委員会情報
委員会審査状況
建設委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年3月15日(金) 午後0時58分~
会 場 第4委員会室
出 席 者
丹羽洋章、松本まもる 正副委員長
横井五六、鈴木喜博、青山省三、新海正春、日高 章、伊藤貴治、
富田昭雄、阿部洋祐、古林千恵、柴田高伸、園山康男 各委員
建設局長、建設政策推進監、建設局技監(2名)、土木部長、道路監、
治水防災対策監、豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、
水資源監、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、リニア・交通対策監、
港湾空港推進監、空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、
収用委員会事務局長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第 1 号 令和6年度愛知県一般会計予算
第1条(歳入歳出予算)の内
歳 出
第7款 建設費の内
第1項 建設管理費
第2項 道路橋りょう費
第3項 河川海岸費
第4項 砂防費
第5項 都市・交通費
第6項 港湾空港費
第7項 漁港費
第8項 建築費
第9項 住宅費
第10款 災害復旧費の内
第2項 土木施設災害復旧費
第2条(繰越明許費)の内
第7款 建設費
第3条(債務負担行為)の内
愛知県土地開発公社事業資金借入金債務保証
公共用地先行取得契約(愛知県土地開発公社)
橋りょう補修事業一般国道151号鳳来橋下部補強工事
橋りょう補修事業一般国道155号境大橋下部補強工事(その1)
橋りょう補修事業一般国道155号境大橋下部補強工事(その2)
橋りょう補修事業一般国道247号千鳥橋上部補修工事
橋りょう補修事業一般国道247号新上野橋下部補強工事
橋りょう補修事業一般国道248号明神橋上下部補強工事
橋りょう補修事業一般国道248号明神橋上部補強工事
橋りょう補修事業県道春日井一宮線和示良跨線橋上部補修工事
橋りょう補修事業県道春日井一宮線和示良跨線橋上部補修工事協定(東海旅客鉄道株式会社)
橋りょう補修事業県道佐屋多度線立田大橋上部補強工事
橋りょう補修事業県道大山豊橋停車場線城海津跨線橋歩
道橋撤去設計委託協定(東海旅客鉄道株式会社)
橋りょう補修事業県道名古屋外環状線名師橋下部補強工事協定(名古屋市)
道路改良事業一般国道151号道路築造工事
道路改良事業一般国道155号用地取得及び物件移転補償契約
道路改良事業一般国道247号大田インターチェンジ(仮称)上部工事(その1)
道路改良事業一般国道247号大田インターチェンジ(仮称)上部工事(その2)
道路改良事業一般国道247号旭高架橋下部工事
道路改良事業一般国道247号道路築造工事(その1)
道路改良事業一般国道247号道路築造工事(その2)
道路改良事業一般国道247号知多3号橋下部工事
道路改良事業一般国道247号青海インターチェンジ(仮称)上部工事(その1)
道路改良事業一般国道247号青海インターチェンジ(仮称)上部工事(その2)
道路改良事業一般国道247号常滑6号橋上部工事
道路改良事業一般国道247号常滑ジャンクション(仮称)工事協定(愛知県道路公社)
道路改良事業一般国道247号擁壁工事
道路改良事業一般国道247号港新川橋下部工事
道路改良事業県道豊川蒲郡線立体交差詳細設計委託協定(東海旅客鉄道株式会社)
道路改良事業県道蒲郡碧南線小焼野橋下部工事
道路改良事業県道蒲郡碧南線小焼野橋上部工事(その1)
道路改良事業県道蒲郡碧南線小焼野橋上部工事(その2)
道路改良事業県道蒲郡碧南線川口跨線橋上部工事
橋りょう整備事業一般国道151号宮下立体下部工事
橋りょう整備事業一般国道247号衣浦大橋設計業務委託契約
橋りょう整備事業県道名古屋祖父江線清洲橋上部工事
橋りょう整備事業県道扶桑各務原線新愛岐大橋下部工事
橋りょう整備事業県道扶桑各務原線新愛岐大橋上部工事
道路改築事業県道豊田安城線立体交差概略設計委託協定(安城市)
名古屋高速道路公社有料道路整備資金借入金(政府資金)債務保証
名古屋高速道路公社有料道路整備資金借入金(民間資金)債務保証
愛知県道路公社有料道路整備資金借入金(民間資金)債務保証
愛知県道路公社有料道路関連道路整備資金借入金(民間資金)債務保証
有料道路関連道路立替施行協定(愛知県道路公社)
中小河川改良事業瀬戸川護岸工事
中小河川改良事業天神川護岸工事
中小河川改良事業青木川放水路排水機場設備分解整備工事
中小河川改良事業合瀬川護岸工事
中小河川改良事業合瀬川橋りょう改築工事
中小河川改良事業豊田幹線送水管移設工事
中小河川改良事業天白川護岸工事(その1)
中小河川改良事業福田川橋りょう改築工事
中小河川改良事業天白川護岸工事(その2)
中小河川改良事業日光川2号放水路工事
中小河川改良事業日光川遊水地工事
中小河川改良事業領内川築堤工事
中小河川改良事業旧日光川水閘門撤去工事
中小河川改良事業日光川河床掘削工事
中小河川改良事業蟹江川排水機場設備分解整備工事
中小河川改良事業日光川護岸工事(その1)
中小河川改良事業日光川護岸工事(その2)
中小河川改良事業日光川護岸工事(その3)
中小河川改良事業排水路移設工事
中小河川改良事業石川水門改築工事
中小河川改良事業五箇村川排水機場設置工事
中小河川改良事業半場川樋管工事
中小河川改良事業柳生川地下河川工事
総合治水対策特定河川事業大山川調節池工事(その1)
総合治水対策特定河川事業大山川調節池工事(その2)
総合治水対策特定河川事業大山川調節池工事(その3)
総合治水対策特定河川事業大山川調節池工事(その4)
総合治水対策特定河川事業大山川調節池工事(その5)
総合治水対策特定河川事業清洲橋上部工事
総合治水対策特定河川事業両郡橋下部工事
小規模河川改修事業片原一色留堰改築工事
緊急防災対策河川事業西中野排水機場設備更新工事
緊急防災対策河川事業筏川排水機場設備更新工事
緊急防災対策河川事業日光川水閘門設備更新工事
緊急防災対策河川事業蟹江川排水機場設備更新工事
地盤沈下対策河川緊急整備事業野府川橋りょう改築工事
地盤沈下対策河川緊急整備事業木曽川用水地区光西支線移設工事
海岸高潮対策事業東浦海岸改修工事
海岸高潮対策事業西尾海岸改修工事
海岸高潮対策事業豊橋海岸改修工事
津波対策海岸特別緊急事業鳥羽東川樋門設備更新工事
津波対策海岸特別緊急事業渥美海岸築堤工事
通常砂防事業男川第35支川堰堤工事
知多都市計画都市高速鉄道東海旅客鉄道武豊線(半田駅)連続立体交差工事協定(東海旅客鉄道株式会社)
ジブリパーク関連公園整備事業愛・地球博記念公園整備工事
愛知県住宅供給公社事業資金貸付金損失補償
普通県営住宅建設工事
既設県営住宅長寿命化改善工事
第 11 号 令和6年度愛知県港湾整備事業特別会計予算
第 12 号 令和6年度愛知県県営住宅管理事業特別会計予算
第 17 号 令和6年度愛知県流域下水道事業会計予算
第 44 号 愛知県流域下水道事業の設置等に関する条例の一部改正について
第 45 号 愛知県漁港管理条例等の一部改正について
第 46 号 愛知県名古屋飛行場条例の一部改正について
第 47 号 愛知県県営住宅条例の一部改正について
第 48 号 愛知県建築基準条例の一部改正について
第 49 号 愛知県事務処理特例条例の一部改正について
第 58 号 名古屋高速道路公社の基本財産の額の変更について
第 62 号 県の行う土木事業に対する市町村の負担金について
第 63 号 県の行う流域下水道事業に対する市町村の負担金について
第 64 号 国の行う公園事業に対する名古屋市の負担金について
第 66 号 訴えの提起について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第1号、第11号、第12号、第17号、第44号から第49号まで、第58号、
第62号から第64号まで及び第66号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 道路の整備等について
2 水資源対策並びに河川、砂防、水道及び下水道の整備等について
3 土地対策、都市計画並びに公園及び市街地の整備等について
4 総合交通体系及び港湾の整備等並びに航空対策について
5 宅地建物取引及び建築・宅地造成等の規制について
6 公営住宅等の建設及び管理並びに県有施設の営繕工事について
7 建設局、都市・交通局、建築局及び収用委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(1件 陳情第92号関係)
3 議案審査(15件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 休 憩(午後3時10分)
7 再 開(午後3時20分)
8 閉会中継続調査申出案件の決定
9 閉 会
(主な質疑)
《議案質疑》
【委員】
予算に関する説明書(1)の222ページ、第7款第1項第1目建設総務費から、土木施設災害対応力向上DX推進費について伺う。
近年、全国各地で地震や風水害が頻発しており、本年元日に発生した能登半島地震においても、土木施設に甚大な被害が発生した。
私は1月7日、8日、20日、21日に輪島市、能登町に入り、物資の搬入や炊き出しを行ったが、道路、水道、下水、港などのインフラ被害の大きさに、今後の復旧に対する不安を感じた。
地震や豪雨による河川や道路の被害は県民の生活への影響が大きいため、できる限り早期の復旧が望まれる。そのためには建設業者からの情報などを迅速に収集、共有、分析し、被災状況を速やかに把握した上で応急措置を適切に行う必要がある。
3年の継続事業の3年目となる来年はシステム構築をするとのことであるが、このシステムによりどのようなことが可能になるのか。
【理事者】
災害時の初動対応において、現在は、被災情報を職員が電話やファックスにより報告を受け、手作業により情報集約を行っている。
本システムは、被災現場からウェブ上の電子地図に被災の位置、状況、写真などの巡視結果を直接登録することにより、情報の伝達や集約を確実かつ効率的に行い、関係者間で情報共有をリアルタイムで可能とするものである。
また、道路ののり面崩壊や河川の決壊など調査に危険が伴うような箇所では、情報を直ちに収集することができない課題がある。
本システムには、ドローンで撮影したデータを位置情報とともに登録・整理する機能もあり、ドローンの活用により、現場巡視での安全確保や、上空からの広範囲なデータ取得など、情報収集手段を強化することが可能となる。
本システムにより、情報収集や情報共有を効率的かつ確実に行い、被災状況などに応じた的確かつ迅速な判断を可能とすることで、災害への対応、機動性を強化していきたい。
【委員】
このようなシステムでよくあるのは、主体となる自治体ごとで構築するため、規格や様式が異なり、汎用性が利かないことである。
災害時には、様々な自治体から応援の職員に来てもらい、一秒でも早い復旧が求められるものである。このような部分でのシステムの標準化が図られるべきだと思うが、そこで、市町村との情報共有等をどのように考えているのか伺う。
【理事者】
本システムは、2025年度からの運用開始を目指しているが、災害時における市町村との情報共有も非常に重要であるので、市町村に対して、本システムのユーザーアカウントを付与し、本システムで集約した、県が管理する土木施設の被災情報を共有できるようにする予定である。
これにより、道路の通行不能箇所や河川の決壊箇所などが確実かつ迅速に把握できることとなり、市町村における災害対応にも活用されるものと考えている。
なお、市町村管理施設の被災状況の共有も含めた市町村とのシステム間連携等については、本システムの運用後に、意見交換を行いながら検討していきたい。
【委員】
県民の安心・安全につながるため、市町村との連携を図ってほしい。
続いて、予算に関する説明書(1)の227ページ、第7款第3項第1目河川管理費から、緊急河川浚渫推進事業費について伺う。
昨年6月の本県における大雨をはじめ、近年、気候変動の影響により、気象災害が激甚化、頻発化している。
総務省は、昨今の相次ぐ河川氾濫などを踏まえ、地方公共団体が緊急かつ集中的にしゅんせつ事業に取り組み、危険箇所を解消できるよう、令和2年度に緊急浚渫推進事業債を創設した。地方財政法を改正し、地方公共団体が、来年度までの5年間で、4,900億円という大規模な財源に裏づけられたしゅんせつ事業を実施することが可能になった。
しゅんせつとは、河川や貯水池などの水底の土砂を掘り取ることであり、河川の流路を広げたり、深度を増やしたりすることができる。平時から、河川やダムの堆積土砂の撤去をして容量を増やし、河川内の樹木を伐採しておくことなどの維持管理に力を入れることによって、豪雨時のリスクを低減化できる。
主要河川と言われる一級河川は、河川法によって国土交通大臣が指定し、国が維持管理、使用の制限などを行っており、原則として国土交通省が管理費用の負担をしている。ただし、一級河川の一部については都道府県が管理し、費用も負担することとなっている。また、二級河川は都道府県知事が、準用河川は市町村長が指定することとなっている。
都道府県が管理する一級河川の指定区間や二級河川、市町村が管理する準用河川や普通河川は、維持管理などの防災対策がそれまでは国庫補助事業の対象とはならず、地方公共団体の厳しい財政状況から十分な対応ができていなかったため、総務省で緊急浚渫推進事業債が創設された。
緊急浚渫推進事業のしゅんせつには、河川、ダム、砂防、治山に係るもので、土砂の除去、処分と樹木伐採などが含まれている。
本県は、堆積土砂率や人家への危険度に応じて、対策の優先度の高い箇所を河川維持管理計画に位置づけ、緊急的にしゅんせつを実施しているが、来年度が5年目ということで、浸水被害を防止するためには河道拡幅などの抜本的な河川改修が必要である。
しかし、河川の整備は下流からが基本であり、中上流部の未整備の区間や整備が完了した区間においても、現状の河道の維持管理を適正に行い、流下能力を保つことが大事であり、とりわけしゅんせつの実施が重要と考える。また、これまでも地方公共団体が維持管理として実施する河川のしゅんせつに要する標準的な経費については、自治財政局で算定を行い、普通交付税の措置が講じられてきた。
しかし、普通交付税の使途については、国が強制力を持つものではなく、地方公共団体に任されているため、河川の維持管理に充てられない自治体が多々あると聞いている。
福祉や教育、文化など住民の多様な要望がある中で、普通交付税の使途として、河川の維持管理の優先順位が低くなった地方公共団体が多かったと考えられる。
近年の豪雨災害では、国が管理する河川の支流など、都道府県や市町村管理の河川の越水でも命に関わる被害が出ている。
そこで、本県の緊急浚渫推進事業債を活用したしゅんせつの実施状況と今後の予定について伺う。また、本県の市町村で、緊急浚渫推進事業債を活用してしゅんせつを実施している状況を伺う。
【理事者】
本県では、市街地を流れる河川のうち、河道の一連区間に土砂が堆積し、氾濫により人家などへの影響が生じる恐れのある区間を対象に、2020年度から緊急河川浚渫推進事業債を活用したしゅんせつを実施し、現況流下能力の維持・回復を図っている。
今年度までに、31河川で、約39万立方メートルのしゅんせつを実施している。来年度は、内津川放水路など、今年度に引き続き実施する17河川を含む37河川でしゅんせつを行う予定である。
また、市町村においては、2020年度から今年度までに、17市町、139河川で、この緊急河川浚渫推進事業債を活用したしゅんせつが実施されている。
今後も、適切な河川の維持管理に努めていく。
【委員】
内津川をはじめ17河川を含む37河川で実施するということか。
【理事者】
来年度は、今年度実施している17河川に加え、合計で37河川のしゅんせつを行う予定である。
【委員】
私は、政治の究極の使命とは生命を守ることだと考えている。被災後の復旧に係る莫大な費用を考慮しても、かけがえのない命を守る観点からも、防災対策の費用を惜しんでいる場合ではない。
本年に入って、能登半島地震や頻発化する激甚災害により、防災に対する県民意識が高まっている。緊急浚渫推進事業債に、5か年加速化対策の後押しを受けて、本県の事業も加速をしているが、まだまだ整備の必要な箇所がある。
最近、地元からも、中上流部の未整備区間に対する樹木の伐採としゅんせつに対する要望を受ける機会が本当に増えており、今後も増えてくると思う。単県事業での予算確保も願うところではあるが、国に対しても継続して予算を確保してもらえるよう、県からも要望してほしい。
市町村とも一体となって、不安な気持ちを抱えて生活する住民の人々に寄り添い、より一層の県民の安心・安全の確保をしてもらうようお願いする。
《一般質問》
【委員】
インフラの点検、補修におけるDXの取組について伺う。
道路、河川等のインフラは、高度経済成長にかけて加速度的に整備されたことで、老朽化が一挙に進んでいる。
また、貨物輸送量は、長期的には減少傾向で、2010年以降はほぼ横ばいというデータがある一方、宅配においては、2021年度の物流では、5年間で23.1パーセント、約10.8億個増加したというデータもある。物流は、経済を円滑に回していくために不可欠な社会インフラであり、その大事な輸送を支える道路、橋梁の保全は重要である。
また、災害に強いまちづくりを推進し、防災・減災のためにもしっかりとした機能保全を行う必要がある。
そのためには、多くのインフラ点検を効率的に実施し、適切に補修をしていくことは必須である。それに加え、建設現場においても人材不足は喫緊の課題であり、今後、超高齢化の進展に対しては、AI活用やDX推進はより必要となる。
減税日本愛知県議員団は、昨年11月に、東京都にあるフラクタジャパン株式会社を視察した。本県においても企業庁が試行し、また、豊田市でも導入し、実績を上げている会社と聞いている。
フラクタジャパン株式会社は、気象など降雨量や土壌の性質や土地の状況、地盤などを含めたデータ、水道管であれば、使用している資機材の種類などをAIに機械学習させ、水道などのインフラの劣化状況を予測するソフトウエアサービスを提供する会社であり、また、新たにガスや下水道の劣化状況の予測も開始したとの説明であった。
