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紫黒米「峰のむらさき」の色調を生かしたルビー色の ぽん酢を開発しました ~食品工業技術センターと企業が共同開発~

ページID:0556688 掲載日:2024年12月13日更新 印刷ページ表示
8 働きがいも経済成長も9 産業と技術革新の基盤をつくろう

   あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター(名古屋市西区。以下「センター」という。)は、株式会社三井酢店(みついすみせ)(阿久比町。以下「三井酢店」という。)と共同で紫黒米を使用した「古代米※1のぽん酢」を開発しました。紫黒米の色調を生かしたぽん酢の製造は、全国初の試みです。
   「古代米のぽん酢」は、愛知県農業総合試験場山間農業研究所(豊田市)が育種開発した紫黒米「峰のむらさき」、南知多町の魚醤(ぎょしょう)「しこの露(つゆ)※2」、碧南市の白醤油※3など愛知県産の原材料、調味料を活用して製品化された色鮮やかなルビー色のぽん酢です。
   2024年12月20日(金曜日)から三井酢店のオンラインショップで初回販売(800本)を開始します。
   なお、本取組は、2024年度新あいち創造研究開発補助金※4の成果によるものです。

1 開発の背景、概要

   センターでは、清酒、みりんを始めとした酒類、醸造酢、調味料など様々な発酵食品の研究開発に取り組んでいます。
   2006年には、三井酢店及び旧・独立行政法人(現・国立研究開発法人)産業技術総合研究所と連携し、地域中小企業支援型研究開発事業にて、紫黒米の色素アントシアニン※5を最大限に活かす醸造方法を開発し、「古代米のお酢」を商品化しました。
   同社は、「古代米のお酢」の用途拡大及び自社の品質管理体制の強化を目指し、2024年に「新あいち創造研究開発補助金」を活用し、新しい調味料の研究開発に着手しました。
   製品開発では、「古代米のお酢」の特徴であるルビー色の色調を生かすことを重視しました。

2 古代米のぽん酢について

​   通常のぽん酢は、醸造酢に濃口醤油と柑橘果汁を加えて作られます。しかし、「古代米のお酢」に濃口醤油を使用するとその濃い褐色の影響が強く、ルビー色の色調が損なわれてしまいます。その課題解決のため、色の薄い醤油である白醤油と、アミノ酸が多く少量で旨味が引き立てられる魚醤の活用を当センターが提案しました。
   魚醤は魚特有の香りがあり製品への影響が危惧されましたが、ぽん酢はpH※6が低いため魚特有の香りが揮発しにくくなり目立ちません。また、さわやかな味を引き出す柑橘類についてもぽん酢に良く使用されるレモン、ゆずを含めて検討した結果、温州(うんしゅう)みかんが味や香りにおいて一番合うとの評価が得られ(三井酢店社内評価)、温州みかん果汁を選択しました。このように選択した県特産品である白醤油、魚醤、温州みかん果汁と「古代米のお酢」の最適な配合比について三井酢店と試作・検討を重ね「古代米のぽん酢」が完成しました。
   愛知県紫黒米「峰のむらさき」、「古代米のぽん酢」、通常のぽん酢の写真を図に、色度※7の分析値を表に示します。「古代米のぽん酢」はルビー色をしていることがわかります。色度の分析値からも、「古代米のぽん酢」は通常のぽん酢と比較してL*値が高く、明るく透明度の高いものになりました。また、a*値とb*値が高いことから、赤味が強く華やかな色調となっています。
   「古代米のぽん酢」は、これからの季節の定番である鍋料理や酢の物、また、ドレッシングの代わりとしての使用にも適しています。​

 

「峰のむらさき」玄米と古代米のぽん酢、通常のぽん酢の写真

図 「峰のむらさき」玄米と古代米のぽん酢、通常のぽん酢の写真​

 

