委員会情報
委員会審査状況
県民環境委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年10月3日(木) 午後0時58分~
会 場 第6委員会室
出 席 者
平松利英、村嶌嘉将 正副委員長
坂田憲治、伊藤辰夫、青山省三、いなもと和仁、ますだ裕二、
柳沢英希、高木ひろし、河合洋介、園山康男、阿部武史 各委員
環境局長、同技監、地球温暖化対策監、資源循環推進監、
関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
なし
○ 閉会中継続調査申出案件
1 文化芸術の振興及び文化財の保護について
2 青少年の健全育成及び県民・NPOとの協働の推進について
3 男女共同参画社会の形成の促進について
4 生活環境及び自然環境の保全について
5 地球温暖化対策について
6 県民文化局及び環境局の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 一般質問
3 閉会中継続調査申出案件の決定
4 閉 会
(主な質疑)
《一般質問》
【委員】
生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)での活動について伺う。
生物多様性は、昨今ニュースやドキュメンタリーなど、様々なところで気候変動と並んで地球規模の問題として取上げられるようになってきた。
こうした中、我が国では、本年4月に生物多様性増進活動促進法が公布されている。この法律では、地域の生物多様性の保全活動を促進するため企業やNPO等様々なステークホルダーが生物多様性の保全に取り組む計画を作成し、それを国が認証する仕組みが構築された。
この施策の背景としては、2022年12月開催の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)において愛知目標の理念を引き継ぐ新たな世界目標として、昆明・モントリオール生物多様性枠組が採択され、その主要な目標の一つに30バイ30が盛り込まれたことがある。30バイ30とは、2030年までに世界中の陸域と海域のそれぞれ30パーセントを保全するという目標である。最近、ネイチャーポジティブという言葉をよく聞くが、生物多様性の損失を止め回復に向かわせることを意味しており、その実現のために世界中で30バイ30を達成するための様々な取組が進められている。
こうした状況の下、今月下旬に生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)がコロンビアで開催され、愛知県も参加すると聞いているが、どのような経緯、目的で参加するのか。
【理事者】
本県は、2005年に開催された愛知万博をきっかけに環境への取組を推進し、2010年には生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の開催地となった。COP10の開催以降、本県は毎回COP及びCOPの併催イベントである国際自治体会議に参加し、生物多様性の保全における州や県レベルの広域自治体の役割の重要性を大村秀章知事が世界に向けて発信するなどの活動を行ってきた。
また、大村秀章知事の呼びかけにより2016年には、先進的な広域自治体が集まり、愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合(GoLS)を設立し、広域自治体による生物多様性の保全の機運を高めてきた。
なお、現在は、愛知目標終了に伴い、名称を世界目標達成に向けた国際先進広域自治体連合に改名している。
今回のCOP16は、牧野利香副知事をトップとして参加することとしており、国際的な場でGoLSの取組や広域自治体の重要性をアピールするほか、産業県である本県の生物多様性保全の取組を紹介することで、本県と企業とのコラボレーションをはじめとする先進的な取組を広め、世界目標の達成に貢献していきたい。
【委員】
愛知県では、愛知万博以降、積極的に世界と連携して先進的な取組を進めていることが分かった。
こうした連携の下、2030年を目標とする昆明・モントリオール生物多様性枠組の達成に向けて世界中で様々な取組が行われているが、愛知県はどのような取組をしているのか。
【理事者】
昆明・モントリオール生物多様性枠組では、23の目標が採択されているが、その主要な目標の一つとして、陸域と海域のそれぞれ30パーセントを保全するという30バイ30目標がある。この目標を達成するため、国は民間等により保全されている区域を自然共生サイトとして認定する制度を2023年に開始した。そして、2025年からは、生物多様性増進活動促進法により法に位置づけ、自然共生サイトの活動計画を認定する制度に移行する。
この制度を促進するため、本県では、今年度、自然共生サイトとなり得る区域の調査や説明会を実施する予定としている。
