委員会情報
委員会審査状況
県民環境委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年6月25日(火) 午後0時58分~
会 場 第6委員会室
出 席 者
平松利英、村嶌嘉将 正副委員長
坂田憲治、伊藤辰夫、青山省三、いなもと和仁、ますだ裕二、
柳沢英希、高木ひろし、河合洋介、園山康男、阿部武史 各委員
環境局長、同技監、環境政策部長、地球温暖化対策監、資源循環推進監、
関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
なし
○ 閉会中継続調査申出案件
1 文化芸術の振興及び文化財の保護について
2 青少年の健全育成及び県民・NPOとの協働の推進について
3 男女共同参画社会の形成の促進について
4 生活環境及び自然環境の保全について
5 地球温暖化対策について
6 県民文化局及び環境局の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 一般質問
3 閉会中継続調査申出案件の決定
4 閉会中の委員会活動について
5 閉 会
(主な質疑)
《一般質問》
【委員】
あいちエコアクション・ポイント事業について伺う。
あいちエコアクション・ポイント事業は、約1年半前にスタートした事業であると承知している。この事業は、県民の脱炭素、循環型ライフスタイルへの転換や行動変容を促すため、環境負荷の小さい商品を優先的に購入するグリーン購入や、プラスチック製カトラリー類の辞退など、環境配慮行動、エコアクションに対して県独自のポイント、エコアクション・ポイントを発行する事業と理解している。
現在、この事業において夏季取組強化キャンペーンを実施中であると承知しているが、そこでまず、今までの取組状況や成果を伺う。
【理事者】
あいちエコアクション・ポイント事業について、参加者数は、昨年度末の目標5万人に対して、実績は約8,600人であり、目標を大きく下回っている。参加店舗数については、同じく昨年度末の目標7,000店舗に対して、実績は約4,700店舗であり、目標を下回っている。
本事業が対象としている環境配慮行動であるエコアクションは五つあるが、昨年度末時点でグリーン購入は約16万回、プラスチック製カトラリー類の辞退は約12万回、飲食店での食べ残しゼロは約2万回、そのほか使用済みクリーニングハンガーの返却や、フードバンク等への寄付も合わせて、合計約32万回のエコアクションがこの事業によって行われている。県民がエコアクションを始めるきっかけづくりに一定程度寄与しているものと考えている。
【委員】
今までの取組状況から見えてきた今後の課題はどのようになっているのか。また、今回の夏季取組強化キャンペーンを実施するに当たり、どのようなことを狙いとして、具体的にどのような取組をしているのか。
【理事者】
参加者数、参加店舗数とも目標を達成していないことから、事業自体が県民に十分認知されていないこと、及び参加店舗数が増やせていないことが課題と考えている。そのため、宣伝の方法や頻度を増やすなど、県民の参加意欲を高めるキャンペーンなどの仕掛けをさらに充実させ、参加したいと思わせるようにPRを強化したい。併せて、参加店舗を増やすために、大手チェーン店等の事業者への協力要請や、名古屋商工会議所などの各種団体に働きかけることによって、その加盟店に事業の参加を依頼することなどを考えている。
この取組強化キャンペーンについては、この事業をより多くの県民に認知してもらい、参加したいと思わせることを狙いとして、昨年度は夏季と冬季にそれぞれ1か月間実施した。その昨年度の冬季のキャンペーン期間中、広報あいち12月号の新聞掲載、県の公式LINEでの情報提供、NHKのテレビ番組おはよう東海、ラジオ番組2局などで取り上げられ、この事業のウェブサイトへのアクセス件数が通常期の1.5倍と増えた。
そうしたことから、今年度も取組キャンペーンを夏季と冬季に行うこととし、現在、夏季を実施しているところであり、キャンペーン期間中には、通常商品のQUOカードが合計100人に当たることに加えて、中日ドラゴンズの公式戦のペアチケットをはじめ、スギ薬局の商品券、花とみどりのギフト券など、企業からの協賛品を10種類、合計89人分を限定賞品として用意している。
今回のキャンペーンの宣伝についても、前回と同様、広報あいち6月号の記事として6月2日の新聞に掲載した。また、6月21日には、県の公式LINEでも情報提供をした。そうした取組に加え、今年度新たに大村秀章知事による広報あいちの紹介動画でも配信し、6月27日には県の広報番組である東海テレビの村上佳菜子の週刊愛ちっちで放映される予定である。また、この期間中新たにウェブサイトのトップページを、キャンペーンを宣伝するものに変更して県民の目を引くようにし、更に新たな取組として、このキャンペーン期間中に合わせてウェブ広告を6月21日から掲出している。
【委員】
確かに県民への周知については、答弁の目標値と実績値を比較すると、まだまだ足りないところが多いと私も考える。ただし、まだ始まって1年半と考えると、8,000人を超える登録者があることは、少ないというより高い目標値に対して努力してきた結果であると思う。また、先ほどの答弁にあったエコアクションの数として32万回という数字も、1年半と考えるとそれなりに大きい実績であると思う。
そこで、本事業の実施に当たり、参加している企業、店舗側等はどのようなことを行っているのか、また、企業側の参加することのメリットはどのようなものがあるのか、そして実際に参加している企業からはどのような声が県に届いているのか伺う。
【理事者】
まず、参加している店舗においては、その店舗の分かりやすい場所に2次元コードが記載されているポップを設置してもらい、参加者がポイントを獲得できるようにするとともに、宣伝用のポスターを掲示してもらっている。また、一部の企業からは、年2回のキャンペーンの実施に当たり協賛品を提供してもらっている。
事業参加のメリットとしては、まず、一点目として、環境配慮行動を推進している企業であることをPRすることができ、企業のイメージアップにつながること。二点目として、エコアクション・ポイントの取得を目的とする県民が来店することによって、新規の顧客やリピーターの獲得が見込まれること。三点目として、本事業のウェブサイトに店舗情報が掲載されるので店のPRができること、以上三点が挙げられる。
また、新しい取組として、協賛品提供企業である味の素AGF株式会社とコラボして、AGF製品とあいちエコアクション・ポイント事業を併せて宣伝するポップを作成してもらい、そのポップをあいちエコアクション・ポイント事業の参加者であるV・ドラッグの店頭において、商品陳列に併せて掲示した。このような取組をより一層増やしていくとともに、今後、参加店舗等からヒアリングを行うことによって、取組を進めて改善していくための参考としたい。
【委員】
県側、そして企業側からも、拡大のために努力してもらっていると聞いた。
今回の質問をするに当たり、この事業を紹介するチラシやキャンペーンの記者発表資料を見たが、どうしてもエコアクション・ポイントやキャンペーンといったワードの文字が非常に大きく、様々な賞品に応募可能といった文字が多くて、それがどうしても目についてしまった。例えば、日頃から環境問題に興味のある県民であればその活動にすぐ直結して、ホームページにもアクセスして参加してもらえると思うが、気のない人、関心のない人は、文字だけ見てもなかなか行動変容につながらないのではないか。少しでも県民に参加をしてほしいと思う。
目標数値が5万人と非常に大きな数字であり、よい取組である。そのため、目標到達に向けて、今回取組キャンペーンで提供された、例えば中日ドラゴンズの公式戦のペアチケットなどをもう少し全面的に文字で起こして見えるようにすると、全く興味、関心のない人も、中日ドラゴンズのチケットが当たると興味を持つかもしれない。また、野球があるのであれば、例えばサッカーやラグビーといったところにも広げて、観戦チケットなどから気を引いて入ってもらうのも一つの手だと思う。
今後、活動をしていく中で、PRの仕方や見せ方について県当局としてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
まず、これまでも行っているが、広報媒体であるテレビやラジオの番組による宣伝を行っていきたい。また、最近ではSNSで情報収集する人の割合が増えていることから、本県の公式SNS配信に加え、このたび新たに実施しているウェブ広告など、拡散力が大きく即時性の高い方法で工夫していきたい。
そのほかにも、スーパーやドラッグストアの広告チラシの片隅に本事業を掲載してもらう、店頭でのキャンペーンを実施するなど、広く県民の目に入る方法でPRができないか、いろいろと宣伝方法を考えていく予定である。
【委員】
この事業に対して環境局がすごく力を入れて頑張っていると思うが、最後に要望する。多分皆もそうだと思うが、私も電車に乗ると吊り広告が目にとどまる。例えば、旅行に行くチラシであれば、行き先のきれいな景色から旅行につながっていくように、視覚に訴えるものが必要だと思う。
活動は活動で大事だが、雑誌やテレビでもよくあるのは、商品や景品が当たるのであれば、やはりそのようなところをしっかりと見せて、関心のない人も引き込んでいく。ホームページを見るとどうしても全体的に文字が多いので、例えば今回野球のチケットがメインであれば、許可を取れれば、野球の試合中の写真などをバックにして、野球の観戦チケットに目がとどまるように、形から引き込んでいけたらよいと思う。
登録のきっかけが、環境に配慮した行動に興味、関心があるにしろ、ないにしろ、一人でも多くの人に環境への配慮行動であるエコアクションを、まずは実践してもらうことが第一前提だと思う。また県民への見せ方、それが答弁にあったネットを通してでもよいので様々な工夫をしてもらって、多くの人々をこの環境活動に巻き込んで、よい結果が出る事業にしてほしい。
【委員】
衣浦港3号地廃棄物最終処分場について伺う。
公益財団法人愛知臨海環境整備センター、AICHI SEASIDE ENVIRONMENT CENTERの頭文字をとってASECと言われるが、これは、愛知県と名古屋市、知多市、武豊町、碧南市、名古屋港管理組合といった関係する地方公共団体と、臨海工業部の企業を中心に48社が出資をしてつくった公益法人であり、このASECが現在、廃棄物の最終処分場として2010年度から供用開始した衣浦港3号地を使って受入れをしていると聞いている。
そして、この武豊町の沖合に隣接している衣浦港3号地廃棄物最終処分場においては、当初は2010年度から2023年4月までの約13年間の予定で廃棄物を埋め立てる計画とされていたが、2022年度に埋立ての期間を延長した。2033年4月までと10年間後ろ倒しする計画に変更して、現在に至っている。まず初めに、当初の計画を延長した経緯について伺う。
【理事者】
衣浦港3号地廃棄物最終処分場は、開業当初からのリーマンショックや、東日本大震災による景気低迷の影響、3Rの進展による最終処分量の減少により、計画搬入量を大きく下回る状況となっていた。こうしたことから、当初計画の中間年となる2016年度末時点で管理型区画の残余容量は約8割、残り2年となる2020年度末時点で約5割となっており、埋立期間の延長も視野に入れながら計画搬入量を確保する努力を継続してきた。
2021年度に近年の搬入トレンドを基に埋立期間を見直したところ、埋立終了時期が2032年頃になると見込まれたため、2033年4月までの10年間埋立期間の延長を行った。
【委員】
