【記者】 |
イギリスのEU離脱の関係ですが、参議院選挙にも関わってくるかもしれませんが、与党側は、日本経済に与える影響として消費税先送りは正解だったのではないかと言っており、野党側からすると、アベノミクスの宴が終わったとか、マネー頼みだった日本経済の脆弱性が明らかになったと批判していますが、知事の所見を聞かせてください。 |
【知事】 |
この件について、イギリスのEU離脱が日本時間の6月24日、イギリスの国民投票において決まったということについては、24日に私も夕方、記者会見で申し上げたとおりということであります。
今回のこのイギリスのEU離脱というのは、大変世界及び世界経済に衝撃を与え、今も与えつつあるということだと思います。今日も9時からマーケットが開いておりますから、今後どういう状況になるのかしっかり注視をしていきたいと思っておりますが、もう既に様々な報道等でも出ておりますが、今後どうなっていくか本当に予断を許さないということだと思いますし、しっかり注視していきたいと思いますが、世界経済全体にとっていい方向にはならないことは事実でありますし、それが寄っていく方向が、円高・株安といった動きがもう既に相当出ているということは大変憂慮すべき事態だと思っております。
今後、しっかり注視をし、日本経済、そして日本経済を支える愛知の経済、産業に与える影響ができるだけ小さくなるように我々がしっかり取り組んでいかないといけないということだと思っております。それがまず総論としての全体の私の受け止め方でございます。
これについては、この6月議会に私、冒頭の提案理由説明、所信表明の演説でも申し上げたとおりでありますけれども、もともと私、今回のアベノミクスの経済政策「三本の矢」と言っておられますが、異次元金融緩和による為替の行き過ぎた円高の是正というのは、これは前からやるべきだということを、2011年の夏の全国知事会始めそういったところからずっと申し上げてまいりましたので、これは大いに評価したいと申し上げてきましたが、あくまでも私は、これは時間稼ぎだということを申し上げてきております。それは今も変わっておりません。
ですから、これをやっている間に、為替というのは必ず上がったり下がったりしますから、ずっと一本調子で円安方向に行くとか円高方向に行くということはないので、期間はもちろんありますけど上がったり下がったりするので、行き過ぎた円高を、1ドル80円を超えるような行き過ぎた円高を是正している、その時間を稼いでいる間に本来の日本経済の力を、経済産業の力をこれはもう一回つけるべきだと、取り戻すべきだ、そういう施策をやっていかないといけないということを申し上げてきておりますし、この6月議会の冒頭でも申し上げました。
それができていないのではないかと、あまりにもスピードが遅いのではないかと。成長戦略の本丸の構造改革はあまりにも取組が遅いし、「too little too late」という言葉がかつてありましたけれども、まさにその言葉が当てはまるのではないかと。今の政権の本気度は、私は前から申し上げていますけれども、疑われてしようがないということだと思います。
ですから、今やらないといけないのは、世界経済の変調とか何とかは、もちろんこれは十分注視をしていかないといけませんし、機敏に対応していかないといけませんが、そのことだけではないのですよ。むしろもっと大事なのは、日本経済の、日本の経済、産業の稼ぐ力が落ちてきている。
日本が今、世界でグローバルに闘える産業って自動車産業しかもうないのではないかと言われているわけです。かつては、2000年以前は電機・IT、電機業界が自動車産業よりも雇用も生産高も付加価値も大きかったわけです。2000年ぐらいでクロスして自動車のほうが上回った、ほんの十数年前までですよ。それが今どんどんどんどん落ちてきている。そういったことを象徴として、日本の経済、産業、稼ぐ力がどーんと落ちている、これが問題なんですよ。これを取り戻すのは、もう処方箋はあるわけです。
グローバル化にどう対応するのか。私はいつも申し上げているように、もっともっとグローバル化を受け入れて、外国の人材もどんどん、もっともっと受け入れていく。EUとかイギリスが受け入れている外国人の方々、人材というのは日本とは桁が違いますからね、1桁。そういう意味では、もっともっとグローバル化に対応していく、そしてあわせて規制改革、全く足らないと思います。
