【記者】 |
国が特区の特例措置として認めたとして、この制度は早ければいつ頃実現する見込みですか。
また、受入れの規模は第三者監理協議会で決めるということですが、愛知県として、希望する規模はどれぐらいですか。 |
【知事】 |
時期はまだ全くこれからです。これから提案ですから。
ただ、国内の労働需給状況が相当ひっ迫しているというのは、各産業界には満ち満ちているのではないでしょうか。全体的に、生産年齢人口、労働力がグッと減っているところに、今、経済全体、生産全体は堅調に来ているということで、それが相まって労働力不足が来ていると思いますから、私は、できるだけ早い時期に目処がつけばと思っておりますが、ただ、今までの外国人技能実習制度とは別の制度の提案ですから、色々議論はあるのではないかと思います。しっかり議論していきたいと思います。
今までの外国人技能実習制度というのは、技能研修という形をとっての制度でありましたが、今回は、まさに労働という形のところに少し色目を変えて、しかしあわせて、我々はこの外国人労働者生活支援機構というものを新たに県が主導してつくって、そして生活の受け皿もつくってお越しいただくという形をとりたい。これは本来、国がやるべきことなのかもしれませんが、待っててもやりませんので、私どもの方から提案をし、やらせてもらう。要はやりたいということを止めないでくれと、足を引っ張るなということを強く申し上げたいと思います。
まだ規模のところまでとてもいきませんから、まずはこういう枠組みができればといいますか、とにかく早く道筋をつけたいということと、それができれば、最初は少しから大きくしていくということになるのではないかと思います。 |
【記者】 |
雇用先の会社の規模は、例えば大手企業、中小企業など、どのような想定をしていますか。 |
【知事】 |
今は皆さん全てではないでしょうか。大体技能実習制度で一旦、検定の資格まで取って帰られた方、それも日本語が相当できる方というのは、みんな欲しいのではないでしょうか。
ただ、やはり特にひっ迫しているのは中小企業さんではないでしょうかね。ですから、そういった中堅、中小企業の皆さんに対して、こういったことができないかという提案ということでございます。
ですから我々が、もしこれで愛知県が先べんをつけられれば、日本全国、それに続いてこられるところも出てくるのではないかと思って、そういう意味でも期待をいたしております。 |
【記者】 |
今回の提案とスキームが似ている技能実習制度は、技能実習生が帰国して、各国の産業振興に貢献してもらうことが趣旨だと思います。しかし、今回提案する制度は、1年で日本に戻ってこられるので、場合によっては、技能実習制度の根幹と齟齬(そご)を生じることがあるのではないかと思いますが、そういった懸念はないですか。 |
【知事】 |
実習制度は3年間技能を修得してもらって、それぞれの本国に帰って、それぞれの産業に技術で貢献するという趣旨ですから、それはそれでやっていただければいいと思いますが、それで身に付けたもので、さらにまた自分を磨きたいと、やっぱり3年ではなくて、さらにそれにプラスアルファで磨きたいという方はおられると思うんですね。そういった方、それも技能を持ち、日本語もそこそこといいますか、堪能であるという方については、私はそういう道を開いたらどうかと。
決して技能実習制度を否定するものではなくて、それはそれとしながら、それで身に付けた技能をさらにまた磨きたい、伸ばしたいという方に対する受け皿をつくりたい。実際に技能実習制度で一旦来られて帰られて、やっぱりもっと磨きたいとか、なかなか本国の産業レベルではこれが発揮できないので、また日本に来て磨きたい、自分の可能性を伸ばしたいという方がおられるというのは聞きますので、そういった方々の受け皿としたらいいのではないかと思います。
現実に、今言われた、趣旨に若干触れるところはあると思いますよ。だけど、その技能実習制度の趣旨は生かしながら、そういった声にも応えられるということ、それから日本国内の労働力のひっ迫状況に対しても応えられるということで、ちょうどぎりぎりのところで両立するのではないかと思っております、というか、そういうふうに仕立てたということですけどね。 |
【記者】 |
技能実習制度はかなり満足して帰国する方がいますが、一方で、生活が上手くいかず、トラブルを起こしてしまう方もいるというのが現実だと思います。
特に、労使関係のトラブルが多いと思いますが、今回の制度では、新たに設ける外国人労働者生活支援機構(仮称)が、ある程度の労使関係のトラブルの相談に乗るという考えですか。 |
【知事】 |
ワンストップでの相談窓口ではありますから、そういった面での相談も乗ることになろうかと思いますが、やはり労使関係については、それぞれの労働関係の部署がありますので、そういったところでやっていただくということになるのではないかと思います。労働局、その下の労働基準監督署なりありますので、一義的にはそちらの方で相談に乗っていただくということになろうかと思います。そちらの方が法律に基づく権限を持っていますからね。 |
【記者】 |
在留期間は最長5年ですが、更新を認めるとのことなので、希望者は永住も可能になるということですか。 |
【知事】 |
これからですが、5年で更新して、5年と5年の10年で永住資格が取れますのでね。そういった形の道も開くということでいいのではないかと思っています。
これはあくまでも提案ですよ。5年で更新を認める。5年で更新を認めて10年になれば永住資格のところに手が届きますので、そういう意味ではそういった道も開けたらどうかという趣旨でもあります。ただ、そこは、色々議論はあるのかもしれませんね。 |
【記者】 |
