委員会情報
委員会審査状況
総務企画委員会
( 委 員 会 )
日 時 令和5年12月13日(水) 午後0時59分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
辻 秀樹、おおたけりえ 正副委員長
水野富夫、伊藤辰夫、島倉 誠、石塚吾歩路、中根義高、藤原ひろき、
朝日将貴、天野正基、安井伸治、朝倉浩一 各委員
防災安全局長、防災部長、県民安全監、関係各課長等
<付託案件等>
○ 議 案
第118号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第5号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第2款 総務企画費の内
第6項 防災安全費
第2条(繰越明許費の補正)の内
第2款 総務企画費の内
第6項 防災安全費
第3条(債務負担行為の補正)の内
愛知県基幹的広域防災拠点整備事業埋蔵文化財発掘調査
第132号 愛知県手数料条例の一部改正について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第118号及び第132号
<会議の概要>
1 開 会
2 理事に関する申合せの変更
3 議案審査(2件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
4 休 憩(午後2時6分)
5 再 開(午後3時18分)
6 採 決
7 一般質問
8 閉 会
(主な質疑)
《議案質疑》
【委員】
防災拠点整備のための調整池に関して、質問の前に確認したい。
本年9月定例議会の本委員会一般質問において、石塚吾歩路委員が埋蔵文化財調査に関して質問をした中で、試掘調査の結果、価値のあるものは発見されなかったとの趣旨の答弁があったが、なぜ埋蔵文化財の調査を行う必要があるのか。
【理事者】
本年9月の本委員会での石塚吾歩路委員からの質問とその答弁について、答弁が不十分であったため、少し振り返る。
石塚吾歩路委員からは、試掘調査の結果、どのようなものが出土したのか、現状保存をしなければならない遺跡はないのかとの質問があった。
それに対して、試掘調査の結果、弥生時代から江戸時代の間のものである土器片や陶磁器片といった遺物、また、竪穴式住居、柱の跡や溝の跡といった遺構が広く分布していることが発見され、その結果、文化芸術課文化財室から、工事の着手前に発掘調査が必要であると言われたが、発掘調査は記録保存のみとなり、調査後は工事が可能となる見込みであり、現時点で歴史的価値の極めて高い文化財は発見されていないと答弁した。
結論として、防災拠点で発見されている遺跡は、文化財と認められるため、発掘調査は必要である。
まず、試掘調査の結果、発見された遺物や遺構が文化財として扱われるか否かであるが、文化庁の通知には、埋蔵文化財として扱う範囲が示されており、時代がおおむね中世、鎌倉時代や室町時代までに属する遺跡は、原則として埋蔵文化財の対象とすることになっているため、防災拠点で発見された遺跡はこれに該当する。
次に、文化財の保護に関する取扱いであるが、基本的に現状保存が原則となっている。ただし、例外として、開発などによってやむを得ず現状保存ができない場合は、記録保存が認められている。記録保存は、発掘された遺跡の位置や大きさ、形といった情報を写真や図などのデータとして保存することであり、その記録を取るために発掘調査は必要となる。
最後に、9月の本委員会で、歴史的価値の極めて高い文化財は発見されていないと答弁したが、歴史的価値の極めて高い文化財とは、例えば奈良県の高松塚古墳や佐賀県の吉野ヶ里遺跡など、発掘して現れた遺跡をそのままの形で保存するほど価値がある、国が指定するような遺跡を指しており、このような非常に重要な遺跡は、防災拠点では発見されていないという意味で答弁した。防災拠点で発見された文化財は、歴史的価値の極めて高い文化財ではないが、文化財として認められるため、記録保存のための発掘調査は必要となる。なお、記録保存が終わった後であれば、工事を進めることができる。
【委員】
現状のまま保存する必要はないが、記録保存は必要であることを確認した。
次に、埋蔵文化財発掘調査の対象範囲はどの程度であるか確認する。
【理事者】
埋蔵文化財発掘調査の対象箇所は、文化庁の通知に基づき三つあり、そのいずれかに該当する箇所となる。
一つ目は、工事により埋蔵文化財が掘削され、破壊される場合、あるいはその箇所である。二つ目は、恒久的な構造物及び工作物の設置により、相当期間にわたり調査不能となり、埋蔵文化財が損壊されたのに等しい状態となる場合、あるいはそのような場所である。三つ目が、一時的な盛土や工作物であったとしても、その重さなどによって地下の埋蔵文化財に影響を及ぼすおそれがある場合、あるいはそのような箇所である。
防災拠点では、先ほどの一つ目、掘削により破壊される場合として、地下の構造物となる調整池や、それにつながる幹線水路が該当する。
二つ目の恒久的な施設としては、道路や河川、建築物が該当する。ただし、建築物は、規模、構造、耐用年数、将来利用計画などの観点から判断するとされているが、原則として、鉄筋コンクリート造の学校や工場、病院などは、発掘調査の対象とされており、防災拠点では、消防学校の庁舎などが該当する。それ以外の訓練施設や公園施設は、基礎が浅く、文化財を傷つけない可能性もあるため、現時点ですぐに調査を実施するのではなく、設計段階において詳細図を基に、文化財を傷つけるかどうかなど、調査の要否を判断することになる。
なお、防災拠点エリアの全ての対象施設において調査が必要となった場合、対象面積は最大で約3.3ヘクタールになると想定している。
【委員】
発掘調査の対象が鉄筋コンクリート造の学校であるとの答弁があったが、9月の本委員会で防災拠点の配置図が資料として提出された際、正式な配置は決まっていないと聞いた。
そうした中で、埋蔵文化財発掘調査をなぜ実施できるのか。
【理事者】
指摘のとおり、防災拠点の施設配置は確定していない。
現在、埋蔵文化財発掘調査の対象として想定している各施設の位置は、2021年度に策定した基本計画で検討した施設配置を用いている。
この基本計画の検討の際に、隣接する県営名古屋空港の中に設置されている航空機のレーダー施設に防災拠点は近接しているため、防災拠点に建築物が建つと、そのレーダーに影響を及ぼす可能性があるのではないかとの指摘があり、電波の影響が許容値内に収まるよう施設配置を変更したり、ずらしたりしながら、シミュレーションを繰り返して配置を検討した。
特に高さのある消防学校の庁舎などは、レーダーに及ぼす影響が大きいため、施設配置を変えることはほぼ困難であると考えており、基本計画の施設配置を前提に、埋蔵文化財発掘調査を進める。
なお、それ以外の訓練施設や公園施設は、先ほども説明したが、基礎が浅く文化財を傷つけない可能性もあるため、現時点ではすぐに調査を実施するのではなく、配置を含めて、設計の段階において詳細な図面により調査の要否を判断していきたい。
【委員】
施設配置は正式に決まっていないが、県営名古屋空港の飛行機や、隣にある自衛隊の基地の飛行に影響がなく、ほぼ変更はないと理解してよいか。
【理事者】
消防学校は、管理教育棟や宿泊棟といった複合訓練施設の高さが高く、電波への影響が大きいため、この位置から動かすことは不可能であると考えており、位置の変更はほぼない。
【委員】
過去からシミュレーションをしているにもかかわらず、なぜ12月補正予算で予算計上したのか。近くに青山神明遺跡があるため、文化財が発掘されることは当然に想定できたと思うが、なぜ当初予算で計上しなかったのか。
【理事者】
試掘調査費は当初予算に計上していたが、本発掘調査は、試掘調査の結果を見ないと規模が確定できないため、計上していなかった。神明公園の一部に青山神明遺跡があることは承知していたが、防災拠点の西側のエリアにまで広範囲に広がっているとは想定外であった。
本年4月から6月にかけて実施した試掘調査の結果が8月にまとまり、本発掘調査の範囲が確定し、そこから本発掘調査の実施に向けて文化財室と協議を重ねて、ようやく調査に着手する環境が整ったため、今回、補正予算を提出した。
【委員】
今回の補正予算は、調整池の箇所の発掘調査と聞いているが、その後もほかの箇所で発掘調査が必要になってくると思う。防災拠点整備事業における今後の発掘調査のスケジュールを伺う。
【理事者】
今後の発掘調査のスケジュールだが、本年4月から6月にかけて実施した試掘調査では、調整池とそれに接続する幹線水路の一部、消防学校の庁舎などの箇所であり、調査結果はいずれも本格的な発掘調査が必要とのことであった。
本発掘調査は、今回の調整池が対象であり、来年1月から7月までの7か月間で約0.9ヘクタールの調査を予定している。来年度は、消防学校の庁舎など、3施設分で約0.6ヘクタールの発掘調査を予定している。そして、令和7年度は、残りの1.8ヘクタール分に該当する、消防学校のその他の施設や公園施設の調査を予定しており、これは設計段階において、詳細な図面によって調査の要否を判断して進めていきたい。
【委員】
どういう方針で本発掘調査を進めていく考えか。
【理事者】
本発掘調査を実施するに当たり、できる限りの作業員を確保するとともに、施設の設計段階から、図面により調査の要否を判断し、調査を実施する箇所を精査することで、調査機関や費用を抑えられるよう努める。
また、工事と並行して発掘調査を実施するなど、できる限り効率的に調査を進めたいと考えている。
【委員】
本発掘調査は来年1月から始まるとのことであるが、この3.3ヘクタールの面積を調査するに当たり、まずは、最初の部分の取りかかりが一番大事だと思う。このため、費用や調査期間が延びないよう、人的確保も含めてしっかり対応してほしい。
先ほども、調査対象施設の全体面積は最大で3.3ヘクタール、場合によっては減るとの印象も受けたが、防災拠点エリアの本発掘調査の面積は本当に3.3ヘクタールと理解してよいか、再度確認する。
【理事者】
本発掘調査の規模感は、現在想定している調査対象施設全てにおいて本発掘調査が必要となれば、防災拠点エリアでは3.3ヘクタールとなる。ただし、調査面積は深さによって時代の異なる遺跡、文化財が発見される場合もあり、例えば深い層には弥生時代の遺跡、浅い層には鎌倉時代の文化財が発見される場合もある。同じ場所でも層ごとに調査は行うこととなるため、発掘調査面積としてはこのようにカウントする。
今回の調整池等については、平均して1.5層であり、対象施設が9,047平方メートルとなっているが、調査面積としては1.5倍となるため、1万3,500平方メートルほどとなる。
【委員】
防災拠点整備に係る発掘調査は平均値で1.5層と想定し、その面積が3万3,000平方メートルということか。
【理事者】
3万3,000平方メートルは、埋蔵文化財発掘調査の対象となる施設の面積であり、上から施設を見た場合の面積である。それが深さ方向に1層、2層とか3層となると調査面積はその層分だけ増える。
