【記者】 |
名古屋市の河村市長が、福井県の原発が有事の際のハザードマップの作成について、本日、国に要望に行くとのことです。ハザードマップの必要性について、知事はどうお考えですか。 |
【知事】 |
私どもは関西電力さん、それから敦賀にある日本原電さんかな、それともう一つ、昔の動燃機構、今何と言うんだ、もんじゅをやっているところね、原子力開発機構か。その3者と情報交換、それから情報提供、それから異常時の即時通報体制といった協定を結ばせていただいております。実務的にもその3者と情報交換をやらせていただいておりますので、そういったことをしっかり積み重ねていってやっていくことが必要だと思っております。
ですから、そういった中で必要な情報を採っていき、しっかり県民の皆さんが安心していただけるように体制を作っておりますので、そういった中でやっていきたいと思います。 |
【記者】 |
国内の全ての原発が停止しましたが、知事はどのように受け止めますか。また、政府は運転再開を急いでいますが、この姿勢についてどう思われますか。 |
【知事】 |
北海道の泊原発が止まって、国内54基、福島の四つが廃炉という手続なので今50基ですか。50基、全てが停止したということが40何年ぶりということですよね。これは率直に受けとめないかんということだと思っておりますが、私は、それぞれ立地の地元があるわけですから、地元の自治体、それは地元の市や町、それから県の皆さんが十分御納得いただけるような説明を、国は安心安全という面で十分な情報提供と、そして説明していかなきゃいけないと思っております。
これは運転を停止したからと言ったって、その燃料プールには使用済核燃料はあるわけですよね。それを循環させて保存して、冷温状態で保管しているわけですから、引き続きとにかく安全安心を確保するという責任があると思いますので、しっかりと説明をして。とにかく原子力政策は安全というのが大前提ですから。そのことが福島第一原発の事故で崩れたということですから、そのことをまずは国会も国もその情報分析をし、しっかりと検証して、国民に説明する責務があると思います。その上で50の原発が立地しているところの地元の皆さんにはしっかりと説明をしていく必要があると思っております。それをまずやっていただくことが大前提だと思っております。
その上で、これからそれは5月、6月はいいんでしょうけれども、夏場に向けて電力の需要のピークが来るわけですから、それに向けてどうやって電力、エネルギーを確保していくのか、どういう形でこの夏が乗り切れるのか、乗り切るのか乗り切れんのか、それはこの電力、エネルギーを確保していくということは、まさにこれも国の責任ですよね。
ですから、それは今の需給状況がどうなっていて、どういうふうにこの夏を乗り切っていくのかということを、データをしっかり積み重ねた上で、国民の皆さん、それから産業界の皆さんもそうだと思います、労働界の皆さんにもそうだと思います、そういった方々に、全ての国民の皆さんにしっかり説明していく責任が私は国にあると思います。是非そういったことをしっかりまたやっていただきたいと思っております。 |
【記者】 |
大村知事自身は、将来の日本の原発のあり様について、どういう姿が望ましいとお考えですか。 |
【知事】 |
それは皆さんそれぞれお考えがあるかと思いますが、私は前からずっと申し上げておりますけれども、原子力政策というのは、何と言っても安全性が、安全が大前提だということなんですね。その安全性を最優先に確保するということでやってきたわけです。
今回の福島第一原発にしても、あの地震では建物は壊れなかった、炉心も壊れなかった、止まったということなんですね。ところが、津波に対する対策ができなくて、全電源が喪失されて冷温停止の確保ができなくなったということですね。いずれにしても、結果、ああいう大事故が、未曽有の事故が起きたわけですから、その安全性ということについて、私はその前提は非常に厳しい、正直言って、その前提が崩れたと思います。ですから、将来的にはこの原発の問題は、中長期的には原発依存を減らしていく、そして原発依存から脱却していくということは、私は当然の帰結だと思います。
ただ、一足飛びに全てを今停止して、日本の国民生活なり産業経済がもつのかということは、私は冷静に考えていただいたらいいと思いますよ。現実に電力供給の30%を超える供給を原子力発電所に依存している現実があるわけですから、そこに至るロードマップをしっかり作ってやっていかなきゃいけないと私は思います。
