委員会情報
委員会審査状況
建設委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年6月26日(水) 午後0時58分~
会 場 第4委員会室
出 席 者
山田たかお、中村貴文 正副委員長
島倉 誠、山下智也、藤原ひろき、神戸健太郎、伊藤貴治、高橋正子、
朝倉浩一、細井真司、古林千恵、筒井タカヤ、神谷まさひろ 各委員
建設局長、建設局技監(2名)、土木部長、道路監、治水防災対策監、
豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、水資源監、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、リニア・交通対策監、
港湾空港推進監、空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、
収用委員会事務局長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第118号 工事請負契約の締結について(中小河川改良工事(日光川2号放水路発進立坑工))
第119号 工事請負契約の締結について(総合治水対策特定河川工事(大山川調節池本体1号工))
第122号 新丸山ダムの建設に関する基本計画の変更について
第123号 訴えの提起について(県営住宅明渡等請求事件)
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第118号、第119号、第122号及び第123号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 道路の整備等について
2 水資源対策並びに河川、砂防、水道及び下水道の整備等について
3 土地対策、都市計画並びに公園及び市街地の整備等について
4 総合交通体系及び港湾の整備等並びに航空対策について
5 宅地建物取引及び建築・宅地造成等の規制について
6 公営住宅等の建設及び管理並びに県有施設の営繕工事について
7 建設局、都市・交通局、建築局及び収用委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(1件 陳情第17号関係)
3 議案審査(4件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 休 憩(午後2時25分)
7 再 開(午後2時40分)
8 閉会中継続調査申出案件の決定
9 閉会中の委員会活動について
10 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
なし
《一般質問》
【委員】
我が国はコロナ禍やウクライナ戦争、円安、働き方改革等の影響により、原材料費やエネルギーコスト、労務費の上昇など、建設に係るコストの高騰に直面している。
その中で、気候変動による豪雨や洪水、地震など、激甚化・頻発化する自然災害への防災対策や、持続的な経済成長に向け、働き方改革や脱炭素化、デジタル化への対応、諸外国における金融引締めによる経済の下振れリスクへの対応や、急速に進行する少子化への対応など、こうした状況に対応し、社会資本整備を進めていくことは必須となっている。
限られた財源の中で、県民の命と暮らしを守り、将来にわたり真の豊かさを実感できる社会の実現に向けて、総力を上げてストック効果の最大化に取り組む必要がある。
そこで、建設資材や労務費の高騰の状況について伺う。
【理事者】
建設資材の価格動向について、生コンクリートや再生アスファルト合材など、主要資材の価格は、2021年1月から2022年8月まで急激に高騰し、その後、上下に微動しながら高止まりの状況が続いている。この価格高騰前後の比較では、資材価格は約1.4倍となっている。
一方、労務費単価については、国土交通省が毎年公表している公共工事設計労務費単価によると、2013年度より順次上昇しており、上昇前の2012年度と2024年度を比較すると1.7倍となっている。
【委員】
資材は1.4倍、労務費は1.7倍と非常に高騰が進んでいる。また、物価高騰等先が読めないため、国土交通省は概算要求の中で資材価格の高騰対策などは金額を示さない事項に盛り込み、予算編成を具体化する過程で検討する方針を出している。それに対して、財務省は事業の効率化によって対応することが基本として予算編成をしていると聞いている。これは本県の中でも同じことが起こると考えられる。
そこで、資材等の高騰は事業費の増大につながり、工事の進捗に対して影響を及ぼすと思われるが、建設部門として今後どのように取り組んでいくか伺う。
【理事者】
資材などの高騰により、全体の工事費は、1割から2割程度上昇していると見込んでいる。この状況の中、本県においては、災害に屈しない強靱な県土づくりができるよう、流域治水や道路ネットワークの機能強化、港湾の耐災害性強化、インフラの老朽化対策などに取り組んできたが、いまだ十分とは言えない状況である。
今後も切れ目なく取り組んでいかなければならないため、資材などの高騰の影響を上回る規模の予算の確保について、国へ強く働きかけるとともに、コスト縮減や新技術の導入、ICT活用やDXの推進により生産性の向上に努めるなど、限られた予算を最大限有効に活用することで事業進捗を図っていきたい。
また、国においては、2025年度が最終年度になる防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の後も、実施中期計画を策定し、引き続き取組を進めていく。
本県も、国土強靱化を継続的・安定的に進めるための予算確保に努め、安全・安心な生活を支え、持続可能な社会の実現に向け、社会資本整備を着実に進めていきたい。
【委員】
インフラ経営の視点に立ち、既存施設の計画的な維持管理や更新、利活用を図りながら、中長期的な見通しの下、公共事業、予算の安定的・持続的な確保を図っていかなければならない。その際、建設コストの高騰等を踏まえて必要な事業量を確保することが大切である。
本県が我が国の産業や経済の牽引役を果たすとともに、頻発化・激甚化する自然災害から県民の生命、財産を守っていくため、社会資本整備は今後も強力に推進していく必要がある。また、地域の安全・安心の確保を担う地域建設業が、持続的に事業を営んでいくためには、年間を通し安定的に仕事を受注できる見通しを立てられるようにする必要がある。
このため、今後も意見交換や情報共有など、より深い連携と協力をお願いしたい。
【委員】
本県は自動車産業を中心にものづくりが盛んであり、その中でも西三河地域は製造業の産業集積が厚く、産業首都あいちを支えている。
今後、さらなる産業集積を図り、経済成長を持続するためには、物流の効率化に資する道路ネットワークの強化が重要である。特に、刈谷市を通る国道23号名豊道路は、ものづくり愛知を支える東西軸として、生産拠点と名古屋港をつなぐ重要な幹線道路である。名豊道路は、知立バイパス、岡崎バイパス、蒲郡バイパス、豊橋バイパス、豊橋東バイパスの5区間からなり、1972年の知立バイパスの事業化を手始めに、国により順次整備が進められている。
豊明インターチェンジから安城西尾インターチェンジ間の知立バイパスが1989年に暫定2車線で開通し、その先の安城西尾インターチェンジから幸田芦谷インターチェンジ間の岡崎バイパスが2007年に開通した。合わせて4車線化整備も進められて、2012年には知立バイパスの4車線化が完了し、その先の岡崎バイパスは順次整備が進められている。
そして、今年度には、唯一の未開通区間として残る、蒲郡インターチェンジから豊川為当インターチェンジの区間の開通が予定されており、これにより名豊道路が全線開通となる。こうした道路整備に加え、沿線での開発も進んでおり、知立バイパスは年々交通量が増加している。
これまでの名豊道路の整備の進捗に伴い、刈谷市内を通過する知立バイパスの交通量はどのように変化しているか伺う。
【理事者】
1989年に暫定2車線で供用を開始した知立バイパスは、開通直後の1990年時点で一日当たり交通量が4万598台であり、その東側の岡崎バイパスが暫定2車線で開通した後の2010年時点で交通量は9万1,416台と、2倍以上に増加している。さらに、知立バイパス4車線整備完了後の2015年時点は10万8,936台、直近の2021年時点は、コロナ禍ではあるが9万9,687台と、10万台前後で推移しており、名豊道路の整備進捗に合わせて増加傾向となっている。
【委員】
今年度、名豊道路が全線開通すると、静岡県で開通済みの高架バイパスである潮見バイパスを合わせると、名古屋市内から浜松市内まで、実に約100キロメートルに及ぶ長い区間が信号なしでつながることとなる。これにより、これまでの開通時とは比較にならないほど交通量が増加するのではと大変危惧している。
現在でも10万台近い車が走っている知立バイパスの周辺は、今まで以上の混雑が予想され、それを回避する交通が一般道に流れ込み、新たな渋滞を引き起こすことを心配している。例えば、知立バイパス、高棚北インターチェンジに接続をする県道296号小垣江安城線は、名豊道路のアクセス道路としての機能があり、また国道419号とも接続して道路ネットワークを形成する重要な道路だが、幅員が狭くすれ違いが困難な状況である。
また、沿線や国道419号との交差付近では、物流や製造業関連の企業が複数立地している。さらにその北側では、依佐美地区の先行開発区域である約15ヘクタールについて、2019年度に愛知県企業庁により造成工事に着手し、2022年度に全ての区画が製造業を中心とした企業に引き渡されるなど、産業集積が一層進んでいる。
このため、高棚北インターチェンジと国道419号を結ぶ区間を、バイパス事業として本県が整備を進めている。このバイパスの開通は、地域の産業支援はもとより、名豊道路、高棚北インターチェンジから一定程度の交通の分散が見込まれ、早期整備が地域から強く望まれている。
県道296号小垣江安城線バイパスの進捗状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
県道296号小垣江安城線バイパスについては、名豊道路の高棚北インターチェンジから西へ約0.6キロメートルを2013年度に先行して事業着手した。その後、2019年度にネットワーク効果を高めるため、先行工区の西側約1.3キロメートルを追加し、刈谷市内の国道419号までを結ぶ全長約1.9キロメートル区間において、4車線のバイパス整備を進めている。
これまでに約9割を超える用地を取得しており、工区全体にわたり道路築造工事を進め、交差する道路の区間を除き、道路の完成の形が見えつつある。
今年度は、残る用地買収に努めるとともに、本線部の道路築造工事のほか、交差する現道の県道296号小垣江安城線や市道の付け替え工事を進め、早期開通を目指して事業進捗を図っている。
【委員】
今年度、名豊道路が全線開通することで、周辺の産業集積地からのアクセスなど、名豊道路を補完する道路ネットワークの重要性は高まっていることから、県道296号小垣江安城線バイパスが一日でも早く開通できるよう積極的な取組を要望する。
【委員】
アメリカの環境保護局は、4月10日、人体への有害性が指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)について、飲料水における含有基準を決めた。日本が定めた暫定目標値の1割未満に相当する厳しい数字である。そして、今後3年以内に飲料水中のPFAS量を測定して情報を公開するように、また、基準を超えたPFASが測定された場合、5年以内に削減するよう対応を求めている。対策費用は年間およそ15億ドル、約2,300億円と見積もっており、アメリカの連邦政府がPFASをめぐり、強制力のある基準を定めるのは初めてで、これは、PFAS規制をめぐる日本の議論にも影響を及ぼす可能性がある。
そもそも、水道水の水質検査など、安全確保については市町村なのか、あるいは県で所管しているのか。また、県である場合、どこが所管しているか伺う。
【理事者】
水道水の安全確保は、水道水を供給している市町村等の水道事業者が担っている。具体的には、市町村と水道事業者が、水道水の水質を確認することで安全性を確保している。
【委員】
本県の上下水道課指導管理室の役割は何か。
【理事者】
水道事業者に対する指導監督に係る権限については、県は計画給水人口が5万人以下の水道事業者の指導監督権限を持っており、5万人を超える水道事業者及び本県企業庁が行っている水道用水供給事業の指導監督権限は国にある。
本県水道行政の役割としては、衛生的で安全な飲料水を確保できるよう、国や市と連携し、県内の水道関連施設の監視や水道事業者などからの報告により、状況を把握した上で計画給水人口が5万人以下の県内水道事業者に対する指導監督、計画給水人口が5万人を超える水道事業者及び水道用水供給事業者に対する支援・助言を行うことである。
【委員】
PFASは水道の水質基準に含まれているのか。
【理事者】
水道法で定められた水道の水質基準は51項目あるが、そこに約4,700物質以上ある有機フッ素化合物の総称であるPFASは含まれていない。
PFASは有機フッ素化合物の総称であるが、その中でも特に関心が高い二つの物質として、PFOS及びPFOAがある。PFOSは泡消火薬剤のほか半導体工業などに、PFOAは界面活性剤などに、両物質とも幅広い用途で使用されている。
また、PFOS及びPFOAは難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質を有するため、世界中に広く残留しており、食物連鎖等を通じて、人の健康や動植物の生息、育成に影響を及ぼす可能性が指摘されている。なお、PFOS及びPFOAは、2021年までに日本国内においては製造と輸入は禁止されている。
【委員】
アメリカは我が国より10倍厳しい基準になっている。一方で、我が国は今のところ水質基準の項目にすら含まれていない。そこで、我が国において基準見直しの動きがあるのか伺う。
【理事者】
環境省は、最新の科学的知見に基づく水質基準の改正について検討するために、学識経験者からなる水質基準逐次改正検討会を設置し、年に2回程度開催している。この検討会で、PFOS及びPFOAについても2023年1月から検討が始められており、PFOS及びPFOAに関する国内外の動向を踏まえ、水質基準上の取扱いについて議論がされている。
【委員】
NHKのクローズアップ現代でも、PFOSの問題を取り上げていた。テレビ報道によると、全国ではPFOS及びPFOAの測定を行っていないところもある。
PFOS及びPFOAを測定する義務はそもそもあるのか。また、本県の状況はどうか伺う。
【理事者】
PFOS及びPFOAは水質基準ではないことから測定の義務はないが、水質管理目標設定項目の暫定目標値として設定されている。暫定目標値はPFOSとPFOAの合算値で、1リットル当たり50ナノグラム以下とされており、これは体重50キロの人がこの水を毎日2リットル生涯飲み続けても健康に影響しない値として設定されている。