事業説明の中で、データによる劣化予測は、あそこは塩ビ管だから大丈夫、鉄管で金属腐食が起こるからそろそろ交換などと、ベテランの職員が経験と勘により診断するのと同じであり、勘をデータで示すようなものだとの説明があった。見えない劣化箇所をデータで可視化していく技術は、今後いろいろな分野にも活用されると体感した。
人材や資金が限られている中で、インフラの保守点検にこそ積極的にDXを活用することが望ましいと考える。
ドローン技術やAIなどデジタル技術は日々進歩しており、愛知県行政全般においてもDXの取組が進められ、橋梁点検ロボットカメラやドローン技術などの活用事例報告を聞いている。
9月定例議会において、自由民主党平松利英議員の質問に対し、建設局長から、今後は水面下の目視しづらい洗掘に対する点検の精度をさらに高めるため、来年度から、建設年次が古い橋梁を中心に、水中ドローンや水中スキャナー等の新技術の活用を試行するとともに、河床の測量情報を共有していくと答弁があり、水中におけるドローンや水中スキャナー活用においても期待が高まっている。
橋梁点検の洗掘調査における水中の3Dスキャナー技術の活用と効果検証には、従来の潜水士や水中カメラでは把握できない透過率の低い濁水中の点検に水中3Dスキャナーを活用し、3次元データモデルにより可視化することで、精度よく把握できた。しかし、本技術により取得した点群データの解析には工数を要し、データ量に比例し増大するため、全ての対象施設に適用するのは工数、コストが膨大になってしまうといった課題もあり、また、腐食やひび割れ等の外性変状、クラックについては、本技術では記録が困難であることから、水中部の点検を完遂するには、別の手法との併用が必要となるともあった。このように、新しい技術の進歩には課題もあり、過渡期でもあると聞いている。
以上の内容を踏まえ、本県におけるインフラの点検、補修におけるDXの取組を推奨するよう、これまでの点検、補修における実例を含め、インフラのDXについてどのように取り組んでいるのか、また、点検、補修のための予算を確保できているのか伺う。
【理事者】
本県では、インフラの機能保全のため、個別施設ごとの長寿命化計画を策定し、事後保全型から、中長期的なトータルコストの縮減等を図る予防保全型メンテナンスへの転換を図っている。その中で、新技術の活用などにより維持管理の効率化や高度化を図っていく。
点検や補修におけるDXの具体事例としては、道路においては、ドローンを活用した道路橋の点検を今年度は39橋で実施しており、効率化を図ってきた。さらには今後、水中ドローン等の新技術を用いることで、状況把握が困難な河川内の橋脚の洗掘を精度よく把握し、効率的な補修につなげていく。来年度は、試行として、大河川などに架かる三つの橋梁で実施する予定である。
また、トンネルにおいては、車両搭載の高性能カメラにより画像を取得し、AI解析を活用した損傷図の作成について、今年度3か所で実施しており、点検の省力化を図っている。
建設部門では、このような点検だけでなく、施設整備や災害対応なども含め、業務の合理化や高度化を図るため、建設部門DX推進行動計画を2022年3月に策定している。本計画に位置づけた取組を関係者間で共有し、毎年フォローアップを行うとともに、必要に応じて連携を図るなど、積極的にDXを活用していきたい。
また、予算の確保について、2020年度の補正予算からは、通常の公共予算に加えて、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策として、別枠で予算を確保し、インフラの老朽化対策を実施している。これにより、予防保全型のメンテナンスサイクルへ移行しつつある。
また、5か年加速化対策終了後においても、別枠で予算の措置がなされるよう、本県からも国へ要請している。
今後も、DXの推進により、業務の合理化やコスト縮減を図りながら、引き続き適切にインフラの点検、補修を行っていきたい。
【委員】
課題もあるが、積極的に活用していかなければ、技術の進歩も改善も望めないと思うので、可視化して効率化を進めるというところで、一層DXを推進することを要望する。
【委員】
県営名古屋空港の安全対策について質問する。
本年1月2日に、羽田空港で、日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機の衝突炎上事故が起きた。海保機の5人が死亡、機長が大けがをした。また、日航機の乗客・乗員379人は全員脱出をしたが、乗客15人がけがや体調不良で医療機関を受診したことが確認されている。
海保機は、前日に発生した能登半島地震を受け、新潟の航空基地に救援物資を運ぼうとしていたところだった。一刻も早く現地に救援物資を、その気持ちと機体とともにまさに飛び立とうというときに事故は起きた。午後5時47分、テレビの速報を目にし、何が起きたのか、唖然とした。元日に起きた地震に、2日の飛行機事故を受け、多くの人が今年の行く末に大きな不安を感じたのではないか。その中でも、旅客機の乗客が全員脱出できたのは、日頃からの訓練と安全対策によるものと、心からの敬意を表するところである。
航空業界には、一つのミスが起きても、幾つもの安全対策が機能することで、事故を未然に防ぐフェールセーフという考え方がある。今回は、残念ながらフェールセーフをすり抜けるようにして事故が起きてしまった。多くの報道で原因特定と対策が報じられたが、原因究明は今も続き、最終的には運輸安全委員会の調査結果を待つこととなっている。一刻も早く正確に原因の特定がなされ、適切な安全対策がされ、空の安全の信用回復、再発防止につなげていかなくてはならない。
本県には二つの空港があるが、今回は県営名古屋空港の安全対策について質問する。
県営名古屋空港は、平成17年に、国管理空港から、コミューター航空やビジネス機など、我が国初の本格的な小型航空機の拠点となる都市型総合空港として新たに生まれ変わり、開港した。
航空自衛隊小牧基地が隣接しており、滑走路を共有しているが、防衛省設置管理の共用飛行場ではなく、愛知県が管理している。管制業務は飛行場管制業務と着陸誘導管制業務を航空自衛隊小牧管制隊が実施しており、進入管制業務とターミナルレーダー管制業務については、中部国際空港にある国土交通省大阪航空局中部空港事務所が広域管制によって実施している。
東京湾に即し、大部分が埋立ての羽田空港に対して、名古屋空港は、春日井市、名古屋市、小牧市、豊山町の3市1町に接し、市街地の近くにある。背景人口は約275万人であり、このような立地状況もあり、空港の安全対策への地域住民の関心は非常に高い。
令和4年の空港利用者は、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中ではあったが84万人を超え、着実に増加をしている。小牧基地は、能登半島地震発災後から物資の輸送、給水活動、炊き出し支援など、様々な災害派遣活動を行っている。
このように県営名古屋空港は、民間機と自衛隊機が共用し、国防にとっても非常に重要な役割を持つ空港であり、安全確保は何にも増して重要なことと考える。
そこで、安全確保のために、ふだんからどのような取組を行っているのかを伺う。
また、今回、羽田空港で起きた事故も、一つのミスが起きても、複合的に事故を未然に防ぐ安全対策を取っていたが、事故は起きた。事故が発生した際には、どのような対応を行うのか。
【理事者】
県営名古屋空港では、空港事務所、航空自衛隊小牧基地、飛行場内の航空事業者などから構成する愛知県名古屋飛行場委員会を設置し、他の空港の事故事例、事故原因、リスクの低減対策などの安全に関する情報を定期的に共有し、事故を未然に防ぐよう努めている。
1月末の開催時には、今回の羽田空港での事故を受けて、いま一度、運航の際の安全確認を徹底するよう依頼した。
航空機事故が発生した場合、迅速かつ適切に対応できるように、県営になった2005年から毎年、航空機事故を想定した訓練を実施し、今年度は夜間の事故を想定した訓練を10月5日に実施した。主な参加機関は、航空自衛隊小牧基地、県警本部、地元消防機関など34機関で410人が参加した。訓練実施後には、参加機関からの意見を集約、課題を抽出し、対応の方向性を整理し、改善すべき点は改善を図り、次年度以降の訓練に反映し、事故が起きた際の安全性が高まるよう取り組んでいる。
続いて、事故発生時の対応については、先ほどの訓練参加機関と協力をしながら、事態に当たることとなる。具体的には、まず航空機火災による被害を最小限にするため、隣接する航空自衛隊小牧基地の消防車両と西春日井広域事務組合をはじめとする地元消防機関の消防車などが駆けつけ、消火に当たる。
空港の設置管理者である愛知県としては、小牧基地や地元消防機関への消火活動の出動要請と並行して、救急医療活動用の資機材を積んだ医療搬送車を出動させるとともに、構内事業者による救難救助隊を編成し、消防機関とともに乗員・乗客の救助に当たる。
また、小牧基地や地元消防機関に加え、航空機の運航者、医師会、警察機関などからなる合同対策本部を設置し、負傷者の情報収集、医療機関への搬送、警戒警備、避難誘導など必要な対応を行っていく。
航空機事故は、何より事故発生から短い時間で適切な対応を行うことが、人命救助につながる。羽田空港内の事故でも現在、検証がされているため、必要となる対応を確認し、空港内の事業者へ情報を共有し、事故が起きた際の被害が最小限にできるよう努めていく。
【委員】
合同対策本部等である近隣の市町村の広域の消防が、自衛隊などと連携を取りながら安全性を確保していくことを理解した。
周辺環境対策事業費補助金について、今回の予算にあったが、名古屋空港は、前述のとおり平成17年に県営空港となったが、建設に至った経緯としては、昭和15年に遡る。
温暖な気候と安定した北西からの風が年間を通して吹くこの地が好都合な環境であったことから、大東亜戦争に先立ち、防空飛行場として、基地の建設計画が決定された。陸軍からの要請に、現在の空港の敷地内に当時住んでいた人々は半強制的に権利書に判をつき、先祖代々の土地を差し出した。建設には近隣住民が動員され、1日2万人を超える勤労奉仕団が工事に携わった。昭和19年に完成、翌20年に終戦。陸軍航空基地として役割を終え、米軍に接収され、滑走路と誘導路がその後整備され、拡張工事が行われた。昭和33年に現在と同規模となり、9月には米軍より返還された。その後、運輸省と防衛庁の共同使用により、民間ジャンボジェット機と自衛隊機が空を飛ぶことになる。
平成17年、県営空港になるまでに、何度と墜落事故も起きている。一番近いところであると、平成6年に起きた中華航空機の墜落事故である。乗員乗客271人のうち、264人が亡くなった。
過去から幾度となく起こる墜落事故に住民が大きな危機感を抱き、昭和42年に起きた二子山古墳での自衛隊機墜落事故をきっかけに、市民、市議会、春日井市が三位一体となって、春日井市飛行場撤去促進市民協議会(市民協)が結成された。その年の10月には、再び本市宮町地内において墜落事故が起き、飛行場問題が関係住民の大きな問題となる。その後、市民協の運動が活発となり、その成果により、小中学校、病院、民家などの防音工事をはじめ、集会施設の設置など、飛行場周辺環境対策事業が実施されることになる。昭和61年に春日井市飛行場周辺対策市民協議会と名称を変え、飛行場の撤去から、安全飛行の確保と周辺環境対策の推進を目的とした運動に、歴史的変遷と社会情勢を踏まえて変わった。このように空港周辺の住民は、土地を追われたこと、墜落のリスクと騒音との隣り合わせの中で生活を余儀なくされている。
名古屋空港周辺地域における生活環境の保全を図るために設置されているこの補助金であるが、どのような内容で補助されているのか。
また、様々な歴史的経緯から始まったものということも理解しているが、この県の周辺環境対策事業費補助金はどのような経緯で始まったのか伺う。
【理事者】
周辺環境対策事業費補助金の補助内容について、本県では、県営名古屋空港における航空機騒音による障害防止または軽減を目的として、県が定めた騒音区域内にある住宅の所有者、または共同利用施設の設置者である3市1町、名古屋市、春日井市、小牧市、豊山町が実施する防音工事や空調機器の更新工事等を補助対象として助成を行っている。
具体的には、対象区域内の住宅所有者等が実施する住宅の防音工事や空調機器の更新工事等への助成、対象区域内の学校、幼稚園、障害者支援施設など教育施設等の新築、改築等に伴う騒音防止工事対策工事への助成、対象区域内にあり、周辺地域住民が学習、集会等で利用する共同利用施設の整備に伴う騒音防止工事への助成を行っている。
さらに、対象区域内に居住する生活保護世帯の者が住宅防音工事により設置した空調機器、エアコンなどを使用した際の電気料金の一部や、周辺地域住民が学習、集会などで利用する共同利用施設の運営費のうち、年間を通して空調機器を使用した際の稼働費、電気料金の一部を助成している。
続いて、県の周辺環境対策事業費補助金が始まった経緯についてである。
県営空港化以前は、旧名古屋空港の使用実績に鑑み、防衛施設周辺の生活環境の整備などに関する法律等に基づき、当時の防衛施設庁により周辺対策が行われてきたが、昭和54年5月に、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、騒防法に基づく特定飛行場の指定を受け、空港の設置管理者の責務として、当時の運輸省が旧名古屋空港の航空機騒音対策を実施してきた。県営空港化後は、本県が空港の設置管理者として、国が実施してきた対策を引き継ぐ形を基本として、新たに要綱等を定め、空港周辺環境対策事業を実施している。
なお、県営空港化後は、コミューター航空、ビジネス機など小型航空機の拠点となる空港となったことから、県営空港の騒音対策区域は、飛行機材の小型化による航空機騒音に合わせた面積、対象となっている。
【委員】
県営になる前は、運輸省と防衛庁管理の空港であった。当時の基準と今の基準は変わってきているが、国管理においては、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、いわゆる騒防法等に基づく空港周辺環境対策事業が行われている。これは、航空機の騒音評価指標(Lden)の値の大きさに応じて、騒音対策区域を第一種から第三種まで定め、必要な事業を実施するものである。
国管理の空港における空港周辺環境事業は、Lden57デシベル以上とのことである。国からの基準を引継ぎ、新要綱を定めて実施しているとの説明があったが、愛知県の基準はどのようになっているのか。
【理事者】
県の周辺環境対策事業費補助金における基準について、国においては、公共飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、騒防法等で、周辺環境対策事業を実施する特定飛行場を14空港指定し、騒音対策区域についても第一種区域、Lden62デシベル以上から、第三種区域、Lden76デシベル以上までを指定している。
また、教育施設等騒音防止対策事業や共同利用施設整備への補助については、騒防法の規定により、おおむねLden57デシベル以上の区域が対象とされている。
県の周辺環境対策事業費補助金は、国管理空港時代の補助制度を継承しており、国と同様の基準を県の要綱で定めている。
住宅の騒音防止工事に対する助成については、おおむねLden62デシベル以上の区域を対象とし、教育施設等の騒音防止工事、共同利用施設の整備及び共同利用施設の運営費に対する助成については、おおむねLden57デシベル以上の区域を対象としている。
騒防法が指定する第二種区域、第三種区域に相当する区域は、県営空港となった際に全てが空港内に収まっており、その対象区域はなくなっている。
【委員】
周辺に住んでいる人に話を聞くと、国管理のときにはNHKの受信料が無料だったという話等も聞くが、県営名古屋空港の開港当時と比べて、県の周辺環境対策事業費補助金の補助項目とはどのように変わっているのか。
【理事者】
県営空港開港当初と比べた周辺環境対策事業費補助金の補助項目について、周辺環境対策事業費補助金は、当時の運輸省が20年以上、昭和54年度から26年間にわたり旧名古屋空港の周辺環境対策として実施されてきた事業を引き継ぐ形を基本として、県営空港開港当初から必要な対策を実施してきている。
県営空港開港当初は、先ほど答弁した内容のうち、住宅の防音工事や空調機器の更新工事等への助成、対象区域内の教育施設等の新築、改築等に伴う騒音防止対策工事への助成、周辺地域住民が学習、集会等で利用する共同利用施設の整備に伴う騒音防止工事への助成、生活保護世帯の者が住宅防音工事により設置した空調機器を使用した際の電気料金の一部の助成を行っていた。
その後、2011年度には、国の補助制度の改正に対応するなどの理由から、県営空港周辺地域の住民が利用する学習、集会等の用に供する共同利用施設の運営費、空調機器の運転に関する経費の一部を助成する補助制度の導入を、また、2015年度からは、住宅騒音防止対策事業の新たな補助として、2回目の補助を受けてから10年を経過した空調機器の更新に対するいわゆる再々更新工事に対する助成、さらに、昭和57年3月30日に現に所在した住宅、いわゆる告示日後住宅の空調機器の再更新工事に対する助成を国と同じ補助率で行うこととしている。
【委員】
地元から様々な要望と問題が出てきている。また改めて名古屋空港周辺環境対策について取り上げたいと思うが、飛行場の歴史とともに共存共栄を図り、対応を変えてきた地域からの要望を今後柔軟に酌み取り、後押しをしてもらうようお願いする。
【委員】
下水道管の耐震化について、三つ質問をする。
まず一点目、愛知県内の下水道管の耐震化率について伺う。
能登半島地震では下水道管の被災率が高く、今もなお被災者の暮らしに大きな支障を来している。
全国における下水道管の耐震化率は、2022年度末時点で56パーセントであるが、愛知県の現状の耐震化率について伺う。
【理事者】
国は、大規模避難所や災害時の拠点となる病院、役所など災害対策本部となる施設と処理場を結ぶ下水道管路などを重要な幹線と位置づけ、その管の揺れに対する耐震化率を算出している。
県が管理する流域下水道管は全て重要な幹線等に含まれており、その耐震化率は2022年度末時点で99パーセントである。また、県と市町を合わせた愛知県全体は84パーセントとなっている。
