【記者】 |
愛知県の漁業について伺います。7月30日は土用の丑の日で、愛知県のウナギの収獲量は全国2位ですが、その他トラフグやクロダイ、アサリ、クルマエビなど、愛知県は全国でも漁業産業における実力県の一つだと思います。そういった点で知事もトップセールスを行っていますが、愛知県の漁業の魅力、実力というのは、どういったところにあると考えますか。 |
【知事】 |
愛知の漁業、漁業生産自体は全国大体半ばぐらいでありますけれども、やはり、今言われたように特徴がありまして、幾つかの魚種というかそういったものは、トップクラスのものがたくさんあります。ですから、これだけの工業県、産業県でありながら、漁業、水産という形でもそこそこの実力があるのではないかと思っております。
私、前から農林水産物については、やはりブランド化だと。やはり得意技を生かす。何でもかんでもということではなくて、やはり得意技を生かすブランド化というのが必要だということをずっと申し上げておりますので、そういう意味では特徴があるのですね、愛知の漁業生産というのは。そういった特徴のあるところをもっともっと伸ばしていければいいのかなと思います。
ですから、ブランド化の例としていつも申し上げているのは、例えば名古屋コーチンとか、あいちの花とか、抹茶とか、野菜、日本一の野菜、そういったものもアピールしていったらどうかということを申し上げていますが、あわせてウナギ、アサリ、そういう日本一のものをまた大いにアピールしていければと思います。
御案内のように、もともとウナギの養殖は30何年間愛知県が日本一で、静岡の次は愛知の、特に一色のところがずっと日本一だったのですが、残念ながらシラスウナギがとれなくなってきたので九州、鹿児島に抜かれてしまったのですけれども、養殖技術等々については今でも日本一だと思います。
私も、聞いて初めてなるほどと感じたんですけど、昔はね1年か1年以上池に入れて大きくしていたのですね。ところが今、一色の養殖漁業者が開発した技術は半年で大きくするわけですよ。これは新仔と呼びまして。だから、冬に入れて土用の丑に間に合わせると、半年で大きくすると、その技術というわけです。で数をそろえると。いわゆる半年で、いわゆる若いウナギですから非常にやわらかくておいしいということなのです。だから、そういう意味では、そういった技術を持った愛知のウナギというのは、また更にアピールしていければと思います。
東京のウナギ屋さんに行くと、やはり一番ブランドは、私は誰とは言わずに「このウナギはどこのウナギですか」って聞くのを大体しているのですが、大体「うちは愛知のウナギ使ってますよ」といって、胸を張って言っていただくのが大方なので、それはありがたいことだなと思いますけど。
あと、やはり資源の問題は、これはやはり資源保護と両立していかないといけませんので、我々も下りウナギの放流だとか含めて資源保護を一生懸命やっていますから、こういったものをまた引き続きしっかりやっていければと思います。
私は、ウナギは、自民党の養鰻議員懇談会の会長をずっとやっていたので、毎年このウナギがどうにかならないかと、次は何にするのだと。いわゆる日本人がヨーロッパウナギを食いつぶしてしまったのでヨーロッパが稚魚の輸出禁止とかいう話になって、次は何に行くのかといったらインドネシアに探しに行くとか、アフリカのマダガスカルか、あっちのほうまで大ウナギをとりに行くとか、タスマニアのウナギをとりに行くとか、そんな話もありましたけど、やはり日本ウナギが一番いいので、是非資源の回復をしてやっていただければと思います。
あわせて、ですからウナギもあれば、アサリは全国の生産の65%が、国産のアサリの65%は三河湾ですからね、そういったものを。ところが、これもその筋には知られているわけですよ。東京のそういったところの料理屋さんに行ったら、愛知のアサリというのはブランドになっているのですけど、もっともっと多くの人に知っていただきたいということで、ウナギだとかアサリだとかそれからフグ、遠州灘で一番とれるフグとかですね、あとシラスだとかコウナゴ、いろいろな魚種がたくさんありますから、そういったものをブランド化してもっとアピールしていければと。
最近でいえば、豊川の流域でやっているアユの養殖ですね。アユの養殖もいつの間にやら日本一になってしまったので、岐阜を追い抜いて。これもやはり技術なのですね。冷水病という、いわゆる池の中の養殖アユがみんな死んでしまうようなそういう病気が出ないように養殖していくということをずーっとやってきた養殖漁業者の皆さんの努力の成果だと思いますから、そういったものを生かしながら、もっともっとやはりブランド化、ブランド化。これはやはり一番大きな課題ではないかなと思います。また、関係者の皆さんとしっかりブランド化を進めていければと思います。 |
【記者】 |
愛知県の産業として、工業や農業はもうかなり知られていますが、知事は、今後、漁業についてもバックアップしていき、伸びていってもらいたいという期待感をお持ちですか。 |
【知事】 |
もちろん。愛知は、静岡の焼津だとか神奈川の三崎とかああいう、何といいますか、三重県の尾鷲とか、遠洋漁業の基地があるわけではないので、やはり漁獲高とか漁業の生産高がずーっと全国の上位に行くということはなかなか難しいと思います。やはり近海漁業、沿岸漁業を中心にしながら、養殖漁業を絡めながらということですから。
ですから私は、量とか生産額にとらわれるのではなくて、さっき申し上げたように、これっていう特色のある漁業生産があるものですから、そういったものをウナギだアサリ、アユとかフグとかシラスとかそういったものを、特徴のあるものをとらまえてブランド化をして、やはりもっともっとアピールしていければと思っています。
ちなみに、やはり三河湾、伊勢湾、それから太平洋という海に恵まれて、特に三河湾、伊勢湾って内海ですから放っておけばすぐ汚れてしまうので、やはりそれの浄化も含めて海を大事にする。環境面での意味も込めて、愛知の漁業をこれからも大事にしていきたいと思っています。
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