【知事】 |
民間法人による三河地域で初めてとなる重症心身障害児施設の整備についてご報告をいたします。(https://www.pref.aichi.jp/0000068673.html)
本県におきましては、重症心身障害児者が利用できる入所施設が他の類似府県に比べて少なく、身近な地域で医療や療育などの支援が受けられる体制づくりが喫緊の課題となっているわけでございます。このため、昨年10月に県内で初めて民間法人による重症心身障害児施設の整備を一宮市内で進めていく旨の発表をいたしたところでございますが、県内の身近な地域で重症心身障害児者の施設の整備は更に必要な状況にあるということは、これまでお話ししてきたとおりでございます。
こうした中で、昨年12月に豊川市小坂井町の県有地を活用した整備の意向調査を実施いたしましたところ、2法人から整備の意向が示され、審査を行った結果、整備法人を決定いたしましたので、ご報告をいたします。
整備を行う法人は、「社会福祉法人明世会」で系列の「医療法人信愛会」は、平成22年度から豊川市内におきまして重症心身障害児者に対する日中預かりを開始し、重度の障害者の在宅支援に非常に力を入れてきたということでございます。このたびの整備計画におきましても、今までに培ったノウハウを基に、「在宅ケアを支える施設ケア」や「医療依存度の高い方も断わらない」という運営方針のもと、平成29年5月の開所を目指していくということでございます。
民間による重症心身障害児者の入所施設の整備を後押しするため、新年度、平成26年度に障害者福祉減税基金を設けることを、昨年11月に発表させていただきましたが、このたび、こうして新たに民間からの整備意向が示されたということは、大変ありがたく思っております。県といたしましては、県有地の活用でございますので、今後、地元の豊川市さんとも十分連携をした上で進めてまいりたいと考えております。また、地元住民の方にも丁寧に説明する必要がございますので、今回、事業者が決定したことを踏まえまして、早急に住民説明会を開催し、地元のご理解を得ながら進めてまいりたいと考えております。
資料をご覧いただければと思いますが、お手元の資料でございまして、これはですね、今回の経過でございますが、昨年、県内全圏で、民間法人の方で、医療法人、社会福祉法人の方で、こういった重症心身障害児者の入所施設を整備するご意向はありませんかということを、昨年春から夏にかけてアンケートをとりまして、その際、県内外の211の法人に対して我々が協力要請、意向調査をさせていただいて、そういう中で、昨年10月に尾張部では一宮、旧尾西市民病院を購入してといいますか、受けて整備をしていただいている、一宮の医療法人杏嶺会さんが120床の施設整備ということで合意し、そして決定報告いたしました。
今回は、その211法人の中から整備意向を示した11法人と、また三河地域に拠点を持つ39法人の、合わせて50法人を対象に調査を行ったところ、二つの法人から整備といいますか、取り組みたいというご意向をいただきまして、これは県有地を対象にするということでございますので、県有地による福祉施設の整備事業については、平成24年3月に私のマニフェストに基づいて、県有地を活用して福祉施設を整備したいということをマニフェストに載せておりますので、それを2年前の3月に、その整備のための実施要綱をつくりました。それに基づいて県有地利用事業者選定審査会を開催した上で、この整備法人を決定いたしました。
選考に当たりましては、「医療的ケアを要する重症心身障害児者に対する支援方法」、また「医療スタッフ等の人員配置計画」、「法人の財務力」、それから「地域の拠点施設としての役割を果たすことができる力」といった点を審査いたしまして、先ほど申し上げましたように明世会さんが「在宅ケアを支える施設ケア」、それから「医療依存度の高い方も断らない」といった方針、それから手厚い職員配置による地域の拠点施設として事業展開を行っていくという意向を持っていることなどなど、重症心身障害児者に対するケアに実績がある点を評価し、決定をしたということでございます。
なお、その際にあわせまして、豊川市さんからもご意見を聴取いたしておりまして、豊川市さんからも、この明世会さんに対しては高い評価をいただいているということでございます。
お手元の資料でございますが、これで64床でございます。今現在、25年度は4施設382床というのは、全都道府県の中で47位ということで、最下位でございますが、このことによりまして、これは平成29年度694床で、ほぼこれで8割増ぐらいになりますと、これで42位というところまで改善をするということでございます。
もちろん、まだまだ、これで十分だと思っておりませんので、引き続き、これはしっかりと取り組んでいこうというふうに思っておりますが、ちなみに、この資料の2ページを見ていただきますと、これは前にもお示しした資料でありますが、重症心身障害児者というのは重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複している状態の方を言うということでございます。したがって、医療的なケアと、そして、まさに体の自由がきかないということでございますから、そうした介護といったケアも非常に必要だという方でございます。これにつきましては医療型障害児入所施設ということを、これまでは重症心身障害児施設という位置づけでありましたが、法律の改正によりまして医療型の障害児入所施設という形になりました。これを今回、整備していくものでございます。
その下に、類似府県における病床数と書いてありますが、残念ながら愛知県は382床で、人口万人単位0.51ということでございましたが、これが694床になりますと、人口万人単位0.93ということでございまして、大都市圏域は、やはりなかなか整備が難しいというか、少ないといいますか、人口万人単位の比較になりますと、小さな県だと、一つつくると、それでもうポンとクリアしてしまうということだろうと思いますけれども、こういうことでございます。