また、産業が盛んな地域である本県の特性を踏まえ、生物多様性保全において優れた取組を行う企業を認証する制度を2022年度から運用している。企業による取組を積極的に後押しすることにより、自然共生サイトの拡大に貢献していきたい。
【委員】
世界目標の達成に向けて愛知県がいろいろと調査、説明会、また、企業認証と努力をしていることは理解した。
こうした努力をしている愛知県であるが、今回、牧野利香副知事がコロンビアでどのような活動をする予定なのか。
【理事者】
牧野利香副知事は、今月10月23日から31日までの渡航日程となっているが、そのうち10月26日にCOP16の公式併催行事として開催される第8回国際自治体会議に出席し、本県やGoLSの取組について発表することでCOP16の参加者にアピールを行おうと考えている。
また、COP16の開催県であるバジェ・デル・カウカ県の知事との面談をはじめ、世界の自治体の首長や自治体グループの代表等の海外の要人と世界目標達成に向けた自治体の取組などについて会談を実施する。
このほか、GoLSの構成自治体と対面の会議を実施し、COP17に向けたGoLSの展望について話し合う。
このような活動を通じて、本県やGoLSの先進な取組を世界に広めることで世界目標の達成に貢献していきたい。
【委員】
愛知県のような地方自治体が世界の会議の場で取組を発信すること、また、海外の自治体や団体のリーダーと会談を行うことは大変貴重な機会で、意義のあるものである。
最後になるが、愛知県が今回のCOP16に参加することで、どのような成果を期待しているのか伺う。
【理事者】
国際自治体会議での副知事の発表や、GoLSの構成自治体の取組をまとめた冊子をCOP16の参加者に配布することにより、本県やGoLSの生物多様性の取組について発信を行い、世界の自治体や条約の締約国会議参加者に向けてアピールを行っていく。
また、自治体グループの会議の出席やサイドイベントに参加すること等により他国の先進的な事例を情報収集し、それらの取組を積極的に本県に取り入れていきたい。
これらの活動により、地方自治体の重要性が条約締結国やその関係者に認識され、本県をはじめ世界各地の自治体のさらなる発展、活性化につながることを期待している。
【委員】
能登半島地震に関わる災害廃棄物の受入れについて伺う。
本会議でも何度も取上げられているが、今年の正月に発生した能登半島地震、加えて、先月には豪雨もあり、被災地の方々に寄り添う活動が今後も大変重要である。
先日、大府市、豊明市、東浦町及び阿久比町の四つの自治体で構成される東部知多クリーンセンターを運営している東部知多衛生組合という一部事務組合について東浦町長と話した際に、先月から能登半島地震の災害廃棄物の受入れが当クリーンセンターでも始まったという話があり、遅いなとも感じつつ、愛知県でも能登の地震の復興、復旧に向けてサポート体制が始まったと感じた。
この東部知多クリーンセンターで災害廃棄物の受入れが始まった経緯や、県がどのように関わったかを伺う。
【理事者】
災害廃棄物処理に係る広域連携については、圏域を超えた連携手順を示す災害廃棄物中部ブロック広域連携計画に基づいて実施しており、1月の能登半島地震発災以降、公費解体制度の受付事務など、県及び市町村の職員の応援派遣を行っている。
そうした中、公費解体による家屋等の棟数の増加に伴い、災害廃棄物のさらなる増加が見込まれたことから、中部地方環境事務所から本県に対し、県内のごみ焼却施設における災害廃棄物の受入れについて支援要請があった。この要請を受け、本県が県内の市町村及び一部事務組合、中部地方環境事務所と調整し、東部知多衛生組合のごみ処理施設を含む県内の7施設で災害廃棄物の処理を受け入れることとし、この旨を8月23日に公表した。
【委員】
大規模災害時廃棄物対策中部ブロック協議会からの要請があり、県で調整して7施設が決まったとのことであるが、県内で受入れを実施する七つのごみ処理施設はどこでどのように決まったのか。
【理事者】
県内のごみ処理施設を有する市町村及び一部事務組合に照会したところ、多くの市、一部事務組合から受け入れる意向が示された。これらの施設の中から1日当たり10トン以上のごみを受け入れる余力があるか、大型のコンテナ車等により搬入できるか、石川県から1日で往復できるかなどの要件を考慮し、中部地方環境事務所が七つの施設を選定した。
【委員】
七つというのは、具体的にどこの施設か。
【理事者】
一宮市環境センター、安城市環境クリーンセンター、東部知多クリーンセンター、西知多クリーンセンター、尾張東部衛生組合晴丘センター、小牧岩倉エコルセンター、知多南部広域環境センター、この七つの施設で受け入れると記者発表している。
【委員】
9月から既に受入れが始まっているとのことだが、受入れ状況はどうなっているのか。
【理事者】
