委員会情報
委員会審査状況
公営企業会計決算特別委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年10月20日(金) 午後0時58分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
森井元志、成田 修 正副委員長
峰野 修、山下智也、今井隆喜、田中泰彦、村瀬正臣、平松利英、
河合洋介、桜井秀樹、阿部洋祐、井上しんや、園山康男 各委員
企業庁長、企業次長、技術監、管理部長、水道部長、企業立地部長、
監査委員事務局長、同次長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 決 算
決算第14号 令和4年度愛知県水道事業会計決算
(令和4年度愛知県水道事業剰余金処分計算書(案)を
含む。)
決算第15号 令和4年度愛知県工業用水道事業会計決算
(令和4年度愛知県工業用水道事業剰余金処分計算書
(案)を含む。)
決算第16号 令和4年度愛知県用地造成事業会計決算
(令和4年度愛知県用地造成事業剰余金処分計算
書を含む。)
(結 果)
全員一致をもって認定すべきものと決した決算
決算第14号から決算第16号まで
全員一致をもって原案を可決すべきものと決したもの
令和4年度愛知県水道事業剰余金処分計算書(案)
令和4年度愛知県工業用水道事業剰余金処分計算書(案)
令和4年度愛知県用地造成事業剰余金処分計算書(案)
<会議の概要>
1 開 会
2 審査事項の概要説明
3 質 疑
4 採 決
5 閉 会
(主な質疑)
《企業庁関係》
【委員】
令和4年度公営企業会計決算審査意見書の17ページ、内陸用地造成の推進について伺う。
世界有数のモノづくりの地域である愛知県を支えてきた、これまでの製造業や物流業の企業に加えて、愛知県でも推進をしており、今後成長が期待される次世代産業分野において、新規参入や事業拡大を考えている企業をどのように愛知県に呼び込むのか、中長期的な視点に立って考えていくことが重要である。
また、昨今の内陸用地に対する需要の高まりなどの社会経済情勢等を踏まえて、本県の持続的な産業発展を支える基盤として、新たな内陸用地の造成の推進が不可欠になっている。
そうした中、企業庁で、内陸用地の未処分宅地の合計面積が約14ヘクタールと少なくなっている中で、現在、事業を進めている地区はどれくらいあるのか。
【理事者】
現在事業を進めている地区は、西尾次世代産業地区、知多大興寺2期地区、豊明柿ノ木地区、幸田須美地区及びあま方領地区の5地区となり、これらの地区の面積を合計すると、約103ヘクタールとなる。
このうち、西尾次世代産業地区の51.4ヘクタール及び知多大興寺2期地区の14.2ヘクタールは、今年度末の工事完了を予定している。
また、開発に向けた熟度が高まり、企業庁が開発に向けた検討を行っている開発検討地区は、現在、日進東部、刈谷市南部、豊川市西部、愛西市南部、半田市北部及び安城市北部の6地区となり、これらの面積を合計すると約98ヘクタールとなる。
引き続き、事業中地区の工事進捗を図るとともに、開発検討地区については、早期の開発決定に向けて関係機関との調整を進めるとともに、開発に必要となる要件を地元市町と連携して整理していく。
【委員】
産業振興に寄与するように安定的に工業用地を供給していくことが必要である。
その中で、今後新規開発地区の掘り起こしについて、どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
本県は、製造品出荷額が、昭和52年から45年連続で全国1位となるなど、モノづくり県であり、この地位を継続していくためには、製造業などの産業の基盤となる工業用地の安定的な供給が欠かせない。
このため、企業庁では、市町村と連携し、産業振興に寄与するための工業用地開発を行ってきた。
現在も複数の市町から開発に向けて相談を受けており、採算性の確保や用地取得の見込みなど、企業庁が開発に向けて具体的な検討を行う開発検討地区に位置づけられるよう、助言を行っている。
そこで、今後も安定的な工業用地開発を行っていくための掘り起こしとして、令和2年度より、毎年、名古屋市を除く県内53市町村に対して、工業用地の開発意向等に関するアンケートを実施しており、内陸工業用地の不足や新たに産業系の開発構想や開発計画の意向を示す市町村が、多く存在することが分かってきた。
さらに、潜在する企業ニーズを掘り起こしていくため、これまでの企業訪問などによる企業立地ニーズの把握に加えて、新たに、地元商工会議所等への聞き取りを実施していく。
こうした掘り起こしによる市町村や企業のニーズに応えていくため、農地転用や保安林解除など、開発に向けての様々な課題を、できるだけ早い時期から市町村と連携し、解決に向けた検討を進めることで、内陸用地に対する需要の高まり、需要の拡大を踏まえた新たな工業用地の開発に努めていく。
【委員】
令和4年度公営企業会計決算審査意見書の17ページ、内陸及び臨海用地の未処分宅地の状況について、現在、内陸用地では、額田南部、三好黒笹及び豊橋三弥地区において未処分宅地があるが、これら3地区の状況について伺う。
また、臨海用地の未処分宅地の分譲について、今後どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
内陸用地では未処分宅地となっている面積が約14.2ヘクタールある。
この14.2ヘクタールのうち、額田南部及び三好黒笹地区の約5.2ヘクタールは、建物の所有や構造物の設置を目的に貸付けを行うリース制度では貸付けられないのり面の部分である。
こののり面部分は、現在土地をリースしている企業が、今後、分譲へ切り替える際に、建物や構造物の敷地部分と同時に購入するときでなければ分譲ができず、単独では処分することができない土地である。
残りの約9ヘクタールは、令和元年度に分譲を開始した豊橋三弥地区の分譲用地である。
当地区では、これまで企業3社と4区画の土地売買契約を締結しており、現在も複数の企業から引き合いがあるため、今後、早期の完売を目指していきたい。
また、臨海用地については、これまで高潮被害や津波被害の影響などにより、企業からは敬遠され、売却が進まない時期もあったが、現在では、港に近く、大規模画地にも対応でき、特別高圧電力や工業用水などの産業インフラが整っているといった、臨海用地の特性を生かした立地が徐々に進んでいる。
特に、田原1区では、昨年度、化石燃料に代わる燃料として使用済みの食用油を集めて、それらを精製して、バイオディーゼル燃料を製造する企業と契約をしている。
また、このほかにも、再生プラスチックを製造する企業やリチウムイオン電池のテストを行う企業などからも、臨海用地の特性を生かした立地を検討できないかといった具体的な問合せや相談を受けている。
企業庁としては、これまでの製造業や物流業に加え、今後進展する循環型社会のニーズにも対応できるよう、工業団地が所在する地元市町の理解を得ながら、これまで以上に幅広い業種を視野に入れた企業の誘致に一層取り組んでいく。
【委員】
令和4年度公営企業会計決算審査意見書の78ページに、現在の状況が載っているが、臨海部の災害対策について、東日本大震災では、津波や液状化により甚大な被害が臨海部で発生した。
南海トラフ地震の発生確率が高まる中で、臨海部における津波への対策、また、高潮による浸水被害への対策について伺う。
【理事者】
津波について、平成26年に愛知県が公表した津波浸水想定では、最大クラスの津波による浸水域は、臨海用地の護岸周辺などで浸水があるものの、大部分の臨海用地においては、ほぼ浸水がない結果となっている。
