委員会情報
委員会審査状況
県民環境委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年3月13日(水) 午後0時58分~
会 場 第6委員会室
出 席 者
黒田太郎、杉江繁樹 正副委員長
松川浩明、中野治美、神戸健太郎、山田たかお、杉浦正和、増田成美、
高木ひろし、鈴木 純、加藤貴志、神谷まさひろ、永田敦史 各委員
県民文化局長、県民生活部長、人権推進監、女性の活躍促進監、文化部長、
関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第 1 号 令和6年度愛知県一般会計予算
第1条(歳入歳出予算)の内
歳 出
第3款 県民環境費の内
第1項 県民生活総務費
第2項 文化学事振興費
第3項 社会活動推進費
第4項 統計調査費
第9款 教育・スポーツ費の内
第8項 大学費
第9項 私立学校費
第3条(債務負担行為)の内
女性総合センター施設設備整備工事
芸術大学施設設備整備工事
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第1号
○ 請 願
第 41 号 「小中高生の新型コロナワクチン接種後体調不良者への
合理的配慮」について(県民関係)
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第41号
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(1件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 請願審査(1件)
4 一般質問
5 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
予算に関する説明書の275ページの私立学校費のうち、(3)私立学校施設設備整備費補助金について伺う。
今回、体育館等における空調設備の整備を補助対象に追加したとあるが、補助制度の概要を説明してほしい。
【理事者】
国は、熱中症対策として、私立学校の体育館や武道場等への空調設備の整備に関する経費に対して3分の1を補助する制度を創設している。本県の補助制度は、この国の補助に加え県独自で6分の1を補助し、設置者の負担を3分の2から2分の1へ軽減することにより、空調設備の整備を促進する。
なお、国に採択されなかった場合や、国庫補助金に圧縮がかかった場合は、県費により2分の1まで補助する。ただし、県の上乗せ補助の期間は、2024年度から2026年度までの3年間としている。
また、補助対象の学校種は国の制度と合わせて、高等学校、中等教育学校、中学校、小学校、幼稚園及び専修学校としている。
【委員】
国が行っている熱中症対策として3分の1の補助に県が独自で上乗せして県が6分の1を補助した結果、設置者は3分の2の負担が2分の1の負担に軽減され、その期間は2024年度から2026年までの3か年と分かった。
一方で、県立高校への空調の整備状況は、令和4年9月1日現在で僅か3.2パーセントである。今回、4年間かけて約180億円で全ての県立高校に、体育館と武道場に空調を設置する予算も出ているわけであるが、県立高校に比べて私立高校のほうが、整備が進んでいる印象である。
そこで、私立高校の体育館や武道場への空調設備の整備状況を把握しているのであれば教えてもらいたい。
【理事者】
愛知県私学協会が昨年の12月に調査した結果では、私立高校の全171施設のうち92施設で設置されており、設置率は53.8パーセントとなっている。
【委員】
本会議の県立高校の空調整備についての一般質問の中で、大村秀章知事が県立高校の多くの体育館や武道場が市町村からの要請により避難所に指定されており、今回の空調設備の整備は避難者生活の生活環境の改善にも資するものであると答弁した。
県立高校が今回、熱中症対策だけではなく、避難所になったことも考慮して、避難所の環境をよくする目的も含めて整備を進めるのは非常によいことである。
そこで、私立高校がどれぐらい避難所に指定されているのか、本県の防災安全局の地域防災計画附属資料にある指定避難所の指定状況の一覧で数えると、2023年4月1日現在で、私立高校55校のうち避難所に指定されていたのは僅か19校だけであった。
南海トラフ地震がいつ発生してもおかしくない状況にあることを考えれば、もっと多くの私立高校も避難所に指定されるべきではないか。
そこで提案だが、今回の空調整備の補助を受ける要件に、避難所に指定されていることを追加してはどうかと思うが、県の考えを伺う。
【理事者】
この補助金は、生徒の生命と健康を守るため、熱中症対策として体育館、武道場等の空調設備の整備に補助するものであり、私立学校には少しでも早く準備してもらいたい、早期に対応してもらいたいために周知しているものである。
また、既に国から来年度の補助の募集が始まっており、学校では空調の整備に向けた準備が進んでいると思われるため、委員から避難所に指定されていることを要件に追加してはどうかと提案をもらったが、新たに要件をつけることなく補助をしていきたい。
【委員】
今のタイミングだと既に遅く、新たに厳しい要件を追加できないことは理解できた。
しかし、今回の補助で私立学校の体育館や武道場に空調設備が整備されるのであれば、今後はその体育館等が避難所にどんどん指定されてほしい。
避難所の指定は市町村が行うことであり、避難所のことに関する県の所管は県民文化局ではなく、防災安全局になると思うが、空調が整備された後の私立学校の指定避難所がさらに増えるように、私学振興室でも後押しをしてもらいたい。
《請願関係》
【委員】
県民文化局長が冒頭の挨拶で県民の全ての意見を聴いてと言ったので確認する。
現状、小学校、中学校及び高等学校で新型コロナウイルスワクチンを接種し、体調を崩して学校を休んでいる人数は把握しているのか。
【理事者】
県民文化局が所管している学校は私立学校になるが、把握をしておらず、分からないというのが現状である。
【委員】
現に体調を崩している人がいるかもしれないということか。
【理事者】
可能性としてはあるかもしれないが、断言できるものではない。
【委員】
請願が出てきたときに、ワクチンを打ったことによって学校を休んでいることや、後遺症が残っている現状をなぜ把握しないのか。
【理事者】
委員指摘の件について、現状を把握していないということで大変申し訳なく思う。
ワクチンの関係は、医学的、専門的な知見も必要なことから、県では感染症対策局が所管しているため、当局が直接把握する機会に恵まれていなかった。
一方で、何か大きな事故等があったら、私立学校から報告が上がってくるため、現状では重大な案件は聞いていない。
【委員】
これは県を挙げて、全庁できちんと調べてほしい。
特に子供たちが接種しているので、担当部局でも把握しておかないと、今後の対応ができないと思う。
《一般質問》
【委員】
最初に、外国人の相談対応について伺う。
質問の前に、一部報道等を通じて知っている人もいると思うが、私の地元の安城市役所で外国人に対して生活保護を拒否したとの記事や報道があった。あたかも安城市が生活保護制度を無視した対応をし、外国人に対して差別的扱いをしたかのような印象も持たれている。
安城市が第三者委員会を設けており、調査結果が3月15日頃に出るため、そちらが正式であるが、背景に少し触れると、安城市職員が窓口で外国人のホームレスは生活保護を受けられない旨の発言をした事実はあり、その発言は、不適切かつ正確さを欠いている。
ただし、擁護するわけではないが、今回のケースでは、当事者が住居の賃貸契約が解除され、退去しなければならない状況であり、居住地が曖昧になってしまっている状態であった。そのような状態を便宜上、ホームレスという言い方をしたとのことであり、居住実態が明確ではない中で、果たして今までと同じように生活保護ができるか疑義があったため、慎重を期すために保護ができるか分からないとしたそうである。
外国人は在留カードがあり、そこに記載された住所の自治体が生活保護関係の事務を行うため、その対応は誤っていた。
また、厚生労働省から生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置という通知があり、外国人は法の適用対象とはならないが、当分の間、生活に困窮する外国人に対しては、一般国民に対する生活保護の決定実施の取扱いに準じて、必要と認める保護を行うこととされている。要は、行うことができるではなく、行うことというかなり強い言い方になっているため、どの自治体もそれに準じて、生活保護を行っている。
安城市においても既に約40世帯、70人程度の外国人が生活保護を受給しており、さらに、この件では、安城市はその人に対して食料支援を行っている。結果として生活保護も当然出している。強制退去の後は、次の住まいが決まるまでの一時生活支援事業を適用して、ホテルを確保する人道的な配慮等も行っている。
つまり、この問題は職員が、知識、情報及び認識が少し欠ける中で、配慮を欠いた発言をしたことである。その点については反省や改善の余地はある。しかし、先ほど言ったように、明け渡し判決が出て、強制執行が迫っている世帯に通常の生活保護ができるのかとの疑義があった中での対応である。その人がたまたま外国籍であったため、外国人に対して生活保護拒否などの、人権侵害、外国人差別をしたという捉えられ方をしてしまった。安城市が決して生活保護制度を無視した対応をして申請を拒み続けた、ましてや外国人に対して差別的な扱い、人権を侵害したということではない。
このことに関して外国人の生活保護の実態を質問しよう思ったが、本委員会の所管ではないため、外国人に関する相談という切り口で、外国人の相談体制について伺う。
愛知県においては、愛知県国際交流協会内に多言語による一元的相談窓口、あいち多文化共生センターを設置しているが、どのような言語に対応しているのか、また、どのような相談がどれぐらい寄せられているのか、今年度の相談の状況と、ここ数年の推移を伺う。
併せて、愛知県内の市町村においてもそれぞれ同様に外国人の相談窓口を設置している市町村がどれぐらいあるのか。
【理事者】
あいち多文化共生センターの対応言語について、ポルトガル語、ベトナム語、中国語、フィリピン語など、県民数の多い南米やアジアの国々の言語を中心に、合計で14言語に対応している。また、今年度の相談状況だが、2月末までに3,203件の相談があった。
相談内容は、最も多いのが近隣トラブルや住居関係、出産、育児、離婚などの生活に関する相談で、全体の約5割を占めている。次いで多いのが医療、福祉に関するもので約2割、このほか、多い順に、在留、労働及び教育に関するものとなっている。
次に、相談件数の推移については、一元的相談窓口としてセンターを設置した2019年度の実績は1,912件で、以降、年々増加し、2022年度には4,011件にまで増加している。今年度は、新型コロナ関連の相談が減少しており、前年度をやや下回る水準となっている。
多言語による相談窓口を設置している市町村は、外国人が集住している地域を中心に35市町ある。窓口の運営体制は自治体ごとに差があるが、35市町のうち21市町は、外国人からの相談にワンストップで対応する常設の窓口を設置している。
【委員】
