委員会情報
委員会審査状況
農林水産委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和6年6月24日(月) 午後0時58分~
会 場 第2委員会室
出 席 者
桜井秀樹、横田たかし 正副委員長
久保田浩文、横井五六、中野治美、峰野 修、新海正春、杉浦哲也、
鈴木 純、鈴木まさと、安井伸治、しまぶくろ朝太郎、末永けい 各委員
農業水産局長、同技監、農政部長、畜産振興監兼畜産課長、水産振興監、
農林基盤局長、同技監、農地部長、林務部長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
なし
○ 閉会中継続調査申出案件
1 農林水産業の振興について
2 農地関係の調整及び土地改良について
3 緑化の推進について
4 農業水産局、農林基盤局、海区漁業調整委員会及び内水面漁場管理委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 一般質問
3 閉会中継続調査申出案件の決定
4 閉会中の委員会活動について
5 閉 会
(主な質疑)
《一般質問》
【委員】
有機農業の推進計画の進め方について伺う。
本県では有機農業を環境と安全に配慮した農業の特徴的な取組の一つに位置づけ、平成21年に愛知県有機農業推進計画を策定し、現在、この計画に基づき有機農業を推進している。
有機農業とは、有機農業の推進に関する法律第2条で、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない、遺伝子組換え技術を利用しない、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いると定義されている。
国が公表しているみどりの食料システム戦略では、2050年までに目指す姿として、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25パーセント、100万ヘクタールに拡大すると示されている。こうした中、本県での2022年度の有機農業の取組数は、全国1万2,000戸に対し団体も含め348戸、取組面積は全国2万6,600ヘクタールに対し369ヘクタールとなっており、有機農業が本県の耕地面積に占める割合は現在0.5パーセントとなっている。
一方、世界の状況に目を向けると、日本ではほかの先進国と比べ全体の耕地面積に占める有機農業の割合は低い状態であり、2020年の国際統計では日本の有機農業の面積割合は0.3パーセントとなっている。それに対しヨーロッパでは10パーセントを超える国も多くあり、気候が類似する近隣のアジア諸国の面積割合と比べても、韓国は2.3パーセントであり、日本と比較すると有機農業が比較的普及している状況である。
また世界の有機食品の売上げは年々増加し続けており、2020年では約1,290億ドル、日本円で約14.2兆円である。少しデータは古いが、2018年のデータでアメリカの売上げが5兆円超、ドイツ、フランス及び中国は1兆円超である。また、ドイツやフランスでは有機食品の売上げは一般の店舗が最大で、フランスでは有機専門店での売上げも上昇傾向であり、1人当たりの有機食品消費額の世界平均は1,638円となっており、スイスや北欧諸国で高い傾向となっている。
こうした世界の状況を鑑み、全国第8位の農業産出額を誇る農業県でもある愛知県の有機農業の推進をさらに加速させることが大変重要である。
そこで次の三点について伺う。
まず一点目、今後、愛知県有機農業推進計画をどのように進めていくのか。次に二点目、計画の推進に当たり、指導者が重要であると考える。一般的な栽培については普及指導員が農家を指導しているが、有機農業に関する指導はどのようにしていくのか、また、有機農業の指導力の向上を今後どのようにするのか。そして三点目、有機栽培の農産物の流通について、出口の部分をどのように考えるのか。
【理事者】
一点目の愛知県有機農業推進計画の進め方について、国は2021年に、みどりの食料システム戦略を発表し、2050年までに有機農業の面積を100万ヘクタールにする目標を設定した。これを受け本県でも2023年1月に、愛知県有機農業推進計画を改正し、2030年までに有機農業の面積を900ヘクタールとする目標を設定した。この計画を推進するため、今年2月、有識者、生産者、消費者、流通関係者、農業団体を構成員とした有機農業推進部会を立ち上げ、本県の有機農業の方向性を検討することとした。また、目標面積を達成するため向こう3年間に取り組む事項をロードマップとし、随時、進行管理することとしている。
今後は有機農業推進部会において、毎年、取組状況を検証し、PDCAサイクルを回しながら計画的に有機農業を推進していく。
次に、二点目の有機農業の指導と指導力の向上について、本県では、各農林水産事務所の農業改良普及課に有機農業の担当者を設置して指導を行っている。しかし、有機農業の栽培技術は多種多様であり、それぞれの農家の経験則による栽培方法も多様にわたっているため、有機農業の指導は大変難しい。そのため、県では普及指導員を対象に、有機農業を実践している団体に委託して有機農業指導員研修を実施し、指導力の向上を図っている。これまでにこの研修を31人が受講し、有機農業指導員として現場で指導している。今年度も12人が受講を予定しており、引き続き指導力向上に努める。
最後に、三点目の有機農業に取り組んで生産した農産物の流通について、有機農業に取り組み生産した農産物は生産量が少ないことや、規格外品である場合が多く、手間と経費がかかるものの、一般的な市場流通で差別化しての販売が難しいことが現状である。このため、その価値を認めてもらえる消費者や小売加工業者等の手元に届けることが重要である。現在、県内でも有機農業者が直接販売する朝市や名古屋市等で取り組んでいる有機農業の米作り、そしてその米を学校給食に利用するなどの例がある。
県として、このような取組をPRしていくとともに、有機農業者と消費者、小売加工業者等のマッチングに取り組んでいく。
【委員】
有機農業の必要性は世界のトレンドを見ると広がっている状況であり、答弁にもあったように、なかなか難しい点も多々あると思う。一方で、環境への配慮や安心かつ高品質な作物であること、また、環境負荷の低減の観点からも、今国内の市場規模も徐々に拡大していると聞く。最近では、オーガニック給食などの普及を目指している団体も多く活動しており、子供たちに無農薬の農産品を食べてもらいたい保護者の思いもある。
そのような点において、有機農業は今後必ず必要になってくると思う。そのため、普及をさらに広げるためには栽培の伝道師的な指導者を県独自でつくるべきだと思う。加えて、できた作物が金額も高く、流通に乗りにくいという点もあるが、今の日本人は健康志向が強く、有機野菜や有機米の需要は確実に高まっていると思うため、そのようなことも考えてしっかりと計画を推進してもらいたい。
【委員】
有機農法とは何か。
【理事者】
有機農業については、有機農業推進法の定義からは、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできるだけ低減した農業生産の方法を用いて行われる農業とされている。
【委員】
それは知っている。どうやって作るのか。有機農法うんぬんというのは国がもう40年も前に行った。当時は団体の農業青年クラブ(4Hクラブ)と青年農業士、農業経営士会が先頭を切って取り組んだ。今は、40年たって一人も行っていない。
答弁にもあったように収量がもう半分、要は草を生やし、耕し、牛ふんから鶏ふん、人ぷんまで使って試験を行ったこともある。その結果、子供たちに学校給食で食べさせたら大腸菌が増え、止めになった。これと同じことをやっているのか。根本から変えなければ、有機農法など無理である。
先ほどの答弁にあった流通については、誰も買ってくれないため、海外などの特殊なルートからスタートすべきである。それを、ただ有機農法にすべき、無農薬にすべきと言ったところで、もうからないことを農家はやるのか。同じものを作っても有機農法にしたら収入が半額程度になってしまう。
確かに、有機農法を推進することは、アレルギーなどを持った子供たちも多いため、よいことだが、少し考え方を変えなければ、農家は行わない。年収が減ることを分かって行う人はいない。そのため、そのようなことをしっかりと精査して、今、委員が質問したように、きちんとした販売ルートをつくるべきである。
有機農法に加え無農薬となると、特に無農薬については、一地区全部その無農薬にしなければならない。田舎だと庭の草木にも消毒するが、隣の人の畑が農薬をまいたとき、それが一滴でも飛んだら、それはもう無農薬ではない。その地域全体が無農薬でなければならない。そのようなことも踏まえ、ここの地区を有機農法にする、無農薬にすることを県が主導しなければ、幾らノルマを達成したとしても継続して続ける人はいなくなる。
【理事者】
現在、県内で5か所、オーガニックビレッジ宣言として、有機農業産地づくり事業を進めている。この事業は、生産から消費、流通まで一貫して地域で有機農業を取り組むことを検討している。これについても県で支援しており、同時に検討している。このような先進事例を見ながら、委員の指摘も踏まえて進めていく。
【委員】
本県におけるSNS動画を活用した県産農林水産物のPRの取組について伺う。
愛知県では1998年から本県独自の地産地消の取組である、いいともあいち運動を展開し、2022年度からこれまでの取組に加え、SDGsや環境負荷低減に対する社会的関心の高まりを受け、地産地消がこれらの達成に貢献することを前面に押し出してPRする地産地消あいちSDGs推進キャンペーンを展開していると認識している。
また、今後見込まれる人口減少社会において、大消費地である名古屋市がある本県では、域内における生産、流通、消費を拡大させることで今後の社会構造の変化に柔軟に対応し得る環境を整えていくことにも寄与すると考える。
そこで、費用対効果が高いと認識されるSNS動画を活用した県産農林水産物のPR等について伺う。
昨年度、いいともあいち魅力向上推進事業において、SNS動画を活用した県産農林水産物のPR等を行っているが、その取組内容と成果について伺う。
【理事者】
取組内容と成果について、本県では、SDGsや環境負荷低減に対する社会的関心が高まる中、これらに貢献することができる地産地消の取組が、農林水産業の振興や農山漁村の活性化につながるとして、いいともあいち運動に取り組んでいる。
特に2022年度からはその取組を加速させるため、いいともあいち魅力向上推進事業として、県産農林水産物のPRに発信力のあるSNS動画の活用やデジタルスタンプラリーなどに取り組んできた。中でも、SNS動画による情報発信は、県民に直接情報を分かりやすく届けられ、効果的なものとして認識していることから、昨年度は、いいともあいち運動や本県のブランド和牛である、みかわ牛、本県農業総合試験場が育成したかんきつである夕焼け姫のPR動画3種類を作成し、ユーチューブで配信した。
さらに視聴回数の増加を目指し、これらの動画を県内の20代から40代の女性で、食べ物、料理などに関心がある人をメインのターゲットとし、広告として配信される工夫も行った。
視聴結果は、3種類合計で総再生回数が60万回を超え、また動画を最後まで見た人の割合は60パーセント程度となった。この結果から高い周知効果があったと考えている。
【委員】
ユーチューブを中心にとのことだが、先ほど確認したところチャンネル登録者数は22人だった。また、総視聴回数は60万回を超えているかもしれないが、キャベツに至っては総視聴回数18回である。その点も踏まえて、本年度はどのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
引き続き、県産農林水産物のPRのため、本県としてブランドを強化する品目を追加し、その特徴や魅力を伝える動画を作成してSNSでの配信を計画している。
特に本年度は、新たな取組として、SNSに加えてSNSを視聴しない人にも情報を伝達するため、量販店の売場に設置している液晶のモニターであるデジタルサイネージを活用し、県産農林水産物を使ったメニューのレシピ動画の配信を行うとともに、売場全体で購入意欲が高まるような仕掛けを用意する予定である。
加えて、小学生を対象として、親子で楽しく学べるような県産農林水産物の記事を作成し、紙媒体、新聞による配布も行いたい。
今年度は、これらの取組により、さらなるPRに取り組んでいく。
【委員】
ユーチューブに関してはその取組としてターゲットも絞り、予算額は、昨年度は2,000万円弱、今年度は2,000万円強という費用対効果に見合った形になっていると思う。しかし、そのほかの紙媒体を使うことや、イベントも大切である。全て取り組んだほうがよいと思うが、今回はICT機器を利用して消費を促すSNS動画の活用に特化して質問している。そこで、ネット通販に直接結びつくような取組が何かないかと思い、探してみたところ、株式会社オリエンタルのホームページで新しい商品を買うことにたどり着いた。
第一段階として、視聴者を増やして認知度を上げることは費用対効果を高めることに寄与していると思う。ただし、最終的に消費に結びつけていくためにSNS動画をどのように活用していくのか考えたときに、ネット通販に結びつく仕組みづくりが少ないと感じた。
それについては、プラットフォームを立ち上げると費用がさらに高くなってしまうため、民間業者に行ってもらえるような取組、仕組みづくりをこれからしてもらいたい。
もう一点、紙媒体を使って配布していると思うが、ユーチューブのチャンネル登録者数は広告費用をかけているため、それでよいと思うが、ほかのSNSのフォロワー数は、インスタグラム270人、X(旧ツイッター)4,062人である。この人数は、あまりにもかけた費用に対して効果が薄いと思われるため、もう少し費用をかけずにフォロワーを増やしていく方法はあると思う。イベントなどで広告を出すだけでなく、フォロワーを増やす仕組みづくりも考えてもらいたい。
【委員】
市街化区域内の生産緑地を地主から頼まれて耕作している農地オペレーターの声だが、市街化区域内の生産緑地は面積がそこまで大きくないことがほとんどであるため、例えば、地主からそこで稲作をやってほしいとお願いされても、面積が小さいため非常にやりにくい。近隣にも住宅があり、騒音や悪臭、泥が跳ねるといったクレームがたくさんあるため、オペレーターもそこでは受けたくないというのが本音だと思う。そのような状況で、地主は税金の関係でその場所を農地として維持したいなどと考えたときに、生産のための農地ではなく健康のための家庭菜園や市民農園として生産緑地を利用できないのか。
【理事者】
市街化区域内の農地は、本来、宅地並みの固定資産税が課せられる。しかし、生産緑地については、営農を継続することにより農地課税が適用される。また、生産緑地において相続が発生した場合は、相続人は営農継続を条件に相続税の納税猶予を受けることができる。
これらの税制上の優遇措置を維持したまま、生産緑地を市民農園等として活用する手法としては、生産緑地の所有者自らが特定農地貸付法により市町村の農業委員会に申請して開設する方法、もしくは生産緑地の所有者以外の人が都市農地貸借法により市町村に申請して生産緑地を借り受けて開設する方法がある。
生産緑地の所有者以外が市民農園を開設する場合、特定農地貸付法では市町村等を介して所有者から借りるという手間が一つ増えるが、平成30年に施行された都市農地貸借法では、所有者から市民農園の開設者が直接借入れて市民農園として開設することが可能となった。
生産緑地の所有者が自ら開設する場合と同等の手続で市民農園が開設できる都市農地貸借法は利便性が高い制度であり、今後、緑地の保全と活用に有意義な制度であるため、市町村に対しても周知していく。
【委員】
ぜひそのような制度があると広くアピールして進めてほしい。
次に、いろいろな農産物の産地化を目指すためにどのようなことが必要か伺う。
例えば岡崎市だとイチゴやナスを産地化したいと、農業協同組合や岡崎市も推奨しているが、これからナスやイチゴなどの農業を始めたいと思っている人が、現在の職場を辞めた後にしか農業塾などに通えないのであれば、非常に大きい問題である。今の職場に勤めながら、農業を体験できる場があると窓口が広がってよいと思うが、そのような場はあるのか。
【理事者】
農業の新規参入希望者が仕事を続けながら農業を学ぶには、委員が示したとおり、農業塾がある。農業塾は、週末や休日に市町村や農業協同組合等が運営しており、週末限定で参加することもできる。農業塾は、産地の担い手を目指す人や、副業として直売所等への出荷を目指す人などそれぞれのレベルに合わせた技術習得が可能であり、特に都市近郊の農業塾などでは週末のみの参加で農業を実践的に学ぶことができるところもある。
