委員会情報
委員会審査状況
教育・スポーツ委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年10月12日(木) 午後0時58分~
会 場 第5委員会室
出 席 者
河合洋介、平松利英 正副委員長
坂田憲治、川嶋太郎、鈴木雅博、田中泰彦、中村竜彦、宮島謙治、
谷口知美、島 孝則、大久保真一、下奥奈歩 各委員
スポーツ局長、スポーツ監、アジア・アジアパラ競技大会推進監、
教育長、岡田教育委員、教育委員会事務局長、同次長兼管理部長、
教育部長、教育改革監、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第103号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第4号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第9款 教育・スポーツ費
第111号 物品の買入れについて(乗合自動車(リフト付特別仕様
スクールバス))
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第103号及び第111号
○ 請 願
第 9 号 「小中高生の新型コロナワクチン接種後体調不良者への
合理的配慮」について(教育関係)
第 13 号 「愛知県に『学校給食無償化補助金』の創設を求める」
について(教育関係)
(結 果)
賛成者なしをもって不採択すべきものと決した請願
第9号
賛成少数をもって不採択とすべきものと決した請願
第13号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 学校教育の充実及び施設整備について
2 生涯学習について
3 スポーツの振興について
4 スポーツ局及び教育委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 口頭陳情(1件 請願第13号関係)
3 議案審査(2件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
4 請願審査(2件)
5 委員長報告の決定
6 一般質問
7 休 憩(午後2時56分)
8 再 開(午後3時15分)
9 閉会中継続調査申出案件の決定
10 閉 会
(主な質疑)
《議案質疑》
なし
《請願関係》
【委員】
請願第13号愛知県に「学校給食無償化補助金」の創設を求めるについて賛成の立場から意見を述べる。
今、全国各地で学校給食無償化が進んでいる。本県では12の自治体が無償化を行い、うち9自治体が期限付きとなっている。
学校給食は単なる食事ではない。学校給食法では食育の推進を図ることを目的とすると明記され、学習指導要領では給食の時間における指導を重要な学校教育活動と位置づけている。紛れもなく学校給食は教育の一環である。憲法第26条は、義務教育はこれを無償とすると規定しており、学校給食も無償とすべきである。
東海北陸7県議会議長会は、食育に必要不可欠な学校給食で、義務教育の段階でも無償とすることが望ましいと国に対して学校給食無償化制度の構築を求める要望を提出している。本来、国が学校給食無償化を行うことが必要であるが、国が動かないのであれば、本県で無償化を進めていくべきである。
今回提出された請願に加え、先ほどの口頭陳情の中でも紹介されていたが、先日大村秀章知事と教育長宛てに5,613筆の署名が県民の声として集められ、提出されている。この一筆一筆は、学校給食無償化を望む声である。学校給食が子供たちの成長に役立っている、食材費の高騰で値上げの動きが続いている、来年は補助もなくなり、値上げが保護者負担になるのではないかという声が寄せられている。
頑張っている自治体を応援し本県が補助金を出すことは、本県予算の1パーセントで十分実現可能である。学校給食は子供の成長発達を支える大切なものであり、子供たちの健やかな成長を保障するためにも学校給食無償化の推進を求め、賛成の意見とする。
<委員外議員発言>
【議員】
請願9号小中高生の新型コロナワクチン接種後体調不良者への合理的配慮について発言と質疑を行う。
コロナワクチンの接種開始後、先日の本会議でも発言したように、国内だけで30万人が既に亡くなっている。そのことについて、指名質問を2回したにもかかわらず、牧野利香副知事は答えなかった。そのことからも、ただ事ではないことがこの国で現実に起きている。
今回の請願のポイントとしては、請願項目の2番、医師から診断書が出せないことである。医師がそもそもワクチンとの因果関係を疑わず、また自分がワクチンを接種したため報告書やカルテを開示したくないため認めない。さらに治療法が確立されてない、よく分からない遺伝子注射であり、7回目のワクチンはマウスでしか実験してないようなワクチンを日本人だけ接種開始されている。他の6回目までも同様である。
治療法も確立されていないようなものを推進している中で、小中学校や教育委員会、学校にも問題があった。学校内の同調圧力で、例えばホームルームでワクチンを打ったかどうかなど、子供のプライバシーに関わることをわざわざ表沙汰にする形にして打たざるを得ない状況を作った学校の先生も、ワクチンを接種してから体調不良者が多く出ていることは、承知のとおりである。
思いやりといって打たせた後に、医療現場では治療法も手探りで進められている中で、子供たちが長期の療養を余儀なくされている状態であることは学校現場にも責任がある。医療的な知見が何もない教育委員会や学校が、コロナワクチンの推進に加担したのである。教育現場の信頼が大きく失墜している。不登校が増えるのも当然である。
本県の教育委員会にも多くの請願が出てきたと思う。マスクやワクチンの強要をしないで欲しいと、教育現場の改善を求める請願が愛知県教育委員会会議にも多く出ているはずである。
請願要旨の第1段落にあるとおり、高校生の場合は、学校ごとに対応が分かれて、学校自治の中で、学校長の権限で様々な対応をとることはよいことだとは思うが、コロナワクチン接種後に、高校を中退せざるを得ないなどの体調不良になった子供に対し、配慮されていない学校が現実にあるのか伺う。
【理事者】
5月に感染症の扱いが変わり、以前はコロナに起因する欠席への配慮はされていた。これ以降の欠席の取り扱いは、通常の欠席になっているが、体調不良で学校に来ることができない生徒については、校長や学校側で確認ができれば、例えばオンラインで授業を行う等が認められており、そういった配慮をしている。
【議員】
本年の5月7日以前は出席停止としていたとのことでよいか。その扱いがどう変化したのか。
【理事者】
出席停止についてであるが、5月7日以前は学校保健安全法に基づき、感染症のまん延防止の観点から出席停止としていた。
5月8日以降は、感染症法上の分類が2類から5類に引き下げられたことを受け、文部科学省から、出席停止扱いしないとする通知が来ているため、現在は出席停止とはならない。
【議員】
今説明のあったところが大変問題である。5月7日以前は、ワクチンを打った後に体調不良になった場合は出席停止であったため、いわゆる公休のような形となり、欠席扱いにはなっていなかった。
ところが、今回のワクチンを打つと、血栓ができたり免疫不全となることで、副作用が長期にわたって続き、ギラン・バレー症候群などの難病状態となる人が多く出ている。治療法も確立されていないため、5月8日から5類となっても、ワクチンの後遺症がなくなるわけではない。思いやりといってやむなく打たされた人が、なぜ5月8日以降は病欠と書かれるのか。いまだに皆勤賞や内申点への影響を気にする人もいる。病欠では、例えば高校入学試験の面接のときに、病弱という印象を与えかねない。そういったことに対しての配慮を、教育委員会として実施していかねばならない。現実的にそのような子供たちが多くいる。
《一般質問》
【委員】
熱中症対策について、全国的に年々暑さが厳しくなってきており、今年度名古屋市では最高気温が30度を超える真夏日が年間90日を超え、過去最多を更新した。それに伴い、熱中症となる人が増加している。
独立行政法人日本スポーツ振興センターによると、2021年度に学校で起きた熱中症の総数は2,595件、小学校では264件だが、部活動が始まる中学生になると急に増加し、中学校は996件、高校では1,289件とのことである。この数字は、医療費が給付された疾病の件数のため、全国的に熱中症にかかった児童生徒の実数はこれよりも多いと思われる。
本県教育委員会に報告された熱中症事故の件数と現在の取組について伺う。
【理事者】
まず、熱中症事故の件数についてであるが、熱中症により生徒が救急搬送された場合は、重大事故として学校からの報告を求めている。昨年度の報告は小学校が1件で、中学校、高校、特別支援学校からの報告はなかった。今年度は、中学校からの報告が1件あった。
次に、熱中症予防に関する現在の取組であるが、県教育委員会では2020年に熱中症予防に向けたガイドラインを策定し、県立高校と特別支援学校、市町村教育委員会に通知している。
県のガイドラインでは、体育の授業や体を動かす学校行事等を実施する判断の目安として、暑さ指数が31度以上の場合は中止や延期、活動場所や活動内容の変更などを各学校で検討することとしている。
また、活動中の対応では、各学校の実情に応じた熱中症対策として、給水を指示する、涼しい場所で一定時間休養する、児童生徒の健康状態を確認することなどとしている。
さらに、新規採用者や採用5年目以上の中堅教員、臨時的任用の養護教諭、体育や運動部活動の担当教員、学校安全の担当教員を対象とした各研修会で、毎年、熱中症対策について学んでいる。
加えて、今年度は特に暑さが厳しかったため、市町村教育委員会や県立高校と特別支援学校に対し、熱中症防止に向けた知事からのメッセージを含め、7回にわたって通知を発出し、注意喚起を図った。
【委員】
次に、熱中症対策に向けた今後の取組について伺う。
【理事者】
近年は、夏の暑さが以前よりも厳しくなっているため、研修などを通じ、熱中症予防に向けたガイドラインのさらなる周知を図るとともに、ガイドラインに沿った適切な対応がされているかを、学校訪問のときに確認していく。
また、県教育委員会で、国の対応方針や、他都道府県で発生した熱中症による重大事故の事例と対策に関する情報を集約し、校長、教頭や市町村の学校安全担当の指導主事が集まる会議等で紹介するとともに、必要な情報が各学校で共有されるよう、体育や運動部活動の担当教員を対象とする研修の内容を充実させる。
【委員】
国や他都道府県の動きの情報収集を行い、学校に情報を提供していくとのことであるが、山形県米沢市で、今年の7月28日に、部活動の帰宅途中に中学1年生の生徒が熱中症の疑いで倒れ、搬送先の病院で死亡する事案が発生した。また、今年の8月22日にも、北海道伊達市において、小学校2年生の児童が体育の授業後に熱中症と見られる症状で死亡する事案も発生している。この日の学校側は、環境省が発表する暑さ指数が、同市で午前9時から危険となる31度以上になっていることにも気付いておらず、体育の授業開始後に気温が上昇したため、授業を20分早く切り上げたが、児童は教室に戻る途中で倒れ、搬送先の病院で亡くなったとのことである。
環境省が発表する暑さ指数31度以上の場合の体育の授業や部活動に関し、今後、県教育委員会として見直しを検討していくのか。
【理事者】
県教育委員会の熱中症予防に向けたガイドラインでは、暑さ指数が31度以上の場合、運動については中止や延期、活動場所や活動内容の変更等を検討することとしている。
熱中症の発症リスクは個人差が大きく、運動強度や競技特性も大きく関係するものであるため、暑さ指数が高い場合の体育の授業や部活動については、児童生徒一人一人の体力差や健康状態、運動することや暑さに慣れているかなど、様々な要素を踏まえて判断する必要がある。
県教育委員会は、一律の対応を指示するのではなく、児童生徒の状況等を踏まえ、健康と安全の確保を最優先に各学校で判断を行うようにしている。
今後、現在の熱中症警戒アラートが熱中症警戒情報として法律に位置付けられるとともに、より深刻な健康被害が発生し得る極端な高温時に備え、新たに熱中症特別警戒情報が創設されると聞いているので、国の動きを踏まえて対応を検討していきたい。
【委員】
これだけ異常なほど連日猛暑日が続く中での体育の授業や部活動は、私の周りの子供を通わせている親からも、県教育委員会として何らかの基準を設け、体育の授業や部活動の練習中止の明確な判断基準を学校側へ通知してほしいという声が多くある。
部活動の場合、夏の大会の練習が思うようにできずに試合に挑むことがあるかもしれないが、それよりも、社会の宝であり、この愛知県の次世代を担っていく子供たちから熱中症死亡事故による危険なリスクを事前に取り除くことが重要だと感じている。
また、三重県教育委員会では、今年の7月28日に山形県米沢市で発生した中学1年生の生徒が部活動からの帰宅途中に熱中症の疑いで死亡した事件について、8月4日に気温や湿度から算出する暑さ指数が体育の授業や部活動などの場所で31度以上の場合は例外なく運動を中止するよう県立高校と特別支援学校に通知し、市町の教育委員会にも通知を共有し、熱中症による事故防止の徹底を求めたと報道があった。
愛知県内で、児童生徒たちに1人でも熱中症による死亡事故が起きてしまってからでは問題である。いろいろと課題はあると思うが、子供たちの命を最優先と捉え、将来ある大切な子供たちの命を守るためにも、来年の夏に向け、暑さ指数31度以上の場合は体育の授業や部活動を例外なく中止するなどの基準づくりを、県教育委員会としても今後ぜひ検討してほしい。
【委員】
成人年齢引下げによるトラブルリスク回避の取組について伺う。
これまでも委員会の中で触れられた内容だと認識しているが、昨年の4月1日から、成人年齢が18歳に引き下げられ、親の同意なしで本人が契約でき、未成年者取消権の行使ができなくなった。これまでも契約をめぐるトラブルが懸念されているが、2020年1月に消費者庁が作成した消費者教育教材の社会への扉を活用しながら授業の中で教育を実施し、推進してきているが、成人年齢が引下げられてから1年半が経過し、様々な特殊詐欺の犯罪手口も変化しながら被害件数が増加している状況で、高校生についても、トラブル防止に向け継続して意識づけをしていくことが大変重要だと考えている。
