本文
1 形態
(1)ホオズキカメムシ(学名 Acanthocoris sordidus Thunberg)
成虫は体長10~13mm。灰褐色のやや扁平なカメムシで背面に短い毛が密生している。
(2)アオクサカメムシ(学名 Nezara antennata Scott)
成虫の体長は11~17mm、やや細長い6角形状で基本型は全体が緑色であまり光沢がない。他に黄帯型、無紋黄色型、緑紋型があるが、多くは基本型である。ミナミアオカメムシによく似ているが、触角第3~5節の先半部が黒色であること、腹部背面の上部が黒色であることから判別できる。
(3)ミナミアオカメムシ(学名 Nezara viridula Linnaeus)
成虫の体長は12~16mm、やや細長い6角形状で、アオクサカメムシとよく似ている。アオクサカメムシとの区別点は、触角第3~5節の先半部が褐色であること、腹部背面が緑色を呈することである。
2 被害の様子
成虫および幼虫が吸汁することにより被害が生じる。
ホオズキカメムシは、幼虫あるいは羽化後の成虫が集団で新梢に寄生し、多発したときは、吸汁加害により新芽が萎れる。新芽の生長が抑制されるが枯れることはない。ピーマン、ナス、トマト、ジャガイモ、サツマイモに寄生するが、ピーマンでの発生が最も多い。
アオクサカメムシやミナミアオカメムシは、ゴマやトウモロコシの主要害虫であり、ナス、トマト、オクラ、イチゴでも発生する。トマトでは、吸汁部を中心 に果実表面は完全着色せず、果肉部はスポンジ状となる。 また、ミナミアオカメムシはイネ、ダイズの主要害虫でもある。
3 生態
ホオズキカメムシの1齢幼虫は、無摂食で集合して卵塊付近にいる。2齢幼虫から摂食を開始するが集団を形成する。3齢以降徐々に分散する。越冬は成虫で枯れ草の中などで行われる。翌春、ほ場へ飛来し、葉裏へ数十個の卵をひと塊にして産みつける。
アオクサカメムシは成虫で雑草や落ち葉の間で越冬し、翌春活動し始める。4月末頃から交尾、産卵を開始し、植物に100~200個卵塊を産みつける。幼虫は5齢を経て成虫となる。
ミナミアオカメムシの生態については「知ってとくとくミナミアオカメムシの生態と防除」 [PDFファイル/412KB]を参考にする。
4 発生しやすい条件
夏期の高温乾燥が続いた年に多発する傾向がある。
5 防除対策
ほ場周辺の除草はほ場への飛び込み量が減少するので有効である。
ホオズキカメムシ
アオクサカメムシ幼虫
アオクサカメムシ成虫
ミナミアオカメムシ幼虫
ミナミアオカメムシ成虫