それから地方分権、特区で、我々も様々な提案をしておりますけれども、先週の金曜日24日に有料道路のコンセッションの優先交渉権者の事業者を発表いたしましたが、ここに至るまで4年半かかっているわけです、4年4か月。だから、事業がスタートするまで実に4年と8か月を要するわけです。このスピードのなさは何なのだということを申し上げたいと思います。
さらに、昨年11月に外国人材の導入といったことも提案しておりますけれども、全くノーアクション、ノーアンサー。むしろ中で議論していると、国のほうは上から目線で愛知県の提案をもっともっと詰めてこないとだめだみたいに偉そうなことを言うわけです。そういう見当違いも甚だしい、そういう対応が日本経済をどんどんどんどん力を弱めていると言わざるを得ないと思います。
ただ、残念ながら参議院選挙ではそういったのはあまり争点にならないし、議論にならないと。何かお互い言いっ放し、聞きっ放しで、何かアベノミクスを吹かせるだとか、いやこれが失敗した、そういうことではなくて、もっと具体的な中身をもうちょっと議論してもらいたいと思いますね。
現状は大変憂慮すべき事態だということは申し上げたいと思います。もっともっと皆さん危機感を持って、国政に携わる人はもっともっと危機感を持って。今の日本は非常に世界から同情の目とか哀れみの目で見られている、そういう状況なのだと、衰える老大国。かつてイギリスがそう言われた時代もありましたが、そういうふうに今日本は見られているのだということを、もっともっと危機感を持って受けとめて改革をきちっと、言葉だけではなくて、言葉で言うだけなら誰でもできますから、言葉だけではなくてちゃんと改革をやってほしい。我々は提案しているのですから、もっと地方分権、規制改革ね、そういった目でしっかりと受けとめてね。我々がボールを投げたらちゃんとボールを返してほしい、そのことを強く申し上げたいと思っております。
いずれにしても、今の国の経済政策は、全く物足らないということを申し上げたいと思っておりますし、アベノミクス、成長戦略と言ってもやることやってないということを申し上げざるを得ないと思います。でも、これは私だけではない、みんながそう言っているのではないですか、みんなそう思っているのではないですか。私別に、私だけが特別なことを言っているわけではないので。皆さんそう思っている、経済とかビジネスの関係者はみんなそう思っていると、そういうふうに言っていますよね、現に。そういうのにもっと耳を傾けていただきたいということではないかと思います。
ですから、今回のイギリスのEU離脱というのは大変な衝撃なので、こういう世界経済に対して大変危機的な、大変な状況だからこそ、改めてやはり日本の立ち位置、日本がやるべきことをしっかりやっていくということが必要だということを強く申し上げたいと思います。 |
【記者】 |
先週金曜日に知事は、愛知県はイギリスへの進出企業が多いので大変心配していると言われていましたが、その後、新たな影響や対応など進捗があれば教えてください。 |
【知事】 |
金曜日の夕方で、今日は土日挟んで月曜日ですから、この間に何か具体的なということではありませんが、関係する企業さんの動向等々については、我々しっかり注視をし、またいろいろ意見交換もしながら、対応に遅れとか誤り無きを期したいと、万全を期していきたいと思います。ただ、当面はどういうふうになっていくのかをやはり注視していくということではないかと思います。
明日離脱するかと、そういうことではないので。ですから、いつ交渉が始まるのか、それから2年で済むのかとかいろいろあろうかと思いますが、そういった動向はしっかり注視したいと思います。
ただ、当面すぐ影響が現れるのは、もう既に影響が現れていますのが金融資本市場だと思いますので、それがどういうふうに影響が出ていくのかしっかり注視したいと思います。
とにかくこれ以上の円高・株安という形になりますと、そのイギリスに進出している企業というよりも、愛知県は輸出型の製造業が大変多いので、そういった点での影響というのは大変憂慮されるということだと思います。そういった意味で、しっかり状況と動向を注視しながら、万全の対策を打っていきたいと思います。
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