委員会情報
委員会審査状況
建設委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年6月29日(木) 午後0時58分~
会 場 第4委員会室
出 席 者
丹羽洋章、松本まもる 正副委員長
横井五六、鈴木喜博、青山省三、新海正春、日高 章、伊藤貴治、
富田昭雄、阿部洋祐、古林千恵、柴田高伸、園山康男 各委員
建設局長、建設政策推進監、建設局技監(2名)、土木部長、道路監、
治水防災対策監、豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、
水資源監、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、リニア・交通対策監、港湾空港推進監、
空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、
収用委員会事務局長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第 81 号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第7款 建設費
第2条(債務負担行為の補正)の内
現年災害復旧事業県道古真立佐久間線法面工事
第 87 号 愛知県都市公園条例の一部改正について
第 88 号 愛知県事務処理特例条例の一部改正について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第81号、第87号及び第88号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 道路の整備等について
2 水資源対策並びに河川、砂防及び下水道の整備等について
3 土地対策、都市計画並びに公園及び市街地の整備等について
4 総合交通体系及び港湾の整備等並びに航空対策について
5 宅地建物取引及び建築・宅地造成等の規制について
6 公営住宅等の建設及び管理並びに県有施設の営繕工事について
7 建設局、都市・交通局、建築局及び収用委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(3件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 閉会中継続調査申出案件の決定
6 閉会中の委員会活動について
7 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
議案の第7款第3項第1目河川管理費より、矢作川・豊川カーボンニュートラルプロジェクト推進費について伺う。
矢作川カーボンニュートラルプロジェクトは、矢作川流域をモデルケースとし、水循環をキーワードにカーボンニュートラルを目指す取組で、矢作川カーボンニュートラル推進協議会で国や市町村、経済団体等と連携しながら推進していると聞いている。
近年の地球温暖化により、気候変動が自然災害の激甚化・頻発化の一因になっている。待ったなしの気候変動に一刻も早く対応するために、やれるものから取り組んでいくという愛知県の強い姿勢を感じている。
愛知県においても、6月2日の大雨で大きな被害が出たところであり、気候変動緩和策の一つであるこのプロジェクトに、より一層しっかりと取り組んでいく必要性を感じている。
そこで、今回このプロジェクトを、これまでの矢作川流域から豊川流域を含め、三河全域で展開するとのことだが、なぜ今、東三河地域へと拡大したのか、矢作川カーボンニュートラルプロジェクトのこれまでの進捗状況と併せて伺う。
【理事者】
このプロジェクトは、2021年9月に検討に着手し、2022年3月に28の施策を推進していくことを公表した。
2022年8月には、矢作川カーボンニュートラル推進協議会を設立し、優先的に取り組む施策を選定した上で、その下部組織となる四つの分科会で検討を進めることとし、その成果を今年3月に開催した矢作川カーボンニュートラル推進協議会で報告した。
具体的な進捗としては、再生可能エネルギーの創出として、国管理の矢作ダムにおいて運用高度化による増電の取組を今年度から試行することや、下水道施設の矢作川浄化センターにおける民間資金などを活用した自家消費型の太陽光発電の導入、広田川で整備中の菱池遊水地への太陽光発電施設の設置に向けた検討などを進めている。
また、エネルギーの省力化としては、農業集落排水を流域下水道に取り込むなどの汚水処理の広域化や汚泥処理の共同化を順次事業化している。
このように、幾つもの施策で具体化に向けた進捗が確認できたことから、他の地域へ広げていく段階に達していると判断し、水の大動脈である豊川用水や建設中の設楽ダムなど水循環に関連した施設が多くあり、また、充実した森林資源を有し、カーボンニュートラルの実現に向けたポテンシャルが高い地域である東三河地域に拡大することとした。
【委員】
今回の補正予算で行う調査の成果として、いつ頃、どのようなアウトプットを想定しているのか。
【理事者】
本調査では、新たに展開する東三河地域におけるダムや上下水道、農業水利施設など、水循環に関連する各種施設の現状を把握し、再生可能エネルギー創出量や二酸化炭素の削減量などのポテンシャルを整理した上で、プロジェクトの展開による効果を試算する予定である。
調査の成果は、今年度末までに東三河地域におけるプロジェクトの展開を全体像として取りまとめ、矢作川カーボンニュートラル推進協議会に報告していきたい。
今後も、既存の枠組みにとらわれず、官民連携で総合的かつ分野横断的にカーボンニュートラルの実現を目指し、可能なものから順次、事業化していく。
【委員】
第87号議案の愛知県都市公園条例の一部改正について伺う。
現在、愛・地球博記念公園の芝生広場に、猫の城遊具の整備が進められており、今回の条例改正は、この遊具を利用する際に使用料を徴収するという内容について、先ほど説明があったが、一般的には珍しいケースになると思うので、より詳しい説明を求める。
私の地元、大府市には、あいち健康の森公園という県営の大きな都市公園があるが、その一角に、子どもの森という子供たちに人気の遊具が集まった1日たっぷり遊べるエリアがあり、これは全て無料である。週末には多くの人でにぎわっているが、特にトラブルとなることもなく、皆きちんと順番を待つなどして安全に楽しく遊んでいるという印象である。
そもそも遊具は無料というイメージであるが、なぜ有料にしたのか、その考え方について詳しく伺う。
【理事者】
県営都市公園ではゴーカートなどの特殊な遊具を除いて、使用料を徴収している遊具はなく、本来、遊具は無料が基本と考えている。
しかし、この遊具は、スタジオジブリ映画の猫の恩返しをモチーフにしたものであり、これを目当てに多くの子供たちが遊びに来るということが想定をされる。また、子供たち以外にも、ジブリ作品をモチーフにした遊具はどういうものなのか一目見たいという人々が数多く来園することも想定される。
このように通常の遊具とは違い、幅広い世代の人々が集まることが想定されるので、土曜日、日曜日、休日、ゴールデンウイーク、学校の春休み、夏休み、冬休みといった多客日には、来園者の安全を確保するための入場制限などが必要と考えている。
そのため、入場を制限するための整理員や、子供たちに安全に遊んでもらう監視員を配置するなど、安全対策を万全に期すための特別な対応のために必要な費用につき、利用者に負担をしてもらう。
【委員】
通常の遊具とは違って子供たちだけでなく、それ以外の人もたくさん来ることを想定し、利用者の安全を確保するために必要な費用について、利用者に負担を求めるということであるが、費用の具体的な内容と額を伺う。
【理事者】
土日、休日等の多客日には、入場を制限するための整理員を1人、それから安全に遊んでもらうための監視員を2人配置し、計3人配置する。平日も、安全に遊んでもらうための監視員を1人配置することを予定している。
加えて、安全に遊んでもらうためには、遊具の点検や修繕を適切なタイミングで確実に行っていくことが必要になるので、これらの人件費や点検修繕費について、利用者に負担してもらう考えであり、その費用としては年間で1,500万円程度を見込んでいる。
【委員】
人件費や点検の修繕費について利用者に負担を求めるということは、収入も同じぐらいの額を見込んでいるのか。また、どのようにその料金の額を設定したのか。
【理事者】
収入についてであるが、特別な費用を賄うため、収入も費用と同じく年間1,500万円程度を見込んでいる。
次に、料金の額について、遊具の利用時間は9時から17時で、1時間ごとの入替え制とする。
1時間当たりの定員を140人と想定しており、1日8回転するので、1日の利用人数は1,120人を想定している。この1日の利用人数について、営業日数や天候によって利用人数は左右されるので、その利用率や、それから常に定員まで利用するとは限らないため、その利用率や、大人と子供の利用割合といった項目を考慮して、年間の利用人数を想定している。
その利用人数によって、必要となる1,500万円程度の費用を賄うことができる料金として、小学生以下の子供を100円、大人を300円とした。なお、料金の設定に当たり、遊具を利用するのは子供たちであるため、その料金はリーズナブルに100円とした。
【委員】
一般的には無料が基本の遊具について、あえて料金を徴収するということであるので、その分、安全対策を万全に期すことはもちろんであるが、昨日は無料なのになぜ今日は有料なのだという混乱が、現場で起きないように、万全の体制で供用を迎えるようにしてもらいたい。
【委員】
先ほど伊藤貴治委員の質問で河川課担当課長から、農業集落排水と流域下水道の接続について答弁があり、将来には接続が認められるのではないかと地元でも聞いていたが、現在この取組はどうなっているのか。
【理事者】
カーボンニュートラルに効果があるというのは、矢作川地区の幸田町において公共下水道の周りにある農業集落排水を、公共下水道、ひいては流域下水道に接続することによって、個別に小さいところで処理するよりも、流域下水道という大きい処理場で処理する方がポンプの経費など処理に関わる経費が安くなり、カーボンニュートラルにつながる取組として挙げさせてもらっている。
【委員】
私の地元でも、かなり農業集落排水の整備が進んでおり、流域下水道も順次やっているが、そこに接続しても違反にはならないということか。
【理事者】
一部農業集落排水を取り込む取組について、昨年度末に公表した広域化・共同化計画の中で海部地域において予定されているものもあると思う。
ただし、農業集落排水を全部つなぐというわけではなく、流域下水道に近い所にあり、そこへ取り込んだほうがいいところは下水道に取り込むという計画や、農業集落排水同士で統合して大きな規模にして、スケールメリットを図るという計画もある。地域の実態に合わせた取組をおのおの進めていくことにしている。
《一般質問》
【委員】
近年、気候変動の影響により気象災害は激甚化・頻発化し、私たちの安全な暮らしが脅かされている。
そのような中、国は国土強靱化のための5か年加速化対策を打ち立て、国民の生命・財産を守り、社会の重要な機能を維持するため、防災・減災、国土強靱化の取組の加速化・深化を図っている。
そこで、河川整備の中の樹木の伐採について伺う。
河川の樹木の繁茂は、流下能力を阻害し、出水時に洪水氾濫の原因となるおそれがある。私の住む春日井市をはじめ、他市町村からも河川に繁茂する樹木の伐採を要望しているところは多いと聞いている。
先般の台風2号の大雨に伴い、本県においても大きな被害を受け、災害復旧の要望を自民党として国にも挙げたが、河川の流域に住む人々が安心して暮らせる環境を整備するために、優先順位をつけて維持管理をしていると思うが、その考え方について伺う。
【理事者】
河川内の樹木については、良好な河川環境を形成する一方で、流下断面内に過剰に繁茂すると、河積阻害により洪水の安全な流下の支障となり、氾濫の原因となるおそれがあり、適切に伐採する必要がある。
樹木の繁茂状況については、2020年度に山間部を除く県内全域において、航空レーザー測量データなどを活用した樹木の繁茂状況の実態調査を行っている。日頃から、建設事務所において定期的に河川パトロールや堤防点検を実施し、その状況の把握に努めている。
その上で、樹木の繁茂の程度による河積の阻害状況、水防上の重要度、沿川の市街化の状況などを総合的に勘案し、特に緊急性が高い区間から、順次、伐採を実施している。
【委員】
激甚化する水災害による被害の軽減には、河川の整備を行うとともに、その機能を確保して河川環境などの保全の観点からも適切な維持管理が重要であり、計画的に樹木伐採などの維持管理を進める必要があると思うが、今後どのように進めていくのか。
【理事者】
従来の県単独事業である河川環境対策事業による対策に加え、2018年度からは防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策、2020年度からは防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を活用し、昨年度までに44河川において、集中的に一連区間の樹木伐採を実施してきた。
今年度についても、春日井市内の内津川などにおいて実施を予定している。
引き続き、樹木の繁茂状況を把握し、5か年加速化対策などを積極的に活用し、適切な樹木伐採に努めていく。さらに、伐採の際に実施した切り口への薬剤塗布などの再繁茂対策の検証を行い、効果的な対策を検討していく。
今後とも、樹木の伐採など適切な維持管理を行い、治水安全度の向上や良好な河川環境の保全にしっかり取り組んでいく。