調整池の部分は、1.5層と分かっているが、それ以外の箇所は、文化財も分布状況がいろいろとあり、場所ごとに層が変わるので、現時点で調査面積が全体で何平方メートルあるかは把握できていない。
【委員】
調整池の部分は1.5層だと分かっているため、そこのみ1.5層を掛けた分の面積で想定しているということでよいか。
【理事者】
対象となる施設面積は9,047平方メートルだが、実際に調査する面積は、1万3,500平方メートルである。
【委員】
実際に調査する面積はもう少し広くなるとのことだが、工期はそれを見越して考えているということでよいか。
【理事者】
現在は、1万3,500平方メートルの調査を実施するための調査期間を取っている。
【委員】
今回の議案にある実予算の2,483万2,000円と債務負担行為の2億9,466万1,000円の内容と、それらの関係はどうなっているのか。
【理事者】
今回の予算は、調整池の建設予定地の本発掘調査費用である。文化財室との調整により、今年度に0.4ヘクタール、来年度に0.5ヘクタール、合計0.9ヘクタールの本発掘調査を予定している。
本発掘調査を実施するために、調査を管理監督する調査員と、調査員の指示に基づき、実際に発掘作業を行う作業員が必要となる。
まず、その実予算の、2,483万2,000円は、今年度の調査分である0.4ヘクタールの調査員の管理監督費である。この管理監督費は、発掘調査の現場を掌握し、発掘調査の全工程を適切に進行管理するとともに、発掘を行う民間事業者に対して発掘調査が適切に行われるよう指示を行うなど、監督するための費用であり、これは管理監督業務を行う公益財団法人愛知県埋蔵文化財センターに委託料として支払うものである。また、この費用は、公益財団法人愛知県埋蔵文化財センターの人件費が含まれており、今年度中の調査対象分0.4ヘクタールに対応する費用として今年度中に支払う必要があるため、実予算として計上している。
次に、債務負担行為の2億9,466万1,000円であるが、本予算は公益財団法人愛知県埋蔵文化財センターの調査員の管理下で行う実際の発掘作業に必要な作業員などの現場調査費であるが、調査期間が2023年度から2024年度にまたがることから、債務負担行為を設定するものである。この現場調査費の支払いについては、来年度に支払う予定であるため、今年度の実予算は計上していない。
なお、来年度については、調整池の来年度対象分の0.5ヘクタールに対応する管理監督費、来年度から新たに調査に着手する予定の消防学校の庁舎などの3施設分、0.6ヘクタール分の管理監督費と現場調査費を当初予算に提案する予定である。それ以外の突発的な事項、例えば想定以上に何層にもわたって異なる年代の文化財が発見された場合などを除き、来年度は発掘調査に係る補正予算を提案することなく進めていく。
【委員】
今回の補正予算と債務負担行為の根拠はどうなっているのか。
【理事者】
まず、実予算の2,483万2,000円は、公益財団法人愛知県埋蔵文化財センターへ支払う管理監督費である。調査員の業務は、全体の調査計画や工程の確認、発掘作業の各段階において幾つもの様々な判断や指示を行う。例えば、表土の試掘深度の判断である。文化財が含まれているであろう層を包含層というが、そこへ達するまでに上に乗っている表土を削り取っていく深さの判断や、包含層の深度、深さや範囲の判断、また遺構や遺物の発見状況を記録する測量方法、範囲、写真撮影などの判断がある。
費用は、公益財団法人愛知県埋蔵文化財センターの全体の運営費用を、公益財団法人愛知県埋蔵文化財センターが行っている1年間の総業務量に対する割合により、今回の調整池の調査分に対する費用として積算している。
次に、債務負担行為の2億9,466万1,000円の現場調査費についてである。現場調査の主な内容は、安全管理のために現場にフェンスの設置をしたり、現場事務所を設置するなどの事前準備に始まり、表土の掘削、遺物の包含層の掘削、遺物・遺構の検出、測量や写真撮影などである。調査に係る費用は、4月から6月に実施した試掘調査の結果や工事内容の精査、現地視察などにより想定される人工、重機、備品などを計上したものとなっている。
【委員】
次に、防災拠点整備の関連事業である大山川調整池の整備に伴い、現在、神明公園内で発掘調査が行われているが、公園の一部で利用が制限されており、地元自治体の豊山町が予定していたイベント等が開催できないという影響があったと聞いているが、この点については今後どういう調整をしていくのか。
【理事者】
今年度から着手を予定している大山川調整池の築造工事に伴い、現在、神明公園内で埋蔵文化財の発掘調査を進めている。本年9月から芝生広場などの一部と西側の駐車場をフェンスで囲い、閉鎖している状況である。
このため、昨年度、豊山町が企画した、神明公園での雪のイベント、これは、雪に触れる機会が少ない豊山町の子供たちに雪遊びの楽しさを味わってもらおうと、新潟県妙高市からの雪のプレゼントを活用したイベントであり、合わせて防災拠点事業や町事業のPRの意図もあると聞いていたが、今年度は実施できなくなった。このことは、豊山町との連携不足、情報共有不足が原因であり、豊山町には大変迷惑をかけた。
今後も大山川調整池工事の後、神明公園の一部再整備をしていくため、防災拠点の完成までは一部閉鎖の状態が続くことになるが、豊山町長からも、来年度以降、できれば神明公園内で雪のイベントを復活していきたいとの意向を聞いているため、町長の意向にできるだけ添えるよう、毎年変化していく現場の状況を踏まえながら、尾張建設事務所など、工事関係者との調整を図り、イベントの場所をできるだけ確保して開催できるよう、豊山町の意見を聞きながら対応したい。
【委員】
尾張建設事務所などの工事関係者と豊山町の意見も聞きながら対応していくとの答弁であるが、防災拠点の整備は、以前から本委員会で何度も地元の意見が踏まえられていないと、地元との連携不足が指摘されており、また、現場をよく見ていないと指摘されている。また、若手職員が努力している中で、その努力も局内で共有できていない、把握できていない、意思疎通があまり図られていないとの指摘が何度もされてきた。
今回の整備は調整池のみであるが、この後、その他施設の埋蔵文化財発掘調査への対応も必要となり、防災拠点についても一体的な整備、運用を図る必要がある中で、豊山町の避難所や、にぎわい施設整備も具体化して進んでいく。そうした中で、現場の職員の努力や取組をしっかりと把握し、地元の意見や要望に耳をしっかり傾けて、より一層、連携強化や情報共有が必要になってくる。さらに、大規模災害時に県民の命と財産を守る防災拠点としての役割を果たすのはもちろんであるが、平常時の利用の在り方も含めて、いかに地域に愛される、喜ばれる施設とすることが非常に重要な視点だと思っている。
そういうことを考えると、どのような姿勢でこの防災拠点整備に取り組んでいくつもりか、再度伺う。
【理事者】
防災拠点整備に向けてなすべきことは、まず、現場に携わる部下職員の意見が通るような組織体制づくりを進めること、そして組織はもとより、町や地元などの関係機関との情報共有を図ること、さらに、その意見等を集約して対応していくこと、また、私たち自身が現場や先進事例、先行事例を見て、知見を得て、大規模災害時はもちろんのこと、平時にあっても地元に喜ばれる施設にしていくことだと考えている。
前回の本委員会で指摘のあった、京都市の消防学校も私が調査に行った。こうした喜ばれる施設としていくためには、組織として、まず、実際に現地を歩いて確認し、地権者にじかに話を聞くこと、そして県の方針を押しつけるのではなく、お互いの意見交換を通じて、自分たちの意見を聴いてもらえたという印象を地元に持ってもらえるような心の通った施策を進めていくことが必要であると認識している。
このため、幹部職員がこれまで以上に地元へ足を運び、日々業務に励んでいる若手職員の意見を直接受け止めるとともに、豊山町職員が感じていることもじかに聞きながら、事業に生かせるよう、連携して整備を進めていきたい。
そして、改善すべき事項があれば、引き取って速やかに指揮し、町職員からの指摘等があれば、直接、豊山町長を訪問し、より深く意見交換するなど、スピード感を持って対応していきたい。
神明公園は、直接、町長から話を聞いた結果、工事期間中であっても公園に集まる人が空港を眺められるよう、散策に訪れる人の迷惑にならないようにしてほしいとのことであったため、しっかりと工夫して対応していく。
また、神明公園で企画されていた雪のイベントは、豊山町の子どもたちに雪遊びの楽しさを味わってもらうとともに、防災拠点整備事業、あるいは豊山町事業のPRの意図があると聞いている。今後は、町長の意向に添えるよう、意見を聴きながら開催できるよう、調整を進めていきたい。
防災拠点整備は、本県の大きなプロジェクトである。上に立つ者の仕事は、現場の課題を自分で見て、調整して前へ進めていく役割である。私がリーダーシップを発揮し、司令塔となり、先行事例を見て積極的に現認し、研究するなどして知見を養うこと、そして何より地元の声をしっかりと聞きながら行動し、覚悟と熱意を持って県民の生命や財産をしっかりと守るために、防災拠点整備事業に腹を据えて取り組んでいきたい。
【委員】
局長自らが、問題や課題を引き取って行っていきたいと答弁した。既に実施しているかもしれないが、定例的な会議や、意見交換、時には、突発的な事項に対応するために、臨機応変な情報共有など、課題解決に対する取組が特に必要になると思う。そういう意味では、不断の努力を重ねてよりよい施設を建設し、地元や県民がしっかりと活用できるような施設整備を要望する。
【委員】
調整池工事の繰越明許費について伺う。
埋蔵文化財発掘調査の関係でも、調整池工事の話が出ているが、まず、調整池の工事の概要を伺う。
【理事者】
繰越明許費を計上している工事は、防災拠点の開発に伴う雨水の流出増を抑制するための調整池を整備する工事である。公園エリアと消防学校エリアに降った雨を幹線水路に集めて排水するが、防災拠点内の最下流部に当たる、公園西側の西端に調整池を設置し、大雨の際に流出量を調整するものである。調整池の規模、雨水をためる内空の面積は、約7,000平方メートルである。高さは2.5メートル、容量は1万5,000立平方メートルであり、構造は、地下埋設型のコンクリート構造物となる。
今年度、繰越ししようとしている工事は、遮水壁工の全てと本体工の一部である。遮水壁工だが、調整池が地下構造物であるため、設置には深さ4メートル程度掘削する必要がある。掘削中に、地下水が掘削した部分に流入するのを防ぐために、掘削前に調整池の周囲に地下水を通さない壁を築造する工事である。この遮水壁は、壁を築造しようとする部分にある土に薬剤を注入して攪拌することで、水を通さない粘土系の土に改良するものである。
