委員会情報
委員会審査状況
教育・スポーツ委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年10月4日(金) 午後0時58分~
会 場 第5委員会室
出 席 者
中村竜彦、浦野隼次 正副委員長
直江弘文、佐藤英俊、神谷和利、朝日将貴、杉浦友昭、かじ山義章、
黒田太郎、岡 明彦、下奥奈歩 各委員
スポーツ局長、スポーツ監、アジア・アジアパラ競技大会推進局長、
アジア・アジアパラ競技大会推進監、
教育長、岡田教育委員、教育委員会事務局長、同次長兼管理部長、
教育部長、教育改革監、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第128号 令和6年度愛知県一般会計補正予算(第3号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第9款 教育・スポーツ費
第3条(債務負担行為の補正)の内
稲沢緑風館高等学校整備工事
いなざわ特別支援学校整備工事
岡崎特別支援学校移転整備工事
総合射撃場施設設備改修工事
第138号 物品の買入れについて(乗合自動車(リフト付特別仕様スクールバス))
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第128号及び第138号
○ 請 願
第 19 号 「小中高生の新型コロナワクチン接種後体調不良者への合理的配慮」について(教育関係)
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第19号
○ 閉会中継続調査申出案件
1 学校教育の充実及び施設整備について
2 生涯学習について
3 スポーツの振興について
4 スポーツ局及び教育委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 委員席の一部変更
3 口頭陳情(1件 陳情第61号関係)
4 議案審査(2件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
5 請願審査(1件)
6 委員長報告の決定
7 一般質問
8 休 憩(午後3時2分)
9 再 開(午後3時14分)
10 閉会中継続調査申出案件の決定
11 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
第138号議案、肢体不自由特別支援学校のリフト付スクールバスの購入について、どの特別支援学校のバスを購入し、更新するのか伺う。
【理事者】
今年度は3台のリフト付スクールバスを購入し、名古屋特別支援学校、一宮特別支援学校、ひいらぎ特別支援学校の3校のバスを1台ずつ更新していく。
【委員】
今回購入するリフト付スクールバスはどのような仕様になっているのか。
【理事者】
肢体不自由特別支援学校におけるスクールバスについては、車椅子で乗車する児童・生徒が多く在籍しており、車椅子用のリフトや乗車スペースが必要となっている。そのため、中型バスを改造したものを購入したい。具体的には、中扉を車椅子用のリフトと一体型のものとする、リフトの床面を滑り止め加工し車椅子に乗ったまま安全に昇降できるようにする、バスの床面に車椅子の固定用ベルトを設置するなどの加工を行う仕様となっている。
【委員】
次に、契約の方法について、一般競争入札が不調に終わったとの説明があったが、どういう経緯で随意契約を行うようになったのか伺う。
【理事者】
随意契約となった経緯について、令和6年度の当初予算で当該予算が認められたため、一般競争入札で今年6月14日に入札公告を行い、7月26日に入札及び再入札を行ったが、物価高などの影響により、予定価格を超過し入札不調となった。そのため、地方自治法施行令に基づき、入札業者と協議した結果、随意契約を行うことになり今回議案を提出した。
【委員】
どういう考え方に基づいて、リフト付きスクールバスを更新することになったのか伺う。
【理事者】
一定年数を経過し、走行距離が長くなっているリフト付スクールバスについて、車両の状態や修理歴等を考慮し、費用の平準化も図りながら、更新する車両を決定している。更新の目安については、本県公用車や名古屋市営バスの状況、他県の状況を参考に、登録後15年以上かつ走行距離30万キロメートルを超過したものとしている。今後も幼児・児童・生徒が安心して安全に通学できるよう、計画的に車両の更新を進めていく。
【委員】
特別仕様かつ随意契約になっていることから、簡単に車両を更新することが難しいことが分かった。更新の考え方については、登録後15年以上かつ走行距離30万キロメートルが目安とのことだが、市内を走っている路線バスでは、登録後15年から20年かつ走行距離50万キロメートル以上が目安になるようなので、更新のタイミングはそこまで遅いものではないことが分かった。
更新後は維持・メンテナンスが大事になってくる。日々の日常点検や定期点検をしっかりと行い、より長く使えるようにし、また生徒たちが安全に通学できるようにしてもらいたい。
【委員】
第128号議案、令和6年度愛知県一般会計補正予算第3号第3条債務負担行為の補正のうち、総合射撃場施設整備改修工事について伺う。
この愛知県総合射撃場は、私の地元である豊田市の旧下山地区に位置しており、射撃場という性格上、県民にはあまりなじみのない施設だと思う。射撃場に行くには専用道路を通る必要もあり、なかなか行く機会がないと思う。私もこれまで存在自体は知っていたが、行ったことはなかった。今回、補正予算が上程されたのを機に行ってみようと思い立ち、先日訪問し、改修前の施設を見学するとともに、現場の人から話を聞いてきた。
まず、射撃場の第一印象としては、建物や設備が古いのは否めないが、山間地域にもかかわらず非常に大きく立派な施設であり驚いた。この射撃場は、今年度の当初予算で28億7,000万円余りの改修費用が計上されていた。
そこで伺うが、総合射撃場の改修工事に関連して、13億7,000万円余りの債務負担行為の増額を今回提案しているが、改修後どのような施設になるのか。
【理事者】
総合射撃場は、平成6年のわかしゃち国体の会場として使用するため整備したものである。したがって、開場から30年が経過し、いずれの建物も老朽化が進んでいることから、今後、長寿命化改修工事を予定している。中でも管理棟については、老朽化が著しいことから建て替えることとし、アジア・アジアパラ競技大会やその後の競技会での活用も視野に整備するとともに、新たに野生鳥獣被害に対応する拠点として、野生鳥獣捕獲人材の確保・育成機能を付加することとした。
新管理棟について、利用受付などを行う事務室のほか、野生鳥獣被害対策の拠点とするため、狩猟についての研修会や、射撃の国際レベルの大会などが開催可能な多目的ホール、狩猟体験ができるシミュレーター、愛知県産ジビエを身近に感じてもらえるカフェや、地元産農産物を販売するためのスペースなどを配置した2階建ての施設となる予定であり、これまで射撃に関係のなかった人たちにも目を向けてもらえるような施設としたい。
また、射撃場を野生鳥獣被害対策の拠点とするに当たり、これまでも県の農業水産局や環境局などの関係局の協力を得て進めてきたが、今後具体的な施策を検討していくためには、関係局間でより一層しっかりと調整・協議していく必要があることから、先月、関係する所属を集めた県庁内の連絡会を立ち上げ、第1回会議を開催した。
【委員】
今回の工事は大規模な工事になることが分かった。次に気になることが、工事期間中の利用者の対応である。私が射撃場に行った日は天気のいい土曜日であり、多くの利用者がいた。ライフル射撃やクレー射撃を一生懸命やっていた。工事によって施設を閉めなければならない場合、利用者はどこへ行って射撃をすればよいのか疑問に思った。
サッカーや野球といったメジャーなスポーツと違い、射撃はやれる場所が非常に限られている。スポーツとして楽しんでいる人もいるし、狩猟のための訓練としている人もおり、そういう人にとっては切実な問題になってくる。
そこで伺うが、工事期間中、射撃場は休館するのか。また、休館するのであれば、その間利用者には、どのような対応が考えられるのか。
【理事者】
今回の工事では、新管理棟建て替えに合わせて、射撃場全体の長寿命化改修も実施することから、工事期間中は施設を休館せざるを得なくなる。休館期間は、本年12月より令和8年6月を予定している。利用者には不便をかけるが、理解・協力してもらい、その間は近隣・近県の射撃場を案内したい。近隣の主な射撃場としては、県内では岡崎市にクレー射撃が可能な藤川射撃場が、岐阜県土岐市にはライフル射撃・クレー射撃共に可能な土岐市総合射撃場が、同県関市にクレー射撃が可能な関国際射撃場がある。
【委員】
約1年半の休館はやむを得ないと思う。近隣の射撃場を周知するなど、利用者が困らないように周知してもらいたい。
次に、今回の射撃場の改修に関して、債務負担行為を13億7,000万円余り増額とあるが、自由民主党愛知県議員団の令和6年度の予算編成に関する要望書の中でも、スポーツ施設の整備については国庫補助金等を積極的に活用し、さらなる充実・強化を図ることをお願いしている。
そこで伺うが、債務負担行為額を増額すると、愛知県の負担がそれだけ増加するのか。また、デジタル田園都市国家構想交付金を活用すると聴いているが、国からどれだけ交付されるのか伺う。
【理事者】
国のデジタル田園都市国家構想交付金は、射撃場の建て替えでは対象とならないが、本県においても課題となっていた野生鳥獣捕獲人材の確保・育成機能を新たに付加し、野生鳥獣被害に対応する拠点として整備することで、農林水産業の振興等の地方創生に資することが国から認められ、同交付金の採択を得ることができた。総合射撃場の新管理棟の建て替えについては、全額一般財源として、当初予算で約23億1,500万円を議決してもらい、そこに今回13億7,000万円余りの増額をお願いするものになるが、国からの交付金として、今回の増額分を上回る16億3,000万円余りが交付される見込みとなった。さらに、デジタル田園都市国家構想交付金の対象となったことで、交付税措置のある県債の活用も可能となると考えており、県の実質的な負担は当初の予定より相当程度の減額となる見込みとなっている。
【委員】
要望を少しさせてもらう。今後、愛知県総合射撃場がさらなる進化を遂げ、これまでどおり我が国有数の総合射撃場としての機能はそのままに、近年愛知県でも課題となっている野生鳥獣被害対策の拠点として活用できる施設になることが分かった。
野生鳥獣被害対策には、その原因となるイノシシ、シカなどの野生動物を捕獲する狩猟者に協力してもらうことが欠かせない。これは私が話を聞いた現場の人も心配していたが、狩猟者を含む射撃場の利用者は年々高齢化しており、今はよくても10年後、20年後狩猟する、あるいは射撃する人が非常に少なくなってしまう。私もそれを懸念しており、このことを踏まえると、射撃場で狩猟者、野生鳥獣捕獲人材の確保・育成することが大変重要な機能になってくるため、そういう機能を加えて欲しい意図をもって質問した。
せっかく立派な施設を造っても、その趣旨に沿って適正に運用していかなければ、絵に描いた餅になる。そうならないように、射撃場をこれまで以上に多くの県民に気持ちよく利用してもらえる施設とすることはもちろんのこと、野生鳥獣被害対策については、スポーツ局だけでなく、農業水産局や環境局などと局をまたいだ協力体制が必要となってくると思う。しっかりと関係局と連携してもらい、効果的な施設運営を実施し、射撃場を適切に運営するとともに、野生鳥獣被害対策を着実に進めてもらうことを要望する。
《請願関係》
なし
《一般質問》
【委員】
教員の不祥事について、9月13日に県教育委員会は4件の懲戒処分を行ったことを公表した。具体的な内容は、女子生徒とのわいせつ行為による懲戒免職が2件、女子生徒と二人きりで会うなどの不適切な行為による停職3か月が1件、県外で交通死亡事故を起こしたことによる戒告が1件である。今年度になってからも、この4件を含め8件の懲戒処分が行われており、こうした状況を大変憂慮している。県教育委員会では、平成27年度に教員の不祥事防止対策プロジェクトチームを設置し、不祥事の分析、対策の検討の後、提言が行われたと聞いている。そこで、提言が行われた平成27年度当時とここ数年の不祥事の状況はどうなっているのか伺う。
【理事者】
不祥事による懲戒処分の件数については、不祥事防止対策プロジェクトチームを立ち上げる前年度の2014年度は24件、2015年度は24件及び2016年度は29件であった。直近の3か年では、2021年度は22件、2022年度は17件及び2023年度は27件であった。
【委員】
不祥事の件数は横ばいであり、抑えることが難しい印象を受ける。
教員の不祥事防止対策プロジェクトチームの提言やその後の状況を踏まえて、どのような今まで対策を取ってきたのか。
【理事者】
不祥事防止対策プロジェクトチームでは、当時不祥事にわいせつ事案が多かったことから、わいせつ行為防止に特化した啓発資料の作成や、若手教員に対する啓発のための研修の実施などの提言を行った。こうした提言を踏まえ、2015年度に不祥事を自分のこととして意識できるよう、啓発用リーフレット、信頼される愛知の教職員であり続けるためにを作成し、全教職員に配布している。また、2016年度からは、採用3年目の若手教職員全員を対象にした研修会を実施している。本県の公教育を担う者としての立場や役割及び使命を再認識させる講話や、不祥事防止について話し合うグループワークを行い、不祥事防止の決意を確認している。そのほか、管理職による全教職員を対象にしたコンプライアンス面談の実施や、懲戒処分発表の都度、各学校にその事案の内容を伝え、具体的な問題点の周知や再発防止に向けた注意喚起を繰り返し行っている。さらに、体罰により処分等を受けた教員に対して、体罰防止アンガーマネジメント研修を実施しており、管理職による面談等を行い、体罰を二度としないという決意を確認している。管理職に対しては、2020年度から民間の人材育成会社などから講師を招き、不祥事防止や危機管理に関する研修を実施している。
【委員】
いろいろと手を変え品を変え対策を行っているようではあるが、やはり数字が物をいっていると思う。教員にプロジェクトチームの思いが響いていないことが考えられると思うが、それは愛知県だけでの話ではない。日本中のいろいろなところでこういった不祥事が起きている。だからといって、そのままでよいわけではなく、やはりゼロにすることを目標としなければならない。