高潮について、平成21年の台風18号により、三河港の埋立地では多大な高潮被害があったため、国、県及び関係市から成る三河港埋立地高潮災害検討会に企業庁も参加した。
この検討会の提言に基づき、企業庁では、平成21年の台風18号や過去に三河港の最高潮位を記録した伊勢湾台風にも対応できるように対策を行うこととし、具体的には、護岸沿いの緩衝緑地のかさ上げなどを実施する方針とした。
この方針を受けて、高潮被害を受けた御津1区、御津2区、田原4区及び神野西1区において、高潮対策を進めている。
これら4地区のうち、御津1区、御津2区については、これまでに対策を実施済みであり、田原4区については現在埋立て中のため、暫定対策を実施した。
また、神野西1区は、企業庁が管理する護岸と、豊橋市の道路かさ上げ計画の区間が重複しているため、引き続き豊橋市と調整を行っていく。
なお、これまでに企業庁が臨海用地の高潮対策を進めてきたが、愛知県が平成26年に続いて令和3年に公表した高潮浸水想定では、臨海用地のほとんどの部分に浸水域があることを確認している。
こうしたことから、企業庁では引き続き未整備地区の高潮対策を進めるとともに、誘致企業へのハザードマップの提供など、企業が作成する事業継続計画の支援にも努めていく。
【委員】
令和4年度公営企業会計決算審査意見書の18ページ、空港関連埋立事業について、現在の中部臨空都市の土地処分状況が載っているが、今後、中部国際空港の第2滑走路の整備促進を受けて、空港利用客の大幅な増加が期待される。
空港機能の支援や活用、また、空港がもたらす経済効果を、地域にさらに波及させていくため、今後どのように企業誘致に取り組んでいくのか。
【理事者】
中部臨空都市については、空港島で25社及び空港対岸部で29社、合わせて54社が立地しており、分譲計画面積に対して約8割が契約済みで、現在約30ヘクタールの用地が募集中となっている。
企業庁としては、利用されていない用地の活用を目指し、今後増加が期待される空港利用客や来訪者を見据えた企業誘致に取り組んでいく必要がある。
具体的には、空港島において、コロナ後の航空需要の回復や国際展示場におけるイベント等の本格化に伴うレンタル機材の運搬ニーズの高まりなど、ビジネスチャンスの拡大が期待されることから、こういった点を物流企業等にしっかりとPRしていく。
また、空港対岸部については、コストコやイオンモールといった、広域から集客できる施設との相乗効果が見込める施設の誘致のほか、マリーナの景観を生かした飲食関係やサービス業の誘致及び空港などで勤務する従業員の生活利便施設の誘致にも取り組んでいく。
なお、分譲を開始していない空港対岸部港湾ゾーンの用地7.1ヘクタールについても、最近物流のニーズが見られることから、早期の分譲開始に向けて、準備を進めていく。
今後も、空港がもたらすインパクトを最大限に活用し、その経済効果を地域に波及できるよう、中部臨空都市への積極的な企業誘致を進めるとともに、投資額の早期回収に努めていく。
【委員】
企業庁が用地売却に向けて努力していることは理解できたので、今後はこういう対策をしっかりと進めてもらい、企業にとって安心・安全な立地環境であることをさらにPRしていくことを含めて、未処分宅地の早期売却に向け、関係局と連携して、積極的な分譲促進に努めてもらいたい。
【委員】
令和4年度公営企業会計決算審査意見書の7ページについて、健全経営という視点で伺う。
電気料金の高騰や物価の上昇などにより、経常利益が大幅に減少している。
また、人口減少によって収益が低下していることが懸念される中、今後はさらに老朽化への対応も求められ、さらなる財源の確保策や歳出削減が必要となってくる。
そこで、令和4年度における歳入確保策と、歳出削減策に対する取組について伺う。
【理事者】
人口の減少や節水機器の普及などにより、今後、水道の需要量は減少していくものと見込んでいる。
しかしながら、受水団体が保有する自己水源の水質悪化などにより、自己水源から県営水道への転換が図られる場合がある。
こうした転換の事例などにより、県営水道からの受水に依存する割合は、この30年間で63パーセントから73パーセントへと次第に増加しているので、今後、こうした需要に応えられるよう、受水団体の水源転換の意向把握に努めていく。
また、安心・安全な水道水のPRにも努めており、県民に対して、浄水場施設見学ツアーや出前講座の実施、浄水場カードやボトルウオーターあいちの水の配布による啓発及びホームページで、水道水の水質検査結果の公表などの広報を行っている。
次に、歳出の削減について、県営水道では、施設の耐震化や老朽化対策など、安定供給対策に必要な資金を投じつつ、その一方で、効率的な事業運営及び歳出削減に努めている。
これまでにも、浄水場における運転管理業務の民間委託や、排水処理施設の更新をPFIで実施するなど、民間企業の技術と資金の活用を図るとともに、省エネルギー型設備の導入による動力費の削減、組織の見直しによるスリム化や人員削減にも取り組んできた。
また、施設の更新では、給水量の減少を見据えたダウンサイジングや、予防保全型の点検や修繕により施設の長寿命化を図るなど、ライフサイクルコストの縮減に取り組んでいる。
このような取組により、維持管理費や施設整備費など事業経費の縮減に努めている。
【委員】
いまの歳入確保の答弁で、あいちの水の配布とあったが、あいちの水にはジブリパークのイラストが入っている。これは売る価値があると思っているので、そうした地道な歳入確保策も含めて検討してもらいたい。
続いて、耐震化や老朽化対策には必要な投資をしているとのことだが、令和4年度愛知県公営企業会計決算審査意見書では、地震防災対策の強化や老朽化施設の更新などにより、多額の費用が発生することが見込まれていることから、長期的な視野に立ち、計画的かつ適切な施設整備を行うなど、健全な事業経営を努められたいとされている。これらについてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
施設の整備は、地震防災対策実施計画及び老朽化施設更新計画に基づき、施設のダウンサイジングを図り、計画的に進めている。
しかしながら、浄水場は、受水団体への給水を継続しながらの工事であり、また、管路の更新は、建設当時に比べ、都市化の進展によって工事の難易度が上がっていることから、計画の進捗に遅れが出始めている。
このため、昨年度から今年度にかけて、更新対象路線の現場状況を確認して計画に反映し、着実な進捗が図られるよう、計画の見直しを行った。
今後の取組については、管路の更新では、設計と施工を一括して発注するデザインビルド方式を取り入れ、ペースアップしていく。
また、浄水場は多くのエネルギーを消費しており、脱炭素やカーボンニュートラルが求められていることから、その対応策として、更新の際は、従来の省エネルギー機器に加え、再生可能エネルギーの導入を検討していく。
なお、浄水場の再整備は、1か所ずつ個別に検討を行うこととしており、このたびの豊橋浄水場の再整備については、設計施工から維持管理までを含め、効率的で効果的な事業運営ができるよう、PFIでの実施を予定し、民間企業のノウハウや創意工夫を最大限に活用していく。
さらに、維持管理において、AIを活用した管路の劣化診断など、デジタル技術や新技術を積極的に導入し、DXによりさらなる効率化に取り組んでいく。
こうした取組により、引き続き経費の縮減に努めながら、安全な水道水の安定的な供給を行っていく。
【委員】
水道料金の改定について伺う。