そのような状況の中で、高校生のトラブル状況を把握することは、生徒のプライバシーにあたり大変難しいが、フォローするためには、早期発見が必要であると考える。トラブルの状況を、どのように把握しているのか。
【理事者】
県立高校の生徒が消費者トラブルに巻き込まれた件数は、県教育委員会として直接把握していないが、県民文化局県民生活課が、愛知県と市町村の消費生活相談窓口に寄せられた相談件数を集約して、年代別にまとめている。2022年度の集計によると、新たに成人となった18歳と19歳からの相談では、エステティックサービスや化粧品の契約や解約に関する相談、アダルトサイトなどからの高額請求に関する相談、異性交際関連サービスに関する相談などが多く、相談件数は18歳が220件、19歳が314件となっている。
【委員】
これまでの教育についても、ある工科高校を視察した際、1年に1回、新年度のスタート時点で、教育という形で時間を使って進めているという話を聞き、先ほど言った意識づけをどのように繰り返していくのかが本当に重要な対策である。愛知県として、教育の指導について、どのような教育内容で、どのようなスケジュール感を持って指導しているのか。
【理事者】
県立高校においては、全ての生徒が2年生までに学ぶ科目である公共と家庭基礎の授業を中心として消費者教育が行われており、これらの科目の中で、自立した消費者の育成や若者の消費者被害防止を目指した教育を行っている。
公共の授業では、社会の仕組みを学ぶという観点から、売買契約や賃貸借契約といった契約の種類や契約に関する法律、行政が進める消費者保護の施策などを学んでいる。
家庭基礎の授業では、消費者の視点から、クーリングオフ制度や消費生活センターなどの消費者保護の仕組み、悪質商法や多重債務のような消費者問題の現状などについて、事例を通して学んでいる。
また、これらの授業では、教科書だけではなく、消費者庁や金融庁が作成した補助教材を使用し、より詳しく学んでいる。
さらに、こうした教科の授業に加えて、多くの高校では、就職や進学を控えた3年生を対象に、学校行事の講演会として、消費者トラブルの実態に詳しい消費生活相談員や弁護士などの実務経験者を講師に招き、実践的な内容の授業を行っている。
【委員】
様々な環境で生活している中で、お金に関するトラブルは、決して若い人だけではない。知り合いの息子さんが去年就職し、19歳になってから受け子で逮捕され、2年6か月の実刑判決となり、親が大変ショックを受けている。契約のトラブルを正していくと、借金が引き金になっていることまで見えてくる。そのような実例を考えると、若い人に、繰り返し教育していくことが必要になっている。
先ほど、多様な実例を用いて教育をしているという中に、手口が巧妙になるなど、犯罪が変化している中身もあると思うので、ぜひ、県警察の様々な実例も含め、本当に怖いことになっていくということを、教育現場にも取り入れ、トラブルに巻き込まれない教育を進めていくよう要望する。
【委員】
教員の働き方改革について伺う。
先日、地元の公立高校及び公立中学校の教員から、職場環境について相談を受けた。
その内容は本当に切実で、忙し過ぎて生徒一人一人と深く関わることができずに、生徒に対して申し訳ない気持ちでいっぱいであるという訴えがあり、この言葉は、非常に私の心に強く刺さった。実際に学校の近くを通ると、夜遅い時間になっても電気が点いている状況を見るが、どのような理由で教員が時間外に在校しているのか、主な理由を校種ごとに伺う。
【理事者】
時間外在校等時間の理由については、校務分掌、学習指導、生徒指導、部活動の四つに分けて把握している。校務分掌とは、教員が授業のほかに行う職務であり、時間割作成や入試準備等を行う業務、PTA活動や渉外を行う総務などがある。
時間外に在校している理由としては、小学校、中学校ともに、校務分掌が最も多い理由であり、次いで学習指導となっている。
高等学校では、校務分掌が最も多い理由で、次いで部活動となっており、特別支援学校では、学習指導が最も多く、次いで校務分掌となっている。
【委員】
次に、公立学校教員採用選考試験の志願倍率であるが、年々減少傾向にあると感じている。その要因は、職場の環境に起因するものと感じる。
大学の教育学部に通う息子が、その環境にいることで、かえって職場環境のマイナスイメージの情報が入ってくることもあり、一時期、このまま教員を目指すべきかどうか悩んでいた。
将来教員を目指そうとする若者や将来の教員確保に向けて、どのような取組をしているのか伺う。
【理事者】
毎年秋には、約40の大学を訪問し、大学1年生から3年生を対象に説明会を行い、教職の魅力を伝えている。それを踏まえ、春には大学4年生を対象に、県内3か所及び関東、関西の計5か所で、願書を用いて採用試験の説明会を行っている。この説明会では、現職の若手教員も参加し、現場感覚で教職の魅力を発信している。
また、高校生に向けては、教員の魅力紹介パンフレットを配布し、将来の職業選択に教員を選んでくれるよう啓発を行っている。
さらに、来年度からは、教員採用選考試験の実施時期を従来より前倒しして6月に実施するとともに、大学3年生も受験できるように変更し、志願者増に努める。
【委員】
多忙さに苦しんでいる教員や、将来教員を目指そうとする若者が夢に向かって真っすぐ頑張っていくためにも、実効性のある職場環境改善が必要だと考えている。職場環境の改善や教職の魅力を伝えるために、力を尽くしていると認識をしているが、働き方改革について、また、教員の魅力を発信するため、現状どのようなことをしているか、また、今後どのように進めていくのか。
【理事者】
働き方改革を進めることは喫緊の課題と捉えており、積極的に取り組んでいる。
各学校で実践している業務改善に向けた効果的な取組を取りまとめるとともに、働き方改革の先進校として周知している江南市立布袋小学校の実践例を合わせて全県に周知し、働き方改革を推進する。
また、民間委託による教員の勤務実態把握・分析事業を、2021年度は県立高校2校で、2022年度は20校で実施しており、取組内容や実践例をまとめた業務改善ハンドブックを各学校に配布している。今年度は、さらに小中学校、高校及び特別支援学校の全校種にこの事業を拡大して全20校で実施し、働き方改革に対する教職員の意識の向上及び業務改善に取り組む。また、モデル校以外でも、オンラインで参加できる体制を構築し、情報共有を図る。
時間外在校等時間の大きな理由の一つとなっている部活動については、部活動の地域移行、地域連携を進めるとともに、部活動ガイドラインの徹底を働きかける。
ほかにも、高等学校の入学者選抜におけるウェブ出願の導入や、デジタル採点システムの拡充に努めるなど、ICTによる業務改善を図る。
さらに今年度は、全県で土曜日又は日曜日の少なくともどちらか1日について、教員も児童生徒も完全休養日にするという目標を掲げ、各学校に啓発している。
今後もこのような取組を積み重ねるとともに、できることをさらに掘り起こしながら、働き方改革を実りあるものにしていく。
【委員】
先日委員会で視察した安城東高校は、今年度デジタル採点システムを県として試行的に導入した学校であり、それにより採点の手間が大きく削減されたとの実感を示していた。
このような即効性、実効性のあるものは積極的に拡充、導入し、また、全県で土曜日又は日曜日の少なくともどちらか1日を教員も児童も生徒も完全休養日にしていくという目標は、何としても実現してほしい。何より教員の実感が伴う、また、次世代の教育の担い手確保につながる働き方改革を力強く推し進めていくよう要望する。
【委員】
県立学校の施設の管理について伺う。
10月は各所でお祭りがあり、市民と交流を持ついい機会であるが、ある市民から、豊橋聾学校で雨漏りが大変ひどいという話を聞いた。
実際に一昨日見てきた。一昨日は晴れであったため、雨が降っている様子は見られなかったが、職員の話では雨が降った日にはバケツやタライを五つほど並べ、水が滴り落ちてくる状態とのことであった。
また聾学校ならではの事情であるが、遠くは新城市周辺の地域から豊橋に通っている子供もいるため寄宿舎があり、そこから約50人の子供が幼稚園から高校まで通っている。そのうち4人が、平日は寄宿舎で生活をして、土日になると家に帰る状況の中、中学生の女子生徒のベッドの上に雨漏り染みがあり、なぜこのような状況が放置されてきたのかがとても不思議に感じた。
県が管理する県立学校は、高等学校が150校、特別支援学校が32校で、合計182校あるが、その中から、様々な学校から施設の修繕の必要性や不具合の声が届けられると思う。どのように集約を図っているのか。
【理事者】
学校施設の維持修繕への要望については、毎年4月に各県立学校長宛てに修繕要望を調査している。今年度は4月10日に照会し、5月末の提出を依頼している。
各学校からは、整備が必要な箇所、理由、金額、整備を希望する時期について回答がある。このほか、漏水事故など、突発的な問題が生じた場合には、随時、学校からの要望が提出される。これらの要望については、学校ごとの整備内容を取りまとめ、一覧として集約している。
【委員】
集約した要望について、受領した教育委員会側は、現場の確認を行う等、集約結果をどのようにフォローしているのか。
【理事者】
各学校から集約した整備要望は、要望内容や添付された写真による確認を行っている。
その中で、児童生徒の安全確保をはじめ、学校運営上支障が生じるなど緊急性が高いと判断される場合は、学校への電話による聞き取りや、建築技師と共に学校での現地確認を実施し、要望内容を把握している。要望に対する学校への対応は、緊急性の高いものを優先しつつ、年間を通じて、順次学校からの要望に対して予算を配分している。
【委員】
その要望の優先順位について、例えば、A、B、Cのような判定基準があったとして、この要望は緊急性がないためこれはCである、これはBである、これは直ちに対応しなければならないためAであるなどの仕分けを実施していると思うが、優先順位はどのようにつけているのか、中でも緊急性の高い事案への対応について伺う。
【理事者】
学校からの様々な修繕要望のうち、優先順位が高いと考えるものについては、まず、外壁落下といった児童生徒の安全確保への対応や、教室の雨漏りや給排水管の漏水など、授業の実施や学校運営に支障が生じる事案への対応が考えられる。このような優先順位の高い事案のうち、給排水の漏水など、直ちに修繕を行う緊急性が高いものについては、速やかな対応を行っている。
また、外壁落下など修繕に時間を要する場合については、一旦、応急措置を行い、夏季休業中などの長期休業期間を活用するなど、学校の意向も踏まえながら、円滑な工事の実施に努めている。
【委員】
長寿命化推進事業費というのは、約117億円の大きな予算があり、その中で、県立学校182校では建物だけで3,200棟程度あり、今年度だけでも73棟の工事をやっている。
これは、以前にルール変更があったようであるが、今では新築され、30年経過後に大規模改造を実施し、更に30年後の60年目に長寿命化改修工事を実施し、そこから20年後の80年経過後に耐用年数が切れ、取り壊すといった状況である。私も県議会議員になってまだ5年目であるが、これは県独特の仕組みであると思う。
市議会議員であった当時、豊橋市では15年刻みであった。15年経過後に雨漏り改修を実施し、そこから15年経過後の30年目で大規模改修を実施、そこから15年経過後に雨漏り改修を実施し、さらに15年経過後の60年目で大規模改修を実施し、あと20年経過後に取り壊すようなルールであったが、全国的に長寿命化や老朽化の需要が大きく、県と市町村で大きく異なることは、市町村は国が改修費用の3分の1を補助する制度があるが、県にはそれがないため、繰り返し対応できないことであると思われる。市町村は、国の基準や補助金のタイミングに合わせて実施していることは私も心情では理解している。しかしながら、今、市町村でも、20年刻みに変更されており、改修が対応できないことで、期間が少しルーズになったが、30年刻みだけで改修を実施していくと、今年の当初予算のように76校の改修を実施することになる。
しかし、どうしても雨漏りや、急に改修が必要な箇所が発生することがあると思う。私は豊橋聾学校を訪問したため、対象を絞って言っているが、昨年1棟大規模改修を実施しており、その建物は綺麗になっている。改めて工事を設計すると大変なことになるため、なぜほかの建物についても、便乗して雨漏りなどの改修ができなかったのか。この聾学校は昨年から雨漏りしており、昨年も改修要望の書類を提出しているが、特に回答がなかったと言っていた。
そのため、学校ごとに写真付きで提出される改修要望のうち、答弁でもあったような、水漏れや外壁が崩れてくる可能性がある箇所は、緊急性が高いと分かっているため、現地を確認してほしい。私も寄宿舎を訪れて、遠くから通っている中学生の女の子が、親元を離れ、ハンデがあるからこそ寄宿舎に泊まらなければならない中で、どのような思いでこの雨染みを見ながら寝ているのかと想像すると、胸に迫るものがあった。
そのため、雨漏りや給水管の漏水だったら対応すると答弁があったが、このような現状が残されてしまっているのは事実である。一生懸命対応していると思っているが、この聾学校のように修繕の対象から漏れているところもある。予算がないから仕方がないかもしれないが、現場を見てもらえれば、補正予算を組んで対応すべきであるという気持ちになると思う。
そのような部分であれば、我々議員も応援しなければならないと思うので、予算がないからではなく、来年、統廃合でなくなってしまう学校であったとしても、また、半年後に閉校する学校であったとしても、雨漏りしているのであれば、ブルーシートでかぶせたりするなどの対策をして、閉校に向かうようにしてほしい。1年間も雨漏りしている中で、バケツを設置し続けることは、おかしいと思っているため、改善するよう要望する。
【委員】
熱中症対策と県立高校のエアコンに関するPTA負担と体育館へのエアコン設置について伺う。
年々夏の気温が上がり、猛暑が続いている。今年の夏は30度を超える暑い日が連日のようにあった。子供たちの命と健康を守る対応が必要である。
この夏、豊橋市内の県立高校を訪問して、熱中症対策について調査や懇談をした。暑さ指数計が各校に3か所配備され、活用されていた。保健室で毎日、数時間ごとに記録を取っている高校や、独自に増やし、指数計を8個、18個と配備した高校もあった。また、経口補水液の設置、授業中の水分補給の許可、スポットクーラーの積極的活用など、各高校で様々な努力をしていた。