教育は国の一番基本である。教育に携わる教員の意識が、今まで何も変わっておらず、今もその現状にあることは、とても憂慮すべきことであり、何とかしなければならないという危機感を持たなければならないと思う。
他県の状況を調べる中でとても印象的なものがあった。長崎県教育委員会は、教職員のためのコンプライアンスハンドブックを作成し、不祥事防止のための具体的な事例や懲戒処分の状況を紹介していた。また、わいせつ行為や体罰などの不祥事に対する厳正な処分基準を設け、教職員に対する意識啓発を行っている。話だけを聞くと、愛知県もやっていることのように思えるが、愛知県のパンフレットが4ページであるのに対して、長崎県のパンフレットは40ページにわたっている。
その内容を見ると、すごくリアルなものになっている。懲戒免職処分もその事例が一件一件載っており、例えば児童ポルノ法違反で、相手が18歳未満であることを認識しながら被害女性の裸の画像を撮影させLINEで送信させたことは、懲戒免職である。児童へのセクハラ、体を触るいう性的な目的で女子児童を個別に呼び出し、口に指を入れる等のわいせつ行為や、マット運動等の指導中に胸や尻を触るなどのわいせつ行為を行った、これも懲戒免職である。具体例をたくさん網羅して、よりリアルに伝えていることで、教員に想像してもらい、これをやったら免職であり、これをやったら懲戒、戒告など、そういうことのイメージをよりリアルにしてもらうことを、このパンフレットは示している。
パンフレットの中に、採用4年目、25歳の県立学校教諭が懲戒免職になったら、定年まで働いたときと比べ約2億4,000万円の損失という具体例も書いてある。採用28年目、50歳の県立学校教諭が懲戒免職になったら、定年まで働いたときと比べ約9,000万円の損失といった見方も書いてある。よりリアルに教員に想像してもらうことで、何とかこういう不祥事をなくそうというのが見られる。
パンフレットを作ったことではなく、その結果をしっかり見据えて、ほかの県もどういう対応を取っているのか、そういうことを研究してもらい、危機感を持って対策を進めてほしい。危機感を持ってやってもらいたいと強く要望する。
次にアジア・アジアパラ競技大会について9月21日、中日新聞の記事でアジア・アジアパラ競技大会経費2,000億円に倍増との報道があった。この内容は議会として聞いておらず、県民に説明することができない状態である。この試算が実際あるのかないのか、また今回の報道に対する県の認識、見解を伺う。
【理事者】
現在、公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会では、アジア・オリンピック評議会(OCA)、アジアパラリンピック委員会(APC)及び競技団体などと協議や調整をしながら、個別の競技ごとに会場の整備や各会場の警備、輸送など、大会運営に係る様々な計画を検討し作成を進めており、経費の積算を行っている。したがって、大会経費について現時点で報道にあったような確定した経費の試算額は一切ない。報道された内容の数字について、大会経費が倍増するといった報道は事実と異なるものと認識している。今回の報道に対しては、昨日大会組織委員会会長である知事名で、報道した新聞社に対して抗議するとともに、適切な取材に基づき事実関係を踏まえた正確な報道をするよう抗議文を発出している。
【委員】
県としては、試算の事実はなく、報道に対して遺憾であり、今回の報道に対して抗議を行ったということだが、今まさに大会開催に向けて着実に準備を進めていくという上で、交渉、調整過程における情報管理の徹底は今後も重要であると考えるが、県の考え方を伺う。
【理事者】
大会組織委員会では、大会の開催に向けて、現在OCA、APC及び競技団体等と協議や調整をしながら大会運営に係る様々な計画を検討し作成しており、交渉や調整過程における情報については、細心の注意を払って情報管理を行っている。不確定な情報については、開催準備や大会運営に支障を来すだけではなく、大会準備に関わる多くの関係者の信頼を損なう事態になりかねず、また県民にも不安を与えるものとなるため、情報管理の重要性を認識している。今回の報道を受け、アジア・アジアパラ競技大会推進局では、9月24日付で局長名で局内全職員に対して改めて情報管理に対する意識啓発を促すとともに、情報の管理を徹底するよう通知している。
【委員】
大会の成功に向けては、県民の理解と県全体の機運醸成が必要不可欠である。必要な時期に必要な内容を今後もしっかりと議会には説明してほしい。
次に、先月20日に開催されたOCA調整委員会において、選手の宿泊について意見が出されたと聞いている。選手の宿泊施設の確保状況について、現在の状況を伺う。
【理事者】
選手の宿泊については、既存の宿泊施設、ホテル、旅館、研修施設などを活用するが、今年5月にアジア競技大会においては、クルーズ船をホテルシップとして活用することを記者発表するとともに、同月に開催されたOCA総会でその方針を報告し、関係機関との調整を進めている。このうち、既存の宿泊施設については、仮配宿計画に基づき、各宿泊施設との交渉を始めており、必要となる宿泊施設の確保に努めている。また、クルーズ船については、船の確保や着岸する金城ふ頭の確保に向けて、関係者との調整を進めている。
なお、選手の宿泊に関しては、先月に開催されたアジア競技大会第2回調整委員会において、OCAから選手宿泊施設についてより高い集積性、拠点性を確保してほしいとの意見があり、10月末までに改めて宿泊計画を提出するよう求められている。
【委員】
宿泊施設から競技会場へのスムーズな輸送は、大会を円滑に運営するための重要ポイントの一つになると思うが、宿泊施設から大会会場への選手の輸送計画について、現在の状況を伺う。
【理事者】
大会の輸送計画については、アジア競技大会・アジアパラ競技大会とも開催都市契約により大会の2年前までにOCAまたはAPCに対し提出することとなっている。このため、組織委員会及び開催都市は昨年度輸送連絡調整会議を設置し、鉄道事業者などの輸送業者や愛知県バス協会などの業界団体、また中部運輸局など行政といった幅広い関係団体の参画の下、各団体の知見をもらいながら調整・検討を進めている。この会議の検討等を踏まえて、アジア競技大会における輸送の方針や、各場面における運用方法などをまとめた輸送計画案に基づき、先月開催されたアジア競技大会第2回調整委員会において現状報告を行った。今後、輸送計画第一版をOCAに提出する予定としている。また、アジアパラ競技大会における輸送計画についても、輸送連絡調整会議での確認等を経て、APCに提出する予定としている。今後、バス及び乗用車の運行計画や、車両・運転手確保、宿泊施設から会場までのルートなどについて、関係団体と意見を調整し、さらに検討を進め、おおむね大会開催の3か月前までをめどに最終的な計画を取りまとめていく。
【委員】
大会中に設置されるメインメディアセンターには、海外から多くのメディアが集まるため、愛知、名古屋をPRする絶好の場所だと考えられる。メインメディアセンターにおける地元の魅力発信について、どのように考えているのか。また、選手と県民・市民の交流の機会を創出することも重要だと思うが、選手との交流についてどのように取り組んでいくのか。
【理事者】
メインメディアセンターは、国際イベント開催時において報道関係者による取材活動や、放送権者による映像・音声の制作などを行う拠点であり、愛知・名古屋2026大会では、ポートメッセなごやに設置する。昨年開催した杭州大会では、メインメディアセンター内に開催都市の文化展示コーナーを設け、中国の伝統文化や浙江省の無形文化遺産の魅力を紹介しており、その様子は新聞記事や報道関係のSNSなどにより広く伝えられた。愛知・名古屋2026大会においても、地元の魅力が多くのメディアに取り上げられるよう、メインメディアセンター内に発信する場所を確保するとともに、効果的な発信方法について、市町村をはじめ関係団体と連携し検討していく。また、大会開催に合わせて来県する選手と県民・市民との交流は、国際理解・国際交流のきっかけとなるとともに、アジアと愛知の次世代を育むまたとない貴重な機会となる。大会期間において、選手と県民・市民の交流が図られるよう、競技会場周辺で地元のお祭りや特産品を活用したイベントを開催するなど、組織委員会や市町村など関係者と連携し、その方策について検討していく。
【委員】
二点質問する。まず公立高校の給食導入について、本会議の一般質問で議員から給食導入についての話があったため、それに関連して質問する。
議員の質問に対する答弁では、中高一貫の高校の部分においても民間業者による昼食が提供できるように準備を進めていくという回答であった。これは大変よい話だと思っており、子を持つ親にとって、子供が高校生になったとき、3年間昼食を準備する状況に置かれたら大変だと思う人が多いのではないかと思われる。そういった不安を解消する意味でも有意義な話だと思い、それを応援する意味で質問をさせてもらう。
まず、高校で提供される昼食というのは、生徒が食べるものであるから、価格はもちろんのこと栄養も重要だと考えており、本会議での答弁にあった試行を行っている3校において、それぞれ幾らの弁当が提供されたのか、また栄養士が弁当を作成したのか、この二点を伺う。
【理事者】
試行における1食当たりの価格は、明和高校及び津島高校では450円、半田高校では600円だった。価格については、提供する業者がそれぞれ異なることから差が生じている。また、献立について弁当業者に確認したところ、栄養士が作成しているところと、献立の作成を別の業者に委託しているところがあった。
【委員】
弁当の価格が450円の高校が2校と600円の高校が1校ということであり、提供業者は3社とも、形は違えども栄養士が作成していると理解した。栄養士が作成していると聞き、非常に安心している。学校給食法における中学生や特別支援学校の生徒・児童に提供される給食は、やはり栄養士が入って、初めて給食と呼べるものなのではないかと個人的には考えており、今後これをぜひ県内全域の高校に広めてもらいたい。栄養バランスが取れた弁当を安価で提供してもらいたく、それを実現するためにはどういった方法があるのかを考えてもらいたい。しかし、業者が違えば、提供する側の考えで値段は変わってしまうものである。
県内全域で導入する場合、そのスケールメリットを考えれば、安価で栄養士が作った弁当を提供できるかと思うが、県が一括で業者を選定することはできないのか。
【理事者】
県全体に提供できる業者があればメリットが大きいが、今回の試行を進めるに当たり、複数の学校に配達が可能な業者を探したものの、見つけることが難しく、現状としては学校ごとに協力してもらえる地元の業者を探して、試行を実施した。今後も引き続き栄養バランスに優れた給食を安価で提供できる業者の開拓に努めていく。
【委員】
現時点では業者がいないかもしれないが、公立高校の給食導入を進めていくに当たっては、クラスターを作っていく方法も考えられる。複数の学校に配達することができる業者が現れるためには、少しずつばらばらとやるよりは、固まって進めていくことで、業者が手を挙げやすくなると思う。しかし、配達可能な民間業者が見つからないという地域があっては、県内全域には行き渡らない。配達可能な業者が見つからない場合、どのような方法で対応できるのか伺う。
【理事者】
配達業者が見つからない場合の対応について、現在一部の学校では、コンビニエンスストアが昼の時間帯だけ校内で昼食を販売する例がある。こうした事例も参考に、コンビニエンスストアのほか、地元のスーパーマーケットなどと連携して、ふだん店舗で販売している弁当を学校で販売する、購買の商品の種類を増やすようお願いするなど、それぞれの学校の実情に応じて昼食の選択肢を増やすことを検討するよう促していく。
【委員】
公立高校における給食の導入について、県内全域に広めていくことを可能とするには、どのような手順で行っていくのか、県の認識を伺う。
【理事者】
昼食の提供に関する各学校の実情を把握するため、各学校に対して校内の購買の有無など各校の状況を把握するためのアンケートを実施する。このアンケートの結果を踏まえ、今年度中に中高一貫校の第2次導入校5校に加えて、デリバリーが可能な業者の開拓ができた地域で昼食導入の試行を行っていきたい。その結果を各学校で共有することで、県立学校における昼食の選択肢を増やせるよう取り組んでいく。
【委員】
少しずつでも前に進んでいる姿を見せることは、子を持つ親にとって大変励みになる。また、給食導入を進めるに当たって、2年前、愛知県自由民主党県議団の中で、知事への提言をするプロジェクトチームが立ち上がり、子育て支援の政策が何かないかと考えたときに、この給食導入を思いつき、全国でこういうことをやっている高校はないのかと思い、実際に高校へ訪問した。そのときは、石川県の志賀町を訪問し、そこの高校では、町が費用を負担して給食を導入していた。何でそこまでやったのかと志賀町に質問したところ、志賀町に唯一ある県立高校であり、廃校になることを非常に危惧していた。町として何ができるかと思って検討した結果、高校に魅力を持たせるために、給食を導入したということであった。裏を返せば、給食がある高校というのは、親が助かるだけでなく、魅力の向上にもつながると思う。愛知県が県内全域で給食が提供されることになると、愛知県の魅力を高める上において非常によいことである。また、以前、ある高校の校長先生から、学校の昼食時間に弁当を食べていない生徒がおり、原因は何かと聞いてみると、お小遣いを渡されておらず、親が昼食を作ってくれることがないといった生徒が現実にいるという話をきいた。給食という制度があれば、費用の面はさておき、まずはおいしいご飯をお昼に食べることができるため、本当にいいセーフティーネットにもなると思う。ぜひそういったことを踏まえて、着実に県内全域に広めてもらいたい。
次に中高一貫で行われる国際バカロレア教育について伺う。この質問に至る経緯として、名古屋市守山区にある、名古屋国際学園(名古屋インターナショナルスクール)を視察した際に聞いた話を基に順次質問していく。
まず、前提の話になるが、国際バカロレア(IB)教育と日本の教育プログラムの違いを、具体例も含めて説明してもらいたい。
【理事者】
国際バカロレア教育と日本の教育プログラムの違いについて、日本の教育では教科ごとに教科書に沿って授業を行うのに対して、国際バカロレア教育の授業では教科横断的であること、逆向き設計と呼ばれる単元など初めにゴールを示され、その解決に向けて生徒が主体的に学ぶことに特徴がある。