【委員】
国の事業も活用して計画的にやっていると話があったが、木を切ってもまた生えてくるし、また、堤防等河川環境を整備しても砂は流れてくるので、計画的かつ機動的にやっていくことが必要だと思うので、安心・安全確保のために、引き続きよろしくお願いする。
次に、自転車ネットワークの整備について伺う。
環境に優しく健康の増進にも寄与するなどの観点から、自転車の利活用が注目をされている。
国では、2018年6月に自転車活用推進計画が策定され、その後も2021年5月にはこの第2次計画が策定されており、昨今の社会情勢の変化を踏まえ、持続可能な社会の実現に向けた自転車の活用推進を図るため、自転車通行空間といったハード整備だけでなく、シェアサイクルの普及促進など、関連する様々な取組を実施すべき施策と定めている。
愛知県においても、2020年2月に愛知県自転車活用推進計画が策定され、2023年3月には国の第2次計画の内容などを踏まえた改定がされている。
私の地元、春日井市においても、2021年3月に自転車活用推進計画を策定し、交通の集中が想定されるエリアと自転車事故の多発区間等を重ね合わせて、自転車ネットワーク計画を策定しており、これに基づく整備に今年度から工事着手する予定と聞いている。
ネットワークとして効果を発現するには、市の整備に併せ、県が管理する道路も連携して整備を進めていくことが重要と考える。
そこで、春日井市内の県管理道路における自転車通行空間の整備状況について伺う。
【理事者】
愛知県管理道路における自転車通行空間の整備は、まず、市町村が策定する自転車ネットワーク計画に基づき、自転車通行帯など車道走行を原則とした整備を計画的に進める。
春日井市が策定した自転車ネットワーク計画には、国道155号をはじめとした県が管理する合計約49キロメートルの区間が含まれている。県としては、これまで春日井市内の自転車通行空間整備について、市と協議しながら整備する区間の優先順位を整理し、まずはJR神領駅につながる県道神領停車場線の整備に着手した。
昨年度、測量設計を実施し、今年度は公安委員会等、各関係機関との協議を進めており、来年度には工事に着手する計画である。
また、同じく、優先順位の高い県道春日井一宮線及び県道内津勝川線の2路線においても、来年度から順次、現地の測量及び設計に着手していく予定で各種調整を進めている。
早期のネットワーク形成には、春日井市との連携は不可欠であり、今後とも、市と調整しながら整備を進めていく。
【委員】
今後とも、国、県、市、春日井市、それぞれの道路管理者がしっかりと連携してネットワークの構築を推進していってもらいたい。
しかし、県内の多くの市町村は、まだ自転車ネットワーク計画を策定していない状況であり、広域的なネットワーク形成の観点からもより多くの市町村が計画を策定し、連携して整備を進めていくべきだと考える。
そこで、今後の自転車ネットワークの形成に向け、県としてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
2023年3月に改定した愛知県自転車活用推進計画では、県は自転車活用推進計画、または自転車ネットワーク計画を策定する市町村数を、2026年度までに21市町村まで増やす目標を掲げている。
現在、県内で自転車ネットワーク計画を策定した市町村は、名古屋市を含めて9市であり、県としては、引き続き、計画未策定の市町村に対して、説明会やワークショップを開催するなど普及啓発や技術支援を行い、自転車ネットワーク計画の策定を促進していく。
また、県独自の施策として、市町村の自転車ネットワーク計画策定に先行して、県管理道路で自転車関係の事故が多く、死傷事故率が高い区間において、道路幅員構成を見直すことにより整備可能な箇所を緊急対策箇所と位置づけ、自転車通行空間を整備することとしている。
加えて、新たにバイパス整備や拡幅を伴う道路の改築を実施する場合には、自転車通行空間の確保を原則として整備し、自転車ネットワークの構築につなげていく。
これらの取組により、今後も国や市町村と連携を図りながら、安全で快適な自転車通行環境を創出していく。
【委員】
国や市町村との連携を今後も進めていってもらいたい。
また、緊急対策箇所として、空間確保の部分でも工事をしていくとあったが、道路幅が確保できない幅員のところを、低木や樹木を切って広げているという状況もある。この辺りも、ぜひ歩行者の空間の確保も併せて進めていってもらいたい。
【委員】
名古屋高速道路の運営について伺う。
高速道路の有料期間を最長2115年まで延長する改正道路整備特別措置法が5月31日に国会で成立した。この法改正に伴って、名古屋高速道路の償還計画について、今後の運営に変化が生じるのか伺う。
【理事者】
今回の料金徴収期間の延長に係る法改正は、NEXCO中日本などの会社管理高速道路が対象となっており、名古屋高速道路は対象外となるので、償還計画等、今後の運営に変化は生じないと考えている。
【委員】
次に、中京圏の新たな高速道路料金導入後、定額から距離制に直したが、導入後における名古屋高速道路の利用実態について物流業界、また、一般ユーザーの反応はどのようなものか。
【理事者】
2022年12月に開催した名古屋高速道路の料金問題調査会において、経済団体からは、短距離利用の料金が下がったことや、旧料金圏の撤廃により連続利用が促進されて一般道の渋滞が解消するなど、料金改定によるメリットを感じている人が多いと聴いている。
また、同じく2022年秋に実施したお客様満足度調査では、料金改定によって一般道から名古屋高速道路へ転換した人や、名古屋第二環状自動車道等のほかの高速道路と併用する頻度の増加など、行動変更した利用者が約4割いることが確認できた。
引き続き、利用促進が図られるよう、広報活動に取り組んでいく。
【委員】
最初の質問で、名古屋高速道路では、償還計画について国の法改正による変更がないと答弁があった。
短距離の利用者は増えたと思うが、そもそも、高速道路は長い距離を早く安全に走るためのものだと思っている。ホームページに書いてある名古屋高速道路公社の経営方針にも、高速道路の特性が効果的に発揮される状態として、目的地までの距離が長い交通は高速道路を利用し、目的地まで短い交通は一般道を利用すると明記されている。
今、一般ユーザーの回答があったが、私は、とりわけ物流業界の声を丁寧に聞いてもらいたいと思っている。
2024年4月以降、トラックドライバーの時間外労働の上限が年間960時間に制限されて、業界としては大きな変化を迎えることになる。慢性的な現在の人手不足も影響して、現状に比べ、2025年には3割程度の荷が運べなくなるのではないかという試算もある。
一般的に、日本の高速道路の利用率、専門用語で分担率と言われるが、これは欧米諸国に比べて日本は4割程度も低く、高速道路が十分に使われていないという指摘もある。それによって、日本の物流コストは高いとも指摘されており、直近2022年に公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会の調査が行われたが、全業種平均で、売上高に占める物流コストの割合は約5.31パーセントだと言われている。
高速道路が十分に利用されていない、活用されていない一番の原因は、利用料金の高さであると思っている。料金が高いから、時間はかかるが下道をしかたがなく走っているというトラックドライバーの声も聞いており、これは長時間労働の原因にもなっている。
2024年の物流の大きな改革を前に、長時間労働の是正、また物流コストの削減や生産性の向上による産業競争力のさらなる強化に向けて、現行の高速道路料金の引下げを行う必要がある。
名古屋高速道路の償還満了日は、現在2044年10月となっている。これを最初の質問で国の法改正は関係なく、影響を受けないと言ったが、2044年10月の名古屋高速道路の償還期限を相当程度延ばす、もしくは、永久有料化することによって利用料金を引き下げることが可能だと考えるが、この点について意見を伺う。
【理事者】
有料道路事業制度は、高速道路株式会社や地方道路公社などの有料道路事業者が借入金を用いて道路を短期間で整備、供用し、利用者の通行料金で返済や管理に充てる方式、いわゆる償還主義に基づいている。
名古屋高速道路では、建設費用や大規模修繕事業などに係る費用を着実に償還できる見通しとなっており、引き続き、現行の料金を基本としていきたいと考えている。
【委員】
答弁にあったように、短期間で返済していくということがこの高速道路の償還主義の考え方だと思うが、国も同じように考えてきたのに、現行の2065年を50年間延ばして、我々が生きていないだろう2100年以降の償還期限まで延ばした経緯がある。
2022年度の名古屋高速道路公社の決算報告書を見たが、料金収入約679億円、このうち半分近くの約314億円が、償還準備金として充てられている。
また、今回の国の法改正しかり、名古屋高速道路も老朽化対策、また電動車、自動運転の普及等によって、時代の変化に応じて、道路の改修等をやっていかなければならないと思う。
こうした意味において、将来的に投資が必要となるのは明らかであるので、2044年以降に無料開放されることは国民、市民の誰もが疑問がある。無料開放の可能性は極めて低いのではないかと考えるのが現実的だと思う。
高速道路料金の引下げ、すなわち県内移動のコスト減は、来年開業予定のSTATION Aiとも関連しており、愛知県でスタートアップを目指す企業を誘致する呼び水にもなるし、また、起業後の経営支援にもつながっていくと考えている。
もちろん一般の自動車ユーザーにとっても大変恩恵のある料金の引下げであるし、この制度はいろいろな政策や税投入しないとやれない施策だと思うが、愛知県や名古屋市の予算を投入することなく、実現可能だと思っている。
現在の料金収入は償還主義に基づいて、現在の利用者から料金徴収をしているが、私が計算したところ、年間の料金収入679億円、これを年間の名古屋高速道路を利用している通行台数、1日当たり約26.8万台に、365日を掛けると約9,782万台になる。これを単純に割ると1台当たり694円となり、694円料金徴収すれば、今の料金収入を維持して名古屋高速道路を運営していく、また償還もできるという計算になる。1台当たり694円というと、大型・特大車からすると大分料金が下がると思うので、税を投入することなくやれるこの施策は本当に魅力的な制度だと思っている。
まさに産業界、また県民、行政にとって本当に三方よしの高速道路改革であるので、産業立県愛知として、全国に先駆けて料金制度を提案して、議論をぜひリードしてほしいと要望する。
【委員】
国道473号の被災箇所の復旧について伺う。
6月2日の大雨災害では、三河地域を中心に多大な被害が発生した。県の被害情報によると、私の地元、岡崎市及び幸田町においては、住宅被害について全壊1棟、半壊125棟、一部損壊6棟、床下浸水255棟あり、河川越水については、岡崎市では乙川、男川、鉢地川、幸田町では尾浜川、広田川、赤川で発生して、道路の損壊については、岡崎市で6か所との報告がされた。
その中で、現在も通行止めが続いている国道473号、岡崎市鉢地町の被災箇所について伺う。
6月3日に被災現場を確認したところ、両側車線、道路全体が崩落している状態であり、岡崎市鉢地町寺前から、蒲郡市清田町上大内までが通行止めとなっていた。
6月5日には通行止め区間の起終点で、道路情報板や看板により通行止めの案内がされていたものの、岡崎市側では、被災箇所と並行するすれ違い困難な箇所が狭小な地域内市道に迂回した車両が入り込んでしまい、事故の発生が心配される状況であった。
この状況を踏まえ、復旧までの当面の間、地域住民の安全な通行をどのように確保するのか。
【理事者】
岡崎市鉢地町の被災箇所については、道路が上下線とも崩壊したため、速やかにバリケードなどにより通行止めにするとともに、日本道路交通情報センターが提供する道路交通情報や、現地の道路情報板により通行止めの案内を行っている。
現在は、通行止め措置に加え、通過交通が規制区間に流入しないよう、国道1号及び県道長沢蒲郡線を広域的な迂回路とする案内看板を分岐点となる交差点に設置し、車両を誘導している。
また、被災直後に車両の進入が見られた狭小な市道については、地元企業や沿道住民にも協力をしてもらい、岡崎市と連携して公安委員会との調整を進めているところであり、協議が整い次第、仮設信号機を設置し、片側交互通行規制による地域内の安全な通行の確保を図っていく。
【委員】
岡崎市としっかりと連携をとって、地域の安全な交通の確保に努めてもらいたい。
一方、国道利用者については、1日でも早い通行止めの解除が望まれる。今回は被害が大きく、復旧までに時間を要することが想定されるが、被災箇所の本復旧に向け、どのように取り組んでいるのか。
【理事者】
本復旧については、災害時における協定により、測量設計業者が被災直後の6月3日から現地調査に着手し、既に測量を終えており、現在、設計を進めている。
今後は、8月下旬に予定されている国の災害査定を待たずに、災害復旧事業に係る事前打合せを活用して復旧工法を決定し、設計が固まり次第、速やかに工事を発注し、早期完了に努めていく。
【委員】
県営都市公園におけるPark-PFI等の手法による民間活力を活用した整備について伺う。
2021年10月に、大高緑地プール跡地及び県営都市公園6公園において、民間の事業者のノウハウに基づく提案を幅広く募り、県と民間事業者が対話を行うマーケットサウンディングを実施し、昨年度、その結果が出ていると聞いている。
その後、その結果を踏まえて、民間活力の導入が進められていると思うが、どのような状況なのか。
【理事者】
