委員会情報
委員会審査状況
総務企画委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年6月30日(金) 午後0時57分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
辻 秀樹、おおたけりえ 正副委員長
水野富夫、伊藤辰夫、島倉 誠、石塚吾歩路、中根義高、藤原ひろき、
朝日将貴、天野正基、安井伸治、朝倉浩一、犬飼明佳 各委員
政策企画局長、企画調整部長、国際監、ジブリパーク推進監、
総務局長、総務部長、財務部長兼財政課長、人事局長、
人事管理監兼人事課長、会計管理者兼会計局長、同次長、
監査委員事務局長、同次長、人事委員会事務局長、同次長兼職員課長、
議会事務局長、同次長、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第 81 号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 入
歳 出
第2款 総務企画費
第3条(県債の補正)
第 83 号 愛知県手数料条例の一部改正について
第 84 号 愛知県県税条例及び愛知県産業廃棄物税条例の一部改正につい
て
第 91 号 工事請負契約の締結について(愛知県豊田加茂総合庁舎建設工
事)
第 97 号 公安委員会の委員の選任について
第 98 号 人事委員会の委員の選任について
第 99 号 愛知海区漁業調整委員会の委員の選任について
第100号 副知事の選任について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第81号、第83号、第84号及び第91号
全員一致をもって同意すべきものと決した議案
第97号から第100号まで
○ 請 願
第 3 号 「『消費税5%引き下げを求める意見書』採択を求める」につ
いて
第 4 号 「『インボイス制度実施中止を求める意見書』採択を求める」
について
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第3号及び第4号
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(8件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 請願審査(2件)
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 閉会中継続調査申出案件の決定
7 閉会中の委員会活動について
8 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
スマートシティモデル事業は昨年度から始まった事業であり、昨年度は、調べてみると当初で三つの提案が選定されており、補正でさらに三つが追加で選定され、合計六つの提案が選定、実施されたと認識しているが、今回の補正予算を質問する前提として、まず、このスマートシティモデル事業の事業フレームと既決予算の3,014万4,000円の執行状況について伺う。
【理事者】
スマートシティモデル事業については、ICT等の先進技術を活用して地域課題を解決しようとする市町村を県が支援し、成果を県内に広く普及することを目的とする事業である。
そのスキームについては、まず、市町村と先進技術を持つ企業等がコンソーシアムを組み、地域課題を解決するモデルを県が公募し、外部有識者を含む選定委員会で、応募の中から優れた提案を予算の範囲内で選定して、県が事業委託する形で実施するものである。
そして、年度末に他の市町村が参加する成果報告会を開催し、その成果を発表してもらうことで情報やノウハウを共有して、横展開を図っていくものである。
既決予算分については、予算成立後の3月24日から4月19日までの期間で公募を実施したところ、7市町から提案があり、予算の範囲内で3市町、刈谷市、日進市、幸田町を選定した。
3市町の事業費については、それぞれ上限の1,000万円に近い額となっていることから、3市町の事業の実施と3月に予定している成果報告会の開催経費を合わせて、既決予算についてはほぼ全額を執行する見込みである。
【委員】
昨年度も9月定例議会で補正予算を計上しているが、今年度もこうして補正予算が必要になった理由は何か。
あわせて、今回、9月定例議会ではなく6月定例議会での提出になった理由についても伺う。
【理事者】
既決予算の範囲内で3市町を選定したが、選定から漏れた提案の中には、地域課題の解決につながり、横展開が可能なものもあった。選定されなかった4市をはじめ、幾つかの市町村へのヒアリングをしたところ、県の支援があれば、年度途中からでも取組を実施したいとの意向を示す市町村もあった。意欲のある市町村を支援することでスマートシティの事業例をさらに創出し、県内全域でのスマートシティの取組を加速化させたいとの考えから、追加公募を行うこととした。
モデル事業の実施に当たっては、十分な準備期間や実証の期間が必要であるので、できるだけ早く追加公募を始める必要があるが、昨年度の追加公募については、9月開始だったことから、選定された市から実証期間の確保が非常に難しかったと聞いている。
今年度は、3月下旬から事業の募集を始めるなど、昨年度に比べて当初の公募時期や審査期間を前倒しで設定し、追加募集の補正予算の提案が6月定例議会に間に合う時期であったため、今回提案した。
【委員】
各コンソーシアムが行う取組の準備や実証期間をできる限り長く取るため、公募や選定といったスケジュールを昨年度よりも約1か月前倒したこと、自治体へのヒアリングをしたところ、追加公募の機会があれば参加する意欲があると確認が取れているので、6月定例議会に提出を間に合わせたと理解した。とても意味があることだと思う。
そこで、今回提出した補正予算の提案額について、その額を2,000万円とした根拠を伺う。
あわせて、昨年度は補正で三つの提案を選定したが、今回、幾つの選定を予定しているのか。
【理事者】
追加公募については、選定から外れた4市を全て選定するのではなく、改めて全市町村を対象に募集を行い、その中から、課題解決に向けた先進技術活用の有効性や他地域への横展開の可能性といった観点から、よりよい事業を選定していきたい。
当初予算が3,000万の事業に対する追加公募であること、また、昨年度の補正予算額が2,000万円であったことなどから、今回は2,000万円で提案した。
年度途中の公募であるので、市町村からどの程度の予算規模の提案が出てくるかは、まだ分からない状況である。成功事例を数多く創出するためにも、予算の範囲内でできるだけ多くの市町村を選定していきたい。
【委員】
昨年度、この事業で岡崎市が代表となって提案した次世代パーソナルモビリティーで、中心市街地の渋滞緩和チャレンジという取組が選定され、今年度は、幸田町が代表となって提案した高齢者移動支援施策タクシー料金助成制度の高度化に向けた実証が選定されている。
市町の職員と話をしていると、県のスマートシティモデル事業というのは、応募しやすいそうである。社会課題の解決に向けて意欲ある自治体に、こうして事例を積み重ねてもらうことが大事であるし、そうした事例の蓄積があることがこの事業の目的にもある横展開へつながっていくと思っているので、今回の補正でそうした事業の事例が増えていくことを願う。
【委員】
総務企画費の第2項総務企画管理費、情報推進費、補正額763万円、AICHI X TECHに関わる補正予算について質問する。
簡単に言うと、行政課題に対して民間企業がICTを活用した解決策を提案するデジタル技術を導入するための事業だと理解しているが、今回、補正予算案はどのような行政課題に対してどのようなデジタル技術を導入する予定なのか。
【理事者】
今回の補正予算についてであるが、2022年度に実施した実証実験の結果、行政課題の解決に優れた効果が認められた二つのテーマについて、成果として得られたデジタル技術を導入するものである。
一つ目のテーマは、愛知県図書館における課題である。
愛知県図書館では、年間8,000件もの電話での問合せがあるが、その対応が開館時間に限られるという課題と、年間約1,416万件ものアクセスがある図書館ウェブサイトが、情報量が多く必要な情報を見つけにくいという課題があった。
そこで、24時間いつでも簡易な問合せに対応できるAIチャットボットを図書館ウェブサイトに導入する。これによって、県民からの問合せに開館時間外にも対応し、ウェブサイト閲覧時にも目的の情報により簡単に到達できるようにするものである。
二つ目のテーマは、あいち航空ミュージアムにおける課題である。
来館者が減少傾向にあることから、特に子供たちの来館を促すため、興味を喚起し持続させる展示の仕組みづくりが課題であった。
そこで、新しいデジタル展示を導入する。これは、来館者がクイズを作成、投稿できる参加型のクイズ機能と拡張現実、いわゆるARを利用し、あたかもその場でブルーインパルスなどの飛行機が飛行しているような風景をスマートフォンなどで見ることができる航空機AR機能を備えた展示となる。
【委員】
これら二つのテーマについて、2022年度実施した実証実験はどのような内容だったのか。その実証実験の成果を伺う。
【理事者】
一つ目の愛知県図書館のテーマでは、AIチャットボット導入による効果を実証する実証実験を行った。その結果、一月で267件の開館時間外の問合せにAIチャットボットが対応した。これは、AIチャットボットが対応した総数1,157件の約4分の1に相当し、開館時間外の問合せ対応の必要性と、AIチャットボットによる利便性向上の効果を確認することができた。
二つ目のあいち航空ミュージアムのテーマでは、デジタル展示の効果を検証する実証実験を行った。社会見学でミュージアムに訪れた県内の小学5年生にこの新しい展示を体験してもらい、アンケート評価を実施した。その結果、展示の満足度、リピート希望度、他人への推奨度、いずれでも8割以上の評価を得ることができ、将来の航空機産業の担い手となる子供たちの興味を喚起し、持続させる効果を確認することができた。