例えば、英語の授業では、100年前のアメリカ人にスマートフォンについて説明する動画を撮影して2か月後に提出しなさいといった課題が初めに提示される。生徒は課題に取り組む中で、説明するために必要な英語表現や、100年前のアメリカの文化、スマートフォンの仕組みや現代社会における役割、情報リテラシーなど、様々な教科を横断する知識や技能を主体的に学んでいくこととなる。国際バカロレア教育では、こうした生徒が主体となった探究的な学びがあらゆる教科で実践され、国際的な視野を持った世界で活躍できる人材が育成されていく。
【委員】
国際バカロレア教育では、一様に授業で教えるのではなく、出された題材についてそれぞれが調べていき、かつその調べる方法を教える教育であると理解した。
次に、バカロレア教育の教員の確保について伺う。まず中学校の教育内容について、バカロレア教育では英語で教えることになるが、中学校においては全教科英語で行うのか。
【理事者】
国際バカロレア教育の教育プログラムのうち、中学生を対象としたミドル・イヤーズ・プログラム(MYP)では、日本の学習指導要領における美術と音楽を芸術として扱う。そのため、日本の9教科をMYPでは8教科として学習することになるが、扱う内容は学習指導要領を踏まえた内容となる。MYPでは、全ての教科について日本語での学習が認められているので、全教科を英語で行うことは考えていない。一方で、高校については、本県では英語と日本語の両方の言語で行う、デュアルランゲージ・ディプロマ・プログラム(DLDP)を導入することとしている。よって、中学校の段階から英語の力を身につけることは、生徒が高校でディプロマ・プログラム(DP)を履修し、高校卒業後世界で活躍するために大変重要であるため、生徒が実践的な英語力を習得できるように取り組んでいく。
例えば、津島高等学校附属中学校では、総合的な学習の時間の中で、アメリカの中学生が使っている教材で学んだり、英語のニュースやインターネットサイトで調べたり、英語で発表するといった、英語を使って学ぶ機会を積極的に設けていきたい。また、海外の学校とオンラインの交流や、海外語学研修の実施も予定している。
【委員】
次に、高校に進学する際の選択肢について、中学校から2クラス高校に上がる生徒がいるが、進路についてどういった選択肢になっていくのか。
【理事者】
高校に進学する際の進路について、津島高等学校附属中学校を卒業した生徒は、津島高校に来年度2025年度から新しく設置される国際探究科に進学する。また、西尾高等学校附属中学校及び時習館高等学校附属中学校を卒業した生徒は、それぞれの高校の普通科に進学する。高校に進学した生徒は、1年生の秋頃に高校生向けの教育プログラムであるDPを履修するかどうかを選択することになる。なお、DPの履修者は最大で25人を予定している。
【委員】
進路については、以前も教育・スポーツ委員会で質問があったと思うが、国際バカロレアを受験するに当たって、制度としては日本の教育プログラムによる受験、いわゆる一般の生徒たちが大学を受ける受験と、それからIBの試験を受けるという選択は、これは併用できるという答弁を聞いているが、現実問題、DPを履修するクラスの生徒が、先ほど説明があった授業を受けるスタイルではない環境で、ディプロマの授業をこなしていき、最終的にはIBの試験を受けるための教育プログラムだと理解すると、方向を180度変えて、一般の大学受験を受けるというのはあまり現実的ではないかと考える。
そこで、DPを選択しようと考える生徒に向けて、教育の質を担保する必要があると思う。IBの受験を選択する方向に向かってもらうためには、IB教育における教員の質の確保というのが極めて大事である。
名古屋国際学園を視察した際、年に1回、世界の三か所でリクルートのイベントが開かれるため、北米とアジアとヨーロッパに各学校の校長先生が出向いていき、バカロレア専門の教員をリクルートしてくる話を聞いた。バカロレア教育における教員のリクルートはどうするのか、県の認識を伺う。
【理事者】
バカロレア教育を推進するに当たり、英語力の高い教員が必要であるため、積極的に採用していきたい。現行の教員採用試験においても、英語と他教科の免許など複数の教員免許を所有する受験者に対して、一定の加点を行っているほか、他の自治体で勤務実績のある受験者に対して、1次試験の一部を免除する現職教諭特別選考を実施しており、高い英語力を持つ教員の積極的な採用をできるようにしている。さらに、来年度以降の教員採用試験に向けて、英語科以外の教員志願者で、英語の能力が高い人など、バカロレア教育を推進するための人材の採用につながる方法の検討を進め、優秀な教員の採用につなげるとともに、現在、県立学校では人事異動公募制度というものを行っており、この制度を活用して、バカロレア教育に興味・関心を持つ教員が応募できるようにすることで、人材の発掘を行っていきたいと考えている。なお、朝日将貴委員から紹介があった、海外における国際バカロレア教育の教員のリクルートについては、引き続き調査研究をするとともに、併せて、大学等と連携して外国人留学生など実践的で高い英語力を持つ人材の活用なども検討していきたいと考えている。
【委員】
経験のある教員を発掘するというが、英語の先生が英語を教えるという話ではないため、例えば社会や数学や理科においても、英語を使って調べ方を教え、IBの試験で点数を取れる教育をするのであれば、今の教員採用試験とは常識がそもそも違うと思う。
現職の教員も、バカロレアの教員になってもらうためには、バカロレア教員をリクルートしてもらい、そこの先生にサポートでついてもらうと名古屋国際学園で教えてもらった。バカロレア教員の考え方や学び方をしっかり学んでもらい、いずれはその人がメインでバカロレア教員になってもらう。このようなことを名古屋国際学園では行っているとのことであった。
したがって、導入期においては、バカロレア教員の育成を念頭に進めていかなくてはならない。バカロレア教育の根底にある、最終的にはIBの試験で点数を取るという結果を出すために、本気度を示してもらうためにも、教員のリクルートには力を入れてもらいたい。
そこで伺うが、バカロレア教育専門の教員は全教科で配置するのか。
【理事者】
国際バカロレア教育のうち、中学校段階のMYPでは、先ほど説明した8教科を学習していく。また、高校段階のDPでは、国語に相当する言語と文学、外国語を学ぶ言語習得などの6教科に加えて、コアと呼ばれる三つの科目、課題論文、知の理論、奉仕活動を履修する。これらの教科は日本の学習指導要領の教科とも対応しており、国際バカロレア教育の科目を履修すれば、日本の教育課程も修了したことになる。
これらの教科の教員については、日本の学校における教員免許に加えて、国際バカロレア機構が主催するワークショップへ参加すること、または大学等の国際バカロレア教育研究コースを修了して認定証を習得することのいずれかが求められている。中学校のMYPでは、各教科で少なくとも一人がこれら二つの条件のいずれかを満たしているとともに、全教員が校内で実施されるワークショップに参加する必要がある。また、DPでは、全員が二つの条件のいずれかを満たしている必要がある。そのため、本県の中高一貫校においても、国際バカロレア教育に携わる教員については、全員国際バカロレア機構が求める要件を満たす専門の教員を配置する。
【委員】
要件を満たした教員が配置されるとあるが、やはりここは本気度を示してもらいたい。
次に、IBの試験について、いつ受験があり、その結果、海外の大学を選択するのであれば何月の入学になるのか。
【理事者】
IB資格取得から海外の大学入学までのスケジュールであるが、まずDP履修者は高校3年生の11月に世界共通で行われる最終試験を受験し、翌年1月にスコアが通知される。このスコアによって、進学できる大学が決まってくる。その後は進学する大学の国・地域によって時期が異なるが、欧米の大学の場合は、おおむね1月に大学に出願し、3月から4月に合格通知が届くことになる。5月から7月に合格した大学の中から進学先を決定して、9月から10月に大学に入学するというスケジュールとなる。
【委員】
海外の基準に合わすため、11月に試験を受けるが、入学は約1年弱後となる。スケジュールをきちんと把握した上で、その間、どういった伴走支援ができるのか、入学までの間どのようなサポートを生徒へ行うのか伺う。
【理事者】
高校卒業から大学に入学するまでの期間については、大学進学に向けた準備として、早めに渡航して、語学学校で英語力をさらに高め、国際バカロレアらしい取組として、ボランティア活動に従事する生徒が多いと聞いている。また、卒業後、進学に向けて相談に来る生徒もいると考えられるので、しっかりサポートしていきたい。
【委員】
せっかく時間ができるため、他国の事例なども含め、日本のバカロレアを受験される生徒にも同じような感覚を持ってもらいたい。
次に、豊橋市の時習館高等学校について、豊橋市は独自で、八町小学校でイマージョン教育を実施しており、豊橋市の独自の教育支援において、英語に特化している。八町小学校で英語を学んだ生徒が、時習館高等学校附属中学校において中高一貫でバカロレア教育を受け始められるようになるため、英語を学んできた八町小学校の児童は、時習館高等学校附属中学校に入る下地を初等教育で受けてきており親和性が高いようにみえる。
したがって、ほかの津島高等学校附属中学校や西尾高等学校附属中学校と違い、八町小学校出身の生徒とそれ以外の生徒との間で違いが出てくるのでないかと思われる。その点について、この八町小学校でイマージョン教育を受けている生徒とそれ以外の生徒で、違いが出てくる課題に対して、県はどう取り組むのか。
【理事者】
中高一貫校では、様々な個性を持つ多様な生徒に入学してもらいたい。委員から紹介があった、先進的な英語教育の取組をしている豊橋市立八町小学校から入学する生徒については、イマージョン教育を通して高い英語力を身につけていると思われる。そうした八町小学校からの生徒が小学校で培った英語の力を生かして、時習館高等学校附属中学校においては、英語教育の核となり、ほかの学校からの生徒とお互いの良さを生かしながら刺激し合うような指導を行うことで、良い化学反応を起こして、活発に英語が飛び交う国際バカロレア教育校らしい学校となることを期待している。
【委員】
バカロレア教育は、教員が一様に授業をするわけではないため、生徒間で英語力に濃淡があったとしても、得意な子は得意なように英語で指導、苦手な子は苦手な子に指導をというのが非常にやりやすいとも思う。そういった意味においては、時習館高校をいずれ卒業して、IBの試験を受ける生徒は、津島高校や西尾高校に比べてより得点を取れる子が出るのではないのかと期待している。先ほど期待するとの答弁があったが、私も同じように思う。
そういう意味では、この初等教育においては、初等教育の英語教育がここでいよいよ実りを迎えていると思う。八町小学校におけるイマ-ジョン教育は、豊橋市の予算でやっており、同じような予算が例えば津島市、西尾市で計上できるかと思うと、厳しいのでないかと思う。
豊橋市ぐらいのスケールメリットがあるため、市長の差配でそういったことも可能になっていると思う。これは非常によいことであり、長期的に見た場合、中等教育においても県が手を伸ばし、中高一貫でバカロレア教育を用意したわけであるため、そこに向けて初等教育の英語力を支援していく、そういったところに予算を使っていくことが、今後求められると思う。
今後、戦後の団塊の世代や団塊ジュニアの世代で大変な量をこなしてきた教育方法が、この少子化の時代に向かっていくと、量ではなく質に力を入れる時代になるのではないのかと個人的には考えており、そういった質を担保する意味でも、初等教育にもこのバカロレア教育でより世界に羽ばたく人間を、この愛知から育んでもらうために、教育予算を確保していく一つのコアなところにしていってほしいと思う。
いずれにせよ、バカロレア教育をせっかくやるわけであるので、本気度がしっかりと見えるように、教員のリクルートも含めて対応してもらい、来年中学校に入学する津島高校の生徒が困らないように、そして西尾高校、時習館高校の生徒も同様に教育してもらえるよう、バカロレア教育の充実に力を入れてもらいたい。
【委員】
県立高校のトイレへの生理用品の設置を求め、質問をさせてもらう。高校のトイレに生理用品を設置することは、生理の貧困にとどまらず、女性の性に関わる健康と権利、リプロダクティブ・ヘルス&ライツの尊重の点からも重要であり、子供たちが安心して学校生活を送るために欠かせないものである。前回の6月定例議会の本委員会で、生理用品を全ての高校トイレに設置するよう求めて質問をした際に、生理用品に関しては種類やメーカーが多様で、使い慣れた製品を自分で持つというのが今のところ社会の一般的な感覚だと答弁がされた。生理現象でトイレに行ったときに、欠かせないトイレットペーパーは学校に備え付けてあり、使い慣れた製品を持つことが一般的な感覚とはいわれない。なぜ生理用品の話になると、そのような答弁になるのか。月経、生理は女性として避けることのできない生理現象である。毎月生理は起こるものある。トイレにトイレットペーパーがなければ困るように、生理用品は必需品、必要不可欠なものである。だからこそ、社会的インフラとして位置づける必要がある。
また、生理用品の学校トイレへの設置は、経済的な負担を減らし、女子生徒が尊厳を持って生理期間を過ごすために必要である。生理用品が入手できないことを理由に女子生徒が学業を制限されることもあってはならないと思う。子供たちが心身の健康を維持し、安心して学校生活を送ることができる環境整備として、トイレットペーパーと同じように学校のトイレに生理用品を置くことが必要という認識を持つべきだと思うがどうか。
【理事者】
生理用品は、種類が多様で使い慣れた製品を各自で持参するのが、今のところ社会の一般的な感覚であると認識している。一方で、月経は女性として避けることのできない生理現象であり、生理用品は必要不可欠なものであるため、急な生理や、生理用品を切らした場合などに備え、必要なときに生理用品を入手できるよう、本県では県立学校に生理用品を配布している。
【委員】
必要不可欠なものだが、今、公共施設や民間の場所では、生理用品をトイレに設置する流れがある。そもそも保健室にあるものであっても、使い慣れたものというわけではないものであるため、緊急に必要になったときに、手に届く場所に置いてあることが大事である。
厚生労働省が令和4年に行った、生理の貧困が女性の心身の健康等に及ぼす影響に関する調査の結果報告では、社会生活の影響の中で生理用品の購入・入手に苦労したことがよくある、時々あると回答した人を対象に、新型コロナウイルス感染症発生以降及びここ6か月間に生じた生理用品を購入・入手できないことを理由とする社会生活への影響について尋ねていた。その回答を見ると、学業や仕事に集中できないが34.1パーセント、学校や職場を遅刻・早退・欠席するが26.2パーセントといった結果になっていた。