県営都市公園においては、厳しい財政状況の中、限られたコストでより質の高いサービスを提供していくことが求められており、そのためには、民間事業者の活力、資金やノウハウを活用することが有効であると考えている。
そのため、2021年10月から大高緑地プール跡地と6か所の県営都市公園を対象にマーケットサウンディングを実施し、このマーケットサウンディングによる民間事業者からの提案に基づき、民間事業者との対話を進めてきた。
具体的には、大高緑地プール跡地は6事業者、県営都市公園6公園は9事業者から対話の申込みがあり、民間事業者からはカフェやバーベキュー施設などの飲食やレクリエーション施設のほか、スポーツ施設の提案があった。
その後、引き続き、参加意欲のある民間事業者との対話を続け、事業実施の可能性を検討してきた結果、大高緑地のプール跡地について本年2月からPark-PFIによる民間事業者の公募を開始した。
しかし、応募期限である今月16日までに、応募登録された全ての事業者から応募辞退の申出があり、公募は不調となった。
今後、公募が不調となった理由を検証し、再公募に向けて対応策の検討を進めていく。
【委員】
県営都市公園6公園については、9事業者との対話があったとのことだが、6公園のうちの一つで、議案質疑でも質問したが、私の地元にあいち健康の森公園があり、これも6公園の一つに入っているが、あいち健康の森公園における民間活力の導入の状況について、その導入に向けた取組状況と今後の予定について伺う。
【理事者】
あいち健康の森公園を含む六つの県営都市公園については、民間活力の導入に向け、2021年度にPark-PFI制度を活用した施設の整備、運営に係るアイデアを募集したところ、あいち健康の森公園については複数の事業者から提案があった。
その後、提案があった事業者や本事業への参加に興味を持つ事業者と、事業の具体化に向けて対話を継続してきた。
今後も、引き続き、参加意欲のある事業者と対話を続け、事業者からの提案、意見等を踏まえながら、本公園における民間活力導入施設の方針や公募条件を取りまとめ、できるだけ早期に事業を公募できるよう取り組む。
【委員】
あいち健康の森公園についても複数の事業者との対話の実績があって、現在も進めているとのことで、できる限り早く、その整備を積極的に進めてもらいたい。
まず、あいち健康の森公園はどのような状況かというと、知多地域でも屈指の来場者数の多い施設であるが、その一方で、飲食や買物が満足にできないという問題がある。
加えて、設備も老朽化しており、かなり大がかりな整備が必要な状態にあり、ここをキャンプ場やグランピングの施設を新設するなどして刷新をしてほしいという声も寄せられている。
また周辺には、JAあぐりタウンげんきの郷や国立長寿医療研究センター、あいち小児保健医療総合センターなどの医療機関、そして福祉施設が高度に集積していて、農業、福祉、健康医療関係のポテンシャルの高いエリアのため、健康をテーマとして特徴づけた整備も求められている。
特に、この公園の正面にあり、隣接するJAあぐりタウンげんきの郷は、東海エリアの集客数ランキングで毎年トップテンに入る人気スポットであり、そこから来場者が公園側にも流入してくるが、残念ながら飲食や物販が何もない。何もないと言うのは語弊があるが、そのような声がよく聞かれ、そのために残念な思いで戻っていく光景が続いていると聞いている。
このような状況を憂い、地元の商工団体を中心として、産業界からも民間活力を導入しての再整備を求める声が高まっている。また、その事業化に向けて参画したいという意思を表明している事業者も大変多いと聞いている。
これらの状況を踏まえて、早期の民間活力を活用した再整備をするように要望する。
【委員】
名鉄名古屋本線及び三河線における知立駅付近連続立体交差事業のほか、県、市が計画をする周辺整備事業について伺う。
本県が事業者となる連続立体交差事業については、昭和48年以来、県内各地で施行されてきたものである。その中でも、知立駅付近連続立体交差事業いわゆる知立連立の事業規模は、これまでで最も大きく、かつ事業費も最も高い事業である。
また、この知立連立は、リニア開業を見据えて、名古屋駅から豊田市駅に至る区間を三河線の複線化直通運転によって、いわゆる速達化、時間短縮を図る重要な事業である。
なお、この知立連立は、現在、1期目の施行をしているが、2段階施行により事業を行うこととしており、現段階は名古屋本線の県道安城知立線より西側と三河線を1期施工、県道安城知立線より東側を2期施行とすると聴いている。
これまでの進捗状況の概略についてであるが、平成24年度に名古屋本線の仮線工事に着手、平成30年2月には名古屋本線と知立駅全てのホームを仮線に切り替えた。
また、今までなかった南改札口が、供用を開始した。
現在、名古屋本線においては、知立駅部分も含めて、鉄道の高架本体工事が最盛期を迎えており、今年3月には名古屋本線のうち、豊橋方面行きの線路を仮線から高架本線へ切替え運行が始まった。
また、三河線豊田方面では令和4年から仮線工事に着手し、加えて、碧南方面では令和4年度から仮線工事と併せて名古屋本線に接続する高架本体部門の工事に着手をしている。
今後の見込みについてであるが、令和3年9月、県として名古屋鉄道と共同で残期間における残工事費の精査を行った結果、事業完了が当初の令和5年度から5年遅れて令和10年度となることが判明し、公表された。
今年3月に名古屋本線豊橋方面行きを高架上へ切り替えたことによる事業効果はどのようなものか。あわせて、今後の事業進捗の見込みについて伺う。
【理事者】
知立駅付近連続立体交差事業は、名鉄知立駅付近の名古屋本線と三河線を合わせた約4.3キロメートルの区間の鉄道を高架化することにより、10か所の踏切を除却し、都市内交通の円滑化と鉄道により分断された市街地の一体化を図る事業である。
まず、豊橋方面行きの高架上に切り替えたことによる事業効果についてであるが、知立駅東側の踏切で、ピーク時間帯の1時間当たりの遮断時間が約47分から9分減少し、約38分となり、ピーク時における踏切遮断時間が40分以上の、いわゆる開かずの踏切の状態を解消することができた。
次に、今後の進捗状況についてである。
名古屋本線では、今年3月に豊橋方面行きを高架上に切り替え、現在は、令和7年度の名古屋方面行きの高架上への切替えに向け、高架構造物工事を進めている。三河線の豊田方面では、現在、仮線工事と三河知立駅を豊田市側へ約0.9キロメートル移設する工事を進めており、今年度中に仮線に切り替えるとともに、移設駅を開業する予定である。
また、碧南方面では、今年度、全線にわたり仮線工事に着手し、仮線への切替え後、順次、高架構造物工事を進め、令和9年度には三河線を高架上に切り替え、その後、側道と交差道路の整備を行い、令和10年度の事業完了を予定している。
【委員】
事業効果の発現については、今年3月の豊橋方面行き名古屋本線の高架化切替えで、2か所の踏切では残る名古屋行きの線路のみとなったことから、遮断時間がその分短縮したということであり、また令和7年度には、残る名古屋行きの線路も高架本線へ切り替えることから、名古屋本線では踏切による交通阻害は消滅する。
令和9年度には、残る三河線が全て高架本線に切り替わるため、事業全体の完了の前年度には全ての踏切を除却することで、着実に効果の発現がある。
そもそも、この鉄道高架事業は、言うまでもないが、中心市街地の活性化、あるいは駅周辺地域の発展に資するまちづくりを、知立市や地元市が計画する中で、いわゆる鉄軌道によって、今までは駅前、駅裏ということで分断していたまちを、その鉄軌道を高架化することで一体的にまちづくりができることで、市が計画するまちづくりの一環として、県が事業者として鉄道を高架化するということだと思う。
そういう意味では、県の責任範囲たる高架化が順次進んでいくことによって、南北分断を解消するという目的は徐々に達成しているということで、着実にその成果、効果が発現されているといえると思う。
今後、説明のあったスケジュールに則った着実な工事進捗を要望する。
そして、全体事業費について、令和3年9月に、先ほどの今後の見込みと併せて精査を行った際、これまでの610億円から182億円増額をして総事業費が792億円となることが判明し公表された。
そこで、本事業に要する費用のうち、国、県、市、名鉄がそれぞれ幾ら負担をすることとなるのか。また、本事業における県、市の費用負担の考え方について伺う。
【理事者】
本事業の総事業費は約792億円で、このうち、名鉄が将来的に高架下を貸し付けることなどにより得られる受益の相当額として約128億円を負担し、残りの約664億円のうち、国が361億円、県が178億円、市が125億円を負担することになっている。
次に、県と市の負担の考え方について、本県の連続立体交差事業における県と市の負担割合については、従来より、国の補助金分を除いた、いわゆる裏負担分を県と市で1対1の割合で負担することとしている。しかしながら、知立駅は名古屋本線と三河線が接続する広域結節点であり、各路線の乗換機能や直通機能、三河線の複線部分については、専ら知立市外からの利用者の利便性向上に資するものであることから、市負担の対象から除外し、県が負担することとしている。これにより、市の負担額が約25億円軽減されている。
【委員】
令和3年9月の段階で、知立駅の名古屋本線と三河線の乗換階と三河線直通機能、いわゆる渡り線の部分で3億円、三河線豊田方と碧南方の複線化部分で10億円、合わせて約14億円について知立市の負担を県が肩代わりした。
平成25年5月にも県が知立市の負担を肩代わりしており、それが11億円であるので、先ほどの14億円と11億円を足すと、県による肩代わり額は累計25億円となる。
なお、旧民主党政権における平成22年4月の社会資本整備総合交付金制度の創設に伴って、事業費の国費率が50パーセントから55パーセントに引き上がった結果、工事費で14億円、事務費で2億円、合わせて16億円の知立市負担額が軽減となっていることから、先ほどの県による肩代わり分、累計25億円と合わせると、これまで知立市負担額の軽減額は総じて41億円となり、知立市負担額は125億円となった。
今後、再び公共工事設計労務単価及び資材単価が上昇すること並びに工期の延伸ということが懸念されることから、これは名鉄と共に工期短縮とコスト縮減に努めて、とりわけ、かねてから知立市が県当局に対して県市負担割合の見直しを要望していることを踏まえれば、知立市負担額の軽減を図ることに特に努力をしてもらい、完成に向け着実に工事進捗を図るよう要望する。
次に、知立連立で生み出される高架下の有効利用について、知立市において、知立駅付近周辺の将来像の策定のための官民が連携した組織として、例えば、知立駅周辺街並みデザインプロジェクトや、現在行われているエリアプラットフォームなどがあり、様々な意見やアイデアが出されている。
そこで、新たにこの高架事業によって生まれる鉄道高架下利用の検討状況について伺う。
【理事者】
連続立体交差事業により生み出される高架下の土地については、駅舎や道路などを除いた利用可能な面積の15パーセントまでを固定資産税等相当額で国または地方公共団体が利用でき、設置可能な施設は駐輪場や公園などの利益を伴わないものに限定されている。
残りの85パーセントの部分は、鉄道事業者が定める使用料を支払い、一般的には飲食店やスーパーマーケット、駐車場などで商業利用される。
しかしながら、高架下利用のうち、商業施設は社会経済や周辺の開発状況の影響が大きく、実際に高架下が利用できる直前にならないと進出する企業が決まらないことが多いため、まずは、公共施設としての利用を検討するための作業部会を昨年11月に、県、市、名鉄の3者で設置し、検討を進めている。
【委員】
名古屋鉄道は、グループ全体で中期経営計画を公表しており、例えばその中には、グループ一体となった沿線地域の活性化や、沿線地域における生活に根差したサービスの展開というカテゴリーがあり、そこには主要駅に商業施設、いわゆるμPLATというブランドがあり、これを積極的に展開して、健康レジャー施設や予防介護、保育事業施設の開発に取り組むとしている。知立駅もこのカテゴリーに含まれるものと聴いている。
地元経済界からは、この高架下利用に関して、知立駅周辺エリアのにぎわいの創出に資するものとなることが期待されており、独自構想も知立市に対して提言をされている。その実現に向けて、まずは公共施設からであるが、官民一体となった取組が必要となり、県の役割も大きいと期待をしている。
同様に、地元経済界からは、知立駅の高架下を南北に貫く幅員30メートルの都市計画道路である知立南北線に関して、知立駅周辺エリアの魅力向上に資する、いわゆるバスターミナルの整備が提言されている。
ここで、本事業に伴って整備する都市計画道路は数々あるが、この知立駅周辺のシンボルロードとなるこの知立南北線の整備予定について伺う。
【理事者】
都市計画道路知立南北線のうち、鉄道より北側の区間については、知立市が現在事業中の知立駅周辺土地区画整理事業と今年度、市が事業化予定の街路事業で整備すると聞いている。
また、鉄道より南側の区間については、今後、市が事業化予定の知立駅南土地区画整理事業で整備すると聞いており、区画整理区域外については、区画整理事業の進捗に合わせて、県が街路事業で整備する予定である。
県としては、知立駅周辺土地区画整理事業区域内の知立南北線の整備に当たり、将来道路管理者として整備費の一部を負担し、市の区画整理事業を支援している。
今後も、知立駅付近連続立体交差事業の事業効果を最大限に発揮させるため、知立南北線の全線供用に向け、知立駅南土地区画整理事業が速やかに事業化されるよう、区画整理事業の事業計画策定時などの機会を捉えて助言をするなど、市への支援を行っていく。
【委員】