ましてや、あれだけの大震災の後の日本の、東北地方もそうです、関東・東北の復興、それから日本の復興、それから日本の経済産業の復興をやっていくというときですから、日本の復興をやっていくときに、経済産業の復興をやっていくときに、電力、エネルギーが足らんというのでは、ますます企業は海外に出ていっちゃいますから。私はそこのところも十二分に考えた上で、だからそういった情報、データをしっかりと国民の皆さんに示して、その上で、判断は選挙を経た時の政権がやるんですよ、それが民主主義なんですから。だから、それでしっかりと日本の国の方向に誤りなきよう期していただきたい、そういうふうに思っています。 |
【記者】 |
大村知事は中長期的には脱原発依存とのことですが、原発をゼロにするということもあり得るとお考えですか。 |
【知事】 |
私は、今すぐは、先ほど申し上げたように、今すぐは現実的だと私は思いませんが、中長期的にはそれもあり得る方向だと思っています。ただ、それに至るまでに、物事はある日突然こうなったのがこうというのはできませんから、そうじゃなくて、やはりそれに至るロードマップをしっかり示して、一つずつやっていく。
だって、原子力発電所だけじゃなくて、火力だって水力だって、発電所は全部耐用年数があるわけですよね。大体原発だって、石炭火力だって石油火力だって大体40年。40年は火力発電所も使えないですよ、普通。だから、そういう意味で、それが来たときに今の状況の中でリプレイスができないとなれば、そこはその段階で期限が来たら廃炉にしていくということになっていくんじゃないんでしょうか。
ただ、そのときに日本の電力、エネルギーが足らないというのでは、それはみんな企業も人も、みんな日本人も外に出ていって働かないかんくなりますよ。だから、どうやってその電力、エネルギーを確保していくのかということは、これは真剣に考えていかなきゃいけないことだと思っています。
個人的な感想を言うと、昔、10年ちょっと前かな、大井川に大井川鉄道があるでしょう、SLがね、子供を連れていったことがありましてね。その上流、中部電力が作っている大きな大井川ダムがあるんですね。だから、ダムをつくり、そのついでに上の南アルプス山系の森林開発というか、木を伐採して林業開発をやるためにあの大井川鉄道を敷いてやった。あれはもう戦前からずっとあの構想があって、戦後すぐ着手したんですね。あのダムができて、あれは昭和30年代の頭じゃなかったかな、たしか。30年前後かもしれませんが。
要は何かというと、結局、戦後の日本の復興のためには、何と言っても電力が要ると、電力の開発なんだと。当時は原子力なんかありませんから、まずはやっぱり日本の急流河川をせき止めてダムをつくって、そこで水力発電を興し、その周辺の森林開発をし、それを鉄道を敷いて全部持ってきてというのが国策だったんですね。あれを見にいくと、なるほどそういう歴史なんだなというのがよくわかりますが、やっぱり国民生活を豊かに、産業興しね、国民生活を豊かにしていくという意味で、電力、エネルギーの確保というのは国策であったわけですよ、戦後すぐの復興のためだから、そういうことはやっぱり、今ももちろん当時に比べればもっともっと、これだけ高度な経済社会を作っているわけですからそれはやっぱり不可欠だと思うんですね。
ただそれを、あれだけの大事故が起きたわけですから、中長期的に原発を増やしていくとか、原発をさらにあれしていくということは、もう日本は難しい、採れないと思いますよ、その路線は。だとすると、その依存の率を減らしていくそのロードマップと、それに替わって何で電力、エネルギーを確保していくのかということを、これはやはりしっかり作っていくということは、これはやっぱり国の責務じゃないでしょうか。
もちろん、国、国と言ったって、愛知県、私もやりますよ、我々も全力でやりますし、それなりの戦略も描きながらね。だから、私は愛知県の産業振興の一つの大きな柱として、自動車はこれから大テストコースなり研究開発をしっかりやっていく。それから、自動車関連産業も振興していく。航空宇宙産業の特区も作ったし、これもどんどん誘致し発展させていく。それからエネルギー、リチウムイオン電池の研究所とか会社をどんどん誘致した、それからメガソーラーも作っていく、それから農業用水を使った小水力発電。多分愛知県がこれから、今年からどんどん着工していきますから、あっという間にというか、すぐ日本一になると思いますがね。農業用水の小水力は日本一になると思いますけれども、そういったのをどんどんやっていこうと思っています。本当はさらにバイオマスもやりたいんだけれども、バイオマスはちょっといろいろ難しいんだな、なかなか。
そういったところも含めて、我々は我々としてやれる以上の電力、エネルギー対策といいますか、エネルギー産業の振興をやっていこうと思いますけれども、合わせてというか、まずは何と言ってもオールジャパンの電力、エネルギーですね。経済産業、それから国民生活に不可欠なエネルギーを確保するというのが国の責務だと思いますから、それはしっかりとやっていただきたい。そのことはこれからも強く申し上げていきたいと思っています。 |