北海道の道立高校では、生理用品の設置をモデル的な取組を幾つかの高校で行い、生徒からのアンケートを行った。その中で、生理用品が手元になく困った経験がある生徒が8割おり、中には学校、部活も含めて、遅刻とか早退とか欠席したことがある人が6.3パーセントいるという回答もあった。愛知県としても、やはり生理用品が入手できないことを理由に学ぶ機会が失われないように、衛生面で心配なく安心して学校生活を送る環境を県の責任でつくる必要があると思われる。
私は8月末に、既に全ての高校トイレに生理用品が設置された東京都立新宿高校へ視察に行った。東京都では、令和3年からいつでも生理用品を入手できる環境をと、生理用品設置をまず7校で始めた。視察した新宿高校もその一つである。そこから同じ年の2学期に全校へ広げていったそうである。短期間での広がりは関心が高かったためであると聞いた。生徒から、保健室まで取りに行くのは時間がかかる、トイレに設置されて気兼ねなく使える、急に必要になったとき助かる、トイレットペーパーのように常備されているのは安心と好評である。視察した新宿高校の校長先生は、生理用品もトイレットペーパーのように通常使うものとして設置していると話していた。
実際に、校内のトイレに生理用品が置いてあるところも視察した。1階及び普通教室がある3階、4階、5階各フロア2か所、生徒のいるフロア全てのトイレに設置されていた。トイレに入ると、洗面台のところにどなたでも御自由にお使いくださいと書いた開放型ボックスに、生理用品がぎっしりと入っていた。気兼ねなく使える量だなと思った。トイレの清掃業者がトイレットペーパーと同じように週2回補充を行っている。校長先生は使われ方まで細かく把握していないが、必要以上に持ち帰って学校が困ったことは特に聞いていないとも言っていた。
生理用品の設置に関する予算は、2024年度予算では都立高校で約1,300万円、特別支援学校で約900万円、独立した事業ではなく学校運営費をその分増額して対応している。積算の根拠は、実績ベースで積算しており、高校約190校、女子生徒約6万6,000人で、年間約54万枚、特別支援学校約60校、女子生徒約4,300人で約2万枚である。愛知県でも十分予算措置できる額だと思う。東京都の予算額を参考に、生理用品を設置するための予算を増額し、高校トイレへの設置を進めてもらいたいがどうか。
また、実際に高校トイレに生理用品が設置されている都立高校へ愛知県教育委員会からも視察に行ってもらいたいと思うがどうか。二点答弁を求める。
【理事者】
県立高校に通う生徒が経済的理由で生理用品を用意できない、急な生理や生理用品を切らした場合などに備え、安心して学校生活を送ることができるよう、生理用品を配備するための予算を確保していく。なお、生理用品の設置に係る県外視察は、委員が提案した東京都を含め、現在予定していない。
【委員】
現在予定していないが、東京都や北海道など、先進的に既にやっている都や道があるため、ぜひそういうところの経験からも学んでほしいと思うがどうか。
【理事者】
生理用品の配備の状況等については、本県の県立高校でも配備しており、実施状況は調査をしているため、現在のところ県外への調査は考えていない。
【委員】
県外に視察することは考えてないとの答弁だが、先進的なところを、どういうふうにやってきているのかを知ることは、大事だと思う。私はおととい、地元豊橋市内の高校にも視察に行き、生理用品の設置状況、使用状況などを聞いてきた。その高校では、本館1階と生徒棟の手洗い場8か所、体育館前の手洗い場にそれぞれ生理用品が5枚、6枚ずつ置いてあった。そこには御自由にお持ちくださいというメッセージとともに、生理や生理用品のことで困ったことがあれば保健室でも相談できますというメッセージを添えられていた。こういう工夫があれば相談にもつながると思った。
生理用品は、保健衛生対策費で年間1万5,000円から1万6,000円の費用の中で購入していると聞いた。それと併せて、コロナ禍で寄附された在庫があるため、何とかトイレに設置することができていると話していた。しかし、それでもたった5枚、6枚ということで、これでは数が足りない。東京都をさっき紹介したが、ボックスに5枚、6枚なんていう数ではなく、本当にぎっしり詰まっていた。ほかの高校では、生理用品が足らないために、トイレに設置することが難しいという学校もある。
先ほど紹介したように、東京都は7校からスタートした。同じような取組を北海道でも行っている。道立学校の女子トイレ等へ生理用品を先行して配置するモデル的な取組を道立学校11校で行い、さらにアンケートも行われた。その結果も踏まえて、令和5年度の4月から道立学校のトイレに生理用品が設置されることになった。
そこで提案だが、現在生理用品を全て置いている高校が本年6月定例議会における委員会の答弁では28校であるとの答弁であったが、ぜひ、高校生へのアンケート、そして各校の使用状況把握などを行って、予算を拡充して全校に広げていってもらいたいと思うがどうか。
【理事者】
今後もそれぞれの学校の使用状況を確認し、必要な予算を確保していく。
【委員】
必要な予算を確保するとのことなので、ぜひ高校生の声を聞いてもらいたい。予算の確保を、東京都の予算を踏まえてぜひやってもらいたいと思う。生理用品を家庭の経済的な理由で購入できない場合はもちろんだが、急遽必要になった場合にも、手に届きやすいトイレに設置することは本当に必要である。10代は特に生理日が安定せず、いろいろなストレス、睡眠不足及び体調の変化で生理日がずれることは本当によくある。そういった生理への理解も深めてもらい、生理用品を学校のトイレに設置することに尽力してもらいたいことを強く要望する。
続いて、学校給食無償化を求め、質問する。学校給食は生きた教材であり、教育の一環である。子供の権利保障の点でも役割を果たしている。今、愛知県内の市町村の中でも、学校給食無償化が少しずつ進んできている。しかし、小・中学校で完全無償化や半額補助の地域、全く取り組んでいない地域とばらばらになっている。平等であるべき教育で財政力の違いによる地域間格差が生じている実態を県はどのように認識をしているか。
【理事者】
県内市町村の給食費無償化の取組状況は、全て無償化を行っている市町村が5市1村あり、期間や対象を限定して無償化を行っている市町村が8市3町ある。学校教育法では、給食の食材に係る費用については保護者の負担とされているが、これに対して小・中学校の設置者である市町村がそれぞれの実情に応じて判断し、補助を行っているものと考えている(後刻訂正)。
【委員】
命や健康に関わるそういった問題や教育について格差が生まれない取組について、先ほど設置者である市町村が行っていると答弁があったが、県の責任できちんと進めていく必要があると思う。この間、物価高騰というのは本当に深刻であり、各自治体にとっては学校給食費を値上げするか、もしくは給食の食材の質を落としたり、量を減らしたりして対応するか、こういうことが迫られる状況になっている。岡崎市では、今年の4月から小学校1食当たり240円が270円と30円値上がりしており、中学校1食当たり275円が315円と40円値上がりした。さらに、日進市でも学校給食費の値上げが提案された。また、豊川市では、給食の献立から1品減ったという話も聞いた。子供たちの成長発達にとっても、保護者の負担にとっても、深刻な状況である。給食の質・量の確保も子育て世帯の負担軽減もどちらも大事ではないか。現状をどのように認識しているのか。
【理事者】
学校給食の質や量の確保については、国が定める学校給食実施基準に従って、学校設置者である市町村が献立を定め取り組んでいる。子育て世帯の負担軽減は、国が骨太方針2024において、学校給食無償化の課題整理等を行うとしているので、国全体として学校給食費等の負担の在り方を抜本的に整理した上で、国の責任で財源を含め具体的な施策が示されるものと認識している。
【委員】
市町村の責任や、国がやることなどというが、県の責任はどこにあるのか。各自治体が学校給食を値上げしなくても済むよう、先ほど紹介したように、献立が1品減らされてしまうなど、子供たちの本当に成長発達に影響している問題だという認識を持ってもらわないといけない。
東京都は、今年度より東京都公立学校給食費負担軽減事業として、小・中学校の給食費無償化へ半額補助を行った。その後、さらに9月議会には補正予算で、全ての市町村が学校給食の無償化を実施できるように、市町村の一般財源を補完するための市町村総合交付金を拡充することが提案され、市町村の負担は8分の1まで減ることが見込まれる。こういった都の後押しを受け、学校給食無償化や一部無償化の自治体が広がり、未実施が62区市町村中、あと2市のみというところまで来ている。ほかにも、和歌山県が小・中学校の給食費無償化に半額補助、沖縄県は中学校のみだが半額補助、青森は県の責任で公立小・中学校と国立・私立・特別支援学校も対象にして給食費の無償化を実施するという方針を打ち出した。
都や県段階での学校給食費の支援が始まり、拡充されている。学校給食費の負担は子育て中の人にとって日々の生活に大きく影響している。豊橋市市民から、本来喜ぶべき子供の成長にため息が出ることもある。3か月から4か月たつと子供の靴のサイズはすぐ大きくなる。上履き980円、体育館シューズ1,890円、日常の靴2,900円で合わせて5,770円かかる。体操服も成長するたびに買換えが必要だが、余裕がない。さらに痛いのが、無償だった豊橋市の給食が半額補助になってしまい、子供二人で毎月5,000円の出費であると、本当に悲鳴のような声を聴いた。そこで伺うが、県内の地域間格差を解消し、学校給食無償化の後押しへ、まずは愛知県自ら市町村へ半額補助を行うことをぜひ決断してもらいたいと思うがどうか。
【理事者】
県としては、学校給食費は国の責任で財源を含め具体的な施策を示すべきと考えており、引き続き国に対して要請を行っていく。
【委員】
東京都は何といっているかというと、もちろん本来は今の答弁のように国が行うことだと都も強調しているが、その上で、国が実施するまでの間、学校給食費の負担軽減へ市町村の取組をさらに後押ししたいと、学校給食費への財政支援を拡充すると発表した。国の動きを待つだけではなく、国が実施するまで市町村の取組を後押しするのは、県の役割だと思うがどうか。
【理事者】
繰り返しの答弁になるが、学校給食費は国の責任で財源を含めて具体的な施策を示すべきであると考えている。
【委員】
県の責任で動くことを考えてもらいたい問題だと思う。国への要望は引き続きぜひやってもらいたいが、県として市町村の後押しをする役割にあると思う。学校給食無償化について、この間の答弁の中で、小・中学校の設置者である市町村がそれぞれの実情に応じて判断し実施されるものだと繰り返しあった。県立学校の設置者は愛知県であるため、設置者としての責任も果たしてもらいたい。
東京都では、特別支援学校など都立学校の給食費については、設置者として都が負担している。東京都公立学校給食費負担軽減事業として、今年度は約20億円の予算となっている。定時制高校では、無償化されたことで喫食率がぐんと上がり、生徒も教員も喜んでいるという話を聴いた。中高一貫校の中学校も都が無償化を行っている。
そこで、県立学校の設置者である愛知県として、中高一貫校附属の中学校や特別支援学校、定時制高校の学校給食無償化へ踏み出してもらいたいがどうか。
【理事者】
中高一貫校の附属中学校や特別支援学校の給食については、国の責任で財源を含め具体的な施策を示すべきと考えており、引き続き国に対して要請を行っていく。夜間定時制高校の給食については、働きながら学ぶ青年に提供することを目的に実施されており、特別法において食材費は生徒が負担するものとされている。
答弁は以上になるが、一点答弁を訂正する。委員の給食費無償化の一つ目の質問で、学校給食法とすべきところを、学校教育法とした。学校給食法が正しく、学校教育法は誤りであるので訂正させてもらう。
【委員】
愛知県内どこに住んでいても質の高い給食を無償で全ての子供たちに食べさせていき、地産地消の給食で地域活性化も求めていくことを県の責任で取り組んでほしいと思う。教育予算をしっかり確保して、学校給食の負担軽減と質の確保、充実を重ねて要望し、この給食無償化についての質問を終わる。
続いて、アジア・アジアパラ競技大会について質問する。先ほども9月21日の報道について質問があったが、答弁では事実とは異なるとあったが、昨今の物価や人件費の高騰などのように、いろいろな要因があると思われる。開催経費が2,000億円ではないとしても、どれだけ増えることを想定しているのか。また、経費の全体像について明らかにする必要があると思うがどうか。
【理事者】
現在、大会組織委員会では、繰り返しになるが、OCA、APC、競技団体などと協議や調整をしており、個別の競技ごとに会場の整備や各会場の警備、輸送など、大会運営に係る様々な計画を検討し作成を進めており、経費の積算を行っている。大会経費について新聞報道等はあったが、現時点で大会経費についてこのような確定した経費の試算額はない。建設資材や人件費の高騰など、社会経済状況の変動により、大会経費には上振れの要因はあるが、経費の削減、抑制に向けて様々な工夫、努力を行っている。
【委員】
県には、経費を県民に明らかにする責任があると思う。県民の貴重な税金を使っているの
で、県民に対してどこに何のために幾ら投入するのか、全容を今になっても明らかにできないのは無責任である。明らかにしないため、新聞報道でこういう数字が出るとそれが一人歩きをしてしまう。
新聞にも、あれだけ大きく報道されれば、県民の関心になっていくため、本年6月定例議会における委員会での答弁で、確定値でなくとも大会経費の見通しについて県民に丁寧に説明したいと答弁があったため、県として説明しなければならないと思う。いつまでに明らかにするのかという点や、途中であっても今の経過を明らかにしていく必要があると思うが、どのように認識しているのか。
【理事者】
これまでも大きな決定事項があれば、組織委員会、理事会の結果報告や記者発表などを通じて説明している。大会経費の見通しについても、引き続き同様に県民に丁寧に説明していきたい。
【委員】
ぜひ明らかにしてもらいたい。これまで大会経費についても、予算の範囲内で収まるように努力するといっていたが、今現在も予算の範囲内で収めるという姿勢は変換されずに、そのままでよいのか。
