々な環境問題は、我々の日々の生活や経済社会システムと密接に関わっている。豊かな環境を保全して将来の世代に引き継いでいくためには、持続可能な社会づくりを進めることが必要であり、その担い手となる人材育成、つまり環境学習が重要であると考えられる。
特に幼児期においては、五感を用いながら自然に直接触れ合う学習体験をすることで環境を大切にする気持ちが育まれ、大人に成長してからも環境のことを常に意識して、環境に配慮した行動を実践することが期待できる。
また、幼児期だけでなく、小中学生や高校生といった若い世代に対して、その世代に応じた環境学習を行うことが重要であると考えている。
本県においては、それぞれの世代に対して学習できるプログラムを提供していると聞いているので、それぞれの世代の環境学習について、世代別にその内容を聞きたい。
まず、未就学児童に関する環境学習として、どのような事業を行っているのか。
【理事者】
本県では、2018年3月に策定した愛知県環境学習等行動計画2030に基づき、持続可能な社会を支える行動する人づくりを目的として、世代ごとに適した内容や手法の環境学習事業を実施している。
未就学児童向けの事業としては、本県の環境学習の拠点施設の一つである、愛・地球博記念公園内のもりの学舎において、森の案内人であるインタープリターによる、もりの学舎ようちえんや、一日もりの学舎ようちえんなどの自然体感プログラムを、2016年度から実施している。
もりの学舎ようちえんは、未就学児童とその保護者を対象に、1年を通じてインタープリターと一緒に自然を体感してもらうプログラムを継続的に実施するものである。昨年度は30組を対象に計6回実施し、今年度も同様に実施することとしている。
また、一日もりの学舎ようちえんは、県内の保育園、幼稚園等を対象に、インタープリターが自然体感プログラムを実施するものである。昨年度は11団体に参加してもらい、今年度は、12団体を対象に実施することとしている。
これらの事業について、参加者からは「多くの学びがあり、家でも親子で図鑑を見たりしていた」「自然の物の感触を確かめたり、生き物の発見を喜んだりしていた」などの声を聴いている。
こうしたもりの学舎で実施する事業のほか、インタープリターが県内の保育園等の希望する場所に出向き、その場所に応じた自然体感プログラムを実施する森の伝道師派遣事業を、2016年度から実施している。昨年度は21団体にインタープリターを派遣した。今年度は、24団体を対象に実施することとしている。
そのほか、日常的に子供に接している保育士、幼稚園教諭等を対象に、保育園等で実施できる自然体感プログラムのノウハウ等を身につけてもらえるよう、子ども自然体感活動指導者養成研修を2016年度から実施している。昨年度は、2コースで各20人を対象に開催し、今年度も同様に実施することとしている。
【委員】
次に、小中学生に関する環境学習として、どのような事業を行っているのか。
【理事者】
小中学生を対象とした事業としては、本県のもう一つの環境学習の拠点施設である、環境調査センター1階のあいち環境学習プラザにおいて、環境学習講座を実施している。
この講座は2007年度から実施しており、工作や実験など参加体験型の講座で、学校の授業として活用できる内容となっている。講座の最後には、ふだんの生活でできることを発表し、学んだことを行動につなげるようにしている。昨年度は、50回開催し、1,589人の小中学生の参加があった。今年度も同様に講座を行っている。
また、夏休み及び冬休みの期間中に、あいち環境学習プラザ及びもりの学舎において、小中学生等を対象に、環境学習講座を2008年度から開催しており、昨年度は全19講座に、保護者を含め、399人の参加があった。今年度も夏休み等に実施予定である。
さらに、本県が養成した環境学習講師(あいちecoティーチャー)を小学校や環境学習施設などに派遣し、ごみや水に関する環境学習講座を2019年度から実施している。昨年度は小学校などにおいて36回講座を実施しており、受講後には「手を洗うとき、長時間水を流しっぱなしにしないように気をつける等、子供の行動に変化が見られた」などの声を聴いている。なお、ecoティーチャーは、あいち環境学習プラザにおける環境学習講座においても、講師として活動してもらっている。
このほか、もりの学舎において、小学生を対象に、もりの学舎キッズクラブを2008年度から実施している。一年を通じて森や池の中の生き物と触れ合う活動により、自然や環境の大切さを学んでもらうもので、昨年度は95人の参加があった。3月には、小学校4年生から6年生のキッズクラブのメンバーが、キッズインタープリターとなって、もりの学舎において、自ら企画した自然体感プログラムを実施している。今年度は、小学生101人を対象に実施することとしている。
【委員】
最後に、高校生に対しての環境学習として、どのような事業を行っているのか。
【理事者】
高校生を対象とした事業としては、あいちの未来クリエイト部という事業を2017年度から実施している。
この事業は、高校生が地域の環境問題を調査、研究することにより深く学び、持続可能な未来を支える人として成長してもらうともに、その成果をもとに作成した環境学習教材により、若い世代の環境に対する関心を高め、行動へとつなぐことを目的とするものである。
昨年度までの6年間で20校の高校が参加しており、作成されたボードゲームやすごろくなどの環境学習教材については、環境イベントや学習会に貸し出すなど、広く活用を図っている。
昨年度参加した高校生や顧問の先生からは「積極的な姿勢が身についた」「人前で話すことに自信が持てたように見える」などの声を聴いている。今年度については、昨年度と同数の3校の高校に参加してもらうこととしている。
【委員】
それぞれの世代に合った学習内容であることが確認できた。
また、詰め込みでなく、体験を通じて学べるというのは楽しんで学習できるので、子供たちも印象に残りやすいと思う。
幼少の頃から学習を通じて環境に触れることで意識が向上すれば、自然に環境に配慮ができる行動が取れるようになり、そういった子が増えれば、未来は変わっていくと思う。
これは未来への投資としてのすばらしい事業であるので、これからも様々な工夫をして、子供たちが興味を持てる学習内容にしてもらい、また、先ほどの答弁からも、学習に参加したい需要も多いようであるで、より多くの子供が参加できるように取り組んでもらいたい。
【委員】
愛知県では今、愛知県ごみ処理広域化・集約化計画に基づいて、各自治体がごみ処理の将来を考えながら、大型の炉をあちこちで建て替えていると聴いているが、その焼却炉は、いろいろな方式を選択している。
その中で、これまでその方式についていろいろな方針が出てきたと思うので、その点について伺う。