また、短期の農業バイトもあり、空き時間を活用して農業を体験するという方法もある。農業バイトは多くの労働力が必要となる繁忙期に、1日単位の短期間の雇用契約に基づいて働き手を確保する取組であり、担い手の高齢化や減少が進む農業分野における新しい働き手として期待されている。県としても農業者と働き手のマッチングサービスをホームページで紹介するなど取組を推進しており、農業バイトを通じて農業を学び、その後本格的に農業を始めたいと考える人には、岡崎市の農業大学校に設置している農起業支援ステーションなどで就農相談に対応している。
【委員】
本格的に農業を始めたい人向けの支援だけでなく、いろいろな人が農業を始める間口を広げてもらえることは非常にうれしい。
次に、実際に農業塾等で農業を学んだ後、仮にそのうちの9割が農業を諦めるという結果になったとしても、残り1割が確実に就農できるよう支援し、地域の基幹的な担い手として育成していくことが必要だと思うが、就農希望者や就農直後の農業者がすぐに直面するのがお金の問題である。農業機器やハウスなどの施設を導入する初期投資にかかる費用が捻出できずに就農を諦めたりするケースもあると聞く。
そこで、新規就農者が農業機械や施設等を導入する際にどのような支援があるのか伺う。
【理事者】
就農直後の施設整備や農業機械の導入を支援する制度は、事業費1,000万円を上限として、国が2分の1、県が4分の1を補助する経営発展支援事業や、県が事業費の3分の1を支援する県独自の補助事業である、あいち型産地パワーアップ事業などがある。
【委員】
新規就農者のための支援制度や融資制度についてはいろいろ調べたが、本県の農業の維持発展に向けて、有望な新規就農者を地域の基幹的な担い手として育成していくことが非常に重要だと思う。そのため、ある程度経験を積んだ農業者がさらなる経営発展を図る際の支援が必要だと思う。地域農業の担い手として定着しつつある農業者が融資を受ける際に、何らかのメリットはあるのか。
【理事者】
融資制度のメリットは、当初、新規就農者はまず認定新規就農者となり、そこで融資を受けることができる。認定新規就農者の認定期間は5年間であり、その後さらに5年間の経営改善を進めようとする目標や取組内容を記載した農業経営改善計画を作成し、市町村長から認定されると、地域農業の担い手として認定農業者となる。認定農業者になると、株式会社日本政策金融公庫から農業経営基盤強化資金、いわゆるスーパーL資金の融資を受けることができる。スーパーL資金とは、認定農業者が農業経営改善計画を達成するために施設整備や農業機械の導入、農地の取得などに必要な融資を受けることができる償還期限25年以内の長期資金である。貸付限度額は個人3億円、法人10億円となっている。
さらに市町村が作成する目標地図に位置づけられると、国から貸付け当初5年間の利子補給を受けることができるため、実質無利子となるメリットもある。
県としては、借入時の相談対応や書類作成支援等を行っており、引き続き関係機関と連携して新たな地域農業の担い手の育成に取り組んでいく。
【委員】
この質問の趣旨は産地化を目指すためにはどのようなことが必要かということであるが、最初は作物栽培をやってみたい人を、間口を広げて募集することが大切である。実際にやってみると思ったものではなかったなど、ふるいにかけられると思うが、その中でも本当に残って続けたいという人は、認定農業者としていろいろなメリットを受けられるようになるとのことで、そのような人を一生懸命増やしてもらいたい。
また、基幹的な農業者ができたとしても、販路をつくらなければお金にならない。新規就農者が地域農業の担い手として経営安定を図るためには融資制度や補助事業ももちろん必要であるが、販路の拡大として道の駅や直売所のような売場を確保することも必要だと思う。そのような販路の拡充、拡大にも引き続き取り組んでもらいたい。
最後に一点、私は田舎に住んでいるが、イノシシの被害は最近減っている。しかし、サギとシカの被害が結構増えていると聞いている。アユなどを養殖している人たちからサギに食べられてしまうとの声がある。また、最近ではシカの捕獲量が増えていると思う。そこで、これらの駆除対策について伺う。
【理事者】
県は鳥獣被害防止対策として、各市町村からの要望に基づき、国の鳥獣被害防止総合対策事業を活用し、地域ぐるみでの被害防止活動、侵入防止柵や捕獲穴等の導入支援、捕獲活動経費の補助を行っている。
委員指摘の捕獲活動経費補助については、鳥獣被害防止総合対策事業のうち捕獲事業というメニューの支援になるが、その補助額は、サギを含む鳥類では1羽当たり200円、シカの成獣1頭当たりの補助は、食肉処理施設に搬入するものは1頭当たり9,000円、焼却処理施設等に搬入するものは1頭当たり8,000円、それ以外は7,000円、シカの幼獣は、1頭当たり1,000円を補助している。ただし、イノシシについては、国の補助はシカと同額だが、現在も断続的に豚熱が発生しているため、豚熱対策として成獣1頭当たり1万3,000円、幼獣は6,000円を県費による上乗せ補助を行っている。
鳥獣の捕獲活動経費は、燃料代や餌などの価格高騰により捕獲従事者の負担増となっているため、捕獲活動経費に対する支援の拡充を、昨年、国に要望しており、今年度も引き続き要望していく。
なお、サギ類やシカについては、現行の鳥獣被害防止総合対策事業に、地域が一体となった被害防止対策の構築や生育状況調査の実施、捕獲のためのわななどの機材費や燃料代などをまとめて支援できるメニューがある。具体的にはこれらのメニューを活用することでサギ類など鳥類は、1市町当たり100万円以内、シカは1協議内または1市町村当たり300万円以内、特にシカについては300万円の範囲だが、成獣1頭当たり1万8,000円、幼獣1頭当たり2,000円の補助が受けられる。こうしたメニューは捕獲事業に比べて実質的には捕獲活動経費補助の増額につながることになるため、これらのメニューを市町村に再度周知し活用を促していく。
【委員】
私が食に関して関心を持ったのは、ここ3年から4年の間である。
感染研究所などのデータによると、コロナワクチンによる超過死亡者数は、45万人である。日本人だけワクチンを7回接種し、また秋口から8回目のワクチン接種もいわれている中、感染が止まらない。これについては、ずっと反対の声を挙げているものの、案の定な結果になっている。これは、グローバル経済がこのようにさせていると思う。特に日本の場合は、鳩山由紀夫元総理も証言しているが、総理であったとしても日米合同委員会で決まったことの報告がないとのことで、国家の3要素である領土、国民、主権、この主権の部分が日本は非常に疑義が出ている状態が如実に表れていると思う。
ワクチンについていろいろ調べていくと、農薬や添加物なども同じようにグローバル企業によって日本に持ち込まれている。例えば、アメリカでは約数百億円の訴訟になっているラウンドアップという除草剤が平気で農業協同組合のファーマーマーケットで売られ、各家庭でまかれている。このラウンドアップに使われているグリホサートやネオニコチノイドなどは、ベトナム戦争時の枯葉剤に使われていたもので、それも同じくグローバル企業が進めている。
今回のコロナワクチンに関しても人口削減論者のビル・ゲイツが日本にも来るなど、そのような政策を進めている。グローバリストと呼ばれる人が今、世界で次の仕掛けをしているのは、食料分野である。スヴァールバル世界種子貯蔵庫というものがノルウェーのスピッツベルゲン島にあるが、これはベント・スコウマンという人がビル・ゲイツ主導の下、世界中の種子を冷凍保存する施設を造るなど、まさに現代のノアの箱舟ともいわれているため、ぜひ調べてほしい。
そのため、現在、食の安全が非常に脅かされようとしている。コロナ騒動に関してもパンデミックではなく計画されたプランデミックであり、ウイルス自体が全く分離、同定もされてないものに対して騒いでいる。
先日、食料供給困難事態対策法が国内で成立した。これは、例えば花畑を造っている農家に、もし食料困難事態になった場合、強制的にイモなどを作付けさせるようなものであり、罰則規定も設けられたが、今まで減反政策などが実施され、農家が支援されていない状態で、このような農家に対して、上から目線でこのようなことを行う法律が平気で通ってしまい、非常にきな臭い動きだと感じている。
農林水産省が出している、知ってる?日本の食料事情2022という冊子の中で、食料自給を国内で行った場合、生産能力を最大限にした場合どうなるのかについて、牛乳だと4日に1杯、卵だと14日に1個、焼肉だと14日に1皿しか食べられない状態が今の日本の食料事情とのことである。
なぜここまで日本の畜産業や農業、漁業が先細っているのか、生産農家も減っているのかというと、これは先ほど言ったようなグローバル経済、資本主義がそのようにしている。1996年にイギリスの経済学者のスーザン・ストレンジが、国家の退場という本を書いている。国をしのぐようなグローバル資本が世界を席巻するとのことで、まさに今そのような状態になっており、今、日本の政府もそのようなグローバリストのほうに都合のよい政策ばかりであり、農村や漁村についての法律の改正を見ると、海外のグローバル企業に都合のよい法律に変えられている。恐らく、現場の職員であればそのことはすごく感じていると思う。
そこで、国がおかしいため、愛知県がこの国を立て直すしかない。国の政策に安易に乗ることは、全国有数の愛知県の農業、産業まで疲弊してしまう。特に、跡継ぎ問題で高齢化の問題が指摘されている。これは各分野でいわれることだが、団塊の世代の人々が廃業を迎えるとのことで、地元の農政課の職員や自治体の職員の話を聞いても、ほとんどの確率で壊滅的な状態になるだろうという危機感は自治体の職員も持っている。そのため、誰かに任せたらやってくれるなどという状態ではなく、個人、自治体、民間企業でも、気づいた人から動かなければならない。衣食住については根幹の部分であるため、カーボンニュートラルやSDGsなど、そのようなことを言っている場合ではなく、それについても全部グローバリストが仕掛けているものであり、日本だけがそれを進め、本質的な命に直結的なところを政策的に全然できていない。優秀な県の職員であるため、しっかりと現場のやる気のある人々と生産者と一緒になって進めてもらいたい。
もう一つは、個人主義になったことで、家族が疲弊していることである。跡継ぎ問題も共同体であった大家族が核家族となり、シングルの家庭も増えている状態で、農村、漁村が小さくなっている。そのような農業経営体が小さくなっていることと相互に連関して進んでいると考える。
そこで、農家の後継ぎ問題で、農村、漁村をどのように活性化していくのか伺う。今、しばしば婚活が行われているが、トレンディドラマを見てワイングラスを傾けるドラマのような婚活、例えば学歴と年収などで相手を見つけるマッチングが行われている。そうではなく、最近、岐阜県の山村で、三世代で先祖代々の土地で兼業農家を営む家庭を見てきたが、助け合いながら生活し、ものの考え方もしっかりしており、農地だけでなく家庭の中もすばらしいと感じた。愛知県も人口減少対策で、ジブリパークで婚活事業を進めているが、農村、漁村も活用して婚活事業を行うことにより、実際に営農者や漁村の家族の在り方にしっかりと都市部の若者たちが触れることにより、今後結婚した後にどのように家族を営んでいくのか、そのようなライフスタイルに共感した人をつくっていくことが、広い意味で農村、漁村の後継ぎ継承問題の解決につながると思う。その辺りの取組に関して考えを伺う。
【理事者】
都市部の若者と農村部の人たちとの交流は、県としてもグリーン・ツーリズムの一環として重要だと考えている。特に都市と農山漁村の交流について、都市の人は農村部の自然との触れ合いが日頃あまりないため、そのような触れ合いを通じて、ゆとりや安らぎを得られることが魅力であると感じている。
また、農山漁村についても都市部の人々が実際に来て農林水産物の販路を拡大することや、将来的に農村部で担い手になってもらうことが、地域の活性化につながる重要な取組である。
今、委員が事例として挙げた婚活イベントについては、県内各地に4Hクラブという農業青年の集団組織があり、そのクラブが自主的な取組として、現在、豊橋市や田原市の農村部で男女交流会を実施している。ただし、最近ではこのようなイベントの参加を呼びかけてもなかなか人が集まらないと聞いている。県としてそのような農村部の実態をしっかりと都市部の若者に見てもらうため、県ウェブページのイベント情報など、いろいろな媒体を通じて今後も募集を支援していく。
【委員】
農村漁村のライフスタイルを実際に見てもらう、知ってもらう、体験してもらうことはすごく大事だと思っており、これは婚活の人たちに限らず、家族でも旅行などで行けるようにしてもらいたい。京都府の事例を見ると、農村漁村の体験民宿があり、民宿と連携して、農村漁村に1泊2日で田植をし、その地域のものを食べるなど、地域ごとにホームページなどで紹介し、活動している。非常に分かりやすくイメージも湧くものであるため、愛知県も似たような取組を行い、ホームページなどで分かりやすくしてもらいたい。
1回の旅行で100万円以上消費するインバウンドの海外の富裕層を対象にしていくと大村秀章知事も答弁していたが、今、日本に来ている外国人は、このようなアッパー層であり、非常に品のある層に変わってきたと思う。そこで、どのような部分で付加価値を出していくのかについて、日本の伝統産業や伝統食がある農村、漁村は一つのコンテンツになり、観光の面からも地域活性化につながるに思う。その点について考えを伺う。
【理事者】
愛知県では都市と農山漁村との交流を進めるための独自の取組として、県のホームページ、あいちの都市・農村交流ガイドにより、愛知県内の風景や自然、農林水産物、食べ物、伝統文化を地域資源とし、それらを巡るルートを紹介するとともに、県内各地の農山漁村で行われている農作業体験や交流会などのイベント情報も定期的にホームページで情報発信している。
また、農家民宿での農作業の体験、いわゆる農泊については、県内8地域において国の農山漁村振興交付金を活用し、農泊ツアーや古民家を活用した滞在施設の整備等を実施しており、今後も国の補助施策の情報提供等により農泊の支援を行っていく。
【委員】
コロナ禍で宿泊業もかなりの打撃を受けている。先日も三河の漁港近くの宿泊施設を見たが、いろいろな民宿もたくさんあるため、元気になってもらうという意味でも、行政からうまくマッチングして、愛知県の農業、畜産、漁業を見てもらい、体験してもらい、また、自分で見たもの、釣ったものをそこで食べることなどが付加価値を生む、三方良しの政策になると思うため、ぜひ進めてもらいたい。
また、自分自身だけでなく、私の周りにも新しく食の安全について、コロナワクチン事件をきっかけに気づいた人がすごく増えている。そのため、これからそのような人々が農業などの担い手になっていく。当然、食の安全という観点から入っているため、先ほど議論があった有機農業や自然農法などに対して関心もあり、消費者としてもそのようなものを選ぶ人々が、特に若い人々の中で増えている。30代から40代の子育て中の母親たちが熱心に活動を開始している。どうしても借りた農地で活動するしかない。もともと営農者ではなかった人たちであるため、そのような人々が最終的に正式に農地を借り、農地を取得できるレベルまで、県が誘導することが、次の時代の農業を担う人たちになっていくと思う。ピンチをチャンスに変える視点で、可能性を感じている。
そこで、どこかによい土地はないのかという質問をよく受けるが、空き農地に対する情報の利活用について県の取組内容を伺う。
【理事者】
令和5年4月1日から、改正農業経営基盤強化促進法が施行され、市町村において今年度中に地域計画を策定することが法定化されている。この地域計画の中では、集落の代表者や農地の受け手である担い手の人々など幅広い関係者による話合いを通じ、農地一筆ごとに今後10年後、誰が耕作していくのかを決めていくことになる。基本的には担い手に対し、農地の集積、集約化を進めていくことになるが、耕作者が見つからない農地、いわゆる空き農地については、例えば中小経営者、家族的経営者、あるいは兼業農家など多様な経営体に対して活用してもらうことも視野に入れながら、市町村に働きかけていきたい。
市町村が策定する地域計画には、空き農地の情報も含む目標地図が含まれている。この情報は本県や、農地中間管理事業の推進に関する法律に基づき都道府県に一つ設置されている農地中間管理機構等で共有することになっているため、その情報提供がいかに効率よくできるのかを関係機関も含めて検討していく。
【委員】
県で策定した有機農業推進計画の目標面積900ヘクタールについて、これを達成するための耕作放棄地の活用について具体的に伺う。
【理事者】
有機農業の拡大のための耕作放棄地の活用について、国の有機農業の推進に関する基本的な方針では、耕作放棄地等をまとめて有機JAS圃場に転換する試行的取組等を通じ、有機農業に適した農地の確保、団地化を推進するよう努めると示されている。県としても有効な手段の一つになり得ると認識している。