【理事者】
愛知・名古屋2026大会は、簡素で合理的、機能的な大会運営を目指し、経費の削減、抑制に向けて様々な工夫、努力を行っており、現在もその方針に変更はない。
【委員】
続いて、クルーズ船の活用について伺う。選手村の代わりにクルーズ船などを活用する計画に対して、主催者のOCAが大幅な見直しを要望したと報道があった。OCAは、より多くの選手同士が交流できる拠点が必要と言い、代替案の提出を求めたことが報道ではあったが、改めてOCAから提案されている現在の内容と選手同士の交流の拠点について、どのように検討していくのか伺う。
【理事者】
先ほどの答弁の中で触れたが、クルーズ船の活用を含め、選手の宿泊に関しては、先月開催されたアジア競技大会第2回調整委員会において、OCAから選手の宿泊施設についてより高い集積性、拠点性を確保してほしいとの意見があり、10月末までに改めて宿泊計画を提出するように求められている。
また、選手同士の交流については、開催都市として、愛知・名古屋のシンボリックな場所である、愛・地球博記念公園と名古屋城を選手の交流拠点として位置づけ、異なる国や競技の選手がそこで交流できるよう検討している。国際スポーツにおける選手間の交流は、国や競技、ジェンダーなどの違いを超えて、互いの理解を深める大切な機会であることから、愛知・名古屋2026大会でも同様の機会を確保できるよう、名古屋市と連携して準備を進めていく。
【委員】
中日新聞の報道に関して伺う。大会経費とは別に、開催都市経費として、行政の負担金が新たに発生することも分かった。愛知県は約600億円、名古屋市は約300億円であり、さらなる負担もあり得るとのことであり、開催都市経費は、当初は想定されていなかったとあった。県は、この開催都市経費を想定していなかったのか伺う。大会経費とは別にかかる経費があるという理解でよいのか。また、この経費の負担額がいくらになると現時点で想定されているのか伺う。
【理事者】
本県では、当初から主に大会の機運醸成や、大会開催により県民生活への影響が懸念される事象への対応が、開催都市の役割と考えている。これまでも、先月から始まった大会2年前イベントや、大会時における競技会場周辺の混雑に対応するための警備誘導の計画策定等に経費を執行してきた。また、競技会場の使用料といった開催都市契約に開催都市の義務と規定されている項目に基づく経費も、開催都市経費として想定している。
こうした開催都市経費については、これまでも毎年度議会において承認された予算で執行している。また、開催都市が負担する経費については、現在、組織委員会や関係機関と調整しながら試算を行っている状況である。
【委員】
この試算についてもぜひ明らかにしていってほしい。
続いて、アジアパラ競技大会を通して、障害者スポーツをどのように普及していくのか伺う。アジア・アジアパラ競技大会に関する懇談会からの提言では、アジアの障害者スポーツをリードすることにより、障害への理解促進や障害のある人への社会参加の促進に大きな役割を果たし、ひいては多様性を尊重し合う共生社会の実現に貢献すると、アジアパラ競技大会の開催意義を述べている。社会が抱える課題の解決にとって、スポーツが大きな役割を果たすことができるとの確信が表明されている。
愛知県スポーツ推進計画2023-2027~スポーツがつなぐ愛知の未来~の中でも、障害者スポーツの促進が大きな課題とされている。週1回以上のスポーツ実施率、成人56.3パーセントに対し、障害者は23パーセント、2026年までの目標は成人70パーセント、障害者40パーセントと大きな開きがある。障害者がスポーツを行う環境について、障害者スポーツの拠点となる障害者スポーツセンターは名古屋市障害者スポーツセンターのみで、県立の施設はない。障害者のスポーツ推進の中核拠点としての役割が求められている障害者専用・優先スポーツ施設は県内に10施設あるが、愛知県立は愛知勤労身体障害者体育館のみである。
ある実践型のスポーツ専門のシンクタンクは、障害児者の運動、スポーツの日常化に向け、地域の障害者スポーツセンターを中心に周辺の障害者専用・優先スポーツ施設や公共スポーツ施設、福祉施設などをネットワーク化することで、障害者のスポーツ参加を促進すると提言している。
そこで質問するが、アジアパラ競技大会をイベントで終わらせるのではなく、障害者スポーツの促進の契機にしてもらいたいと思う。どんな障害でも楽しめるスポーツの普及啓発、場の確保や、人材の育成など支援を積極的に取り組んでいくべきであると思うが、県の認識を伺う。また、障害者スポーツセンターなど、施設の拡充について目標を持って取り組んでもらいたいがどうか。
【理事者】
障害者スポーツをより多くの人に知ってもらうことは、障害のある人の自立と社会参加の促進や、障害への理解促進、さらには多様性を尊重し合う共生社会の実現に大きく寄与するものと考えている。本県では、障害者スポーツの普及や、障害者スポーツを体験する機会を提供するため、障害のある人もない人も誰もが障害者スポーツを体験したり交流したりすることができるプログラムを県内各地で実施している。具体的には、2022年度からドルフィンズアリーナにおいて、障害者スポーツを体験し、参加者同士の交流を深めるイベント、あいちパラスポPARKを開催しており、来場した多くの人に障害者スポーツを楽しんでもらっている。今年度は2月22日土曜日にドルフィンズアリーナで開催する予定である。
さらに、今年度はより多くの人に障害者スポーツに関心を持ってもらうため、バドミントン元日本代表の小椋久美子氏をあいちパラスポーツアンバサダーに任命し、本県の取組のPRやイベントへの参加などに協力してもらっている。
人材育成については、障害者スポーツを理解し応援するあいちパラスポーツサポーターを育成するセミナーなどを開催し、障害者スポーツを支える人材の裾野を広げる取組を行っている。
また、県立の障害者スポーツセンターを新たに整備する計画はないが、県のスポーツ施設については、現在進めている長寿命化改修工事の中で、施設の老朽化対策だけでなく、多機能トイレやスロープの設置などのバリアフリー対応を進めており、障害のある人も利用しやすい施設となるよう、順次改修を進めている。また、県のウェブページでは、スポーツ施設のバリアフリー情報を整理して紹介しているほか、障害のある人の利用に当たっては、利用料金の減免なども行っている。
今後とも障害のある人が身近で楽しくスポーツができるよう、障害者スポーツの普及促進にしっかり取り組んでいく。
【委員】
バリアフリーについては触れたが、スポーツセンターを障害者も楽しめるように施設の拡充もやってもらいたい。目標を持って取り組んでいく必要がある。誰もが楽しめるスポーツの環境整備について、ぜひこのアジアパラ競技大会をキャンペーンとして、より広くスポーツに親しめる人を増やすことに力を尽くしてもらいたいと要望する。
【委員】
アジア・アジアパラ競技大会まで残り744日であり、本格的な準備段階に入った。そこで、まず両大会を観戦するために来県する高齢者や障害者等に優しい宿泊施設のバリアフリーの進捗について質問する。宿泊施設バリアフリー整備推進事業費補助金について、現在の状況はどうか、また今後どのように進めていくのか伺う。
【理事者】
宿泊施設バリアフリー整備推進事業費補助金の状況については、本日10月4日時点で10件の申請を受け付けている。このうち、交付決定済のものは、トイレや浴室のバリアフリー化に係る施設改修が3件、車椅子の購入など備品購入が3件の合計6件である。本補助制度については、本年5月1日から申請受付を開始しているが、これに先立ち、本年4月に補助対象となる県内宿泊施設の全てに対して、制度の案内チラシを送付するとともに、説明会を2回実施した。さらに、愛知県ホテル・旅館生活衛生同業組合の役員会などにおいて制度の説明を行い、利用促進を図っている。なお、本補助制度は愛知・名古屋2026大会を見据えて実施する事業であることから、来年度2025年度も継続して実施していく。今後については、制度を最大限活用してもらえるよう、同様の補助制度を持つ名古屋市や組織委員会をはじめとする関係者と連携して、引き続き周知を行い、バリアフリー化の促進に努めていく。
【委員】
次に、両大会の周知、機運醸成について伺う。8月19日、アジア・アジアパラ競技大会推進特別委員会において、参考人からの意見陳述があった。そのポイントは、大会の収益、盛り上がりに直結するチケット販売こそ、両大会を成功に導く鍵であるとのことであった。一方、今回も話題になっているが、資材高騰等の影響で大会経費が増えることが見込まれるとして、約700億円が不足するとの報道があった。このショッキングなニュースによって、資金の不足分をチケット価格で補おうとしないか。すなわち、チケット代が高くなることもやむなしとの意見が出てこないか懸念していた。
そこでまず、要望するが、チケット金額は、両大会の観覧を楽しみにしている人の購買意欲を失うことがないようにしてほしい。より多くの県民、国民に世界水準のパフォーマンスを見てもらいたいし、両大会が本県地域の振興の一助になる取組にしてもらいたいので、誰もが観覧できる料金体系となるよう、県当局からもその旨、組織委員会に強く要望するようお願いする。
その上で、二点質問する。アジア・アジアパラ競技大会推進特別委員会における参考人からの意見陳述では、チケット販売につなげるための購買対象のグループについて、大きく三つのカテゴリーに分けて考えるべきとのことであった。三つのグループと連携して、その連携をする中でそのグループにいる人たちを対象にチケット販売していくという話である。
そのグループとは、一つ目は開催競技の団体やその地元のチームであり、二つ目は県内の地方自治体との連携の中であり、三つ目は県外の地方自治体いわゆる全国である。沖縄県から北海道まで、その地方自治体の連携の中でチケット販売していくという話であった。より多くの人に競技会場に足を運んでもらうためには、この三つをターゲットにして購入戦略をしっかり練らなければならないという話であった。そのためには、まずは両大会の認知度を高めて、そして開催機運を醸成していくことが重要であり、その上でその三つのカテゴリーに対して最適化された機運醸成を目指すべきと私自身認識もした。
そこで、両大会の周知、機運醸成を図るため、開催都市県として現在どのような取組を行っているのか。また、アジア・アジアパラ競技大会推進特別委員会での参考人からの意見陳述を踏まえて、より多くのチケット販売につなげるため、開催都市県として今後どのような取組をしていくのか伺う。
【理事者】
今年度の取組としては、9月21日、22日のSAKAE HIROBAsの開催を皮切りに、県内4か所において大会2年前イベントを実施するほか、県内各地で開催される市町村等のイベントでのPRブースの出展、県政お届け講座による大会概要の説明など、様々な機会を活用して、多くの人に大会の周知、機運醸成を実施している。また、各種競技団体や地元チームとの連携も必要であることから、例えば5月には岡崎市で開催された愛知県アーチェリー協会主催のアーチェリーフェスティバルでの両大会のPR、大会2年前イベントでは競技団体等と連携し、バスケットボールやセパタクロー、ボッチャ、ブラインドフットボールなどの競技コーナーを設けてもらうなどの取組を実施している。さらに、広域的な機運醸成を図るため、文部科学省が主催する東京でのイベントにおけるPRブースの出展、中部圏知事会や全国知事会などの場で他の自治体に対して大会の盛り上げや支援、協力を要請している。
次に、チケット販売につなげるため開催都市としてどのような取組を行っているかだが、愛知・名古屋2026大会のチケット販売については、現在、組織委員会において、本年7月にチケット販売事業者と業務委託契約を締結し、チケッティング計画の検討を進めている。
開催都市としては、大会の認知度向上のため、大会2年前イベントをはじめとした各種啓発イベントの中で、大会ロゴマーク入りの缶バッジ作り体験や、組織委員会が作成した大会のコアグラフィックス、マスコットキャラクターを積極的に展開するなど、来場者の印象に残り、両大会の開催を知ってもらうための仕掛けを実施している。また、各種イベントにおいて、競技団体等と連携した競技体験や、オリンピック・パラリンピックのメダリストによるデモンストレーションなどにより、来場者が両大会の競技への興味やアスリートのすごさに触れてもらう仕掛けも実施している。
今後もこうした仕掛けを意識するとともに、県内外での大規模イベントや、来年度から実施するテストイベントの場を活用した広報・PR、また、効果的なシティドレッシングなどを実施することで、多くの人に会場で観戦したい、大会に行ってみたいと思ってもらえるように、機運醸成に取り組んでいきたい。
【委員】
私はこの夏にアジア・アジアパラ競技大会推進特別委員会で、馬術の競技場になる東京の馬事公苑を調査した。すばらしい施設で、日本がオリンピックでメダルを取った公園で馬術がされることを改めて実感した。逆にいうと、東京に行って初めてそういう施設の面白さなどが分かるわけだが、これを愛知県でやる場合、他県の人からすると、施設のすばらしさ、面白さが全然分からないことが今後想像される。
チケット販売でいうと、愛知県内だけでは当然いけないことが参考人の話であったので、どのように愛知県の施設を含めた、この競技大会のすばらしさを全国各地津々浦々に知らしめるかを、東京の馬事公苑へ行って思った。そういう意味で今後もしっかりと取り組んでもらい、多くのチケットを売ることと同時に、たくさんの観客に本県に来てもらいたいと思う。
続いて、先々月発出された、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)により、社会は混乱した。初の臨時情報で戸惑いがあったのは当然だが、学校現場でも情報伝達の遅れや、避難計画の不備、保護者との連携不足など、改めて課題が明らかになった。今後、臨時情報、巨大地震警戒が出されれば、事前避難対象地域内にある学校では、臨時休校や避難所の開設などが必要となり、日常の学習活動が制限される。一層の混乱が予想される中、具体的な対応策をどう講じるべきか、改めて問われている。
本会議での、議員の質問と少し重複するが、学校防災について質問する。巨大地震警戒の臨時情報が出されたとき、事前避難対象地域内の学校に求められる対応に臨時休校が挙げられる。原則として、1週間程度の臨時休校を実施し、児童・生徒の安全を確保する。また、地域の避難所に指定されている学校では、臨時休校の中で避難所開設が求められる場合もある。これらの対応を行うに当たって、学校は児童・生徒の安全を最優先にしつつ、児童・生徒との情報共有、連絡体制の確保、オンライン授業などが求められることになる。