県内では、9月4日に一宮市環境センターで受入れが始まり、現在のところ6施設で受入れを実施している。中部地方環境事務所が、石川県内の家屋の解体件数や処理施設の稼働状況などを考慮し、また、それぞれの受入れ施設の意向を踏まえて受入れ量を決めている。
9月は、多くても週2回程度の受入れであったが、10月には20日以上受け入れる予定の施設もある。
【委員】
既に受入れが始まっており、今月からは20日以上受け入れる予定とのことであるが、報道によると当初は240万トンほどだった災害廃棄物が、既に300何十万トン以上になり、石川県全体の丸7年分ほど、奥能登に限れば60年、70年分のごみや瓦礫が出ていると聞いている。県内や近隣県だけでの処理というのも大変厳しいのは理解できるし、先だって東京都も受入れを始めているとのことで、これはオールジャパンで、復興に向けて手伝いしていくものだろうと思っている。
受入れは先月からスタートしたが、終了時期は決まっているのか。
【理事者】
想定ではあるが、2026年3月までを目途としている。
【委員】
2026年3月、2025年度いっぱいで、非常に長いスパンでの支援となるが、ぜひ県としてもできる限り協力してほしいと思っている。
もう一点伺うが、受入れにあたり、資金面はどのようになっているのか。
【理事者】
処理費用については、廃棄物を受け入れて処理をする市、または、一部組合に対して廃棄物の搬出元である輪島市、珠洲市から支払われることになる。輪島市及び珠洲市に対しては、国が補助金や特別交付税措置などで財政的な支援をする。
【委員】
最後になるが、能登で9月21日、22日に発生した豪雨により、追い打ちをかけるような悲惨な状況が続いていると聞いている。公費解体のペースも影響が出てしまうような大きな被害に加え、流木や水にぬれた家財、畳などの廃棄物自体も大量に出ていると思うが、能登の豪雨による災害廃棄物も受け入れる予定があるのか。
【理事者】
豪雨による災害廃棄物についても、圏域を超えて広域処理する場合は、同じ災害廃棄物中部ブロック広域連携計画に基づき実施することとなる。
中部地方環境事務所に確認したところ、豪雨による災害廃棄物について石川県外での広域処理は、現時点では必要ない見込みであるとのことであった。しかしながら、今後、本県に対して豪雨による災害廃棄物に係る支援要請があれば、市町村や一部事務組合と連携して対応する。
【委員】
新たに必要性が出てくる場合があれば、いろいろと協力していくとのことで理解した。
東日本大震災のときにもいろいろあった。あの当時は、放射性の廃棄物である福島県の瓦礫の受入れがどうかとの話もあったが、今回は同じ中部圏で、当時の東日本大震災のような放射性廃棄物と意味合いは全く違うと思うので、可能であれば協力していくことは、気持ちとしては非常に大きい部分だと思うし、恐らく過去に例のないことではないかと思っている。
昨今、毎年のように、日本全国で豪雨や地震などの災害が続いており、万が一、南海トラフ地震や様々な災害が起きれば、愛知県だけで対応できない部分は、他県の協力も仰がなければいけないことも出てくると思う。ぜひ、被災地からの支援要請に対して寄り添いながら、国や市町村とも連携して、できる限り今後も協力していくようお願いする。
【委員】
私からは、我が党の代表質問でも取り上げた、あいち環境イノベーションプロジェクトについて、そのときの答弁を踏まえ、より具体的なことを質問する。
近年、地球温暖化に起因する自然災害や農業被害の甚大化、また、プラスチックごみによる海洋汚染、開発や乱獲等による種の絶滅の加速など、私たちの生活の基盤となる地球環境の悪化は深刻さを増しており、カーボンニュートラルの実現やサーキュラーエコノミーへの転換、ネイチャーポジティブの達成といった課題に対応することが必要だと思う。こうした環境分野の課題解決に向けては、従来の延長線上にない革新的なイノベーションを創出して社会実装していくことが必要である。
このため県は、あいち環境イノベーションプロジェクトを推進しており、その一環として全国のスタートアップ等から革新的な技術、アイデアを募集したところ、20都府県のスタートアップ等95社から96件と非常に多くの応募があり、学識者や専門家等からなる審査委員会において高く評価された8件のプロジェクトを9月3日に採択したと聞いている。
そこで、どのような審査をしてこの8件のプロジェクトを選んだのか、また、96分の8と非常に低い採択率であるが、なぜ採択件数を8件としたのか伺う。
【理事者】
審査についてであるが、応募のあった96件の提案について、審査要領に基づき、まず県が革新性、必要性、共創性、実現性、インパクトの五つの観点で書類審査を実施し、その内容を専門家等で構成する審査委員会に諮った上で、上位22件の提案について審査委員会でプレゼンテーション審査を実施した。プレゼンテーション審査では、各委員が先ほどの革新性等の5項目に加え、本県のプロジェクトとしてふさわしいかどうかという項目を加えた六つの観点で総合的に評価した。
このプレゼンテーション審査の結果、得点が高い8件のプロジェクトを決定し、これを踏まえ、県として8件を採択している。