【委員】
愛知県図書館への時間外の問合せは267件と非常に多く、こうしたICTの技術を入れることで、より利用者の利便性が図られると理解できた。
次の質問に移るが、これは6月の補正で上がってきたが、本来であれば当初でやるべきものと思うが、この6月補正で導入に要する事業費を計上することとなった、その考えを伺う。
【理事者】
6月補正とした考え方であるが、昨年度の実証実験の結果、二つのテーマについては優れた効果が認められ、かつ速やかな導入が可能であることが確認できた。このため、行政課題の早期解決と県行政のDX推進の加速に向けて、成果として得られたデジタル技術を早期に導入することとし、今回の補正にて計上したものである。
【委員】
今の説明で、速やかにやった結果が6月補正とのことだが、今年度の当初予算に計上できていれば、さらに早い導入につなげられていたのではないかと思うが、どのように考えるか。
【理事者】
昨年度は、事業の初年度のため、課題の選定や企業等の募集、マッチングなどに要する時間をある程度の余裕を持って確保して、実証実験を9月から開始した。
今年度は、昨年度の取組で得られた実施ノウハウを活用し、実証実験の開始を前倒して8月から実施していくことを予定している。実証実験の開始を少しでも早めることで、それぞれの行政課題の解決への効果を早期に見極め、次年度当初からの事業実施につなげられるスケジュールによって進めていきたいと考えている。
【委員】
皆の努力によって、来年度は当初でやれるように少しずつ時間を早めたと認識した。
このICT技術を導入して民間で解決するのは、本当にいいことだと感じる。
導入時期に関しては、補正予算の参考資料には10月導入予定と記載されている。導入のための事業者の決定や開発などの実装に向けた準備が必要だと思うが、今後どのようにスケジューリングしていくのか。
【理事者】
今後のスケジューリングであるが、導入時期については、議決されたら、速やかに実証実験により確立された導入すべきデジタル技術の調達仕様に基づいて、企画競争型随意契約または一般競争入札、いずれかの調達方法により公平性を確保して導入業者を決定する。
昨年度の実証実験で調達仕様を作成しているので、要件定義に要する期間は不要となり、通常よりも短い期間での開発が可能と見込まれるため、10月に導入が可能となると考えている。
【委員】
愛知県が抱える行政課題に対してICT技術で解決しようと、民間の技術を入れる姿勢に対しては高く評価したい。
さらに愛知県民にとってよりよい行政運営に努めるため、1点要望する。
昨年度と今年度、この事業で、行政内部からの課題を募集しているとのことだが、よく言われる、書類が多いとか、手続の時間が長いとか、そういった声など、県民や民間企業から見るともう少し工夫の余地がある仕事もまだまだあると思う。
そこで、このAICHI X TECH事業の課題の選定の段階で、愛知県民や民間企業の声を十分考慮して決定し、このICT技術で解決してもらうことを要望する。
《一般質問》
【委員】
昨年の11月1日、ジブリパークの3エリア、ジブリの大倉庫、青春の丘、どんどこの森が開園して、6月30日でちょうど8か月が経過した。
まず、訪日外国人旅行者について、開園直前の昨年10月は、空港等での新型コロナウイルス感染症の水際対策が大幅緩和されたものの、コロナの影響が大きくあった時期であった。また、開園当初は、国内需要が高い時期でもあったことから、これまでのところ、来園者の大半は国内からの旅行者であると認識しているが、国の観光局のデータによると、今年5月の訪日外国人旅行者数は、コロナ禍前の2019年の7割程度まで回復してきているとのことである。これからジブリパークでも、いよいよ訪日外国人旅行者の受入れが本格化してくる時期を迎えると思う。そこで、ジブリパークにおける訪日外国人旅行者の受入体制について、開園当初からの変更点を含めて、現在の状況を伺う。
【理事者】
ジブリパークでは、コロナ禍の影響により、開園当初は国内向けにチケットを販売していたが、桜の見頃となる春先には海外からも多くの旅行者に訪れてほしいと考え、今年1月から、英語版の海外個人向けチケット販売サイトの運用を開始し、3月15日から、本格的に訪日外国人旅行者の受入れを始めている。
チケットの売行きは大変好調で、入場月の3か月前に販売を開始すると数日で完売する状況であることから、運営会社である株式会社ジブリパークでは、国内向けのチケット販売状況とのバランスを見ながら、平日を中心に、徐々に訪日外国人旅行者の受入数を増やしている状況である。
各施設における訪日外国人旅行者への配慮策については、運営会社で、入口付近に外国語に堪能なスタッフを配置するとともに、ジブリの大倉庫では、英語版、中国語の繁体字・簡体字版、韓国語版の案内マップやカフェのメニューを用意している。
また、ジブリパークのエリア外でも、都市・交通局と連携し、ジブリパークの開園に合わせて新たに募集した、愛・地球博記念公園で活動するボランティア約100人のうち、3割強の人が訪日外国人向けの言語サポートに従事している状況である。
このほか、ジブリパークのショップでは、訪日外国人旅行者がレコードやポスターなどのアート系の商品やぬいぐるみなどをよく購入する傾向があることから、運営会社では、そうした傾向に合わせた品ぞろえや商品開発を検討していると聞いている。
今後、さらに2エリアが開園すると、ジブリパークを訪れる訪日外国人旅行者が現在以上に増えると見込まれることから、引き続き、運営会社や都市・交通局と連携し、きめ細かな対応を心がけていきたい。
【委員】
ジブリパークまでの道中や園内での訪日外国人旅行者への対応に力を尽くしているとよく分かった。
訪日外国人旅行者の来園者数が一気に増えるのではなく、徐々に増えていくのが理想だというのは、とても分かる。
だが、ホームページを見ても、日本語版と英語版の二つはあるが、いろいろな国からの訪日外国人旅行者をこれから徐々に増やしていこうと思うと、それに対応した多言語化というのも課題になってくると思うので、そうしたところも今後期待していきたい。
昨年3エリアの開園前の段階で在外公館の人と話をする機会があり、当時ちょうど株式会社ジブリパークのほうで戦略的な情報の出し方をやっていた時期でもあったので、情報さえもらえれば母国語でいろいろな発信を我々もでき、協力できるのだがという話を聞いた。今回の第2期の開園についても、充実した情報発信を、今度は来た人ではなくて来る人をどうやって引き寄せるかになってくると思うので、海外メディアの活用はもちろんだが、在外公館も本県にはいろいろあるので、そうしたところへも積極的な働きかけを展開するように要望する。
次に、ジブリパークでは残る2エリアの整備工事が進められており、今年の秋にはもののけの里、本年度内には魔女の谷が開園する予定と聞いている。エリアの追加によって、ジブリパークの魅力がさらに高まり、訪日外国人旅行者はもとより、国内の旅行者にとっても、これまで以上に人気を博す目的地となることを大いに期待している。
中でも、魔女の谷はジブリパークの中で最大のエリアになるため、スタジオジブリ作品の世界観を表現する建築物も、全エリアの中で最も多く配置されると聞いている。
そうした建築物の整備に当たっては、訪日外国人旅行者への配慮のみならず、障害者や小さな子どもの保護者など様々な人への配慮が不可欠であることは間違いないと思う。
そこで、ジブリパークの整備に当たり、障害者や小さな子どもの保護者など様々な人への配慮についてどのように対応しているのか。
【理事者】
ジブリパークの整備に当たっては、多様な利用者がともに楽しめる公園づくりを基本方針の一つに掲げ、年齢や障害の有無などにかかわらず、できるだけ多くの人が利用できるようにデザインする、ユニバーサルデザインの考え方を重視している。
このため、現在進めている2エリアの整備でも、先行開園した3エリアと同様、設計の段階から子育て世代や高齢者、障害者などの関係団体及び学識経験者の意見を聴き工事に反映するとともに、今年3月下旬には、意見の反映状況を現地で直接確認してもらう機会を設けるなど、利用者の目線に最大限の注意を払いながら工事を進めている。
具体的な例としては、関係団体からの意見を踏まえ、車椅子利用者が後ろ向きでも安全にエレベーターを降りられるようエレベーター内に鏡を設置し、点字が苦手な視覚障害者でも扱いやすいよう操作ボタンを数字が浮き出した形状に変更したほか、各トイレでは、スペースの許す範囲内で、できる限り大人用ベッドや手すり、ベビーチェアを備え付けるようにしている。
また、先行開園した3エリアの運営面でも、利用者からの要望に応じ、運営会社と協議の上、ジブリパーク内で貸し出した車椅子の返却をジブリパーク外の案内所などでも行えるよう公園管理者と連携して運用を改めたり、また、ジブリの大倉庫内のおむつ替えスペースでは、午後に日が差し、赤ちゃんの目に日光が当たるとの指摘を踏まえ、運営会社が窓にロールスクリーンを後付けするなどの対応を行っている。
2エリアの開園に向け、引き続き運営会社や公園管理者と密に連携協議しながら、利用者目線の対応を心掛け、ジブリパークを訪れる全ての人が滞在期間中に快適に過ごしてもらえるよう取り組んでいく。
【委員】
最後に、もののけの里が今年の秋に開園予定と聞いている。昨日の6月29日までが、10月27日の愛知県民デーの入場チケットの申込みであった。そこにもののけの里の申込枠はなかったそうである。10日後の7月10日には、10月分の入場チケットの発売が開始となるわけであるが、今のところ、もののけの里についての告知は私もまだ耳にしていない。
開園日はいつなのかという問合せも来るが、一般に12月を秋とは言わないので、開園の時期は大体そういうことかなと推測がつくところまで来ているようにも感じるが、本県は、昨年、県政150周年を記念してのあいちウイークを契機として、県民の日学校ホリデーや休み方改革に取り組んでいるので、もののけの里の開園日がもっと前に分かっていれば、休暇を調整して家族で一緒に行けたのにという意見が耳に届くことがないといいとも感じている。戦略性に富んだ株式会社ジブリパークなので、告知についても十分に戦略性を持ったプレスリリースをするとは思うが、可能であれば、開園したらすぐに行きたいというジブリファンの人たちは、十分にじらされていることを伝えてほしい。