本体工は、工場で製造された2次製品のコンクリートブロックを組み立てて、必要容量を確保できるよう築造していく。本体工の残りの部分は、来年度の当初予算で計上したい。
【委員】
10月12日の本委員会での配布資料以外、何も参考資料をもらっていないため、説明があっても理解できない。調整池がどこにあるかも分からない。
【委員長】
現在、調整池工事の概要説明があり、口頭説明だけでは分かりづらいこと、それと合わせた調査について補足で説明が必要であるということでよいか。
【委員】
今の状態では何も分からないため、参考資料が必要である。
【委員長】
ただいま委員から資料要求があった、調整池工事の該当部分及び埋蔵文化財発掘調査の予定地区について、図面で説明できる資料を提出することは可能か。
【理事者】
2点の資料要求への対応について、今から調整する。
【委員長】
議案審査に関連する重要事項であるが、本日中に提出することは可能か。
【理事者】
今から準備し、提出する。
【委員長】
資料の提出が可能であることを確認できたため、委員会として資料を要求することに異議はないか。
(異議なし)
異議なしと認める。
【理事者】
資料について、まずA4の紙、埋蔵文化財調査の実施状況について、本発掘調査の状況を説明する。
右上の凡例のとおり、年度別に計画している。赤枠の中に網掛けで赤くなっている部分は、令和5年度から予算が認められれば実施していく。場所は地図の左側の真ん中、調整池部分と幹線水路の0.9ヘクタールである。この調整池部分と幹線水路を12月補正予算として、現在、審議をお願いしている。審議後に、調整池等の埋蔵文化財本発掘調査を行っていく。
詳細は下部の表のとおりである。
まず、防災拠点エリアの赤の網掛けの部分、調整池幹線水路を含んでいるが、この0.9ヘクタールについて、今、審議をお願いしている。
次に、2番、庁舎等の0.6ヘクタールは、来年4月から、当初予算の審議をお願いした上で実施していきたいと考えており、防災拠点全体で約3.3ヘクタールある。なお、そのほかの河川及び大山川調整池は、既に本発掘調査を進めており、道路は試掘調査中で、本発掘調査については調整中である。防災拠点エリアは、全体を約3.3ヘクタールとして進めていきたい。
引き続き、A3の資料、愛知県基幹的広域防災拠点整備事業における調整池工事について説明する。まず、調整池工事の目的だが、このエリアは新川流域内にあるため、開発区域内雨水の流出量を抑制したい。調整池のスペックについて、構造は地下埋設型コンクリートブロックで容量1万5,000立方メートルとなっており、施工手順として、まず、遮水壁工工事を行う。概要欄にあるとおり、地下埋設型であり、4メートルほどの掘削を伴うため、地下水の浸透を防ぐために、壁の周りの遮水壁工を行う。そして、その下辺りに掘削工を掘る。その下をコンクリートで固め、上部はコンクリートブロックを敷設して構築したい。
資料の右側の4番、工事の発注について、今年度は図面のオレンジの枠全体の遮水壁工工事を行い、その後青色部分の本体工①と書いてあるところ、約5分の1程度の工事を進める。これが、先ほど中根義高委員から質問があった箇所の概要である。
次に、今後のスケジュールであるが、今年度は、遮水壁工は2月から8月、本体工は2月から8月、この部分は同様に、今回、繰越明許をお願いしているところであり、残りの部分は、来年度当初から1年間かけて工事を実施していきたい。
【委員】
敷地の中の一番西側が最も低い位置であり、そこに調整池を造って、幹線水路で雨水を持ってくるということでよいか。
【理事者】
雨水の処理は、真ん中に道路があり、先ほどの埋蔵文化財調査の図面のとおり、中央に南北の道路が走っている。東側のエリアは、消防学校と公園、神明公園がある部分、西側エリアは公園のある部分であるが、それぞれ東エリア、西エリアの中で上面部分に勾配をつけて、水が集まる一番低い地点をつくる。そこに集水ますを設けて、幹線水路と書いてあるところにつなげる形で集水する。
西側の、図面の左側に行くほど、幹線水路の勾配を下げていくため、そちらに流れていく。東側の水は、東側の幹線水路で拾い、西側のエリアもこの幹線水路に接続することで、図面の左側へ雨水を流下させる。防災拠点では、水の流れの一番下流端になるところが調整池の位置となる。ここにもますを設けて、流出量が増えた場合に、一定量を超えると水路から横に水が落ちて調整池にたまるため、雨水の最大の流量が流れるときに、そのまま川に流れてしまうと川に負担がかかるため、量が決められており、大量の雨が降った場合は調整池に落ちる構造にして対策をする。
【委員】
今回は、繰越明許費に係る議案であるが、冒頭でも、埋蔵文化財調査に少し触れた説明や、島倉誠委員の質問に対する説明の中で、調整池の部分はおよそ1.5層分の発掘が必要であるとの話があったが、改めて、今回、繰越しを必要とするにあたり、工事が遅れた理由を伺う。
【理事者】
今年度当初予算にこの工事費は計上しており、当初は本年9月から年度末の3月までの約7か月間を工期として工事を発注する予定であったが、4月から実施した埋蔵文化財試掘調査の結果、工事着手前に本発掘調査を行う必要があると判明したため、年度内の完了が見込めなくなった。このため、繰越明許費をお願いするものである。
【委員】
令和6年度までに本体の残りを発注するとのことだが、先ほどからの話も含めて、どこまでできるかを考えると、なぜ2月定例議会ではなく、今回の補正予算で急ぐ必要性があるのか理由を伺う。
【理事者】
調整池工事は、地下の構造物で規模も大きいため、施工に相当時間を要する。基幹的広域防災拠点整備事業全体のスケジュールを考えた場合に、施工に時間を要する工事はできる限り早く進めたいと思っている。また、用地買収が終わったところから順次造成工事を始めているが、もともと農地であった土地のため、造成に伴い、田んぼや畑が持っていた保水能力、雨が降ったときに浸透していく力が低下しているのではないかなど、地元から、雨天時の心配をする声があり、それを踏まえて、早期に調整池を整備するため、本定例議会で上程した。
【委員】
地域住民が不安になってはいけないため、工事の進展に伴ってではあるが、調整池工事もスケジュール感を持って行ってほしい。そもそも、本年3月に入札不調で基幹的広域防災拠点の完成自体が後ろにずれているが、これらを踏まえて、全体のスケジュールに影響はないのか。
【理事者】
調整池工事のスケジュールだが、まず今年度の予算では、遮水壁工の全てと、本体工のおおむね5分の1程度の発注を予定している。残る本体工の約5分の4とその後の埋め戻しや盛土造成は、来年度の当初予算を計上し、来年度末までに完成予定である。来年度末までに完成すれば、基幹的広域防災拠点事業全体のスケジュールには影響はない。
【委員】
A3資料の最後に、本体工の残りは2025年3月までと書いてある。ここまでに完成すれば、全体のスケジュールには影響がないとのことであるので、スケジュール感を持って行ってほしい。
《一般質問》
【委員】
ゼロメートル地帯における広域防災活動拠点の整備状況について、整備予定としている4か所の現在の進捗状況と今後の予定を伺う。
【理事者】
まず、愛西市の拠点は、昨年度末の3月に供用を開始している。その後の取組として、救出救助活動の実効力を高めるために、実働訓練を定期的に実施することとしている。災害は昼夜を問わず発生するため、夜間の発生に備えて、防災ヘリコプターの夜間離着陸が可能な場外離着陸場として使えるよう、大阪航空局に許可申請をした。本年12月1日付けで許可が下りたため、名古屋市消防航空隊と愛西市消防本部と調整し、12月14日に初めて夜間の離着陸訓練を実施する予定である。今後も関係機関と連携して、より一層、災害対応力の強化を図る。
次に、弥富市の拠点は、海南こどもの国の第2駐車場にヘリポート構造として整備予定である。今年度は実施設計を進めており、来年度から建設工事に着手し、2026年度内の供用開始を目指して進める。
続いて、西尾市の拠点であるが、今年度の前半までに盛土造成工事が完了し、現在は防災倉庫の建築工事を進めている。防災倉庫は、来年の2月中旬に完成予定である。その後、3月に救助ボートなど、救助資機材の搬入を予定している。来年度は、上面部のアスファルトの舗装など、仕上げの工事を実施し、来年度内の供用開始を目指して進めていく。
最後に豊橋市の拠点であるが、国道23号の豊川橋料金所跡地に整備することとしており、管理者である国土交通省名古屋国道事務所と、土地の譲渡に向けて手続を進める。今年度は譲渡に必要となる用地測量のほか、防災倉庫やヘリポートの位置などの基本設計、そのために必要となる地質調査などに着手している。
また、国道23号とこの拠点はつながっているため、ヘリコプターだけではなく、大型バスによる避難者の輸送も可能であると考えている。このため、バス輸送の動線や、避難者の輸送先などについても検討を進める。
【委員】
豊橋市の活動拠点について、避難者の輸送手段としてヘリコプターやバスの輸送も検討している。この場所は、避難場所として既に設定されており、救出救助機関や避難者など、様々な人たちが集まってくることが想定される。また、ヘリコプターが着陸する際には、安全確保のため、風の影響などを考えて、国道23号を止めることの可否を考える必要があり、緊急車両や避難車両の通行を妨げてしまう可能性があると懸念されている。
誰が、いつ、どのように救助活動を行い、避難者を誘導していくのかというオペレーションを行うための関係機関が多い。特に、豊橋市の意向も踏まえて決定していかなければならないと思うが、豊橋市との連携についてどのように考えているのか。
【理事者】
豊橋市の拠点は、豊橋市が指定する緊急避難場所としているため、地震発生時には近隣住民が避難してくることが想定される。また、津波の被災者の救出救助のため、地元の消防本部や自衛隊がボートで救出に向かう活動も始まるほか、警察や海上保安庁などのヘリコプターも活動を始める。さらに、隣接する国道23号は、第一次緊急輸送道路になっており、いち早く道路警戒の作業も行われることが想定される。そうなると、ヘリコプターの離着陸の際に、ヘリコプターの回転翼から吹き降ろす風により国道23号を通行する緊急車両や避難車両の通行に影響を及ぼすことも考えられる。
このように複数の活動が輻湊して行われることが考えられるため、災害が発生した際に、誰が現場の指揮を取り、どのように救出救助活動を行うのか、避難者や救助者をより安全な場所へどのように輸送するのかなどのオペレーションをあらかじめ定めておくことは大変重要である。
現在、地元である豊橋市や国道を管理している名古屋国道事務所など、関係機関と様々な場面を想定して、迅速な救出救助活動ができるように検討を進めている。
【委員】
関係機関と連携して進めてほしい。
次に、弥富市の広域防災活動拠点について、この拠点は、ヘリポート構造と建築物で整備をする建築には、資材の搬入や、大型車両や重機の運行が必要とのことであり、海南こどもの国の第2駐車場に整備されるとのことだが、前面道路が大変狭い。そのことは、8月の自民党県政調査会で指摘したが、その際、大型車両を通行させるために前面道路と県道の交差点部分を拡幅するか、海南こどもの国の園内を通すかを調整中であると聞いたが、現在の検討状況を伺う。