次に、件数についてであるが、今回、公募に当たって積極的に周知を行ったこともあり、多くの応募があった。しかし、採択プロジェクトに対する伴走支援は、1件あたり最大200万円の経費支援、県内企業とのマッチング支援、それから、知的財産権や市場動向などに関する専門家の助言などを行うこととしており、どうしても予算、労力、時間的な制約があり、これら限られた予算等の中で充実した支援を着実に実施していくことを重視し、当初の予定どおり8件を採択している。
【委員】
上位22件の中でプレゼンテーションを行い、本当にその中から8件が絞られたのだと思う。
次に、採択プロジェクトの成果を地域に還元してほしいという観点から質問するが、採択された8社の本社所在地を見ると、株式会社豊橋バイオマスソリューションズはじめ3社は愛知県内の企業であるが、東洋建設株式会社はじめ2社は東京都、そして、株式会社Eサーモジェンテックはじめ2社は京都府、残りの1社は岐阜県の企業であり、採択8社のうち5社が他県の企業となっている。このため、こうした他県の企業によるプロジェクトについても、その成果をしっかりと本県、地域に還元していくことが重要だと思う。
そこで伺うが、他県に本社を置く企業のプロジェクトの成果をいかに本県の環境課題の解決につなげていくのか、また、本会議で答弁があったと思うが、採択案件の中には、県内企業が既に高い関心を寄せているプロジェクトがあり、それらはどのような状況であるのか。
【理事者】
今回の募集では、愛知県における事業展開を前提とし、技術、アイデアを募集している。8件の採択プロジェクトは、いずれも県内において事業化を目指す取組となっている。
これらプロジェクトの県内展開を通じて、採択されたスタートアップ等の企業が有する革新的な技術、アイデアが当地域に実装され、本県の環境課題の解決につながっていくと考えている。
東洋建設株式会社を例として挙げると、CO2回収固定化プロジェクト、これは東洋建設株式会社が開発した技術を活用して、県内の海面廃棄物最終処分場に周辺の工場排ガス及び大気から回収したCO2を固定化する取組である。事業が実現すれば、本県におけるCO2の排出削減、CO2の吸収に貢献するものとなる。
また、現時点で具体的な実施場所等が確定していない他の採択プロジェクトについては、今後、地元企業とのマッチングなどの伴走支援を行い、県内における事業化を推進することによって成果を当地域に還元していきたい。
次に、既に高い関心を寄せている企業があることについてであるが、今述べたCO2回収固定化プロジェクトについては、海面廃棄物最終処分場の管理者と、また、摩擦熱を利用した粉砕乾燥技術を活用して使用済み紙おむつのマテリアルリサイクルをするプロジェクトがあるが、これについては、紙おむつの臭いがどうしても問題になってくるため、特殊な消臭技術を持ち、県内に工場を有する素材メーカーとの連携を具体的に進めている。
さらにいうと、ドローンとAIを活用して森林モニタリングシステムを構築するプロジェクトがあるが、これについては、森林クレジットの創出のサービス化を目指す県内のエネルギー企業が関心を示しており、連携、協働に向けた検討を進めている状況である。現在、調整段階であるため、具体的な企業名は控える。
【委員】
具体的な名称は控えるとのことであったが、着実にそういったことも県内企業のマッチングをし、還元ができるように努めてほしい。
そして、採択されなかった企業についての対応も伺う。今回の募集では、96件と非常に多くの応募があり、それぞれの技術、アイデアを活用し、環境課題に取り組んでいる企業が全国に数多く存在し、また、こうした企業は、日本のものづくり県でありSTATION Aiを中心にグローバルイノベーション都市を目指す愛知県に対し、大きな期待を寄せていることが考えられる。
採択されなかった企業の中にも優れた技術、アイデアを有するものがあると思われるが、採択件数を増やすなど、さらに多くの企業の支援をしていく予定があるのか。
【理事者】
審査委員会の採点結果を見ると、採択プロジェクトと採択に至らなかったプロジェクトとの間で得点の差がほとんどないものもある。優れた技術、アイデアを有するスタートアップ等の企業が少なからず存在するという状況である。限られた予算等の中で充実した支援を行うということで、現時点ですぐにこれ以上の採択件数を増やすことは考えていないが、こうした優れた企業への支援を含む今後の事業の在り方については、前向きに検討していきたい。
【委員】
最後は要望とするが、本県のように同様のプロジェクトを募集している自治体もあると思う。応募した中には、フィールドを求めて提案している企業もあると思うので、今回採択されなかったが優れた提案が幾つかあったと今の答弁から認識しているが、できるだけそういった素晴らしいアイデアが他県にフィールドを求めていかないようにするためには、しっかりとした予算要求も必要になってくると思うので、その辺りも含めて、これからもしっかりと取り組んでいくことを要望して質問を終える。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年10月3日(木) 午後0時58分~