県立高校への暑さ指数計の配備の状況と活用など、熱中症対策の現状と、県立高校と特別支援学校について、指数計を活用して部活動を中止した事例を伺う。
【理事者】
県教育委員会では、2020年に熱中症予防に向けたガイドラインを策定し、県立高校と特別支援学校、市町村教育委員会に知らせるとともに、全ての県立高校と特別支援学校に暑さ指数計を1台以上配備している。
県のガイドラインでは、体育の授業や体を動かす学校行事等についての判断の目安として、暑さ指数が31度以上の場合は中止や延期、活動場所や活動内容の変更等を各学校で検討するよう示している。
また、活動中の対応として、ガイドラインでは各学校の実情に応じた熱中症対策として、給水を指示する、涼しい場所で一定時間休養する、児童生徒の健康状態を確認することなどを示している。
今夏の、暑さ指数計を使用して部活などを中止した事例については、学校からの報告を求めていないため、状況を把握していない。
熱中症により生徒が救急搬送された事例については、重大事故として報告を求めており、本年は中学校からの報告が1件あったが、県立高校と特別支援学校からの報告はなかった。
【委員】
部活動中止の報告を求めていないとあったが、子供の健康と命に関わる大事な問題だと受け止め、県教育委員会として把握しなければならない問題である。
高校からは、エアコンの設置状況やPTA負担についても詳しく教えてもらった。熱中症対策に欠かせない学校のエアコンは、普通教室や特別教室で設置がおおむね完了していた。
しかし、PTA負担や保護者負担があることは問題である。これは学校によって大きな差があった。高校名は伏せるが、A高校では月々の負担が1,250円、B高校は910円、C高校は1,000円という負担額であった。
県立高校でのエアコンに関する保護者負担は、全県的にどの学校でも徴収されているのか。また、その金額について、平均額、最小額、最大額、保護者負担の総額が幾らになるのか、実態を伺う。
【理事者】
県立高校のエアコンについては、普通教室は2021年度から公費負担しているが、特別教室については、全日制課程では147校のうち138校、通信制を含む定時制高校では28校のうち18校について、保護者負担が発生している。
保護者費用負担については、各学校で設置している部屋数が異なるという状況はあるが、全日制高校では最大で1人当たり年額2万5,200円、最小額は年間800円、平均すると年間約9,500円となっている。
なお、年間800円の高校については、保護者が負担しているエアコンの設置部屋数が4部屋と、他校に比べて少なく、また、生徒数が比較的多いため、生徒1人当たりの負担額が安価となったと考えている。定時制高校では、1人当たりの最大額は年間3,800円、最小額は年間50円、平均すると年間約1,800円となっている。保護者負担の総額については、特別教室への設置率が約50パーセントという状況で、年間約8.9億円という状況である。
【委員】
実態として、かなり負担がある。
この夏に、東京都議会議員と交流する機会があり、高校に設置されているエアコンの保護者負担について、PTA負担があることを話題にしたが、都議会議員から、PTA負担とは何か、そのようなものは聞いたことがないと言われ、絶句した。
本県と同様に、エアコンに関する負担を保護者に求めている都道府県及び負担を求めていない都道府県はどこか。また、全国の状況についてどのように把握しているのか。
【理事者】
保護者が空調設備について経費を負担している全国の状況については、把握していない。
しかしながら、近隣の岐阜県、三重県、静岡県に確認したところ、普通教室については、静岡県が経費の一部を保護者が負担している。特別教室については、静岡県が本県同様に経費の一部を保護者が負担している。岐阜県と三重県については、普通教室及び特別教室ともに、PTAが設置したエアコンを公費化しているが、特別教室には全ての教室にエアコンは設置されていない。
最後に、体育館のエアコン整備については、いずれの県においても設置されていない。
【委員】
PTA負担をなくすために努力している県がある。
高校授業料の無償化が進められてきているが、教育に関する負担の軽減は、子育て支援策の大きなテーマでもあり、本県でも様々な努力がされてきている。そのような中で、いまだにエアコンに関する負担を保護者に求めていることは問題である。高校3年間で約3万円であり、負担は小さくない。電気料金の高騰も、物価高騰の中で大変気になっている。
また、学校における児童生徒及び職員の健康の保持増進を図ることを目的とした学校保健安全法第4条の規定に基づき、学校設置者は、当該学校の施設及び設備並びに管理運営体制の整備、その他の必要な措置を講ずるよう求めるものとするとされており、この法律は、財政上の措置についても国及び地方公共団体に求めている。
生徒を保護し、心身の健康と快適な学習環境を整備するのは、学校設置者の責務ではないのか。学校設置者の責務として、子供たちの安全、健康と命を守るという立場から、PTA負担を全てなくし、設置費用、維持費などの費用を県が責任を持つべきではないのか。
【理事者】
県立学校への空調整備については、2020年度には、特別支援学校の普通教室及び特別教室の設置を完了している。高校については、2021年度から普通教室の公費化による設置運用を開始している。また、今年度から2025年度までの3か年で、特別支援学校の体育館への空調設備を整備していく計画としている。
一方で、県立学校の施設整備については、老朽化が大きな課題となっており、長寿命化改修やトイレの環境改善に積極的に取り組んでいる。今後も、様々な取組を進めながら、子供たちの安全・安心な学校施設の維持管理に努める。
【委員】
名古屋市の市立高校では、特別教室も含めて、エアコンの保護者負担がなくなったと聞いている。豊橋市立の定時制高校では、エアコンの保護者負担がないとのことであり、このような負担があるのは県立高校だけではないのか。
また、あるコラムで、愛知県に特化したテーマではないが、PTA負担の問題について指摘しており、その中で、学校の設置者である自治体や教育行政が、学校の教育条件を整備するという役割を十分に果たしておらず、それを任意団体に頼って乗り切っていることが明らかであると言っている。エアコンなどの学校の整備については、県が責任や役割を果たすことが必要ではないのか。
【理事者】
県立高校についても公費化を進めているほか、特別支援学校についても順次整備しているところである。学校施設の維持管理については県の責務であると認識しているが、様々な状況を考慮しながら、今後も学校施設の維持管理を進めたい。
【委員】
県の責務であると認識していると答弁があったので、ぜひPTA負担をなくしてほしい。
先ほど、全国の状況について把握していないとのことであったが、ぜひ12月定例議会までに、全国の都道府県の現状を把握し、資料を提出してほしい。
【理事者】
全国の状況については、現在、県でエアコンを整備する計画はないが、必要に応じて確認ができればと考えている。
【委員】
調査し、資料提出してほしい。
エアコンの設置は、教室には設置が順次完了しているとあるが、体育館への設置についてはまだ行われていない。
県立高校への調査の中で、各高校の体育館や武道場での、大型の扇風機の設置状況を現地で確認した。努力をしていても不十分であり、体育館へのエアコン設置も、急務であると実感している。
県立高校の体育館にエアコンを設置するために必要な予算規模を伺う。また、県の責任で体育館へのエアコン設置もぜひ進めてほしいと考えるが、どうか。
【理事者】
今年度から実施している特別支援学校の体育館へのエアコンの設置状況と同様の考え方で、高校の体育館への設置経費及び運営経費を算出したところ、13年間のリース方式の場合、年間で約11億円、13年間では合計約142億円と試算している。
体育館等へのエアコンについて、昨年度、国の調査結果によれば、公立高校の設置率はスポットクーラーの設置も含め、全国平均8.1パーセントであった。また、高校生と比べ、体格や体力が弱い小中学校では全国平均11.9パーセント、愛知県内では約7.8パーセントにとどまっている。
また、県立学校については、老朽化対策として、長寿命化改修に毎年100億円を超える事業費で取り組んでいる。これらの状況を考えると、県立高校の体育館へのエアコン設置をすぐに進めていくということは難しい。他県や県内小中学校への設置状況も踏まえながら考えていく必要がある。
【委員】
体育館へのエアコン設置も進めるよう要望する。
次に、夏の部活動の大会の在り方について伺う。猛暑が続く中、夏の甲子園では、30人の選手が熱中症と見られる症状を訴えたという報道があった。7月には、山形県で部活動を終えた中学生が、熱中症と見られる症状で搬送され、亡くなるという大変痛ましい問題が発生した。猛暑日が続く中で、夏の活動について、従来どおりではなく、命を守る対応を本気で考えるときである。
訪問調査では、各高校で、割り切った判断や柔軟な対応で、部活の中止、練習時間の短縮、少しでも涼しい早朝などに集中して練習するなどの対応が行われていることが判明した。
ところが、様々な競技団体の大会運営については、主催者側の意向が重視され、なかなか学校から意見を述べることは難しいと聞いた。個々の学校だけでは対抗し切れない問題であり、県教育委員会としてアクションを起こす必要があると感じている。
年々暑さが厳しくなる中、真夏に行われる各種の大会について、中止や他の季節への移行などの判断を行うよう、大会主催者に働きかけるべきではないのか。同時に、部活動についても、連日暑い日が続いているため、子供たちの命や健康を守る立場に立つと、夏の活動日数を減らすなどの対策を学校現場でも行う必要があると考えるが、どうか。
【理事者】
近年、夏場の気温が非常に高くなっているため、大会を主催する公益財団法人全国高等学校体育連盟や公益財団法人高等学校野球連盟などの団体では、試合途中での給水やクーリングタイムを設けるなど、各種目の特性等を考えた熱中症対策を行いながら大会が運営されている。
部活動の全国大会などは、連続した大会日程の確保や選手の移動日数も必要となるため、夏休みや春休みなどの長期休業中で実施されている。県大会や各地区の予選は、全国大会の日程に合わせて実施されているため、部活動の大会を他の季節に移すことは容易ではなく、学生スポーツの在り方に関わる全国的な議論が必要であると認識している。
また、熱中症の発症リスクは、児童生徒一人一人の体力差や健康状態、運動することや暑さに慣れているかなどの個人差が大きく、運動強度や競技特性も大きく関係している。
さらに、7月や8月に大会が開催されている実情があり、練習しないまま出場することは、かえって危険を招くと考えられるため、県教育委員会としては、夏の間の活動日数を一律に制限するのではなく、各学校が児童生徒の状況等を参考にして、健康と安全の確保を十分考慮した上で、適切な活動日数や内容を計画するよう指導していく。
【委員】
子供たちの命が失われてからでは遅いため、真剣に考えてほしい。地球温暖化を放置しておくと、本当に部活ができなくなる。長野県白馬村の高校生が、スキーができなくなると行動を起こし、村は白馬村気候非常事態宣言を実施した。静岡県のある高校では、野球部員が率先して、このまま温暖化が進むと大好きな野球ができなくなってしまうと行動を起こした。
子供たちの命と健康に大きな責任を持つその立場から、熱中症対策に取り組むとともに、この問題の根本を子供たちと一緒に考えていく教育を実施するよう要望する。
次に、教育実習や教育現場について伺う。
まず、教育実習の深刻な状況の改善についてである。6月定例議会でも質問した教育実習生の苛酷な現場の実態について改善を求め、引き続き質問する。
この問題は、日本民主青年同盟愛知県委員会のアンケートから明らかになった。国会では、我が党の本村伸子議員も取り上げ、文部科学省から通知が出たという経過がある。
しかし、その後、改善が進んでいないのが実態である。1か月の勤務時間を計算すると、過労死ラインになる勤務時間であった。子供は好きだが、苛酷さで諦めてしまう、自分には到底ついていけない、実習で事前面談した先生が元気がなく、過労で体調を崩していたと知り、自分も同じようになるのではないかと不安になったという声が、日本民主青年同盟のアンケートに寄せられている。
また、そのアンケートの中で、中学校の実習で、実習指導が本来の勤務時間内に行われていたかとの問いに、はいの回答が38パーセントに対して、いいえの回答が62パーセントであり、本来の勤務時間が8時間半を超えて10時間、11時間と、勤務時間はあってないようなものであるという声も寄せられていた。
適切な時間の管理や勤務時間を正確に伝え、本来の勤務時間を超えることがないよう、現場に徹底してほしいと思うが、どうか。
【理事者】
令和5年3月29日付で文部科学省から発出された、教育実習等におけるハラスメントの防止及びその適切な対応等についてを受け、県教育委員会としても、県内の県立学校及び各市町村教育委員会に通知文書を発出するとともに、各学校に対しては、指導教員が教育実習生に対し、不適切な指導を行わないことや、教育実習生の過度な負担となるような指導を行わないよう、校長会等を通じて伝えている。
今後も、校長会等を通じて再度確認するとともに、教育実習受入れ事務打合せ会で、教育実習生への指導上の諸問題や、教育実習の内容等の課題について協議し、必要に応じて改善を図る。
【委員】
勤務時間を超過することがないように、伝達してほしい。
次に、ハラスメントやセクハラ防止について伺う。保育実習生へのハラスメント被害も深刻である。ある学生が、指導案の提出期限が指示されず、待っても教えてもらえなかったため、授業前日に提出したところ、遅過ぎる、実習生として対応がなってないと叱責されたという問題や、また、別の学生は、職員室の前で、他の実習生に一緒に帰るかと聞かれ、まだ帰れないと返答したところ、それが職員室で残業している先生の耳に入り、説教をされ泣かされた実習生がいたとの実態が寄せられている。
現場にハラスメントやセクハラの問題のテキストを配布するなど、ハラスメント防止についての周知徹底、また実習生が1人で悩まず、相談できる窓口の周知徹底について、具体的な県の取組を伺う。
