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1 病原菌
学名 Pyrenophora tritici-repentis
2 被害の様子
葉の上に黄褐色で楕円形の小斑点を生じ、それらが次第に拡大して周縁部が淡黄色で中心部が灰褐色の楕円形ないしは紡錘形の病斑になる。症状が進行すると、隣接した病斑と融合し、葉先が褐色に枯れ上がる。発生は下葉から始まり、上位葉へまん延する。
3 病原菌の生態
菌糸は25℃から30℃の間で最も早く伸長するが、5℃でも伸長できる。そのため、冬の低温期においても16時間の濡れ時間があればコムギへの感染は可能である。
前作の罹病残さ上に形成される子のう胞子が第一次伝染源となる。
4 発生しやすい条件
コムギを連作しているほ場で発生しやすい。
春が温暖で雨が多く、コムギが早くからよく繁茂した年に発生が多くなる。
風通しや日当たりの悪いほ場で発生が多い。
5 防除対策
水稲との輪作、夏期の代かき湛水を行う。
収穫後は、早期に複数回残さをすき込む。
6 参考資料
・吉松英明ら コムギ黄斑病の発生生態と有効な防除薬剤 大分県農林水産研究センター研究報告(農業編)第1号 2007年
・山口県農林総合技術センター コムギ黄斑病の発生生態と防除法 令和2年度新たに普及に移しうる試験研究等の成果 2020年
・田中はるか コムギ黄斑病の防除対策について あいちの植防協会だより 2023年
発病葉(初期病斑)
発病葉
コムギ黄斑病による下葉の枯れ上がり