知立市が事業者として計画をする知立駅南土地区画整理事業と同様に、駅北西新地地区の再開発事業は事業計画中としているものの、事業着手の見込み時期がこれまで再三繰延べになっている。現在も、整備内容や着手時期を含めて具体的な計画がまだ決まっていない状況にある。
知立南北線についてもそうであるが、駅前広場は現行計画だとタクシーやバスの乗降場所、いわゆるロータリーという計画になっているが、このロータリーのバスの発着を、経済界からの提言の中で触れた南北道路のバスターミナルに移設して、機能を移設することで空いた余剰地を、市民が集い、にぎわいが創出できる、広場にするなど、期待を込めて経済界から知立市に提言されている。それを実現するためには、言うまでもないが、現行の都市計画の変更を知立市がまずはやらないと、何も始まらない。県に要望であるが、ぜひ、事業計画の決定、都市計画の変更に関して、積極的に助言と支援をお願いしたい。
市が、これからの発展に資する中心市街地の活性化、駅周辺の発展に資するまちづくりをして、その一端を担う県が鉄道高架事業をやっており、南北分断の解消という課題には、順次、県としてその責任をしっかり果たしてもらっている。
一方で、鉄道高架の出口が見えたが、その後の周辺のまちづくり、にぎわいづくりという観点で、まだ未確定な部分が多々あることから、県の市に対する助言や支援を市民は期待している。
【委員】
県営住宅と空き家対策について伺う。
県営住宅であるが、私の地元の県営高針住宅も空きが沢山あるという話をよく聞くし、大変老朽化してきたため、入居する人が少なくなってきていると言われるが、以前から比べると、共益費や駐車場代を自治会が集めることがあったが、大分改善されてよくなったと聞いている。
空き家が多いことについては、公的な資産が活用されているのか。県営住宅の今後の在り方を単純に年間1棟ずつ、どこかの県営住宅を新しくしているだけでよいのかと思うが、まず、現在の管理戸数と空き家戸数はどれぐらいなのか、率も含めて伺う。
【理事者】
県営住宅の管理戸数については、2023年4月1日現在で5万7,049戸である。そのうち空き家の戸数は1万2,532戸で、空き家率は約22パーセントとなっている。
【委員】
建て替えるために空けていかなければいけないが、全体的にいうと相当な空きがあり、内装にお金をかけられない予算措置といった問題もあるが、2割空きがあることについて、県営住宅の建て替えをどう進めていくのか、県営住宅の在り方も含めて、県の指針を問われると思う。
昔は大家族で、高度成長期はファミリータイプを増やしてきたが、だんだん核家族世帯になり、最近は単身世帯であり、そういう意味では、少しタイプが変わったものも出てもよいのではないかと思うが、県営住宅の今後の進め方について、どう考えるのか。
【理事者】
建て替えをする住宅の選び方については、1970年代半ばまでに建設され、エレベーターが設置されていない3階から5階建ての住宅を対象に選定している。
建て替え後の新しい住宅については、建て替え前の入居世帯が一度、団地内の他の住宅やほかの既設県営住宅に仮移転した後、建て替え後の新しい住宅に戻る、いわゆる戻り入居が前提となっており、直近3年間で完了した7住宅中、5住宅では約8割の人が戻り入居をしている。
そのため、建て替え後の新しい住宅では、建て替え前の入居世帯の世帯構成に応じた住戸タイプを設定しており、1人または2人世帯については2DK、3人以上の世帯については3DKを基本としている。
【委員】
要は、今入っている人を優先するので同じようなものを造っていくという話だが、昭和40年代、50年代の建築が多いことで、どれぐらいのペースで進めているのか。また、住戸のタイプはどのようなものか。
【理事者】
建て替えの戸数であるが、年度により若干変動があるが、おおむね350戸ほどで進めている。
【委員】
戸数を聞いているわけでなく、全体からすると、どれぐらいのペースで建て替えをしていっているのか。当然、終わらないが、一つの県営住宅を建て替えることでいうと、予算措置から、全体のどれぐらいが老朽化していて、どれぐらいのペースで建て替え計画が進んでいるのか。
【理事者】
県営住宅の建築ストックであるが、1980年代までに建設したものが約半数を占めており、今後一斉に建て替え時期を迎えることから、事業の平準化等が課題となっている。2020年に愛知県長寿命化計画を策定しているが、今後10年間で、既存の住宅を6,900戸建て替えていく計画としている。
【委員】
50パーセントが古く、計画は予算とにらみ合いだが、空き家が2割あることは、対策は真剣に考えてもらわないといけない。
今入居している人が優先して入るため、新規で入る人が少なく、空き家が埋まっていかない。
私が常々言ってるのは、単身者用がないことである。単身者用の1LDKを造れといっているわけでもなく、2DKが貸せるならば、それはそれでよい。ただし、それを貸さないのであれば、今入居している人たちが優先され、新しく新規で入れない。建て替えずに置いてある住宅が空き家のままであり、そこにも入らない。その辺の対策が必要だと思う。
高齢者が非常に多く、単身者もこれから増えてくるが、単身者用の小さな住宅を造る考えはないのか。
【理事者】
建て替え後の新しい住宅に戻り入居した単身者が、入居後に事情により退去した後、新たな入居者を募集する場合に、2DKであれば、単身者用に募集することも一般世帯向けに募集することも可能となる。
建て替え後の新しい住宅を単身者用で建設した場合、戻り入居した単身者が退去した後の募集では、単身者向けに募集することとなり、一般世帯の選択肢が減ってしまうこともあるので、住戸を有効に活用するため、より選択の幅がある2DKで供給している。
【委員】
今の話の流れでいくと、単身者向けは造らないということであれば、募集を増やしてもらえばよい。2DKでも、新しい単身者が入りやすい募集を増やすことについてはどうか。
【理事者】
新設の2DKの住戸については、住宅のコミュニティーの活性化等を勘案して、幅広い世帯が入ってもらえる一般世帯に入居してもらうことで、従来、一般世帯に限って募集をしている。
【委員】
学生と連携してやるという話も聞いており、それは一つの活性化で、東京などは多摩市で学生が入って、自治会の活性化につなげている実例もあるため、名古屋市もやり始めているみたいであるが、それをやる前向きな話と、県の取組みはそれと相反するような気がする。現代では独り身が多く、その人たちが入るところが少ない。なおかつ安価で入居ができるところが民間で少ないことを考えれば、公営住宅としての役割を果たさなければいけないと私は思う。
次に、空き家対策である。全国で、850万戸と言われており、そのうち長期で放置してあるものが350万戸と言われている。愛知県ではどれぐらいあるか分からないが、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、市町村が主体となって、民間の不良住宅の除去や改修に対して補助を行っており、県においてもこうした除去などへの補助制度を持っている市町村に対して財政的な支援を行っていると聞くが、その概要と実績を伺う。
【理事者】
本県では、国の交付金等を活用して愛知県空家等対策推進事業費補助金制度を2017年度に創設し、空き家等の除去や改修に要する費用の一部を市町村に補助する財政上の支援を行っている。
本制度における補助対象は、構造上、保安上、衛生上、景観上において適正に管理がされていない空き家等の除却や、空き家を活用し、地域の交流施設など地域活性化のために利用される施設を整備するための改修としている。
2017年度の制度創設後の補助実績については、除却が昨年度の263棟を含め、これまでに合計1,134棟、改修が昨年度の10棟を含め、これまでに合計14棟である。
【委員】
先日、ニュースを見ていたら、和歌山市で空き家となっている古い旅館が壊されるという報道があった。地元の住民が怖がって困って市に訴え続けて、何年もかかってやっと壊してもらったとのことだが、こういったことがこれから出てくると思う。
崖の上に建っている旅館で、昔は非常にはやり、たくさん観光客も来たが、持ち主が亡くなり、後継ぎがその相続を放棄したことで、いまは誰も持っていないということであり、略式の執行を行った。
古い住宅についても、これから所有者も不明で、適切な管理がされないまま放置されることがあるとすると、状況によっては、行政側が所有者に代わって代執行をしなければいけないこともあると思うが、本県ではこういった事例があるのか。
【理事者】
これまで、県内において2015年に施行された空家特措法に基づき実施した空き家の除却に関する代執行のうち、所有者等に代わって行政が強制的に措置を行う行政代執行については、安城市において2件の事例がある。
また、所有者等が特定できない場合に行政が行う略式代執行については、瀬戸市で2件、名古屋市、豊橋市で各1件の合計4件となっている。
【委員】
本県でもあるということで、今後は適切に措置をしてもらわなければと思うが、今般、空家特別措置法が改正されて、除去等のさらなる促進に加えて、周囲に悪影響を及ぼす前の有効活用や適切な管理を総合的に強化することになったと聞いている。改正法が6月14日に公布され、施行は6月以内ということで、現時点では、具体的な内容は定まっていないと思うが、県としてはどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
空家特措法の改正により、市町村が空き家の活用を促進する区域や空き家の活用に関する指針を定め、空き家の利活用を促進する空家等活用促進区域制度の創設や、放置すれば周囲に著しい悪影響を及ぼす特定空家になるおそれのある管理不全空家に対して、市町村長から勧告を受けた者は、固定資産税の住宅用地特例である6分の1または3分の1への減額を解除するなどの措置が盛り込まれた。
具体的な内容については、今後施行日までに政省令等で定められると聞いているが、本県としては、空き家対策の主体である市町村が、改正法に基づく対応を円滑に実施できるよう、県内の全市町村等を構成員とする空き家対策担当者連絡会議の場などを活用して、情報提供や助言を通じて市町村を支援していく。
【理事者】
先ほど県営住宅管理室担当課長が答弁したのは新設の県営住宅募集時の話であり、補足する。
県営住宅の単身向け募集については、2021年度から一般世帯の応募状況、個々の住宅の状況などを、いわゆるコミュニティーに配慮しながら、2DKだけではなく、従来では募集していなかった3DK等も募集を始めている。また、特に高齢の単身者には配慮しており、入居機会を増やすために単身向けの募集だけではなく、いわゆるシルバーハウジングといったものや、老人世帯向け住宅といったものにも応募が可能なように制度を改めている。
今後も一般世帯や、母子世帯等の配慮すべき方々の応募状況も踏まえながら、空き住戸の多い住宅を単身向けに切り替えるなど、拡充をしていきたいと思っている。
【委員】
空き家については、ぜひこういう事例が増えていくとよいと思うが、活用することがまだ進んでいない。
一昨日、私の周囲の空き家対策をやっているNPOの人々や、不動産屋に話を聞いた。何が大変かといったら、空き家を認知することができない、どこに空き家があるのか分からないというのが一番困っているということで、宅建業界からはアドバイザーから情報が来ると思ったら全く来ないと言っていた。
また、令和6年に相続登記が義務化されると、登記の申請をすれば、誰が相続するかが分かり、そうしたら、その人にどうするかとは問えるので、もう少し営業がやりやすくなるとは言っていた。
しかし、そこが空き家かどうか認知をどのようにするかは難しい話で、相続したから全部登記を上げていくという話になる。
そういう意味では、市町村がやっているが、空き家バンクをつくることで、入りたい人を募ることもでき、空き家を募るというのもある。県として活用方法を考えると、しっかりと情報をどうやって得ていくか、それをリノベーションしてもらえる業者や市民団体、またNPOと連携をして、どういうまちづくりをしていくかということになる。
特に商店街は、空き家があったらそれをどう活用するかを、熱心に、市民を巻き込んでやっている。
このようなことを、ぜひ愛知県としてもしっかり考えて、制度をつくり、いろいろなところと連携しながら前に進めていってほしいと思うが、今ある情報で、そういうことをやっている市町村があるのか、また愛知県が持っているその仕組みなり、取組や考えがあれば教えてほしい。
【理事者】
県内においても、NPO法人や一般社団法人等と連携して空き家の活用に取り組んでいる市町村がある。
事例として、例えば豊田市においては、NPO法人と連携して市内の空き家所有者と入居希望者とのマッチング、空き家及び空き家予備軍への訪問相談、専門家による勉強会の開催などを実施している。
また設楽町では、一般社団法人と連携して、築100年以上の古民家を改修して、地元の自然や特産品を生かした体験、飲食、宿泊ができる施設の整備であったり、空き家バンクの運営、空き家のマッチングの仕組みの運営などを行っている。
【委員】
空き家対策について、局長の考えを伺う。
【理事者】
空き家対策の大きなものとして、今回の空家特別措置法の改正があり、その中で、今指摘のあった空き家の活用の促進が大きな柱として加えられている。
その中で、新たな内容として、市町村がNPO法人や社団法人等を、空家等管理活用支援法人として指定して、所有者や活用希望者への普及啓発、情報提供等ができるようになっており、今後、詳しい枠組み内容が国からも示されると思っている。
