【知事】 |
9月29日に、総務省において地方法人課税の議論があったとお聞きをいたしておりますが、これはこれまでの経緯とか、そうした状況などを整理したほか、経済界、そして全国知事会などからの意見を聴取したと聞いております。
まず、私は、一つは、消費税の5%が8%になったときもそうですが、8%が今後10%になるというときも、地方の税収に来る分がもちろんありますので、5%が10%になったときは、その5%分の1.2だったかな、これが地方に来て、残り、また、さらに交付税にいくということなので、約30%は地方の税収ということになるわけでありますけれども、地方に直接来る分があると、やはりどうしても消費のあれで大都市部の方がその税収は多いので、それを調整するということは、これは私は必要だと思います。
それと一方で、本来の地方分権の中で、この地方法人課税については、地方法人特別税・譲与税と地方法人税という二つですね、本来地方の固有の税源を一旦国が召し上げて配り直すというようなことをもうやっているわけですね。私は、まずは、そういった地方法人課税の議論に行く前に、本来、地方分権に逆行する地方の税を国が召し上げてもう一回配り直すというようなことをやっているのは、まずはそれを改めた上で、そういう地方分権に逆行することはやめた上で、それでもって議論をするのが本来あるべき姿ではないかということをこれまでも申し上げてきましたし、これからも申し上げていきたいと思っております。
もともと地方にある税収を国が召し上げていくということになれば、それは全く地方分権とは違いますし、地方税収というのはまさに受益と負担ということでやっているわけですね。そういう意味ではそれに、全く受益と負担の原則にも反しますし、企業誘致とかね、特に法人課税の場合は、企業さんを誘致し、産業を育てて初めてそこから税収が上がってくるということなので、産業振興とか地域経済を自分でよくしていこうという、そういうインセンティブがなくなってしまうわけですね。やってもやらなくても一緒だということだったらやりませんよ。そういうことは、地方が本来切磋琢磨して盛り上げていこうという地方分権の議論とは全く逆行するので、まずはそれをやめた上で議論すべきだと思っております。
私は7月の全国知事会で申し上げたのですけど、この地方法人特別税・譲与税、いわゆる法人二税の法人事業税を半分国が召し上げて譲与税で戻すということでやりますと、昨年度、平成26年度の実績でいくと、愛知県は2,500億円召し上げられて、1,400億円しか戻ってきていませんので、去年だけで1,100億円が本来の制度からして穴があいているわけです。
それが、東京都のように超過税収があって、しようがないかと、それでもまだ税収が基準より多いからいいかというならまだしもですけど、その分愛知県は臨時財政対策債2,000数百億円発行して、これ本来は交付税で来ないといけないものが、臨財債を愛知県だけ理不尽にたくさん振られてですよ、結局1,100億円穴があいたのを、2,000数百億円の臨財債を発行して穴埋めしているんですよ。これは県民の借金になるんですよ。こんな理不尽なことはないじゃないですか。
そのことを私が知事会で言ったら、みんなシーンとしていましたけどね。ほかは大体、東京都とか我々に、よこせよこせの大合唱でね。いつから全国知事会はお互いの税財源の分捕り合いみたいな、みみっちい議論になったのかというので、残念でならないですね。本来はやはり地方全体の、地方分権をもっともっと実のあるものにしていこうということで国に要求していくと、世の中に訴えていくということだったはずなのが、地方財源の中での分捕り合いみたいなことがどんどんまかり通っていくということなので、はっきり言って全国知事会なんか要らないんじゃないかと。非常に雰囲気が悪いんですよ。行っても、雰囲気は悪いし、はっきり言って気分良くないね。あんな会なら行くのやめようかなとも本当に思っているから、最近足が遠のいているんですけどね。何か寂しい感じがしますね。本来はそんなことじゃないんじゃないでしょうか。
私はもともと道州制論者だけど、中央集権でやってきたことがうまくいっていないので、もっともっと大くくりにして、地方というか地域が独立、自立して、切磋琢磨してやっていく、そのことが国の活性化につながっていく。世界中がそういう競争に入っているわけですから、日本だけ、自立するよりも国にぶら下がった方がいいという空気がまかり通っているのでは、この国は潰れてしまいます。そのことは強く申し上げたい。
今どういう議論をやられているのか知りませんけれども、まずはそこのところの大原則、大前提を、地方分権という観点からいいのかどうかというところをまず整理した上でやっていかないと、全くおかしな議論になるのではないかと思っております。そのことは強く申し上げていきたいと思います。
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