【理事者】
ハラスメント防止に向けては、初任者研修や管理職研修等、様々な機会を捉え、全職員に対し周知徹底をしている。各学校に対しては、指導教員が教育実習生に対し、不適切な指導を行わないことや、教育実習生の過度な負担となるような指導を行わないよう、校長会等を通じて伝えるとともに、教育実習受入れ事務打合せ会で、教育実習生への指導上の諸問題や教育実習の内容等の課題について協議し、必要に応じて改善を図っていく。
ハラスメントや時間管理の問題が教育実習生から寄せられた場合、教育実習生が在学する大学を通じて県教育委員会に伝達することを事務打合せ会で再度確認し、引き続き必要な改善を行っていく。
【委員】
学生に1人で悩まず、相談場所があることを周知するよう要望する。学生の救済に力を尽くしてほしい。
前回、教育実習生の現状を質問した際、県が教育実習生の勤務上の諸問題や教育実習の内容等の課題について、共通認識を持っており、大学からはそれほど深刻なケースがあるとは聞いていないという答弁であった。しかし、大学と教育委員会が年1回行う打合せで、実習生の力量を超える指導や、指導教員と実習生のコミュニケーション不足から良好な関係が築けなかった事例があると聞いた。具体的には、授業時間の多い教材を、初めから終わりまで指導案を書いて実習授業をさせることは勉強になるが、他教科などの実習授業を考えると負担が大きく、指導案を書くだけで毎日眠れない状況が続き、指導教官と関係をうまく築くことができず、気まずい思いで実習期間を過ごした学生がいるなど、実習生の力量以上の過大な指導内容と思われる事例があり、今後教員を目指す情熱を失いかねないと心配しているとのことである。これらは十分深刻なケースであり、県の認識は不十分ではないかと考える。県として丁寧に実態を把握する調査が必要ではないのか。
学生の救済のために改善を行い、教育実習の経験から教員になることを諦める学生をなくしていくべきと考えるが、教育委員会としての改善の姿勢や決意を伺う。
【理事者】
教育実習生への指導上の諸問題や教育実習の内容等の課題については、各大学から寄せられた声を基に十分把握しており、教育実習受入れ事務打合せ会で共有し、必要に応じて改善を図っている。
各学校に対しては、指導教員が教育実習生に対し、実習の悩みなどを丁寧に聞くなど、適切なコミュニケーションを取りながら指導を行うよう、校長会等を通じて伝達していく。
【委員】
前回も調査を求めたが、今回も調査をしない。まだ改善されておらず、実際に学生が被害に遭っている。私が今述べたのは、学生の生の声である。教育実習生たちは、子供たちと接することが好きで、一緒に子供たちを育て、学んでいくことを夢見ており、そのような実習生にとって、教育実習は大切な学びの場である。
先日参加したあるシンポジウムにおいても、学校現場の教員から、鍛錬主義というような、我慢させ、ふるいにかけた人間でないと駄目であるという思想が膠着し、それが再生産されて、ハラスメントが起こりやすい土壌が学校につくられているが、このような状況では駄目だと気づかされた、という声を聞いた。
未来の学校教育を担う若者が諦めるのではなく、教育環境の改善も同時に図りながら、若い人が希望を持てるように、積極的に取り組んでいくよう要望する。
採用試験の前倒しの問題について伺う。
本県の教員採用試験の来年度の日程が6月15日に変更になったとあるが、日程変更の経過について伺う。
【理事者】
令和5年5月31日に、文部科学省から全都道府県に対して、来年度の教員採用選考試験の第一次試験の実施を、6月16日を一つの目安として前倒しすることや、試験の複数回実施についても取組を進めるようにとの提示があった。これを受け、県教育委員会で検討し、第一次試験の実施時期を、来年度については、従来の7月から6月15日に前倒すことや、大学3年生等に第一次試験の受験機会を与え、学生の受験機会を増やすことを決定し、7月31日に記者発表した。
【委員】
日程がそのような経過で変更されたことについて、現場からは戸惑いの声が寄せられている。学生からは、教育実習の日程との関係で余裕がなく、実習直後の試験では、実習と採用試験、どちらも集中できないのではないかという声がある。
学生に新たな負担が発生しないよう、ゆとりを持った日程調整が必要である。教育実習から採用試験までの日程の間隔について、どのような検討が行われているのか。
【理事者】
文部科学省が5月31日に全都道府県に発出した公立学校教員採用選考試験の早期化・複数回実施等についての中で、教育実習については、学生が適切な時期に教育実習等を行うことができるよう、管内の市町村教育委員会や学校に、柔軟な実習受入れの理解を求めるとともに、協力を依頼することが必要であると述べられている。
令和6年度実施の教育実習については、開始時期を現在より前倒しするなど、教育実習修了日から採用試験日までに時間的な余裕ができるように配慮することを、県内各大学及び各学校に対し依頼し、調整を進めている。
【委員】
教育実習との関係では、現場とも調整を行っているとあったが、臨時教員からも教育現場で働きながらこの日程は無理があると不安の声が寄せられている。6月は子供たちと向き合う大事な時期であるほか、行事や部活動、定期試験と立て込んでいるため、採用試験の勉強をしながら実習を行えるものではない。6月はテスト作成や授業準備で忙しい中で、試験勉強の追い込みは大変であり、現場で既に働いている人にとってはつらい日程であるとともに、従来どおり夏季休暇の試験を実施してほしいという声である。
現場を経験した臨時教員は大事な即戦力である。文部科学省が教員採用試験の早期化に当たって、臨時講師を勤めながら受験する人への配慮を自治体に求めているため、臨時教員は別の日程で行えるようにするなどの配慮が必要だと思うが、どうか。
【理事者】
文部科学省が5月31日に全都道府県に発出した公立学校教員採用選考試験の早期化・複数回実施等についての中で、臨時講師等を勤めながら受験する人への配慮について、教員採用選考試験の1次試験合格者等に対しては、翌年度の当該試験の免除や、教職経験者を対象とした現職教員としての経験を適切に評価する特別選考の導入、活用等の例を示している。
本県では、既に前年度の選考試験を受験し、選考結果が補欠であった人には、第1次試験の教職教養を免除しているほか、講師経験者には、条件により第1次試験の教職教養または第1次試験の全てを免除するなどの負担軽減を実施している。
なお、臨時教員の試験を別の日程で行うことについては、一般の受験者との公平性の観点から、実施は困難であると考えている。
【委員】
来年度の教員採用試験の早期化に当たって、教育実習や学校の教育活動、受験する臨時教員へ大きな負担とならないように、早期化ありきだけではなく、現場の声をぜひ聞いた上で検討してほしい。
続いて、臨時教員の1次試験免除の基準についてである。愛知県は、ある一定の教員経験がある者について、1次試験を全て免除するとの制度変更を行った。これは、教員として職務経験を適切に評価してほしいといった臨時教員の声に応えたものであり、現場から歓迎の声がある。
しかし、その1次試験免除の基準が明らかにされていない。ある臨時教員が校長に推薦書の記入を依頼したところ、4月に新しく着任したあなたの推薦書は書けないと断られた。理由が分からず納得できない、1次試験免除の基準を教えてほしい、講師経験者特別選考を受験する人が全員1次免除としてほしい、私は1次免除にならず不満という声が寄せられている。
教員不足解消に向け、正規教員を大幅に増やすことが現場から求められており、学校現場で既に勤務実績がある臨時教員の正規採用化も必要である。そこで、当事者の声を受け止めて、1次試験免除の基準を明らかにし、即戦力である臨時教員の正規採用の促進へ、特別選考の資格要件を持つ全ての教職員経験者の1次試験を免除すべきと考えるが、どうか。
【理事者】
元教諭・講師経験者特別選考の1次試験免除については、元教諭としての勤務実績または講師経験者としての勤務実績が3年以上あり、令和5年4月1日以降に名古屋市立学校を除く愛知県内の公立学校の職員として勤務している人で、所属長及び市町村教育委員会教育長が、人物、能力ともに採用試験の受験案内に記載のある、愛知が求める教師像にふさわしい人として推薦を得られた人としている。特別選考については様々な種類があり、その内容によっては、1次試験の受験科目である教科専門や小論文を、受験者を正規教員として採用するに当たり、重要な判断材料としているため、教職教養に加え、それらの科目も免除するか否かは慎重に判断する必要がある。
【委員】
今、教員不足が深刻な事態になっている。現場は常に悲鳴を上げ、子供たちの学ぶ権利も侵害されている状況であるため、現場で経験を積んだ臨時教員の正規採用化も、現場から求められている声である。
学校教員の教員不足の解消に向け、他県でも採用枠を増やすなどの努力をしている県もあるため、ぜひ本県も積極的に教員の増員に向け、尽力するよう要望する。
続いて、アジア競技大会、アジアパラ競技大会について伺う。
大会の財政問題が改めてクローズアップされている。札幌市が2030年冬季五輪の招致を断念した。断念した理由は、東京五輪の汚職や談合事件などの不祥事で、市民に理解が広がらなかったためとしている。
アジア競技大会について、建設しないと決定したはずの選手村について、アジア・オリンピック委員会から設置を求める意見が出ているとの時事通信の報道があった。
今年3月、大会組織委員会は選手村の整備を断念し、主催者であるアジア・オリンピック評議会(OCA)と協議すると発表し、6月にはOCAの視察も受け、理解を得たとしていた。ところが、複数の報道機関から、選手村を小規模ながら設ける方針に再度変更した、ホテルなど既存の宿泊施設を活用する原則は維持するが、病院や娯楽施設といった選手へのサービス機能を中心に選手村を運営する見込みであることや、OCAから設置を求める意見が出たことを受け、小規模な形での実現へ模索を続けるとの情報が相次いで流れた。
6月定例議会で、アジア競技大会は、国や競技種目を超えたアスリートの交流を通し、友情と平和の促進を図る点に特徴があり、交流の場として選手村がないとすれば、この友情と平和の促進、選手同士の交流の場を組織委員会として準備しなくてよいのかと質問し、当局からは、選手同士が交流できる場を確保するよう検討が進められていると答弁があった。
選手村を整備しないことで、大会主催者とは合意できているのか。知事が選手村は整備しないと述べた方針に変更はないのか。選手同士が交流できる場として、選手村機能の検討を具体化すると理解してよいか伺う。
【理事者】
選手村については、本年3月に開催された組織委員会理事会で、多額の整備費を要する選手村の施設整備は行わず、ホテル等の既存施設を活用する方針を示しており、現在もその方針に変更はない。ホテル等の既存施設を活用することについては、6月に実施されたOCAによる現地視察で、おおむね理解を得ており、また、7月に開催されたOCA総会で、選手村の整備は行わず、ホテル等の既存施設の活用について説明した。引き続き、OCAとは、ホテル等の既存施設を活用して必要な選手村機能を確保することについて協議を進めていく。
なお、選手同士の交流については、愛知・名古屋の文化を紹介しながら、選手同士が交流できる場を確保するよう、組織委員会で引き続き検討を進めている。
【委員】
方針に変わりがないことを確認した。心配なのは、杭州のアジア大会を視察した組織委員会の職員から、選手村も視察しその豪華さに驚いた、これまでのサービスと遜色のないものにしないといけないが難しいという感想があり、国家の威信をかけて開催される中国での大会の豪華さに引きずられてはいけないと考える。
愛知では、簡素で効率的な大会運営を進めるという基本方針を堅持すべきと思うが、いかがか。
【理事者】
愛知・名古屋でのアジア競技大会・アジアパラ競技大会は、華美過大なスポーツ大会とするのではなく、既存施設を有効活用するなど、あらゆる工夫をすることで経費の抑制を図る。
引き続き、簡素で合理的、機能的な大会運営を目指した開催準備を進めていく。
【委員】
大会の開催経費が大きく膨らむことに懸念が生じている。アジアパラ競技大会の開催経費が、当初発表した150億円から、200億円から230億円になる見込みとされ、アジア競技大会の開催経費についても850億円から増加してしまうのではないか。10月11日の中日新聞でも、開催費用の850億円を上回ることが確実視されているとの報道もある。私も増加するのではないかと心配している。
10月3日アジアパラ競技大会の開催都市契約が締結された。2022年3月の開催表明時点での財政計画は、アジア競技大会の競技会場や選手村の施設を共用することにより、アジアパラ競技大会に必要な追加経費として150億円を想定、アジア競技大会の850億円と合わせ、1,000億円を想定するとしていた。
アジアパラ競技大会の現時点での開催経費の見込額はいくらか。膨らんだ要因は何か、また、増加した経費をどのように捻出するのか、愛知県と名古屋市の負担割合は競技大会と同一なのか。
【理事者】
アジアパラ競技大会の開催経費は、アジア競技大会の競技会場等を共用し、追加経費として、200億円から230億円になると想定されている。
開催経費については、膨らんだのではなく、2022年3月28日の開催表明時に発表した追加経費の試算は、過去大会の実績等を参考にして行われた目安であり、その後、開催都市契約の締結に向けて、アジアパラリンピック委員会(APC)と協議する中で、新たに判明した事項や状況の変化があった。例えば、2022年3月の試算時には、警備や輸送を警察などが支援している状況が反映されておらず、仮設整備費も盛り込まれていなかった。
また、選手村の施設整備を取りやめたことによる影響を考慮する必要があることに加え、東京パラリンピックを参考にして、アクセシビリティーに求められる水準が向上していることから、バリアフリー対応等により仮設整備費の増加も予想される。さらに、昨今の物価高騰や労務費の上昇などの要素も加味して改めて積算を行い、9月8日の組織委員会理事会で、概算として示した。財源確保としては、宝くじやスポーツ振興くじ等の各種助成金、民間企業のスポンサー協賛金やチケット収入の確保、国への支援要請、競馬、競輪、競艇など公営競技における協賛レースの開催などを依頼したい。そのような財源の確保により、可能な限り行政負担を少なくしたいと考えている。