【委員】
6月22日の一般質問で、公明党愛知県議員団の岡明彦議員が視覚障害者や高齢者などに対する便宜供与として音声コードユニボイスの普及について、県の活用状況や県内の市町村の導入状況などを質問した。
福祉局長からは、県機関での活用状況や県内市町村の導入状況などの紹介とともに、今後も引き続き庁内各局や県内市町村に対して音声コードの積極的な導入を働きかけるなど、さらなる音声コードの活用に取り組んでいくという答弁があった。
音声コードユニボイスについては、無料アプリをスマートフォンにインストールするだけで誰でも簡単に使用ができ、正確に情報を伝えることができるため、公明党としては積極的な導入に取り組んでいる。
県では、福祉局が取りまとめているが、実際に導入するのは関係各局であり、本日は選挙管理委員会の取組状況について伺う。
昨年度は選挙イヤーとなり、昨年7月には参議院選挙、本年2月には愛知県知事選挙、さらに、4月には県議選をはじめとする統一地方選挙が行われた。選挙の重要性については改めて言うまでもないが、いつ選挙があるのか、候補者がどのような政策を訴えているのかなどについて、全ての有権者に情報が確実に届く必要があり、また、投票所などで投票しやすい環境を整えていく必要がある。
そこで、県が行う選挙に関して、音声コードの導入事例をはじめ、視覚障害者や高齢者などに配慮した取組はどのようなものがあるのか伺う。
【理事者】
県選挙管理委員会では、選挙の期日や投票方法などを有権者に知らせる啓発チラシに音声コードを取り入れている。また、音声コード以外では、選挙公報の内容を点字化したものや音声化して収録したものを選挙のお知らせとして作成し、対象者や市町村に配布している。
このほか、選挙公報のデータや候補者の希望に応じて自動音声読み上げ対応データをホームページに掲載し、パソコンやスマートフォンで閲覧や聞き取りができるようにしている。
なお、県議会議員選挙の選挙公報については、2019年執行の一般選挙から発行しており、本年4月執行の一般選挙からは、自動音声読み上げ対応データをホームページに掲載している。
【委員】
県の選挙管理委員会では、啓発チラシに、音声コードも導入しているという答弁である。私もこの選挙のチラシをもらい、実際に音声コードで音声を聞き取りもした。要点がまとまっていて、非常に分かりやすいものになっていると実感した。今後も、選挙の啓発チラシには必ず音声コードを載せてもらうよう要望する。
また、答弁があったとおり、視覚障害者向けの取組として、特に私たちが関係する愛知県議会選挙でも、前回2019年からの選挙公報の導入と、そのときには点字版、音声版を作成したとのことでである。今回からは、候補者の希望に応じて、音声読み取りデータをホームページに掲載もした。こうした全ての有権者が選挙に関する情報をより取得しやすくなるための取組を今後も続けてほしいと思う。
次に、市町村選管の取組について伺う。
市町村では、選挙時の音声コードの導入事例をはじめ、視覚障害者や高齢者などに配慮した取組はどのようなものがあるのか、特に、投票所入場券に音声コードを導入している事例はあるのか。
【理事者】
県内市町村では、投票所や期日前投票所で、候補者の氏名掲示の内容を点字化したもの、文字を拡大したもののほか、老眼鏡やルーペなどを配備している。
また、投票所入場券については、名古屋市、豊橋市、半田市、豊川市、豊田市の5市で、点字による案内をつけて対象者に送付している。
なお、現時点で、投票所入場券に音声コードをつけている団体は県内にはない。
【委員】
投票所や期日前投票所については、様々な配慮をしているとのことである。また、投票所入場券については、5団体が点字による案内を送っているとのことである。
ただし、投票所入場券に音声コードをつけている事例がないのは非常に残念である。視覚障害者は点字もあると思うが、高齢者向けという観点からも、音声コードもぜひ進めてほしい。
選挙が行われるときに有権者が一番初めに手にするものが投票所入場券である。他県では、投票所入場券に音声コードを導入している事例があることも聞いているが、他県の導入状況はどのようになっているのか。
【理事者】
県選挙管理委員会で把握している事例としては、まず、東京都世田谷区では、2013年の都議会議員選挙から、全ての有権者に対して投票所入場券を入れる封筒に投票時間や問合せ先などを収録した音声コードをつけて送付している。
また、福岡県福岡市では、2021年の福岡県知事選挙から、希望する人に対して投票日や投票所などを収録した音声コードを印刷した紙を投票所入場券と一緒に送付する取組をしている。
【委員】
他県では、東京都世田谷区や福岡県福岡市でも導入事例がある。
視覚障害者に限らず、高齢者でも音声コードがあれば投票日などを手軽に聞くことができる。先ほど答弁のあった団体の取組を全国に広げていくことが必要ではないかと考える。
先般の岡明彦議員の一般質問では、県内市町村では、昨年度までに30市町村で音声コードの導入事例があるとのことであったが、全く導入されていない団体も相当数あることになる。音声コードの導入には市町村の関係者の理解、協力が必要な部分もある。投票所入場券という一つのツールをきっかけに、導入がさらに進んでいくことを期待したい。
県選挙管理委員会では、市町村選挙管理委員会に対し、投票所入場券に音声コードをつけることを検討するよう呼びかけることを要望する。
あわせて、今回は選挙に関係して取り上げたが、この総務企画委員会が所管する局の中には、直接県民にチラシやパンフレット等、周知をする事業を持っている課室もあると思う。県民に周知を図るためのチラシやパンフレット等を作成する際には、音声コードを積極的に活用してもらうことを要望する。
【委員】
財務規則第150条では、入札における公告の時に、インターネットで公開し広く公平に落札してくれる業者を募る規定になっている。しかし、入札以外のカテゴリーに属する公募型プロポーザル、補助金を受ける際の選定、PFI業者を決める際の選定など、この規定に含まれていないが、同様にインターネットで公開して、オープンな場で公表し、業者を広く募っていくことがふさわしいものもあると考える。
実際、運用上は、この150条の趣旨を踏まえ、これらの選定方法の時もこの財務規則を準用した考え方で、インターネット公開を基本として職員は対応していると認識しているが、そのような認識でよいか。また、そうであれば、きちんと財務規則上に記載すべきと考えるが、いかがか。
【理事者】
入札に際しての公告については、財務規則第150条に基づき、掲示とインターネットの併用などの方法により行っている。インターネットにより公告するときには、愛知県のホームページの中に入札、契約、公売情報に関するページを設けており、そこに掲載することとし、事業者に広く周知している。
一方、入札ではない公募型プロポーザルや補助金交付先の選定、入札方法によらない一部のPFI事業の選定の手続などについては、150条の適用は受けないが、各事業を実施する部局で、入札の場合の取扱いも参考にしながら適切な募集方法を採用している。
次に、入札以外の公募手続について、財務規則で規定すべきではないかという点について、公募型プロポーザルなどにおける相手型の選定方法は、インターネットのみならず、記者発表や説明会の開催、周知用パンフレットの配布など契約や支出の前段階の行為について、契約や支出など財務に関する手続を定めている財務規則とは範囲が違う性質のものと考えている。
実際には、例えば公募型プロポーザルについても、入札、契約、公売情報のページにプロポーザルというカテゴリーがあり、部局が登録をし、まとめて閲覧することが可能となっているなど、事業を実施する各部局において適切な方法で実施している。
いずれにしても、公平性や透明性の確保は重要だと考えているので、会計事務職員が事務を行う上で使用する手引書へ記載するなど、手続の公平性をより高めるよう徹底していく。
【委員】
続いて、公告の期間について、財務規則では5日以上とあるが、他県ではもっと日数を取って周知期間に留意している都道府県もある。また、実際は10日から2週間程度は公告期間を取っている場合が多いと感じる。
緊急の場合は短期間で仕方ないとしても、他県のように原則はもっと公告期間を長く取り、多くの業者に検討してもらう機会をつくることで、よりよい提案が提出され、公平性も担保できると考えるが、財務規則を変更することを含めて考えを伺う。
【理事者】
本県以外の政令指定都市のある15の都道府県の財務規則等を調べたところ、原則として10日前、急を要する場合では5日前まで短縮できるという規定をしている団体が11あった。残る4団体のうち、予定価格により期間に差を設けている場合もあるものの、急を要する場合には5日前まで短縮可能としているものが2団体という状況であった。
本県では、最低限の期間として少なくとも5日前までと定めているが、これにより、急を要する場合にその判断を、施策を実施する契約担当課が柔軟にスピード感を持って対応できるものと考えている。
一方、本県の実際の運用については、例えば会計局で実施する物品の調達に係る入札では、2週間程度の公告期間を設けており、建設工事については、建設業法等で規定する公告期間に従い、事業者が確実に見積もることに必要な期間を設けている。
しかしながら、入札であっても、入札以外の手続であっても、公告や公募期間を十分に取り、多くの事業者に検討してもらう適切な期間を設けることは大変重要だと考えている。
会計局としては、事業の内容に応じた適切な期間が設定されているかどうかについて、各部局や地方機関に対して実施する検査等で確認し、本県の実態の把握に努めていく。また、先ほども答弁したが、会計事務職員が事務をする上で使用する手引書へ記載するなど、手続の公平性をより高めるよう徹底していく。
【委員】
続いて、災害義援金の募集について伺う。これは2023年6月2日の水害被害者への災害義援金の募集受付についての質問である。
