本文
1 形態
モモアカアブラムシ
学名 Myzus persicae (Sulzer)
体色は黄緑色、緑色、赤褐色と変化に富む。角状管、尾片が体と同色で、角状管の先端は暗色。有翅のものは腹背中央に暗色の大きい斑紋がある。無翅には斑紋がない。
カワリコブアブラムシアブラムシ
学名 Myzus varians Davidson
モモアカアブラムシに非常によく似ている。体色も変化に富む。モモアカとの外観的な違いをしいてあげれば、角状管と触角の黒色部がモモアカより鮮明である。
モモコフキアブラムシ
学名 Hyalopterus pruni (Geoffroy)
体色は黄緑色から緑色。時に、頭、胸部と腹部後方が暗赤褐色。背面央中に緑の条線が見られる。角条管は暗緑色で、先端は黒褐色。蝋質白色粉に覆われるので外見は白く見える。
2 被害の様子
モモアカアブラムシ
春季、葉裏に寄生する。新梢の先端葉が著しく萎縮する。
カワリコブアブラムシ
春季、葉裏に寄生する。裏側に向かって縦に巻き込み、著しいときには棒状となる。
モモコフキアブラムシ
葉裏に寄生する。新梢が伸長するとそこにも寄生する。寄生を受けると白粉に覆われ、さらに本種の排出物にスス病菌が寄生することによりスス病を併発。若い葉は軽く巻縮する。
3 生態
・モモアカアブラムシ・カワリコブアブラムシ
芽の付近に産み付けられた卵で越冬する。新芽がふくらみ始める頃にふ化し、まず新芽やつぼみに寄生する。その後新葉が展開するとともに葉に移動して寄生するが、古い硬い葉では寄生できないので次々に新葉に移動して被害をひろげる。5月下旬から中間寄主(モモアカアブラムシではアブラナ科、ナス科などの1年生作物、カワリコブアブラムシではセンニチコウ、ボタンヅルなど)に移動し、10~11月頃に戻って1世代経過した後に産卵し、冬を迎える。中間寄主から戻った、産卵前の寄生密度は低く集団を作ることもないので、ほとんど目に付かない。
・モモコフキアブラムシ
おおむね上記のアブラムシと似ているが、葉だけでなく若い枝にも寄生する。本種は寄生密度が高くなった場合成熟葉にも寄生する。発生時期はやや遅く、被害が目立ち出すのは5月頃からと前2種に比べてやや遅い。6月上中旬に中間寄主へと移動する。中間寄主はイネ科植物。
4 発生しやすい条件
・春期、暖かく乾燥した年に発生が多くなる。
5 防除対策
・モモアカアブラムシおよびカワリコブアブラムシは、モモのつぼみが膨らんだときにはすでにふ化しているので、この時期に薬剤防除する。
・これらの種は葉を巻く被害が出ることにより、被害が顕れてからでは薬剤が虫体にかかりにくくなり効果が小さくなるので、被害の出る前に防除する。
・モモコフキアブラムシは葉がかなり展葉してから発生してくるので、発生の様子をみて防除する。