会 場 第6委員会室
出 席 者
平松利英、村嶌嘉将 正副委員長
坂田憲治、伊藤辰夫、青山省三、いなもと和仁、ますだ裕二、
柳沢英希、高木ひろし、河合洋介、園山康男、阿部武史 各委員
環境局長、同技監、地球温暖化対策監、資源循環推進監、
関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
なし
○ 閉会中継続調査申出案件
1 文化芸術の振興及び文化財の保護について
2 青少年の健全育成及び県民・NPOとの協働の推進について
3 男女共同参画社会の形成の促進について
4 生活環境及び自然環境の保全について
5 地球温暖化対策について
6 県民文化局及び環境局の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 一般質問
3 閉会中継続調査申出案件の決定
4 閉 会
(主な質疑)
《一般質問》
【委員】
生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)での活動について伺う。
生物多様性は、昨今ニュースやドキュメンタリーなど、様々なところで気候変動と並んで地球規模の問題として取上げられるようになってきた。
こうした中、我が国では、本年4月に生物多様性増進活動促進法が公布されている。この法律では、地域の生物多様性の保全活動を促進するため企業やNPO等様々なステークホルダーが生物多様性の保全に取り組む計画を作成し、それを国が認証する仕組みが構築された。
この施策の背景としては、2022年12月開催の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)において愛知目標の理念を引き継ぐ新たな世界目標として、昆明・モントリオール生物多様性枠組が採択され、その主要な目標の一つに30バイ30が盛り込まれたことがある。30バイ30とは、2030年までに世界中の陸域と海域のそれぞれ30パーセントを保全するという目標である。最近、ネイチャーポジティブという言葉をよく聞くが、生物多様性の損失を止め回復に向かわせることを意味しており、その実現のために世界中で30バイ30を達成するための様々な取組が進められている。
こうした状況の下、今月下旬に生物多様性条約第16回締約国会議(COP16)がコロンビアで開催され、愛知県も参加すると聞いているが、どのような経緯、目的で参加するのか。
【理事者】
本県は、2005年に開催された愛知万博をきっかけに環境への取組を推進し、2010年には生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の開催地となった。COP10の開催以降、本県は毎回COP及びCOPの併催イベントである国際自治体会議に参加し、生物多様性の保全における州や県レベルの広域自治体の役割の重要性を大村秀章知事が世界に向けて発信するなどの活動を行ってきた。
また、大村秀章知事の呼びかけにより2016年には、先進的な広域自治体が集まり、愛知目標達成に向けた国際先進広域自治体連合(GoLS)を設立し、広域自治体による生物多様性の保全の機運を高めてきた。
なお、現在は、愛知目標終了に伴い、名称を世界目標達成に向けた国際先進広域自治体連合に改名している。
今回のCOP16は、牧野利香副知事をトップとして参加することとしており、国際的な場でGoLSの取組や広域自治体の重要性をアピールするほか、産業県である本県の生物多様性保全の取組を紹介することで、本県と企業とのコラボレーションをはじめとする先進的な取組を広め、世界目標の達成に貢献していきたい。
【委員】
愛知県では、愛知万博以降、積極的に世界と連携して先進的な取組を進めていることが分かった。
こうした連携の下、2030年を目標とする昆明・モントリオール生物多様性枠組の達成に向けて世界中で様々な取組が行われているが、愛知県はどのような取組をしているのか。
【理事者】
昆明・モントリオール生物多様性枠組では、23の目標が採択されているが、その主要な目標の一つとして、陸域と海域のそれぞれ30パーセントを保全するという30バイ30目標がある。この目標を達成するため、国は民間等により保全されている区域を自然共生サイトとして認定する制度を2023年に開始した。そして、2025年からは、生物多様性増進活動促進法により法に位置づけ、自然共生サイトの活動計画を認定する制度に移行する。
この制度を促進するため、本県では、今年度、自然共生サイトとなり得る区域の調査や説明会を実施する予定としている。
