【記者】 |
浜岡原子力発電所を停止すること自体は、止むなしとして、その後の対応に重点を置くというスタンスにお見受けしたが、そういうことでよろしいでしょうか。 |
【知事】 |
菅総理、海江田経済産業大臣から中部電力さんに浜岡原子力発電所の停止要請があったという厳然たる事実と、その翌日に私にも、そういった意味での御理解と御協力をというお電話をいただいて、それぞれ10分ずつ会談といいますか、まあ10分って結構話せますからね、今言った内容を話しました。
そういうことがあったということは、事実は非常に重いので、私は、中電さんの判断を縛るということではありませんが、菅総理、それから海江田経産大臣からのそういう電話があったということでもありますから、そういったもろもろのことを踏まえて、私はいち早く、連休明けのこの時点でこの電力・エネルギー対策本部をつくって、いろんな情報収集をし、そして、とにかくですね、先ほど申し上げたように国に物申していかないかんと。国に物申していかないかん。ただ単に電話一本で、ここで停めて、あとは「じゃあ、あんた方やっといてね」と、そういうわけには、これはいきませんからね。私も、何度も言いますが、愛知県の県民生活と愛知県経済、産業に対する責任を持っておりますから。そして、この愛知県だけにとどまらないわけですよ。
僕は菅総理にもかたがた申し上げましたが、愛知県は産業県なんですと。日本有数の製造業がある産業県なんです。この愛知県の産業がフル回転して、さあこれから日本を支えていこうというふうに思っていたときに、こういう形で大きな問題が立ちはだかるということでは、日本の再興、復興についても、私は大変大きな問題があると言わざるを得ないと。それは国を挙げて考えていただかなきゃいけないというふうに申し上げました。
ですから、そういう意味で、中電さんが今後、浜岡をどう扱う、どうされるかはあれでございますが、それはそれとして、愛知県なりこの地域の電力の供給と費用、コストの面も含め、不安がないように全力を挙げたいというふうに思っています。 |
【記者】 |
海江田経済産業大臣に近々面会をされるようですが、一番訴えたいことは、何ですか。電気料金についてですか。 |
【知事】 |
いやいや、物事の順番。まずは安定供給ですよね。まずは安定供給があり、安定供給の確保があれば、次は、と持ってくる。だから、さっき申し上げましたように日本のエネルギー電力政策、電力政策というのは電源構成が多様なものをベストミックスしてやっている。それぞれコストが違うわけですから、一番安いコストの原子力発電を、原発をとられたら当然、だれが考えてもアップしますね。その分をどうしてくれるんですかという話は、私の立場として、これは整理せざるを得ない。正直言って、もう既にいろんな産業界の皆さんとも個別にお話をして聞いても、みんなそりゃ怒っとるわけですよ。ちょっと待てよと、わしらにかぶせる気かと。冗談じゃないぞと。何を言っとるんだと。これから大震災の傷を癒して、フル回転して日本を支えていこうと思っているときに、それじゃあ日本で立地できないじゃないですかという話になっちゃいます。それと雇用の問題になりますからね。
私はそうそう簡単に、軽々に考えてもらっちゃ困る、この話は。ということは強く申し上げたいというふうに思います。だから国を挙げて、これは考えていただかなきゃいけない課題だと。
ましてや、だって私、菅総理にも海江田大臣にも、「ところで、これドミノ倒しにならないんですね」というふうに言ったら、「それはない」というふうに、おととい、私の電話ではっきり言い切って、その後、昨日言われてましたよね。これは浜岡だけの特別の要請なんだと。であれば、それはやはり国全体のエネルギー政策の中で考えていただかないといけない課題だと思いますから、その点は強く言っていきたいというふうに思います。 |
【記者】 |
コストアップの部分については、利用者に反映してはならないということですか。 |
【知事】 |
それはもちろん。まずは、だからそのどういうふうな形でね、もちろんそれは中電さんの中での御努力とかいろんなことがあるかもしれませんが、それだけにね。要は、正常運転していたものを要請して停めるということになった場合に、それを本当に中電さんだけにあれするのか、ひいてはですよ、中電さんに言ったって、それは利用者があって、そこに中電さんの、いわゆる財務内容があるわけですから、そういった中電管内、特に大半を占める、もう半分を占める愛知県の経済界、産業界と、県民にそれをかぶせるんですかと。それはちょっと待ってくださいよと。それはちょっと言わざるを得ませんので、それは強く言っていきたいと思います。
要は、日本全体で取り組んでほしいと。取り組んでほしいというか、当然ですよ。だって浜岡だけに要請するわけだから、それはそうですよねということは申し上げたい。 |
【記者】 |
中部電力だけに押し付けるなということですか。 |
【知事】 |
だから、中電という会社は、中電という会社で成り立っているわけではなくて、そこに利用者、我々が、県民、もちろん愛知県だけじゃありませんが、東海五県の県民とその産業界があるわけですから、そこだけにおっかぶせるというのは、それは話が違うんじゃないですかということは申し上げたい。それが民主党政権の姿勢なんですかということを強く申し上げたいというふうに思います。 |