幾つか方式があり、現在主流となっているのはストーカ式というこれまでの一般的な焼却炉、及びガス化溶融炉というコークスをたいて高温にして、ごみを溶融してスラグにして、灰を減らすというような方式の2種類が主に使われているが、それぞれでメリット、デメリットがある。ストーカ式は一般的な焼却炉であり、話題になることは少ないが、これまで問題になってきたダイオキシンの対策や、熱の再利用などはかなり高性能化されていて、問題は減ってきている。
一方で、その問題をもっと早くから解決したのがガス化溶融炉で、ガス化溶融炉はダイオキシン対策については非常に価値が高く、灰の処分ということについてもかなり有利である。
しかし、この方式についてはコークスを大量に消費するということで、現在のカーボンニュートラルという考え方からすると、少しデメリットになっている。
まず、近年新たに整備された県内市町村のごみ焼却炉の方式についてどのようなものがあるのか。また、いつ頃整備されたのか。
【理事者】
2023年3月に公表した県の一般廃棄物処理事業実態調査において、2020年度以降に供用開始をしたごみ焼却施設は三つある。シャフト炉式ガス化溶融炉が一つ、ストーカ式焼却炉が二つとなっている。
具体的には、シャフト炉式ガス化溶融炉は、2020年度に供用開始した名古屋市北名古屋工場、ストーカ式燃焼炉は、2020年度に供用開始した名古屋市富田工場、2022年度に供用開始した知多南部広域環境センターとなっている。
【委員】
2020年供用開始ということは、計画はもう少し前のことになるので、カーボンニュートラルという観点がどの程度、この計画を進めるのに影響したかということは分かりかねるが、それぞれの方式が採用されている。
私の地元西尾市でも、愛知県ごみ処理広域化・集約化計画と整合を図り、西尾市と岡崎市と幸田町で新たな焼却炉を建設するということで進んでいる。
その中で、意見として出てくるのが、以前の計画の中に組み込まれていたのではないかと思うが、ガス化溶融炉が有効であるという意見を強く言われることがたくさんある。愛知県として、ガス化溶融炉やストーカ式焼却炉など炉の方式を採択するに当たって、この計画において目指す方針はあるのか。
【理事者】
現在の愛知県ごみ処理広域化・集約化計画の中ではそのような方針はない。
本計画の前計画である、2009年3月に見直した第2次愛知県ごみ焼却処理広域化計画においては、最終処分場の処分量を削減する観点から、1997年当時のダイオキシン問題の対処に加え、基本方針の一つとして、総合的なリサイクルの推進を掲げ、ごみ焼却施設の整備に当たっては、ガス化溶融・灰溶融処理によるスラグ化等の機能を備えることを目指していた。
その後、ごみ処理をとりまく状況が大きく変化したことを背景として、国は2019年3月に中長期的な視点を基に安定的かつ効率的な廃棄物処理体制の構築の推進を検討の上、広域化・集約化に係る計画の策定を求める通知を発出した。
2021年11月に策定した、現行の愛知県ごみ処理広域化・集約化計画では、2019年3月の国通知をもとに、ごみの排出抑制とリサイクル、廃棄物処理経費の縮減、気候変動対策の推進、災害への対応、地域への新たな価値の創出の五つの基本方針を定めており、施設整備の考え方として、これを前提に市町村等の考え方を踏まえたものとしている。
ごみ焼却施設にはストーカ式焼却炉やシャフト炉式ガス化溶融炉など様々な方式があるが、整備費用のほか、立地場所の制約や維持管理のしやすさ、市町村が最終処分場を持っているか、発生する焼却灰等の処理事情、更には発電など廃熱の活用方法など、地域の実情に応じて検討してもらうという考え方から、本計画では、ごみ焼却施設の処理方式について、県が具体的な方針を定めてはいない。
【委員】
ごみ焼却施設は多額な費用がかかる施設であり、交付金に頼らないと、整備できない施設であるが、交付金の要件はどのようになっているのか。溶融炉に関する部分があれば、その点についても教えてほしい。
【理事者】
国の交付金には循環型社会形成推進交付金があり、ごみ焼却施設については、炉の方式にかかわらずエネルギー利用等を行うことが要件となっている。この要件を満たせば、溶融炉についても対象となるものであり、炉の方式を溶融炉に限るものではない。
【委員】
いろいろ聞いていると、何か方向性を出したものではないが、過去に溶融炉で灰を溶融するために進めていたものを、今の時代になって、エネルギーの観点なのかは分からないが、あえて外してきているということを考えると、その方式でなくてもよいというメッセージとして受け取れる。
カーボンニュートラルという観点は大変重要な観点だと思うので、そういったことを今後のごみ処理広域化・集約化計画において、愛知県の中でも検討することを希望する。
続いて、水の環境について三河湾の目指す将来像も踏まえて伺う。
以前所属していた農林水産委員会で、海で取れる魚や貝が、海の栄養がないということでなかなか取れなくなってきており、何とか海を豊かな海に変えていきたいということで、農業水産局の方から、環境局へ、排水についてもう少し基準を緩めてもらえないかということを、お願いしてきた立場であったため、その立場も合わせながら質問する。
環境を大事にするということと、海を豊かにする、すなわち栄養を増やすということは相反することかもしれないが、考えてみると、高度成長が進む前の、魚もたくさん取れて環境もよかった時代というのがあり、その頃に戻れるのであれば、農業や水産業をやっている人も、環境を管理している人も、両方ともよかったということになる。
ただ、今は水質に着目をして、この水質の中にどれがどれだけあるからよい悪いという、ラインの決め方で、お互いの意見が正面からぶつかっている。
確かに数値を国も示しているため、その数値を改善することは大事であるが、その改善には、いろいろな方法がある。環境局が一番注目しているのは、下水処理場から出る水をどんどん希釈して、できるだけきれいにしていこうという考え方で、これまで進めてきている。
一方で、漁業者からすると、それを緩めてほしいという、相反することになっていた。
ただ、そうはいうものの、水を悪くしている原因というのは、海底に例えばたまっている汚泥や、そういったものから出てきているとすると、それがそこに住んでいる魚や生き物に対してどのように影響して、栄養としていけるかという観点からすると、今はなかなかそれを栄養にして成長できないようで、アサリやその他の魚も随分減っているのが現状である。
これをどのように解決していけるかということであるが、水を出して薄めていくことも、確かに方法としてはあるとは思うが、ほかの地域を見てみると、瀬戸内海の方では、出す水を薄くしたら割と早くきれいになってしまい、栄養がないということで、今度は栄養を出していくことになっている。大阪湾では、海の中を耕して、下にたまっているものを掘り起こし、それを出してみたらどうかという実験をしている。