本県内の測定状況については、県内に自己水源を保有する水道事業者が28事業、用水供給事業者が1事業の合計29事業あり、そのうち26事業者が2023年度までに測定を行っている。なお、自己水源を保有していない水道事業者については、既に水質が確認された水を供給者から受水して、各家庭に水道水を送っている。
【委員】
測定したことがある市町村等の水道事業者の中で、これまでに暫定目標値を超える数値、つまり50ナノグラム以上が出たところはあるか。そして、それはどこで、どれだけ、それに対してどのような対応をこれまでにしてきたのか伺う。
【理事者】
これまでに県内水道事業者のうち、北名古屋水道企業団と春日井市の2事業者において、水質管理目標設定項目の暫定目標値を超えた事例が3件あった。北名古屋水道企業団の豊山配水場では、暫定目標値を上回る数値が検出されたことから、2021年3月に豊山配水場からの配水を停止し、県営水道からの受水を増量して対応している。
なお、このときの原水及び浄水の濃度は、それぞれ1リットル当たり175ナノグラムと150ナノグラムであった。同じく北名古屋水道企業団の師勝配水場では、2021年4月に原水から1リットル当たり76ナノグラムが検出されており、県営水道の水を加えた後の師勝配水場から送り出す水では、現在まで継続して暫定目標値を下回っているため、配水を行っている。
春日井市の町屋第3水源では、2022年8月に原水から1リットル当たり53ナノグラム、町屋第6水源では2022年9月に原水から1リットル当たり82ナノグラムが検出されているが、県営水道の水を加えた後、桃山配水場から送り出す水においては、現在まで継続して暫定目標値を下回っているため、配水を行っている。
本県としては、国の水質基準逐次改正検討会の議論や動向を踏まえ、県内の水道事業者に対して適切な指導、助言を行っていきたい。
【委員】
測定を行っていない水道事業者に対して、どのように対応しているのか伺う。
【理事者】
国はPFOS及びPFOAの水質検査結果の確認・報告と、これまでPFOS及びPFOAの測定を行ったことがない水道事業者に対し、濃度の把握に努めるよう2024年5月29日付けで文書を発出している。本県においても、県民に安心・安全に水道水を利用してもらうために、県内の水道水のPFOS及びPFOAの検出状況を把握するよう、これまで測定を行っていない残る三つの水道事業者を含め、県内の全ての水道事業者に対し働きかけを行っており、未測定の3水道事業者においては、今年度内に測定を行う予定であると聞いている。
【委員】
NHKのクローズアップ現代において、岡山県吉備中央町が紹介されていた。国の暫定目標値は1リットル当たり50ナノグラムであるにもかかわらず、2020年に検査を開始したところ、水道水からは800ナノグラムが検出された。そして、そのことを町民に公開せずに、何の対策も打たずに、その翌年の2021年には1,200ナノグラムに増え、さらにその翌年の2022年には、1,400ナノグラムが検出されるに至ったとのことである。現在は水源を切り替えているから問題ないとのことであるが、この間町民は汚染された水道水を飲み続けてきた。町長は、数値を軽んじていたとのことであり、2020年に数字が出た際にきちんと対応すれば、少なくとも3年から4年はもっと早めに止められた、本当に住民に申し訳なかったと答えていた。
このPFOS及びPFOAはどこから発生したのか報道されていたが、2008年に、上流部に使用済みの活性炭が産廃業者によって置かれ、恐らくそこから流れ出ている何かではないか、とのことである。
本県でも既にPFOS及びPFOAを測定したところも、それはあくまで昨年の結果であり、昨年と今年で何か原因となる周辺の動きがあれば、常に結果は変わっていく。そのため、過去に測ったところも改めて、あるいは、今後測るところについても、頻繁に測定してほしい。
そして、我が国の暫定基準の50ナノグラムはアメリカの基準より10倍も緩い基準である。日NHKのクローズアップ現代に出演していた大学教授は、簡単に分解できないPFASは、永遠の化学物質であり、毒性は親から子の世代に影響し続けると指摘をしている。
これまでは、厚生労働省が所管していた水道の整備などの管理行政の事務のうち、水道事業の許可等の事務が、今年の4月1日から国土交通省に移管したことに伴い、本県も保健医療局から建設局に移管された。それで、従来の下水道課を上下水道課に名称変更し、課内室として指導管理室が設置された。水道管の老朽化対策や、社会資本の整備はもちろんであるが、同時に、県民が常に安心して水道水を利用できるよう、適切な水道管理にも力を入れて取り組んでほしい。
【委員】
県営住宅は県内に295団地あり、約4万4,000世帯が住んでいる。先日、各議員に2024年度第1回新設県営住宅募集案内書と2024年度第2回常時募集の県営住宅入居申込案内書が届いたと思われる。
それぞれの入居者の募集内容はどのようなものか、また、抽せん募集の応募倍率はどのくらいか伺う。
【理事者】
県営住宅の入居者募集については、抽せんにより入居者を決定する抽せん募集と、先着順に受付する常時募集がある。抽せん募集は、県営住宅を建て替えた際に、建て替えに伴う移転者用以外の住戸を新設住宅として募集するものと、既設の住宅において、入居者の退去により空が生じた住戸を年3回募集するものがある。
なお、既設の住宅で抽せん募集とするものは、築年数が浅い、立地や利便性がよいなど、入居を希望する人が多いと見込まれる住宅としている。一方で、建設から年数がたち、エレベーターがないなどで空きが生じている住宅は、常時募集として年3回募集を行っている。
抽せん募集の応募倍率については、2023年度は新設住宅で57戸の募集を行い、295人の応募があり、応募倍率は5.2倍となっている。また、既設住宅は1,520戸を募集し、応募者数は5,948人あり、応募倍率は3.9倍であった。
【委員】
県営住宅の抽せん募集の倍率は、新設の住宅では5倍以上、既設の住宅でも4倍近くあり、県営住宅の役割は大きいと感じている。
県営住宅は公営住宅法に基づき建設された公営住宅であるが、県営住宅の役割は時代によって変遷してきた。法律が制定されたのは戦後の復興期で、戦争によって多くの住宅が消失し、国民は住宅を必要としていた。また、高度成長期には都市部を中心に住宅不足が深刻な問題となり、多くの住宅を供給するため県営住宅が多数建設されたと聞いている。
そして、平成8年の法改正によって本当に住宅に困っている所得の低い人へ、低廉な家賃で提供する仕組みとして、家賃の決定方式が入居世帯の収入による負担能力と住宅の立地条件、部屋の広さ、築年数など住宅から受ける便益に応じて家賃を決定する、いわゆる応能応益方式に変更されるなど、公営住宅制度の見直しがされた。
県営住宅に入居できる人の資格は、申込案内書にも示されているが、その一つとして入居収入基準があり、高齢者世帯や心身障害者世帯などは、裁量階層として世帯の収入が所得月額21万4,000円以下、本来の入居階層である世帯は、原則階層として所得月額15万8,000円以下となっている。
家賃の算定は所得月額が10万4,000円以下を第一分位、12万3,000円以下を第二分位など、入居者の所得月額に応じて区分し、区分ごとに定められている家賃算定基礎額に住宅の地域、部屋の専用床面積、建設からの経過年数などからなる応益係数を掛けて家賃を算定しており、同じ住宅、同じ棟、同じ間取りであれば入居者の収入に応じた家賃となる。
県営住宅には約4万4,000世帯が入居しており、当然、それぞれの入居者の収入は違い、一番所得が低い人の区分、第一分位は所得月額が10万4,000円以下の人になるが、この中には全く収入のない人も含まれている。
そこで、特に収入が低い人などへ補助などの制度はあるのか。また、制度がある場合、制度の適用を受けている人はどのくらいいるのか伺う。
【理事者】
県営住宅に入居する人のうち、特に収入が低い人へは家賃の減免・減額制度を設けている。具体的には入居者の所得月額が2万6,000円以下の場合には50パーセントを、5万2,000円以下は30パーセントを、高齢者などで7万8,000円以下の人は10パーセントを、それぞれ家賃から減免・減額している。2023年度において家賃の減免・減額を行った世帯は、延べ1万9,146世帯あり、このうち8割以上となる1万5,860世帯が50パーセントの家賃減免となっている。
【委員】
全体の4割を超す1万9,000以上の世帯が家賃の減免を受けているとのことだが、入居後、子どもの就職などにより入居したときから大きく収入が上がり、収入の基準を超えてしまった入居者もいると思われる。案内書を見ると、入居後3年を経過し、所得月額を超えた入居者は収入超過者となり、民間賃貸住宅並みの市場家賃である近傍同種家賃になる場合がある。また、入居後5年を経過している入居者が高額所得者に決定された場合は、住宅の明渡し請求をすることがあると記載をされている。
現在、基準を超す収入がある入居者はどれくらいいるのか。また、そうした人に対してはどのような対応を行っているのか伺う。
【理事者】
県営住宅に入居している人は、毎年世帯収入を申告することとなっている。3年以上県営住宅に入居している人で、申告した収入に基づく所得月額が収入基準を超える場合は収入超過者となり、2023年度における収入超過者は5,368世帯であった。
また、5年以上入居し、2年連続で所得月額が31万3,000円を超えている場合には高額所得者となり、2023年度における高額所得者は274世帯であった。収入超過者、高額所得者になった場合は、公営住宅法施行令に定める算定方法による額を上限に、その人の所得月額に応じた家賃を負担してもらうこととなる。
また、原則として収入超過者には住宅の明渡し努力義務を、高額所得者には住宅の明渡しを求めることとなる。
【委員】
基準を超える収入がある世帯が一定数あるが、収入超過者の中には近年の賃金上昇によって収入超過者になった人もいると思う。しかし、物価の上昇に賃金が追いついていないことが現実であり、実際の生活は以前よりも苦しくなっている人もいると思う。県営住宅の収入基準の見直しが行われれば、こうした収入超過者は努力義務であっても、住宅から出ていくことが求められる。
公営住宅の入居者の収入基準は国が定めていることは承知しているが、現状に合わせて収入基準も見直すべきときが来たのではないか。賃金の上昇を受けて国では収入基準の見直しの検討は進められているのか。
【理事者】
公営住宅の収入基準は、公営住宅法施行令で定める金額を参酌するよう公営住宅法で定められている。公営住宅法施行令で定める金額は、国民の所得水準等の統計データを踏まえ、1996年、平成8年の公営住宅法改正時においては20万円とされていたが、平成21年4月からは、これを15万8,000円とする改定が行われた。公営住宅法を所管する国土交通省に、公営住宅法施行令で定める金額の改定について確認したところ、現時点においては収入基準の見直しについての情報は得られなかった。
【委員】
賃金が上がったとしても、それ以上に物価が高騰しており、生活が苦しくなる一方である。少し前までは基準以内であった賃金が上がっただけで住宅を明け渡さなければならない、また、生活は何ら変わらず苦しいが県営住宅に入居できないなど、収入基準の見直しが行われなければ、こうした人がどんどん増えてくる。
他県も同様のことが起きてくると考えるため、本県から声を上げて、国に対して基準の見直しを図るよう働きかけてほしい。
【委員】
令和5年6月2日、3日に東三河地域や西三河地域に、線状降水帯が二度にわたり襲う豪雨被害が起きて、約1年が経過した。24時間の降雨量で400ミリメートルを超えた降り方であり、豊川市では過去20年間以内で最大であり、箇所によっては24時間当たり423ミリメートルの豪雨であった。
その中で、豊川市内で床上浸水が約270件以上、床下浸水も約270件の被害であり、また、車両も約1,400台を超す車が冠水をした状況でありながら、幸いにも、住宅、人的被害はなかった。
豊川市内の御津山では、裏山から土砂が流れてきて住宅が逆さまになってしまったところがあった。その主な要因としては、県管理河川の佐奈川と諏訪川が合流する地点で、河川の水量が多くなり越水したことが大きな要因であった。
佐奈川のこれまでの改修状況としては、1980年に策定した計画に基づき改修が行われており、改修の規模は、時間雨量約30ミリメートルに対応した暫定の改修が実施されている。
本県としても、改修計画に向けて随時、昨年6月2日以前から実施しており、地域住民の約4万世帯にアンケート等を行いながら前向きに進めて、二級河川の整備計画を今年2月27日に公表した。
昨年6月2日豪雨被害で、特に床上浸水で被害にあった人々は、佐奈川の改修計画に対して高い関心を持っており、二度と同じようなことがないような改修計画にしてほしいと強く思っている。
佐奈川の事業計画と今後の具体的な進め方について伺う。
【理事者】
佐奈川については、本年2月に公表した二級河川佐奈川水系河川整備計画に基づき整備を進めていく。この計画には河口から豊川市下野川町地内に架かる海見橋付近まで、約5.3キロメートルと、その上流にある名鉄豊川線周辺の約0.2キロメートルの、合わせて約5.5キロメートルの河道掘削と、河口から東海道新幹線上流まで約1.3キロメートルの高潮堤防のかさ上げを位置づけている。
なお、昨年6月の大雨について検証した結果、この整備を完成させることで同規模の大雨が再び発生した場合でも、洪水が堤防を超えることはなくなる。
今後の進め方については、河口から東海道新幹線上流までの約1.3キロメートルについて、本年7月から現況測量を行い、その測量結果を基に河道掘削などに向けた検討を進め、来年度は詳細設計を行い、早期の工事着手を目指していきたい。
【委員】
昨年6月2日の豪雨の水量の雨が降った場合でも、今計画している佐奈川の改修が完了すれば越水・洪水はすることがないとの検証でよいか。
【理事者】
昨年6月の大雨は年超過確率20分の1程度の降雨であったが、河川整備後、同等の雨が再びこの地域に降った場合でも洪水が堤防を超えることはなくなると想定している。
【委員】
豊川市の地域の特徴としては、東西に幹線道路である東名高速道路、新東名高速道路、また国道23号、国道1号という大きな道路網がある。この東西軸の中の国道1号や、南北軸で国道151号を現在、整備しているが、昨年6月2日の豪雨の被害の際、国道1号と国道151号が交差をする付近一帯が冠水した。
この箇所は、南北に国道151号の道路網が整備されており、並行して一級河川豊川水系豊川放水路が流れている。この豊川の放水路に、多くの雨が降った際には、善光寺川の水を放水路にポンプを使って出すことになるが、昨年6月豪雨の際には、豊川放水路の水位が管理用道路の天端まで残り50センチのところまで上がった状況で、排水ができていなかったことが一つの要因であることから、善光寺川の改修は大変重要である。
善光寺川の整備計画の検討状況について伺う。
【理事者】
善光寺川の河川整備計画については、昨年1月の愛知県河川整備計画流域委員会において計画案を示し、公表に向け計画を取りまとめていた中で、昨年6月に大雨により被災したことから、6月の大雨を含めた近年の雨量実績を加味して整備水準である降雨量に影響がないか検証を行った結果、降雨量が若干増加したことから計画案の見直しを行うこととした。