件数や状況を答弁してもらったが、今回、相談についていろいろ調べる中で、一言で相談といっても、道案内的な相談から、本当に困って解決を求める相談まで幅があることが分かった。窓口を教える、つなぐだけの相談なら、すぐに解決するとはいえ、日本語がうまく話せなくて、意思が伝えにくい人もいる。また、行政手続が複雑なものは、道案内、相談だけでなく、その後も寄り添った支援が必要である。こうした支援が必要な複雑なケースがどれぐらいあり、具体的にどのような対応をしているのか伺う。
さらに、相談でも、トラブルや困りごとなど複雑な相談は、弁護士や関係機関につなぐ、専門家等につないで解決の道筋を示すなどの支援が必要であるが、センターではどのような相談に対して具体的にどのように対応しているのか、併せて伺う。
そして、こうした相談や支援を行う上で、現状の体制に課題があるかも教えてほしい。
【理事者】
センターには相談対応を行う専門の多文化ソーシャルワーカーを配置しており、制度や手続の概要など一般的な相談はソーシャルワーカーが直接回答し、具体的な行政手続等に関するものであれば、適切な窓口を紹介するなどの対応を行っており、このような情報提供に関するものが相談のほとんどを占めている。
このほか、複雑な内容で個別に支援を行ったケースは今年度9件あり、具体的には、三者通話による通訳の支援や、市町村窓口等まで同行して通訳を行うなど、相談者に寄り添った支援を行っている。
さらに、専門知識を要する場合、弁護士相談を月2回実施しているほか、名古屋出入国在留管理局や愛知労働局の職員、消費生活相談員による専門相談も、それぞれ月1回実施している。
また、現状の体制の課題等について、多文化ソーシャルワーカーは2021年度に2人増員しており、7人体制で対応を行っているが、相談件数が増加しており、内容も複雑化している。また、相談対応を行うには幅広い知識が必要となるが、在職年数が5年以上で比較的経験豊富な者は3人のみとなっており、今後、ソーシャルワーカーの育成が課題と感じている。
【委員】
ぜひ相談体制の充実と寄り添った支援をしてもらいたい。また、ソーシャルワーカーを育成する体制の強化をこれから順次図ってもらいたい。
市町村に関しては多言語による相談窓口を設置しているのは35市町、このうち外国人からの相談にワンストップで対応する常設窓口を設置したのは21市町とのことだが、逆に言うと、設置していない19の市町村がある。そうした相談窓口がない市町村に対して、県が各種制度等をしっかりと周知してもらいたい。
相談でも、窓口につなぐような道案内的な相談と、トラブルを解決する相談がある。
私の地元の安城市もワンストップの相談をやっている。ただし、道案内的なものであり、市民課に行き手続を尋ねる程度のものは多言語でワンストップに対応する窓口はある。
ところが、困りごとの相談に関しては、一般市民と同じ生活相談となる。例えば生活相談をしに、違う窓口に行った場合、多言語対応していないため、相談する外国人が通訳を連れて行かなければならない状態であり、困りごとの相談に関しては少し弱い。これは安城市に限らず、そうした市町村が多いと思う。
ぜひ、相談の中身に寄り添った調査をしながら、本当に生活や暮らしに対しての相談が受け付けられる愛知県にしてもらいたい。
多文化共生について、偏った人は外国人優遇だと非難する。そうではなく、多文化共生は、もともと住んでいる日本人も外国人も安全に平和に暮らしやすくするために絶対必要なことである。そのため、県は支援体制や相談体制を強化するよう要望する。
議案質疑の中で、今年4月から警察手数料が従来の証紙収納からキャッシュレス収納に変わるという質問をした。県民が一般的に証紙を使うケースでは、運転免許更新やパスポート作成が多いと思う。
パスポートも、正確には有効期限が10年ならば、合計で1万6,000円であり、国の印紙は1万4,000円、県の証紙は2,000円、合計1万6,000円となる。有効期限が5年では、国の印紙は9,000円、県の証紙は2,000円、合計1万1,000円となる。その代金を窓口で支払っている。
そうした中で、国は、パスポートの電子申請の場合、クレジットカード納付を可能にすると聞いているが、県における証紙によるパスポートの手数料収納額と、全体の証紙による手数料収納額に対してパスポートの手数料の占める割合はどれぐらいなのか。また、パスポートの電子申請は、いつからどのような形で開始されるのか。
【理事者】
2022年度における愛知県全体の証紙による手数料収納額は約96億円となっている。そのうち、旅券手数料収納額は約2億円で、全体の約2パーセントとなっている。
パスポートのキャッシュレス化については、2023年3月27日、改正旅券法が施行され、旅券の電子申請が導入されたことに合わせて、電子申請の場合には、クレジットカード納付が可能となった。本県では、国の決済システムを活用し、2024年8月からクレジットカード納付の導入を予定している。
【委員】
クレジットカード納付を始めるとのことだが、国の印紙、県の証紙はどのような決済になっていくのか。
また、電子申請ができることは利便性が上がってよいことだが、現場では紙の申請が一番多いと思う。紙の申請はどうなるのか。
【理事者】
本県が利用する国の決済システムでは、国と県の手数料の合計額が決済され、その後、国と県の手数料がそれぞれの口座に分けて納付されることとなる。
紙の申請の場合は、今までどおり、印紙と県証紙による納付となる。
【委員】
国は印紙と県は証紙と分けていたものを、電子申請では一括して、有効期限が10年のものは1万6,000円が引き落とされて、その後、収納会社からそれぞれ振り分けられる。紙申請の場合は今までと同じである。
よい悪いは考え方によるが、全国的には証紙はなくなる方向にあり、すでに証紙をなくした県では、県の証紙分だけをキャッシュレス化している。
電子申請は国の制度であるため、やるかやらないか、よい悪いは別として、県としても証紙分をキャッシュレス化とするやり方ができると思うが、県としてどのように考えているのか。
【理事者】
委員の指摘のとおり、他県においては独自のキャッシュレス収納を導入している例もあるが、その場合でも、国の手数料は印紙で納付することとなる。
本県では、国において完全キャッシュレス化に段階的に取り組んでいくこととされているため、国の動向を注視していく。
【委員】
矛盾したことを言うかもしれないが、パスポートに関しては、そのほうがよいと思っている。
他県では、県の証紙2,000円分のキャッシュレス化を進めても、国の印紙分は金を払って、印紙を貼ることになる。よって、現場でキャッシュレスと印紙が混在してしまい、混乱する可能性がある。パスポートに関しては、県の証紙だけをキャッシュレス化することはメリットを感じない。愛知県のやり方でよいと思う。
それでもキャッシュレス化は進めていかなければならないため、パスポートに限らず、県全体で行政手続の電子申請が進む中で、電子申請のメリットや、やりやすさを周知、告知しながら、電子申請が進んでいく方向がよい。
パスポート申請には戸籍が必要であるが、戸籍が電子化されていない。電子申請をしても、戸籍を別に郵送するなどの手間がかかる。
電子申請は進めるべきであるが、混乱が起こる可能性が残っているため、パスポートに関してはどちらがよいのか判断が難しいが、今後は電子申請の方向に進んでいくと思う。電子化やキャッシュレス化が進む一方で、併用がよい部分もある。紙で申請し、現金で払う人もいるし、紙でやる人もいる。
そのような部分では、結局、キャッシュレスのよさは一元的ではなく、利便性であるため、選択肢が多いに越したことないことを国へ要望し、本当の利便性を高めてほしい。
【委員】
文化財の修理等に係る県の補助金について伺う。
文化財は長い歴史の中で生まれ、育まれ、今日まで守り伝えられてきた貴重な財産である。
このため、国では文化財保護法に基づいて、重要なものを国宝、重要文化財、史跡等として指定を行い、現状変更などについて一定の制限を課す一方で、保存修理等に対し補助を行うことによって、保存及び活用のために必要な各種の措置が講じられている。
また、本県でも愛知県文化財保護条例に基づいて、県内に所在する文化財のうち、県にとって重要であり、国の指定等を受けていないものを指定することで保護を図っている。
そこで、文化財の修理等に対する県の補助制度がどうなっているのかを伺う。
【理事者】
文化財の修理等について、本県では、国及び県指定文化財の保存修理、整備等に補助金を交付している。具体的には、神社仏閣などの建造物、絵画彫刻などの美術工芸品、山車などの民俗文化財の保存修理などに補助している。
補助率は、国指定文化財の場合は、修理などに要する経費に対し、まず、国が原則2分の1の補助を行っており、これに県が国庫補助対象経費の10分の1以内の上乗せ補助を行っている。
また、県指定文化財の場合は、国の補助はないが、県が原則3分の2以内で補助を行っている。
【委員】
補助金にはどれくらいの要望があり、要望に対する実績はどうなっているのか。
【理事者】
国指定、県指定ともに要望のあったものに対し、ヒアリング等を通じて文化財としての価値を維持するために必要な修理等であるかを確認し、補助対象に該当するものは全て補助をしている。
今年度の実績は、現在、事業報告書を確認中であり、交付決定時点の状況になるが、国指定文化財では、建造物8件、美術工芸品4件、民俗文化財2件、史跡1件の計15件で、補助金の総額は、国の補助金が4億5,834万9,000円、県の上乗せ補助分が4,148万8,000円となっている。
また、県指定文化財は、建造物3件、美術工芸品3件、民俗文化財1件の合計7件で、県の補助金は総額3,356万8,000円となっている。
【委員】
所有者から補助の要望がある文化財の修理については、補助対象に該当するものは全て補助をしていることは理解した。
補助金には当然ルールがあるが、所有者の人々が適切に文化財を保存してもらえるよう、引き続き要望をよく聞いて支援をしてもらうことをお願いする。
続いて、青少年のネット上の犯罪被害について伺う。
本県では、年間100人以上の青少年がSNSに起因する犯罪被害に遭っており、SNS上で知り合った相手からだまされる、脅されるなどして、自分の裸体の撮影画像等を送らされる自画撮り被害や、SNSにおける誹謗中傷など、深刻な問題が多発している。
一方、内閣府の2022年度の調査によれば、青少年のフィルタリング利用率は40パーセント未満と、いまだ低い水準にとどまっている。
県はこのような状況に対応するため、どのような取組を実施しているのか。
【理事者】
近年のスマートフォン等の急速な普及に伴い、SNS等に起因する被害児童数は高止まりしている状況であるため、インターネットの危険性やフィルタリングの必要性を周知し、家庭でのルールづくりを支援するため、講師派遣型の講座である、青少年のネット安全・安心講座~みんなのネットモラル塾~を開催している。
みんなのネットモラル塾では、テキストやパワーポイントを使用した講義のほか、グループディスカッションやロールプレイングによるワークショップなどを実施し、青少年が巻き込まれやすいインターネットのトラブルや、その危険性について学び、インターネットの適正利用や、被害を未然に防ぐための理解を深めている。
【委員】
本年度のみんなのネットモラル塾の開催状況はどうか。
【理事者】
2024年1月末時点で、県内37市町村において207講座を開催し、2万3,104人に受講してもらっている。
講座の内訳は、学校主催のものが194講座で、そのほかにPTA等主催のものが13講座となっており、保護者、教職員及び児童生徒などに参加してもらっている。