また、産業が盛んな地域である本県の特性を踏まえ、生物多様性保全において優れた取組を行う企業を認証する制度を2022年度から運用している。企業による取組を積極的に後押しすることにより、自然共生サイトの拡大に貢献していきたい。
【委員】
世界目標の達成に向けて愛知県がいろいろと調査、説明会、また、企業認証と努力をしていることは理解した。
こうした努力をしている愛知県であるが、今回、牧野利香副知事がコロンビアでどのような活動をする予定なのか。
【理事者】
牧野利香副知事は、今月10月23日から31日までの渡航日程となっているが、そのうち10月26日にCOP16の公式併催行事として開催される第8回国際自治体会議に出席し、本県やGoLSの取組について発表することでCOP16の参加者にアピールを行おうと考えている。
また、COP16の開催県であるバジェ・デル・カウカ県の知事との面談をはじめ、世界の自治体の首長や自治体グループの代表等の海外の要人と世界目標達成に向けた自治体の取組などについて会談を実施する。
このほか、GoLSの構成自治体と対面の会議を実施し、COP17に向けたGoLSの展望について話し合う。
このような活動を通じて、本県やGoLSの先進な取組を世界に広めることで世界目標の達成に貢献していきたい。
【委員】
愛知県のような地方自治体が世界の会議の場で取組を発信すること、また、海外の自治体や団体のリーダーと会談を行うことは大変貴重な機会で、意義のあるものである。
最後になるが、愛知県が今回のCOP16に参加することで、どのような成果を期待しているのか伺う。
【理事者】
国際自治体会議での副知事の発表や、GoLSの構成自治体の取組をまとめた冊子をCOP16の参加者に配布することにより、本県やGoLSの生物多様性の取組について発信を行い、世界の自治体や条約の締約国会議参加者に向けてアピールを行っていく。
また、自治体グループの会議の出席やサイドイベントに参加すること等により他国の先進的な事例を情報収集し、それらの取組を積極的に本県に取り入れていきたい。
これらの活動により、地方自治体の重要性が条約締結国やその関係者に認識され、本県をはじめ世界各地の自治体のさらなる発展、活性化につながることを期待している。
【委員】
能登半島地震に関わる災害廃棄物の受入れについて伺う。
本会議でも何度も取上げられているが、今年の正月に発生した能登半島地震、加えて、先月には豪雨もあり、被災地の方々に寄り添う活動が今後も大変重要である。
先日、大府市、豊明市、東浦町及び阿久比町の四つの自治体で構成される東部知多クリーンセンターを運営している東部知多衛生組合という一部事務組合について東浦町長と話した際に、先月から能登半島地震の災害廃棄物の受入れが当クリーンセンターでも始まったという話があり、遅いなとも感じつつ、愛知県でも能登の地震の復興、復旧に向けてサポート体制が始まったと感じた。
この東部知多クリーンセンターで災害廃棄物の受入れが始まった経緯や、県がどのように関わったかを伺う。
【理事者】
災害廃棄物処理に係る広域連携については、圏域を超えた連携手順を示す災害廃棄物中部ブロック広域連携計画に基づいて実施しており、1月の能登半島地震発災以降、公費解体制度の受付事務など、県及び市町村の職員の応援派遣を行っている。
そうした中、公費解体による家屋等の棟数の増加に伴い、災害廃棄物のさらなる増加が見込まれたことから、中部地方環境事務所から本県に対し、県内のごみ焼却施設における災害廃棄物の受入れについて支援要請があった。この要請を受け、本県が県内の市町村及び一部事務組合、中部地方環境事務所と調整し、東部知多衛生組合のごみ処理施設を含む県内の7施設で災害廃棄物の処理を受け入れることとし、この旨を8月23日に公表した。
【委員】
大規模災害時廃棄物対策中部ブロック協議会からの要請があり、県で調整して7施設が決まったとのことであるが、県内で受入れを実施する七つのごみ処理施設はどこでどのように決まったのか。
【理事者】
県内のごみ処理施設を有する市町村及び一部事務組合に照会したところ、多くの市、一部事務組合から受け入れる意向が示された。これらの施設の中から1日当たり10トン以上のごみを受け入れる余力があるか、大型のコンテナ車等により搬入できるか、石川県から1日で往復できるかなどの要件を考慮し、中部地方環境事務所が七つの施設を選定した。
【委員】
七つというのは、具体的にどこの施設か。
【理事者】
一宮市環境センター、安城市環境クリーンセンター、東部知多クリーンセンター、西知多クリーンセンター、尾張東部衛生組合晴丘センター、小牧岩倉エコルセンター、知多南部広域環境センター、この七つの施設で受け入れると記者発表している。
【委員】
9月から既に受入れが始まっているとのことだが、受入れ状況はどうなっているのか。
【理事者】
県内では、9月4日に一宮市環境センターで受入れが始まり、現在のところ6施設で受入れを実施している。中部地方環境事務所が、石川県内の家屋の解体件数や処理施設の稼働状況などを考慮し、また、それぞれの受入れ施設の意向を踏まえて受入れ量を決めている。