現在、整備水準を超える降雨に対して、少しでも被害を軽減できるよう当初作成していた計画案に対して、河道の整備区間と調節池の位置、規模を見直す修正案を検討している。
今後、治水を専門とする学識者に意見を伺い、その結果を踏まえ修正案をまとめ、今年秋頃に開催予定の愛知県河川整備計画流域委員会に諮る。その後、関係機関との協議や、市長への意見照会などを行い、今年度中に国土交通省への認可申請を行い、認可され次第、河川整備計画の公表の手続を行う予定としている。
【委員】
ソフト対策の取組についても伺いたい。河川の情報収集・提供などの対策も重要になってくる。本県の河川整備に係るソフト対策の取組について伺う。
【理事者】
本県では県管理河川全てを対象に、県内を四つの圏域に分けて水防災協議会を設立し、5年間の取組方針を定め、水害に対するソフト対策を計画的・一体的に進めている。この取組方針に基づき、従来の水位計93基に加え、危機管理型水位計をこれまでに181基設置し、観測網の強化を図ってきた。さらに現在、佐奈川、善光寺川、西古瀬川の3か所で増設に向けた準備を進めている。
これらの情報は、住民の避難判断の目安としてもらうよう、国の水位計も含め、一元的に見ることができるウェブサイトで情報提供している。また、ふだんから住民が水害リスクを把握するため、法律に基づいた洪水予報河川と水位周知河川の28河川を対象とした洪水浸水想定区域の公表に加え、県独自の取組として県管理河川全てにおいて浸水予想図として水害リスク情報の提供を行ってきた。
今年度は、法律改正を受け、洪水浸水想定区域の指定を県内全域の河川に拡大していく。この指定により、宅地建物取引における重要事項説明や要配慮者利用施設における避難確保計画作成の義務化など、水害リスク情報の提供の強化を図っていきたい。
今後も引き続き、水防災協議会などを通じて関係機関とともにソフト対策に取り組んでいく。
【委員】
ソフト対策は積極的に知恵を出しながら取り組んでほしい。
昨年6月豪雨の際に宮下交差点付近の状況として、東西軸の道路網である東名高速道路が通行止めになり、新東名高速道路も一部通行止めになり、鉄道も一時期止まっていた状況の中で、国道1号が抜け道として利用されていたが、車を運転している人が、どの段階で、この先が大きな池になっていて前に進むことができないという情報を事前に知ることが大事だと考える。大きな雨が降ったときに冠水してしまう地域は国も県も市も分かっていることから、連携して事前に道路の状況を確認できる取組も必要である。
昨年6月2日豪雨被害を受け、道路管理者や国と連携し、自動車の運転者に対し、発信また事前の告知などの取組を、本県としてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
国道1号と国道151号が交差する宮下交差点の付近の一帯は、地形上冠水しやすく、昨年6月の記録的な豪雨において水没し、道路に放置された多くの車両が通行の支障となった。
こうした被害を事前に防止するために、国道1号を管理する国土交通省と連携し、冠水しやすい道路であることを、利用者に知らせる看板を宮下交差点周辺に設置することとした。これまでに国道1号においては4枚、国道151号においては5枚、注意喚起看板を設置している。
さらに、国道1号においては利用者に対して、冠水発生時に通行注意などを呼びかける冠水表示板を、国土交通省が2か所設置する予定であると聞いている。本県としても、引き続き国道151号においても冠水表示板の設置を検討するなど、国土交通省と連携し、道路の利用者への適切な情報提供に努めていきたい。
【委員】
昨年6月2日豪雨被害から1年が経過した。被害の復旧・復興は全体的に完了していないのが現状である。復旧・復興の視点は重要であるが、地元が求めているのは、大きな豪雨被害があった際でも、強い地域づくりを求めている。大きな豪雨被害、台風や土砂災害に強い地域づくりに向けた予算の獲得を要望したい。
【委員】
本県の空き家の戸数と空き家率を伺うとともに、本県の空き家率は全国平均から見てどうか。あわせて、県内の54市町村別で空き家率が高い順、低い順をそれぞれ上位三つ教えてほしい。そして、本県の空き家は5年前に調査したときと比較して、増加数・増加率はどのようになっているのか伺う。
【理事者】
空き家の数と空き家率は、国が5年ごとに実施している住宅・土地統計調査の2023年の速報集計によると、本県の住宅総数365万8,300戸に対して、空き家数は43万3,200戸あり、空き家率は11.8パーセントである。
また、全国平均の空き家率は13.8パーセントで、本県の空き家率はこれを下回っており、全国で5番目に低い空き家率となっている。
次に、市町村ごとの空き家率については、2023年の住宅・土地統計調査における数字は現時点で公表されていないため、5年前の2018年の調査の数字となるが、データのない設楽町などを除き、空き家率が高い順に、南知多町、美浜町、新城市、低い順に、扶桑町、幸田町、安城市となっている。
最後に、5年前との比較について、本県の空き家は5年前の前回調査では空き家数が39万3,800戸、空き家率が11.3パーセントであるのに対し、今回調査では空き家数が43万3,200戸、空き家率が11.8パーセントとなっており、空き家数が3万9,400戸増加し、空き家率も0.5ポイント増加している。
【委員】
続いて、本県の空き家の種類と、その戸数について伺う。
【理事者】
2023年の住宅・土地統計調査によると、空き家の種類は一戸建て、長屋建て、共同住宅、工場や事務所の一部が住宅となっているその他に分けられており、本県における空き家のうち、一戸建て住宅が11万7,800戸、長屋建て住宅が2万6,700戸、共同住宅が28万7,400戸、その他が1,300戸となっている。
【委員】
2015年に空家等対策特別措置法が施行され、倒壊の恐れがあり景観を著しく損なう空き家を市町村が特定空家等と認め、所有者に対して指導・助言、勧告、命令と段階を踏んで改善を求め、応じなければ代執行で撤去できるようになった。
現在、県内市町村が認めた特定空家等の件数を伺う。
【理事者】
2024年3月31日までに県内市町村が特定空家等と認めた件数は1,026件あり、そのうち743件が解消され、残存する数は283件である。
【委員】
この特定空家等283件については、問題あり物件だと思う。所有者に対して改善を求め、応じなければ行政が代執行で撤去することになるわけだが、改善に応じずに代執行して処理した件数はどのくらいか伺う。
【理事者】
2024年3月31日時点で、所有者等に代わり行政が強制的に措置を行う行政代執行については、安城市で2件、名古屋市で1件、半田市で1件の計4件、また、所有者等が特定できない場合に行政が行う略式代執行については、名古屋市で2件、瀬戸市で2件、豊橋市で1件、常滑市で1件の計6件、合わせて10件の事例がある。
【委員】
空き家は年々待ったなしで増加している。本県の空き家対策は進展しているのか。また、課題についての本県の見解を伺う。
【理事者】
本県の空き家対策としては、空家等対策の推進に関する特別措置法施行前の2012年度から市町村空き家対策担当者連絡会議を設置し、市町村間相互の連絡調整を図るとともに、法律や不動産、建築などの専門家が参加し、参考事例や専門的な見解を紹介するなど、情報提供に努めてきた。
また、市町村担当者の参考となるよう、2014年度には空き家相談マニュアル、2016年度には空き家バンクの物件登録等に関するガイドライン、さらに2017年度には空家等対策計画の作成に関するガイドラインを取りまとめたほか、市町村における空家等対策計画の策定に当たっては、職員が出向いて技術的な助言を行うなどの支援を行ってきた。
加えて2017年度に愛知県空家等対策推進事業費補助金制度を創設し、空き家などの除却や改修を行う所有者等に補助を行う市町村に対し、その費用の一部を補助する財政上の支援を行っている。
次に、空き家対策における課題については、国土交通省の社会資本整備審議会住宅宅地分科会空き家対策小委員会において、高齢化が進展し住宅の相続が増加する中、遠隔地に居住する相続人が住宅を取得した場合、活用されず管理不全となる可能性が大きい、また、具体的な活用意向がない相続人が適切に管理せずに空き家を放置する、活用意向があっても利用可能な相談先が少なく、買手・借手が見つからないまま放置される、さらには、管理不全の空き家が放置されると、腐朽・破損が発生し、利活用が困難となる上、管理不全状態が一層進行し、特定空家等となる恐れがある、とされている。
こうした状況は本県においても同様であると考えており、早急な空き家対策が求められていると認識している。
【委員】
空き家は今後一層深刻化するのではないかと私も考えている。しかし、空き家は撤去するばかりではなく、利活用の推進にも目を向けなければならない。空き家バンクにも注目したい。
そこで、県内市町村の空き家バンクの設置状況を伺うとともに、成果はどのような状況か伺う。
【理事者】
空き家バンクについては、2024年3月31日時点で、県内48市町村で設置されている。また、その成果については、把握している限りの数値になるが、48市町村によると、2024年3月31日時点で424件の物件登録があり、2023年の成約件数は115件となっている。
【委員】
424件の物件登録とのことだが、本県の空き家数は43万3,000戸程度あるため、空き家バンクのPR不足か、または、空き家の活用自体が難しいのか、課題が残ると思う。
空き家を減らす取組は、利活用と撤去の二本柱で市町村が主体となって進めていくが、本県が行う支援策、改修支援若しくは除却支援について、実績を伺う。
【理事者】
市町村への支援として、愛知県空家等対策推進事業費補助金により2017年度の制度創設以来、改修については昨年度の7棟を含め累計21棟、除却については昨年度の226棟を含め累計1,360棟に対して補助を行っている。
【委員】
本県でも人口減少問題が避けられなくなった今、愛知県・市町村人口問題対策検討会議を新たに立ち上げて、人口が減少する自治体の課題を掘り下げて対策を取っていく中で、課題として上がった三つのテーマの中の一つが空き家の活用であった。愛知県・市町村人口問題対策検討会議では、ワーキンググループをつくって空き家の活用を議論していくとのことである。本県として今後、空き家対策をどのように進めていくのか伺う。
【理事者】
空家等対策の推進に関する特別措置法の改正により、市町村が空き家の活用を促進する区域や活用に関する指針等を定め、空き家の利活用を促進する空家等活用促進区域制度や、市町村長がNPO法人、社団法人等を、空家等管理活用支援法人に指定し、所有者等への普及・啓発や市町村からの情報提供を受け、所有者との相談対応を行う制度が創設された。
また、放置すれば周囲に著しい悪影響を及ぼす特定空家等になる恐れのある管理不全空家等に対して、市町村長から勧告を受けた者は、固定資産税の住宅用地特例である6分の1、または3分の1の減額を解除するなどの措置が規定された。
本県としては、空き家対策の主体である市町村が、改正空家特措法に基づく対応を円滑に実施できるよう、空き家対策における重要な支援ツールである各種ガイドライン等を改定するなど、市町村支援の取組を進めていきたい。
また、愛知県・市町村人口問題対策検討会議の空き家活用ワーキンググループにおいて、参加市町村と意見交換し、それぞれの課題を整理し、課題に応じた効果的な取組方策を検討していきたい。
【委員】
空き家と人口減少は、どの市町村も抱える共通の課題だと思う。空き家の不動産の不の字は、勝ち負けの負動産だとやゆする声もある。
空き家も、利活用次第では新しい可能性を秘めている。古民家や中古住宅をリノベーションして、店舗や住宅にする傾向があり、若い層には非常に人気がある。移住・定住先でわざわざ空き家を探す、そんな傾向もある。
市町村が取り組む空き家バンクも、県として何かの形で市町村と一緒に支援ができればいいと思う。空き家の情報の提供に県も一役買う、本県も中古住宅の流通を促進するなど、知恵を絞って取組を加速してほしい。
【委員】
多くの県民は、県営住宅は県民の住宅要望に応え、県が施設を整備して大家として収入基準及び入居資格を定め、家賃の設定を行っていると思っている人がほとんどである。国と県の立ち位置を知る方法は皆無である。
そこで、県営住宅に関する国と県の関わりについて、基本的な説明を伺う。
【理事者】
県営住宅は、公営住宅法に基づく公営住宅として整備している。公営住宅制度は、戦後の復興期における住宅ストックの量の絶対的な不足の解消を果たすものとして創設され、公営住宅法に基づき、国と地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を住宅困窮者に供給することにより、居住の安定に大きな役割を果たしてきた。
その後、住宅市場の充実等に伴い、昭和40年代に一世帯一住宅が確保されてからは、量の確保よりも質の向上に重点を置いた住宅施策が展開され、また、社会経済情勢の変化に伴う多様な住宅困窮者が生じる中で、公営住宅についても住宅市場を補完する住宅セーフティーネットとして、真に住宅に困窮する低額所得者に対して、より公平かつ的確に供給されるよう、制度の充実が図られてきた。
公営住宅の定義としては、県などの地方公共団体が建設等を行い、低額所得者に賃貸等をするための住宅及びその附帯施設で、公営住宅法の規定による国の補助に係るものとされている。公営住宅法において、施設の整備基準や入居者の資格、募集方法、家賃の算定方法などが規定されているほか、国の技術的助言や各種要綱により、具体的な基準が定められている。
また、事業実施に当たり整備計画について国の確認が必要であり、本県はじめ地方公共団体は、これらの規定等に基づいて住宅の整備、管理を行っている。
【委員】
県営住宅の施設整備はどのように行われているのか。
【理事者】
県営住宅の整備に当たっては、地域における住宅需要を踏まえた敷地の選定を行い、一般的には任意買取方式により土地を購入する。敷地選定後は、インフラなどの周辺状況の把握を行い、住宅の配置、戸数などの県営住宅のまちづくりでの位置づけを認識した上で基本計画を策定し、その後、住宅の設計、工事と進めていく。
近年は用地を購入して県営住宅を建設することは行っておらず、建て替えと長寿命化改善事業が主体となっている。
整備に当たっては国費が充当されることとなるため、その条件である愛知県地域住宅計画や愛知県営住宅長寿命化計画を策定し、これらに基づく事業として国費を要求し、県費と合わせて、これらの計画に記載する建て替え、長寿命化改善、住戸改善について、国の補助を受け事業を行っている。
建て替え事業については、老朽化が進んでいる昭和40年代以前に建設された住宅のうち、住戸面積が40平方メートル前後と狭小であり、エレベーターの設置が困難な階段室型の住宅などを対象に実施しているもので、建て替えに当たっては住棟の集約化により必要な駐車場の確保を図り、省エネルギー性能等に優れた良質な住宅を供給する。
また、長寿命化改善事業は、昭和50年代前半に建築されたエレベーター付きの住宅を中心に、外壁や屋根、配管等の改修に加え、段差の解消や手すりの設置等のバリアフリー化を図ることで、居住環境の向上に取り組んでいる。
