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【あいち農業イノベーションプロジェクト】「湿害による出芽不良を回避することができる大豆の高速播種機の開発」に係る現地実証試験の開始について

ページID:0531975 掲載日:2024年6月20日更新 印刷ページ表示
2 飢餓をゼロに9 産業と技術革新の基盤をつくろう

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 愛知県では、STATION Aiプロジェクトの一環として、2021年度から愛知県農業総合試験場(長久手市、以下「農総試」という。)とスタートアップ企業等との共同研究体制の強化を図り、新しい農業イノベーションの創出を目指す「あいち農業イノベーションプロジェクト」を実施しています。

 この度、本プロジェクトにおいて農総試と鋤柄農機株式会社(岡崎市)の共同研究により開発した「湿害による出芽不良を回避することができる大豆の高速播種機」について、県内の生産者ほ場※1で現地実証試験を開始しますのでお知らせします。

 ※1 水田や畑などの農作物を栽培するための場所のこと。

1 開発の背景及び技術の概要​

(1)開発の背景

 本県の水田農業では、米・麦・大豆の2年3作のブロックローテ―ション※2が定着しており、大豆は基幹作物の一つです。近年、国産大豆の需要が堅調に伸びる中、収量と品質の向上が求められています。一方で、大豆の生産は気象条件の影響を受けやすく、単収の年次変動が大きいことが課題となっています。特に本県では、播種時期が梅雨と重なるため湿害による出芽・苗立ち不良、他作物との作業時期の競合や長雨による播種遅れ等が生じやすく、生産者からは安定生産に向けた技術の開発が求められています。

 こうした課題に対応するため、本研究では、各種農作業機械の開発・製造に強みを持つ鋤柄農機株式会社との共同研究により、「湿害による出芽不良を回避することができる大豆の高速播種機の開発」に取り組んでいます。

 ※2 地域の農地をいくつかのブロックに分け、それぞれのブロックに作付けする作物(米、麦、大豆など)を順番に替えていくこと。

(2)技術の概要

 本研究では、前作の小麦刈取後の耕起していないほ場で、耕起、畝立て※3、播種の3つの作業を同時に高速(時速4km程度)で行う大豆播種機を開発しています。耕起と同時に畝立てを行うことで水が土壌表面に溜まりにくくなり、慣行に比べて生育初期の湿害を回避できます。また、通常は播種作業とは別に実施するほ場の耕起・整地作業を省略できるため、労働時間の削減が可能となります。

 本県の大豆栽培では、梅雨の影響や長雨により小麦の収穫作業が後ろ倒しになると、大豆の播種作業が遅延し、適期に播種が完了できないことが収量低下の一因となっています。本技術は、地面が固い不耕起状態で作業するため雨が降ってから播種作業可能になるまでの期間が短いという特徴があります。

 また、本県の大豆主産地である西三河地域に広がる洪積土壌は強粘質で固く締まりやすいため、こうした地域の特性に対応した技術となるよう開発・改良を進めています。

畝立播種による湿害回避のイメージ図

 ※3 耕起:播種を行う前にトラクターなどを用いて農地を耕すこと。
    畝立て:畑で作物を栽培するために他より土を盛って高くすること。
 
※4 1工程で2条の畝立て、播種を同時に作業できる播種機。​

 

(3)これまでの研究成果

  2023年に2条タイプの播種機を試作し、農総試及び刈谷市の生産者ほ場で試験を行いました。その結果、強粘質の土壌で土壌水分が高い場合には高速性はやや低下するものの、畝立性能は良好で、降雨による湿害を回避することができ、生育・収量が向上しました。

慣行播種と畝立播種の出芽のちがい
​  

2 今回の現地実証試験

(1)現地実証試験の概要

 大豆播種機は3条タイプが県内生産者に広く普及していることから、これまでの研究結果を踏まえ、今年度新たに3条タイプの畝立播種機を試作しました。この試作機について、2024年6月中旬から、西三河地域(安城市、刈谷市)の生産者ほ場で現地実証試験を行い、実際の生産現場における試作機の性能評価や大豆の生育及び収穫量調査、生産者が必要とする機能の確認などを行います。

(2)今後の展望

 今回の現地実証試験で得られた結果や生産者の意見等を試作機に反映させ、より現場で使いやすい播種機となるように改良を行い、製品化に向けた取組を進めます。

 

【参考】あいち農業イノベーションプロジェクトについて

 農業分野においては、担い手の減少や高齢化といった従来からの課題に加えて、カーボンニュートラルや新たなサプライチェーンの構築など新たに顕在化した様々な課題に対応するための新技術の開発と社会実装が求められています。
本県では、農総試や大学が有する技術、フィールド、ノウハウとスタートアップの新しいアイデアや技術を活用した共同研究体制の強化を図り、新しい農業イノベーションを創出するために「あいち農業イノベーションプロジェクト」を2021年度から進めています。
2023年度から、本県農業の生産現場が抱える課題解決に向けて、2022年度に選定したスタートアップ等と農総試が共同で研究開発に取り組んでいます。

6つのテーマごとの共同研究の概要 [PDFファイル/152KB]

 

​鋤柄農機株式会社について

所在地:愛知県岡崎市矢作町西林寺38番地
設立:1835年
従業員数:40人
代表社員:鋤柄 忠良
事業内容等:
・鋤柄農機株式会社は、愛知県でトラクター用成形機、マルチ、不耕起V溝直播機、各種アタッチメントを主体とし、各種農作業機の開発から製造、販売支援をワンストップで行っています。
・水稲不耕起V溝直播栽培の播種機を農総試との共同研究により開発し、製造・販売しています。​

このページに関する問合せ先

愛知県農業水産局農政部農業経営課農業イノベーション推進室
イノベーション推進グループ
電話:052-954-6413
内線:3673、3662
メール:nogyo-innovation@pref.aichi.lg.jp

愛知県農業総合試験場作物研究部作物研究室
電話:0561-41-9517(ダイヤルイン)
メール:nososi@pref.aichi.lg.jp

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