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在来種よりも収穫期の早いエゴマ新品種を開発しました~新品種で中山間地域の活性化を目指します~
愛知県では、北設楽郡設楽町を中心に、中山間地域における貴重な作物としてエゴマが栽培されており、特産品である五平餅のタレや、エゴマ油などに加工・販売され、地域振興に寄与しています。
愛知県農業総合試験場山間農業研究所(豊田市、以下、「農総試」という。)は、エゴマの新品種「No.7」(ナンバーナナ)を開発し、2024年1月30日付けで種苗法に基づく品種登録出願を行いましたので、お知らせします。
本品種は、本県で栽培されているエゴマの在来種「名倉」(なぐら)より収穫時期が早く、早霜(はやじも)の被害(※1)を回避できるほか、「名倉」よりも草丈(くさたけ)が低く、茎が細いため、収穫(※2)しやすいことが特徴です。
「No.7」は今後、本県エゴマ産地の主力品種の1つとして普及することが期待されます。
※1 「名倉」の収穫期は10月末~11月上旬であり、早霜に遭うと収穫量が減少します。
※2 県内の産地では主に、剪定ばさみや鎌により手刈りで収穫が行われています。
1 新品種の特徴
・収穫時期は「名倉」と比べ、1か月程度早い9月中下旬のため、早霜の被害を回避できます。また、「名倉」と組み合わせて栽培することで、収穫作業の時期を分散できます。
・「名倉」と比べ、草丈は約50cm低く、茎は約8mm細いため、収穫が容易です。
・子実を五平餅のタレに加工した際の食味は、「名倉」と同等です。
2 開発の経緯
県内では、北設楽郡設楽町等の中山間地域を中心に、約1haでエゴマが栽培されています。
県内産地で主に栽培されている在来種の「名倉」は、収穫量が多く、食味が良いという点が評価されています。一方で、「名倉」は、早霜の被害が生じた場合に収穫量が減少するほか、「名倉」のみでは収穫時期が集中することから、安定生産と経営面積の拡大を図る上で課題となっていました。
そこで、農総試では、2009年から新品種の開発を開始し、在来種を交配した系統から、「名倉」よりも収穫時期が早く、収穫作業が容易な系統を選抜してきました。
2021年から2022年までには、県内エゴマ産地での現地栽培試験や、五平餅のタレに加工した際の食味試験等を実施し、約14年間かけて新品種を開発しました。
3 今後の予定
県内産地の生産者組織と許諾契約を結んだ後、2025年から本格的に栽培が開始されます。同年秋にエゴマ子実の出荷も開始される見込みです。
4 期待される効果
本品種の導入により、早霜被害の回避、収穫時期の分散による経営面積の拡大、収穫作業の軽労化などが期待され、高齢化が進む産地の維持発展が可能となります。
また、生産量が安定することで、新たな需要にも応えることができるなど、販路の拡大が期待されます。
5 関連説明
(1)エゴマ
シソ科の植物で、葉と子実を食用として利用し、子実は油や五平餅のタレなどに加工して利用されます。子実には、ヒトの体内では合成されない必須脂肪酸「α-リノレン酸」が多く含まれることから、健康食品としての評価が高まっています。
(2)エゴマの生産状況
本県のエゴマ生産は、作付面積約1haです。
県 | 作付面積(ha) | |
---|---|---|
1位 | 北海道 | 78.5 |
2位 | 福島県 | 69.8 |
3位 | 島根県 | 67.1 |
28位 | 愛知県 | 1.1 |
全国 | 439.6 |
(公益財団法人日本特産農産物協会「地域特産作物に関する調査」令和3年産)
このページに関する問合せ先
愛知県農業水産局農政部農業経営課 愛知県農業総合試験場
農業イノベーション推進室技術調整グループ 山間農業研究所園芸研究室
担当:橋詰、東野 担当:甲村、久野
電話:052-954-6410 電話:0565-82-2029
内線:3667、3666 メール:nososi-sankan@pref.aichi.lg.jp
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