一方で、耕作放棄地を活用するには、草刈りや木の伐採、根を掘り起こす伐根、地力回復のための堆肥の投入など労力や肥料がかかるという課題がある。こうした中、本県では、東郷町を始め5地域で国の、有機農業産地づくり推進事業を活用し、地域における有機農業エリアの設定や有機農業者の育成など地域ぐるみで有機農業の産地づくりに取り組んでいる。このようなエリアに耕作放棄地があれば、その活用も含めて検討している。
この取組に対しては県も各農林水産事務所の農業改良普及課が検討メンバーとして参画している。県として地域の関係者と一緒になり、耕作放棄地を含めた農地の有機農業への活用について検討していく。
【委員】
国の政策と相入れないわけではないが、農地中間管理機構の農地の集約を進めてその農地を貸すことに関しては、日本の伝統的な農村の考え方からすると少し違うと思う。小さい農家が日本の農業の農本主義ともいわれる。そのため、結果的に大きい農地になることはよいと思うが、企業が農地をやることに関しても後から出てきた話であり、先ほど述べたような家族経営、共同体経営が基本にあったと思うため、小さい農業を応援することは非常に大事なことだと思う。特に、有機農業、有機農法に気づいた人々、まだ営農資格はないが実際にヤミ小作としてやっている人々は、小さい単位から始めるため、そのような人々には、これからの可能性として支援してもらいたい。
具体的な声として、非常にテクニカルで難しい農業であるとの話もあったが、農機具を購入する、レンタルするような支援制度はないのか、また、新しく農業を始めたい若者への援助金はないのかなども尋ねられる。そのような支援体制はどのようになっているのか。
【理事者】
本県では新たに農業を始める人への支援体制として、農業大学校にある農起業支援ステーションや県内8か所の農起業支援センターで農地や資金の確保、営農技術の習得といった就農希望者からの相談に対応している。相談者の中で有機農業を新たに行おうとする就農希望者も一部いるため、そのような人に対して、専門的見地から指導を行うことができる有識者に依頼し、有機農業の先輩農家など研修先の紹介や、栽培品目、就農場所等に係る就農相談を行っている。
次に、農業を始めたい人への支援金としては、就農前の研修期間中の生活安定のため、最長2年間交付される就農準備資金と就農直後の経営確立のため最長3年間交付される経営開始資金がある。どちらも就農時49歳以下の人に対して1人当たり年間最大150万円が交付される資金となっている。
また、就農時における農機具や施設等の導入への支援としては、事業費1,000万円を上限とし、国が2分の1、県が4分の1を補助する経営発展支援事業などがある。
加えて、各地域では農業者同士が農機具を貸し借りする、農業協同組合などが農業機械のレンタルやハウスのリースを行うなどの支援が行われている事例もある。
【委員】
次に、外国人の受入れについて伺う。
ものづくり産業や介護の分野、あるいはIT分野についての外国人の受入れについては本会議等で話題になっている。そこで、農業分野については本県の外国人の受入れ実績はどのようになっているのか伺う。
【理事者】
本県の農業分野における外国人労働者数は、愛知労働局の公表資料によると、2023年10月時点で3,049人となっている。国籍別では、中国890人、ベトナム807人、インドネシア307人の順で受入れが多くなっている。
また2019年4月から制度が始まった就労を目的とした特定技能在留外国人については、本県における農業分野の受入れ人数は、出入国在留管理庁の公表資料によると、2023年12月時点で1,023人となっている。国籍別ではベトナム507人、カンボジア136人、中国118人、インドネシア110人の順で受入れが多くなっている。
【委員】
外国人就労労働政策に関しては難しいことだと思う。一次産業の衣食住に関わる分野に関しては、なるべく国内の日本人が担っていくほうがよく、自分の国の田畑すらも耕せない状態は、国家の存亡に関わると思う。過去を見ると、日本が東南アジアなどに稲作を教えてきた歴史もあり、そのような根幹はしっかりと日本人自身が行う気概を見せなければならない。外国人に実習生として学びに来てもらうことはよいが、担い手を外国人に頼る状況まではなるべくいかないようにしてもらいたい。
続いて、愛知県の伝統野菜について伺う。
愛知県の伝統野菜について、平成18年頃に一度まとめてから、いろいろなところから、こちらにもこんな品種があるとの話が県庁に入ってくるため、改めてこの1年から2年でさらにブラッシュアップするため取組を進めているとのことであるである。それについて、京都府の京野菜が有名であり、付加価値も結構高いと思うが、愛知県の伝統野菜も非常にユニークな食材がたくさんあるため、これを京都の京野菜のようにブランド化すれば、観光業のコンテンツとしても使えると思うため、ぜひ盛り上げてもらいたい。
このような愛知県の伝統野菜の固定種、在来種の種をどのように保存、普及していくのか。種の交換会や育てることはなかなか難しいと思うため、大規模な農家よりも関心のある個人農家が育てる草の根運動を進めるほうが、イメージが湧くと思う。いずれにしても種の保存、普及をどのように進めるのか、それをどのように観光の分野と食の分野などのほかの分野まで活用していくのか伺う。
【理事者】
愛知県の伝統野菜について、県では古くから栽培されてきた個性豊かな野菜を再び身近な野菜として利用してもらおうと、50年前に栽培されていたもの、地名、人名など愛知県に由来しているものなどの要件を満たす品目について、2002年から、あいちの伝統野菜として選定を開始し、現在までに37品目を選定している。
県ではこれまで生産状況調査の実施、シンボルマークやパンフレットの作成などの取組を行ってきたが、担い手や作付面積の減少が続いた。そのため、2023年度から、生産の拡大や消費者における認知度向上を目的に、あいちの伝統野菜振興事業を実施している。本事業では生産の拡大を図るための取組として、新規栽培者等に対する栽培講習会の開催、利用の拡大を図るための取組として、伝統野菜を用いた新たなレシピの作成に取り組んでいる。加えて、伝統野菜のイメージアップに向けてウェブページのリニューアル、品目ごとの特性や料理法を紹介するPR動画の作成などに取り組んでいる。
種子の維持、継承のための取組については、県としても、伝統野菜は歴史的、文化的な側面からも貴重な資源であると認識しており、民間団体と連携し昨年度から愛知県の伝統野菜の種子保管に取り組んでいる。具体的には在来種の保存と普及を目指して活動する民間団体である、あいち在来種保存会が保管している伝統野菜の種子の一部をバックアップとして愛知県農業総合試験場で保管している。
本年1月に第1回の保管品目として24の種子の保存を開始しており、今後順次品目を追加していく予定である。
【委員】
次に、種子全般に関して、食料安全保障の観点から伺う。
冒頭で話したように、グローバル企業やグローバリストが海外で種を保存する、作る、農地を買いあさることなどをしているが、日本国内ではそのような危機感はない。しかし、海外から輸入が止まることなどがあると、実際に防災と同じような観点が必要だと思っている。防災の分野でいうと、3日間は水と食料を保存するよう自助、公助、共助の呼びかけを自治体がするが、食の分野に関しては、備蓄する、種を保存することなど、いざというときのためにという話はない。しかし、実際マンションでもプランター農園などで少しでも自分の食べるものを育てることは可能である。農業総合試験所で種を保存することは、あくまでも研究開発分野の話であるため、実際の食べていくための種の保存は各家庭や自治体、企業レベルで取り組まなければならないと考えているが、県としてしっかりと呼びかけるなどの取組はできないのか。
【理事者】
種子の保存について、食料供給困難事態対策法が6月14日に成立し、米穀や小麦、大豆、その他の農林水産物で国民の食生活上重要なものを特定食料として、また、種子や種苗、肥料、農薬などは特定食料の生産に必要不可欠な特定資材として規定している。今後、国はこの対策法に基づき、食料供給困難事態対策の実施に関する基本的な方針を定めることとしており、この基本方針の中で、平時においても実施する総合的な備蓄についても定める。県としては、今後出てくる基本方針を踏まえ、県の役割を検討していく。
【委員】
愛知県の伝統野菜も含めた関連の話で、食文化の継承について伺う。
日本の食料自給率について議論する際、カロリーベースの食卓のようで、学校給食や各家庭の親たちもプレッシャーを感じている部分がある。例えば1日30品目を取らなければならないことなど、洗脳のようにも感じている。昔の日本の食卓を見ると、一汁一菜などの質素な食卓だったにもかかわらず、当時の日本人は、体は小さいかもしれないが非常に馬力があった。現在は、学校教育の50メートル走のような、走ってタイムを競うための体づくりはしているかもしれないが、身軽であることや、農作業がしっかりできること、山に登れることなど、そのような体力が落ちてしまったら本末転倒である。メンタル面や体力面で不健康な子供もいるため、食の見直しは非常に大切だと思っている。しかし、カロリーベースで考えていたら改善できない。その活路として、愛知県の伝統食があると思っており、先ほどの京野菜ではないが、愛知県の伝統的な食卓を、愛知県の伝統野菜や発酵食を使って継承することが大切である。ウナギや味噌カツは知られているが、同じ愛知県内に住んでいても情報を得ることがなかなかない郷土料理的なものが実はたくさんあることも最近関心を持って見ているが、そのような普及、継承について伺う。
【理事者】
2025年度を目標とする国の第4次食育推進基本計画において、食文化の継承に向けた食育の推進が重点課題の一つとして挙げられており、本県でも、あいち食育いきいきプラン2025に基づき、日本の食文化や郷土料理等の理解と継承を推進することとしている。県では2016年度に、愛知県に伝わる郷土料理のうち地域で脈々と受け継がれている料理を選定し、それにまつわる歴史、いわれ、文化、レシピ伝承活動等について取りまとめたレシピ集、あいちの郷土料理レシピ50選を作成したところであり、例えば愛知県の伝統野菜であるかりもりを漬物にしたかりもりの粕漬けなども掲載し、食文化の継承を図っている。
また、このレシピ集は、県に登録されている栄養士や調理師など食育に関する豊富な経験を持つ食育推進ボランティア約1,000人に配布し、地域での料理教室等の食育活動に生かしてもらうとともに、ウェブページの食育ネットあいちで公表し、一般の人も活用できるようにしている。特に昨年度は、次世代へつなげる愛知の伝統野菜と食文化をテーマにしたシンポジウムを開催し、食育推進ボランティアの人々に食文化に対する思いなどを語ってもらった。参加者からは、食文化は大切に守り伝えていかなければならないと思ったと感想をもらうなど、食文化の普及につながる取組を進めている。
【委員】
続いて、愛知の発酵食で、漬物に関して伺う。
6月1日からのHACCP(ハサップ)の食品衛生法に関して、個人農家が出している漬物が店に出せなくなった問題で、県内の道の駅などに話を聞いたが、半分弱の品が出せなくなったという影響が出たとのことである。これは、何万件、何億件に1件程度しか起きないようなO157の問題に関して、数年前に食品衛生法が改正され、経過期間を経て今回そのようなことになったが、実際100万円や200万円の設備投資がないと食品衛生基準を満たせないとのことである。高齢化が進む中、道の駅などに出店していた個人農家は大体70代が中心であり、100万円や200万円を投資したところで、後継ぎがいないため結局廃業したことが実際に起きている。消費者からしても、手作りの母の味を楽しみにしていたが食べられなくなった。私も漬物が大好きであるため、手作りのものが食べられなくなることは、食文化の破壊である。このようなものも、恐らくグローバリストたちが日米合同委員会を通して、日本の発酵食を潰しにきていると感じる。大きな設備投資ができる経営体でない限り参入できなくなる。本来、漬物は発酵していなければならないが、スーパーで、発酵してないものがキムチのように売られていることがある。
これは、私も昨年の知事選挙で公約の一つにしており、実現してよかったと思うが、愛知県としては、発酵食文化を海外に通じるコンテンツとして進めていく方針を出している。
ところが、足元の各家庭から芽生えた発酵食文化が縮小する方向で法律が変わっていることから、食文化は企業がつくるのではなく、各家庭、各地域から生じるものだと思う。そのようなことを発酵県である愛知県が保護、育成しなければならない。先ほど言ったように、国がおかしいため、愛知県が日本の食文化を取り戻す勢いで、進めてもらいたい。
全国には、今回の経過期間終了に合わせて農家への補助金を設けている自治体もある。そこで、愛知県としても農家が廃業しないよう、設備投資の補助を出すことなど、自治体への支援策を取れないのか、考えを伺う。
【理事者】
漬物は、農業者が生産した農産物を加工し、付加価値を高めて販売する6次産業化の代表的な取組商品の一つと考えている。農林漁業者等が取り組む6次産業化の支援は、本県は国の農山漁村振興交付金を活用し、愛知県6次産業化サポートセンターで事業計画への助言等を行うとともに、新商品の開発、農産物加工販売施設などの整備に要する経費に対して補助を行っており、漬物製造もその対象になり得る。
なお、県内8か所にある農林水産事務所の農業改良普及課(農業普及指導センター)において、漬物を直売所などで販売している農業者に対して、先ほど話があった法改正に関する情報の提供や相談に対応している。対応した農業者の中には猶予期間中に、各自の経営判断により自己資金で新たに施設整備を行った者もいるが、補助事業による支援を求める動きはなかった。今後も引き続き、施設整備に対する要望があれば相談を受け、必要な支援を行っていく。
【委員】
最後に、漁業の分野について二点伺う。
一点目は、水質保全と豊かな海の両立に向けた社会実験についてである。伊勢湾、三河湾では、これまでの排水規制により水質が改善された一方で、漁業に必要な栄養塩不足によりノリやアサリに影響が出たと指摘されている。これまでも出尽くした議論だと思うが、今の社会実験の結果、状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
社会実験の概要について、社会実験は農業水産局、環境局及び建設局が連携し、矢作川及び豊川の浄化センターで、放流水中の窒素とリンの濃度の上限値を国の規制まで緩和して窒素とリンを増加させる管理運転を行い、ノリ、アサリへの効果を調査する取組で、2年前の2022年度は11月から3月まで、昨年度は9月から3月までの期間で実施した。
その結果は、周辺海域への水質に異常は見られず、ノリの色調やアサリの生息量は社会実験の実施前に比べて良好であり、ノリやアサリへの効果があったと考えられた。こうしたことから、今後もこの取組を継続するため、環境局において水質汚濁防止法に基づく総量規制基準を一部改正する検討を進めている。今後も水質を良好な状態に保ちつつ、豊かな海の実現に向けて引き続き関係局と連携して取り組んでいく。
【委員】
二点目、そのアサリの話題について、昨年の水害で、豊川河口のアサリ稚貝が大きな影響を受けた。いろいろなインフラ分野に関して財政支援が行われたが、アサリなどの漁業に関しての財政支援はあるのか。アサリの稚貝が十分に放流できなかったことに対しての影響、今後の対応について伺う。
【理事者】
本県のアサリ漁業者は例年、初夏から秋にかけて県の許可を受けて豊川河口に発生する稚貝を採捕し、漁場に放流することでアサリ資源の増大を図っている。豊川河口のアサリ稚貝だが、毎年、大量に発生するものの、貧酸素水塊や大雨の影響で資源量が減少することもある。これが委員指摘の部分であり、昨年6月の大雨によって河口域のアサリ稚貝が流出、または土砂の堆積による埋没などで大きく減少したことから、各漁場へのアサリ稚貝の放流量は例年の1割程度にとどまっている。例年ならば、放流したアサリが1年以上たって成長して、初夏以降に漁獲されるようになるが、放流量が少なかったため、今後のアサリ漁業への影響が懸念される。
この対応について漁業者は昨年来、地先の資源を大切に利用するため、各漁場において捕る大きさ、数量及び操業時間の制限などの資源管理を行い、漁獲量の維持に努めている。県としても漁業者が行うアサリ資源調査に協力するとともに、豊川河口のアサリ稚貝については環境の影響を受けやすい資源であるため、放流に適した大きさへの成長が確認され次第、速やかに採捕を許可する体制を取っている。
なお、今年については、例年どおり豊川河口でアサリ稚貝が発生しており順調に成長しているため、早ければ6月末から漁業者による採捕が行われ、各漁場に放流される予定となっている。
【委員】
一昨年、昨年と新型コロナウイルスの影響で売上げが落ちており、愛知県内水面漁業協同組合連合会の加盟団体は18で約5,000人が加盟しているが、ほとんどの漁業協同組合が赤字である。