また、愛知県と名古屋市の負担割合については、アジア競技大会と同様に2対1である。
【委員】
アジアパラ競技大会を150億円としたのは、1年前の2022年であり、現在では5割増しとなっているが、今後も物価高騰などの様々な要因により、さらに膨らむのではないかと危惧している。
同様に、アジア競技大会についても伺う。アジア競技大会の開催経費が850億円と示されたのは、今から7年前の2016年であり、当時の資料を見ると、大会主催者負担経費として、運営経費440億円、競技大会会場仮設整備費110億円、選手村仮設整備費300億円、合計850億円が計上され、さらに経費の圧縮に努め、経費を精査するほか、入場料収入やスポンサー収入の確保に努め、行政負担の上限は600億円とし、愛知県400億円、名古屋市200億円の負担とするとしている。
しかし、この7年間で、物価高騰など大きな変化があり、また300億円の選手村構想も大きく変わっており、アジアパラ競技大会では約1.5倍の経費増である。アジア競技大会の開催経費は、現時点で幾らになる見込みか。行政負担の600億円、愛知県負担予定の400億円は、変更されないのか。また、経費削減に向けて努力してきたと思うが、当初見込みから圧縮できた経費について、どのようなものがあるのか伺う。
【理事者】
アジア競技大会の開催経費については、2016年の開催構想発表時の850億円から変更していない。また、そのうち行政負担は600億円で、愛知県負担分400億円についても変更の予定はない。
これまで行ってきた経費圧縮の主なものとしては、選手村仮設整備費を圧縮するため、名古屋競馬場跡地に設置する予定であった選手村の整備を取りやめ、ホテルなど既存の宿泊施設を活用する方針に切り替え、準備を進めていること、また、競技会場仮設整備費などを圧縮するため、水泳の競泳と飛び込み、馬術の会場を東京に変更するなどしてきた。
【委員】
大事なことであるため、850億円のうちの行政負担の600億円は変更なく、堅持することを再度確認したい。
【理事者】
簡素で合理的、機能的な大会運営により、予算の範囲内で収まるよう、組織委員会や名古屋市をはじめ、関係者と共に努力する。
【委員】
経費を賄う収入面の見通しについて伺う。
大会経費の850億円と行政負担600億円の差額250億円は、入場料収入やスポンサー収入等で確保するとあるが、東京五輪の汚職事件などで、企業の協賛意欲が低下し、スポンサー収入が苦しいと聞いた。250億円を確保する見通しがあるのか。
【理事者】
先月27日に、組織委員会がマーケティング代理店候補企業として、株式会社新東通信を代表企業とする4社で構成するコンソーシアムを決定した。株式会社新東通信は、地域団体や地元企業と結びつきを持っており、そのほかの3企業はいずれも国内大手企業で、それぞれに特色あるネットワークや、大規模スポーツ大会に関する経験や知見があり、この4社がうまく機能すれば、大きな成果が期待できると選定委員会でも評価されている。
今後、契約締結に向けて、代理店候補事業者と協議、調整を行う中で、こうした特色を生かした効果的なマーケティングの在り方を組織委員会で検討していく予定である。
そして、スポンサー協賛金やチケット収入の確保に努めるとともに、宝くじなどの各種助成金、公営競技による協賛レース開催などにより、250億円を確保できるように努めていく。
【委員】
6月定例議会では、観客数の見込みを伺ったが、そのとき答弁はなかった。入場料収入を見込むのであれば、有料観客数の見込みを示してほしい。
東京オリンピックの経費についてであるが、東京五輪の大会経費は、立候補時点の7,340億円が実際には1兆4,238億円と2倍に膨らみ、東京都の負担も1,538億円から5,965億円と、約4倍に膨らんだ。できる限り経費を抑えるとは言うが、経費の増大は避け難いのではないのか。
組織委員会と愛知県、名古屋市のアジア・アジアパラ競技大会推進議員連盟は、先日、国に支援を求めていくことを決議した。ところが、アジア競技大会については2018年、アジアパラ競技大会については2022年、それぞれ開催を認めた閣議了解の文章には、大会運営費は国によりいかなる負担も助成を行わないこと、国費以外により賄われるものとすること、特別の財政措置は講じないこととはっきり書かれている。国は金を出さないという二つの閣議了解について、知事も市長も大会が国に正式に認められたと歓迎のコメントは出しているが、財政支援がないことには触れていない。二つの国際的競技大会に、国が財政関与しないと決めたのはなぜか。
【理事者】
アジア競技大会は、1958年に第3回大会が東京で、1994年に第12回大会が広島で開催されており、2026年に愛知・名古屋で開催される第20回大会では、日本で開催される3度目のアジア競技大会となる。最終的には国が判断したものであるが、前回、第12回大会における閣議了解でも、新たな特別の財政措置は講じない旨、記載しており、愛知・名古屋大会についてもこれに倣い、同様の閣議了解を行ったと思われる。
【委員】
大会での県と市の負担の上限は変えないが、経費増も抑えてきており、収入不足が予想されるのはスポンサー収入で、その穴埋めを国に求めるのか。アジアパラ競技大会費用の一定割合を国に求めるのは多少理解するが、それであれば、計画段階で国の費用負担をきちんと位置づけておくべきであったのではないのか。収支が厳しくなりそうだから国に支援を依頼するでは問題である。国に支援を求めるのは、スポンサー収入の見込み違いを埋めるためなのか。国の支援が幾ら必要なのか。国の支援が受けられなくとも、二つの大会を開催できるのか。国の支援がないと県民に新たな負担を強いることにならないのか。
【理事者】
国に支援を求めるのは、見込み違いを埋めるものではない。平成23年に制定されたスポーツ基本法では、第27条で、国は国際競技大会の我が国への招致またはその開催が円滑になされるよう、環境の保全に留意しつつ、そのために社会的機運の醸成、当該招致または開催に必要な資金の確保、国際競技大会に参加する外国人の受入れ等に必要な特別な措置を講ずるものとしており、国際競技大会であるアジア・アジアパラ競技大会は、国にも支援してもらうことを要請している。また、最近では、東京パラリンピックで、国が4分の1の経費を負担していること、世界水泳選手権2023福岡大会にも、開催経費に多額の国補助金が投入されているため、アジア・アジアパラ競技大会についても国による財政支援を依頼したいと考えている。
国の支援が幾ら必要なのかという質問については、現時点では正確な数字を言うことはできないが、国からの支援により、県、市の行政負担が可能な限り少なくなるよう努める。
そして、国の支援が受けられなくとも大会を開催できるのか、もう一つ、国の支援がないと県民に新たな負担を強いることになるのかという質問については、今年6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針に、2026年アジア・アジアパラ競技大会が着実な準備を進める大規模国際大会の一つとして位置づけられたところであり、国でも、明確に両大会を国家的なプロジェクトとして推進していくべきものとされた。
国の支援を得ながら、県民に新たな負担を強いることがないよう、組織委員会や名古屋市をはじめとした様々な関係者と協力し、あらゆる方策を考え、開催資金の確保に努める。
【委員】
あらゆる方策も考えていきたいとのことであった。ぜひ負担を強いることがないようにしてほしい。先ほど述べたように、札幌市の招致断念があった。スポーツ大会だけでなく、大阪万博でも経費が膨らみ、地元と国の負担増をめぐり混迷を深めている。
大村秀章知事は、今年2月、選手村整備を断念したときに、東京オリンピックをめぐる様々な事件で公金が投入される大規模なスポーツ大会への世論は大変厳しくなっており、県民、市民の理解をもらいながら準備を進めていく必要があると述べた。今、その知事が国に公金投入を要請する事態となっている。県民に説明した結果、こんな負担増は認められないと県民の意思が示されれば、撤退や延期も選択肢に入れるべきではないのか。そのような緊張感も持ってほしい。
現時点で県民、市民の理解を得るために、二つの大会経費を、見通しについて透明性を高め、県民、市民に情報公開し、説明する考えがあるのか。
【理事者】
これまでも、選手村整備の取りやめや、一部の競技会場の変更、アジアパラ競技大会の開催経費など、大きな決定事項があれば、その都度、組織委員会の理事会や記者発表、ウェブページなどを通じて説明してきた。大会経費の見通しについても、引き続き県民に丁寧に説明していきたい。
【委員】
県民から歓迎される大会にするために、大会経費の負担も含めて、ぜひ情報公開をしてほしい。そして、アジア競技大会はスポーツにより友情を育んで、多様性を認め合うことを通じ、国際平和に関与する一大イベントである。平和と友好のかけ橋となる大会を、県民にとって負の遺産にならないようにしてほしい。
【委員】
子供たちの不登校の関係から、教員の休職や離職について伺う。
まずは、本県も、不登校に関して、2026年の4月、中高一貫校の不登校特例校が日進高校に開設されることで準備が進んでいると思うが、7月に不登校特例校の岐阜市立草潤中学校の学校見学会に参加してきた。
入りたい、通いたいと希望する生徒は多いようで、令和4年度の入学、新1年生10人ほどの募集に対して、2回あった学校説明会には、小学校6年生の60人ほどの参加があったと聞いている。10人に絞っていく過程では、まず、登校できていないが学習の意欲はある生徒を選ぶこと、基本的な条件として岐阜市内に住んでいることや保護者の協力も必須の条件として、入学してくる子供たちを受け入れるよう対応していると聞いた。
そこでは、基本的なポリシーとして、生徒のありのままを受け入れるというポリシーの下、例えば担任を生徒自身で選べる、基本的に生活の面倒を見る学級担任のような人はいるが、相談できる先生は自分が選ぶことができること、学び直しの場があること、また、学校に来たときには、授業を受ける教室や図書室など、今どこにいるかを自分でボードに貼り、居場所を示したうえで、自分で居場所を選ぶことができるなど、様々な工夫をした結果、草潤中学校は登校率が80パーセントになっている。80パーセントの内容は、例えば、自分は毎日登校するのは大変であるため、月曜日と火曜日は登校するが水曜日は自宅で勉強し、その後の木曜日と金曜日は登校するというように、学校に来なくても、自宅でオンラインで勉強することを含めた数字である。元々は不登校だった子供が、自分の居場所を見つけて登校できるようになってきていると聞いた。先生も様々な工夫をしている。一人一人の様子について、まず子供が登校したときに、今どのような気持ちなのかのボタンを押すなどにより、本人の気持ちを示し、先生もそれを受け入れながら、今日この子供にはどのように指導していくか、どのような受入れ方をしていくか工夫して、不登校の生徒たちに対応していることを学んだ。
全3学年で40人、1学年が十数人という受入れであった。このような現場を見て、効果があることを本県でも学んでほしいと思う。また、今度開設されるのは中高一貫校であり、他県でも、全日制普通科の不登校特例校もあり、例えば神奈川県や大阪府は、クリエイティブスクールという形で、発達障害の生徒たちを受け入れるために注力しているという学校もある。また、東京都などは、エンカレッジスクールという形で、習熟度別で少人数制にして、不登校の子供たちを受け入れるなど、様々な形で不登校特例校が作られていると感じた。
日進の高校に開設される全国初の中高一貫校の不登校特例校であるが、1学年40人という設定であると記されており、また、希望者が多かった場合には、何らかの選択をしていくことになると思う。
開校1年目の2026年から、中高各学年で、各40人ずつまでの入学希望者を受け入れるという準備段階の認識でよいか。
【理事者】
不登校特例校として開校する日進の中高一貫校における生徒募集については、中学校、高校の1年生をそれぞれ募集し、開校3年目に全ての学年がそろうことになる。
【委員】
順番に準備が進んでいくと理解した。
入学希望者数について、何らかの調査や想定を行っているのか。
【理事者】
入学希望者数の想定は、現時点では、全国の不登校特例校の在籍状況から見て、1学年20人程度ではないかと考えている。
【委員】
40人までは受け入れるが、1学年20人想定とのことで、余裕があると理解した。ただ、人数が40人いなければ、全ての希望する生徒を受け入れるのか、それとも、何らかのポリシーがあった上で、子供たちの受入れの考えを示していくのかも大事になっていく。指導方針や教育方針にも関係していくと思うが、今後の準備として、どのような生徒を受け入れていくのか、どのように環境整備していくのかが大事であるため、現段階での今後についての考えを伺う。
【理事者】
併設中学校に受け入れる生徒については、不登校経験のある児童を対象とする。
具体的には、年間30日以上欠席している児童や、保健室や校内支援教室、教育支援センター、いわゆる適応指導教室などに通っており、現在もその状況が続いている児童、また、不登校の傾向が見られると在籍校の校長が判断した児童などを対象とすることを検討している。
学びの環境としては、生徒が安心して、ゆとりを持って学ぶことができるよう、毎日の授業時間数を減らした特別の教育課程を編成する。
また、ICT環境を整備し、メタバースやVR等を活用したオンラインによる学習支援を検討する。教員の配置については、日進高校の併設中学校は、各学年1学級の3学級規模となるが、きめ細かな指導が行えるよう、6学級規模の教員を配置したい。
また、現在、日進高校で行っている特別支援学校との教員の人事交流を、併設中学校にも拡大したい。さらに、通級指導担当教員等の配置やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの常駐を検討していく。加えて、現在、総合教育センターで行っている教育相談の機能を日進高校内にも置くことを考えている。
中高6年間のゆとりある教育活動の中で、一人一人の生徒が自らの可能性を発見し、社会的に自立できるように育てたい。
【委員】
人的配置については充実した内容であり、機能的にもかなり手厚くなっていると思うが、中身も今後に向けて充実をさせてほしい。