そう考えると、瀬戸内海は水が早く流れているので、たまっているものが早く流れていってしまい、出すものを薄くすれば早く効果が得られたかもしれないが、三河港については、奥の方で簡単に水が変わるところではなく、かつ沈殿しているものが簡単に取れるところではないため、大阪湾のように海底を少し混ぜてみるとか、ほかの方法をもって水質をよくしていくということを考えるのも、一つの方法ではないか。
環境局としてどのように考えるのか。
【理事者】
三河湾の環境改善は本県の重要な課題であり、水質総量削減計画を策定し、湾に流入する汚濁負荷の削減を始め各種対策を講じている。その対策の一つとして、1970年代に大規模な用地造成等のためにしゅんせつ土砂を採取した海底の窪地が貧酸素化し、生物の生息が困難になった水域が湾奥部に確認されたため、水質改善対策として、しゅんせつ窪地の埋め戻し事業を実施している。
また、2011年3月に策定した三河湾里海再生プログラムでは、三河湾の里海再生には海域における施策が重要であることに着眼し、生物の回復や水質の改善につながる干潟・浅場の造成を600ヘクタール以上実施することを掲げており、現在、湾内での干潟等の造成も進めているところである。
今後も排出水の規制だけでなく、国や沿岸市町とも連携を図りながら関係者が一丸となって三河湾の環境改善に取り組んでいく。
【委員】
事務概要の冒頭に書いてある、環境基本計画について、第5次計画では、SDGs達成に向け、環境を原動力に経済・社会が統合的に向上する環境首都あいちの実現を目標に掲げ、環境面からのアプローチを主眼に置きつつ、経済面や社会面においても向上が図られるように取組を進めるとなっており、環境面は大事であるが、経済面や社会面も考えながら、環境のことを進めていく方針となっている。
生物が住みにくい状況がこのまま続いて、長い時間をかけて水質がきれいになったとしても、それが果たしてよいことなのかどうかが、特にSDGsという考え方からすると、ほかの方法を考えたほうが、よいのではないかと思うが、三河湾の今後の目指すべき方向性、将来像についてどう考えるのか。
【理事者】
環境局では、従来からの水質規制など陸域における汚濁負荷の削減のほか、水質総量規制基準を改定し、昨年11月から2年間、庁内関係局と連携して窒素やリンといった栄養塩をより増加させる水質保全と豊かな海の両立に向けた社会実験を行っている。
また、三河湾大感謝祭を始め、干潟や藻場で生きものを観察し、三河湾の環境や豊かさを楽しく学べる体験型のイベントなどを2012年度から実施するとともに、こうした取組を発展・定着させていくため、県民、NPO、企業、関係団体、教育機関、行政等で構成する三河湾環境再生パートナーシップクラブを2015年度に設立した。現在は設立当初の24から41団体へと増加するなど、三河湾の環境再生への機運が着実に高まっている。
環境局としては、愛知県に豊かな恵みをもたらしてくれる里海である三河湾の再生に向け、水質環境基準の達成を目標としたきれいな海と、生物多様性に富んだ豊かな海を実現し、多くの県民に親しみを持って利用してもらえる親しめる海を目指していく。
【委員】
最終目標はそこに置くとしても、時間をかけてやっているうちに片方が間に合わないということもあり得る。
ほかの地域で先進的に進めているいろいろな施策にしても、環境が違うので全く同じものが通用するわけではない。社会実験をやっており、効果が出ているという結果もあると聞いたが、それで確実にその因果関係が分かるほど、自然は甘くないところがあるため、できるだけ臨機応変に双方がうまくいくような対策を今後も進めてほしい。
【委員】
愛知県だけではなく、三重県や静岡県はどういう形でやっているのか。
愛知県だけが、取り組んでいても海はつながっているため、周りとどう協働しているのか。
伊勢湾や三河湾でも10年前と比べて、きれいになった。透明度がすごくよくなったということは、下水などを環境局がきちんと処理しているからよく分かる。
しかし、海苔はできないと聴いており、生態系が変わってきている。
そういうことも踏まえ、隣同士の県ともきちんとそういう連携を取っているのか。
【理事者】
他県との連携だが、本県では環境局が関与する協議会として、国土交通省中部地方整備局が事務局を務めている伊勢湾再生推進会議を設けており、伊勢湾の水質改善を目的とした伊勢湾再生行動計画を策定しており、陸域における負荷量の削減施策など各種の取組を行っている。三重県も社会実験の形で窒素、リンについて愛知県と同じように対策をしている。
【委員】
雨水だけでは窒素やリンはできない。三重県もそうであり、三重県の漁業組合からもよく言われるが、愛知県も静岡県も魚が獲れない。
どんどん漁業者が減っていき、愛知県、三重県及び静岡県で、本当に魚が獲れなくなるため、そういうことも踏まえ、きちんと話合いを持って、どこまで緩和ができるか考えてほしい。
山田たかお委員が言ったように、どうにかならないのかというのは、漁業者にとっては本音である。自分で行ってバルブを開けたいくらいだと漁業者と会合を開くとよく言われるし、今は浄化槽が本当に進んでおり、くみ取り便所でくみ上げたものは、河川に船が着けてあって、そこに貯めて、途中でバルブを開いて海へ垂れ流していた。それでリンなどが発生して、微生物が増えて、魚が豊富だった。
今はそういうことはないため、違った形で漁業者を助けてほしい。
【委員】
所管事項説明会でも質問したが、各地で問題になっているPFASという発がん性のある環境汚染物質について伺う。
PFASというのは数千種類の化合物の総称であり、有機フッ素化合物の総称とされており、身の回りの調理用品や、半導体製造などに幅広く利用されるようになった。
油をはじく、水をはじくという特性があり、環境中で分解されないといった特性が有用であり、工業的に利用されてきたが、これが逆に人体の中に蓄積した場合には、がんや子供の発育阻害などとの関連が心配される。
国際条約によって規制が始まった歴史は10年ほどであり、日本でも一応、製造禁止や在庫の監視は進んではいるが、はっきりとした環境基準が定められているわけではなく、暫定的なものである。
この禁止や監視体制以前に、土壌や地下水を通じて汚染が既に相当進行しており、近年、それがいろいろなところで表面化してきている。
端的には沖縄県である。沖縄県の米軍基地の周辺で、米軍が使っている泡消火剤の中に、PFOS及びPFOAが多量に含まれている。因果関係は証明されていないが、基地周辺で発見されており、住民の使う飲料水の中からも相当な量のPFOS及びPFOAが確認されているということで、かなり大きな問題になっている。
それが沖縄県だけではなくて、最近は東京都立川市の横田基地の周辺であり、基地との関連が疑われるような、国分寺をはじめとして、横田基地の周辺市町村を調べたところ、かなりの確率で環境中にPFOAが検出された。