【記者】 |
菅総理の今回の判断に、同意をするのか、同意しかねる部分があるのかお伺いします。 |
【知事】 |
総理からの停止要請について同意するしないというのは、私の立場でコメントすることではないというふうに思っております。これは中部電力さんへの要請であって。だから先ほど申し上げたように、電力・エネルギー対策本部を立ち上げたことで中電さんの判断を縛るということではありませんと。それはあくまでも中電さんの御判断だろうということですが、総理と海江田大臣から私にそういう電話があった、連絡があったということは非常に重いので、それを踏まえて、これをつくる。県民の声と愛知県の産業界の声をある意味代弁をしていく、集約し代弁していくということを私はやっていかなきゃいけないと思っておりますから、そういう意味でこれをつくらせていただきました。
したがって、菅総理の御判断なり要請について、私がそれが是とか非とかいうコメントは、私はそれをする立場ではないというふうに思っております。 |
【記者】 |
知事は、東日本大震災後の会見で、国の原発政策は転換しなければいけないとおっしゃっていましたが、その考えに変わりないのか伺います。 |
【知事】 |
原発政策は安全性が大前提でありました。その安全性が、いろんな意味でいろんな条件が加わったと。想定外だったというか、いろんなことを言われても、現に福島第一原発でこれだけの、レベル7という大きな重大事故が起きたということは、これは事実を真摯に受けとめなければ、真剣に受けとめなければいけないというふうに思います。
そういう意味では、そのことを踏まえて、私は安全性という点が一端でもこれが崩れたということであれば、その点を踏まえて原子力政策を大きく見直す必要がある、そのことは申し上げました。その点は変わっておりません。具体的にどういうふうにするかは、これはこれから十分関係者の議論、私もその中で物を、機会があれば言っていきたいと思いますが、この原子力政策を見直すということは、これはもう方向としては、そういうことにならざるを得ない。その考えは変わっておりません。 |
【記者】 |
仮に浜岡原子力発電所が、全面停止になったとしても、安全性が確保されれば、再開してもよいお考えでしょうか。 |
【知事】 |
それは安全性が大前提だと私申し上げました。で、安全性の評価ですね、検証というのを専門家の皆さんがまずはやっていただくということですから、その条件がすべてそろった段階で、関係者の皆さんといいますか、もちろん一義的に中部電力さん、それから国、地元の自治体、そして私も含め、それはその段階でコメントといいますか、私の考えを申し上げさせていただきたいというふうに思います。 |
【記者】 |
浜岡原子力発電所が再開する際には、中部電力又は政府に対して、愛知県の同意を必要とすることを求めていくのか、また、愛知県として、独自に中部電力と事故時、異常時に通報連絡できる原子力安全協定を結ぶ考えがあるのかお伺いします。 |
【知事】 |
まず第1点目の同意の話ですけれども、これは今、制度がそういう形になっておりますから、立地県とその立地市町村の同意ということになっておりますから、私はそれはそれなんですけれども、制度がそうだからといってそれは置いといて、現実問題ですね、事実関係、事実問題として、正直言って、私自身いろんな物は言っていける立場だと思っておりますから、申し上げていきたいというふうに思っておりますし、それはまずはですね、私はいつもいつも申し上げているんですが、国の原子力政策は安全性が大前提でございます。
したがってその安全性は、専門家の皆さんが十分縦横斜めから検証していただいて、そのことを客観的なデータに基づき検証していただいた上で、安全だということになれば、その段階で私自身の意見を申し上げさせていただきたいというふうに思っております。
したがって、同意云々が制度としてあるか、そんなのはあんまり関係ないのかなというふうに思います。
それから2点目の原子力安全協定云々の話ですが、これは連休前も申し上げたかと思いますが、愛知県がやっております、平成14年からやっております地震対策アクションプランをですね、この際いろんな専門家、有識者の方の御意見をお聞きしながら、これを東海、東南海、それから南海地震の三連動も念頭に置いて、そういった見直しを、これは国の方もこの23年度やるというふうに聞いておりますし、我々もですね、愛知県も独自でそういったものを念頭に置いたシミュレーションと、これから対策もつくっていかなきゃいけない。そういう意味では地震対策を抜本的に拡充強化しなきゃいけないと思っておりまして、その際のこれまでのこととは違った要素の見直しとしては、一つは津波対策を強化しなきゃいけないだろう。それから液状化対策をどういうふうにしていくのか。それともう一つは、この原子力、浜岡原発で原子力発電所との関係、それから安全対策、そういったものも、これもこの我々の愛知県の地震対策のアクションプランの中に位置づけていかなければいけないというふうに思っておりまして、そういう議論をしていく過程の中で、今言われた安全協定等々についても、それも視野に入れて検討していきたいというふうに思います。 |