私も今聞いたとおりの経緯だと理解している。リーマンショックや東日本大震災があり、3Rの浸透によって最終処分する廃棄物が減ったなど、いろいろな要因があってのことだと聞いたが、当時受入れスタートして13年間でいっぱいになる予定だった。この中間年くらいだと思うが、平成29年に県議会で自民党の委員、私の地元の先輩議員であるが、産業振興・環境対策特別委員会において質問している。
かいつまんで言えば、当時13年間の計画の折り返しの年になるので、これがまたいっぱいになった後の次のこと、ネクスト衣浦港3号地をそろそろ考えていかなくてはいけないのではないかという質問をした。そして、先ほどの理事者の答弁と同じような答弁があったと議事録に書いてあった。要するに、当初、平成23年3月に全面供用したのはよいものの、6年間の折り返しになったが、当初の計画よりも受入れ量、要するに埋立てがすごく少ない。折り返しなので半分程度埋まっているかと思ったが2割程度しか埋まっておらず、残余率がまだ8割程度あるので、当初の計画だと折り返しの年度だが、後ろ倒しも出てくるかもしれないという答弁があったと理解している。
その際に、当時の理事者は、ネクスト衣浦3号地は、こうした理由でまだ余裕があるので、具体的な検討には至っていないが、やはり公共が関わる最終処分場は必ず必要になってくるという答弁があった。そのため、まだ具体的に何か検討に入るというタイミングではないが、必ず必要になってくるので、そのような状況を見極めていくことにしたいと、はっきり答弁があったと聞いている。
翻って、現在で言うと、今余裕があるのでかなり後ろ倒しにして、延長したはずだが、今年の4月からは逆に搬入を制限するという状況になっている。委員も、まさに高浜市と東浦町との間にある場所なので、うんうんとうなずいているが、この現状、ホームページ等を見るとこの4月から搬入抑制を行っているようなので、この搬入抑制が今度はどういった背景で行うことになったのか重ねて聞きたい。
【理事者】
2022年度になり、一部の搬入事業者から想定外の搬入量の増加があったことから、埋立計画期間を先ほど答弁したとおり延長したにもかかわらず一転して早期に埋立てが終了するおそれが高まった。こうした状況を踏まえ、2023年3月に、県からASECに対し埋立計画期間まで計画的に廃棄物の受入れができるように搬入抑制等の効果的な対策を検討し、実施するよう依頼した。そのため、昨年度ASECにおいて搬入抑制の検討が進められ、本年度4月に割引制度の廃止及び事業者ごとに年間の搬入上限目標量を設けるキャップ制度を導入した。
【委員】
いろいろ言いたいこともあるが、今、キャップ制度という話が出た。多分、搬入抑制の総量規制を掛けるということだと思うが、このキャップ制度の概要について、もう少し詳しく聞きたい。
【理事者】
キャップ制度は、ASECの残りの埋立期間である今年度からの残り約9年間、安定的に廃棄物を受け入れるため、年間の総受入量を昨年度末の残余容量の9分の1に当たる約20万トンに抑える制度である。具体的には、過去の実績から年間搬入量1,000トン以上となる多量の搬入事業者は、産業廃棄物については約35パーセント、一般廃棄物については約16パーセント搬入量を削減してもらい、年間搬入量が1,000トン未満の事業者は、搬入量を過去実績まで抑えてもらうものである。
【委員】
これは苦言だが、今聞いてみても、やはり非常に打算的な感じがするのは否めない。要するに、残余容量があって、計画をもう立ててしまったので、年間で割ってここまでしか受け入れられないという規制がキャップ制度で、搬入抑制ということだと思う。もう一つは、ホームページには割引制度などを廃止したと書いてあるが、直近まで、例えば衣浦トンネルの割引券など搬入しやすい環境をつくっていた。当初、最初の数年、特に二、三年は予定よりかなり受入れが少なく、もっと活用してほしいので、割引セール、タイムセールみたいなものを使っていたら、知らないうちにというわけではないだろうが、すごく増えてしまい、今度はキャップをかけているということである。非常に矛盾というか不思議な経緯をたどったものだと思っている。
今回ホームページを見ても、衣浦港3号地廃棄物最終処分場の長期安定利用に関わる取組について、搬入事業者たちに向けて非常に丁寧に説明をしていると思う。処分場を利用している事業者、そしてもちろん自治体も利用している。愛知県内全域から最終処分場として埋め立てるために持ってきていると思うので、この辺りには理解、協力をお願いすると殊勝に腰低く書いてあるが、実際問題としてキャップ制度を開始したこの4月から、搬入事業者への影響は大丈夫なのか。もちろん、その分を他に持っていかざるを得ないわけなので、その辺りの現状はどうなのか。
【理事者】
ASECは、制度開始前の昨年度に個別説明やセミナーを開催し、搬入事業者や経済界に対して搬入量の抑制やキャップ制度の説明を丁寧に行い、制度開始に向けて対応策を検討するようにお願いをしてきた。4月の制度開始以降、今まで特に混乱もない状況であり、産業廃棄物や一般廃棄物の搬入事業者において一層の廃棄物の減量化やリサイクルの推進、またASEC以外への廃棄物の搬入など、それぞれに合った対応を行っており、影響は最小限に抑えられているものと考えている。
県としては、より一層の3Rの推進や、サーキュラーエコノミーへの転換を進めることで最終処分量の削減に取り組んでいく。
【委員】
丁寧に説明しており、特に現状は影響がないということだが、事業者からすれば、ASECで受け入れてもらえなければ、それはどこかに持っていかざるを得ない。もちろん好意的に捉えれば、よりごみを減らしていく方向に頑張ってほしいということで、それは非常によく分かり、そうなってほしいと私も願うが、現実問題、最終処分は行わないといけないので、もしかしたら県内外問わずどこかに持っていっていると推察するし、そのような声も聞いている。
元の話に戻るが、公共が関わる最終処分場が、切れ目なく廃棄物の受入れを行っていくためには、まずは計画性が大事で、このポスト衣浦港3号地を見ていかないといけない。様々な経緯があって延長、あるいは搬入抑制をしたと聞いたが、本来、当初の予定でいけば、2023年には受入れが終了しているわけであり、くしくも委員が質問した折り返しくらいのタイミングでは、まだ空いていて、まだまだいけるので延長したものの、次を探すときに苦労するのは目に見えている。衣浦港3号地廃棄物最終処分場が誕生したときも、地域との交渉や環境影響評価で非常にいろいろと時間をかけてようやくここに来た。その前は名古屋港南5区廃棄物最終処分場がいっぱいになって、切れ目なくこの衣浦へ今回移ってきたこともあるので、やはりこの次を見ていかないといけないと思う。
しかし、今は2033年4月まで埋立計画期間を延長しており、終わりはこれで決まっていて、そこを割り算して総量規制をかけて埋立てをしているので、残りで言えば9年を切っている。次期処分場計画には、様々な手続や工事が必要で、今、工事はすごく遅れており、ほかの工事を見ると供用開始までにはアセスメントだけでも三、四年など結構かかってくると思うので、次期処分場についても検討をしていかないといけないし、加速してほしいと思っている。この次期処分場についての検討状況は現状どうなっているのか。
【理事者】
次期処分場の検討状況については、県内全域を対象に法令等の土地利用規制、周辺の生活環境への影響、災害の防止、アクセスなどの様々な観点から検討を行っている。いずれにしても、次期処分場の整備には地元をはじめ、関係者の理解を得ることが大切であり、慎重に作業を進めていきたい。現時点ではまだ何も決まっていないが、切れ目なく廃棄物を受入れできるよう次期処分場の検討に努力していく。
【委員】
気持ちは非常に伝わってきた。まだ、なかなか表に出せる話はないかと思うが、水面下でいろいろな交渉も始められていると私は信じている。地元である衣浦港3号地の周辺の皆も大変関心が高く、翻れば愛知県内の全てが候補地と言ってもよい。どこになるかはまだ分からないが、やはり産業活動や県民生活に欠かすことのできないものであるというのは言われたとおりであり、民間事業者が民間のビジネスとして最終処分場を造っていくのには限界があり、信頼をどこまで担保できるかというのもあるので、公共が関わることは間違いなくこれからも必要である。
特に、先ほど地元の話もしたが、来週7月4日には衣浦ポートアイランド廃棄物最終処分場確保促進協議会も地元で行われ、県の担当も呼ばれているかと思う。地域の産業活動にとっても、臨海部の企業にとっても必要不可欠なものであるので、適宜適切な候補用地の選定をしてほしい。そして海水面であれば漁業補償など様々な交渉が出てくると思う。
山の中でもアセスメントなどに相当時間がかかってくることだと思う。現行の埋立てを計画どおりしっかり進めていき、恐らく過去の経緯を見れば、キャップをかけてもどうなるか分からない。もう現行の計画どおりやっていかないとなれば、もしかしたら受入れを増やして、計画期間の前にいっぱいになってしまう可能性もある。紆余曲折を経て、これでもう後ろ倒しにすることはないと思うので、ぜひ次期処分場を念頭にいろいろな動きをしてほしいと思う。我があいち民主県議団としても、予算提案や要望に次期処分場についてぜひ検討するよう入れていきたいと思っている。もちろん自由民主党も常にそう考えていると思う。我々地元議員としてもしっかりと応援し、バックアップしていきたいと思う。
【委員】
子供たちに向けた環境学習について伺う。
今月初旬に、私の地元である名古屋市中区の久屋大通公園広場で手羽先サミットというイベントが開催された。手羽先サミットでは、このイベントで出た、例えば手羽先の骨やごみを全てリサイクルし、堆肥にして名古屋市の花壇に戻すという取組をしており、この取組が認められて、恐らくイベントとして初めて愛知環境賞の特別賞を受賞したイベントであると認識している。この手羽先サミットでは、環境イベントも併せて毎回開催しており、子供たちが様々な機会を通じて環境について学びながら、食も楽しむという楽しいイベントになっているので、私も毎年参加している。
このイベントの環境ブースのステージイベントで、私にステージで大学生と対談してほしいという依頼があり、現役の大学生3人と環境について対談する機会を得た。この大学生が名古屋大学や愛知教育大学などで環境について専門的に勉強している学生だったので、私もなかなか質問に困ることがあった。
例えば、一つ難しい事例で言うと、今、フードバンクにたくさんの食材が寄附されるが、その中に添加物が多く入っているものが混ざっており、そういったものをフードドライブとしてどう説明して配るのかという大変難しい問題があった。これは、本来であれば企業がお金を出して廃棄するものを、フードドライブに寄附という体裁にしているのではないかなど、すごく答えに困るような難しい質問で、私も回答に困る中で、例えば添加物があって売れないようなものであれば、いずれ会社としても生産しなくなる。それは今すぐどうこうできる問題ではないが、そのうちそのような添加物が入って売れなくなれば企業側が作らなくなるので、その時期を待ってほしいという答弁をしたところ、もう環境問題は待ったなしなので、すぐできる解決策を教えてほしいと言われた。そのような環境意識の高い大学生と一緒に対談する機会をもらった。
終わった後に少し雑談した中で、なぜこんなに環境に対して意識が高いのか、勉強しようと思ったのかと聞くと、三人とも共通していたのは、小さい頃から様々な機会を通じて環境教育を受けていたと、口をそろえて言っていた。確かに、環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律第9条を見ると、環境教育の推進においては幼児期からその発達段階に応じてあらゆる機会を通じて環境の保全について理解と関心を深めることが重要であるとされている。特に、幼児期の環境教育では、生きる力の基礎を養う時期として自然の大切さ、美しさ、不思議さなどに直接触れる体験を通じて幼児の心が安らぎ、豊かな感情、好奇心、思考力、表現力の基礎が培われることが重要と、確かにここにも記載されている。