その中で令和5年6月2日の大雨で放流したアユが流れてしまった。そこで、無主物だと、補償の対象にならないと初めて知ったが、漁業協同組合は赤字のため、何とかならないかと要望したところ、今年は水産課の事業で12漁業協同組合に稚魚の体験放流の補助をしてもらえたことで、漁業協同組合も喜んでいる。私の地元の川も6月26日に放流することとなっており、体験放流であるため地元の小学生が一緒になってやってくれる。非常に効果の高い事業だと思うため、来年も何らかの形で地域と川を結びつけ、愛知県内水面漁業協同組合が大きな役割を果たせるよう引き続き支援をお願いしたい。
二点伺う。
一点目、畜産関係についてである。畜産も大きく分けて、酪農と肉牛、それから養豚、養鶏がある。養鶏は鳥インフルエンザで約1,500万羽殺処分したため、卵が少なくなり、価格が上がった。少し回復して需要も減ったため、また先行きの見通しが悪い状況だと聞いている。養豚は比較的安定している。一番大変なのが牛である。酪農、肉牛の関係者から、もう1年半から2年近くそのような状態が続いているとの話を聞き、地元の人や農林水産事務所の農政課にも状況を聞いた。その上で質問する。
今、愛知県は農業産出額3,114億円で全国8位である。5位から8位に落ちている。そのうち、畜産が約30パーセントで919億円を占めている。私の地域の愛知東農業協同組合も畜産業が頑張ってきたおかげで売上げそのものは比較的落ちずに済んでいる。畜産関係で売上げの5割になっていると聞く。いわゆる就農者数は減っても売上げが何とか維持できているのが現状だと思う。そこで畜産業が打撃を受けると農業産出額にも影響すると感じている。そのため、農業産出額を増やすなら、まず畜産業の現状についての議論をしっかりしなければ厳しいと思う。
愛知県の畜産業がなぜ厳しいかというと、愛知県は輸入港があるからである。飼料でも二とおりある。牛は特にわらを食べなければならない。稲わらはないが、外国からの輸入乾牧草やトウモロコシの茎、飼料イネ(WCS)、いわゆる飼料用米などを食べないと牛は生きていけない。粗飼料と濃厚飼料の2種類を食べなければ、牛の飼料として成り立たないため、愛知県の畜産業の特性として輸入に頼っている率が非常に高い。このほうが安価かつ安定的であり、経営しやすいという事情もあると思うが、その前提が今崩れている。乾牧草などの輸入品が円安や船運賃の上昇などで非常に高止まりしている。なかなか安くなる見通しが立たないと聞いている。
加えて電気代、ガソリン代も上がっている。そこで、粗飼料と濃厚飼料が安定すれば、地産地消的な供給ができると思い、農林水産事務所に聞いてみたが、この地域ではこれ以上の拡大は無理とのことであった。なぜなら、面積が狭くてコストがついていかない、栽培に適した場所がこれ以上見つからないため、コスト的に無理ということ、もう一つは、コンバインベーラーなどの機械が老朽化しており、現状のものが適正規模だがメーカーがもう造らないと言っているからである。今ある機械をだましだまし使うしかない。大きな機械はあるものの、3,000万円程度かかり、7年で耐用年数が来るため、飼料をつくるにはおぼつかない。そのような状況のため、地産地消を進めるためにいろいろ話を聞くが先行きが見通せないとのことである。稲わらや耕畜連携で広域連携的に進めるのはどうかと模索してもらっており、我々の地域でなく、ほかの地域で作ってもらったものを持ってきて使う計画をしていると聞いている。
しかし、これは飼料をつくるために日にちがかかり過ぎる。また、牛を飼っている農家は、私の聞く限り、1頭当たり月1万円の赤字が出る。100頭買っていたら年間で1,200万の赤字である。そのため待ったなしの状況であるという現実をどう受け止めてどう解決するのか、その点の意気込み等、県の取組の心意気を知りたい。そこで、この2年間の成果と課題について伺う。
【理事者】
本県では輸入飼料の高止まりの対策として、県内の水田等を活用した自給飼料の生産と利用を拡大するため、2022年度から耕畜連携支援強化事業を実施している。この事業では、養牛農家、乳用牛と肉用牛農家の自給飼料の利用拡大に向け、乾牧草の代替として青刈りトウモロコシを、また輸入原料が主体である濃厚飼料の代替として子実用トウモロコシを生産する現地実証などに取り組んでいる。
青刈りトウモロコシについては、2022年度は、海部、知多、豊田地域の水田25ヘクタールで767トンを生産した。また、2023年度は新たに東三河地域を加え31ヘクタールに拡大し、938トンを生産した。
また生産した青刈りトウモロコシについては乳用牛に食べさせ、生乳の品質等に影響がないことを確認した。
子実用トウモロコシについて、2023年度に本県の気象状況などに適した品種を選定するため、農業総合試験場での栽培試験を行うとともに、豊田地域で1ヘクタールの現地実証を行った。それらの結果、青刈りトウモロコシ及び子実用トウモロコシの収量を確保するためには、湿度や害虫対策が重要であることが明らかとなった。
また、2年間の取組で飼料の収穫、運搬を実施した結果、飼料生産が多い地域と畜産農家が多い地域の距離が離れている場合もあることから、改めて広域流通させる体制を構築する必要があると認識し、取組を進めている。
【委員】
努力していることはわかるが、現状を変えるためにどこまでやらなければいけないかという意気込みで取り組まなければ、牛農家のリクエストに応えるにはまだ面積が足りない。25ヘクタールから6ヘクタール増え31ヘクタールになったことから、牛1頭が必要な面積は1ヘクタールだと聞いているため、6頭分の牛が賄えるようになったことが現状である。そのように取り組んでもらっていることはありがたいと思うが、事態の緊迫性に対する対応など、その辺りをもう少し深刻に考えてもらいたい。そこで、今後どのような取組をしていくのか伺う。
【理事者】
まず、意気込みとして、先ほど委員から指摘があったとおり、本県の畜産業は港が近いがゆえに輸入飼料に依存する体制を続けて発展してきた。このため、畜産農家は、輸入飼料が大変よいものだとの認識を持っており、例えば本県で作った飼料については品質が少しよくないのではないかという心配事がある。
そのような意味で、県で全ての牛に食べさせるための飼料畑を作っているわけではない。ただし、一例として、今回の場合だと30ヘクタール程度の実証の圃場を作り、それを多くの畜産農家の牛に食べてもらい、県内で生産した国内飼料でも問題ないことを実感してもらうことが、今後の県内での飼料の普及につながるという考えの下、このような事業を実施している。
それを踏まえ、今年度の取組について、青刈りトウモロコシは、乳用牛農家の新たな需要に応えるため、これまでと同じ地域で栽培面積31ヘクタールから45ヘクタールに生産を拡大している。
子実用トウモロコシは、豊田地域で3ヘクタールの現地実証を行うとともに、牛に給与し生育などへの影響の調査を予定している。
また栽培技術の確立に向け暗渠や畝立てなどの湿害対策や雑草及び害虫対策にも取り組む。こうして生産された飼料については、海部、知多地域から東三河地域への広域流通を行い、運搬コスト等を明らかにし、費用対効果を算出していく。
さらに、効果的な飼料生産が厳しい中山間地域では、米を収穫した後の稲わらを発酵させ、それを飼料として肉用牛へ給与する試験も実施していく。
こうした取組を通じ、様々な課題を解消しながら、稲作農家と畜産農家がウィン・ウィンの関係を築き、自給飼料生産をしっかりと進めて、今後の畜産業が発展していくよう努めていく。
【委員】
県も取り組むべきだが、農業協同組合もさらに取り組むべきとの意見もあるため、私も地元の農業協同組合にお願いする。とはいえ、県として成し得る最大限、最良のありとあらゆる方法で取り組んでもらいたい。
次に、林業について伺う。私も仕事の関係で山のことは興味を持って考えている。その中で、循環型林業という言葉がよく使われるが、循環型林業がどのような意味で使われているのか聞くと、切って、植えて、育てることを循環型林業と言っているように思う。山の木を全部切ること、林業用語で言うと主伐、別の言い方をすれば皆伐をし、そこへ新しい苗を植えることについてどのように取り組むのか。
愛知県は人工林率が64パーセントと非常に高い。戦後の植林が多いが、圧倒的にスギやヒノキが多い。これは当時、先人たちがはげ山から山に変える、災害を防ぐ、資源を確保するという意味で取り組んだ。これは非常に貴重な財産だと思うが、今、国がスギなどの花粉症の発生源を少なくするため、約50パーセントを削減しようと取り組んでいると聞いている。私は、山主の同意がないとできないが、低花粉スギを植えるより、山の地力を衰えさせないよう災害に強い山にするためにも、できる限り落葉広葉樹を植え、山そのものを造り変えるほうがよいと考える。そこで、主伐再造林の最近の実績について伺う。
【理事者】
実績について、本県ではスギ、ヒノキの人工林の多くが木材として本格的に利用できる時期となっている。これらの高齢となったスギ、ヒノキをしっかりと使い、切った後に花粉の少ない樹種や品種の苗木を植えることで成長が旺盛な若い林に置き換えていくことは林業振興の重要な取組であるとともに、花粉発生源対策やカーボンニュートラルにも貢献することから、本県では主伐再造林を推進している。
その実績としては、年によりばらつきはあるが、直近5年間の平均は年17.8ヘクタールである。
【委員】
17.8ヘクタールが多いか少ないかという議論はしないが、県の目標とする数値には届いていないと思う。なぜそれが進まないのか、これは山主の理解をもらわなければできないため、実際に主伐再造林を進めるに当たり、山主の同意をさらにもらうためにはどのようなことが課題なのか。
【理事者】
課題について、主伐再造林を推進するに当たっては、木材の生産体制の整備や収益性の確保など多岐にわたる課題がある。中でも森林所有者が様々な不安を抱え主伐再造林に踏み切れないことにより、同意が得られないことが最も大きな課題だと考える。
具体的に考えられる不安要素としては、切った木を販売して得られる収入に対し、伐採、搬出、運搬、植栽にかかる経費や、植えた後、木がある程度大きくなるまでの下草刈りにかかる経費など様々な経費がかかる中で、どの程度の収益が確保できるかが挙げられる。また、シカなどの獣害が原因で植えた木が大きく育たないのではないかということも不安要素の一つと考えられる。
【委員】
私の理解している範囲で具体的な数字を話すと、いろいろな制度があるが、切って植えることに対する補助金が、約6割出る。しかし、山主にとっては手元に残るお金が幾らかが一番ポイントだと思う。この点について、私の聞く範囲だと、例えば、50年生の木を1ヘクタール切った場合、切るためにかかる搬出、運搬、後の植栽、草刈り費用のトータルコストが約100万円と聞いている。そして、補助もそれに近いお金を出してもらっているため、山主の負担はないものの手元に残らないのが現状である。そのような課題解決に向けた考えを伺う。
【理事者】
伐採にかかる経費については、実際に作業を担っている森林組合などの林業経営体の生産性を高めて経費を抑制するために、林業経営体が高性能林業機械を導入する際に助成している。さらに昨年度、あいち森と緑づくり事業を見直し、拡充して、委員が話した主伐も助成対象に加えた。そのような事業の見直しもしている。
また、委員の言うとおり事業によって補助率は異なるが、再造林後の管理にかかる経費について、負担軽減のため植えた後、ある程度大きくなるまでの下草刈りなどの手入れについて支援を行うなど対策を講じている。
植栽した木の獣害については、獣害防護柵設置費用の支援を行っており、今年度からまた新たに獣害柵がしっかり機能しているかの見回りも支援に加えるなど獣害を防ぐ取組を行っている。
これらの支援策を活用することにより収益が確保できることをしっかりと伝えていくことで、森林所有者が抱える不安の解消に努めていく。各地域には林業普及指導員が配置されており、その普及指導員が中心となり地区懇談会などに出向き、主伐再造林に係るリーフレットで直接働きかけを行うことによって、森林所有者の方の主伐再造林の意欲が高まるよう取り組んでいく。
【委員】
主伐再造林の樹齢は、何年以上、何年以内など決めているのか。
【理事者】
基本的には、木材を使う時期として46年生以上のものを考えている。愛知県では46年生のスギ、ヒノキが人工林のうち86パーセントを占めており、主伐再造林の経験がない森林所有者がほとんどである。また、それぞれの山によって収益は異なる。生えている木や、道からの距離にもよる。そのため、1件ずつ丁寧に見積りを示して森林所有者の不安を解消することが大切であり、林業普及指導員がしっかりと取り組んでいく。
【委員】
46年生以上ということは、100年以上の高樹齢の木でもよいのか。46年生の木を切って建築材に使うのは、まだ木としては未熟であるため私は反対である。そのため、少なくとも80年以上たった木を皆伐し、そのような山からまず植え替えてもらうことで、切った木も生きてくると思うため、できるだけ若い木は切らないでほしい。
今の答弁から、まだ山主の同意をもらって多くの面積でこれができる状況にするには、まだハードルがあると思う。そのため、実際に、どうすれば進められるかという議論をし、大胆に踏み込んでもらう必要があると感じており、少なくとも年間50ヘクタールはできるよう議論してもらいたい。
【委員】
愛西市における農業集落排水施設の耐震整備について伺う。
令和6年1月の能登半島地震において、液状化により下水道のマンホールが浮上して道路が寸断されている報道を見た。私の地元愛西市は大半がゼロメートル地帯であり、南海トラフ地震の際には大規模な液状化現象が発生する懸念がある。マンホールの浮上が起これば下水道が使えず生活に支障となるばかりか、緊急輸送道路内で発生した場合は救助の停滞や支援物資が届かない深刻な事態となりかねない。
そこで、愛西市には農業集落排水施設が19か所、管路は約200キロメートル、マンホールは9,500か所あると聞いているが、耐震整備状況について伺う。
【理事者】
農業集落排水施設は汚水を処理する処理施設と各家庭から排出される汚水を処理施設まで送る管路施設に区分される。
まず処理施設については、愛西市にある19か所全てが建築基準法の改正された昭和56年以降に設計されており、現在の耐震基準を満たしている。
次に、管路施設については、愛西市にある管路及びマンホールは全て平成3年度から平成20年度までに建設されたもので、当時の国の基準では、農業集落排水施設の管路は一般的に口径が小さく地震による被災の影響が少なく、耐震設計を省略できるとされていたことから、耐震整備は行われていない。
なお、処理施設は全国的にも過去の大規模地震により処理機能に影響を与えるような大きな被害は受けていないが、管路施設は東日本大震災を契機として、国が過去10年間に発生した震度5以上の地震による影響を調べたところ、2割程度は地盤の液状化などにより被災したことが分かっている。
【委員】
耐震整備がされていない管路約200キロメートル全ての対策を行うことは費用面で現実でないため、優先順位を付けて、まずは緊急輸送道路にある約140か所のマンホールだけでも耐震整備を行うべきと思っている。マンホール上部に重しを設置する浮上防止が図られる。業者に費用を聞いたところ、直接工事費が約25万円で経費がその3倍かかり、合わせて1か所で約100万円かかるとのことである。
管理者である市からは、農業集落排水の維持管理や機器更新工事も行われなければならず、マンホールを耐震整備するためのさらなる負担は大変厳しいと聞いている。そこで、市町村が農業集落排水施設の耐震整備を行う場合、国や県の補助率はどうなっているのか。
【理事者】
東日本大震災を契機として、平成24年度に国が定めた現在の基準において、緊急輸送道路など被災による影響が大きい箇所に埋設されているマンホールなどの管路施設については、必要性を検討した上で耐震整備を実施することとなっている。市町村が農業集落排水施設の耐震整備を行う場合、通常の整備と同じく国の補助率は50パーセント、県の補助率は一般地域で14パーセント、過疎地域及び振興山村で21パーセントとなっている。
【委員】
国の補助率は農林水産省だけでなく、他省庁合意に基づいて決まっているため、難しい要望であることは承知している。
集落排水を行っているところは財政力が低い市町村が多く、愛知県でもたくさんの市町が集落排水を行っているが、市が36パーセントの費用を持つことはかなりの負担となる。能登半島地震を見ると、これから南海トラフ地震が20年、30年の間にかなりの確率で起こると思っている。それぞれ市町が事前防災を真剣に行わなければならないため、もう少し県の補助率を上げるよう要望する。
【委員】
私は愛西市に囲まれた津島市に住んでいるが、能登地方でタケノコのようにマンホールが1万か所あふれたように、愛西市でタケノコのようにマンホールがあふれたら、津島市民は一歩も外に出られない。特に排水は全部、道路の下や縁に配管がある。それが1万か所もあふれたらどうするのか。何が言いたいかいうと、アスベストの件にように、国主導で取り組んでいるものの、いざとなったら国が逃げてしまう。最後まで国が責任を負わなければならない。耐用年数が来るのは当たり前である。愛西市などの郡部の市町村はいち早く国主導の下、協力したところ、いざ更新するとなった際に国が逃げてしまう。よく愛知県から国に対し、国の補助率を上げるよう、しっかり要望してもらいたい。