また、さらに重要なことは、住民の血液検査をやったら、住民の血液中にも既にかなりの量の影響が確認されたということで、これは健康被害との関係がますます心配されるという事態である。
本県でも最近、豊山町や春日井市の地下水で、指針値を上回る事例があった。これが発覚してきた経緯というのは、県や水道事業者も調査しており、市民団体が大学と共同して、住民の血液検査なども自主的にやっていると聴いている。
東京都もかなり動き出しているが、愛知県としてPFOAという物質に対する監視や規制を今後どうすべきかということが問題になる。
県としての調査、監視の中で、PFOAが指針値を超過したという場所や濃度は、具体的にどの程度だったのか。そして、それが検出された原因、汚染源は一体どう考えたらいいのか。
【理事者】
有機フッ素化合物のうちPFOS及びPFOAについては、2019、2020年度に環境省が全国存在状況把握調査として調査を行っており、2020年度にこれを受けてこの物質が要監視項目に追加され暫定指針値が示された。
これを受け、本県では、2021年度から、水質汚濁防止法に基づく公共用水域及び地下水の水質測定計画における調査項目に追加した。
これらの調査では、名古屋市及び半田市内の河川、豊山町及び春日井市内の地下水で91から107.7ナノグラム毎リットルというレベルで検出され、関東、関西、沖縄等で検出されている数百から数千ナノグラム毎リットルというレベルではないものの、指針値の50ナノグラム毎リットルを超過した事例があった。
また、超過した地点の周辺において、PFOSを取り扱う事業所等の確認を行っているが、その原因の特定には至っていない。
なお、PFOS及びPFOAの使用用途は、泡消火剤の成分の一部として用いられているほか、PFOSについては半導体や金属メッキ等、PFOAについては、繊維、医療、電子基板、自動車、食品包装紙等のフッ素コーティングとして多岐にわたって使われているため、原因の特定は非常に難しいと考えている。
【委員】
環境中の公共用水域や地下水の水質をチェックするのは環境局の役目であり、県がこういう数値を全部まとめたような資料を年度ごとに出している。今、一部紹介があったように、確かに、PFOS及びPFOAという項目が一番後ろに設置されて、その関係市町村の指針値を超えた50ナノグラムを超えたところの地点はチェックをされている。
しかし、チェックしても、それが一体どこから出てきているのかということがはっきりしない。
そして、これが地下水を水道用の水源に使っているところもあるわけであり、人体に対する影響がどうなのかということも大変気になる。
健康への被害ということになると、これは所管が別の局になるかと思うが、愛知県の検査でいろいろチェックが入った以上は、その地下水を井戸水として利用している場合に、当然、健康への被害ということが懸念される。その点に関して、地下水や井戸水が水道用に利用されている箇所での県民への健康のチェックというのは、どのように対応しているのか。
【理事者】
現在、国においてPFOS・PFOAに係る水質の目標値等の専門家会議で、WHO等の動向を踏まえて毒性評価が検討されている。健康影響が明確に示されている状況ではない。
ただし、測定値が暫定指針値50ナノグラム毎リットルを超過した場合には、井戸水を摂取することによるPFOS及びPFOAへのばく露を防止するため、環境省のPFOS及びPFOAに関する対応の手引に基づき、保健医療局及び関係市と連携して、超過した井戸及びその周辺の井戸所有者に対して、井戸水の飲用を控え、水道水を使用するよう注意喚起しているところである。
【委員】
地下水をチェックする地点が幾つか決まっているわけだが、そこの中でも飲用に使っている井戸というのは、特に重要だと思う。今までの地下水の測定地点というのが県内で決まっており、それ以上に飲用に使われているような井戸水は、PFOAに関してはどうなのか。検査地点には入っていないが、飲用に使っている井戸水は、検査対象を広げて検査してみるのはどうか。
それぞれ、住民の懸念は広がっており、今後の対応が求められているが、愛知県として今後の調査の対象を拡大するとか、不安解消に努めるための原因究明について県独自の調査チームを設けるとか、何か今後の取組について考えていることはあるのか。
【理事者】
現在、PFOS及びPFOAは、水質汚濁に係る人の健康影響に関する環境基準項目ではなく、公共用水域等における検出状況等からみて、直ちに環境基準とはせず、引き続き知見の集積に努めるべきものとして要監視項目に位置づけられている。
このため、本県では、PFOS及びPFOAの存在状況について計画的に調査を行い、全県的な状況の把握に努めているところである。
今年度も、国や政令市による調査も含め、公共用水域60地点、地下水36地点の調査を予定しており、その結果についてはWeb等で公表し、県民の不安解消に努めていく。
公共用水域及び地下水の水質測定計画については、毎年、環境審議会水質部会に諮っており、有識者の意見等を伺いながら、新しい地点や継続調査、追加調査について検討していく。
さらに今年度中に、名古屋市北区にある愛知県環境調査センターにおいてPFOS及びPFOAの分析ができるよう、高速液体クロマトグラフ・タンデム質量分析計を整備して迅速に対応できるよう測定体制を強化していく予定である。
【委員】
愛知県内でも、豊山町や春日井市で検出されたことを聞くと、小牧市や春日井市の自衛隊関係の基地の周辺であることが連想される。その因果関係は明らかではないが、住民の中に不安があり、その因果関係の究明と対策の声が高まっていることは事実だと思うので、国の指示や調査に従うだけではなく、沖縄県や東京都のように地域的にそれが問題化したところは、都道府県が国に先んじて、いろいろ対策や調査を始めることが、全国的な規制につながっていくことになる。愛知県もそういう地域になってくるおそれが高いため、ぜひ積極的な先取りするような取組をするよう要望する。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年6月28日(水) 午後0時58分~
会 場 第6委員会室
出 席 者
黒田太郎、杉江繁樹 正副委員長
松川浩明、中野治美、神戸健太郎、山田たかお、杉浦正和、増田成美、
高木ひろし、鈴木 純、加藤貴志、神谷まさひろ、永田敦史 各委員
環境局長、同技監、環境政策部長、地球温暖化対策監、資源循環推進監、
関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第 81 号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第3款 県民環境費
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第81号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 文化芸術の振興及び文化財の保護について