次に、不登校に関して、夜間中学について伺う。夜間中学も、2025年4月に1校、2026年4月に3校開校する予定である。ただ、夜間中学校は、基本的に学齢期に学べなかった人の学び直しの場として設定されており、本会議でも質問があったが、外国人が多いとの想定があるほか、日本語の指導者を配置し、手厚く対応する状況であることは承知しているが、今の計画では、学齢期の不登校生徒も受け入れることになっている。
在籍校は今通っている居住区域の中学校で、そこから夜間学級に通う計画とのことである。まず、外国人生徒を中心に1学級10人程度の想定とのことであるが、学齢期の不登校の生徒は何人程度通う想定であるのか。
【理事者】
夜間中学は、主に学齢を超えた人を対象に考えている。学齢期の不登校生徒の受入れを行っている先行事例は全国的にも少ない状況であるが、類似例として、不登校特例校である夜間中学に在籍する学齢時の不登校生徒は数人と聞いているため、現時点では、各学校で数人程度を想定している。
【委員】
学齢期の不登校生徒を受け入れている学校の例は、香川県三豊市のことかと思うが、そこは不登校特例校にしているため、元の在籍校からは恐らく転校している状態だと思うため、そこで二、三人というのと、今の学校にいて、夜間中学に通う状態とでは少し違うと思う。
例えば、そこで勉強を教えてもらえるのであれば、塾の代わりに通うことも想定され、昼間には支援センターに行きづらいが夜であれば行きやすいことや、ほかの学年や大人もいるため、ふだんと違う雰囲気で行けることや、フリースクールの夜版のような形で行けると想定するが、県の考え方を伺う。
【理事者】
文部科学省は、不登校生徒に対する多様な教育機会を確保する観点から、生徒本人の希望を尊重した上で、在籍する中学校に籍を置いたまま、教育支援センターやフリースクールなどと同様に、夜間中学で学齢期の不登校生徒を受け入れることも可能であるとしている。
このような国の方針を参考に、本県の夜間中学では、在籍する中学校に籍を置いたまま学齢期の不登校生徒を受け入れる。
夜間中学では、学習状況に応じたコースを設定し、きめ細かく対応していくが、様々な年齢層の生徒と一緒に授業を受けることになる。その点で、フリースクールとは学びの在り方が異なると考えている。
【委員】
様々な学習コースを設置すると、それだけ教員も必要になる。誰が教えるのか。もともと想定している外国人に教えること、学びの機会をつくることや違う年齢層との人たちと不登校の子供が接して、何か学びを得ることはとても大事なことであり、否定するものではないが、丁寧に想定しなければならない。
不登校生徒の親は、子供が行けるところがないかと一生懸命探している状況であるほか、通信制は費用面もあり、公立で勉強を教えてもらえるとありがたいと思う気持ちなのではないか。恐らく三豊市の二、三人は、本県とは少し状況が違うと思う。メリットもあるが、様々な課題がある。
学齢期にある不登校生徒の立場、また、学齢期を超したもともとの夜間学校の生徒の立場、それから学校運営という立場で、それぞれ今どのような課題を認識しているのか。
【理事者】
まず、学齢期の不登校生徒にとっては、夜間に学ぶ点において生活のリズムが昼間の中学校とは異なると想定される。また、夜間中学には様々な年齢層の生徒が通うことになるため、多様な人たちと一緒に学ぶという環境に適応する必要がある。
次に、学齢期を超えた生徒にとっては、年齢の離れた学齢期の子供と一緒に学ぶことになる。もともと多様な背景を持つ人たちからなる学習集団であるが、よりコミュニケーションを取ることを大切にしていく必要がある。
そして、学校運営の面においては、学齢期の不登校生徒は、在籍する中学校に籍を置いたまま夜間中学に通うことになるため、在籍する中学校との連携を密にして、学習状況や学校生活の様子などについて、しっかりと情報共有し、それぞれの立場から生徒の成長を支援する関係をつくる必要がある。
また、夜間中学は、昼間の中学校とは異なり、午後5時ごろに登校し、午後9時ごろに下校することになるため、登下校時の安全確保にも配慮する必要がある。
【委員】
話を聞きながら、生徒指導面でもかなり心配だと思った。学齢期の子供と大人という経験値の差がある中で、きちんと見ていかないと、想定しなかったことも起こるのではと心配してしまう。そのように様々な課題がある学齢期の生徒の参加について、今後、対応をどのように進めていくのか。
【理事者】
学齢期の不登校生徒は、在籍する中学校に籍を置いた状態で、学びの場として夜間中学に通うことになるため、夜間中学で学び始める学年や時期は様々であり、年度当初から入ってくるわけではないと想定されるほか、1年生の最初に入学するだけではないため、修業年限などを定めることはないが、学齢期の不登校生徒が夜間中学で学ぶ場合には、受入れ前の相談で、その生徒に対して必要となる配慮や支援について丁寧に引継ぎを行うとともに、夜間中学での学習状況や学校生活の様子などについても情報を共有して、在籍する中学校と連携を密にして対応したい。
【委員】
今後の話になるが、夜間中学についての説明会は行うのか。
【理事者】
現時点の予定であるが、来年夏ごろから説明会を開催し、随時入学相談を受け付ける。
【委員】
入学相談ではなく、フリースクールと同様に通学してもよいと子供たちに説明する機会はあるのか。
【理事者】
現時点は考えていなかったが、そのような意見も踏まえて、今後検討していきたい。
【委員】
不登校の生徒がどこに居場所を見つけるのかについて、今考えている部分はあると思うが、その準備は様々な想定をしてほしい。
不登校に関して、また、学齢期を超えた子供たちに対して、様々な準備を進めていくことになるが、新たな県立高校や県立学校が次々と開校していく中での教員配置について伺う。現在でも学校の先生がいなくて大変であるという話が聞こえる。様々な主任を務めながら、年度途中から2年生の担任になり、明日も校外学習といった状況もある中で、義務教育の市町村立学校の先生が県立の学校に行き、様々な体験をすることは、メリットがあると思うが、教員不足という点では、本当に危機的な状況になっている。
先ほども不登校特例校は高校と中学が1年ずつ始まるとあったが、2028年の4月に中高一貫校の全体の受入れが終わることになるため、2024年度との比較で、増える教員数と、その中で、市町村からどれだけの教員を県立の学校に送ることになるのか。
【理事者】
中高一貫校の開校に伴う教員数の増であるが、開校初年度の教員数は学校規模のほか、学校運営上最低限必要となる教員数が加味されるため、1校当たり10人程度、第1次と第2次を合わせた併設型中高一貫校9校の合計で90人程度増えることになるが、開校2年目以降の教員数は、1学級増につき1人または2人の増となる。
3学年がそろう2028年度の教員数であるが、1校当たり15人から20人程度となり、9校の合計では、開校初年度の90人程度から140人程度になると想定している。この人数が、中高一貫校開校前の2024年度と比較して増えることとなる。この140人程度のうち、市町村立小中学校の教員は5割程度を想定している。
【理事者】
併せて、夜間中学の教員数についてである。夜間中学は、開校時から3学年それぞれの生徒を受け入れたいと考えているため、教員数は開校初年度から1校当たり10人程度、4校で40人程度になると想定している。このうち市町村立小中学校からの教員は5割程度を想定している。なお、様々なニーズに対応するために、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、外国人生徒教育支援員などの専門スタッフの配置を検討するとともに、若者・外国人未来塾を運営する団体など、各地域で日本語教室や学習支援を行っている団体のスタッフによる学習支援や、日本語初期指導にも取り組んでいきたい。
【委員】
中高一貫校と夜間中学も含めて5割ずつで、市町村立から90人程度行くという形になると思うが、現状でも教員不足の中でこれだけの教員をどのように配置していくのかと思うが、それぞれ大事な学校であり、新卒者ばかりを送り出すわけにはいかないとも思うため、これだけの教員の確保に当たっては、覚悟を持ち、様々な工夫をしなければならない。
小中学校だけではなく、高校からも来てもらう。高校の先生も不足しているという話も聞いているため、そのような状況の中で何ができるのか、今でも教員採用が大変だという話もある中で、どのように対応していくのかを心配している。
教員不足で大変というのは、もともと成り手があまりいないことに加えて、休職や離職をする人がいる。その中で、育休や産休以外でも、休んだり辞めたりする人がいる。
昨年度の離職者、休職者の現状について年代別の人数と、理由別の人数や近年の動きなどを伺う。
【理事者】
まず、昨年度の離職者の状況についてである。令和4年度の自己都合退職者の年代別では、20代が159人、30代が183人、40代が86人、50代が27人であった。理由別では、家庭の事情が147人、精神疾患が44人、病気やけがが9人、転職が153人、その他が102人であった。
休職者については、昨年の年代別では、20代が79人、30代が105人、40代が90人、50代が82人であった。理由別では、精神疾患による休職が295人、病気やけがが61人であった。
近年の動きとして、自己都合による離職者は、令和2年度は301人、令和3年度は369人、令和4年度は455人と増加傾向にある。休職者については、令和2年度は308人、令和3年度は314人、令和4年度は356人と、こちらも増加傾向にある。
【委員】
厳しい状況がこの数字からも見てとれる。離職者の中には転職している人もたくさんいるとのことで、夢を持って教員採用試験を受けて、せっかく教員になることができたのに、そこから離れていく人が多いということは残念である。
また、若い人の休職、離職も多く、精神的疾患も多いので、何らかの形でサポートしていくことも必要である。
休職したが、その後復帰して頑張っている教員も多数いると思う。私の知り合いでも、メンタルで休んだ後、復帰して頑張っている人もおり、例えば、休職から復帰した人から、辛かったことや、このような対応があるとうれしかったというようなことを聞いて、今後に生かすことはできないのか。
離職者や休職者からの意見を対策に生かすことについて考えを伺う。
【理事者】
精神疾患によって離職した全ての人から意見を聴取することは難しいが、精神疾患の休職者については、現状、校長が1か月に1度面談を実施し、治療状況の把握に努めることとされているため、このような機会を利用して、休職者の意見を聴取し、今後の対策に生かしたい。
【委員】
聞き取ったことを学校の中で生かすだけではなく、教育委員会として情報共有しながら対応するとよい。多忙化解消や勤務時間の関係で、インターネット上で情報交換が行われる機会も増えてきたと思うが、そのような中で、同僚に悩みや愚痴をこぼしたり、先輩が声をかけたりすることがしにくい状況になっているのではないか。
学校以外の職場でも、雑談が見直される傾向にある。職場のコミュニケーションの潤滑油になることや、人間関係を深めて信頼関係を築く効果があること、また、雑談は風通しのよい働きやすい職場をつくるベースになるということから、雑談から同僚の人となりを知り、逆に自分のことも分かってもらうことで、職場に仲間意識が芽生え、共通の目標を目指してお互いを助け合う風土も生まれてくる。そのためにリフレッシュスペースをつくることも効果的であると言われているため、休憩時間が思うように取得できない職業であり、対人職業で悩みも多いと思うが、人間関係をよくしていくこと、それから、いろいろと話を聞いてもらうことは、多忙化解消で学校運営をどのようにしていくのかと同程度に、組織をつくる上で大事ではないか。
雑談が風通しのよい職場をつくって、教員のストレスを和らげ、教員の現場の課題に向き合う一つの方法だと考えるが、県教育委員会としての考えを伺う。
【理事者】
教員同士、気軽に会話ができる環境をつくっていくことは、メンタル不調の未然防止の観点から非常に重要であると認識している。県立学校長会議や市町村教育委員会に対して、現在機会のあるごとに、校長が職員と面談する際や、あるいは上司と部下、あるいは仲間同士でのふだんの会話の中で、メンタル面を意識しながらの声かけも行い、同僚教員の悩みや抱えている問題を吸い上げ、メンタル不調の未然防止に努めるよう依頼している。
そして、教育現場で雑談ができる環境については、昼食時間帯の休憩時間あるいは放課後に児童生徒が下校した後の時間を利用するなどして、各校がそれぞれ工夫しながら時間を確保し、教員同士が意見交換や相談をしていると認識している。特に初任者については、先輩教員が指導教員として1人ないし2人ついているため、授業や生徒指導に関することにとどまらず、時には個人的な悩みの相談に乗るなどしている。
管理職には、休憩時間も含め、各教員がこのような相談ができる時間が確保できるよう強く働きかけている。
今後も引き続き、県立学校長会議や市町村教育委員会を通じて、教員同士のコミュニケーションが深まり、話しやすい環境を醸成するよう各学校に依頼する。
【委員】
休職や離職の人が多い中で、一つの提案ではあるが、考えてほしい。
最初にも述べた草潤中学校で、校長が、生徒たちに関しての発言で印象に残っていることがある。子供たちは受け入れてもらえると安心する。そして、安心してくると今度は集い始めて何かをしようとする。今までは不登校で1人だったが、ここは受け入れてもらえるのだ、自分が話してもよいと思うと、そこでみんなで集まって何かしていこうというエネルギーが生まれ、その後は進路も考えて勉強を始めるという話であったので、受け入れられるということはとても大事である。特に若い先生は、受け入れられる場所をしっかりとつくり、教員の風土もぜひ考えてほしい。
草潤中学校は、生徒が登校する時間が少し遅い。学区からだけではなく、岐阜市全体から来るため、通学時間がかかる。登校時間が遅いが、教員の働く時間は一緒であるため、8時30分ごろから始業し、登校するまでの間で、先生たちが子供について話し合う時間を持っていた。相談だけではなく、情報共有や雑談も含めて話し合う時間がどこかで確保され、先生たちが話し合い、子供たちの情報を共有しながら、エネルギーを得て、また子供たちに向かっていくのかと感じた。言葉にするのは簡単だと思うが、ぜひ、若い先生たちも、相談できる、話ができる、受け入れられているという居場所があると思えることを、観点として持ってもらえるとありがたい。