【理事者】
弥富市の広域防災活動拠点のヘリポートの工事中に使用される大型の工事用車両のルートについて、ヘリポートの拠点を整備する第2駐車場の前面道路とつながる県道との交差点、この交差部の交差角が少しきつくなる部分もあるほか、この前面道路に一部幅が狭い区間がある。その幅の狭い区間に民家が集まっているため、拡幅するとなれば時間も要するほか、騒音や振動の影響も想定される。また、近隣へ通行の不便をかける。このため、前面道路を使用するのは難しいと考えている。そこで、現在は海南こどもの国を管理している福祉局と調整しており、海南こどもの国の園内に工事用の車両を通行させるための仮設道路を設置する検討を進めている。
なお、過去に第2駐車場を整備した際にも、海南こどもの国の園内に仮設道路を設置して整備したと聞いており、今回も同様のルートを検討している。
【委員】
現在、園内の第1駐車場から第2駐車場への仮設のルートを検討していると把握した。
続いて、弥富市の広域防災活動拠点の供用開始後、救出救助を行う際に、大型車両が防災活動拠点に入ってくることが想定されると思うが、そうした場合、車両の通行はどのようになるのか。
【理事者】
供用後の災害が発生した際の大型車両の通行ルートについて、災害のケースによっては、救出救助のための大型車両や救助者を輸送するための大型バスなどを、拠点のある第2駐車場に向かわせる必要がある場合も想定される。
供用開始後の緊急車両などの通行ルートは、工事用の車両と同様、海南こどもの国の園内にルートを確保することも含めて、施設管理者である福祉局や地元の弥富市、海部南部消防本部などと調整を行う。
【委員】
この拠点の周辺、十四山地区は高い建物が無い状況であるため、少なくとも弥富市が緊急避難場所として指定している海翔高校や十四山中学校まで避難しなければならない場所であり、この拠点に避難してくる人がいると想定するが、この拠点を緊急避難場所等に指定することはできるか。
【理事者】
広域防災活動拠点は、大規模災害時に逃げ遅れるなどして取り残された避難者を、ヘリコプターで浸水区域外に輸送するための救出救助活動の拠点である。この場所を緊急避難場所とすることについて地元の弥富市に確認したところ、迅速な救出救助活動の妨げの原因となるおそれがあるため、この場所を緊急避難場所に指定することは考えていないとの話である。
しかし、他の緊急避難場所に避難する余裕がないなどの理由から、やむを得ず、広域防災活動拠点に避難する人や、海南こどもの国にとどまらざるを得ない来園者もいると考えられる。したがって、地元の弥富市、海部南部消防本部と意見交換をして、避難者の安全管理にも十分配慮し、よりよい拠点となるよう検討する。
【委員】
緊急避難場所として指定はしないが、やむを得ず逃げてくる人は受け入れる意向だと受け止めた。
続いて、県では、防災に関する啓発イベントである防災フェスタを毎年開催しているが、開催趣旨と最近の開催状況を伺う。
【理事者】
防災フェスタは、県民に広く防災に関する意識の高揚と知識の普及を図ることを目的に、防災関係団体による展示や子どもから大人まで楽しめるステージイベント等で構成する啓発行事で、毎年11月の第2日曜日のあいち地震防災の日に合わせて実施している。
昨年、一昨年は、あいち健康の森で開催し、昨年は、出展団体数53団体、来場者数は雨天により約1,400人、一昨年は、出展団体数27団体、来場者数は約3,200人となっている。
今年は、国土交通省が全国持ち回りで開催している大規模津波防災総合訓練が、11月11日に名古屋港ガーデンふ頭で行われることに合わせて、防災フェスタも同会場で開催し、出展団体数はブースや車両を合わせて48団体、来場者数は約3,000人となっている。
【委員】
毎年開催している防災フェスタだが、現在開催されている、弥富市議会定例会の一般質問において、弥富市長が海南こどもの国に設置される広域防災活動拠点の供用開始に合わせて、防災フェスタを県と弥富市とで合同開催するよう要望すると答弁したが、県の考えを伺う。
【理事者】
過去にも、防災フェスタの開催趣旨と関連し、より多くの参加者が見込まれるイベントと併催をする例があり、今年の名古屋港ガーデンふ頭で実施した例のほか、2019年度には防災推進国民大会という国の行事が愛知県で開催されたことに合わせて、10月19日から20日の2日間にかけて、ささしまライブエリアにおいて併催した実績がある。
今回、弥富市から、海南こどもの国で広域防災活動拠点の供用開始と、2026年度が弥富市政20周年の節目に当たることから、防災フェスタを弥富市で開催したいとの意向を聞いている。
弥富市での防災フェスタの開催については、広く防災に関する意識の高揚と県民の知識の普及を図るという、防災フェスタの開催趣旨にも合致しており、大変意義がある上に多くの参加者も期待できるため、県も前向きに検討したい。
【委員】
最後に、要望として、海南こどもの国園内の常設道路について、いざというときに備えて園内に道路を残してほしい。大型のイベントがあったときに第1駐車場から第2駐車場へ誘導されるが、誘導時には狭隘道路を通るルートが常時なされている。常設道路を残すことで、第1駐車場と第2駐車場の平時の利用が円滑になるため、緊急時のことも平時のことも考えると、常設道路の設置を前向きに検討してほしい。
次に、第2駐車場は砂利の駐車場であり、例年弥富市が秋まつりで開催している会場になったときも、ある程度広く駐車場が利用されるため、敷地全体の持つキャパシティーよりも低い利用率にとどまっている。広域防災活動拠点が完成すると、1階は柱しかないとはいえ、柱の部分の駐車スペースが失われる。失われた部分を補う意味でも、キャパシティーを十分に使うことができるよう、コンクリート、アスファルトの舗装をして駐車線を引き、キャパシティーを十分に活用し、全体の駐車量を増やすようにしてほしい。
併せて、広域防災活動拠点の整備工事が約2年強続くため、その間、今まで開催していた、弥富市の秋まつりや金魚日本一大会といった大きなイベントは、駐車場が工事の影響を必ず受けることから、イベント開催者に工事の情報が必ず届くよう、周知してほしい。
最後に、防災フェスタを、広域防災活動拠点の整備、供用開始の年かつ弥富市の20周年記念事業と併催したイベントとして令和8年度に行うことを要望する。
【委員】
2004年に犯罪被害者等基本法が成立して20年の節目を迎えようとしている。これまで国で4次にわたる犯罪被害者等基本計画が策定され、国や自治体、関係機関等の連携、協力の下、犯罪被害者等への支援施策が進められてきた。
県も、昨年4月に犯罪被害者等支援の特化条例である愛知県犯罪被害者等支援条例を施行するとともに、本年3月には条例に基づく愛知県犯罪被害者等の支援に関する指針を策定し、犯罪被害者等支援施策の充実、強化に向けた取組が進められている。
そこで、この指針に基づき犯罪被害者等支援の取組をどう進めているのか伺う。
【理事者】
本年3月に策定した犯罪被害者等の支援に関する指針では、犯罪被害者等に対する支援フローの確立、多岐にわたる支援ニーズへの対応、社会全体で犯罪被害者等を支える機運の醸成の三つの施策の柱に沿って支援施策を実施していく。
まず、犯罪被害者等に対する支援フローの確立は、県警察本部が事務局を務める愛知県被害者支援連絡協議会を通じ、国、市町村、民間支援団体等と相互に連携、協力を行うとともに、各機関の支援内容と相談窓口について整理した犯罪被害者支援ハンドブックあいちを毎年作成している。
さらに、今年度から県庁内における情報共有と支援体制の構築を進めるため、愛知県犯罪被害者等支援推進のための連絡会議を新たに設置し、総合的対応窓口など、より望ましい支援体制の在り方について検討している。
次に、多岐にわたる支援ニーズへの対応についてでは、犯罪被害者等の経済的負担の軽減を図るため、2021年度から運用している犯罪被害者等見舞金、犯罪被害遺児支援金、犯罪被害者等再提訴費用助成金に加えて、今年度から新たに犯罪被害者等法律相談費用助成金と犯罪被害者等転居費用助成金を創設し、支援の充実を図った。
最後に、社会全体で犯罪被害者等を支える機運の醸成については、県民に犯罪被害の実態について理解を深めてもらうため、犯罪被害者団体と連携してパネル展や講演会を開催したほか、県政お届け講座のテーマとして、犯罪被害者等支援を今年度新たに開設した。
こうした指針に基づく取組の状況をフォローアップするため、犯罪被害者当事者団体や学識経験者等で構成する愛知県犯罪被害者等支援懇話会を新たに設置し、懇話会の助言も受けながらこうした取組を着実に進めていく。
【委員】
充実した取組が進められていることが分かったが、県内市町村の状況を見ると、特化条例を制定しているのは、名古屋市、知多市、大府市及び今年9月に制定した東海市の4市にとどまっている。
犯罪被害に遭った人が県内のどの市町村に居住していても必要な支援が受けられるようにするためには、特化条例の制定や相談対応窓口の充実など、市町村においても犯罪被害者等支援のために取組を進めていくことが大変重要だと思うが、市町村における犯罪被害者等支援が推進されるよう県としてどう取り組んでいるのか。
【理事者】
犯罪被害者等の支援に関する指針では、推進体制の一つとして、市町村と推進体制の整備を位置づけており、本年度、市町村犯罪被害者等支援施策担当課室長会議を新たに開催し、犯罪被害者の置かれている状況や特化条例制定の意義について犯罪被害者からの講演なども行いながら理解を深めてもらった。さらに、市町村の担当者向け研修会では、想定事例を用いて犯罪被害者の相談に対応するグループワークを今年度から実施するなど、より実践的な内容に改善している。
こうした取組のほか、特化条例の制定や見舞金等の支援制度に関する市町村からの個別相談に対しても必要な助言等を行っている。市町村における犯罪被害者等支援が推進されるよう、今後もこうした取組を進める。
【委員】
半田市の、9月定例議会で民主会派の議員が、半田市が実施している犯罪被害者等の支援策についての在り方、また、県内で特化条例を制定しているのは4市であり、他県と比べて遅れていること、再犯防止の観点からも犯罪被害者を支援する条例を制定し、支援していくべきと思うが、市の見解を伺うと質問した。
答弁は、ホームページで被害者相談の問合せ窓口は掲載しているが、市独自の犯罪被害者への支援がないこと、犯罪被害者等基本法では、国との適切な役割分担を踏まえれば、地域の状況に応じた政策を策定し、実施する責務を地方公共団体が有する旨、記載されているが、半田市は、国の支援内容とその状況、実績を把握した上で、市の犯罪被害の状況を勘案し、必要な支援策とそれに伴う条例について検討していくと、前向きなものであった。