2 青少年の健全育成及び県民・NPOとの協働の推進について
3 男女共同参画社会の形成の促進について
4 生活環境及び自然環境の保全について
5 地球温暖化対策について
6 県民文化局及び環境局の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(1件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 閉会中継続調査申出案件の決定
6 閉会中の委員会活動について
7 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
なし
《一般質問》
【委員】
地球温暖化や生物多様性の損失などの様々な環境問題は、我々の日々の生活や経済社会システムと密接に関わっている。豊かな環境を保全して将来の世代に引き継いでいくためには、持続可能な社会づくりを進めることが必要であり、その担い手となる人材育成、つまり環境学習が重要であると考えられる。
特に幼児期においては、五感を用いながら自然に直接触れ合う学習体験をすることで環境を大切にする気持ちが育まれ、大人に成長してからも環境のことを常に意識して、環境に配慮した行動を実践することが期待できる。
また、幼児期だけでなく、小中学生や高校生といった若い世代に対して、その世代に応じた環境学習を行うことが重要であると考えている。
本県においては、それぞれの世代に対して学習できるプログラムを提供していると聞いているので、それぞれの世代の環境学習について、世代別にその内容を聞きたい。
まず、未就学児童に関する環境学習として、どのような事業を行っているのか。
【理事者】
本県では、2018年3月に策定した愛知県環境学習等行動計画2030に基づき、持続可能な社会を支える行動する人づくりを目的として、世代ごとに適した内容や手法の環境学習事業を実施している。
未就学児童向けの事業としては、本県の環境学習の拠点施設の一つである、愛・地球博記念公園内のもりの学舎において、森の案内人であるインタープリターによる、もりの学舎ようちえんや、一日もりの学舎ようちえんなどの自然体感プログラムを、2016年度から実施している。
もりの学舎ようちえんは、未就学児童とその保護者を対象に、1年を通じてインタープリターと一緒に自然を体感してもらうプログラムを継続的に実施するものである。昨年度は30組を対象に計6回実施し、今年度も同様に実施することとしている。
また、一日もりの学舎ようちえんは、県内の保育園、幼稚園等を対象に、インタープリターが自然体感プログラムを実施するものである。昨年度は11団体に参加してもらい、今年度は、12団体を対象に実施することとしている。
これらの事業について、参加者からは「多くの学びがあり、家でも親子で図鑑を見たりしていた」「自然の物の感触を確かめたり、生き物の発見を喜んだりしていた」などの声を聴いている。
こうしたもりの学舎で実施する事業のほか、インタープリターが県内の保育園等の希望する場所に出向き、その場所に応じた自然体感プログラムを実施する森の伝道師派遣事業を、2016年度から実施している。昨年度は21団体にインタープリターを派遣した。今年度は、24団体を対象に実施することとしている。
そのほか、日常的に子供に接している保育士、幼稚園教諭等を対象に、保育園等で実施できる自然体感プログラムのノウハウ等を身につけてもらえるよう、子ども自然体感活動指導者養成研修を2016年度から実施している。昨年度は、2コースで各20人を対象に開催し、今年度も同様に実施することとしている。
【委員】
次に、小中学生に関する環境学習として、どのような事業を行っているのか。
【理事者】
小中学生を対象とした事業としては、本県のもう一つの環境学習の拠点施設である、環境調査センター1階のあいち環境学習プラザにおいて、環境学習講座を実施している。
この講座は2007年度から実施しており、工作や実験など参加体験型の講座で、学校の授業として活用できる内容となっている。講座の最後には、ふだんの生活でできることを発表し、学んだことを行動につなげるようにしている。昨年度は、50回開催し、1,589人の小中学生の参加があった。今年度も同様に講座を行っている。
また、夏休み及び冬休みの期間中に、あいち環境学習プラザ及びもりの学舎において、小中学生等を対象に、環境学習講座を2008年度から開催しており、昨年度は全19講座に、保護者を含め、399人の参加があった。今年度も夏休み等に実施予定である。
さらに、本県が養成した環境学習講師(あいちecoティーチャー)を小学校や環境学習施設などに派遣し、ごみや水に関する環境学習講座を2019年度から実施している。昨年度は小学校などにおいて36回講座を実施しており、受講後には「手を洗うとき、長時間水を流しっぱなしにしないように気をつける等、子供の行動に変化が見られた」などの声を聴いている。なお、ecoティーチャーは、あいち環境学習プラザにおける環境学習講座においても、講師として活動してもらっている。
このほか、もりの学舎において、小学生を対象に、もりの学舎キッズクラブを2008年度から実施している。一年を通じて森や池の中の生き物と触れ合う活動により、自然や環境の大切さを学んでもらうもので、昨年度は95人の参加があった。3月には、小学校4年生から6年生のキッズクラブのメンバーが、キッズインタープリターとなって、もりの学舎において、自ら企画した自然体感プログラムを実施している。今年度は、小学生101人を対象に実施することとしている。
【委員】
最後に、高校生に対しての環境学習として、どのような事業を行っているのか。
【理事者】
高校生を対象とした事業としては、あいちの未来クリエイト部という事業を2017年度から実施している。
この事業は、高校生が地域の環境問題を調査、研究することにより深く学び、持続可能な未来を支える人として成長してもらうともに、その成果をもとに作成した環境学習教材により、若い世代の環境に対する関心を高め、行動へとつなぐことを目的とするものである。
昨年度までの6年間で20校の高校が参加しており、作成されたボードゲームやすごろくなどの環境学習教材については、環境イベントや学習会に貸し出すなど、広く活用を図っている。
昨年度参加した高校生や顧問の先生からは「積極的な姿勢が身についた」「人前で話すことに自信が持てたように見える」などの声を聴いている。今年度については、昨年度と同数の3校の高校に参加してもらうこととしている。
【委員】
それぞれの世代に合った学習内容であることが確認できた。
また、詰め込みでなく、体験を通じて学べるというのは楽しんで学習できるので、子供たちも印象に残りやすいと思う。