【委員】
みんなのネットモラル塾について、今後どのような取組を行っていくのか。
【理事者】
今後は、自画撮り被害や薬物の過剰摂取であるオーバードーズなど、特に社会的に深刻な問題となっている事案について、県警察と合同で重点的に啓発する講座を実施していく。
また、本講座では、講座を受講した保護者や児童生徒等が自宅においても講座で学んだ内容を復習するとともに、家庭でのルールについて話し合うことができるテキストを配布しており、来年度はさらに最新の情勢を盛り込むなど、内容の充実を図っていきたい。
【委員】
被害に遭う青少年が一人でも減るように、引き続きしっかり取り組んでもらいたい。
【委員】
女性の活躍促進に向けた取組の促進について伺う。
世界経済フォーラムが昨年6月に発表した男女格差の現状報告2023によると、日本のジェンダーギャップ指数は146か国中125位と、女性の地位はまだ低いままである。報告書で、ジェンダーの公正さは、世界的に見てコロナ禍以前の水準に回復しているが、進展のペースは鈍化していると指摘されている。このペースでジェンダーギャップをなくすためには今から131年かかり、世界全体での男女平等の達成は2154年になるだろうと警鐘を鳴らしている。
先日、3月8日の国際女性デーに合わせて、都道府県版ジェンダー・ギャップ指数が公表された。政治、行政、教育、経済の4分野の全国順位が発表されたが、愛知県は経済分野の全国順位が29位と、4分野の中では最も順位が低くなっている。都道府県版ジェンダー・ギャップ指数の結果、特に経済分野での順位が最も低いことについて、県としてどのように考えているか。
【理事者】
都道府県版ジェンダー・ギャップ指数は、3月8日の国際女性デーに合わせて、上智大学の三浦まり教授らがつくる地域からジェンダー平等研究会が発表しているものであるが、経済分野の順位は、就業率の男女差、フルタイムの仕事に従事する男女間の賃金格差、企業や法人の役員・管理職の男女比などの七つの指標を用いて算出されている。
本県の場合、そのうちのフルタイムの仕事に従事する男女間の賃金格差の指標が全国42位と、経済分野の指標の中で最も順位が低くなっている。このフルタイムの仕事に従事する男女間の賃金格差が生じる主な要因としては、本県の男性労働者の賃金水準が全国的に見ると高いことや、管理職に占める女性の割合が低いことがあると考えている。
2022年度の総務省の就業構造基本調査の結果によると、本県における管理的職業従事者に占める女性の割合は14.4パーセントと、全国平均の15.3パーセントを下回っており、そうした状況を改善していく必要がある。
【委員】
経済分野という観点では、昨今、日経平均株価が史上最高値をつけた中、各企業の収益が過去最高というところも少なくない。一方で、今後のさらなる成長を考えた際、世界との競争は避けて通れず、人口減少、労働力不足が確実な中、競争力をつけるには、多様性と女性の活躍が不可欠となってくる。
また、企業への投資に重要な役割を持つ機関投資家にとって、投資先の多様性は運用リターンに直結する重要なファクターとされている。注目点は会社の将来性であり、世代を超えて成長する会社を選ぶ際、女性に代表される多様性は欠かせない視点である。
実際、女性役員の比率が高い企業の総資産利益率(ROA)は高い傾向にあり、効率的に利益を稼いでいるという日経新聞の調査も出ている。旧来型の企業、いわゆるジャパニーズ・トラディショナル・カンパニーへの郷愁では、令和のグローバル競争は既に勝ち抜けない状態となっている。
女性の管理職への登用率が低いとのことだが、女性の管理職登用を進めるために、これまでいろいろ取り組んできたと思う。企業における女性の管理職登用がなかなか進まないのは、何が原因と考えているのか。
【理事者】
本県で企業における女性の管理職登用がなかなか進まない要因は、本県では製造業が盛んであるが、もともと女性の従業員が少なく、近年は各企業が女性の採用に取り組んでいるものの、管理職の候補となる女性はまだ少ないこと、本県では結婚、出産後は非正規で勤務をする女性が多いこと、本県では固定的な性別役割分担意識が根強く、家事、育児の負担が女性に偏っているため、女性が責任の重い管理職への登用を敬遠することなどがあると考えている。
【委員】
女性の社会における活躍には、まだ大変大きな余地がある一方で、男性の働き方、家事・育児進出もキーポイントになってくる。
県は、男性従業員が育児休業を取得した中小企業に対し奨励金を出す中小企業男性育児休業取得促進奨励金を昨年9月から設け、予算根拠として605件の申請想定に対し、2月時点で558件の申請と、92パーセントの申請率になっている。
制度のほか、県は企業に対し、研修などを通して様々な働きかけをしているが、今後、その内容も問われてくると思う。
例えば、男性育休取得奨励金制度自体は育休を取らせるように企業に仕向ける制度だが、最終的な目的は違うはずである。本当の目的は、限られた期間のみの家庭内での男性による育児参加ではなく、男性が育休終了後も仕事をやりくりしながら、家事、育児に積極的に参加する意識をつけることや、女性の家事・育児負担軽減や復職後も社会で活躍できる環境を整えることである。そこにつながらない、取るだけ休暇だと、母親の育児ストレスが増大する危険性もある。育休中に何をしたらよいか、事前にイメージできる内容を研修に入れ込むことは検討に値する。
このことは私も意見交換をする中で、産前産後ケアに従事する人々から、会社内でぜひやってほしい内容としてよく聞く。答弁にも出てきたが、家事、育児の負担が女性に偏っていることが女性の社会進出、活躍を滞らせる大きな要因である。
近年、いろいろな制度が整備されてきているが、まだその制度に対する企業側の意識、特に男性の意識が低いとの声をよく聞く。企業における男性の意識を変えるために、今後どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
企業における男性の意識を変える取組としては、まずは組織のトップである経営者の意識改革が重要であると考えている。現状、男性が多い経営者に女性活躍の重要性を理解してもらうため、毎年、県内の経営者などを対象にあいち女性の活躍促進サミットを開催しており、昨年11月のサミットでは、男性社員の育児休業取得100パーセントを達成した積水ハウス株式会社の山田実和執行役員に、育児休業制度を男性社員が取得しやすいようにした取組等について講演をしてもらった。
また、本県では、企業が管理職や男性社員の意識改革のための社内研修を企画した際に、社会保険労務士やキャリアコンサルタントなどの専門家を無料で活用できるよう、女性の活躍促進コーディネーター派遣事業を行っており、これまで494社に対して派遣している。
今後もこうした取組を続けていくことに加えて、来年度からは公益財団法人あいち男女共同参画財団や愛知県経営者協会と連携して実施している管理職向けワークショップの内容の充実を図り、職場環境だけでなく、家庭における男性の家事や育児への積極的な参画を促すことを内容とする、女性活躍のための環境支援セミナーとして開催していく予定である。
こうした事業を実施するとともに、牧野利香副知事をリーダーとする女性の活躍促進プロジェクトチームに参加する各局と連携して各種事業を進めることで、男性の意識が変わり、男性の家事、育児への参画がより一層進むよう、県庁全体でしっかり取り組んでいきたい。
【委員】
最後に要望させてもらうが、二つほど、まず紹介をしたいことがある。
一つ目は、丸井グループ、青井浩社長の「日本は男らしく、女らしくという性別のバイアスが強過ぎて、女性だけではなく、男性でも息苦しさを感じている人が多い。社会で活躍する女性が増えれば、稼がなければという男性のプレッシャーを弱め、幸福度を高めることにつながると思う。社員をはじめとした人々のウェルビーイング改善に向け、企業が果たす役割は大きいと思う。」というコメントである。
二つ目は、京都大学の研究結果で、0歳から4歳児を育てる母親339人を対象に、育児にまつわるストレスと身体の症状、腸内細菌の状態を調査し、その関連性を明らかにした結果、腸内細菌は多様性が高いほうが心身の状態が良好と言われているが、育児ストレスが高い状態の母親は、腸内細菌の多様性が低かったとの調査結果が出た。母親が育児ストレスをため込む原因は極力低減、排除されるべきである。男性の育休取得が母親がストレスをため込む原因となっては本末転倒である。
現在、社会保障制度の前提条件になっている専業主婦の妻がいる男性は、共働きが当然となっている今ではシステムが既に破綻している。画一性、単一性をベストとせず、多様性を認めていくべきである。
そういった意味でも、男性の意識だけでなく、女性自身も抱えるアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を変えて、育児や家事分担などに男性がより積極的に参加していくことや、女性にも重責を任せる男性側の勇気も重要である。
また、この取組は、10年後、20年後に今の子供たちが社会に出た際の労働環境の地ならしとも考えることができる。文化的・精神的構造は数年で変わることはなく、10年単位での時間が必要な場合もある。
男性の育児休業取得促進に関しては今日の新聞にも出ていたが、取得率の目標設定と実績公表を企業規模従業員300人超に義務づけを行うとする育児・介護休業法などの改正案を政府は提出したばかりである。
女性の活躍促進プロジェクトチームの旗振り役である県民文化局が、関係する労働局や福祉局にも積極的に働きかけて、男性の意識が変わり、女性がより働きやすい職場環境につながり、連鎖的に男性も働きやすくなる事業が実施されることを強く要望する。
【委員】
あいち県民の日について伺う。
あいち県民の日は2022年12月に条例が制定され、昨年11月27日に条例制定後初めての県民の日を迎えた。県では、あいち県民の日を迎えるまでの1週間をあいちウィークとして、県内各地で市町村や民間事業者と連携しながら、県民の日にふさわしい様々な事業を450件ほど実施したと聞いている。
さらに、あいちウィークの中でそのうち1日を学校休業日とする県民の日学校ホリデーが県教育委員会において創設され、昨年はカレンダーの関係で、11月24日の金曜日に約9割の県内の学校が休みになった。
そこで質問するが、県民の日を制定する地方自治体は、本県を含めて全国に19あるが、そのうち、県民の日を学校休業日にしている県はどれだけあるのか。また、本県の県民の日学校ホリデーのように、県民の日を含む一定期間のうちで学校休業日を設定する制度は他県にはあるのか。
【理事者】
他の自治体における県民の日については、愛知県を含め、全国で19の都道府県で制定されており、そのうち、公立学校が休業となるのは東京都、茨城県、埼玉県、千葉県、群馬県及び山梨県の6都県である。
なお、本県の県民の日学校ホリデーのように、県民の日を含む一定の期間のうちの1日を学校休業日に設定する制度は、他県にはない本県独自のものである。
【委員】
県民の日に公立学校が休みになる自治体は全国で六つあり、本県の県民の日学校ホリデーのように、学校休業日を一定期間の中で設定する自治体は愛知県だけである。
私も初めて県民の日を迎えるに当たり、働く母親たちから意見をもらった。それは、県民の日学校ホリデーで子供は学校を休みになったのに、職場は休みにならない。職場が休みにならないのは仕方がないにしても、職場に県民ホリデーの理解が乏しいので、有給休暇の申請すらしにくいというものであった。