そこで伺うが、事前避難対象地域内にあって、臨時休校が求められる県内の学校数と、その学校に通っている児童・生徒数を具体に示してもらいたい。そのうち、避難所の開設が求められる学校数も伺う。
【理事者】
事前避難対象地域とは、市町村が地震に伴う津波に備えて、事前に避難する必要性が高い場所として指定している地域である。県内では13市町村が事前避難対象地域の指定を行っており、対象となる学校数と児童・生徒数は、高校では名古屋市立高校1校で825人、中学校では名古屋市、碧南市、蟹江町の各1校ずつの3校で1,406人、小学校では名古屋市、豊橋市、あま市、碧南市、弥富市、大治町、蟹江町の7市町の13校4,811人である。このうち、避難所に指定されている学校数と児童・生徒数は、中学校では碧南市と蟹江町の各1校ずつの2校で1,152人、小学校ではあま市、碧南市、弥富市、蟹江町の4市町の9校3,636人である。
なお、県立高校と特別支援学校では、現在事前避難対象地域内に所在する学校はないが、学校の立地条件や生徒の登下校の状況を勘案して、臨時休業にすることをあらかじめ決めている高校が2校、特別支援学校が1校あり、児童・生徒数は高校が1,109人、特別支援学校が212人である。
【委員】
県内で相当数7,000人から8,000人ぐらい臨時休校しなければいけない、学校に行けない子供が出てくる。その上で、事前避難対象地域に居住していても、臨時休校で学校に行けない人と、いつもどおり学校に行く人がいる。事前避難地域で住民避難が始まった場合、つまり巨大地震警戒が発生した場合、児童・生徒と学校の関係を事前避難地域で軸に考えると、五つの累計がある。
まず、事前避難地域内に住んでいる児童・生徒の場合で四つである。一つ目は、休校中の学校に避難している児童・生徒、臨時休校中に学校にいる児童・生徒がいる。二つ目は、事前避難対象外に避難する、親戚等の家に避難している児童・生徒、学校は臨時休校中だが児童・生徒は避難地にいる。三つ目は、避難所になっている学校から事前避難地域外にあり、通常どおり開校している学校に通っている児童・生徒。四つ目は、事前避難地域外の親戚等の避難先から通常どおり開校している学校に通う児童・生徒。この四つの類型があることが分かる。そしてもう一つ、事前避難地域外に居住地があり、事前避難地域内の学校に通っている児童・生徒。つまり、通常どおりの生活が行われる地域に住んでいるが、学校は臨時休業している児童・生徒という類型がある。
一度聞いただけでは理解しにくい5類型、しかし、いざというときには児童も生徒も保護者も、また教職員も的確な行動が求められる。ゆえに、南海トラフ地震臨時情報により、休校が発表された際、学校現場の情報伝達の遅れが課題にならないよう、そして正確な情報共有をするために、学校と地域、保護者との連携を強化して、情報伝達手段の多様化を図る必要がある。緊急時に使用する専用の連絡網やメール、SNS、アプリなどを活用した情報共有システムの複数導入が必要になってくる。そこで伺うが、県立学校の現場での情報伝達手段の現状、臨時情報発出時を含む緊急時における保護者への連絡手段はどうなっているのか。
【理事者】
各学校では、保護者への学校行事の案内などに活用するため、一斉メール送信のできるメールシステムを導入している。緊急時においても、このシステムを使い、臨時休業などの情報を保護者へ伝える。また、学校のホームページにも同様の情報を掲載する。
【委員】
いずれにしても、複数の連絡手段を持つように努力してもらいたい。一つだけである場合、それが使えなくなった瞬間に何もできなくなる。今回の臨時情報の発出により、避難計画の不備が明らかになったところもあると思う。避難経路や避難場所の確認、避難訓練の実施など、今後具体的な改善策を進める必要がある。避難計画は定期的に見直しを行い、最新の情報に基づいて更新することが重要である。また、避難訓練は定期的に実施をして、児童・生徒や教職員が実際の避難行動を体験することで、緊急時の学校防災の対応力を高めることが求められる。
私は、平成30年6月定例議会の本会議で、生徒手帳に防災手帳的な機能を付記して、生徒の防災対応力を高めるように要望した。そして、多くの高校が既存の生徒手帳に防災手帳を加えたと聞いている。そこで質問するが、現在、防災に資する情報を付記した生徒手帳などを活用している県立学校がどれくらいあるのか、臨時情報が発出されたときの対応について、今後生徒にどのように徹底するつもりか伺う。
また、これまで全県立高校を対象に取り組んできた、高校生防災リーダーの育成というものがあった。つまり、発災時等の緊急時に対応能力が高い生徒の育成を一校一校でやっていったとのことだが、現在どうなっているのか。
【理事者】
現在、生徒手帳等に防災情報を記載している学校は、全180校中131校で、全体の73パーセントであり、引き続き記載を促していく。生徒手帳等への記載に加えて、今後は防災訓練などにおいて、臨時情報が発表された際の対応を確認し、災害時に生徒が適切に対応できるようにしていく。
次に、高校生防災リーダーについて、県教育委員会では、2010年度から名古屋大学に協力してもらい、高校生防災セミナーを毎年度開催し、受講した生徒が防災リーダーとして学校や地域の防災力向上に貢献している。昨年度までは、毎年約15校で実施してきたが、いつ大規模な災害が発生してもおかしくない状況であるため、今年度からは3年間で全ての県立高校が対象となるよう、年50校とした。
【委員】
併せて、教職員の防災対応能力向上についても重要だと思う。教職員の防災対応能力の向上には、やはり定期的な訓練や研修の実施、あるいは学校BCPの作成などにより、具体的に進めることが求められている。また、地域の防災専門家や防災機関との連携を強化して、教職員に最新の防災情報や技術を取り入れることも有効だと考える。そこで伺うが、この教員の防災・減災力の向上については、これは平成28年6月定例議会の本会議で、私が質問した。その際、当時の教育長から、教員2年次研修の際、防災教育基礎研修会を行うという答弁があった。では、この8年間、教職員の防災対応能力の向上にどういった取組をしてきたのか、また今後どういった取組をする予定なのか。
【理事者】
県教育委員会では、平成29年度から、採用2年目の県立学校教員を対象に、防災に関する基礎研修を実施している。研修では、教員自身が災害発生時に果たすべき役割や、日頃から確認しておくべき事項などについて学んでいる。さらに、令和元年度から、新任の校長や教頭などの管理職を対象とした防災に関する研修も毎年度行っており、名古屋大学の福和伸夫名誉教授にも協力してもらいながら、自然災害に備える意識をさらに高め、学校が避難所となった場合の組織的な対応などについて学んでいる。
そのほかにも、学校安全を担当する教職員を対象として、児童・生徒が危険予測、危機管理能力を高める防災教育と、家庭、地域や行政との連携を図った防災管理について学ぶ防災教育指導者研修会を毎年度実施し、各学校で研修の成果を還元するようにしている。今後もこうした研修の充実を図り、学校全体の防災対応能力の向上を図っていく。
【委員】
オンライン授業の運営について質問をする。臨時休校時における学習活動の継続は大きな課題となる。オンライン授業についてはコロナ禍でスキルが上がったと考えるが、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)の発出時及び発災時のオンライン授業の運営について、どのような準備を進めていくのか、具体的な対応策を講じることが求められている。オンライン授業の環境整備をより進めて、児童・生徒が自宅で学習できるようにするための体制を整えることが重要である。
多くの学校では、一人1台配備された端末は、自宅に持ち帰らせてはいないところもあると思う。そのため、緊急時に即オンライン授業ができないこととなり、学習環境の確保、保障に課題が残ることとなる。南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)の発出時及び発災時のオンライン授業の運用について、県立学校ではどんな準備をしているのか伺う。
【理事者】
学校教育法施行規則の一部改正に伴い、本年4月1日から病気療養中の生徒に加えて、不登校の生徒に対しても同時双方向型の遠隔授業を行うことにより、生徒の進級・卒業につなげることが可能となった。これを受けて、現在どの学校も遠隔授業ができるようになっており、南海トラフ地震臨時情報の発出時等にも対応できる。また、学校のネットワーク環境については、一昨年度インターネット回線の増強を実施しており、発災時には地震の大きさ等によって状況が大きく異なるため、一概にはいえないが、南海トラフ地震臨時情報の発出時には十分対応可能である。生徒については、学校から配布された一人1台タブレット端末だけでなく、自宅にあるパソコンやスマートフォンでもインターネットを通じて視聴できるようにし、様々な状況にある生徒がオンライン授業を受けられるようにしていく。
【委員】
このように大きな災害が頻発するとき、能登半島や日向灘もそうであったが、こういうときだからこそ防災対応能力を高める絶好のチャンスだと思い質問した。粛々とやってもらっているが、一つ気になることがあり、以前は教育委員会から防災安全局に職員派遣をしていたと思う。そこでは、いろいろな防災教材を作っていた。
具体的に知っている人たち、例えば時習館高校の校長に後になった人が防災安全局に派遣されていた。また、同じく東三河の校長先生になった方もそういう立場にいた。これはやはり県内の中心的な存在になる管理者、校長先生をはじめとした人たちの防災意識が高くなければ、学校経営上、防災意識は高くならない、向上しないと思う。以前はそういう人が教育委員会から防災安全局に派遣され、そこで勉強して、教育委員会に戻り教材を作ったり普及していったりしていたが、今はそういう流れは無いと思う。
今後、豊山町で防災拠点が整備され、そこは防災教育の拠点にするという話を聞いている。防災教育の拠点にすることは、教員が防災教育の中心になって広めていくことに訴求力があるわけであるため、そういうことを考えると、今こそもう一度防災安全局との連携を密にして、防災教育の充実、それを取って返して各地域の学校の一つ一つの力のアップ、それにつながると思うため、幾つかのことを組み合わせながら今進めてもらっていると思うが、改めてその点を強化してもらうことを要望する。
次に、教員不足の解消に向けた県教委の取組及び地域課題の解決に資する教員養成の取組について伺う。近年、教員不足が深刻な問題となっており、本県もその例外ではない。教員の役割は重要であり、教育の質は将来の社会を大きく左右することは言うまでもないが、教員志望者の減少や現場での長時間労働などが影響し、教員不足は深刻化している。この問題の解消に向けて、教員の具体的な取組を順次伺う。
本年度から、教職希望の大学3年生を対象とした、1年前倒し採用試験を行っているが、実施状況と1次試験合格者数も含めて伺う。また、教員志望者数と相関関係にあると言われている本年度教育実習生の数を、近年の推移を併せて伺う。
【理事者】
教員採用選考試験の志願者数、志願倍率については、本年度実施した2025年度採用では、小・中学校、県立学校合わせて志願者数は5,648人で、志願倍率は3.2倍であった。近年の推移としては、2024年度採用は6,048人で3.8倍、2023年度採用は6,408人で3.7倍、2022年度採用は6,372人で4.1倍、2021年度採用は6,521人で4.3倍となっており、減少傾向にある。
次に、大学3年生等前倒し特別選考については、本年度から実施しており、志願者数1,295人、第1次試験の合格者は720人であった。また、教育実習生については、本年度は小・中学校、県立学校合わせて2,896人であった。近年の推移として、2023年度は2,750人、2022年度は2,836人、2021年度は2,812人、2020年度は2,686人となっており、大きな変動は見られない。
【委員】
小学校の場合はこの5年で志願者数が500人近く減っている。中学校の場合は250人弱、高校の場合も250人弱という流れになっており、いわゆる中長期に減っている傾向は否めない。ところが、教育実習生の数は、今の話のとおりほとんど変わっていない。この乖離をどう見るか、しっかりと分析すべきである。教育実習生をやり教員免許は取るが、教員採用試験に志願しないことになっている。いろいろ学校現場へ行き、こんなブラックな職場環境では話にならないと聞いたりする。こういった点をどう考えるかであると思う。
教員は、本来社会的に尊敬される職業である。子供たちの未来を育む重要な職業であり、多くの若者がその意義に共感し、今まで教職を目指してきた。かつては安定した職業で、やりがいや社会的貢献が感じられる魅力的な職業であったため、多くの人材が教職を選んでいた。しかし、今申し上げたとおり、ブラック職業といわれることもあり、また教員の残業代は、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)によって固定された調整額のみ支払われている、どれだけ働いても残業代が十分に支給されないなど、そういう様々な理由で若い人から敬遠される傾向が強まっている。
国は、このような状況を打破するため改革を進めていることも知っているが、その一方で、教員という職業の再評価が不可欠だと思う。先ほどの委員の質問でも、教員の不祥事の話があったが、そうではない部分での再評価が不可欠だと思う。子供の成長を見守り、未来を築くという教員のやりがいを再認識し、若い世代に向けて教職の重要性を発信することが求められている。
そこで、教員不足の解決に向けてのポイントである若年層へのアプローチについて伺う。特に、高校生や大学生に対してまず教職の魅力を伝えることが急務だと思う。県教委は教員の仕事をPRするパンフレットを作成している。中身を見たが、面白いパンフレットであった。これをどのように今活用しているのか、またほかに教職の魅力を伝える試みを行っているのか。
【理事者】