このように様々な形で、関係自治体に対して犯罪被害者の支援の取組を促していくため、再犯防止の観点からも罪を犯した人が社会の構成員として円滑に社会復帰でき、安全・安心なまちづくりを促進するため、再犯防止推進計画について、これまで以上に積極的に取組むよう要望する。
( 委 員 会 )
日 時 令和5年12月13日(水) 午後0時59分~
会 場 第8委員会室
出 席 者
辻 秀樹、おおたけりえ 正副委員長
水野富夫、伊藤辰夫、島倉 誠、石塚吾歩路、中根義高、藤原ひろき、
朝日将貴、天野正基、安井伸治、朝倉浩一 各委員
防災安全局長、防災部長、県民安全監、関係各課長等
委員会審査風景
<付託案件等>
○ 議 案
第118号 令和5年度愛知県一般会計補正予算(第5号)
第1条(歳入歳出予算の補正)の内
歳 出
第2款 総務企画費の内
第6項 防災安全費
第2条(繰越明許費の補正)の内
第2款 総務企画費の内
第6項 防災安全費
第3条(債務負担行為の補正)の内
愛知県基幹的広域防災拠点整備事業埋蔵文化財発掘調査
第132号 愛知県手数料条例の一部改正について
(結 果)
全員一致をもって原案を可決すべきものと決した議案
第118号及び第132号
<会議の概要>
1 開 会
2 理事に関する申合せの変更
3 議案審査(2件)
(1)理事者の説明
(2)質 疑
4 休 憩(午後2時6分)
5 再 開(午後3時18分)
6 採 決
7 一般質問
8 閉 会
(主な質疑)
《議案質疑》
【委員】
防災拠点整備のための調整池に関して、質問の前に確認したい。
本年9月定例議会の本委員会一般質問において、石塚吾歩路委員が埋蔵文化財調査に関して質問をした中で、試掘調査の結果、価値のあるものは発見されなかったとの趣旨の答弁があったが、なぜ埋蔵文化財の調査を行う必要があるのか。
【理事者】
本年9月の本委員会での石塚吾歩路委員からの質問とその答弁について、答弁が不十分であったため、少し振り返る。
石塚吾歩路委員からは、試掘調査の結果、どのようなものが出土したのか、現状保存をしなければならない遺跡はないのかとの質問があった。
それに対して、試掘調査の結果、弥生時代から江戸時代の間のものである土器片や陶磁器片といった遺物、また、竪穴式住居、柱の跡や溝の跡といった遺構が広く分布していることが発見され、その結果、文化芸術課文化財室から、工事の着手前に発掘調査が必要であると言われたが、発掘調査は記録保存のみとなり、調査後は工事が可能となる見込みであり、現時点で歴史的価値の極めて高い文化財は発見されていないと答弁した。
結論として、防災拠点で発見されている遺跡は、文化財と認められるため、発掘調査は必要である。
まず、試掘調査の結果、発見された遺物や遺構が文化財として扱われるか否かであるが、文化庁の通知には、埋蔵文化財として扱う範囲が示されており、時代がおおむね中世、鎌倉時代や室町時代までに属する遺跡は、原則として埋蔵文化財の対象とすることになっているため、防災拠点で発見された遺跡はこれに該当する。
次に、文化財の保護に関する取扱いであるが、基本的に現状保存が原則となっている。ただし、例外として、開発などによってやむを得ず現状保存ができない場合は、記録保存が認められている。記録保存は、発掘された遺跡の位置や大きさ、形といった情報を写真や図などのデータとして保存することであり、その記録を取るために発掘調査は必要となる。
最後に、9月の本委員会で、歴史的価値の極めて高い文化財は発見されていないと答弁したが、歴史的価値の極めて高い文化財とは、例えば奈良県の高松塚古墳や佐賀県の吉野ヶ里遺跡など、発掘して現れた遺跡をそのままの形で保存するほど価値がある、国が指定するような遺跡を指しており、このような非常に重要な遺跡は、防災拠点では発見されていないという意味で答弁した。防災拠点で発見された文化財は、歴史的価値の極めて高い文化財ではないが、文化財として認められるため、記録保存のための発掘調査は必要となる。なお、記録保存が終わった後であれば、工事を進めることができる。
【委員】
現状のまま保存する必要はないが、記録保存は必要であることを確認した。
次に、埋蔵文化財発掘調査の対象範囲はどの程度であるか確認する。
【理事者】
埋蔵文化財発掘調査の対象箇所は、文化庁の通知に基づき三つあり、そのいずれかに該当する箇所となる。
一つ目は、工事により埋蔵文化財が掘削され、破壊される場合、あるいはその箇所である。二つ目は、恒久的な構造物及び工作物の設置により、相当期間にわたり調査不能となり、埋蔵文化財が損壊されたのに等しい状態となる場合、あるいはそのような場所である。三つ目が、一時的な盛土や工作物であったとしても、その重さなどによって地下の埋蔵文化財に影響を及ぼすおそれがある場合、あるいはそのような箇所である。
防災拠点では、先ほどの一つ目、掘削により破壊される場合として、地下の構造物となる調整池や、それにつながる幹線水路が該当する。
二つ目の恒久的な施設としては、道路や河川、建築物が該当する。ただし、建築物は、規模、構造、耐用年数、将来利用計画などの観点から判断するとされているが、原則として、鉄筋コンクリート造の学校や工場、病院などは、発掘調査の対象とされており、防災拠点では、消防学校の庁舎などが該当する。それ以外の訓練施設や公園施設は、基礎が浅く、文化財を傷つけない可能性もあるため、現時点ですぐに調査を実施するのではなく、設計段階において詳細図を基に、文化財を傷つけるかどうかなど、調査の要否を判断することになる。
なお、防災拠点エリアの全ての対象施設において調査が必要となった場合、対象面積は最大で約3.3ヘクタールになると想定している。
【委員】
発掘調査の対象が鉄筋コンクリート造の学校であるとの答弁があったが、9月の本委員会で防災拠点の配置図が資料として提出された際、正式な配置は決まっていないと聞いた。
そうした中で、埋蔵文化財発掘調査をなぜ実施できるのか。
【理事者】
指摘のとおり、防災拠点の施設配置は確定していない。
現在、埋蔵文化財発掘調査の対象として想定している各施設の位置は、2021年度に策定した基本計画で検討した施設配置を用いている。
この基本計画の検討の際に、隣接する県営名古屋空港の中に設置されている航空機のレーダー施設に防災拠点は近接しているため、防災拠点に建築物が建つと、そのレーダーに影響を及ぼす可能性があるのではないかとの指摘があり、電波の影響が許容値内に収まるよう施設配置を変更したり、ずらしたりしながら、シミュレーションを繰り返して配置を検討した。
特に高さのある消防学校の庁舎などは、レーダーに及ぼす影響が大きいため、施設配置を変えることはほぼ困難であると考えており、基本計画の施設配置を前提に、埋蔵文化財発掘調査を進める。
なお、それ以外の訓練施設や公園施設は、先ほども説明したが、基礎が浅く文化財を傷つけない可能性もあるため、現時点ではすぐに調査を実施するのではなく、配置を含めて、設計の段階において詳細な図面により調査の要否を判断していきたい。
【委員】
施設配置は正式に決まっていないが、県営名古屋空港の飛行機や、隣にある自衛隊の基地の飛行に影響がなく、ほぼ変更はないと理解してよいか。
【理事者】
消防学校は、管理教育棟や宿泊棟といった複合訓練施設の高さが高く、電波への影響が大きいため、この位置から動かすことは不可能であると考えており、位置の変更はほぼない。
【委員】
過去からシミュレーションをしているにもかかわらず、なぜ12月補正予算で予算計上したのか。近くに青山神明遺跡があるため、文化財が発掘されることは当然に想定できたと思うが、なぜ当初予算で計上しなかったのか。
【理事者】
試掘調査費は当初予算に計上していたが、本発掘調査は、試掘調査の結果を見ないと規模が確定できないため、計上していなかった。神明公園の一部に青山神明遺跡があることは承知していたが、防災拠点の西側のエリアにまで広範囲に広がっているとは想定外であった。
本年4月から6月にかけて実施した試掘調査の結果が8月にまとまり、本発掘調査の範囲が確定し、そこから本発掘調査の実施に向けて文化財室と協議を重ねて、ようやく調査に着手する環境が整ったため、今回、補正予算を提出した。
【委員】
今回の補正予算は、調整池の箇所の発掘調査と聞いているが、その後もほかの箇所で発掘調査が必要になってくると思う。防災拠点整備事業における今後の発掘調査のスケジュールを伺う。
【理事者】
今後の発掘調査のスケジュールだが、本年4月から6月にかけて実施した試掘調査では、調整池とそれに接続する幹線水路の一部、消防学校の庁舎などの箇所であり、調査結果はいずれも本格的な発掘調査が必要とのことであった。
本発掘調査は、今回の調整池が対象であり、来年1月から7月までの7か月間で約0.9ヘクタールの調査を予定している。来年度は、消防学校の庁舎など、3施設分で約0.6ヘクタールの発掘調査を予定している。そして、令和7年度は、残りの1.8ヘクタール分に該当する、消防学校のその他の施設や公園施設の調査を予定しており、これは設計段階において、詳細な図面によって調査の要否を判断して進めていきたい。
【委員】
どういう方針で本発掘調査を進めていく考えか。
【理事者】
本発掘調査を実施するに当たり、できる限りの作業員を確保するとともに、施設の設計段階から、図面により調査の要否を判断し、調査を実施する箇所を精査することで、調査機関や費用を抑えられるよう努める。
また、工事と並行して発掘調査を実施するなど、できる限り効率的に調査を進めたいと考えている。
【委員】
本発掘調査は来年1月から始まるとのことであるが、この3.3ヘクタールの面積を調査するに当たり、まずは、最初の部分の取りかかりが一番大事だと思う。このため、費用や調査期間が延びないよう、人的確保も含めてしっかり対応してほしい。
先ほども、調査対象施設の全体面積は最大で3.3ヘクタール、場合によっては減るとの印象も受けたが、防災拠点エリアの本発掘調査の面積は本当に3.3ヘクタールと理解してよいか、再度確認する。
【理事者】
本発掘調査の規模感は、現在想定している調査対象施設全てにおいて本発掘調査が必要となれば、防災拠点エリアでは3.3ヘクタールとなる。ただし、調査面積は深さによって時代の異なる遺跡、文化財が発見される場合もあり、例えば深い層には弥生時代の遺跡、浅い層には鎌倉時代の文化財が発見される場合もある。同じ場所でも層ごとに調査は行うこととなるため、発掘調査面積としてはこのようにカウントする。
今回の調整池等については、平均して1.5層であり、対象施設が9,047平方メートルとなっているが、調査面積としては1.5倍となるため、1万3,500平方メートルほどとなる。
【委員】
防災拠点整備に係る発掘調査は平均値で1.5層と想定し、その面積が3万3,000平方メートルということか。
【理事者】
3万3,000平方メートルは、埋蔵文化財発掘調査の対象となる施設の面積であり、上から施設を見た場合の面積である。それが深さ方向に1層、2層とか3層となると調査面積はその層分だけ増える。