このほか、既存の住戸内部の床段差の解消、手すりの設置、和室の洋室化、流し台の取替えなどの住戸改善を行い、居住性の向上に努めてきた。
【委員】
次に、県営住宅の家賃設定は、どのような計算方法で定められているのか伺う。
【理事者】
県営住宅の家賃は、公営住宅法及び公営住宅法施行令の規定に基づき、愛知県県営住宅条例で定めており、算定の方式は入居者の収入による負担能力である応能と、住宅の立地・規模等、住宅から受ける便益である応益により家賃を決定する、いわゆる応能応益方式となっている。具体的には、国が規定する入居者の収入区分ごとに定める家賃算定基礎額に住宅が立地する市町村の立地係数、入居する住戸の専用床面積の規模係数、建設した年度からの経過年数係数、及び住宅のある区域とその周辺地域の状況による利便性係数を掛けて家賃を算定している。
【委員】
建物は完成からいつ頃までの計算で、家賃収入を充てて最終償還としているのか。そもそも低廉な家賃の住宅を県民に提供するため、民間と違い利益を得ることとしないが、県は毎月の家賃をどの局に収めて、次の県営住宅を建築し、修繕費として蓄え、定期的に大家として改修するのか伺う。また、民間住宅と異なる点も伺う。
【理事者】
平成8年の公営住宅法の改正後は、家賃は応能応益方式で算定されることとなり、家賃の算定上、建設に要した費用の償却を考慮する仕組みにはなっていない。
なお、法改正前は、家賃は法定限度額方式で算定、すなわち建設に要した費用から補助金相当額を除いた額を原価とし、その原価を上限として家賃を決定しており、償却の期間は耐火構造が70年、準耐火構造が45年、木造が30年とされていた。
【理事者】
県営住宅の会計については、県営住宅管理事業の円滑な運営と、その経理の適正化を図るため、昭和39年に県営住宅管理事業特別会計条例が施行され、愛知県県営住宅管理事業特別会計を設けて毎年度家賃収入を主な財源として、入居者の募集や家賃の徴収、住宅の維持修繕などの管理・運営を行っており、家賃収入等では、管理に必要な費用を賄えない不足分については、一般会計から繰り入れる仕組みとなっている。
また、県営住宅では民間住宅の修繕積立金のような制度は設けていないため、建て替えや大規模な改修は国費や県債等を財源とした一般会計で行っており、県営住宅の管理に必要な費用を全て家賃収入だけで賄っているわけではない。
【委員】
近年は、県営住宅の整備もPFI方式により整備が進められているが、その経緯等を伺う。まず、県営住宅において、なぜPFI事業による整備を行うこととしたのか伺う。
【理事者】
本県では、昭和40年代に建設された大量の県営住宅が一斉に更新時期を迎えるため、老朽化が進む県営住宅の建て替えを着実に推進していくためには、建て替え費用を抑えることが大きな課題となっている。
このため、県営住宅の建て替えについて、民間事業者のノウハウを活用するなどして、建て替え費用を抑えるとともに、事業期間の短縮などを図ることを目的として、PFI手法により県営住宅の建て替えを進めるために検討を行い、一定の効果が期待できることから導入することとした。
【委員】
PFI事業では、どのようなメリットがあるのか。
【理事者】
工事費については、事業者の調達しやすい工法の採用や、材料・設備などの大量一括調達、工期短縮による経費節減などにより、費用を抑える効果が期待できる。
次に、事業期間については、設計と施工を一括して発注することによる発注手続き期間の短縮や、事業者における施工手順の工夫による工事期間の短縮により、建て替えに要する期間は従来の方法よりも短縮できる。
また、民間マンション建築等で培ったノウハウに基づき、これまでの県営住宅にはなかった優れた提案がなされることが期待できる。
さらに、建て替え住棟の集約化により活用用地が創出される場合には、戸建て住宅や福祉施設など民間施設を一体的に整備することにより、良好な住宅市街地の形成も期待できる。
【委員】
次に、県営住宅でPFI事業による整備は、どのくらい行われているのか伺う。
【理事者】
県営住宅では、平成29年度に契約した県営東浦住宅が初めてのケースで、平成30年度は3住宅、令和元年度は2住宅、令和2年度は4住宅、令和3年度は2住宅、令和4年度は1住宅、令和5年度は1住宅と、これまでに合計14事業で契約をし、本年度は1住宅で契約予定である。
【委員】
79年ほど前の戦争で、日本の各地がアメリカ軍による空襲で壊滅的に破壊され、国民は住む住宅もなく困窮したことから、国民の住宅を提供するのが国策であった。その政策として国は日本住宅公団を、地方には県営住宅、市営住宅、町村住宅を建設し、安い住宅への入居が最大の目的であった。現在のように民間企業が住宅を建設して、住民を入居させるようなデベロッパー企業の体質は当時なかった。
昭和60年以前に管理開始された県営住宅には、公募で募集して当選した入居者の部屋に風呂を設置する場所があったが、ここに風呂おけと風呂釜がなく、入居者が自費で設置したことは今では考えられないが、事実であるか。
【理事者】
昭和61年4月1日に管理を開始した県営住宅から、全ての新築住宅に浴槽と風呂釜を設置している。それ以前に管理開始した住宅には浴室はあるが、風呂おけ、風呂釜などの風呂設備を原則県では設けておらず、入居者が設置していた。
【委員】
風呂設備は、昭和61年以降に管理開始された県営住宅は完備となったが理由は何か。どこでどのように決まったのか。
【理事者】
昭和55年に国から入居者の入居時の負担を小さくすること等の観点から、浴槽及び風呂釜の設置に努めるよう通知されたことから、本県ではこれを踏まえて検討を行い、風呂設備を設置することとしたと考えられる。
【委員】
昭和61年以降に管理開始された県営住宅は風呂設備が付いているが、入居者は風呂設備の費用は負担しなくてよくなったのか。その費用は家賃の値上げとなったと理解してよいのか。その計算方法を伺う。また、風呂釜の耐用年数は約10年と聞いているが、10年後を考えての家賃計算としているのか伺う。
【理事者】
平成8年の公営住宅法改正前までは、風呂設備を含む建設費用や修繕費などを元に県営住宅の家賃を算定していたため、風呂設備は入居者の費用負担となっていた。公営住宅法の改正後は、国が規定する入居者の収入区分ごとに定める家賃算定基礎額に住宅が立地する市町村の立地係数、入居する住戸の専用床面積の規模係数、建設した年度からの経過年数係数、及び住宅のある区域とその周辺地域の状況による利便性係数を掛けて家賃算定をしており、風呂設備を含む建設費用は係数の対象にはなっていないため、建設時に風呂設備を設置した場合、風呂設備に対する入居者の費用負担はない。このため、公営住宅法の改正後は風呂釜の耐用年数を考慮した家賃とはなっていない。
【委員】
県が設置した風呂釜が故障した場合は、県が入居者に負担を求めず交換をしているのか。
【理事者】
故障の原因が入居者の責によるものでなければ、県が設置した風呂設備が故障した場合、県が修繕し、入居者の費用負担は求めていない。
【委員】
昭和60年以前に管理開始された県営住宅において、入居者が風呂設備を設置した県営住宅は、総数で現在何戸あるのか。また、県が風呂設備を設置した総数、入居者が風呂設備を設置した比率と県が設置した比率を伺う。
【理事者】
県営住宅5万6,726戸のうち、県が風呂設備を設置した住戸は2万8,052戸で、約49パーセントである。残りの住戸のうち、現在入居者がいる1万9,592戸については、風呂設備を入居者が設置しており、その比率は約35パーセントである。
【委員】
風呂設備がないと明記し空き家募集している県営住宅に対し、直近5年間の入居状況を伺う。
【理事者】
風呂設備のない県営住宅の入居状況については、令和元年度から令和5年度までに入居し、現在も入居中の住戸は2,715戸ある。入居年度別としては、令和元年度が505戸、令和2年度が597戸、令和3年度が536戸、令和4年度が503戸、令和5年度が574戸となっている。
【委員】
県営住宅に風呂設備が付いていない空き家の住戸数を伺う。
【理事者】
本年6月1日現在で管理戸数は5万6,726戸、空き家戸数は1万2,964戸となっている。そのうち、風呂設備が付いていない空き家戸数は9,082戸であるが、建て替えにより入居者を募集していない住宅を除くと、風呂設備が付いていない空き家戸数は5,958戸となる。
【委員】
民間のマンションに入居する場合、入居者が風呂設備一式を設置し、費用はバランス釜で45万円、給湯式で100万円を投資し、退去の際には風呂設備一式を取り除くことを条件とするところは存在しない。風呂設備の付いていない空き家が6,000戸もあるが、これだけ多くの空き家を埋めるのに何年かかるのか。年間500戸入居した場合でも10年以上かかる。それを県営住宅では平然と入居者募集を行っている。
県営住宅の責任者である建築局技監の感想を伺う。
【理事者】
風呂設備の設置については、県営住宅における課題の一つであると認識している。風呂設備のない住戸に入居する場合、入居者に風呂設備の設置を依頼しており、入居者の大きな負担となっている。
県としては、平成26年度から風呂設備のない既存住戸に風呂設備を設置する工事を行っており、昨年度までに480戸に設置した。今後も風呂設備の設置を推進していきたい。
【委員】
私は以前から空き家の県営住宅に風呂設備を設置して空き家の解消を求めてきた。地元である名古屋市名東区の県営高針住宅は、31戸の風呂設備を完成して入居募集している。従来の家賃よりも値上げされているが、入居状況はどうか。風呂設備が付いていない住戸と比較した入居状況を伺う。
【理事者】
本年6月1日現在の県営高針住宅の入居状況は、風呂設備のない住戸については677戸あり、入居戸数557戸で、入居率は82.3パーセントとなっている。
風呂設備を設置した31戸については、長寿命化改善工事により入居者の募集を見合わせている6戸を除く25戸のうち入居戸数が15戸となっており、入居率は60パーセントである。また、4戸が入居の予定となっており、これを加えると入居率は76パーセントとなる。
【委員】
県営住宅の空き家を解消し、できるだけ県民に安価な家賃の住宅を提供するには、風呂設備の設置は必然である。なぜ早急に改善が進まないのか不思議でならない。本県の所見を伺う。
【理事者】
浴槽、風呂釜のない住戸に風呂設備を設置する際には、県の整備計画の基準適合性等について、国の確認を受けた上で実施するといった制約の中で行っているが、効率的・効果的な運用ができないか検討を行い、引き続き風呂設備の設置を進めていきたい。
【委員】
私の地元の県営高針住宅は、建築されてから約40年経過している。牧野ケ池緑地に隣接し自然環境はよく、小学校も徒歩5分、病院も近くにあり、県営住宅の敷地には名古屋市営の保育園もある。大型ショッピングセンターの西友高針店も徒歩8分であり、名古屋市内でも最良の県営住宅として評判であった。しかし現在は、入居者の超高齢化が進み、自治会の運営ですら困難となっている。
県営住宅の超高齢化は、入居者の年金生活者や生活保護世帯の急増となっている。単身の高齢の入居者も多く、家賃の減免を受ける人も多くなっている。このような住民が多い状況の中で、風呂設備が経年劣化で故障し、日々の生活に苦労している。
入居している高齢の親のためにお金をかけて新しい風呂釜に変えるか、将来を考えて老人施設に入所させるか迷っている子供たちからの相談がある。設置した風呂釜を本県が買い取ってくれればと聞いている。風呂釜が故障した入居者は、台所の温水器で洗面器にお湯を入れて身体をタオルで清潔にしている人も多いと聞いている。
夏の猛暑や冬の厳寒の中で、何とか風呂に入りたいと数多くの相談を受け、私も大変、心を痛めている。名古屋市内の住民であれば、名古屋市は生活保護世帯に対して風呂設備を無料で提供する施策を実施している。
県営住宅の入居者も市民のため救済されている。手続は地元の民生委員が相談の窓口となり、名東区役所に申請して審査を受け、許可となれば風呂設備を設置している。
本県はこの事実を承知しているのか。また、名古屋市内の県営住宅で、どのくらいの生活保護世帯が扶助を受け風呂設備を取りつけているか数字を示してほしい。
【理事者】
生活保護制度には住宅扶助の項目があり、家賃のほか居住する家屋の設備の修理などの住宅維持費も住宅扶助の対象になると聞いている。生活保護受給者への風呂設備に係る住宅扶助の実施状況について、名古屋市の生活保護担当に問い合わせたところ、風呂設備の購入や取替えについて扶助が認められるケースがあるとのことであった。
しかし、県営住宅で住宅扶助により風呂設備を設置した件数についての集計は行っていないとのことであり、その数を確認することはできなかった。
【委員】
県内市町村で、生活保護世帯に対し、県営住宅の風呂設備の設置を応援しているところはあるのか。
【理事者】
県内の中核市及び県福祉局に確認したところ、中核市などに所在する県営住宅や市営住宅などの公営住宅について、生活保護制度により風呂設備の設置の扶助を認めたケースがあるとのことであった。
【委員】
県営住宅の入居者で、生活保護は受けていないが、年金生活者は住宅の家賃を支払うだけでぎりぎりの人が大勢いる。生活保護世帯だけに風呂設備が提供されることについて割り切れないと訴える人に、私は具体的なことが言えず心を痛めている。
県営住宅に入居する世帯の中には、浴槽のバランス釜を設置するための45万円ほどが一括して支払いができずに困っている。何らかの救済策、解決策を検討してほしい。
【理事者】
生活保護を受給している人が県営住宅に入居する際には、生活保護制度の住宅扶助についてしっかりと周知を図っていきたい。
また、現在、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会では、低所得世帯や高齢者世帯等が安定した生活が送れるようにすることを目的とし、生活福祉資金貸付制度を実施しており、このような制度の周知に努めていきたい。そのほか、活用できる市町村の福祉制度などについて、まずは研究していきたい。
【委員】
さらに、今ならば家賃の値上げにも応じるが、風呂設備を取り替えてもらえないかとの入居者からの声がある。このことについても検討してほしい。
【理事者】
風呂設備については、まずは未設置の住戸への設置を進めていきたい。個人の所有物である風呂設備の取り替えについては、本県で直接的に対応することが困難と考えるが、今後、他県等の事例を収集し対応について研究していく。
【委員】
未設置の住宅への設置を進めるとのことだが、それは空き家に風呂設備を設置すると理解してよいのか。風呂設備を取り替えてほしいという入居者の切実な思いに応えてほしい。本県建築局は、住宅を提供するだけで住民のことは何も考えられない、何もできないとの姿勢なのか。県と住民との接点で必死になって何か改善の道はないかと苦慮するのが県議会議員である。
最後に、建築局長に総括してほしい。
【理事者】
県営住宅は、住宅に困窮する低額所得者の住宅セーフティーネットとして大きな役割を担っており、風呂設備の設置についても重要な課題であると認識している。
県営住宅については、現に入居を希望している人が、速やかに入居できるよう、募集住戸に対して浴室設備を含む修繕などに注力していきたい。
