介護事業者の安定的な運営確保についての意見書 高齢化や核家族化により介護ニーズは増大している一方、本年1月から10月までの介護事業者の倒産数は、過去の年間最多倒産数をすでに上回るなど、介護事業者を取り巻く環境は、昨今の物価高騰の影響や人材不足などを背景に、大変厳しい状況にある。 介護事業は、国が定めた介護報酬により運営されており、光熱費・食材料費の物価上昇分を利用者に転嫁することは難しく、特に自動車による移動が必要な訪問介護においては、ガソリン価格の高騰の影響を大きく受けている。 こうした中、令和6年度の介護報酬改定においては、介護報酬全体として1.59パーセントの引上げとなったものの、光熱費や食材料費等の高騰への対応は十分なものとなっていない。 また、訪問介護については、基本報酬が引下げとなったことにより、特に利用者宅を一戸ずつ訪問する小規模な事業者からは、経営の厳しさを訴える切実な声がある。 今後も、介護事業者によるサービスが安定的、継続的に提供されるためには、経営環境が安定化するとともに、介護従事者の処遇改善等による人材の確保、定着を図っていくことが必要である。 よって、国におかれては、介護事業者の安定的な運営確保を図るため、下記事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。 記 1 物価高騰などの社会経済情勢を踏まえ、介護事業者の経営の安定化に資する必要な取組を強化すること 2 令和6年度の介護報酬改定の影響についての検証を訪問介護事業者等の意見を踏まえながら速やかに行うとともに、介護従事者の賃金を始めとする処遇の改善に資するための施策の在り方について検討を行い、必要な措置を実施すること 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和6年12月19日             殿 愛知県議会議長     直江弘文 (提 出 先)     衆議院議長      参議院議長     内閣総理大臣     厚生労働大臣