教員の仕事を詳しく紹介することを目的に作成したパンフレット、あいちの先生まるごとガイド!については、県内の高校で総合的な探究の時間やホームルームの時間に、生徒が進路について考えるときの参考資料としての活用をしている。パンフレットに掲載した校種別の実際の教員のレポートや、漫画による解説、QRコードを用いたインタビュー動画等を見た生徒からは、大変分かりやすい、教員の仕事に興味を持ったとの声を聞いている。このパンフレットは中学校へも配布し、進路学習における職業調べの資料や、職場体験学習としての教員の体験をする生徒の事前学習の資料として活用している。また、教職の魅力を伝える取組として、県教育委員会担当者が県内外30校余りの大学を訪問し、大学生を対象とした説明会を行っている。早い段階から教職に興味を持つ学生の希望に応え、説明会には大学1年生からの参加を可能としている。さらに、昨年度からは工業など専門学科の教員の確保に向けて、理工系の大学の研究室やゼミを通じて直接働きかけを行う取組を行っている。説明の際には、実際に勤務している教員自身が感じた教職の魅力や、印象深い出来事、エピソード等も紹介し、大学生が教職を具体的にイメージできるような工夫をしている。また、教員の勤務条件や仕事の内容等についての質問も一つ一つ丁寧に対応し、一人でも多くの学生が希望を持ち、安心して教員を目指すことができるように努めている。
【委員】
他県でもやっているような内容のことを本県でもやっていることはよく理解したつもりでいる。一つ注目している本県の動きがある。県立半田東高校、そして豊橋南高校に、教育コースを設置して、将来の教員候補を育てて、教育現場において即戦力となる人材を輩出しようという目的で、大学と教育現場が一体となった取組を平成30年からやっている。この2校は教育コースが設置をされて7年がたつわけだが、来年度はコースの1回生が4年制大学を卒業した場合社会に出る年となる。教育コースの成果について、県教育委員会の認識を伺う。
【理事者】
半田東高校、豊橋南高校の教育コースでは、愛知教育大学や日本福祉大学、愛知大学と連携し、大学教授による講義や大学のゼミへの参加、半田市、豊橋市教育委員会の協力による小学校での体験実習など、教育に関する実践的な教育活動を行っている。2校の教育コースの卒業生のうち、教育系大学や教育系学部に進学した者の割合は、一昨年度は54パーセント、昨年度は70パーセントであった。また、高校からの報告によると、2021年度に教育コースを卒業した1回生57人のうち、少なくとも十数人が令和7年度愛知県公立学校教員採用選考試験に合格している。来春には、愛知県の公立学校の教員として採用される予定となっている。教育委員会としても、教育コースから愛知県の公立学校教員が誕生することを大変喜ばしく思っており、来年以降もこの後に続いてほしい。
【委員】
高校生のときから伴走支援のような形で将来の教員をつくっていく、こういった取組は大事であると思う。この取組は、成功事例になりつつあると思うが、もっと広く県内各高校にそういうものを横展開できるように考え、我々の責任でしっかりと教員をつくっていく流れが必要だと、今後も期待を寄せたいと思う。
その上で、愛知県特有の地域課題に向き合って、その解決に資する教員養成も重要だと思う。文部科学省は特定の地域で、教員を目指す意欲のある高校生を対象に地域教員希望枠を設けて、推薦入試などを活用することで教員免許の取得ができる大学に進学させて、地域に貢献する教育を育てる仕組みを高校生から整え始めた。この6月、愛知県立大学がこの文科省の地域教員希望枠に係る事業に採択された。それはどんな事業で、今後どういった教員の採用が期待できるのか伺う。
【理事者】
文部科学省の地域教員希望枠に係る事業は、大学と教育委員会が連携、協働し、地域や学校現場のニーズに対応した質の高い教員を養成、確保するための取組に対して文部科学省が支援を行うもので、愛知県立大学を含めて全国で21件が採択をされている。愛知県立大学の計画によると、愛知県には外国にルーツを持つ子供が多く、学習活動や学校生活に対する支援が課題になっていることを踏まえ、多文化共生に向けて自ら学び考えて、課題の解決に取り組む教員の育成を、選抜・養成・採用を一体化した形で行う。
具体的には、大学入学試験では、教育福祉学部の小学校教育コースの定員15人のうち10人を地域教員希望枠とし、高校における地域の教育課題に対する探究活動の成果及び地域を担い得る教員としての熱意、資質、能力等を評価して選抜する。大学では、多文化共生社会で生じる地域の教育課題の解決に向け、教育現場における実習を含む学部横断型の学習により、理論と実践の統合を図る。県教育委員会としては、外国にルーツを持ち、学習活動や学校生活に対する支援が必要な子供に対応できる教員が必要であるため、地域教員希望枠の教育課程を履修した学生を、教員採用試験の特別選考の対象として、加点や試験の一部免除等を検討していきたい。
【委員】
ユニークなことを県大がやろうとしており、それに県教育委員会が歩調を合わせて、今、教育委員会としても大きな課題である多文化を含めた外国にルーツがある人のための教育や、それを教える教員を作ろうとしている。こういった取組も積極的に関与しながら進めてもらい、優秀な教員確保を進めてもらいたい。
教員不足の解決には、中途採用や多様な人材の活用が不可欠である。現在、教育不足と教員確保の問題を解消するためには、教員免許を持たないが優れた知識や経験を有する社会人等が教職に就くことを促進する制度も求められている。特別免許状の活用もその一例である。今後、より多様な人材が教育現場に参画できるよう、制度を充実させる必要がある。特別免許状は、教職員免許法に基づき、教員免許を持たないが専門的知識や経験を有する人材に対して授与される制度で、特に理科、情報科、工業科など、専門性の高い科目においてこうした外部からの人材活用は有効と言われている。そこで、本県における特別免許状の交付状況と、これまでの効果について伺う。併せて、今後この制度をどう活用していくつもりかも伺う。
【理事者】
特別免許状については、昨年度からの国の方針を踏まえて、授与基準の緩和を行い、優れた知識・経験を有する社会人等の人材を教員としてより幅広く受け入れることができるようにした。直近5年間の特別免許状の交付状況であるが、34件であり、うち19件が公立学校に対する交付となっている。公立学校における校種別では、中学校が1件、高校が18件となっており、看護や工業、それから福祉といった高校の専門学科を中心に活用している。民間企業等で活躍してきた人の知識や技能を活用することで、より専門的な教育、民間との連携、協力体制の構築、組織の活性化につながっている。今後は、授与基準の緩和について、さらに周知を行い、特別免許状の一層の活用を図っていきたい。
【委員】
最後に提案する。先ほどの県大の地域教員希望枠について、豊橋市や半田市は、どちらも多文化共生が課題になっている地域だと思う。そこに2校とも教育コースがある。この教育コースと、県大の地域教員希望枠を連携することはできないか。愛知県立大学の地域教員希望枠を活用すれば、多文化共生という本県特有の課題解決に向けて、高校・大学、そして教員採用に至る一貫した流れを有するモデル構築ができると思う。県大とさらに連携を密にして、こういった流れも作ってもらいたい。
【委員】
私からは、安城農林高校の演習林実習について伺う。昨年、農林水産高校の未来を考える会を、自由民主党愛知県議団の有志33人で設立した。先月9月17日には、県立猿投農林高校と県立安城農林高校を、現地調査させてもらった。学校の概要説明を聞いた後、施設調査と生徒の授業を調査させてもらい、大変有意義であった。工科高校、商業高校もそうだが、職業教育を主とする学科を設置する高校は、普通科高校と違い、実業について専門技術や知識を習得するための授業を受ける生徒はとても生き生きしており、またたくましく、まぶしく見えた。
それに先立ち、8月19日、安城農林高校食品科学科の1年生38人が、私の地元でもある豊田市大多賀町にある第一演習林で行った、日帰りの演習林実習を視察することができた。位置的には旧稲武町に近い旧足助町であり、安城農林本校からは学校所有のバスで片道約2時間かけて実習した。安城農林高校には、今回視察した第一演習林のほかにも新城市に第二演習林を保有していると聞いている。教師に聞いたところ、今回の視察時に実習に参加していたのは、食品科学科の1年生であった。そのほかにも、農業科、園芸科、フラワーサイエンス科、動物科学科、森林環境科があり、合わせて6学科の生徒235人と、2年生・3年生の森林環境科の生徒54人が演習林実習に取り組んでいる。二つの演習林で多くの生徒が実習を行っていると思うが、それぞれの演習林での実施期間と実施内容について伺う。
【理事者】
旧足助町にある第一演習林では、全6学科の1年生が夏休み期間中に1日、日帰りでの実習を、森林環境科の2年生・3年生が4月・5月に2泊3日の宿泊実習を行っている。実習では、林木の植栽、その後の間伐や枝打ちなどの管理、草刈りなどを実施している。新城市の鳳来寺にある第二演習林では、森林環境科の1年生が4月に2泊3日、2年生が10月に2泊3日の実習を行っており、実習では広葉樹を原料にした炭作りなどを実施している。二つの演習林での実習を軸に、森林環境科では森林の育成や林産物の加工・利用方法に関する知識・技術を学んでいる。
【委員】
森林環境科だけでなくて、いろいろな学科の生徒が実習をしていると説明を受けた。
次に、2年生・3年生の森林環境科について伺うが、森林環境科では森林の育成や林産物の加工・利用方法に関する知識・技術を学んでいるとの答弁であったが、それ以外にどのような分野について学習しているのか。
【理事者】
森林環境科では、専門性を高めるために、2年生から二つの類型に分かれて学習をしている。一つ目の森林利用類型では、先ほど答弁した演習林実習のほかに、各種木材加工機械を利用して林産物の多様な活用方法とその加工技術を習得する。代表的な取組としては、演習林の間伐材を使用した足踏み式消毒噴霧装置ウッディペダールの製作や、福祉事務所と協働して作成したSDGsバッジなどがある(後刻訂正)。二つ目の環境緑化類型では、造園の設計、施工、管理について学び、庭園や公園、緑地のデザインや緑化に必要な樹木や草花の栽培などの知識・技術を習得している。代表的な取組としては、刈谷ハイウェイオアシスでの花壇や室内装飾の活動などがある。
【委員】
幅広く学習していることが分かった。
次に、安城農林高校の森林環境科で学ぶ生徒数について、10年前の状況と今年度と比較してどのように推移しているのか、生徒が増えているのか減っているのか伺う。
【理事者】
森林環境科の生徒数は、10年前の2014年度は1年生40人、2年生40人、3年生35人の計115人が在籍していたが、今年度は1年生38人、2年生26人、3年生28人の計92人となっている。10年間の推移としてはしばらく横ばいであったが、2021年度から減少が見られ、直近の2年間は100人を割っている状況である。
【委員】
横ばいだが、若干減少傾向にあるとのことだが、併せて森林環境科を卒業した生徒の就職先、進学先はどのようになっているのか。
【理事者】
令和5年度森林環境科を卒業した34人の生徒の進路状況については、6人が大学や専修学校等に進学し、26人が就職している。そのうち、農業協同組合、森林組合、林産物加工業など、農業関連への就職者は7人であり、その他は製造業や建設業が多くなっている。
【委員】
今回視察した安城農林高校第一演習林には、宿泊ができる平屋建ての宿舎があった。施設、設備ともにかなり老朽化していると感じた。昭和48年に整備したと聞いたので、今年で築51年を経過している。雨どいや鉄骨の腐食、外壁の塗装落ち、トイレの扉の不具合、押し入れ、収納庫、床の沈み、あらゆるところが老朽化している状態である。特に、トイレは和式であり、簡易な間仕切りだけで男女が区別されており、お風呂も一つしかなく、宿泊の際には男女が時間を区切って利用しなければならない状況である。教員からも、男女別々のお風呂やしっかりと仕切られたトイレがあると助かると聞いた。今の時代に合わない環境であり、ぜひとも建て替えが必要ではないかと思う。現在、宿舎が建っている場所は、土砂災害警戒区域になっているため、演習林内の別の安全な場所へ移転して、併せて環境面についても改善を図ることができればと思うが、見解を伺う。
【理事者】
第一演習林の宿舎は昭和48年3月に建築した建物であり、建築後51年が経過している。宿舎は171平方メートルと270平方メートルの2棟を使用しており、宿泊室5室のほか、食堂、調理場、トイレ、浴室などの部屋が整備されている。委員の話のとおり、宿舎がある場所については、平成30年3月に土砂災害警戒区域に指定されており、学校は演習林内での移転を希望している。また、来年度には第一演習林を所管する豊田加茂建設事務所において、航空測量や現地調査が行われ、土砂災害警戒区域等の新たな指定を行う予定と聞いている。この調査では、学校が移転を希望している場所も含まれていることから、調査の結果の確認した上で、学校の意見を踏まえながら、環境面の改善も併せ移転について検討していく。
【委員】
調査の結果を踏まえて、早急に建て替えが必要である。演習林はまさに自然の中、森林の中にある生きた教材である。それがゆえに、天候に非常に左右をされ、雨が降れば滑って危険、傾斜がきついところにあり、実習ができないことにもなる。宿舎が移転された際には、できれば雨風を防いで、雨の日でも実習ができる雨天練習場のような、屋内実習施設の設置も併せて検討してもらうことを要望する。
【理事者】
先ほど、二つ目の質問の答弁の中で森林環境科の作品のSDGsバッジについて、正しくは製作が福祉事業所と協働して作成したところで、誤って福祉事務所と協働して作成したと答弁したため訂正する。
【委員】
生まれつき文字の読み書きに困難がある発達性ディスレクシアの子供たちについては、適切な支援につなげるため、できるだけ早期に発見することが重要である。そのためにどんな取組を行っているのか伺う。
【理事者】
発達性ディスレクシアをはじめとする学習障害のある子供を早期に発見し、適切な支援を行うためには、日々子供たちと接している教員が障害への理解を深めるとともに、子供の特性に気づけるようになることが必要である。そのため、小・中学校の通常の学級の担任を対象とした動画配信による研修と、小・中学校の特別支援コーディネーターを担う教員を対象とした研修の内容に、今年度から発達性ディスレクシアの特性や、発見から支援に至った事例を加え、夏休み頃までの早い時期に行うことで、可能性のある子供を早期に見つけるよう努めている。研修を受けた教員からは、学習障害のある子供の特性を改めて知ることができた、文字を書くことが苦手な子供にタブレット端末への入力を指導してみたい、文字の代わりに絵で伝えてみたいとの声が上がっており、今後も引き続き発達性ディスレクシアをはじめとする学習障害のある子供を早期に発見し、適切な支援につながるよう、各種研修を充実していく。また、発達性ディスレクシアの可能性のある子供に対しては、必要に応じて通級による指導など、個人の状況に合わせながら、きめ細かく支援を行っていく。