報道で、2024年10月と2026年に、水道料金を2段階に分けて値上げをする案を検討しているとあった。
そこで、令和4年度及び令和5年度に検討されたことを伺う。
また、値上げが決まった場合には、県内の42の受水団体の判断で水道料金が決まると聞いているが、現時点での市町村及び関係者の声はどうか。
【理事者】
電気料金の高騰により、令和4年度の純利益は前年度から約23億円減少し、約3億円となった。
また、電気料金の高騰に備え、令和4年度の累積利益の確保を図るため、令和3年度の純利益約26億円について、減債積立金として利益処分することを見送り、未処分利益剰余金とした。
さらに、令和5年度の当初予算は、動力費を昨年度に高騰した時期の電気料金の動向を踏まえて計上し、約25億円の純損失を見込んでいる。
現時点の令和5年度の執行見込みとしては、電気料金は政府の価格抑制策などもあり、昨年度のピークより落ちついてきたことや、薬品単価の入札結果などにより、約21億円の執行残が見込まれ、純損失は約4億円まで減少する見込みである。
しかしながら、現在の電気料金は高騰する以前の令和3年度より高い水準で推移していることや、物価高による影響もあり、令和6年度以降は厳しい経営状況が見込まれる。
このため、本年6月に水道料金改定の検討を行うことを表明し、受水団体への説明会と意見交換会を、6月、7月及び8月に開催してきた。
これらの説明会では、電気料金の状況、地震防災対策や老朽化施設更新などの事業計画、さらには水道料金改定の必要性を説明し、意見交換を図ってきた。
説明会での受水団体の声として、受水団体が値上げを行うには期間を要するため猶予が欲しい、影響をできるだけ小さくしてほしいなどの意見があった。
さらに、9月に、市長会、町村会それぞれから水道料金改定の必要性を慎重に検討することや、十分な検討期間を設けることなどの要望を受けている。
こうした受水団体や市長会、町村会の意見、要望にあるように、企業庁としてできるだけ影響を抑え、周知期間の確保ができる改定案について検討をしてきた。
取りまとめた改定案は、基本料金については据置き、使用料金について、現在1立方メートル当たり26円を、令和6年10月から28円に、令和8年4月から32円に改定する。
この改定案について、10月に受水団体への説明会を開催している。
【委員】
今後の県民への理解も含めて、どう取り組んでいくのか。
【理事者】
企業庁は、卸売として約500万人の県民の水道用水を供給しており、値上げの影響は広範囲となるため、受水団体に対しては引き続き丁寧に説明と対応を行っていく。
また、老朽化施設の更新費用は、老朽化の進行とともに今後増加していくことや、電気料金の上昇などにより、経営に影響を受ける実情については、県営水道のみでなく受水団体の水道事業も同様であるため、県民に理解してもらえるよう、受水団体と連携し、水道のPRに取り組んでいく。
【委員】
47都道府県の水道料金を調べたが、愛知県は全国と比較して料金が低い。
これは、企業庁の頑張りだと思うので、値上げは嫌だと思う気持ちを払拭するためにも、そういったPRも含めてやってほしい。
続いて、令和4年度の公営企業会計決算審査意見書の11ページ以降の、工業用水道事業関係について伺う。
2022年5月17日に、明治用水頭首工で大規模な漏水事故が発生した。農業用水や工業用水を供給できなくなった。
この事故による工業用水道事業会計への影響について、令和4年度公営企業会計決算審査意見書の61ページには、明治用水頭首工で発生した大規模漏水に伴い、工業用水道の給水量について一部減免を行った旨が記載されている。
改めてその減免の内容について伺う。
【理事者】
令和4年5月17日に発生した明治用水頭首工における大規模漏水に伴い、5月17日から8月29日までの105日間にわたり、工業用水の取水量が大幅に削減されたため、受水事業所の協力を得て、工業用水の受水量を大幅に削減した。
この間は給水量が減少したことから、県の浄水場のポンプの運転に必要な動力費や薬品費等の支出も減少したので、実際に受水できなかった水量に、この動力費や薬品費等に相当する1立方メートル当たり2円を乗じて得た額を減免した。
減免額は、全131事業所分を合わせて約3,900万円であり、令和5年2月分の工業用水道料金から相殺している。
【委員】
次に、明治用水頭首工と類似する施設を国などが緊急点検したと承知しているが、点検結果と対応について伺う。
【理事者】
県企業庁の水道及び工業用水道事業に関わる頭首工は、明治用水頭首工以外に、農林水産省が所管する頭首工が2か所、独立行政法人水資源機構が所管する頭首工が7か所、合わせて9か所ある。
これらの頭首工については、今回の明治用水頭首工の漏水を受け緊急点検が実施され、それぞれ異常がないことが確認されている。
【委員】
明治用水も含め老朽化という永遠の課題があると感じているが、計画的に整備を進める中で、原材料費及び人件費の上昇による令和4年度の事業への影響、また、令和5年度への影響について伺う。
併せて、影響があった場合、その対応についても伺う。
【理事者】
工業用水道の老朽化対策は、水道と同様に、平成30年3月に策定した老朽化施設更新計画に基づき進めてきた。
この計画は、事業期間を平成30年度から令和12年度までの13年間としているが、計画当時は物価が安定していたことから、物価上昇を計画に見込んでいなかった。
しかしながら、令和4年度及び5年度は、これまで安定していた資材費や労務費などが上昇しており、それに伴い、老朽化対策に要する費用が上昇する影響が出ている。
この対応策として、設備更新の事業費については、物価上昇を反映し、188億円から223億円に増額する必要が生じた。
一方、建設改良費のもう一つの柱である地震防災対策実施計画については、佐布里池や浄水場の耐震補強工事が完了して、不用額が発生したことから、事業費を100億円から79億円に減額すると見込まれた。
このため、両計画について、昨年度から今年度にかけて進捗状況を点検し、計画を見直している。
なお、両計画の増減及びその他の新規建設、施設改良並びに水源関係等の費用を合わせた工業用水道事業の建設改良費全体としては、おおむね経営戦略の見通しのとおりとなっている。
【委員】
令和4年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の11ページ、決算状況の予算額に対する決算額の状況で、資本的収支及び支出で執行率が87.8パーセントとなっており、これは低いと感じている。
先ほどの企業次長の説明でもあったが、令和4年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の65ページに、予算残額の内訳は翌年度繰越及び不用額となっている。
さらに、翌年度繰越額の内容は、主に建設改良費における施設費15億余円となっているが、その内容について伺う。
【理事者】
令和4年度は、建設改良費における施設費15億1,354万3,124円を翌年度へ繰越ししており、その内訳は、矢作川総合第2期事業の施工主体である東海農政局が実施する共同水路の改築工事において、地権者調整に不測の日数を要したことによるものが1件で8億5,114万円、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、半導体や樹脂等の材料供給が停滞したことにより工事の工程が遅れたことによるものが8件で約2億5,438万円、湧水の発生の対応に日数を要したことなど、その他理由によるものが10件で約4億803万円となっている。
【委員】