幼少の頃から学習を通じて環境に触れることで意識が向上すれば、自然に環境に配慮ができる行動が取れるようになり、そういった子が増えれば、未来は変わっていくと思う。
これは未来への投資としてのすばらしい事業であるので、これからも様々な工夫をして、子供たちが興味を持てる学習内容にしてもらい、また、先ほどの答弁からも、学習に参加したい需要も多いようであるで、より多くの子供が参加できるように取り組んでもらいたい。
【委員】
愛知県では今、愛知県ごみ処理広域化・集約化計画に基づいて、各自治体がごみ処理の将来を考えながら、大型の炉をあちこちで建て替えていると聴いているが、その焼却炉は、いろいろな方式を選択している。
その中で、これまでその方式についていろいろな方針が出てきたと思うので、その点について伺う。
幾つか方式があり、現在主流となっているのはストーカ式というこれまでの一般的な焼却炉、及びガス化溶融炉というコークスをたいて高温にして、ごみを溶融してスラグにして、灰を減らすというような方式の2種類が主に使われているが、それぞれでメリット、デメリットがある。ストーカ式は一般的な焼却炉であり、話題になることは少ないが、これまで問題になってきたダイオキシンの対策や、熱の再利用などはかなり高性能化されていて、問題は減ってきている。
一方で、その問題をもっと早くから解決したのがガス化溶融炉で、ガス化溶融炉はダイオキシン対策については非常に価値が高く、灰の処分ということについてもかなり有利である。
しかし、この方式についてはコークスを大量に消費するということで、現在のカーボンニュートラルという考え方からすると、少しデメリットになっている。
まず、近年新たに整備された県内市町村のごみ焼却炉の方式についてどのようなものがあるのか。また、いつ頃整備されたのか。
【理事者】
2023年3月に公表した県の一般廃棄物処理事業実態調査において、2020年度以降に供用開始をしたごみ焼却施設は三つある。シャフト炉式ガス化溶融炉が一つ、ストーカ式焼却炉が二つとなっている。
具体的には、シャフト炉式ガス化溶融炉は、2020年度に供用開始した名古屋市北名古屋工場、ストーカ式燃焼炉は、2020年度に供用開始した名古屋市富田工場、2022年度に供用開始した知多南部広域環境センターとなっている。
【委員】
2020年供用開始ということは、計画はもう少し前のことになるので、カーボンニュートラルという観点がどの程度、この計画を進めるのに影響したかということは分かりかねるが、それぞれの方式が採用されている。
私の地元西尾市でも、愛知県ごみ処理広域化・集約化計画と整合を図り、西尾市と岡崎市と幸田町で新たな焼却炉を建設するということで進んでいる。
その中で、意見として出てくるのが、以前の計画の中に組み込まれていたのではないかと思うが、ガス化溶融炉が有効であるという意見を強く言われることがたくさんある。愛知県として、ガス化溶融炉やストーカ式焼却炉など炉の方式を採択するに当たって、この計画において目指す方針はあるのか。
【理事者】
現在の愛知県ごみ処理広域化・集約化計画の中ではそのような方針はない。
本計画の前計画である、2009年3月に見直した第2次愛知県ごみ焼却処理広域化計画においては、最終処分場の処分量を削減する観点から、1997年当時のダイオキシン問題の対処に加え、基本方針の一つとして、総合的なリサイクルの推進を掲げ、ごみ焼却施設の整備に当たっては、ガス化溶融・灰溶融処理によるスラグ化等の機能を備えることを目指していた。
その後、ごみ処理をとりまく状況が大きく変化したことを背景として、国は2019年3月に中長期的な視点を基に安定的かつ効率的な廃棄物処理体制の構築の推進を検討の上、広域化・集約化に係る計画の策定を求める通知を発出した。
2021年11月に策定した、現行の愛知県ごみ処理広域化・集約化計画では、2019年3月の国通知をもとに、ごみの排出抑制とリサイクル、廃棄物処理経費の縮減、気候変動対策の推進、災害への対応、地域への新たな価値の創出の五つの基本方針を定めており、施設整備の考え方として、これを前提に市町村等の考え方を踏まえたものとしている。
ごみ焼却施設にはストーカ式焼却炉やシャフト炉式ガス化溶融炉など様々な方式があるが、整備費用のほか、立地場所の制約や維持管理のしやすさ、市町村が最終処分場を持っているか、発生する焼却灰等の処理事情、更には発電など廃熱の活用方法など、地域の実情に応じて検討してもらうという考え方から、本計画では、ごみ焼却施設の処理方式について、県が具体的な方針を定めてはいない。
【委員】
ごみ焼却施設は多額な費用がかかる施設であり、交付金に頼らないと、整備できない施設であるが、交付金の要件はどのようになっているのか。溶融炉に関する部分があれば、その点についても教えてほしい。
【理事者】
国の交付金には循環型社会形成推進交付金があり、ごみ焼却施設については、炉の方式にかかわらずエネルギー利用等を行うことが要件となっている。この要件を満たせば、溶融炉についても対象となるものであり、炉の方式を溶融炉に限るものではない。
【委員】
いろいろ聞いていると、何か方向性を出したものではないが、過去に溶融炉で灰を溶融するために進めていたものを、今の時代になって、エネルギーの観点なのかは分からないが、あえて外してきているということを考えると、その方式でなくてもよいというメッセージとして受け取れる。
カーボンニュートラルという観点は大変重要な観点だと思うので、そういったことを今後のごみ処理広域化・集約化計画において、愛知県の中でも検討することを希望する。
続いて、水の環境について三河湾の目指す将来像も踏まえて伺う。
以前所属していた農林水産委員会で、海で取れる魚や貝が、海の栄養がないということでなかなか取れなくなってきており、何とか海を豊かな海に変えていきたいということで、農業水産局の方から、環境局へ、排水についてもう少し基準を緩めてもらえないかということを、お願いしてきた立場であったため、その立場も合わせながら質問する。
環境を大事にするということと、海を豊かにする、すなわち栄養を増やすということは相反することかもしれないが、考えてみると、高度成長が進む前の、魚もたくさん取れて環境もよかった時代というのがあり、その頃に戻れるのであれば、農業や水産業をやっている人も、環境を管理している人も、両方ともよかったということになる。
ただ、今は水質に着目をして、この水質の中にどれがどれだけあるからよい悪いという、ラインの決め方で、お互いの意見が正面からぶつかっている。
確かに数値を国も示しているため、その数値を改善することは大事であるが、その改善には、いろいろな方法がある。環境局が一番注目しているのは、下水処理場から出る水をどんどん希釈して、できるだけきれいにしていこうという考え方で、これまで進めてきている。