( 委 員 会 )
日 時 令和6年6月24日(月) 午後0時58分~
会 場 第2委員会室
出 席 者
桜井秀樹、横田たかし 正副委員長
久保田浩文、横井五六、中野治美、峰野 修、新海正春、杉浦哲也、
鈴木 純、鈴木まさと、安井伸治、しまぶくろ朝太郎、末永けい 各委員
農業水産局長、同技監、農政部長、畜産振興監兼畜産課長、水産振興監、
農林基盤局長、同技監、農地部長、林務部長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
なし
○ 閉会中継続調査申出案件
1 農林水産業の振興について
2 農地関係の調整及び土地改良について
3 緑化の推進について
4 農業水産局、農林基盤局、海区漁業調整委員会及び内水面漁場管理委員会の行政運営について
<会議の概要>
1 開 会
2 一般質問
3 閉会中継続調査申出案件の決定
4 閉会中の委員会活動について
5 閉 会
(主な質疑)
《一般質問》
【委員】
有機農業の推進計画の進め方について伺う。
本県では有機農業を環境と安全に配慮した農業の特徴的な取組の一つに位置づけ、平成21年に愛知県有機農業推進計画を策定し、現在、この計画に基づき有機農業を推進している。
有機農業とは、有機農業の推進に関する法律第2条で、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない、遺伝子組換え技術を利用しない、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いると定義されている。
国が公表しているみどりの食料システム戦略では、2050年までに目指す姿として、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25パーセント、100万ヘクタールに拡大すると示されている。こうした中、本県での2022年度の有機農業の取組数は、全国1万2,000戸に対し団体も含め348戸、取組面積は全国2万6,600ヘクタールに対し369ヘクタールとなっており、有機農業が本県の耕地面積に占める割合は現在0.5パーセントとなっている。
一方、世界の状況に目を向けると、日本ではほかの先進国と比べ全体の耕地面積に占める有機農業の割合は低い状態であり、2020年の国際統計では日本の有機農業の面積割合は0.3パーセントとなっている。それに対しヨーロッパでは10パーセントを超える国も多くあり、気候が類似する近隣のアジア諸国の面積割合と比べても、韓国は2.3パーセントであり、日本と比較すると有機農業が比較的普及している状況である。
また世界の有機食品の売上げは年々増加し続けており、2020年では約1,290億ドル、日本円で約14.2兆円である。少しデータは古いが、2018年のデータでアメリカの売上げが5兆円超、ドイツ、フランス及び中国は1兆円超である。また、ドイツやフランスでは有機食品の売上げは一般の店舗が最大で、フランスでは有機専門店での売上げも上昇傾向であり、1人当たりの有機食品消費額の世界平均は1,638円となっており、スイスや北欧諸国で高い傾向となっている。
こうした世界の状況を鑑み、全国第8位の農業産出額を誇る農業県でもある愛知県の有機農業の推進をさらに加速させることが大変重要である。
そこで次の三点について伺う。
まず一点目、今後、愛知県有機農業推進計画をどのように進めていくのか。次に二点目、計画の推進に当たり、指導者が重要であると考える。一般的な栽培については普及指導員が農家を指導しているが、有機農業に関する指導はどのようにしていくのか、また、有機農業の指導力の向上を今後どのようにするのか。そして三点目、有機栽培の農産物の流通について、出口の部分をどのように考えるのか。
【理事者】
一点目の愛知県有機農業推進計画の進め方について、国は2021年に、みどりの食料システム戦略を発表し、2050年までに有機農業の面積を100万ヘクタールにする目標を設定した。これを受け本県でも2023年1月に、愛知県有機農業推進計画を改正し、2030年までに有機農業の面積を900ヘクタールとする目標を設定した。この計画を推進するため、今年2月、有識者、生産者、消費者、流通関係者、農業団体を構成員とした有機農業推進部会を立ち上げ、本県の有機農業の方向性を検討することとした。また、目標面積を達成するため向こう3年間に取り組む事項をロードマップとし、随時、進行管理することとしている。
今後は有機農業推進部会において、毎年、取組状況を検証し、PDCAサイクルを回しながら計画的に有機農業を推進していく。
次に、二点目の有機農業の指導と指導力の向上について、本県では、各農林水産事務所の農業改良普及課に有機農業の担当者を設置して指導を行っている。しかし、有機農業の栽培技術は多種多様であり、それぞれの農家の経験則による栽培方法も多様にわたっているため、有機農業の指導は大変難しい。そのため、県では普及指導員を対象に、有機農業を実践している団体に委託して有機農業指導員研修を実施し、指導力の向上を図っている。これまでにこの研修を31人が受講し、有機農業指導員として現場で指導している。今年度も12人が受講を予定しており、引き続き指導力向上に努める。
最後に、三点目の有機農業に取り組んで生産した農産物の流通について、有機農業に取り組み生産した農産物は生産量が少ないことや、規格外品である場合が多く、手間と経費がかかるものの、一般的な市場流通で差別化しての販売が難しいことが現状である。このため、その価値を認めてもらえる消費者や小売加工業者等の手元に届けることが重要である。現在、県内でも有機農業者が直接販売する朝市や名古屋市等で取り組んでいる有機農業の米作り、そしてその米を学校給食に利用するなどの例がある。
県として、このような取組をPRしていくとともに、有機農業者と消費者、小売加工業者等のマッチングに取り組んでいく。
【委員】
有機農業の必要性は世界のトレンドを見ると広がっている状況であり、答弁にもあったように、なかなか難しい点も多々あると思う。一方で、環境への配慮や安心かつ高品質な作物であること、また、環境負荷の低減の観点からも、今国内の市場規模も徐々に拡大していると聞く。最近では、オーガニック給食などの普及を目指している団体も多く活動しており、子供たちに無農薬の農産品を食べてもらいたい保護者の思いもある。
そのような点において、有機農業は今後必ず必要になってくると思う。そのため、普及をさらに広げるためには栽培の伝道師的な指導者を県独自でつくるべきだと思う。加えて、できた作物が金額も高く、流通に乗りにくいという点もあるが、今の日本人は健康志向が強く、有機野菜や有機米の需要は確実に高まっていると思うため、そのようなことも考えてしっかりと計画を推進してもらいたい。
【委員】
有機農法とは何か。
【理事者】
有機農業については、有機農業推進法の定義からは、化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできるだけ低減した農業生産の方法を用いて行われる農業とされている。
【委員】
それは知っている。どうやって作るのか。有機農法うんぬんというのは国がもう40年も前に行った。当時は団体の農業青年クラブ(4Hクラブ)と青年農業士、農業経営士会が先頭を切って取り組んだ。今は、40年たって一人も行っていない。
答弁にもあったように収量がもう半分、要は草を生やし、耕し、牛ふんから鶏ふん、人ぷんまで使って試験を行ったこともある。その結果、子供たちに学校給食で食べさせたら大腸菌が増え、止めになった。これと同じことをやっているのか。根本から変えなければ、有機農法など無理である。
先ほどの答弁にあった流通については、誰も買ってくれないため、海外などの特殊なルートからスタートすべきである。それを、ただ有機農法にすべき、無農薬にすべきと言ったところで、もうからないことを農家はやるのか。同じものを作っても有機農法にしたら収入が半額程度になってしまう。
確かに、有機農法を推進することは、アレルギーなどを持った子供たちも多いため、よいことだが、少し考え方を変えなければ、農家は行わない。年収が減ることを分かって行う人はいない。そのため、そのようなことをしっかりと精査して、今、委員が質問したように、きちんとした販売ルートをつくるべきである。
有機農法に加え無農薬となると、特に無農薬については、一地区全部その無農薬にしなければならない。田舎だと庭の草木にも消毒するが、隣の人の畑が農薬をまいたとき、それが一滴でも飛んだら、それはもう無農薬ではない。その地域全体が無農薬でなければならない。そのようなことも踏まえ、ここの地区を有機農法にする、無農薬にすることを県が主導しなければ、幾らノルマを達成したとしても継続して続ける人はいなくなる。
【理事者】
現在、県内で5か所、オーガニックビレッジ宣言として、有機農業産地づくり事業を進めている。この事業は、生産から消費、流通まで一貫して地域で有機農業を取り組むことを検討している。これについても県で支援しており、同時に検討している。このような先進事例を見ながら、委員の指摘も踏まえて進めていく。
【委員】
本県におけるSNS動画を活用した県産農林水産物のPRの取組について伺う。
愛知県では1998年から本県独自の地産地消の取組である、いいともあいち運動を展開し、2022年度からこれまでの取組に加え、SDGsや環境負荷低減に対する社会的関心の高まりを受け、地産地消がこれらの達成に貢献することを前面に押し出してPRする地産地消あいちSDGs推進キャンペーンを展開していると認識している。
また、今後見込まれる人口減少社会において、大消費地である名古屋市がある本県では、域内における生産、流通、消費を拡大させることで今後の社会構造の変化に柔軟に対応し得る環境を整えていくことにも寄与すると考える。
そこで、費用対効果が高いと認識されるSNS動画を活用した県産農林水産物のPR等について伺う。
昨年度、いいともあいち魅力向上推進事業において、SNS動画を活用した県産農林水産物のPR等を行っているが、その取組内容と成果について伺う。
【理事者】
取組内容と成果について、本県では、SDGsや環境負荷低減に対する社会的関心が高まる中、これらに貢献することができる地産地消の取組が、農林水産業の振興や農山漁村の活性化につながるとして、いいともあいち運動に取り組んでいる。
特に2022年度からはその取組を加速させるため、いいともあいち魅力向上推進事業として、県産農林水産物のPRに発信力のあるSNS動画の活用やデジタルスタンプラリーなどに取り組んできた。中でも、SNS動画による情報発信は、県民に直接情報を分かりやすく届けられ、効果的なものとして認識していることから、昨年度は、いいともあいち運動や本県のブランド和牛である、みかわ牛、本県農業総合試験場が育成したかんきつである夕焼け姫のPR動画3種類を作成し、ユーチューブで配信した。
さらに視聴回数の増加を目指し、これらの動画を県内の20代から40代の女性で、食べ物、料理などに関心がある人をメインのターゲットとし、広告として配信される工夫も行った。
視聴結果は、3種類合計で総再生回数が60万回を超え、また動画を最後まで見た人の割合は60パーセント程度となった。この結果から高い周知効果があったと考えている。
【委員】
ユーチューブを中心にとのことだが、先ほど確認したところチャンネル登録者数は22人だった。また、総視聴回数は60万回を超えているかもしれないが、キャベツに至っては総視聴回数18回である。その点も踏まえて、本年度はどのように取り組んでいくのか伺う。
【理事者】
引き続き、県産農林水産物のPRのため、本県としてブランドを強化する品目を追加し、その特徴や魅力を伝える動画を作成してSNSでの配信を計画している。
特に本年度は、新たな取組として、SNSに加えてSNSを視聴しない人にも情報を伝達するため、量販店の売場に設置している液晶のモニターであるデジタルサイネージを活用し、県産農林水産物を使ったメニューのレシピ動画の配信を行うとともに、売場全体で購入意欲が高まるような仕掛けを用意する予定である。
加えて、小学生を対象として、親子で楽しく学べるような県産農林水産物の記事を作成し、紙媒体、新聞による配布も行いたい。
今年度は、これらの取組により、さらなるPRに取り組んでいく。
【委員】
ユーチューブに関してはその取組としてターゲットも絞り、予算額は、昨年度は2,000万円弱、今年度は2,000万円強という費用対効果に見合った形になっていると思う。しかし、そのほかの紙媒体を使うことや、イベントも大切である。全て取り組んだほうがよいと思うが、今回はICT機器を利用して消費を促すSNS動画の活用に特化して質問している。そこで、ネット通販に直接結びつくような取組が何かないかと思い、探してみたところ、株式会社オリエンタルのホームページで新しい商品を買うことにたどり着いた。
第一段階として、視聴者を増やして認知度を上げることは費用対効果を高めることに寄与していると思う。ただし、最終的に消費に結びつけていくためにSNS動画をどのように活用していくのか考えたときに、ネット通販に結びつく仕組みづくりが少ないと感じた。
それについては、プラットフォームを立ち上げると費用がさらに高くなってしまうため、民間業者に行ってもらえるような取組、仕組みづくりをこれからしてもらいたい。
もう一点、紙媒体を使って配布していると思うが、ユーチューブのチャンネル登録者数は広告費用をかけているため、それでよいと思うが、ほかのSNSのフォロワー数は、インスタグラム270人、X(旧ツイッター)4,062人である。この人数は、あまりにもかけた費用に対して効果が薄いと思われるため、もう少し費用をかけずにフォロワーを増やしていく方法はあると思う。イベントなどで広告を出すだけでなく、フォロワーを増やす仕組みづくりも考えてもらいたい。
【委員】
市街化区域内の生産緑地を地主から頼まれて耕作している農地オペレーターの声だが、市街化区域内の生産緑地は面積がそこまで大きくないことがほとんどであるため、例えば、地主からそこで稲作をやってほしいとお願いされても、面積が小さいため非常にやりにくい。近隣にも住宅があり、騒音や悪臭、泥が跳ねるといったクレームがたくさんあるため、オペレーターもそこでは受けたくないというのが本音だと思う。そのような状況で、地主は税金の関係でその場所を農地として維持したいなどと考えたときに、生産のための農地ではなく健康のための家庭菜園や市民農園として生産緑地を利用できないのか。
【理事者】
市街化区域内の農地は、本来、宅地並みの固定資産税が課せられる。しかし、生産緑地については、営農を継続することにより農地課税が適用される。また、生産緑地において相続が発生した場合は、相続人は営農継続を条件に相続税の納税猶予を受けることができる。
これらの税制上の優遇措置を維持したまま、生産緑地を市民農園等として活用する手法としては、生産緑地の所有者自らが特定農地貸付法により市町村の農業委員会に申請して開設する方法、もしくは生産緑地の所有者以外の人が都市農地貸借法により市町村に申請して生産緑地を借り受けて開設する方法がある。
生産緑地の所有者以外が市民農園を開設する場合、特定農地貸付法では市町村等を介して所有者から借りるという手間が一つ増えるが、平成30年に施行された都市農地貸借法では、所有者から市民農園の開設者が直接借入れて市民農園として開設することが可能となった。
生産緑地の所有者が自ら開設する場合と同等の手続で市民農園が開設できる都市農地貸借法は利便性が高い制度であり、今後、緑地の保全と活用に有意義な制度であるため、市町村に対しても周知していく。
【委員】
ぜひそのような制度があると広くアピールして進めてほしい。
次に、いろいろな農産物の産地化を目指すためにどのようなことが必要か伺う。
例えば岡崎市だとイチゴやナスを産地化したいと、農業協同組合や岡崎市も推奨しているが、これからナスやイチゴなどの農業を始めたいと思っている人が、現在の職場を辞めた後にしか農業塾などに通えないのであれば、非常に大きい問題である。今の職場に勤めながら、農業を体験できる場があると窓口が広がってよいと思うが、そのような場はあるのか。
【理事者】
農業の新規参入希望者が仕事を続けながら農業を学ぶには、委員が示したとおり、農業塾がある。農業塾は、週末や休日に市町村や農業協同組合等が運営しており、週末限定で参加することもできる。農業塾は、産地の担い手を目指す人や、副業として直売所等への出荷を目指す人などそれぞれのレベルに合わせた技術習得が可能であり、特に都市近郊の農業塾などでは週末のみの参加で農業を実践的に学ぶことができるところもある。