令和4年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の12ページ、健全な事業経営について伺う。
新規受水事業所の開拓に取り組むとともに、長期的視野に立った健全な事業経営を努められたいとあるが、新規受水事業所の開拓にどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
新規受水事業所の開拓の取組としては、市町村や商工会議所へパンフレットを配布し、工業用水道のPRの協力を依頼している。
また、既設管路周辺における企業の立地情報を早期に入手し、受水打診を行うとともに、既に受水している企業に対しても、事業拡大等に合わせた増量打診を行っている。
さらに、企業庁造成用地における工業用水の利用可否に係る問合せも多いことから、企業誘致部署と連携した工業用水の新規受水に向けた取組を進めている。
こうした活動と併せて、企業庁のホームページに管路の位置や水質データなどの情報を登載し、工業用水道に対する理解を深めてもらうなど各種取組を行い、需要開拓に努めている。
【委員】
二つの事業会計だが、独立していないと健全な経営にならないと思う。
他会計からの繰入れをするようであれば、健全な経営ではないと思っているので、ぜひそうした目標に向かって頑張ってもらいたい。
【委員】
令和4年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の19ページ、用地造成事業会計のうち事業未着手地区について伺う。
この中で、現在事業未着手となっている地区は、具体的に3か所記載されている。
まず、この3地区における、地区の現状及び取組について伺う。
【理事者】
長期間にわたり事業着手されていない日進東部地区をはじめ、3地区のこれまでの取組状況について、まず日進東部地区については、平成2年度から平成3年度にかけて、企業庁が約8ヘクタールの土地を先行取得した地区であるが、当地区へのアクセス道路整備の見通しが立たなかったことに加えて、保安林があることから、企業庁による開発の検討がしばらく進まなかった。
その後、アクセス道路である市道黒笹三本木線の供用にめどが立ったことから、令和2年2月に企業庁保有地約8ヘクタールを含む約19ヘクタールのエリアを、企業庁が開発に向けて具体的に検討を進めていく開発検討地区として位置づけた。
昨年度までに現地測量、地質調査及び造成予備設計などを行い、また日進市とともに計画区域内にある権利者不明の土地など、課題解決に向けて取り組んできた。
次に、日進中部地区については、平成2年度に約10ヘクタールの土地を先行取得した地区であるが、地区のほぼ全域が保安林であることや、アクセス道路が整備されていないことから、開発が進まなかった。
現在は、地区の一部を日進市に日進米野木北山グラウンドの用地として無償で貸付け、活用してもらっているが、昨年度はアクセス道路の整備が大きな課題となるため、市の企業立地担当部署に加え、道路担当部署も交えた勉強会を開催し、各種課題について意見交換を実施した。
続いて、幡豆地区については、中部国際空港の空港島及び対岸部の埋立用土砂約5,000万立方メートルを採取する土砂採取事業と、その跡地に工業用地と住宅用地を造成し分譲する内陸用地造成事業を計画し、平成10年度から平成11年度にかけて、約143ヘクタールの用地を取得したものである。
平成13年1月の土砂採取事業中止決定を受け、平成14年度に学識経験者等で構成された幡豆地区土地利活用調査委員会で土地利活用が検討されたが、採算性や保安林をはじめとする法規制など、企業庁による事業の実現は困難であるとの結論に至っている。
一方、平成14年度から、県庁内の各部局による幡豆地区の土地利活用県庁内検討会において、提案を働きかけているところであり、また、西尾市とも勉強会を開催しているが、具体的な利活用案の策定には至っていない。
ここ数年の動きでは、アウトドアレジャーを手がける業者への聞き取りや、キュウリなどの野菜を育てる施設園芸者への現地案内を行ったが、いずれも実現は難しい結果となっている。
昨年度は、西尾市議会の関心も高いことから、市議会議員26人の現地案内を実施し、意見交換を行うなど、地元からも利活用案を提案してもらうよう働きかけている。
【委員】
日進東部地区は非常に高級住宅地に近いと聞いており、しっかり仕上がればニーズが非常に高い場所だと思っているので、ぜひ開発を進めてほしい。
日進中部地域は規模的には小さいが、日進東部地区と同様にタイミング待ちもあると聞いており、アクセス道路の関係もあるので、引き続きしっかりと着手に向けて動いてほしい。
幡豆地区は、広大な土地であり、先ほどの答弁でも取得の経緯、そして現状に至るまでについても、日進地区の二つとは全く違う様相だと思っており、地域の関心も非常に高いと聞いているため、もう少し質問する。
令和4年度愛知県公営企業会計決算審査意見書では、「利活用が難しいところであるが、地元市・県関係機関、ボランティア団体等の意見を十分に確認して、利活用の具体的な方策の策定に向けて調整、検討されたい」と書いてあり、先ほどの話の中でも調整及び検討の経緯を聞いたが、実現が難しいことで、これまでずっときている。
塩漬け状態が続いていると思うが、今後どのようにするのか。
去年の公営企業会計決算特別委員会で、嶋口忠弘議員からも質問が出ていたが、詳しく教えてほしい。
【理事者】
幡豆地区については、本年7月に、新たな事業展開の可能性を検討していくため、太陽光発電事業者を企業訪問し、再生可能エネルギーの利活用の可能性について意見交換を実施した。
一方、西尾市では、令和5年4月に、総合計画と都市マスタープランの改定を行い、当地区の位置づけを、これまでの産業ゾーンから利活用検討区域に改め、これにより工業系以外の土地利用を拡大している。
また、本年9月に、西尾市との利活用に関する勉強会を開催し、太陽光発電事業をはじめとした新たな事業展開の可能性や、ボランティア団体への支援策等について意見交換を実施した。
今後についても、引き続き、知事部局及び西尾市とともに、利活用について幅広く検討していきたい。
【委員】
もともと土取り場としての役割を期待して買った場所である。例えば、ゲリラ豪雨等があったときに、土砂崩れが心配されるが、急傾斜地の指定をするなど安全対策はしているのか。
【理事者】
企業庁が管理している142ヘクタール余りの管理地については、現在、公道にも囲まれているため、大雨等が降った場合には、土砂崩れや崖の崩壊が起こるため、道路への影響が出る可能性が非常に高い。
そうした箇所の保全対策として、毎年巡視をする対策を行っている。
【委員】
土砂崩れが起こると、その維持管理のためにも、毎年それなりのお金を投じてメンテナンスを行っていると思う。
決算特別委員会で何か結論が出るとは思わないが、先行きを見通せない中、毎年一千万円、二千万円のお金をかけてメンテナンスし続けていくものなのか。142ヘクタール全て一体開発は難しく、保安林の関係もたくさんある。例えば、地元の総合計画、都市計画区域マスタープランも少しゾーニングを変えてきたと聞いている。
天啓を待ち、ずっと持ち続けていくのも一つの方策かもしれないし、あるいは何か手を少し入れて、思い切った処分を考えていくのも手であると思う。
崖をしっかり手入れすれば、何億、何十億円というお金がかかってくるため、県にとって、どちらを選ぶことが、県民にとって幸せなのか、十分考えていかなければ、来年も再来年も、監査の段階で必ずこういう意見が付されると思う。