そういったものをしっかりと把握して、市町村が構成員になっている会議等の場で情報提供、それから様々な支援に取り組んでいきたいと考えている。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年6月29日(木) 午後0時58分~
会 場 第4委員会室
出 席 者
丹羽洋章、松本まもる 正副委員長
横井五六、鈴木喜博、青山省三、新海正春、日高 章、伊藤貴治、
富田昭雄、阿部洋祐、古林千恵、柴田高伸、園山康男 各委員
建設局長、建設政策推進監、建設局技監(2名)、土木部長、道路監、
治水防災対策監、豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、
水資源監、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、リニア・交通対策監、港湾空港推進監、
空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、
収用委員会事務局長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第 81 号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第7款 建設費
第2条(債務負担行為の補正)の内
現年災害復旧事業県道古真立佐久間線法面工事
第 87 号 愛知県都市公園条例の一部改正について
第 88 号 愛知県事務処理特例条例の一部改正について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第81号、第87号及び第88号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 道路の整備等について
2 水資源対策並びに河川、砂防及び下水道の整備等について
3 土地対策、都市計画並びに公園及び市街地の整備等について
4 総合交通体系及び港湾の整備等並びに航空対策について
5 宅地建物取引及び建築・宅地造成等の規制について
6 公営住宅等の建設及び管理並びに県有施設の営繕工事について
7 建設局、都市・交通局、建築局及び収用委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(3件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 委員長報告の決定
4 一般質問
5 閉会中継続調査申出案件の決定
6 閉会中の委員会活動について
7 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
議案の第7款第3項第1目河川管理費より、矢作川・豊川カーボンニュートラルプロジェクト推進費について伺う。
矢作川カーボンニュートラルプロジェクトは、矢作川流域をモデルケースとし、水循環をキーワードにカーボンニュートラルを目指す取組で、矢作川カーボンニュートラル推進協議会で国や市町村、経済団体等と連携しながら推進していると聞いている。
近年の地球温暖化により、気候変動が自然災害の激甚化・頻発化の一因になっている。待ったなしの気候変動に一刻も早く対応するために、やれるものから取り組んでいくという愛知県の強い姿勢を感じている。
愛知県においても、6月2日の大雨で大きな被害が出たところであり、気候変動緩和策の一つであるこのプロジェクトに、より一層しっかりと取り組んでいく必要性を感じている。
そこで、今回このプロジェクトを、これまでの矢作川流域から豊川流域を含め、三河全域で展開するとのことだが、なぜ今、東三河地域へと拡大したのか、矢作川カーボンニュートラルプロジェクトのこれまでの進捗状況と併せて伺う。
【理事者】
このプロジェクトは、2021年9月に検討に着手し、2022年3月に28の施策を推進していくことを公表した。
2022年8月には、矢作川カーボンニュートラル推進協議会を設立し、優先的に取り組む施策を選定した上で、その下部組織となる四つの分科会で検討を進めることとし、その成果を今年3月に開催した矢作川カーボンニュートラル推進協議会で報告した。
具体的な進捗としては、再生可能エネルギーの創出として、国管理の矢作ダムにおいて運用高度化による増電の取組を今年度から試行することや、下水道施設の矢作川浄化センターにおける民間資金などを活用した自家消費型の太陽光発電の導入、広田川で整備中の菱池遊水地への太陽光発電施設の設置に向けた検討などを進めている。
また、エネルギーの省力化としては、農業集落排水を流域下水道に取り込むなどの汚水処理の広域化や汚泥処理の共同化を順次事業化している。
このように、幾つもの施策で具体化に向けた進捗が確認できたことから、他の地域へ広げていく段階に達していると判断し、水の大動脈である豊川用水や建設中の設楽ダムなど水循環に関連した施設が多くあり、また、充実した森林資源を有し、カーボンニュートラルの実現に向けたポテンシャルが高い地域である東三河地域に拡大することとした。
【委員】
今回の補正予算で行う調査の成果として、いつ頃、どのようなアウトプットを想定しているのか。
【理事者】
本調査では、新たに展開する東三河地域におけるダムや上下水道、農業水利施設など、水循環に関連する各種施設の現状を把握し、再生可能エネルギー創出量や二酸化炭素の削減量などのポテンシャルを整理した上で、プロジェクトの展開による効果を試算する予定である。
調査の成果は、今年度末までに東三河地域におけるプロジェクトの展開を全体像として取りまとめ、矢作川カーボンニュートラル推進協議会に報告していきたい。
今後も、既存の枠組みにとらわれず、官民連携で総合的かつ分野横断的にカーボンニュートラルの実現を目指し、可能なものから順次、事業化していく。
【委員】
第87号議案の愛知県都市公園条例の一部改正について伺う。
現在、愛・地球博記念公園の芝生広場に、猫の城遊具の整備が進められており、今回の条例改正は、この遊具を利用する際に使用料を徴収するという内容について、先ほど説明があったが、一般的には珍しいケースになると思うので、より詳しい説明を求める。
私の地元、大府市には、あいち健康の森公園という県営の大きな都市公園があるが、その一角に、子どもの森という子供たちに人気の遊具が集まった1日たっぷり遊べるエリアがあり、これは全て無料である。週末には多くの人でにぎわっているが、特にトラブルとなることもなく、皆きちんと順番を待つなどして安全に楽しく遊んでいるという印象である。
そもそも遊具は無料というイメージであるが、なぜ有料にしたのか、その考え方について詳しく伺う。
【理事者】
県営都市公園ではゴーカートなどの特殊な遊具を除いて、使用料を徴収している遊具はなく、本来、遊具は無料が基本と考えている。
しかし、この遊具は、スタジオジブリ映画の猫の恩返しをモチーフにしたものであり、これを目当てに多くの子供たちが遊びに来るということが想定をされる。また、子供たち以外にも、ジブリ作品をモチーフにした遊具はどういうものなのか一目見たいという人々が数多く来園することも想定される。
このように通常の遊具とは違い、幅広い世代の人々が集まることが想定されるので、土曜日、日曜日、休日、ゴールデンウイーク、学校の春休み、夏休み、冬休みといった多客日には、来園者の安全を確保するための入場制限などが必要と考えている。
そのため、入場を制限するための整理員や、子供たちに安全に遊んでもらう監視員を配置するなど、安全対策を万全に期すための特別な対応のために必要な費用につき、利用者に負担をしてもらう。
【委員】
通常の遊具とは違って子供たちだけでなく、それ以外の人もたくさん来ることを想定し、利用者の安全を確保するために必要な費用について、利用者に負担を求めるということであるが、費用の具体的な内容と額を伺う。
【理事者】
土日、休日等の多客日には、入場を制限するための整理員を1人、それから安全に遊んでもらうための監視員を2人配置し、計3人配置する。平日も、安全に遊んでもらうための監視員を1人配置することを予定している。
加えて、安全に遊んでもらうためには、遊具の点検や修繕を適切なタイミングで確実に行っていくことが必要になるので、これらの人件費や点検修繕費について、利用者に負担してもらう考えであり、その費用としては年間で1,500万円程度を見込んでいる。
【委員】
人件費や点検の修繕費について利用者に負担を求めるということは、収入も同じぐらいの額を見込んでいるのか。また、どのようにその料金の額を設定したのか。
【理事者】
収入についてであるが、特別な費用を賄うため、収入も費用と同じく年間1,500万円程度を見込んでいる。
次に、料金の額について、遊具の利用時間は9時から17時で、1時間ごとの入替え制とする。
1時間当たりの定員を140人と想定しており、1日8回転するので、1日の利用人数は1,120人を想定している。この1日の利用人数について、営業日数や天候によって利用人数は左右されるので、その利用率や、それから常に定員まで利用するとは限らないため、その利用率や、大人と子供の利用割合といった項目を考慮して、年間の利用人数を想定している。
その利用人数によって、必要となる1,500万円程度の費用を賄うことができる料金として、小学生以下の子供を100円、大人を300円とした。なお、料金の設定に当たり、遊具を利用するのは子供たちであるため、その料金はリーズナブルに100円とした。
【委員】
一般的には無料が基本の遊具について、あえて料金を徴収するということであるので、その分、安全対策を万全に期すことはもちろんであるが、昨日は無料なのになぜ今日は有料なのだという混乱が、現場で起きないように、万全の体制で供用を迎えるようにしてもらいたい。
【委員】
先ほど伊藤貴治委員の質問で河川課担当課長から、農業集落排水と流域下水道の接続について答弁があり、将来には接続が認められるのではないかと地元でも聞いていたが、現在この取組はどうなっているのか。
【理事者】
カーボンニュートラルに効果があるというのは、矢作川地区の幸田町において公共下水道の周りにある農業集落排水を、公共下水道、ひいては流域下水道に接続することによって、個別に小さいところで処理するよりも、流域下水道という大きい処理場で処理する方がポンプの経費など処理に関わる経費が安くなり、カーボンニュートラルにつながる取組として挙げさせてもらっている。
【委員】
私の地元でも、かなり農業集落排水の整備が進んでおり、流域下水道も順次やっているが、そこに接続しても違反にはならないということか。
【理事者】
一部農業集落排水を取り込む取組について、昨年度末に公表した広域化・共同化計画の中で海部地域において予定されているものもあると思う。
ただし、農業集落排水を全部つなぐというわけではなく、流域下水道に近い所にあり、そこへ取り込んだほうがいいところは下水道に取り込むという計画や、農業集落排水同士で統合して大きな規模にして、スケールメリットを図るという計画もある。地域の実態に合わせた取組をおのおの進めていくことにしている。
《一般質問》
【委員】
近年、気候変動の影響により気象災害は激甚化・頻発化し、私たちの安全な暮らしが脅かされている。
そのような中、国は国土強靱化のための5か年加速化対策を打ち立て、国民の生命・財産を守り、社会の重要な機能を維持するため、防災・減災、国土強靱化の取組の加速化・深化を図っている。
そこで、河川整備の中の樹木の伐採について伺う。
河川の樹木の繁茂は、流下能力を阻害し、出水時に洪水氾濫の原因となるおそれがある。私の住む春日井市をはじめ、他市町村からも河川に繁茂する樹木の伐採を要望しているところは多いと聞いている。
先般の台風2号の大雨に伴い、本県においても大きな被害を受け、災害復旧の要望を自民党として国にも挙げたが、河川の流域に住む人々が安心して暮らせる環境を整備するために、優先順位をつけて維持管理をしていると思うが、その考え方について伺う。
【理事者】
河川内の樹木については、良好な河川環境を形成する一方で、流下断面内に過剰に繁茂すると、河積阻害により洪水の安全な流下の支障となり、氾濫の原因となるおそれがあり、適切に伐採する必要がある。
樹木の繁茂状況については、2020年度に山間部を除く県内全域において、航空レーザー測量データなどを活用した樹木の繁茂状況の実態調査を行っている。日頃から、建設事務所において定期的に河川パトロールや堤防点検を実施し、その状況の把握に努めている。
その上で、樹木の繁茂の程度による河積の阻害状況、水防上の重要度、沿川の市街化の状況などを総合的に勘案し、特に緊急性が高い区間から、順次、伐採を実施している。
【委員】
激甚化する水災害による被害の軽減には、河川の整備を行うとともに、その機能を確保して河川環境などの保全の観点からも適切な維持管理が重要であり、計画的に樹木伐採などの維持管理を進める必要があると思うが、今後どのように進めていくのか。
【理事者】
従来の県単独事業である河川環境対策事業による対策に加え、2018年度からは防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策、2020年度からは防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を活用し、昨年度までに44河川において、集中的に一連区間の樹木伐採を実施してきた。
今年度についても、春日井市内の内津川などにおいて実施を予定している。
引き続き、樹木の繁茂状況を把握し、5か年加速化対策などを積極的に活用し、適切な樹木伐採に努めていく。さらに、伐採の際に実施した切り口への薬剤塗布などの再繁茂対策の検証を行い、効果的な対策を検討していく。
今後とも、樹木の伐採など適切な維持管理を行い、治水安全度の向上や良好な河川環境の保全にしっかり取り組んでいく。
