ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 ホーム > あいち病害虫情報 > 病害虫図鑑 スクミリンゴガイ

本文

病害虫図鑑 スクミリンゴガイ

ページID:0271754 掲載日:2024年7月8日更新 印刷ページ表示

学名 Pomacea canaliculata Lamarck

1 形態
 ジャンボタニシとも言われる、リンゴガイ科の1種である大型の巻貝である。
 成貝は殻高2~7cm程度、殻の色は黄褐色~黒褐色または黒色に近い。
 他のタニシ類に比較して、螺旋の上部の長さが短く、殻径と殻高の長さがほぼ同じである特徴がある。

2 被害の様子
 ほ場や用排水路の土中に潜って越冬した個体が、春以降、気温が上昇し、水田に水が張られると活動を開始する。
 雑食性で主に植物質を食べるが、特に柔らかい植物を好み、田植え直後のイネ稚苗やレンコンの幼葉などを食べる。
 イネは3~4葉期までが食害されやすく、被害にあった水田では欠株が生じる。被害が甚大な場合は、水田全体が欠株となる。

3 生態
 産卵期間は4~10月で、産卵数は5月下旬から9月上旬に最も多くなる。
 卵は濃いピンク色で、200~300個程度の卵からなる卵塊を形成する。
 卵塊は水面より上の植物体(イネや雑草の茎など)や水路の壁などに産み付けられる。
 ふ化までの期間は温度によって異なるが、25℃で2週間程度である。
 ふ化後、水中へ落下し、藻などの柔らかい植物やウキクサなどを食べて成長する。
 水中にあるものしか食べることができず、若い稲の葉は水中に引き込んで食害する。
 摂食活動は水温15℃~35℃で行い、14℃以下になると活動を停止し、ほ場や用排水路の土中に潜って越冬する。
 寒さに弱いため、低温や乾燥に弱い殻高1cm未満の貝や、土にうまく潜ることができない殻高3cm以上の貝は、越冬率が低くなる。

4 防除対策
 ・産卵直後の卵塊は、水中に落とすだけで、殺卵効果がある。
 ・冬期にほ場を耕起し、土中の越冬個体の密度を下げる。
 ・水田の取水口や排水口にネット等を設置し、貝の侵入を防止する。
 ・移植後3週間頃(食害を受けにくい5葉期)まで、浅水管理(水深4cm以下)する。
 ・常発地帯では、薬剤による防除を行う。

スクミリンゴガイ成貝

スクミリンゴガイ成貝

 スクミリンゴガイ卵スクミリンゴガイ卵

スクミリンゴガイ卵