幡豆地区は入手の経緯からして、セントレアに土を運ぶために買った大量の土地であるため、当初の目的が達成できない。しかし、不良債権のように持ち続けてよいものなのか真剣に議論をすることをお願いしたい。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年10月20日(金) 午後0時58分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
森井元志、成田 修 正副委員長
峰野 修、山下智也、今井隆喜、田中泰彦、村瀬正臣、平松利英、
河合洋介、桜井秀樹、阿部洋祐、井上しんや、園山康男 各委員
企業庁長、企業次長、技術監、管理部長、水道部長、企業立地部長、
監査委員事務局長、同次長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 決 算
決算第14号 令和4年度愛知県水道事業会計決算
(令和4年度愛知県水道事業剰余金処分計算書(案)を
含む。)
決算第15号 令和4年度愛知県工業用水道事業会計決算
(令和4年度愛知県工業用水道事業剰余金処分計算書
(案)を含む。)
決算第16号 令和4年度愛知県用地造成事業会計決算
(令和4年度愛知県用地造成事業剰余金処分計算
書を含む。)
(結 果)
全員一致をもって認定すべきものと決した決算
決算第14号から決算第16号まで
全員一致をもって原案を可決すべきものと決したもの
令和4年度愛知県水道事業剰余金処分計算書(案)
令和4年度愛知県工業用水道事業剰余金処分計算書(案)
令和4年度愛知県用地造成事業剰余金処分計算書(案)
<会議の概要>
1 開 会
2 審査事項の概要説明
3 質 疑
4 採 決
5 閉 会
(主な質疑)
《企業庁関係》
【委員】
令和4年度公営企業会計決算審査意見書の17ページ、内陸用地造成の推進について伺う。
世界有数のモノづくりの地域である愛知県を支えてきた、これまでの製造業や物流業の企業に加えて、愛知県でも推進をしており、今後成長が期待される次世代産業分野において、新規参入や事業拡大を考えている企業をどのように愛知県に呼び込むのか、中長期的な視点に立って考えていくことが重要である。
また、昨今の内陸用地に対する需要の高まりなどの社会経済情勢等を踏まえて、本県の持続的な産業発展を支える基盤として、新たな内陸用地の造成の推進が不可欠になっている。
そうした中、企業庁で、内陸用地の未処分宅地の合計面積が約14ヘクタールと少なくなっている中で、現在、事業を進めている地区はどれくらいあるのか。
【理事者】
現在事業を進めている地区は、西尾次世代産業地区、知多大興寺2期地区、豊明柿ノ木地区、幸田須美地区及びあま方領地区の5地区となり、これらの地区の面積を合計すると、約103ヘクタールとなる。
このうち、西尾次世代産業地区の51.4ヘクタール及び知多大興寺2期地区の14.2ヘクタールは、今年度末の工事完了を予定している。
また、開発に向けた熟度が高まり、企業庁が開発に向けた検討を行っている開発検討地区は、現在、日進東部、刈谷市南部、豊川市西部、愛西市南部、半田市北部及び安城市北部の6地区となり、これらの面積を合計すると約98ヘクタールとなる。
引き続き、事業中地区の工事進捗を図るとともに、開発検討地区については、早期の開発決定に向けて関係機関との調整を進めるとともに、開発に必要となる要件を地元市町と連携して整理していく。
【委員】
産業振興に寄与するように安定的に工業用地を供給していくことが必要である。
その中で、今後新規開発地区の掘り起こしについて、どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
本県は、製造品出荷額が、昭和52年から45年連続で全国1位となるなど、モノづくり県であり、この地位を継続していくためには、製造業などの産業の基盤となる工業用地の安定的な供給が欠かせない。
このため、企業庁では、市町村と連携し、産業振興に寄与するための工業用地開発を行ってきた。
現在も複数の市町から開発に向けて相談を受けており、採算性の確保や用地取得の見込みなど、企業庁が開発に向けて具体的な検討を行う開発検討地区に位置づけられるよう、助言を行っている。
そこで、今後も安定的な工業用地開発を行っていくための掘り起こしとして、令和2年度より、毎年、名古屋市を除く県内53市町村に対して、工業用地の開発意向等に関するアンケートを実施しており、内陸工業用地の不足や新たに産業系の開発構想や開発計画の意向を示す市町村が、多く存在することが分かってきた。
さらに、潜在する企業ニーズを掘り起こしていくため、これまでの企業訪問などによる企業立地ニーズの把握に加えて、新たに、地元商工会議所等への聞き取りを実施していく。
こうした掘り起こしによる市町村や企業のニーズに応えていくため、農地転用や保安林解除など、開発に向けての様々な課題を、できるだけ早い時期から市町村と連携し、解決に向けた検討を進めることで、内陸用地に対する需要の高まり、需要の拡大を踏まえた新たな工業用地の開発に努めていく。
【委員】
令和4年度公営企業会計決算審査意見書の17ページ、内陸及び臨海用地の未処分宅地の状況について、現在、内陸用地では、額田南部、三好黒笹及び豊橋三弥地区において未処分宅地があるが、これら3地区の状況について伺う。
また、臨海用地の未処分宅地の分譲について、今後どのように取り組んでいくのか。
【理事者】
内陸用地では未処分宅地となっている面積が約14.2ヘクタールある。
この14.2ヘクタールのうち、額田南部及び三好黒笹地区の約5.2ヘクタールは、建物の所有や構造物の設置を目的に貸付けを行うリース制度では貸付けられないのり面の部分である。
こののり面部分は、現在土地をリースしている企業が、今後、分譲へ切り替える際に、建物や構造物の敷地部分と同時に購入するときでなければ分譲ができず、単独では処分することができない土地である。
残りの約9ヘクタールは、令和元年度に分譲を開始した豊橋三弥地区の分譲用地である。
当地区では、これまで企業3社と4区画の土地売買契約を締結しており、現在も複数の企業から引き合いがあるため、今後、早期の完売を目指していきたい。
また、臨海用地については、これまで高潮被害や津波被害の影響などにより、企業からは敬遠され、売却が進まない時期もあったが、現在では、港に近く、大規模画地にも対応でき、特別高圧電力や工業用水などの産業インフラが整っているといった、臨海用地の特性を生かした立地が徐々に進んでいる。
特に、田原1区では、昨年度、化石燃料に代わる燃料として使用済みの食用油を集めて、それらを精製して、バイオディーゼル燃料を製造する企業と契約をしている。
また、このほかにも、再生プラスチックを製造する企業やリチウムイオン電池のテストを行う企業などからも、臨海用地の特性を生かした立地を検討できないかといった具体的な問合せや相談を受けている。
企業庁としては、これまでの製造業や物流業に加え、今後進展する循環型社会のニーズにも対応できるよう、工業団地が所在する地元市町の理解を得ながら、これまで以上に幅広い業種を視野に入れた企業の誘致に一層取り組んでいく。
【委員】
令和4年度公営企業会計決算審査意見書の78ページに、現在の状況が載っているが、臨海部の災害対策について、東日本大震災では、津波や液状化により甚大な被害が臨海部で発生した。
南海トラフ地震の発生確率が高まる中で、臨海部における津波への対策、また、高潮による浸水被害への対策について伺う。
【理事者】
津波について、平成26年に愛知県が公表した津波浸水想定では、最大クラスの津波による浸水域は、臨海用地の護岸周辺などで浸水があるものの、大部分の臨海用地においては、ほぼ浸水がない結果となっている。
