刑事訴訟法の再審規定の改正についての意見書 えん罪は、国家による最大の人権侵害の一つであり、誤った捜査や裁判によって生じたえん罪被害者の速やかな救済は重要な課題である。 しかしながら、現行の刑事訴訟法では、再審請求手続の審理の在り方に関する規定が19か条しかなく、再審請求手続をどのように行うかは裁判所の広範な裁量に委ねられていることから、審理の適正さが制度的に担保されず、公平性も損なわれているとの指摘がある。 また、過去のえん罪事件において、警察や検察等の捜査機関の手元にある証拠が再審請求手続において明らかになることが、えん罪被害者を救済するための大きな原動力となっているものの、現状では、捜査機関の手元にある証拠を開示させる仕組みを明文化した規定はなく、裁判官や検察官の対応によって、証拠開示の範囲に大きな差が生じている。 さらに、再審開始決定がなされても、検察官がその決定に対する不服申立てをすることで、再審公判に移行するまでに長期間を要している実情があり、罪を犯していない人が長年にわたり、自由を奪われている。 よって、国におかれては、えん罪被害者の早期救済を図るため、再審請求手続において捜査機関が保管する証拠を開示すること及び再審開始決定に対する検察官の不服申立てに制限を加えることを内容とする刑事訴訟法の再審規定の改正を図られるよう強く要望する。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 令和6年12月19日             殿 愛知県議会議長     直江弘文 (提 出 先)     衆議院議長      参議院議長     内閣総理大臣     法務大臣