【記者】 |
有料道路を民営化することとなりますが、附帯事業、区域外事業等どういった地域活性化策の提案を期待していますか。また、地元企業の運営権募集への参加についての配慮等はどのように考えていますか。 |
【知事】 |
広く国内外からより良い事業提案を募りたいと思っておりますので、地元云々は考えておりません。広く国内外から提案を受けたいと思っております。広く広く、より良い提案をしていただいて、それを我々は評価をしたい。そして、事業者選定委員会の皆さんのご意見を聞いて評価をしていきたいと思っております。
ただ、そうは言っても、先ほどの最初の質問と裏表かもしれませんが、我々は何でこれをやるかというと、やはり沿線の地域開発、地域の活性化を目指したいということでありますから、地元の方々の方が土地勘がある分だけ有利というか、そういう面はあるかもしれません。
ただ、今まで全く県というか官でしかやってこれなかったものですから、関連事業も含めて、事業運営のノウハウなんてないと思いますので、そういうことからすれば、若干土地勘があったとしても、それはあれじゃないでしょうか、世界を股にかけてきて、色々なインフラ事業に携わり運営をしてきた方々のノウハウは相当なレベルのものではないでしょうかね。そういう意味では、国内外を問わず良い提案をということなので、評価の点で、地元であるかないか、それは全く考慮しません、考えておりません。それが1点。
そして、今回この事業の実施方針を策定することができたので、これで事業が、これから1年かけてスタートする、突き進んでいくということになるわけですが、我々の思いは、期待は、一つはもちろん先ほど申し上げた価額ですよね。1,220億円というのをベースにいたしましたが、我々としては、少しでも有利なといいますか、価額をいただければありがたい。
1,220億円で全部借金を返して、県に736億円の出資金も戻ってきて、さらに若干のプラスアルファがあるんですけれども、それをさらに上回れば上回るだけ県にまた戻ってくるということになりますから。これは県民の皆さんにとっては大変結構なことではないかなと思います。それが1点。
あとは、やはり沿線開発、地域の活性化、これを大いに期待したいと思っております。
鉄道会社の元々のビジネスモデル、特に私鉄、民間鉄道会社のビジネスモデルというのは、鉄道を引いて沿線開発をして、それでトータルで事業を展開するというのが日本の鉄道会社の成り立ちでありました。我々今回は、この県の道路公社の有料道路の沿線を、全く同じというわけにはいきませんが、とにかく沿線開発、沿線の活性化、これをぜひ進めていきたい、そういう思いでございます。 |
【記者】 |
関西国際空港の民営化の際は、結局、1企業グループしか応募がなく、大変だったようですが、今回の愛知県のコンセッションの場合は、成功できるか、自信のほどはいかがですか |
【知事】 |
それはこれからでございますが、相当たくさんの方に手を挙げていただけると期待をいたしております。
我々はこれまで、こういう事業方針を作り、あれするために、法律が通るのに大分時間がかかりました。その間、準備運動する期間が大分たくさんありましたので、相当な色々なヒアリング、対話を続けてきました。そういう意味では、そういった知見なりを積み上げた上で、こうしたものを作らせていただきました。
そういう中からいたしますと、有料道路を使ってPFI、コンセッションをやるのは今回が初めてだということと、有料道路というのは海外では非常に優良事例がたくさんあるということ。そして、今回の我々の、この愛知県道路公社の有料道路については、先ほどの収支状況を見ていただいても、大変な優良物件だということなどを考えあわせますと、まず間違いなく日本でPFI法でコンセッションをやっているところの最優良案件であることは間違いないと思っております。
道路というのは収入が非常に安定しておりましてね。天変地異が起こって道路が崩壊するとか、日本経済が崩壊するというのだったら別ですけれども、そんなことになったら、日本そのものがひっくり返る。そんなことになれば別ですけど、そうでなければ相当な安定的な事業運営、収入が見込めるということだと思います。そういう評価も既にいただいておりますので、私は多くの方々に参加していただけると期待をいたしておりますし、その中からより良い提案をいただいて、この愛知県の有料道路はこういうふうになるのかというぐらいの、そういったものを、県内はもちろんですが、国内外の皆さんに見ていただきたい。そういうモデルケースにしていきたいと思っています。 |
【記者】 |
運営権対価の基準となる価額は約1,220億円以上になるとのことですが、これは、建設費の償還という意味で、基本的には借金等の返済に回すということでしょうか。 |
【知事】 |