最後に、教員のメンタルの不調や、休職、離職の対策として、雑談について触れたが、それ以外も含めて、県教育委員会としての今後の取組について伺う。
【理事者】
教員のメンタル不調を予防するために、全ての教員を対象にストレスチェックを実施しており、高ストレス者と判定された教員には、本人の希望に基づき、衛生管理医との面接指導を行っている。また、各学校においては、校長などの管理職が、教員との様々な面談の場面を利用し悩みなどを聴取する、いわゆるラインによるケアを行っている。
県教育委員会福利課においては、県立学校を対象に、臨床心理士や保健師が、電話や面談による相談に応じるとともに、学校を巡回して、管理職が抱える所属のメンタルヘルス問題にアドバイスを行う取組も実施している。
さらに、精神疾患により休職する若手教員が増加している状況から、県立学校では、今年度から、精神疾患の発症を未然に防止するために、新たにこころの人間ドック事業を実施している。この事業は、高ストレスと判定された教員が、校長等の管理職に申出ることなく、精神科の医師や臨床心理士のカウンセリングを受けることにより、メンタル不調の未然防止を図るものであり、現在、高ストレスと判定された人に直接受診の働きかけを行っている。このような事業の結果を参考にして、各市町村においても同様の事業が実施されるように働きかけたい。
今後も引き続き、専門家を活用した相談体制の充実を図ることと合わせ、教員同士の雑談の場を通じ、気軽に話ができ、お互いにサポートし合える学校の職場環境が、個人のメンタルヘルスに与える影響は大きいと考えているため、そのような点にも留意しながら、教員のメンタルヘルスの保持、増進に努める。
【委員】
雑談しなさいと言ってできるものではないと思うため、どのように環境をつくるのか、高ストレスの人に対して、高ストレスにならないようにどうするのかという部分を工夫してほしい。
フィンランドを視察した際に、フィンランドでは休憩時間がしっかりと確保されており、子供たちの放課時は他の指導員が出勤し、その間は、先生たちはコーヒーを飲んでお菓子を食べてくつろいでいた。そのような場もあるといいと、羨ましいと思いながら見ていた。今の若い先生たちがかわいそうであるという先輩の話もあるため、ぜひ、子供たちも、先生たちも伸び伸びと、不登校にならない環境づくりを要望する。
【委員】
まず、教員の多忙化解消について伺う。
今日も様々な話が出ているが、学校の先生が健全であることによって、子供たちも健全に学ぶことができる環境となる。前も言ったことかもしれないが、子供たちを守るために、学校の先生たちの働く環境を守ることが大前提として必要である中で、教員の多忙化が問題の一つになっている。
今回の質問に際し、複数の現役教員にヒアリングを実施した。どの先生も、とにかく子供と触れ合う時間が減っていると、口をそろえて言っていた。一番の仕事としては、学校内外を問わずに生徒と向き合うことが何より大事で、一番のことである。特に義務教育の期間は特に大事な時期であるが、そのような時間が減っている例を幾つか聞いた。その要因となることとして、学習指導要領の改訂によって新しく取り入れられた学習内容や、GIGAスクール構想による1人1台端末の活用など、学校側に求められる役割や作業、それに伴う事務が増えていることによって、業務が圧迫され、業務量が増大していること、また、以前からの保護者からの様々な要望やそれに対する対応、さらに、生徒に対する指導などの従来の業務など様々な業務が、より一層増加している現場の現状があるとのことであった。
そこで、まず県教育委員会として、県内の市町村立小中学校等に勤務している教員の残業時間について把握しているのか伺う。
【理事者】
市町村立の小中学校等に勤務する教員の残業時間については、服務を監督する市町村教育委員会で把握しており、県教育委員会では、在校等時間の状況調査を通し、勤務時間外の在校等時間が45時間超、80時間超、100時間超の教員数について報告を受け、把握している。
月45時間を超える教員数を令和3年度と4年度を比較すると、小学校で1.1ポイント減の33.4パーセント、中学校で3.6ポイント減の43.0パーセントとなっている。
【委員】
続いて、県教育委員会として、小中学校の教職員の多忙化について、様々な要因があると思うが、多忙化解消に向けてどのような取組をしているのか。
【理事者】
市町村の教職員の多忙化解消に向けては、服務監督者である市町村教育委員会が主体となり、地域の実態に合わせて取り組んでいる。県教育委員会としては、2021年度から県立学校で取り組んでいる委託業者と連携した教員の勤務実態把握分析事業を、今年度は小中学校でも合わせて10校をモデル校として委嘱し、働き方改革に対する教職員の意識の向上を図る取組を進めている。働き方改革に向けた効果的な取組について、モデル校同士の情報交換を進めるとともに、モデル校の取組の成果を他の学校にも広めていく予定である。
また、効果的な市町村教育委員会の取組事例を他の市町村教育委員会に紹介し、参考事例として取り入れることができるような橋渡しの役割を務めることができると考えており、事例を取りまとめて、全県に紹介している。今後も様々な事例を全県に紹介していく予定である。
【委員】
人がいない中でどう対応しているかや、多様な業務が重複した際、どのように効率的に進めるかについて、よい事例はより一層周知してほしい。
続いて、生徒と向き合うことが一番の仕事の中で、学校や教員の先生が担うようなものではない業務で業務量が増大してしまっていることについて、外部人材を積極的に活用することが重要であると考えているが、県教育委員会として、外部人材の活用についてどのように考えているのか伺う。
【理事者】
外部人材の活用としては、教員の働き方改革の観点から、スクールサポートスタッフの活用が非常に有効な事業となっている。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが、不登校やいじめ、貧困、虐待等の児童生徒に関わる様々な課題の解決に大きな役割を果たしているという例もある。
これらの外部人材を校内のスタッフの1人として位置づけ、教職員との役割分担や協力体制を明確にすることで、教職員の多忙化解消にもつながる。
学校や教員が必ずしも担う必要がない業務について、専門的な知識や技量を持った人材を活用することは、教職員の多忙化解消にも有効であると捉えているため、配置をさらに拡充できるように努める。
【委員】
実際に聞いた現場の先生の話で、例えばICTの関係では、ICTの課題が何か、誰が困っているのか、何をどのように対応しなければならないのかをまとめる業務が増えており、それをまとめて質問することでプロフェッショナルの外部人材から返答があるという現状を聞いた。ある先生からの一事例であるが、似たような構造の出来事は、県内の様々な学校で起きているのではないか。全部の学校を聞くことはできないが、外部人材の登用というよりは、本当の意味で学校現場の先生の負担軽減につながるような外部人材の使い方をより検討していくよう要望する。
続いて、特別支援学校の先生からも、特別支援学校では近年、外国人児童生徒の増加に加えて、多言語化も進んでおり、日本語が話せない保護者との対応で時間がかなり取られていると聞いている。特別支援学校に限らないと思うが、外国語の支援員が配置されているが、懇談会や保護者会のときに話す程度の時間しかないとのことである。支援時間数の増加について、今後も引き続き対応することを要望する。
教員の負担軽減の一つの案として、年間行事や確実に決まっていることについて、各言語に翻訳された統一フォーマットを、教育委員会で一括で作成し、各学校で数字や学校名を変えるだけにすることにより、現場での教員の負担軽減につながると思うが、そのような対応策に対する考え方を伺う。
【理事者】
特別支援学校では、一人一人の子供の障害の状況に応じた対応が必要であり、保護者との日常的なやり取りが欠かせない。そのため、日々の学校での子供の様子の報告や個別の連絡事項は連絡帳によって、行事案内などの学校からのお知らせは学校一斉メールで保護者に伝えている。
近年、特別支援学校でも、日本語指導が必要な外国人幼児児童生徒が増加し、多言語化も進んでいる。今年の5月1日現在の県立特別支援学校に通う日本語指導が必要な幼児児童生徒数は158人であり、言語はポルトガル語、スペイン語、フィリピノ語、中国語、英語、ベトナム語、ベンガル語、ネパール語の8言語である。日本語が読めない保護者に対しては、担任が日本語で記載したものを、外国人幼児児童生徒教育支援員が翻訳したり、担任自身が翻訳ソフトを使って翻訳して伝えており、外国人児童生徒の増加と多言語化に伴って、当該業務が増加している。
このような状況に対応するため、県教育委員会では、支援員の配置時間のさらなる拡充に努めるとともに、入学式など各校で共通する行事の案内については、翻訳した文書のテンプレートを作成して、全ての特別支援学校で活用できるようにしていく。
さらに、県が作成するリーフレットや各種案内についても、翻訳して各校に配付するなどして、教員の負担を軽減する。
【委員】
先ほど一つの事例として伝えた部分について伺う。ヒアリングした人が共通して言っていた部分であるが、ICT関係の教育の普及に関しては、ICT支援員の活用が重要である。ICT支援員の活用を今後どのように考えているのか。
【理事者】
県立高校と特別支援学校では、児童生徒1人1台タブレット端末の整備が完了した。今後は、教育活動の中で、子供たちが文房具の一つとして日常的に使っていくことが重要であり、そのためには、教員のICT活用指導力の向上が欠かせない。また、タブレット端末のメンテナンスなどの管理業務も発生しており、学校現場の新たな負担となっている。
このような状況に対応するため、ICT支援員を昨年度から県立高校と特別支援学校に派遣し、ICT機器の操作や授業準備の補助、教員向けの研修、タブレット端末のアプリの更新作業など、教員に対する支援を行っている。
昨今、ChatGPTをはじめとする生成AIの急速な進歩や、新しい教育用アプリが次々と開発されていることなどから、学校におけるICT分野の専門的な支援の必要性がより高まっている。教員の多忙化解消を図りながら、ICT教育を一層普及していくため、県教育委員会としては、今後もICT支援員の積極的な活用が必要と考えている。
【委員】
道具として使用し、学校など子供たちが学ぶ環境が時代に合わせて改善されることもあるが、多忙化の解消に関連し、子供たちのために教員の多忙化を解消し、生徒に向き合う時間を増やす、児童生徒により向き合える環境のためにも利用してほしい。
引き続き、様々な手法も出てくると思うが、よりよい方向に活用し、子供たちのためという目線を持って進んでほしい。
次に、アジア競技大会及びアジアパラ競技大会について、子供たちの目線、また、未来への育成の目線をもって質問する。
これから愛知・名古屋での開催に向けて、地元選手をはじめ日本人の選手がより活躍してもらいたいと思うと同時に、この機会を通じて、アジア競技大会が、未来のスポーツ選手がより活躍する場所となってほしい。
アジア競技大会の開催の意義や目的は様々あると思うが、その中の一つに、地域の盛り上がりや、経済効果などもあると思うが、選手の育成や未来に向けて、希望を持った子供たちの場所にすることも大事ではないかと思う。スポーツが感動を生むことは言うまでもないが、ここにいる全ての人が経験していると思うが、子供のときは様々なことに感銘を受けて、多様な刺激を受ける。特に一番刺激を受けることが、現実に体験することである。例えばアジア競技大会での試合は、世界トップクラスの試合を見ることになるため、大きな刺激になると思う。
しかし、競技会場の大きさや、個人の都合で観戦に行けないことは必ず起きることではあるが、その中で、少しでも現実にトップクラスの選手のことを、見てもらう機会を何とか増やせないかと思っている。まさに水泳も愛知・名古屋では見られない、ということもある。
そのような中で、愛知・名古屋大会では、トップレベルの選手が繰り出すプレーを地元で体感できる貴重な場であるので、まずは多くの子供たちに観戦してほしいと思っているが、それ以外で、例えば小中学校のクラブや、地域のスポーツクラブで活動している子供たちが、憧れの選手や、プロの選手を近くで見る機会を増やすことはできないかと考えているが、練習会場を見学する機会を現時点で予定しているのか。
【理事者】
アジア競技大会では、県内各地に競技会場を設けるほか、選手にベストパフォーマンスを発揮してもらうため、競技会場とは別に公式練習会場を用意する。
トップアスリートが真剣に練習に打ち込む姿を間近で見ることは、子供にとっても得るものが多く、また、心に残るよい経験になる。一方で、練習会場は、選手がコンディションを整えたり、また、団体競技であればサインプレーの確認や連携プレーを練習するなど、試合前の最終調整を行うための重要な場であるため、練習会場の見学については、今後、競技団体など関係者と調整を図っていきたい。
【委員】
そのような機会を少しでも増やしてほしい。トップの選手や、プロ選手を見ることは本当に刺激になる。これは小さな事例であるが、地元に相撲部屋の練習場所が来て、見に行った際に、すり足の練習をしているときは見向きもしなかった5歳の息子が、ぶつかり稽古が始まってから、それを集中して見ていたり、地元にファイティングイーグルスというバスケットボール一部リーグのプロチームがあるが、ぐずついて全然会場に行かなかった子供2人が、中に入ったらずっとくぎ付けで見ており、やはり現実はすごいと思う。せっかく愛知・名古屋に来るため、子供たちを中心に触れ合う機会をどんどん増やしてほしい。選手側も、子供たちにも大変貴重な体験となり、競技に対してのモチベーションが上がると思う。
アジア競技大会での選手と地域の子供たちのような、交流する機会などをつくることは可能であるのか、そのような機会はあるのか。
【理事者】
アジアのトップレベルの選手と触れ合える機会は、練習に励む子供や、将来スポーツ選手を志す子供にとってまたとない貴重な機会として、大変有意義であり、県民がアジア競技大会を身近に感じることにつながるものと考えている。また、多様性を育む交流のきっかけとなり、アジア競技大会のスローガンである「IMAGINE ONE ASIA ここで、ひとつに。」にもつながるものである。