そこで、特に未就学児に向けた環境教育について、どのような事業を行っているのか伺う。
【理事者】
未就学児童についての環境学習であるが、愛・地球博記念公園内のもりの学舎において、未就学児童に対する自然体感を通じた環境学習プログラムとして、もりの学舎ようちえん、一日もりの学舎ようちえんという事業を実施している。このもりの学舎ようちえんは、未就学児童とその保護者を対象として、1年間を通じて森の案内人であるインタープリターと一緒に自然を体感してもらうプログラムを継続的に実施するものである。もう一つの一日もりの学舎ようちえんは、県内の保育園、幼稚園等を対象として、インタープリターが自然体感プログラムを実施するものである。
こういったもりの学舎で実施する事業のほかに、インタープリターが県内の保育園等が希望する場所に出向き、その場所に応じた自然体感プログラムを実施する森の伝道師派遣事業も実施している。そのほか、日常的に子供に接している保育士、幼稚園教諭、環境学習施設職員等を対象として、その保育園等で実施できる自然体感プログラムのノウハウ等を身につけられるよう、子ども自然体感活動指導者養成研修を実施している。
【委員】
私も以前、この一日もりの学舎ようちえんについて質問したことがある。この事業は、例えば名古屋市中区はどちらかというと自然の少ない地域であり、園庭も狭い。こうした中、一日もりの学舎ようちえんということで、愛・地球博記念公園の中のもりの学舎で、インタープリターが講師として一緒に森の中に入って、直接そういった体験をさせてもらえることは、本当に私たちの地域にとって貴重な経験であり、また本当に非常によい取組であると思う。これは、応援したいという立場からの質問であるが、こうした中でもちろん定員数があって、なかなか申し込んでも受けられない状況ではあるかと思うが、この各メニューの実施状況はどのようになっているのか。
【理事者】
まず、もりの学舎ようちえん、これは親子を対象にしたものだが、昨年度30組を募集し、2.1倍の64組から応募があって、30組実施した。今年度は同じく30組募集しており、2.4倍の71組から応募があった。
委員が言った一日もりの学舎ようちえんだが、昨年度12園を募集し、3.9倍の47園から応募があり、12園について実施した。今年度も同じく12園を募集し、3.2倍の38園から応募があった。
もう一つ、インタープリターが出向く森の伝道師派遣については、昨年度24園募集し、3.7倍の88園から応募があり、24園実施した。今年度も同じく24園について募集し、4.1倍の99園から応募があった。
最後に指導者養成研修だが、昨年度保育士向けのものが定員40人のところ、2.0倍の81人から応募があり、40人実施した。また、環境学習施設職員向けのものについても定員40人のところ、定員と同じく40人の応募があり、40人実施した。今年度についても、それぞれ定員40人ずつで募集する。
【委員】
かなり倍率が高いという印象を受ける。私も名古屋市中区の幼稚園の園長会に毎年参加している。例えば園児の上限が55人までの園など、いろいろな条件があったかと思う。毎年、名古屋市中区内からその条件をクリアした大体二、三園が応募していると思うが、連続して当たった園もあれば今まで5年くらい出しているが一回も当たったことがないという園もあるくらい倍率が高い。私たちの地域では、そのような自然体験をしたいがなかなかできない。これは、例えば予算的な問題なのか、受入れ側の会場、施設の問題なのか、なかなか私たちも明確に伝えることができず、非常に答えに困っている。
例えば、応募者が今後増加していくことが考えられると思うが、どのように対応していくのか伺う。
【理事者】
もりの学舎ようちえんについて過去に増やしてきた経緯を説明すると、もりの学舎ようちえんは、2018年度から募集数を20組から30組に拡大した。また、一日もりの学舎ようちえんは、2020年度から募集数を10団体から12団体に拡大し、森の伝道師派遣は2020年度から募集数を15団体から20団体、2021年度からは22団体、2022年度からはさらに24団体へ拡大をしている。
これらのメニューの募集数の増加については、施設であるもりの学舎の施設受入れ能力の制限に加えて、対応可能なインタープリターの人数がネックとなっている。そうしたことから、今年度は、未就学児童にも対応可能なインタープリターを4年ぶりに養成することとし、応募者の参加希望に柔軟に対応できる体制を整備する。なお、もりの学舎ようちえんなどで選外になった場合には、常時開催している一、二時間の自然体感プログラムを案内するなど、希望に応じて可能な範囲で柔軟に対応している。
そのほか、それぞれの園や環境学習施設で、もりの学舎で行われているようなプログラムを行うことができるよう、保育士、幼稚園教諭、環境学習施設職員等を対象とした指導者研修も引き続き実施していく。
【委員】
インタープリター、いわゆる引率する専門家の数が一つのネックになっているので、これを4年ぶりに今から育成すると答弁があった。最後に、育成する具体的な人数と、例えばこのインタープリターを育成することによってどれぐらいの枠が増やせるのか、分かる範囲でよいので答弁してほしい。
【理事者】
インタープリターの養成する数については、20人を予定している。先ほど答弁したが、未就学児童にも対応可能な者を中心的に育成、養成していくことを考えている。対応可能な枠までは今のところはっきりとは言えないため、答弁できない。
【委員】
答弁できないということなので要望にとどめるが、学びたいと思っても学べないという現状であると思う。せっかく園のほうから申出がある事業である。もちろん答弁にあったとおり施設側の受入れのキャパシティの問題もあることだが、今の答弁でインタープリターを育成して幾つか枠を増やすことは可能であるように感じた。これに限らず、別の機会を通じて、子供と言っても未就学児くらいからのできるだけ早い段階で、環境について勉強する機会をどんどん創出するよう要望する。
【委員】
環境局の今年度の最大テーマの一つであろうあいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)について、これまであまり議論されてこなかったと思う視点で二、三点質問する。
一昨年の12月に大幅に改定したあいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)であるが、これに改めて目を通すと、この戦略がいかに広い分野で、産業も含めた県民生活のありようを含めて、愛知という地域社会に非常に大きな変化を求めていることを改めて感じる。例えば、新たに戦略の基礎として2013年度比での本県のCO2の排出量マイナス46パーセントという目標が設定されたが、これは2013年から目標年度の2030年までの期間のちょうど中間年になる2021年度段階の実績から言うと、2021年度段階では、いろいろな施策を動員して取り組んだ結果が2013年度比でマイナス15パーセントをやっと達成した状況であった。それを、残りの9年でマイナス46パーセントにする、つまりこれまで削減した量の3倍を削減しようという、本当に異次元のという言葉を使いたくなるような目標である。
そして、これには家庭部門などいろいろな部門別に目標値が定められているが、この戦略の視点に図らずもきちんと書いてあるとおり、先日の所管事項説明会でも言ったように、温室効果ガスを排出している9割以上はエネルギー生産が起源である。要するに、エネルギーを生み出す、熱や動力を引き出すために、化石燃料を燃やしてCO2を出している。言葉を変えて言えば、温室効果ガスの排出を削減することは、エネルギー問題そのものである。
そういった観点で、端的に言えば、使うエネルギーを減らすという省エネルギー、それから化石燃料から再生可能エネルギーに大胆にシフトして再生可能エネルギーの可能性を極大化すること、それともう一つはこれからの技術革新の課題ではあるが、エネルギーをためる、いわゆる蓄エネルギー、この三つがエネルギー問題としての地球温暖化問題の三テーマだと言える。
そこで、再生可能エネルギーの中でも、これまで本委員会を含めてあまり議論してきていないと私が思っている小水力発電に着目して伺う。
資源エネルギー庁の様々なデータには、都道府県別でどの県にどのような再生可能エネルギーのポテンシャルがあるのか調査したデータがあり、これによると、愛知県の場合は太平洋側に面していることから、まずは太陽光発電に非常に適した立地である。現に、住宅用の太陽光発電設置基数はずっと全国一を誇っており、可能性がくみ尽くされているとまでは言わないが、かなり取り組まれてきたテーマである。
もう一つが水力である。矢作川、豊川、県内を流れている川ではないが木曽川も含めて、非常に大きな河川に恵まれ、それを農業用水路として愛知県の全域に行き渡るように水路が整備されて農業生産物を生み出している立地から、大きなダムを造って行う水力とは別に、中小水力、特に農業水路を使った水力発電に大きな可能性があると、資源エネルギー庁も言っている。
そのため、今まで農林水産委員会では時々議論されているが、当委員会ではあまり議論されていない。そこで、本県における小水力発電の現状、県内における設置基数や、今後小水力発電をさらに普及させていくための県の取組について伺う。
【理事者】
本県における発電出力1,000キロワット未満の小水力発電については、これまで電気事業者により設置されるとともに、最近では県とその他の団体の協力により農業水利施設や水道関係施設等に設置されてきた。主なものとして、中部電力株式会社によるものが8か所で4,780キロワット、農業水利施設に係るものが15か所で2,030キロワット、水道関係施設に係るものが8か所で312キロワットの小水力発電が稼働している。
また、本県においては、2021年にあいちカーボンニュートラル戦略会議を設置するとともに、幅広い事業、企画アイデアを募集し、その第1号プロジェクトとして矢作川・豊川カーボンニュートラルプロジェクトを選定した。このプロジェクトでは、建設局等を中心に、流域における水循環をキーワードとして、流域の関係者が一体となりカーボンニュートラルの実現を目指す取組を進めている。その中で、小水力発電に関しては、豊田市内の木瀬ダムにおいて、既設の放流管を活用しその設置に向けた検討を進めている。
また、同プロジェクトでは、水インフラ空間を活用し、再生可能エネルギーの創出等に関して実証実験を行う意欲がある法人からの提案を幅広く募集するサウンディング型市場調査も新たな取組として行っている。
本県としては、引き続き小水力発電をはじめとする再生可能エネルギーのさらなる導入拡大に向け、関係部局等とも連携して進めていきたい。
【委員】
それなりに取組を行っていることはよく分かった。この戦略の中で愛知県における再生可能エネルギーの導入実績及び2030年度における予測導入量という表を見ると、今、農業や農業外の水路を含めて7,000キロワット弱と紹介があったが、目標ではない導入予測量として小水力発電に関して挙げられた数字は僅か1万キロワットである。現在、既に7,000キロワットくらいつくっているのに、もうほぼその直後の2030年の目標で、あと二、三割増やせば達成できるような数字になっている。これは、再生可能エネルギーの導入目標としての予測値であるということは、結局、今のこの傾向が続けば、自然に2030年度までにこれくらいの量になるだろうという値であって、目標ではない。私は、もっとこの小水力発電の目標値を高く設定し、農業以外のいろいろな促進策を設ければ、まだまだ愛知県内には再生可能エネルギーの開発可能性があると思っている。