今回の線状降水帯発生による被害は、床上浸水や農業被害をはじめとして大きな被害があった。家屋が全壊、半壊した人から今後の生活再建への不安の声、そして、床上浸水した人から畳やベッド、マットレス、本棚、電化製品が水にぬれて駄目になってしまったという大変な声、床下浸水した人から、臭いの対策や基礎の部分に水がたまったものを取り除くなど、いろいろ費用がかかり困っていると聴いている。
一方で、県からの災害見舞金は、床上浸水が、今のところ2万円など、甚大な被害にもかかわらず支援額が少額過ぎるという気がしている。
静岡県は、今回の水害に対して6月9日から災害義援金の募集を開始している。なお、被害状況は愛知県より件数で見ると少ない状況であると思う。また、茨城県も募集を開始した。
過去を遡ると、大きくニュースになった熊本県の豪雨などのときも被災地である各県は義援金を募集し、被災者に配分している。本県でも2008年の岡崎市を中心に大きな被害があった水害の時など義援金を集めている。
そこで、まず、義援金を集める際には、何か国のほうで規定などがあるのか。
また、今回の災害が義援金を集める災害かどうかの基準は、愛知県独自で決められるのか。
【理事者】
地方公共団体における災害義援金の募集に関しては、法令の規定や国が定めた基準等はない。したがって、災害義援金の募集については、個々の地方公共団体の判断による。
【委員】
募集は愛知県独自で決めることができるという解釈であるが、そうであれば、本県でも災害義援金を募集して、少しでも被災した人の負担を軽減できるよう取り組んでいくのが望ましいと思うが、考えを伺う。
【理事者】
本県における災害義援金の募集に関する基本的な考え方については、原則として、災害救助法が県内の市町村に適用された場合に、適用市町村数、被害状況、過去の受付状況等を考慮して判断している。
今回の6月2日の大雨に関し、先ほど委員から示された静岡県や茨城県に加えて、当方で確認している埼玉県や和歌山県でも、災害救助法の適用を受けた後に災害義援金の募集を開始している。
また、これら4県のほか、大半の都道府県でも、災害救助法の適用を基本としているところであり、本県としては、引き続き現行の考え方をもって執り行っていきたいと考えている。
なお、災害義援金等を寄せてもらう人達の援助を確実に被災地域につないでいくことの重要性を考慮して、このたび、新たに愛知県のホームページで市町村の募集窓口等を案内するなど適切に対応している。
【委員】
少子・高齢化の進行による生産年齢人口の減少などが急速に進む現在、働く意欲と能力のある高齢者が活躍できる場を広げることは極めて重要であり、民間企業でも、定年年齢を引き上げたり継続雇用制度を導入するなど、高齢者の雇用確保に向けた様々な施策が実施されている。
こうした中、愛知県職員についても、定年年齢を引き上げるため、昨年の令和4年の9月定例議会で、職員の定年に関する条例等を一部改正したところであり、今年度末、60歳に達する職員の定年年齢が61歳に引き上げられ、今後段階的に65歳まで引き上げることとする新たな制度が動き出すことになる。
今年度からスタートするこの新たな定年制度を迎えるに当たり、高齢層職員の中には、これまでどおり正規職員として勤務することができるという安心感がある一方で、体力面や健康面、収入面はもとより、働き方の変化への戸惑いや人間関係の不安を感じる職員もいると思うし、そのような声も聞く。また、制度開始に当たっては、これまで想定していなかったような新たな課題等も見えてくると思う。
そこで、愛知県職員を含めた公務員全体について、今年度から定年年齢を段階的に引き上げることとした背景、理由を改めて伺う。
また、昨年9月定例議会で職員の定年等に関する条例等の一部改正等を行っているが、その主な改正内容について改めて確認する。
【理事者】
まず、定年年齢の引上げの背景、理由についてであるが、公務員の定年年齢については、平均寿命の伸長や少子・高齢化の進展を踏まえて、豊富な知識、技術、経験等を持つ高齢期の職員に最大限活躍してもらうために、これまでの60歳から65歳に引き上げるよう、国家公務員法及び地方公務員法の一部改正が行われた。
これを受け、本県でも、令和4年9月定例議会において条例改正を行い、国家公務員と同様、本年4月から定年年齢を2年ごとに1歳ずつ段階的に引き上げることとした。
主な改正としては、管理監督職にある職員は、60歳となる年度末以降は、管理監督職以外の職に降任させることとするいわゆる役職定年制の導入、それから、60歳に達した職員の給与は、原則7割水準とする制度の導入などである。
【委員】
今の答弁の中にあった主な改正内容、役職定年制の導入と給与の7割措置は、職員のモチベーションに大きな影響を与えるものであると考えられる。
この二つのキーワードが改正の肝であるが、管理監督職にある職員は、60歳となる年度末以降は、管理監督職以外の職に降任、役を降りるとあるが、役職定年制の概要や制度導入の趣旨について伺う。
また、役職定年制により降任した職員の配置や職務内容、組織としてどういった役割を期待するのかについても、併せて伺う。
【理事者】
役職定年制については、管理監督職である職員を60歳に達した年度の翌年度に管理監督職以外の職に降任をさせるというものであり、本県では、管理監督職にある職員を班長でない課長補佐級ポストへ配置している。これは、組織の新陳代謝を計画的に行うことにより、組織全体の活力を維持するために導入するものである。
配属先については、本人の適性や能力、経験等を考慮しつつ、職場全体の人員構成なども踏まえた上で検討していく。
また、職務については、グループの一員として60歳以下の課長補佐の職務と同様、課長補佐級に求められる本格的な職務に従事することに加えて、長年培ったマネジメント能力や専門知識等を若手、中堅職員の指導、育成にも生かしてもらうことを期待している。
【委員】
組織として新陳代謝を図りながら、いわゆる降任した職員が現役時代に培った能力や知識などを生かして本格的な職務に従事してもらうとのことであるが、処遇面では給与の7割措置が実施される。
60歳を頂点として給与が減少するという制度設計の在り方も含めて、60歳に達した職員の給与を原則7割水準とすることとした理由は何か。
【理事者】
60歳に達した職員の給与を原則7割とすることについては、人事院による定年引上げに関する調査において、民間企業における60歳を超える従業員の給与水準が60歳前の7割程度であったことを踏まえ、国家公務員の場合、60歳に達した職員の給料は、60歳に達した年度の翌年度から60歳前の7割とすることとされた。
一方、地方公務員の取扱いについては、総務省から、地方公務員法第24条の均衡の原則に基づき、国家公務員に準じた措置とするよう要請がなされ、愛知県の人事委員会でも、国の制度を基本として定めるべきとの考えが示されたことを踏まえて、本県でも、国家公務員と同様、60歳に達した職員の給料は7割水準とする制度とした。
【委員】
愛知県職員を含めた公務員全体の定年年齢を段階的に引き上げ、また、それに伴う役職定年制導入や給与の7割措置については、法律の規定や国家公務員の取扱いとの均衡上県独自に制度設計することは難しいことは理解できた。
しかしながら、60歳以降も引き続き県で勤務してもらう以上は、やりがいを持ち、モチベーションを維持することができる勤務条件、勤務環境をしっかり整えることが重要であると考える。
そこで、今年度からスタートした定年年齢の引上げについて、人事当局としては、今後どういったことに留意しながら運用していくつもりなのか。
【理事者】
導入初年度となる今年度末には、定年退職者がおらず、役職定年を迎える職員が初めて出てくることになる。長年公務に携わってきた職員が役職定年した後も引き続き活躍するためには、モチベーションを維持、向上できる環境を整えていくことが重要と考えている。
そのため、役職定年を迎える前年度、愛知県職員の60歳以降の働き方についてという冊子を配布し、任用や給与の取扱いなど各種制度の情報提供を丁寧に行い、理解を深めてもらうとともに、60歳以降の働き方について職員一人一人に意思、意向を確認していくこととしている。
そして、これまでに習得した知識や経験を生かすことができる部署へ配置するとともに、知識のアップデートや組織で期待される役割について理解を深めるための研修を実施していく。
このように、高齢期職員の意向についても留意しつつ、今後生じる可能性のある新たな課題についても的確に対応しながら、円滑な運用に努めていく。
【委員】
人事管理監から答弁のあったことは、私自身も大きな課題であると考えており、当局としてしっかりと検討して取り組んでもらう必要がある。
最後に、人事管理監の答弁と重なる部分もあるかもしれないが、私自身の課題認識や問題意識も織り込みながら要望したいと思う。少子・高齢化により生産年齢人口が減少する中、高齢期職員の知識や経験を生かしていくことは、公務の場でも大変重要なことであり、今年度から始まる定年引上げでも、いかに60歳以降の職員の能力と意欲を引き出し、公務の現場に活用していくかを重視している点は理解できる。
しかしながら、そもそも60歳を定年とする取扱いは古い時代に決められたものであり、平均寿命や年金支給開始時期など、昔と今では社会状況も異なっている。変化している中で、一律に60歳で線を引いて区切りをつけるのは、少し疑問が残る。
定年引上げによりこれまでの1年更新の再任用制度よりは、活躍の幅は広がるが、60歳以降は管理職になれずに、給与も60歳時の7割水準となれば、モチベーションややる気が必ずしも高くない高齢層の職員も少なからずいると思われる。
また、その一方で、60歳以降の人生設計や家族の介護、自身の体調面などにより、職責の軽い職を希望し、フルタイムではない短時間での勤務を利用したい職員もいると思う。