また、課題については、県営住宅全体での整備の進め方として、バランスを考慮しつつ、幅広く検討を進めていく。
引き続き、担当課室の職員とともに県営住宅の課題に取り組んでいく。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年6月26日(水) 午後0時58分~
会 場 第4委員会室
出 席 者
山田たかお、中村貴文 正副委員長
島倉 誠、山下智也、藤原ひろき、神戸健太郎、伊藤貴治、高橋正子、
朝倉浩一、細井真司、古林千恵、筒井タカヤ、神谷まさひろ 各委員
建設局長、建設局技監(2名)、土木部長、道路監、治水防災対策監、
豊川水系対策本部副本部長、豊川水系対策本部事務局長、水資源監、
都市・交通局長、同技監、都市基盤部長、リニア・交通対策監、
港湾空港推進監、空港長、
建築局長、同技監、公共建築部長、建築指導監、
収用委員会事務局長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第118号 工事請負契約の締結について(中小河川改良工事(日光川2号放水路発進立坑工))
第119号 工事請負契約の締結について(総合治水対策特定河川工事(大山川調節池本体1号工))
第122号 新丸山ダムの建設に関する基本計画の変更について
第123号 訴えの提起について(県営住宅明渡等請求事件)
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第118号、第119号、第122号及び第123号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 道路の整備等について
2 水資源対策並びに河川、砂防、水道及び下水道の整備等について
3 土地対策、都市計画並びに公園及び市街地の整備等について
4 総合交通体系及び港湾の整備等並びに航空対策について
5 宅地建物取引及び建築・宅地造成等の規制について
6 公営住宅等の建設及び管理並びに県有施設の営繕工事について
7 建設局、都市・交通局、建築局及び収用委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(1件 陳情第17号関係)
3 議案審査(4件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 休 憩(午後2時25分)
7 再 開(午後2時40分)
8 閉会中継続調査申出案件の決定
9 閉会中の委員会活動について
10 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
なし
《一般質問》
【委員】
我が国はコロナ禍やウクライナ戦争、円安、働き方改革等の影響により、原材料費やエネルギーコスト、労務費の上昇など、建設に係るコストの高騰に直面している。
その中で、気候変動による豪雨や洪水、地震など、激甚化・頻発化する自然災害への防災対策や、持続的な経済成長に向け、働き方改革や脱炭素化、デジタル化への対応、諸外国における金融引締めによる経済の下振れリスクへの対応や、急速に進行する少子化への対応など、こうした状況に対応し、社会資本整備を進めていくことは必須となっている。
限られた財源の中で、県民の命と暮らしを守り、将来にわたり真の豊かさを実感できる社会の実現に向けて、総力を上げてストック効果の最大化に取り組む必要がある。
そこで、建設資材や労務費の高騰の状況について伺う。
【理事者】
建設資材の価格動向について、生コンクリートや再生アスファルト合材など、主要資材の価格は、2021年1月から2022年8月まで急激に高騰し、その後、上下に微動しながら高止まりの状況が続いている。この価格高騰前後の比較では、資材価格は約1.4倍となっている。
一方、労務費単価については、国土交通省が毎年公表している公共工事設計労務費単価によると、2013年度より順次上昇しており、上昇前の2012年度と2024年度を比較すると1.7倍となっている。
【委員】
資材は1.4倍、労務費は1.7倍と非常に高騰が進んでいる。また、物価高騰等先が読めないため、国土交通省は概算要求の中で資材価格の高騰対策などは金額を示さない事項に盛り込み、予算編成を具体化する過程で検討する方針を出している。それに対して、財務省は事業の効率化によって対応することが基本として予算編成をしていると聞いている。これは本県の中でも同じことが起こると考えられる。
そこで、資材等の高騰は事業費の増大につながり、工事の進捗に対して影響を及ぼすと思われるが、建設部門として今後どのように取り組んでいくか伺う。
【理事者】
資材などの高騰により、全体の工事費は、1割から2割程度上昇していると見込んでいる。この状況の中、本県においては、災害に屈しない強靱な県土づくりができるよう、流域治水や道路ネットワークの機能強化、港湾の耐災害性強化、インフラの老朽化対策などに取り組んできたが、いまだ十分とは言えない状況である。
今後も切れ目なく取り組んでいかなければならないため、資材などの高騰の影響を上回る規模の予算の確保について、国へ強く働きかけるとともに、コスト縮減や新技術の導入、ICT活用やDXの推進により生産性の向上に努めるなど、限られた予算を最大限有効に活用することで事業進捗を図っていきたい。
また、国においては、2025年度が最終年度になる防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の後も、実施中期計画を策定し、引き続き取組を進めていく。
本県も、国土強靱化を継続的・安定的に進めるための予算確保に努め、安全・安心な生活を支え、持続可能な社会の実現に向け、社会資本整備を着実に進めていきたい。
【委員】
インフラ経営の視点に立ち、既存施設の計画的な維持管理や更新、利活用を図りながら、中長期的な見通しの下、公共事業、予算の安定的・持続的な確保を図っていかなければならない。その際、建設コストの高騰等を踏まえて必要な事業量を確保することが大切である。
本県が我が国の産業や経済の牽引役を果たすとともに、頻発化・激甚化する自然災害から県民の生命、財産を守っていくため、社会資本整備は今後も強力に推進していく必要がある。また、地域の安全・安心の確保を担う地域建設業が、持続的に事業を営んでいくためには、年間を通し安定的に仕事を受注できる見通しを立てられるようにする必要がある。
このため、今後も意見交換や情報共有など、より深い連携と協力をお願いしたい。
【委員】
本県は自動車産業を中心にものづくりが盛んであり、その中でも西三河地域は製造業の産業集積が厚く、産業首都あいちを支えている。
今後、さらなる産業集積を図り、経済成長を持続するためには、物流の効率化に資する道路ネットワークの強化が重要である。特に、刈谷市を通る国道23号名豊道路は、ものづくり愛知を支える東西軸として、生産拠点と名古屋港をつなぐ重要な幹線道路である。名豊道路は、知立バイパス、岡崎バイパス、蒲郡バイパス、豊橋バイパス、豊橋東バイパスの5区間からなり、1972年の知立バイパスの事業化を手始めに、国により順次整備が進められている。
豊明インターチェンジから安城西尾インターチェンジ間の知立バイパスが1989年に暫定2車線で開通し、その先の安城西尾インターチェンジから幸田芦谷インターチェンジ間の岡崎バイパスが2007年に開通した。合わせて4車線化整備も進められて、2012年には知立バイパスの4車線化が完了し、その先の岡崎バイパスは順次整備が進められている。
そして、今年度には、唯一の未開通区間として残る、蒲郡インターチェンジから豊川為当インターチェンジの区間の開通が予定されており、これにより名豊道路が全線開通となる。こうした道路整備に加え、沿線での開発も進んでおり、知立バイパスは年々交通量が増加している。
これまでの名豊道路の整備の進捗に伴い、刈谷市内を通過する知立バイパスの交通量はどのように変化しているか伺う。
【理事者】
1989年に暫定2車線で供用を開始した知立バイパスは、開通直後の1990年時点で一日当たり交通量が4万598台であり、その東側の岡崎バイパスが暫定2車線で開通した後の2010年時点で交通量は9万1,416台と、2倍以上に増加している。さらに、知立バイパス4車線整備完了後の2015年時点は10万8,936台、直近の2021年時点は、コロナ禍ではあるが9万9,687台と、10万台前後で推移しており、名豊道路の整備進捗に合わせて増加傾向となっている。
【委員】
今年度、名豊道路が全線開通すると、静岡県で開通済みの高架バイパスである潮見バイパスを合わせると、名古屋市内から浜松市内まで、実に約100キロメートルに及ぶ長い区間が信号なしでつながることとなる。これにより、これまでの開通時とは比較にならないほど交通量が増加するのではと大変危惧している。
現在でも10万台近い車が走っている知立バイパスの周辺は、今まで以上の混雑が予想され、それを回避する交通が一般道に流れ込み、新たな渋滞を引き起こすことを心配している。例えば、知立バイパス、高棚北インターチェンジに接続をする県道296号小垣江安城線は、名豊道路のアクセス道路としての機能があり、また国道419号とも接続して道路ネットワークを形成する重要な道路だが、幅員が狭くすれ違いが困難な状況である。
また、沿線や国道419号との交差付近では、物流や製造業関連の企業が複数立地している。さらにその北側では、依佐美地区の先行開発区域である約15ヘクタールについて、2019年度に愛知県企業庁により造成工事に着手し、2022年度に全ての区画が製造業を中心とした企業に引き渡されるなど、産業集積が一層進んでいる。
このため、高棚北インターチェンジと国道419号を結ぶ区間を、バイパス事業として本県が整備を進めている。このバイパスの開通は、地域の産業支援はもとより、名豊道路、高棚北インターチェンジから一定程度の交通の分散が見込まれ、早期整備が地域から強く望まれている。
県道296号小垣江安城線バイパスの進捗状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
県道296号小垣江安城線バイパスについては、名豊道路の高棚北インターチェンジから西へ約0.6キロメートルを2013年度に先行して事業着手した。その後、2019年度にネットワーク効果を高めるため、先行工区の西側約1.3キロメートルを追加し、刈谷市内の国道419号までを結ぶ全長約1.9キロメートル区間において、4車線のバイパス整備を進めている。
これまでに約9割を超える用地を取得しており、工区全体にわたり道路築造工事を進め、交差する道路の区間を除き、道路の完成の形が見えつつある。
今年度は、残る用地買収に努めるとともに、本線部の道路築造工事のほか、交差する現道の県道296号小垣江安城線や市道の付け替え工事を進め、早期開通を目指して事業進捗を図っている。
【委員】
今年度、名豊道路が全線開通することで、周辺の産業集積地からのアクセスなど、名豊道路を補完する道路ネットワークの重要性は高まっていることから、県道296号小垣江安城線バイパスが一日でも早く開通できるよう積極的な取組を要望する。
【委員】
アメリカの環境保護局は、4月10日、人体への有害性が指摘されている有機フッ素化合物(PFAS)について、飲料水における含有基準を決めた。日本が定めた暫定目標値の1割未満に相当する厳しい数字である。そして、今後3年以内に飲料水中のPFAS量を測定して情報を公開するように、また、基準を超えたPFASが測定された場合、5年以内に削減するよう対応を求めている。対策費用は年間およそ15億ドル、約2,300億円と見積もっており、アメリカの連邦政府がPFASをめぐり、強制力のある基準を定めるのは初めてで、これは、PFAS規制をめぐる日本の議論にも影響を及ぼす可能性がある。
そもそも、水道水の水質検査など、安全確保については市町村なのか、あるいは県で所管しているのか。また、県である場合、どこが所管しているか伺う。
【理事者】
水道水の安全確保は、水道水を供給している市町村等の水道事業者が担っている。具体的には、市町村と水道事業者が、水道水の水質を確認することで安全性を確保している。
【委員】
本県の上下水道課指導管理室の役割は何か。
【理事者】
水道事業者に対する指導監督に係る権限については、県は計画給水人口が5万人以下の水道事業者の指導監督権限を持っており、5万人を超える水道事業者及び本県企業庁が行っている水道用水供給事業の指導監督権限は国にある。
本県水道行政の役割としては、衛生的で安全な飲料水を確保できるよう、国や市と連携し、県内の水道関連施設の監視や水道事業者などからの報告により、状況を把握した上で計画給水人口が5万人以下の県内水道事業者に対する指導監督、計画給水人口が5万人を超える水道事業者及び水道用水供給事業者に対する支援・助言を行うことである。
【委員】
PFASは水道の水質基準に含まれているのか。
【理事者】
水道法で定められた水道の水質基準は51項目あるが、そこに約4,700物質以上ある有機フッ素化合物の総称であるPFASは含まれていない。
PFASは有機フッ素化合物の総称であるが、その中でも特に関心が高い二つの物質として、PFOS及びPFOAがある。PFOSは泡消火薬剤のほか半導体工業などに、PFOAは界面活性剤などに、両物質とも幅広い用途で使用されている。
また、PFOS及びPFOAは難分解性、高蓄積性、長距離移動性という性質を有するため、世界中に広く残留しており、食物連鎖等を通じて、人の健康や動植物の生息、育成に影響を及ぼす可能性が指摘されている。なお、PFOS及びPFOAは、2021年までに日本国内においては製造と輸入は禁止されている。
【委員】
アメリカは我が国より10倍厳しい基準になっている。一方で、我が国は今のところ水質基準の項目にすら含まれていない。そこで、我が国において基準見直しの動きがあるのか伺う。
【理事者】
環境省は、最新の科学的知見に基づく水質基準の改正について検討するために、学識経験者からなる水質基準逐次改正検討会を設置し、年に2回程度開催している。この検討会で、PFOS及びPFOAについても2023年1月から検討が始められており、PFOS及びPFOAに関する国内外の動向を踏まえ、水質基準上の取扱いについて議論がされている。
【委員】
NHKのクローズアップ現代でも、PFOSの問題を取り上げていた。テレビ報道によると、全国ではPFOS及びPFOAの測定を行っていないところもある。
PFOS及びPFOAを測定する義務はそもそもあるのか。また、本県の状況はどうか伺う。
【理事者】
PFOS及びPFOAは水質基準ではないことから測定の義務はないが、水質管理目標設定項目の暫定目標値として設定されている。暫定目標値はPFOSとPFOAの合算値で、1リットル当たり50ナノグラム以下とされており、これは体重50キロの人がこの水を毎日2リットル生涯飲み続けても健康に影響しない値として設定されている。
本県内の測定状況については、県内に自己水源を保有する水道事業者が28事業、用水供給事業者が1事業の合計29事業あり、そのうち26事業者が2023年度までに測定を行っている。なお、自己水源を保有していない水道事業者については、既に水質が確認された水を供給者から受水して、各家庭に水道水を送っている。