【委員】
次に二点目、愛知県における耐震化への取組方針について伺う。
今回の能登半島地震では、過去の地震災害に比べ、とりわけ下水道管の被災率が高いことが指摘されている。
特に奥能登地方の被害は深刻であり、6市町の下水道管延長約685キロメートルのうち、52パーセントに当たる359キロメートルで、汚水を流す機能を失っていると言われている。早急な復旧に向けて、国土交通省、下水道事業団体等、関係団体から多くの応援職員が現地に派遣されているが、発災から2か月半が経過した現在でも、6市町の多くの箇所で下水道管の機能が回復しておらず、上水道が使えても、水洗トイレ、洗濯や入浴による排水ができず、いまだに節水を続ける不便な生活を強いられている。
また、地震時に地上まで隆起したマンホール等が原因で緊急車両等の通行ができず、救助の妨げになり、また、その後の復旧・復興の遅れにもつながっている。
南海トラフ地震の発生確率が高まる中で、本県においても、いざというときに備えた下水道管の耐震化を早期に進めていく必要があるが、耐震化に要する多額の費用を料金の値上げにより利用者から徴収し確保していくことは、昨今の物価高もあり、なお厳しい状況と言える。
他方、令和6年度予算案に計上されている上下水道事業の効率的な運営に向けた検討調査事業においては、受水団体の一本化や事業の広域連携、PFI等の官民連携手法を活用した上下水道事業の効率化に向けた検討を進め、料金上昇の抑制を図っていくことが明示されている。
料金上昇を抑えつつ、限りある財源の中で耐震化を進めていくには、流域幹線の中でも優先順位を決めて進めていく必要があると考えるが、県や市の下水道管の耐震化への取組方針について伺う。
【理事者】
下水道管の耐震化については、県は、流域下水道管は残る区間を、市町の公共下水道管は、引き続き重要な幹線等を中心に進めていくが、今後は能登半島地震の被災状況や復旧の状況も踏まえて進めていけるよう、県も支援していく。
また、質問にあった来年度の上下水道事業の効率的な運営に向けた検討調査は、将来を見据えて、持続可能な上下水道を目指すものであり、事業を効率化することで、耐震対策もさらに進むものと考えている。
【委員】
最後に、三点目、過疎地域への対策について伺う。
能登半島地震では、珠洲市や輪島市といった過疎化が進む地域においての下水道管の耐震化が特に遅れていたことが指摘されているが、本県の過疎地域における耐震対策の状況について伺う。
【理事者】
過疎化が進む能登半島地域においては、比較的古くから下水道が整備されており、阪神・淡路大震災を契機に、地震対策が強化される以前に整備されている下水道管が多い状況にある。
一方、本県の過疎地域においては、豊田市、東栄町及び設楽町が下水道を整備しているが、震災以降の整備であることから、重要な幹線等の耐震化率は100パーセントである。
【委員】
本県では、災害時に拠点となる重要幹線において、過疎地域も含めて耐震化が進んでいることが確認できた。
また、来月4月から、水道行政が建設局に移管されることにより、上下水道一体での整備や災害対策がより強化されることも、併せて期待する。
最後に、宣伝と要望をする。地元豊田市の上下水道局が進める人工衛星とAIによる水道管の健康診断が、このたび、Digi田甲子園2023で、内閣総理大臣賞を受賞した。
Digi田甲子園とは、内閣官房がデジタル田園都市国家構想実現に向けて、地方公共団体や民間企業がデジタルの力を活用して地域課題の解決に取り組む事例を幅広く募集し、表彰する制度である。
通常、水道管の更新は水道管の設置年数に基づいて行われるが、水道管周囲の環境が水道管に与える影響は、設置の場所により様々である。例えば、大型車が多く走る幹線道路の下に埋設された水道管は劣化が早いなど様々である。そのため、設置期間ではなく、老朽度に応じて更新すべきとの考え方から、米国シリコンバレーに本社を置くベンチャー企業、フラクタジャパン株式会社と業務委託契約を締結した。先ほど古林千恵委員からも名前の挙がった企業である。
フラクタジャパン株式会社が開発、提供するオンライン管路診断ツールを活用して、水道管の劣化度をAIで予測、破損確率の高い水道管から更新する取組を現在進めており、これにより漏水調査に係る期間や費用を大幅に短縮できることが分かった。
また、このフラクタジャパン株式会社の技術は、上水道だけではなく下水道管の劣化予測にも有効で、令和3年度の国土交通省の下水道応用研究プロジェクトにも採択され、現在、滋賀県大津市で行われているモデル事業では、既存の手法の半分以下の調査で、直近2年間に生じた下水道管の腐食を発見することができたと言われている。
県においても、これから様々な官民連携の手法を用いて事業の効率化を図っていくと思うが、こうした官民連携の手法もぜひ参考にしてもらい、上下水道のさらなる効率化を進めてもらうことを要望する。
【委員】
国道366号の渋滞対策について伺う。
大府市は、知多半島と尾張及び三河地域を結ぶ交通の要衝となっており、自動車関連産業を中心とした産業活動が盛んな地域である。また、名古屋駅までJR東海道線で15分ほどで、利便性の高い都市でもあり、この東海道線の沿線を中心に市街地が発達して、集積をしている。
こうした中、名古屋市と東浦町及び刈谷市方面を結ぶ南北軸である国道366号は、大府市内の国道23号有松インターチェンジから県道瀬戸大府東海線の惣作交差点までの間で、慢性的な渋滞が発生しており、地域住民や沿線企業から早期の対策が求められているところである。
この対策として、国道366号のバイパスとして計画されている都市計画道路名古屋刈谷線や都市計画道路衣浦西部線の整備が非常に重要であり、特に午池南交差点周辺では、新たな大型商業施設のオープンや、近隣で大府横根平子土地区画整理事業が進むなど、今後さらなる交通量の増加や人口の増大が見込まれることから、まずは、午池南交差点から惣作交差点までの区間についての渋滞対策が大変重要であると考える。
午池南交差点から惣作交差点までの区間の渋滞対策について、これまでの取組について伺う。
【理事者】
国道366号の午池南交差点から惣作交差点の渋滞対策については、速効対策として、2019年度に、交通量調査結果を基に惣作交差点とその北側の正願寺東交差点において、現道内での車線運用の変更や車線数を増やす工事を実施し、渋滞長の低減が図られている。
一方、抜本対策に向けては、国道366号のバイパスとして、午池南交差点から南へ約400メートルの地点から東浦町方面へ分岐する、4車線の都市計画道路衣浦西部線の整備が有効であることから、この整備に向けて、公安委員会と協議を行っている。
この協議の中で、現道の国道366号も4車線の名古屋刈谷線として都市計画決定されており、衣浦西部線への分岐点となる新たな交差点が、現計画では4車線同士が鋭角なY字で合流する変則的な交差点となっていることから、公安委員会からは交差形状を見直すよう意見があり、都市計画の変更が必要となっている。
また、新たな交差点付近では、周辺地盤と整備する道路との高低差が最大で約3メートル生じ、交差市道の取付けなどに課題があることも判明したことから、沿道対策などが必要である。
【委員】
現計画では多くの課題があり、都市計画変更などが必要とのことであるが、本道路は当地域の発展に欠かせないものであり、地元からは一日も早い整備が求められている。それに向けた現在の検討状況と、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
現在は、都市計画変更に向け、都市計画道路名古屋刈谷線と衣浦西部線の将来交通量推計と道路予備設計を行うとともに、沿道対策について、大府市と相談しながら、公安委員会と協議を継続している。
具体的には、まずは刈谷市及び東浦町のそれぞれの方面へ交通が円滑に流れる交差形状を決めるため、交通量推計結果を分析し、最適な交差点構造の検討を進めている。
今後は、引き続き公安委員会など関係機関との協議を行い、早期に交差形状を決定するとともに、道路計画を固め、都市計画変更に向けた準備を進めていく。
【委員】
最後に要望する。この国道366号の渋滞対策は、地域にとって必要不可欠であり、周辺の住民の関心が非常に高く、また、沿線企業から期待も大きいことから、早期整備に向けた地元の機運を地域住民と一緒に高めていきたいと考えている。
そのため、県においても、大府市としっかりと連携し、早期に計画を固めてもらうとともに、事業着手に向けた積極的な取組を要望する。
【委員】
建設業を巡る現状について説明させてもらい、課題認識を共有した上で、県の取組について伺う。
まず、建設業であるが、地域のインフラの整備あるいはメンテナンス等の担い手であると同時に、地域経済、雇用、あるいは住民生活を支える役割を担うとともに、特に災害時には、最前線で地域社会の安全・安心の確保を担う、いわゆる地域の守り手として大きな役割を担っている。
まず、建設業の現状について確認をすると、建設投資額は、1992年度が約84兆円をピークに減少し、以降減少している。1992年は、1991年のバブルが崩壊して、建設業は売上げが若干遅れているので、1992年度がピークである。それ以降は減少し、2010年度には、半減して約42兆円になった。2010年度の半減は、2008年のリーマンショックの影響である。その後回復して、2023年度の見込みであるが、建設投資額は70兆3,200億円に達する見込みである。
建設業者数は、全国で2022年度末に約47万5,000業者おり、ピーク時の2000年度末から、21パーセント減少している。特に地方部を中心に事業者が減少しており、後継者難が重要な経営課題となる中、このような業者が、今後も地域の守り手として活躍し続けやすい環境整備が必要だと考える。
そして、現在、建設業において、2024年問題が目前に迫っている。そのような中、建設技能者不足が喫緊の業界の最重要課題である。
2022年平均では、建設業就業者数が全国で479万人である。産業全体に占める割合が7.1パーセントになり、ピークが1997年であるが、30.1パーセント減少している。そのうち建設技能者は、2022年平均で305万人であり、ピークが同じく1997年であるが、それから比較すると34.3パーセント減少している。建設就業者のうち技能者は、2022年の年齢構成では、55歳以上が約35パーセント、29歳以下が約12パーセントで、全産業と比べると高齢化が著しく高くなっていることが分かる。なお、建設技能者の過不足率であるが、2011年以降、建設投資が上がってきており、それを背景にプラスに転じている。
他方で、建設市場規模が今後、増加・増大していく見込みであることを踏まえると、2025年度に必要な建設技能者数は333万人から379万人と試算されており、最大で74万人不足する計算である。
なお、建設業の入職者数についてであるが、2012年以降、離職者数を上回っていたものの、2022年は入職者数の減少により、再び離職者数を下回った。併せて、転職率も8年ぶりに10パーセントを上回っている。
建設現場の急速な高齢化、そして、若者離れが深刻化する中で、限りある人材の定着による円滑な世代交代、そして、若者の入職促進による建設業の将来の担い手の確保が急務である。
次に、建設業における働き方の現状について確認するが、建設業の労働時間は、全産業労働時間が当然減少してきている中で、同様に減少傾向にあるものの、全産業と比べると依然として労働時間が長い。どれぐらい長いかというと、2022年では、全産業平均に比べて約270時間の長時間労働である。建設業の年間出勤日数を全産業平均に比べると29日多くなっており、製造業に比べて14日多い。建設現場における週休2日がまだ十分に定着していないことが原因と考えられる。
長時間労働が常態化する中、その是正が何より急務であり、建設業の働き方改革の促進、そして、建設現場の生産性の向上が必要と考える。これは国・県・市も同様であり、業界団体も全てが認識していると思う。
そうした中、今月から適用される国土交通省の公共工事設計労務単価が、12年連続で引き上げられ、全国、全職種の単純平均で前年度比5.9パーセント増と、過去10年で最大の伸び率になっている。国土交通省が決定した新労務単価は、全職種の加重平均で日額2万3,600円、建設業において、この4月から時間外労働上限規制が適用されることを踏まえて、週休2日を前提に全産業労働者並みの年収を実現するためには、最低でも日額2万5,000円程度まで引き上げる必要があると言われている。
そうしたことから、毎年度2回、9月と3月に国土交通省と建設業4団体トップとの意見交換会が開催されると聞いているが、今回、4月から時間外労働上限規制適用に合わせて、賃金の上昇を伴った働き方改革、並びに週2日の確保による工期の適正化を進めることなどについて申し合わせる見込みである。
また、建設資材単価であるが、2021年後半から原材料費の高騰、あるいはエネルギー価格の上昇等により高騰が続いており、全国的にアスファルト合材や砕石の騰勢が続いており、今後の状況を引き続き注視する必要がある。
東海地方をはじめとして関東、関西を中心に活動する弁護士法人によると、2023年の建設業者の倒産関連の依頼数が、昨年比で約2倍に増加しているということである。物価の高騰、労働力の不足によって、建設業の倒産は増加している。現在の推移を見ると、過去5年で最多の倒産数になるのではないか。
物価の高騰は建設資材価格あるいは燃料価格の値上がりをもたらし、受注価格に転嫁できない中小規模の業者の経営を圧迫している。
労務単価、資材単価ともに最新の実勢価格を反映した適正な発注価格の設定、あるいは契約におけるスライド条項の適切な運用が必要であると思う。
適正な価格による取引が必要と述べてきたが、これに関する県の取組について伺う。
【理事者】
公共事業の発注における価格変動の対応として、当初設計積算時は、最新の単価により工事価格を算定しており、契約後に発生した変動については、契約約款に基づくスライドを適用している。
まず、資材単価の改定頻度は、物価資料を準用する一般資材単価や鋼材燃料は毎月改定を行い、県が独自で調査する生コンクリートなど地域別単価は、調査に必要な期間を含めて2か月に一度改定を行っている。
労務単価について、全国一律の対応となるが、国が調査を行い、年に一度、4月に改定された単価を採用していた。近年では、実勢単価を少しでも早く反映するために、3月に改定が前倒しされている。
発注手続の都合により、この労務単価の改定前に積算し、改定後に契約となった工事については、資材単価も含め、最新の単価に置き換えて変更契約を結ぶことも可能としている。
また、既に契約している工事は、受注者からの申出により、残工事の状況や単価差の実態に合わせてスライドを実施しており、その一つである単品スライドは、2022年6月より、発注者が設定する価格ではなく、受注者が実際に購入した単価を採用することも可能としている。
今後も適正な単価による工事の実施に努めていく。
【委員】
県発注工事については、今、説明があったように、極めてタイムリーに建設物価の見直しをしており、また、柔軟にスライド条項の運用もしていることが分かった。
国も大きく旗を振って適正取引でやっており、県も、しっかりとその方針に則り取組を進めていることがよく分かった。
一方で、先ほど披れきした建設投資額のうち政府系工事、いわゆる公共工事は35パーセントで、残りの65パーセントは民間工事である。そのため、適正価格による取引を民間工事においてしっかりやってもらうようにしなければいけないと思う。
そうした中で、本県の経済産業局中小企業金融課が所管で、適正な取引・価格転嫁を促し地域経済の活性化に取り組む共同宣言を発出しており、知事が参加し、共同宣言式を昨年2月末に行った。
併せて、今年2月、1年が経過し現状どのような取組がされ、どのような成果が上がっているのか、取引適正化・価格転嫁推進フォーラムを行っており、事例発表の中で、五つのうち三つが建設関係であり、一つが国土交通省中部地方整備局長、一つが愛知県建設業協会の会長、これはJRの仕事をよく請け負っている名工建設株式会社の人であり、もう一つが、日本建設業連合会中部支部長でスーパーゼネコンである清水建設株式会社であり、取組をしっかりとやっているとのことで、事例が発表されたと聞いている。
一方で、中小企業庁が、価格転嫁は本当にされているのかを公正取引委員会と一緒にGメンを通じて調査をして、原材料費は価格転嫁されているが、労務費とエネルギー費は、まだ価格転嫁されていないという実態も公表されている。
民間の適正取引を、県においても、先ほどのフォーラムで建設業だけ取り出してやってもいいのではないか思うぐらい、重層構造における、下に行けば行くほど、思いどおりに価格転嫁がいかないということが従来から言われており、今もなお、是正取組の途中であるものの、十分ではないとの現状から、県としてそのような民間の取組を促す取組をお願いする。
次に、生産性の向上について確認する。
生産性の向上は、省人化や工事日数の削減であるが、2016年1月に石井啓一国土交通省大臣が会見で述べたのが、2016年を生産革命元年と位置づけ、国土交通省の総力を挙げ、生産性の向上に向けた取組を進めたいとのことであった。同年3月に国土交通省の生産性革命本部が第1回会合を開いており、国土交通省では、調査、測量から設計、施工、検査、維持管理、更新までの全ての建設生産プロセスで、ICTを活用するi-Constructionを推進し、建設現場の生産性の向上を目指すと発言された。
同年9月の第1回未来投資会議で、安倍元総理から、第4次産業革命による建設現場の生産性革命に向け、建設現場の生産性を2025年度までに2割向上を目指す方針が示された。
そこでの発言は、2016年から3年以内、2019年の9月までに、橋やトンネル、ダムなどの公共工事の現場で測量にドローン等を投入し、施工、検査に至る建設プロセス全体を3次元データでつなぐ新たな建設手法を導入するとのことであった。人手による現場作業が置き換わり、これまで習得するのに何年もかかったノウハウも、数か月で身につけられるようになる。3K、いわゆるきつい、危険、汚いというイメージを払拭し、多様な人材を呼び込むことで、人手不足も解消する。全国津々浦々で、中小の建設現場も劇的に変わると発言されている。