また、短期の農業バイトもあり、空き時間を活用して農業を体験するという方法もある。農業バイトは多くの労働力が必要となる繁忙期に、1日単位の短期間の雇用契約に基づいて働き手を確保する取組であり、担い手の高齢化や減少が進む農業分野における新しい働き手として期待されている。県としても農業者と働き手のマッチングサービスをホームページで紹介するなど取組を推進しており、農業バイトを通じて農業を学び、その後本格的に農業を始めたいと考える人には、岡崎市の農業大学校に設置している農起業支援ステーションなどで就農相談に対応している。
【委員】
本格的に農業を始めたい人向けの支援だけでなく、いろいろな人が農業を始める間口を広げてもらえることは非常にうれしい。
次に、実際に農業塾等で農業を学んだ後、仮にそのうちの9割が農業を諦めるという結果になったとしても、残り1割が確実に就農できるよう支援し、地域の基幹的な担い手として育成していくことが必要だと思うが、就農希望者や就農直後の農業者がすぐに直面するのがお金の問題である。農業機器やハウスなどの施設を導入する初期投資にかかる費用が捻出できずに就農を諦めたりするケースもあると聞く。
そこで、新規就農者が農業機械や施設等を導入する際にどのような支援があるのか伺う。
【理事者】
就農直後の施設整備や農業機械の導入を支援する制度は、事業費1,000万円を上限として、国が2分の1、県が4分の1を補助する経営発展支援事業や、県が事業費の3分の1を支援する県独自の補助事業である、あいち型産地パワーアップ事業などがある。
【委員】
新規就農者のための支援制度や融資制度についてはいろいろ調べたが、本県の農業の維持発展に向けて、有望な新規就農者を地域の基幹的な担い手として育成していくことが非常に重要だと思う。そのため、ある程度経験を積んだ農業者がさらなる経営発展を図る際の支援が必要だと思う。地域農業の担い手として定着しつつある農業者が融資を受ける際に、何らかのメリットはあるのか。
【理事者】
融資制度のメリットは、当初、新規就農者はまず認定新規就農者となり、そこで融資を受けることができる。認定新規就農者の認定期間は5年間であり、その後さらに5年間の経営改善を進めようとする目標や取組内容を記載した農業経営改善計画を作成し、市町村長から認定されると、地域農業の担い手として認定農業者となる。認定農業者になると、株式会社日本政策金融公庫から農業経営基盤強化資金、いわゆるスーパーL資金の融資を受けることができる。スーパーL資金とは、認定農業者が農業経営改善計画を達成するために施設整備や農業機械の導入、農地の取得などに必要な融資を受けることができる償還期限25年以内の長期資金である。貸付限度額は個人3億円、法人10億円となっている。
さらに市町村が作成する目標地図に位置づけられると、国から貸付け当初5年間の利子補給を受けることができるため、実質無利子となるメリットもある。
県としては、借入時の相談対応や書類作成支援等を行っており、引き続き関係機関と連携して新たな地域農業の担い手の育成に取り組んでいく。
【委員】
この質問の趣旨は産地化を目指すためにはどのようなことが必要かということであるが、最初は作物栽培をやってみたい人を、間口を広げて募集することが大切である。実際にやってみると思ったものではなかったなど、ふるいにかけられると思うが、その中でも本当に残って続けたいという人は、認定農業者としていろいろなメリットを受けられるようになるとのことで、そのような人を一生懸命増やしてもらいたい。
また、基幹的な農業者ができたとしても、販路をつくらなければお金にならない。新規就農者が地域農業の担い手として経営安定を図るためには融資制度や補助事業ももちろん必要であるが、販路の拡大として道の駅や直売所のような売場を確保することも必要だと思う。そのような販路の拡充、拡大にも引き続き取り組んでもらいたい。
最後に一点、私は田舎に住んでいるが、イノシシの被害は最近減っている。しかし、サギとシカの被害が結構増えていると聞いている。アユなどを養殖している人たちからサギに食べられてしまうとの声がある。また、最近ではシカの捕獲量が増えていると思う。そこで、これらの駆除対策について伺う。
【理事者】
県は鳥獣被害防止対策として、各市町村からの要望に基づき、国の鳥獣被害防止総合対策事業を活用し、地域ぐるみでの被害防止活動、侵入防止柵や捕獲穴等の導入支援、捕獲活動経費の補助を行っている。
委員指摘の捕獲活動経費補助については、鳥獣被害防止総合対策事業のうち捕獲事業というメニューの支援になるが、その補助額は、サギを含む鳥類では1羽当たり200円、シカの成獣1頭当たりの補助は、食肉処理施設に搬入するものは1頭当たり9,000円、焼却処理施設等に搬入するものは1頭当たり8,000円、それ以外は7,000円、シカの幼獣は、1頭当たり1,000円を補助している。ただし、イノシシについては、国の補助はシカと同額だが、現在も断続的に豚熱が発生しているため、豚熱対策として成獣1頭当たり1万3,000円、幼獣は6,000円を県費による上乗せ補助を行っている。
鳥獣の捕獲活動経費は、燃料代や餌などの価格高騰により捕獲従事者の負担増となっているため、捕獲活動経費に対する支援の拡充を、昨年、国に要望しており、今年度も引き続き要望していく。
なお、サギ類やシカについては、現行の鳥獣被害防止総合対策事業に、地域が一体となった被害防止対策の構築や生育状況調査の実施、捕獲のためのわななどの機材費や燃料代などをまとめて支援できるメニューがある。具体的にはこれらのメニューを活用することでサギ類など鳥類は、1市町当たり100万円以内、シカは1協議内または1市町村当たり300万円以内、特にシカについては300万円の範囲だが、成獣1頭当たり1万8,000円、幼獣1頭当たり2,000円の補助が受けられる。こうしたメニューは捕獲事業に比べて実質的には捕獲活動経費補助の増額につながることになるため、これらのメニューを市町村に再度周知し活用を促していく。
【委員】
私が食に関して関心を持ったのは、ここ3年から4年の間である。
感染研究所などのデータによると、コロナワクチンによる超過死亡者数は、45万人である。日本人だけワクチンを7回接種し、また秋口から8回目のワクチン接種もいわれている中、感染が止まらない。これについては、ずっと反対の声を挙げているものの、案の定な結果になっている。これは、グローバル経済がこのようにさせていると思う。特に日本の場合は、鳩山由紀夫元総理も証言しているが、総理であったとしても日米合同委員会で決まったことの報告がないとのことで、国家の3要素である領土、国民、主権、この主権の部分が日本は非常に疑義が出ている状態が如実に表れていると思う。
ワクチンについていろいろ調べていくと、農薬や添加物なども同じようにグローバル企業によって日本に持ち込まれている。例えば、アメリカでは約数百億円の訴訟になっているラウンドアップという除草剤が平気で農業協同組合のファーマーマーケットで売られ、各家庭でまかれている。このラウンドアップに使われているグリホサートやネオニコチノイドなどは、ベトナム戦争時の枯葉剤に使われていたもので、それも同じくグローバル企業が進めている。
今回のコロナワクチンに関しても人口削減論者のビル・ゲイツが日本にも来るなど、そのような政策を進めている。グローバリストと呼ばれる人が今、世界で次の仕掛けをしているのは、食料分野である。スヴァールバル世界種子貯蔵庫というものがノルウェーのスピッツベルゲン島にあるが、これはベント・スコウマンという人がビル・ゲイツ主導の下、世界中の種子を冷凍保存する施設を造るなど、まさに現代のノアの箱舟ともいわれているため、ぜひ調べてほしい。
そのため、現在、食の安全が非常に脅かされようとしている。コロナ騒動に関してもパンデミックではなく計画されたプランデミックであり、ウイルス自体が全く分離、同定もされてないものに対して騒いでいる。
先日、食料供給困難事態対策法が国内で成立した。これは、例えば花畑を造っている農家に、もし食料困難事態になった場合、強制的にイモなどを作付けさせるようなものであり、罰則規定も設けられたが、今まで減反政策などが実施され、農家が支援されていない状態で、このような農家に対して、上から目線でこのようなことを行う法律が平気で通ってしまい、非常にきな臭い動きだと感じている。
農林水産省が出している、知ってる?日本の食料事情2022という冊子の中で、食料自給を国内で行った場合、生産能力を最大限にした場合どうなるのかについて、牛乳だと4日に1杯、卵だと14日に1個、焼肉だと14日に1皿しか食べられない状態が今の日本の食料事情とのことである。
なぜここまで日本の畜産業や農業、漁業が先細っているのか、生産農家も減っているのかというと、これは先ほど言ったようなグローバル経済、資本主義がそのようにしている。1996年にイギリスの経済学者のスーザン・ストレンジが、国家の退場という本を書いている。国をしのぐようなグローバル資本が世界を席巻するとのことで、まさに今そのような状態になっており、今、日本の政府もそのようなグローバリストのほうに都合のよい政策ばかりであり、農村や漁村についての法律の改正を見ると、海外のグローバル企業に都合のよい法律に変えられている。恐らく、現場の職員であればそのことはすごく感じていると思う。
そこで、国がおかしいため、愛知県がこの国を立て直すしかない。国の政策に安易に乗ることは、全国有数の愛知県の農業、産業まで疲弊してしまう。特に、跡継ぎ問題で高齢化の問題が指摘されている。これは各分野でいわれることだが、団塊の世代の人々が廃業を迎えるとのことで、地元の農政課の職員や自治体の職員の話を聞いても、ほとんどの確率で壊滅的な状態になるだろうという危機感は自治体の職員も持っている。そのため、誰かに任せたらやってくれるなどという状態ではなく、個人、自治体、民間企業でも、気づいた人から動かなければならない。衣食住については根幹の部分であるため、カーボンニュートラルやSDGsなど、そのようなことを言っている場合ではなく、それについても全部グローバリストが仕掛けているものであり、日本だけがそれを進め、本質的な命に直結的なところを政策的に全然できていない。優秀な県の職員であるため、しっかりと現場のやる気のある人々と生産者と一緒になって進めてもらいたい。
もう一つは、個人主義になったことで、家族が疲弊していることである。跡継ぎ問題も共同体であった大家族が核家族となり、シングルの家庭も増えている状態で、農村、漁村が小さくなっている。そのような農業経営体が小さくなっていることと相互に連関して進んでいると考える。
そこで、農家の後継ぎ問題で、農村、漁村をどのように活性化していくのか伺う。今、しばしば婚活が行われているが、トレンディドラマを見てワイングラスを傾けるドラマのような婚活、例えば学歴と年収などで相手を見つけるマッチングが行われている。そうではなく、最近、岐阜県の山村で、三世代で先祖代々の土地で兼業農家を営む家庭を見てきたが、助け合いながら生活し、ものの考え方もしっかりしており、農地だけでなく家庭の中もすばらしいと感じた。愛知県も人口減少対策で、ジブリパークで婚活事業を進めているが、農村、漁村も活用して婚活事業を行うことにより、実際に営農者や漁村の家族の在り方にしっかりと都市部の若者たちが触れることにより、今後結婚した後にどのように家族を営んでいくのか、そのようなライフスタイルに共感した人をつくっていくことが、広い意味で農村、漁村の後継ぎ継承問題の解決につながると思う。その辺りの取組に関して考えを伺う。
【理事者】
都市部の若者と農村部の人たちとの交流は、県としてもグリーン・ツーリズムの一環として重要だと考えている。特に都市と農山漁村の交流について、都市の人は農村部の自然との触れ合いが日頃あまりないため、そのような触れ合いを通じて、ゆとりや安らぎを得られることが魅力であると感じている。
また、農山漁村についても都市部の人々が実際に来て農林水産物の販路を拡大することや、将来的に農村部で担い手になってもらうことが、地域の活性化につながる重要な取組である。
今、委員が事例として挙げた婚活イベントについては、県内各地に4Hクラブという農業青年の集団組織があり、そのクラブが自主的な取組として、現在、豊橋市や田原市の農村部で男女交流会を実施している。ただし、最近ではこのようなイベントの参加を呼びかけてもなかなか人が集まらないと聞いている。県としてそのような農村部の実態をしっかりと都市部の若者に見てもらうため、県ウェブページのイベント情報など、いろいろな媒体を通じて今後も募集を支援していく。
【委員】
農村漁村のライフスタイルを実際に見てもらう、知ってもらう、体験してもらうことはすごく大事だと思っており、これは婚活の人たちに限らず、家族でも旅行などで行けるようにしてもらいたい。京都府の事例を見ると、農村漁村の体験民宿があり、民宿と連携して、農村漁村に1泊2日で田植をし、その地域のものを食べるなど、地域ごとにホームページなどで紹介し、活動している。非常に分かりやすくイメージも湧くものであるため、愛知県も似たような取組を行い、ホームページなどで分かりやすくしてもらいたい。
1回の旅行で100万円以上消費するインバウンドの海外の富裕層を対象にしていくと大村秀章知事も答弁していたが、今、日本に来ている外国人は、このようなアッパー層であり、非常に品のある層に変わってきたと思う。そこで、どのような部分で付加価値を出していくのかについて、日本の伝統産業や伝統食がある農村、漁村は一つのコンテンツになり、観光の面からも地域活性化につながるに思う。その点について考えを伺う。
【理事者】
愛知県では都市と農山漁村との交流を進めるための独自の取組として、県のホームページ、あいちの都市・農村交流ガイドにより、愛知県内の風景や自然、農林水産物、食べ物、伝統文化を地域資源とし、それらを巡るルートを紹介するとともに、県内各地の農山漁村で行われている農作業体験や交流会などのイベント情報も定期的にホームページで情報発信している。
また、農家民宿での農作業の体験、いわゆる農泊については、県内8地域において国の農山漁村振興交付金を活用し、農泊ツアーや古民家を活用した滞在施設の整備等を実施しており、今後も国の補助施策の情報提供等により農泊の支援を行っていく。
【委員】
コロナ禍で宿泊業もかなりの打撃を受けている。先日も三河の漁港近くの宿泊施設を見たが、いろいろな民宿もたくさんあるため、元気になってもらうという意味でも、行政からうまくマッチングして、愛知県の農業、畜産、漁業を見てもらい、体験してもらい、また、自分で見たもの、釣ったものをそこで食べることなどが付加価値を生む、三方良しの政策になると思うため、ぜひ進めてもらいたい。
また、自分自身だけでなく、私の周りにも新しく食の安全について、コロナワクチン事件をきっかけに気づいた人がすごく増えている。そのため、これからそのような人々が農業などの担い手になっていく。当然、食の安全という観点から入っているため、先ほど議論があった有機農業や自然農法などに対して関心もあり、消費者としてもそのようなものを選ぶ人々が、特に若い人々の中で増えている。30代から40代の子育て中の母親たちが熱心に活動を開始している。どうしても借りた農地で活動するしかない。もともと営農者ではなかった人たちであるため、そのような人々が最終的に正式に農地を借り、農地を取得できるレベルまで、県が誘導することが、次の時代の農業を担う人たちになっていくと思う。ピンチをチャンスに変える視点で、可能性を感じている。
そこで、どこかによい土地はないのかという質問をよく受けるが、空き農地に対する情報の利活用について県の取組内容を伺う。
【理事者】
令和5年4月1日から、改正農業経営基盤強化促進法が施行され、市町村において今年度中に地域計画を策定することが法定化されている。この地域計画の中では、集落の代表者や農地の受け手である担い手の人々など幅広い関係者による話合いを通じ、農地一筆ごとに今後10年後、誰が耕作していくのかを決めていくことになる。基本的には担い手に対し、農地の集積、集約化を進めていくことになるが、耕作者が見つからない農地、いわゆる空き農地については、例えば中小経営者、家族的経営者、あるいは兼業農家など多様な経営体に対して活用してもらうことも視野に入れながら、市町村に働きかけていきたい。
市町村が策定する地域計画には、空き農地の情報も含む目標地図が含まれている。この情報は本県や、農地中間管理事業の推進に関する法律に基づき都道府県に一つ設置されている農地中間管理機構等で共有することになっているため、その情報提供がいかに効率よくできるのかを関係機関も含めて検討していく。
【委員】
県で策定した有機農業推進計画の目標面積900ヘクタールについて、これを達成するための耕作放棄地の活用について具体的に伺う。
【理事者】
有機農業の拡大のための耕作放棄地の活用について、国の有機農業の推進に関する基本的な方針では、耕作放棄地等をまとめて有機JAS圃場に転換する試行的取組等を通じ、有機農業に適した農地の確保、団地化を推進するよう努めると示されている。県としても有効な手段の一つになり得ると認識している。
一方で、耕作放棄地を活用するには、草刈りや木の伐採、根を掘り起こす伐根、地力回復のための堆肥の投入など労力や肥料がかかるという課題がある。こうした中、本県では、東郷町を始め5地域で国の、有機農業産地づくり推進事業を活用し、地域における有機農業エリアの設定や有機農業者の育成など地域ぐるみで有機農業の産地づくりに取り組んでいる。このようなエリアに耕作放棄地があれば、その活用も含めて検討している。