【委員】
令和5年9月定例議会本会議の一般質問で、議員が発達性ディスレクシアについて質問をしているが、約1年が経過したので、どのような状況か伺う。
【理事者】
今年度から、長久手市が筑波大学宇野彰元教授の指導の下、Tsukubaモデルの一部を導入し、小学1年生全員に対してこれまでに6月と9月の2回、読み書きに関するスクリーニング検査を行い、検査結果に応じて保護者に個別に声かけを行っている。また、スクリーニング検査の結果を受けて、精密な検査を行う際の検査法の習得と、適切な支援方法を学ぶための研修を、小・中学校の一部の教員を対象として始めている。今後は引き続き長久手市の取組の状況を聞き取り、その成果が大きいということであれば、ほかの市町村に広げていくことも念頭に、同様の研究を行っている大学教授などと協力しながら研究を進めていく。
【委員】
比較的最近出た質問を繰り返す内容であるので、要望に移らせてもらう。ただ、なぜあえて繰り返したかについては、早期発見の大切さ、これを念押ししたかったからである。
今回の質疑で、長久手市でTsukubaモデルが導入された話が聞けたことはよかった。やはり時間がたつと、こういうふうにして少しずつ動いていくと思う。まだ長久手市の件は始まったばかりで、どうこういえる段階ではないと思うが、答弁でもあったように、何か評価できるような段階になってきたら、また教えてもらいたい。今後、この取組はよいということになったら、他市町村への普及も積極的に行ってもらいたい。
【委員】
通常学級に在籍するいわゆる発達障害の子供に対する教育的支援について伺う。昨年の令和5年の2月定例議会本会議の代表質問で、あいち民主県議団の議員が、いわゆる発達障害の子供に対して小・中学校でどのような支援が行われているか、また県教育委員会として今後どのように支援の充実を取り組むかという質問に対して、飯田靖教育長が三つの取組に力を入れていきたいとのことで、まず一つ目は、教員の特別支援教育に関する専門性を高めるために研修内容の充実を図る。そして教員同士の、特別支援学校の教員と一般の小・中学校の教員との人事交流を積極的に進めていく。二つ目は、きめ細かな指導のためにそういった教員のニーズを増やす。三つ目は、特別支援学校の教員が地域の小・中学校に出向き、その学校の教員と一人一人への適切な支援方法についての検討会を行うなどを通じて、特別支援教育の底上げを図っていくという答弁があり、順次聞いていきたいと思う。まず一つ目の小・中学校の特別支援教育の専門性を高めるために、経験年数等に応じた研修内容の充実を図るとの答弁に対して、これはどういった研修を行っているのか、中身、内容を伺う。
【理事者】
県教育委員会では、特別支援教育の専門性を高めるため、小・中学校教員の研修内容の充実を図っている。まず、新任の教員を対象に実施する初任者研修では、特別支援教育に関する国の考え方や、学習指導要領、法律などの基礎的な知識を、2年目教員研修では発達障害など特別な支援を必要とする子供への支援の在り方や学級運営を学んでいる。その後、3年目教員研修では、特別支援学級担任の希望者を対象に、発達障害の類型別にその特徴と具体的な支援について学習できるeラーニング研修を実施している。そして、教職経験11年目の教員が受講する研修では、発達障害の子供たちに分かりやすい授業手法を学ぶとともに、希望者には日頃の教育実践を基に特別な支援が必要な子供への支援・指導について話し合う中で、講師から助言を受けられる機会も設けている。
さらに、管理職向けの研修では、特別支援教育に関する最近の動向や、小・中学校などにおける支援体制の好事例を学ぶなど、リーダーとしての資質を高める研修を行っている。また、各校では特別支援教育の中核となるコーディネーターを指名しており、そうした教員に対して毎年定期的に校内でのコーディネーターの役割や、医療や福祉など関係機関との連携について学ぶ研修を行っている。今後も教職経験年数や職務に応じて、特別支援教育について繰り返し学び、発達障害を含めた障害への理解を深め、適切な支援・指導ができるよう研修の充実を図っていく。
【委員】
それでは、次に小・中学校と特別支援学校の教員の人事交流とあるが、それを積極的に進めることは、どのように行われて、その成果がどのように生かされているのか伺う。
【理事者】
小・中学校から特別支援学校への人事交流は、主に小・中学校の教員が特別支援教育に関する力量の向上を図ることを目的に実施している。この人事交流において、小・中学校の教員が特別支援学校へ異動した実績は、2022年度は13人、2023年度は13人、2024年度は14人となっており、期間は2年または3年である。小・中学校の教員が人事交流により特別支援学校で培った経験を校内の特別支援教育の研修等で他の職員に積極的に伝え、教員一人一人の専門性の向上を図ることにより、特別な支援を必要とする児童・生徒への支援・指導の充実に努めている。特別支援学校で勤務をした小・中学校の教員からは、特別支援の現場を実際に経験できたことはよかった、個に応じた具体的な支援の方法を学ぶことができた、教員同士や保護者とのコミュニケーションの大切さがよく分かったとの声を聞いており、効果的な取組である。県教育委員会としては、この取組を引き続き積極的に進めていきたい。
【委員】
三つ目の、小・中学校に出向き、その学校の教員と一人一人の適切な支援方法について検討会を行うなど底上げを図る。この検討会の内容、また開催回数はどうなっているか伺う。
【理事者】
小・中学校に在籍する障害のある児童・生徒に適切な支援・指導を行うため、特別支援学校ではその専門性を生かし、センター的機能として地域の小・中学校を支援している。その一つとして、教員が地域の小・中学校に出向き、発達障害を含む障害のある児童・生徒に対する支援・指導の個別具体のケースに関して、小・中学校の担当教員と話し合う検討会を行うことにより、地域の教員のスキルアップを図っている。2023年度は、小・中学校において年間359回、457人の児童・生徒のケースについて、2,359人の教員が参加して実施している。この検討会では、実際に小・中学校に在籍している児童・生徒への支援・指導内容の検討を行っており、参加した教員からは、ユニバーサルデザインの視点を持ち改善していくことで、対象の子供だけではなく全ての子供たちにとって分かりやすく過ごしやすい学級になると感じた、指導内容を校内で共有し、全職員での対応を継続していきたいなどの感想が寄せられ、小・中学校の教員の資質向上につながっている。
【委員】
最後に要望するが、今回この質問をするに当たり、私の知り合いが名古屋市の発達障害支援員に応募して、名古屋市内の小学校に担任の先生の支援員として何年間か働いている人から話を聞いたが、担任の先生がその発達障害を持つ児童に対して理解がない。特に、若い先生は理解しにくいそうである。
そのため、先生が発達障害を持つ子に対して結構ひどいことを言うようである。実際その人が通っている小学校の発達障害を持った生徒の親が怒って、直接名古屋市の教育委員会に電話をして、何々小学校の何々先生はこういうふうだと苦情を言って指導が入ったこともある。実際その教員だけじゃなくて、いろいろ聞いていると、そういった教員が多々いるという話を聞いた。
いろいろ質問して、いろんな研修をこういうふうにしている、こういった人事交流もしているという答弁だけ聞けば、そのような教員はもう生まれないだろうと思うし、先ほど委員が不祥事のことを聞いたが、そういった不祥事に対しても研修を受ければ不祥事も生まれないと思う。教員の一人一人の育ってきた環境とかもあると思うが、そういった子供たちは教員にそういうことを言われると、かなりショックを受けて、今後の人生にとっても本当に大きな傷を負うと思うので、そういったことが絶対に起きないよう、教育委員会からもそれぞれの学校や各市町の教育委員会に対してそういった指導をしてもらいたい。
【委員】
教育長に伺うが、昨今キャリア教育が盛んにいわれている。キャリア教育はどう定義されるのか。
【理事者】
キャリア教育について、子供たちは将来世の中で役立つ、また社会に出て、働いていかなければならない。その勤労観をまずしっかり持たなければならないと思っているが、そのためには子供たちは世の中を知り、そして自分を知り、そして自分には何が一番適しているのかを学びながら、自分を探していくことだと思っている。そういったことによって、自分の適性に合ったキャリアをしっかりとつくって、そして世の中に出ていくものをキャリア教育だと思っている。
【委員】
グーグルによると、一人一人の社会的・職業的な自立に向けて必要な基盤となる能力や態度を育てることと定義されている。将来ほとんどの人が職業を持つため、自分の好きな、それから得意な面を生かして、早く職業、こういう職に就きたいという目標を持ったほうがよいと思う。好きこそものの上手なれと言われるように、スポーツで言うと大谷翔平選手やイチロー選手などのスポーツ選手や、若くて起業して上場した人など、世の中にはいっぱいいる。共通することは、やはり好きこそものの上手なれである。それを教育は見つけてあげ、伸ばしてあげるものである。今の教育制度には、この観点が欠けている。
今までは戦後、日本は技術や知見もないため、アメリカからこういうものを作ってほしいと依頼され作り、国内と同時にアメリカやヨーロッパに売り、その加工賃で我々の生活は成り立ってきた。しかし、そのような時代は終わっている。そのため、今後我々はどう生きていくかということを考えたときに、それぞれの子供たちが自分の能力を生かせる環境をつくる必要がある。今までみたいに一方的に教師が知識を与える時代ではない。パソコンなどの情報機器があり、スマートフォンにはChatGPTのような生成AIが搭載されているので、教師から一方的に教えてもらう必要はない。自分が目指す職業について、やりたいことを一生懸命自分で勉強するという時代になった。
今までは取りあえず高校、大学に行って、いい企業に入れば幸せになれる時代だった。それはもう既に終わり、これから答えのない世界で、自分で新たなものをつくっていく、創造する時代に立ち入っている。そのため、STEAM教育が今盛んに言われるようになってきた。科学とか技術、工学、またデザインが主流であるべきであるにもかかわらず、そうではない教育をずっと続けている。県教育委員会もいろんなチャレンジをして、そこから脱皮しようとしている。
今のエッセンシャルワーカーは非常に不足している。反面、20代から30代の50万人の若者が、外国へアルバイトに行っているおかしな現象が起こっている。日本は生産性がよくないから、給料を上げられない。ところが、隣の韓国、中国、台湾では生産性を上げて給料を上げている。技能労働者の初任給が、日本は21万円からなのに対して、韓国は28万円からであるため、技能労働者は韓国へ行ってしまう。
そういう状態であるため、ただお金だけでなく、早くから自分の好きなことを見つけさせる必要がある。職業が存在することは、必要だからであり、そこに貴賤はない。自分の職業が一生の生涯の職業であることが一番人生幸せである。そういう教育をやっていかなければ、子供たちは漂流することになる。
人口14億人の中国は、年間で約1,200万人の大卒が出るそうである。あまりにも失業率が高いので、高学歴社会になってしまい、エッセンシャルワーカーが不足するため、大学は子供の半分しか行ってはいけない法律をつくった。そのようなことは、我々にはできないため、何とか子供の能力を引き出して見つけさせることをやっていかなければならない。
工科高校も、商業高校も、これからICTやAIについて学ぶ必要がある。人手不足で、工場でもロボットをAIで動かすようになる。いろいろな事務もロボットができ、専門的な仕事であってもデータを学習させれば、AIが設計までしてくれる時代である。それを旧態依然の教育のままでよいのか憂えている。今後は、デジタルとものづくりとを融合させて、無駄を省いて生産性を上げていく子供を育てていく必要がある。小学生・中学生から工場や農家などを見学させるとよい。そういったものに触れさせると子供たちの意識が変わる。幼児向けのキッザニアは物すごい盛況であることがよい例である。高校は企業へインターンをする必要がある。インターンしに会社へ行くと礼儀だとか序列だとかを、学校で教えてもらえなくとも会社が教えてくれる。これからこういった取組をやらないと、もう遅いぐらいだと思うがどうか。
【理事者】
まさに子供たちが自分の職業観を持つ、自分で何をやりたいかというのは、体験することが一番であると思っている。
本会議でも、今愛知県は小学校・中学校・高校と、その発達段階に応じて職業教育をやっていると答弁した。そして、小学校は、なかなか現場に行けないので、そういった仕事のお話を聞く、そして中学校になると近くの職場で体験してみる、そして高校になると、工科高校や商業高校はしっかりとインターンシップで行き、そこで学んで、自分の適性を感じて、そして就職していくという段階があるが、直江弘文委員から話があったように、全ての子供たちがきちんと小さいうちからできるようにというアドバイスについては、力を入れてやっていきたいと思っている。
まず、県教育委員会がやっていかなければならないことは、将来きちんと自信を持って世の中に出ていけるような子供をつくっていかなければならない。そのためには、一番大切にしなければならないことはソウゾウ力だと思っている。ソウゾウ力は、日本語では一つだが、英語で言うと、イマジネーションとクリエイティビティの二つだと思う。関連を想像する力と物事を発する力をしっかり持った子供たちを育てていけるような、キャリア教育を、教育委員会として、今まで以上に力を入れていきたいと思っている。
【委員】
工事現場やホテルのフロント、それから介護施設も、これからロボットをはじめ様々な機器ができてくる。それをAIと相談しながらやる。3Kの仕事もだんだんきつくならないような時代が来る。今後はAIに指示する、命令する、AIの間違いを正すといったプロンプトが書ける、プロンプトエンジニアが大事になってくる。専門的な知識さえあれば、AIが行う時代であり、優秀なプロンプトエンジニアはどこでも通用するため、プロンプトエンジニアの育成に力を入れなければならない。世の中は変わってきているので、子供たちが夢を持ち希望を持って生きていけるような教育や仕組みをつくってもらいたい。
【理事者】
委員への学校給食費の無償化の答弁の中で、全ての無償化を行っている市町村を5市1村と答弁したが、正しくは4市2村であるため答弁を訂正する。