高潮について、平成21年の台風18号により、三河港の埋立地では多大な高潮被害があったため、国、県及び関係市から成る三河港埋立地高潮災害検討会に企業庁も参加した。
この検討会の提言に基づき、企業庁では、平成21年の台風18号や過去に三河港の最高潮位を記録した伊勢湾台風にも対応できるように対策を行うこととし、具体的には、護岸沿いの緩衝緑地のかさ上げなどを実施する方針とした。
この方針を受けて、高潮被害を受けた御津1区、御津2区、田原4区及び神野西1区において、高潮対策を進めている。
これら4地区のうち、御津1区、御津2区については、これまでに対策を実施済みであり、田原4区については現在埋立て中のため、暫定対策を実施した。
また、神野西1区は、企業庁が管理する護岸と、豊橋市の道路かさ上げ計画の区間が重複しているため、引き続き豊橋市と調整を行っていく。
なお、これまでに企業庁が臨海用地の高潮対策を進めてきたが、愛知県が平成26年に続いて令和3年に公表した高潮浸水想定では、臨海用地のほとんどの部分に浸水域があることを確認している。
こうしたことから、企業庁では引き続き未整備地区の高潮対策を進めるとともに、誘致企業へのハザードマップの提供など、企業が作成する事業継続計画の支援にも努めていく。
【委員】
令和4年度公営企業会計決算審査意見書の18ページ、空港関連埋立事業について、現在の中部臨空都市の土地処分状況が載っているが、今後、中部国際空港の第2滑走路の整備促進を受けて、空港利用客の大幅な増加が期待される。
空港機能の支援や活用、また、空港がもたらす経済効果を、地域にさらに波及させていくため、今後どのように企業誘致に取り組んでいくのか。
【理事者】
中部臨空都市については、空港島で25社及び空港対岸部で29社、合わせて54社が立地しており、分譲計画面積に対して約8割が契約済みで、現在約30ヘクタールの用地が募集中となっている。
企業庁としては、利用されていない用地の活用を目指し、今後増加が期待される空港利用客や来訪者を見据えた企業誘致に取り組んでいく必要がある。
具体的には、空港島において、コロナ後の航空需要の回復や国際展示場におけるイベント等の本格化に伴うレンタル機材の運搬ニーズの高まりなど、ビジネスチャンスの拡大が期待されることから、こういった点を物流企業等にしっかりとPRしていく。
また、空港対岸部については、コストコやイオンモールといった、広域から集客できる施設との相乗効果が見込める施設の誘致のほか、マリーナの景観を生かした飲食関係やサービス業の誘致及び空港などで勤務する従業員の生活利便施設の誘致にも取り組んでいく。
なお、分譲を開始していない空港対岸部港湾ゾーンの用地7.1ヘクタールについても、最近物流のニーズが見られることから、早期の分譲開始に向けて、準備を進めていく。
今後も、空港がもたらすインパクトを最大限に活用し、その経済効果を地域に波及できるよう、中部臨空都市への積極的な企業誘致を進めるとともに、投資額の早期回収に努めていく。
【委員】
企業庁が用地売却に向けて努力していることは理解できたので、今後はこういう対策をしっかりと進めてもらい、企業にとって安心・安全な立地環境であることをさらにPRしていくことを含めて、未処分宅地の早期売却に向け、関係局と連携して、積極的な分譲促進に努めてもらいたい。
【委員】
令和4年度公営企業会計決算審査意見書の7ページについて、健全経営という視点で伺う。
電気料金の高騰や物価の上昇などにより、経常利益が大幅に減少している。
また、人口減少によって収益が低下していることが懸念される中、今後はさらに老朽化への対応も求められ、さらなる財源の確保策や歳出削減が必要となってくる。
そこで、令和4年度における歳入確保策と、歳出削減策に対する取組について伺う。
【理事者】
人口の減少や節水機器の普及などにより、今後、水道の需要量は減少していくものと見込んでいる。
しかしながら、受水団体が保有する自己水源の水質悪化などにより、自己水源から県営水道への転換が図られる場合がある。
こうした転換の事例などにより、県営水道からの受水に依存する割合は、この30年間で63パーセントから73パーセントへと次第に増加しているので、今後、こうした需要に応えられるよう、受水団体の水源転換の意向把握に努めていく。
また、安心・安全な水道水のPRにも努めており、県民に対して、浄水場施設見学ツアーや出前講座の実施、浄水場カードやボトルウオーターあいちの水の配布による啓発及びホームページで、水道水の水質検査結果の公表などの広報を行っている。
次に、歳出の削減について、県営水道では、施設の耐震化や老朽化対策など、安定供給対策に必要な資金を投じつつ、その一方で、効率的な事業運営及び歳出削減に努めている。
これまでにも、浄水場における運転管理業務の民間委託や、排水処理施設の更新をPFIで実施するなど、民間企業の技術と資金の活用を図るとともに、省エネルギー型設備の導入による動力費の削減、組織の見直しによるスリム化や人員削減にも取り組んできた。
また、施設の更新では、給水量の減少を見据えたダウンサイジングや、予防保全型の点検や修繕により施設の長寿命化を図るなど、ライフサイクルコストの縮減に取り組んでいる。
このような取組により、維持管理費や施設整備費など事業経費の縮減に努めている。
【委員】
いまの歳入確保の答弁で、あいちの水の配布とあったが、あいちの水にはジブリパークのイラストが入っている。これは売る価値があると思っているので、そうした地道な歳入確保策も含めて検討してもらいたい。
続いて、耐震化や老朽化対策には必要な投資をしているとのことだが、令和4年度愛知県公営企業会計決算審査意見書では、地震防災対策の強化や老朽化施設の更新などにより、多額の費用が発生することが見込まれていることから、長期的な視野に立ち、計画的かつ適切な施設整備を行うなど、健全な事業経営を努められたいとされている。これらについてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
施設の整備は、地震防災対策実施計画及び老朽化施設更新計画に基づき、施設のダウンサイジングを図り、計画的に進めている。
しかしながら、浄水場は、受水団体への給水を継続しながらの工事であり、また、管路の更新は、建設当時に比べ、都市化の進展によって工事の難易度が上がっていることから、計画の進捗に遅れが出始めている。
このため、昨年度から今年度にかけて、更新対象路線の現場状況を確認して計画に反映し、着実な進捗が図られるよう、計画の見直しを行った。
今後の取組については、管路の更新では、設計と施工を一括して発注するデザインビルド方式を取り入れ、ペースアップしていく。
また、浄水場は多くのエネルギーを消費しており、脱炭素やカーボンニュートラルが求められていることから、その対応策として、更新の際は、従来の省エネルギー機器に加え、再生可能エネルギーの導入を検討していく。
なお、浄水場の再整備は、1か所ずつ個別に検討を行うこととしており、このたびの豊橋浄水場の再整備については、設計施工から維持管理までを含め、効率的で効果的な事業運営ができるよう、PFIでの実施を予定し、民間企業のノウハウや創意工夫を最大限に活用していく。
さらに、維持管理において、AIを活用した管路の劣化診断など、デジタル技術や新技術を積極的に導入し、DXによりさらなる効率化に取り組んでいく。
こうした取組により、引き続き経費の縮減に努めながら、安全な水道水の安定的な供給を行っていく。
【委員】
水道料金の改定について伺う。