この取組に対しては県も各農林水産事務所の農業改良普及課が検討メンバーとして参画している。県として地域の関係者と一緒になり、耕作放棄地を含めた農地の有機農業への活用について検討していく。
【委員】
国の政策と相入れないわけではないが、農地中間管理機構の農地の集約を進めてその農地を貸すことに関しては、日本の伝統的な農村の考え方からすると少し違うと思う。小さい農家が日本の農業の農本主義ともいわれる。そのため、結果的に大きい農地になることはよいと思うが、企業が農地をやることに関しても後から出てきた話であり、先ほど述べたような家族経営、共同体経営が基本にあったと思うため、小さい農業を応援することは非常に大事なことだと思う。特に、有機農業、有機農法に気づいた人々、まだ営農資格はないが実際にヤミ小作としてやっている人々は、小さい単位から始めるため、そのような人々には、これからの可能性として支援してもらいたい。
具体的な声として、非常にテクニカルで難しい農業であるとの話もあったが、農機具を購入する、レンタルするような支援制度はないのか、また、新しく農業を始めたい若者への援助金はないのかなども尋ねられる。そのような支援体制はどのようになっているのか。
【理事者】
本県では新たに農業を始める人への支援体制として、農業大学校にある農起業支援ステーションや県内8か所の農起業支援センターで農地や資金の確保、営農技術の習得といった就農希望者からの相談に対応している。相談者の中で有機農業を新たに行おうとする就農希望者も一部いるため、そのような人に対して、専門的見地から指導を行うことができる有識者に依頼し、有機農業の先輩農家など研修先の紹介や、栽培品目、就農場所等に係る就農相談を行っている。
次に、農業を始めたい人への支援金としては、就農前の研修期間中の生活安定のため、最長2年間交付される就農準備資金と就農直後の経営確立のため最長3年間交付される経営開始資金がある。どちらも就農時49歳以下の人に対して1人当たり年間最大150万円が交付される資金となっている。
また、就農時における農機具や施設等の導入への支援としては、事業費1,000万円を上限とし、国が2分の1、県が4分の1を補助する経営発展支援事業などがある。
加えて、各地域では農業者同士が農機具を貸し借りする、農業協同組合などが農業機械のレンタルやハウスのリースを行うなどの支援が行われている事例もある。
【委員】
次に、外国人の受入れについて伺う。
ものづくり産業や介護の分野、あるいはIT分野についての外国人の受入れについては本会議等で話題になっている。そこで、農業分野については本県の外国人の受入れ実績はどのようになっているのか伺う。
【理事者】
本県の農業分野における外国人労働者数は、愛知労働局の公表資料によると、2023年10月時点で3,049人となっている。国籍別では、中国890人、ベトナム807人、インドネシア307人の順で受入れが多くなっている。
また2019年4月から制度が始まった就労を目的とした特定技能在留外国人については、本県における農業分野の受入れ人数は、出入国在留管理庁の公表資料によると、2023年12月時点で1,023人となっている。国籍別ではベトナム507人、カンボジア136人、中国118人、インドネシア110人の順で受入れが多くなっている。
【委員】
外国人就労労働政策に関しては難しいことだと思う。一次産業の衣食住に関わる分野に関しては、なるべく国内の日本人が担っていくほうがよく、自分の国の田畑すらも耕せない状態は、国家の存亡に関わると思う。過去を見ると、日本が東南アジアなどに稲作を教えてきた歴史もあり、そのような根幹はしっかりと日本人自身が行う気概を見せなければならない。外国人に実習生として学びに来てもらうことはよいが、担い手を外国人に頼る状況まではなるべくいかないようにしてもらいたい。
続いて、愛知県の伝統野菜について伺う。
愛知県の伝統野菜について、平成18年頃に一度まとめてから、いろいろなところから、こちらにもこんな品種があるとの話が県庁に入ってくるため、改めてこの1年から2年でさらにブラッシュアップするため取組を進めているとのことであるである。それについて、京都府の京野菜が有名であり、付加価値も結構高いと思うが、愛知県の伝統野菜も非常にユニークな食材がたくさんあるため、これを京都の京野菜のようにブランド化すれば、観光業のコンテンツとしても使えると思うため、ぜひ盛り上げてもらいたい。
このような愛知県の伝統野菜の固定種、在来種の種をどのように保存、普及していくのか。種の交換会や育てることはなかなか難しいと思うため、大規模な農家よりも関心のある個人農家が育てる草の根運動を進めるほうが、イメージが湧くと思う。いずれにしても種の保存、普及をどのように進めるのか、それをどのように観光の分野と食の分野などのほかの分野まで活用していくのか伺う。
【理事者】
愛知県の伝統野菜について、県では古くから栽培されてきた個性豊かな野菜を再び身近な野菜として利用してもらおうと、50年前に栽培されていたもの、地名、人名など愛知県に由来しているものなどの要件を満たす品目について、2002年から、あいちの伝統野菜として選定を開始し、現在までに37品目を選定している。
県ではこれまで生産状況調査の実施、シンボルマークやパンフレットの作成などの取組を行ってきたが、担い手や作付面積の減少が続いた。そのため、2023年度から、生産の拡大や消費者における認知度向上を目的に、あいちの伝統野菜振興事業を実施している。本事業では生産の拡大を図るための取組として、新規栽培者等に対する栽培講習会の開催、利用の拡大を図るための取組として、伝統野菜を用いた新たなレシピの作成に取り組んでいる。加えて、伝統野菜のイメージアップに向けてウェブページのリニューアル、品目ごとの特性や料理法を紹介するPR動画の作成などに取り組んでいる。
種子の維持、継承のための取組については、県としても、伝統野菜は歴史的、文化的な側面からも貴重な資源であると認識しており、民間団体と連携し昨年度から愛知県の伝統野菜の種子保管に取り組んでいる。具体的には在来種の保存と普及を目指して活動する民間団体である、あいち在来種保存会が保管している伝統野菜の種子の一部をバックアップとして愛知県農業総合試験場で保管している。
本年1月に第1回の保管品目として24の種子の保存を開始しており、今後順次品目を追加していく予定である。
【委員】
次に、種子全般に関して、食料安全保障の観点から伺う。
冒頭で話したように、グローバル企業やグローバリストが海外で種を保存する、作る、農地を買いあさることなどをしているが、日本国内ではそのような危機感はない。しかし、海外から輸入が止まることなどがあると、実際に防災と同じような観点が必要だと思っている。防災の分野でいうと、3日間は水と食料を保存するよう自助、公助、共助の呼びかけを自治体がするが、食の分野に関しては、備蓄する、種を保存することなど、いざというときのためにという話はない。しかし、実際マンションでもプランター農園などで少しでも自分の食べるものを育てることは可能である。農業総合試験所で種を保存することは、あくまでも研究開発分野の話であるため、実際の食べていくための種の保存は各家庭や自治体、企業レベルで取り組まなければならないと考えているが、県としてしっかりと呼びかけるなどの取組はできないのか。
【理事者】
種子の保存について、食料供給困難事態対策法が6月14日に成立し、米穀や小麦、大豆、その他の農林水産物で国民の食生活上重要なものを特定食料として、また、種子や種苗、肥料、農薬などは特定食料の生産に必要不可欠な特定資材として規定している。今後、国はこの対策法に基づき、食料供給困難事態対策の実施に関する基本的な方針を定めることとしており、この基本方針の中で、平時においても実施する総合的な備蓄についても定める。県としては、今後出てくる基本方針を踏まえ、県の役割を検討していく。
【委員】
愛知県の伝統野菜も含めた関連の話で、食文化の継承について伺う。
日本の食料自給率について議論する際、カロリーベースの食卓のようで、学校給食や各家庭の親たちもプレッシャーを感じている部分がある。例えば1日30品目を取らなければならないことなど、洗脳のようにも感じている。昔の日本の食卓を見ると、一汁一菜などの質素な食卓だったにもかかわらず、当時の日本人は、体は小さいかもしれないが非常に馬力があった。現在は、学校教育の50メートル走のような、走ってタイムを競うための体づくりはしているかもしれないが、身軽であることや、農作業がしっかりできること、山に登れることなど、そのような体力が落ちてしまったら本末転倒である。メンタル面や体力面で不健康な子供もいるため、食の見直しは非常に大切だと思っている。しかし、カロリーベースで考えていたら改善できない。その活路として、愛知県の伝統食があると思っており、先ほどの京野菜ではないが、愛知県の伝統的な食卓を、愛知県の伝統野菜や発酵食を使って継承することが大切である。ウナギや味噌カツは知られているが、同じ愛知県内に住んでいても情報を得ることがなかなかない郷土料理的なものが実はたくさんあることも最近関心を持って見ているが、そのような普及、継承について伺う。
【理事者】
2025年度を目標とする国の第4次食育推進基本計画において、食文化の継承に向けた食育の推進が重点課題の一つとして挙げられており、本県でも、あいち食育いきいきプラン2025に基づき、日本の食文化や郷土料理等の理解と継承を推進することとしている。県では2016年度に、愛知県に伝わる郷土料理のうち地域で脈々と受け継がれている料理を選定し、それにまつわる歴史、いわれ、文化、レシピ伝承活動等について取りまとめたレシピ集、あいちの郷土料理レシピ50選を作成したところであり、例えば愛知県の伝統野菜であるかりもりを漬物にしたかりもりの粕漬けなども掲載し、食文化の継承を図っている。
また、このレシピ集は、県に登録されている栄養士や調理師など食育に関する豊富な経験を持つ食育推進ボランティア約1,000人に配布し、地域での料理教室等の食育活動に生かしてもらうとともに、ウェブページの食育ネットあいちで公表し、一般の人も活用できるようにしている。特に昨年度は、次世代へつなげる愛知の伝統野菜と食文化をテーマにしたシンポジウムを開催し、食育推進ボランティアの人々に食文化に対する思いなどを語ってもらった。参加者からは、食文化は大切に守り伝えていかなければならないと思ったと感想をもらうなど、食文化の普及につながる取組を進めている。
【委員】
続いて、愛知の発酵食で、漬物に関して伺う。
6月1日からのHACCP(ハサップ)の食品衛生法に関して、個人農家が出している漬物が店に出せなくなった問題で、県内の道の駅などに話を聞いたが、半分弱の品が出せなくなったという影響が出たとのことである。これは、何万件、何億件に1件程度しか起きないようなO157の問題に関して、数年前に食品衛生法が改正され、経過期間を経て今回そのようなことになったが、実際100万円や200万円の設備投資がないと食品衛生基準を満たせないとのことである。高齢化が進む中、道の駅などに出店していた個人農家は大体70代が中心であり、100万円や200万円を投資したところで、後継ぎがいないため結局廃業したことが実際に起きている。消費者からしても、手作りの母の味を楽しみにしていたが食べられなくなった。私も漬物が大好きであるため、手作りのものが食べられなくなることは、食文化の破壊である。このようなものも、恐らくグローバリストたちが日米合同委員会を通して、日本の発酵食を潰しにきていると感じる。大きな設備投資ができる経営体でない限り参入できなくなる。本来、漬物は発酵していなければならないが、スーパーで、発酵してないものがキムチのように売られていることがある。
これは、私も昨年の知事選挙で公約の一つにしており、実現してよかったと思うが、愛知県としては、発酵食文化を海外に通じるコンテンツとして進めていく方針を出している。
ところが、足元の各家庭から芽生えた発酵食文化が縮小する方向で法律が変わっていることから、食文化は企業がつくるのではなく、各家庭、各地域から生じるものだと思う。そのようなことを発酵県である愛知県が保護、育成しなければならない。先ほど言ったように、国がおかしいため、愛知県が日本の食文化を取り戻す勢いで、進めてもらいたい。
全国には、今回の経過期間終了に合わせて農家への補助金を設けている自治体もある。そこで、愛知県としても農家が廃業しないよう、設備投資の補助を出すことなど、自治体への支援策を取れないのか、考えを伺う。
【理事者】
漬物は、農業者が生産した農産物を加工し、付加価値を高めて販売する6次産業化の代表的な取組商品の一つと考えている。農林漁業者等が取り組む6次産業化の支援は、本県は国の農山漁村振興交付金を活用し、愛知県6次産業化サポートセンターで事業計画への助言等を行うとともに、新商品の開発、農産物加工販売施設などの整備に要する経費に対して補助を行っており、漬物製造もその対象になり得る。
なお、県内8か所にある農林水産事務所の農業改良普及課(農業普及指導センター)において、漬物を直売所などで販売している農業者に対して、先ほど話があった法改正に関する情報の提供や相談に対応している。対応した農業者の中には猶予期間中に、各自の経営判断により自己資金で新たに施設整備を行った者もいるが、補助事業による支援を求める動きはなかった。今後も引き続き、施設整備に対する要望があれば相談を受け、必要な支援を行っていく。
【委員】
最後に、漁業の分野について二点伺う。
一点目は、水質保全と豊かな海の両立に向けた社会実験についてである。伊勢湾、三河湾では、これまでの排水規制により水質が改善された一方で、漁業に必要な栄養塩不足によりノリやアサリに影響が出たと指摘されている。これまでも出尽くした議論だと思うが、今の社会実験の結果、状況と今後の取組について伺う。
【理事者】
社会実験の概要について、社会実験は農業水産局、環境局及び建設局が連携し、矢作川及び豊川の浄化センターで、放流水中の窒素とリンの濃度の上限値を国の規制まで緩和して窒素とリンを増加させる管理運転を行い、ノリ、アサリへの効果を調査する取組で、2年前の2022年度は11月から3月まで、昨年度は9月から3月までの期間で実施した。
その結果は、周辺海域への水質に異常は見られず、ノリの色調やアサリの生息量は社会実験の実施前に比べて良好であり、ノリやアサリへの効果があったと考えられた。こうしたことから、今後もこの取組を継続するため、環境局において水質汚濁防止法に基づく総量規制基準を一部改正する検討を進めている。今後も水質を良好な状態に保ちつつ、豊かな海の実現に向けて引き続き関係局と連携して取り組んでいく。
【委員】
二点目、そのアサリの話題について、昨年の水害で、豊川河口のアサリ稚貝が大きな影響を受けた。いろいろなインフラ分野に関して財政支援が行われたが、アサリなどの漁業に関しての財政支援はあるのか。アサリの稚貝が十分に放流できなかったことに対しての影響、今後の対応について伺う。
【理事者】
本県のアサリ漁業者は例年、初夏から秋にかけて県の許可を受けて豊川河口に発生する稚貝を採捕し、漁場に放流することでアサリ資源の増大を図っている。豊川河口のアサリ稚貝だが、毎年、大量に発生するものの、貧酸素水塊や大雨の影響で資源量が減少することもある。これが委員指摘の部分であり、昨年6月の大雨によって河口域のアサリ稚貝が流出、または土砂の堆積による埋没などで大きく減少したことから、各漁場へのアサリ稚貝の放流量は例年の1割程度にとどまっている。例年ならば、放流したアサリが1年以上たって成長して、初夏以降に漁獲されるようになるが、放流量が少なかったため、今後のアサリ漁業への影響が懸念される。
この対応について漁業者は昨年来、地先の資源を大切に利用するため、各漁場において捕る大きさ、数量及び操業時間の制限などの資源管理を行い、漁獲量の維持に努めている。県としても漁業者が行うアサリ資源調査に協力するとともに、豊川河口のアサリ稚貝については環境の影響を受けやすい資源であるため、放流に適した大きさへの成長が確認され次第、速やかに採捕を許可する体制を取っている。
なお、今年については、例年どおり豊川河口でアサリ稚貝が発生しており順調に成長しているため、早ければ6月末から漁業者による採捕が行われ、各漁場に放流される予定となっている。
【委員】
一昨年、昨年と新型コロナウイルスの影響で売上げが落ちており、愛知県内水面漁業協同組合連合会の加盟団体は18で約5,000人が加盟しているが、ほとんどの漁業協同組合が赤字である。
その中で令和5年6月2日の大雨で放流したアユが流れてしまった。そこで、無主物だと、補償の対象にならないと初めて知ったが、漁業協同組合は赤字のため、何とかならないかと要望したところ、今年は水産課の事業で12漁業協同組合に稚魚の体験放流の補助をしてもらえたことで、漁業協同組合も喜んでいる。私の地元の川も6月26日に放流することとなっており、体験放流であるため地元の小学生が一緒になってやってくれる。非常に効果の高い事業だと思うため、来年も何らかの形で地域と川を結びつけ、愛知県内水面漁業協同組合が大きな役割を果たせるよう引き続き支援をお願いしたい。