選手と子供等の交流については、選手の安全面の確保や競技スケジュールなどに配慮する必要があるが、組織委員会と相談しながら、交流の機会づくりについて検討したい。
【委員】
アジア競技大会以降の未来に向けた場所の機会づくりをより増やしていくことを要望する。
【委員】
まず、県立学校における有機農産物の提供について伺う。
本県では、地産地消の取組として、愛知県農業協同組合中央会や愛知県経済農業協同組合連合会と連携を取りながら、学校給食への地場農産物の導入を推進している。昨今、子供の健やかな心身の成長のために、化学肥料や農薬を原則使わずに、環境に優しい有機農産物を給食に取り入れる動きが、世界だけでなく、日本でも広がりつつある。フランスでは、学校給食向けの食材購入費の20パーセント以上を有機認証農産物とするとエガリム法で定められており、また、韓国では、各自治体が、学校給食向けの食材は地場産を中心として環境に優しい農産物を活用する条例を制定して、学校給食に提供を行っている。
日本でも、海外の先進国に比べて数は少ないものの、学校給食に有機農産物を取り入れている自治体は増えつつある。千葉県いすみ市は、2015年度から学校給食に地元産の有機米を採用して、2018年度には全量を有機米に切り替えた。このほかにも、地元愛知県東郷町をはじめ、石川県羽咋市や長野県松川町などでも、有機農産物や有機農法と同等の栽培方法で育てた農産物を学校給食に取り入れている。
さらに、国もみどりの食料システム戦略を策定し、2050年までに、有機農業の取組面積を100万平方メートル、全体の25パーセントまで拡大し、化学農薬を50パーセント、化学肥料を30パーセント減らす目標を掲げ、持続可能な地場産物や国産有機農産物などを学校給食に導入する取組の推進も記載されている。
県内市町村で有機農産物を給食で提供している自治体の数及び提供内容や提供回数について伺う。
【理事者】
給食で有機農産物を提供している自治体の数は、これまで16の市町で導入した実績があり、令和元年度以降、徐々に増加している。これらの市町では、ニンジンやタマネギ、大根、コマツナなど、様々な有機農産物が給食に提供されている。提供の頻度は、年1回程度の自治体が多いが、東郷町のように月に3回から5回程度提供する例もあり、自治体によって様々である。
【委員】
次に、県立学校で給食を提供している学校数及び当該学校でこれまでに有機農産物を給食で提供したことがあるのか伺う。
【理事者】
県立学校では、夜間定時制高校25校、特別支援学校29校の計54校で給食を提供している。これらの学校では、年に3回、愛知を食べる学校給食の日を設け、可能な限り地元産の食材を給食に使用する取組を行っている。
さらに、有機農産物の使用に向けて事業者と交渉しているが、十分な量が確保できず、これまで実施には至っていない。
今年度、有機農産物を扱う事業者と交渉を行った結果、有機米15キログラムを確保できたため、早速11月にモデル的に、有機米を提供する取組を岡崎聾学校で実施予定である。
【委員】
県立学校で有機農産物を給食で提供する際の課題について伺う。
【理事者】
給食で有機農産物を提供していくためには、数量の確保、割高な価格、調理現場の負担の3点が課題になる。
今年度、有機農産物を扱う事業者と交渉を行ったが、有機米の確保が少量に留まった。有機農産物は生産量や流通量が限られており、数量確保が最も大きな課題となる。この点については、来年度に向け、改めて有機農産物を扱う事業者と交渉する。
割高な価格については、学校給食は保護者の負担を考慮して、1食約300円で提供しているため、割高な食材を使用する場合には、他の食材のコストを下げたり、品数を減らしたりして、バランスを取る必要が生じる。
有機農産物は、どうしても虫などの混入リスクが高くなり、また、大きさや形が不ぞろいになりやすい傾向がある。給食を児童生徒に提供する際には、虫などの異物の混入がなく、食材の形や大きさをそろえる必要があるため、調理前に目視による点検を行ったり、食材を切り分ける回数を増やしたりするなど、調理現場の負担が増えることも課題となる。県立学校の給食で有機農産物を継続的に提供していくには、このような課題を解決していく必要がある。
【委員】
価格について、農林水産省の有機農業推進総合対策緊急事業の有機農産物新規取扱支援のうち、新たな市場への有機農産物などの試験的な導入を行う取組では、県立学校への有機農産物を試験導入した場合、かかり増し経費に最大400万円の国からの補助があり、有機米であれば一定の数量も確保しやすく、調理現場の負担も少ないと考えるため、県立学校の給食に有機米を試験導入することを前向きに検討していく必要があると考えるが、県の考えを伺う。
【理事者】
有機米は保存が利き、調理上の手間も増えないことから、野菜など、他の食材と比較して有機農産物を給食に導入しやすい食材である。
農林水産省の補助事業は、有機農産物の納入業者や農業協同組合、県、学校給食会など、給食関係者から構成される協議会を設置した上で、有機農産物の新たな市場を開拓するための試験的な導入に際し、有機農産物と一般農産物との差額となるかかり増し費用などの補助が受けられる仕組みである。まずは、給食関係者等で構成される協議会の設置に向け、有機米を供給している県内の生産者や事業者と意見交換を行いながら、農林水産省の補助事業を活用した有機米の試験導入について検討していく。
【委員】
最後に、有機農産物がなかなか普及しない原因の一つが、安定した売り先がないことであると言われている。学校給食に有機農産物が導入されれば、子供たちの食の安全と健康を守るだけでなく、有機農産物の安定した売り先が確保されるため、環境への負荷が少ない持続可能な農業が本県でも推進され、豊かなふるさとを守ることにもなり、子供たちの健康と未来にもつながるものと考えるので、県教育委員会では、学校給食への有機農産物の導入について、スピード感を持って検討することを要望する。
続いて、地域と連携した人材育成について伺う。
本県は、モノづくりをはじめとして多くの地域産業のおかげで、日本一の産業県として大きな発展を遂げてきた。都市部を少し離れると海や山に囲まれるため、愛知にはすばらしい歴史や文化、魅力が詰まっている。しかしながら、近年は少子・高齢化の進展により、特に山間地域では、高校卒業後の就職や進学を機に若者が地元を離れてしまうため、労働人口がさらに減少し、地域の活性化が困難な状況になっている。地域振興のためには、今の子供たちに地元の魅力を知ってもらい、地元への愛着をさらに深めてもらうことが必要である。
県立学校は、地域に根差した学校として、地域の未来を支える人材を育成してほしい。そこで、県立学校で、地域への愛着を持ち、地域産業を支えていく人材をどのように育成していくのか伺う。
【理事者】
現在、工業科や農業科などの職業学科はもちろんであるが、普通科や総合学科の中でも、就職する生徒が多い学校については、地域企業の見学や現場での実習などを通して、地域産業への理解を深めている。
また、中山間部や半島の先端にある地域では、高校卒業後の進学や就職を機に地元を離れてしまう若者も多いため、将来、地域の企業に就職することにより、地域への愛着を持って、地域を支えていく人材の育成が求められている。
そこで、県教育委員会では、愛知県商工会連合会と連携し、今年度から新たな事業に取り組んでいる。この事業では、就職を希望する高校1年生、2年生と、地域の企業との出会いの場を設定して、高校生が地域の企業やそこで働く魅力を発見し、将来の進路選択に生かすことを目指している。今年度は、12月に知多半島の美浜地区と東三河の新城地区の2か所で開催する。美浜地区では美浜町商工会、新城地区では新城、設楽、津具、豊根、東栄の五つの商工会の協力を得ながら進めていく。また、高校の進路指導を担当する教員と企業の採用担当者が意見交換を行う機会を各地区で設ける。
このような取組で得られた成果は、県内他地区に還元し、地域の産業を支えていく人材の育成に努める。
【委員】
今年、県内2か所で商工会と一緒に連携していくとあるが、ぜひこの取組の成果をしっかりと県内全域に広げてほしい。また、従前は学校が地域の企業と一本釣りのような形で連携していたかと思うが、それだけではなく、商工会を通じて連携すれば、製造業、商店、サービス業もあり、子供たちの体験の幅も広がるため、ぜひ商工会ともしっかり連携してほしい。
続いて、県立工科高校の環境整備について伺う。本県が長年にわたって我が国のモノづくりを牽引している要因は、優れた技術を持つ地域企業と優れた技術者を擁しているからである。今後も本県が我が国のモノづくりをリードしていくためには、モノづくり現場で活躍できる技術者を育成していく必要がある。モノづくり現場は、AI、IoTが活用され、デジタル化が進んでいる。技術が日々進歩していく中で、未来のモノづくり人材の育成を担う工科高校には、実習設備など新しい技術を学べる環境を整える必要があるが、学校には、古くなった実習設備が多く残っていると聞いている。
そこで、技術が日々進歩していく中で、モノづくり人材の育成を担う工科高校の実習設備など、即戦力となる技術を学ぶことができる環境整備をどのように考えているのか伺う。
【理事者】
工科高校の使命は、本県のモノづくり現場で活躍できる人材を育成することである。工科高校に昔からある旋盤やフライス盤などの実習機械は、生徒がモノづくりに必要な基礎的、基本的な技術を身につけるために役立っている。しかし、コンピューター制御の工作機械やロボットなど、技術の進歩に合わせて、最新の技術を学ぶことも大変重要となっている。
県教育委員会では、工科高校の実習設備を計画的に更新しているが、引き続き予算確保に努め、技術の進歩に対応するためのものや、使用頻度が高く老朽化が進んでいるものを優先するなど、実習環境の整備に努める。
【委員】
設備更新はしっかりと進めてほしい。また、モノづくり企業に生産計画の変更に伴い不要になった余剰設備が出てくることが度々ある。希望どおりの更新が進んでいないのであれば、モノづくり企業から設備の寄附の受入れも一つの手段として検討するとよいのではないか。これらの設備が工科高校での教育活動に適したものであるのであれば、ぜひ学校で活用し、即戦力の人材育成に役立ててほしい。企業などとの連携の中で、情報交換もしっかり行ってほしい。
続いて、足助高校における観光人材の育成について伺う。豊田市にある足助高校は、小規模ながら地元とのつながりを大切にして、様々な地域連携の取組を行っており、地域にはなくてはならない学校である。
しかしながら、2021年度から、入学者の募集が1学級減少し、現在、2学級80人となっている。今後、さらに子供の数が減ることを考えると、学校が存続できるか大変危惧している。そのような中で、今年の4月に観光ビジネスコースが新設された。当コースの新設は、学校と地域としては大きなことであり、大変期待している。
そこで、足助高校に新設された観光ビジネスコースでは、どのような人材の育成を目指しているのか、また、どのような特色ある教育活動を行っているのか。
【理事者】
足助高校に新たに設置した観光ビジネスコースでは、県内有数の景勝地である香嵐渓に所在する特色を生かし、観光に関連する地域産業について探求的に学ぶことを通して、地域社会の活性化と持続的発展を担う人材を育成することを目指している。足助高校では、これまでも観光をテーマに、地元の豊田市や観光協会、商工会などと連携して、小学生向けに足助の町並みにチェックポイントを巡るシールラリーをプロデュースしたり、ジビエ肉などの地元の特産品を生かした商品を開発したりするなど、様々な取組を進めてきた。
新設の観光ビジネスコースでは、従前の取組を継承しつつ、地域の課題を自ら発見し、解決する課題解決学習や、観光を中心とした地域産業に関連する問いを自ら立てて探求する活動を取り入れることで、さらに深い学びを追求している。
具体的な取組としては、今年の6月に足助スタディツアーと題して、相互交流を行っている東京都内の高校の生徒を対象に旅行ツアーを企画し、実際に宿泊地あるいは見学地の手配をし、当日は、ジブリパークやトヨタ博物館などの案内も行った。
なお、足助高校では、この取組について高校生トラベルという言葉を特許庁に商標登録しており、将来の事業化を見据えている。
【委員】
様々な取組をしているが、現在、普通科でコースを設置している県立高校は30校程度あると聞いている。コースを設置した高校のうち、瑞陵高校と岡崎北高校では、昨年度、コスモサイエンスコースから理数科に改編されている。全てのコースがこのように専門学科になっているわけではないが、県教育委員会は、足助高校の観光ビジネスコースを将来的に観光科などの学科に改編することを想定しているのか。
【理事者】
県教育委員会では、従前より普通科高校の特色化の一環として、情報ビジネスコース、医療・看護コース、教育コースなどのコースを導入し、普通科の学びの中に専門的な学びを取り入れ、普通科高校における学びの活性化を進めてきたところである。
足助高校では、これまで取り組んできた観光をテーマとする体験的な学びを発展させ、課題解決学習や探求的な学びを実現するために、観光ビジネスコースを新たに設置し、観光基礎や観光探求といった学校独自の科目を取り入れ、実践を始めた。
今後は、観光ビジネスコースにおける教育活動の充実を図るとともに、その成果を検証し、あわせて、観光に関する学科への全県的なニーズも踏まえ、専門学科への改編を含めた発展の方向性について検討していく。
【委員】
今議会の代表質問でも、自民党の議員が、本県もインバウンド事業を進めていく中で、非常に観光人材が逼迫しており、需要を取りこぼしていると指摘したところである。多くの観光客が本県に来県し、観光立県を目指すことは、本県としても方針を出しているため、そのような観光産業を支える人材を早期に輩出していくことは、県立高校の大きな役割でもある。
足助高校の観光ビジネスコースを、観光科に早く改編してほしい。専門学科とすることで、全県からの入学が可能となり、足助高校が県全体の観光人材の育成の拠点になる。
足助高校の観光ビジネスコースを専門科にすること、また、中山間地域にとって、高校の有無は非常に大きな問題であるため、足助高校存続のためにも、特色ある観光科をしっかりと見据え、観光人材のさらなる育成と発展を要望する。