そうした中、国土交通省は、2016年度の土工、土木工事を担う労働者のことであるが、土工を手始めにICT活用工事を実施しており、直轄工事で実施件数は年々増加をしている。直轄土木工事のICT施工の実施率は、2022年度で公告件数の87パーセントに及ぶが、都道府県、政令指定都市発注工事のICT土工については、公告件数の21パーセントにとどまっている。
そこで、生産性向上に向けたICT施工に関する県の取組について伺う。
【理事者】
生産性向上に向けたICT施工に関する県の取組について答弁する。
本県の土木工事におけるICT活用工事は、2016年度から取組を開始している。2018年度には、地域の建設業者にも生産性向上に向けた取組を浸透させるため、県と建設業の団体を構成員とする愛知県i-Construction推進協議会を設立して、意見交換を図りながら、ICT活用の普及に努めている。
ICT活用工事は、土工と舗装工の2工種で始まったが、現在は、地盤改良工など17工種まで拡大している。
また、土工の対象工事は、土量1万立方メートル以上の比較的大規模な工事から始めたが、地域の業者が積極的に参加できるよう、現在では1,000立方メートルまで、規模要件を引き下げている。
このほか総合評価や工事成績評定において、ICT活用工事への施工の実績を加点するなど、受注者にインセンティブを与え、普及を促している。
こうした取組により、2023年12月時点で、ICT活用工事は累計で424件が実施された。しかし、県全体で応札可能な約2,000の業者に対し、2023年12月時点の施工実施事業者の累計は148社と、まだまだ浸透していない状況である。
このためICT活用工事を身近に感じてもらうよう、実際にICT建設機械に触れ、便利さを体験してもらう現場研修会を今年度は4回、県内各地で開催している。
今後も土木工事におけるITC活用工事の普及に努めていく。
【委員】
積極的に取り組み、実績を生んでいることを認識した。
国も、先ほど披れきしたように、2025年度までに、建設現場の生産性を2割向上させるために、ICT活用工事を標準化、いわゆる適用工種を拡大する方針である。
しかし、ICT施工はコストがかかるため、そのコストを受注価格に転嫁ができないと持ち出しになることから、民間ではなかなか広がっていかないと思うが、県としては、国の方針に基づいて標準化を進めていくことがよく分かったので、今後も積極的に取組をお願いしたい。
直轄工事において、AやB、Cランクまでがようやく対応でき、Dランクになると、ほとんど対応できていないので、広くICT施工に関われるように、様々な機会を通じて、ICT施工のメリットをしっかりと業者に知ってもらう努力をお願いする。
続けて、人材の確保について確認する。
まず、2017年であるが、建設産業政策会議が取りまとめた提言で、建設産業政策2017+10~若い人たちに明日の建設産業を語ろう~というものがあるが、ここでは担い手確保のための働き方改革、生産性の向上の必要性を指摘された。
また、働き方改革、生産性の向上に加え、持続可能な事業環境の確保といった建設業の新たな課題に対応するために、2019年に、品確法、建設業法、入契法の一体的改正の担い手3法の改正が行われた。
今、建設関連企業、建設業者は、若い人材の獲得に必死になっている。なぜなら4月から時間外労働上限規制が適用されて、従来の業務をより多くの人数でこなさなければならないからである。従業員の時間外労働の上限は月45時間、年360時間が原則となる。人材不足に拍車がかかることが確実視をされている中、給与アップ、あるいはIT化が進められるのは大手企業であって、それと異なり、経営体力に乏しい中小零細企業が2024年問題に対応策を講じるのは、なかなか簡単ではないことは言うまでもない。
東京商工リサーチによると、業界を支える中小零細企業は、社員を増やすことが困難で、仮に増員できても、それに見合う案件を獲得できるかは不透明で、親会社に対して受注価格の値上げを交渉することも簡単ではなく、建設業界の中小零細企業は今後、倒産が増大する事態が避けられないだろうという指摘をしている。建設業界全体を取り巻く状況は、今後さらに厳しさを増すという見通しを示している。
そこで、不足する人材確保について、愛知県としての取組を伺う。
【理事者】
本県では、建設業界の人材確保に向け、現在働いている人に業界にとどまってもらう離職抑止と、新たに入職してくれる人を増やす入職促進の両面から取組を行っている。
離職抑止においては、計画的に休めること、そして、働きに見合った賃金を得ることが重要である。
まず、休日の確保については、今年度から、本県が発注する全ての土木工事において、原則発注者指定による週休2日制工事を導入している。しかし、現在の制度は、工期全体で週休2日分の休みを確保すれば評価することとしており、定期的に休みを確保するという観点からは、課題がある。このため、来年度からは、月単位で週休2日を評価する取組を進め、休日の確保の質の向上を図っていきたい。
次に、労働者にきちんと賃金が行き渡るためには、企業が適正な利潤を確保することが必要である。このため、発注者としては、最新単価の採用や適正な精算に努めるとともに、ダンピングを防止するため、低入札価格調査制度、あるいは最低制限価格制度を導入しているところである。
続いて、入職者の確保については、建設系学科が持っている業界に対する将来への不安を少しでも解消し、設計から工事まで具体的な仕事内容の疑問に答える、あいち建設みらいサロンを開催している。これは、建設会社やコンサルタントの若手技術者との交流により、建設の魅力ややりがいを伝える貴重な機会にもなっている。
さらには、子供たちが建設の仕事を知って興味を持ってもらえるよう、道路や下水道など生活に必要なインフラの役割を分かりやすく説明する出前講座、あるいはふだん見ることができない工事現場や施設の見学会を開催している。このほかにも、ユーチューブを活用して、建設プロジェクトの紹介や建設の魅力を発信している。
今後も様々な取組を通じ、建設業界全体で担い手を確保するよう努めていきたい。
【委員】
最後に要望する。
人手不足が深刻化しているという認識は共有できた。この4月から、時間外労働上限規制が建設業においても適用されることから、さらに人手不足が深刻化するのではないかと言われており、この影響は県発注工事においても工期の遅れや、入札の不成立等に関わってくるという懸念も抱かずにはいられない。実際、不調が散見されることから、今後さらに懸念される。
そこで、国土交通省は、建設現場での監督などを担う技術者の配置基準を緩和することとし、資格取得に必要な検定試験の受験条件も緩め、この4月から懸念される人手不足に対応していくとのことで、今国会提出の建設業法の改正案に盛り込んでいる。
担い手の育成に関して、建設業界が独自で支援する動きが全国的に見られており、例えば三重県や、新潟県、神奈川県で、かつて建設系の学科やコースがあったが、定員割れが続き廃止したが、これから担い手、若い人材が必要なので、地元の建設業界が機械を提供、あるいは指導者を提供して、いわゆる実習の場を設け、志願者を確保するために中学生向けの現場見学会や、教育や生徒の募集などに協力をして、担い手不足を解消する取組をしている。
このほか建設業界では、日本建設業連合会が旗を振り、今の時代に見合った新3K、給与がいい、休暇が取れる、希望が持てる、を進めようとしている。業界全体で、例えば今年の2月であるが、適正工期確保宣言実施要領を発出して、発注者に見積書を提出する際には、真に適切な工期に基づき見積りを行い、その工期や工程を添付するなどの合意もしており、業界全体で、新3Kに向けた転換を本気で図っていく取組をしている。
県発注工事が積極的に、業界が抱える問題を解決するために取り組んでいることはよく分かったが、肝は民間工事で、業界全体がどう変わっていくかが大切だと思うので、そこに県が積極的に、率先して入り込んで旗を振って、転換に向けた取組を進めてもらうよう切にお願いする。
【委員】
分譲マンションの老朽化の対策について伺う。
最近、特にこの話題が様々なところで取り上げられているが、マンションは、タワーマンションも含めてどんどん建設されており、非常に入居者が多いが、これらのマンションは二つの老いが深刻化していると言われている。築40年過ぎているところが全国で120万戸、そのうちの世帯主が70歳を超えている入居率が48パーセントである。つまり、建物も中にいる人も老朽化して、先々大変だということである。
それぞれの集合住宅で入居者がたくさんおり、管理されている。どこまで自治体が介入できるかであるが、放っておくと、まち全体の問題でもあり、滋賀県の野洲市では、空家対策特別措置法で行政執行し、結局は市のお金で壊した事例もある。このようなことがこれからも出てくるのではないかということで、自治体も放っておけない。
昨年、マンション管理が適正かどうかを自治体が認定する管理計画認定制度ができ、4月から始まったが、なかなか認定件数が増えない、伸び悩んでいると聞いている。
この制度で、どのように今後運用されていくのか注目されているが、本県がどういう状況か伺う。築40年を過ぎたマンションの戸数と、今後の推移を伺う。
【理事者】
県内のマンションの戸数であるが、2020年度末で約39万6,000戸であり、そのうち築40年以上の高経年マンションは約5万4,000戸と推計されている。
こうした高経年マンションは、2030年には約13万9,000戸、2040年には約25万1,000戸になると見込まれている。
【委員】
倍々ゲームで増えていくわけであるが、管理計画、適正化推進計画を県や市が策定をした場合には管理計画が認められる。そのマンション管理計画認定制度が2年たつわけであるが、どのような状況になっているのか。
【理事者】
本県は、所管する町村区域のマンション管理適正化推進計画を策定して、2022年4月の改正法施行に合わせて運用を開始したほか、市の推進計画策定を促す取組として、マンション管理適正化推進計画の作成に関するガイドラインを2022年3月に作成し、計画未策定の市に県職員が訪問して、計画策定の必要性や具体的な作成方法の助言等を行ってきた。
この取組の結果、2024年4月には、県内35市において、推進計画が策定済みとなる見込みで、棟数ベースで約99パーセントのマンションが認定の対象区域に含まれる見込みである。
また、管理計画認定制度の実績については、県内では、本年2月末現在で32件が認定されている。この中には、昨年4月21日に本県が町村の区域としては全国初となる認定を行った物件も含まれている。
【委員】
99パーセント網羅したとのことで、計画策定はできるが、問題は32件が多いか少ないかという話である。何戸中の幾つかは分からないが、実際にその管理計画の認定制度を受けてもらい、それをどうやって運用していくかという話だと思うので、ぜひ今後も推し進めてもらいたい。
その中でも、この適正化に向けて、マンションの管理適正化法以外にも、区分所有法だとかいろいろ難しいところがあると思うが、例えばこれから建て直すにしても、持っている人の決議の5分の4が必要である。様々な法律の絡みがあると思うが、そのような法律にしても、区分所有法を改正して、改正に向けた動きが本格化しているということで、そのような所有者の集会の決議も、出ていない人は除外をするという仕組みも出ているようである。マンションの管理を適正に実施してもらうために、こうした制度で後押しすることが必要だと思うが、大規模修繕工事は、工事費が足らないという場合は、見直しをして積立金を増やしているマンションもたくさん出てきたと聞いている。このようなことも含めて、工事費が適正かどうか素人では分からない。
様々な課題があると思うが、このような問題についても寄り添って相談に乗ることが重要だと思う。このような対策についてどう対応しているのか。
【理事者】
適正な工事価格かどうかの判断について、例えば公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運用する住まいるダイヤルにおいて、契約前の見積書が一般的な工事単価とかけ離れた額になっていないかなどをチェックして助言する、リフォーム見積チェックサービスを無料で行っている。
また、そのほかの課題として、修繕積立金の不足については、住宅金融支援機構が、マンションの大規模修繕工事において活用することができるマンション共用部分リフォーム融資を提供しているほか、修繕積立金が将来的に不足しないよう、負担額や会計の収支などを試算することができる長期修繕ナビをウェブページで提供している。
本県では、こうしたサービスや融資制度について、一般向けセミナーや市町村の相談窓口担当者を集めた講習会でリーフレットを配布し、周知を行っている。
さらに、本県が関係市や関係団体と設立したマンション管理推進協議会においては、マンション管理士や建築士による専門家の無料相談を実施しており、大規模修繕工事の費用に係る相談について、融資制度の活用のほか、例えば優先すべき工事箇所の選定や、屋根防水や外壁補修工事の改修方法の見直しによる工事費縮減など、個別の事情に応じたアドバイスを行うことができる体制を整備している。
【委員】
しっかりと相談してもらってほしい。最近、管理組合の運営をそのまま受託する会社が出てきており、そこが全部受けると簡単に見えるが、今後は費用も何もかも、そこが全部決めてしまう。本当にそこがしっかりとしたところなら良いが、そうでないと、高い値段で修繕をしたり、高い値段で管理したりできてしまうので、そういうことも含めて、管理組合が適正に運用ができるように、アドバイスをしてもらいたい。
一般社団法人マンション管理業協会が、適正化法と同時にマンションの管理状況についての全国共通の評価基準を決めて、行政のマンションの管理認定制度と別に管理適正評価制度を運用していると聞いている。インターネットの画面を見ると、そのマンションがいい評価かどうかというのがすぐ分かり、そのマンションの価値にすぐ反映されて、売買にも使えると聞いている。先ほどの認定制度も、この評価制度を申請すると一気通貫でそのまま申請もできるので、非常に認定の取りやすい窓口にもなると聞いており、これは非常によいことではないかと思っているが、これについてはどう考えているか。
【理事者】
一般社団法人マンション管理業協会が行っているマンション管理適性評価制度は、行政の管理計画認定制度の審査項目を含む30項目について審査を行い、管理状況を星なしから星五つまでの6段階にランクづけして評価するもので、マンションの管理状況を客観的、段階的に表して把握できるところに特徴がある。
評価の結果、管理体制や管理組合収支など、マンション管理においてどの分野に課題があるのかが明らかとなり、改善に向けた取組を行っていくことで、適正な管理状態を維持していくことが期待できるものと考えている。
また、評価制度を実施しているマンション管理業協会は、行政の管理計画認定制度を申請する場合の窓口の一つにもなっており、評価制度の申請と併せて管理計画認定制度の申請もワンストップでできるため、認定制度の普及促進を図る上でも効果があるものと考えている。
【委員】
この評価制度は非常によいと思うので、連携して進めてもらいたいと思うが、老朽化したマンションが管理不全に陥らないように、日頃から適正な管理が重要である。
マンション管理のため、今後、行政として適正化を推進するためにどうしていくのか。
【理事者】
本県が構成員となっているマンション管理推進協議会では、マンションの区分所有者等を対象としたセミナーや講座、定期相談会のほか、業者に管理委託をしていない自主管理マンションが行う勉強会のために専門家を派遣する事業、それから、管理組合同士で情報交換を行ってもらう交流事業などに取り組んでいる。
また、県が所管する町村区域のマンションに対しては、マンション管理に関する資料の送付を行うとともに、2021年に行った管理状況のアンケートに回答のないマンションに対して、町村と連携して現地訪問を行うなど、実態の把握と適正管理の重要性について周知啓発に努めている。
こうした取組を通じて、今後もマンション管理の適正化を推進していきたい。
【委員】
県営住宅について伺うが、県営住宅で築40年を超えているものはどれくらいあるか。
【理事者】
本年2月末時点の県営住宅管理戸数約5万7,000戸のうち、おおむね築40年となる1984年度までに建設に着手したものは約3万戸で、管理戸数の約53パーセントとなっている。
【委員】
3万戸は結構な数であり、特に集中して昭和50年ぐらいに建てたものが非常に多い。これから建替えや見直しが進んでくると思うが、一度に進めるのは難しく、計画を立てて進めなければならない。県営住宅の場合は、一旦どこかに移動するため、空いているところが必要となるが、建替えの計画について伺う。
【理事者】
県営住宅は、1970年代半ばの最盛期には、年間4,000戸を超える住宅を供給してきており、限られた財源の中で一斉に多数の建替えを行うことは困難であることから、愛知県営住宅長寿命化計画に沿って、事業量の平準化を図りながら、計画的に進めている。
現在は、1970年代半ばまでに建設された、エレベーターのない中層住宅の建替えを優先して進めており、併せてエレベーターのある高層住宅について、耐用年限まで安全に使用するため、外壁や屋上防水、給排水設備の更新等を行う長寿命化改善工事を実施することにより、既存ストックを有効活用しつつ、建替えのピークをならすことで、事業量の平準化を図っている。
愛知県営住宅長寿命化計画の計画期間である2020年度から2029年度までの10年間で、約6,900戸の建替えと、約4,000戸の長寿命化改善を併せて実施することとしており、2020年度から昨年度までの3年間の実績としては、建替え事業では2,171戸の既存住宅の除却と新たに860戸の建設を行っており、進捗率は約31パーセント、長寿命化改善事業については1,056戸で、進捗率は約26パーセントとなっている。
今後も適切に予算を確保し、既存ストックの活用も進めながら、老朽化した県営住宅の更新にしっかりと努めていく。
【委員】
ぜひ県営住宅については計画的に建替えをやってもらいたい。3万戸は大変なボリュームであり、同じ時期に建てた住宅が多いということで、長寿命化計画で補修はすると思うが、ぜひ計画的に運用してもらいたい。
