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【あいち農業イノベーションプロジェクト】 「企業等から排出される炭酸ガスを活用したイチゴ群落内施用システムの開発」 に係る現地実証試験の開始について

ページID:0566690 掲載日:2025年2月5日更新 印刷ページ表示
2 飢餓をゼロに9 産業と技術革新の基盤をつくろう13 気候変動に具体的な対策を

 愛知県では、STATION Aiプロジェクトの一環として、愛知県農業総合試験場(長久手市、以下「農総試」という。)とスタートアップ等(以下、「SU等」という。)が連携して新しい農業イノベーションの創出を目指す「あいち農業イノベーションプロジェクト」を2021年度から実施しています。

 この度、農総試と高圧ガス工業株式会社(大阪府)の共同研究により開発した「企業等から排出される炭酸ガスを活用したイチゴ群落※1内施用システム」について、県内の生産者ハウスで現地実証試験を開始しますのでお知らせします。

 ※1 同じ場所で一緒に生育しているひとまとまりの植物群

 

1 開発の背景及び技術の概要

(1)開発の背景

 近年の施設園芸では、高収量で高品質な生産物を得るために、ハウス内の温度や炭酸ガス(以下「CO2」という。)濃度を制御して栽培を行っています。閉め切った冬季のハウスでは作物の光合成に必要なCO2が不足しがちであるため、一般的に、灯油やLPガスを燃焼させて発生する「燃焼式」のCO2を利用しています。

 この「燃焼式」に替わる方法として、企業等から排出されたCO2を回収し、活用する「生ガス式」があります。現在、県内のイチゴ産地では、簡便にCO2施用(せよう)※2が出来る「燃焼式」が最も普及していますが、今後はカーボンニュートラルに貢献する「生ガス式」の導入が望まれています。

 「生ガス式」は「燃焼式」と比較してCO2 1kgあたりのコストが高いことが導入に向けた課題となっており、本研究では、コスト低減ができる施用システムの開発に取り組んでいます。

 ※2 農作物にCO2を与える作業

 

(2)技術の概要

 「燃焼式」がハウス全体にCO2 を施用するのに対して、「生ガス式」では葉の周辺(=群落内)にCO2を局所的に施用する方法が一般的です(図1及び写真1)。さらに、今回開発したシステムでは、日射に応じてCO2施用量を調節する等の技術を追加することで、従来の「生ガス式」に比べて施用を効率化し、コスト低減を目指します。

 開発したイチゴ群落内施用技術については、2025年1月に愛知県と高圧ガス工業株式会社と共同で特許出願しています。

 

イチゴ群落内へのCO2施用イメージ

 

ハウスに隣接する液化CO2ボンベ

 

(3)これまでの研究成果

 農総試内のイチゴの試験ほ場で、(1) 施用したCO2のハウス内での動き、(2) 葉の光合成速度等を明らかにしました。

 (1)について、CO2を可視化できる特殊なカメラを用いて、ハウス内の換気がCO2の拡散に与える影響について調査しました。換気設備を停止すると、チューブや葉がCO2に覆われ見えにくくなることから、チューブと葉の周辺にCO2が高濃度で存在していることを確認できました。

 (2)について、光の強さ、CO2濃度条件を変えて光合成速度の測定を行いました。光が強いときにCO2濃度を高めると光合成が活発に行われ、逆に光が弱いときにはCO2濃度を高めても光合成はそれほど活発にならなかったことから、光が弱い時には、光の強さに応じてCO2施用量を調節することでコストが抑えられると考えられました(図2)。

イチゴにおける光の強さ・CO2濃度 と光合成速度の関係

 

2 今回の現地実証試験

(1)実証試験の概要

 これまでの研究成果を踏まえ、2025年2月から、本県におけるイチゴの主産地である、愛西市、西尾市、豊橋市の生産者ハウスで「生ガス式」群落内施用システムの試作機を用いた現地実証を行います。

 本システムの現地実証試験は今回が初めてであり、生産者の大規模なハウスにおいての有効性を確認するとともに、システムの改善点を明らかにします。

 

(2)今後の展望

 今回の実証試験で得られた評価を農総試での研究開発へフィードバックし、より産地の需要に合った実用性の高いシステムへと改良を進めていきます。

 なお、本システムは2026年秋ごろの販売開始を目標としており、実証データの蓄積と並行して、製品化に向けた取組を進めていきます。

 

【参考】あいち農業イノベーションプロジェクトについて

 愛知県では、農総試や大学が有する技術、フィールド、ノウハウとSU等の新しいアイデアや技術を活用した共同研究体制の強化を図り、新しい農業イノベーションを創出するために「あいち農業イノベーションプロジェクト」を2021年度から進めています。

 現在、2022年度に選定したSU等と農総試が共同で18課題の「研究開発型」のイノベーション創出に取り組んでいます(2024年7月23日発表済み。)。

6つのテーマごとの共同研究の概要 [PDFファイル/188KB]

高圧ガス工業株式会社について

所在地:大阪府大阪市北区中崎西2丁目4番12号 梅田センタービル28階

設立:1958年6月26日

従業員数:849名(2024年3月現在)

代表取締役社長:黒木 幹也

事業内容等:

・熔解アセチレンを主体とした各種高圧ガスの製造・仕入れ販売

・各種ガス関連機器等の製造・仕入れ販売

・設備の賃借

このページに関する問合せ先

愛知県農業水産局農政部農業経営課農業イノベーション推進室
イノベーション推進グループ
担当:市川、久米
電話:052-954-6413
内線:3673、3670
メール:nogyo_innovation@pref.aichi.lg.jp

愛知県農業総合試験場園芸研究部野菜研究室
担当:小野、田中
電話:0561-41-8967(ダイヤルイン)
メール:nososi@pref.aichi.lg.jp

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