調整池の部分は、1.5層と分かっているが、それ以外の箇所は、文化財も分布状況がいろいろとあり、場所ごとに層が変わるので、現時点で調査面積が全体で何平方メートルあるかは把握できていない。
【委員】
調整池の部分は1.5層だと分かっているため、そこのみ1.5層を掛けた分の面積で想定しているということでよいか。
【理事者】
対象となる施設面積は9,047平方メートルだが、実際に調査する面積は、1万3,500平方メートルである。
【委員】
実際に調査する面積はもう少し広くなるとのことだが、工期はそれを見越して考えているということでよいか。
【理事者】
現在は、1万3,500平方メートルの調査を実施するための調査期間を取っている。
【委員】
今回の議案にある実予算の2,483万2,000円と債務負担行為の2億9,466万1,000円の内容と、それらの関係はどうなっているのか。
【理事者】
今回の予算は、調整池の建設予定地の本発掘調査費用である。文化財室との調整により、今年度に0.4ヘクタール、来年度に0.5ヘクタール、合計0.9ヘクタールの本発掘調査を予定している。
本発掘調査を実施するために、調査を管理監督する調査員と、調査員の指示に基づき、実際に発掘作業を行う作業員が必要となる。
まず、その実予算の、2,483万2,000円は、今年度の調査分である0.4ヘクタールの調査員の管理監督費である。この管理監督費は、発掘調査の現場を掌握し、発掘調査の全工程を適切に進行管理するとともに、発掘を行う民間事業者に対して発掘調査が適切に行われるよう指示を行うなど、監督するための費用であり、これは管理監督業務を行う公益財団法人愛知県埋蔵文化財センターに委託料として支払うものである。また、この費用は、公益財団法人愛知県埋蔵文化財センターの人件費が含まれており、今年度中の調査対象分0.4ヘクタールに対応する費用として今年度中に支払う必要があるため、実予算として計上している。
次に、債務負担行為の2億9,466万1,000円であるが、本予算は公益財団法人愛知県埋蔵文化財センターの調査員の管理下で行う実際の発掘作業に必要な作業員などの現場調査費であるが、調査期間が2023年度から2024年度にまたがることから、債務負担行為を設定するものである。この現場調査費の支払いについては、来年度に支払う予定であるため、今年度の実予算は計上していない。
なお、来年度については、調整池の来年度対象分の0.5ヘクタールに対応する管理監督費、来年度から新たに調査に着手する予定の消防学校の庁舎などの3施設分、0.6ヘクタール分の管理監督費と現場調査費を当初予算に提案する予定である。それ以外の突発的な事項、例えば想定以上に何層にもわたって異なる年代の文化財が発見された場合などを除き、来年度は発掘調査に係る補正予算を提案することなく進めていく。
【委員】
今回の補正予算と債務負担行為の根拠はどうなっているのか。
【理事者】
まず、実予算の2,483万2,000円は、公益財団法人愛知県埋蔵文化財センターへ支払う管理監督費である。調査員の業務は、全体の調査計画や工程の確認、発掘作業の各段階において幾つもの様々な判断や指示を行う。例えば、表土の試掘深度の判断である。文化財が含まれているであろう層を包含層というが、そこへ達するまでに上に乗っている表土を削り取っていく深さの判断や、包含層の深度、深さや範囲の判断、また遺構や遺物の発見状況を記録する測量方法、範囲、写真撮影などの判断がある。
費用は、公益財団法人愛知県埋蔵文化財センターの全体の運営費用を、公益財団法人愛知県埋蔵文化財センターが行っている1年間の総業務量に対する割合により、今回の調整池の調査分に対する費用として積算している。
次に、債務負担行為の2億9,466万1,000円の現場調査費についてである。現場調査の主な内容は、安全管理のために現場にフェンスの設置をしたり、現場事務所を設置するなどの事前準備に始まり、表土の掘削、遺物の包含層の掘削、遺物・遺構の検出、測量や写真撮影などである。調査に係る費用は、4月から6月に実施した試掘調査の結果や工事内容の精査、現地視察などにより想定される人工、重機、備品などを計上したものとなっている。
【委員】
次に、防災拠点整備の関連事業である大山川調整池の整備に伴い、現在、神明公園内で発掘調査が行われているが、公園の一部で利用が制限されており、地元自治体の豊山町が予定していたイベント等が開催できないという影響があったと聞いているが、この点については今後どういう調整をしていくのか。
【理事者】
今年度から着手を予定している大山川調整池の築造工事に伴い、現在、神明公園内で埋蔵文化財の発掘調査を進めている。本年9月から芝生広場などの一部と西側の駐車場をフェンスで囲い、閉鎖している状況である。
このため、昨年度、豊山町が企画した、神明公園での雪のイベント、これは、雪に触れる機会が少ない豊山町の子供たちに雪遊びの楽しさを味わってもらおうと、新潟県妙高市からの雪のプレゼントを活用したイベントであり、合わせて防災拠点事業や町事業のPRの意図もあると聞いていたが、今年度は実施できなくなった。このことは、豊山町との連携不足、情報共有不足が原因であり、豊山町には大変迷惑をかけた。
今後も大山川調整池工事の後、神明公園の一部再整備をしていくため、防災拠点の完成までは一部閉鎖の状態が続くことになるが、豊山町長からも、来年度以降、できれば神明公園内で雪のイベントを復活していきたいとの意向を聞いているため、町長の意向にできるだけ添えるよう、毎年変化していく現場の状況を踏まえながら、尾張建設事務所など、工事関係者との調整を図り、イベントの場所をできるだけ確保して開催できるよう、豊山町の意見を聞きながら対応したい。
【委員】
尾張建設事務所などの工事関係者と豊山町の意見も聞きながら対応していくとの答弁であるが、防災拠点の整備は、以前から本委員会で何度も地元の意見が踏まえられていないと、地元との連携不足が指摘されており、また、現場をよく見ていないと指摘されている。また、若手職員が努力している中で、その努力も局内で共有できていない、把握できていない、意思疎通があまり図られていないとの指摘が何度もされてきた。
今回の整備は調整池のみであるが、この後、その他施設の埋蔵文化財発掘調査への対応も必要となり、防災拠点についても一体的な整備、運用を図る必要がある中で、豊山町の避難所や、にぎわい施設整備も具体化して進んでいく。そうした中で、現場の職員の努力や取組をしっかりと把握し、地元の意見や要望に耳をしっかり傾けて、より一層、連携強化や情報共有が必要になってくる。さらに、大規模災害時に県民の命と財産を守る防災拠点としての役割を果たすのはもちろんであるが、平常時の利用の在り方も含めて、いかに地域に愛される、喜ばれる施設とすることが非常に重要な視点だと思っている。
そういうことを考えると、どのような姿勢でこの防災拠点整備に取り組んでいくつもりか、再度伺う。
【理事者】
防災拠点整備に向けてなすべきことは、まず、現場に携わる部下職員の意見が通るような組織体制づくりを進めること、そして組織はもとより、町や地元などの関係機関との情報共有を図ること、さらに、その意見等を集約して対応していくこと、また、私たち自身が現場や先進事例、先行事例を見て、知見を得て、大規模災害時はもちろんのこと、平時にあっても地元に喜ばれる施設にしていくことだと考えている。
前回の本委員会で指摘のあった、京都市の消防学校も私が調査に行った。こうした喜ばれる施設としていくためには、組織として、まず、実際に現地を歩いて確認し、地権者にじかに話を聞くこと、そして県の方針を押しつけるのではなく、お互いの意見交換を通じて、自分たちの意見を聴いてもらえたという印象を地元に持ってもらえるような心の通った施策を進めていくことが必要であると認識している。
このため、幹部職員がこれまで以上に地元へ足を運び、日々業務に励んでいる若手職員の意見を直接受け止めるとともに、豊山町職員が感じていることもじかに聞きながら、事業に生かせるよう、連携して整備を進めていきたい。
そして、改善すべき事項があれば、引き取って速やかに指揮し、町職員からの指摘等があれば、直接、豊山町長を訪問し、より深く意見交換するなど、スピード感を持って対応していきたい。
神明公園は、直接、町長から話を聞いた結果、工事期間中であっても公園に集まる人が空港を眺められるよう、散策に訪れる人の迷惑にならないようにしてほしいとのことであったため、しっかりと工夫して対応していく。
また、神明公園で企画されていた雪のイベントは、豊山町の子どもたちに雪遊びの楽しさを味わってもらうとともに、防災拠点整備事業、あるいは豊山町事業のPRの意図があると聞いている。今後は、町長の意向に添えるよう、意見を聴きながら開催できるよう、調整を進めていきたい。
防災拠点整備は、本県の大きなプロジェクトである。上に立つ者の仕事は、現場の課題を自分で見て、調整して前へ進めていく役割である。私がリーダーシップを発揮し、司令塔となり、先行事例を見て積極的に現認し、研究するなどして知見を養うこと、そして何より地元の声をしっかりと聞きながら行動し、覚悟と熱意を持って県民の生命や財産をしっかりと守るために、防災拠点整備事業に腹を据えて取り組んでいきたい。
【委員】
局長自らが、問題や課題を引き取って行っていきたいと答弁した。既に実施しているかもしれないが、定例的な会議や、意見交換、時には、突発的な事項に対応するために、臨機応変な情報共有など、課題解決に対する取組が特に必要になると思う。そういう意味では、不断の努力を重ねてよりよい施設を建設し、地元や県民がしっかりと活用できるような施設整備を要望する。
【委員】
調整池工事の繰越明許費について伺う。
埋蔵文化財発掘調査の関係でも、調整池工事の話が出ているが、まず、調整池の工事の概要を伺う。
【理事者】
繰越明許費を計上している工事は、防災拠点の開発に伴う雨水の流出増を抑制するための調整池を整備する工事である。公園エリアと消防学校エリアに降った雨を幹線水路に集めて排水するが、防災拠点内の最下流部に当たる、公園西側の西端に調整池を設置し、大雨の際に流出量を調整するものである。調整池の規模、雨水をためる内空の面積は、約7,000平方メートルである。高さは2.5メートル、容量は1万5,000立平方メートルであり、構造は、地下埋設型のコンクリート構造物となる。
今年度、繰越ししようとしている工事は、遮水壁工の全てと本体工の一部である。遮水壁工だが、調整池が地下構造物であるため、設置には深さ4メートル程度掘削する必要がある。掘削中に、地下水が掘削した部分に流入するのを防ぐために、掘削前に調整池の周囲に地下水を通さない壁を築造する工事である。この遮水壁は、壁を築造しようとする部分にある土に薬剤を注入して攪拌することで、水を通さない粘土系の土に改良するものである。
本体工は、工場で製造された2次製品のコンクリートブロックを組み立てて、必要容量を確保できるよう築造していく。本体工の残りの部分は、来年度の当初予算で計上したい。
【委員】
10月12日の本委員会での配布資料以外、何も参考資料をもらっていないため、説明があっても理解できない。調整池がどこにあるかも分からない。