【委員】
測定したことがある市町村等の水道事業者の中で、これまでに暫定目標値を超える数値、つまり50ナノグラム以上が出たところはあるか。そして、それはどこで、どれだけ、それに対してどのような対応をこれまでにしてきたのか伺う。
【理事者】
これまでに県内水道事業者のうち、北名古屋水道企業団と春日井市の2事業者において、水質管理目標設定項目の暫定目標値を超えた事例が3件あった。北名古屋水道企業団の豊山配水場では、暫定目標値を上回る数値が検出されたことから、2021年3月に豊山配水場からの配水を停止し、県営水道からの受水を増量して対応している。
なお、このときの原水及び浄水の濃度は、それぞれ1リットル当たり175ナノグラムと150ナノグラムであった。同じく北名古屋水道企業団の師勝配水場では、2021年4月に原水から1リットル当たり76ナノグラムが検出されており、県営水道の水を加えた後の師勝配水場から送り出す水では、現在まで継続して暫定目標値を下回っているため、配水を行っている。
春日井市の町屋第3水源では、2022年8月に原水から1リットル当たり53ナノグラム、町屋第6水源では2022年9月に原水から1リットル当たり82ナノグラムが検出されているが、県営水道の水を加えた後、桃山配水場から送り出す水においては、現在まで継続して暫定目標値を下回っているため、配水を行っている。
本県としては、国の水質基準逐次改正検討会の議論や動向を踏まえ、県内の水道事業者に対して適切な指導、助言を行っていきたい。
【委員】
測定を行っていない水道事業者に対して、どのように対応しているのか伺う。
【理事者】
国はPFOS及びPFOAの水質検査結果の確認・報告と、これまでPFOS及びPFOAの測定を行ったことがない水道事業者に対し、濃度の把握に努めるよう2024年5月29日付けで文書を発出している。本県においても、県民に安心・安全に水道水を利用してもらうために、県内の水道水のPFOS及びPFOAの検出状況を把握するよう、これまで測定を行っていない残る三つの水道事業者を含め、県内の全ての水道事業者に対し働きかけを行っており、未測定の3水道事業者においては、今年度内に測定を行う予定であると聞いている。
【委員】
NHKのクローズアップ現代において、岡山県吉備中央町が紹介されていた。国の暫定目標値は1リットル当たり50ナノグラムであるにもかかわらず、2020年に検査を開始したところ、水道水からは800ナノグラムが検出された。そして、そのことを町民に公開せずに、何の対策も打たずに、その翌年の2021年には1,200ナノグラムに増え、さらにその翌年の2022年には、1,400ナノグラムが検出されるに至ったとのことである。現在は水源を切り替えているから問題ないとのことであるが、この間町民は汚染された水道水を飲み続けてきた。町長は、数値を軽んじていたとのことであり、2020年に数字が出た際にきちんと対応すれば、少なくとも3年から4年はもっと早めに止められた、本当に住民に申し訳なかったと答えていた。
このPFOS及びPFOAはどこから発生したのか報道されていたが、2008年に、上流部に使用済みの活性炭が産廃業者によって置かれ、恐らくそこから流れ出ている何かではないか、とのことである。
本県でも既にPFOS及びPFOAを測定したところも、それはあくまで昨年の結果であり、昨年と今年で何か原因となる周辺の動きがあれば、常に結果は変わっていく。そのため、過去に測ったところも改めて、あるいは、今後測るところについても、頻繁に測定してほしい。
そして、我が国の暫定基準の50ナノグラムはアメリカの基準より10倍も緩い基準である。日NHKのクローズアップ現代に出演していた大学教授は、簡単に分解できないPFASは、永遠の化学物質であり、毒性は親から子の世代に影響し続けると指摘をしている。
これまでは、厚生労働省が所管していた水道の整備などの管理行政の事務のうち、水道事業の許可等の事務が、今年の4月1日から国土交通省に移管したことに伴い、本県も保健医療局から建設局に移管された。それで、従来の下水道課を上下水道課に名称変更し、課内室として指導管理室が設置された。水道管の老朽化対策や、社会資本の整備はもちろんであるが、同時に、県民が常に安心して水道水を利用できるよう、適切な水道管理にも力を入れて取り組んでほしい。
【委員】
県営住宅は県内に295団地あり、約4万4,000世帯が住んでいる。先日、各議員に2024年度第1回新設県営住宅募集案内書と2024年度第2回常時募集の県営住宅入居申込案内書が届いたと思われる。
それぞれの入居者の募集内容はどのようなものか、また、抽せん募集の応募倍率はどのくらいか伺う。
【理事者】
県営住宅の入居者募集については、抽せんにより入居者を決定する抽せん募集と、先着順に受付する常時募集がある。抽せん募集は、県営住宅を建て替えた際に、建て替えに伴う移転者用以外の住戸を新設住宅として募集するものと、既設の住宅において、入居者の退去により空が生じた住戸を年3回募集するものがある。
なお、既設の住宅で抽せん募集とするものは、築年数が浅い、立地や利便性がよいなど、入居を希望する人が多いと見込まれる住宅としている。一方で、建設から年数がたち、エレベーターがないなどで空きが生じている住宅は、常時募集として年3回募集を行っている。
抽せん募集の応募倍率については、2023年度は新設住宅で57戸の募集を行い、295人の応募があり、応募倍率は5.2倍となっている。また、既設住宅は1,520戸を募集し、応募者数は5,948人あり、応募倍率は3.9倍であった。
【委員】
県営住宅の抽せん募集の倍率は、新設の住宅では5倍以上、既設の住宅でも4倍近くあり、県営住宅の役割は大きいと感じている。
県営住宅は公営住宅法に基づき建設された公営住宅であるが、県営住宅の役割は時代によって変遷してきた。法律が制定されたのは戦後の復興期で、戦争によって多くの住宅が消失し、国民は住宅を必要としていた。また、高度成長期には都市部を中心に住宅不足が深刻な問題となり、多くの住宅を供給するため県営住宅が多数建設されたと聞いている。
そして、平成8年の法改正によって本当に住宅に困っている所得の低い人へ、低廉な家賃で提供する仕組みとして、家賃の決定方式が入居世帯の収入による負担能力と住宅の立地条件、部屋の広さ、築年数など住宅から受ける便益に応じて家賃を決定する、いわゆる応能応益方式に変更されるなど、公営住宅制度の見直しがされた。
県営住宅に入居できる人の資格は、申込案内書にも示されているが、その一つとして入居収入基準があり、高齢者世帯や心身障害者世帯などは、裁量階層として世帯の収入が所得月額21万4,000円以下、本来の入居階層である世帯は、原則階層として所得月額15万8,000円以下となっている。
家賃の算定は所得月額が10万4,000円以下を第一分位、12万3,000円以下を第二分位など、入居者の所得月額に応じて区分し、区分ごとに定められている家賃算定基礎額に住宅の地域、部屋の専用床面積、建設からの経過年数などからなる応益係数を掛けて家賃を算定しており、同じ住宅、同じ棟、同じ間取りであれば入居者の収入に応じた家賃となる。
県営住宅には約4万4,000世帯が入居しており、当然、それぞれの入居者の収入は違い、一番所得が低い人の区分、第一分位は所得月額が10万4,000円以下の人になるが、この中には全く収入のない人も含まれている。
そこで、特に収入が低い人などへ補助などの制度はあるのか。また、制度がある場合、制度の適用を受けている人はどのくらいいるのか伺う。
【理事者】
県営住宅に入居する人のうち、特に収入が低い人へは家賃の減免・減額制度を設けている。具体的には入居者の所得月額が2万6,000円以下の場合には50パーセントを、5万2,000円以下は30パーセントを、高齢者などで7万8,000円以下の人は10パーセントを、それぞれ家賃から減免・減額している。2023年度において家賃の減免・減額を行った世帯は、延べ1万9,146世帯あり、このうち8割以上となる1万5,860世帯が50パーセントの家賃減免となっている。
【委員】
全体の4割を超す1万9,000以上の世帯が家賃の減免を受けているとのことだが、入居後、子どもの就職などにより入居したときから大きく収入が上がり、収入の基準を超えてしまった入居者もいると思われる。案内書を見ると、入居後3年を経過し、所得月額を超えた入居者は収入超過者となり、民間賃貸住宅並みの市場家賃である近傍同種家賃になる場合がある。また、入居後5年を経過している入居者が高額所得者に決定された場合は、住宅の明渡し請求をすることがあると記載をされている。
現在、基準を超す収入がある入居者はどれくらいいるのか。また、そうした人に対してはどのような対応を行っているのか伺う。
【理事者】
県営住宅に入居している人は、毎年世帯収入を申告することとなっている。3年以上県営住宅に入居している人で、申告した収入に基づく所得月額が収入基準を超える場合は収入超過者となり、2023年度における収入超過者は5,368世帯であった。
また、5年以上入居し、2年連続で所得月額が31万3,000円を超えている場合には高額所得者となり、2023年度における高額所得者は274世帯であった。収入超過者、高額所得者になった場合は、公営住宅法施行令に定める算定方法による額を上限に、その人の所得月額に応じた家賃を負担してもらうこととなる。
また、原則として収入超過者には住宅の明渡し努力義務を、高額所得者には住宅の明渡しを求めることとなる。
【委員】
基準を超える収入がある世帯が一定数あるが、収入超過者の中には近年の賃金上昇によって収入超過者になった人もいると思う。しかし、物価の上昇に賃金が追いついていないことが現実であり、実際の生活は以前よりも苦しくなっている人もいると思う。県営住宅の収入基準の見直しが行われれば、こうした収入超過者は努力義務であっても、住宅から出ていくことが求められる。
公営住宅の入居者の収入基準は国が定めていることは承知しているが、現状に合わせて収入基準も見直すべきときが来たのではないか。賃金の上昇を受けて国では収入基準の見直しの検討は進められているのか。
【理事者】
公営住宅の収入基準は、公営住宅法施行令で定める金額を参酌するよう公営住宅法で定められている。公営住宅法施行令で定める金額は、国民の所得水準等の統計データを踏まえ、1996年、平成8年の公営住宅法改正時においては20万円とされていたが、平成21年4月からは、これを15万8,000円とする改定が行われた。公営住宅法を所管する国土交通省に、公営住宅法施行令で定める金額の改定について確認したところ、現時点においては収入基準の見直しについての情報は得られなかった。
【委員】
賃金が上がったとしても、それ以上に物価が高騰しており、生活が苦しくなる一方である。少し前までは基準以内であった賃金が上がっただけで住宅を明け渡さなければならない、また、生活は何ら変わらず苦しいが県営住宅に入居できないなど、収入基準の見直しが行われなければ、こうした人がどんどん増えてくる。
他県も同様のことが起きてくると考えるため、本県から声を上げて、国に対して基準の見直しを図るよう働きかけてほしい。
【委員】
令和5年6月2日、3日に東三河地域や西三河地域に、線状降水帯が二度にわたり襲う豪雨被害が起きて、約1年が経過した。24時間の降雨量で400ミリメートルを超えた降り方であり、豊川市では過去20年間以内で最大であり、箇所によっては24時間当たり423ミリメートルの豪雨であった。
その中で、豊川市内で床上浸水が約270件以上、床下浸水も約270件の被害であり、また、車両も約1,400台を超す車が冠水をした状況でありながら、幸いにも、住宅、人的被害はなかった。
豊川市内の御津山では、裏山から土砂が流れてきて住宅が逆さまになってしまったところがあった。その主な要因としては、県管理河川の佐奈川と諏訪川が合流する地点で、河川の水量が多くなり越水したことが大きな要因であった。
佐奈川のこれまでの改修状況としては、1980年に策定した計画に基づき改修が行われており、改修の規模は、時間雨量約30ミリメートルに対応した暫定の改修が実施されている。
本県としても、改修計画に向けて随時、昨年6月2日以前から実施しており、地域住民の約4万世帯にアンケート等を行いながら前向きに進めて、二級河川の整備計画を今年2月27日に公表した。
昨年6月2日豪雨被害で、特に床上浸水で被害にあった人々は、佐奈川の改修計画に対して高い関心を持っており、二度と同じようなことがないような改修計画にしてほしいと強く思っている。
佐奈川の事業計画と今後の具体的な進め方について伺う。
【理事者】
佐奈川については、本年2月に公表した二級河川佐奈川水系河川整備計画に基づき整備を進めていく。この計画には河口から豊川市下野川町地内に架かる海見橋付近まで、約5.3キロメートルと、その上流にある名鉄豊川線周辺の約0.2キロメートルの、合わせて約5.5キロメートルの河道掘削と、河口から東海道新幹線上流まで約1.3キロメートルの高潮堤防のかさ上げを位置づけている。
なお、昨年6月の大雨について検証した結果、この整備を完成させることで同規模の大雨が再び発生した場合でも、洪水が堤防を超えることはなくなる。
今後の進め方については、河口から東海道新幹線上流までの約1.3キロメートルについて、本年7月から現況測量を行い、その測量結果を基に河道掘削などに向けた検討を進め、来年度は詳細設計を行い、早期の工事着手を目指していきたい。
【委員】
昨年6月2日の豪雨の水量の雨が降った場合でも、今計画している佐奈川の改修が完了すれば越水・洪水はすることがないとの検証でよいか。
【理事者】
昨年6月の大雨は年超過確率20分の1程度の降雨であったが、河川整備後、同等の雨が再びこの地域に降った場合でも洪水が堤防を超えることはなくなると想定している。
【委員】
豊川市の地域の特徴としては、東西に幹線道路である東名高速道路、新東名高速道路、また国道23号、国道1号という大きな道路網がある。この東西軸の中の国道1号や、南北軸で国道151号を現在、整備しているが、昨年6月2日の豪雨の被害の際、国道1号と国道151号が交差をする付近一帯が冠水した。
この箇所は、南北に国道151号の道路網が整備されており、並行して一級河川豊川水系豊川放水路が流れている。この豊川の放水路に、多くの雨が降った際には、善光寺川の水を放水路にポンプを使って出すことになるが、昨年6月豪雨の際には、豊川放水路の水位が管理用道路の天端まで残り50センチのところまで上がった状況で、排水ができていなかったことが一つの要因であることから、善光寺川の改修は大変重要である。
善光寺川の整備計画の検討状況について伺う。
【理事者】
善光寺川の河川整備計画については、昨年1月の愛知県河川整備計画流域委員会において計画案を示し、公表に向け計画を取りまとめていた中で、昨年6月に大雨により被災したことから、6月の大雨を含めた近年の雨量実績を加味して整備水準である降雨量に影響がないか検証を行った結果、降雨量が若干増加したことから計画案の見直しを行うこととした。
現在、整備水準を超える降雨に対して、少しでも被害を軽減できるよう当初作成していた計画案に対して、河道の整備区間と調節池の位置、規模を見直す修正案を検討している。