9月は、多くても週2回程度の受入れであったが、10月には20日以上受け入れる予定の施設もある。
【委員】
既に受入れが始まっており、今月からは20日以上受け入れる予定とのことであるが、報道によると当初は240万トンほどだった災害廃棄物が、既に300何十万トン以上になり、石川県全体の丸7年分ほど、奥能登に限れば60年、70年分のごみや瓦礫が出ていると聞いている。県内や近隣県だけでの処理というのも大変厳しいのは理解できるし、先だって東京都も受入れを始めているとのことで、これはオールジャパンで、復興に向けて手伝いしていくものだろうと思っている。
受入れは先月からスタートしたが、終了時期は決まっているのか。
【理事者】
想定ではあるが、2026年3月までを目途としている。
【委員】
2026年3月、2025年度いっぱいで、非常に長いスパンでの支援となるが、ぜひ県としてもできる限り協力してほしいと思っている。
もう一点伺うが、受入れにあたり、資金面はどのようになっているのか。
【理事者】
処理費用については、廃棄物を受け入れて処理をする市、または、一部組合に対して廃棄物の搬出元である輪島市、珠洲市から支払われることになる。輪島市及び珠洲市に対しては、国が補助金や特別交付税措置などで財政的な支援をする。
【委員】
最後になるが、能登で9月21日、22日に発生した豪雨により、追い打ちをかけるような悲惨な状況が続いていると聞いている。公費解体のペースも影響が出てしまうような大きな被害に加え、流木や水にぬれた家財、畳などの廃棄物自体も大量に出ていると思うが、能登の豪雨による災害廃棄物も受け入れる予定があるのか。
【理事者】
豪雨による災害廃棄物についても、圏域を超えて広域処理する場合は、同じ災害廃棄物中部ブロック広域連携計画に基づき実施することとなる。
中部地方環境事務所に確認したところ、豪雨による災害廃棄物について石川県外での広域処理は、現時点では必要ない見込みであるとのことであった。しかしながら、今後、本県に対して豪雨による災害廃棄物に係る支援要請があれば、市町村や一部事務組合と連携して対応する。
【委員】
新たに必要性が出てくる場合があれば、いろいろと協力していくとのことで理解した。
東日本大震災のときにもいろいろあった。あの当時は、放射性の廃棄物である福島県の瓦礫の受入れがどうかとの話もあったが、今回は同じ中部圏で、当時の東日本大震災のような放射性廃棄物と意味合いは全く違うと思うので、可能であれば協力していくことは、気持ちとしては非常に大きい部分だと思うし、恐らく過去に例のないことではないかと思っている。
昨今、毎年のように、日本全国で豪雨や地震などの災害が続いており、万が一、南海トラフ地震や様々な災害が起きれば、愛知県だけで対応できない部分は、他県の協力も仰がなければいけないことも出てくると思う。ぜひ、被災地からの支援要請に対して寄り添いながら、国や市町村とも連携して、できる限り今後も協力していくようお願いする。
【委員】
私からは、我が党の代表質問でも取り上げた、あいち環境イノベーションプロジェクトについて、そのときの答弁を踏まえ、より具体的なことを質問する。
近年、地球温暖化に起因する自然災害や農業被害の甚大化、また、プラスチックごみによる海洋汚染、開発や乱獲等による種の絶滅の加速など、私たちの生活の基盤となる地球環境の悪化は深刻さを増しており、カーボンニュートラルの実現やサーキュラーエコノミーへの転換、ネイチャーポジティブの達成といった課題に対応することが必要だと思う。こうした環境分野の課題解決に向けては、従来の延長線上にない革新的なイノベーションを創出して社会実装していくことが必要である。
このため県は、あいち環境イノベーションプロジェクトを推進しており、その一環として全国のスタートアップ等から革新的な技術、アイデアを募集したところ、20都府県のスタートアップ等95社から96件と非常に多くの応募があり、学識者や専門家等からなる審査委員会において高く評価された8件のプロジェクトを9月3日に採択したと聞いている。
そこで、どのような審査をしてこの8件のプロジェクトを選んだのか、また、96分の8と非常に低い採択率であるが、なぜ採択件数を8件としたのか伺う。
【理事者】
審査についてであるが、応募のあった96件の提案について、審査要領に基づき、まず県が革新性、必要性、共創性、実現性、インパクトの五つの観点で書類審査を実施し、その内容を専門家等で構成する審査委員会に諮った上で、上位22件の提案について審査委員会でプレゼンテーション審査を実施した。プレゼンテーション審査では、各委員が先ほどの革新性等の5項目に加え、本県のプロジェクトとしてふさわしいかどうかという項目を加えた六つの観点で総合的に評価した。
このプレゼンテーション審査の結果、得点が高い8件のプロジェクトを決定し、これを踏まえ、県として8件を採択している。