一方で、漁業者からすると、それを緩めてほしいという、相反することになっていた。
ただ、そうはいうものの、水を悪くしている原因というのは、海底に例えばたまっている汚泥や、そういったものから出てきているとすると、それがそこに住んでいる魚や生き物に対してどのように影響して、栄養としていけるかという観点からすると、今はなかなかそれを栄養にして成長できないようで、アサリやその他の魚も随分減っているのが現状である。
これをどのように解決していけるかということであるが、水を出して薄めていくことも、確かに方法としてはあるとは思うが、ほかの地域を見てみると、瀬戸内海の方では、出す水を薄くしたら割と早くきれいになってしまい、栄養がないということで、今度は栄養を出していくことになっている。大阪湾では、海の中を耕して、下にたまっているものを掘り起こし、それを出してみたらどうかという実験をしている。
そう考えると、瀬戸内海は水が早く流れているので、たまっているものが早く流れていってしまい、出すものを薄くすれば早く効果が得られたかもしれないが、三河港については、奥の方で簡単に水が変わるところではなく、かつ沈殿しているものが簡単に取れるところではないため、大阪湾のように海底を少し混ぜてみるとか、ほかの方法をもって水質をよくしていくということを考えるのも、一つの方法ではないか。
環境局としてどのように考えるのか。
【理事者】
三河湾の環境改善は本県の重要な課題であり、水質総量削減計画を策定し、湾に流入する汚濁負荷の削減を始め各種対策を講じている。その対策の一つとして、1970年代に大規模な用地造成等のためにしゅんせつ土砂を採取した海底の窪地が貧酸素化し、生物の生息が困難になった水域が湾奥部に確認されたため、水質改善対策として、しゅんせつ窪地の埋め戻し事業を実施している。
また、2011年3月に策定した三河湾里海再生プログラムでは、三河湾の里海再生には海域における施策が重要であることに着眼し、生物の回復や水質の改善につながる干潟・浅場の造成を600ヘクタール以上実施することを掲げており、現在、湾内での干潟等の造成も進めているところである。
今後も排出水の規制だけでなく、国や沿岸市町とも連携を図りながら関係者が一丸となって三河湾の環境改善に取り組んでいく。
【委員】
事務概要の冒頭に書いてある、環境基本計画について、第5次計画では、SDGs達成に向け、環境を原動力に経済・社会が統合的に向上する環境首都あいちの実現を目標に掲げ、環境面からのアプローチを主眼に置きつつ、経済面や社会面においても向上が図られるように取組を進めるとなっており、環境面は大事であるが、経済面や社会面も考えながら、環境のことを進めていく方針となっている。
生物が住みにくい状況がこのまま続いて、長い時間をかけて水質がきれいになったとしても、それが果たしてよいことなのかどうかが、特にSDGsという考え方からすると、ほかの方法を考えたほうが、よいのではないかと思うが、三河湾の今後の目指すべき方向性、将来像についてどう考えるのか。
【理事者】
環境局では、従来からの水質規制など陸域における汚濁負荷の削減のほか、水質総量規制基準を改定し、昨年11月から2年間、庁内関係局と連携して窒素やリンといった栄養塩をより増加させる水質保全と豊かな海の両立に向けた社会実験を行っている。
また、三河湾大感謝祭を始め、干潟や藻場で生きものを観察し、三河湾の環境や豊かさを楽しく学べる体験型のイベントなどを2012年度から実施するとともに、こうした取組を発展・定着させていくため、県民、NPO、企業、関係団体、教育機関、行政等で構成する三河湾環境再生パートナーシップクラブを2015年度に設立した。現在は設立当初の24から41団体へと増加するなど、三河湾の環境再生への機運が着実に高まっている。
環境局としては、愛知県に豊かな恵みをもたらしてくれる里海である三河湾の再生に向け、水質環境基準の達成を目標としたきれいな海と、生物多様性に富んだ豊かな海を実現し、多くの県民に親しみを持って利用してもらえる親しめる海を目指していく。
【委員】
最終目標はそこに置くとしても、時間をかけてやっているうちに片方が間に合わないということもあり得る。
ほかの地域で先進的に進めているいろいろな施策にしても、環境が違うので全く同じものが通用するわけではない。社会実験をやっており、効果が出ているという結果もあると聞いたが、それで確実にその因果関係が分かるほど、自然は甘くないところがあるため、できるだけ臨機応変に双方がうまくいくような対策を今後も進めてほしい。
【委員】
愛知県だけではなく、三重県や静岡県はどういう形でやっているのか。
愛知県だけが、取り組んでいても海はつながっているため、周りとどう協働しているのか。
伊勢湾や三河湾でも10年前と比べて、きれいになった。透明度がすごくよくなったということは、下水などを環境局がきちんと処理しているからよく分かる。
しかし、海苔はできないと聴いており、生態系が変わってきている。
そういうことも踏まえ、隣同士の県ともきちんとそういう連携を取っているのか。
【理事者】
他県との連携だが、本県では環境局が関与する協議会として、国土交通省中部地方整備局が事務局を務めている伊勢湾再生推進会議を設けており、伊勢湾の水質改善を目的とした伊勢湾再生行動計画を策定しており、陸域における負荷量の削減施策など各種の取組を行っている。三重県も社会実験の形で窒素、リンについて愛知県と同じように対策をしている。
【委員】
雨水だけでは窒素やリンはできない。三重県もそうであり、三重県の漁業組合からもよく言われるが、愛知県も静岡県も魚が獲れない。
どんどん漁業者が減っていき、愛知県、三重県及び静岡県で、本当に魚が獲れなくなるため、そういうことも踏まえ、きちんと話合いを持って、どこまで緩和ができるか考えてほしい。
山田たかお委員が言ったように、どうにかならないのかというのは、漁業者にとっては本音である。自分で行ってバルブを開けたいくらいだと漁業者と会合を開くとよく言われるし、今は浄化槽が本当に進んでおり、くみ取り便所でくみ上げたものは、河川に船が着けてあって、そこに貯めて、途中でバルブを開いて海へ垂れ流していた。それでリンなどが発生して、微生物が増えて、魚が豊富だった。
今はそういうことはないため、違った形で漁業者を助けてほしい。
【委員】
所管事項説明会でも質問したが、各地で問題になっているPFASという発がん性のある環境汚染物質について伺う。
PFASというのは数千種類の化合物の総称であり、有機フッ素化合物の総称とされており、身の回りの調理用品や、半導体製造などに幅広く利用されるようになった。
油をはじく、水をはじくという特性があり、環境中で分解されないといった特性が有用であり、工業的に利用されてきたが、これが逆に人体の中に蓄積した場合には、がんや子供の発育阻害などとの関連が心配される。