建設費の償還と、県から736億円の出資金がありますから、それの分をドーンとためて最後に戻してもらうということと、プラスアルファがございます。そういう意味では、その分が、1,220億円プラスアルファになると思いますので、そのプラスアルファの部分は県の収入、県民の財産ということになります。 |
【記者】 |
以前、この話が出始めた頃に、運営権を売却した収入を学校の耐震化に使うという記事を見た記憶がありますが、どういう名目で県に戻ってくるのですか。出資金で戻ってくるとしたら、道路の特定財源になるのでしょうか。 |
【知事】 |
もうそれは一般財源ですから何に使っても、ということですが、それはおいおい、これから考えるということではないでしょうか。一般の歳入になりますから、道路に使う分もあるのかもしれませんし、今言われた公共的な建築の部分に使うと、学校なんかに使うということもあるかもしれませんし、まさにそれは一般の収入にするのかもしれません。どういう形で、それはこれからだと思っております。 |
【記者】 |
収入は分割して県に入ってきますが、自由度の高い一般会計の収入として毎年計上するのか、それとも30年後に計上するのか、どちらでしょうか。 |
【知事】 |
最初に、ここにあるように一時金が150億円ありますから、最初に一時金150億円をもらって、あとは分割という形になります。どういうふうに使うかはこれからですけれども、まずは基本的には、やはり借金を返していくということはやっていかなければいけないと思います。
ですけど、1,220億円で、30年1,500億円のうち借金が、返す方が700数十億円なので、半分以下なので、そういう意味では色々な自由度はあるのではないかと思いますけどね。 |
【記者】 |
道路公社と相手方のリスク分担のラインを6%とした妥当性について、もう少し詳しく聞かせてください。 |
【知事】 |
これは、先ほども申し上げましたが、愛知県道路公社の過去10年の計画収入と実績収入とのずれですね、乖離を、10年分を計画収入を真ん中にしてグラフにいたしますと、ちょうど真ん中にして6%くらいとって、その山と裾とがちょうど半分半分ぐらいになるということなので、その半分は民間事業者に持ってもらって、その半分は公社が負担する、いわゆるフィフティー・フィフティーのところがちょうど6%ということだということで、引いたということでございます。
あと、先ほど申し上げましたようなNEXCOの場合が、一生懸命努力して増やしても1%までしかとれなくて、あとは全部国が持っていっちゃうよということだと、それは一生懸命収入を増やそうというインセンティブになりませんので、我々としてはできたらこれを少しでも、1%より少しでも多くする。そうすることによって、この今回のコンセッションが魅力的なものになって対価も高くなるということですから、それで何とか色々交渉した結果、今回は何とか6%まで、広げることができたとご理解をいただければと思っております。 |
【記者】 |
運営権の対価が約1,220億円とのことですが、算出根拠で重要となるのが料金収入と維持管理費だと思います。今後30年の料金収入の3,500億円と支出の2,000億円は、どのように算出したのですか。 |
【知事】 |
これは、この対象8路線があって、その期間があります。その8路線についての今後計画期間までの収入について、現状の状況を前提にして3,500億円をはじいて、そしてそれを維持管理していく人件費だとか補修費だとかそうしたもの、必要なものが2,000億円と、残ったものが借金を返すもの、それから損失補てん金として積み立てていくもの、そういったものを差し引いて、残りが1,500億円という形で算定したということでございます。 |
【記者】 |
現状を前提として算定したということは、現状の収入状況が30年間続くということになりますが、昭和40年代に整備した施設もあるので老朽化して、インフラの維持費もかさむのではないかと思います。現状の収入、維持管理費を算定の前提にしたことについての妥当性に関してはいかがですか。 |
【知事】 |
全部入れてある。むしろ堅めに見積もっているので、個々の諸元というか、事業者の方が見ていただければ納得いただけるものだと思っています。要は、どこからも突っ込まれないようにつくってあるから、もし詳しく知りたいのだったら、建設部に聞いてください。
維持補修費は全部見てて、人口がむしろ減っていくといったもので、道路の利用量も少しずつ低減していくということも入れてある。 |
【建設部長】 |
将来の人口予測を行って、人口減に伴う交通量の減も含めた上で、料金収入をちゃんとカウントした上でやっています。当然、通常の維持管理も入っておりますが、大規模な更新に関してはまだこれからです。まだ新しい路線も多いものですから、そのあたりはこれからの検討の余地はあります。基本的に今考えられるものについては全て含んでおります。 |