分譲マンションについては、大変な状況になると思う。途中で地震が起きるかもしれないし、様々な状況が出てくると思うが、まち全体の話であるので、管理不全に陥らないように、行政も積極的に見守ってもらいたい。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年3月15日(金) 午後0時58分~
会 場 第4委員会室
出 席 者
丹羽洋章、松本まもる 正副委員長
横井五六、鈴木喜博、青山省三、新海正春、日高 章、伊藤貴治、
富田昭雄、阿部洋祐、古林千恵、柴田高伸、園山康男 各委員
建設局長、建設政策推進監、建設局技監(2名)、土木部長、道路監、
治水防災対策監、豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、
水資源監、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、リニア・交通対策監、
港湾空港推進監、空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、
収用委員会事務局長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第 1 号 令和6年度愛知県一般会計予算
第1条(歳入歳出予算)の内
歳 出
第7款 建設費の内
第1項 建設管理費
第2項 道路橋りょう費
第3項 河川海岸費
第4項 砂防費
第5項 都市・交通費
第6項 港湾空港費
第7項 漁港費
第8項 建築費
第9項 住宅費
第10款 災害復旧費の内
第2項 土木施設災害復旧費
第2条(繰越明許費)の内
第7款 建設費
第3条(債務負担行為)の内
愛知県土地開発公社事業資金借入金債務保証
公共用地先行取得契約(愛知県土地開発公社)
橋りょう補修事業一般国道151号鳳来橋下部補強工事
橋りょう補修事業一般国道155号境大橋下部補強工事(その1)
橋りょう補修事業一般国道155号境大橋下部補強工事(その2)
橋りょう補修事業一般国道247号千鳥橋上部補修工事
橋りょう補修事業一般国道247号新上野橋下部補強工事
橋りょう補修事業一般国道248号明神橋上下部補強工事
橋りょう補修事業一般国道248号明神橋上部補強工事
橋りょう補修事業県道春日井一宮線和示良跨線橋上部補修工事
橋りょう補修事業県道春日井一宮線和示良跨線橋上部補修工事協定(東海旅客鉄道株式会社)
橋りょう補修事業県道佐屋多度線立田大橋上部補強工事
橋りょう補修事業県道大山豊橋停車場線城海津跨線橋歩
道橋撤去設計委託協定(東海旅客鉄道株式会社)
橋りょう補修事業県道名古屋外環状線名師橋下部補強工事協定(名古屋市)
道路改良事業一般国道151号道路築造工事
道路改良事業一般国道155号用地取得及び物件移転補償契約
道路改良事業一般国道247号大田インターチェンジ(仮称)上部工事(その1)
道路改良事業一般国道247号大田インターチェンジ(仮称)上部工事(その2)
道路改良事業一般国道247号旭高架橋下部工事
道路改良事業一般国道247号道路築造工事(その1)
道路改良事業一般国道247号道路築造工事(その2)
道路改良事業一般国道247号知多3号橋下部工事
道路改良事業一般国道247号青海インターチェンジ(仮称)上部工事(その1)
道路改良事業一般国道247号青海インターチェンジ(仮称)上部工事(その2)
道路改良事業一般国道247号常滑6号橋上部工事
道路改良事業一般国道247号常滑ジャンクション(仮称)工事協定(愛知県道路公社)
道路改良事業一般国道247号擁壁工事
道路改良事業一般国道247号港新川橋下部工事
道路改良事業県道豊川蒲郡線立体交差詳細設計委託協定(東海旅客鉄道株式会社)
道路改良事業県道蒲郡碧南線小焼野橋下部工事
道路改良事業県道蒲郡碧南線小焼野橋上部工事(その1)
道路改良事業県道蒲郡碧南線小焼野橋上部工事(その2)
道路改良事業県道蒲郡碧南線川口跨線橋上部工事
橋りょう整備事業一般国道151号宮下立体下部工事
橋りょう整備事業一般国道247号衣浦大橋設計業務委託契約
橋りょう整備事業県道名古屋祖父江線清洲橋上部工事
橋りょう整備事業県道扶桑各務原線新愛岐大橋下部工事
橋りょう整備事業県道扶桑各務原線新愛岐大橋上部工事
道路改築事業県道豊田安城線立体交差概略設計委託協定(安城市)
名古屋高速道路公社有料道路整備資金借入金(政府資金)債務保証
名古屋高速道路公社有料道路整備資金借入金(民間資金)債務保証
愛知県道路公社有料道路整備資金借入金(民間資金)債務保証
愛知県道路公社有料道路関連道路整備資金借入金(民間資金)債務保証
有料道路関連道路立替施行協定(愛知県道路公社)
中小河川改良事業瀬戸川護岸工事
中小河川改良事業天神川護岸工事
中小河川改良事業青木川放水路排水機場設備分解整備工事
中小河川改良事業合瀬川護岸工事
中小河川改良事業合瀬川橋りょう改築工事
中小河川改良事業豊田幹線送水管移設工事
中小河川改良事業天白川護岸工事(その1)
中小河川改良事業福田川橋りょう改築工事
中小河川改良事業天白川護岸工事(その2)
中小河川改良事業日光川2号放水路工事
中小河川改良事業日光川遊水地工事
中小河川改良事業領内川築堤工事
中小河川改良事業旧日光川水閘門撤去工事
中小河川改良事業日光川河床掘削工事
中小河川改良事業蟹江川排水機場設備分解整備工事
中小河川改良事業日光川護岸工事(その1)
中小河川改良事業日光川護岸工事(その2)
中小河川改良事業日光川護岸工事(その3)
中小河川改良事業排水路移設工事
中小河川改良事業石川水門改築工事
中小河川改良事業五箇村川排水機場設置工事
中小河川改良事業半場川樋管工事
中小河川改良事業柳生川地下河川工事
総合治水対策特定河川事業大山川調節池工事(その1)
総合治水対策特定河川事業大山川調節池工事(その2)
総合治水対策特定河川事業大山川調節池工事(その3)
総合治水対策特定河川事業大山川調節池工事(その4)
総合治水対策特定河川事業大山川調節池工事(その5)
総合治水対策特定河川事業清洲橋上部工事
総合治水対策特定河川事業両郡橋下部工事
小規模河川改修事業片原一色留堰改築工事
緊急防災対策河川事業西中野排水機場設備更新工事
緊急防災対策河川事業筏川排水機場設備更新工事
緊急防災対策河川事業日光川水閘門設備更新工事
緊急防災対策河川事業蟹江川排水機場設備更新工事
地盤沈下対策河川緊急整備事業野府川橋りょう改築工事
地盤沈下対策河川緊急整備事業木曽川用水地区光西支線移設工事
海岸高潮対策事業東浦海岸改修工事
海岸高潮対策事業西尾海岸改修工事
海岸高潮対策事業豊橋海岸改修工事
津波対策海岸特別緊急事業鳥羽東川樋門設備更新工事
津波対策海岸特別緊急事業渥美海岸築堤工事
通常砂防事業男川第35支川堰堤工事
知多都市計画都市高速鉄道東海旅客鉄道武豊線(半田駅)連続立体交差工事協定(東海旅客鉄道株式会社)
ジブリパーク関連公園整備事業愛・地球博記念公園整備工事
愛知県住宅供給公社事業資金貸付金損失補償
普通県営住宅建設工事
既設県営住宅長寿命化改善工事
第 11 号 令和6年度愛知県港湾整備事業特別会計予算
第 12 号 令和6年度愛知県県営住宅管理事業特別会計予算
第 17 号 令和6年度愛知県流域下水道事業会計予算
第 44 号 愛知県流域下水道事業の設置等に関する条例の一部改正について
第 45 号 愛知県漁港管理条例等の一部改正について
第 46 号 愛知県名古屋飛行場条例の一部改正について
第 47 号 愛知県県営住宅条例の一部改正について
第 48 号 愛知県建築基準条例の一部改正について
第 49 号 愛知県事務処理特例条例の一部改正について
第 58 号 名古屋高速道路公社の基本財産の額の変更について
第 62 号 県の行う土木事業に対する市町村の負担金について
第 63 号 県の行う流域下水道事業に対する市町村の負担金について
第 64 号 国の行う公園事業に対する名古屋市の負担金について
第 66 号 訴えの提起について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第1号、第11号、第12号、第17号、第44号から第49号まで、第58号、
第62号から第64号まで及び第66号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 道路の整備等について
2 水資源対策並びに河川、砂防、水道及び下水道の整備等について
3 土地対策、都市計画並びに公園及び市街地の整備等について
4 総合交通体系及び港湾の整備等並びに航空対策について
5 宅地建物取引及び建築・宅地造成等の規制について
6 公営住宅等の建設及び管理並びに県有施設の営繕工事について
7 建設局、都市・交通局、建築局及び収用委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(1件 陳情第92号関係)
3 議案審査(15件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 休 憩(午後3時10分)
7 再 開(午後3時20分)
8 閉会中継続調査申出案件の決定
9 閉 会
(主な質疑)
《議案質疑》
【委員】
予算に関する説明書(1)の222ページ、第7款第1項第1目建設総務費から、土木施設災害対応力向上DX推進費について伺う。
近年、全国各地で地震や風水害が頻発しており、本年元日に発生した能登半島地震においても、土木施設に甚大な被害が発生した。
私は1月7日、8日、20日、21日に輪島市、能登町に入り、物資の搬入や炊き出しを行ったが、道路、水道、下水、港などのインフラ被害の大きさに、今後の復旧に対する不安を感じた。
地震や豪雨による河川や道路の被害は県民の生活への影響が大きいため、できる限り早期の復旧が望まれる。そのためには建設業者からの情報などを迅速に収集、共有、分析し、被災状況を速やかに把握した上で応急措置を適切に行う必要がある。
3年の継続事業の3年目となる来年はシステム構築をするとのことであるが、このシステムによりどのようなことが可能になるのか。
【理事者】
災害時の初動対応において、現在は、被災情報を職員が電話やファックスにより報告を受け、手作業により情報集約を行っている。
本システムは、被災現場からウェブ上の電子地図に被災の位置、状況、写真などの巡視結果を直接登録することにより、情報の伝達や集約を確実かつ効率的に行い、関係者間で情報共有をリアルタイムで可能とするものである。
また、道路ののり面崩壊や河川の決壊など調査に危険が伴うような箇所では、情報を直ちに収集することができない課題がある。
本システムには、ドローンで撮影したデータを位置情報とともに登録・整理する機能もあり、ドローンの活用により、現場巡視での安全確保や、上空からの広範囲なデータ取得など、情報収集手段を強化することが可能となる。
本システムにより、情報収集や情報共有を効率的かつ確実に行い、被災状況などに応じた的確かつ迅速な判断を可能とすることで、災害への対応、機動性を強化していきたい。
【委員】
このようなシステムでよくあるのは、主体となる自治体ごとで構築するため、規格や様式が異なり、汎用性が利かないことである。
災害時には、様々な自治体から応援の職員に来てもらい、一秒でも早い復旧が求められるものである。このような部分でのシステムの標準化が図られるべきだと思うが、そこで、市町村との情報共有等をどのように考えているのか伺う。
【理事者】
本システムは、2025年度からの運用開始を目指しているが、災害時における市町村との情報共有も非常に重要であるので、市町村に対して、本システムのユーザーアカウントを付与し、本システムで集約した、県が管理する土木施設の被災情報を共有できるようにする予定である。
これにより、道路の通行不能箇所や河川の決壊箇所などが確実かつ迅速に把握できることとなり、市町村における災害対応にも活用されるものと考えている。
なお、市町村管理施設の被災状況の共有も含めた市町村とのシステム間連携等については、本システムの運用後に、意見交換を行いながら検討していきたい。
【委員】
県民の安心・安全につながるため、市町村との連携を図ってほしい。
続いて、予算に関する説明書(1)の227ページ、第7款第3項第1目河川管理費から、緊急河川浚渫推進事業費について伺う。
昨年6月の本県における大雨をはじめ、近年、気候変動の影響により、気象災害が激甚化、頻発化している。
総務省は、昨今の相次ぐ河川氾濫などを踏まえ、地方公共団体が緊急かつ集中的にしゅんせつ事業に取り組み、危険箇所を解消できるよう、令和2年度に緊急浚渫推進事業債を創設した。地方財政法を改正し、地方公共団体が、来年度までの5年間で、4,900億円という大規模な財源に裏づけられたしゅんせつ事業を実施することが可能になった。
しゅんせつとは、河川や貯水池などの水底の土砂を掘り取ることであり、河川の流路を広げたり、深度を増やしたりすることができる。平時から、河川やダムの堆積土砂の撤去をして容量を増やし、河川内の樹木を伐採しておくことなどの維持管理に力を入れることによって、豪雨時のリスクを低減化できる。
主要河川と言われる一級河川は、河川法によって国土交通大臣が指定し、国が維持管理、使用の制限などを行っており、原則として国土交通省が管理費用の負担をしている。ただし、一級河川の一部については都道府県が管理し、費用も負担することとなっている。また、二級河川は都道府県知事が、準用河川は市町村長が指定することとなっている。
都道府県が管理する一級河川の指定区間や二級河川、市町村が管理する準用河川や普通河川は、維持管理などの防災対策がそれまでは国庫補助事業の対象とはならず、地方公共団体の厳しい財政状況から十分な対応ができていなかったため、総務省で緊急浚渫推進事業債が創設された。
緊急浚渫推進事業のしゅんせつには、河川、ダム、砂防、治山に係るもので、土砂の除去、処分と樹木伐採などが含まれている。
本県は、堆積土砂率や人家への危険度に応じて、対策の優先度の高い箇所を河川維持管理計画に位置づけ、緊急的にしゅんせつを実施しているが、来年度が5年目ということで、浸水被害を防止するためには河道拡幅などの抜本的な河川改修が必要である。
しかし、河川の整備は下流からが基本であり、中上流部の未整備の区間や整備が完了した区間においても、現状の河道の維持管理を適正に行い、流下能力を保つことが大事であり、とりわけしゅんせつの実施が重要と考える。また、これまでも地方公共団体が維持管理として実施する河川のしゅんせつに要する標準的な経費については、自治財政局で算定を行い、普通交付税の措置が講じられてきた。
しかし、普通交付税の使途については、国が強制力を持つものではなく、地方公共団体に任されているため、河川の維持管理に充てられない自治体が多々あると聞いている。
福祉や教育、文化など住民の多様な要望がある中で、普通交付税の使途として、河川の維持管理の優先順位が低くなった地方公共団体が多かったと考えられる。
近年の豪雨災害では、国が管理する河川の支流など、都道府県や市町村管理の河川の越水でも命に関わる被害が出ている。
そこで、本県の緊急浚渫推進事業債を活用したしゅんせつの実施状況と今後の予定について伺う。また、本県の市町村で、緊急浚渫推進事業債を活用してしゅんせつを実施している状況を伺う。
【理事者】
本県では、市街地を流れる河川のうち、河道の一連区間に土砂が堆積し、氾濫により人家などへの影響が生じる恐れのある区間を対象に、2020年度から緊急河川浚渫推進事業債を活用したしゅんせつを実施し、現況流下能力の維持・回復を図っている。
今年度までに、31河川で、約39万立方メートルのしゅんせつを実施している。来年度は、内津川放水路など、今年度に引き続き実施する17河川を含む37河川でしゅんせつを行う予定である。
また、市町村においては、2020年度から今年度までに、17市町、139河川で、この緊急河川浚渫推進事業債を活用したしゅんせつが実施されている。
今後も、適切な河川の維持管理に努めていく。
【委員】
内津川をはじめ17河川を含む37河川で実施するということか。
【理事者】
来年度は、今年度実施している17河川に加え、合計で37河川のしゅんせつを行う予定である。
【委員】
私は、政治の究極の使命とは生命を守ることだと考えている。被災後の復旧に係る莫大な費用を考慮しても、かけがえのない命を守る観点からも、防災対策の費用を惜しんでいる場合ではない。
本年に入って、能登半島地震や頻発化する激甚災害により、防災に対する県民意識が高まっている。緊急浚渫推進事業債に、5か年加速化対策の後押しを受けて、本県の事業も加速をしているが、まだまだ整備の必要な箇所がある。
最近、地元からも、中上流部の未整備区間に対する樹木の伐採としゅんせつに対する要望を受ける機会が本当に増えており、今後も増えてくると思う。単県事業での予算確保も願うところではあるが、国に対しても継続して予算を確保してもらえるよう、県からも要望してほしい。
市町村とも一体となって、不安な気持ちを抱えて生活する住民の人々に寄り添い、より一層の県民の安心・安全の確保をしてもらうようお願いする。
《一般質問》
【委員】
インフラの点検、補修におけるDXの取組について伺う。
道路、河川等のインフラは、高度経済成長にかけて加速度的に整備されたことで、老朽化が一挙に進んでいる。
また、貨物輸送量は、長期的には減少傾向で、2010年以降はほぼ横ばいというデータがある一方、宅配においては、2021年度の物流では、5年間で23.1パーセント、約10.8億個増加したというデータもある。物流は、経済を円滑に回していくために不可欠な社会インフラであり、その大事な輸送を支える道路、橋梁の保全は重要である。
また、災害に強いまちづくりを推進し、防災・減災のためにもしっかりとした機能保全を行う必要がある。
そのためには、多くのインフラ点検を効率的に実施し、適切に補修をしていくことは必須である。それに加え、建設現場においても人材不足は喫緊の課題であり、今後、超高齢化の進展に対しては、AI活用やDX推進はより必要となる。
減税日本愛知県議員団は、昨年11月に、東京都にあるフラクタジャパン株式会社を視察した。本県においても企業庁が試行し、また、豊田市でも導入し、実績を上げている会社と聞いている。
フラクタジャパン株式会社は、気象など降雨量や土壌の性質や土地の状況、地盤などを含めたデータ、水道管であれば、使用している資機材の種類などをAIに機械学習させ、水道などのインフラの劣化状況を予測するソフトウエアサービスを提供する会社であり、また、新たにガスや下水道の劣化状況の予測も開始したとの説明であった。