人生100年時代と言われ、働き方も多様化する今日、一律に60歳を区切りとした任用・給与制度とすることは、現状では法律上の制約や国家公務員との均衡の面からやむを得ないとの理解をせざるを得ない部分もあるが、そうした中にあっても、高齢層職員の意欲や能力を有効に活用できるよう、より効果的な制度運用を継続してアップデートしてもらうことを要望する。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年6月30日(金) 午後0時57分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
辻 秀樹、おおたけりえ 正副委員長
水野富夫、伊藤辰夫、島倉 誠、石塚吾歩路、中根義高、藤原ひろき、
朝日将貴、天野正基、安井伸治、朝倉浩一、犬飼明佳 各委員
政策企画局長、企画調整部長、国際監、ジブリパーク推進監、
総務局長、総務部長、財務部長兼財政課長、人事局長、
人事管理監兼人事課長、会計管理者兼会計局長、同次長、
監査委員事務局長、同次長、人事委員会事務局長、同次長兼職員課長、
議会事務局長、同次長、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第 81 号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第2号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 入
歳 出
第2款 総務企画費
第3条(県債の補正)
第 83 号 愛知県手数料条例の一部改正について
第 84 号 愛知県県税条例及び愛知県産業廃棄物税条例の一部改正につい
て
第 91 号 工事請負契約の締結について(愛知県豊田加茂総合庁舎建設工
事)
第 97 号 公安委員会の委員の選任について
第 98 号 人事委員会の委員の選任について
第 99 号 愛知海区漁業調整委員会の委員の選任について
第100号 副知事の選任について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第81号、第83号、第84号及び第91号
全員一致をもって同意すべきものと決した議案
第97号から第100号まで
○ 請 願
第 3 号 「『消費税5%引き下げを求める意見書』採択を求める」につ
いて
第 4 号 「『インボイス制度実施中止を求める意見書』採択を求める」
について
(結 果)
賛成者なしをもって不採択とすべきものと決した請願
第3号及び第4号
<会議の概要>
1 開 会
2 議案審査(8件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
(3)採 決
3 請願審査(2件)
4 委員長報告の決定
5 一般質問
6 閉会中継続調査申出案件の決定
7 閉会中の委員会活動について
8 閉 会
(主な質疑)
《議案関係》
【委員】
スマートシティモデル事業は昨年度から始まった事業であり、昨年度は、調べてみると当初で三つの提案が選定されており、補正でさらに三つが追加で選定され、合計六つの提案が選定、実施されたと認識しているが、今回の補正予算を質問する前提として、まず、このスマートシティモデル事業の事業フレームと既決予算の3,014万4,000円の執行状況について伺う。
【理事者】
スマートシティモデル事業については、ICT等の先進技術を活用して地域課題を解決しようとする市町村を県が支援し、成果を県内に広く普及することを目的とする事業である。
そのスキームについては、まず、市町村と先進技術を持つ企業等がコンソーシアムを組み、地域課題を解決するモデルを県が公募し、外部有識者を含む選定委員会で、応募の中から優れた提案を予算の範囲内で選定して、県が事業委託する形で実施するものである。
そして、年度末に他の市町村が参加する成果報告会を開催し、その成果を発表してもらうことで情報やノウハウを共有して、横展開を図っていくものである。
既決予算分については、予算成立後の3月24日から4月19日までの期間で公募を実施したところ、7市町から提案があり、予算の範囲内で3市町、刈谷市、日進市、幸田町を選定した。
3市町の事業費については、それぞれ上限の1,000万円に近い額となっていることから、3市町の事業の実施と3月に予定している成果報告会の開催経費を合わせて、既決予算についてはほぼ全額を執行する見込みである。
【委員】
昨年度も9月定例議会で補正予算を計上しているが、今年度もこうして補正予算が必要になった理由は何か。
あわせて、今回、9月定例議会ではなく6月定例議会での提出になった理由についても伺う。
【理事者】
既決予算の範囲内で3市町を選定したが、選定から漏れた提案の中には、地域課題の解決につながり、横展開が可能なものもあった。選定されなかった4市をはじめ、幾つかの市町村へのヒアリングをしたところ、県の支援があれば、年度途中からでも取組を実施したいとの意向を示す市町村もあった。意欲のある市町村を支援することでスマートシティの事業例をさらに創出し、県内全域でのスマートシティの取組を加速化させたいとの考えから、追加公募を行うこととした。
モデル事業の実施に当たっては、十分な準備期間や実証の期間が必要であるので、できるだけ早く追加公募を始める必要があるが、昨年度の追加公募については、9月開始だったことから、選定された市から実証期間の確保が非常に難しかったと聞いている。
今年度は、3月下旬から事業の募集を始めるなど、昨年度に比べて当初の公募時期や審査期間を前倒しで設定し、追加募集の補正予算の提案が6月定例議会に間に合う時期であったため、今回提案した。
【委員】
各コンソーシアムが行う取組の準備や実証期間をできる限り長く取るため、公募や選定といったスケジュールを昨年度よりも約1か月前倒したこと、自治体へのヒアリングをしたところ、追加公募の機会があれば参加する意欲があると確認が取れているので、6月定例議会に提出を間に合わせたと理解した。とても意味があることだと思う。
そこで、今回提出した補正予算の提案額について、その額を2,000万円とした根拠を伺う。
あわせて、昨年度は補正で三つの提案を選定したが、今回、幾つの選定を予定しているのか。
【理事者】
追加公募については、選定から外れた4市を全て選定するのではなく、改めて全市町村を対象に募集を行い、その中から、課題解決に向けた先進技術活用の有効性や他地域への横展開の可能性といった観点から、よりよい事業を選定していきたい。
当初予算が3,000万の事業に対する追加公募であること、また、昨年度の補正予算額が2,000万円であったことなどから、今回は2,000万円で提案した。
年度途中の公募であるので、市町村からどの程度の予算規模の提案が出てくるかは、まだ分からない状況である。成功事例を数多く創出するためにも、予算の範囲内でできるだけ多くの市町村を選定していきたい。
【委員】
昨年度、この事業で岡崎市が代表となって提案した次世代パーソナルモビリティーで、中心市街地の渋滞緩和チャレンジという取組が選定され、今年度は、幸田町が代表となって提案した高齢者移動支援施策タクシー料金助成制度の高度化に向けた実証が選定されている。
市町の職員と話をしていると、県のスマートシティモデル事業というのは、応募しやすいそうである。社会課題の解決に向けて意欲ある自治体に、こうして事例を積み重ねてもらうことが大事であるし、そうした事例の蓄積があることがこの事業の目的にもある横展開へつながっていくと思っているので、今回の補正でそうした事業の事例が増えていくことを願う。
【委員】
総務企画費の第2項総務企画管理費、情報推進費、補正額763万円、AICHI X TECHに関わる補正予算について質問する。
簡単に言うと、行政課題に対して民間企業がICTを活用した解決策を提案するデジタル技術を導入するための事業だと理解しているが、今回、補正予算案はどのような行政課題に対してどのようなデジタル技術を導入する予定なのか。
【理事者】
今回の補正予算についてであるが、2022年度に実施した実証実験の結果、行政課題の解決に優れた効果が認められた二つのテーマについて、成果として得られたデジタル技術を導入するものである。
一つ目のテーマは、愛知県図書館における課題である。
愛知県図書館では、年間8,000件もの電話での問合せがあるが、その対応が開館時間に限られるという課題と、年間約1,416万件ものアクセスがある図書館ウェブサイトが、情報量が多く必要な情報を見つけにくいという課題があった。
そこで、24時間いつでも簡易な問合せに対応できるAIチャットボットを図書館ウェブサイトに導入する。これによって、県民からの問合せに開館時間外にも対応し、ウェブサイト閲覧時にも目的の情報により簡単に到達できるようにするものである。
二つ目のテーマは、あいち航空ミュージアムにおける課題である。
来館者が減少傾向にあることから、特に子供たちの来館を促すため、興味を喚起し持続させる展示の仕組みづくりが課題であった。
そこで、新しいデジタル展示を導入する。これは、来館者がクイズを作成、投稿できる参加型のクイズ機能と拡張現実、いわゆるARを利用し、あたかもその場でブルーインパルスなどの飛行機が飛行しているような風景をスマートフォンなどで見ることができる航空機AR機能を備えた展示となる。
【委員】
これら二つのテーマについて、2022年度実施した実証実験はどのような内容だったのか。その実証実験の成果を伺う。
【理事者】
一つ目の愛知県図書館のテーマでは、AIチャットボット導入による効果を実証する実証実験を行った。その結果、一月で267件の開館時間外の問合せにAIチャットボットが対応した。これは、AIチャットボットが対応した総数1,157件の約4分の1に相当し、開館時間外の問合せ対応の必要性と、AIチャットボットによる利便性向上の効果を確認することができた。
二つ目のあいち航空ミュージアムのテーマでは、デジタル展示の効果を検証する実証実験を行った。社会見学でミュージアムに訪れた県内の小学5年生にこの新しい展示を体験してもらい、アンケート評価を実施した。その結果、展示の満足度、リピート希望度、他人への推奨度、いずれでも8割以上の評価を得ることができ、将来の航空機産業の担い手となる子供たちの興味を喚起し、持続させる効果を確認することができた。
【委員】