県民の日学校ホリデーは、できれば家族が一緒に過ごして、愛知県民であってよかった、愛知県にはこんな魅力があるのだと改めて感じてもらうことこそがホリデーの目指す姿だと思う。もちろん、仕事の内容により休めない人も多数いるだろうが、少なくとも会社が県民の日学校ホリデーのことをあまり理解しておらず、休暇を申請しにくい状況だけは改善していかなければならない。
県民の日学校ホリデーにおける保護者の休暇取得促進について、県民文化局として今後どのように取り組むのか。
【理事者】
今月5日に公表したあいち県民の日・あいちウィーク等に関する県民意識調査によれば、県民の日学校ホリデーの対象の子がいる人で休暇等を取らなかった人は、その理由として、シフト制になっていて休みが取れなかった、勤務先がふだんから休みが取りづらいといった意見が多数あった。
こうした調査結果について県民文化局としては、庁内連絡会議等を通じて関係局とも課題認識を深め、保護者の休暇取得促進に向けて連携して取り組んでいきたい。
具体的には、来年度も引き続き経済産業局や労働局と連携し、あらゆる機会を捉えて、あいちウィークに協力してもらえる民間事業者や愛知県休み方改革イニシアチブ賛同企業に対し、県民文化局としても、従業員の休暇取得促進を働きかけていきたい。
【委員】
県民の日学校ホリデーに合わせて有給休暇が取得できるよう、関係局から商工団体や企業等に通知、案内を出してもらえるよう、県民文化局からぜひ働きかけてもらいたい。
一方で、県民の日学校ホリデーの日に保護者が休めない家庭もあると思うので、そのような家庭の子供たちに向けた対応も必要になってくる。県民の日学校ホリデーにおける仕事を休めない家庭の子供たちのため、どのように取り組むのか。
【理事者】
県民文化局としては、今年度、県民の日にふさわしい事業の実施を市町村や民間事業者にお願いする中で、子供たちだけでも利用、参加できるような施設の開放やイベントの実施についても協力を依頼してきた。
民間事業者によるあいちウィーク協賛事業の中には、県民の日学校ホリデーに開設する子ども食堂を対象に、福祉局と連携して民間事業者から無償で提供してもらったお米等の食材を贈り、子供の居場所づくりの一助とした事業もあった。
来年度も、仕事を休めない家庭の子供たちに向けて、福祉局や教育委員会と連携して、様々な取組をしっかりと推進していきたい。
【委員】
最後に要望する。
私は、この制度を何とか浸透させていきたいと思っている。
その上で、県民や企業にあいち県民の日と県民の日学校ホリデーの関係が正しく理解されていないという大きな課題に気がつかなければならない。県民の日学校ホリデーという名称から、学校休業日があいち県民の日であるかのように思っている人が多く、例えば、11月24日が県民の日学校ホリデーであった市町村では、11月24日が県民の日だと言った人が多くいた。
なぜこのようなことになるのか。私は、この県民の日学校ホリデーというネーミング自体に問題があると思う。冒頭にお聞きした県民の日自体が学校ホリデーとなる他の六つの県であるのならばともかく、愛知県は県民の日と学校ホリデーが同じではないため、県民の日学校ホリデーという名称ではなく、あいち学校ホリデーというような呼び方はどうか。
こうすれば、あいち県民の日、あいちウィークと同じように、頭に平仮名であいちとつくことで並べて説明しやすいし、聞くほうも分かりやすいと思う。これは教育委員会の所管と言われるかもしれないが、県民文化局から教育委員会に対して名称の変更も含めて県民に正しく理解していただけるよう、PRに努めてもらいたい。また、休暇が取得しやすいように、経済産業局や労働局に働きかけもお願いしたい。
県民にしてみたら、所管部署は関係なく、この制度を受け入れたいと思っている。そのため、条例の所管部署として、県庁の中で横断的なリーダーシップを発揮してもらうことを要望する。
【委員】
私からは、愛知県ファミリーシップ宣誓制度について伺う。
これは本年4月から、もう間もなく制度を運用、開始しようとしており、当初検討された条例改正によるものではなく、要綱によってこの制度を運用していくため、愛知県議会において具体的な議論、認識を深める最後のチャンスかと思うので、改めて質問する。
まず、ファミリーシップ宣誓制度についての具体的運用、総括的には県民文化局長から本会議でも話があったが、なるべく具体的に、どのようにファミリーシップを宣誓してもらい、運用していくのかについて伺う。
【理事者】
愛知県ファミリーシップ宣誓制度の内容については、愛知県人権施策推進審議会で審議しており、3月14日開催の第4回審議会で最終案を審議する予定となっているため、現時点の案となるが、まず、安心して宣誓もらえるよう、性的少数者の望まないカミングアウトを防ぐため、原則、日程等を事前調整の上、個室等で対応する予定である。その際、宣誓者との連絡調整等のやり取りも、プライバシー保護のため、人権推進課の所属メールではなく、限られた職員しか閲覧、利用できない専用メールアドレスで行う予定である。
また、宣誓方法は、対面での宣誓に加えて、オンライン宣誓も可能としている。
ただし、オンライン宣誓の場合は、あらかじめ必要書類を郵送で提出もらうこととしている。
宣誓を受理した後は、A4サイズの受理証明書を発行するとともに、持ち運びに便利なようにカード型の証明書も発行する。
このほか、パートナーが離れて暮らすケースもあることから、宣誓者のいずれか一方が県内に住所を有し、または県内への転入を予定していれば、同居していなくても対象とするなど、制度利用者の利便性や安心感に配慮した運用をしていきたい。
【委員】
本県がこの制度を運用する前提として、愛知県内では、同様のパートナーシップ制度やファミリーシップ制度を既に導入済みの市町村は28ある。カバーしている人口に換算すると、愛知県民の過半数の県民が既にパートナーシップないしはファミリーシップの制度の運用がされておる自治体の下で暮らしている。この上に、新たに愛知県全体を視野に置いた本県の制度が重なってくるわけであるため、相互関係についてもう一度確かめたい。
パートナーシップ、夫婦に準じるような、同性、異性にかかわらず、パートナーの場合に対して、その子供を含めた近親等の家族も家族に準ずる扱いができるようにする本県の宣誓制度のほうがパートナーシップだけよりも広いので、既に導入済みの愛知県の市町村が持っている制度と重なってくる。
そこで、既に導入済みの自治体において既に宣誓している人は、どれぐらいいるのか県が把握していたら教えてほしい。
宣誓を既にした人々にとっては、県のファミリーシップ宣誓制度を利用する場合に、新たに県に対して宣誓をしなければならないのか、それとも、従来の宣誓を既に市町村に対してやっているため、それがそのまま県の宣誓にも適用され、県の宣誓もしたと扱われるのか。
【理事者】
既に導入済みの市町村のパートナーシップ制度あるいはファミリーシップ制度を利用している人については、県の制度も宣誓して申請することが可能になっているため、両方の宣誓をすることが可能となっている。
市町村の宣誓制度を利用している人が県のサービスを利用できるかについては、今、相互利用ができるように調整を図っているが、基本的には、市町村で宣誓をしている人は、県で利用できる行政サービスも利用できるよう調整をしている。
【委員】
既に市町村でパートナーとしての宣誓済みの人が、例えば県営住宅の入居申込みをしようとする場合には、今まで市の宣誓をしていなかった人と同様に、改めて県の宣誓についても手続をしなければならないのか。市で同じような宣誓が既に行われているため、自動的に県の制度でも宣誓したことと同じように扱わなければ、面倒であり、いろいろなプライバシーの問題にも気を遣う宣誓の手続を二度も取らなくても済むと当事者から言われた。
それでも、宣誓は手続上、一からやらなければならないのか。
【理事者】
市町村で既に宣誓している人は、県で同様のサービスを利用できるように、今、関係課室と調整している。例えば県営住宅では、市で宣誓した人は、県で宣誓した人と同様に利用できるよう調整している。
【委員】
もう一つ、私が聞く限りでは市町村が宣誓制度を使って受け付けているが、その宣誓者というのは必ずしも多いわけではない。その理由として、世間の目を非常に気にしながら生きているカップルや家族にとって、あえて公の認証を受けることに対するためらいがある。
認証を受けることで、家族としていろんな県の制度が利用できるようになるメリットはあるが、あえて周りの人に同性カップルであると知られるリスクを冒してまで宣誓することは、ためらう人もきっと多い。
そういう意味で、大村秀章知事の答弁にあったとおり、県の制度ができたこと自体が、周りの目を気にして、肩身の狭い思いをしながら、世を忍んで暮らすのではなく、堂々と生きてよいというメッセージにもなる。一方で、この宣誓制度を受けることによって、利用できる制度はどのようなものがあるのか。例示で示されている、例えば県営住宅に申し込める、あるいは県立病院において同意や説明を受けることができる程度の話だと、メリット感は十分ではない。
例えば、夫婦や家族と正式には認められていないことで不利益を被っていることは、社会には山ほどある。例えば携帯電話の家族割や、銀行等金融機関における家族カード、あるいは、保険の受取人としての家族の範疇に当てはまるかなどが挙げられる。県が宣誓制度を設けたことにより、問題は県自身の制度をこの趣旨に沿って見直すことはもちろんだが、これを民間企業や導入済みでない市町村にどのように及ぼしていくのかが非常に大事である。
県民文化局長の答弁でも、民間団体や経済団体などに要望していくとは言っているが、もう少し具体的なアプローチをしてほしい。宣誓制度が広がることで、普通の夫婦や家族と同じように利用していけるというメリット感が増大すると思うが、県としてどう考えるか。この制度の適用を広げていくために具体的に考えていることはあるか。
【理事者】
まず、市町村に対してもこの制度を説明しており、公営住宅の入居などの行政サービスについても、現制度を利用している人が同様に県のサービスを受けられるよう依頼している。
また、民間のサービスについても、委員指摘のとおり、携帯電話の家族割、生命保険の受取人の指定や金融機関のローンなど、いろいろな事例が考えられるため、具体的には、来年度、ファミリーシップ制度のチラシ、パンフレットを作り啓発をするとともに、企業や関係団体に対して、周知及び協力の呼びかけをしていきたい。
【委員】
同性カップルや事情があって法律上結婚や家族に正式にはなれない人が、堂々と世の中で生きていいんだよというメッセージが伝わるように、今まで利用できなかった県の制度が、利用できるようにする。あるいは、民間企業をはじめとした様々なサービスに対して、県からお願いし、協力してもらえる企業は県側から広報するなどして、民間企業にそのような取組を促すような、特にネットを通じた情報の提供をお願いしたい。
また、家族、あるいは婚姻のカテゴリーが、日本では古くからの慣習的な考え方が根強くあるため、明治時代以来の旧民法が基本的に変わっていない。将来的には、同性婚も含めて、国における民法を含めた制度全体がこういう生き方にも対応したもの、多様性を認めるものに変わっていく必要がある。
