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学名 Polyphagotarsonemus latus (Banks)
1 形態
体長約0.2mm。胴体部は雌雄ともに卵形で、褐色や黄緑色をしている。
2 被害の様子
葉裏が褐色をおびて光沢をもち、葉の縁が裏側へ曲がる。新芽では葉が開かなくなり、芯止まりとなる。花や実の数が減少し、開花しない蕾や奇形の花を生じる。
果実ではヘタが灰色になる。また、ヘタの周辺に網目状の灰色の傷がつく。本虫は体長約0.2mmで非常に小さいため、肉眼では発見できない。このため、被害の原因がわからないまま放置されていることが多い。
低温に強いため、加温ハウス栽培では、冬期でも本虫が発生し、被害がみられる。露地栽培では6~7月頃症状がみえはじめ、夏期以降、被害が増加する。
3 生態
ホコリダニの発育は、卵、幼虫、静止期幼虫、成虫の順に行われる。チャノホコリダニは1日に1~5卵を産み、1~2週間にわたって総計15~30の卵を産出する。卵は緑色偏平で葉の表面に固着しており、表面は白色の気泡状の点で覆われる。発育に要する期間は20℃で13~17日、好適発育温度は、15~20℃とされる。ナスに寄生する前の発生源としては、茶樹やサザンカが多いといわれている。また、クローバーなどの雑草で越冬していることも知られている。
寄主範囲はきわめて広く、野菜や花き、樹木にもしばしば発生する。寄主植物としては、チャ、ミカン、ナシ、クワ、ピーマン、インゲンマメ、イチゴ、たばこ、キュウリ、シクラメン、ガーベラ、アオジソなどがある。
寄生は、上位3葉ぐらいまでの新葉に多い。蕾や花、幼果にも寄生するが、寄生虫数は比較的少ない
4 発生しやすい条件
・乾燥条件で発生する。
・周辺にクローバーなどの発生源が多いと発生する。
5 防除対策
・常発する地帯では,周辺の雑草や樹木が発生源となるので,栽培ほ場周辺の雑草などを除く。
・多発すると防除が困難になるので、早期発見・早期防除に努める。
・摘葉や摘芯後の残渣は発生源になるので、ビニール袋等に入れるなどして、圃場外に持ち出し処分する。
・薬剤は新梢部、葉裏を重点に散布する。
・同一薬剤の連用をさけローテーションを考えて薬剤散布する。
ホコリダニによる加害
チャノホコリダニ