外国人労働者の活用が非常に重要となりますが、一方で、先進各国においては、移民問題が国家的な課題になっています。
今回の制度は、日本として外国人労働者の受入れにさらに舵を切るべきということになると思いますが、いかかですか。 |
【知事】 |
私は国会議員の折からずっと申し上げてきたことの延長ということでありますし、この間私は自分の本を出しましたけど、そこでも明快に書かせていただいておりますが、そのトーンと全く同じということでご理解いただければと思います。
私が国会議員のときからずっと、10年、15年前ぐらいからずっと色々なところで主張を書かせていただきましたし、自民党にも外国人雇用問題プロジェクトチームだったかな、それもありまして、延々と提言を出させていただきましたけれども。
やはり一番大きなポイントは、日本における外国人の方は、今は増えましたが確か3%ぐらいでしょう。アメリカ、ヨーロッパは2桁ですよね。桁が一つ違うと、一つどころか大分違うということですから、私はグローバル化への対応ということを言っているものと、やはり国内での少子高齢化、人口減少問題、それから労働力人口の減少という直面する課題を両々考えれば、日本人が海外に出ていって仕事をするのもグローバル化、外国人の観光客なり訪日客をどんどん呼び込むのもグローバル化。であれば、やはり日本で働きたいという方々に道を開いて、一緒に働き、共に住んで、まさに多文化共生社会をつくっていく、これもグローバル化ではないかと思います。
増えた増えたと言っても、まだまだ3%で、技能実習にしても、全部で16万人17万人のレベルですから、年間5万人ぐらいが来て5万人ぐらいが帰るという形ですよね。日本の人口の1億2,700万人からすれば、まだまだということではないでしょうか。全部で在留外国人210何万人ということは、3%もいないわけですね。
まだまだ本当にこれからではないでしょうか。私は、一遍にこれを倍とか3倍にぼんぼん増やすということを言っていないので、やはり技能検定と日本語検定というハードルがありますとね、そう簡単には増えていかないと思います。
ただ、それでもアメリカ、ヨーロッパで、移民を受け入れた場合の色々な社会的な摩擦、フリクションがあるのは事実でありますから、そういったことを受けていくためにも、我々が今提案しております、こういった外国人労働者の生活支援機構という形で、生活でのサポートもしっかりやっていくということも合わせてやっていく必要があるのではないかと思っております。 |
【記者】 |
受入分野は第三者監理協議会で決めていくとのことですが、この制度に期待していることや強化していくこと、補強していきたいことがあれば、教えてください。 |
【知事】 |
技能実習制度で現実に愛知県で受け入れている方で一番多いのが機械・金属という、いわゆる製造業、自動車関係なのでしょう。それから繊維、それから建設、食品製造、農業といったところですが、そういったところに加えまして、非常に求人倍率が高いサービス系、特に医療、福祉、介護、もちろん資格が要りますけれども、そういったところには非常に需給がひっ迫しているということもありますし、卸・小売・サービス、サービス関係も人手不足感が強いので、そういったところにも行っていただけるということは期待されるのではないかと思います。
ただ、これはまだ、我々が今回提案するわけですからこれからですけどね。それも含めて申し上げていきたいと思います。 |
【記者】 |
愛知県は技能実習生を約1万8千人受入れていますが、今回の提案による制度で受け入れることができる人数は、どれぐらいを想定していますか。
また、永住の道も開けるとのことですが、永住となると、外国人労働者生活支援機構(仮称)による永続的な支援が必要となります。同機構はどういった体制、規模、予算で運営していくのか、具体的に教えてください。 |
【知事】 |
先ほどから申し上げていますが、今回この制度の提案でありますので、そういった規模感というのはこれからではないかなと思っております。
いずれにしても、愛知県内に20万人を超える外国人の方がお住まいになっている、技能実習生は1万8,000、9,000人近い方がおられて、全国で一番多いということでありますが、いきなりそれに匹敵するぐらいの人数になるということは、それはありません。
まずはこういう受け皿をつくり、そういう道筋をつくりますから、そういった方からお越しをいただきたいということで募集をしてということになりますが、最初はそんな多くないんのではないでしょうか。ただ、そういった道筋をつけていくということが大事だと思いますね。
さらに、そういった方々の永住ということに道を開くということでありますが、現に日系人の方は定住権があるわけですし、永住権を持たれる方もおられるわけであります。そういった方は愛知県には非常に多いんですよね。特に愛知県はブラジル系の方は、今ちょっと減って、減っても4万8,000人ぐらいですから、日本で一番多いわけなので、既に定住される外国の方が非常に多い。そういった方々と多文化共生で、子どもたちの日本語教育はもっと一生懸命やらなければいけない。それからそういった方々との地域での交流をもっともっと深めていこうということはやっておりますので、そういった形で進めていければと思います。この支援機構については、それに応じた形での立ち上げといいますか、組み立てということになるのではないかと思います。
ただ、最初申し上げましたが、早期適応研修という最初の研修の費用などは外国人の受入企業さんにその実費相当額を出してもらいたいとも考えておりますので、そういった意味ではそういう企業さんなり産業界の皆さんとよく相談しながら立ち上げていければと思っております。
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