本文
1 病原菌
学名 Botrytis cinerea Persoon (糸状菌 不完全菌類)
2 被害の様子
果実、花弁、葉などに多く発生するが、茎、葉柄にも発病する。幼苗期や定植直後の茎の地際に発生すると被害部は褐変し、灰色のカビを生じ、病勢が激しいと株全体が枯死することがある。また地際より上の茎に発生すると、紫褐色に囲まれた暗褐色で楕円形の大型病斑となる。病斑が茎を一周すると、その部分から上がしおれて枯死する。幼果では、咲き終わった花のしぼんだ花弁に灰色のカビを密生し、花落部から幼果全体に拡がる。未熟果では被害部は水浸状となり、その表面に灰色のカビを生じ軟化腐敗する。地際に近い果実で発生しやすい。発生が多い場合は、果実の表面に2~3mmの白色リング状の病斑(ゴーストスポット)を生じることもある。
3 病原菌の生態
本菌は、傷口や枯死した部分から侵入する。
菌の発育適温は23℃。最低2℃。最高31℃。一般に低温では胞子を形成しない。また胞子の飛散は曇雨天のときに多く、快晴時にはほとんど行われない。
伝染源:菌糸、分生胞子の形で被害組織中で越年し、伝染源となる。菌核はまれに形成され、土中でも越年する。
寄主:キュウリ、イチゴ、トマト、ナスなど多くの野菜、花き類、果樹類
4 発生しやすい条件
・20℃くらいで多湿のときに発生しやすい。
・12月~4月頃にかけての温室やハウス栽培に発生が多い。
・密植しすぎたり、軟弱な成長となったり、過繁茂になると発生しやすい。
・朝夕の急激な冷え込みは、本病の発生を著しく助長する。
・花落ちの不良な品種に発生しやすい。
5 防除対策
・換気を図り多湿にならないようにする。
・マルチを行い、土壌からの病菌の伝染を防止する。
・受精を終わった花の花弁は摘み取り、病原菌が侵入するのを防ぐ。
・発病果、発病葉は速やかに取り除、焼却する。。
・発病前から、薬剤散布を行い予防する。薬剤は7日に1回くらいの割合で散布する。
・同一系統の薬剤を連用せず、必ず他系統の薬剤とローテーションする(耐性菌対策)。
灰色かび病発病果実
灰色かび病発病葉
白色リング状の病斑(ゴーストスポット)
灰色かび病茎の症状
参考文献
農業総覧 病害虫防除・資材編