二点伺う。
一点目、畜産関係についてである。畜産も大きく分けて、酪農と肉牛、それから養豚、養鶏がある。養鶏は鳥インフルエンザで約1,500万羽殺処分したため、卵が少なくなり、価格が上がった。少し回復して需要も減ったため、また先行きの見通しが悪い状況だと聞いている。養豚は比較的安定している。一番大変なのが牛である。酪農、肉牛の関係者から、もう1年半から2年近くそのような状態が続いているとの話を聞き、地元の人や農林水産事務所の農政課にも状況を聞いた。その上で質問する。
今、愛知県は農業産出額3,114億円で全国8位である。5位から8位に落ちている。そのうち、畜産が約30パーセントで919億円を占めている。私の地域の愛知東農業協同組合も畜産業が頑張ってきたおかげで売上げそのものは比較的落ちずに済んでいる。畜産関係で売上げの5割になっていると聞く。いわゆる就農者数は減っても売上げが何とか維持できているのが現状だと思う。そこで畜産業が打撃を受けると農業産出額にも影響すると感じている。そのため、農業産出額を増やすなら、まず畜産業の現状についての議論をしっかりしなければ厳しいと思う。
愛知県の畜産業がなぜ厳しいかというと、愛知県は輸入港があるからである。飼料でも二とおりある。牛は特にわらを食べなければならない。稲わらはないが、外国からの輸入乾牧草やトウモロコシの茎、飼料イネ(WCS)、いわゆる飼料用米などを食べないと牛は生きていけない。粗飼料と濃厚飼料の2種類を食べなければ、牛の飼料として成り立たないため、愛知県の畜産業の特性として輸入に頼っている率が非常に高い。このほうが安価かつ安定的であり、経営しやすいという事情もあると思うが、その前提が今崩れている。乾牧草などの輸入品が円安や船運賃の上昇などで非常に高止まりしている。なかなか安くなる見通しが立たないと聞いている。
加えて電気代、ガソリン代も上がっている。そこで、粗飼料と濃厚飼料が安定すれば、地産地消的な供給ができると思い、農林水産事務所に聞いてみたが、この地域ではこれ以上の拡大は無理とのことであった。なぜなら、面積が狭くてコストがついていかない、栽培に適した場所がこれ以上見つからないため、コスト的に無理ということ、もう一つは、コンバインベーラーなどの機械が老朽化しており、現状のものが適正規模だがメーカーがもう造らないと言っているからである。今ある機械をだましだまし使うしかない。大きな機械はあるものの、3,000万円程度かかり、7年で耐用年数が来るため、飼料をつくるにはおぼつかない。そのような状況のため、地産地消を進めるためにいろいろ話を聞くが先行きが見通せないとのことである。稲わらや耕畜連携で広域連携的に進めるのはどうかと模索してもらっており、我々の地域でなく、ほかの地域で作ってもらったものを持ってきて使う計画をしていると聞いている。
しかし、これは飼料をつくるために日にちがかかり過ぎる。また、牛を飼っている農家は、私の聞く限り、1頭当たり月1万円の赤字が出る。100頭買っていたら年間で1,200万の赤字である。そのため待ったなしの状況であるという現実をどう受け止めてどう解決するのか、その点の意気込み等、県の取組の心意気を知りたい。そこで、この2年間の成果と課題について伺う。
【理事者】
本県では輸入飼料の高止まりの対策として、県内の水田等を活用した自給飼料の生産と利用を拡大するため、2022年度から耕畜連携支援強化事業を実施している。この事業では、養牛農家、乳用牛と肉用牛農家の自給飼料の利用拡大に向け、乾牧草の代替として青刈りトウモロコシを、また輸入原料が主体である濃厚飼料の代替として子実用トウモロコシを生産する現地実証などに取り組んでいる。
青刈りトウモロコシについては、2022年度は、海部、知多、豊田地域の水田25ヘクタールで767トンを生産した。また、2023年度は新たに東三河地域を加え31ヘクタールに拡大し、938トンを生産した。
また生産した青刈りトウモロコシについては乳用牛に食べさせ、生乳の品質等に影響がないことを確認した。
子実用トウモロコシについて、2023年度に本県の気象状況などに適した品種を選定するため、農業総合試験場での栽培試験を行うとともに、豊田地域で1ヘクタールの現地実証を行った。それらの結果、青刈りトウモロコシ及び子実用トウモロコシの収量を確保するためには、湿度や害虫対策が重要であることが明らかとなった。
また、2年間の取組で飼料の収穫、運搬を実施した結果、飼料生産が多い地域と畜産農家が多い地域の距離が離れている場合もあることから、改めて広域流通させる体制を構築する必要があると認識し、取組を進めている。
【委員】
努力していることはわかるが、現状を変えるためにどこまでやらなければいけないかという意気込みで取り組まなければ、牛農家のリクエストに応えるにはまだ面積が足りない。25ヘクタールから6ヘクタール増え31ヘクタールになったことから、牛1頭が必要な面積は1ヘクタールだと聞いているため、6頭分の牛が賄えるようになったことが現状である。そのように取り組んでもらっていることはありがたいと思うが、事態の緊迫性に対する対応など、その辺りをもう少し深刻に考えてもらいたい。そこで、今後どのような取組をしていくのか伺う。
【理事者】
まず、意気込みとして、先ほど委員から指摘があったとおり、本県の畜産業は港が近いがゆえに輸入飼料に依存する体制を続けて発展してきた。このため、畜産農家は、輸入飼料が大変よいものだとの認識を持っており、例えば本県で作った飼料については品質が少しよくないのではないかという心配事がある。
そのような意味で、県で全ての牛に食べさせるための飼料畑を作っているわけではない。ただし、一例として、今回の場合だと30ヘクタール程度の実証の圃場を作り、それを多くの畜産農家の牛に食べてもらい、県内で生産した国内飼料でも問題ないことを実感してもらうことが、今後の県内での飼料の普及につながるという考えの下、このような事業を実施している。
それを踏まえ、今年度の取組について、青刈りトウモロコシは、乳用牛農家の新たな需要に応えるため、これまでと同じ地域で栽培面積31ヘクタールから45ヘクタールに生産を拡大している。
子実用トウモロコシは、豊田地域で3ヘクタールの現地実証を行うとともに、牛に給与し生育などへの影響の調査を予定している。
また栽培技術の確立に向け暗渠や畝立てなどの湿害対策や雑草及び害虫対策にも取り組む。こうして生産された飼料については、海部、知多地域から東三河地域への広域流通を行い、運搬コスト等を明らかにし、費用対効果を算出していく。
さらに、効果的な飼料生産が厳しい中山間地域では、米を収穫した後の稲わらを発酵させ、それを飼料として肉用牛へ給与する試験も実施していく。
こうした取組を通じ、様々な課題を解消しながら、稲作農家と畜産農家がウィン・ウィンの関係を築き、自給飼料生産をしっかりと進めて、今後の畜産業が発展していくよう努めていく。
【委員】
県も取り組むべきだが、農業協同組合もさらに取り組むべきとの意見もあるため、私も地元の農業協同組合にお願いする。とはいえ、県として成し得る最大限、最良のありとあらゆる方法で取り組んでもらいたい。
次に、林業について伺う。私も仕事の関係で山のことは興味を持って考えている。その中で、循環型林業という言葉がよく使われるが、循環型林業がどのような意味で使われているのか聞くと、切って、植えて、育てることを循環型林業と言っているように思う。山の木を全部切ること、林業用語で言うと主伐、別の言い方をすれば皆伐をし、そこへ新しい苗を植えることについてどのように取り組むのか。
愛知県は人工林率が64パーセントと非常に高い。戦後の植林が多いが、圧倒的にスギやヒノキが多い。これは当時、先人たちがはげ山から山に変える、災害を防ぐ、資源を確保するという意味で取り組んだ。これは非常に貴重な財産だと思うが、今、国がスギなどの花粉症の発生源を少なくするため、約50パーセントを削減しようと取り組んでいると聞いている。私は、山主の同意がないとできないが、低花粉スギを植えるより、山の地力を衰えさせないよう災害に強い山にするためにも、できる限り落葉広葉樹を植え、山そのものを造り変えるほうがよいと考える。そこで、主伐再造林の最近の実績について伺う。
【理事者】
実績について、本県ではスギ、ヒノキの人工林の多くが木材として本格的に利用できる時期となっている。これらの高齢となったスギ、ヒノキをしっかりと使い、切った後に花粉の少ない樹種や品種の苗木を植えることで成長が旺盛な若い林に置き換えていくことは林業振興の重要な取組であるとともに、花粉発生源対策やカーボンニュートラルにも貢献することから、本県では主伐再造林を推進している。
その実績としては、年によりばらつきはあるが、直近5年間の平均は年17.8ヘクタールである。
【委員】
17.8ヘクタールが多いか少ないかという議論はしないが、県の目標とする数値には届いていないと思う。なぜそれが進まないのか、これは山主の理解をもらわなければできないため、実際に主伐再造林を進めるに当たり、山主の同意をさらにもらうためにはどのようなことが課題なのか。
【理事者】
課題について、主伐再造林を推進するに当たっては、木材の生産体制の整備や収益性の確保など多岐にわたる課題がある。中でも森林所有者が様々な不安を抱え主伐再造林に踏み切れないことにより、同意が得られないことが最も大きな課題だと考える。
具体的に考えられる不安要素としては、切った木を販売して得られる収入に対し、伐採、搬出、運搬、植栽にかかる経費や、植えた後、木がある程度大きくなるまでの下草刈りにかかる経費など様々な経費がかかる中で、どの程度の収益が確保できるかが挙げられる。また、シカなどの獣害が原因で植えた木が大きく育たないのではないかということも不安要素の一つと考えられる。
【委員】
私の理解している範囲で具体的な数字を話すと、いろいろな制度があるが、切って植えることに対する補助金が、約6割出る。しかし、山主にとっては手元に残るお金が幾らかが一番ポイントだと思う。この点について、私の聞く範囲だと、例えば、50年生の木を1ヘクタール切った場合、切るためにかかる搬出、運搬、後の植栽、草刈り費用のトータルコストが約100万円と聞いている。そして、補助もそれに近いお金を出してもらっているため、山主の負担はないものの手元に残らないのが現状である。そのような課題解決に向けた考えを伺う。
【理事者】
伐採にかかる経費については、実際に作業を担っている森林組合などの林業経営体の生産性を高めて経費を抑制するために、林業経営体が高性能林業機械を導入する際に助成している。さらに昨年度、あいち森と緑づくり事業を見直し、拡充して、委員が話した主伐も助成対象に加えた。そのような事業の見直しもしている。
また、委員の言うとおり事業によって補助率は異なるが、再造林後の管理にかかる経費について、負担軽減のため植えた後、ある程度大きくなるまでの下草刈りなどの手入れについて支援を行うなど対策を講じている。
植栽した木の獣害については、獣害防護柵設置費用の支援を行っており、今年度からまた新たに獣害柵がしっかり機能しているかの見回りも支援に加えるなど獣害を防ぐ取組を行っている。
これらの支援策を活用することにより収益が確保できることをしっかりと伝えていくことで、森林所有者が抱える不安の解消に努めていく。各地域には林業普及指導員が配置されており、その普及指導員が中心となり地区懇談会などに出向き、主伐再造林に係るリーフレットで直接働きかけを行うことによって、森林所有者の方の主伐再造林の意欲が高まるよう取り組んでいく。
【委員】
主伐再造林の樹齢は、何年以上、何年以内など決めているのか。
【理事者】
基本的には、木材を使う時期として46年生以上のものを考えている。愛知県では46年生のスギ、ヒノキが人工林のうち86パーセントを占めており、主伐再造林の経験がない森林所有者がほとんどである。また、それぞれの山によって収益は異なる。生えている木や、道からの距離にもよる。そのため、1件ずつ丁寧に見積りを示して森林所有者の不安を解消することが大切であり、林業普及指導員がしっかりと取り組んでいく。
【委員】
46年生以上ということは、100年以上の高樹齢の木でもよいのか。46年生の木を切って建築材に使うのは、まだ木としては未熟であるため私は反対である。そのため、少なくとも80年以上たった木を皆伐し、そのような山からまず植え替えてもらうことで、切った木も生きてくると思うため、できるだけ若い木は切らないでほしい。
今の答弁から、まだ山主の同意をもらって多くの面積でこれができる状況にするには、まだハードルがあると思う。そのため、実際に、どうすれば進められるかという議論をし、大胆に踏み込んでもらう必要があると感じており、少なくとも年間50ヘクタールはできるよう議論してもらいたい。
【委員】
愛西市における農業集落排水施設の耐震整備について伺う。
令和6年1月の能登半島地震において、液状化により下水道のマンホールが浮上して道路が寸断されている報道を見た。私の地元愛西市は大半がゼロメートル地帯であり、南海トラフ地震の際には大規模な液状化現象が発生する懸念がある。マンホールの浮上が起これば下水道が使えず生活に支障となるばかりか、緊急輸送道路内で発生した場合は救助の停滞や支援物資が届かない深刻な事態となりかねない。
そこで、愛西市には農業集落排水施設が19か所、管路は約200キロメートル、マンホールは9,500か所あると聞いているが、耐震整備状況について伺う。
【理事者】
農業集落排水施設は汚水を処理する処理施設と各家庭から排出される汚水を処理施設まで送る管路施設に区分される。
まず処理施設については、愛西市にある19か所全てが建築基準法の改正された昭和56年以降に設計されており、現在の耐震基準を満たしている。
次に、管路施設については、愛西市にある管路及びマンホールは全て平成3年度から平成20年度までに建設されたもので、当時の国の基準では、農業集落排水施設の管路は一般的に口径が小さく地震による被災の影響が少なく、耐震設計を省略できるとされていたことから、耐震整備は行われていない。
なお、処理施設は全国的にも過去の大規模地震により処理機能に影響を与えるような大きな被害は受けていないが、管路施設は東日本大震災を契機として、国が過去10年間に発生した震度5以上の地震による影響を調べたところ、2割程度は地盤の液状化などにより被災したことが分かっている。
【委員】
耐震整備がされていない管路約200キロメートル全ての対策を行うことは費用面で現実でないため、優先順位を付けて、まずは緊急輸送道路にある約140か所のマンホールだけでも耐震整備を行うべきと思っている。マンホール上部に重しを設置する浮上防止が図られる。業者に費用を聞いたところ、直接工事費が約25万円で経費がその3倍かかり、合わせて1か所で約100万円かかるとのことである。
管理者である市からは、農業集落排水の維持管理や機器更新工事も行われなければならず、マンホールを耐震整備するためのさらなる負担は大変厳しいと聞いている。そこで、市町村が農業集落排水施設の耐震整備を行う場合、国や県の補助率はどうなっているのか。
【理事者】
東日本大震災を契機として、平成24年度に国が定めた現在の基準において、緊急輸送道路など被災による影響が大きい箇所に埋設されているマンホールなどの管路施設については、必要性を検討した上で耐震整備を実施することとなっている。市町村が農業集落排水施設の耐震整備を行う場合、通常の整備と同じく国の補助率は50パーセント、県の補助率は一般地域で14パーセント、過疎地域及び振興山村で21パーセントとなっている。
【委員】
国の補助率は農林水産省だけでなく、他省庁合意に基づいて決まっているため、難しい要望であることは承知している。
集落排水を行っているところは財政力が低い市町村が多く、愛知県でもたくさんの市町が集落排水を行っているが、市が36パーセントの費用を持つことはかなりの負担となる。能登半島地震を見ると、これから南海トラフ地震が20年、30年の間にかなりの確率で起こると思っている。それぞれ市町が事前防災を真剣に行わなければならないため、もう少し県の補助率を上げるよう要望する。
【委員】
私は愛西市に囲まれた津島市に住んでいるが、能登地方でタケノコのようにマンホールが1万か所あふれたように、愛西市でタケノコのようにマンホールがあふれたら、津島市民は一歩も外に出られない。特に排水は全部、道路の下や縁に配管がある。それが1万か所もあふれたらどうするのか。何が言いたいかいうと、アスベストの件にように、国主導で取り組んでいるものの、いざとなったら国が逃げてしまう。最後まで国が責任を負わなければならない。耐用年数が来るのは当たり前である。愛西市などの郡部の市町村はいち早く国主導の下、協力したところ、いざ更新するとなった際に国が逃げてしまう。よく愛知県から国に対し、国の補助率を上げるよう、しっかり要望してもらいたい。