次に、件数についてであるが、今回、公募に当たって積極的に周知を行ったこともあり、多くの応募があった。しかし、採択プロジェクトに対する伴走支援は、1件あたり最大200万円の経費支援、県内企業とのマッチング支援、それから、知的財産権や市場動向などに関する専門家の助言などを行うこととしており、どうしても予算、労力、時間的な制約があり、これら限られた予算等の中で充実した支援を着実に実施していくことを重視し、当初の予定どおり8件を採択している。
【委員】
上位22件の中でプレゼンテーションを行い、本当にその中から8件が絞られたのだと思う。
次に、採択プロジェクトの成果を地域に還元してほしいという観点から質問するが、採択された8社の本社所在地を見ると、株式会社豊橋バイオマスソリューションズはじめ3社は愛知県内の企業であるが、東洋建設株式会社はじめ2社は東京都、そして、株式会社Eサーモジェンテックはじめ2社は京都府、残りの1社は岐阜県の企業であり、採択8社のうち5社が他県の企業となっている。このため、こうした他県の企業によるプロジェクトについても、その成果をしっかりと本県、地域に還元していくことが重要だと思う。
そこで伺うが、他県に本社を置く企業のプロジェクトの成果をいかに本県の環境課題の解決につなげていくのか、また、本会議で答弁があったと思うが、採択案件の中には、県内企業が既に高い関心を寄せているプロジェクトがあり、それらはどのような状況であるのか。
【理事者】
今回の募集では、愛知県における事業展開を前提とし、技術、アイデアを募集している。8件の採択プロジェクトは、いずれも県内において事業化を目指す取組となっている。
これらプロジェクトの県内展開を通じて、採択されたスタートアップ等の企業が有する革新的な技術、アイデアが当地域に実装され、本県の環境課題の解決につながっていくと考えている。
東洋建設株式会社を例として挙げると、CO2回収固定化プロジェクト、これは東洋建設株式会社が開発した技術を活用して、県内の海面廃棄物最終処分場に周辺の工場排ガス及び大気から回収したCO2を固定化する取組である。事業が実現すれば、本県におけるCO2の排出削減、CO2の吸収に貢献するものとなる。
また、現時点で具体的な実施場所等が確定していない他の採択プロジェクトについては、今後、地元企業とのマッチングなどの伴走支援を行い、県内における事業化を推進することによって成果を当地域に還元していきたい。
次に、既に高い関心を寄せている企業があることについてであるが、今述べたCO2回収固定化プロジェクトについては、海面廃棄物最終処分場の管理者と、また、摩擦熱を利用した粉砕乾燥技術を活用して使用済み紙おむつのマテリアルリサイクルをするプロジェクトがあるが、これについては、紙おむつの臭いがどうしても問題になってくるため、特殊な消臭技術を持ち、県内に工場を有する素材メーカーとの連携を具体的に進めている。
さらにいうと、ドローンとAIを活用して森林モニタリングシステムを構築するプロジェクトがあるが、これについては、森林クレジットの創出のサービス化を目指す県内のエネルギー企業が関心を示しており、連携、協働に向けた検討を進めている状況である。現在、調整段階であるため、具体的な企業名は控える。
【委員】
具体的な名称は控えるとのことであったが、着実にそういったことも県内企業のマッチングをし、還元ができるように努めてほしい。
そして、採択されなかった企業についての対応も伺う。今回の募集では、96件と非常に多くの応募があり、それぞれの技術、アイデアを活用し、環境課題に取り組んでいる企業が全国に数多く存在し、また、こうした企業は、日本のものづくり県でありSTATION Aiを中心にグローバルイノベーション都市を目指す愛知県に対し、大きな期待を寄せていることが考えられる。
採択されなかった企業の中にも優れた技術、アイデアを有するものがあると思われるが、採択件数を増やすなど、さらに多くの企業の支援をしていく予定があるのか。
【理事者】
審査委員会の採点結果を見ると、採択プロジェクトと採択に至らなかったプロジェクトとの間で得点の差がほとんどないものもある。優れた技術、アイデアを有するスタートアップ等の企業が少なからず存在するという状況である。限られた予算等の中で充実した支援を行うということで、現時点ですぐにこれ以上の採択件数を増やすことは考えていないが、こうした優れた企業への支援を含む今後の事業の在り方については、前向きに検討していきたい。
【委員】
最後は要望とするが、本県のように同様のプロジェクトを募集している自治体もあると思う。応募した中には、フィールドを求めて提案している企業もあると思うので、今回採択されなかったが優れた提案が幾つかあったと今の答弁から認識しているが、できるだけそういった素晴らしいアイデアが他県にフィールドを求めていかないようにするためには、しっかりとした予算要求も必要になってくると思うので、その辺りも含めて、これからもしっかりと取り組んでいくことを要望して質問を終える。