国際条約によって規制が始まった歴史は10年ほどであり、日本でも一応、製造禁止や在庫の監視は進んではいるが、はっきりとした環境基準が定められているわけではなく、暫定的なものである。
この禁止や監視体制以前に、土壌や地下水を通じて汚染が既に相当進行しており、近年、それがいろいろなところで表面化してきている。
端的には沖縄県である。沖縄県の米軍基地の周辺で、米軍が使っている泡消火剤の中に、PFOS及びPFOAが多量に含まれている。因果関係は証明されていないが、基地周辺で発見されており、住民の使う飲料水の中からも相当な量のPFOS及びPFOAが確認されているということで、かなり大きな問題になっている。
それが沖縄県だけではなくて、最近は東京都立川市の横田基地の周辺であり、基地との関連が疑われるような、国分寺をはじめとして、横田基地の周辺市町村を調べたところ、かなりの確率で環境中にPFOAが検出された。
また、さらに重要なことは、住民の血液検査をやったら、住民の血液中にも既にかなりの量の影響が確認されたということで、これは健康被害との関係がますます心配されるという事態である。
本県でも最近、豊山町や春日井市の地下水で、指針値を上回る事例があった。これが発覚してきた経緯というのは、県や水道事業者も調査しており、市民団体が大学と共同して、住民の血液検査なども自主的にやっていると聴いている。
東京都もかなり動き出しているが、愛知県としてPFOAという物質に対する監視や規制を今後どうすべきかということが問題になる。
県としての調査、監視の中で、PFOAが指針値を超過したという場所や濃度は、具体的にどの程度だったのか。そして、それが検出された原因、汚染源は一体どう考えたらいいのか。
【理事者】
有機フッ素化合物のうちPFOS及びPFOAについては、2019、2020年度に環境省が全国存在状況把握調査として調査を行っており、2020年度にこれを受けてこの物質が要監視項目に追加され暫定指針値が示された。
これを受け、本県では、2021年度から、水質汚濁防止法に基づく公共用水域及び地下水の水質測定計画における調査項目に追加した。
これらの調査では、名古屋市及び半田市内の河川、豊山町及び春日井市内の地下水で91から107.7ナノグラム毎リットルというレベルで検出され、関東、関西、沖縄等で検出されている数百から数千ナノグラム毎リットルというレベルではないものの、指針値の50ナノグラム毎リットルを超過した事例があった。
また、超過した地点の周辺において、PFOSを取り扱う事業所等の確認を行っているが、その原因の特定には至っていない。
なお、PFOS及びPFOAの使用用途は、泡消火剤の成分の一部として用いられているほか、PFOSについては半導体や金属メッキ等、PFOAについては、繊維、医療、電子基板、自動車、食品包装紙等のフッ素コーティングとして多岐にわたって使われているため、原因の特定は非常に難しいと考えている。
【委員】
環境中の公共用水域や地下水の水質をチェックするのは環境局の役目であり、県がこういう数値を全部まとめたような資料を年度ごとに出している。今、一部紹介があったように、確かに、PFOS及びPFOAという項目が一番後ろに設置されて、その関係市町村の指針値を超えた50ナノグラムを超えたところの地点はチェックをされている。
しかし、チェックしても、それが一体どこから出てきているのかということがはっきりしない。
そして、これが地下水を水道用の水源に使っているところもあるわけであり、人体に対する影響がどうなのかということも大変気になる。
健康への被害ということになると、これは所管が別の局になるかと思うが、愛知県の検査でいろいろチェックが入った以上は、その地下水を井戸水として利用している場合に、当然、健康への被害ということが懸念される。その点に関して、地下水や井戸水が水道用に利用されている箇所での県民への健康のチェックというのは、どのように対応しているのか。
【理事者】
現在、国においてPFOS・PFOAに係る水質の目標値等の専門家会議で、WHO等の動向を踏まえて毒性評価が検討されている。健康影響が明確に示されている状況ではない。
ただし、測定値が暫定指針値50ナノグラム毎リットルを超過した場合には、井戸水を摂取することによるPFOS及びPFOAへのばく露を防止するため、環境省のPFOS及びPFOAに関する対応の手引に基づき、保健医療局及び関係市と連携して、超過した井戸及びその周辺の井戸所有者に対して、井戸水の飲用を控え、水道水を使用するよう注意喚起しているところである。
【委員】
地下水をチェックする地点が幾つか決まっているわけだが、そこの中でも飲用に使っている井戸というのは、特に重要だと思う。今までの地下水の測定地点というのが県内で決まっており、それ以上に飲用に使われているような井戸水は、PFOAに関してはどうなのか。検査地点には入っていないが、飲用に使っている井戸水は、検査対象を広げて検査してみるのはどうか。
それぞれ、住民の懸念は広がっており、今後の対応が求められているが、愛知県として今後の調査の対象を拡大するとか、不安解消に努めるための原因究明について県独自の調査チームを設けるとか、何か今後の取組について考えていることはあるのか。
【理事者】
現在、PFOS及びPFOAは、水質汚濁に係る人の健康影響に関する環境基準項目ではなく、公共用水域等における検出状況等からみて、直ちに環境基準とはせず、引き続き知見の集積に努めるべきものとして要監視項目に位置づけられている。
このため、本県では、PFOS及びPFOAの存在状況について計画的に調査を行い、全県的な状況の把握に努めているところである。
今年度も、国や政令市による調査も含め、公共用水域60地点、地下水36地点の調査を予定しており、その結果についてはWeb等で公表し、県民の不安解消に努めていく。
公共用水域及び地下水の水質測定計画については、毎年、環境審議会水質部会に諮っており、有識者の意見等を伺いながら、新しい地点や継続調査、追加調査について検討していく。
さらに今年度中に、名古屋市北区にある愛知県環境調査センターにおいてPFOS及びPFOAの分析ができるよう、高速液体クロマトグラフ・タンデム質量分析計を整備して迅速に対応できるよう測定体制を強化していく予定である。
【委員】
愛知県内でも、豊山町や春日井市で検出されたことを聞くと、小牧市や春日井市の自衛隊関係の基地の周辺であることが連想される。その因果関係は明らかではないが、住民の中に不安があり、その因果関係の究明と対策の声が高まっていることは事実だと思うので、国の指示や調査に従うだけではなく、沖縄県や東京都のように地域的にそれが問題化したところは、都道府県が国に先んじて、いろいろ対策や調査を始めることが、全国的な規制につながっていくことになる。愛知県もそういう地域になってくるおそれが高いため、ぜひ積極的な先取りするような取組をするよう要望する。