報道で、2024年10月と2026年に、水道料金を2段階に分けて値上げをする案を検討しているとあった。
そこで、令和4年度及び令和5年度に検討されたことを伺う。
また、値上げが決まった場合には、県内の42の受水団体の判断で水道料金が決まると聞いているが、現時点での市町村及び関係者の声はどうか。
【理事者】
電気料金の高騰により、令和4年度の純利益は前年度から約23億円減少し、約3億円となった。
また、電気料金の高騰に備え、令和4年度の累積利益の確保を図るため、令和3年度の純利益約26億円について、減債積立金として利益処分することを見送り、未処分利益剰余金とした。
さらに、令和5年度の当初予算は、動力費を昨年度に高騰した時期の電気料金の動向を踏まえて計上し、約25億円の純損失を見込んでいる。
現時点の令和5年度の執行見込みとしては、電気料金は政府の価格抑制策などもあり、昨年度のピークより落ちついてきたことや、薬品単価の入札結果などにより、約21億円の執行残が見込まれ、純損失は約4億円まで減少する見込みである。
しかしながら、現在の電気料金は高騰する以前の令和3年度より高い水準で推移していることや、物価高による影響もあり、令和6年度以降は厳しい経営状況が見込まれる。
このため、本年6月に水道料金改定の検討を行うことを表明し、受水団体への説明会と意見交換会を、6月、7月及び8月に開催してきた。
これらの説明会では、電気料金の状況、地震防災対策や老朽化施設更新などの事業計画、さらには水道料金改定の必要性を説明し、意見交換を図ってきた。
説明会での受水団体の声として、受水団体が値上げを行うには期間を要するため猶予が欲しい、影響をできるだけ小さくしてほしいなどの意見があった。
さらに、9月に、市長会、町村会それぞれから水道料金改定の必要性を慎重に検討することや、十分な検討期間を設けることなどの要望を受けている。
こうした受水団体や市長会、町村会の意見、要望にあるように、企業庁としてできるだけ影響を抑え、周知期間の確保ができる改定案について検討をしてきた。
取りまとめた改定案は、基本料金については据置き、使用料金について、現在1立方メートル当たり26円を、令和6年10月から28円に、令和8年4月から32円に改定する。
この改定案について、10月に受水団体への説明会を開催している。
【委員】
今後の県民への理解も含めて、どう取り組んでいくのか。
【理事者】
企業庁は、卸売として約500万人の県民の水道用水を供給しており、値上げの影響は広範囲となるため、受水団体に対しては引き続き丁寧に説明と対応を行っていく。
また、老朽化施設の更新費用は、老朽化の進行とともに今後増加していくことや、電気料金の上昇などにより、経営に影響を受ける実情については、県営水道のみでなく受水団体の水道事業も同様であるため、県民に理解してもらえるよう、受水団体と連携し、水道のPRに取り組んでいく。
【委員】
47都道府県の水道料金を調べたが、愛知県は全国と比較して料金が低い。
これは、企業庁の頑張りだと思うので、値上げは嫌だと思う気持ちを払拭するためにも、そういったPRも含めてやってほしい。
続いて、令和4年度の公営企業会計決算審査意見書の11ページ以降の、工業用水道事業関係について伺う。
2022年5月17日に、明治用水頭首工で大規模な漏水事故が発生した。農業用水や工業用水を供給できなくなった。
この事故による工業用水道事業会計への影響について、令和4年度公営企業会計決算審査意見書の61ページには、明治用水頭首工で発生した大規模漏水に伴い、工業用水道の給水量について一部減免を行った旨が記載されている。
改めてその減免の内容について伺う。
【理事者】
令和4年5月17日に発生した明治用水頭首工における大規模漏水に伴い、5月17日から8月29日までの105日間にわたり、工業用水の取水量が大幅に削減されたため、受水事業所の協力を得て、工業用水の受水量を大幅に削減した。
この間は給水量が減少したことから、県の浄水場のポンプの運転に必要な動力費や薬品費等の支出も減少したので、実際に受水できなかった水量に、この動力費や薬品費等に相当する1立方メートル当たり2円を乗じて得た額を減免した。
減免額は、全131事業所分を合わせて約3,900万円であり、令和5年2月分の工業用水道料金から相殺している。
【委員】
次に、明治用水頭首工と類似する施設を国などが緊急点検したと承知しているが、点検結果と対応について伺う。
【理事者】
県企業庁の水道及び工業用水道事業に関わる頭首工は、明治用水頭首工以外に、農林水産省が所管する頭首工が2か所、独立行政法人水資源機構が所管する頭首工が7か所、合わせて9か所ある。
これらの頭首工については、今回の明治用水頭首工の漏水を受け緊急点検が実施され、それぞれ異常がないことが確認されている。
【委員】
明治用水も含め老朽化という永遠の課題があると感じているが、計画的に整備を進める中で、原材料費及び人件費の上昇による令和4年度の事業への影響、また、令和5年度への影響について伺う。
併せて、影響があった場合、その対応についても伺う。
【理事者】
工業用水道の老朽化対策は、水道と同様に、平成30年3月に策定した老朽化施設更新計画に基づき進めてきた。
この計画は、事業期間を平成30年度から令和12年度までの13年間としているが、計画当時は物価が安定していたことから、物価上昇を計画に見込んでいなかった。
しかしながら、令和4年度及び5年度は、これまで安定していた資材費や労務費などが上昇しており、それに伴い、老朽化対策に要する費用が上昇する影響が出ている。
この対応策として、設備更新の事業費については、物価上昇を反映し、188億円から223億円に増額する必要が生じた。
一方、建設改良費のもう一つの柱である地震防災対策実施計画については、佐布里池や浄水場の耐震補強工事が完了して、不用額が発生したことから、事業費を100億円から79億円に減額すると見込まれた。
このため、両計画について、昨年度から今年度にかけて進捗状況を点検し、計画を見直している。
なお、両計画の増減及びその他の新規建設、施設改良並びに水源関係等の費用を合わせた工業用水道事業の建設改良費全体としては、おおむね経営戦略の見通しのとおりとなっている。
【委員】
令和4年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の11ページ、決算状況の予算額に対する決算額の状況で、資本的収支及び支出で執行率が87.8パーセントとなっており、これは低いと感じている。
先ほどの企業次長の説明でもあったが、令和4年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の65ページに、予算残額の内訳は翌年度繰越及び不用額となっている。
さらに、翌年度繰越額の内容は、主に建設改良費における施設費15億余円となっているが、その内容について伺う。
【理事者】
令和4年度は、建設改良費における施設費15億1,354万3,124円を翌年度へ繰越ししており、その内訳は、矢作川総合第2期事業の施工主体である東海農政局が実施する共同水路の改築工事において、地権者調整に不測の日数を要したことによるものが1件で8億5,114万円、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、半導体や樹脂等の材料供給が停滞したことにより工事の工程が遅れたことによるものが8件で約2億5,438万円、湧水の発生の対応に日数を要したことなど、その他理由によるものが10件で約4億803万円となっている。
【委員】