事業説明の中で、データによる劣化予測は、あそこは塩ビ管だから大丈夫、鉄管で金属腐食が起こるからそろそろ交換などと、ベテランの職員が経験と勘により診断するのと同じであり、勘をデータで示すようなものだとの説明があった。見えない劣化箇所をデータで可視化していく技術は、今後いろいろな分野にも活用されると体感した。
人材や資金が限られている中で、インフラの保守点検にこそ積極的にDXを活用することが望ましいと考える。
ドローン技術やAIなどデジタル技術は日々進歩しており、愛知県行政全般においてもDXの取組が進められ、橋梁点検ロボットカメラやドローン技術などの活用事例報告を聞いている。
9月定例議会において、自由民主党平松利英議員の質問に対し、建設局長から、今後は水面下の目視しづらい洗掘に対する点検の精度をさらに高めるため、来年度から、建設年次が古い橋梁を中心に、水中ドローンや水中スキャナー等の新技術の活用を試行するとともに、河床の測量情報を共有していくと答弁があり、水中におけるドローンや水中スキャナー活用においても期待が高まっている。
橋梁点検の洗掘調査における水中の3Dスキャナー技術の活用と効果検証には、従来の潜水士や水中カメラでは把握できない透過率の低い濁水中の点検に水中3Dスキャナーを活用し、3次元データモデルにより可視化することで、精度よく把握できた。しかし、本技術により取得した点群データの解析には工数を要し、データ量に比例し増大するため、全ての対象施設に適用するのは工数、コストが膨大になってしまうといった課題もあり、また、腐食やひび割れ等の外性変状、クラックについては、本技術では記録が困難であることから、水中部の点検を完遂するには、別の手法との併用が必要となるともあった。このように、新しい技術の進歩には課題もあり、過渡期でもあると聞いている。
以上の内容を踏まえ、本県におけるインフラの点検、補修におけるDXの取組を推奨するよう、これまでの点検、補修における実例を含め、インフラのDXについてどのように取り組んでいるのか、また、点検、補修のための予算を確保できているのか伺う。
【理事者】
本県では、インフラの機能保全のため、個別施設ごとの長寿命化計画を策定し、事後保全型から、中長期的なトータルコストの縮減等を図る予防保全型メンテナンスへの転換を図っている。その中で、新技術の活用などにより維持管理の効率化や高度化を図っていく。
点検や補修におけるDXの具体事例としては、道路においては、ドローンを活用した道路橋の点検を今年度は39橋で実施しており、効率化を図ってきた。さらには今後、水中ドローン等の新技術を用いることで、状況把握が困難な河川内の橋脚の洗掘を精度よく把握し、効率的な補修につなげていく。来年度は、試行として、大河川などに架かる三つの橋梁で実施する予定である。
また、トンネルにおいては、車両搭載の高性能カメラにより画像を取得し、AI解析を活用した損傷図の作成について、今年度3か所で実施しており、点検の省力化を図っている。
建設部門では、このような点検だけでなく、施設整備や災害対応なども含め、業務の合理化や高度化を図るため、建設部門DX推進行動計画を2022年3月に策定している。本計画に位置づけた取組を関係者間で共有し、毎年フォローアップを行うとともに、必要に応じて連携を図るなど、積極的にDXを活用していきたい。
また、予算の確保について、2020年度の補正予算からは、通常の公共予算に加えて、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策として、別枠で予算を確保し、インフラの老朽化対策を実施している。これにより、予防保全型のメンテナンスサイクルへ移行しつつある。
また、5か年加速化対策終了後においても、別枠で予算の措置がなされるよう、本県からも国へ要請している。
今後も、DXの推進により、業務の合理化やコスト縮減を図りながら、引き続き適切にインフラの点検、補修を行っていきたい。
【委員】
課題もあるが、積極的に活用していかなければ、技術の進歩も改善も望めないと思うので、可視化して効率化を進めるというところで、一層DXを推進することを要望する。
【委員】
県営名古屋空港の安全対策について質問する。
本年1月2日に、羽田空港で、日本航空の旅客機と海上保安庁の航空機の衝突炎上事故が起きた。海保機の5人が死亡、機長が大けがをした。また、日航機の乗客・乗員379人は全員脱出をしたが、乗客15人がけがや体調不良で医療機関を受診したことが確認されている。
海保機は、前日に発生した能登半島地震を受け、新潟の航空基地に救援物資を運ぼうとしていたところだった。一刻も早く現地に救援物資を、その気持ちと機体とともにまさに飛び立とうというときに事故は起きた。午後5時47分、テレビの速報を目にし、何が起きたのか、唖然とした。元日に起きた地震に、2日の飛行機事故を受け、多くの人が今年の行く末に大きな不安を感じたのではないか。その中でも、旅客機の乗客が全員脱出できたのは、日頃からの訓練と安全対策によるものと、心からの敬意を表するところである。
航空業界には、一つのミスが起きても、幾つもの安全対策が機能することで、事故を未然に防ぐフェールセーフという考え方がある。今回は、残念ながらフェールセーフをすり抜けるようにして事故が起きてしまった。多くの報道で原因特定と対策が報じられたが、原因究明は今も続き、最終的には運輸安全委員会の調査結果を待つこととなっている。一刻も早く正確に原因の特定がなされ、適切な安全対策がされ、空の安全の信用回復、再発防止につなげていかなくてはならない。
本県には二つの空港があるが、今回は県営名古屋空港の安全対策について質問する。
県営名古屋空港は、平成17年に、国管理空港から、コミューター航空やビジネス機など、我が国初の本格的な小型航空機の拠点となる都市型総合空港として新たに生まれ変わり、開港した。
航空自衛隊小牧基地が隣接しており、滑走路を共有しているが、防衛省設置管理の共用飛行場ではなく、愛知県が管理している。管制業務は飛行場管制業務と着陸誘導管制業務を航空自衛隊小牧管制隊が実施しており、進入管制業務とターミナルレーダー管制業務については、中部国際空港にある国土交通省大阪航空局中部空港事務所が広域管制によって実施している。
東京湾に即し、大部分が埋立ての羽田空港に対して、名古屋空港は、春日井市、名古屋市、小牧市、豊山町の3市1町に接し、市街地の近くにある。背景人口は約275万人であり、このような立地状況もあり、空港の安全対策への地域住民の関心は非常に高い。
令和4年の空港利用者は、新型コロナウイルス感染症の影響が残る中ではあったが84万人を超え、着実に増加をしている。小牧基地は、能登半島地震発災後から物資の輸送、給水活動、炊き出し支援など、様々な災害派遣活動を行っている。
このように県営名古屋空港は、民間機と自衛隊機が共用し、国防にとっても非常に重要な役割を持つ空港であり、安全確保は何にも増して重要なことと考える。
そこで、安全確保のために、ふだんからどのような取組を行っているのかを伺う。
また、今回、羽田空港で起きた事故も、一つのミスが起きても、複合的に事故を未然に防ぐ安全対策を取っていたが、事故は起きた。事故が発生した際には、どのような対応を行うのか。
【理事者】
県営名古屋空港では、空港事務所、航空自衛隊小牧基地、飛行場内の航空事業者などから構成する愛知県名古屋飛行場委員会を設置し、他の空港の事故事例、事故原因、リスクの低減対策などの安全に関する情報を定期的に共有し、事故を未然に防ぐよう努めている。
1月末の開催時には、今回の羽田空港での事故を受けて、いま一度、運航の際の安全確認を徹底するよう依頼した。
航空機事故が発生した場合、迅速かつ適切に対応できるように、県営になった2005年から毎年、航空機事故を想定した訓練を実施し、今年度は夜間の事故を想定した訓練を10月5日に実施した。主な参加機関は、航空自衛隊小牧基地、県警本部、地元消防機関など34機関で410人が参加した。訓練実施後には、参加機関からの意見を集約、課題を抽出し、対応の方向性を整理し、改善すべき点は改善を図り、次年度以降の訓練に反映し、事故が起きた際の安全性が高まるよう取り組んでいる。
続いて、事故発生時の対応については、先ほどの訓練参加機関と協力をしながら、事態に当たることとなる。具体的には、まず航空機火災による被害を最小限にするため、隣接する航空自衛隊小牧基地の消防車両と西春日井広域事務組合をはじめとする地元消防機関の消防車などが駆けつけ、消火に当たる。
空港の設置管理者である愛知県としては、小牧基地や地元消防機関への消火活動の出動要請と並行して、救急医療活動用の資機材を積んだ医療搬送車を出動させるとともに、構内事業者による救難救助隊を編成し、消防機関とともに乗員・乗客の救助に当たる。
また、小牧基地や地元消防機関に加え、航空機の運航者、医師会、警察機関などからなる合同対策本部を設置し、負傷者の情報収集、医療機関への搬送、警戒警備、避難誘導など必要な対応を行っていく。
航空機事故は、何より事故発生から短い時間で適切な対応を行うことが、人命救助につながる。羽田空港内の事故でも現在、検証がされているため、必要となる対応を確認し、空港内の事業者へ情報を共有し、事故が起きた際の被害が最小限にできるよう努めていく。
【委員】
合同対策本部等である近隣の市町村の広域の消防が、自衛隊などと連携を取りながら安全性を確保していくことを理解した。
周辺環境対策事業費補助金について、今回の予算にあったが、名古屋空港は、前述のとおり平成17年に県営空港となったが、建設に至った経緯としては、昭和15年に遡る。
温暖な気候と安定した北西からの風が年間を通して吹くこの地が好都合な環境であったことから、大東亜戦争に先立ち、防空飛行場として、基地の建設計画が決定された。陸軍からの要請に、現在の空港の敷地内に当時住んでいた人々は半強制的に権利書に判をつき、先祖代々の土地を差し出した。建設には近隣住民が動員され、1日2万人を超える勤労奉仕団が工事に携わった。昭和19年に完成、翌20年に終戦。陸軍航空基地として役割を終え、米軍に接収され、滑走路と誘導路がその後整備され、拡張工事が行われた。昭和33年に現在と同規模となり、9月には米軍より返還された。その後、運輸省と防衛庁の共同使用により、民間ジャンボジェット機と自衛隊機が空を飛ぶことになる。
平成17年、県営空港になるまでに、何度と墜落事故も起きている。一番近いところであると、平成6年に起きた中華航空機の墜落事故である。乗員乗客271人のうち、264人が亡くなった。
過去から幾度となく起こる墜落事故に住民が大きな危機感を抱き、昭和42年に起きた二子山古墳での自衛隊機墜落事故をきっかけに、市民、市議会、春日井市が三位一体となって、春日井市飛行場撤去促進市民協議会(市民協)が結成された。その年の10月には、再び本市宮町地内において墜落事故が起き、飛行場問題が関係住民の大きな問題となる。その後、市民協の運動が活発となり、その成果により、小中学校、病院、民家などの防音工事をはじめ、集会施設の設置など、飛行場周辺環境対策事業が実施されることになる。昭和61年に春日井市飛行場周辺対策市民協議会と名称を変え、飛行場の撤去から、安全飛行の確保と周辺環境対策の推進を目的とした運動に、歴史的変遷と社会情勢を踏まえて変わった。このように空港周辺の住民は、土地を追われたこと、墜落のリスクと騒音との隣り合わせの中で生活を余儀なくされている。
名古屋空港周辺地域における生活環境の保全を図るために設置されているこの補助金であるが、どのような内容で補助されているのか。
また、様々な歴史的経緯から始まったものということも理解しているが、この県の周辺環境対策事業費補助金はどのような経緯で始まったのか伺う。
【理事者】
周辺環境対策事業費補助金の補助内容について、本県では、県営名古屋空港における航空機騒音による障害防止または軽減を目的として、県が定めた騒音区域内にある住宅の所有者、または共同利用施設の設置者である3市1町、名古屋市、春日井市、小牧市、豊山町が実施する防音工事や空調機器の更新工事等を補助対象として助成を行っている。
具体的には、対象区域内の住宅所有者等が実施する住宅の防音工事や空調機器の更新工事等への助成、対象区域内の学校、幼稚園、障害者支援施設など教育施設等の新築、改築等に伴う騒音防止工事対策工事への助成、対象区域内にあり、周辺地域住民が学習、集会等で利用する共同利用施設の整備に伴う騒音防止工事への助成を行っている。
さらに、対象区域内に居住する生活保護世帯の者が住宅防音工事により設置した空調機器、エアコンなどを使用した際の電気料金の一部や、周辺地域住民が学習、集会などで利用する共同利用施設の運営費のうち、年間を通して空調機器を使用した際の稼働費、電気料金の一部を助成している。
続いて、県の周辺環境対策事業費補助金が始まった経緯についてである。
県営空港化以前は、旧名古屋空港の使用実績に鑑み、防衛施設周辺の生活環境の整備などに関する法律等に基づき、当時の防衛施設庁により周辺対策が行われてきたが、昭和54年5月に、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、騒防法に基づく特定飛行場の指定を受け、空港の設置管理者の責務として、当時の運輸省が旧名古屋空港の航空機騒音対策を実施してきた。県営空港化後は、本県が空港の設置管理者として、国が実施してきた対策を引き継ぐ形を基本として、新たに要綱等を定め、空港周辺環境対策事業を実施している。
なお、県営空港化後は、コミューター航空、ビジネス機など小型航空機の拠点となる空港となったことから、県営空港の騒音対策区域は、飛行機材の小型化による航空機騒音に合わせた面積、対象となっている。
【委員】
県営になる前は、運輸省と防衛庁管理の空港であった。当時の基準と今の基準は変わってきているが、国管理においては、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、いわゆる騒防法等に基づく空港周辺環境対策事業が行われている。これは、航空機の騒音評価指標(Lden)の値の大きさに応じて、騒音対策区域を第一種から第三種まで定め、必要な事業を実施するものである。
国管理の空港における空港周辺環境事業は、Lden57デシベル以上とのことである。国からの基準を引継ぎ、新要綱を定めて実施しているとの説明があったが、愛知県の基準はどのようになっているのか。
【理事者】
県の周辺環境対策事業費補助金における基準について、国においては、公共飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、騒防法等で、周辺環境対策事業を実施する特定飛行場を14空港指定し、騒音対策区域についても第一種区域、Lden62デシベル以上から、第三種区域、Lden76デシベル以上までを指定している。
また、教育施設等騒音防止対策事業や共同利用施設整備への補助については、騒防法の規定により、おおむねLden57デシベル以上の区域が対象とされている。
県の周辺環境対策事業費補助金は、国管理空港時代の補助制度を継承しており、国と同様の基準を県の要綱で定めている。
住宅の騒音防止工事に対する助成については、おおむねLden62デシベル以上の区域を対象とし、教育施設等の騒音防止工事、共同利用施設の整備及び共同利用施設の運営費に対する助成については、おおむねLden57デシベル以上の区域を対象としている。
騒防法が指定する第二種区域、第三種区域に相当する区域は、県営空港となった際に全てが空港内に収まっており、その対象区域はなくなっている。
【委員】
周辺に住んでいる人に話を聞くと、国管理のときにはNHKの受信料が無料だったという話等も聞くが、県営名古屋空港の開港当時と比べて、県の周辺環境対策事業費補助金の補助項目とはどのように変わっているのか。
【理事者】
県営空港開港当初と比べた周辺環境対策事業費補助金の補助項目について、周辺環境対策事業費補助金は、当時の運輸省が20年以上、昭和54年度から26年間にわたり旧名古屋空港の周辺環境対策として実施されてきた事業を引き継ぐ形を基本として、県営空港開港当初から必要な対策を実施してきている。
県営空港開港当初は、先ほど答弁した内容のうち、住宅の防音工事や空調機器の更新工事等への助成、対象区域内の教育施設等の新築、改築等に伴う騒音防止対策工事への助成、周辺地域住民が学習、集会等で利用する共同利用施設の整備に伴う騒音防止工事への助成、生活保護世帯の者が住宅防音工事により設置した空調機器を使用した際の電気料金の一部の助成を行っていた。
その後、2011年度には、国の補助制度の改正に対応するなどの理由から、県営空港周辺地域の住民が利用する学習、集会等の用に供する共同利用施設の運営費、空調機器の運転に関する経費の一部を助成する補助制度の導入を、また、2015年度からは、住宅騒音防止対策事業の新たな補助として、2回目の補助を受けてから10年を経過した空調機器の更新に対するいわゆる再々更新工事に対する助成、さらに、昭和57年3月30日に現に所在した住宅、いわゆる告示日後住宅の空調機器の再更新工事に対する助成を国と同じ補助率で行うこととしている。
【委員】
地元から様々な要望と問題が出てきている。また改めて名古屋空港周辺環境対策について取り上げたいと思うが、飛行場の歴史とともに共存共栄を図り、対応を変えてきた地域からの要望を今後柔軟に酌み取り、後押しをしてもらうようお願いする。
【委員】
下水道管の耐震化について、三つ質問をする。
まず一点目、愛知県内の下水道管の耐震化率について伺う。
能登半島地震では下水道管の被災率が高く、今もなお被災者の暮らしに大きな支障を来している。
全国における下水道管の耐震化率は、2022年度末時点で56パーセントであるが、愛知県の現状の耐震化率について伺う。
【理事者】
国は、大規模避難所や災害時の拠点となる病院、役所など災害対策本部となる施設と処理場を結ぶ下水道管路などを重要な幹線と位置づけ、その管の揺れに対する耐震化率を算出している。
県が管理する流域下水道管は全て重要な幹線等に含まれており、その耐震化率は2022年度末時点で99パーセントである。また、県と市町を合わせた愛知県全体は84パーセントとなっている。
【委員】