県の取組は内外に与える影響も大きいため、その意義や、さらにその先の日本版PACSを国で導入してもらえるよう、民法の改正の議論にも資する形での取組を特にお願いしたい。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年3月13日(水) 午後0時58分~
会 場 第6委員会室
出 席 者
黒田太郎、杉江繁樹 正副委員長
松川浩明、中野治美、神戸健太郎、山田たかお、杉浦正和、増田成美、
高木ひろし、鈴木 純、加藤貴志、神谷まさひろ、永田敦史 各委員
県民文化局長、県民生活部長、人権推進監、女性の活躍促進監、文化部長、
関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第 1 号 令和6年度愛知県一般会計予算
第1条(歳入歳出予算)の内
歳 出
第3款 県民環境費の内
第1項 県民生活総務費
第2項 文化学事振興費
第3項 社会活動推進費
第4項 統計調査費
第9款 教育・スポーツ費の内
第8項 大学費
第9項 私立学校費
第3条(債務負担行為)の内
女性総合センター施設設備整備工事
芸術大学施設設備整備工事
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第1号
○ 請 願
第 41 号 「小中高生の新型コロナワクチン接種後体調不良者への
合理的配慮」について(県民関係)
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第41号
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(1件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 請願審査(1件)
4 一般質問
5 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
予算に関する説明書の275ページの私立学校費のうち、(3)私立学校施設設備整備費補助金について伺う。
今回、体育館等における空調設備の整備を補助対象に追加したとあるが、補助制度の概要を説明してほしい。
【理事者】
国は、熱中症対策として、私立学校の体育館や武道場等への空調設備の整備に関する経費に対して3分の1を補助する制度を創設している。本県の補助制度は、この国の補助に加え県独自で6分の1を補助し、設置者の負担を3分の2から2分の1へ軽減することにより、空調設備の整備を促進する。
なお、国に採択されなかった場合や、国庫補助金に圧縮がかかった場合は、県費により2分の1まで補助する。ただし、県の上乗せ補助の期間は、2024年度から2026年度までの3年間としている。
また、補助対象の学校種は国の制度と合わせて、高等学校、中等教育学校、中学校、小学校、幼稚園及び専修学校としている。
【委員】
国が行っている熱中症対策として3分の1の補助に県が独自で上乗せして県が6分の1を補助した結果、設置者は3分の2の負担が2分の1の負担に軽減され、その期間は2024年度から2026年までの3か年と分かった。
一方で、県立高校への空調の整備状況は、令和4年9月1日現在で僅か3.2パーセントである。今回、4年間かけて約180億円で全ての県立高校に、体育館と武道場に空調を設置する予算も出ているわけであるが、県立高校に比べて私立高校のほうが、整備が進んでいる印象である。
そこで、私立高校の体育館や武道場への空調設備の整備状況を把握しているのであれば教えてもらいたい。
【理事者】
愛知県私学協会が昨年の12月に調査した結果では、私立高校の全171施設のうち92施設で設置されており、設置率は53.8パーセントとなっている。
【委員】
本会議の県立高校の空調整備についての一般質問の中で、大村秀章知事が県立高校の多くの体育館や武道場が市町村からの要請により避難所に指定されており、今回の空調設備の整備は避難者生活の生活環境の改善にも資するものであると答弁した。
県立高校が今回、熱中症対策だけではなく、避難所になったことも考慮して、避難所の環境をよくする目的も含めて整備を進めるのは非常によいことである。
そこで、私立高校がどれぐらい避難所に指定されているのか、本県の防災安全局の地域防災計画附属資料にある指定避難所の指定状況の一覧で数えると、2023年4月1日現在で、私立高校55校のうち避難所に指定されていたのは僅か19校だけであった。
南海トラフ地震がいつ発生してもおかしくない状況にあることを考えれば、もっと多くの私立高校も避難所に指定されるべきではないか。
そこで提案だが、今回の空調整備の補助を受ける要件に、避難所に指定されていることを追加してはどうかと思うが、県の考えを伺う。
【理事者】
この補助金は、生徒の生命と健康を守るため、熱中症対策として体育館、武道場等の空調設備の整備に補助するものであり、私立学校には少しでも早く準備してもらいたい、早期に対応してもらいたいために周知しているものである。
また、既に国から来年度の補助の募集が始まっており、学校では空調の整備に向けた準備が進んでいると思われるため、委員から避難所に指定されていることを要件に追加してはどうかと提案をもらったが、新たに要件をつけることなく補助をしていきたい。
【委員】
今のタイミングだと既に遅く、新たに厳しい要件を追加できないことは理解できた。
しかし、今回の補助で私立学校の体育館や武道場に空調設備が整備されるのであれば、今後はその体育館等が避難所にどんどん指定されてほしい。
避難所の指定は市町村が行うことであり、避難所のことに関する県の所管は県民文化局ではなく、防災安全局になると思うが、空調が整備された後の私立学校の指定避難所がさらに増えるように、私学振興室でも後押しをしてもらいたい。
《請願関係》
【委員】
県民文化局長が冒頭の挨拶で県民の全ての意見を聴いてと言ったので確認する。
現状、小学校、中学校及び高等学校で新型コロナウイルスワクチンを接種し、体調を崩して学校を休んでいる人数は把握しているのか。
【理事者】
県民文化局が所管している学校は私立学校になるが、把握をしておらず、分からないというのが現状である。
【委員】
現に体調を崩している人がいるかもしれないということか。
【理事者】
可能性としてはあるかもしれないが、断言できるものではない。
【委員】
請願が出てきたときに、ワクチンを打ったことによって学校を休んでいることや、後遺症が残っている現状をなぜ把握しないのか。
【理事者】
委員指摘の件について、現状を把握していないということで大変申し訳なく思う。
ワクチンの関係は、医学的、専門的な知見も必要なことから、県では感染症対策局が所管しているため、当局が直接把握する機会に恵まれていなかった。
一方で、何か大きな事故等があったら、私立学校から報告が上がってくるため、現状では重大な案件は聞いていない。
【委員】
これは県を挙げて、全庁できちんと調べてほしい。
特に子供たちが接種しているので、担当部局でも把握しておかないと、今後の対応ができないと思う。
《一般質問》
【委員】
最初に、外国人の相談対応について伺う。
質問の前に、一部報道等を通じて知っている人もいると思うが、私の地元の安城市役所で外国人に対して生活保護を拒否したとの記事や報道があった。あたかも安城市が生活保護制度を無視した対応をし、外国人に対して差別的扱いをしたかのような印象も持たれている。
安城市が第三者委員会を設けており、調査結果が3月15日頃に出るため、そちらが正式であるが、背景に少し触れると、安城市職員が窓口で外国人のホームレスは生活保護を受けられない旨の発言をした事実はあり、その発言は、不適切かつ正確さを欠いている。
ただし、擁護するわけではないが、今回のケースでは、当事者が住居の賃貸契約が解除され、退去しなければならない状況であり、居住地が曖昧になってしまっている状態であった。そのような状態を便宜上、ホームレスという言い方をしたとのことであり、居住実態が明確ではない中で、果たして今までと同じように生活保護ができるか疑義があったため、慎重を期すために保護ができるか分からないとしたそうである。
外国人は在留カードがあり、そこに記載された住所の自治体が生活保護関係の事務を行うため、その対応は誤っていた。
また、厚生労働省から生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置という通知があり、外国人は法の適用対象とはならないが、当分の間、生活に困窮する外国人に対しては、一般国民に対する生活保護の決定実施の取扱いに準じて、必要と認める保護を行うこととされている。要は、行うことができるではなく、行うことというかなり強い言い方になっているため、どの自治体もそれに準じて、生活保護を行っている。
安城市においても既に約40世帯、70人程度の外国人が生活保護を受給しており、さらに、この件では、安城市はその人に対して食料支援を行っている。結果として生活保護も当然出している。強制退去の後は、次の住まいが決まるまでの一時生活支援事業を適用して、ホテルを確保する人道的な配慮等も行っている。
つまり、この問題は職員が、知識、情報及び認識が少し欠ける中で、配慮を欠いた発言をしたことである。その点については反省や改善の余地はある。しかし、先ほど言ったように、明け渡し判決が出て、強制執行が迫っている世帯に通常の生活保護ができるのかとの疑義があった中での対応である。その人がたまたま外国籍であったため、外国人に対して生活保護拒否などの、人権侵害、外国人差別をしたという捉えられ方をしてしまった。安城市が決して生活保護制度を無視した対応をして申請を拒み続けた、ましてや外国人に対して差別的な扱い、人権を侵害したということではない。
このことに関して外国人の生活保護の実態を質問しよう思ったが、本委員会の所管ではないため、外国人に関する相談という切り口で、外国人の相談体制について伺う。
愛知県においては、愛知県国際交流協会内に多言語による一元的相談窓口、あいち多文化共生センターを設置しているが、どのような言語に対応しているのか、また、どのような相談がどれぐらい寄せられているのか、今年度の相談の状況と、ここ数年の推移を伺う。
併せて、愛知県内の市町村においてもそれぞれ同様に外国人の相談窓口を設置している市町村がどれぐらいあるのか。
【理事者】
あいち多文化共生センターの対応言語について、ポルトガル語、ベトナム語、中国語、フィリピン語など、県民数の多い南米やアジアの国々の言語を中心に、合計で14言語に対応している。また、今年度の相談状況だが、2月末までに3,203件の相談があった。
相談内容は、最も多いのが近隣トラブルや住居関係、出産、育児、離婚などの生活に関する相談で、全体の約5割を占めている。次いで多いのが医療、福祉に関するもので約2割、このほか、多い順に、在留、労働及び教育に関するものとなっている。
次に、相談件数の推移については、一元的相談窓口としてセンターを設置した2019年度の実績は1,912件で、以降、年々増加し、2022年度には4,011件にまで増加している。今年度は、新型コロナ関連の相談が減少しており、前年度をやや下回る水準となっている。
多言語による相談窓口を設置している市町村は、外国人が集住している地域を中心に35市町ある。窓口の運営体制は自治体ごとに差があるが、35市町のうち21市町は、外国人からの相談にワンストップで対応する常設の窓口を設置している。
【委員】