【委員】
国の事業も活用して計画的にやっていると話があったが、木を切ってもまた生えてくるし、また、堤防等河川環境を整備しても砂は流れてくるので、計画的かつ機動的にやっていくことが必要だと思うので、安心・安全確保のために、引き続きよろしくお願いする。
次に、自転車ネットワークの整備について伺う。
環境に優しく健康の増進にも寄与するなどの観点から、自転車の利活用が注目をされている。
国では、2018年6月に自転車活用推進計画が策定され、その後も2021年5月にはこの第2次計画が策定されており、昨今の社会情勢の変化を踏まえ、持続可能な社会の実現に向けた自転車の活用推進を図るため、自転車通行空間といったハード整備だけでなく、シェアサイクルの普及促進など、関連する様々な取組を実施すべき施策と定めている。
愛知県においても、2020年2月に愛知県自転車活用推進計画が策定され、2023年3月には国の第2次計画の内容などを踏まえた改定がされている。
私の地元、春日井市においても、2021年3月に自転車活用推進計画を策定し、交通の集中が想定されるエリアと自転車事故の多発区間等を重ね合わせて、自転車ネットワーク計画を策定しており、これに基づく整備に今年度から工事着手する予定と聞いている。
ネットワークとして効果を発現するには、市の整備に併せ、県が管理する道路も連携して整備を進めていくことが重要と考える。
そこで、春日井市内の県管理道路における自転車通行空間の整備状況について伺う。
【理事者】
愛知県管理道路における自転車通行空間の整備は、まず、市町村が策定する自転車ネットワーク計画に基づき、自転車通行帯など車道走行を原則とした整備を計画的に進める。
春日井市が策定した自転車ネットワーク計画には、国道155号をはじめとした県が管理する合計約49キロメートルの区間が含まれている。県としては、これまで春日井市内の自転車通行空間整備について、市と協議しながら整備する区間の優先順位を整理し、まずはJR神領駅につながる県道神領停車場線の整備に着手した。
昨年度、測量設計を実施し、今年度は公安委員会等、各関係機関との協議を進めており、来年度には工事に着手する計画である。
また、同じく、優先順位の高い県道春日井一宮線及び県道内津勝川線の2路線においても、来年度から順次、現地の測量及び設計に着手していく予定で各種調整を進めている。
早期のネットワーク形成には、春日井市との連携は不可欠であり、今後とも、市と調整しながら整備を進めていく。
【委員】
今後とも、国、県、市、春日井市、それぞれの道路管理者がしっかりと連携してネットワークの構築を推進していってもらいたい。
しかし、県内の多くの市町村は、まだ自転車ネットワーク計画を策定していない状況であり、広域的なネットワーク形成の観点からもより多くの市町村が計画を策定し、連携して整備を進めていくべきだと考える。
そこで、今後の自転車ネットワークの形成に向け、県としてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
2023年3月に改定した愛知県自転車活用推進計画では、県は自転車活用推進計画、または自転車ネットワーク計画を策定する市町村数を、2026年度までに21市町村まで増やす目標を掲げている。
現在、県内で自転車ネットワーク計画を策定した市町村は、名古屋市を含めて9市であり、県としては、引き続き、計画未策定の市町村に対して、説明会やワークショップを開催するなど普及啓発や技術支援を行い、自転車ネットワーク計画の策定を促進していく。
また、県独自の施策として、市町村の自転車ネットワーク計画策定に先行して、県管理道路で自転車関係の事故が多く、死傷事故率が高い区間において、道路幅員構成を見直すことにより整備可能な箇所を緊急対策箇所と位置づけ、自転車通行空間を整備することとしている。
加えて、新たにバイパス整備や拡幅を伴う道路の改築を実施する場合には、自転車通行空間の確保を原則として整備し、自転車ネットワークの構築につなげていく。
これらの取組により、今後も国や市町村と連携を図りながら、安全で快適な自転車通行環境を創出していく。
【委員】
国や市町村との連携を今後も進めていってもらいたい。
また、緊急対策箇所として、空間確保の部分でも工事をしていくとあったが、道路幅が確保できない幅員のところを、低木や樹木を切って広げているという状況もある。この辺りも、ぜひ歩行者の空間の確保も併せて進めていってもらいたい。
【委員】
名古屋高速道路の運営について伺う。
高速道路の有料期間を最長2115年まで延長する改正道路整備特別措置法が5月31日に国会で成立した。この法改正に伴って、名古屋高速道路の償還計画について、今後の運営に変化が生じるのか伺う。
【理事者】
今回の料金徴収期間の延長に係る法改正は、NEXCO中日本などの会社管理高速道路が対象となっており、名古屋高速道路は対象外となるので、償還計画等、今後の運営に変化は生じないと考えている。
【委員】
次に、中京圏の新たな高速道路料金導入後、定額から距離制に直したが、導入後における名古屋高速道路の利用実態について物流業界、また、一般ユーザーの反応はどのようなものか。
【理事者】
2022年12月に開催した名古屋高速道路の料金問題調査会において、経済団体からは、短距離利用の料金が下がったことや、旧料金圏の撤廃により連続利用が促進されて一般道の渋滞が解消するなど、料金改定によるメリットを感じている人が多いと聴いている。
また、同じく2022年秋に実施したお客様満足度調査では、料金改定によって一般道から名古屋高速道路へ転換した人や、名古屋第二環状自動車道等のほかの高速道路と併用する頻度の増加など、行動変更した利用者が約4割いることが確認できた。
引き続き、利用促進が図られるよう、広報活動に取り組んでいく。
【委員】
最初の質問で、名古屋高速道路では、償還計画について国の法改正による変更がないと答弁があった。
短距離の利用者は増えたと思うが、そもそも、高速道路は長い距離を早く安全に走るためのものだと思っている。ホームページに書いてある名古屋高速道路公社の経営方針にも、高速道路の特性が効果的に発揮される状態として、目的地までの距離が長い交通は高速道路を利用し、目的地まで短い交通は一般道を利用すると明記されている。
今、一般ユーザーの回答があったが、私は、とりわけ物流業界の声を丁寧に聞いてもらいたいと思っている。
2024年4月以降、トラックドライバーの時間外労働の上限が年間960時間に制限されて、業界としては大きな変化を迎えることになる。慢性的な現在の人手不足も影響して、現状に比べ、2025年には3割程度の荷が運べなくなるのではないかという試算もある。
一般的に、日本の高速道路の利用率、専門用語で分担率と言われるが、これは欧米諸国に比べて日本は4割程度も低く、高速道路が十分に使われていないという指摘もある。それによって、日本の物流コストは高いとも指摘されており、直近2022年に公益社団法人日本ロジスティクスシステム協会の調査が行われたが、全業種平均で、売上高に占める物流コストの割合は約5.31パーセントだと言われている。
高速道路が十分に利用されていない、活用されていない一番の原因は、利用料金の高さであると思っている。料金が高いから、時間はかかるが下道をしかたがなく走っているというトラックドライバーの声も聞いており、これは長時間労働の原因にもなっている。
2024年の物流の大きな改革を前に、長時間労働の是正、また物流コストの削減や生産性の向上による産業競争力のさらなる強化に向けて、現行の高速道路料金の引下げを行う必要がある。
名古屋高速道路の償還満了日は、現在2044年10月となっている。これを最初の質問で国の法改正は関係なく、影響を受けないと言ったが、2044年10月の名古屋高速道路の償還期限を相当程度延ばす、もしくは、永久有料化することによって利用料金を引き下げることが可能だと考えるが、この点について意見を伺う。
【理事者】
有料道路事業制度は、高速道路株式会社や地方道路公社などの有料道路事業者が借入金を用いて道路を短期間で整備、供用し、利用者の通行料金で返済や管理に充てる方式、いわゆる償還主義に基づいている。
名古屋高速道路では、建設費用や大規模修繕事業などに係る費用を着実に償還できる見通しとなっており、引き続き、現行の料金を基本としていきたいと考えている。
【委員】
答弁にあったように、短期間で返済していくということがこの高速道路の償還主義の考え方だと思うが、国も同じように考えてきたのに、現行の2065年を50年間延ばして、我々が生きていないだろう2100年以降の償還期限まで延ばした経緯がある。
2022年度の名古屋高速道路公社の決算報告書を見たが、料金収入約679億円、このうち半分近くの約314億円が、償還準備金として充てられている。
また、今回の国の法改正しかり、名古屋高速道路も老朽化対策、また電動車、自動運転の普及等によって、時代の変化に応じて、道路の改修等をやっていかなければならないと思う。
こうした意味において、将来的に投資が必要となるのは明らかであるので、2044年以降に無料開放されることは国民、市民の誰もが疑問がある。無料開放の可能性は極めて低いのではないかと考えるのが現実的だと思う。
高速道路料金の引下げ、すなわち県内移動のコスト減は、来年開業予定のSTATION Aiとも関連しており、愛知県でスタートアップを目指す企業を誘致する呼び水にもなるし、また、起業後の経営支援にもつながっていくと考えている。
もちろん一般の自動車ユーザーにとっても大変恩恵のある料金の引下げであるし、この制度はいろいろな政策や税投入しないとやれない施策だと思うが、愛知県や名古屋市の予算を投入することなく、実現可能だと思っている。
現在の料金収入は償還主義に基づいて、現在の利用者から料金徴収をしているが、私が計算したところ、年間の料金収入679億円、これを年間の名古屋高速道路を利用している通行台数、1日当たり約26.8万台に、365日を掛けると約9,782万台になる。これを単純に割ると1台当たり694円となり、694円料金徴収すれば、今の料金収入を維持して名古屋高速道路を運営していく、また償還もできるという計算になる。1台当たり694円というと、大型・特大車からすると大分料金が下がると思うので、税を投入することなくやれるこの施策は本当に魅力的な制度だと思っている。
まさに産業界、また県民、行政にとって本当に三方よしの高速道路改革であるので、産業立県愛知として、全国に先駆けて料金制度を提案して、議論をぜひリードしてほしいと要望する。
【委員】
国道473号の被災箇所の復旧について伺う。
6月2日の大雨災害では、三河地域を中心に多大な被害が発生した。県の被害情報によると、私の地元、岡崎市及び幸田町においては、住宅被害について全壊1棟、半壊125棟、一部損壊6棟、床下浸水255棟あり、河川越水については、岡崎市では乙川、男川、鉢地川、幸田町では尾浜川、広田川、赤川で発生して、道路の損壊については、岡崎市で6か所との報告がされた。
その中で、現在も通行止めが続いている国道473号、岡崎市鉢地町の被災箇所について伺う。
6月3日に被災現場を確認したところ、両側車線、道路全体が崩落している状態であり、岡崎市鉢地町寺前から、蒲郡市清田町上大内までが通行止めとなっていた。
6月5日には通行止め区間の起終点で、道路情報板や看板により通行止めの案内がされていたものの、岡崎市側では、被災箇所と並行するすれ違い困難な箇所が狭小な地域内市道に迂回した車両が入り込んでしまい、事故の発生が心配される状況であった。
この状況を踏まえ、復旧までの当面の間、地域住民の安全な通行をどのように確保するのか。
【理事者】
岡崎市鉢地町の被災箇所については、道路が上下線とも崩壊したため、速やかにバリケードなどにより通行止めにするとともに、日本道路交通情報センターが提供する道路交通情報や、現地の道路情報板により通行止めの案内を行っている。
現在は、通行止め措置に加え、通過交通が規制区間に流入しないよう、国道1号及び県道長沢蒲郡線を広域的な迂回路とする案内看板を分岐点となる交差点に設置し、車両を誘導している。
また、被災直後に車両の進入が見られた狭小な市道については、地元企業や沿道住民にも協力をしてもらい、岡崎市と連携して公安委員会との調整を進めているところであり、協議が整い次第、仮設信号機を設置し、片側交互通行規制による地域内の安全な通行の確保を図っていく。
【委員】
岡崎市としっかりと連携をとって、地域の安全な交通の確保に努めてもらいたい。
一方、国道利用者については、1日でも早い通行止めの解除が望まれる。今回は被害が大きく、復旧までに時間を要することが想定されるが、被災箇所の本復旧に向け、どのように取り組んでいるのか。
【理事者】
本復旧については、災害時における協定により、測量設計業者が被災直後の6月3日から現地調査に着手し、既に測量を終えており、現在、設計を進めている。
今後は、8月下旬に予定されている国の災害査定を待たずに、災害復旧事業に係る事前打合せを活用して復旧工法を決定し、設計が固まり次第、速やかに工事を発注し、早期完了に努めていく。
【委員】
県営都市公園におけるPark-PFI等の手法による民間活力を活用した整備について伺う。
2021年10月に、大高緑地プール跡地及び県営都市公園6公園において、民間の事業者のノウハウに基づく提案を幅広く募り、県と民間事業者が対話を行うマーケットサウンディングを実施し、昨年度、その結果が出ていると聞いている。
その後、その結果を踏まえて、民間活力の導入が進められていると思うが、どのような状況なのか。
【理事者】