愛知県図書館への時間外の問合せは267件と非常に多く、こうしたICTの技術を入れることで、より利用者の利便性が図られると理解できた。
次の質問に移るが、これは6月の補正で上がってきたが、本来であれば当初でやるべきものと思うが、この6月補正で導入に要する事業費を計上することとなった、その考えを伺う。
【理事者】
6月補正とした考え方であるが、昨年度の実証実験の結果、二つのテーマについては優れた効果が認められ、かつ速やかな導入が可能であることが確認できた。このため、行政課題の早期解決と県行政のDX推進の加速に向けて、成果として得られたデジタル技術を早期に導入することとし、今回の補正にて計上したものである。
【委員】
今の説明で、速やかにやった結果が6月補正とのことだが、今年度の当初予算に計上できていれば、さらに早い導入につなげられていたのではないかと思うが、どのように考えるか。
【理事者】
昨年度は、事業の初年度のため、課題の選定や企業等の募集、マッチングなどに要する時間をある程度の余裕を持って確保して、実証実験を9月から開始した。
今年度は、昨年度の取組で得られた実施ノウハウを活用し、実証実験の開始を前倒して8月から実施していくことを予定している。実証実験の開始を少しでも早めることで、それぞれの行政課題の解決への効果を早期に見極め、次年度当初からの事業実施につなげられるスケジュールによって進めていきたいと考えている。
【委員】
皆の努力によって、来年度は当初でやれるように少しずつ時間を早めたと認識した。
このICT技術を導入して民間で解決するのは、本当にいいことだと感じる。
導入時期に関しては、補正予算の参考資料には10月導入予定と記載されている。導入のための事業者の決定や開発などの実装に向けた準備が必要だと思うが、今後どのようにスケジューリングしていくのか。
【理事者】
今後のスケジューリングであるが、導入時期については、議決されたら、速やかに実証実験により確立された導入すべきデジタル技術の調達仕様に基づいて、企画競争型随意契約または一般競争入札、いずれかの調達方法により公平性を確保して導入業者を決定する。
昨年度の実証実験で調達仕様を作成しているので、要件定義に要する期間は不要となり、通常よりも短い期間での開発が可能と見込まれるため、10月に導入が可能となると考えている。
【委員】
愛知県が抱える行政課題に対してICT技術で解決しようと、民間の技術を入れる姿勢に対しては高く評価したい。
さらに愛知県民にとってよりよい行政運営に努めるため、1点要望する。
昨年度と今年度、この事業で、行政内部からの課題を募集しているとのことだが、よく言われる、書類が多いとか、手続の時間が長いとか、そういった声など、県民や民間企業から見るともう少し工夫の余地がある仕事もまだまだあると思う。
そこで、このAICHI X TECH事業の課題の選定の段階で、愛知県民や民間企業の声を十分考慮して決定し、このICT技術で解決してもらうことを要望する。
《一般質問》
【委員】
昨年の11月1日、ジブリパークの3エリア、ジブリの大倉庫、青春の丘、どんどこの森が開園して、6月30日でちょうど8か月が経過した。
まず、訪日外国人旅行者について、開園直前の昨年10月は、空港等での新型コロナウイルス感染症の水際対策が大幅緩和されたものの、コロナの影響が大きくあった時期であった。また、開園当初は、国内需要が高い時期でもあったことから、これまでのところ、来園者の大半は国内からの旅行者であると認識しているが、国の観光局のデータによると、今年5月の訪日外国人旅行者数は、コロナ禍前の2019年の7割程度まで回復してきているとのことである。これからジブリパークでも、いよいよ訪日外国人旅行者の受入れが本格化してくる時期を迎えると思う。そこで、ジブリパークにおける訪日外国人旅行者の受入体制について、開園当初からの変更点を含めて、現在の状況を伺う。
【理事者】
ジブリパークでは、コロナ禍の影響により、開園当初は国内向けにチケットを販売していたが、桜の見頃となる春先には海外からも多くの旅行者に訪れてほしいと考え、今年1月から、英語版の海外個人向けチケット販売サイトの運用を開始し、3月15日から、本格的に訪日外国人旅行者の受入れを始めている。
チケットの売行きは大変好調で、入場月の3か月前に販売を開始すると数日で完売する状況であることから、運営会社である株式会社ジブリパークでは、国内向けのチケット販売状況とのバランスを見ながら、平日を中心に、徐々に訪日外国人旅行者の受入数を増やしている状況である。
各施設における訪日外国人旅行者への配慮策については、運営会社で、入口付近に外国語に堪能なスタッフを配置するとともに、ジブリの大倉庫では、英語版、中国語の繁体字・簡体字版、韓国語版の案内マップやカフェのメニューを用意している。
また、ジブリパークのエリア外でも、都市・交通局と連携し、ジブリパークの開園に合わせて新たに募集した、愛・地球博記念公園で活動するボランティア約100人のうち、3割強の人が訪日外国人向けの言語サポートに従事している状況である。
このほか、ジブリパークのショップでは、訪日外国人旅行者がレコードやポスターなどのアート系の商品やぬいぐるみなどをよく購入する傾向があることから、運営会社では、そうした傾向に合わせた品ぞろえや商品開発を検討していると聞いている。
今後、さらに2エリアが開園すると、ジブリパークを訪れる訪日外国人旅行者が現在以上に増えると見込まれることから、引き続き、運営会社や都市・交通局と連携し、きめ細かな対応を心がけていきたい。
【委員】
ジブリパークまでの道中や園内での訪日外国人旅行者への対応に力を尽くしているとよく分かった。
訪日外国人旅行者の来園者数が一気に増えるのではなく、徐々に増えていくのが理想だというのは、とても分かる。
だが、ホームページを見ても、日本語版と英語版の二つはあるが、いろいろな国からの訪日外国人旅行者をこれから徐々に増やしていこうと思うと、それに対応した多言語化というのも課題になってくると思うので、そうしたところも今後期待していきたい。
昨年3エリアの開園前の段階で在外公館の人と話をする機会があり、当時ちょうど株式会社ジブリパークのほうで戦略的な情報の出し方をやっていた時期でもあったので、情報さえもらえれば母国語でいろいろな発信を我々もでき、協力できるのだがという話を聞いた。今回の第2期の開園についても、充実した情報発信を、今度は来た人ではなくて来る人をどうやって引き寄せるかになってくると思うので、海外メディアの活用はもちろんだが、在外公館も本県にはいろいろあるので、そうしたところへも積極的な働きかけを展開するように要望する。
次に、ジブリパークでは残る2エリアの整備工事が進められており、今年の秋にはもののけの里、本年度内には魔女の谷が開園する予定と聞いている。エリアの追加によって、ジブリパークの魅力がさらに高まり、訪日外国人旅行者はもとより、国内の旅行者にとっても、これまで以上に人気を博す目的地となることを大いに期待している。
中でも、魔女の谷はジブリパークの中で最大のエリアになるため、スタジオジブリ作品の世界観を表現する建築物も、全エリアの中で最も多く配置されると聞いている。
そうした建築物の整備に当たっては、訪日外国人旅行者への配慮のみならず、障害者や小さな子どもの保護者など様々な人への配慮が不可欠であることは間違いないと思う。
そこで、ジブリパークの整備に当たり、障害者や小さな子どもの保護者など様々な人への配慮についてどのように対応しているのか。
【理事者】
ジブリパークの整備に当たっては、多様な利用者がともに楽しめる公園づくりを基本方針の一つに掲げ、年齢や障害の有無などにかかわらず、できるだけ多くの人が利用できるようにデザインする、ユニバーサルデザインの考え方を重視している。
このため、現在進めている2エリアの整備でも、先行開園した3エリアと同様、設計の段階から子育て世代や高齢者、障害者などの関係団体及び学識経験者の意見を聴き工事に反映するとともに、今年3月下旬には、意見の反映状況を現地で直接確認してもらう機会を設けるなど、利用者の目線に最大限の注意を払いながら工事を進めている。
具体的な例としては、関係団体からの意見を踏まえ、車椅子利用者が後ろ向きでも安全にエレベーターを降りられるようエレベーター内に鏡を設置し、点字が苦手な視覚障害者でも扱いやすいよう操作ボタンを数字が浮き出した形状に変更したほか、各トイレでは、スペースの許す範囲内で、できる限り大人用ベッドや手すり、ベビーチェアを備え付けるようにしている。
また、先行開園した3エリアの運営面でも、利用者からの要望に応じ、運営会社と協議の上、ジブリパーク内で貸し出した車椅子の返却をジブリパーク外の案内所などでも行えるよう公園管理者と連携して運用を改めたり、また、ジブリの大倉庫内のおむつ替えスペースでは、午後に日が差し、赤ちゃんの目に日光が当たるとの指摘を踏まえ、運営会社が窓にロールスクリーンを後付けするなどの対応を行っている。
2エリアの開園に向け、引き続き運営会社や公園管理者と密に連携協議しながら、利用者目線の対応を心掛け、ジブリパークを訪れる全ての人が滞在期間中に快適に過ごしてもらえるよう取り組んでいく。
【委員】
最後に、もののけの里が今年の秋に開園予定と聞いている。昨日の6月29日までが、10月27日の愛知県民デーの入場チケットの申込みであった。そこにもののけの里の申込枠はなかったそうである。10日後の7月10日には、10月分の入場チケットの発売が開始となるわけであるが、今のところ、もののけの里についての告知は私もまだ耳にしていない。
開園日はいつなのかという問合せも来るが、一般に12月を秋とは言わないので、開園の時期は大体そういうことかなと推測がつくところまで来ているようにも感じるが、本県は、昨年、県政150周年を記念してのあいちウイークを契機として、県民の日学校ホリデーや休み方改革に取り組んでいるので、もののけの里の開園日がもっと前に分かっていれば、休暇を調整して家族で一緒に行けたのにという意見が耳に届くことがないといいとも感じている。戦略性に富んだ株式会社ジブリパークなので、告知についても十分に戦略性を持ったプレスリリースをするとは思うが、可能であれば、開園したらすぐに行きたいというジブリファンの人たちは、十分にじらされていることを伝えてほしい。