今後、治水を専門とする学識者に意見を伺い、その結果を踏まえ修正案をまとめ、今年秋頃に開催予定の愛知県河川整備計画流域委員会に諮る。その後、関係機関との協議や、市長への意見照会などを行い、今年度中に国土交通省への認可申請を行い、認可され次第、河川整備計画の公表の手続を行う予定としている。
【委員】
ソフト対策の取組についても伺いたい。河川の情報収集・提供などの対策も重要になってくる。本県の河川整備に係るソフト対策の取組について伺う。
【理事者】
本県では県管理河川全てを対象に、県内を四つの圏域に分けて水防災協議会を設立し、5年間の取組方針を定め、水害に対するソフト対策を計画的・一体的に進めている。この取組方針に基づき、従来の水位計93基に加え、危機管理型水位計をこれまでに181基設置し、観測網の強化を図ってきた。さらに現在、佐奈川、善光寺川、西古瀬川の3か所で増設に向けた準備を進めている。
これらの情報は、住民の避難判断の目安としてもらうよう、国の水位計も含め、一元的に見ることができるウェブサイトで情報提供している。また、ふだんから住民が水害リスクを把握するため、法律に基づいた洪水予報河川と水位周知河川の28河川を対象とした洪水浸水想定区域の公表に加え、県独自の取組として県管理河川全てにおいて浸水予想図として水害リスク情報の提供を行ってきた。
今年度は、法律改正を受け、洪水浸水想定区域の指定を県内全域の河川に拡大していく。この指定により、宅地建物取引における重要事項説明や要配慮者利用施設における避難確保計画作成の義務化など、水害リスク情報の提供の強化を図っていきたい。
今後も引き続き、水防災協議会などを通じて関係機関とともにソフト対策に取り組んでいく。
【委員】
ソフト対策は積極的に知恵を出しながら取り組んでほしい。
昨年6月豪雨の際に宮下交差点付近の状況として、東西軸の道路網である東名高速道路が通行止めになり、新東名高速道路も一部通行止めになり、鉄道も一時期止まっていた状況の中で、国道1号が抜け道として利用されていたが、車を運転している人が、どの段階で、この先が大きな池になっていて前に進むことができないという情報を事前に知ることが大事だと考える。大きな雨が降ったときに冠水してしまう地域は国も県も市も分かっていることから、連携して事前に道路の状況を確認できる取組も必要である。
昨年6月2日豪雨被害を受け、道路管理者や国と連携し、自動車の運転者に対し、発信また事前の告知などの取組を、本県としてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
国道1号と国道151号が交差する宮下交差点の付近の一帯は、地形上冠水しやすく、昨年6月の記録的な豪雨において水没し、道路に放置された多くの車両が通行の支障となった。
こうした被害を事前に防止するために、国道1号を管理する国土交通省と連携し、冠水しやすい道路であることを、利用者に知らせる看板を宮下交差点周辺に設置することとした。これまでに国道1号においては4枚、国道151号においては5枚、注意喚起看板を設置している。
さらに、国道1号においては利用者に対して、冠水発生時に通行注意などを呼びかける冠水表示板を、国土交通省が2か所設置する予定であると聞いている。本県としても、引き続き国道151号においても冠水表示板の設置を検討するなど、国土交通省と連携し、道路の利用者への適切な情報提供に努めていきたい。
【委員】
昨年6月2日豪雨被害から1年が経過した。被害の復旧・復興は全体的に完了していないのが現状である。復旧・復興の視点は重要であるが、地元が求めているのは、大きな豪雨被害があった際でも、強い地域づくりを求めている。大きな豪雨被害、台風や土砂災害に強い地域づくりに向けた予算の獲得を要望したい。
【委員】
本県の空き家の戸数と空き家率を伺うとともに、本県の空き家率は全国平均から見てどうか。あわせて、県内の54市町村別で空き家率が高い順、低い順をそれぞれ上位三つ教えてほしい。そして、本県の空き家は5年前に調査したときと比較して、増加数・増加率はどのようになっているのか伺う。
【理事者】
空き家の数と空き家率は、国が5年ごとに実施している住宅・土地統計調査の2023年の速報集計によると、本県の住宅総数365万8,300戸に対して、空き家数は43万3,200戸あり、空き家率は11.8パーセントである。
また、全国平均の空き家率は13.8パーセントで、本県の空き家率はこれを下回っており、全国で5番目に低い空き家率となっている。
次に、市町村ごとの空き家率については、2023年の住宅・土地統計調査における数字は現時点で公表されていないため、5年前の2018年の調査の数字となるが、データのない設楽町などを除き、空き家率が高い順に、南知多町、美浜町、新城市、低い順に、扶桑町、幸田町、安城市となっている。
最後に、5年前との比較について、本県の空き家は5年前の前回調査では空き家数が39万3,800戸、空き家率が11.3パーセントであるのに対し、今回調査では空き家数が43万3,200戸、空き家率が11.8パーセントとなっており、空き家数が3万9,400戸増加し、空き家率も0.5ポイント増加している。
【委員】
続いて、本県の空き家の種類と、その戸数について伺う。
【理事者】
2023年の住宅・土地統計調査によると、空き家の種類は一戸建て、長屋建て、共同住宅、工場や事務所の一部が住宅となっているその他に分けられており、本県における空き家のうち、一戸建て住宅が11万7,800戸、長屋建て住宅が2万6,700戸、共同住宅が28万7,400戸、その他が1,300戸となっている。
【委員】
2015年に空家等対策特別措置法が施行され、倒壊の恐れがあり景観を著しく損なう空き家を市町村が特定空家等と認め、所有者に対して指導・助言、勧告、命令と段階を踏んで改善を求め、応じなければ代執行で撤去できるようになった。
現在、県内市町村が認めた特定空家等の件数を伺う。
【理事者】
2024年3月31日までに県内市町村が特定空家等と認めた件数は1,026件あり、そのうち743件が解消され、残存する数は283件である。
【委員】
この特定空家等283件については、問題あり物件だと思う。所有者に対して改善を求め、応じなければ行政が代執行で撤去することになるわけだが、改善に応じずに代執行して処理した件数はどのくらいか伺う。
【理事者】
2024年3月31日時点で、所有者等に代わり行政が強制的に措置を行う行政代執行については、安城市で2件、名古屋市で1件、半田市で1件の計4件、また、所有者等が特定できない場合に行政が行う略式代執行については、名古屋市で2件、瀬戸市で2件、豊橋市で1件、常滑市で1件の計6件、合わせて10件の事例がある。
【委員】
空き家は年々待ったなしで増加している。本県の空き家対策は進展しているのか。また、課題についての本県の見解を伺う。
【理事者】
本県の空き家対策としては、空家等対策の推進に関する特別措置法施行前の2012年度から市町村空き家対策担当者連絡会議を設置し、市町村間相互の連絡調整を図るとともに、法律や不動産、建築などの専門家が参加し、参考事例や専門的な見解を紹介するなど、情報提供に努めてきた。
また、市町村担当者の参考となるよう、2014年度には空き家相談マニュアル、2016年度には空き家バンクの物件登録等に関するガイドライン、さらに2017年度には空家等対策計画の作成に関するガイドラインを取りまとめたほか、市町村における空家等対策計画の策定に当たっては、職員が出向いて技術的な助言を行うなどの支援を行ってきた。
加えて2017年度に愛知県空家等対策推進事業費補助金制度を創設し、空き家などの除却や改修を行う所有者等に補助を行う市町村に対し、その費用の一部を補助する財政上の支援を行っている。
次に、空き家対策における課題については、国土交通省の社会資本整備審議会住宅宅地分科会空き家対策小委員会において、高齢化が進展し住宅の相続が増加する中、遠隔地に居住する相続人が住宅を取得した場合、活用されず管理不全となる可能性が大きい、また、具体的な活用意向がない相続人が適切に管理せずに空き家を放置する、活用意向があっても利用可能な相談先が少なく、買手・借手が見つからないまま放置される、さらには、管理不全の空き家が放置されると、腐朽・破損が発生し、利活用が困難となる上、管理不全状態が一層進行し、特定空家等となる恐れがある、とされている。
こうした状況は本県においても同様であると考えており、早急な空き家対策が求められていると認識している。
【委員】
空き家は今後一層深刻化するのではないかと私も考えている。しかし、空き家は撤去するばかりではなく、利活用の推進にも目を向けなければならない。空き家バンクにも注目したい。
そこで、県内市町村の空き家バンクの設置状況を伺うとともに、成果はどのような状況か伺う。
【理事者】
空き家バンクについては、2024年3月31日時点で、県内48市町村で設置されている。また、その成果については、把握している限りの数値になるが、48市町村によると、2024年3月31日時点で424件の物件登録があり、2023年の成約件数は115件となっている。
【委員】
424件の物件登録とのことだが、本県の空き家数は43万3,000戸程度あるため、空き家バンクのPR不足か、または、空き家の活用自体が難しいのか、課題が残ると思う。
空き家を減らす取組は、利活用と撤去の二本柱で市町村が主体となって進めていくが、本県が行う支援策、改修支援若しくは除却支援について、実績を伺う。
【理事者】
市町村への支援として、愛知県空家等対策推進事業費補助金により2017年度の制度創設以来、改修については昨年度の7棟を含め累計21棟、除却については昨年度の226棟を含め累計1,360棟に対して補助を行っている。
【委員】
本県でも人口減少問題が避けられなくなった今、愛知県・市町村人口問題対策検討会議を新たに立ち上げて、人口が減少する自治体の課題を掘り下げて対策を取っていく中で、課題として上がった三つのテーマの中の一つが空き家の活用であった。愛知県・市町村人口問題対策検討会議では、ワーキンググループをつくって空き家の活用を議論していくとのことである。本県として今後、空き家対策をどのように進めていくのか伺う。
【理事者】
空家等対策の推進に関する特別措置法の改正により、市町村が空き家の活用を促進する区域や活用に関する指針等を定め、空き家の利活用を促進する空家等活用促進区域制度や、市町村長がNPO法人、社団法人等を、空家等管理活用支援法人に指定し、所有者等への普及・啓発や市町村からの情報提供を受け、所有者との相談対応を行う制度が創設された。
また、放置すれば周囲に著しい悪影響を及ぼす特定空家等になる恐れのある管理不全空家等に対して、市町村長から勧告を受けた者は、固定資産税の住宅用地特例である6分の1、または3分の1の減額を解除するなどの措置が規定された。
本県としては、空き家対策の主体である市町村が、改正空家特措法に基づく対応を円滑に実施できるよう、空き家対策における重要な支援ツールである各種ガイドライン等を改定するなど、市町村支援の取組を進めていきたい。
また、愛知県・市町村人口問題対策検討会議の空き家活用ワーキンググループにおいて、参加市町村と意見交換し、それぞれの課題を整理し、課題に応じた効果的な取組方策を検討していきたい。
【委員】
空き家と人口減少は、どの市町村も抱える共通の課題だと思う。空き家の不動産の不の字は、勝ち負けの負動産だとやゆする声もある。
空き家も、利活用次第では新しい可能性を秘めている。古民家や中古住宅をリノベーションして、店舗や住宅にする傾向があり、若い層には非常に人気がある。移住・定住先でわざわざ空き家を探す、そんな傾向もある。
市町村が取り組む空き家バンクも、県として何かの形で市町村と一緒に支援ができればいいと思う。空き家の情報の提供に県も一役買う、本県も中古住宅の流通を促進するなど、知恵を絞って取組を加速してほしい。
【委員】
多くの県民は、県営住宅は県民の住宅要望に応え、県が施設を整備して大家として収入基準及び入居資格を定め、家賃の設定を行っていると思っている人がほとんどである。国と県の立ち位置を知る方法は皆無である。
そこで、県営住宅に関する国と県の関わりについて、基本的な説明を伺う。
【理事者】
県営住宅は、公営住宅法に基づく公営住宅として整備している。公営住宅制度は、戦後の復興期における住宅ストックの量の絶対的な不足の解消を果たすものとして創設され、公営住宅法に基づき、国と地方公共団体が協力して、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を住宅困窮者に供給することにより、居住の安定に大きな役割を果たしてきた。
その後、住宅市場の充実等に伴い、昭和40年代に一世帯一住宅が確保されてからは、量の確保よりも質の向上に重点を置いた住宅施策が展開され、また、社会経済情勢の変化に伴う多様な住宅困窮者が生じる中で、公営住宅についても住宅市場を補完する住宅セーフティーネットとして、真に住宅に困窮する低額所得者に対して、より公平かつ的確に供給されるよう、制度の充実が図られてきた。
公営住宅の定義としては、県などの地方公共団体が建設等を行い、低額所得者に賃貸等をするための住宅及びその附帯施設で、公営住宅法の規定による国の補助に係るものとされている。公営住宅法において、施設の整備基準や入居者の資格、募集方法、家賃の算定方法などが規定されているほか、国の技術的助言や各種要綱により、具体的な基準が定められている。
また、事業実施に当たり整備計画について国の確認が必要であり、本県はじめ地方公共団体は、これらの規定等に基づいて住宅の整備、管理を行っている。
【委員】
県営住宅の施設整備はどのように行われているのか。
【理事者】
県営住宅の整備に当たっては、地域における住宅需要を踏まえた敷地の選定を行い、一般的には任意買取方式により土地を購入する。敷地選定後は、インフラなどの周辺状況の把握を行い、住宅の配置、戸数などの県営住宅のまちづくりでの位置づけを認識した上で基本計画を策定し、その後、住宅の設計、工事と進めていく。
近年は用地を購入して県営住宅を建設することは行っておらず、建て替えと長寿命化改善事業が主体となっている。
整備に当たっては国費が充当されることとなるため、その条件である愛知県地域住宅計画や愛知県営住宅長寿命化計画を策定し、これらに基づく事業として国費を要求し、県費と合わせて、これらの計画に記載する建て替え、長寿命化改善、住戸改善について、国の補助を受け事業を行っている。
建て替え事業については、老朽化が進んでいる昭和40年代以前に建設された住宅のうち、住戸面積が40平方メートル前後と狭小であり、エレベーターの設置が困難な階段室型の住宅などを対象に実施しているもので、建て替えに当たっては住棟の集約化により必要な駐車場の確保を図り、省エネルギー性能等に優れた良質な住宅を供給する。
また、長寿命化改善事業は、昭和50年代前半に建築されたエレベーター付きの住宅を中心に、外壁や屋根、配管等の改修に加え、段差の解消や手すりの設置等のバリアフリー化を図ることで、居住環境の向上に取り組んでいる。