【委員長】
現在、調整池工事の概要説明があり、口頭説明だけでは分かりづらいこと、それと合わせた調査について補足で説明が必要であるということでよいか。
【委員】
今の状態では何も分からないため、参考資料が必要である。
【委員長】
ただいま委員から資料要求があった、調整池工事の該当部分及び埋蔵文化財発掘調査の予定地区について、図面で説明できる資料を提出することは可能か。
【理事者】
2点の資料要求への対応について、今から調整する。
【委員長】
議案審査に関連する重要事項であるが、本日中に提出することは可能か。
【理事者】
今から準備し、提出する。
【委員長】
資料の提出が可能であることを確認できたため、委員会として資料を要求することに異議はないか。
(異議なし)
異議なしと認める。
【理事者】
資料について、まずA4の紙、埋蔵文化財調査の実施状況について、本発掘調査の状況を説明する。
右上の凡例のとおり、年度別に計画している。赤枠の中に網掛けで赤くなっている部分は、令和5年度から予算が認められれば実施していく。場所は地図の左側の真ん中、調整池部分と幹線水路の0.9ヘクタールである。この調整池部分と幹線水路を12月補正予算として、現在、審議をお願いしている。審議後に、調整池等の埋蔵文化財本発掘調査を行っていく。
詳細は下部の表のとおりである。
まず、防災拠点エリアの赤の網掛けの部分、調整池幹線水路を含んでいるが、この0.9ヘクタールについて、今、審議をお願いしている。
次に、2番、庁舎等の0.6ヘクタールは、来年4月から、当初予算の審議をお願いした上で実施していきたいと考えており、防災拠点全体で約3.3ヘクタールある。なお、そのほかの河川及び大山川調整池は、既に本発掘調査を進めており、道路は試掘調査中で、本発掘調査については調整中である。防災拠点エリアは、全体を約3.3ヘクタールとして進めていきたい。
引き続き、A3の資料、愛知県基幹的広域防災拠点整備事業における調整池工事について説明する。まず、調整池工事の目的だが、このエリアは新川流域内にあるため、開発区域内雨水の流出量を抑制したい。調整池のスペックについて、構造は地下埋設型コンクリートブロックで容量1万5,000立方メートルとなっており、施工手順として、まず、遮水壁工工事を行う。概要欄にあるとおり、地下埋設型であり、4メートルほどの掘削を伴うため、地下水の浸透を防ぐために、壁の周りの遮水壁工を行う。そして、その下辺りに掘削工を掘る。その下をコンクリートで固め、上部はコンクリートブロックを敷設して構築したい。
資料の右側の4番、工事の発注について、今年度は図面のオレンジの枠全体の遮水壁工工事を行い、その後青色部分の本体工①と書いてあるところ、約5分の1程度の工事を進める。これが、先ほど中根義高委員から質問があった箇所の概要である。
次に、今後のスケジュールであるが、今年度は、遮水壁工は2月から8月、本体工は2月から8月、この部分は同様に、今回、繰越明許をお願いしているところであり、残りの部分は、来年度当初から1年間かけて工事を実施していきたい。
【委員】
敷地の中の一番西側が最も低い位置であり、そこに調整池を造って、幹線水路で雨水を持ってくるということでよいか。
【理事者】
雨水の処理は、真ん中に道路があり、先ほどの埋蔵文化財調査の図面のとおり、中央に南北の道路が走っている。東側のエリアは、消防学校と公園、神明公園がある部分、西側エリアは公園のある部分であるが、それぞれ東エリア、西エリアの中で上面部分に勾配をつけて、水が集まる一番低い地点をつくる。そこに集水ますを設けて、幹線水路と書いてあるところにつなげる形で集水する。
西側の、図面の左側に行くほど、幹線水路の勾配を下げていくため、そちらに流れていく。東側の水は、東側の幹線水路で拾い、西側のエリアもこの幹線水路に接続することで、図面の左側へ雨水を流下させる。防災拠点では、水の流れの一番下流端になるところが調整池の位置となる。ここにもますを設けて、流出量が増えた場合に、一定量を超えると水路から横に水が落ちて調整池にたまるため、雨水の最大の流量が流れるときに、そのまま川に流れてしまうと川に負担がかかるため、量が決められており、大量の雨が降った場合は調整池に落ちる構造にして対策をする。
【委員】
今回は、繰越明許費に係る議案であるが、冒頭でも、埋蔵文化財調査に少し触れた説明や、島倉誠委員の質問に対する説明の中で、調整池の部分はおよそ1.5層分の発掘が必要であるとの話があったが、改めて、今回、繰越しを必要とするにあたり、工事が遅れた理由を伺う。
【理事者】
今年度当初予算にこの工事費は計上しており、当初は本年9月から年度末の3月までの約7か月間を工期として工事を発注する予定であったが、4月から実施した埋蔵文化財試掘調査の結果、工事着手前に本発掘調査を行う必要があると判明したため、年度内の完了が見込めなくなった。このため、繰越明許費をお願いするものである。
【委員】
令和6年度までに本体の残りを発注するとのことだが、先ほどからの話も含めて、どこまでできるかを考えると、なぜ2月定例議会ではなく、今回の補正予算で急ぐ必要性があるのか理由を伺う。
【理事者】
調整池工事は、地下の構造物で規模も大きいため、施工に相当時間を要する。基幹的広域防災拠点整備事業全体のスケジュールを考えた場合に、施工に時間を要する工事はできる限り早く進めたいと思っている。また、用地買収が終わったところから順次造成工事を始めているが、もともと農地であった土地のため、造成に伴い、田んぼや畑が持っていた保水能力、雨が降ったときに浸透していく力が低下しているのではないかなど、地元から、雨天時の心配をする声があり、それを踏まえて、早期に調整池を整備するため、本定例議会で上程した。
【委員】
地域住民が不安になってはいけないため、工事の進展に伴ってではあるが、調整池工事もスケジュール感を持って行ってほしい。そもそも、本年3月に入札不調で基幹的広域防災拠点の完成自体が後ろにずれているが、これらを踏まえて、全体のスケジュールに影響はないのか。
【理事者】
調整池工事のスケジュールだが、まず今年度の予算では、遮水壁工の全てと、本体工のおおむね5分の1程度の発注を予定している。残る本体工の約5分の4とその後の埋め戻しや盛土造成は、来年度の当初予算を計上し、来年度末までに完成予定である。来年度末までに完成すれば、基幹的広域防災拠点事業全体のスケジュールには影響はない。
【委員】
A3資料の最後に、本体工の残りは2025年3月までと書いてある。ここまでに完成すれば、全体のスケジュールには影響がないとのことであるので、スケジュール感を持って行ってほしい。
《一般質問》
【委員】
ゼロメートル地帯における広域防災活動拠点の整備状況について、整備予定としている4か所の現在の進捗状況と今後の予定を伺う。
【理事者】
まず、愛西市の拠点は、昨年度末の3月に供用を開始している。その後の取組として、救出救助活動の実効力を高めるために、実働訓練を定期的に実施することとしている。災害は昼夜を問わず発生するため、夜間の発生に備えて、防災ヘリコプターの夜間離着陸が可能な場外離着陸場として使えるよう、大阪航空局に許可申請をした。本年12月1日付けで許可が下りたため、名古屋市消防航空隊と愛西市消防本部と調整し、12月14日に初めて夜間の離着陸訓練を実施する予定である。今後も関係機関と連携して、より一層、災害対応力の強化を図る。
次に、弥富市の拠点は、海南こどもの国の第2駐車場にヘリポート構造として整備予定である。今年度は実施設計を進めており、来年度から建設工事に着手し、2026年度内の供用開始を目指して進める。
続いて、西尾市の拠点であるが、今年度の前半までに盛土造成工事が完了し、現在は防災倉庫の建築工事を進めている。防災倉庫は、来年の2月中旬に完成予定である。その後、3月に救助ボートなど、救助資機材の搬入を予定している。来年度は、上面部のアスファルトの舗装など、仕上げの工事を実施し、来年度内の供用開始を目指して進めていく。
最後に豊橋市の拠点であるが、国道23号の豊川橋料金所跡地に整備することとしており、管理者である国土交通省名古屋国道事務所と、土地の譲渡に向けて手続を進める。今年度は譲渡に必要となる用地測量のほか、防災倉庫やヘリポートの位置などの基本設計、そのために必要となる地質調査などに着手している。
また、国道23号とこの拠点はつながっているため、ヘリコプターだけではなく、大型バスによる避難者の輸送も可能であると考えている。このため、バス輸送の動線や、避難者の輸送先などについても検討を進める。
【委員】
豊橋市の活動拠点について、避難者の輸送手段としてヘリコプターやバスの輸送も検討している。この場所は、避難場所として既に設定されており、救出救助機関や避難者など、様々な人たちが集まってくることが想定される。また、ヘリコプターが着陸する際には、安全確保のため、風の影響などを考えて、国道23号を止めることの可否を考える必要があり、緊急車両や避難車両の通行を妨げてしまう可能性があると懸念されている。
誰が、いつ、どのように救助活動を行い、避難者を誘導していくのかというオペレーションを行うための関係機関が多い。特に、豊橋市の意向も踏まえて決定していかなければならないと思うが、豊橋市との連携についてどのように考えているのか。
【理事者】
豊橋市の拠点は、豊橋市が指定する緊急避難場所としているため、地震発生時には近隣住民が避難してくることが想定される。また、津波の被災者の救出救助のため、地元の消防本部や自衛隊がボートで救出に向かう活動も始まるほか、警察や海上保安庁などのヘリコプターも活動を始める。さらに、隣接する国道23号は、第一次緊急輸送道路になっており、いち早く道路警戒の作業も行われることが想定される。そうなると、ヘリコプターの離着陸の際に、ヘリコプターの回転翼から吹き降ろす風により国道23号を通行する緊急車両や避難車両の通行に影響を及ぼすことも考えられる。
このように複数の活動が輻湊して行われることが考えられるため、災害が発生した際に、誰が現場の指揮を取り、どのように救出救助活動を行うのか、避難者や救助者をより安全な場所へどのように輸送するのかなどのオペレーションをあらかじめ定めておくことは大変重要である。
現在、地元である豊橋市や国道を管理している名古屋国道事務所など、関係機関と様々な場面を想定して、迅速な救出救助活動ができるように検討を進めている。
【委員】
関係機関と連携して進めてほしい。
次に、弥富市の広域防災活動拠点について、この拠点は、ヘリポート構造と建築物で整備をする建築には、資材の搬入や、大型車両や重機の運行が必要とのことであり、海南こどもの国の第2駐車場に整備されるとのことだが、前面道路が大変狭い。そのことは、8月の自民党県政調査会で指摘したが、その際、大型車両を通行させるために前面道路と県道の交差点部分を拡幅するか、海南こどもの国の園内を通すかを調整中であると聞いたが、現在の検討状況を伺う。