そこで一つの提案、要望であるが、各県のいろいろな制度を調べてみると、佐賀県において佐賀モデルというものが提唱されており、これがどのようなものかと言うと、非常に小さな地域主体での小水力発電である。佐賀県は、恐らく本県よりもさらに山間部が多くて平地が少ない小さな県である。その中で小川のような流れや水路のようなもの、30キロワットとはかなり小さいので、数十万円の投資でもすぐできる程度のものであり、県内全域からその可能性をくみ尽くそうとしている。佐賀モデルの特徴は、佐賀県全域でどの水路にどれほどの水量があって、発電可能性の事業性がどの程度あるかを、県が調査する。
県が調査した上で、それを公開し、ここの水路にはこのような可能性があるが、これを行う人はいるかと公募する。そして、民間のいろいろな事業者やNPO、地域の村落共同体のようなものが、それに手を挙げて応募して水力発電を始める。これは先ほど言ったとおり中小の中でもさらに小さい、これはもうピコやマイクロ水力といった感じであるが、それだけに、個人あるいは本当に小さな村落の何軒かが協力してつくる母体でもできる、非常に小規模の投資と手間でできる可能性をくみ尽くそうというモデルである。愛知県の場合はどうしても大きな県なので、大きなプロジェクトで何十万キロワットといったものを幾つかつくることになりがちだと思うが、これはもっと小さい規模の水力発電の可能性をくみ尽くすモデルとして研究してみてほしい。
そして、小水力発電の2030年度の導入目標数値は、ぜひ予測値ではなく目標数値をかなり高めに設定し、それに向けての取組を始めてほしい。
続けて、もう一つは、かなり新しい課題である風力発電、その中でも洋上風力である。残念ながら、この戦略の中に風力はほとんど触れていない。恐らくこの段階ではまだ、どの辺りに立地の可能性があるのか、国がいろいろリサーチをしていたが、まだそれが定まらない中で戦略に組み込むことができなかったという事情だと思う。しかし、これは近年急速に変わった。先頃の政府の発表によると、幾つか事業化が可能な風力発電の適地の一つに愛知県の渥美半島の田原市、豊橋市の沖合が選ばれた。事業化の実証事業が始まるという話があり、私も非常に注目した。
この豊橋市や田原市の沖でこれから実証事業が始まろうとしている洋上風力発電の概要について、県として把握していることを伺う。
【理事者】
浮体式洋上風力実証事業については、経済産業局が中心となって進めているが、昨年3月に県から国に対して、田原市・豊橋市沖をその候補海域の一つとして情報提供、応募し、10月に候補海域の一つとして選定された。その後、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が本年3月まで事業者の公募を行い、審査を進めた結果、今般同海域での実証事業計画で応募していた民間事業者のコンソーシアムが実施予定先として選定されたものである。
今回、太平洋側で唯一行われる浮体式洋上風力実証事業となり、国内の洋上風力発電では最大規模の大型風車1基が運転される計画となっている。この実証事業では、実証期間の2030年度までに、当海域の一定状況下で浮体式洋上風力を国際競争力のある価格で商用化する技術の確立を目指すものとなっている。
【委員】
改定されたばかりの戦略ではあるが、私は、この戦略からさらに先を見通した上で、洋上風力の可能性はこの中に組み込んでいくべき非常に大きなテーマだと思っている。ちなみに、最近、大村秀章知事が発行したダイバーシティ興国論という本を読んだ。私も少し驚いたが、この中で風力という宝物という項目を設けて、最新の動きを大村秀章知事が非常に細かく言及している。それを読んで、私も認識を新たにしたが、世界的に見ると、ヨーロッパでは既に遠浅の海を利用して洋上風力発電が相当進んでいるが、その流れはアジア、特に中国なども含めて世界的に洋上風力発電へ注目が集まっている。残念ながら日本では、かつて風力発電の装置を手がけていた三菱重工業株式会社や株式会社日立製作所といった大手電機メーカーがいずれも風力発電設備の製造から撤退してしまい、ほぼ中国一手である。
そのような状況であるが、大村秀章知事がこの本の中で述べているように、世界的にはものすごく大きなポテンシャルを目指して、風力発電、洋上風力発電の開発を巡る競争が始まっており、日本は大きく出遅れている。これだけ四方を海に囲まれた地勢上の地位にありながら、この洋上風力を今まで全く利用してこなかった。そして、ものづくり国として、メーカーサイドも発電装置から撤退しているという現状は、非常に憂慮すべき事態だと思う。
そこで、戦略上いろいろな数字が紹介されているが、洋上風力発電の可能性は、経済産業省が一所懸命に調べた数字を見ると、洋上風力だけで2040年には最大4,500万キロワットの発電を目指している。これは大型の火力発電所や原子力発電所の大体30基分である。それほどの勢いで国、経済産業省が目標を設定して取り組もうとしており、これにグリーントランスフォーメーション(GX)の2兆円という資金を投入しようとしている。当然、これに愛知県がアプローチしないではいられないわけで、この辺りについて、将来に向けて特に国が実証事業として認めたこの洋上風力の可能性について、もう少し戦略的な洋上風力の位置づけ、見方について県の環境局の立場を伺う。
【理事者】
現在、あいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)に基づき、2030年度を目標に進めている。洋上風力については、現在、2030年度までに実証を行い、その後取組を進めていくと思う。また、今後、我々も2050年のカーボンニュートラルあいちを目指しているので、その中で可能性について引き続き検討していきたい。
【委員】
今言ったように、2030年度は当面の戦略の目標であるが、ゴールは2050年である。2050年までに完全にニュートラルにしようと言っている。この種の取組は、二、三年でどうにかなるような話ではない。ほかの局が大きく関わってくるが、その取りまとめをしているのは環境局であるので、あいち地球温暖化防止戦略2030を改定したばかりとはいえ、2030年度目標のその次を見据えた戦略的な立場の位置づけを行うよう取組をお願いしておきたい。
もう一点、今度は非常に卑近な話で、住宅の断熱化について、私自身の体験を少し披露して、他の委員にも県にも推進の材料としてほしい。私は、築50年以上の非常に古い木造住宅の一戸建てに住んでおり、家も傾き始めて隙間風が非常にある。冬場の隙間風の寒さや結露、また、夏場はクーラーの効きの悪さに非常に悩んでいたが、名古屋市を通じて国の二重窓の改修の補助金を活用し、一番家族がいる率の高い居間とダイニングの3面をガス入りのガラスで二重窓にするという窓の断熱工事を去年12月に行った。
今言ったように、私の家は本当に非常に隙間風の吹く寒い家だったので、それまでの年は灯油ストーブで大体20リットルくらいの灯油を買ってきて、月にそれを2缶ほど消費していた。朝から晩まで燃やしているので、大体一冬で灯油を100リットル以上消費していたが、去年から今年の冬場は、灯油ストーブを一回も倉庫から出すことなく冬を越せた。断熱効果がやはりすごい。エアコンは少し使うが、灯油ストーブが要らないくらいの保温効果がある。おまけに、遮音効果もあり、我が家も道路に面しているので結構うるさいが、外の音や、家の中の音も外に聞こえない。この断熱効果と遮音効果はすごいと思う。100リットルの灯油を燃やさずに一冬を越したこと、これが我が家の具体的なCO2削減の実績である。断熱によって、この夏のエアコンの消費をどれくらい抑えられるか、非常に楽しみにしている。
この戦略の中にも、建物の断熱化でネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化の中の一つとして窓の断熱改修工事が書いてあるが、ホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS)や何百万円もする蓄電池を入れるなど、いろいろとかなり大きな投資が必要なことが書いてあるが、非常に単純に効果が確認でき、なおかつ家の大きさにもよるが、断熱効果がすぐ体感できる窓の改修について伺いたい。
さきに言ったとおり、これは大体3割くらいを補助してもらえる国の制度があり、私は名古屋市を通じてこれをもらったが、断熱改修という窓の改修について県は今までどのような取組を進めてきたのか。
【理事者】
住宅の断熱窓改修については、建築局が既存住宅の省エネルギー化を推進することを目的に、本年度新たな補助制度として民間住宅省エネ改修事業費補助金を創設し、省エネ基準やZEH水準に適合する断熱窓改修等に対し、国、市町村と協調して補助を行う。
今年度は、春日井市、豊田市、蒲郡市、東海市の4市が補助を行っており、そのほかにも現在補助の実施を検討している市町村があると聞いている。また、環境局においても、温室効果ガスの排出量を削減し、地球温暖化防止に寄与することを目的に、住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金の補助対象の一つとして、太陽光発電施設、HEMSと断熱窓改修工事の一体的導入に対して市町村と協調して補助を行っている。
さらに、これら補助制度のほか環境に配慮した住宅の普及を目的として、あいち住まいるフェアや商業施設のイベント等において、県民に対し環境に配慮した住宅のメリット等について啓発を行っている。引き続き、環境局、建築局等の関係局が協力、連携し、市町村の意向を踏まえ適宜補助制度の見直しの検討を行うとともに、環境に配慮した住宅の普及啓発等を行い、住宅の脱炭素化を推進していく。
【委員】
今、私なりの角度からいろいろな提案や質問をしたが、やはり農林基盤局や建設局、経済産業局など、県の持てる各分野の総力を本当に結集しないと達成できない大きな目標、戦略である。所管事項説明会でも言ったとおり、こうした全庁的な各局の連携の要になるのは、環境局で間違いないわけである。最後に、今言ったような各施策の角度から2030年度目標を達成し、そこからさらに2050年に本当のカーボンニュートラルという大きな目標に向かって、全庁的に県庁の総力を結集するために、局長の決意を伺う。
【理事者】
決意ということで、小水力発電の話もあったが、最初の洋上風力発電については、大村秀章知事の話を引用したとおり、今、愛知県にある碧南火力発電所や武豊火力発電所の石炭火力、1基100万キロワットに並ぶものとしては、やはり洋上風力発電しかないのではないかということは、当初から大村秀章知事もよく分かっている。今回、豊橋市、田原市沖で行う1基は15メガワット、つまり1万5,000キロワットの洋上風力発電であり、これがヨーロッパのように100基並べば150万キロワットとなり、十分石炭火力発電や原子力発電に並ぶ発電力があるということで大変有望だと思う。2030年には、アセスメントや建設が間に合わないので戦略には書いていないが、当然それは可能性のあるものとして考えており、経済産業局とともに、そのような設備が導入できるように促進を支援していきたい。
また、例えば断熱窓の話について、戦略では家庭部門は8割削減という非常に高い目標を掲げている。データ的なことを言うと、委員の話にもあった家庭におけるCO2の排出量は、全体で一番多いのは電気であり、照明や冷蔵庫などが一日中ついているので、それが約4割、5割を占める。それに次いで冷暖房が4分の1程度あるので、それもしっかりやっていかなければならない。今回は建築局が国費を導入でき、財源を使えるということであったので、それを有効に使わせてもらい、補助制度を創設した。これに限らず、いろいろな分野で導入できるものについては、環境局としても庁内連絡会議も使って、カーボンニュートラルに向かって進めるように十分な体制を支援していきたい。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年6月25日(火) 午後0時58分~