県営都市公園においては、厳しい財政状況の中、限られたコストでより質の高いサービスを提供していくことが求められており、そのためには、民間事業者の活力、資金やノウハウを活用することが有効であると考えている。
そのため、2021年10月から大高緑地プール跡地と6か所の県営都市公園を対象にマーケットサウンディングを実施し、このマーケットサウンディングによる民間事業者からの提案に基づき、民間事業者との対話を進めてきた。
具体的には、大高緑地プール跡地は6事業者、県営都市公園6公園は9事業者から対話の申込みがあり、民間事業者からはカフェやバーベキュー施設などの飲食やレクリエーション施設のほか、スポーツ施設の提案があった。
その後、引き続き、参加意欲のある民間事業者との対話を続け、事業実施の可能性を検討してきた結果、大高緑地のプール跡地について本年2月からPark-PFIによる民間事業者の公募を開始した。
しかし、応募期限である今月16日までに、応募登録された全ての事業者から応募辞退の申出があり、公募は不調となった。
今後、公募が不調となった理由を検証し、再公募に向けて対応策の検討を進めていく。
【委員】
県営都市公園6公園については、9事業者との対話があったとのことだが、6公園のうちの一つで、議案質疑でも質問したが、私の地元にあいち健康の森公園があり、これも6公園の一つに入っているが、あいち健康の森公園における民間活力の導入の状況について、その導入に向けた取組状況と今後の予定について伺う。
【理事者】
あいち健康の森公園を含む六つの県営都市公園については、民間活力の導入に向け、2021年度にPark-PFI制度を活用した施設の整備、運営に係るアイデアを募集したところ、あいち健康の森公園については複数の事業者から提案があった。
その後、提案があった事業者や本事業への参加に興味を持つ事業者と、事業の具体化に向けて対話を継続してきた。
今後も、引き続き、参加意欲のある事業者と対話を続け、事業者からの提案、意見等を踏まえながら、本公園における民間活力導入施設の方針や公募条件を取りまとめ、できるだけ早期に事業を公募できるよう取り組む。
【委員】
あいち健康の森公園についても複数の事業者との対話の実績があって、現在も進めているとのことで、できる限り早く、その整備を積極的に進めてもらいたい。
まず、あいち健康の森公園はどのような状況かというと、知多地域でも屈指の来場者数の多い施設であるが、その一方で、飲食や買物が満足にできないという問題がある。
加えて、設備も老朽化しており、かなり大がかりな整備が必要な状態にあり、ここをキャンプ場やグランピングの施設を新設するなどして刷新をしてほしいという声も寄せられている。
また周辺には、JAあぐりタウンげんきの郷や国立長寿医療研究センター、あいち小児保健医療総合センターなどの医療機関、そして福祉施設が高度に集積していて、農業、福祉、健康医療関係のポテンシャルの高いエリアのため、健康をテーマとして特徴づけた整備も求められている。
特に、この公園の正面にあり、隣接するJAあぐりタウンげんきの郷は、東海エリアの集客数ランキングで毎年トップテンに入る人気スポットであり、そこから来場者が公園側にも流入してくるが、残念ながら飲食や物販が何もない。何もないと言うのは語弊があるが、そのような声がよく聞かれ、そのために残念な思いで戻っていく光景が続いていると聞いている。
このような状況を憂い、地元の商工団体を中心として、産業界からも民間活力を導入しての再整備を求める声が高まっている。また、その事業化に向けて参画したいという意思を表明している事業者も大変多いと聞いている。
これらの状況を踏まえて、早期の民間活力を活用した再整備をするように要望する。
【委員】
名鉄名古屋本線及び三河線における知立駅付近連続立体交差事業のほか、県、市が計画をする周辺整備事業について伺う。
本県が事業者となる連続立体交差事業については、昭和48年以来、県内各地で施行されてきたものである。その中でも、知立駅付近連続立体交差事業いわゆる知立連立の事業規模は、これまでで最も大きく、かつ事業費も最も高い事業である。
また、この知立連立は、リニア開業を見据えて、名古屋駅から豊田市駅に至る区間を三河線の複線化直通運転によって、いわゆる速達化、時間短縮を図る重要な事業である。
なお、この知立連立は、現在、1期目の施行をしているが、2段階施行により事業を行うこととしており、現段階は名古屋本線の県道安城知立線より西側と三河線を1期施工、県道安城知立線より東側を2期施行とすると聴いている。
これまでの進捗状況の概略についてであるが、平成24年度に名古屋本線の仮線工事に着手、平成30年2月には名古屋本線と知立駅全てのホームを仮線に切り替えた。
また、今までなかった南改札口が、供用を開始した。
現在、名古屋本線においては、知立駅部分も含めて、鉄道の高架本体工事が最盛期を迎えており、今年3月には名古屋本線のうち、豊橋方面行きの線路を仮線から高架本線へ切替え運行が始まった。
また、三河線豊田方面では令和4年から仮線工事に着手し、加えて、碧南方面では令和4年度から仮線工事と併せて名古屋本線に接続する高架本体部門の工事に着手をしている。
今後の見込みについてであるが、令和3年9月、県として名古屋鉄道と共同で残期間における残工事費の精査を行った結果、事業完了が当初の令和5年度から5年遅れて令和10年度となることが判明し、公表された。
今年3月に名古屋本線豊橋方面行きを高架上へ切り替えたことによる事業効果はどのようなものか。あわせて、今後の事業進捗の見込みについて伺う。
【理事者】
知立駅付近連続立体交差事業は、名鉄知立駅付近の名古屋本線と三河線を合わせた約4.3キロメートルの区間の鉄道を高架化することにより、10か所の踏切を除却し、都市内交通の円滑化と鉄道により分断された市街地の一体化を図る事業である。
まず、豊橋方面行きの高架上に切り替えたことによる事業効果についてであるが、知立駅東側の踏切で、ピーク時間帯の1時間当たりの遮断時間が約47分から9分減少し、約38分となり、ピーク時における踏切遮断時間が40分以上の、いわゆる開かずの踏切の状態を解消することができた。
次に、今後の進捗状況についてである。
名古屋本線では、今年3月に豊橋方面行きを高架上に切り替え、現在は、令和7年度の名古屋方面行きの高架上への切替えに向け、高架構造物工事を進めている。三河線の豊田方面では、現在、仮線工事と三河知立駅を豊田市側へ約0.9キロメートル移設する工事を進めており、今年度中に仮線に切り替えるとともに、移設駅を開業する予定である。
また、碧南方面では、今年度、全線にわたり仮線工事に着手し、仮線への切替え後、順次、高架構造物工事を進め、令和9年度には三河線を高架上に切り替え、その後、側道と交差道路の整備を行い、令和10年度の事業完了を予定している。
【委員】
事業効果の発現については、今年3月の豊橋方面行き名古屋本線の高架化切替えで、2か所の踏切では残る名古屋行きの線路のみとなったことから、遮断時間がその分短縮したということであり、また令和7年度には、残る名古屋行きの線路も高架本線へ切り替えることから、名古屋本線では踏切による交通阻害は消滅する。
令和9年度には、残る三河線が全て高架本線に切り替わるため、事業全体の完了の前年度には全ての踏切を除却することで、着実に効果の発現がある。
そもそも、この鉄道高架事業は、言うまでもないが、中心市街地の活性化、あるいは駅周辺地域の発展に資するまちづくりを、知立市や地元市が計画する中で、いわゆる鉄軌道によって、今までは駅前、駅裏ということで分断していたまちを、その鉄軌道を高架化することで一体的にまちづくりができることで、市が計画するまちづくりの一環として、県が事業者として鉄道を高架化するということだと思う。
そういう意味では、県の責任範囲たる高架化が順次進んでいくことによって、南北分断を解消するという目的は徐々に達成しているということで、着実にその成果、効果が発現されているといえると思う。
今後、説明のあったスケジュールに則った着実な工事進捗を要望する。
そして、全体事業費について、令和3年9月に、先ほどの今後の見込みと併せて精査を行った際、これまでの610億円から182億円増額をして総事業費が792億円となることが判明し公表された。
そこで、本事業に要する費用のうち、国、県、市、名鉄がそれぞれ幾ら負担をすることとなるのか。また、本事業における県、市の費用負担の考え方について伺う。
【理事者】
本事業の総事業費は約792億円で、このうち、名鉄が将来的に高架下を貸し付けることなどにより得られる受益の相当額として約128億円を負担し、残りの約664億円のうち、国が361億円、県が178億円、市が125億円を負担することになっている。
次に、県と市の負担の考え方について、本県の連続立体交差事業における県と市の負担割合については、従来より、国の補助金分を除いた、いわゆる裏負担分を県と市で1対1の割合で負担することとしている。しかしながら、知立駅は名古屋本線と三河線が接続する広域結節点であり、各路線の乗換機能や直通機能、三河線の複線部分については、専ら知立市外からの利用者の利便性向上に資するものであることから、市負担の対象から除外し、県が負担することとしている。これにより、市の負担額が約25億円軽減されている。
【委員】
令和3年9月の段階で、知立駅の名古屋本線と三河線の乗換階と三河線直通機能、いわゆる渡り線の部分で3億円、三河線豊田方と碧南方の複線化部分で10億円、合わせて約14億円について知立市の負担を県が肩代わりした。
平成25年5月にも県が知立市の負担を肩代わりしており、それが11億円であるので、先ほどの14億円と11億円を足すと、県による肩代わり額は累計25億円となる。
なお、旧民主党政権における平成22年4月の社会資本整備総合交付金制度の創設に伴って、事業費の国費率が50パーセントから55パーセントに引き上がった結果、工事費で14億円、事務費で2億円、合わせて16億円の知立市負担額が軽減となっていることから、先ほどの県による肩代わり分、累計25億円と合わせると、これまで知立市負担額の軽減額は総じて41億円となり、知立市負担額は125億円となった。
今後、再び公共工事設計労務単価及び資材単価が上昇すること並びに工期の延伸ということが懸念されることから、これは名鉄と共に工期短縮とコスト縮減に努めて、とりわけ、かねてから知立市が県当局に対して県市負担割合の見直しを要望していることを踏まえれば、知立市負担額の軽減を図ることに特に努力をしてもらい、完成に向け着実に工事進捗を図るよう要望する。
次に、知立連立で生み出される高架下の有効利用について、知立市において、知立駅付近周辺の将来像の策定のための官民が連携した組織として、例えば、知立駅周辺街並みデザインプロジェクトや、現在行われているエリアプラットフォームなどがあり、様々な意見やアイデアが出されている。
そこで、新たにこの高架事業によって生まれる鉄道高架下利用の検討状況について伺う。
【理事者】
連続立体交差事業により生み出される高架下の土地については、駅舎や道路などを除いた利用可能な面積の15パーセントまでを固定資産税等相当額で国または地方公共団体が利用でき、設置可能な施設は駐輪場や公園などの利益を伴わないものに限定されている。
残りの85パーセントの部分は、鉄道事業者が定める使用料を支払い、一般的には飲食店やスーパーマーケット、駐車場などで商業利用される。
しかしながら、高架下利用のうち、商業施設は社会経済や周辺の開発状況の影響が大きく、実際に高架下が利用できる直前にならないと進出する企業が決まらないことが多いため、まずは、公共施設としての利用を検討するための作業部会を昨年11月に、県、市、名鉄の3者で設置し、検討を進めている。
【委員】
名古屋鉄道は、グループ全体で中期経営計画を公表しており、例えばその中には、グループ一体となった沿線地域の活性化や、沿線地域における生活に根差したサービスの展開というカテゴリーがあり、そこには主要駅に商業施設、いわゆるμPLATというブランドがあり、これを積極的に展開して、健康レジャー施設や予防介護、保育事業施設の開発に取り組むとしている。知立駅もこのカテゴリーに含まれるものと聴いている。
地元経済界からは、この高架下利用に関して、知立駅周辺エリアのにぎわいの創出に資するものとなることが期待されており、独自構想も知立市に対して提言をされている。その実現に向けて、まずは公共施設からであるが、官民一体となった取組が必要となり、県の役割も大きいと期待をしている。
同様に、地元経済界からは、知立駅の高架下を南北に貫く幅員30メートルの都市計画道路である知立南北線に関して、知立駅周辺エリアの魅力向上に資する、いわゆるバスターミナルの整備が提言されている。
ここで、本事業に伴って整備する都市計画道路は数々あるが、この知立駅周辺のシンボルロードとなるこの知立南北線の整備予定について伺う。
【理事者】
都市計画道路知立南北線のうち、鉄道より北側の区間については、知立市が現在事業中の知立駅周辺土地区画整理事業と今年度、市が事業化予定の街路事業で整備すると聞いている。
また、鉄道より南側の区間については、今後、市が事業化予定の知立駅南土地区画整理事業で整備すると聞いており、区画整理区域外については、区画整理事業の進捗に合わせて、県が街路事業で整備する予定である。
県としては、知立駅周辺土地区画整理事業区域内の知立南北線の整備に当たり、将来道路管理者として整備費の一部を負担し、市の区画整理事業を支援している。
今後も、知立駅付近連続立体交差事業の事業効果を最大限に発揮させるため、知立南北線の全線供用に向け、知立駅南土地区画整理事業が速やかに事業化されるよう、区画整理事業の事業計画策定時などの機会を捉えて助言をするなど、市への支援を行っていく。
【委員】