【委員】
6月22日の一般質問で、公明党愛知県議員団の岡明彦議員が視覚障害者や高齢者などに対する便宜供与として音声コードユニボイスの普及について、県の活用状況や県内の市町村の導入状況などを質問した。
福祉局長からは、県機関での活用状況や県内市町村の導入状況などの紹介とともに、今後も引き続き庁内各局や県内市町村に対して音声コードの積極的な導入を働きかけるなど、さらなる音声コードの活用に取り組んでいくという答弁があった。
音声コードユニボイスについては、無料アプリをスマートフォンにインストールするだけで誰でも簡単に使用ができ、正確に情報を伝えることができるため、公明党としては積極的な導入に取り組んでいる。
県では、福祉局が取りまとめているが、実際に導入するのは関係各局であり、本日は選挙管理委員会の取組状況について伺う。
昨年度は選挙イヤーとなり、昨年7月には参議院選挙、本年2月には愛知県知事選挙、さらに、4月には県議選をはじめとする統一地方選挙が行われた。選挙の重要性については改めて言うまでもないが、いつ選挙があるのか、候補者がどのような政策を訴えているのかなどについて、全ての有権者に情報が確実に届く必要があり、また、投票所などで投票しやすい環境を整えていく必要がある。
そこで、県が行う選挙に関して、音声コードの導入事例をはじめ、視覚障害者や高齢者などに配慮した取組はどのようなものがあるのか伺う。
【理事者】
県選挙管理委員会では、選挙の期日や投票方法などを有権者に知らせる啓発チラシに音声コードを取り入れている。また、音声コード以外では、選挙公報の内容を点字化したものや音声化して収録したものを選挙のお知らせとして作成し、対象者や市町村に配布している。
このほか、選挙公報のデータや候補者の希望に応じて自動音声読み上げ対応データをホームページに掲載し、パソコンやスマートフォンで閲覧や聞き取りができるようにしている。
なお、県議会議員選挙の選挙公報については、2019年執行の一般選挙から発行しており、本年4月執行の一般選挙からは、自動音声読み上げ対応データをホームページに掲載している。
【委員】
県の選挙管理委員会では、啓発チラシに、音声コードも導入しているという答弁である。私もこの選挙のチラシをもらい、実際に音声コードで音声を聞き取りもした。要点がまとまっていて、非常に分かりやすいものになっていると実感した。今後も、選挙の啓発チラシには必ず音声コードを載せてもらうよう要望する。
また、答弁があったとおり、視覚障害者向けの取組として、特に私たちが関係する愛知県議会選挙でも、前回2019年からの選挙公報の導入と、そのときには点字版、音声版を作成したとのことでである。今回からは、候補者の希望に応じて、音声読み取りデータをホームページに掲載もした。こうした全ての有権者が選挙に関する情報をより取得しやすくなるための取組を今後も続けてほしいと思う。
次に、市町村選管の取組について伺う。
市町村では、選挙時の音声コードの導入事例をはじめ、視覚障害者や高齢者などに配慮した取組はどのようなものがあるのか、特に、投票所入場券に音声コードを導入している事例はあるのか。
【理事者】
県内市町村では、投票所や期日前投票所で、候補者の氏名掲示の内容を点字化したもの、文字を拡大したもののほか、老眼鏡やルーペなどを配備している。
また、投票所入場券については、名古屋市、豊橋市、半田市、豊川市、豊田市の5市で、点字による案内をつけて対象者に送付している。
なお、現時点で、投票所入場券に音声コードをつけている団体は県内にはない。
【委員】
投票所や期日前投票所については、様々な配慮をしているとのことである。また、投票所入場券については、5団体が点字による案内を送っているとのことである。
ただし、投票所入場券に音声コードをつけている事例がないのは非常に残念である。視覚障害者は点字もあると思うが、高齢者向けという観点からも、音声コードもぜひ進めてほしい。
選挙が行われるときに有権者が一番初めに手にするものが投票所入場券である。他県では、投票所入場券に音声コードを導入している事例があることも聞いているが、他県の導入状況はどのようになっているのか。
【理事者】
県選挙管理委員会で把握している事例としては、まず、東京都世田谷区では、2013年の都議会議員選挙から、全ての有権者に対して投票所入場券を入れる封筒に投票時間や問合せ先などを収録した音声コードをつけて送付している。
また、福岡県福岡市では、2021年の福岡県知事選挙から、希望する人に対して投票日や投票所などを収録した音声コードを印刷した紙を投票所入場券と一緒に送付する取組をしている。
【委員】
他県では、東京都世田谷区や福岡県福岡市でも導入事例がある。
視覚障害者に限らず、高齢者でも音声コードがあれば投票日などを手軽に聞くことができる。先ほど答弁のあった団体の取組を全国に広げていくことが必要ではないかと考える。
先般の岡明彦議員の一般質問では、県内市町村では、昨年度までに30市町村で音声コードの導入事例があるとのことであったが、全く導入されていない団体も相当数あることになる。音声コードの導入には市町村の関係者の理解、協力が必要な部分もある。投票所入場券という一つのツールをきっかけに、導入がさらに進んでいくことを期待したい。
県選挙管理委員会では、市町村選挙管理委員会に対し、投票所入場券に音声コードをつけることを検討するよう呼びかけることを要望する。
あわせて、今回は選挙に関係して取り上げたが、この総務企画委員会が所管する局の中には、直接県民にチラシやパンフレット等、周知をする事業を持っている課室もあると思う。県民に周知を図るためのチラシやパンフレット等を作成する際には、音声コードを積極的に活用してもらうことを要望する。
【委員】
財務規則第150条では、入札における公告の時に、インターネットで公開し広く公平に落札してくれる業者を募る規定になっている。しかし、入札以外のカテゴリーに属する公募型プロポーザル、補助金を受ける際の選定、PFI業者を決める際の選定など、この規定に含まれていないが、同様にインターネットで公開して、オープンな場で公表し、業者を広く募っていくことがふさわしいものもあると考える。
実際、運用上は、この150条の趣旨を踏まえ、これらの選定方法の時もこの財務規則を準用した考え方で、インターネット公開を基本として職員は対応していると認識しているが、そのような認識でよいか。また、そうであれば、きちんと財務規則上に記載すべきと考えるが、いかがか。
【理事者】
入札に際しての公告については、財務規則第150条に基づき、掲示とインターネットの併用などの方法により行っている。インターネットにより公告するときには、愛知県のホームページの中に入札、契約、公売情報に関するページを設けており、そこに掲載することとし、事業者に広く周知している。
一方、入札ではない公募型プロポーザルや補助金交付先の選定、入札方法によらない一部のPFI事業の選定の手続などについては、150条の適用は受けないが、各事業を実施する部局で、入札の場合の取扱いも参考にしながら適切な募集方法を採用している。
次に、入札以外の公募手続について、財務規則で規定すべきではないかという点について、公募型プロポーザルなどにおける相手型の選定方法は、インターネットのみならず、記者発表や説明会の開催、周知用パンフレットの配布など契約や支出の前段階の行為について、契約や支出など財務に関する手続を定めている財務規則とは範囲が違う性質のものと考えている。
実際には、例えば公募型プロポーザルについても、入札、契約、公売情報のページにプロポーザルというカテゴリーがあり、部局が登録をし、まとめて閲覧することが可能となっているなど、事業を実施する各部局において適切な方法で実施している。
いずれにしても、公平性や透明性の確保は重要だと考えているので、会計事務職員が事務を行う上で使用する手引書へ記載するなど、手続の公平性をより高めるよう徹底していく。
【委員】
続いて、公告の期間について、財務規則では5日以上とあるが、他県ではもっと日数を取って周知期間に留意している都道府県もある。また、実際は10日から2週間程度は公告期間を取っている場合が多いと感じる。
緊急の場合は短期間で仕方ないとしても、他県のように原則はもっと公告期間を長く取り、多くの業者に検討してもらう機会をつくることで、よりよい提案が提出され、公平性も担保できると考えるが、財務規則を変更することを含めて考えを伺う。
【理事者】
本県以外の政令指定都市のある15の都道府県の財務規則等を調べたところ、原則として10日前、急を要する場合では5日前まで短縮できるという規定をしている団体が11あった。残る4団体のうち、予定価格により期間に差を設けている場合もあるものの、急を要する場合には5日前まで短縮可能としているものが2団体という状況であった。
本県では、最低限の期間として少なくとも5日前までと定めているが、これにより、急を要する場合にその判断を、施策を実施する契約担当課が柔軟にスピード感を持って対応できるものと考えている。
一方、本県の実際の運用については、例えば会計局で実施する物品の調達に係る入札では、2週間程度の公告期間を設けており、建設工事については、建設業法等で規定する公告期間に従い、事業者が確実に見積もることに必要な期間を設けている。
しかしながら、入札であっても、入札以外の手続であっても、公告や公募期間を十分に取り、多くの事業者に検討してもらう適切な期間を設けることは大変重要だと考えている。
会計局としては、事業の内容に応じた適切な期間が設定されているかどうかについて、各部局や地方機関に対して実施する検査等で確認し、本県の実態の把握に努めていく。また、先ほども答弁したが、会計事務職員が事務をする上で使用する手引書へ記載するなど、手続の公平性をより高めるよう徹底していく。
【委員】
続いて、災害義援金の募集について伺う。これは2023年6月2日の水害被害者への災害義援金の募集受付についての質問である。