会 場 第6委員会室
出 席 者
平松利英、村嶌嘉将 正副委員長
坂田憲治、伊藤辰夫、青山省三、いなもと和仁、ますだ裕二、
柳沢英希、高木ひろし、河合洋介、園山康男、阿部武史 各委員
環境局長、同技監、環境政策部長、地球温暖化対策監、資源循環推進監、
関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
なし
○ 閉会中継続調査申出案件
1 文化芸術の振興及び文化財の保護について
2 青少年の健全育成及び県民・NPOとの協働の推進について
3 男女共同参画社会の形成の促進について
4 生活環境及び自然環境の保全について
5 地球温暖化対策について
6 県民文化局及び環境局の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 一般質問
3 閉会中継続調査申出案件の決定
4 閉会中の委員会活動について
5 閉 会
(主な質疑)
《一般質問》
【委員】
あいちエコアクション・ポイント事業について伺う。
あいちエコアクション・ポイント事業は、約1年半前にスタートした事業であると承知している。この事業は、県民の脱炭素、循環型ライフスタイルへの転換や行動変容を促すため、環境負荷の小さい商品を優先的に購入するグリーン購入や、プラスチック製カトラリー類の辞退など、環境配慮行動、エコアクションに対して県独自のポイント、エコアクション・ポイントを発行する事業と理解している。
現在、この事業において夏季取組強化キャンペーンを実施中であると承知しているが、そこでまず、今までの取組状況や成果を伺う。
【理事者】
あいちエコアクション・ポイント事業について、参加者数は、昨年度末の目標5万人に対して、実績は約8,600人であり、目標を大きく下回っている。参加店舗数については、同じく昨年度末の目標7,000店舗に対して、実績は約4,700店舗であり、目標を下回っている。
本事業が対象としている環境配慮行動であるエコアクションは五つあるが、昨年度末時点でグリーン購入は約16万回、プラスチック製カトラリー類の辞退は約12万回、飲食店での食べ残しゼロは約2万回、そのほか使用済みクリーニングハンガーの返却や、フードバンク等への寄付も合わせて、合計約32万回のエコアクションがこの事業によって行われている。県民がエコアクションを始めるきっかけづくりに一定程度寄与しているものと考えている。
【委員】
今までの取組状況から見えてきた今後の課題はどのようになっているのか。また、今回の夏季取組強化キャンペーンを実施するに当たり、どのようなことを狙いとして、具体的にどのような取組をしているのか。
【理事者】
参加者数、参加店舗数とも目標を達成していないことから、事業自体が県民に十分認知されていないこと、及び参加店舗数が増やせていないことが課題と考えている。そのため、宣伝の方法や頻度を増やすなど、県民の参加意欲を高めるキャンペーンなどの仕掛けをさらに充実させ、参加したいと思わせるようにPRを強化したい。併せて、参加店舗を増やすために、大手チェーン店等の事業者への協力要請や、名古屋商工会議所などの各種団体に働きかけることによって、その加盟店に事業の参加を依頼することなどを考えている。
この取組強化キャンペーンについては、この事業をより多くの県民に認知してもらい、参加したいと思わせることを狙いとして、昨年度は夏季と冬季にそれぞれ1か月間実施した。その昨年度の冬季のキャンペーン期間中、広報あいち12月号の新聞掲載、県の公式LINEでの情報提供、NHKのテレビ番組おはよう東海、ラジオ番組2局などで取り上げられ、この事業のウェブサイトへのアクセス件数が通常期の1.5倍と増えた。
そうしたことから、今年度も取組キャンペーンを夏季と冬季に行うこととし、現在、夏季を実施しているところであり、キャンペーン期間中には、通常商品のQUOカードが合計100人に当たることに加えて、中日ドラゴンズの公式戦のペアチケットをはじめ、スギ薬局の商品券、花とみどりのギフト券など、企業からの協賛品を10種類、合計89人分を限定賞品として用意している。
今回のキャンペーンの宣伝についても、前回と同様、広報あいち6月号の記事として6月2日の新聞に掲載した。また、6月21日には、県の公式LINEでも情報提供をした。そうした取組に加え、今年度新たに大村秀章知事による広報あいちの紹介動画でも配信し、6月27日には県の広報番組である東海テレビの村上佳菜子の週刊愛ちっちで放映される予定である。また、この期間中新たにウェブサイトのトップページを、キャンペーンを宣伝するものに変更して県民の目を引くようにし、更に新たな取組として、このキャンペーン期間中に合わせてウェブ広告を6月21日から掲出している。
【委員】
確かに県民への周知については、答弁の目標値と実績値を比較すると、まだまだ足りないところが多いと私も考える。ただし、まだ始まって1年半と考えると、8,000人を超える登録者があることは、少ないというより高い目標値に対して努力してきた結果であると思う。また、先ほどの答弁にあったエコアクションの数として32万回という数字も、1年半と考えるとそれなりに大きい実績であると思う。
そこで、本事業の実施に当たり、参加している企業、店舗側等はどのようなことを行っているのか、また、企業側の参加することのメリットはどのようなものがあるのか、そして実際に参加している企業からはどのような声が県に届いているのか伺う。
【理事者】
まず、参加している店舗においては、その店舗の分かりやすい場所に2次元コードが記載されているポップを設置してもらい、参加者がポイントを獲得できるようにするとともに、宣伝用のポスターを掲示してもらっている。また、一部の企業からは、年2回のキャンペーンの実施に当たり協賛品を提供してもらっている。
事業参加のメリットとしては、まず、一点目として、環境配慮行動を推進している企業であることをPRすることができ、企業のイメージアップにつながること。二点目として、エコアクション・ポイントの取得を目的とする県民が来店することによって、新規の顧客やリピーターの獲得が見込まれること。三点目として、本事業のウェブサイトに店舗情報が掲載されるので店のPRができること、以上三点が挙げられる。
また、新しい取組として、協賛品提供企業である味の素AGF株式会社とコラボして、AGF製品とあいちエコアクション・ポイント事業を併せて宣伝するポップを作成してもらい、そのポップをあいちエコアクション・ポイント事業の参加者であるV・ドラッグの店頭において、商品陳列に併せて掲示した。このような取組をより一層増やしていくとともに、今後、参加店舗等からヒアリングを行うことによって、取組を進めて改善していくための参考としたい。
【委員】
県側、そして企業側からも、拡大のために努力してもらっていると聞いた。
今回の質問をするに当たり、この事業を紹介するチラシやキャンペーンの記者発表資料を見たが、どうしてもエコアクション・ポイントやキャンペーンといったワードの文字が非常に大きく、様々な賞品に応募可能といった文字が多くて、それがどうしても目についてしまった。例えば、日頃から環境問題に興味のある県民であればその活動にすぐ直結して、ホームページにもアクセスして参加してもらえると思うが、気のない人、関心のない人は、文字だけ見てもなかなか行動変容につながらないのではないか。少しでも県民に参加をしてほしいと思う。
目標数値が5万人と非常に大きな数字であり、よい取組である。そのため、目標到達に向けて、今回取組キャンペーンで提供された、例えば中日ドラゴンズの公式戦のペアチケットなどをもう少し全面的に文字で起こして見えるようにすると、全く興味、関心のない人も、中日ドラゴンズのチケットが当たると興味を持つかもしれない。また、野球があるのであれば、例えばサッカーやラグビーといったところにも広げて、観戦チケットなどから気を引いて入ってもらうのも一つの手だと思う。
今後、活動をしていく中で、PRの仕方や見せ方について県当局としてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
まず、これまでも行っているが、広報媒体であるテレビやラジオの番組による宣伝を行っていきたい。また、最近ではSNSで情報収集する人の割合が増えていることから、本県の公式SNS配信に加え、このたび新たに実施しているウェブ広告など、拡散力が大きく即時性の高い方法で工夫していきたい。
そのほかにも、スーパーやドラッグストアの広告チラシの片隅に本事業を掲載してもらう、店頭でのキャンペーンを実施するなど、広く県民の目に入る方法でPRができないか、いろいろと宣伝方法を考えていく予定である。
【委員】
この事業に対して環境局がすごく力を入れて頑張っていると思うが、最後に要望する。多分皆もそうだと思うが、私も電車に乗ると吊り広告が目にとどまる。例えば、旅行に行くチラシであれば、行き先のきれいな景色から旅行につながっていくように、視覚に訴えるものが必要だと思う。
活動は活動で大事だが、雑誌やテレビでもよくあるのは、商品や景品が当たるのであれば、やはりそのようなところをしっかりと見せて、関心のない人も引き込んでいく。ホームページを見るとどうしても全体的に文字が多いので、例えば今回野球のチケットがメインであれば、許可を取れれば、野球の試合中の写真などをバックにして、野球の観戦チケットに目がとどまるように、形から引き込んでいけたらよいと思う。
登録のきっかけが、環境に配慮した行動に興味、関心があるにしろ、ないにしろ、一人でも多くの人に環境への配慮行動であるエコアクションを、まずは実践してもらうことが第一前提だと思う。また県民への見せ方、それが答弁にあったネットを通してでもよいので様々な工夫をしてもらって、多くの人々をこの環境活動に巻き込んで、よい結果が出る事業にしてほしい。
【委員】
衣浦港3号地廃棄物最終処分場について伺う。
公益財団法人愛知臨海環境整備センター、AICHI SEASIDE ENVIRONMENT CENTERの頭文字をとってASECと言われるが、これは、愛知県と名古屋市、知多市、武豊町、碧南市、名古屋港管理組合といった関係する地方公共団体と、臨海工業部の企業を中心に48社が出資をしてつくった公益法人であり、このASECが現在、廃棄物の最終処分場として2010年度から供用開始した衣浦港3号地を使って受入れをしていると聞いている。
そして、この武豊町の沖合に隣接している衣浦港3号地廃棄物最終処分場においては、当初は2010年度から2023年4月までの約13年間の予定で廃棄物を埋め立てる計画とされていたが、2022年度に埋立ての期間を延長した。2033年4月までと10年間後ろ倒しする計画に変更して、現在に至っている。まず初めに、当初の計画を延長した経緯について伺う。
【理事者】
衣浦港3号地廃棄物最終処分場は、開業当初からのリーマンショックや、東日本大震災による景気低迷の影響、3Rの進展による最終処分量の減少により、計画搬入量を大きく下回る状況となっていた。こうしたことから、当初計画の中間年となる2016年度末時点で管理型区画の残余容量は約8割、残り2年となる2020年度末時点で約5割となっており、埋立期間の延長も視野に入れながら計画搬入量を確保する努力を継続してきた。
2021年度に近年の搬入トレンドを基に埋立期間を見直したところ、埋立終了時期が2032年頃になると見込まれたため、2033年4月までの10年間埋立期間の延長を行った。
【委員】