知立市が事業者として計画をする知立駅南土地区画整理事業と同様に、駅北西新地地区の再開発事業は事業計画中としているものの、事業着手の見込み時期がこれまで再三繰延べになっている。現在も、整備内容や着手時期を含めて具体的な計画がまだ決まっていない状況にある。
知立南北線についてもそうであるが、駅前広場は現行計画だとタクシーやバスの乗降場所、いわゆるロータリーという計画になっているが、このロータリーのバスの発着を、経済界からの提言の中で触れた南北道路のバスターミナルに移設して、機能を移設することで空いた余剰地を、市民が集い、にぎわいが創出できる、広場にするなど、期待を込めて経済界から知立市に提言されている。それを実現するためには、言うまでもないが、現行の都市計画の変更を知立市がまずはやらないと、何も始まらない。県に要望であるが、ぜひ、事業計画の決定、都市計画の変更に関して、積極的に助言と支援をお願いしたい。
市が、これからの発展に資する中心市街地の活性化、駅周辺の発展に資するまちづくりをして、その一端を担う県が鉄道高架事業をやっており、南北分断の解消という課題には、順次、県としてその責任をしっかり果たしてもらっている。
一方で、鉄道高架の出口が見えたが、その後の周辺のまちづくり、にぎわいづくりという観点で、まだ未確定な部分が多々あることから、県の市に対する助言や支援を市民は期待している。
【委員】
県営住宅と空き家対策について伺う。
県営住宅であるが、私の地元の県営高針住宅も空きが沢山あるという話をよく聞くし、大変老朽化してきたため、入居する人が少なくなってきていると言われるが、以前から比べると、共益費や駐車場代を自治会が集めることがあったが、大分改善されてよくなったと聞いている。
空き家が多いことについては、公的な資産が活用されているのか。県営住宅の今後の在り方を単純に年間1棟ずつ、どこかの県営住宅を新しくしているだけでよいのかと思うが、まず、現在の管理戸数と空き家戸数はどれぐらいなのか、率も含めて伺う。
【理事者】
県営住宅の管理戸数については、2023年4月1日現在で5万7,049戸である。そのうち空き家の戸数は1万2,532戸で、空き家率は約22パーセントとなっている。
【委員】
建て替えるために空けていかなければいけないが、全体的にいうと相当な空きがあり、内装にお金をかけられない予算措置といった問題もあるが、2割空きがあることについて、県営住宅の建て替えをどう進めていくのか、県営住宅の在り方も含めて、県の指針を問われると思う。
昔は大家族で、高度成長期はファミリータイプを増やしてきたが、だんだん核家族世帯になり、最近は単身世帯であり、そういう意味では、少しタイプが変わったものも出てもよいのではないかと思うが、県営住宅の今後の進め方について、どう考えるのか。
【理事者】
建て替えをする住宅の選び方については、1970年代半ばまでに建設され、エレベーターが設置されていない3階から5階建ての住宅を対象に選定している。
建て替え後の新しい住宅については、建て替え前の入居世帯が一度、団地内の他の住宅やほかの既設県営住宅に仮移転した後、建て替え後の新しい住宅に戻る、いわゆる戻り入居が前提となっており、直近3年間で完了した7住宅中、5住宅では約8割の人が戻り入居をしている。
そのため、建て替え後の新しい住宅では、建て替え前の入居世帯の世帯構成に応じた住戸タイプを設定しており、1人または2人世帯については2DK、3人以上の世帯については3DKを基本としている。
【委員】
要は、今入っている人を優先するので同じようなものを造っていくという話だが、昭和40年代、50年代の建築が多いことで、どれぐらいのペースで進めているのか。また、住戸のタイプはどのようなものか。
【理事者】
建て替えの戸数であるが、年度により若干変動があるが、おおむね350戸ほどで進めている。
【委員】
戸数を聞いているわけでなく、全体からすると、どれぐらいのペースで建て替えをしていっているのか。当然、終わらないが、一つの県営住宅を建て替えることでいうと、予算措置から、全体のどれぐらいが老朽化していて、どれぐらいのペースで建て替え計画が進んでいるのか。
【理事者】
県営住宅の建築ストックであるが、1980年代までに建設したものが約半数を占めており、今後一斉に建て替え時期を迎えることから、事業の平準化等が課題となっている。2020年に愛知県長寿命化計画を策定しているが、今後10年間で、既存の住宅を6,900戸建て替えていく計画としている。
【委員】
50パーセントが古く、計画は予算とにらみ合いだが、空き家が2割あることは、対策は真剣に考えてもらわないといけない。
今入居している人が優先して入るため、新規で入る人が少なく、空き家が埋まっていかない。
私が常々言ってるのは、単身者用がないことである。単身者用の1LDKを造れといっているわけでもなく、2DKが貸せるならば、それはそれでよい。ただし、それを貸さないのであれば、今入居している人たちが優先され、新しく新規で入れない。建て替えずに置いてある住宅が空き家のままであり、そこにも入らない。その辺の対策が必要だと思う。
高齢者が非常に多く、単身者もこれから増えてくるが、単身者用の小さな住宅を造る考えはないのか。
【理事者】
建て替え後の新しい住宅に戻り入居した単身者が、入居後に事情により退去した後、新たな入居者を募集する場合に、2DKであれば、単身者用に募集することも一般世帯向けに募集することも可能となる。
建て替え後の新しい住宅を単身者用で建設した場合、戻り入居した単身者が退去した後の募集では、単身者向けに募集することとなり、一般世帯の選択肢が減ってしまうこともあるので、住戸を有効に活用するため、より選択の幅がある2DKで供給している。
【委員】
今の話の流れでいくと、単身者向けは造らないということであれば、募集を増やしてもらえばよい。2DKでも、新しい単身者が入りやすい募集を増やすことについてはどうか。
【理事者】
新設の2DKの住戸については、住宅のコミュニティーの活性化等を勘案して、幅広い世帯が入ってもらえる一般世帯に入居してもらうことで、従来、一般世帯に限って募集をしている。
【委員】
学生と連携してやるという話も聞いており、それは一つの活性化で、東京などは多摩市で学生が入って、自治会の活性化につなげている実例もあるため、名古屋市もやり始めているみたいであるが、それをやる前向きな話と、県の取組みはそれと相反するような気がする。現代では独り身が多く、その人たちが入るところが少ない。なおかつ安価で入居ができるところが民間で少ないことを考えれば、公営住宅としての役割を果たさなければいけないと私は思う。
次に、空き家対策である。全国で、850万戸と言われており、そのうち長期で放置してあるものが350万戸と言われている。愛知県ではどれぐらいあるか分からないが、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、市町村が主体となって、民間の不良住宅の除去や改修に対して補助を行っており、県においてもこうした除去などへの補助制度を持っている市町村に対して財政的な支援を行っていると聞くが、その概要と実績を伺う。
【理事者】
本県では、国の交付金等を活用して愛知県空家等対策推進事業費補助金制度を2017年度に創設し、空き家等の除去や改修に要する費用の一部を市町村に補助する財政上の支援を行っている。
本制度における補助対象は、構造上、保安上、衛生上、景観上において適正に管理がされていない空き家等の除却や、空き家を活用し、地域の交流施設など地域活性化のために利用される施設を整備するための改修としている。
2017年度の制度創設後の補助実績については、除却が昨年度の263棟を含め、これまでに合計1,134棟、改修が昨年度の10棟を含め、これまでに合計14棟である。
【委員】
先日、ニュースを見ていたら、和歌山市で空き家となっている古い旅館が壊されるという報道があった。地元の住民が怖がって困って市に訴え続けて、何年もかかってやっと壊してもらったとのことだが、こういったことがこれから出てくると思う。
崖の上に建っている旅館で、昔は非常にはやり、たくさん観光客も来たが、持ち主が亡くなり、後継ぎがその相続を放棄したことで、いまは誰も持っていないということであり、略式の執行を行った。
古い住宅についても、これから所有者も不明で、適切な管理がされないまま放置されることがあるとすると、状況によっては、行政側が所有者に代わって代執行をしなければいけないこともあると思うが、本県ではこういった事例があるのか。
【理事者】
これまで、県内において2015年に施行された空家特措法に基づき実施した空き家の除却に関する代執行のうち、所有者等に代わって行政が強制的に措置を行う行政代執行については、安城市において2件の事例がある。
また、所有者等が特定できない場合に行政が行う略式代執行については、瀬戸市で2件、名古屋市、豊橋市で各1件の合計4件となっている。
【委員】
本県でもあるということで、今後は適切に措置をしてもらわなければと思うが、今般、空家特別措置法が改正されて、除去等のさらなる促進に加えて、周囲に悪影響を及ぼす前の有効活用や適切な管理を総合的に強化することになったと聞いている。改正法が6月14日に公布され、施行は6月以内ということで、現時点では、具体的な内容は定まっていないと思うが、県としてはどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
空家特措法の改正により、市町村が空き家の活用を促進する区域や空き家の活用に関する指針を定め、空き家の利活用を促進する空家等活用促進区域制度の創設や、放置すれば周囲に著しい悪影響を及ぼす特定空家になるおそれのある管理不全空家に対して、市町村長から勧告を受けた者は、固定資産税の住宅用地特例である6分の1または3分の1への減額を解除するなどの措置が盛り込まれた。
具体的な内容については、今後施行日までに政省令等で定められると聞いているが、本県としては、空き家対策の主体である市町村が、改正法に基づく対応を円滑に実施できるよう、県内の全市町村等を構成員とする空き家対策担当者連絡会議の場などを活用して、情報提供や助言を通じて市町村を支援していく。
【理事者】
先ほど県営住宅管理室担当課長が答弁したのは新設の県営住宅募集時の話であり、補足する。
県営住宅の単身向け募集については、2021年度から一般世帯の応募状況、個々の住宅の状況などを、いわゆるコミュニティーに配慮しながら、2DKだけではなく、従来では募集していなかった3DK等も募集を始めている。また、特に高齢の単身者には配慮しており、入居機会を増やすために単身向けの募集だけではなく、いわゆるシルバーハウジングといったものや、老人世帯向け住宅といったものにも応募が可能なように制度を改めている。
今後も一般世帯や、母子世帯等の配慮すべき方々の応募状況も踏まえながら、空き住戸の多い住宅を単身向けに切り替えるなど、拡充をしていきたいと思っている。
【委員】
空き家については、ぜひこういう事例が増えていくとよいと思うが、活用することがまだ進んでいない。
一昨日、私の周囲の空き家対策をやっているNPOの人々や、不動産屋に話を聞いた。何が大変かといったら、空き家を認知することができない、どこに空き家があるのか分からないというのが一番困っているということで、宅建業界からはアドバイザーから情報が来ると思ったら全く来ないと言っていた。
また、令和6年に相続登記が義務化されると、登記の申請をすれば、誰が相続するかが分かり、そうしたら、その人にどうするかとは問えるので、もう少し営業がやりやすくなるとは言っていた。
しかし、そこが空き家かどうか認知をどのようにするかは難しい話で、相続したから全部登記を上げていくという話になる。
そういう意味では、市町村がやっているが、空き家バンクをつくることで、入りたい人を募ることもでき、空き家を募るというのもある。県として活用方法を考えると、しっかりと情報をどうやって得ていくか、それをリノベーションしてもらえる業者や市民団体、またNPOと連携をして、どういうまちづくりをしていくかということになる。
特に商店街は、空き家があったらそれをどう活用するかを、熱心に、市民を巻き込んでやっている。
このようなことを、ぜひ愛知県としてもしっかり考えて、制度をつくり、いろいろなところと連携しながら前に進めていってほしいと思うが、今ある情報で、そういうことをやっている市町村があるのか、また愛知県が持っているその仕組みなり、取組や考えがあれば教えてほしい。
【理事者】
県内においても、NPO法人や一般社団法人等と連携して空き家の活用に取り組んでいる市町村がある。
事例として、例えば豊田市においては、NPO法人と連携して市内の空き家所有者と入居希望者とのマッチング、空き家及び空き家予備軍への訪問相談、専門家による勉強会の開催などを実施している。
また設楽町では、一般社団法人と連携して、築100年以上の古民家を改修して、地元の自然や特産品を生かした体験、飲食、宿泊ができる施設の整備であったり、空き家バンクの運営、空き家のマッチングの仕組みの運営などを行っている。
【委員】
空き家対策について、局長の考えを伺う。
【理事者】
空き家対策の大きなものとして、今回の空家特別措置法の改正があり、その中で、今指摘のあった空き家の活用の促進が大きな柱として加えられている。
その中で、新たな内容として、市町村がNPO法人や社団法人等を、空家等管理活用支援法人として指定して、所有者や活用希望者への普及啓発、情報提供等ができるようになっており、今後、詳しい枠組み内容が国からも示されると思っている。
そういったものをしっかりと把握して、市町村が構成員になっている会議等の場で情報提供、それから様々な支援に取り組んでいきたいと考えている。