表「古代米のぽん酢」と通常のぽん酢の色度の比較
  古代米のぽん酢 通常のぽん酢
L*値 42.86 19.67
a*値 60.12

37.97

b*値 30.88 8.34

 

3 「古代米のぽん酢」販売について

   2024年12月20日(金曜日)から、三井酢店オンラインショップ(https://www.321su.co.jp)において、初回生産800本が販売されます。

○販売予定価格 360mL:800円(税別)

 

古代米のぽん酢

製品「古代米のぽん酢」

4 今後の予定

   センターでは、今後も中小企業の皆様の製品開発並びに技術支援を積極的に行っていきます。
   また、三井酢店では、今後は道の駅など地産商品の販売を行う店舗での販売を行う予定です。さらに、「古代米のお酢」をベースとした新商品開発を進める予定です。

5 問合せ先

(「古代米のぽん酢」の成分等に関すること)
あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター
発酵バイオ技術室 担当:小野、伊藤、山本
名古屋市西区新福寺町2-1-1  電話:052-325-8092
URL:https://www.aichi-inst.jp/shokuhin/

(「古代米のぽん酢」の製品に関すること)
株式会社三井酢店  担当:小林春雄(こばやしはるお)
知多郡阿久比町大字卯坂字下同志鐘1-10  電話:0569-49-2211
URL:https://www.321su.co.jp

【用語説明】

※1 古代米
   米の表面(糠(ぬか)の部分)に濃い紫色や赤い色がついた米のことである。濃い紫色の米は「紫黒米」、赤い色のついた米は「赤米(あかまい)」と呼ばれている。古代の日本で栽培されていたという説があることから、「古代米」と呼ばれる。古代米には、通常の米と同様に糯米(もちごめ)、粳米(うるちまい)の品種がある。

※2 しこの露
   南知多町の豊浜漁港に上がる伊勢湾で採れた新鮮なカタクチイワシを原料に造られた魚醤である。食品工業技術センターと共同で平成13年に商品化された。その後、南知多町名産品に指定され、ふるさと納税返礼品となっている。

※3 白醤油
   通常の濃口醤油が大豆と小麦を半々の割合で造られているのに対して、白醤油は、原料の大部分が小麦の醤油である。愛知県では、古くから碧南地区を中心に作られている。濃口醤油と比べて、色が淡く、ほんのりと甘い味わいである。

※4 新あいち創造研究開発補助金
   愛知県が行う補助制度。次世代自動車や航空宇宙など、将来の成長が見込まれる分野において、企業等が行う研究開発・実証実験を支援し、本県における付加価値の高いモノづくりの維持・拡大につなげることを目的としている。
   三井酢店は、2024年採択事業「愛知県産紫黒米「峰のむらさき」を使用した新しい調味料と水分活性を活用した品質管理の研究開発」(トライアル型)で本補助金を活用した。水分活性による品質管理の指導及び今まで明らかにされていなかった蔵付酢酸菌(くらつきさくさんきん)の同定を当センターが実施した。

※5 アントシアニン
   抗酸化物質ポリフェノールの一種で、紫黒米やブルーベリーに含まれている紫色の色素である。pHにより色調が変化し、酸性が強いほど鮮やかな赤色で明るくなり、中性~アルカリ性に移行するほど暗い紫色の色調となる。

※6 pH
   水溶液の性質を示す単位。どれだけの割合で水素イオンが含まれているのかを示し、7で中性となり、これより値が小さい(水素イオンが多い)と酸性、大きい(水素イオンが少ない)とアルカリ性となる。

※7 色度
   食品などの色は、測色計で測定され、L*値、a*値、b*値で表現される。明度をL*値で表し、明るいほど大きい値となる。色相と彩度を示す色度はa*値、b*値で表される。a*値は赤方向、-a*値は緑方向、そしてb*値は黄方向、-b*値は青方向を示す。

このページに関する問合せ先

​あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター発酵バイオ技術室
担当:小野、伊藤、山本
電話:052-325-8092