次に二点目、愛知県における耐震化への取組方針について伺う。
今回の能登半島地震では、過去の地震災害に比べ、とりわけ下水道管の被災率が高いことが指摘されている。
特に奥能登地方の被害は深刻であり、6市町の下水道管延長約685キロメートルのうち、52パーセントに当たる359キロメートルで、汚水を流す機能を失っていると言われている。早急な復旧に向けて、国土交通省、下水道事業団体等、関係団体から多くの応援職員が現地に派遣されているが、発災から2か月半が経過した現在でも、6市町の多くの箇所で下水道管の機能が回復しておらず、上水道が使えても、水洗トイレ、洗濯や入浴による排水ができず、いまだに節水を続ける不便な生活を強いられている。
また、地震時に地上まで隆起したマンホール等が原因で緊急車両等の通行ができず、救助の妨げになり、また、その後の復旧・復興の遅れにもつながっている。
南海トラフ地震の発生確率が高まる中で、本県においても、いざというときに備えた下水道管の耐震化を早期に進めていく必要があるが、耐震化に要する多額の費用を料金の値上げにより利用者から徴収し確保していくことは、昨今の物価高もあり、なお厳しい状況と言える。
他方、令和6年度予算案に計上されている上下水道事業の効率的な運営に向けた検討調査事業においては、受水団体の一本化や事業の広域連携、PFI等の官民連携手法を活用した上下水道事業の効率化に向けた検討を進め、料金上昇の抑制を図っていくことが明示されている。
料金上昇を抑えつつ、限りある財源の中で耐震化を進めていくには、流域幹線の中でも優先順位を決めて進めていく必要があると考えるが、県や市の下水道管の耐震化への取組方針について伺う。
【理事者】
下水道管の耐震化については、県は、流域下水道管は残る区間を、市町の公共下水道管は、引き続き重要な幹線等を中心に進めていくが、今後は能登半島地震の被災状況や復旧の状況も踏まえて進めていけるよう、県も支援していく。
また、質問にあった来年度の上下水道事業の効率的な運営に向けた検討調査は、将来を見据えて、持続可能な上下水道を目指すものであり、事業を効率化することで、耐震対策もさらに進むものと考えている。
【委員】
最後に、三点目、過疎地域への対策について伺う。
能登半島地震では、珠洲市や輪島市といった過疎化が進む地域においての下水道管の耐震化が特に遅れていたことが指摘されているが、本県の過疎地域における耐震対策の状況について伺う。
【理事者】
過疎化が進む能登半島地域においては、比較的古くから下水道が整備されており、阪神・淡路大震災を契機に、地震対策が強化される以前に整備されている下水道管が多い状況にある。
一方、本県の過疎地域においては、豊田市、東栄町及び設楽町が下水道を整備しているが、震災以降の整備であることから、重要な幹線等の耐震化率は100パーセントである。
【委員】
本県では、災害時に拠点となる重要幹線において、過疎地域も含めて耐震化が進んでいることが確認できた。
また、来月4月から、水道行政が建設局に移管されることにより、上下水道一体での整備や災害対策がより強化されることも、併せて期待する。
最後に、宣伝と要望をする。地元豊田市の上下水道局が進める人工衛星とAIによる水道管の健康診断が、このたび、Digi田甲子園2023で、内閣総理大臣賞を受賞した。
Digi田甲子園とは、内閣官房がデジタル田園都市国家構想実現に向けて、地方公共団体や民間企業がデジタルの力を活用して地域課題の解決に取り組む事例を幅広く募集し、表彰する制度である。
通常、水道管の更新は水道管の設置年数に基づいて行われるが、水道管周囲の環境が水道管に与える影響は、設置の場所により様々である。例えば、大型車が多く走る幹線道路の下に埋設された水道管は劣化が早いなど様々である。そのため、設置期間ではなく、老朽度に応じて更新すべきとの考え方から、米国シリコンバレーに本社を置くベンチャー企業、フラクタジャパン株式会社と業務委託契約を締結した。先ほど古林千恵委員からも名前の挙がった企業である。
フラクタジャパン株式会社が開発、提供するオンライン管路診断ツールを活用して、水道管の劣化度をAIで予測、破損確率の高い水道管から更新する取組を現在進めており、これにより漏水調査に係る期間や費用を大幅に短縮できることが分かった。
また、このフラクタジャパン株式会社の技術は、上水道だけではなく下水道管の劣化予測にも有効で、令和3年度の国土交通省の下水道応用研究プロジェクトにも採択され、現在、滋賀県大津市で行われているモデル事業では、既存の手法の半分以下の調査で、直近2年間に生じた下水道管の腐食を発見することができたと言われている。
県においても、これから様々な官民連携の手法を用いて事業の効率化を図っていくと思うが、こうした官民連携の手法もぜひ参考にしてもらい、上下水道のさらなる効率化を進めてもらうことを要望する。
【委員】
国道366号の渋滞対策について伺う。
大府市は、知多半島と尾張及び三河地域を結ぶ交通の要衝となっており、自動車関連産業を中心とした産業活動が盛んな地域である。また、名古屋駅までJR東海道線で15分ほどで、利便性の高い都市でもあり、この東海道線の沿線を中心に市街地が発達して、集積をしている。
こうした中、名古屋市と東浦町及び刈谷市方面を結ぶ南北軸である国道366号は、大府市内の国道23号有松インターチェンジから県道瀬戸大府東海線の惣作交差点までの間で、慢性的な渋滞が発生しており、地域住民や沿線企業から早期の対策が求められているところである。
この対策として、国道366号のバイパスとして計画されている都市計画道路名古屋刈谷線や都市計画道路衣浦西部線の整備が非常に重要であり、特に午池南交差点周辺では、新たな大型商業施設のオープンや、近隣で大府横根平子土地区画整理事業が進むなど、今後さらなる交通量の増加や人口の増大が見込まれることから、まずは、午池南交差点から惣作交差点までの区間についての渋滞対策が大変重要であると考える。
午池南交差点から惣作交差点までの区間の渋滞対策について、これまでの取組について伺う。
【理事者】
国道366号の午池南交差点から惣作交差点の渋滞対策については、速効対策として、2019年度に、交通量調査結果を基に惣作交差点とその北側の正願寺東交差点において、現道内での車線運用の変更や車線数を増やす工事を実施し、渋滞長の低減が図られている。
一方、抜本対策に向けては、国道366号のバイパスとして、午池南交差点から南へ約400メートルの地点から東浦町方面へ分岐する、4車線の都市計画道路衣浦西部線の整備が有効であることから、この整備に向けて、公安委員会と協議を行っている。
この協議の中で、現道の国道366号も4車線の名古屋刈谷線として都市計画決定されており、衣浦西部線への分岐点となる新たな交差点が、現計画では4車線同士が鋭角なY字で合流する変則的な交差点となっていることから、公安委員会からは交差形状を見直すよう意見があり、都市計画の変更が必要となっている。
また、新たな交差点付近では、周辺地盤と整備する道路との高低差が最大で約3メートル生じ、交差市道の取付けなどに課題があることも判明したことから、沿道対策などが必要である。
【委員】
現計画では多くの課題があり、都市計画変更などが必要とのことであるが、本道路は当地域の発展に欠かせないものであり、地元からは一日も早い整備が求められている。それに向けた現在の検討状況と、今後どのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
現在は、都市計画変更に向け、都市計画道路名古屋刈谷線と衣浦西部線の将来交通量推計と道路予備設計を行うとともに、沿道対策について、大府市と相談しながら、公安委員会と協議を継続している。
具体的には、まずは刈谷市及び東浦町のそれぞれの方面へ交通が円滑に流れる交差形状を決めるため、交通量推計結果を分析し、最適な交差点構造の検討を進めている。
今後は、引き続き公安委員会など関係機関との協議を行い、早期に交差形状を決定するとともに、道路計画を固め、都市計画変更に向けた準備を進めていく。
【委員】
最後に要望する。この国道366号の渋滞対策は、地域にとって必要不可欠であり、周辺の住民の関心が非常に高く、また、沿線企業から期待も大きいことから、早期整備に向けた地元の機運を地域住民と一緒に高めていきたいと考えている。
そのため、県においても、大府市としっかりと連携し、早期に計画を固めてもらうとともに、事業着手に向けた積極的な取組を要望する。
【委員】
建設業を巡る現状について説明させてもらい、課題認識を共有した上で、県の取組について伺う。
まず、建設業であるが、地域のインフラの整備あるいはメンテナンス等の担い手であると同時に、地域経済、雇用、あるいは住民生活を支える役割を担うとともに、特に災害時には、最前線で地域社会の安全・安心の確保を担う、いわゆる地域の守り手として大きな役割を担っている。
まず、建設業の現状について確認をすると、建設投資額は、1992年度が約84兆円をピークに減少し、以降減少している。1992年は、1991年のバブルが崩壊して、建設業は売上げが若干遅れているので、1992年度がピークである。それ以降は減少し、2010年度には、半減して約42兆円になった。2010年度の半減は、2008年のリーマンショックの影響である。その後回復して、2023年度の見込みであるが、建設投資額は70兆3,200億円に達する見込みである。
建設業者数は、全国で2022年度末に約47万5,000業者おり、ピーク時の2000年度末から、21パーセント減少している。特に地方部を中心に事業者が減少しており、後継者難が重要な経営課題となる中、このような業者が、今後も地域の守り手として活躍し続けやすい環境整備が必要だと考える。
そして、現在、建設業において、2024年問題が目前に迫っている。そのような中、建設技能者不足が喫緊の業界の最重要課題である。
2022年平均では、建設業就業者数が全国で479万人である。産業全体に占める割合が7.1パーセントになり、ピークが1997年であるが、30.1パーセント減少している。そのうち建設技能者は、2022年平均で305万人であり、ピークが同じく1997年であるが、それから比較すると34.3パーセント減少している。建設就業者のうち技能者は、2022年の年齢構成では、55歳以上が約35パーセント、29歳以下が約12パーセントで、全産業と比べると高齢化が著しく高くなっていることが分かる。なお、建設技能者の過不足率であるが、2011年以降、建設投資が上がってきており、それを背景にプラスに転じている。
他方で、建設市場規模が今後、増加・増大していく見込みであることを踏まえると、2025年度に必要な建設技能者数は333万人から379万人と試算されており、最大で74万人不足する計算である。
なお、建設業の入職者数についてであるが、2012年以降、離職者数を上回っていたものの、2022年は入職者数の減少により、再び離職者数を下回った。併せて、転職率も8年ぶりに10パーセントを上回っている。
建設現場の急速な高齢化、そして、若者離れが深刻化する中で、限りある人材の定着による円滑な世代交代、そして、若者の入職促進による建設業の将来の担い手の確保が急務である。
次に、建設業における働き方の現状について確認するが、建設業の労働時間は、全産業労働時間が当然減少してきている中で、同様に減少傾向にあるものの、全産業と比べると依然として労働時間が長い。どれぐらい長いかというと、2022年では、全産業平均に比べて約270時間の長時間労働である。建設業の年間出勤日数を全産業平均に比べると29日多くなっており、製造業に比べて14日多い。建設現場における週休2日がまだ十分に定着していないことが原因と考えられる。
長時間労働が常態化する中、その是正が何より急務であり、建設業の働き方改革の促進、そして、建設現場の生産性の向上が必要と考える。これは国・県・市も同様であり、業界団体も全てが認識していると思う。
そうした中、今月から適用される国土交通省の公共工事設計労務単価が、12年連続で引き上げられ、全国、全職種の単純平均で前年度比5.9パーセント増と、過去10年で最大の伸び率になっている。国土交通省が決定した新労務単価は、全職種の加重平均で日額2万3,600円、建設業において、この4月から時間外労働上限規制が適用されることを踏まえて、週休2日を前提に全産業労働者並みの年収を実現するためには、最低でも日額2万5,000円程度まで引き上げる必要があると言われている。
そうしたことから、毎年度2回、9月と3月に国土交通省と建設業4団体トップとの意見交換会が開催されると聞いているが、今回、4月から時間外労働上限規制適用に合わせて、賃金の上昇を伴った働き方改革、並びに週2日の確保による工期の適正化を進めることなどについて申し合わせる見込みである。
また、建設資材単価であるが、2021年後半から原材料費の高騰、あるいはエネルギー価格の上昇等により高騰が続いており、全国的にアスファルト合材や砕石の騰勢が続いており、今後の状況を引き続き注視する必要がある。
東海地方をはじめとして関東、関西を中心に活動する弁護士法人によると、2023年の建設業者の倒産関連の依頼数が、昨年比で約2倍に増加しているということである。物価の高騰、労働力の不足によって、建設業の倒産は増加している。現在の推移を見ると、過去5年で最多の倒産数になるのではないか。
物価の高騰は建設資材価格あるいは燃料価格の値上がりをもたらし、受注価格に転嫁できない中小規模の業者の経営を圧迫している。
労務単価、資材単価ともに最新の実勢価格を反映した適正な発注価格の設定、あるいは契約におけるスライド条項の適切な運用が必要であると思う。
適正な価格による取引が必要と述べてきたが、これに関する県の取組について伺う。
【理事者】
公共事業の発注における価格変動の対応として、当初設計積算時は、最新の単価により工事価格を算定しており、契約後に発生した変動については、契約約款に基づくスライドを適用している。
まず、資材単価の改定頻度は、物価資料を準用する一般資材単価や鋼材燃料は毎月改定を行い、県が独自で調査する生コンクリートなど地域別単価は、調査に必要な期間を含めて2か月に一度改定を行っている。
労務単価について、全国一律の対応となるが、国が調査を行い、年に一度、4月に改定された単価を採用していた。近年では、実勢単価を少しでも早く反映するために、3月に改定が前倒しされている。
発注手続の都合により、この労務単価の改定前に積算し、改定後に契約となった工事については、資材単価も含め、最新の単価に置き換えて変更契約を結ぶことも可能としている。
また、既に契約している工事は、受注者からの申出により、残工事の状況や単価差の実態に合わせてスライドを実施しており、その一つである単品スライドは、2022年6月より、発注者が設定する価格ではなく、受注者が実際に購入した単価を採用することも可能としている。
今後も適正な単価による工事の実施に努めていく。
【委員】
県発注工事については、今、説明があったように、極めてタイムリーに建設物価の見直しをしており、また、柔軟にスライド条項の運用もしていることが分かった。
国も大きく旗を振って適正取引でやっており、県も、しっかりとその方針に則り取組を進めていることがよく分かった。
一方で、先ほど披れきした建設投資額のうち政府系工事、いわゆる公共工事は35パーセントで、残りの65パーセントは民間工事である。そのため、適正価格による取引を民間工事においてしっかりやってもらうようにしなければいけないと思う。
そうした中で、本県の経済産業局中小企業金融課が所管で、適正な取引・価格転嫁を促し地域経済の活性化に取り組む共同宣言を発出しており、知事が参加し、共同宣言式を昨年2月末に行った。
併せて、今年2月、1年が経過し現状どのような取組がされ、どのような成果が上がっているのか、取引適正化・価格転嫁推進フォーラムを行っており、事例発表の中で、五つのうち三つが建設関係であり、一つが国土交通省中部地方整備局長、一つが愛知県建設業協会の会長、これはJRの仕事をよく請け負っている名工建設株式会社の人であり、もう一つが、日本建設業連合会中部支部長でスーパーゼネコンである清水建設株式会社であり、取組をしっかりとやっているとのことで、事例が発表されたと聞いている。
一方で、中小企業庁が、価格転嫁は本当にされているのかを公正取引委員会と一緒にGメンを通じて調査をして、原材料費は価格転嫁されているが、労務費とエネルギー費は、まだ価格転嫁されていないという実態も公表されている。
民間の適正取引を、県においても、先ほどのフォーラムで建設業だけ取り出してやってもいいのではないか思うぐらい、重層構造における、下に行けば行くほど、思いどおりに価格転嫁がいかないということが従来から言われており、今もなお、是正取組の途中であるものの、十分ではないとの現状から、県としてそのような民間の取組を促す取組をお願いする。
次に、生産性の向上について確認する。
生産性の向上は、省人化や工事日数の削減であるが、2016年1月に石井啓一国土交通省大臣が会見で述べたのが、2016年を生産革命元年と位置づけ、国土交通省の総力を挙げ、生産性の向上に向けた取組を進めたいとのことであった。同年3月に国土交通省の生産性革命本部が第1回会合を開いており、国土交通省では、調査、測量から設計、施工、検査、維持管理、更新までの全ての建設生産プロセスで、ICTを活用するi-Constructionを推進し、建設現場の生産性の向上を目指すと発言された。
同年9月の第1回未来投資会議で、安倍元総理から、第4次産業革命による建設現場の生産性革命に向け、建設現場の生産性を2025年度までに2割向上を目指す方針が示された。
そこでの発言は、2016年から3年以内、2019年の9月までに、橋やトンネル、ダムなどの公共工事の現場で測量にドローン等を投入し、施工、検査に至る建設プロセス全体を3次元データでつなぐ新たな建設手法を導入するとのことであった。人手による現場作業が置き換わり、これまで習得するのに何年もかかったノウハウも、数か月で身につけられるようになる。3K、いわゆるきつい、危険、汚いというイメージを払拭し、多様な人材を呼び込むことで、人手不足も解消する。全国津々浦々で、中小の建設現場も劇的に変わると発言されている。