【理事者】
弥富市の広域防災活動拠点のヘリポートの工事中に使用される大型の工事用車両のルートについて、ヘリポートの拠点を整備する第2駐車場の前面道路とつながる県道との交差点、この交差部の交差角が少しきつくなる部分もあるほか、この前面道路に一部幅が狭い区間がある。その幅の狭い区間に民家が集まっているため、拡幅するとなれば時間も要するほか、騒音や振動の影響も想定される。また、近隣へ通行の不便をかける。このため、前面道路を使用するのは難しいと考えている。そこで、現在は海南こどもの国を管理している福祉局と調整しており、海南こどもの国の園内に工事用の車両を通行させるための仮設道路を設置する検討を進めている。
なお、過去に第2駐車場を整備した際にも、海南こどもの国の園内に仮設道路を設置して整備したと聞いており、今回も同様のルートを検討している。
【委員】
現在、園内の第1駐車場から第2駐車場への仮設のルートを検討していると把握した。
続いて、弥富市の広域防災活動拠点の供用開始後、救出救助を行う際に、大型車両が防災活動拠点に入ってくることが想定されると思うが、そうした場合、車両の通行はどのようになるのか。
【理事者】
供用後の災害が発生した際の大型車両の通行ルートについて、災害のケースによっては、救出救助のための大型車両や救助者を輸送するための大型バスなどを、拠点のある第2駐車場に向かわせる必要がある場合も想定される。
供用開始後の緊急車両などの通行ルートは、工事用の車両と同様、海南こどもの国の園内にルートを確保することも含めて、施設管理者である福祉局や地元の弥富市、海部南部消防本部などと調整を行う。
【委員】
この拠点の周辺、十四山地区は高い建物が無い状況であるため、少なくとも弥富市が緊急避難場所として指定している海翔高校や十四山中学校まで避難しなければならない場所であり、この拠点に避難してくる人がいると想定するが、この拠点を緊急避難場所等に指定することはできるか。
【理事者】
広域防災活動拠点は、大規模災害時に逃げ遅れるなどして取り残された避難者を、ヘリコプターで浸水区域外に輸送するための救出救助活動の拠点である。この場所を緊急避難場所とすることについて地元の弥富市に確認したところ、迅速な救出救助活動の妨げの原因となるおそれがあるため、この場所を緊急避難場所に指定することは考えていないとの話である。
しかし、他の緊急避難場所に避難する余裕がないなどの理由から、やむを得ず、広域防災活動拠点に避難する人や、海南こどもの国にとどまらざるを得ない来園者もいると考えられる。したがって、地元の弥富市、海部南部消防本部と意見交換をして、避難者の安全管理にも十分配慮し、よりよい拠点となるよう検討する。
【委員】
緊急避難場所として指定はしないが、やむを得ず逃げてくる人は受け入れる意向だと受け止めた。
続いて、県では、防災に関する啓発イベントである防災フェスタを毎年開催しているが、開催趣旨と最近の開催状況を伺う。
【理事者】
防災フェスタは、県民に広く防災に関する意識の高揚と知識の普及を図ることを目的に、防災関係団体による展示や子どもから大人まで楽しめるステージイベント等で構成する啓発行事で、毎年11月の第2日曜日のあいち地震防災の日に合わせて実施している。
昨年、一昨年は、あいち健康の森で開催し、昨年は、出展団体数53団体、来場者数は雨天により約1,400人、一昨年は、出展団体数27団体、来場者数は約3,200人となっている。
今年は、国土交通省が全国持ち回りで開催している大規模津波防災総合訓練が、11月11日に名古屋港ガーデンふ頭で行われることに合わせて、防災フェスタも同会場で開催し、出展団体数はブースや車両を合わせて48団体、来場者数は約3,000人となっている。
【委員】
毎年開催している防災フェスタだが、現在開催されている、弥富市議会定例会の一般質問において、弥富市長が海南こどもの国に設置される広域防災活動拠点の供用開始に合わせて、防災フェスタを県と弥富市とで合同開催するよう要望すると答弁したが、県の考えを伺う。
【理事者】
過去にも、防災フェスタの開催趣旨と関連し、より多くの参加者が見込まれるイベントと併催をする例があり、今年の名古屋港ガーデンふ頭で実施した例のほか、2019年度には防災推進国民大会という国の行事が愛知県で開催されたことに合わせて、10月19日から20日の2日間にかけて、ささしまライブエリアにおいて併催した実績がある。
今回、弥富市から、海南こどもの国で広域防災活動拠点の供用開始と、2026年度が弥富市政20周年の節目に当たることから、防災フェスタを弥富市で開催したいとの意向を聞いている。
弥富市での防災フェスタの開催については、広く防災に関する意識の高揚と県民の知識の普及を図るという、防災フェスタの開催趣旨にも合致しており、大変意義がある上に多くの参加者も期待できるため、県も前向きに検討したい。
【委員】
最後に、要望として、海南こどもの国園内の常設道路について、いざというときに備えて園内に道路を残してほしい。大型のイベントがあったときに第1駐車場から第2駐車場へ誘導されるが、誘導時には狭隘道路を通るルートが常時なされている。常設道路を残すことで、第1駐車場と第2駐車場の平時の利用が円滑になるため、緊急時のことも平時のことも考えると、常設道路の設置を前向きに検討してほしい。
次に、第2駐車場は砂利の駐車場であり、例年弥富市が秋まつりで開催している会場になったときも、ある程度広く駐車場が利用されるため、敷地全体の持つキャパシティーよりも低い利用率にとどまっている。広域防災活動拠点が完成すると、1階は柱しかないとはいえ、柱の部分の駐車スペースが失われる。失われた部分を補う意味でも、キャパシティーを十分に使うことができるよう、コンクリート、アスファルトの舗装をして駐車線を引き、キャパシティーを十分に活用し、全体の駐車量を増やすようにしてほしい。
併せて、広域防災活動拠点の整備工事が約2年強続くため、その間、今まで開催していた、弥富市の秋まつりや金魚日本一大会といった大きなイベントは、駐車場が工事の影響を必ず受けることから、イベント開催者に工事の情報が必ず届くよう、周知してほしい。
最後に、防災フェスタを、広域防災活動拠点の整備、供用開始の年かつ弥富市の20周年記念事業と併催したイベントとして令和8年度に行うことを要望する。
【委員】
2004年に犯罪被害者等基本法が成立して20年の節目を迎えようとしている。これまで国で4次にわたる犯罪被害者等基本計画が策定され、国や自治体、関係機関等の連携、協力の下、犯罪被害者等への支援施策が進められてきた。
県も、昨年4月に犯罪被害者等支援の特化条例である愛知県犯罪被害者等支援条例を施行するとともに、本年3月には条例に基づく愛知県犯罪被害者等の支援に関する指針を策定し、犯罪被害者等支援施策の充実、強化に向けた取組が進められている。
そこで、この指針に基づき犯罪被害者等支援の取組をどう進めているのか伺う。
【理事者】
本年3月に策定した犯罪被害者等の支援に関する指針では、犯罪被害者等に対する支援フローの確立、多岐にわたる支援ニーズへの対応、社会全体で犯罪被害者等を支える機運の醸成の三つの施策の柱に沿って支援施策を実施していく。
まず、犯罪被害者等に対する支援フローの確立は、県警察本部が事務局を務める愛知県被害者支援連絡協議会を通じ、国、市町村、民間支援団体等と相互に連携、協力を行うとともに、各機関の支援内容と相談窓口について整理した犯罪被害者支援ハンドブックあいちを毎年作成している。
さらに、今年度から県庁内における情報共有と支援体制の構築を進めるため、愛知県犯罪被害者等支援推進のための連絡会議を新たに設置し、総合的対応窓口など、より望ましい支援体制の在り方について検討している。
次に、多岐にわたる支援ニーズへの対応についてでは、犯罪被害者等の経済的負担の軽減を図るため、2021年度から運用している犯罪被害者等見舞金、犯罪被害遺児支援金、犯罪被害者等再提訴費用助成金に加えて、今年度から新たに犯罪被害者等法律相談費用助成金と犯罪被害者等転居費用助成金を創設し、支援の充実を図った。
最後に、社会全体で犯罪被害者等を支える機運の醸成については、県民に犯罪被害の実態について理解を深めてもらうため、犯罪被害者団体と連携してパネル展や講演会を開催したほか、県政お届け講座のテーマとして、犯罪被害者等支援を今年度新たに開設した。
こうした指針に基づく取組の状況をフォローアップするため、犯罪被害者当事者団体や学識経験者等で構成する愛知県犯罪被害者等支援懇話会を新たに設置し、懇話会の助言も受けながらこうした取組を着実に進めていく。
【委員】
充実した取組が進められていることが分かったが、県内市町村の状況を見ると、特化条例を制定しているのは、名古屋市、知多市、大府市及び今年9月に制定した東海市の4市にとどまっている。
犯罪被害に遭った人が県内のどの市町村に居住していても必要な支援が受けられるようにするためには、特化条例の制定や相談対応窓口の充実など、市町村においても犯罪被害者等支援のために取組を進めていくことが大変重要だと思うが、市町村における犯罪被害者等支援が推進されるよう県としてどう取り組んでいるのか。
【理事者】
犯罪被害者等の支援に関する指針では、推進体制の一つとして、市町村と推進体制の整備を位置づけており、本年度、市町村犯罪被害者等支援施策担当課室長会議を新たに開催し、犯罪被害者の置かれている状況や特化条例制定の意義について犯罪被害者からの講演なども行いながら理解を深めてもらった。さらに、市町村の担当者向け研修会では、想定事例を用いて犯罪被害者の相談に対応するグループワークを今年度から実施するなど、より実践的な内容に改善している。
こうした取組のほか、特化条例の制定や見舞金等の支援制度に関する市町村からの個別相談に対しても必要な助言等を行っている。市町村における犯罪被害者等支援が推進されるよう、今後もこうした取組を進める。
【委員】
半田市の、9月定例議会で民主会派の議員が、半田市が実施している犯罪被害者等の支援策についての在り方、また、県内で特化条例を制定しているのは4市であり、他県と比べて遅れていること、再犯防止の観点からも犯罪被害者を支援する条例を制定し、支援していくべきと思うが、市の見解を伺うと質問した。
答弁は、ホームページで被害者相談の問合せ窓口は掲載しているが、市独自の犯罪被害者への支援がないこと、犯罪被害者等基本法では、国との適切な役割分担を踏まえれば、地域の状況に応じた政策を策定し、実施する責務を地方公共団体が有する旨、記載されているが、半田市は、国の支援内容とその状況、実績を把握した上で、市の犯罪被害の状況を勘案し、必要な支援策とそれに伴う条例について検討していくと、前向きなものであった。
このように様々な形で、関係自治体に対して犯罪被害者の支援の取組を促していくため、再犯防止の観点からも罪を犯した人が社会の構成員として円滑に社会復帰でき、安全・安心なまちづくりを促進するため、再犯防止推進計画について、これまで以上に積極的に取組むよう要望する。