件数や状況を答弁してもらったが、今回、相談についていろいろ調べる中で、一言で相談といっても、道案内的な相談から、本当に困って解決を求める相談まで幅があることが分かった。窓口を教える、つなぐだけの相談なら、すぐに解決するとはいえ、日本語がうまく話せなくて、意思が伝えにくい人もいる。また、行政手続が複雑なものは、道案内、相談だけでなく、その後も寄り添った支援が必要である。こうした支援が必要な複雑なケースがどれぐらいあり、具体的にどのような対応をしているのか伺う。
さらに、相談でも、トラブルや困りごとなど複雑な相談は、弁護士や関係機関につなぐ、専門家等につないで解決の道筋を示すなどの支援が必要であるが、センターではどのような相談に対して具体的にどのように対応しているのか、併せて伺う。
そして、こうした相談や支援を行う上で、現状の体制に課題があるかも教えてほしい。
【理事者】
センターには相談対応を行う専門の多文化ソーシャルワーカーを配置しており、制度や手続の概要など一般的な相談はソーシャルワーカーが直接回答し、具体的な行政手続等に関するものであれば、適切な窓口を紹介するなどの対応を行っており、このような情報提供に関するものが相談のほとんどを占めている。
このほか、複雑な内容で個別に支援を行ったケースは今年度9件あり、具体的には、三者通話による通訳の支援や、市町村窓口等まで同行して通訳を行うなど、相談者に寄り添った支援を行っている。
さらに、専門知識を要する場合、弁護士相談を月2回実施しているほか、名古屋出入国在留管理局や愛知労働局の職員、消費生活相談員による専門相談も、それぞれ月1回実施している。
また、現状の体制の課題等について、多文化ソーシャルワーカーは2021年度に2人増員しており、7人体制で対応を行っているが、相談件数が増加しており、内容も複雑化している。また、相談対応を行うには幅広い知識が必要となるが、在職年数が5年以上で比較的経験豊富な者は3人のみとなっており、今後、ソーシャルワーカーの育成が課題と感じている。
【委員】
ぜひ相談体制の充実と寄り添った支援をしてもらいたい。また、ソーシャルワーカーを育成する体制の強化をこれから順次図ってもらいたい。
市町村に関しては多言語による相談窓口を設置しているのは35市町、このうち外国人からの相談にワンストップで対応する常設窓口を設置したのは21市町とのことだが、逆に言うと、設置していない19の市町村がある。そうした相談窓口がない市町村に対して、県が各種制度等をしっかりと周知してもらいたい。
相談でも、窓口につなぐような道案内的な相談と、トラブルを解決する相談がある。
私の地元の安城市もワンストップの相談をやっている。ただし、道案内的なものであり、市民課に行き手続を尋ねる程度のものは多言語でワンストップに対応する窓口はある。
ところが、困りごとの相談に関しては、一般市民と同じ生活相談となる。例えば生活相談をしに、違う窓口に行った場合、多言語対応していないため、相談する外国人が通訳を連れて行かなければならない状態であり、困りごとの相談に関しては少し弱い。これは安城市に限らず、そうした市町村が多いと思う。
ぜひ、相談の中身に寄り添った調査をしながら、本当に生活や暮らしに対しての相談が受け付けられる愛知県にしてもらいたい。
多文化共生について、偏った人は外国人優遇だと非難する。そうではなく、多文化共生は、もともと住んでいる日本人も外国人も安全に平和に暮らしやすくするために絶対必要なことである。そのため、県は支援体制や相談体制を強化するよう要望する。
議案質疑の中で、今年4月から警察手数料が従来の証紙収納からキャッシュレス収納に変わるという質問をした。県民が一般的に証紙を使うケースでは、運転免許更新やパスポート作成が多いと思う。
パスポートも、正確には有効期限が10年ならば、合計で1万6,000円であり、国の印紙は1万4,000円、県の証紙は2,000円、合計1万6,000円となる。有効期限が5年では、国の印紙は9,000円、県の証紙は2,000円、合計1万1,000円となる。その代金を窓口で支払っている。
そうした中で、国は、パスポートの電子申請の場合、クレジットカード納付を可能にすると聞いているが、県における証紙によるパスポートの手数料収納額と、全体の証紙による手数料収納額に対してパスポートの手数料の占める割合はどれぐらいなのか。また、パスポートの電子申請は、いつからどのような形で開始されるのか。
【理事者】
2022年度における愛知県全体の証紙による手数料収納額は約96億円となっている。そのうち、旅券手数料収納額は約2億円で、全体の約2パーセントとなっている。
パスポートのキャッシュレス化については、2023年3月27日、改正旅券法が施行され、旅券の電子申請が導入されたことに合わせて、電子申請の場合には、クレジットカード納付が可能となった。本県では、国の決済システムを活用し、2024年8月からクレジットカード納付の導入を予定している。
【委員】
クレジットカード納付を始めるとのことだが、国の印紙、県の証紙はどのような決済になっていくのか。
また、電子申請ができることは利便性が上がってよいことだが、現場では紙の申請が一番多いと思う。紙の申請はどうなるのか。
【理事者】
本県が利用する国の決済システムでは、国と県の手数料の合計額が決済され、その後、国と県の手数料がそれぞれの口座に分けて納付されることとなる。
紙の申請の場合は、今までどおり、印紙と県証紙による納付となる。
【委員】
国は印紙と県は証紙と分けていたものを、電子申請では一括して、有効期限が10年のものは1万6,000円が引き落とされて、その後、収納会社からそれぞれ振り分けられる。紙申請の場合は今までと同じである。
よい悪いは考え方によるが、全国的には証紙はなくなる方向にあり、すでに証紙をなくした県では、県の証紙分だけをキャッシュレス化している。
電子申請は国の制度であるため、やるかやらないか、よい悪いは別として、県としても証紙分をキャッシュレス化とするやり方ができると思うが、県としてどのように考えているのか。
【理事者】
委員の指摘のとおり、他県においては独自のキャッシュレス収納を導入している例もあるが、その場合でも、国の手数料は印紙で納付することとなる。
本県では、国において完全キャッシュレス化に段階的に取り組んでいくこととされているため、国の動向を注視していく。
【委員】
矛盾したことを言うかもしれないが、パスポートに関しては、そのほうがよいと思っている。
他県では、県の証紙2,000円分のキャッシュレス化を進めても、国の印紙分は金を払って、印紙を貼ることになる。よって、現場でキャッシュレスと印紙が混在してしまい、混乱する可能性がある。パスポートに関しては、県の証紙だけをキャッシュレス化することはメリットを感じない。愛知県のやり方でよいと思う。
それでもキャッシュレス化は進めていかなければならないため、パスポートに限らず、県全体で行政手続の電子申請が進む中で、電子申請のメリットや、やりやすさを周知、告知しながら、電子申請が進んでいく方向がよい。
パスポート申請には戸籍が必要であるが、戸籍が電子化されていない。電子申請をしても、戸籍を別に郵送するなどの手間がかかる。
電子申請は進めるべきであるが、混乱が起こる可能性が残っているため、パスポートに関してはどちらがよいのか判断が難しいが、今後は電子申請の方向に進んでいくと思う。電子化やキャッシュレス化が進む一方で、併用がよい部分もある。紙で申請し、現金で払う人もいるし、紙でやる人もいる。
そのような部分では、結局、キャッシュレスのよさは一元的ではなく、利便性であるため、選択肢が多いに越したことないことを国へ要望し、本当の利便性を高めてほしい。
【委員】
文化財の修理等に係る県の補助金について伺う。
文化財は長い歴史の中で生まれ、育まれ、今日まで守り伝えられてきた貴重な財産である。
このため、国では文化財保護法に基づいて、重要なものを国宝、重要文化財、史跡等として指定を行い、現状変更などについて一定の制限を課す一方で、保存修理等に対し補助を行うことによって、保存及び活用のために必要な各種の措置が講じられている。
また、本県でも愛知県文化財保護条例に基づいて、県内に所在する文化財のうち、県にとって重要であり、国の指定等を受けていないものを指定することで保護を図っている。
そこで、文化財の修理等に対する県の補助制度がどうなっているのかを伺う。
【理事者】
文化財の修理等について、本県では、国及び県指定文化財の保存修理、整備等に補助金を交付している。具体的には、神社仏閣などの建造物、絵画彫刻などの美術工芸品、山車などの民俗文化財の保存修理などに補助している。
補助率は、国指定文化財の場合は、修理などに要する経費に対し、まず、国が原則2分の1の補助を行っており、これに県が国庫補助対象経費の10分の1以内の上乗せ補助を行っている。
また、県指定文化財の場合は、国の補助はないが、県が原則3分の2以内で補助を行っている。
【委員】
補助金にはどれくらいの要望があり、要望に対する実績はどうなっているのか。
【理事者】
国指定、県指定ともに要望のあったものに対し、ヒアリング等を通じて文化財としての価値を維持するために必要な修理等であるかを確認し、補助対象に該当するものは全て補助をしている。
今年度の実績は、現在、事業報告書を確認中であり、交付決定時点の状況になるが、国指定文化財では、建造物8件、美術工芸品4件、民俗文化財2件、史跡1件の計15件で、補助金の総額は、国の補助金が4億5,834万9,000円、県の上乗せ補助分が4,148万8,000円となっている。
また、県指定文化財は、建造物3件、美術工芸品3件、民俗文化財1件の合計7件で、県の補助金は総額3,356万8,000円となっている。
【委員】
所有者から補助の要望がある文化財の修理については、補助対象に該当するものは全て補助をしていることは理解した。
補助金には当然ルールがあるが、所有者の人々が適切に文化財を保存してもらえるよう、引き続き要望をよく聞いて支援をしてもらうことをお願いする。
続いて、青少年のネット上の犯罪被害について伺う。
本県では、年間100人以上の青少年がSNSに起因する犯罪被害に遭っており、SNS上で知り合った相手からだまされる、脅されるなどして、自分の裸体の撮影画像等を送らされる自画撮り被害や、SNSにおける誹謗中傷など、深刻な問題が多発している。
一方、内閣府の2022年度の調査によれば、青少年のフィルタリング利用率は40パーセント未満と、いまだ低い水準にとどまっている。
県はこのような状況に対応するため、どのような取組を実施しているのか。
【理事者】
近年のスマートフォン等の急速な普及に伴い、SNS等に起因する被害児童数は高止まりしている状況であるため、インターネットの危険性やフィルタリングの必要性を周知し、家庭でのルールづくりを支援するため、講師派遣型の講座である、青少年のネット安全・安心講座~みんなのネットモラル塾~を開催している。
みんなのネットモラル塾では、テキストやパワーポイントを使用した講義のほか、グループディスカッションやロールプレイングによるワークショップなどを実施し、青少年が巻き込まれやすいインターネットのトラブルや、その危険性について学び、インターネットの適正利用や、被害を未然に防ぐための理解を深めている。
【委員】
本年度のみんなのネットモラル塾の開催状況はどうか。
【理事者】
2024年1月末時点で、県内37市町村において207講座を開催し、2万3,104人に受講してもらっている。
講座の内訳は、学校主催のものが194講座で、そのほかにPTA等主催のものが13講座となっており、保護者、教職員及び児童生徒などに参加してもらっている。