このほか、既存の住戸内部の床段差の解消、手すりの設置、和室の洋室化、流し台の取替えなどの住戸改善を行い、居住性の向上に努めてきた。
【委員】
次に、県営住宅の家賃設定は、どのような計算方法で定められているのか伺う。
【理事者】
県営住宅の家賃は、公営住宅法及び公営住宅法施行令の規定に基づき、愛知県県営住宅条例で定めており、算定の方式は入居者の収入による負担能力である応能と、住宅の立地・規模等、住宅から受ける便益である応益により家賃を決定する、いわゆる応能応益方式となっている。具体的には、国が規定する入居者の収入区分ごとに定める家賃算定基礎額に住宅が立地する市町村の立地係数、入居する住戸の専用床面積の規模係数、建設した年度からの経過年数係数、及び住宅のある区域とその周辺地域の状況による利便性係数を掛けて家賃を算定している。
【委員】
建物は完成からいつ頃までの計算で、家賃収入を充てて最終償還としているのか。そもそも低廉な家賃の住宅を県民に提供するため、民間と違い利益を得ることとしないが、県は毎月の家賃をどの局に収めて、次の県営住宅を建築し、修繕費として蓄え、定期的に大家として改修するのか伺う。また、民間住宅と異なる点も伺う。
【理事者】
平成8年の公営住宅法の改正後は、家賃は応能応益方式で算定されることとなり、家賃の算定上、建設に要した費用の償却を考慮する仕組みにはなっていない。
なお、法改正前は、家賃は法定限度額方式で算定、すなわち建設に要した費用から補助金相当額を除いた額を原価とし、その原価を上限として家賃を決定しており、償却の期間は耐火構造が70年、準耐火構造が45年、木造が30年とされていた。
【理事者】
県営住宅の会計については、県営住宅管理事業の円滑な運営と、その経理の適正化を図るため、昭和39年に県営住宅管理事業特別会計条例が施行され、愛知県県営住宅管理事業特別会計を設けて毎年度家賃収入を主な財源として、入居者の募集や家賃の徴収、住宅の維持修繕などの管理・運営を行っており、家賃収入等では、管理に必要な費用を賄えない不足分については、一般会計から繰り入れる仕組みとなっている。
また、県営住宅では民間住宅の修繕積立金のような制度は設けていないため、建て替えや大規模な改修は国費や県債等を財源とした一般会計で行っており、県営住宅の管理に必要な費用を全て家賃収入だけで賄っているわけではない。
【委員】
近年は、県営住宅の整備もPFI方式により整備が進められているが、その経緯等を伺う。まず、県営住宅において、なぜPFI事業による整備を行うこととしたのか伺う。
【理事者】
本県では、昭和40年代に建設された大量の県営住宅が一斉に更新時期を迎えるため、老朽化が進む県営住宅の建て替えを着実に推進していくためには、建て替え費用を抑えることが大きな課題となっている。
このため、県営住宅の建て替えについて、民間事業者のノウハウを活用するなどして、建て替え費用を抑えるとともに、事業期間の短縮などを図ることを目的として、PFI手法により県営住宅の建て替えを進めるために検討を行い、一定の効果が期待できることから導入することとした。
【委員】
PFI事業では、どのようなメリットがあるのか。
【理事者】
工事費については、事業者の調達しやすい工法の採用や、材料・設備などの大量一括調達、工期短縮による経費節減などにより、費用を抑える効果が期待できる。
次に、事業期間については、設計と施工を一括して発注することによる発注手続き期間の短縮や、事業者における施工手順の工夫による工事期間の短縮により、建て替えに要する期間は従来の方法よりも短縮できる。
また、民間マンション建築等で培ったノウハウに基づき、これまでの県営住宅にはなかった優れた提案がなされることが期待できる。
さらに、建て替え住棟の集約化により活用用地が創出される場合には、戸建て住宅や福祉施設など民間施設を一体的に整備することにより、良好な住宅市街地の形成も期待できる。
【委員】
次に、県営住宅でPFI事業による整備は、どのくらい行われているのか伺う。
【理事者】
県営住宅では、平成29年度に契約した県営東浦住宅が初めてのケースで、平成30年度は3住宅、令和元年度は2住宅、令和2年度は4住宅、令和3年度は2住宅、令和4年度は1住宅、令和5年度は1住宅と、これまでに合計14事業で契約をし、本年度は1住宅で契約予定である。
【委員】
79年ほど前の戦争で、日本の各地がアメリカ軍による空襲で壊滅的に破壊され、国民は住む住宅もなく困窮したことから、国民の住宅を提供するのが国策であった。その政策として国は日本住宅公団を、地方には県営住宅、市営住宅、町村住宅を建設し、安い住宅への入居が最大の目的であった。現在のように民間企業が住宅を建設して、住民を入居させるようなデベロッパー企業の体質は当時なかった。
昭和60年以前に管理開始された県営住宅には、公募で募集して当選した入居者の部屋に風呂を設置する場所があったが、ここに風呂おけと風呂釜がなく、入居者が自費で設置したことは今では考えられないが、事実であるか。
【理事者】
昭和61年4月1日に管理を開始した県営住宅から、全ての新築住宅に浴槽と風呂釜を設置している。それ以前に管理開始した住宅には浴室はあるが、風呂おけ、風呂釜などの風呂設備を原則県では設けておらず、入居者が設置していた。
【委員】
風呂設備は、昭和61年以降に管理開始された県営住宅は完備となったが理由は何か。どこでどのように決まったのか。
【理事者】
昭和55年に国から入居者の入居時の負担を小さくすること等の観点から、浴槽及び風呂釜の設置に努めるよう通知されたことから、本県ではこれを踏まえて検討を行い、風呂設備を設置することとしたと考えられる。
【委員】
昭和61年以降に管理開始された県営住宅は風呂設備が付いているが、入居者は風呂設備の費用は負担しなくてよくなったのか。その費用は家賃の値上げとなったと理解してよいのか。その計算方法を伺う。また、風呂釜の耐用年数は約10年と聞いているが、10年後を考えての家賃計算としているのか伺う。
【理事者】
平成8年の公営住宅法改正前までは、風呂設備を含む建設費用や修繕費などを元に県営住宅の家賃を算定していたため、風呂設備は入居者の費用負担となっていた。公営住宅法の改正後は、国が規定する入居者の収入区分ごとに定める家賃算定基礎額に住宅が立地する市町村の立地係数、入居する住戸の専用床面積の規模係数、建設した年度からの経過年数係数、及び住宅のある区域とその周辺地域の状況による利便性係数を掛けて家賃算定をしており、風呂設備を含む建設費用は係数の対象にはなっていないため、建設時に風呂設備を設置した場合、風呂設備に対する入居者の費用負担はない。このため、公営住宅法の改正後は風呂釜の耐用年数を考慮した家賃とはなっていない。
【委員】
県が設置した風呂釜が故障した場合は、県が入居者に負担を求めず交換をしているのか。
【理事者】
故障の原因が入居者の責によるものでなければ、県が設置した風呂設備が故障した場合、県が修繕し、入居者の費用負担は求めていない。
【委員】
昭和60年以前に管理開始された県営住宅において、入居者が風呂設備を設置した県営住宅は、総数で現在何戸あるのか。また、県が風呂設備を設置した総数、入居者が風呂設備を設置した比率と県が設置した比率を伺う。
【理事者】
県営住宅5万6,726戸のうち、県が風呂設備を設置した住戸は2万8,052戸で、約49パーセントである。残りの住戸のうち、現在入居者がいる1万9,592戸については、風呂設備を入居者が設置しており、その比率は約35パーセントである。
【委員】
風呂設備がないと明記し空き家募集している県営住宅に対し、直近5年間の入居状況を伺う。
【理事者】
風呂設備のない県営住宅の入居状況については、令和元年度から令和5年度までに入居し、現在も入居中の住戸は2,715戸ある。入居年度別としては、令和元年度が505戸、令和2年度が597戸、令和3年度が536戸、令和4年度が503戸、令和5年度が574戸となっている。
【委員】
県営住宅に風呂設備が付いていない空き家の住戸数を伺う。
【理事者】
本年6月1日現在で管理戸数は5万6,726戸、空き家戸数は1万2,964戸となっている。そのうち、風呂設備が付いていない空き家戸数は9,082戸であるが、建て替えにより入居者を募集していない住宅を除くと、風呂設備が付いていない空き家戸数は5,958戸となる。
【委員】
民間のマンションに入居する場合、入居者が風呂設備一式を設置し、費用はバランス釜で45万円、給湯式で100万円を投資し、退去の際には風呂設備一式を取り除くことを条件とするところは存在しない。風呂設備の付いていない空き家が6,000戸もあるが、これだけ多くの空き家を埋めるのに何年かかるのか。年間500戸入居した場合でも10年以上かかる。それを県営住宅では平然と入居者募集を行っている。
県営住宅の責任者である建築局技監の感想を伺う。
【理事者】
風呂設備の設置については、県営住宅における課題の一つであると認識している。風呂設備のない住戸に入居する場合、入居者に風呂設備の設置を依頼しており、入居者の大きな負担となっている。
県としては、平成26年度から風呂設備のない既存住戸に風呂設備を設置する工事を行っており、昨年度までに480戸に設置した。今後も風呂設備の設置を推進していきたい。
【委員】
私は以前から空き家の県営住宅に風呂設備を設置して空き家の解消を求めてきた。地元である名古屋市名東区の県営高針住宅は、31戸の風呂設備を完成して入居募集している。従来の家賃よりも値上げされているが、入居状況はどうか。風呂設備が付いていない住戸と比較した入居状況を伺う。
【理事者】
本年6月1日現在の県営高針住宅の入居状況は、風呂設備のない住戸については677戸あり、入居戸数557戸で、入居率は82.3パーセントとなっている。
風呂設備を設置した31戸については、長寿命化改善工事により入居者の募集を見合わせている6戸を除く25戸のうち入居戸数が15戸となっており、入居率は60パーセントである。また、4戸が入居の予定となっており、これを加えると入居率は76パーセントとなる。
【委員】
県営住宅の空き家を解消し、できるだけ県民に安価な家賃の住宅を提供するには、風呂設備の設置は必然である。なぜ早急に改善が進まないのか不思議でならない。本県の所見を伺う。
【理事者】
浴槽、風呂釜のない住戸に風呂設備を設置する際には、県の整備計画の基準適合性等について、国の確認を受けた上で実施するといった制約の中で行っているが、効率的・効果的な運用ができないか検討を行い、引き続き風呂設備の設置を進めていきたい。
【委員】
私の地元の県営高針住宅は、建築されてから約40年経過している。牧野ケ池緑地に隣接し自然環境はよく、小学校も徒歩5分、病院も近くにあり、県営住宅の敷地には名古屋市営の保育園もある。大型ショッピングセンターの西友高針店も徒歩8分であり、名古屋市内でも最良の県営住宅として評判であった。しかし現在は、入居者の超高齢化が進み、自治会の運営ですら困難となっている。
県営住宅の超高齢化は、入居者の年金生活者や生活保護世帯の急増となっている。単身の高齢の入居者も多く、家賃の減免を受ける人も多くなっている。このような住民が多い状況の中で、風呂設備が経年劣化で故障し、日々の生活に苦労している。
入居している高齢の親のためにお金をかけて新しい風呂釜に変えるか、将来を考えて老人施設に入所させるか迷っている子供たちからの相談がある。設置した風呂釜を本県が買い取ってくれればと聞いている。風呂釜が故障した入居者は、台所の温水器で洗面器にお湯を入れて身体をタオルで清潔にしている人も多いと聞いている。
夏の猛暑や冬の厳寒の中で、何とか風呂に入りたいと数多くの相談を受け、私も大変、心を痛めている。名古屋市内の住民であれば、名古屋市は生活保護世帯に対して風呂設備を無料で提供する施策を実施している。
県営住宅の入居者も市民のため救済されている。手続は地元の民生委員が相談の窓口となり、名東区役所に申請して審査を受け、許可となれば風呂設備を設置している。
本県はこの事実を承知しているのか。また、名古屋市内の県営住宅で、どのくらいの生活保護世帯が扶助を受け風呂設備を取りつけているか数字を示してほしい。
【理事者】
生活保護制度には住宅扶助の項目があり、家賃のほか居住する家屋の設備の修理などの住宅維持費も住宅扶助の対象になると聞いている。生活保護受給者への風呂設備に係る住宅扶助の実施状況について、名古屋市の生活保護担当に問い合わせたところ、風呂設備の購入や取替えについて扶助が認められるケースがあるとのことであった。
しかし、県営住宅で住宅扶助により風呂設備を設置した件数についての集計は行っていないとのことであり、その数を確認することはできなかった。
【委員】
県内市町村で、生活保護世帯に対し、県営住宅の風呂設備の設置を応援しているところはあるのか。
【理事者】
県内の中核市及び県福祉局に確認したところ、中核市などに所在する県営住宅や市営住宅などの公営住宅について、生活保護制度により風呂設備の設置の扶助を認めたケースがあるとのことであった。
【委員】
県営住宅の入居者で、生活保護は受けていないが、年金生活者は住宅の家賃を支払うだけでぎりぎりの人が大勢いる。生活保護世帯だけに風呂設備が提供されることについて割り切れないと訴える人に、私は具体的なことが言えず心を痛めている。
県営住宅に入居する世帯の中には、浴槽のバランス釜を設置するための45万円ほどが一括して支払いができずに困っている。何らかの救済策、解決策を検討してほしい。
【理事者】
生活保護を受給している人が県営住宅に入居する際には、生活保護制度の住宅扶助についてしっかりと周知を図っていきたい。
また、現在、社会福祉法人愛知県社会福祉協議会では、低所得世帯や高齢者世帯等が安定した生活が送れるようにすることを目的とし、生活福祉資金貸付制度を実施しており、このような制度の周知に努めていきたい。そのほか、活用できる市町村の福祉制度などについて、まずは研究していきたい。
【委員】
さらに、今ならば家賃の値上げにも応じるが、風呂設備を取り替えてもらえないかとの入居者からの声がある。このことについても検討してほしい。
【理事者】
風呂設備については、まずは未設置の住戸への設置を進めていきたい。個人の所有物である風呂設備の取り替えについては、本県で直接的に対応することが困難と考えるが、今後、他県等の事例を収集し対応について研究していく。
【委員】
未設置の住宅への設置を進めるとのことだが、それは空き家に風呂設備を設置すると理解してよいのか。風呂設備を取り替えてほしいという入居者の切実な思いに応えてほしい。本県建築局は、住宅を提供するだけで住民のことは何も考えられない、何もできないとの姿勢なのか。県と住民との接点で必死になって何か改善の道はないかと苦慮するのが県議会議員である。
最後に、建築局長に総括してほしい。
【理事者】
県営住宅は、住宅に困窮する低額所得者の住宅セーフティーネットとして大きな役割を担っており、風呂設備の設置についても重要な課題であると認識している。
県営住宅については、現に入居を希望している人が、速やかに入居できるよう、募集住戸に対して浴室設備を含む修繕などに注力していきたい。
また、課題については、県営住宅全体での整備の進め方として、バランスを考慮しつつ、幅広く検討を進めていく。
引き続き、担当課室の職員とともに県営住宅の課題に取り組んでいく。