令和4年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の12ページ、健全な事業経営について伺う。
新規受水事業所の開拓に取り組むとともに、長期的視野に立った健全な事業経営を努められたいとあるが、新規受水事業所の開拓にどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
新規受水事業所の開拓の取組としては、市町村や商工会議所へパンフレットを配布し、工業用水道のPRの協力を依頼している。
また、既設管路周辺における企業の立地情報を早期に入手し、受水打診を行うとともに、既に受水している企業に対しても、事業拡大等に合わせた増量打診を行っている。
さらに、企業庁造成用地における工業用水の利用可否に係る問合せも多いことから、企業誘致部署と連携した工業用水の新規受水に向けた取組を進めている。
こうした活動と併せて、企業庁のホームページに管路の位置や水質データなどの情報を登載し、工業用水道に対する理解を深めてもらうなど各種取組を行い、需要開拓に努めている。
【委員】
二つの事業会計だが、独立していないと健全な経営にならないと思う。
他会計からの繰入れをするようであれば、健全な経営ではないと思っているので、ぜひそうした目標に向かって頑張ってもらいたい。
【委員】
令和4年度愛知県公営企業会計決算審査意見書の19ページ、用地造成事業会計のうち事業未着手地区について伺う。
この中で、現在事業未着手となっている地区は、具体的に3か所記載されている。
まず、この3地区における、地区の現状及び取組について伺う。
【理事者】
長期間にわたり事業着手されていない日進東部地区をはじめ、3地区のこれまでの取組状況について、まず日進東部地区については、平成2年度から平成3年度にかけて、企業庁が約8ヘクタールの土地を先行取得した地区であるが、当地区へのアクセス道路整備の見通しが立たなかったことに加えて、保安林があることから、企業庁による開発の検討がしばらく進まなかった。
その後、アクセス道路である市道黒笹三本木線の供用にめどが立ったことから、令和2年2月に企業庁保有地約8ヘクタールを含む約19ヘクタールのエリアを、企業庁が開発に向けて具体的に検討を進めていく開発検討地区として位置づけた。
昨年度までに現地測量、地質調査及び造成予備設計などを行い、また日進市とともに計画区域内にある権利者不明の土地など、課題解決に向けて取り組んできた。
次に、日進中部地区については、平成2年度に約10ヘクタールの土地を先行取得した地区であるが、地区のほぼ全域が保安林であることや、アクセス道路が整備されていないことから、開発が進まなかった。
現在は、地区の一部を日進市に日進米野木北山グラウンドの用地として無償で貸付け、活用してもらっているが、昨年度はアクセス道路の整備が大きな課題となるため、市の企業立地担当部署に加え、道路担当部署も交えた勉強会を開催し、各種課題について意見交換を実施した。
続いて、幡豆地区については、中部国際空港の空港島及び対岸部の埋立用土砂約5,000万立方メートルを採取する土砂採取事業と、その跡地に工業用地と住宅用地を造成し分譲する内陸用地造成事業を計画し、平成10年度から平成11年度にかけて、約143ヘクタールの用地を取得したものである。
平成13年1月の土砂採取事業中止決定を受け、平成14年度に学識経験者等で構成された幡豆地区土地利活用調査委員会で土地利活用が検討されたが、採算性や保安林をはじめとする法規制など、企業庁による事業の実現は困難であるとの結論に至っている。
一方、平成14年度から、県庁内の各部局による幡豆地区の土地利活用県庁内検討会において、提案を働きかけているところであり、また、西尾市とも勉強会を開催しているが、具体的な利活用案の策定には至っていない。
ここ数年の動きでは、アウトドアレジャーを手がける業者への聞き取りや、キュウリなどの野菜を育てる施設園芸者への現地案内を行ったが、いずれも実現は難しい結果となっている。
昨年度は、西尾市議会の関心も高いことから、市議会議員26人の現地案内を実施し、意見交換を行うなど、地元からも利活用案を提案してもらうよう働きかけている。
【委員】
日進東部地区は非常に高級住宅地に近いと聞いており、しっかり仕上がればニーズが非常に高い場所だと思っているので、ぜひ開発を進めてほしい。
日進中部地域は規模的には小さいが、日進東部地区と同様にタイミング待ちもあると聞いており、アクセス道路の関係もあるので、引き続きしっかりと着手に向けて動いてほしい。
幡豆地区は、広大な土地であり、先ほどの答弁でも取得の経緯、そして現状に至るまでについても、日進地区の二つとは全く違う様相だと思っており、地域の関心も非常に高いと聞いているため、もう少し質問する。
令和4年度愛知県公営企業会計決算審査意見書では、「利活用が難しいところであるが、地元市・県関係機関、ボランティア団体等の意見を十分に確認して、利活用の具体的な方策の策定に向けて調整、検討されたい」と書いてあり、先ほどの話の中でも調整及び検討の経緯を聞いたが、実現が難しいことで、これまでずっときている。
塩漬け状態が続いていると思うが、今後どのようにするのか。
去年の公営企業会計決算特別委員会で、嶋口忠弘議員からも質問が出ていたが、詳しく教えてほしい。
【理事者】
幡豆地区については、本年7月に、新たな事業展開の可能性を検討していくため、太陽光発電事業者を企業訪問し、再生可能エネルギーの利活用の可能性について意見交換を実施した。
一方、西尾市では、令和5年4月に、総合計画と都市マスタープランの改定を行い、当地区の位置づけを、これまでの産業ゾーンから利活用検討区域に改め、これにより工業系以外の土地利用を拡大している。
また、本年9月に、西尾市との利活用に関する勉強会を開催し、太陽光発電事業をはじめとした新たな事業展開の可能性や、ボランティア団体への支援策等について意見交換を実施した。
今後についても、引き続き、知事部局及び西尾市とともに、利活用について幅広く検討していきたい。
【委員】
もともと土取り場としての役割を期待して買った場所である。例えば、ゲリラ豪雨等があったときに、土砂崩れが心配されるが、急傾斜地の指定をするなど安全対策はしているのか。
【理事者】
企業庁が管理している142ヘクタール余りの管理地については、現在、公道にも囲まれているため、大雨等が降った場合には、土砂崩れや崖の崩壊が起こるため、道路への影響が出る可能性が非常に高い。
そうした箇所の保全対策として、毎年巡視をする対策を行っている。
【委員】
土砂崩れが起こると、その維持管理のためにも、毎年それなりのお金を投じてメンテナンスを行っていると思う。
決算特別委員会で何か結論が出るとは思わないが、先行きを見通せない中、毎年一千万円、二千万円のお金をかけてメンテナンスし続けていくものなのか。142ヘクタール全て一体開発は難しく、保安林の関係もたくさんある。例えば、地元の総合計画、都市計画区域マスタープランも少しゾーニングを変えてきたと聞いている。
天啓を待ち、ずっと持ち続けていくのも一つの方策かもしれないし、あるいは何か手を少し入れて、思い切った処分を考えていくのも手であると思う。
崖をしっかり手入れすれば、何億、何十億円というお金がかかってくるため、県にとって、どちらを選ぶことが、県民にとって幸せなのか、十分考えていかなければ、来年も再来年も、監査の段階で必ずこういう意見が付されると思う。
幡豆地区は入手の経緯からして、セントレアに土を運ぶために買った大量の土地であるため、当初の目的が達成できない。しかし、不良債権のように持ち続けてよいものなのか真剣に議論をすることをお願いしたい。