運営主体別にいえば、下を見ていただくようにやはり、法人立というのが民間でございまして、それが非常にといいますか、愛知県は基本的にはないということでございまして、今まではコロニーこばと学園と青い鳥医療福祉センター、これも両方とも県営、県立ですから、県が300床やって国立病院が80床やっていると、ザッツオールということでございました。
これはもともと、コロニーができたときから県がそういったことをずっとやってきたから、この重度の心身障害児者の対応は県がやるもんだと、県と国立病院がやるもんだと、こういうふうになってて、今まで民間のそういった形での整備が進んでいなかったんではないかというふうに思っておりますが、これはやはり飛躍的に増やしていくためにはそういうわけにいきませんので、今後は県も、名古屋市さんにもやってもらいますが、併せて民間施設の整備も一気に進めていきたいというふうに思います。
ちなみに、3ページはその場所でございます。県有地でございます。
その次に、4ページに、こういう横の地図がありまして、この網かけになっているのは既存の施設でありましてね。名古屋市内西区に青い鳥医療福祉センター、これは県の施設ですね。名東区に国立病院の東名古屋、それから春日井にコロニー180床、そして豊橋に国立病院で40床、これだけが現在でございますが、これに名古屋市北区に名古屋市さんがつくるのが平成27年度で90床、それから私ども平成27年度に岡崎に第二青い鳥学園で90床。それから平成27年度に一宮、旧尾西のところでありますが、杏嶺会で120床。そして今回、平成29年度に社会福祉法人明世会で64床という形で、一気に整備をしていきたいというふうに思っております。
ちなみに、オープンは、名古屋市の重心が平成27年4月の開所予定でございまして、その後が、一宮杏嶺会が平成27年9月の開所予定でございまして、これは春日井のコロニーを再編整備するときにそこに入っておられた方で、地域的、地理的に、そちらのほうがいいという方に入っていただこうということで、こういうスケジュール感でございます。それから春日井の療育医療総合センターの重心病棟が3月開所、岡崎が1月開所ということで、平成27年度で四つオープンさせていきますが、それで今回の豊川のやつは平成28年度に整備をし、29年5月に開所予定ということでございます。そういった形で着実に整備をしていきたいというふうに思っております。
なお、建設の規模感でございますが、建設自体は大体、相場観といいますか、大体10億円ぐらいではないかという計画でございますが、県としては、その半分ぐらいは補助できるものというふうに考えております。これも今般、創設しようとする障害者福祉減税基金で対応していこうというふうに思っております。それから県有地につきましては、福祉施設などにつきましては、賃貸料を減額することができるということになっておりますので、その減額も行っていきたいというふうに思っております。
ということが、この新たな豊川に整備をしようといたします重症心身障害児者の入所施設の概要でございます。
なお、それに関係するデータだけ申し上げますと、県内の重症心身障害児者はこの平成23年の時点、これが一番新しい数字でありますが、県内全体で2,736名の重症心身障害児者の方がおられ、在宅の方が2,144名ということで、8割の方が在宅で医療的な支援や福祉的な支援を得ながら生活をしているわけでございます。平成12年度以降こうした施設定員が増えていないため、在宅での生活が難しいという方のニーズには、今は応え切れていないということでございますが、新たなものができる、入所施設がこれだけ増えるということで、そういった方々のニーズに応えていけるというふうに思っております。
いずれにしても、福祉の今のこうした施策は、施設から地域へということではありますけれども、一方で、重度の心身障害児者の方々に対しましては、これはケースに応じて、やはり入所での対応ということは、私は、やはり必要だと思っておりますし、平成17年度に行いました調査の中で、愛知県内でありますけれども、こうした入所施設に入所を希望したいときはいつなのか、ということについては、現在の介護者、主に親がもう介護ができなくなったときに、これはぜひお願いしたいという回答が一番多くて、8割ぐらいがそういうご回答でございました。そのときに、平成17年ですから今から9年前ということでございますが、そのときに一番主要な介護者の年齢は、50歳以上の方が45%という回答でございました。あれから9年たっておりますので、間違いなくもう平均50歳を超えておられるというふうに思いますので、やはりこれは時間との闘いなので、今こういう形でやれるときに一気にやっていくということが必要ではないかと思います。
ただ、問題点、大きな課題は、やはり重度の障害、知的障害も身体も障害を抱えておられるということでありますから、状況が安定しておれば医療的ケアは、そこそこなのかもしれませんが、いずれにしても医療的ケアが相当必要だということと、看護師さん始め、そういう人的なケアも必要だということで、やはり、こういう施設をつくるときには、お医者さんと看護師さんの確保をですね。ただただ箱をつくれば、さあできるかと、そういうものではないので、そうしたマンパワーをどう確保していくかということが大きな課題になりますので、それも併せて、やはり、そういったことをやってきている実績のある民間病院、民間の社会福祉法人、そういった方々に、私どもはまだ、これからも引き続き、さらに、この重症心身障害児者の施設を増やしていくという方向で取り組んでいきたい。まだ募集をしていきたいと思っておりますので、そういった方々にまた引き続き、十分に興味、関心を持っていただきましてね、一緒に取り組んでいっていただければありがたいというふうに思っております。 |