【委員】
みんなのネットモラル塾について、今後どのような取組を行っていくのか。
【理事者】
今後は、自画撮り被害や薬物の過剰摂取であるオーバードーズなど、特に社会的に深刻な問題となっている事案について、県警察と合同で重点的に啓発する講座を実施していく。
また、本講座では、講座を受講した保護者や児童生徒等が自宅においても講座で学んだ内容を復習するとともに、家庭でのルールについて話し合うことができるテキストを配布しており、来年度はさらに最新の情勢を盛り込むなど、内容の充実を図っていきたい。
【委員】
被害に遭う青少年が一人でも減るように、引き続きしっかり取り組んでもらいたい。
【委員】
女性の活躍促進に向けた取組の促進について伺う。
世界経済フォーラムが昨年6月に発表した男女格差の現状報告2023によると、日本のジェンダーギャップ指数は146か国中125位と、女性の地位はまだ低いままである。報告書で、ジェンダーの公正さは、世界的に見てコロナ禍以前の水準に回復しているが、進展のペースは鈍化していると指摘されている。このペースでジェンダーギャップをなくすためには今から131年かかり、世界全体での男女平等の達成は2154年になるだろうと警鐘を鳴らしている。
先日、3月8日の国際女性デーに合わせて、都道府県版ジェンダー・ギャップ指数が公表された。政治、行政、教育、経済の4分野の全国順位が発表されたが、愛知県は経済分野の全国順位が29位と、4分野の中では最も順位が低くなっている。都道府県版ジェンダー・ギャップ指数の結果、特に経済分野での順位が最も低いことについて、県としてどのように考えているか。
【理事者】
都道府県版ジェンダー・ギャップ指数は、3月8日の国際女性デーに合わせて、上智大学の三浦まり教授らがつくる地域からジェンダー平等研究会が発表しているものであるが、経済分野の順位は、就業率の男女差、フルタイムの仕事に従事する男女間の賃金格差、企業や法人の役員・管理職の男女比などの七つの指標を用いて算出されている。
本県の場合、そのうちのフルタイムの仕事に従事する男女間の賃金格差の指標が全国42位と、経済分野の指標の中で最も順位が低くなっている。このフルタイムの仕事に従事する男女間の賃金格差が生じる主な要因としては、本県の男性労働者の賃金水準が全国的に見ると高いことや、管理職に占める女性の割合が低いことがあると考えている。
2022年度の総務省の就業構造基本調査の結果によると、本県における管理的職業従事者に占める女性の割合は14.4パーセントと、全国平均の15.3パーセントを下回っており、そうした状況を改善していく必要がある。
【委員】
経済分野という観点では、昨今、日経平均株価が史上最高値をつけた中、各企業の収益が過去最高というところも少なくない。一方で、今後のさらなる成長を考えた際、世界との競争は避けて通れず、人口減少、労働力不足が確実な中、競争力をつけるには、多様性と女性の活躍が不可欠となってくる。
また、企業への投資に重要な役割を持つ機関投資家にとって、投資先の多様性は運用リターンに直結する重要なファクターとされている。注目点は会社の将来性であり、世代を超えて成長する会社を選ぶ際、女性に代表される多様性は欠かせない視点である。
実際、女性役員の比率が高い企業の総資産利益率(ROA)は高い傾向にあり、効率的に利益を稼いでいるという日経新聞の調査も出ている。旧来型の企業、いわゆるジャパニーズ・トラディショナル・カンパニーへの郷愁では、令和のグローバル競争は既に勝ち抜けない状態となっている。
女性の管理職への登用率が低いとのことだが、女性の管理職登用を進めるために、これまでいろいろ取り組んできたと思う。企業における女性の管理職登用がなかなか進まないのは、何が原因と考えているのか。
【理事者】
本県で企業における女性の管理職登用がなかなか進まない要因は、本県では製造業が盛んであるが、もともと女性の従業員が少なく、近年は各企業が女性の採用に取り組んでいるものの、管理職の候補となる女性はまだ少ないこと、本県では結婚、出産後は非正規で勤務をする女性が多いこと、本県では固定的な性別役割分担意識が根強く、家事、育児の負担が女性に偏っているため、女性が責任の重い管理職への登用を敬遠することなどがあると考えている。
【委員】
女性の社会における活躍には、まだ大変大きな余地がある一方で、男性の働き方、家事・育児進出もキーポイントになってくる。
県は、男性従業員が育児休業を取得した中小企業に対し奨励金を出す中小企業男性育児休業取得促進奨励金を昨年9月から設け、予算根拠として605件の申請想定に対し、2月時点で558件の申請と、92パーセントの申請率になっている。
制度のほか、県は企業に対し、研修などを通して様々な働きかけをしているが、今後、その内容も問われてくると思う。
例えば、男性育休取得奨励金制度自体は育休を取らせるように企業に仕向ける制度だが、最終的な目的は違うはずである。本当の目的は、限られた期間のみの家庭内での男性による育児参加ではなく、男性が育休終了後も仕事をやりくりしながら、家事、育児に積極的に参加する意識をつけることや、女性の家事・育児負担軽減や復職後も社会で活躍できる環境を整えることである。そこにつながらない、取るだけ休暇だと、母親の育児ストレスが増大する危険性もある。育休中に何をしたらよいか、事前にイメージできる内容を研修に入れ込むことは検討に値する。
このことは私も意見交換をする中で、産前産後ケアに従事する人々から、会社内でぜひやってほしい内容としてよく聞く。答弁にも出てきたが、家事、育児の負担が女性に偏っていることが女性の社会進出、活躍を滞らせる大きな要因である。
近年、いろいろな制度が整備されてきているが、まだその制度に対する企業側の意識、特に男性の意識が低いとの声をよく聞く。企業における男性の意識を変えるために、今後どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
企業における男性の意識を変える取組としては、まずは組織のトップである経営者の意識改革が重要であると考えている。現状、男性が多い経営者に女性活躍の重要性を理解してもらうため、毎年、県内の経営者などを対象にあいち女性の活躍促進サミットを開催しており、昨年11月のサミットでは、男性社員の育児休業取得100パーセントを達成した積水ハウス株式会社の山田実和執行役員に、育児休業制度を男性社員が取得しやすいようにした取組等について講演をしてもらった。
また、本県では、企業が管理職や男性社員の意識改革のための社内研修を企画した際に、社会保険労務士やキャリアコンサルタントなどの専門家を無料で活用できるよう、女性の活躍促進コーディネーター派遣事業を行っており、これまで494社に対して派遣している。
今後もこうした取組を続けていくことに加えて、来年度からは公益財団法人あいち男女共同参画財団や愛知県経営者協会と連携して実施している管理職向けワークショップの内容の充実を図り、職場環境だけでなく、家庭における男性の家事や育児への積極的な参画を促すことを内容とする、女性活躍のための環境支援セミナーとして開催していく予定である。
こうした事業を実施するとともに、牧野利香副知事をリーダーとする女性の活躍促進プロジェクトチームに参加する各局と連携して各種事業を進めることで、男性の意識が変わり、男性の家事、育児への参画がより一層進むよう、県庁全体でしっかり取り組んでいきたい。
【委員】
最後に要望させてもらうが、二つほど、まず紹介をしたいことがある。
一つ目は、丸井グループ、青井浩社長の「日本は男らしく、女らしくという性別のバイアスが強過ぎて、女性だけではなく、男性でも息苦しさを感じている人が多い。社会で活躍する女性が増えれば、稼がなければという男性のプレッシャーを弱め、幸福度を高めることにつながると思う。社員をはじめとした人々のウェルビーイング改善に向け、企業が果たす役割は大きいと思う。」というコメントである。
二つ目は、京都大学の研究結果で、0歳から4歳児を育てる母親339人を対象に、育児にまつわるストレスと身体の症状、腸内細菌の状態を調査し、その関連性を明らかにした結果、腸内細菌は多様性が高いほうが心身の状態が良好と言われているが、育児ストレスが高い状態の母親は、腸内細菌の多様性が低かったとの調査結果が出た。母親が育児ストレスをため込む原因は極力低減、排除されるべきである。男性の育休取得が母親がストレスをため込む原因となっては本末転倒である。
現在、社会保障制度の前提条件になっている専業主婦の妻がいる男性は、共働きが当然となっている今ではシステムが既に破綻している。画一性、単一性をベストとせず、多様性を認めていくべきである。
そういった意味でも、男性の意識だけでなく、女性自身も抱えるアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)を変えて、育児や家事分担などに男性がより積極的に参加していくことや、女性にも重責を任せる男性側の勇気も重要である。
また、この取組は、10年後、20年後に今の子供たちが社会に出た際の労働環境の地ならしとも考えることができる。文化的・精神的構造は数年で変わることはなく、10年単位での時間が必要な場合もある。
男性の育児休業取得促進に関しては今日の新聞にも出ていたが、取得率の目標設定と実績公表を企業規模従業員300人超に義務づけを行うとする育児・介護休業法などの改正案を政府は提出したばかりである。
女性の活躍促進プロジェクトチームの旗振り役である県民文化局が、関係する労働局や福祉局にも積極的に働きかけて、男性の意識が変わり、女性がより働きやすい職場環境につながり、連鎖的に男性も働きやすくなる事業が実施されることを強く要望する。
【委員】
あいち県民の日について伺う。
あいち県民の日は2022年12月に条例が制定され、昨年11月27日に条例制定後初めての県民の日を迎えた。県では、あいち県民の日を迎えるまでの1週間をあいちウィークとして、県内各地で市町村や民間事業者と連携しながら、県民の日にふさわしい様々な事業を450件ほど実施したと聞いている。
さらに、あいちウィークの中でそのうち1日を学校休業日とする県民の日学校ホリデーが県教育委員会において創設され、昨年はカレンダーの関係で、11月24日の金曜日に約9割の県内の学校が休みになった。
そこで質問するが、県民の日を制定する地方自治体は、本県を含めて全国に19あるが、そのうち、県民の日を学校休業日にしている県はどれだけあるのか。また、本県の県民の日学校ホリデーのように、県民の日を含む一定期間のうちで学校休業日を設定する制度は他県にはあるのか。
【理事者】
他の自治体における県民の日については、愛知県を含め、全国で19の都道府県で制定されており、そのうち、公立学校が休業となるのは東京都、茨城県、埼玉県、千葉県、群馬県及び山梨県の6都県である。
なお、本県の県民の日学校ホリデーのように、県民の日を含む一定の期間のうちの1日を学校休業日に設定する制度は、他県にはない本県独自のものである。
【委員】
県民の日に公立学校が休みになる自治体は全国で六つあり、本県の県民の日学校ホリデーのように、学校休業日を一定期間の中で設定する自治体は愛知県だけである。
私も初めて県民の日を迎えるに当たり、働く母親たちから意見をもらった。それは、県民の日学校ホリデーで子供は学校を休みになったのに、職場は休みにならない。職場が休みにならないのは仕方がないにしても、職場に県民ホリデーの理解が乏しいので、有給休暇の申請すらしにくいというものであった。
