【記者】 |
今月3日に知事から記者発表がありました愛知県体育館に設置されるピンポン外交記念モニュメントについて、知事も解説文で書いていらっしゃるとおり、名古屋で劇的な歴史の転換点があったということで、非常に有意義なものであると思いますが、解説文に事実誤認があるのではないかという部分があります。解説文を作られる上で、出典元は何か教えていただけますか。 |
【知事】 |
この解説文の作成に当たりましては、ピンポン外交記念モニュメントの検討会におきまして、委員から提供された当時の新聞記事や様々な記録などを参考とさせていただきました。特に、アメリカ選手団の訪中や米中選手同士の接触につきましては、中日新聞の当時の記事と、また人民日報の記者が書いて共同通信元北京支局長の中島宏氏が解説をしている「米中外交秘録ピンポン外交始末記」という本がございますが、それを参考とさせていただきました。
その上でピンポン外交記念モニュメント検討会にこの文章をご相談させていただいて、ご了承いただいたものを先般発表させていただいたと、こういうことでございます。 |
【記者】 |
恐らくこれは、2次情報、3次情報等を参考に書かれているものだと思いますが、ピンポン外交は、荘則棟選手とアメリカのグレン・コーワン選手が握手をして、それがきっかけで、当時、東西冷戦下、しかもベトナム戦争中であるアメリカと中国が、そこをきっかけに友好関係を築いていく訳です。選手間同士の握手がきっかけだということは、各種資料や当事者に伺った話では定説とされていますが、解説文では「選手団の交流がきっかけ」という書き方をされています。この内容は、単なる事実誤認というだけではなく、非常に政治性を含んだ部分があります。史実に則して言うのであれば、「選手間の交流をきっかけ」にというように直されるべきではないかと思います。選手団同士が交流していたのであれば劇的でも何でもなく、選手団の意向に反して選手が握手をしたことが劇的なドラマを生む訳です。しかも、日本文と中国文で内容が違います。せっかくこれだけのものをお作りになり、しかも知事のお名前で設置されるのであれば、もう少し吟味をされて作るべきなのではないでしょうか。 |
【知事】 |
ただいまのご意見、貴重なご意見だと思いますが、私から申し上げさせていただきますと、米中両国の選手団がこの大会に参加し、そこで起こった出来事については、当時の新聞記事とか当時取材された方、そして関連書籍、大会関係者による証言によって、様々な出来事を知るということだと思っておりまして。
今、ご指摘のありました荘則棟選手とグレン・コーワン選手の交流というのは、この大会のエピソードとして大変有名な話でありますが、この2人の交流以前にも、両国選手たちが練習、パーティー、試合会場を通じて接触をしたということ、そして米国選手団から中国側への訪中希望の伝達があったことなど、様々な交流があったと。その選手お二人の交流というのは非常にドラマチックといいますか象徴的な、シンボル的なものだと思いますが、もちろんお二人だけで全てができたということではなくて、トータルで、選手団同士の交流、触れ合い、そうしたことなどなどで、この物事は動いていったということが、私は実態ではないかと思います。そういうことで、具体的に何がきっかけとなってこういったことになるかというのは、様々な捉え方があると思いますが、こうした一連の交流を広くきっかけと捉えて、検討会の委員の皆様にもこの文案をお示しして、ご了承いただいたということで、米中選手団による交流をきっかけとしという表現を使わせていただきました。
これは私のメッセージにも記載しておりますとおり、日米中友好という歴史の扉を広く開く偉業をなし遂げました関係者の皆様には、このお二人の選手に特に敬意を表しておりまして、このパネルの写真にも、お二人が握手している写真を大変大きく取り上げております。そういう意味では、このお二人には敬意を表したいと思っておりますが、このお二人だけで物事が動いたということではなくて、やっぱり全体としての交流の中で動いていったということが、当時の様々な書籍、文献を踏まえるとそういうことではないかということでございますし、そのことを検討会の委員の皆様にもご提案といいますか、ご相談させていただいて、ご了解いただいたと、こういうことでございます。
そして、中国語のことでございますが、中国語は、複数であることを特別に強調する場合以外は、単数、複数を同型にするという言葉だと認識をいたしておりまして、これを今回の訳、もちろん英語訳ではもちろん複数形にしておりますが、中国語は複数、単数をあえて示さないということだと聞いておりますが、そういった中で、この中国訳は在名古屋中国総領事館にも目を通していただいて、添削をしていただいて、ご了解をいただいたということでございます。我々がつくったこの表現ですから、この日本語の訳との齟齬があるということではないということは申し上げたいと思います。
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【記者】 |
ことさらに申し上げるのは、単なる事実誤認ということだけではなく、意図があるかどうかは別にして、これは見る人によっては、中国政府の顔色をうかがって事実をねじ曲げたと言われかねない内容なので、もう一度ご吟味いただいた方がいいのではないかと思います。
以上です。 |
【知事】 |
貴重なご意見をいただきましたけれども、事実と違うという認識は持っておりません。 |