今回の線状降水帯発生による被害は、床上浸水や農業被害をはじめとして大きな被害があった。家屋が全壊、半壊した人から今後の生活再建への不安の声、そして、床上浸水した人から畳やベッド、マットレス、本棚、電化製品が水にぬれて駄目になってしまったという大変な声、床下浸水した人から、臭いの対策や基礎の部分に水がたまったものを取り除くなど、いろいろ費用がかかり困っていると聴いている。
一方で、県からの災害見舞金は、床上浸水が、今のところ2万円など、甚大な被害にもかかわらず支援額が少額過ぎるという気がしている。
静岡県は、今回の水害に対して6月9日から災害義援金の募集を開始している。なお、被害状況は愛知県より件数で見ると少ない状況であると思う。また、茨城県も募集を開始した。
過去を遡ると、大きくニュースになった熊本県の豪雨などのときも被災地である各県は義援金を募集し、被災者に配分している。本県でも2008年の岡崎市を中心に大きな被害があった水害の時など義援金を集めている。
そこで、まず、義援金を集める際には、何か国のほうで規定などがあるのか。
また、今回の災害が義援金を集める災害かどうかの基準は、愛知県独自で決められるのか。
【理事者】
地方公共団体における災害義援金の募集に関しては、法令の規定や国が定めた基準等はない。したがって、災害義援金の募集については、個々の地方公共団体の判断による。
【委員】
募集は愛知県独自で決めることができるという解釈であるが、そうであれば、本県でも災害義援金を募集して、少しでも被災した人の負担を軽減できるよう取り組んでいくのが望ましいと思うが、考えを伺う。
【理事者】
本県における災害義援金の募集に関する基本的な考え方については、原則として、災害救助法が県内の市町村に適用された場合に、適用市町村数、被害状況、過去の受付状況等を考慮して判断している。
今回の6月2日の大雨に関し、先ほど委員から示された静岡県や茨城県に加えて、当方で確認している埼玉県や和歌山県でも、災害救助法の適用を受けた後に災害義援金の募集を開始している。
また、これら4県のほか、大半の都道府県でも、災害救助法の適用を基本としているところであり、本県としては、引き続き現行の考え方をもって執り行っていきたいと考えている。
なお、災害義援金等を寄せてもらう人達の援助を確実に被災地域につないでいくことの重要性を考慮して、このたび、新たに愛知県のホームページで市町村の募集窓口等を案内するなど適切に対応している。
【委員】
少子・高齢化の進行による生産年齢人口の減少などが急速に進む現在、働く意欲と能力のある高齢者が活躍できる場を広げることは極めて重要であり、民間企業でも、定年年齢を引き上げたり継続雇用制度を導入するなど、高齢者の雇用確保に向けた様々な施策が実施されている。
こうした中、愛知県職員についても、定年年齢を引き上げるため、昨年の令和4年の9月定例議会で、職員の定年に関する条例等を一部改正したところであり、今年度末、60歳に達する職員の定年年齢が61歳に引き上げられ、今後段階的に65歳まで引き上げることとする新たな制度が動き出すことになる。
今年度からスタートするこの新たな定年制度を迎えるに当たり、高齢層職員の中には、これまでどおり正規職員として勤務することができるという安心感がある一方で、体力面や健康面、収入面はもとより、働き方の変化への戸惑いや人間関係の不安を感じる職員もいると思うし、そのような声も聞く。また、制度開始に当たっては、これまで想定していなかったような新たな課題等も見えてくると思う。
そこで、愛知県職員を含めた公務員全体について、今年度から定年年齢を段階的に引き上げることとした背景、理由を改めて伺う。
また、昨年9月定例議会で職員の定年等に関する条例等の一部改正等を行っているが、その主な改正内容について改めて確認する。
【理事者】
まず、定年年齢の引上げの背景、理由についてであるが、公務員の定年年齢については、平均寿命の伸長や少子・高齢化の進展を踏まえて、豊富な知識、技術、経験等を持つ高齢期の職員に最大限活躍してもらうために、これまでの60歳から65歳に引き上げるよう、国家公務員法及び地方公務員法の一部改正が行われた。
これを受け、本県でも、令和4年9月定例議会において条例改正を行い、国家公務員と同様、本年4月から定年年齢を2年ごとに1歳ずつ段階的に引き上げることとした。
主な改正としては、管理監督職にある職員は、60歳となる年度末以降は、管理監督職以外の職に降任させることとするいわゆる役職定年制の導入、それから、60歳に達した職員の給与は、原則7割水準とする制度の導入などである。
【委員】
今の答弁の中にあった主な改正内容、役職定年制の導入と給与の7割措置は、職員のモチベーションに大きな影響を与えるものであると考えられる。
この二つのキーワードが改正の肝であるが、管理監督職にある職員は、60歳となる年度末以降は、管理監督職以外の職に降任、役を降りるとあるが、役職定年制の概要や制度導入の趣旨について伺う。
また、役職定年制により降任した職員の配置や職務内容、組織としてどういった役割を期待するのかについても、併せて伺う。
【理事者】
役職定年制については、管理監督職である職員を60歳に達した年度の翌年度に管理監督職以外の職に降任をさせるというものであり、本県では、管理監督職にある職員を班長でない課長補佐級ポストへ配置している。これは、組織の新陳代謝を計画的に行うことにより、組織全体の活力を維持するために導入するものである。
配属先については、本人の適性や能力、経験等を考慮しつつ、職場全体の人員構成なども踏まえた上で検討していく。
また、職務については、グループの一員として60歳以下の課長補佐の職務と同様、課長補佐級に求められる本格的な職務に従事することに加えて、長年培ったマネジメント能力や専門知識等を若手、中堅職員の指導、育成にも生かしてもらうことを期待している。
【委員】
組織として新陳代謝を図りながら、いわゆる降任した職員が現役時代に培った能力や知識などを生かして本格的な職務に従事してもらうとのことであるが、処遇面では給与の7割措置が実施される。
60歳を頂点として給与が減少するという制度設計の在り方も含めて、60歳に達した職員の給与を原則7割水準とすることとした理由は何か。
【理事者】
60歳に達した職員の給与を原則7割とすることについては、人事院による定年引上げに関する調査において、民間企業における60歳を超える従業員の給与水準が60歳前の7割程度であったことを踏まえ、国家公務員の場合、60歳に達した職員の給料は、60歳に達した年度の翌年度から60歳前の7割とすることとされた。
一方、地方公務員の取扱いについては、総務省から、地方公務員法第24条の均衡の原則に基づき、国家公務員に準じた措置とするよう要請がなされ、愛知県の人事委員会でも、国の制度を基本として定めるべきとの考えが示されたことを踏まえて、本県でも、国家公務員と同様、60歳に達した職員の給料は7割水準とする制度とした。
【委員】
愛知県職員を含めた公務員全体の定年年齢を段階的に引き上げ、また、それに伴う役職定年制導入や給与の7割措置については、法律の規定や国家公務員の取扱いとの均衡上県独自に制度設計することは難しいことは理解できた。
しかしながら、60歳以降も引き続き県で勤務してもらう以上は、やりがいを持ち、モチベーションを維持することができる勤務条件、勤務環境をしっかり整えることが重要であると考える。
そこで、今年度からスタートした定年年齢の引上げについて、人事当局としては、今後どういったことに留意しながら運用していくつもりなのか。
【理事者】
導入初年度となる今年度末には、定年退職者がおらず、役職定年を迎える職員が初めて出てくることになる。長年公務に携わってきた職員が役職定年した後も引き続き活躍するためには、モチベーションを維持、向上できる環境を整えていくことが重要と考えている。
そのため、役職定年を迎える前年度、愛知県職員の60歳以降の働き方についてという冊子を配布し、任用や給与の取扱いなど各種制度の情報提供を丁寧に行い、理解を深めてもらうとともに、60歳以降の働き方について職員一人一人に意思、意向を確認していくこととしている。
そして、これまでに習得した知識や経験を生かすことができる部署へ配置するとともに、知識のアップデートや組織で期待される役割について理解を深めるための研修を実施していく。
このように、高齢期職員の意向についても留意しつつ、今後生じる可能性のある新たな課題についても的確に対応しながら、円滑な運用に努めていく。
【委員】
人事管理監から答弁のあったことは、私自身も大きな課題であると考えており、当局としてしっかりと検討して取り組んでもらう必要がある。
最後に、人事管理監の答弁と重なる部分もあるかもしれないが、私自身の課題認識や問題意識も織り込みながら要望したいと思う。少子・高齢化により生産年齢人口が減少する中、高齢期職員の知識や経験を生かしていくことは、公務の場でも大変重要なことであり、今年度から始まる定年引上げでも、いかに60歳以降の職員の能力と意欲を引き出し、公務の現場に活用していくかを重視している点は理解できる。
しかしながら、そもそも60歳を定年とする取扱いは古い時代に決められたものであり、平均寿命や年金支給開始時期など、昔と今では社会状況も異なっている。変化している中で、一律に60歳で線を引いて区切りをつけるのは、少し疑問が残る。
定年引上げによりこれまでの1年更新の再任用制度よりは、活躍の幅は広がるが、60歳以降は管理職になれずに、給与も60歳時の7割水準となれば、モチベーションややる気が必ずしも高くない高齢層の職員も少なからずいると思われる。
また、その一方で、60歳以降の人生設計や家族の介護、自身の体調面などにより、職責の軽い職を希望し、フルタイムではない短時間での勤務を利用したい職員もいると思う。
人生100年時代と言われ、働き方も多様化する今日、一律に60歳を区切りとした任用・給与制度とすることは、現状では法律上の制約や国家公務員との均衡の面からやむを得ないとの理解をせざるを得ない部分もあるが、そうした中にあっても、高齢層職員の意欲や能力を有効に活用できるよう、より効果的な制度運用を継続してアップデートしてもらうことを要望する。