私も今聞いたとおりの経緯だと理解している。リーマンショックや東日本大震災があり、3Rの浸透によって最終処分する廃棄物が減ったなど、いろいろな要因があってのことだと聞いたが、当時受入れスタートして13年間でいっぱいになる予定だった。この中間年くらいだと思うが、平成29年に県議会で自民党の委員、私の地元の先輩議員であるが、産業振興・環境対策特別委員会において質問している。
かいつまんで言えば、当時13年間の計画の折り返しの年になるので、これがまたいっぱいになった後の次のこと、ネクスト衣浦港3号地をそろそろ考えていかなくてはいけないのではないかという質問をした。そして、先ほどの理事者の答弁と同じような答弁があったと議事録に書いてあった。要するに、当初、平成23年3月に全面供用したのはよいものの、6年間の折り返しになったが、当初の計画よりも受入れ量、要するに埋立てがすごく少ない。折り返しなので半分程度埋まっているかと思ったが2割程度しか埋まっておらず、残余率がまだ8割程度あるので、当初の計画だと折り返しの年度だが、後ろ倒しも出てくるかもしれないという答弁があったと理解している。
その際に、当時の理事者は、ネクスト衣浦3号地は、こうした理由でまだ余裕があるので、具体的な検討には至っていないが、やはり公共が関わる最終処分場は必ず必要になってくるという答弁があった。そのため、まだ具体的に何か検討に入るというタイミングではないが、必ず必要になってくるので、そのような状況を見極めていくことにしたいと、はっきり答弁があったと聞いている。
翻って、現在で言うと、今余裕があるのでかなり後ろ倒しにして、延長したはずだが、今年の4月からは逆に搬入を制限するという状況になっている。委員も、まさに高浜市と東浦町との間にある場所なので、うんうんとうなずいているが、この現状、ホームページ等を見るとこの4月から搬入抑制を行っているようなので、この搬入抑制が今度はどういった背景で行うことになったのか重ねて聞きたい。
【理事者】
2022年度になり、一部の搬入事業者から想定外の搬入量の増加があったことから、埋立計画期間を先ほど答弁したとおり延長したにもかかわらず一転して早期に埋立てが終了するおそれが高まった。こうした状況を踏まえ、2023年3月に、県からASECに対し埋立計画期間まで計画的に廃棄物の受入れができるように搬入抑制等の効果的な対策を検討し、実施するよう依頼した。そのため、昨年度ASECにおいて搬入抑制の検討が進められ、本年度4月に割引制度の廃止及び事業者ごとに年間の搬入上限目標量を設けるキャップ制度を導入した。
【委員】
いろいろ言いたいこともあるが、今、キャップ制度という話が出た。多分、搬入抑制の総量規制を掛けるということだと思うが、このキャップ制度の概要について、もう少し詳しく聞きたい。
【理事者】
キャップ制度は、ASECの残りの埋立期間である今年度からの残り約9年間、安定的に廃棄物を受け入れるため、年間の総受入量を昨年度末の残余容量の9分の1に当たる約20万トンに抑える制度である。具体的には、過去の実績から年間搬入量1,000トン以上となる多量の搬入事業者は、産業廃棄物については約35パーセント、一般廃棄物については約16パーセント搬入量を削減してもらい、年間搬入量が1,000トン未満の事業者は、搬入量を過去実績まで抑えてもらうものである。
【委員】
これは苦言だが、今聞いてみても、やはり非常に打算的な感じがするのは否めない。要するに、残余容量があって、計画をもう立ててしまったので、年間で割ってここまでしか受け入れられないという規制がキャップ制度で、搬入抑制ということだと思う。もう一つは、ホームページには割引制度などを廃止したと書いてあるが、直近まで、例えば衣浦トンネルの割引券など搬入しやすい環境をつくっていた。当初、最初の数年、特に二、三年は予定よりかなり受入れが少なく、もっと活用してほしいので、割引セール、タイムセールみたいなものを使っていたら、知らないうちにというわけではないだろうが、すごく増えてしまい、今度はキャップをかけているということである。非常に矛盾というか不思議な経緯をたどったものだと思っている。
今回ホームページを見ても、衣浦港3号地廃棄物最終処分場の長期安定利用に関わる取組について、搬入事業者たちに向けて非常に丁寧に説明をしていると思う。処分場を利用している事業者、そしてもちろん自治体も利用している。愛知県内全域から最終処分場として埋め立てるために持ってきていると思うので、この辺りには理解、協力をお願いすると殊勝に腰低く書いてあるが、実際問題としてキャップ制度を開始したこの4月から、搬入事業者への影響は大丈夫なのか。もちろん、その分を他に持っていかざるを得ないわけなので、その辺りの現状はどうなのか。
【理事者】
ASECは、制度開始前の昨年度に個別説明やセミナーを開催し、搬入事業者や経済界に対して搬入量の抑制やキャップ制度の説明を丁寧に行い、制度開始に向けて対応策を検討するようにお願いをしてきた。4月の制度開始以降、今まで特に混乱もない状況であり、産業廃棄物や一般廃棄物の搬入事業者において一層の廃棄物の減量化やリサイクルの推進、またASEC以外への廃棄物の搬入など、それぞれに合った対応を行っており、影響は最小限に抑えられているものと考えている。
県としては、より一層の3Rの推進や、サーキュラーエコノミーへの転換を進めることで最終処分量の削減に取り組んでいく。
【委員】
丁寧に説明しており、特に現状は影響がないということだが、事業者からすれば、ASECで受け入れてもらえなければ、それはどこかに持っていかざるを得ない。もちろん好意的に捉えれば、よりごみを減らしていく方向に頑張ってほしいということで、それは非常によく分かり、そうなってほしいと私も願うが、現実問題、最終処分は行わないといけないので、もしかしたら県内外問わずどこかに持っていっていると推察するし、そのような声も聞いている。
元の話に戻るが、公共が関わる最終処分場が、切れ目なく廃棄物の受入れを行っていくためには、まずは計画性が大事で、このポスト衣浦港3号地を見ていかないといけない。様々な経緯があって延長、あるいは搬入抑制をしたと聞いたが、本来、当初の予定でいけば、2023年には受入れが終了しているわけであり、くしくも委員が質問した折り返しくらいのタイミングでは、まだ空いていて、まだまだいけるので延長したものの、次を探すときに苦労するのは目に見えている。衣浦港3号地廃棄物最終処分場が誕生したときも、地域との交渉や環境影響評価で非常にいろいろと時間をかけてようやくここに来た。その前は名古屋港南5区廃棄物最終処分場がいっぱいになって、切れ目なくこの衣浦へ今回移ってきたこともあるので、やはりこの次を見ていかないといけないと思う。
しかし、今は2033年4月まで埋立計画期間を延長しており、終わりはこれで決まっていて、そこを割り算して総量規制をかけて埋立てをしているので、残りで言えば9年を切っている。次期処分場計画には、様々な手続や工事が必要で、今、工事はすごく遅れており、ほかの工事を見ると供用開始までにはアセスメントだけでも三、四年など結構かかってくると思うので、次期処分場についても検討をしていかないといけないし、加速してほしいと思っている。この次期処分場についての検討状況は現状どうなっているのか。
【理事者】
次期処分場の検討状況については、県内全域を対象に法令等の土地利用規制、周辺の生活環境への影響、災害の防止、アクセスなどの様々な観点から検討を行っている。いずれにしても、次期処分場の整備には地元をはじめ、関係者の理解を得ることが大切であり、慎重に作業を進めていきたい。現時点ではまだ何も決まっていないが、切れ目なく廃棄物を受入れできるよう次期処分場の検討に努力していく。
【委員】
気持ちは非常に伝わってきた。まだ、なかなか表に出せる話はないかと思うが、水面下でいろいろな交渉も始められていると私は信じている。地元である衣浦港3号地の周辺の皆も大変関心が高く、翻れば愛知県内の全てが候補地と言ってもよい。どこになるかはまだ分からないが、やはり産業活動や県民生活に欠かすことのできないものであるというのは言われたとおりであり、民間事業者が民間のビジネスとして最終処分場を造っていくのには限界があり、信頼をどこまで担保できるかというのもあるので、公共が関わることは間違いなくこれからも必要である。
特に、先ほど地元の話もしたが、来週7月4日には衣浦ポートアイランド廃棄物最終処分場確保促進協議会も地元で行われ、県の担当も呼ばれているかと思う。地域の産業活動にとっても、臨海部の企業にとっても必要不可欠なものであるので、適宜適切な候補用地の選定をしてほしい。そして海水面であれば漁業補償など様々な交渉が出てくると思う。
山の中でもアセスメントなどに相当時間がかかってくることだと思う。現行の埋立てを計画どおりしっかり進めていき、恐らく過去の経緯を見れば、キャップをかけてもどうなるか分からない。もう現行の計画どおりやっていかないとなれば、もしかしたら受入れを増やして、計画期間の前にいっぱいになってしまう可能性もある。紆余曲折を経て、これでもう後ろ倒しにすることはないと思うので、ぜひ次期処分場を念頭にいろいろな動きをしてほしいと思う。我があいち民主県議団としても、予算提案や要望に次期処分場についてぜひ検討するよう入れていきたいと思っている。もちろん自由民主党も常にそう考えていると思う。我々地元議員としてもしっかりと応援し、バックアップしていきたいと思う。
【委員】
子供たちに向けた環境学習について伺う。
今月初旬に、私の地元である名古屋市中区の久屋大通公園広場で手羽先サミットというイベントが開催された。手羽先サミットでは、このイベントで出た、例えば手羽先の骨やごみを全てリサイクルし、堆肥にして名古屋市の花壇に戻すという取組をしており、この取組が認められて、恐らくイベントとして初めて愛知環境賞の特別賞を受賞したイベントであると認識している。この手羽先サミットでは、環境イベントも併せて毎回開催しており、子供たちが様々な機会を通じて環境について学びながら、食も楽しむという楽しいイベントになっているので、私も毎年参加している。
このイベントの環境ブースのステージイベントで、私にステージで大学生と対談してほしいという依頼があり、現役の大学生3人と環境について対談する機会を得た。この大学生が名古屋大学や愛知教育大学などで環境について専門的に勉強している学生だったので、私もなかなか質問に困ることがあった。
例えば、一つ難しい事例で言うと、今、フードバンクにたくさんの食材が寄附されるが、その中に添加物が多く入っているものが混ざっており、そういったものをフードドライブとしてどう説明して配るのかという大変難しい問題があった。これは、本来であれば企業がお金を出して廃棄するものを、フードドライブに寄附という体裁にしているのではないかなど、すごく答えに困るような難しい質問で、私も回答に困る中で、例えば添加物があって売れないようなものであれば、いずれ会社としても生産しなくなる。それは今すぐどうこうできる問題ではないが、そのうちそのような添加物が入って売れなくなれば企業側が作らなくなるので、その時期を待ってほしいという答弁をしたところ、もう環境問題は待ったなしなので、すぐできる解決策を教えてほしいと言われた。そのような環境意識の高い大学生と一緒に対談する機会をもらった。
終わった後に少し雑談した中で、なぜこんなに環境に対して意識が高いのか、勉強しようと思ったのかと聞くと、三人とも共通していたのは、小さい頃から様々な機会を通じて環境教育を受けていたと、口をそろえて言っていた。確かに、環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律第9条を見ると、環境教育の推進においては幼児期からその発達段階に応じてあらゆる機会を通じて環境の保全について理解と関心を深めることが重要であるとされている。特に、幼児期の環境教育では、生きる力の基礎を養う時期として自然の大切さ、美しさ、不思議さなどに直接触れる体験を通じて幼児の心が安らぎ、豊かな感情、好奇心、思考力、表現力の基礎が培われることが重要と、確かにここにも記載されている。
