第4回
体の機能の回復には、日常生活を支える介護職員の力が不可欠
インタビュー:医療法人紫陽
シンセーロ会所 作業療法士 小澤弘治さん

こまめなコミュニケーションで、リハビリ後の状況を共有

 介護老人保健施設で作業療法士としてリハビリテーションを行っています。介護老人保健施設は、介護やリハビリを通して利用者さまが自宅に戻れるよう支援するところ。僕たち作業療法士は、生活を送る上で最低限必要な「日常生活動作(ADL)」…食事、トイレ、入浴、ベッドから車いすへの移乗などができるように訓練を行うのが仕事です。リハビリにはほかに、歩行や立ち上がりなど主に“足の運動”を担う理学療法士も携わっています。作業療法士は“手の運動”が中心で、たとえば食事ならスプーンで食べ物をすくって口に持っていく一連の動きができるように練習したり、その人が持ちやすいスプーンを選んだり。理学療法士と同様に、歩行などの訓練をすることもあります。

 ただ、訓練ではできた動作も、普段の生活の中ではしていないケースもあるんです。この「できる」と「している」を同じにしていくことがリハビリではとても重要で、そこに欠かせないのが介護職員さんの力です。なんといっても、利用者さまの日頃の様子をよく知っていますから。毎日の朝礼も含めてこまめに介護職員さんとコミュニケーションを取り、リハビリ室以外での「している」動きの把握に努めています。
 たとえば、リハビリで歩けるようになった方について、介護職員さんから「夜の歩行はふらつく」と教えてもらったら、夜だけ車いすを使うとか付き添ってもらうといった対応を取ります。転倒リスクを抑えつつ、連携して基本動作の回復をサポートしていくのです。

見るべきところを見て、対応する姿勢がすごい!

 最も長く接しているからこそ、介護職の方々への利用者さまの信頼は厚いです。「一緒についてきて」とか「トイレに行きたいから手伝って」とお願いされることもあり、すごく頼りにされているなと感じますね。僕らも、自分一人で利用者さまをベッドから起こすのが難しい場合などに手伝ってもらっています。忙しくても丁寧に対応してくれ、本当に感謝しています。
 また、移乗する際に利用者さまの衣服が乱れたらさっと直したり、ベッドのシーツのしわをきれいに伸ばしたりといった配慮も行き届いています。実はシーツにしわがあると、体の状態によっては寝返りを打てず、褥瘡(じょくそう。床ずれ)につながる恐れもあるんです。そうした細かいけど大切な見るべきところを見る目を持ち、いち早く気づき、対応する。そんな姿勢がすごいと思います。

人生に関わる仕事を協力し合って続けていきたい

 時には、リハビリを避けたがる利用者さまもいらっしゃいます。そんな場合も、介護職員さんに助けられています。相手の興味のあるジャンルを把握しているから、その話題で楽しい雰囲気をつくることができる。利用者さまのモチベーションを上げ、うまくリハビリにつなげてくれますね。
 また、リクライニング式車いすを使っていた利用者さまに「ここまで歩けるようになるとは思っていなかった」と喜んでもらえたのも介護職員さんがいたからこそ!1年ほど前に立つ訓練を始めたのですが、最初は移乗も大変で、2、3人で介助しないと難しい状態でした。訓練を重ねて少しずつ立てるようになった時期に、介護職員さんが日常生活の中でも定期的に立ち上がらせてくれました。トイレまで付き添ってくれたことでオムツもはずせ、徐々に足の力もついて、今では歩行器、もうすぐ杖で歩けそうです。使える機能を活かす毎日の積み重ねには、介護職の方の手が必要不可欠ですね。
 僕たちが携わっている介護の仕事は、人とふれあい、人生の後半を支える、尊いものだと思います。責任があり大変な面もありますが、それだけにやり甲斐もあります。これからも介護職をはじめ様々な職種のスタッフと協力し合って一緒にがんばっていきたいです。

介護職員さんへ応援メッセージ

尊い仕事を共に!
尊い仕事を共に!

介護職員さんへ応援メッセージ

  • A様
    いつもお世話をしていただきありがとうございます。
  • B様
    職員の皆さんにお世話をしていただきうれしいです。夜間もトイレに連れて行ってもらったり、見守りをしてもらったりと助かっています。
  • C様
    大変なお仕事に、いつも感謝しています。
医療法人紫陽 シンセーロ会所

一人でも多くの方が在宅復帰や社会復帰を果たせるよう、利用者さまの生活暦や個性を尊重し、その方に合ったサービスを提供する介護老人保健施設です。明るく楽しい雰囲気を重視すると共に、誠実さや真心をこめたサービスによって、利用者さまが笑顔で朗らかに個性豊かな生活を続けられることを目指しています。また、通所(介護予防通所)リハビリテーション、短期入所療養介護(介護予防短期入所療養介護)も行っています。

医療法人紫陽 シンセーロ会所
問い合わせ先:医療法人紫陽 シンセーロ会所
愛知県名古屋市北区会所町86
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