本文
1 病原菌
学名 Rhizopus stolonifer(Ehrenberg)Vuil1emin var. stolonifer(糸状菌 接合菌類)
2 被害の様子
本病は成熟期に発生し、果実のみを侵す。果実の開口部から腐敗が始まり、急速に進行して2~3日で果実全体が完全に腐敗する。被害部には、はじめ白色のちに黒色となるかびを生じる。発病果は落下することがほとんどなく、ハチやコガネムシ類、ヒメジャノメ等が好んで集まり吸汁する。
また、健全な果実を収穫しても輸送中に発病して果実を腐敗させることもある。
3 病原菌の生態
菌糸は初め白色であるが、のちに暗褐色となり、仮根が果実内に侵入して養分を吸収し、仮根上部に数本の胞子のう柄を生じ、その先端に胞子のうを形成する。
生育適温は25~30℃である。
果実の感受性は果実の肥大に伴って高まる。発病果は媒介昆虫を誘引し、二次伝染源となる。
4 発生しやすい条件
成熟期に曇雨天が続くと発病しやすい。
5 防除対策
・窒素過多による枝葉の過繁茂を避け、整枝・せん定、芽かきを適切に行い通風採光を 図る。
・発病果は早期に除去して処分する。
・雨よけ栽培を行う。
・収穫時に果実に傷を付けないようにし、収穫果をよく選別して発病果が混じらないよう注意する。
・薬剤による防除は、予防散布が重要であり、成熟期に降雨が続くようなときは多発しやすいので、防除の徹底を図る。
6 参考文献
・岸國平編(1998)『日本植物病害大事典』全国農村教育協会.