そこで、特に未就学児に向けた環境教育について、どのような事業を行っているのか伺う。
【理事者】
未就学児童についての環境学習であるが、愛・地球博記念公園内のもりの学舎において、未就学児童に対する自然体感を通じた環境学習プログラムとして、もりの学舎ようちえん、一日もりの学舎ようちえんという事業を実施している。このもりの学舎ようちえんは、未就学児童とその保護者を対象として、1年間を通じて森の案内人であるインタープリターと一緒に自然を体感してもらうプログラムを継続的に実施するものである。もう一つの一日もりの学舎ようちえんは、県内の保育園、幼稚園等を対象として、インタープリターが自然体感プログラムを実施するものである。
こういったもりの学舎で実施する事業のほかに、インタープリターが県内の保育園等が希望する場所に出向き、その場所に応じた自然体感プログラムを実施する森の伝道師派遣事業も実施している。そのほか、日常的に子供に接している保育士、幼稚園教諭、環境学習施設職員等を対象として、その保育園等で実施できる自然体感プログラムのノウハウ等を身につけられるよう、子ども自然体感活動指導者養成研修を実施している。
【委員】
私も以前、この一日もりの学舎ようちえんについて質問したことがある。この事業は、例えば名古屋市中区はどちらかというと自然の少ない地域であり、園庭も狭い。こうした中、一日もりの学舎ようちえんということで、愛・地球博記念公園の中のもりの学舎で、インタープリターが講師として一緒に森の中に入って、直接そういった体験をさせてもらえることは、本当に私たちの地域にとって貴重な経験であり、また本当に非常によい取組であると思う。これは、応援したいという立場からの質問であるが、こうした中でもちろん定員数があって、なかなか申し込んでも受けられない状況ではあるかと思うが、この各メニューの実施状況はどのようになっているのか。
【理事者】
まず、もりの学舎ようちえん、これは親子を対象にしたものだが、昨年度30組を募集し、2.1倍の64組から応募があって、30組実施した。今年度は同じく30組募集しており、2.4倍の71組から応募があった。
委員が言った一日もりの学舎ようちえんだが、昨年度12園を募集し、3.9倍の47園から応募があり、12園について実施した。今年度も同じく12園を募集し、3.2倍の38園から応募があった。
もう一つ、インタープリターが出向く森の伝道師派遣については、昨年度24園募集し、3.7倍の88園から応募があり、24園実施した。今年度も同じく24園について募集し、4.1倍の99園から応募があった。
最後に指導者養成研修だが、昨年度保育士向けのものが定員40人のところ、2.0倍の81人から応募があり、40人実施した。また、環境学習施設職員向けのものについても定員40人のところ、定員と同じく40人の応募があり、40人実施した。今年度についても、それぞれ定員40人ずつで募集する。
【委員】
かなり倍率が高いという印象を受ける。私も名古屋市中区の幼稚園の園長会に毎年参加している。例えば園児の上限が55人までの園など、いろいろな条件があったかと思う。毎年、名古屋市中区内からその条件をクリアした大体二、三園が応募していると思うが、連続して当たった園もあれば今まで5年くらい出しているが一回も当たったことがないという園もあるくらい倍率が高い。私たちの地域では、そのような自然体験をしたいがなかなかできない。これは、例えば予算的な問題なのか、受入れ側の会場、施設の問題なのか、なかなか私たちも明確に伝えることができず、非常に答えに困っている。
例えば、応募者が今後増加していくことが考えられると思うが、どのように対応していくのか伺う。
【理事者】
もりの学舎ようちえんについて過去に増やしてきた経緯を説明すると、もりの学舎ようちえんは、2018年度から募集数を20組から30組に拡大した。また、一日もりの学舎ようちえんは、2020年度から募集数を10団体から12団体に拡大し、森の伝道師派遣は2020年度から募集数を15団体から20団体、2021年度からは22団体、2022年度からはさらに24団体へ拡大をしている。
これらのメニューの募集数の増加については、施設であるもりの学舎の施設受入れ能力の制限に加えて、対応可能なインタープリターの人数がネックとなっている。そうしたことから、今年度は、未就学児童にも対応可能なインタープリターを4年ぶりに養成することとし、応募者の参加希望に柔軟に対応できる体制を整備する。なお、もりの学舎ようちえんなどで選外になった場合には、常時開催している一、二時間の自然体感プログラムを案内するなど、希望に応じて可能な範囲で柔軟に対応している。
そのほか、それぞれの園や環境学習施設で、もりの学舎で行われているようなプログラムを行うことができるよう、保育士、幼稚園教諭、環境学習施設職員等を対象とした指導者研修も引き続き実施していく。
【委員】
インタープリター、いわゆる引率する専門家の数が一つのネックになっているので、これを4年ぶりに今から育成すると答弁があった。最後に、育成する具体的な人数と、例えばこのインタープリターを育成することによってどれぐらいの枠が増やせるのか、分かる範囲でよいので答弁してほしい。
【理事者】
インタープリターの養成する数については、20人を予定している。先ほど答弁したが、未就学児童にも対応可能な者を中心的に育成、養成していくことを考えている。対応可能な枠までは今のところはっきりとは言えないため、答弁できない。
【委員】
答弁できないということなので要望にとどめるが、学びたいと思っても学べないという現状であると思う。せっかく園のほうから申出がある事業である。もちろん答弁にあったとおり施設側の受入れのキャパシティの問題もあることだが、今の答弁でインタープリターを育成して幾つか枠を増やすことは可能であるように感じた。これに限らず、別の機会を通じて、子供と言っても未就学児くらいからのできるだけ早い段階で、環境について勉強する機会をどんどん創出するよう要望する。
【委員】
環境局の今年度の最大テーマの一つであろうあいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)について、これまであまり議論されてこなかったと思う視点で二、三点質問する。
一昨年の12月に大幅に改定したあいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)であるが、これに改めて目を通すと、この戦略がいかに広い分野で、産業も含めた県民生活のありようを含めて、愛知という地域社会に非常に大きな変化を求めていることを改めて感じる。例えば、新たに戦略の基礎として2013年度比での本県のCO2の排出量マイナス46パーセントという目標が設定されたが、これは2013年から目標年度の2030年までの期間のちょうど中間年になる2021年度段階の実績から言うと、2021年度段階では、いろいろな施策を動員して取り組んだ結果が2013年度比でマイナス15パーセントをやっと達成した状況であった。それを、残りの9年でマイナス46パーセントにする、つまりこれまで削減した量の3倍を削減しようという、本当に異次元のという言葉を使いたくなるような目標である。
そして、これには家庭部門などいろいろな部門別に目標値が定められているが、この戦略の視点に図らずもきちんと書いてあるとおり、先日の所管事項説明会でも言ったように、温室効果ガスを排出している9割以上はエネルギー生産が起源である。要するに、エネルギーを生み出す、熱や動力を引き出すために、化石燃料を燃やしてCO2を出している。言葉を変えて言えば、温室効果ガスの排出を削減することは、エネルギー問題そのものである。
そういった観点で、端的に言えば、使うエネルギーを減らすという省エネルギー、それから化石燃料から再生可能エネルギーに大胆にシフトして再生可能エネルギーの可能性を極大化すること、それともう一つはこれからの技術革新の課題ではあるが、エネルギーをためる、いわゆる蓄エネルギー、この三つがエネルギー問題としての地球温暖化問題の三テーマだと言える。
そこで、再生可能エネルギーの中でも、これまで本委員会を含めてあまり議論してきていないと私が思っている小水力発電に着目して伺う。
資源エネルギー庁の様々なデータには、都道府県別でどの県にどのような再生可能エネルギーのポテンシャルがあるのか調査したデータがあり、これによると、愛知県の場合は太平洋側に面していることから、まずは太陽光発電に非常に適した立地である。現に、住宅用の太陽光発電設置基数はずっと全国一を誇っており、可能性がくみ尽くされているとまでは言わないが、かなり取り組まれてきたテーマである。
もう一つが水力である。矢作川、豊川、県内を流れている川ではないが木曽川も含めて、非常に大きな河川に恵まれ、それを農業用水路として愛知県の全域に行き渡るように水路が整備されて農業生産物を生み出している立地から、大きなダムを造って行う水力とは別に、中小水力、特に農業水路を使った水力発電に大きな可能性があると、資源エネルギー庁も言っている。
そのため、今まで農林水産委員会では時々議論されているが、当委員会ではあまり議論されていない。そこで、本県における小水力発電の現状、県内における設置基数や、今後小水力発電をさらに普及させていくための県の取組について伺う。
【理事者】
本県における発電出力1,000キロワット未満の小水力発電については、これまで電気事業者により設置されるとともに、最近では県とその他の団体の協力により農業水利施設や水道関係施設等に設置されてきた。主なものとして、中部電力株式会社によるものが8か所で4,780キロワット、農業水利施設に係るものが15か所で2,030キロワット、水道関係施設に係るものが8か所で312キロワットの小水力発電が稼働している。
また、本県においては、2021年にあいちカーボンニュートラル戦略会議を設置するとともに、幅広い事業、企画アイデアを募集し、その第1号プロジェクトとして矢作川・豊川カーボンニュートラルプロジェクトを選定した。このプロジェクトでは、建設局等を中心に、流域における水循環をキーワードとして、流域の関係者が一体となりカーボンニュートラルの実現を目指す取組を進めている。その中で、小水力発電に関しては、豊田市内の木瀬ダムにおいて、既設の放流管を活用しその設置に向けた検討を進めている。
また、同プロジェクトでは、水インフラ空間を活用し、再生可能エネルギーの創出等に関して実証実験を行う意欲がある法人からの提案を幅広く募集するサウンディング型市場調査も新たな取組として行っている。
本県としては、引き続き小水力発電をはじめとする再生可能エネルギーのさらなる導入拡大に向け、関係部局等とも連携して進めていきたい。
【委員】
それなりに取組を行っていることはよく分かった。この戦略の中で愛知県における再生可能エネルギーの導入実績及び2030年度における予測導入量という表を見ると、今、農業や農業外の水路を含めて7,000キロワット弱と紹介があったが、目標ではない導入予測量として小水力発電に関して挙げられた数字は僅か1万キロワットである。現在、既に7,000キロワットくらいつくっているのに、もうほぼその直後の2030年の目標で、あと二、三割増やせば達成できるような数字になっている。これは、再生可能エネルギーの導入目標としての予測値であるということは、結局、今のこの傾向が続けば、自然に2030年度までにこれくらいの量になるだろうという値であって、目標ではない。私は、もっとこの小水力発電の目標値を高く設定し、農業以外のいろいろな促進策を設ければ、まだまだ愛知県内には再生可能エネルギーの開発可能性があると思っている。
