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学名 Etiella zinckenella (Treitschke)
1 形態
成虫は体長約8mm、開張約20mmの灰色の小型の蛾で、前翅前縁は白色、内横線は隆起した橙褐色の鱗粉があり、その外側に黄色帯がある。卵は長径が0.8mmくらいの楕円形で、乳白色を呈している。幼虫は中齢以降になると頭部が黒色で、腹部は白色であるが、老熟すると全体的に青緑色から暗褐色を呈しており、ややずんぐりした幼虫で背線ははっきりしている。
2 被害の様子
食入した莢には糸で作った小さな蒲鉾型のトンネルをつくる。侵入するときの小さな穴があいており、中で虫糞を外に排出せずに子実のみを食害し、子実が小さいと脱出して他の莢へ移動して食害するため、被害が大きくなる。子実害虫の中でも被害の大きな害虫である。
3 生態
愛知県では年4世代と考えられているが、マメ科植物の子実のみを食害する。ダイズに被害を与えるのは第3世代幼虫及び第4世代幼虫で、第1世代及び第2世代幼虫は他のマメ科作物やマメ科雑草の子実を摂食する。産卵は葉柄から莢にかけて点在するように行われ、孵化した幼虫は莢に達してから食入し、子実を食害する。糞は莢の中に残り、莢の外には排出されない。老熟すると莢から外にでてから浅い土中で土を使い繭を作って蛹化する。
4 防除対策
晩生種ほど被害が少なく、遅蒔きも被害が少なくなる。産卵時期と着莢の時期のタイミング、他の食餌植物との関係で早蒔きしても被害が少なくなることもある。産卵時期に2回程度薬剤散布する。
本県では子実害虫の中でもっとも被害の大きな害虫である。