そうした中、国土交通省は、2016年度の土工、土木工事を担う労働者のことであるが、土工を手始めにICT活用工事を実施しており、直轄工事で実施件数は年々増加をしている。直轄土木工事のICT施工の実施率は、2022年度で公告件数の87パーセントに及ぶが、都道府県、政令指定都市発注工事のICT土工については、公告件数の21パーセントにとどまっている。
そこで、生産性向上に向けたICT施工に関する県の取組について伺う。
【理事者】
生産性向上に向けたICT施工に関する県の取組について答弁する。
本県の土木工事におけるICT活用工事は、2016年度から取組を開始している。2018年度には、地域の建設業者にも生産性向上に向けた取組を浸透させるため、県と建設業の団体を構成員とする愛知県i-Construction推進協議会を設立して、意見交換を図りながら、ICT活用の普及に努めている。
ICT活用工事は、土工と舗装工の2工種で始まったが、現在は、地盤改良工など17工種まで拡大している。
また、土工の対象工事は、土量1万立方メートル以上の比較的大規模な工事から始めたが、地域の業者が積極的に参加できるよう、現在では1,000立方メートルまで、規模要件を引き下げている。
このほか総合評価や工事成績評定において、ICT活用工事への施工の実績を加点するなど、受注者にインセンティブを与え、普及を促している。
こうした取組により、2023年12月時点で、ICT活用工事は累計で424件が実施された。しかし、県全体で応札可能な約2,000の業者に対し、2023年12月時点の施工実施事業者の累計は148社と、まだまだ浸透していない状況である。
このためICT活用工事を身近に感じてもらうよう、実際にICT建設機械に触れ、便利さを体験してもらう現場研修会を今年度は4回、県内各地で開催している。
今後も土木工事におけるITC活用工事の普及に努めていく。
【委員】
積極的に取り組み、実績を生んでいることを認識した。
国も、先ほど披れきしたように、2025年度までに、建設現場の生産性を2割向上させるために、ICT活用工事を標準化、いわゆる適用工種を拡大する方針である。
しかし、ICT施工はコストがかかるため、そのコストを受注価格に転嫁ができないと持ち出しになることから、民間ではなかなか広がっていかないと思うが、県としては、国の方針に基づいて標準化を進めていくことがよく分かったので、今後も積極的に取組をお願いしたい。
直轄工事において、AやB、Cランクまでがようやく対応でき、Dランクになると、ほとんど対応できていないので、広くICT施工に関われるように、様々な機会を通じて、ICT施工のメリットをしっかりと業者に知ってもらう努力をお願いする。
続けて、人材の確保について確認する。
まず、2017年であるが、建設産業政策会議が取りまとめた提言で、建設産業政策2017+10~若い人たちに明日の建設産業を語ろう~というものがあるが、ここでは担い手確保のための働き方改革、生産性の向上の必要性を指摘された。
また、働き方改革、生産性の向上に加え、持続可能な事業環境の確保といった建設業の新たな課題に対応するために、2019年に、品確法、建設業法、入契法の一体的改正の担い手3法の改正が行われた。
今、建設関連企業、建設業者は、若い人材の獲得に必死になっている。なぜなら4月から時間外労働上限規制が適用されて、従来の業務をより多くの人数でこなさなければならないからである。従業員の時間外労働の上限は月45時間、年360時間が原則となる。人材不足に拍車がかかることが確実視をされている中、給与アップ、あるいはIT化が進められるのは大手企業であって、それと異なり、経営体力に乏しい中小零細企業が2024年問題に対応策を講じるのは、なかなか簡単ではないことは言うまでもない。
東京商工リサーチによると、業界を支える中小零細企業は、社員を増やすことが困難で、仮に増員できても、それに見合う案件を獲得できるかは不透明で、親会社に対して受注価格の値上げを交渉することも簡単ではなく、建設業界の中小零細企業は今後、倒産が増大する事態が避けられないだろうという指摘をしている。建設業界全体を取り巻く状況は、今後さらに厳しさを増すという見通しを示している。
そこで、不足する人材確保について、愛知県としての取組を伺う。
【理事者】
本県では、建設業界の人材確保に向け、現在働いている人に業界にとどまってもらう離職抑止と、新たに入職してくれる人を増やす入職促進の両面から取組を行っている。
離職抑止においては、計画的に休めること、そして、働きに見合った賃金を得ることが重要である。
まず、休日の確保については、今年度から、本県が発注する全ての土木工事において、原則発注者指定による週休2日制工事を導入している。しかし、現在の制度は、工期全体で週休2日分の休みを確保すれば評価することとしており、定期的に休みを確保するという観点からは、課題がある。このため、来年度からは、月単位で週休2日を評価する取組を進め、休日の確保の質の向上を図っていきたい。
次に、労働者にきちんと賃金が行き渡るためには、企業が適正な利潤を確保することが必要である。このため、発注者としては、最新単価の採用や適正な精算に努めるとともに、ダンピングを防止するため、低入札価格調査制度、あるいは最低制限価格制度を導入しているところである。
続いて、入職者の確保については、建設系学科が持っている業界に対する将来への不安を少しでも解消し、設計から工事まで具体的な仕事内容の疑問に答える、あいち建設みらいサロンを開催している。これは、建設会社やコンサルタントの若手技術者との交流により、建設の魅力ややりがいを伝える貴重な機会にもなっている。
さらには、子供たちが建設の仕事を知って興味を持ってもらえるよう、道路や下水道など生活に必要なインフラの役割を分かりやすく説明する出前講座、あるいはふだん見ることができない工事現場や施設の見学会を開催している。このほかにも、ユーチューブを活用して、建設プロジェクトの紹介や建設の魅力を発信している。
今後も様々な取組を通じ、建設業界全体で担い手を確保するよう努めていきたい。
【委員】
最後に要望する。
人手不足が深刻化しているという認識は共有できた。この4月から、時間外労働上限規制が建設業においても適用されることから、さらに人手不足が深刻化するのではないかと言われており、この影響は県発注工事においても工期の遅れや、入札の不成立等に関わってくるという懸念も抱かずにはいられない。実際、不調が散見されることから、今後さらに懸念される。
そこで、国土交通省は、建設現場での監督などを担う技術者の配置基準を緩和することとし、資格取得に必要な検定試験の受験条件も緩め、この4月から懸念される人手不足に対応していくとのことで、今国会提出の建設業法の改正案に盛り込んでいる。
担い手の育成に関して、建設業界が独自で支援する動きが全国的に見られており、例えば三重県や、新潟県、神奈川県で、かつて建設系の学科やコースがあったが、定員割れが続き廃止したが、これから担い手、若い人材が必要なので、地元の建設業界が機械を提供、あるいは指導者を提供して、いわゆる実習の場を設け、志願者を確保するために中学生向けの現場見学会や、教育や生徒の募集などに協力をして、担い手不足を解消する取組をしている。
このほか建設業界では、日本建設業連合会が旗を振り、今の時代に見合った新3K、給与がいい、休暇が取れる、希望が持てる、を進めようとしている。業界全体で、例えば今年の2月であるが、適正工期確保宣言実施要領を発出して、発注者に見積書を提出する際には、真に適切な工期に基づき見積りを行い、その工期や工程を添付するなどの合意もしており、業界全体で、新3Kに向けた転換を本気で図っていく取組をしている。
県発注工事が積極的に、業界が抱える問題を解決するために取り組んでいることはよく分かったが、肝は民間工事で、業界全体がどう変わっていくかが大切だと思うので、そこに県が積極的に、率先して入り込んで旗を振って、転換に向けた取組を進めてもらうよう切にお願いする。
【委員】
分譲マンションの老朽化の対策について伺う。
最近、特にこの話題が様々なところで取り上げられているが、マンションは、タワーマンションも含めてどんどん建設されており、非常に入居者が多いが、これらのマンションは二つの老いが深刻化していると言われている。築40年過ぎているところが全国で120万戸、そのうちの世帯主が70歳を超えている入居率が48パーセントである。つまり、建物も中にいる人も老朽化して、先々大変だということである。
それぞれの集合住宅で入居者がたくさんおり、管理されている。どこまで自治体が介入できるかであるが、放っておくと、まち全体の問題でもあり、滋賀県の野洲市では、空家対策特別措置法で行政執行し、結局は市のお金で壊した事例もある。このようなことがこれからも出てくるのではないかということで、自治体も放っておけない。
昨年、マンション管理が適正かどうかを自治体が認定する管理計画認定制度ができ、4月から始まったが、なかなか認定件数が増えない、伸び悩んでいると聞いている。
この制度で、どのように今後運用されていくのか注目されているが、本県がどういう状況か伺う。築40年を過ぎたマンションの戸数と、今後の推移を伺う。
【理事者】
県内のマンションの戸数であるが、2020年度末で約39万6,000戸であり、そのうち築40年以上の高経年マンションは約5万4,000戸と推計されている。
こうした高経年マンションは、2030年には約13万9,000戸、2040年には約25万1,000戸になると見込まれている。
【委員】
倍々ゲームで増えていくわけであるが、管理計画、適正化推進計画を県や市が策定をした場合には管理計画が認められる。そのマンション管理計画認定制度が2年たつわけであるが、どのような状況になっているのか。
【理事者】
本県は、所管する町村区域のマンション管理適正化推進計画を策定して、2022年4月の改正法施行に合わせて運用を開始したほか、市の推進計画策定を促す取組として、マンション管理適正化推進計画の作成に関するガイドラインを2022年3月に作成し、計画未策定の市に県職員が訪問して、計画策定の必要性や具体的な作成方法の助言等を行ってきた。
この取組の結果、2024年4月には、県内35市において、推進計画が策定済みとなる見込みで、棟数ベースで約99パーセントのマンションが認定の対象区域に含まれる見込みである。
また、管理計画認定制度の実績については、県内では、本年2月末現在で32件が認定されている。この中には、昨年4月21日に本県が町村の区域としては全国初となる認定を行った物件も含まれている。
【委員】
99パーセント網羅したとのことで、計画策定はできるが、問題は32件が多いか少ないかという話である。何戸中の幾つかは分からないが、実際にその管理計画の認定制度を受けてもらい、それをどうやって運用していくかという話だと思うので、ぜひ今後も推し進めてもらいたい。
その中でも、この適正化に向けて、マンションの管理適正化法以外にも、区分所有法だとかいろいろ難しいところがあると思うが、例えばこれから建て直すにしても、持っている人の決議の5分の4が必要である。様々な法律の絡みがあると思うが、そのような法律にしても、区分所有法を改正して、改正に向けた動きが本格化しているということで、そのような所有者の集会の決議も、出ていない人は除外をするという仕組みも出ているようである。マンションの管理を適正に実施してもらうために、こうした制度で後押しすることが必要だと思うが、大規模修繕工事は、工事費が足らないという場合は、見直しをして積立金を増やしているマンションもたくさん出てきたと聞いている。このようなことも含めて、工事費が適正かどうか素人では分からない。
様々な課題があると思うが、このような問題についても寄り添って相談に乗ることが重要だと思う。このような対策についてどう対応しているのか。
【理事者】
適正な工事価格かどうかの判断について、例えば公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運用する住まいるダイヤルにおいて、契約前の見積書が一般的な工事単価とかけ離れた額になっていないかなどをチェックして助言する、リフォーム見積チェックサービスを無料で行っている。
また、そのほかの課題として、修繕積立金の不足については、住宅金融支援機構が、マンションの大規模修繕工事において活用することができるマンション共用部分リフォーム融資を提供しているほか、修繕積立金が将来的に不足しないよう、負担額や会計の収支などを試算することができる長期修繕ナビをウェブページで提供している。
本県では、こうしたサービスや融資制度について、一般向けセミナーや市町村の相談窓口担当者を集めた講習会でリーフレットを配布し、周知を行っている。
さらに、本県が関係市や関係団体と設立したマンション管理推進協議会においては、マンション管理士や建築士による専門家の無料相談を実施しており、大規模修繕工事の費用に係る相談について、融資制度の活用のほか、例えば優先すべき工事箇所の選定や、屋根防水や外壁補修工事の改修方法の見直しによる工事費縮減など、個別の事情に応じたアドバイスを行うことができる体制を整備している。
【委員】
しっかりと相談してもらってほしい。最近、管理組合の運営をそのまま受託する会社が出てきており、そこが全部受けると簡単に見えるが、今後は費用も何もかも、そこが全部決めてしまう。本当にそこがしっかりとしたところなら良いが、そうでないと、高い値段で修繕をしたり、高い値段で管理したりできてしまうので、そういうことも含めて、管理組合が適正に運用ができるように、アドバイスをしてもらいたい。
一般社団法人マンション管理業協会が、適正化法と同時にマンションの管理状況についての全国共通の評価基準を決めて、行政のマンションの管理認定制度と別に管理適正評価制度を運用していると聞いている。インターネットの画面を見ると、そのマンションがいい評価かどうかというのがすぐ分かり、そのマンションの価値にすぐ反映されて、売買にも使えると聞いている。先ほどの認定制度も、この評価制度を申請すると一気通貫でそのまま申請もできるので、非常に認定の取りやすい窓口にもなると聞いており、これは非常によいことではないかと思っているが、これについてはどう考えているか。
【理事者】
一般社団法人マンション管理業協会が行っているマンション管理適性評価制度は、行政の管理計画認定制度の審査項目を含む30項目について審査を行い、管理状況を星なしから星五つまでの6段階にランクづけして評価するもので、マンションの管理状況を客観的、段階的に表して把握できるところに特徴がある。
評価の結果、管理体制や管理組合収支など、マンション管理においてどの分野に課題があるのかが明らかとなり、改善に向けた取組を行っていくことで、適正な管理状態を維持していくことが期待できるものと考えている。
また、評価制度を実施しているマンション管理業協会は、行政の管理計画認定制度を申請する場合の窓口の一つにもなっており、評価制度の申請と併せて管理計画認定制度の申請もワンストップでできるため、認定制度の普及促進を図る上でも効果があるものと考えている。
【委員】
この評価制度は非常によいと思うので、連携して進めてもらいたいと思うが、老朽化したマンションが管理不全に陥らないように、日頃から適正な管理が重要である。
マンション管理のため、今後、行政として適正化を推進するためにどうしていくのか。
【理事者】
本県が構成員となっているマンション管理推進協議会では、マンションの区分所有者等を対象としたセミナーや講座、定期相談会のほか、業者に管理委託をしていない自主管理マンションが行う勉強会のために専門家を派遣する事業、それから、管理組合同士で情報交換を行ってもらう交流事業などに取り組んでいる。
また、県が所管する町村区域のマンションに対しては、マンション管理に関する資料の送付を行うとともに、2021年に行った管理状況のアンケートに回答のないマンションに対して、町村と連携して現地訪問を行うなど、実態の把握と適正管理の重要性について周知啓発に努めている。
こうした取組を通じて、今後もマンション管理の適正化を推進していきたい。
【委員】
県営住宅について伺うが、県営住宅で築40年を超えているものはどれくらいあるか。
【理事者】
本年2月末時点の県営住宅管理戸数約5万7,000戸のうち、おおむね築40年となる1984年度までに建設に着手したものは約3万戸で、管理戸数の約53パーセントとなっている。
【委員】
3万戸は結構な数であり、特に集中して昭和50年ぐらいに建てたものが非常に多い。これから建替えや見直しが進んでくると思うが、一度に進めるのは難しく、計画を立てて進めなければならない。県営住宅の場合は、一旦どこかに移動するため、空いているところが必要となるが、建替えの計画について伺う。
【理事者】
県営住宅は、1970年代半ばの最盛期には、年間4,000戸を超える住宅を供給してきており、限られた財源の中で一斉に多数の建替えを行うことは困難であることから、愛知県営住宅長寿命化計画に沿って、事業量の平準化を図りながら、計画的に進めている。
現在は、1970年代半ばまでに建設された、エレベーターのない中層住宅の建替えを優先して進めており、併せてエレベーターのある高層住宅について、耐用年限まで安全に使用するため、外壁や屋上防水、給排水設備の更新等を行う長寿命化改善工事を実施することにより、既存ストックを有効活用しつつ、建替えのピークをならすことで、事業量の平準化を図っている。
愛知県営住宅長寿命化計画の計画期間である2020年度から2029年度までの10年間で、約6,900戸の建替えと、約4,000戸の長寿命化改善を併せて実施することとしており、2020年度から昨年度までの3年間の実績としては、建替え事業では2,171戸の既存住宅の除却と新たに860戸の建設を行っており、進捗率は約31パーセント、長寿命化改善事業については1,056戸で、進捗率は約26パーセントとなっている。
今後も適切に予算を確保し、既存ストックの活用も進めながら、老朽化した県営住宅の更新にしっかりと努めていく。
【委員】
ぜひ県営住宅については計画的に建替えをやってもらいたい。3万戸は大変なボリュームであり、同じ時期に建てた住宅が多いということで、長寿命化計画で補修はすると思うが、ぜひ計画的に運用してもらいたい。
分譲マンションについては、大変な状況になると思う。途中で地震が起きるかもしれないし、様々な状況が出てくると思うが、まち全体の話であるので、管理不全に陥らないように、行政も積極的に見守ってもらいたい。