そこで一つの提案、要望であるが、各県のいろいろな制度を調べてみると、佐賀県において佐賀モデルというものが提唱されており、これがどのようなものかと言うと、非常に小さな地域主体での小水力発電である。佐賀県は、恐らく本県よりもさらに山間部が多くて平地が少ない小さな県である。その中で小川のような流れや水路のようなもの、30キロワットとはかなり小さいので、数十万円の投資でもすぐできる程度のものであり、県内全域からその可能性をくみ尽くそうとしている。佐賀モデルの特徴は、佐賀県全域でどの水路にどれほどの水量があって、発電可能性の事業性がどの程度あるかを、県が調査する。
県が調査した上で、それを公開し、ここの水路にはこのような可能性があるが、これを行う人はいるかと公募する。そして、民間のいろいろな事業者やNPO、地域の村落共同体のようなものが、それに手を挙げて応募して水力発電を始める。これは先ほど言ったとおり中小の中でもさらに小さい、これはもうピコやマイクロ水力といった感じであるが、それだけに、個人あるいは本当に小さな村落の何軒かが協力してつくる母体でもできる、非常に小規模の投資と手間でできる可能性をくみ尽くそうというモデルである。愛知県の場合はどうしても大きな県なので、大きなプロジェクトで何十万キロワットといったものを幾つかつくることになりがちだと思うが、これはもっと小さい規模の水力発電の可能性をくみ尽くすモデルとして研究してみてほしい。
そして、小水力発電の2030年度の導入目標数値は、ぜひ予測値ではなく目標数値をかなり高めに設定し、それに向けての取組を始めてほしい。
続けて、もう一つは、かなり新しい課題である風力発電、その中でも洋上風力である。残念ながら、この戦略の中に風力はほとんど触れていない。恐らくこの段階ではまだ、どの辺りに立地の可能性があるのか、国がいろいろリサーチをしていたが、まだそれが定まらない中で戦略に組み込むことができなかったという事情だと思う。しかし、これは近年急速に変わった。先頃の政府の発表によると、幾つか事業化が可能な風力発電の適地の一つに愛知県の渥美半島の田原市、豊橋市の沖合が選ばれた。事業化の実証事業が始まるという話があり、私も非常に注目した。
この豊橋市や田原市の沖でこれから実証事業が始まろうとしている洋上風力発電の概要について、県として把握していることを伺う。
【理事者】
浮体式洋上風力実証事業については、経済産業局が中心となって進めているが、昨年3月に県から国に対して、田原市・豊橋市沖をその候補海域の一つとして情報提供、応募し、10月に候補海域の一つとして選定された。その後、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が本年3月まで事業者の公募を行い、審査を進めた結果、今般同海域での実証事業計画で応募していた民間事業者のコンソーシアムが実施予定先として選定されたものである。
今回、太平洋側で唯一行われる浮体式洋上風力実証事業となり、国内の洋上風力発電では最大規模の大型風車1基が運転される計画となっている。この実証事業では、実証期間の2030年度までに、当海域の一定状況下で浮体式洋上風力を国際競争力のある価格で商用化する技術の確立を目指すものとなっている。
【委員】
改定されたばかりの戦略ではあるが、私は、この戦略からさらに先を見通した上で、洋上風力の可能性はこの中に組み込んでいくべき非常に大きなテーマだと思っている。ちなみに、最近、大村秀章知事が発行したダイバーシティ興国論という本を読んだ。私も少し驚いたが、この中で風力という宝物という項目を設けて、最新の動きを大村秀章知事が非常に細かく言及している。それを読んで、私も認識を新たにしたが、世界的に見ると、ヨーロッパでは既に遠浅の海を利用して洋上風力発電が相当進んでいるが、その流れはアジア、特に中国なども含めて世界的に洋上風力発電へ注目が集まっている。残念ながら日本では、かつて風力発電の装置を手がけていた三菱重工業株式会社や株式会社日立製作所といった大手電機メーカーがいずれも風力発電設備の製造から撤退してしまい、ほぼ中国一手である。
そのような状況であるが、大村秀章知事がこの本の中で述べているように、世界的にはものすごく大きなポテンシャルを目指して、風力発電、洋上風力発電の開発を巡る競争が始まっており、日本は大きく出遅れている。これだけ四方を海に囲まれた地勢上の地位にありながら、この洋上風力を今まで全く利用してこなかった。そして、ものづくり国として、メーカーサイドも発電装置から撤退しているという現状は、非常に憂慮すべき事態だと思う。
そこで、戦略上いろいろな数字が紹介されているが、洋上風力発電の可能性は、経済産業省が一所懸命に調べた数字を見ると、洋上風力だけで2040年には最大4,500万キロワットの発電を目指している。これは大型の火力発電所や原子力発電所の大体30基分である。それほどの勢いで国、経済産業省が目標を設定して取り組もうとしており、これにグリーントランスフォーメーション(GX)の2兆円という資金を投入しようとしている。当然、これに愛知県がアプローチしないではいられないわけで、この辺りについて、将来に向けて特に国が実証事業として認めたこの洋上風力の可能性について、もう少し戦略的な洋上風力の位置づけ、見方について県の環境局の立場を伺う。
【理事者】
現在、あいち地球温暖化防止戦略2030(改定版)に基づき、2030年度を目標に進めている。洋上風力については、現在、2030年度までに実証を行い、その後取組を進めていくと思う。また、今後、我々も2050年のカーボンニュートラルあいちを目指しているので、その中で可能性について引き続き検討していきたい。
【委員】
今言ったように、2030年度は当面の戦略の目標であるが、ゴールは2050年である。2050年までに完全にニュートラルにしようと言っている。この種の取組は、二、三年でどうにかなるような話ではない。ほかの局が大きく関わってくるが、その取りまとめをしているのは環境局であるので、あいち地球温暖化防止戦略2030を改定したばかりとはいえ、2030年度目標のその次を見据えた戦略的な立場の位置づけを行うよう取組をお願いしておきたい。
もう一点、今度は非常に卑近な話で、住宅の断熱化について、私自身の体験を少し披露して、他の委員にも県にも推進の材料としてほしい。私は、築50年以上の非常に古い木造住宅の一戸建てに住んでおり、家も傾き始めて隙間風が非常にある。冬場の隙間風の寒さや結露、また、夏場はクーラーの効きの悪さに非常に悩んでいたが、名古屋市を通じて国の二重窓の改修の補助金を活用し、一番家族がいる率の高い居間とダイニングの3面をガス入りのガラスで二重窓にするという窓の断熱工事を去年12月に行った。
今言ったように、私の家は本当に非常に隙間風の吹く寒い家だったので、それまでの年は灯油ストーブで大体20リットルくらいの灯油を買ってきて、月にそれを2缶ほど消費していた。朝から晩まで燃やしているので、大体一冬で灯油を100リットル以上消費していたが、去年から今年の冬場は、灯油ストーブを一回も倉庫から出すことなく冬を越せた。断熱効果がやはりすごい。エアコンは少し使うが、灯油ストーブが要らないくらいの保温効果がある。おまけに、遮音効果もあり、我が家も道路に面しているので結構うるさいが、外の音や、家の中の音も外に聞こえない。この断熱効果と遮音効果はすごいと思う。100リットルの灯油を燃やさずに一冬を越したこと、これが我が家の具体的なCO2削減の実績である。断熱によって、この夏のエアコンの消費をどれくらい抑えられるか、非常に楽しみにしている。
この戦略の中にも、建物の断熱化でネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化の中の一つとして窓の断熱改修工事が書いてあるが、ホーム・エネルギー・マネジメント・システム(HEMS)や何百万円もする蓄電池を入れるなど、いろいろとかなり大きな投資が必要なことが書いてあるが、非常に単純に効果が確認でき、なおかつ家の大きさにもよるが、断熱効果がすぐ体感できる窓の改修について伺いたい。
さきに言ったとおり、これは大体3割くらいを補助してもらえる国の制度があり、私は名古屋市を通じてこれをもらったが、断熱改修という窓の改修について県は今までどのような取組を進めてきたのか。
【理事者】
住宅の断熱窓改修については、建築局が既存住宅の省エネルギー化を推進することを目的に、本年度新たな補助制度として民間住宅省エネ改修事業費補助金を創設し、省エネ基準やZEH水準に適合する断熱窓改修等に対し、国、市町村と協調して補助を行う。
今年度は、春日井市、豊田市、蒲郡市、東海市の4市が補助を行っており、そのほかにも現在補助の実施を検討している市町村があると聞いている。また、環境局においても、温室効果ガスの排出量を削減し、地球温暖化防止に寄与することを目的に、住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金の補助対象の一つとして、太陽光発電施設、HEMSと断熱窓改修工事の一体的導入に対して市町村と協調して補助を行っている。
さらに、これら補助制度のほか環境に配慮した住宅の普及を目的として、あいち住まいるフェアや商業施設のイベント等において、県民に対し環境に配慮した住宅のメリット等について啓発を行っている。引き続き、環境局、建築局等の関係局が協力、連携し、市町村の意向を踏まえ適宜補助制度の見直しの検討を行うとともに、環境に配慮した住宅の普及啓発等を行い、住宅の脱炭素化を推進していく。
【委員】
今、私なりの角度からいろいろな提案や質問をしたが、やはり農林基盤局や建設局、経済産業局など、県の持てる各分野の総力を本当に結集しないと達成できない大きな目標、戦略である。所管事項説明会でも言ったとおり、こうした全庁的な各局の連携の要になるのは、環境局で間違いないわけである。最後に、今言ったような各施策の角度から2030年度目標を達成し、そこからさらに2050年に本当のカーボンニュートラルという大きな目標に向かって、全庁的に県庁の総力を結集するために、局長の決意を伺う。
【理事者】
決意ということで、小水力発電の話もあったが、最初の洋上風力発電については、大村秀章知事の話を引用したとおり、今、愛知県にある碧南火力発電所や武豊火力発電所の石炭火力、1基100万キロワットに並ぶものとしては、やはり洋上風力発電しかないのではないかということは、当初から大村秀章知事もよく分かっている。今回、豊橋市、田原市沖で行う1基は15メガワット、つまり1万5,000キロワットの洋上風力発電であり、これがヨーロッパのように100基並べば150万キロワットとなり、十分石炭火力発電や原子力発電に並ぶ発電力があるということで大変有望だと思う。2030年には、アセスメントや建設が間に合わないので戦略には書いていないが、当然それは可能性のあるものとして考えており、経済産業局とともに、そのような設備が導入できるように促進を支援していきたい。
また、例えば断熱窓の話について、戦略では家庭部門は8割削減という非常に高い目標を掲げている。データ的なことを言うと、委員の話にもあった家庭におけるCO2の排出量は、全体で一番多いのは電気であり、照明や冷蔵庫などが一日中ついているので、それが約4割、5割を占める。それに次いで冷暖房が4分の1程度あるので、それもしっかりやっていかなければならない。今回は建築局が国費を導入でき、財源を使えるということであったので、それを有効に使わせてもらい、補助制度を創設した。これに限らず、いろいろな分野で導入できるものについては、環境局としても庁内連絡会議も使って、カーボンニュートラルに向かって進めるように十分な体制を支援していきたい。