県民の日学校ホリデーは、できれば家族が一緒に過ごして、愛知県民であってよかった、愛知県にはこんな魅力があるのだと改めて感じてもらうことこそがホリデーの目指す姿だと思う。もちろん、仕事の内容により休めない人も多数いるだろうが、少なくとも会社が県民の日学校ホリデーのことをあまり理解しておらず、休暇を申請しにくい状況だけは改善していかなければならない。
県民の日学校ホリデーにおける保護者の休暇取得促進について、県民文化局として今後どのように取り組むのか。
【理事者】
今月5日に公表したあいち県民の日・あいちウィーク等に関する県民意識調査によれば、県民の日学校ホリデーの対象の子がいる人で休暇等を取らなかった人は、その理由として、シフト制になっていて休みが取れなかった、勤務先がふだんから休みが取りづらいといった意見が多数あった。
こうした調査結果について県民文化局としては、庁内連絡会議等を通じて関係局とも課題認識を深め、保護者の休暇取得促進に向けて連携して取り組んでいきたい。
具体的には、来年度も引き続き経済産業局や労働局と連携し、あらゆる機会を捉えて、あいちウィークに協力してもらえる民間事業者や愛知県休み方改革イニシアチブ賛同企業に対し、県民文化局としても、従業員の休暇取得促進を働きかけていきたい。
【委員】
県民の日学校ホリデーに合わせて有給休暇が取得できるよう、関係局から商工団体や企業等に通知、案内を出してもらえるよう、県民文化局からぜひ働きかけてもらいたい。
一方で、県民の日学校ホリデーの日に保護者が休めない家庭もあると思うので、そのような家庭の子供たちに向けた対応も必要になってくる。県民の日学校ホリデーにおける仕事を休めない家庭の子供たちのため、どのように取り組むのか。
【理事者】
県民文化局としては、今年度、県民の日にふさわしい事業の実施を市町村や民間事業者にお願いする中で、子供たちだけでも利用、参加できるような施設の開放やイベントの実施についても協力を依頼してきた。
民間事業者によるあいちウィーク協賛事業の中には、県民の日学校ホリデーに開設する子ども食堂を対象に、福祉局と連携して民間事業者から無償で提供してもらったお米等の食材を贈り、子供の居場所づくりの一助とした事業もあった。
来年度も、仕事を休めない家庭の子供たちに向けて、福祉局や教育委員会と連携して、様々な取組をしっかりと推進していきたい。
【委員】
最後に要望する。
私は、この制度を何とか浸透させていきたいと思っている。
その上で、県民や企業にあいち県民の日と県民の日学校ホリデーの関係が正しく理解されていないという大きな課題に気がつかなければならない。県民の日学校ホリデーという名称から、学校休業日があいち県民の日であるかのように思っている人が多く、例えば、11月24日が県民の日学校ホリデーであった市町村では、11月24日が県民の日だと言った人が多くいた。
なぜこのようなことになるのか。私は、この県民の日学校ホリデーというネーミング自体に問題があると思う。冒頭にお聞きした県民の日自体が学校ホリデーとなる他の六つの県であるのならばともかく、愛知県は県民の日と学校ホリデーが同じではないため、県民の日学校ホリデーという名称ではなく、あいち学校ホリデーというような呼び方はどうか。
こうすれば、あいち県民の日、あいちウィークと同じように、頭に平仮名であいちとつくことで並べて説明しやすいし、聞くほうも分かりやすいと思う。これは教育委員会の所管と言われるかもしれないが、県民文化局から教育委員会に対して名称の変更も含めて県民に正しく理解していただけるよう、PRに努めてもらいたい。また、休暇が取得しやすいように、経済産業局や労働局に働きかけもお願いしたい。
県民にしてみたら、所管部署は関係なく、この制度を受け入れたいと思っている。そのため、条例の所管部署として、県庁の中で横断的なリーダーシップを発揮してもらうことを要望する。
【委員】
私からは、愛知県ファミリーシップ宣誓制度について伺う。
これは本年4月から、もう間もなく制度を運用、開始しようとしており、当初検討された条例改正によるものではなく、要綱によってこの制度を運用していくため、愛知県議会において具体的な議論、認識を深める最後のチャンスかと思うので、改めて質問する。
まず、ファミリーシップ宣誓制度についての具体的運用、総括的には県民文化局長から本会議でも話があったが、なるべく具体的に、どのようにファミリーシップを宣誓してもらい、運用していくのかについて伺う。
【理事者】
愛知県ファミリーシップ宣誓制度の内容については、愛知県人権施策推進審議会で審議しており、3月14日開催の第4回審議会で最終案を審議する予定となっているため、現時点の案となるが、まず、安心して宣誓もらえるよう、性的少数者の望まないカミングアウトを防ぐため、原則、日程等を事前調整の上、個室等で対応する予定である。その際、宣誓者との連絡調整等のやり取りも、プライバシー保護のため、人権推進課の所属メールではなく、限られた職員しか閲覧、利用できない専用メールアドレスで行う予定である。
また、宣誓方法は、対面での宣誓に加えて、オンライン宣誓も可能としている。
ただし、オンライン宣誓の場合は、あらかじめ必要書類を郵送で提出もらうこととしている。
宣誓を受理した後は、A4サイズの受理証明書を発行するとともに、持ち運びに便利なようにカード型の証明書も発行する。
このほか、パートナーが離れて暮らすケースもあることから、宣誓者のいずれか一方が県内に住所を有し、または県内への転入を予定していれば、同居していなくても対象とするなど、制度利用者の利便性や安心感に配慮した運用をしていきたい。
【委員】
本県がこの制度を運用する前提として、愛知県内では、同様のパートナーシップ制度やファミリーシップ制度を既に導入済みの市町村は28ある。カバーしている人口に換算すると、愛知県民の過半数の県民が既にパートナーシップないしはファミリーシップの制度の運用がされておる自治体の下で暮らしている。この上に、新たに愛知県全体を視野に置いた本県の制度が重なってくるわけであるため、相互関係についてもう一度確かめたい。
パートナーシップ、夫婦に準じるような、同性、異性にかかわらず、パートナーの場合に対して、その子供を含めた近親等の家族も家族に準ずる扱いができるようにする本県の宣誓制度のほうがパートナーシップだけよりも広いので、既に導入済みの愛知県の市町村が持っている制度と重なってくる。
そこで、既に導入済みの自治体において既に宣誓している人は、どれぐらいいるのか県が把握していたら教えてほしい。
宣誓を既にした人々にとっては、県のファミリーシップ宣誓制度を利用する場合に、新たに県に対して宣誓をしなければならないのか、それとも、従来の宣誓を既に市町村に対してやっているため、それがそのまま県の宣誓にも適用され、県の宣誓もしたと扱われるのか。
【理事者】
既に導入済みの市町村のパートナーシップ制度あるいはファミリーシップ制度を利用している人については、県の制度も宣誓して申請することが可能になっているため、両方の宣誓をすることが可能となっている。
市町村の宣誓制度を利用している人が県のサービスを利用できるかについては、今、相互利用ができるように調整を図っているが、基本的には、市町村で宣誓をしている人は、県で利用できる行政サービスも利用できるよう調整をしている。
【委員】
既に市町村でパートナーとしての宣誓済みの人が、例えば県営住宅の入居申込みをしようとする場合には、今まで市の宣誓をしていなかった人と同様に、改めて県の宣誓についても手続をしなければならないのか。市で同じような宣誓が既に行われているため、自動的に県の制度でも宣誓したことと同じように扱わなければ、面倒であり、いろいろなプライバシーの問題にも気を遣う宣誓の手続を二度も取らなくても済むと当事者から言われた。
それでも、宣誓は手続上、一からやらなければならないのか。
【理事者】
市町村で既に宣誓している人は、県で同様のサービスを利用できるように、今、関係課室と調整している。例えば県営住宅では、市で宣誓した人は、県で宣誓した人と同様に利用できるよう調整している。
【委員】
もう一つ、私が聞く限りでは市町村が宣誓制度を使って受け付けているが、その宣誓者というのは必ずしも多いわけではない。その理由として、世間の目を非常に気にしながら生きているカップルや家族にとって、あえて公の認証を受けることに対するためらいがある。
認証を受けることで、家族としていろんな県の制度が利用できるようになるメリットはあるが、あえて周りの人に同性カップルであると知られるリスクを冒してまで宣誓することは、ためらう人もきっと多い。
そういう意味で、大村秀章知事の答弁にあったとおり、県の制度ができたこと自体が、周りの目を気にして、肩身の狭い思いをしながら、世を忍んで暮らすのではなく、堂々と生きてよいというメッセージにもなる。一方で、この宣誓制度を受けることによって、利用できる制度はどのようなものがあるのか。例示で示されている、例えば県営住宅に申し込める、あるいは県立病院において同意や説明を受けることができる程度の話だと、メリット感は十分ではない。
例えば、夫婦や家族と正式には認められていないことで不利益を被っていることは、社会には山ほどある。例えば携帯電話の家族割や、銀行等金融機関における家族カード、あるいは、保険の受取人としての家族の範疇に当てはまるかなどが挙げられる。県が宣誓制度を設けたことにより、問題は県自身の制度をこの趣旨に沿って見直すことはもちろんだが、これを民間企業や導入済みでない市町村にどのように及ぼしていくのかが非常に大事である。
県民文化局長の答弁でも、民間団体や経済団体などに要望していくとは言っているが、もう少し具体的なアプローチをしてほしい。宣誓制度が広がることで、普通の夫婦や家族と同じように利用していけるというメリット感が増大すると思うが、県としてどう考えるか。この制度の適用を広げていくために具体的に考えていることはあるか。
【理事者】
まず、市町村に対してもこの制度を説明しており、公営住宅の入居などの行政サービスについても、現制度を利用している人が同様に県のサービスを受けられるよう依頼している。
また、民間のサービスについても、委員指摘のとおり、携帯電話の家族割、生命保険の受取人の指定や金融機関のローンなど、いろいろな事例が考えられるため、具体的には、来年度、ファミリーシップ制度のチラシ、パンフレットを作り啓発をするとともに、企業や関係団体に対して、周知及び協力の呼びかけをしていきたい。
【委員】
同性カップルや事情があって法律上結婚や家族に正式にはなれない人が、堂々と世の中で生きていいんだよというメッセージが伝わるように、今まで利用できなかった県の制度が、利用できるようにする。あるいは、民間企業をはじめとした様々なサービスに対して、県からお願いし、協力してもらえる企業は県側から広報するなどして、民間企業にそのような取組を促すような、特にネットを通じた情報の提供をお願いしたい。
また、家族、あるいは婚姻のカテゴリーが、日本では古くからの慣習的な考え方が根強くあるため、明治時代以来の旧民法が基本的に変わっていない。将来的には、同性婚も含めて、国における民法を含めた制度全体がこういう生き方にも対応したもの、多様性を認めるものに変わっていく必要がある。
県の取組は内外に与える影響も大きいため、その意義や、さらにその先の日本版PACSを国で導入してもらえるよう、民法の改正の議論にも資する形での取組を特にお願いしたい。